JPH11234753A - 移動通信システムおよび移動通信システムに適用される移動通信装置 - Google Patents

移動通信システムおよび移動通信システムに適用される移動通信装置

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JPH11234753A
JPH11234753A JP10032951A JP3295198A JPH11234753A JP H11234753 A JPH11234753 A JP H11234753A JP 10032951 A JP10032951 A JP 10032951A JP 3295198 A JP3295198 A JP 3295198A JP H11234753 A JPH11234753 A JP H11234753A
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JP
Japan
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mobile communication
state
communication systems
communication system
conflict
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JP10032951A
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Inventor
Atsushi Kamoki
厚志 鴨木
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 異なる通信システムの多重待ち受けを実現で
きるようにすることを課題とする。 【解決手段】 多重待ち受け状態では、通信システム
1,2間での状態遷移のパターンに従って通信システム
間での競合の発生を検出し、その競合の発生が検出され
たときの状態遷移のパターンに応じてあらかじめ決めら
れた優先順位に従って通信システム1を優先するなどし
て競合解消を実行する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、移動機の間欠受
信について簡潔かつ効率的な多重待ち受けを実現する移
動通信システムおよび移動通信システムに適用される移
動通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】まず、有限オートマンによる多重待ち受
け制御方式について説明する。この有限オートマンによ
るモデルは、移動機の受信状態遷移図を状態遷移表にモ
デル化し、各待ち状態を行とし、発生イベントを列と
し、処理手続きを行列要素とする状態遷移行列により表
される。このモデル化による制御エンジンは、原理的に
競合状態を表現することができないため、複数の動作状
態を同時に表現する用途には使用できなかった。しかし
ながら、このような問題があってもモデル化が容易なた
め上記モデルは使用されている。
【0003】従来方式による状態遷移のモデル化の様子
を図16および図17を用いて説明する。図16はネッ
トワークを想定した場合の一状態遷移例を示す図であ
り、図17は図16の接続状態をマトリクスで表現した
図である。図16には、A,B,CおよびDの4つ状態
をもつシステムの一例が示されている。ここでは、初期
状態をAとする。このシステムにおいて発生するイベン
トは、図16に示したように、“1”,“2”,
“3”,“4”,“5”および“6”の6つである。こ
の状態遷移図のモデル化は、有限オートマトンによるも
のなので、実行中の状態は一つのみである。
【0004】このため、原理的に競合状態を表現するこ
とは不可能となり、実行中の状態は、A,B,C,Dの
うちのいずれか一つのみとなる。図17において、遷移
元の状態Aは遷移先となる状態B,Cへ接続でき、遷移
元の状態Bは遷移先となる状態C,Dへ接続できる。接
続可能な遷移先は“1”で表され、接続不可能な遷移先
は“0”で表される。
【0005】また、各状態A,B,C,Dにおいて、イ
ベントが発生したときの処理を表現したものが図18に
示した状態遷移表である。この状態遷移表は、列方向を
発生イベント1,2,3,4で表し、行方向を状態A,
B,C,Dで表している。また、遷移先となる状態の右
に付加した情報(,,,,,)は、遷移先
での処理を表している。
【0006】例えば、状態Aでイベント1が発生した場
合には、処理が実行され、状態はAからBへ移行す
る。同様に、状態Aでイベント2が発生した場合には、
処理が実行され、状態はAからCへ移行する。その他
のケースも同様に処理の実行および状態遷移が行われ
る。
【0007】上述した有限オートマトンによる状態遷移
図のモデル化では、競合の発生する移動通信システムの
多重待ち受け制御方式の制御を解析的に実行することは
できない。しかし、有限オートマトンは扱いが簡単なこ
とから、ヒューリスティックな方法で競合問題回避を実
現することがあった。
【0008】すなわち、状態遷移表を待ち受けの多重度
の数だけ用意して、複数の状態遷移表間の整合性確保お
よび競合発生監視、競合解消を管理する管理プログラム
を使って多重待ち受けを実現していた。この方法による
多重待ち受け方式では、システム毎に競合回避の方法を
分析し記述する必要がある。
【0009】続いて、有限オートマトンに関し、この制
御の流れを図19〜図22を用いて説明する。図19は
従来の動作を説明するフローチャートである。ステップ
S31において、H/W(ハードウェア)割り込み等の
イベントが発生したら、イベントを読み取り記録する。
続くステップS32において、そのイベントに対応する
処理が現在の移動機の動作状態において動作可能かどう
か、競合状態かどうか調べる。移動機の資源(受信機な
ど)が他の通信システムによって使用中のとき、その資
源の使用要求が発生した場合、競合状態となる。発生が
なければ使用可能である。図21は、図19の状態遷移
図の一例を示したものである。3つの状態遷移図
(a),(b),(c)によって構成され、状態Dにお
いて(a),(b),(c)3つの状態が競合する例で
ある。状態Dを実行中の状態遷移図が1つ以上になるよ
うに、競合解消処理を行う。
【0010】上述した競合状態の検出は、図20のよう
なマトリクスを使って行う。このマトリクスは、一例と
して、独立かつ相互に非同期となる2つの通信システム
1および2間の状態の対応関係を示している。例えば、
通信システム1が状態Dへの状態遷移が発生したとき、
通信システム2で状態Dが発生した場合、競合の状態で
あれば、マトリクス上に記録されている優先システムの
番号(例えば2)に従って競合状態を脱出する。
【0011】上述のような競合状態が発生していれば、
競合状態を解消するための発生イベントの変換処理が実
行される。この変換処理が適切に行われない場合には、
システム上、処理がまったく進まない状態(デッドロッ
ク)となる。発生イベントの変換処理としては、状態遷
移図の実行を保留する遅延処理、発生イベントを無視す
る無効化処理、発生イベントに対する異なるシステム間
の処理を一体化する統合化処理などである。
【0012】また、競合発生がない状態では、発生イベ
ントに対応する遷移状態表の処理が実行される。すなわ
ち、待ち受けシステムが判断され(ステップS33)、
その判断結果に応じて図21(a),(b),(c)に
それぞれ示した状態遷移図1,2,3のいずれか一つで
処理が実行される(ステップS34,ステップS35ま
たはステップS36)。
【0013】ここで、具体的な移動機の構成について説
明する。図22は従来の通信システムに適用される移動
