JPH11241605A - 中空一体型カムシャフトおよびその製造方法 - Google Patents

中空一体型カムシャフトおよびその製造方法

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JPH11241605A
JPH11241605A JP10042460A JP4246098A JPH11241605A JP H11241605 A JPH11241605 A JP H11241605A JP 10042460 A JP10042460 A JP 10042460A JP 4246098 A JP4246098 A JP 4246098A JP H11241605 A JPH11241605 A JP H11241605A
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JP
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cam
groove
base
hollow
ramp
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Application number
JP10042460A
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English (en)
Inventor
Masanobu Nakamura
村 正 信 中
Hideo Minamiyama
山 秀 夫 南
Kenji Suzuki
木 健 司 鈴
Makoto Kano
納 眞 加
Hironori Sakamoto
元 宏 規 坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TUBE FOMING CO Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
TUBE FOMING CO Ltd
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性の向上および大幅な軽量化を実現した
うえで、必要とされる耐久性を確保する。 【解決手段】 中空状をなすシャフト本体2と、カムラ
ンプ11およびこれに連続するカムノーズ12を有する
カム10を備え、カム10は、シャフト本体2に一体に
膨出形成されかつカムランプ下地部11Aおよびこれに
連続するカムノーズ下地部12Aを有するカム下地部1
0Aと、カム下地部10Aのカムランプ下地部11Aお
よびカムノーズ下地部12Aに連続して形成した溝13
と、溝13に肉盛りされてカム摺動面11a,12aを
有するカムランプ11およびカムノーズ12を形成する
耐摩耗性材料よりなる肉盛り層14を具備している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、内燃機関
の吸排気弁を駆動するのに用いられる中空一体型カムシ
ャフトおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来において、中空カ
ムピースおよび中空ジャーナルピースを鋼管に固定して
形成されるカムシャフトは、焼結あるいは鍛造により製
作した中空カムピース素材および中空ジャーナルピース
素材に浸炭熱処理を施して中空カムピースおよび中空ジ
ャーナルピースを製作する工程、中空カムピースおよび
中空ジャーナルピースを鋼管に嵌装して金型の所定位置
に配置する工程、および、鋼管をバルジ加工により拡管
して中空カムピースおよび中空ジャーナルピースを固定
する工程を経て製造されるようになっていることから、
生産性がよいとは言えないうえ、軽量化にも限度がある
という問題を有していた。
【0003】また、鋼管をバルジ加工により部分的に拡
管してカムシャフト形状に成形したとしても、カムにお
けるカムノーズの耐摩耗性が不足するので、カムシャフ
トに要求される耐久性を確保することができないという
問題があり、これらの問題を解決することが従来の課題
となっていた。
