JPH11227450A - 車両用暖房装置 - Google Patents

車両用暖房装置

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JPH11227450A
JPH11227450A JP3002198A JP3002198A JPH11227450A JP H11227450 A JPH11227450 A JP H11227450A JP 3002198 A JP3002198 A JP 3002198A JP 3002198 A JP3002198 A JP 3002198A JP H11227450 A JPH11227450 A JP H11227450A
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JP
Japan
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chamber
heating
oil
heat
air
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JP3002198A
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Inventor
Toshio Morikawa
敏夫 森川
Kenichi Fujiwara
健一 藤原
Hikari Sugi
光 杉
Hajime Ito
肇 伊藤
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Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジンからビスカスヒータ6への回転動力
の伝達を断続する電磁クラッチを廃止しながらも、ビス
カスヒータ6のON、OFFを瞬時に切り替えることの
できる応答性の良い車両用暖房装置を提供する。 【解決手段】 プーリ22、シャフト13を介して、エ
ンジンの回転動力が常に伝達されるロータ14と、この
ロータ14が回転することにより内部に封入されたシリ
コンオイルに剪断力が作用する発熱室23と、この発熱
室23にオイル穴31、32を介して連通する貯油室2
9と、オイル穴32を開閉する電磁弁装置19とを備え
た。そして、電磁弁装置19のバルブ33に空気通路4
0を形成することで、オイル穴32を塞いだ時に空気通
路40から貯油室29内の空気を発熱室23内に導入す
ることで、ビスカスヒータ6のOFF時に、発熱室23
内のシリコンオイルと貯油室29内の空気とを同時に入
れ替えるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、剪断発熱器内の粘
性流体の発生熱を利用することにより車室内の暖房を行
う車両用暖房装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の技術として、特開平2−2468
23号公報および特開平3−57877号公報に記載さ
れた剪断発熱器を備えた車両用暖房装置がある。これ
は、エンジンからヒータコアに冷却水を供給するための
冷却水回路の途中に剪断発熱器を設置し、その冷却水回
路中の冷却水温度が設定冷却水温度以下の時に剪断発熱
器を作動させることによって、車室内の暖房性能を補助
するようにした車両用暖房装置である。
【0003】ここで、剪断発熱器は、ロータの回転によ
り発熱室内に封入した高粘性シリコンオイル等の粘性流
体に剪断力を作用させて熱を発生するものであるため、
エンジンの回転動力をベルトおよび電磁クラッチを介し
てロータに伝達するように構成されている。そして、電
磁クラッチをオン、オフすることにより、剪断発熱器を
作動および停止している。
【0004】ところが、上記の車両用暖房装置では、高
価な電磁クラッチを介して剪断発熱器をベルト駆動して
いるので、コスト面で不利である。また、エンジンの周