機の内部構成を示すブロック図である。同図において、
21は電波を送受信するアンテナ、22は無線の送受信
系を切り換える切換部、23はアンテナ21を通じて無
線送信するための無線送信部、24はアンテナ21を通
じて無線受信するための無線受信部、25は送受信に際
して周波数制御を行うためのシンセサイザ、26は送受
信を制御するための制御部、27はTDMA(時分割多
元接続)処理を行うTDMA処理部、28は送話・受話
のための音声処理を行う音声処理部、29は音声処理部
28で音声処理された受話としての音声信号に基づいて
音声を出力するスピーカ、そして、30は送話のための
音声を入力して電気信号として音声処理部28へ出力す
るマイクである。
【0014】以上の構成を備えた移動機を適用した通信
システムの間欠受信について説明する。通信システム1
と通信システム2の各同期タイミングは移動機において
図22に示した制御部26によって記憶される。制御部
26にに記憶されたタイミングによって無線送信部23
および無線受信部24の周波数がシンセサイザ25によ
り切り替えられる。例えば、通信システム1と2の待ち
受け優先順位は通信システム1の方が高いものとする。
【0015】通信システム1と通信システム2の2つの
動作タイミングは、図23に示したように、非同期とな
るので、待ち受けタイミングが競合したり、待ち受けタ
イミングや発呼着呼が競合(衝突)したりする。待ち受
けタイミングが競合した場合には、通信システム1を優
先して、通信システム2の受信が止められる。通信シス
テム2の発信が行われた場合、通信システム1の受信が
止められる。
【0016】つぎに、ペトリネットによる多重待ち受け
制御方式について説明する。このペトリネットによるモ
デル化は、前述の有限オートマトンによるモデル化の欠
点である競合状態の検出を可能としたものである。しか
し、ペトリネットによる方式はモデル化自体が難しく、
また、ペトリネットによるモデル化では、競合を検出す
ることは可能であるが、その競合を解消するための一般
的な手段はないため、実際の移動通信端末において使用
されることは少なかった。
【0017】図24にペトリネットによる制御方式の概
要を示す。ペトリネットが前述の有限オートマトンと異
なるのは、トランジェント(条件判断部)が存在する点
である。有限オートマトンは、状態(プレース)と状態
(プレース)とが直接に矢印(アーク)で接続される
が、ペトリネットの場合、図24に示したように、トラ
ンジェントを介して接続する。トランジェント動作の実
現がペトリネット記述の中心となる。
【0018】続いて、ペトリネットによるモデル化の方
法について図24および図25を用いて説明する。図2
5はペトリネットの動作(トランジェントの動作)の様
子を示している。図24において、まず、トランジェン
トは、システムの動作状態を監視している(図25中の
T2,T3)。
【0019】そして、プレース動作が開始可能になった
ことが検出されると、つぎのプレース位置にトークンが
移動される。トークン(図中、●部分)がプレースaか
らプレースb,cに一つずつ移動する。このようにし
て、トークンが移動すると、プレースb,cのプレース
動作が開始される。プレースb,cの動作が両方とも終
了すると、終了したという事象がペトリネットに報告さ
れる。そして、トークンが停止して、システムが停止す
る。
【0020】続いて、ペトリネットの動作について図2
6を用いて説明する。図26(a)は、図25に示した
ネットワークの接続状態をマトリクスで表現した図であ
る。このマトリクスでは、行にプレース、列にトランジ
ェントをとっている。ペトリネットの実行状態は、プレ
ースに存在するトークン数を要素とする1次元配列で表
される。
【0021】この1次元配列を「マーキング」と呼ぶ
(図26(b)参照)。ペトリネットの動作状態の遷移
は、図26(a)の接続配列と、同図(b)のマーキン
グの代数的加算(配列要素の加算)によって分析するこ
とができる。その分析方法を同図(c)に示す。
【0022】図26(c)において、初期状態は、状態
1である。この状態1においては、プレースaにトーク
ンが2つあるため、プレースa動作が終了時、トランジ
ェント2とトランジェント3は同時に動作可能が検出さ
れる。これをトランジェントの「発火」と呼ぶ。その結
果、図26(c)の<第1ステップ>のような動作、す
なわち、配列要素の加算を行って新たな状態2へと遷移
する<第2ステップ>の動作も同様の検出が行われる。
【0023】ここで、システム動作の解析について、前
述した図25において、状態1(初期状態)のプレース
aのトークンの数が1だったすると、トランジェント2
(T2)とトランジェント3(T3)とは、同時発火す
ることはできない。すなわち、図26(c)の<第1ス
テップ>の式が成立せず、どちらか一方のみ起動する
「競合」の状態が発生する。
【0024】ペトリネットでは、発火の可否は、トラン
ジェントとマーキングとの加算を行い、新マーキングの
要素の正負によって判定することができる。マーキング
の値は、必ず正値でなければならないので、負値の場合
は実現不可能として除外できる。ペトリネットでは、競
合の有無は、発火可能なトランジェントの同時実現の可
否によって検証できる。一方のトランジェントの発火に
よって、もう一方のトランジェントの発火条件が不成立
となるような場合は、競合となる。競合回避は、一定の
決まった方式(理論)があるわけではない。発火の状態
に優先順位付けをすることによって発火を抑制すること
に競合回避を達成した例がある。
【0025】システムの動作においては、すべてのトラ
ンジェントが発火状態に至らない場合も発生する。これ
には、2つのケースがある。すなわち、トークンが消滅
してしまう場合と、資源共有問題から発生するデットロ
ックである。その他、トークンがある範囲で停留して、
所要動作が進行しないケースも発生する。ペトリネット
を用いればこれらの解析を数学的に行える。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】ところで、多重待ち受
け方式について有限オートマトンによってモデル化を行
う場合には、有限オートマトンに競合状態の検出機能が
ないため、多重度の数だけ状態遷移図を作成する必要が
あった。それゆえ、通信システム(通信システム)間の
状態遷移図の競合を監視プログラムによって監視し、競
合が発生した場合には、競合の解消ルール(優先順位テ
ーブル)に従って制御の実行を停止したり、制御の実行
を競合解消まで遅延したり、複数の制御を統合化する方
法がとられていた。
【0027】その要因は、有限オートマトンの場合、一
般的な記述方法がなく、通信システム毎に論理を記述し
ていたためである。また、状態遷移図間の競合の検出や
解消を行うためのテーブルは、競合の発生する通信シス
テムの組み合わせの数だけ用意する必要があった。
【0028】一方、多重待ち受け方式についてペトリネ
ットによってモデル化を行う場合には、競合状態の検出
機能はあるが、競合の解消適切に記述する方法がなかっ
た。また、多重度の数だけ状態遷移図を作成する必要は
ないが、競合の解消ルールは通信システムの組み合わせ
毎に論理を記述する必要があった。
【0029】この発明は、上記のような問題点を解消す
るためになされたもので、異なる通信システムの多重待
ち受けを実現することが可能な移動通信システムおよび
移動通信システムに適用される移動通信装置を得ること
を目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決し、
目的を達成するため、この発明に係る移動通信システム
は、相互に異なる複数の通信システムで通信する複数の