【0004】
【発明の目的】本発明は、上記した従来の課題に着目し
てなされたもので、生産性の向上および大幅な軽量化を
実現したうえで、要求される耐久性を確保することがで
きる中空一体型カムシャフトおよびその製造方法を提供
することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係わ
る中空一体型カムシャフトは、中空状をなすシャフト本
体と、カムランプおよびこれに連続するカムノーズを有
するカムを備え、カムは、シャフト本体に一体に膨出形
成されかつカムランプ下地部およびこれに連続するカム
ノーズ下地部を有するカム下地部と、カム下地部のカム
ランプ下地部およびカムノーズ下地部に連続して形成し
た溝と、溝に肉盛りされてカム摺動面を有するカムラン
プおよびカムノーズを形成する耐摩耗性材料よりなる肉
盛り層を具備している構成としたことを特徴としてお
り、この中空一体型カムシャフトの構成を前述した従来
の課題を解決するための手段としている。
【0006】本発明の請求項2に係わる中空一体型カム
シャフトにおいて、カムランプ下地部およびカムノーズ
下地部に連続して形成した溝の溝底面は、カムランプお
よびカムノーズのカム摺動面に対していずれの部位にお
いても等間隔をなしている構成とし、本発明の請求項3
に係わる中空一体型カムシャフトは、カムランプおよび
カムノーズにおけるカム摺動面の幅寸法に対する溝の幅
寸法を50%以上でかつ90%以下としてある構成と
し、本発明の請求項4に係わる中空一体型カムシャフト
は、溝の深さ寸法を0.2mm以上でかつ2.0mm以
下としてある構成とし、本発明の請求項5に係わる中空
一体型カムシャフトは、シャフト本体と同心状をなすカ
ムベースを有し、カムベースとカム下地部のカムランプ
下地部との境界部分において、溝端における溝底からカ
ム摺動面におろす垂線と、溝端における溝底およびカム
ベース端を結ぶ接続面とがなす角度を20゜以上でかつ
80゜以下としてある構成としている。
【0007】本発明の請求項6に係わる中空一体型カム
シャフトの製造方法は、請求項1ないし5のいずれかに
記載の中空一体型カムシャフトを製造するに際して、鋼
管にバルジ加工を施して、シャフト本体と、カムランプ
下地部およびこれに連続するカムノーズ下地部を有する
カム下地部とを一体形成すると共に、カム下地部のカム
ランプ下地部およびカムノーズ下地部に溝を連続して形
成し、溝に耐摩耗性材料よりなる肉盛り層を盛り付けて
カム摺動面を有するカムランプおよびカムノーズを形成
する構成としたことを特徴としており、この中空一体型
カムシャフトの製造方法の構成を前述した従来の課題を
解決するための手段としている。
【0008】本発明の請求項7に係わる中空一体型カム
シャフトの製造方法は、溝を塑性加工により形成する構
成とし、本発明の請求項8に係わる中空一体型カムシャ
フトの製造方法において、溝を形成する塑性加工は、鋼
管にバルジ加工を施してシャフト本体とカム下地部とを
一体形成するのと同時になされる構成としている。
【0009】本発明の請求項9に係わる中空一体型カム
シャフトの製造方法は、溝に耐摩耗性材料よりなる肉盛
り層を盛り付けるのにレーザを用いる構成とし、本発明
の請求項10に係わる中空一体型カムシャフトの製造方
法は、レーザのビーム幅を溝幅と略一致させた構成と
し、本発明の請求項11に係わる中空一体型カムシャフ
トの製造方法は、耐摩耗性材料として1〜4重量%の炭
素を含有する鉄鋼あるいは1〜4重量%の炭素を含有す
る鋳鉄材料系粉末を用いる構成としている。
【0010】
【発明の作用】本発明の請求項1に係わる中空一体型カ
ムシャフトでは、カム下地部のカムランプ下地部および
カムノーズ下地部に、カムランプおよびカムノーズのカ
ム摺動面を形成する耐摩耗性材料よりなる肉盛り層を設
けているので、カムシャフトに要求される耐久性が確保
されることとなり、この際、カム下地部は、シャフト本
体に一体形成されるものとしてあるので、生産性の向上
および軽量化が合わせて図られることとなる。
【0011】また、肉盛り層は、カムランプ下地部およ
