JPH1123536A - 金属材料の疲労診断方法 - Google Patents

金属材料の疲労診断方法

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JPH1123536A
JPH1123536A JP18147797A JP18147797A JPH1123536A JP H1123536 A JPH1123536 A JP H1123536A JP 18147797 A JP18147797 A JP 18147797A JP 18147797 A JP18147797 A JP 18147797A JP H1123536 A JPH1123536 A JP H1123536A
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JP
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metal material
sample
fatigue
state
residual magnetization
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JP18147797A
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Satoshi Fujita
智 藤田
Itsuro Tamura
逸朗 田村
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Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 測定すべき金属材料を破壊することなくその
疲労劣化状態を診断することができる金属材料の疲労診
断方法を提供すること。 【解決手段】 測定すべき金属材料をキューリ点以下の
状態に保って強磁性状態に保持し、次いで、強磁性状態
に保持した金属材料を磁化し、しかる後磁化した金属材
料の残留磁化を測定して疲労劣化度を診断するする金属
材料の疲労診断方法。金属材料の疲労劣化状態が進むに
従ってその磁化特性が微少に変化し、帯磁したときにそ
の残留磁化の大きさが小さくなり、この残留磁化の変化
状態を調べることによって疲労劣化状態を診断すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属材料を非破壊
でもってその劣化状態を診断する疲労診断方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】金属材料の疲労診断方法のなかで電磁気
的手法を用いるものとして、たとえば磁粉探傷法、電磁
誘導法等が存在する。
【0003】磁粉探傷法は、強磁性体を磁化するときに
欠陥などの磁気的に不連続な部分が存在していると漏れ
磁束が生じることに着目したものである。この磁粉探傷
法においては、強磁性体である金属材料を着磁し、しか
る後この金属材料に強磁性体粉末を施す。このように磁
性粉末を施すと、金属材料の磁気的に不連続な部分に生
じる漏れ磁束によって、磁気的に不連続な部分に強磁性
粉末が吸着され、磁気的に吸着された磁性粉末を検知す
ることによって、磁気的に不連続な部分、すなわちクラ
ックを検出することができる。
【0004】また、電磁誘導法は、金属材料(導体)に
交流磁界を印加したときに欠陥などの電気的に不連続な
部分が存在していると発生する渦電流が乱れることに着
目したものである。この電磁誘導法においては、金属材
料に交流電流を印加し、この印加状態においてその表面
に生じる渦電流を検出する。このように渦電流を検出す
ると、金属材料に電気的に不連続な部分が存在している
と渦電流が乱れ、この渦電流の乱れを検知することによ
って、電気的に不連続な部分、すなわちクラックを検出
することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来公
知の磁粉探傷法および電磁誘導法には、次のとおりの欠
点が存在する。すなわち、公知の磁粉探傷法および電磁
誘導法では、検出する対象が金属組織の不連続な欠陥、
換言すると微少なクラックであり、それ故に、クラック
が発生する前の疲労、劣化による金属組織による変化を