移動通信装置と、多数の基地局とを備えた移動通信シス
テムにおいて、多重待ち受け状態では、前記通信システ
ム間での状態遷移のパターンに従って前記通信システム
間での競合の発生を検出し、前記通信システム間での競
合の発生が検出されたときの状態遷移のパターンに応じ
て競合解消を実行することを特徴とする。
【0031】この発明によれば、多重待ち受け状態で
は、通信システム間での状態遷移のパターンに従って通
信システム間での競合の発生を検出し、その競合の発生
が検出されたときの状態遷移のパターンに応じて競合解
消を実行するようにしたので、各通信システムの処理を
独立に記述することができるようになって、待ち受け次
数を高くしても制御方式が変化することはなく、これに
より、異なる通信システムの多重待ち受けを実現するこ
とが可能である。
【0032】つぎの発明に係る移動通信システムは、前
記通信システム間での競合の発生を検出するための情報
は前記通信システム間での状態遷移のパターンに対応さ
せて一元的に管理されることを特徴とする。
【0033】この発明によれば、通信システム間での競
合の発生を検出するための情報を通信システム間での状
態遷移のパターンに対応させて一元的に管理するように
したので、待ち受け多重数を変えてもそれぞれの通信シ
ステム制御に影響を与えずに済む。
【0034】つぎの発明に係る移動通信システムは、相
互に異なる複数の通信システムで通信する複数の移動通
信装置と、多数の基地局とを備えた移動通信システムに
おいて、多重待ち受け状態では、前記通信システム間で
の状態遷移のパターンに従って前記通信システム間での
競合の発生を事前に予測して、前記通信システム間での
競合の発生を回避することを特徴とする。
【0035】この発明によれば、多重待ち受け状態で
は、通信システム間での状態遷移のパターンに従って通
信システム間での競合の発生を事前に予測して、その競
合の発生を回避するようにしたので、競合の回避に関し
てヒューリスティックな分析を必要とせず、機械的に行
うことができ、これにより、多重待ち受け時の通信動作
回数を削減することが可能である。
【0036】つぎの発明に係る移動通信システムは、相
互に異なる複数の通信システムで通信する複数の移動通
信装置と、多数の基地局とを備えた移動通信システムに
おいて、多重待ち受け状態では、前記通信システム間で
の状態遷移のパターンに従って前記通信システム間での
競合の発生を事前に予測して、前記通信システム間で競
合する通信を統合することを特徴とする。
【0037】この発明によれば、多重待ち受け状態で
は、通信システム間での状態遷移のパターンに従って前
記通信システム間での競合の発生を事前に予測して、通
信システム間で競合する通信を統合するようにしたの
で、競合の統合に関してヒューリスティックな分析を必
要とせず、機械的に行うことができ、これにより、多重
待ち受け時の通信動作回数を削減することが可能であ
る。
【0038】つぎの発明に係る移動通信システムは、通
信システムの待ち受け動作タイミングについてハード的
に記憶する機構とソフト的に記憶する機構とを設けたこ
とを特徴とする。
【0039】この発明によれば、システム上、通信シス
テムの待ち受け動作タイミングについてハード的に記憶
する機構とソフト的に記憶する機構とを設けるようにし
たので、ハードウェアの同期追跡可能数よりも大きい多
重度を得ることが可能である。
【0040】つぎの発明に係る移動通信システムに適用
される移動通信装置は、相互に異なる複数の通信システ
ムで通信する複数の移動通信装置と多数の基地局とを備
えた移動通信システムに適用される移動通信装置におい
て、前記通信システム間での状態遷移のパターンをあら
かじめ記憶する記憶手段と、多重待ち受け状態では、前
記記憶手段に記憶された状態遷移のパターンに従って前
記通信システム間での競合の発生を検出する検出手段
と、前記検出手段により検出されたときの状態遷移のパ
ターンに応じて競合解消を実行する解消手段と、を備え
たことを特徴とする。
【0041】この発明によれば、通信システム間での状
態遷移のパターンをあらかじめ記憶しておき、多重待ち
受け状態では、通信システム間での状態遷移のパターン
に従って通信システム間での競合の発生を検出し、その
競合の発生が検出されたときの状態遷移のパターンに応
じて競合解消を実行するようにしたので、各通信システ
ムの処理を独立に記述することができるようになって、
待ち受け次数を高くしても制御方式が変化することはな
く、これにより、異なる通信システムの多重待ち受けを
実現することが可能である。
【0042】つぎの発明に係る移動通信システムに適用
される移動通信装置は、前記記憶手段は、前記通信シス
テム間での競合の発生を検出するための情報を前記通信
システム間での状態遷移のパターンに対応させて一元的
に記憶することを特徴とする。
【0043】この発明によれば、通信システム間での競
合の発生を検出するための情報を通信システム間での状
態遷移のパターンに対応させて一元的に記憶するように
したので、待ち受け多重数を変えてもそれぞれの通信シ
ステム制御に影響を与えずに済む。
【0044】つぎの発明に係る移動通信システムに適用
される移動通信装置は、前記解消手段は、前記複数の通
信システムに対して優先順位をあらかじめ決めておき、
前記あらかじめ決められた優先順位に従って状態遷移を
実行することを特徴とする。
【0045】この発明によれば、複数の通信システムに
対して優先順位をあらかじめ決めておき、その優先順位
に従って状態遷移を実行するようにしたので、通信シス
テム間の競合に際して、一義的にスムーズな状態遷移を
実現することが可能である。
【0046】つぎの発明に係る移動通信システムに適用
される移動通信装置は、前記解消手段は、遷移元の状態
と遷移先の状態との間にトランジェントがある場合、ト
ランジェントにおける優先順位をあらかじめ決めてお
き、トランジェントでの競合発生に応じて前記あらかじ
め決められた優先順位に従って状態遷移を実行すること
を特徴とする。
【0047】この発明によれば、遷移元の状態と遷移先
の状態との間にトランジェントがある場合、トランジェ
ントにおける優先順位をあらかじめ決めておき、トラン
ジェントでの競合発生に応じてあらかじめ決められた優
先順位に従って状態遷移を実行するようにしたので、ト
ランジェントでの競合に際して、一義的にスムーズな状
態遷移を実現することが可能である。
【0048】つぎの発明に係る移動通信システムに適用
される移動通信装置は、相互に異なる複数の通信システ
ムで通信する複数の移動通信装置と多数の基地局とを備
えた移動通信システムに適用される移動通信装置におい
て、前記通信システム間での状態遷移のパターンをあら
かじめ記憶する記憶手段と、多重待ち受け状態では、前
記記憶手段に記憶された状態遷移のパターンに従って前
記通信システム間での競合の発生を事前に予測する予測
手段と、前記予測手段により事前に予測された前記通信
システム間での競合の発生を回避する回避手段と、を備
えたことを特徴とする。
【0049】この発明によれば、通信システム間での状
態遷移のパターンをあらかじめ記憶しておき、多重待ち
受け状態では、通信システム間での状態遷移のパターン
に従って通信システム間での競合の発生を事前に予測し
て、その競合の発生を回避するようにしたので、競合の
回避に関してヒューリスティックな分析を必要とせず、
機械的に行うことができ、これにより、多重待ち受け時
の通信動作回数を削減することが可能である。
【0050】つぎの発明に係る無線通信システムに適用
される移動通信装置は、相互に異なる複数の通信システ
ムで通信する複数の移動通信装置と多数の基地局とを備
