JPH1124115A - 光スイッチ装置 - Google Patents

光スイッチ装置

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JPH1124115A
JPH1124115A JP18361897A JP18361897A JPH1124115A JP H1124115 A JPH1124115 A JP H1124115A JP 18361897 A JP18361897 A JP 18361897A JP 18361897 A JP18361897 A JP 18361897A JP H1124115 A JPH1124115 A JP H1124115A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】簡単な構成のヘテロダイン検出方式の光スイッ
チ装置の提供。 【解決手段】アルゴンレーザ1、チタンサファイアレー
ザ2、再生増幅器3で発生した光パルスをビームスプリ
ッタ5でポンプ光15とプローブ光16に分け、レンズ
17で非線形光学媒体19の同一地点に入射する。プロ
ーブ光路上に透過光の偏光面が直交するグランテーラ偏
光プリズム対18,21を置く。ポンプ光とプローブ光
を同時に入射して得られる光カー信号と、ポンプ光入射
による非線形光学媒体19内での吸収係数異方性から発
生したグランテーラ偏光プリズム21のプローブ透過光
を出力とする。このとき、ポンプ光による非線形光学媒
体内で発生した吸収係数異方性からの褪色信号によりヘ
テロダイン増幅が得られるようにした光スイッチ装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、次世代光通信技
術、光情報処理技術に必要な超高速で動作する光スイッ
チ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】高度情報化社会の到来に伴い、光通信、
光情報処理技術の分野で、超高速光スイッチ素子の必要
性が高まっている。光ファイバ通信システムを用いた大
容量基幹通信網を例に挙げると、現在、このシステムで
は、送信器或いは受信器で、電気信号から光信号への変
換、或はその逆変換を行っており、ここで光スイッチの
高速化が必要になる。
【0003】しかし、データ転送速度が更に上昇する
と、現状の電子回路では追随できなくなると指摘されて
おり、これを克服すべく様々の基礎研究が進められてい
る。なお、この点についての詳細は、例えば、“アイト
リプルイー サーキット アンドデバイス マガジン”
〔P.W.Smith,IEEE Circuits and Devices
Magazine,May,9(1987)〕に記載されてい
る。
【0004】上記超高速光スイッチ素子の候補の一つと
して、3次非線形光学効果を用いた光制御光スイッチが
ある。
【0005】そこで、この光制御光スイッチの概念を、
図4に示すカーシャッタ配置縮退4光波混合法を用いて
説明する。なお、この光制御光スイッチを単に光スイッ
チと云う。
【0006】図4(a)、(b)において、光源から発
生した光をプローブ光37とし、その光路上に、透過光
の偏光面が直交する偏光子38,41を対に設置し、こ
れらの間に、例えば、二硫化炭素などの非線形光学媒体
40を設置する。
【0007】ここで、図のように偏光子38の偏光面は
紙面と平行、また、偏光子41の偏光面は紙面と垂直で
あり、従って、偏光子38を透過したプローブ光37の
偏光面は鉛直方向に平行な直線偏光プローブ光43にな
る(図4(c))。従って、このままの状態では、図4
(a)に示すように、第1の偏光子38を通過した鉛直
の直線偏光プローブ光43が、そのまま非線形光学媒体
40を通過した光は、第2の偏光子41で遮られてしま
う。
【0008】つまり、図4(a)のように、プローブ光
37だけを非線形光学媒体40に入射した場合には、偏
光子41を透過する光は検出されないので、この状態を
スイッチOFF状態に対応させる。
【0009】次に、図4(b)に示すように、プローブ
光37と同じ光源からの光を、プローブ光37から分岐
させてポンプ光39とし、これを鉛直方向から45度傾
いた直線偏光ポンプ光39とした上で、非線形光学媒体
40の直線偏光プローブ光43の入射点と同一点に入射
したとする。このポンプ光39の入射により、そのポン
プ光偏光面44に平行な方向と垂直な方向とで、非線形
光学媒体40に屈折率の異方性が発生し、その結果、入
射の直線偏光プローブ光43の偏光は、楕円偏光の透過
プローブ光偏光面45となり、偏光子41を透過する光
が現れるので、これをスイッチON状態に対応させる。
【0010】このような光スイッチの性能指標として
は、一応、次の3種が選ばれている。
【0011】(1) 信号強度に対応する3次非線形光
学感受率 (2) スイッチング時間に対応する応答時間τ (3) 透明性を示す吸収係数α そして、それらの目標値としては、それぞれ、χ(3)>
10~7esu,τ<1ps,α<102cm~1である。
【0012】しかしながら、現状では上記目標値を満た
