JPH11242216A - 反射型液晶装置及び電子機器 - Google Patents

反射型液晶装置及び電子機器

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JPH11242216A
JPH11242216A JP10042562A JP4256298A JPH11242216A JP H11242216 A JPH11242216 A JP H11242216A JP 10042562 A JP10042562 A JP 10042562A JP 4256298 A JP4256298 A JP 4256298A JP H11242216 A JPH11242216 A JP H11242216A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反射型液晶装置において、2枚偏光板を用い
る液晶装置の表示の暗さと、散乱モードを用いた液晶装
置の視認性の悪化を共に解決することのできる新規の表
示モードを提供する。 【解決手段】 高分子分散型の液晶層30において、そ
の配向角φ、ツイスト角θ、リタデーションΔn・dを
制御することによって、液晶層30が光透過状態にある
とき、偏光板40を通過して液晶層30に入射する直線
偏光Pが液晶層30を通過して反射電極21の表面上で
ほぼ円偏光Cになるようにしている。この円偏光Cは、
反射電極21の反射面にて反射された後、再び液晶層3
0を通過すると、当初の直線偏光Pに対してほぼ直交す
る偏光方向を備えた直線偏光Aになる。この直線偏光A
は偏光板40を透過できない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は反射型液晶装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、反射型液晶装置としては、TN型
液晶装置のように液晶層を含む液晶セルの前面側及び背
面側にそれぞれ偏光板を配置し、背面側の偏光板のさら
に背後に反射板を配置するものが一般的である。しかし
ながら、このような偏光板を用いた反射型液晶装置は、
外光の反射のみで表示を視認可能にしている上に2枚の
偏光板によって光損失が生ずるため、表示が暗いという
問題点がある。
【0003】これに対して、偏光板を用いることなく表
示を可能にするタイプの他の液晶装置が開発されてい
る。この種の液晶装置のうち、電界によって液晶層を光
散乱状態と光透過状態とに制御して表示を行う散乱モー
ドを用いた液晶装置がある。この液晶装置においては、
光散乱状態にて白色表示を、光透過状態において黒色表
示を行うようになっており、偏光板を用いないことから
表示を明るくすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記散乱モ
ードを用いた液晶装置においては、偏光板を用いないこ
とから表示を明るくすることができるものの、光散乱状
態における白色度と、光透過状態における黒色度とが充
分でなく、表示のコントラストが充分に確保できないと
いう問題点がある。また、光透過状態においては反射面
に背景や照明などが映り込み、視認性を妨げる場合もあ
り、そのため、反射面に微細な凹凸を形成して粗面化
し、反射面の正反射を低減して光を拡散させるようにす
る必要があり、製造コストが増大するという問題点もあ
る。
【0005】そこで本発明は上記問題点を解決するもの
であり、その課題は、反射型液晶装置において、2枚偏
光板を用いる液晶装置の表示の暗さと、散乱モードを用
いた液晶装置の視認性の悪化を共に解決することのでき
る新規の表示モードを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明が講じた手段は、前面側基板と、背面側基板と
の間に印加電界に応じて光学特性を変化させる液晶層を
配置し、該液晶層よりも背面側に反射面を備えた反射型
液晶装置において、前記液晶層よりも前面側に偏光手段
を配置し、前記液晶層は、所定のツイスト角を有して配
向され、誘電異方性及び屈折率異方性を備えた液晶分子
を含むとともに、前記印加電界に応じて光散乱状態と光
透過状態とを制御してなることを特徴とする。
【0007】この手段によれば、偏光層を通過して液晶