囲には種々のエンジン補機が架装されている関係上、剪
断発熱器のフロント側に、体格や重量の大きい電磁クラ
ッチが設けられていると、エンジン周辺に大きな搭載ス
ペースが必要となり、車両への搭載性が悪いという問題
が生じている。
【0005】そこで、単純に電磁クラッチを廃止して、
エンジンの出力軸に設けたプーリと剪断発熱器のロータ
の端部に設けたプーリとをベルトにより直接繋ぐように
することが考えられる。しかし、剪断発熱器内の封入さ
れたシリコンオイルの油温は、ロータの回転速度が高速
であればある程上昇する。特に高粘性シリコンオイルの
物性として、オイル自体の油温が例えば200℃以上に
上昇すると、シリコンオイルの熱劣化および剪断による
機械的劣化が発生し、シリコンオイルの粘度が低下し、
エンジンの回転速度が低速の時の発熱効率が低下し、車
室内の暖房能力が低下するという問題が生じる。
【0006】そこで、欧州特許第0361053A2号
公報には、電磁クラッチを廃止すると共に、バイメタル
によるシリコンオイルの流れの制御をすることにより、
シリコンオイルの熱劣化および剪断による機械的劣化が
発生してシリコンオイルの粘度の低下を防止するように
した車両用暖房装置が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の車両
用暖房装置においては、電磁クラッチを廃止し、バイメ
タルによるシリコンオイルの流れの制御をするが、バイ
メタルの応答性に限界があり、例えばエンジンの駆動ト
ルクを減少するために剪断発熱器をオフするようなエン
ジン始動時、発進加速時や定常走行からの加速時の瞬間
的なオン、オフ切り替えを行うことができないという問
題が生じている。
【0008】
【発明の目的】本発明の目的は、電磁クラッチを廃止し
ながらも、剪断発熱器の作動および停止を瞬時に切り替
えることのできる応答性の良い車両用暖房装置を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、エンジンの回転動力が剪断発熱器のロータに伝
達されることにより、発熱室内の粘性流体が排出用流体
通路を通って貯留室内に流入する。そして、発熱が必要
で剪断発熱器を作動させる場合には、弁手段により導入
用流体通路を開くことにより、貯留室内の粘性流体が導
入用流体通路を通って発熱室内に戻される。また、発熱
室内の粘性流体は、ロータの遠心力により排出用流体通
路を通って貯留室内に流入する。したがって、粘性流体
が発熱室および貯留室を循環することにより、発熱室内
に所定の量の粘性流体が常に存在することになる。これ
により、発熱室内の粘性流体にロータの剪断力が作用さ
れて所望の発熱量で発熱し、この粘性流体の発生熱で冷
却水を加熱することで、加熱用熱交換器の暖房能力が向
上する。
【0010】一方、発熱が不要で剪断発熱器を停止する
場合には、弁手段により導入用流体通路を閉じる。する
と、ロータの遠心力により排出用流体通路を通って貯留
室内に流入する粘性流体によって、貯留室内の空気が空
気通路を通って発熱室内に空気が押し出される。また、
発熱室内に流入する空気によって、発熱室内の粘性流体
が排出用流体通路を通って貯留室内に押し出される。し
たがって、貯留室内から発熱室内に空気が抜かれること
によって、発熱室内の粘性流体が速やかに排出用流体通
路を通って貯留室内に排出される。これにより、発熱室
内の粘性流体の量が瞬時に少なくなることで、発熱室内
の粘性流体の量が減り、粘性流体の発熱量が減る。その
上、エンジンの駆動負荷を減少でき、且つ剪断発熱器を
瞬時に停止することができる。したがって、剪断発熱器
を作動状態から停止状態に瞬時に切り替えることができ
るので、電磁クラッチを廃止しながらも、剪断発熱器の
応答性を確保することができる。
【0011】請求項2に記載の発明によれば、アクチュ
エータが第1の位置に変位すると、バルブが駆動されて