びカムノーズ下地部に連続して形成した溝に盛り付けて
あることから、肉盛り層のカムノーズ摺動方向と直交す
る方向の厚みが均一なものとなり、すなわち、肉盛り層
の両エッジ側の厚みと中間部の厚みとがほぼ等しくな
り、カムノーズの両エッジにとくに必要とされる耐久性
が確保されることとなる。
【0012】本発明の請求項2に係わる中空一体型カム
シャフトにおいて、例えば、耐摩耗性材料を粉末とし、
レーザを用いてこの粉末を溝に盛り付けて肉盛り層を形
成する場合には、粉末の加工点(レーザ照射位置)以外
への粉末の飛散が回避されて、安定した肉盛り加工がな
されると共に、粉末の使用量が少なく抑えられることと
なり、本発明の請求項3に係わる中空一体型カムシャフ
トでは、タペットなどのカム従動子と接触するカムラン
プおよびカムノーズのカム摺動面の摩耗量が少なく抑え
られることとなるうえ、カム摺動面の偏摩耗が阻止され
ることとなる。
【0013】本発明の請求項4に係わる中空一体型カム
シャフトでは、カムランプおよびカムノーズのカム摺動
面に異常摩耗が生じたとしても、カムランプ下地部およ
びカムノーズ下地部が露出することが回避されることと
なり、この中空一体型カムシャフトが、例えば、内燃機
関の吸排気弁を駆動するカムシャフトである場合には、
内燃機関の性能を低下させるといった事態の発生が阻止
されることとなり、本発明の請求項5に係わる中空一体
型カムシャフトでは、請求項2に係わる中空一体型カム
シャフトと同じく、例えば、耐摩耗性材料を粉末とし、
レーザを用いてこの粉末を溝に盛り付けて肉盛り層を形
成する場合には、カムベースとカム下地部のカムランプ
下地部との境界部分における肉盛り加工が滑らかになさ
れることとなって、境界部分に供給する粉末の量とレー
ザビームのエネルギとの関係が乱れることによる未溶着
欠陥の発生が回避されることとなる。
【0014】一方、本発明の請求項6に係わる中空一体
型カムシャフトの製造方法では、上記した構成としてい
ることから、生産性の向上および軽量化を図ったうえ
で、要求される耐久性を有する中空一体型カムシャフ
ト、とくに、カムノーズにおける両エッジの耐久性を確
保した中空一体型カムシャフトの製造がなされることと
なる。
【0015】本発明の請求項7に係わる中空一体型カム
シャフトの製造方法では、カム下地部におけるカムラン
プ下地部およびカムノーズ下地部の肉厚を薄くすること
なく溝の形成がなされ、その結果、カムの強度の低下が
回避されることとなり、本発明の請求項8に係わる中空
一体型カムシャフトの製造方法では、工数の削減がなさ
れることとなる。
【0016】本発明の請求項9に係わる中空一体型カム
シャフトの製造方法では、入熱過剰による溶損を生じさ
せることなく、必要な箇所に必要な量だけ熱が加えられ
ることとなり、肉盛り加工精度が向上して、加工位置ず
れによる品質の低下が阻止されることとなり、本発明の
請求項10に係わる中空一体型カムシャフトの製造方法
では、カム下地部におけるカムランプ下地部およびカム
ノーズ下地部に連続して形成した溝に沿ってレーザビー
ムを1回走査させれば、肉盛り加工が完了することとな
り、製造時間の短縮が図られるのに加えて、レーザビー
ムを複数回走査させる場合と比較して欠陥の発生率が低
く抑えられることとなり、本発明の請求項11に係わる
中空一体型カムシャフトの製造方法では、要求される耐
摩耗性および強度を兼ね備えた中空一体型カムシャフト
の製造がなされることとなる。
【0017】
【発明の効果】本発明の請求項1に係わる中空一体型カ
ムシャフトでは、上記した構成としたから、生産性の向
上および軽量化を実現できるのに加えて、要求される耐
久性、とくに、カムノーズの両エッジに必要とされる耐
久性を確保することが可能になるという極めて優れた効
果がもたらされる。
【0018】本発明の請求項2に係わる中空一体型カム
シャフトでは、上記した構成としたため、例えば、耐摩
耗性材料を粉末とし、レーザを用いてこの粉末を溝に盛
り付けて肉盛り層を形成する場合において、安定した肉
盛り加工を行うことができると共に、粉末の使用量を少
なく抑えることができ、本発明の請求項3に係わる中空