検知することができない。また、磁粉探傷法において
は、クラックの発生を検査できる対象が室温で強磁性を
示す材料に限定され、室温で常磁性を示す材料について
は検査することができない。
【0006】一方、金属材料の疲労劣化状態を診断する
方法として、走査電子顕微鏡を用いた方法も知られてい
る。走査電子顕微鏡を用いた場合には、金属材料の組織
状態の変化を見ることができるので、微少なクラックが
発生する前においても疲労劣化状態を診断することがで
きる。しかし、走査電子顕微鏡によって検査する際に
は、検査すべき金属材料を破壊して試料片を作成しなけ
ればならず、それ故に、検査すべきものを破壊してしま
うという問題がある。
【0007】本発明の目的は、測定すべき金属材料を破
壊することなくその疲労劣化状態を診断することができ
る金属材料の疲労診断方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、測定すべ
き金属材料を強磁性状態に保持した状態において金属材
料を磁化し、磁化した金属材料の残留磁化の変化が疲労
劣化状態と一定の関連を有することを見出した。すなわ
ち、クラックが発生しない状態、換言すると疲労劣化状
態が大きく進行していない状態においても、金属材料の
疲労劣化状態が進むに従ってその残留磁化の大きさが小
さくなり、この残留磁化の変化状態を調べることによっ
て疲労劣化状態を診断することができることを見出し
た。
【0009】本発明は、測定すべき金属材料をキューリ
点以下の状態に保って強磁性状態に保持し、次いで、強
磁性状態に保持した金属材料を磁化し、しかる後磁化し
た金属材料の残留磁化を測定して疲労劣化度を診断する
金属材料の疲労診断方法である。
【0010】本発明に従えば、金属材料を強磁性状態に
保持した状態にて磁化し、磁化した後の残留磁化を測定
することによってその材料の疲労劣化状態を非破壊でも
って診断することができる。金属材料の残留磁化とその
疲労劣化の程度との間には一定の関係、すなわち疲労劣
化状態が進行するに従って残留磁化が低下する関係があ
り、したがってこの関係を利用することによって疲労劣
化状態を非破壊で診断することができる。
【0011】また本発明は、測定すべき金属材料を冷却
してキューリ点以下に保って強磁性状態に保持すること
を特徴とする。
【0012】本発明に従えば、金属材料を冷却すること
によって、この冷却状態において常磁性材料も強磁性状
態に保持することができ、したがって常磁性材料も非破
壊でもって疲労劣化状態を診断することができる。
【0013】また本発明は、金属材料を磁化する前に、
この金属材料に交流磁界を付与して消磁を行うことを特
徴とする。
【0014】本発明に従えば、金属材料を磁化する前に
消磁を行うことによって、磁化する前に金属材料に残留
している磁化を確実に消失することができ、疲労劣化状
態を正確に診断することができる。
【0015】さらに、本発明は、測定すべき金属材料が
強磁性材料または常磁性材料であることを特徴とする。
【0016】本発明に従えば、強磁性材料または常磁性
材料における疲労劣化状態を非破壊で診断することがで
きる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下添付図面を参照して、さらに
詳細に説明する。図1は、本発明に従う金属材料の疲労
診断方法を実施するための各工程を簡略的に示す。図1
(a)は消磁工程であり、図1(b)は帯磁工程であ
り、また図1(c)は測定診断工程を示している。
【0018】図1(a)における消磁工程においては、
皿状の容器2に測定すべき試料4が収容される。容器2
は、試料を磁化させた際にも着磁することがないよう
に、合成樹脂材料から形成される。消磁工程では、電磁
コイル6が利用される。なお、この実施形態では、電磁
コイル6およびそれに関連するものは試料4の消磁およ
び帯磁に利用される。すなわち、電磁コイル6の一端部
6aは交流電源8に電気的に接続され、その他端部6b
は第1のスイッチ10を介して交流電源8に電気的に接
続されている。また、交流電源8および第1のスイッチ
10に並列に、相互に直列に接続された直流電源および
第2のスイッチ14が配設され、直流電源12が電磁コ
イル6の一端部6aに電気的に接続され、第2のスイッ