層に偏光が入射したとき、液晶層が光透過状態にある場
合には液晶層内を進むに従って液晶分子のツイスト角に
よって偏光状態が変化し、反射面において反射された後
にもまた液晶層を通過して偏光状態を変化させて再び偏
光層に戻るのに対し、液晶層が光散乱状態にある場合に
は、偏光板を通過した偏光が液晶層に入射すると、液晶
層内にて散乱されて再び偏光板に戻る。したがって、液
晶層のツイスト角、配向方向、リタデーションなどを調
整することによって、液晶層が光透過状態にあるときに
は反射光が偏光層にて遮断されて黒色が表現され、液晶
層が光散乱状態にあるときは散乱光が偏光層を透過して
白色が表現されるように構成することができるため、特
に黒色を従来よりも暗く表現することができるから、表
示のコントラストを向上させることができるとともに、
一枚偏光板構成によって表示の明るさ低下を極力抑制す
ることができる。
【0008】ここで、前記液晶層は、前記液晶分子と、
前記液晶分子に対する所定の電界印加状態における光屈
折率とほぼ同様の光屈折率を有する高分子とを相互に分
散配置してなる場合、すなわち、高分子分散型の液晶層
を用いる場合がある。
【0009】また、前記偏光層を透過して形成された偏
光が前記液晶層を通過すると前記反射面上において略円
偏光になるように、光透過状態における前記液晶層の液
晶分子のツイスト角、前記液晶層のリタデーション、及
び、前記液晶層の前面側における前記偏光層の透過軸と
前記液晶分子の配向方向との間の角度である配向角を調
整してなることが好ましい。この手段によれば、ツイス
ト角、リタデーション及び配向角によって液晶層による
偏光の偏光状態の変化度合いを調整することができ、反
射面上にて略円偏光になるように構成することによっ
て、偏光層へと戻る反射光の偏光方向が入射時に対して
ほぼ直交する方向となるため、確実に光を遮断すること
ができるから、表示のコントラストを高めることができ
る。
【0010】この場合にはまた、前記液晶層が光透過状
態にある場合において、所定の前記配向角に対して前記
ツイスト角及び前記リタデーションが液晶セルの光反射
率が極小値となるように設定されていることが望まし
い。この手段によれば、所定の配向角に対して光反射率
が極小値になるツイスト角及びリタデーションを設定す
ることにより、液晶装置の製造条件として実用的な範囲
内で充分な光遮断を行うことが可能になり、実用的に表
示のコントラストを高めることができる。
【0011】さらに、このような反射型液晶装置を電子
機器に搭載することも可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、添付図面を参照して本発明
に係る実施形態について説明する。図1は、本発明に係
る反射型液晶装置の第1実施形態の概略構成を示す概略
縦断面図である。この実施形態では、無機ガラスからな
る透明な前面側基板10と背面側基板20との間に液晶
層30が図示しないシール材によって封止されている。
前面側基板10の外面上には偏光板40が貼着される。
【0013】前面側基板の内面上にはITO(インジウ
ムスズ酸化物)などからなる透明電極11が形成され、
この透明電極11上に全面的に図示しない配向膜が塗布
形成され、所定方向、たとえば、図示左右方向にラビン
グ処理が施される。一方、背面側基板20の内面上に
は、AlやCrなどの金属を蒸着、スパッタリング等に
より被着して反射電極21が形成されている。この反射
電極21の表面上にも図示しない所定の配向膜が形成さ
れ、液晶層30内の液晶分子の配向方向及びツイスト角
に応じた方向にラビング処理が施される。
【0014】単純マトリクス型液晶装置の場合には透明
電極11と反射電極21とは相互に直交する方向に伸び
るストライプ状に形成され、TFT(薄膜トランジス
タ)やMIM(金属−絶縁体−金属)素子などのアクテ
ィブ素子を備えたアクティブマトリクス型の液晶装置で
は、電極11が基板の全面にもしくはストライプ状に形
成される。反射電極21は単純マトリックス型の場合、
ストライプ状の電極となり、アクティブ素子が形成され
ている場合には画素領域毎に分離した平面矩形状などの
独立形状に形成されている。
【0015】本実施形態の液晶層30は、散乱モードを