す材料は見つかっていない。なお、この光スイッチにつ
いての詳細な説明は、通商産業省工業技術院次世代産業
技術企画官室監修「世界に翔く次世代プロジェクト」ケ
イブン出版(1992年)の第5章「光電子材料」に記
載されている。
【0013】一方、上記材料開発と共に、このような光
スイッチの検出感度を高める研究も進められているが、
その中で高感度が期待される検出方法として光ヘテロダ
イン検出法がある。そこで、このヘテロダイン検出法に
ついて図4に示したカーシャッタ配置の光スイッチに適
用した場合を例に図5により説明する。
【0014】図5の全体の配置は図4と同じであるが、
ここでは、偏光子41の偏光軸48を、偏光子38の偏
光軸47との直交状態から微小角度(<1°)だけ回転
させ、プローブ光37の一部が、偏光子41から透過さ
れるようにしておく(43⇒45⇒46)。そして、こ
の状態で、ポンプ光39を、プローブ光37と同時に非
線形光学媒体40に入射させ、このときの偏光子41の
透過光46の光強度をITとすると、これは式〔1〕を
満たす。
【0015】
【数1】
【0016】ここで、n2:線形屈折率、c:光速度、
LO:ポンプ光39とプローブ光37による信号光の光
強度、ELO:ポンプ光39とプローブ光37による信号
光の光電場、IR:偏光子対38、41のミスアライメ
ントによるプローブ透過光の光強度、ER:偏光子対3
8、41のミスアライメントによるプローブ透過光の光
電場。なお、以後、プローブ透過光を参照光と記す場合
もある。
【0017】式〔1〕の右辺で、第1項は通常の信号光
で、第2項は干渉によって得られたヘテロ増幅光とな
り、第3項が参照光によるものである。
【0018】参照光IRが信号光ILOに比べて大きい場
合には、このヘテロ増幅光は通常の信号光ILOに比べ
て、2√(|ER|/|ELO|)大きくなる。そこで、ヘ
テロダイン検出では、この干渉により得られたヘテロ増
幅光を検出することにより、高感度が得られるようにし
たものである。
【0019】このヘテロダイン検出法について、McMor
row等は、二硫化炭素溶液のヘテロダインカー測定を行
い、通常のカーシグナルの30〜50倍の強度のシグナ
ルを観測した。なお、このカーシャッタ配置ヘテロダイ
ン検出については、アイトリプルイー ジャーナル クオ
ンタム エレクトロニクス〔D.McMorrow,W.T.Lots
haw and G.A.Kenney−Wallace,IEEE J.Qua
ntum Electron.,24巻,443頁(1988)〕に
記載されている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、光学
要素の配置に高精度を要する点について配慮がされてい
るとは云えず、構成が複雑化してしまうという問題があ
った。即ち、上記従来技術によるカーシャッタ配置光ヘ
テロダイン検出方式では、プローブ光の光路上にある偏
光子対を直交状態から微小角度ずらす必要があり、この
ためホルダーに高精度が要求され、構成が複雑になるた
めである。
【0021】本発明の目的は、簡単な構成のへテロダイ
ン検出方式による光スイッチ装置を提供することにあ
る。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の要旨は、3次非線形光学効果を示す非線形光学媒体
を用い、該非線形光学媒体内におけるポンプ光とプロー
ブ光の3次非線形光学過程で発生する信号光と参照光に
より、上記信号光のヘテロダイン増幅を行う方式の光ス
イッチ装置において、前記非線形光学媒体が、前記ポン
プ光より吸収係数異方性を付与された媒体で構成されて
いることを特徴とする光スイッチ装置にある。
【0023】また、3次非線形光学効果を示す非線形光
学媒体と、前記ポンプ光及びプローブ光を、前記非線形
光学媒体に入射する手段と、前記ポンプ光及びプローブ
光の偏光状態を制御する手段と、前記信号光を光検出器
に入射する手段と、前記信号光を検出する光検出器を備
えた光スイッチ装置にある。
【0024】前記非線形光学媒体が、フタロシアニン化
合物で構成されている前記光スイッチ装置にある。この
とき、ポンプ光は、前記非線形光学媒体の吸収スペクト
ルのB帯を励起することが望ましい。
【0025】本発明の光スイッチ装置は、時分割マルチ
プレクサ(MUX)、或いは、時分割ジマルチプレクサ
(DMLPX)として用いることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
〔実施例 1〕本発明の動作原理を説明するため、非線
形光学媒体として錫二塩化フタロシアニン蒸着膜を用い
て、カーシャッタ配置縮退4光波混合測定を行い、カー
信号を求める例について、図1に基づき説明する。
【0027】この図1(a)に示すように、アルゴンレ
ーザ1で励起されるチタンサファイアレーザ2の出力光
を、再生増幅器3で増幅し、これにより発生した中心波
長790nm、繰り返し1kHz、パルス幅80〜10
0fs、及び、パルスエネルギー1mJの光パルス列
を、ビームスプリッタ5により2本のビームに分け、ポ