えた移動通信システムに適用される移動通信装置におい
て、前記通信システム間での状態遷移のパターンをあら
かじめ記憶する記憶手段と、多重待ち受け状態では、前
記記憶手段に記憶された状態遷移のパターンに従って前
記通信システム間での競合の発生を事前に予測する予測
手段と、前記予測手段により事前に予測された前記通信
システム間で競合する通信を統合する統合手段とを備え
ることを特徴とする。
【0051】この発明によれば、通信システム間での状
態遷移のパターンをあらかじめ記憶しておき、多重待ち
受け状態では、通信システム間での状態遷移のパターン
に従って前記通信システム間での競合の発生を事前に予
測して、通信システム間で競合する通信を統合するよう
にしたので、競合の統合に関してヒューリスティックな
分析を必要とせず、機械的に行うことができ、これによ
り、多重待ち受け時の通信動作回数を削減することが可
能である。
【0052】つぎの発明に係る無線通信システムに適用
される移動通信装置は、通信システムの待ち受け動作タ
イミングについてハード的に記憶する機構とソフト的に
記憶する機構とを設けたことを特徴とする。
【0053】この発明によれば、通信システムの待ち受
け動作タイミングについてハード的に記憶する機構とソ
フト的に記憶する機構とを設けるようにしたので、ハー
ドウェアの同期追跡可能数よりも大きい多重度を得るこ
とが可能である。
【0054】
【発明の実施の形態】以下に添付図面を参照して、この
発明に係る移動通信システムおよび移動通信システムに
適用される移動通信装置の好適な実施の形態を詳細に説
明する。
【0055】実施の形態1.まず、この発明の実施の形
態1としてペトリネットのモデル方式を適用した場合に
ついて説明する。この実施の形態1は、各システムの動
作状態を組み合わせて、ペトリネットのマーキング(動
作状態)を表現することに特徴がある。このペトリネッ
トによるモデル方式によれば、各システム毎の状態遷移
制御は、有限オートマトンによるモデル化のように扱う
ことができるので、多重化するシステムの数を自由に変
えることができる。
【0056】図1にはこの発明の実施の形態1による移
動通信システムのネットワークが示されている。具体的
には、移動機の待ち受け動作をペトリネットでモデル化
した一例が示されている。図2には図1に示したモデル
の状態遷移がマトリクスで表現されている。
【0057】そして、図3にはペトリネットの動作状態
(ステータス)が示され、図4には状態ごとの容量(状
態に存在しうるトークンの量)が示されている。図5に
はシステム優先度が示され、図6には通信システム間競
合の一例が示され、図7には発火優先度が示され、図8
にはトランジェント発火の競合の一例が示されている。
【0058】図1には、状態A,B,C,D,E,F,
GおよびHまでの8つの状態が示されている。状態Aは
停止中、状態Bはレベル検索、状態CはLCH(Lin
kChannel)同期待ち、状態DはSF(Supe
r Frame)同期待ち、状態Eは待ち受け(同期確
立)、状態Fは圏外、状態Gは同期保護をそれぞれ表し
ている。そして、状態Aから状態Bへの遷移、状態Bか
ら状態Cへの遷移、状態Cから状態Dへの遷移、状態D
から状態Eへの遷移、状態Eから状態Fへの遷移、状態
Fから状態Aへの遷移、状態Eから状態Aへの遷移、状
態Cから状態Gへの遷移、状態Gから状態Cへの遷移、
状態Dから状態Gへの遷移、状態Eから状態Gへの遷
移、状態Gから状態Eへの遷移には、それぞれトークン
の位置番号として、1,2,3,4,5,6,7,8,
9,10,11が与えられる。
【0059】そこで、状態遷移において、No.1は状
態D,Eへの遷移(No.4)時のSF同期確立による
排他制御、No.2はLCCH(Logical Co
ntrol Channel)同期確立、No.3は間
欠周期設定(基地局より指定)、No.4はSF同期確
立、No.5は同期外れをそれぞれ表している。また、
No.6は無制御、No.7は停止、No.8は同期追
跡、No.9は検索、No.10は同期追跡、No.1
1は検索をそれぞれ表している。
【0060】図2に示した状態遷移表において、列方向
に状態A〜Hが示され、行方向にトークン位置のNo.
1〜11が示されている。例えば、状態Aから状態Bへ
の遷移では(No.1)、状態Aは負値“−1”すなわ
ち入力アークとなっているので、ここでは競合の状態が
発生する。一方、状態Bは正値“1”すなわち出力アー
クとなっているので、競合の状態は発生しない。同様
に、各トークン位置番号に対応する状態が入力アークの
ところはどこも競合の状態が発生し、出力アークのとこ
ろはどこも競合の状態が発生しないことになる。また、
状態Bから状態Cへの遷移では(No.2)、状態Aは
ゼロ値すなわちアーク無しとなる。
【0061】図3において、状態マーキングは、ペトリ
ネットのトークンの位置および動作状態を表すものであ
る。本通信移動システムは、多重待ち受け制御を行うも
のであるので、複数のトークンを持っている。状態マー
キングは、各通信システム(通信システム)毎のトーク
ンの位置状態に分解して記憶される。図3において、式
の右辺には、各通信システムが独立でお互いに非同期で
あることを表している。また、式の左辺には、図1のネ
ットワーク中にあるトークンの状態(位置と数)が表さ
れている。
【0062】図4には、状態A〜Hまでの各状態容量が
示されている。状態A,Gの容量はNであり、ソフト的
処理が可能な量を表している。状態E,Gの各容量は
n,mであり、ハードウェア的に処理する量を表してい
る。状態B,C,Dの各容量は1であり、ハードウェア
的に処理する量を表している。例えば、状態Eにはq
(qは自然数)個以上のトークンは存在不可能である。
同時待受けできるのはq個同様に、状態B,C,Dには
同時には1個しか存在することができない(無線機が1
個しか無い場合)。状態Hは、排他制御用のプレースで
ある。
【0063】各プレース(図1のA〜Hの各状態)に
は、図4で示す数だけの状態の共存が許される。状態
A,B,Cの各プレース容量が1で、状態A〜C間に排
他処理プレースがあるということは、これらの状態に複
数のトークンは存在できないということを表わしてい
る。この間は、無線機を連続的に動作し、他通信システ
ムからの要求があってもその要求を待たせる(遅延処
理)ということを示している。
【0064】この場合の遅延処理とは、図5のシステム
優先度に基づいて、図3の右辺の優先度の高いシステム
の発火を行い、優先度の低いシステムの発火を計算処理
によって抑制することである。図5の例では、通信シス
テム1〜5について、優先度は昇順で通信システム2,
1,5,3,4となる。
【0065】例えば、通信システム間の競合が発生し
て、遷移元がプレース容量2、遷移先がプレース容量1
となって遷移先の容量が1個しかない場合には(図6参
照)、図5の優先順位を参照して、優先順位の高いシス
テムの状態遷移だけを認めることになる。
【0066】競合状態は、上記のように異システム間で
発生することもあるが、一つのシステム内でも発生する
ことがある。トークンが2つ以上のトランジェントの発
火条件となる場合である。この場合、トランジェント
1,2どちらも発火可能であるが、制御はプレースXま
たはプレースYのどちらか一方にしか進められないの
で、競合となる。この場合は、トランジェントの発火の
有無を全部スキャンしたときに、複数のトランジェント
が発火し状態遷移に矛盾が発生した場合が、競合として
認識できる。
【0067】この競合の場合、図7のトランジェントの
発火優先順位に従って優先発火(発火遅延)を行うこと
によって解消することができる。すなわち、トークン位
置がNo.2,3および4(発火優先度1)、No.