チ14が電磁コイル6の他端部6bに電気的に接続され
ている。このように電気的に接続されているので、第1
のスイッチ10を閉(ON)状態にすると、交流電源8
からの交流電流が電磁コイル6に供給される。一方、第
2のスイッチ14を閉(ON)にすると、直流電源12
からの直流電流が電磁コイル6に供給される。
【0019】試料4が収容された容器2は、図1に示す
ように、上述した電磁コイル6の内部に位置付けられ
る。容器2の大きさは、試料4の大きさよりも幾分大き
い程度のものがよく、この容器2が大きくなると電磁コ
イル6も大きくしなければならず、したがって消磁工
程、後述する帯磁工程における電圧値も大きくする必要
がある。
【0020】消磁工程では、第1のスイッチ10を閉状
態にして電磁コイル6に交流電流を供給し、試料4に交
流磁界を付与してその消磁を行う。交流電源8として
は、たとえば、一般の商用交流電源(100V、60H
z)を用いることができ、電磁コイル6に供給する交流
電流を除々に減少させていくことによって試料4の消磁
を確実に行うことができる。なお、この消磁工程(電磁
コイル6に交流電流を供給する時間)は、30〜60秒
程度行うことによって試料4に残留している磁化を実質
上完全に消失させることができる。なお、試料4の残留
磁化が実質上存在しない場合には、この消磁工程を省略
することもできる。
【0021】この実施形態では、図1(b)で示す帯磁
工程の前に、冷却工程が遂行される。冷却工程において
は、電磁コイル6から、試料4が収容された容器2を取
出し、取出した容器2内に冷却媒体としての液体窒素を
注入し、しかる後容器2に蓋体16を装着する。蓋体1
6を装着することによって、容器2内の液体窒素の漏れ
が防止され、容器2の内部、換言すると試料4は液体窒
素によってキューリ点以下に、換言すると強磁性状態に
保持される。
【0022】試料8が常磁性材料から形成されている場
合には、これらの材料は常温では強磁性を示さないな
で、冷却してキューリ点以下に保持し、このように保持
することによって強磁性を示すようになる。なお、液体
窒素によってキューリ点以下の保持することができない
ときには、さらに冷却効果の大きい液体ヘリウムを冷却
媒体として用いればよい。なお、試料8が強磁性材料か
ら形成されている場合には、常温でもって強磁性を示す
ので、試料8を冷却する必要はなく、したがってこの冷
却工程を省略することができる。
【0023】帯磁工程においては、容器2および蓋体1
6内に収容された状態(換言すると冷却された状態)に
ある試料4を再び電磁コイル6内に位置付け、かかる状
態にて第2のスイッチ14を閉状態にして直流電源12
からの直流電流を電磁コイル6に短い時間供給し、試料
4を帯磁する。この帯磁工程では、たとえば10V,1
000mAの電流を10秒程度供給すればよい。このよ
うに直流電流を供給することによって、直流電流の供給
停止後、この試料4に残留磁化が残り、この実施形態で
は試料4の図1における右部がN極に、またその第1図
における左部がS極に帯磁される。なお、このように試
料4を磁化するためには、試料4を磁気飽和する程度に
磁化させるのがよい。
【0024】測定診断工程では、磁気センサ18が利用
される。容器2及び蓋体16内に収容された状態(換言
すると冷却された状態)にある試料4は、電磁コイル6
内から取出され、磁気センサ18の検出域に位置付けら
れる。磁気センサ20からの検出信号は測定処理装置2
0によって処理される。磁気センサ20としては、微弱
な磁界を検出するための超電導量子干渉素子(SQUI
Dと略称されている)を好都合に用いることができる
が、その他の検出素子でもよい。磁気センサ18は、図
1(c)において矢印22で示す左右方向、換言すると
容器2に収容された試料4の長手方向に移動自在に配設
される。なお、磁気センサ18を移動することに代え
て、試料4が載置されるテーブル24を移動させるよう
にしてもよい。
【0025】測定診断工程においては、磁気センサ18
を矢印22で示す方向に、図1(c)において左から右
に向けて移動させて、試料4の残留磁化を測定する。磁
気センサ18を上述する如く移動させると、その出力信
号は図3に示すとおりとなり、その残留磁化状態は、図
1の左から右に向けてN極からS極に変化するサイン曲