導入用流体通路が閉じられ、空気通路が開かれて、剪断
発熱器が停止状態となる。また、アクチュエータが第2
の位置に変位すると、バルブが駆動されて導入用流体通
路が開かれ、空気通路が閉じられて、剪断発熱器が作動
状態となる。
【0012】請求項3に記載の発明によれば、ロータに
エンジンの回転動力が伝達されると、ロータの外周部に
設けた複数個のスリットにより発熱室内の粘性流体に強
力に遠心力が働く。これにより、発熱室の外周部分に強
制的に集められた粘性流体が排出用流体通路を通って貯
留室内に排出される。
【0013】
【発明の実施の形態】〔第1実施形態の構成〕図1ない
し図4は本発明の第1実施形態を示したもので、図1は
ビスカスヒータの概略構成を示した図で、図2は車両用
暖房装置の冷却水回路を示した図である。
【0014】本実施形態の車両用暖房装置は、車両のエ
ンジンルームに設置された水冷式のディーゼルエンジン
(以下エンジンと略す)Eを暖房用主熱源として車室内
の暖房または冷暖房を行う空調ユニット1と、この空調
ユニット1の各空調機器(アクチュエータ)を制御する
制御装置(以下ECUと呼ぶ)10とを備えている。
【0015】エンジンEは、このエンジンEを冷却した
冷却水が循環する冷却水回路2中に設けられ、内部に冷
却水を暖めるためのウォータジャケット3を有してい
る。また、エンジンEのクランク軸4には、ベルト5を
介してビスカスヒータ6等のエンジン補機を駆動連結す
るためのクランクプーリ7が取り付けられている。な
お、冷却水回路2中には、ビスカスヒータ6、温水弁
8、ウォータポンプ9およびラジエータ(図示せず)が
設置されている。
【0016】空調ユニット1は、車室内に向かって空気
を送るための空調ダクト11を有している。この空調ダ
クト11内には、車室内に向かう空気流を発生させる遠
心式送風機(図示せず)、空調ダクト11内を流れる空
気を冷却する冷却用熱交換器としてのエバポレータ(図
示せず)、およびこのエバポレータで冷却された空気を
再加熱する加熱用熱交換器としてのヒータコア12等が
配設されている。
【0017】このうち、ヒータコア12の空気上流側に
は、ヒータコア12を通過する空気量とヒータコア12
を迂回する空気量とを調整して車室内に吹き出す空気の
吹出温度を調節するエアミックスドア(図示せず)が取
り付けられている。なお、ヒータコア12の上流側に設
置した温水弁8の開度を変更することで、ヒータコア1
2内に流入する冷却水の流量を調整して空気の吹出温度
を調節しても良い。
【0018】次に、ビスカスヒータ6を図1ないし図3
に基づいて説明する。ここで、図3(a)はビスカスヒ
ータ6の作動状態を示した図で、図3(b)はビスカス
ヒータ6の停止状態を示した図である。
【0019】ビスカスヒータ6は、本発明の剪断発熱器
に相当するもので、エンジンEの回転動力が伝達される
シャフト13と、このシャフト13の一端部の外周に固
定された円環板形状のロータ14と、このロータ14を
回転自在に支持する一対のサイドプレート15と、この
一対のサイドプレート15の回りに冷却水路16を形成
するハウジング17と、本発明の弁手段を成す電磁弁装
置19とから構成されている。
【0020】シャフト13は、一対のサイドプレート1
5の内周に軸受21を介して回転自在に支持され、ハウ
ジング17より外部に突出した他端部に、プーリ22が
取り付けられている。このプーリ22の外周には、クラ
ンクプーリ7からエンジンEの回転動力を伝達するため
のベルト5が掛けられている。なお、ベルト5、クラン
クプーリ7およびプーリ22によりベルト伝動機構(動
力伝達手段)が構成される。
【0021】ロータ14は、一対のサイドプレート15
の内部に形成される発熱室23内に回転可能に配されて
いる。このロータ14の両側壁面には、内周部分から外
周部分に向けて複数個の径方向溝(図示せず)が形成さ
れている。そして、ロータ14は、シャフト13にエン
ジンEの回転動力が伝達されると、シャフト13と一体