5,6および7(発火優先度2)、No.1および8〜
11(発火優先度3)は発火が同時に発生することはな
い。
【0068】例えば、制御トークンとシステムトークン
との組、システムトークンと制御トークンとの組でそれ
ぞれトランジェント発火(トランジェント1,2)が競
合した場合には(図8参照)、それぞれのプレースX,
Yが容量1のため、図7に示した発火優先度に従って優
先度の高い方で状態遷移が実施される。
【0069】つぎに、処理の流れを以下に説明する。図
9はこの実施の形態1による動作を説明するフローチャ
ートである。まず、処理はイベントの発生を待つ(ステ
ップS1)。そして、イベントが発生したら(ステップ
S1)、発火トランジェントの探索のため、イベントに
対して各トランジェントが発火可能かどうかすべて評価
される(ステップS2)。すなわち、全トランジェント
をスキャンして発火条件を満足しているかどうかを調べ
る処理が実行される。
【0070】複数のトランジェントが同時に発火状態に
なった場合が発生することがある。この複数のトランジ
ェントのうち、一つのトークンが2つ以上のトランジェ
ントの発火に必要な場合には(ステップS3)、つまり
競合が発生した場合には、処理はステップS5以降へ移
行して、競合回避動作が実行される。
【0071】また、発火トランジェントが一つもなかっ
た場合には、処理はステップS1へ戻り、再度イベント
発生待ちとなる。また、競合がなく、一つだけの発火で
ある場合には、処理はステップS8へジャンプして、状
態マーキングの更新とプレース処理を行い、続くステッ
プS9において状態遷移図を遷移させる。
【0072】さて、同時発火の際には、処理はステップ
S4へ移行する。このステップS4において競合状態が
プレース容量オーバであることが判明した場合には、図
5に示した通信システムの優先度に従って発火トランジ
ェントが指定され、優先通信システムの次状態マーキン
グが作成される。そして、非優先通信システムの発火状
態は保留される(ステップS5)。なお、競合無しであ
れば処理はステップS6、さらにステップS8へジャン
プする。
【0073】ステップS6において、通常は発生し得な
いが、デッドロック回避(デッドロック脱出)のために
用意してある競合状態が動作不能の状態であることが判
明した場合には、優先プレース順に発火トランジェント
が指定される(ステップS7)。そして、状態マーキン
グを新状態へ更新され(ステップS8)、プレース処理
が実行される(ステップS9)。このように、プレース
処理が終了したら、処理はイベント待ち状態(ステップ
S1)へ戻る。
【0074】以上説明したように、この実施の形態1に
よれば、通信システム間での状態遷移のパターンをあら
かじめ記憶しておき、多重待ち受け状態では、通信シス
テム間での状態遷移のパターンに従って通信システム間
での競合の発生を検出し、その競合の発生が検出された
ときの状態遷移のパターンに応じて競合解消を実行する
ようにしたので、各通信システムの処理を独立に記述す
ることができるようになって、待ち受け次数を高くして
も制御方式が変化することがなくなる。これにより、異
なる通信システムの多重待ち受けを実現することが可能
である。
【0075】また、通信システム間での競合の発生を検
出するための情報を通信システム間での状態遷移のパタ
ーンに対応させて一元的に記憶するようにしたので、待
ち受け多重数を変えてもそれぞれの通信システム制御に
影響を与えずに済む。
【0076】また、複数の通信システムに対して優先順
位をあらかじめ決めておき、その優先順位に従って状態
遷移を実行するようにしたので、通信システム間の競合
に際して、一義的にスムーズな状態遷移を実現すること
が可能である。
【0077】また、遷移元の状態と遷移先の状態との間
にトランジェントがある場合、トランジェントにおける
優先順位をあらかじめ決めておき、トランジェントでの
競合発生に応じてあらかじめ決められた優先順位に従っ
て状態遷移を実行するようにしたので、トランジェント
での競合に際して、一義的にスムーズな状態遷移を実現
することが可能である。
【0078】実施の形態2.以下に説明する実施の形態
2では、多重度2の場合に状態遷移図を利用して衝突を
事前に予測して回避する例を説明する。すなわち、待ち
受け時の間欠受信状態において発生するイベントのう
ち、間欠受信タイマによるイベントは発生予測が可能な
ので、間欠タイミングを合成して、差分タイマ形式で競
合発生を計算しタイマイベント(割り込み)として競合
回避や受信一括化処理をタイマキューに設定しておく。
【0079】そして、タイマのタイムアップによってタ
イマイベント(割り込み)として競合の回避処理また
は、一括受信化処理を行う。これにより、処理系(cp
u)の処理が間に合わないほどの間隔でイベントが重な
ったり、連続発生した場合に対応することができる。
【0080】以下に具体的動作について説明する。図1
0はこの発明の実施の形態2による動作を説明するフロ
ーチャート、図11は間欠タイミングの衝突例を説明す
る図、そして、図12はタイマ処理を説明する図であ
る。まず、タイマ処理のためにタイマキューが初期化さ
れる(ステップS21)。具体的には、通信システムの
間欠待ち受けタイミングによってタイマキューが設定さ
れる(差分タイマ値の設定)。
【0081】ここでも、前述した実施の形態1と同様
に、通信システム1および2を想定して、通信システム
1と通信システム2の重ねあわせによって衝突を予測す
ることができれば、事前に、衝突発生時間の直前にタイ
マイベント(タイマ値と競合回避処理)が設置される。
【0082】図11には、多重待ち受けによる間欠受信
の競合(衝突)と、それを回避するための割り込みタイ
マの設定例が示されている。通信システム1と通信シス
テム2はそれぞれ別のシステムであり、非同期に動作し
ている。待受け時における間欠受信タイミングも通信シ
ステム1と通信システム2とは相違する。この場合、確
率的に図11に示すような競合状態が発生することがあ
る。この競合状態を、タイマイベント(タイマ割り込
み)として、普通のイベントと同様に処理することに本
実施の形態2の意義がある。ここでは、待ち受けの優先
順位が通信システム1の方を高くとっている。
【0083】図11の例では、通信システム1および2
の各2発目の間欠受信で競合(待ち受け状態)が発生す
る。この場合には、通信システム1の優先度が高いこと
から、通信システム2の受信が止められる。すなわち、
タイマイベントの発生をみると、競合が発生するまでの
タイマ処理(タイマ値T1)の間に、通信システム1,
2,1の順で間欠受信が行われることになる。
【0084】その後のタイマ処理(タイマT2)の間
は、タイマイベントに競合の発生はなく、通信システム
1,2,1,2,1の順でタイマイベントが発生する。
ただし、タイマ処理(タイマT2)の期間の最後には、
受信周波数が同一となることから、通信システム1およ
び2による一括受信が実施される。
【0085】通信システム1と通信システム2の受信が