用いた表示方式を採用し、液晶層30への電界印加状態
に応じて光散乱状態又は光透過状態が得られるようにな
っている。本実施形態の散乱モードを実現するものとし
ては、高分子分散型液晶と呼ばれるものを用いる場合が
ある。この場合、液晶層30の内部には液晶分子と高分
子とが互いに分散した状態にて存在している。この状態
としては、液晶中に高分子粒子が分散した状態のもの、
液晶中に多量の高分子粒子が連接するように配置されて
いるもの、ゲル状態の高分子の網の目状の骨格内に液晶
が含まれるものなど、種々の態様のものがある。
【0016】この場合、液晶と光若しくは電子線などで
重合させることが可能な高分子前駆体とを相溶させた溶
液を空セル内に注入した後、光や電子線などを照射する
ことによって高分子前駆体を重合させ、相分離によって
液晶中に高分子を析出させることにより液晶層30を形
成することが好ましい。液晶としては誘電異方性及び屈
折率異方性を備えたものであれば種々の液晶を用いるこ
とができる。ここで、液晶が正の誘電異方性を備えてい
る場合には基板表面のラビング処理によって液晶を水平
配向させ、液晶が負の誘電異方性を備えている場合には
液晶を垂直配向させることが好ましい。特に、この方法
にて液晶層を形成する場合、液晶と高分子の双方を所定
方向に配向させることができる。
【0017】高分子前駆体としては、ビフェニルメクリ
レートその他のメタクリレート、アクリレート、その他
のビニル化合物などの光或いは電子線重合性の化合物、
エポキシ化合物などの熱重合性の化合物を用いることが
できる。熱重合性の化合物については適度な温度まで加
熱して高分子を相分離させることができる。また、高分
子としてエチルセルロースのような熱可塑性の化合物を
用いることができ、この場合には、加熱状態で液晶と混
合させた後、空セル内に注入して冷却すれば高分子を相
分離させることができる。なお、液晶成分中にカイラル
成分を混入することにより、表示のコントラストや視角
依存性を向上させることができる。
【0018】本実施形態において高分子分散型の液晶層
30を形成する具体例としては、たとえば、液晶として
メルク社製の「BL007」(商品名)を90wt%、
カイラル成分としてメルク社製の「CB15」(商品
名)を0.1〜3wt%(但し、ツイスト角に応じて当
該範囲にこだわらずに適宜調整する。)、高分子前駆体
としてビフェニルメタクリレートを7wt%混合してな
る溶液を作成し、この溶液を前面側基板10、背面側基
板20及びシール材からなる基板間ギャップが5ミクロ
ン程度の空セル内に注入し、封止してから、紫外線を照
射して液晶中に高分子粒子を相分離させる。紫外線の照
射量を適宜に設定すると、駆動電圧が5ボルト程度とな
り、時計用ICでも十分駆動できるものとなる。このよ
うな液晶層の形成方法では液晶成分の割合は50〜95
wt%程度であることにより、駆動電圧と表示態様とを
実用的な範囲に設定することができる。
【0019】このような液晶層30においては、電界無
印加状態では、液晶層内の液晶と高分子粒子とが共にほ
ぼ同じ配向して液晶と高分子粒子の光屈折率がほぼ等し
くなるために光透過状態になる。一方、所定のしきい値
を越える電界を印加した状態では、電界が印加された領
域において誘電異方性を有する液晶が垂直に配向すると
ともに、液晶は屈折率異方性をも備えているので高分子
の光屈折率との間に差が生じ、光散乱状態となる。な
お、液晶と高分子とは同じようにツイスト配向してい
る。
【0020】このため、数字、文字、図形などの表示内
容に応じた領域にしきい値を越える電圧を印加すること
により白濁させることができる。この場合に、液晶層3
0に所定の電界を印加するために前面側基板10と背面
側基板20の内面上にマトリクス状の多数の電極を形成
しておいてもよく、或いはまた、数字、文字、図形のう
ちの或る限定された数の表示内容のみを表示すれば足り
る場合には、一方の基板内面に幾つかのセグメント電極
を形成し、他方の基板内面にコモン電極を形成してもよ
い。また、液晶と高分子との屈折率の設定により、電界
無印加状態で光散乱状態になり、電界印加状態で光透過
状態になるように構成することも可能である。
【0021】上記の液晶層30においては、上述のよう
な従来とほぼ同様の高分子分散型の液晶層であることに