線となる。この実施形態では、磁気センサ18からの出
力信号は、測定処理装置20に送給され、測定処理装置
20にて残留磁化の最大値が読出され、この最大値に基
づいて試料8の疲労劣化状態を測定することができる。
【0026】金属材料においては、疲労劣化に伴って金
属組織が変化し、疲労劣化の初期においては、転位現象
やすべり現象が起こり、これらの現象の後破断に至る。
金属材料のこのような金属組織の変化と、その金属材料
の残留磁化特性との間には、図4に示すとおりの関係が
知られている。すなわち、疲労劣化の初期においてはそ
の残留磁化は大きく、そして疲労劣化が進むに従って残
留磁化の大きさが小さくなり、残留磁化の大きさを測定
することによって、図4の残留磁化特性の変化を示すグ
ラフから疲労劣化の進行状態を診断することができる。
このような残留磁化特性の変化を利用すると、容易に理
解される如く、疲労劣化の初期状態においても破壊する
ことなくその進行状況を診断することができる。このよ
うな診断方法を機械、装置等の部品の診断に適用した場
合には、疲労劣化が進んでいないと診断されたときに
は、その部品を再度使用することができ、部品等の診断
に極めて有効に適用することができる。
【0027】測定すべき資料4としては、たとえば、図
2で示すとおりのものを用いることができる。図2にお
いて、試料4はプレート状の部材から構成され、その中
央部26の幅が両端部28よりも小さくなっている。こ
の実施形態では、測定すべき金属材料でもって試料4を
形成し、この試料4の疲労劣化状態を診断しているが、
試料として装置、機械等における測定すべき部品でもよ
い。また、診断可能な金属材料は、たとえばマンガン−
アルミニウム(MnAl)、マンガン−金(MnAu
4 )およびクロム−白金(CrPt)等の強磁性材料な
らびにニッケル−アルミニウム(Ni3Al)、バナジ
ウム−金(VAu4)、ネオジウム−窒素(NdN)、
ガドリニウム−窒素(GdN)、鉄−窒素(Fe2
0.96)、ニオブ−コバルト(Nb0.765Co2.235)、チ
タン−コバルト(Ti0.87Co2.13)、ガドリニウム−
ニッケル(GdNi2 )、ビスマス−マンガン−酸素
(BiMnO2)およびストロンチウム−ラドン−酸素
(SrRnO3)等の常磁性材料である。なお、本明細
書における強磁性材料とは、常磁性キューリ点が室温
(27℃)より高く、したがって室温(27℃)にて強
磁性を示す材料をいい、常磁性材料とは常磁性キューリ
点が室温(27℃)よりも低く、したがって室温(27
℃)にて常磁性を示す材料をいう。
【0028】なお、上述した実施形態では、消磁工程は
室温にて行っているが、消磁工程の前に冷却工程を遂行
して冷却状態にて消磁工程を行うようにしてもよい。
【0029】実施例 試料の疲労劣化状況を診断するために、次のとおりの実
験を行った。試料として、ガスタービンブレード用材料
として用いられるニッケル基合金(ニッケル−アルミニ
ウム(Ni3Al)の金属間化合物(γ’相)を含むも
の)から形成されたものを4個用いた。試料の各々は、
クリープ試験に用いられるクリープ試験片と同じ形状の
ものであり、図2に示すとおりの形状を有し、その大き
さは、それぞれ、長さ(長手方向の長さ)40mm、両
端部の幅5mm、中間部の幅2mm、厚さ1mmであっ
た。これら4個の試料について、疲労劣化状態と残留磁
化との関係を調べるために、それらの1個の試料1つい
ては荷重を全く付与せず、残りの3つの試料、すなわち
試料2〜4については、それぞれ、約1000℃で12
kg/mm2の負荷を100時間、200時間および3
00時間付与した。そして、上述した荷重を付与した後
の試料1〜4について、次のとおりの同一条件でもって
残留磁化を測定した。
【0030】試料1(2〜4)の残留磁化を測定するた
めに、まず、試料1(2〜4)を収容するための容器に
測定すべき試料1(2〜4)を入れたた後、電磁コイル
に交流電流を流して試料1(2〜4)を消磁した。消磁
の際には、電磁コイルに100V、60Hzの商用交流
を30秒間流し、この交流電流を供給する間、その電流
値を除々に小さくして30秒後に零(ゼロ)になるよう
にした。
【0031】次に、試料1(2〜4)を液体窒素を用い
て冷却した。ニッケル基合金は常温では常磁性を示し、
そのキューリ点が絶対温度100度(100K)付近で