ンプ光15とプローブ光16とを得るようにした。
【0028】ビームスプリッタ5で分けられたビームの
一方は、光学可変遅延路6、グランテーラ偏光プリズム
7、ミラー8に導かれ、オプティカルチョッパ9を通
り、ポンプ光15となってレンズ17に入射され、他方
は、ミラー10、11、12、1/2波長板13、ミラ
ー14に導かれ、プローブ光15となってレンズ17に
入射される。
【0029】ポンプ光15はCPU26で制御される光
学可変遅延路6に導かれるが、この光学可変遅延路6は
ステッピングモータで動く直進ステージ上に2枚のミラ
ーを置いた構成からなり、直進方向に平行な入射光を、
向きが逆で、かつ、高さが等しい平行光として戻すもの
で、ステッピングモータを1step回転させると、光路は
0.002mm変化するものである。これにより、プロ
ーブ光16とポンプ光15との光路長を等しくした上
で、平行光にしてレンズ17に入射させ、非線形光学媒
体19の同一地点に集光させる。
【0030】非線形光学媒体19を透過したプローブ透
過光つまり参照光は、レンズ22で他波長散乱光除去用
の分光器23に入射し、光電子増倍管24で信号を検出
するようになっており、ポンプ光はピンホール20を用
いて空間的に除去されるようになっている。このとき、
上記のようにポンプ光路上にグランテーラ偏光プリズム
7を設置し、これによりポンプ光15は、図1(b)に
示すように鉛直方向と平行な直線偏光28にされてい
る。
【0031】また、プローブ光16の光路上には、1/
2波長板13があり、さらにレンズ17と非線形光学媒
体19の間には、透過光を水平方向から45度傾いた直
線偏光にするためのグランテーラ偏光プリズム18が設
置してあり、これによりプローブ光は図1(b)に示す
ように、水平方向から45度傾いたプローブ光偏光面2
7をもつ直線偏光にされている。
【0032】さらに、非線形光学媒体19とレンズ22
の間には、グランテーラ偏光プリズム18を透過した光
の偏光面の垂直成分だけを通すグランテーラ偏光プリズ
ム21が設置してある。また、ポンプ光15の光路上に
は、オプティカルチョッパー9が設けてあり、これによ
り、ポンプ光に周波数f1(〜110Hz)の強度変調
をかけ、光電子増倍管24の出力電流をロックインアン
プ25に入力し、参照周波数f1でロックイン検出する
ことにより、プローブ光などの散乱光による影響を除去
する。
【0033】この非線形光学媒体19としては、錫二塩
化フタロシアニン(SnCl2Pc)蒸着膜を用いた。
SnCl2Pc分子は、図2(a)に示しフタロシアニ
ン環の中心金属である錫から、二つの塩素基が環平面に
ほぼ垂直な方向に位置する構造のものである。真空度1
0~6torr程度の真空蒸着装置中で、このSnCl2
Pc粉末を高温に熱し、ガラス基板上に蒸着した。基板
温度は293Kである。膜厚は水晶振動子の測定より、
約200nmと見積られた。
【0034】通常、フタロシアニン膜では、フタロシア
ニン分子がフタロシアニン環の中心から垂直な方向、或
いは、この垂直軸から傾いた方向に平行に環平面が並ん
だ配置をとる(カラム形成)。SnCl2Pc蒸着膜の
X線解析によると、SnCl2Pc分子33のフタロシ
アニン環がガラス基板34と図2(b)に示したように
配列している。但し、塩素置換基により分子間距離は、
該置換基のないフタロシアニン分子に比べて離れてい
る。また、X線の回折ピーク位置から、基板に垂直な方
向に周期性がある。但し、基板面内では、SnCl2
c分子の並ぶ方向はランダムである。
【0035】図3は、SnCl2Pc蒸着膜の吸収スペ
クトル35を示したものである。750nm付近にQ帯
と呼ばれる吸収ピーク(Q1、Q2)と、400nm付
近にB帯と呼ばれる吸収ピーク(B1)が観測された
が、これは、基底状態からフタロシアニン環のπ−π*
遷移による励起準位(S1、S2、S3)への遷移に対
応するもので、他のフタロシアニン膜でも観測される。
【0036】始めに、ポンプ光によるSnCl2Pc蒸
着膜の吸収係数の変化を調べるために、ポンプ・プロー
ブ測定を行った。ポンプ・プローブ測定系は、図1
(a)に示すカーシャッタ配置縮退4光波混合測定系と
ほぼ同じ構成である。
【0037】プローブ光光路上にある1/2波長板13
を調整して、ポンプ光偏光面28とプローブ光偏光面2
7を直交配置にし、プローブ光光路上にあるグランテー
ラ偏光プリズム21を取り外しプローブ光強度を測定す
る。励起波長790nmであるポンプ光15と波長79
0nmであるプローブ光16を非線形光学媒体19に同
一地点に同時に入射すると、波長790nmであるプロ
ーブ光16の非線形光学媒体19を透過した光強度は
0.3%程度増加し、時定数20ps程度の非指数間数
的減衰を経て、元の透過光強度に戻る。
【0038】このポンプ光によるプローブ透過光の増加
は、下記の褪色現象により説明できる。
【0039】ポンプ光15を非線形光学媒体19に入射
すると、電子が基底状態Gから励起状態S1に励起され
る(図3差し込み図参照)。図3に示す吸収スペクトル
のQ帯のピークQ1が、基底状態Gから励起状態S1の