一体型カムシャフトでは、上記した構成としているの
で、タペットなどのカム従動子と接触するカムランプお
よびカムノーズのカム摺動面の摩耗量を少なく抑えるこ
とができ、加えて、カム摺動面に偏摩耗が生じるのを防
ぐことができるという非常に優れた効果がもたらされ
る。
【0019】本発明の請求項4に係わる中空一体型カム
シャフトでは、上記した構成としていることから、カム
ランプおよびカムノーズのカム摺動面に異常摩耗が生じ
たとしても、カムランプ下地部およびカムノーズ下地部
が露出することを阻止することができ、この中空一体型
カムシャフトを、例えば、内燃機関の吸排気弁を駆動す
るカムシャフトとした場合には、内燃機関の性能を低下
させるといった事態の発生を防止することが可能であ
り、本発明の請求項5に係わる中空一体型カムシャフト
では、上記した構成としたため、請求項2に係わる中空
一体型カムシャフトと同じく、例えば、耐摩耗性材料を
粉末とし、レーザを用いてこの粉末を溝に盛り付けて肉
盛り層を形成する場合には、カムベースとカム下地部の
カムランプ下地部との境界部分に供給する粉末の量とレ
ーザビームのエネルギとの関係が乱れることによる未溶
着欠陥の発生を防ぐことができるという非常に優れた効
果がもたらされる。
【0020】一方、本発明の請求項6に係わる中空一体
型カムシャフトの製造方法では、上記した構成としてい
ることから、生産性の向上および軽量化を実現したうえ
で、要求される耐久性を有するカムシャフト、とくに、
カムノーズにおける両エッジの耐久性を確保した中空一
体型カムシャフトを製造することが可能であるという非
常に優れた効果がもたらされる。
【0021】本発明の請求項7に係わる中空一体型カム
シャフトの製造方法では、上記した構成としたから、カ
ム下地部におけるカムランプ下地部およびカムノーズ下
地部の肉厚を薄くすることなく溝を形成することがで
き、したがって、溝を形成することによるカムの強度の
低下を阻止することが可能であり、本発明の請求項8に
係わる中空一体型カムシャフトの製造方法では、上記し
た構成としたため、工数の削減を実現できるという非常
に優れた効果がもたらされる。
【0022】本発明の請求項9に係わる中空一体型カム
シャフトの製造方法では、上記した構成としているの
で、肉盛り加工精度の向上を実現して、加工位置ずれに
よる品質の低下を防ぐことができ、本発明の請求項10
に係わる中空一体型カムシャフトの製造方法では、上記
した構成としたため、製造時間の短縮化が実現可能であ
るうえ、レーザビームを複数回走査させる場合と比較し
て欠陥の発生率を格段に低く抑えることができ、本発明
の請求項11に係わる中空一体型カムシャフトの製造方
法では、上記した構成としたから、要求される耐摩耗性
および強度を兼ね備えた中空一体型カムシャフトを製造
することが可能であるという極めて優れた効果がもたら
される。
【0023】
【実施例】以下、本発明を図面に基づいて説明する。
【0024】[実施例1]図1〜図4は本発明に係わる
中空一体型カムシャフトの一実施例を示しており、図1
に示すように、この中空一体型カムシャフト1は、中空
状をなすシャフト本体2と、カムランプ11およびこれ
に連続するカムノーズ12を有するカム10を備えてい
る。
【0025】カム10は、シャフト本体2に一体に膨出
形成されかつカムランプ下地部11Aおよびこれに連続
するカムノーズ下地部12Aを有するカム下地部10A
と、カム下地部10Aのカムランプ下地部11Aおよび
カムノーズ下地部12Aに連続して形成した溝13と、
この溝13に肉盛りされてカム摺動面11a,12aを
有するカムランプ11およびカムノーズ12を形成する
耐摩耗性材料よりなる肉盛り層14を具備しており、カ
ムランプ下地部11Aおよびカムノーズ下地部12Aに
おいて連続する溝13は、その溝底面13aがカムラン
プ11およびカムノーズ12のカム摺動面11a,12
aに対していずれの部位においても等間隔をなすように
して形成してある。
【0026】この中空一体型カムシャフト1を製造する
に際しては、まず、図2に示すように、バルジ成形型の