あるので、液体窒素によって試料1(2〜4)を絶対温
度77度(77K)の冷却状態に維持し、強磁性を示す
状態に保持した。
【0032】次いで、電磁コイルに直流電流を10秒間
供給して試料1(2〜4)を帯磁した。この帯磁の際に
は、試料1(2〜4)に20ガウスの磁界を付与して帯
磁後の残留磁化を磁気センサを用いて測定した。磁気セ
ンサとして超電導量子干渉素子(SQUID)を用い
た。そして、加える磁界の大きさと試料1(2〜4)の
残留磁化との関係を調べるために、20ガウス以外に4
0、80、100、150、200、250および30
0ガウスの磁界を付与したときの残留磁化をも測定し
た。なお、各試料1〜4の各測定(20、40、80、
100、150、200、250および300ガウスの
測定)毎に、試料の消磁、冷却、帯磁および測定診断を
行った。
【0033】各試料1〜4の各印加磁界における残留磁
化の測定結果は、図5に示すとおりであった。すなわ
ち、負荷を付与しなかった試料1の測定結果は、●印を
結ぶ実線Aで示すとおりであり、帯磁工程において2
0、40、80、100、150、200、250およ
び300ガウスの磁界を付与しても残留磁化はほとんど
変化なく、ほぼ零(ゼロ)であった。これに対して12
kg/mm2 の負荷を100時間付与した試料2の測定
結果は、X印を結ぶ実線Bで示すとおりであり、帯磁工
程において20、40、80、100、150、20
0、250および300ガウスの磁界を付与すると、加
えた磁界の大きさが大きくなるに従って残留磁化も大き
くなり、300ガウスを印加したときには残留磁化に対
応する磁気センサの出力は約2200PT(ピコテス
ラ)であった。また、12kg/mm2の負荷を200
時間付与した試料3の測定結果は、△印を結ぶ破線Cで
示すとおりであり、帯磁工程において20、40、8
0、100、150、200、250および300ガウ
スの磁界を付与すると、加えた磁界の大きさが大きくな
るに従って残留磁化も大きくなり、300ガウスを印加
したときには残留磁化に対応する磁気センサの出力は約
1500PTであった。この試料3の残留磁化の大きさ
は、実線Bと破線Cとを比較することによって容易に理
解される如く、試料2の残留磁化の2/3〜3/4の大
きさであった。さらに、12kg/mm2の負荷を30
0時間付与した試料4の測定結果は、□印を結ぶ一点鎖
線Dで示すとおりであり、帯磁工程において20、4
0、80、100、150、200、250および30
0ガウスの磁界を付与すると、加えた磁界の大きさが大
きくなるに従って残留磁化も大きくなり、300ガウス
を印加したときには残留磁化に対応する磁気センサの出
力は約1200PTであった。この試料4の残留磁化の
大きさは、実線Bと一点鎖線Dとを比較することによっ
て容易に理解される如く、試料2の残留磁化の約2/5
〜3/5の大きさであった。
【0034】上述した測定結果を示す図5から理解され
る通り、荷重の負荷時間、換言すると金属材料の疲労劣
化の進行と、その金属材料を帯磁したときの残留磁化と
の間に明らかな相関関係が存在し、荷重の負荷時間が長
くなる、換言すると試料の疲労劣化が進行するとその試
料の帯磁後の残留磁化が小さくなる。これは、疲労劣化
が進行すると、転移、すべりが現れて金属組織が変化
し、この金属組織の変化によって金属材料の磁気特性が
微少に変化することによるものと考えられる。そして、
この磁気特性の微少な変化に着目することによって、疲
労劣化の初期においても非破壊でもって金属材料の疲労
劣化状態を診断することが可能となる。
【0035】比較例 比較のために、次のとおりの比較実験を行った。試料と
して実施例と同じものを4個用いた。これら4個の試料
について、疲労劣化状態と残留磁化との関係を調べるた
めに、実施例と同様にして、1個の試料5ついては荷重
を全く付与せず、残りの3つの試料、すなわち試料6〜
8については、それぞれ、約1000℃で12kg/m
2 の負荷を100時間、200時間および300時間
付与した。そして、上述した荷重を付与した後の試料5
〜8について、冷却工程と帯磁工程における250およ
び300ガウスによる帯磁とを除いて実施例と同様にし
て各試料5〜8の残留磁化を測定した。すなわち、各試