重なったり、受信と送信が重なったりした場合には、そ
の競合の回避が必要であるが、上述のように、通信シス
テム1と通信システム2が受信で競合しないが、ごく短
い間隔しかない場合が発生しうる。この時、通信システ
ム1と通信システム2の受信周波数が違っていれば、後
半に続く通信システムの受信ができないこともあるが
(シンセサイザの切り替えができない)、2つの通信シ
ステム1,2の受信周波数が同じ場合には、2つの受信
を連続して行うことが可能である。このような場合を、
競合の場合と同様に事前に発生を予測することによって
救済することができる。
【0086】以上のことからフローに説明を戻すと、ス
テップS22においてタイマイベントが発生した場合に
は、イベントの処理内容を確認して、その内容が競合回
避処理であれば処理を起動し、タイマキューが続いてい
れば(キューの最後の要素でなければ)タイマ値をタイ
マに設定する処理が実施される(ステップS24)。そ
の後、処理はステップS3へ移行して、前述した実施の
形態1と同様の処理を実行する(ステップS3〜ステッ
プS5,ステップS8およびステップS9)。このよう
にして、事前の予測に基づく競合回避が行われる。
【0087】また、イベント発生がない場合には、処理
はステップS22を繰り返し実行するが、イベント発生
があった場合には、処理はステップS2へ移行して前述
した実施の形態1と同様の処理を実行する(ステップS
2〜ステップS5,ステップS8およびステップS
9)。
【0088】図12には、タイマ処理の設定が示されて
おいる。具体的には、タイマキューへのタイマ処理およ
びタイマ値の設定方法が示されている。タイムアップ時
の動作では、キューポインタ、タイマ値T1、タイマ値
T2、そして、終了マークの順でタイマ処理が実行され
る。キューポインタのところでは、タイマ値T1が設定
され、その後、タイマ値T1による処理が実行される。
【0089】このとき、タイマ値T2が設定され、タイ
マ値T1はタイマキューから消去される。続いてタイマ
値2の処理が実行され、タイマキューから消去される
と、タイムアップ時の動作は終了となる。なお、タイマ
キューは先頭から処理(タイムアップ)されるものであ
る。
【0090】以上説明したように、この実施の形態2に
よれば、通信システム間での状態遷移のパターンをあら
かじめ記憶しておき、多重待ち受け状態では、通信シス
テム間での状態遷移のパターンに従って通信システム間
での競合の発生を事前に予測して、その競合の発生を回
避もしくは受信統合するようにしたので、ヒューリステ
ィックな分析を必要とせず、機械的に行うことができ
る。これにより、多重待ち受け時の受信動作回数を削減
することが可能である。
【0091】また、競合の発生を事前に同期タイミング
から予測し、競合の発生予想時間をタイマに設定するよ
うにしたので、競合の発生も通常のイベントのひとつ
(タイマイベント=割り込み)として処理することがで
きる。
【0092】実施の形態3.以下に説明する実施の形態
3では、複数の通信システムで通話できる移動機と、複
数の種類の多数の基地局とを備えた移動通信システムに
おいて、通信システムの待ち受け動作タイミングを記憶
する機構を持つ場合の例を挙げている。ここでは、この
機構を状態遷移移行列の状態によって管理することによ
って、受信機のハードウェアの同期追跡可能数より大き
い多重度を得られる多重待ち受け制御方式を実現する。
【0093】まず、この実施の形態3の移動通信システ
ムに適用される移動機の構成について説明する。図13
はこの発明の実施の形態3による移動通信システムに適
用される移動機を示すブロック図である。この実施の形
態3の移動機は、図13に示したように、従来の移動機
(図22参照)と同様の構成を備えており、新たに、同
期タイミングを記憶するための同期タイミング記憶部2
0を備える。この同期タイミング記憶部20は、高精度
の自走タイマであり、制御部26に接続される。
【0094】つぎに、待ち受け系と同期タイミング系と
の関係について説明する。図14はは待受け系(同期確
立、同期追跡)と同期タイミング系との関係を示す図で
ある。図14において、この実施の形態3の制御系に
は、無線系が一つ、同期確立と同期追跡を行う同期系
(待ち受け系:デュアル待ち受け)が2つ、同期確立の
みを行う同期系(以下に第3同期系と称する)が一つ、
同期補足したタイミングによって動作する高精度の自走
タイマによる同期タイミング記憶系が一つが設けられて
いる。
【0095】無線系には主として無線送信部23および
無線受信部24が対応し、待ち受け系には主としてシン
セサイザ25が対応し、第3同期系には主として制御部
26が対応し、同期タイミング記憶系には主として同期
タイミング記憶部20が対応する。また、待ち受け系の
一方には、通信システム1が対応付けられ、もう一方は
通信システム2が対応付けられ、同期タイミング記憶系
の自走タイマ1,2,3にはそれぞれ通信システム1,
2,3〜5が対応付けられている。
【0096】以上を踏まえて、以下に処理の流れを説明
する。図15は図14の動作を説明するタイムチャート
である。待ち受け系では、同期引き込みと同期追跡を行
う同期系が2系設けられているので、そこで通信システ
ム1および通信システム2の多重待ち受けが行われる
(図15中、(1)および(2))。
【0097】3重待受けを行う場合には、待受け系以外
の第3同期系にて第3番目以降の通信システムの同期引
き込みが行われる(図15中、(3))。この第3同期
系で補足した同期状態にて約10秒の待受け処理が行わ
れる。これにより、第3通信システムの待受け処理が行
われることになる。なお、待受け処理の時間は、自走タ
イマ3の精度によって決まる。
【0098】上記待ち受け処理で補足した同期タイミン
グは高精度の自走タイマ3に記憶される。すなわち、第
3通信システムのタイミングが記憶される(図15中、
(4))。そして、つぎの通信システム(通信システム
4)の待受け処理が行われ、動作は第3同期系の待ち受
け処理に戻る(図15中、(3)および(5))。
【0099】論理的にはs(sは自然数)重待受けだ
が、物理的には瞬間的に通信システム1,2および3〜
5のいずれかの3重待受けとなる。3番目の待受け時間
は、自走タイマ3の精度で自走可能なタイマ値と3番目
以降の通信システム数によって決まる。
【0100】具体的には、その待ち受け時間はタイマ値
/システム数となる。待受け時間は、電話のかかりやす
さに関係しハードウェア的な限界はあるが、通信システ
ム1および2が同期外れしたとき、予備系のタイミング
を設定することにより、高速に同期引き込みすることが
可能である。
【0101】以上説明したように、この実施の形態3に
よれば、通信システムの待ち受け動作タイミングについ
てハード的に記憶する機構とソフト的に記憶する機構と
を設けるようにしたので、ハードウェアの同期追跡可能
数よりも大きい多重度を得ることが可能である。
【0102】また、ルールさえ適切に与えれば、衝突の
発生するケースを事前にすべて記述しなくてもよく、衝