上型21および下型22の間に挟み込んだ鋼管(JIS
G3445 STKM11Aに該当する外径30m
m,肉厚3mm,硬度Hv180程度のシームレス鋼
管)Sに、約170Mpaの流体圧Pをかけてバルジ加
工を施して、シャフト本体2と、カムランプ下地部11
Aおよびこれに連続するカムノーズ下地部12Aを有す
るカム下地部10Aとを一体形成し、これと同時に、上
型21および下型22の各カム成形部21a,22aに
設けた塑性加工部分21b,22bにより、カム下地部
10Aのカムランプ下地部11Aおよびカムノーズ下地
部12Aに溝13を連続して形成する。
【0027】次いで、図4に示すように、レーザLを用
いて肉盛り材料供給ノズル30から供給される耐摩耗性
材料の粉末31を溝13に盛り付けて肉盛り層14を形
成することにより、カム摺動面11a,12aを有する
カムランプ11およびカムノーズ12を形成して、図1
に示すような中空一体型カムシャフト1を得る。
【0028】次に、カム10の幅A(カム摺動面11
a,12aの幅A)を10mmとし、図1および図3に
示すように、溝幅B,溝深さC,角度Dを各々変えて製
造した発明例1〜4における中空一体型カムシャフトの
各肉盛り加工の良否および各単体摩耗試験評価を比較例
1〜5とともに表1に示す。
【0029】ここで、角度Dは、カムベース15とカム
下地部10Aのカムランプ下地部11Aとの境界部分に
おいて、溝13の末端における溝底13aからカム摺動
面11aにおろす垂線L1と、溝13の末端における溝
底13aおよびカムベース15の端部を結ぶ接続面16
とがなす角度のことである。
【0030】また、上記肉盛り加工のレーザLには、溝
幅Bと同じビーム幅とした最大出力4kWの炭酸ガスレ
ーザを使用すると共に、シールドガスとしてアルゴンガ
スを使用し、耐摩耗性材料には、Fe−3.5%C−
2.5%Si−0.08Pの組成の粉末を用いて、粉末
供給量0.2〜0.5g/sec,加工速度1.0m/
minの条件で加工した。
【0031】なお、上記単体摩耗試験は、油温50〜6
0゜Cのエンジンオイルを用いて、荷重(100kg
f,300rpm),試験時間(5時間)の条件下にお
いて行った。
【0032】
【表1】
【0033】発明例1〜4において、肉盛り加工はいず
れも良好であり、単体摩耗試験評価もすべて問題なかっ
た。
【0034】これに対して、比較例1では、溝がほとん
どないため、カム(10)の両エッジ部の肉盛り量が他
の部位と比べて少なくなり、単体摩耗試験において両エ
ッジ部に異常摩耗が発生した。また、比較例2では、肉
盛り層(14)を形成していない部位に陥没が発生し
た。さらに、比較例3では、角度(D)が小さいため、
すなわち、溝(13)の末端における溝底(13a)お
よびカムベース(15)の端部を結ぶ接続面(16)の
傾斜が急であるため、肉盛り加工において粉末供給量が
見かけ上多くなって未溶着が発生した。さらにまた、比
較例4において、肉盛り加工は良好であるが、肉盛り層
(14)に対して仕上げ加工を行うと、単体摩耗試験時
において肉盛り層(14)に薄肉部分が生じて、肉盛り
層(14)の剥離が発生してしまった。さらにまた、比
較例5において、肉盛り加工は良好であるが、溝深さ
(C)が深い分だけ粉末供給量および入熱量を増す必要
があり、その結果、鋼管(S)が軟化して、単体摩耗試
験時においてカム摺動面(11a,12a)に陥没箇所
が発生した。
【0035】したがって、本発明の請求項1〜5に係わ
る中空一体型カムシャフトが、必要とされる耐久性を確
保していることが確認でき、本発明の請求項6〜9に係
わる中空一体型カムシャフトの製造方法により、優れた
耐久性を有する中空一体型カムシャフトが得られること
が立証できた。
【0036】[実施例2]次に、カム10の溝幅Bを8
mmとし、レーザLのビーム幅を溝幅Bに合わせると共
に耐摩耗性材料を各々変えて製造した発明例5〜8にお
ける中空一体型カムシャフトの各硬度および各外観評価
を比較例6〜9とともに表2に示す。
【0037】上記肉盛り加工のレーザLには、最大出力
3〜4kWの炭酸ガスレーザを使用すると共に、シール