的に回転して発熱室23内に封入されている高粘性流体
(高粘性シリコンオイル:以下シリコンオイルと呼ぶ)
に剪断力を与える。
【0022】一対のサイドプレート15は、アルミニウ
ム合金等の熱伝導性に優れた金属材料製で、外周面がハ
ウジング17の内周面に溶接等の接合手段を用いて部分
的に接合されている。この一対のサイドプレート15間
に形成される微少間隙には、上記の発熱室23が形成さ
れている。また、一対のサイドプレート15の両側壁面
からは、シリコンオイルの発生熱を冷却水に効率良く伝
達するための多数の板状フィン24が冷却水路16内に
突出するように突設されている。
【0023】ハウジング17は、内部に収容した一対の
サイドプレート15の両側壁面との間に、エンジンEの
ウォータジャケット3より流出した冷却水が還流する冷
却水路16を形成すると共に、エンジンE等の車載部材
への取り付けを行うステー25を一体成形している。こ
のハウジング17の後端部には、締結ボルト26を用い
てカバー27が締め付け固定されている。
【0024】本実施形態では、一対のサイドプレート1
5の後端面とカバー27の前端面の中央寄りに、シリコ
ンオイルを一時的に貯留するための貯油室(本発明の貯
留室に相当する)29を形成している。そして、サイド
プレート15には、発熱室23の外周部分から貯油室2
9の図示上部内にシリコンオイルを排出するオイル穴
(本発明の排出用流体通路に相当する)31と、貯油室
29の底部分から発熱室23の内周部分内にシリコンオ
イルを導入するオイル穴(本発明の導入用流体通路に相
当する)32とが形成されている。なお、オイル穴31
は、一対のサイドプレート15内において径方向に延び
るように形成され、オイル穴32は、一対のサイドプレ
ート15内において軸方向に延びるように穿設されてい
る。
【0025】電磁弁装置19は、弁体としてのバルブ3
3と、このバルブ33を駆動するアクチュエータ34と
から構成されている。バルブ33は、略T字形状をして
おり、先端部にオイル穴32を開閉する頭部35、この
頭部35の軸方向の後端部に軸状部36を介して一体的
に設けられた丸棒形状のアーマチャ37、およびこのア
ーマチャ37の途中から径方向上方に延長されたパイプ
部39等から構成されている。
【0026】なお、頭部35、軸状部36およびパイプ
部39内には、貯油室29内にシリコンオイルと共に封
入されている空気層と発熱室23内とを連通するための
略逆L字形状の空気通路40が形成されている。そし
て、パイプ部39の図示上端に設けられる開口部分は、
ビスカスヒータ6の作動中に、貯油室29内のシリコン
オイルの油面(オイルレベル)よりも図示上方(天側)
に位置するようにパイプ部39の長さ(貯油室29の内
容積やシリコンオイルの全封入量により異なる)が設定
されている。
【0027】アクチュエータ34は、通電(ON)時に
バルブ33のアーマチャ37を吸引する電磁コイル(電
磁ソレノイド)41、およびこの電磁コイル41の通電
停止(OFF)時にバルブ33を初期位置に戻すための
リターンスプリング42等から構成されている。これに
より、電磁弁装置19は、電磁コイル41がONされる
と、図3(a)に示したように、オイル穴32を開き、
空気通路40の発熱室23内への連通状態が遮断され
る。また、電磁コイル41がOFFされると、図3
(b)に示したように、オイル穴32を閉じ、空気通路
40がオイル穴32を介して発熱室23内に連通する。
【0028】次に、ECU10を図2に基づいて説明す
る。ECU10は、エンジンEおよび電磁弁装置19の
電磁コイル41等を電子制御するもので、それ自体はC
PU、ROM、RAMを内蔵したマイクロコンピュータ
である。このECU10は、暖房能力アップスイッチ5
1等のスイッチ、並びに冷却水温度センサ52、エンジ
ン回転速度センサ53およびアクセル開度センサ54等
の各センサより入力した入力信号と予め記憶された制御