遷移に対応する。この状態で、非線形光学媒体19に同
波長のプローブ光を入射すると、基底状態Gにある電子
がさらにS1に励起される場合と、S1にある電子がよ
りエネルギーの高い準位に励起される場合の二通りが考
えられる。
【0040】前者の励起過程は、ポンプ光により励起さ
れた電子がS1を占有している間は、起こらない。ま
た、後者の励起過程は、S1からプローブ光のフォトン
エネルギー分高いエネルギー位置に、基底状態から遷移
が禁制である準位がある場合に起こる。SnCl2Pc
蒸着膜では、適当な励起準位がないため、S1からの遷
移が起こらない。よって、S1に電子が占有されている
間、既に励起準位S1に電子があるため吸収は起こら
ず、透過プローブ光強度が増大する。
【0041】次に、図1(a)に示した、本カーシャッ
タ配置縮退4光波混合測定系を用いてカーシャッタ実験
を行った。図1(c)は、SnCl2Pc蒸着膜のカー
信号(透過光特性)29を示したもので、縦軸が透過光
の強度で、非線形光学媒体に対するポンプ光とプローブ
光の到着時間の差を横軸にして求めたものである。そし
て、この遅延時間差は、光学可変遅延路6を用いたこと
により、最小6.7fs刻みで変えることができる。
【0042】カー信号の応答時間は、パルス幅内で緩和
する速い応答項(30)と、20ps程度の時定数で減
衰する遅い応答項(31)からなり、非指数関数的な減
衰を示した。
【0043】遅い応答項の時定数が、ポンプ・プローブ
測定における褪色信号の時定数とほぼ等しいことから、
遅い応答項はポンプ光による試料の褪色に起因すると考
えられる。また、吸収係数の異方性が起こる理由として
は、遅い応答に対応する吸収が、電荷移動励起子等のカ
ラム方向の励起によるものであると推測される。
【0044】一方、速い応答項は、通常のカー信号で観
測される電子応答と考えられる。即ち、ポンプ光による
非線形光学媒体中の電子雲の異方性により、屈折率異方
性が生じてカー信号が発現する。この応答時間はパルス
幅である100fs以下と考えられる。
【0045】次に、速い応答項の振幅のポンプ光強度依
存性を調べてみると、振幅はポンプ光強度の約1.1乗
に比例した。通常のカー信号ではプローブ光の強度を一
定にすれば、カー信号はポンプ光強度の2乗に比例す
る。一方、ヘテロダインカー信号の場合では、カー信号
はポンプ光強度の1乗に比例する。このため、速い応答
項はヘテロダインカー信号によるものと考えられる。即
ち、ポンプ光を入射した場合、非線形光学媒体19の褪
色により、グランテーラ偏光プリズム21を透過するプ
ローブ光が発生し、前記式〔1〕の右辺第2項で表され
る値のヘテロダイン増幅光が信号となり、大きな強度に
なる。
【0046】以上の結果より、次のことが結論づけられ
る。SnCl2Pc蒸着膜における光カー透過光の速い
応答項は、電子応答によるカー信号とポンプ光による褪
色信号のヘテロダイン項である。一方、遅い応答項は、
ポンプ光による褪色信号である。
【0047】等しいポンプ光強度における、同膜厚の石
英ガラスとSnCl2Pc蒸着膜の速い応答項でのカー
信号を比べてみると、SnCl2Pc蒸着膜の速い応答
項の信号は、石英ガラスの信号に比べて約40,000
倍大きい。この信号を三次非線形光学感受率として換算
すると5.4×10~8esuとなる。
【0048】この結果、ポンプ光を制御光とし、透過し
たプローブ光をスイッチ出力とする高感度スイッチ装置
を得ることができる。
【0049】〔実施例 2〕次に、本発明による光スイ
ッチ装置を光ヘテロダイン増幅変調器とした実施例につ
いて図6に基づき説明する。
【0050】図6は、実施例1と同様にポンプ光にはチ
タンサファイアレーザの出力光を再生増幅器で増幅した
光パルス列を用いる。このときの光パルス列は、中心波
長が790nm、繰返し数は1kHz、出力は1W、パ
ルス幅は80〜90fsである。
【0051】この光パルス列は2系統に分けられ、信号
を重畳したポンプ光パルス列54と、プローブ入射光パ
ルス列55とに分離される。そして、これらの内、ま
ず、ポンプ光パルス列54のポンプ光路上には、レンズ
49、SHG結晶50、レンズ51、光強度変調器52
が設けられており、ここで所定の信号により変調されて
から、レンズ53により非線形光学媒体58に入射され
る。
【0052】SHG結晶50は、厚さ1mmのリシウム
ナイオベート結晶であり、入射ポンプ光の波長を1/2
波長に変換して、中心波長が395nmの光パルスを出
射する。本実施例では、ポンプ光(54)をチタンサフ
ァイアレーザとSHG結晶50を用いて発生させたが、
直接、400nm近傍の光を発振するレーザ光を用いて
も構わない。具体的な例としては、InGaN多重量子
井戸構造レーザダイオードがあるがこれに限定されな
い。
【0053】光強度変調器52は、ポッケルスセルの両
端に透過光の偏光面が直交する偏光子を対にして設けた
もので、このポッケルスセルは、8.5kVの高電圧を
印加したとき、透過光の偏光面を90度回転させる性能
を有するものである。従って、ポンプ光は電圧が印加さ
れたとき100%透過し、電圧が印加されていないとき
は0%透過(遮断)となる。