ドガスとしてアルゴンガスを使用し、粉末供給量0.2
〜0.5g/sec,加工速度1.0m/minの条件
で加工した。
【0038】この場合、使用する耐摩耗性材料の種類に
よって融点が異なる関係上、外観良好な肉盛り層が得ら
れるようにレーザ加工出力の調整を行った後、肉盛り加
工を行った。
【0039】
【表2】
【0040】発明例5では鋳鉄材料系の粉末を用い、発
明例6では肉盛り層14の硬度を増すためにクロムを添
加した材料の粉末を用い、発明例7では工具鋼系材料の
粉末を用い、発明例8ではダイス系材料の粉末を用いた
ところ、発明例5〜8における肉盛り層14の外観評価
はいずれも良好であり、カム10におけるカムノーズ1
2の硬度もすべて満足できる範囲であった。
【0041】これに対して、比較例6,7では、発明例
5と同じく鋳鉄材料系の粉末を用い、ビーム幅のみを変
化させたところ、比較例6では、所定の形状に肉盛りす
ることができず、肉盛り層(14)の欠落が発生し、一
方、比較例7では、ビーム幅をカム(10)の溝幅
(B)よりも大きくしたため、両エッジ部が溶損してし
まった。また、比較例8,9では、レーザLのビーム幅
を溝幅(B)に合わせたうえで、鋳鉄材料系の粉末の炭
素含有重量%のみを変化させたところ、炭素含有重量%
が1%を下回る比較例8では、カム(10)におけるカ
ムノーズ(12)の硬度がHv40よりも小さくなるの
で、耐摩耗性が要求されるカムノーズ(12)として好
ましくなく、一方、炭素含有重量%が4%を上回る比較
例9では、肉盛り層(14)の材料組織中に柔らかい黒
鉛が多く存在してしまい、見かけ上硬度が低くなる傾向
があるため好ましくなかった。
【0042】したがって、本発明の請求項10,11に
係わる中空一体型カムシャフトの製造方法では、良好な
肉盛り加工を行うことが可能であり、耐摩耗性を向上さ
せるのに十分な硬度のカムノーズを有する中空一体型カ
ムシャフトが得られることが立証できた。
【0043】本発明に係わる中空一体型カムシャフトお
よびその製造方法の詳細な構成は、上記した実施例に限
定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる中空一体型カムシャフトの一実
施例を示す断面説明図(a)および図1(a)における
X−X線位置での断面説明図(b)である。
【図2】図1における中空一体型カムシャフトを製造す
る際のバルジ加工工程を示す断面説明図である。
【図3】図2における円内に位置するカムノーズ下地部
の拡大説明図である。
【図4】 図1における中空一体型カムシャフトを製造
する際の肉盛り加工を行っている状況を示す拡大説明図
である。
【符号の説明】
1 中空一体型カムシャフト 2 シャフト本体 10 カム 10A カム下地部 11 カムランプ 11a,12a カム摺動面 11A カムランプ下地部 12 カムノーズ 12A カムノーズ下地部 13 溝 13a 溝底面 14 肉盛り層 15 カムベース 16 接続面 31 耐摩耗性材料の粉末 A カム摺動面の幅寸法 B 溝の幅寸法 C 溝の深さ寸法 D 垂線と接続面とがなす角度 L レーザ L1 垂線 S 鋼管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B23K 9/04 B23K 9/04 S (72)発明者 南 山 秀 夫 神奈川県横浜市金沢区福浦2丁目15番地の 12 株式会社チューブフォーミング内 (72)発明者 鈴 木 健 司 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 加 納 眞 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 坂 元 宏 規 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空状をなすシャフト本体と、カムラン
    プおよびこれに連続するカムノーズを有するカムを備
    え、カムは、シャフト本体に一体に膨出形成されかつカ
    ムランプ下地部およびこれに連続するカムノーズ下地部