プログラム(図示せず)に基づいて、エンジンEおよび
電磁弁装置19の電磁コイル41を制御する。
【0029】ここで、ECU10は、暖房能力アップス
イッチ51がONされ、且つ冷却水温度センサ52にて
検出した冷却水温度が所定の冷却水温度(例えば70
℃)以下の際に電磁弁装置19の電磁コイル41をON
し、冷却水温度が所定の冷却水温度(例えば70℃)よ
りも上昇した際に電磁弁装置19の電磁コイル41をO
FFする。また、エンジン回転速度センサ53にて検出
したエンジンEの回転速度がアイドリング回転速度より
も低速の際には、冷却水温度が所定の冷却水温度(例え
ば70℃)以下であっても電磁弁装置19の電磁コイル
41をOFFする。
【0030】そして、アクセル開度センサ54にて検出
したアクセルレバーの開度が所定開度以上変化した際、
または図示しない車速センサにて検出した車両の車速が
所定車速以上変化した際に、発進加速状態または定常走
行からの加速状態と判定して、冷却水温度が所定の冷却
水温度(例えば70℃)以下であっても電磁弁装置19
の電磁コイル41をOFFする。エンジン回転速度セン
サ53にて検出したエンジンEの回転速度が所定の回転
速度(例えば2500rpm)よりも高速で、且つ車速
センサに検出した車両の車速が所定の車速(例えば60
km/h)よりも低速の際に、登坂走行と判定して、冷
却水温度が所定の冷却水温度(例えば70℃)以下であ
っても電磁弁装置19の電磁コイル41をOFFする。
【0031】〔第1実施形態の作用〕次に、本実施形態
の車両用暖房装置の作用を図1ないし図4に基づいて簡
単に説明する。ここで、図4はOFF時に空気を発熱室
23内に導入することが可能なビスカスヒータ6および
OFF時に空気を発熱室23内に導入することができな
いビスカスヒータのトルク変化を示したタイムチャート
である。
【0032】エンジンEが始動されると、クランク軸4
の外周に固定されたクランクプーリ7、ベルト5および
シャフト13の外周に固定されたプーリ22を介して、
ビスカスヒータ6のシャフト13にエンジンEの回転動
力が伝達される。これにより、ビスカスヒータ6のロー
タ14が回転すると共に、ウォータポンプ9も駆動され
る。そして、エンジンEを冷却した冷却水は、ウォータ
ジャケット3より流出して、図示しない冷却水配管を通
ってビスカスヒータ6の冷却水路16内に流入する。
【0033】イ)ビスカスヒータ6のON時 ここで、車両乗員によって暖房能力アップスイッチ51
がONされ、更に、冷却水温度センサ52にて検出した
冷却水温度が所定の冷却水温度(例えば70℃)以下の
場合には、ECU10により暖房能力の補助またはアッ
プが必要であると判定して、電磁弁装置19の電磁コイ
ル41がONされる。
【0034】すると、図3(a)に示したように、電磁
コイル41の吸引力によりバルブ33に一体的に設けら
れたアーマチャ37がリターンスプリング42の付勢力
に抗して図示右方向に吸引されて、バルブ33の頭部3
5がサイドプレート15に形成されたオイル穴32を開
弁することで、空気通路40の発熱室23内への連通状
態が遮断される。
【0035】これにより、貯油室29内のシリコンオイ
ルは、バルブ33の頭部35とサイドプレート15の外
壁面との間を通り、オイル穴32から発熱室23の内周
部分、つまりロータ14の内周部分の回りに流入する。
また、発熱室23内のシリコンオイルは、ロータ14の
遠心力によりオイル穴31を通って貯油室29内に流入
する。したがって、シリコンオイルが発熱室23および
貯油室29を循環することにより、発熱室23内に所定
のオイル量のシリコンオイルが常に存在することにな
る。そして、ビスカスヒータ6のロータ14が回転して
いるので、発熱室23内に流入したシリコンオイルに剪
断力が作用してシリコンオイルが所望の発熱量で発熱す
る。
【0036】したがって、冷却水路16内を還流する冷
却水は、一対のサイドプレート15の周囲を巡る際に、