【0054】このポッケルスセルに対する電圧印加の有
無は、電気的なクロック信号で制御するのであるが、こ
のクロック信号は、以下のように励起光から作成され
る。
【0055】まず、励起光パルス列の一部(光強度は4
mW)を分岐させ、次に、これをLNマッハ・ツェンダ
変調器(リシウムナイオベート結晶:LiNbO3)に
入射して強度変調をかけ、その出力をフォトダイオード
に入射して電気信号に変換し、クロック信号を得るので
ある。
【0056】このLNマッハ・ツェンダ変調器として
は、消光比20dB程度、1/2波長電圧2V、挿入損
失(結合損失も含む)6dB程度のものを用い、それに
対する信号重畳用印加電圧には、ファンクションジェネ
レータを用い、立上り/立下り時間が5ns、振幅が2
V、振幅最大及び最小時間領域がそれぞれ0.5msの
方形波を任意に重ねたものを用いた。
【0057】ポンプ光の制御は、次のようにして行われ
る。まず、ポンプ光に信号“1”を重畳(スイッチON
に相当)させる場合には、LNマッハ・ツェンダ変調器
に上記の方形波を加えてポッケルスセルに高電圧を印加
し、ポンプ光を100%透過させる。また、ポンプ光に
信号“0”を重畳(スイッチOFFに相当)させる場合
には、LNマッハ・ツェンダ変調器に方形波を印加せ
ず、ポンプ光を0%透過にする。
【0058】次に、プローブ光(55)の光路上には、
レンズ56と偏光子57が設けてあり、これらを介して
非線形光学媒体58に入射される。そして、この非線形
光学媒体58の後には、偏光子57と偏光面が直交して
対を成す偏光子60が設けてあり、これにより非線形光
学媒体58にポンプ光54が入射されていない状態のと
き、光検出器63に光が到達していないように構成して
ある。
【0059】また、非線形光学媒体58と偏光子60の
間に、波長800nm付近を中心に95%以上の光強度
を透過するスペクトル幅が、50nmのバンドパスフィ
ルタ59が設けてあり、ポンプ光散乱光を除去できる構
成にしてある。また、偏光子60と光検出器63の間に
レンズ61、62が設けてあり、検出信号光65を光検
出器63に入射するように構成してある。
【0060】光検出器63は分光感度波長範囲が400
〜1060nm、ピーク波長が900nm、時間応答が
1ns以下の応答を示すPINシリコンフォトダイオー
ドが用いられており、この光検出器63で得られた信号
を入力帯域が50GHzである高速オシロスコープ64
で検出する。
【0061】次に、ポンプ光(54)とプローブ光(5
5)は、非線形光学媒体58の同一地点に入射するよう
にし、それぞれの光路長を調整することにより、各パル
ス列中の同じ番号((1),(2),(3)……)を付した光
パルスが、非線形光学媒体58中に同時に入射されるよ
うにする。非線形光学媒体58は、実施例1と同様、厚
さ200nmのSnCl2Pc蒸着膜を用いた。プロー
ブ光の波長は395nmであり、図3に示したSnCl
2Pc蒸着膜のB帯の吸収ピーク位置付近に対応する。
【0062】まず、プローブ入射光パルス列55が入射
されている状態で、信号“0”を重畳したポンプ光パル
ス列54を入射し、スイッチOFFに相当する状態にす
る。このとき、非線形光学媒体58には非線形効果が現
れないため、光検出器63で検出される光強度は0レベ
ルである。次に、同じくプローブ光(55)が入射され
ている状態で、信号“1”を重畳したポンプ光(54)
を入射し、スイッチONに相当する状態にする。そうす
ると、今度は、非線形光学媒体58に3次非線形効果が
起こり、この結果、偏光子60を透過する光が現われ、
前記式〔1〕で表される透過光が検出される。
【0063】このとき、ポンプ光(54)により電子
は、図3の差込み図に示したB帯に対応する励起準位S
3に励起されるが、パルス幅以内で、B帯励起準位S3
からQ帯励起準位S1へ熱緩和するため、790nmの
波長であるプローブ光で褪色が起こる。そして、式
〔1〕における通常信号光ILOは、他の項に比して小さ
いので無視でき、結局このときはヘテロダイン増幅光と
褪色光である参照光IRが検出される。
【0064】このときのヘテロダイン増幅光の信号強度
を調べてみると、石英ガラスの信号に比べて、約40,
000倍大きくなり、従って、本実施例によれば高感度
の光ヘテロダイン増幅変調器として動作する、光スイッ
チ装置を得ることができる。
【0065】〔実施例 3〕次に、本発明による光スイ
ッチ装置を光ヘテロダイン増幅方式の時分割ジマルチプ
レクサ(DEMUX)とする実施例を図7に基づき説明
する。図7では、まず中心波長が790nm、繰返し数
が76MHz、出力が1W、パルス幅が90fsのチタ
ンサファイアレーザ光パルス列を2系統に分け、光パル
ス列からなるポンプ光(68)と、同じく光パルス列か
らなるプローブ光(70)とする。
【0066】そして、まずポンプ光68を、図6におけ
る光変調器52と同じ構成の光変調器66に入射し、信
号を重畳させる。但し、この信号を重畳するためのファ
ンクションジェネレータとしては、立ち上がり1ns、
振幅2V、振幅最大及び最小時間領域5nsの方形波を