突解消ルールに従って処理することにより、事前に想定
していなかったタイミングにも対処することができる。
【0103】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、多重待ち受け状態では、通信システム間での状態遷
移のパターンに従って通信システム間での競合の発生を
検出し、その競合の発生が検出されたときの状態遷移の
パターンに応じて競合解消を実行するようにしたので、
各通信システムの処理を独立に記述することができるよ
うになって、待ち受け次数を高くしても制御方式が変化
することはなく、これにより、異なる通信システムの多
重待ち受けを実現することが可能な移動通信システムが
得られるという効果を奏する。
【0104】つぎの発明によれば、通信システム間での
競合の発生を検出するための情報を通信システム間での
状態遷移のパターンに対応させて一元的に管理するよう
にしたので、待ち受け多重数を変えてもそれぞれの通信
システム制御に影響を与えずに済む移動通信システムが
得られるという効果を奏する。
【0105】つぎの発明によれば、多重待ち受け状態で
は、通信システム間での状態遷移のパターンに従って通
信システム間での競合の発生を事前に予測して、その競
合の発生を回避するようにしたので、競合の回避に関し
てヒューリスティックな分析を必要とせず、機械的に行
うことができ、これにより、多重待ち受け時の通信動作
回数を削減することが可能な移動通信システムが得られ
るという効果を奏する。
【0106】つぎの発明によれば、多重待ち受け状態で
は、通信システム間での状態遷移のパターンに従って前
記通信システム間での競合の発生を事前に予測して、通
信システム間で競合する通信を統合するようにしたの
で、競合の統合に関してヒューリスティックな分析を必
要とせず、機械的に行うことができ、これにより、多重
待ち受け時の通信動作回数を削減することが可能な移動
通信システムが得られるという効果を奏する。
【0107】つぎの発明によれば、システム上、通信シ
ステムの待ち受け動作タイミングについてハード的に記
憶する機構とソフト的に記憶する機構とを設けるように
したので、ハードウェアの同期追跡可能数よりも大きい
多重度を得ることが可能な移動通信システムが得られる
という効果を奏する。
【0108】つぎの発明によれば、通信システム間での
状態遷移のパターンをあらかじめ記憶しておき、多重待
ち受け状態では、通信システム間での状態遷移のパター
ンに従って通信システム間での競合の発生を検出し、そ
の競合の発生が検出されたときの状態遷移のパターンに
応じて競合解消を実行するようにしたので、各通信シス
テムの処理を独立に記述することができるようになっ
て、待ち受け次数を高くしても制御方式が変化すること
はなく、これにより、異なる通信システムの多重待ち受
けを実現することが可能な移動通信システムに適用され
る移動通信装置が得られるという効果を奏する。
【0109】つぎの発明によれば、通信システム間での
競合の発生を検出するための情報を通信システム間での
状態遷移のパターンに対応させて一元的に記憶するよう
にしたので、待ち受け多重数を変えてもそれぞれの通信
システム制御に影響を与えずに済む移動通信システムに
適用される移動通信装置が得られるという効果を奏す
る。
【0110】つぎの発明によれば、複数の通信システム
に対して優先順位をあらかじめ決めておき、その優先順
位に従って状態遷移を実行するようにしたので、通信シ
ステム間の競合に際して、一義的にスムーズな状態遷移
を実現することが可能な移動通信システムに適用される
移動通信装置が得られるという効果を奏する。
【0111】つぎの発明によれば、遷移元の状態と遷移
先の状態との間にトランジェントがある場合、トランジ
ェントにおける優先順位をあらかじめ決めておき、トラ
ンジェントでの競合発生に応じてあらかじめ決められた
優先順位に従って状態遷移を実行するようにしたので、
トランジェントでの競合に際して、一義的にスムーズな
状態遷移を実現することが可能な移動通信システムに適
用される移動通信装置が得られるという効果を奏する。
【0112】つぎの発明によれば、通信システム間での
状態遷移のパターンをあらかじめ記憶しておき、多重待
ち受け状態では、通信システム間での状態遷移のパター
ンに従って通信システム間での競合の発生を事前に予測
して、その競合の発生を回避するようにしたので、競合
の回避に関してヒューリスティックな分析を必要とせ
ず、機械的に行うことができ、これにより、多重待ち受
け時の通信動作回数を削減することが可能な移動通信シ
ステムに適用される移動通信装置が得られるという効果
を奏する。
【0113】つぎの発明によれば、通信システム間での
状態遷移のパターンをあらかじめ記憶しておき、多重待
ち受け状態では、通信システム間での状態遷移のパター
ンに従って前記通信システム間での競合の発生を事前に
予測して、通信システム間で競合する通信を統合するよ
うにしたので、競合の統合に関してヒューリスティック
な分析を必要とせず、機械的に行うことができ、これに
より、多重待ち受け時の通信動作回数を削減することが
可能な移動通信システムに適用される移動通信装置が得
られるという効果を奏する。
【0114】つぎの発明によれば、通信システムの待ち
受け動作タイミングについてハード的に記憶する機構と
ソフト的に記憶する機構とを設けるようにしたので、ハ
ードウェアの同期追跡可能数よりも大きい多重度を得る
ことが可能な移動通信システムに適用される移動通信装
置が得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による移動通信シス
テムによる状態遷移を説明する図である。
【図2】 実施の形態1による状態遷移表を示す図であ
る。
【図3】 実施の形態1による状態マーキングを説明す
る図である。
【図4】 実施の形態1による状態と容量との関係を説
明する図である。
【図5】 実施の形態1による通信システム間の優先度
を説明する図である。
【図6】 実施の形態1において通信システム間競合の
一例を説明する図である。
【図7】 実施の形態1による発火優先度を説明する図
である。
【図8】 実施の形態1によるトランジェント発火の競
合の一例を説明する図である。
【図9】 実施の形態1による動作を説明するフローチ
ャートである。
【図10】 実施の形態2による動作を説明するフロー
チャートである。
【図11】 実施の形態2による通信システム間の競合
の発生を説明するタイムチャートである。
【図12】 実施の形態2によるタイマ処理の設定を説
明する図である。
【図13】 実施の形態3による移動機の内部構成を示
すブロック図である。
【図14】 実施の形態3において待受け系(同期確
立、同期追跡)と同期タイミング系との関係を示す図で
ある。
【図15】 図14の動作を説明するタイムチャートで
ある。
【図16】 ネットワークを想定した場合の一状態遷移
例を示す図である。
【図17】 図16の接続状態をマトリクスで表現した