加えて、偏光板40の透過軸と、前面側基板10に対す
る界面領域30aにおける液晶分子31のダイレクタの
方向との間の角度である配向角φ、液晶分子のツイスト
角θ、リタデーションΔn・d(Δnは屈折率異方性で
あり、dは液晶セルのセルギャップ、すなわち、液晶層
の厚さである。)を所定値に設計している。配向角φは
偏光板の取付方位や前面側基板10の内面上に形成され
た配向膜のラビング方向によって制御することができ、
ツイスト角θは、液晶層へのカイラル剤の混入量や前面
側基板10及び背面側基板20の内面上の配向膜のラビ
ング方向の差などによって制御することができる。リタ
デーションΔn・dは、液晶分子や高分子の材質、組成
比、セルギャップなどによって制御することが可能であ
る。
【0022】本実施形態では、上述のように、配向角
φ、ツイスト角θ、リタデーションΔn・dを制御する
ことによって、図2に示すように、液晶層30が光透過
状態にあるとき、偏光板40を通過して液晶層30に入
射する直線偏光Pが液晶層30を通過して反射電極21
の表面上でほぼ円偏光Cになるようにしている。この円
偏光Cは、反射電極21の反射面にて反射された後、再
び液晶層30を通過すると、当初の直線偏光Pに対して
ほぼ直交する偏光方向を備えた直線偏光Aになる。この
直線偏光Aは偏光板40を透過できない。図3は、上述
の直線偏光P、円偏光C及び直線偏光Cの偏光状態を示
すものである。直線偏光Pは液晶層30内において図2
に示す液晶分子31のダイレクタの方向によって徐々に
図3に細線で示すように楕円偏光に変化しその扁平率を
減少させながら、その楕円偏光の長軸の方向も徐々に回
転していく。そして、ちょうど液晶層30を通過した反
射面上において円偏光Cになって反射され、再び液晶層
30を通過すると再び楕円偏光になってその長軸の方向
はさらに回転していき、やがて当初の直線方向Pと直交
する偏光方向を備えた直線偏光Aとなる。
【0023】以上のように構成された本実施形態におい
ては、液晶層30が光透過状態にある場合には上述のよ
うに反射光が偏光板40において遮断され、黒色表示が
得られるとともに、液晶層30が光散乱状態になる場合
には、偏光板40から入射する直線偏光Pは液晶層30
に入るが、液晶層30内の液晶分子と高分子との屈折率
の違いによって光散乱され、そのまま再び偏光板40を
通過して放出されるので、白色表示が得られる。
【0024】図4から図7は、液晶層30としてネマチ
ック液晶を用いて所定の配向角φ、ツイスト角θ及びリ
タデーションΔn・dに対するコンピュータシミュレー
ションを行った結果を示すものである。ただし、これら
には高分子の影響は盛り込まれていない。これらの図に
おいて、図4、図6、図7については図1と同様の単一
の偏光板を有する光学系を仮定し、波長は550nmと
し、液晶層に所定ツイスト角のネマチック液晶を用いた
ノーマリーブラックの液晶装置とした条件の元、所定の
セルパラメータを用いてジョーンズベクトル法により反
射率を算出した。一方、図5は同様のセルの前方に偏光
ビームスプリッタ(PBS)を配置して、側方からPB
Sに向けて光源より光を照射し、PBSにて取り出され
た偏光を液晶層に入射させ、さらに、反射面からの反射
光がPBSを透過して液晶層の前方に光を放出するとい
うノーマリーホワイトの光学系を仮定して算出したもの
である。
【0025】図4は、図2に示すように偏光板40の透
過軸と液晶層30の前面側平面30aの近傍の液晶分子
31のダイレクタの方向とを一致させた場合、すなわ
ち、配向角φを0にした場合における、オフ状態、すな
わち、液晶層30が光透過状態にあるときの反射率と、
液晶層30のリタデーションΔn・dとの関係を、波長
550nmの光に対して示すグラフである。ここで、グ
ラフ中に記載した角度は液晶層30中のネマチック液晶
のツイスト角θである。このグラフから判るように、ツ
イスト角θが63度又は200度のときに反射率が最も
低い曲線となることが判る。また、これらの最適なツイ
スト角θを有する場合においても特に、ツイスト角θが
63度の場合にはリタデーションΔn・dが0.2μm
のときにほぼ反射率が0である極小値(最小値)をと
り、ツイスト角θが200度の場合にはリタデーション