発生できるものを用いている。
【0067】一方、プローブ光70は、まずキャビティ
ーダンパー69に入射させて繰り返し数を76MHzか
ら1kHzに変化させている。なお、このキャビティー
ダンパーについては、J.Herrmannら著「超短光パル
スレーザー」共立出版(1991年)の第5章「同期励
起レーザ」に記載されている。
【0068】その他に、図7でもレンズ56から超高速
デジタルオシロスコープ64までの構成、プローブ光路
と参照光路の構成も含めて、図6とほぼ同じである。唯
一の相違点は、図6ではポンプ散乱光除去をバンドパス
フィルター59で行ったが、図7では散乱光を空間で除
去するアイリス71を用いた。
【0069】ポンプ光(68)とプローブ光(70)
は、非線形光学媒体58の同一地点に入射されるように
調整され、それぞれの光路長が調整されることにより、
プローブ光のパルス(1)、(2)、及び(3)に、それぞれ
“1”、“0”、及び“1”の信号を重畳したポンプ光
の各パルスが、非線形光学媒体58内に同時に入射され
るようにする。そして、偏光子60を透過したプローブ
光が、プローブ透過光として光検出器63に入射され
て、超高速デジタルオシロスコープ64で検出される。
【0070】図7においても、図6と同じくポンプ光に
信号“1”が重畳されたとき、ヘテロダイン増幅光と参
照光IRが発生し、ポンプ光に信号“0”が重畳された
ときには信号強度は0である。これにより、石英ガラス
の信号に比べて約40,000倍大きくなる。従って、
この実施形態によれば、繰り返し数76MHzの光パル
ス列からなるポンプ光68から、繰り返し数1kHzの
光パルス列からなるプローブ光70を用いて、繰り返し
数1kHzの光パルス列からなる信号光72を取出すよ
うにした、時分割デマルチプレクサの動作を得ることが
できる。
【0071】更に、本発明の実施形態としては次のもの
がある。まず、本発明における3次非線形光学過程と
は、電場の3乗に比例した電気分極により光が発生する
現象を指す。従って、本実施例としては、4光波混合過
程、光誘起複屈折過程、誘導ラマン過程、ブリリュアン
過程、電子ラマン散乱過程、2光子吸収過程等が挙げら
れるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0072】ところで、従来技術で述べたカーシャッタ
配置縮退4光波混合過程とは、4光波混合過程の一形態
である。また、ここで言う3次非線形光学媒体とは、上
記3次非線形光学効果を示す材料である。
【0073】そして、3次非線形光学効果を示す非線形
光学媒体としては、ポリジアセチレン、ポリアセチレ
ン、ポリ−p−フェニレンベンゾビスチアゾール、ポリ
−p−フェニレンベンゾビスチアゾール、ポリ−p−フ
ェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリ−m−フェニレ
ン−5,5'−ビベンツイミダゾール、ポリアセン型ラダ
ーポリマー、ポリメチルフェニルシラン、ポリジ−n−
ヘキシルシラン、ポリジ−n−ヘキシルゲルマン、ポリ
チオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリナフチレン
ビニレン、ポリ−o−置換フェニルアセチレン、β−カ
ロチン、芳香族化合物、シアニン色素、フタロシアニン
化合物、ナフタロシアニン化合物、ニッケルジチオナー
ト錯体、シュードイソシアニン臭素塩J会合体、アント
ラセン、GaAs、ZnSe、CuCl、CuBr、C
dSe、CdTe、CdSSe、CdS、金属微粒子、
GaAs超格子、チタン酸バリウム等が挙げられるが、
特にこれらに限定されるものではない。
【0074】また、上記非線形光学媒体の製法として
は、種々の単結晶育成技術、薄膜形成技術、混合分散化
技術等を用いることができる。
【0075】単結晶育成技術の一例としては昇華法、濃
度勾配溶液法、温度勾配溶液法、ブリッヂマン法、チョ
コラルスキ法、ゾーンメルト法等を挙げることができ
る。
【0076】薄膜形成技術としては、種々のドライプロ
セスによる薄膜形成技術、例えば、真空蒸着法、スパッ
タリング法、ICB(Ion Cluster Beam)法、MB
E(Molecular Beam Epitaxy)法、ALE(Atomic
Layer Epitaxy)法、MLE(Molecular Layer E
pitaxy)法、MO−ALE(Metal Organic AtomicL
ayer Epitaxy)法、MOCVD(Metal Organic Che
mical Vapor Deposition)法等や、種々のウエットプ
ロセスによる薄膜形成術、例えば、スピンコート法、水
面展開法、LB(Langmuir−Blodgett)法、電解重合
法等を用いることができる。
【0077】また、混合分散化技術の例としては混練
法、ガラス析出法、ポリマー析出法等を挙げることがで
きる。
【0078】これら素子化技術の過程で種々の化合物を
共存、ドーピング等により混在させることができる。ま
た、これら素子化技術とは別な素子化技術により作製さ