料5(6〜8)を常温に保持した状態で電磁コイルに交
流電流を流して消磁し、次に、電磁コイルに直流電流を
供給して帯磁し、その後磁気センサを用いて試料5(6
〜8)の残留磁化を測定した。帯磁の際に各試料5〜8
に加えた磁界の大きさは、20、40、80、100、
150および200ガウスであった。
【0036】この比較例における各試料5〜8の各印加
磁界における残留磁化の測定結果は、図6に示すとおり
であった。すなわち、負荷を付与しなかった試料5の測
定結果は、●印を結ぶ実線Aで示すとおりであり、12
kg/mm2 の負荷を100時間付与した試料6の測定
結果は、X印を結ぶ実線Bで示すとおりであり、12k
g/mm2 の負荷を200時間付与した試料7の測定結
果は、△印を結ぶ破線Cで示すとおりであり、また12
kg/mm2 の負荷を300時間付与した試料8の測定
結果は、□印を結ぶ一点鎖線Dで示すとおりであった。
これらの測定結果を示す図6から理解されるとおり、試
料5〜8をキューリ点以上の常温に保持する、換言する
と常磁性状態に保持した場合には、金属材料の疲労劣化
の進行の程度と試料の残留磁化との間に相関関係を見出
すことはできず、また残留磁化に対応する磁気センサの
出力も小さかった。
【0037】
【発明の効果】本発明の請求項1の疲労診断方法によれ
ば、金属材料を強磁性状態に保持した状態にて磁化し、
磁化した後の残留磁化を測定することによってその材料
の疲労劣化状態を非破壊でもって診断することができ
る。金属材料の残留磁化とその疲労劣化の程度との間に
は一定の関係、すなわち疲労劣化状態が進行するに従っ
て残留磁化が低下する関係があり、したがってこの関係
を利用することによって疲労劣化状態を非破壊で診断す
ることができる。
【0038】また本発明の請求項2の疲労診断方法によ
れば、金属材料を冷却することによって、この冷却状態
において常磁性材料も強磁性状態に保持することがで
き、したがって常磁性材料も非破壊でもって疲労劣化状
態を診断することができる。
【0039】また本発明の請求項3の疲労診断方法によ
れば、金属材料を磁化する前に消磁を行うことによっ
て、磁化する前に金属材料に残留している磁化を確実に
消失することができ、疲労劣化状態を正確に診断するこ
とができる。
【0040】さらに本発明の請求項4の疲労診断方法に
よれば、強磁性材料および常磁性材料における疲労劣化
状態を非破壊で診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜(c)は、それぞれ、本発明に従
う疲労診断方法の各工程を説明するための簡略図であ
る。
【図2】図1の疲労診断装置によって診断される試料を
示す平面図である。
【図3】図1の疲労診断装置の磁気センサを移動させた
ときの測定位置と磁界強さとの関係を示す図である。
【図4】金属材料における負荷を作用させた時間とその
ときの残留磁化との関係(残留磁化特性の変化)を示す
図である。
【図5】実施例における各試料と残留磁化との関係を示
す図である。
【図6】比較例における各試料と残留磁化との関係を示
す図である。
【符号の説明】
2 容器 4 試料 6 電磁コイル 8 交流電源 12 直流電源 18 磁気センサ 20 測定処理装置

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定すべき金属材料をキューリ点以下の
    状態に保って強磁性状態に保持し、次いで、強磁性状態
    に保持した金属材料を磁化し、しかる後磁化した金属材
    料の残留磁化を測定して疲労劣化度を診断する金属材料
    の疲労診断方法。
  2. 【請求項2】 測定すべき金属材料を冷却してキューリ
    点以下に保って強磁性状態に保持することを特徴とする
    請求項1記載の金属材料の疲労診断方法。
  3. 【請求項3】 金属材料を磁化する前に、この金属材料
    に交流磁界を付与して消磁を行うことを特徴とする請求
    項1または2記載の金属材料の疲労診断方法。
  4. 【請求項4】 測定すべき金属材料が強磁性材料または
    常磁性材料であることを特徴とする請求項1記載の金属
    材料の疲労診断方法。
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