Δn・dが0.56μmのときにほぼ反射率が0の極小
値(最小値)を取る。また、これらの2組の最適条件で
はなくても、ツイスト角θ及びリタデーションΔn・d
がそれぞれ最適条件に近い場合にも良好な光遮断を行う
ことができることが判る。
【0026】図5は、上記2つの最適条件について、そ
れぞれの電気光学特性を計算したものである。ただし、
この場合には、上述のようにPBSを用いた光学系によ
る電界無印加状態で白色表示が得られるノーマリーホワ
イトの液晶セルを仮定している。このグラフによれば、
上記の2組の最適条件のいずれにおいても電気光学特性
において充分な急峻性を備えていることが判る。
【0027】図6は、上記2組の最適条件におけるオフ
状態、すなわち黒色表示時の反射率の波長特性を示すも
のである。上記の最適条件はいずれも波長550nmに
対するものであるため、波長550nmの光は完全に遮
断されているが、それ以外の波長に対しては必ずしも完
全に遮断されていない。しかしながら、グラフに示す可
視光領域において実用上充分な特性が得られることが判
る。
【0028】図7は、偏光板40の透過軸と液晶層30
の前面側端の界面領域30aにおける液晶分子31のダ
イレクタの方向との間の角度である配向角φを変えた場
合のオフ状態における反射率とリタデーションとの関係
を示すものである。グラフ中の角度の表示はそれぞれ配
向角φの値を示す。最適条件における光遮断特性は配向
角φが0であるときが良好であるが、配向角φが変化す
ると最適条件における反射率が増加し、また、リタデー
ションの値も変化する。しかし、配向角φが−15度か
ら+45度の広い範囲で反射率の低い領域が存在するこ
とから、配向角φが0でなくても実用的な光遮断が得ら
れることが判る。
【0029】上記の各特性はいずれもツイステッドネマ
チック液晶に関するものであるが、ネマチック液晶を用
いた高分子分散型の液晶装置においても同様の特性を得
ることができる。この場合、これらの特性に対して、Δ
nとして液晶分子と高分子との加重平均値を用いること
により、高分子分散型の複合液晶層を上記の特性に調整
することができる。
【0030】本実施形態では、液晶層30が光透過状態
にある場合に偏光板40によって光が完全に遮断される
ため、散乱モードを用いた反射型液晶装置の欠点であっ
たコントラスト比を向上させることができる。この場
合、上記実施形態では高分子分散型の液晶層30を用い
ているが、動的散乱モード、ゲストホスト効果、相転移
モードなどの他の散乱モードを用いた液晶層においても
同様に適用できる。
【0031】本実施形態では、図6に示すように波長に
よって偏光状態の変化が異なるため、光学特性に波長分
散が存在するが、この波長分散を補償するために、液晶
層30による偏光状態の変化の波長依存性を補償する公
知の位相差板を偏光板40と前面側基板10との間に配
置したり、位相差層を前面側基板の内面上などに形成し
てもよい。この位相差板若しくは位相差層は偏光板と反
射面との間であればいずれに配置してもよい。
【0032】なお、上記の液晶セルにおいて、前面側基
板10の内面上などにカラーフィルタを設けてカラー化
してもよい。この場合、カラーフィルタとして、偏光カ
ラーフィルタを設けることによって偏光板40を不要と
することができる。偏光カラーフィルタとしては、所定
方向に配向させた液晶中に2色性色素を混入したものを
画素領域毎に基板上に形成した仕切部の内側に滴下して
配列させる方法が考えられる。このとき、2色性色素は
液晶分子の配向方向に沿って配向し、発色した状態とな
っていなければならない。2色性色素としては公知の色
素を種々用いることができるが、たとえば、赤として
「M370」、緑として「SI209」と「M777」
を混合したもの、青として「M483」(以上、すべて
三井東圧化学社製、製品番号)などを用いることができ
る。この場合の液晶への溶解量は1〜5wt%程度であ
る。
【0033】また、このような反射型液晶装置を電子機
器に搭載することも可能である。図8は電子機器として
の具体例を示したものである。(a)は携帯電話に反射
型の液晶装置を搭載した例であり、(b)は時計に用い
たもの、(c)はパソコンなどの携帯機器に搭載した例
である。本願のように低消費電力でしかも反射型の液晶