れた種々の化合物素子と混在、一体化させることも可能
である。
【0079】次に、共存、混在が可能な材料として無機
物質には、例えば、水、ガラス、水晶、ダイアモンド、
二酸化珪素、雲母、大理石、方解石、単結晶シリコン、
非晶質シリコン、GaAs、CdS、KDP、KTP
(KTiOPO4)、ニオブ酸リチウム、臭化カリウ
ム、ロッシェル塩、硫酸銅、フッ化カルシウム、グラフ
ァイト、二酸化錫、チタン酸バリウム、赤血塩、陶磁
器、セラミックス、ベントナイト、セメント、金属また
は合金等が挙げられる。
【0080】同じく有機物質には、例えば、エタノー
ル、メタノール、アセトン、酢酸エチル、ポリカーボネ
ート、ポリスルフォン、ポリアリレート、ポリエステ
ル、ポリアミド、ポリイミド、ポリシロキサン、ポリエ
チレンテレフタート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、
ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリブタジエン、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニデン、石油樹脂、メラミン樹
脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、イソプレンゴム、
エチレンプロピレンゴム、ノルボネン樹脂、シアノアク
リレート樹脂、スチレン樹脂、及びこれらの樹脂の共重
合体、セルロース、澱粉、キチン、寒天、絹糸、綿糸、
ナイロン系、アルブミン、グロブリンその他の蛋白質、
木質、骨粉等が挙げられる。
【0081】さらに、低分子の有機物質としては、ナフ
タレン、アントラセン等の縮合芳香族化合物、染料、顔
料、尿素、酒石酸、光学活性アミノ酸等が挙げられる。
【0082】また、本非線形光学媒体は、その形成前後
に外観、特性の向上、長寿命化、高機能化等のための処
理を行ってもよい。こうした処理としては、熱アニーリ
ング、放射線照射、電子線照射、光照射、電波照射、磁
力線照射、超音波照射等が挙げられるが、特に限定され
ない。非線形光学媒体の作製後そのまま、もしくは適当
なドーパントを添加した塊状、平板状、繊維状、粉末
状、薄膜状に形成して用いることができる。そして、こ
のときの形状において、異種材料、或いは本発明の構造
の異なる他の材料と共存、混在させて用いることができ
る。
【0083】ところで、本発明の実施形態で使用する光
源としては、レーザが望ましい。また、3次非線形光学
過程が光の尖頭出力密度に依存するため、パルスレーザ
が望ましい。
【0084】具体的には、モード同期ネオジムヤグレー
ザ、同期励起色素レーザ、同期励起色素レーザを用いた
インコヒーレント光源、カーレンズモード同期法を用い
たTi:Al23レーザ、Cr+3:LiSrAlF6
ーザ、Cr+3:LiCaAlF6レーザ、Cr+3:Li
SrGaF6レーザ、電流注入法或いは外部変調法によ
るAlGaAs系、GaInAsP系、AlGaAsS
b系、InAsSbP系の半導体レーザ、量子井戸レー
ザ、双安定半導体レーザ、及び分布帰還型レーザ等が挙
げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0085】次に、本発明におけるポンプ光とは、3次
非線形光学媒体の屈折率に異方性を与えることと、併せ
て前記3次非線形光学媒体に吸収係数異方性を与える光
のことであり、また、プローブ光とは、上記非線形光学
媒体に入射し、媒体透過、或いは反射後の偏光状態変化
から、上記媒体の屈折率異方性を測定する光のことであ
る。
【0086】次に、本発明に用いるへテロダイン増幅と
は、ポンプ光とプローブ光による3次非線形光学過程で
発生する信号光が、前記式〔1〕の右辺第2項に示され
るように、非線形光学媒体を透過したプローブ光中、入
射プローブ偏光面に垂直な偏光成分を有する光を参照光
とし、増幅されることを指す。
【0087】また、本発明で用いられている手段、即
ち、ポンプ光及びプローブ光を非線形光学媒体に入射す
る手段、及び信号光を光検出器に入射する手段として
は、ミラーとレンズを用いる手段、石英ファイバー、プ
ラスチックファイバー、複屈折光ファイバー、及び偏波
保存光ファイバーで直接入射する手段、或いは上記光フ
ァイバーとレンズを用いる手段が考えられるが、特にこ
れらに限定されるものではない。
【0088】次に、本発明で用いられている偏光制御手
段とは、非線形光学媒体に入射するポンプ光及びプロー
ブ光の偏光面を制御させる手段を指す。具体例として
は、1/2波長板、ソレイユ・バビネ位相板、ファイバ
形偏波制御素子等とグラン・トムソン偏光プリズム、グ
ラン・レーザ偏光プリズム、ウォラストンプリズム等の
組み合わせが考えられるが、特にこれらに限定されるも
のではない。
【0089】また、本発明で用いられている信号検出手
段とは、ヘテロダイン増幅をしたカーシグナルを検出す
る検出器を指す。本発明では、ヘテロダイン増幅をして
いるため、この検出器が検出感度の高い素子である必要
はないが、高速で光スイッチを行うため、応答時間の速