    を有するカム下地部と、カム下地部のカムランプ下地部
    およびカムノーズ下地部に連続して形成した溝と、溝に
    肉盛りされてカム摺動面を有するカムランプおよびカム
    ノーズを形成する耐摩耗性材料よりなる肉盛り層を具備
    していることを特徴とする中空一体型カムシャフト。
  2. 【請求項2】 カムランプ下地部およびカムノーズ下地
    部に連続して形成した溝の溝底面は、カムランプおよび
    カムノーズのカム摺動面に対していずれの部位において
    も等間隔をなしている請求項1に記載の中空一体型カム
    シャフト。
  3. 【請求項3】 カムランプおよびカムノーズにおけるカ
    ム摺動面の幅寸法に対する溝の幅寸法を50%以上でか
    つ90%以下としてある請求項1または2に記載の中空
    一体型カムシャフト。
  4. 【請求項4】 溝の深さ寸法を0.2mm以上でかつ
    2.0mm以下としてある請求項1ないし3のいずれか
    に記載の中空一体型カムシャフト。
  5. 【請求項5】 シャフト本体と同心状をなすカムベース
    を有し、カムベースとカム下地部のカムランプ下地部と
    の境界部分において、溝端における溝底からカム摺動面
    におろす垂線と、溝端における溝底およびカムベース端
    を結ぶ接続面とがなす角度を20゜以上でかつ80゜以
    下としてある請求項1ないし4のいずれかに記載の中空
    一体型カムシャフト。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の中
    空一体型カムシャフトを製造するに際して、鋼管にバル
    ジ加工を施して、シャフト本体と、カムランプ下地部お
    よびこれに連続するカムノーズ下地部を有するカム下地
    部とを一体形成すると共に、カム下地部のカムランプ下
    地部およびカムノーズ下地部に溝を連続して形成し、溝
    に耐摩耗性材料よりなる肉盛り層を盛り付けてカム摺動
    面を有するカムランプおよびカムノーズを形成すること
    を特徴とする中空一体型カムシャフトの製造方法。
  7. 【請求項7】 溝を塑性加工により形成する請求項6に
    記載の中空一体型カムシャフトの製造方法。
  8. 【請求項8】 溝を形成する塑性加工は、鋼管にバルジ
    加工を施してシャフト本体とカム下地部とを一体形成す
    るのと同時になされる請求項7に記載の中空一体型カム
    シャフトの製造方法。
  9. 【請求項9】 溝に耐摩耗性材料よりなる肉盛り層を盛
    り付けるのにレーザを用いる請求項6ないし8のいずれ
    かに記載の中空一体型カムシャフトの製造方法。
  10. 【請求項10】 レーザのビーム幅を溝幅と略一致させ
    た請求項9に記載の中空一体型カムシャフトの製造方
    法。
  11. 【請求項11】 耐摩耗性材料として1〜4重量%の炭
    素を含有する鉄鋼あるいは1〜4重量%の炭素を含有す
    る鋳鉄材料系粉末を用いる請求項6ないし10のいずれ
    かに記載の中空一体型カムシャフトの製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1239122A1 (de) * 2001-02-28 2002-09-11 BÖHLERIT G.m.b.H. & Co. KG Hohlwelle mit verschleissfesten Teilbereichen und Verfahren zu dessen Herstellung
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WO2013098300A1 (de) * 2011-12-27 2013-07-04 Robert Bosch Gmbh Kraftstoffhochdruckpumpe für ein kraftstoffeinspritzsystem

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