装置はこのような電子機器に最適であることはいうまで
もない。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、液
晶層のツイスト角、配向方向、リタデーションなどを調
整することによって、液晶層が光透過状態にあるときに
は反射光が偏光層にて遮断されて黒色が表現され、液晶
層が光散乱状態にあるときは散乱光が偏光層を透過して
白色が表現されるように構成することができるため、特
に黒色を従来よりも暗く表現することができるから、表
示のコントラストを向上させることができるとともに、
一枚偏光板構成によって表示の明るさ低下を極力抑制す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る反射型液晶装置の実施形態の概略
構成を示す概略縦断面図である。
【図2】本実施形態のオフ状態(ノーマリーブラック)
における光の経路を示す説明図である。
【図3】本実施形態における直線偏光の液晶層内での偏
光状態の変化を示す偏光ダイヤグラムである。
【図4】ツイストネマチック液晶を用いた一枚偏光板方
式のオフ状態(ノーマリーブラック)における反射率
を、液晶のリタデーション及びツイスト角に対して示す
グラフである。
【図5】ツイストネマチック液晶を用いた偏光ビームス
プリッタ方式(ノーマリーホワイト)の反射率と印加電
圧との関係を示すグラフである。
【図6】ツイストネマチック液晶を用いた一枚偏光板方
式のオフ状態(ノーマリーブラック)における反射率の
光の波長依存性を示すグラフである。
【図7】ツイストネマチック液晶を用いた一枚偏光板方
式のオフ状態(ノーマリーブラック)における反射率
を、液晶のリタデーション及び配向角に対して示すグラ
フである。
【図8】反射型液晶装置を電子機器に搭載した図であ
る。
【符号の説明】
10 前面側基板 11 透明電極 20 背面側基板 21 反射電極 30 液晶層 40 偏光板

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前面側基板と、背面側基板との間に印加
    電界に応じて光学特性を変化させる液晶層を配置し、該
    液晶層よりも背面側に反射面を備えた反射型液晶装置に
    おいて、 前記液晶層よりも前面側に偏光手段を配置し、 前記液晶層は、所定のツイスト角を有して配向され、誘
    電異方性及び屈折率異方性を備えた液晶分子を含むとと
    もに、前記印加電界に応じて光散乱状態と光透過状態と
    を制御してなることを特徴とする反射型液晶装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記液晶層は、前記
    液晶分子と、前記液晶分子に対する所定の電界印加状態
    における光屈折率とほぼ同様の光屈折率を有する高分子
    とを相互に分散配置してなることを特徴とする反射型液
    晶装置。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記偏光層を透過し
    て形成された偏光が前記液晶層を通過すると前記反射面
    上において略円偏光になるように、光透過状態における
    前記液晶層の前記液晶分子のツイスト角、前記液晶層の
    リタデーション、及び前記液晶層の前面側における前記
    偏光層の透過軸と前記液晶分子の配向方向との間の角度
    である配向角を調整してなることを特徴とする反射型液
    晶装置。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記液晶層が光透過
    状態にある場合において、所定の前記配向角に対して前
    記ツイスト角及び前記リタデーションが液晶セルの光反
    射率が極小値となるように設定されていることを特徴と
    する反射型液晶装置。
  5. 【請求項5】前記反射型液晶装置を搭載した電子機器。
JP04256298A 1998-02-24 1998-02-24 反射型液晶装置及び電子機器 Expired - Fee Related JP3788013B2 (ja)

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