い検出器が望ましい。具体例としては、PINフォトダ
イオード、アバランシェフォトダイオード、ショットキ
型フォトダイオード、拡散型フォトダイオード、或い
は、光電子増倍管が考えられるが、特に限定されるもの
ではない。
【0090】次に、本発明による光スイッチ装置で構成
した時分割マルチプレクサ(MUX)は、マスタークロ
ックにより(2π/n)だけ位相がずれて互いに重なら
ないように設定されたモード同期パルス列Ii(i=1
〜n)が、各光変調器によりビット信号に変調されて光
ファイバカプラ等の合波器で合流され、1本のパルス列
Iiのn倍の高ビットレートの通信を行うものを指す。
このとき、前記合流先に非線形光学媒体を設け、各光パ
ルス列と同期をとったポンプ光列を入射し、波形形成を
行う。
【0091】また、本発明による光スイッチ装置で構成
した時分割デマルチプレクサ(DEMUX)は、時分割
マルチプレクサ(MUX)等で作られた高繰返し光パル
ス列と、この繰返し数の整数分の一の繰返し数の、低繰
り返し数パルス列の同期を取り、非線形光学媒体の同一
地点に入射して、非線形光学効果より低繰返し数光パル
ス列と等しい繰返し数の信号光列を検出するものを指
す。
【0092】なお、上記のDEMUX、MUXについて
は、神谷武志編「光情報材料」丸善出版(1988年)
の第6章「フォトニックスイッチングと非線形光学材
料」に記載されている。
【0093】
【発明の効果】本発明によれば、高精度のホルダなどが
不要で、簡単な構成のヘテロダイン増幅方式の光スイッ
チ装置を容易に得ることができ、高感度の光スイッチン
グを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光スイッチ装置の動作原理を説明
するための構成図と特性図である。
【図2】本発明において非線形光学媒体として用いた錫
二塩化フタロシアニン分子の化学構造と、蒸着膜中の錫
二塩化フタロシアニン分子の配置を示す模式図である。
【図3】本発明において非線形光学媒体として用いた錫
二塩化フタロシアニン蒸着膜の吸収スペクトル図であ
る。
【図4】カーシャッタ配置縮退4光波混合測定法による
光スイッチング動作の説明図である。
【図5】従来技術によるヘテロダイン増幅カーシャッタ
配置縮退4光波混合法による光スイッチング動作の説明
図である。
【図6】本発明の一実施形態を示す模式図である。
【図7】本発明の他の一実施形態を示す模式図である。
【符号の説明】
1…アルゴンレーザ、2…チタンサファイアレーザ、3
…再生増幅器、4,8,10〜12,14…ミラー、5
…ビームスプリッタ、6…光学可変遅延路、7,18,
21…グランテーラ偏光プリズム、9…オプティカルチ
ョッパ、13…1/2波長板、15…ポンプ光、16…
プローブ光、17,22…レンズ、19…非線形光学媒
体、20…ピンホール、23…分光器、24…光電子増
倍管、25…ロックインアンプ、26…CPU、27…
プローブ光偏光面、28…ポンプ光偏光面、29…錫二
塩化フタロシアニン蒸着膜のカー信号、30…錫二塩化
フタロシアニン蒸着膜のカー信号の速い応答成分、31
…錫二塩化フタロシアニン蒸着膜のカー信号遅い応答成
分、32…錫二塩化フタロシアニン分子の構造式、33
…錫二塩化フタロシアニン分子、34…ガラス基板、3
5…錫二塩化フタロシアニン蒸着膜の吸収スペクトル、
36…錫二塩化フタロシアニン蒸着膜のエネルギー準
位、37…プローブ光、38,41…偏光子、39…ポ
ンプ光、40…非線形光学媒体、42…信号光、43…
直線偏光プローブ光、44…入射ポンプ光偏光面、45
…透過プローブ光偏光面、46…ヘテロダイン信号光、
47…偏光子38の偏光軸、48…偏光子41の偏光
軸、49,51,53,56,61,62,67…レン
ズ、50…SHG結晶、52…光強度変調器、54…ポ
ンプ光パルス列、55…プローブ入射光パルス列、5
7,60…偏光子、58…非線形光学媒体、59…バン
ドパスフィルタ、63…光検出器、64…高速オシロス
コープ、65…検出信号列、66…変調器、68…ポン
プ入射光パルス列、69…キャビティダンパ、70…プ
ローブ光パルス列、71…アイリス、72…検出信号
列。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3次非線形光学効果を示す非線形光学媒
    体を用い、該非線形光学媒体内におけるポンプ光とプロ
    ーブ光の3次非線形光学過程で発生する信号光と参照光
    により、上記信号光のヘテロダイン増幅を行う方式の光
    スイッチ装置において、 前記非線形光学媒体が、前記ポンプ光より吸収係数異方
    性を付与された媒体で構成されていることを特徴とする
    光スイッチ装置。
  2. 【請求項2】 前記非線形光学媒体が、フタロシアニン
    化合物で構成されている請求項1に記載の光スイッチ装
    置。
  3. 【請求項3】 前記非線形光学媒体の吸収スペクトルの
    B帯を励起する請求項2に記載の光スイッチ装置。
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