図である。
【図18】 イベントが発生したときの処理を表現した
状態遷移図である。
【図19】 従来の動作を説明するフローチャートであ
る。
【図20】 独立かつ相互に非同期となる2つの通信シ
ステム1および2間の状態の対応関係を示す図である。
【図21】 3種類の状態遷移を表す図である。
【図22】 従来の移動機の内部構成を示すブロック図
である。
【図23】 従来例において通信システム間の競合の発
生を説明するタイムチャートである。
【図24】 ペトリネットの構成要素を説明する図であ
る。
【図25】 ペトリネットによるプレース動作を説明す
る図である。
【図26】 ペトリネットの接続状況、初期状態および
動作の遷移の様子を説明する図である。
【符号の説明】
1〜5 通信システム、20 同期タイミング記憶部。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相互に異なる複数の通信システムで通信
    する複数の移動通信装置と、多数の基地局とを備えた移
    動通信システムにおいて、 多重待ち受け状態では、前記通信システム間での状態遷
    移のパターンに従って前記通信システム間での競合の発
    生を検出し、前記通信システム間での競合の発生が検出
    されたときの状態遷移のパターンに応じて競合解消を実
    行することを特徴とする移動通信システム。
  2. 【請求項2】 前記通信システム間での競合の発生を検
    出するための情報は前記通信システム間での状態遷移の
    パターンに対応させて一元的に管理されることを特徴と
    する請求項1に記載の移動通信システム。
  3. 【請求項3】 相互に異なる複数の通信システムで通信
    する複数の移動通信装置と、多数の基地局とを備えた移
    動通信システムにおいて、 多重待ち受け状態では、前記通信システム間での状態遷
    移のパターンに従って前記通信システム間での競合の発
    生を事前に予測して、前記通信システム間での競合の発
    生を回避することを特徴とする移動通信システム。
  4. 【請求項4】 相互に異なる複数の通信システムで通信
    する複数の移動通信装置と、多数の基地局とを備えた移
    動通信システムにおいて、 多重待ち受け状態では、前記通信システム間での状態遷
    移のパターンに従って前記通信システム間での競合の発
    生を事前に予測して、前記通信システム間で競合する通
    信を統合することを特徴とする移動通信システム。
  5. 【請求項5】 通信システムの待ち受け動作タイミング
    についてハード的に記憶する機構とソフト的に記憶する
    機構とを設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    か一つに記載の移動通信システム。
  6. 【請求項6】 相互に異なる複数の通信システムで通信
    する複数の移動通信装置と多数の基地局とを備えた移動
    通信システムに適用される移動通信装置において、 前記通信システム間での状態遷移のパターンをあらかじ
    め記憶する記憶手段と、 多重待ち受け状態では、前記記憶手段に記憶された状態
    遷移のパターンに従って前記通信システム間での競合の
    発生を検出する検出手段と、 前記検出手段により検出されたときの状態遷移のパター
    ンに応じて競合解消を実行する解消手段と、 を備えたことを特徴とする移動通信システムに適用され
    る移動通信装置。
  7. 【請求項7】 前記記憶手段は、前記通信システム間で
    の競合の発生を検出するための情報を前記通信システム
    間での状態遷移のパターンに対応させて一元的に記憶す
    ることを特徴とする請求項6に記載の移動通信システム
    に適用される移動通信装置。
  8. 【請求項8】 前記解消手段は、前記複数の通信システ
    ムに対して優先順位をあらかじめ決めておき、前記あら
    かじめ決められた優先順位に従って状態遷移を実行する
    ことを特徴とする請求項7に記載の移動通信システムに
    適用される移動通信装置。
  9. 【請求項9】 前記解消手段は、遷移元の状態と遷移先
    の状態との間にトランジェントがある場合、トランジェ
    ントにおける優先順位をあらかじめ決めておき、トラン
    ジェントでの競合発生に応じて前記あらかじめ決められ
    た優先順位に従って状態遷移を実行することを特徴とす
    る請求項7に記載の移動通信システムに適用される移動
    通信装置。
  10. 【請求項10】 相互に異なる複数の通信システムで通
    信する複数の移動通信装置と多数の基地局とを備えた移
    動通信システムに適用される移動通信装置において、 前記通信システム間での状態遷移のパターンをあらかじ
    め記憶する記憶手段と、 多重待ち受け状態では、前記記憶手段に記憶された状態
    遷移のパターンに従って前記通信システム間での競合の
    発生を事前に予測する予測手段と、 前記予測手段により事前に予測された前記通信システム
    間での競合の発生を回避する回避手段と、 を備えたことを特徴とする移動通信システムに適用され
    る移動通信装置。
  11. 【請求項11】 相互に異なる複数の通信システムで通
    信する複数の移動通信装置と多数の基地局とを備えた移
    動通信システムに適用される移動通信装置において、 前記通信システム間での状態遷移のパターンをあらかじ
    め記憶する記憶手段と、 多重待ち受け状態では、前記記憶手段に記憶された状態
    遷移のパターンに従って前記通信システム間での競合の
    発生を事前に予測する予測手段と、 前記予測手段により事前に予測された前記通信システム
    間で競合する通信を統合する統合手段と、 を備えたことを特徴とする移動通信システムに適用され
    る移動通信装置。
  12. 【請求項12】 通信システムの待ち受け動作タイミン
    グについてハード的に記憶する機構とソフト的に記憶す
    る機構とを設けたことを特徴とする請求項6,10また
    は11に記載の移動通信システムに適用される移動通信
    装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006101164A1 (ja) * 2005-03-23 2006-09-28 Kyushu Institute Of Technology 対話情報処理装置及び対話情報処理方法
US7174551B2 (en) 2002-05-20 2007-02-06 International Business Machines Corporation Multiple task wait system for use in a data warehouse environment

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