多数の板状フィン24を介してシリコンオイルの発生熱
を吸熱することにより加熱される。そして、ビスカスヒ
ータ6の発生熱を回収して充分加熱された高温の冷却水
は、図示しない冷却水配管を通ってヒータコア12内に
供給される。これにより、空調ダクト11内を流れる空
気は、ヒータコア12を通過する際に冷却水の保有熱を
奪って加熱され、図示しない吹出口から車室内に吹き出
されて車室内を暖房する。
【0037】ここで、本実施形態では、電磁クラッチを
設けていないので、ビスカスヒータ6のロータ14に常
にエンジンEの回転動力が伝わる構造になっている。し
たがって、エンジンEの回転速度が増速されればされる
程、ロータ14が高速回転する。ビスカスヒータ6の発
熱能力は、ロータ14が高速回転すればする程大きくな
るので、シリコンオイルの油温が高温化することにな
る。
【0038】しかし、本実施形態では、発熱室23内の
シリコンオイルは、ロータ14の遠心力、および剪断応
力下で剪断応力に対して垂直方向に流動する(ワイセン
ベルグ効果)ことにより、発熱室23の外周部分、つま
りロータ14の外周部分の回りに集まり、オイル穴31
を通って貯油室29内に移動する。これにより、発熱室
23内のシリコンオイルの量が減少するので、シリコン
オイルの油温が例えば200℃以上に高くなり過ぎるこ
とはない。
【0039】そして、貯油室29内に流入したシリコン
オイルは、自重により貯油室29の底部分に向かい、再
度バルブ33の頭部35とサイドプレート15の外壁面
との間を通り、オイル穴32から発熱室23の内周部分
に流入する。これにより、ビスカスヒータ6の作動が継
続されるので、車室内の暖房能力の補助効果が低下する
ことはない。
【0040】ロ)ビスカスヒータ6のOFF時 一方、ECU10がエンジンEの回転速度がアイドリン
グ回転速度よりも低速回転になったり、車両の走行状態
が登坂走行、発進加速走行または定常走行からの加速走
行であると判定した場合には、冷却水温度が所定の冷却
水温度(例えば70℃)以下の場合でも、エンジンEの
駆動負荷または駆動トルクを軽減する目的で、電磁弁装
置19の電磁コイル41がOFFされる。
【0041】すると、図3(b)に示したように、リタ
ーンスプリング42の付勢力によりバルブ33が図示左
方向に移動して、バルブ33の頭部35がサイドプレー
ト15のオイル穴32を閉弁することで、空気通路40
がオイル穴32を介して発熱室23内に連通する。そし
て、ロータ14の遠心力によりオイル穴31を通って発
熱室23から貯油室29内に流入するシリコンオイルに
よって、貯油室29内の空気が空気通路40を通って発
熱室23内に押し出される。すなわち、貯油室29内の
空気は、バルブ33内に形成された空気通路40を通
り、オイル穴32から発熱室23の内周部分に瞬時に流
入する。
【0042】また、発熱室23内に流入する空気によっ
て、発熱室23内のシリコンオイルがオイル穴31を通
って貯油室29内に押し出される。これにより、貯油室
29内から発熱室23内に空気が抜かれることによっ
て、発熱室23の外周部分に集まっていたシリコンオイ
ルがオイル穴31を通って貯油室29内に瞬時に流入す
ることで、発熱室23内のシリコンオイルが速やかに貯
油室29内に移動する。これにより、発熱室23内のシ
リコンオイルのオイル量が瞬時に減り、シリコンオイル
の発熱量が減る。それによって、電磁弁装置19の電磁
コイル41をOFFしてから、図4のタイムチャートに
示したように、エンジンEの駆動負荷および駆動トルク
が瞬時に小さくなるので、車両の走行状態が登坂走行、
発進加速走行または定常走行からの加速走行時の瞬間の
切り替えを行うことができる。
【0043】〔第1実施形態の効果〕以上のように、本
実施形態の車両用暖房装置は、軽量化、低コスト化を目
的として電磁クラッチを廃止しながらも、シリコンオイ
ルの流れを制御することで、シリコンオイルの熱劣化お
よび剪断による機械的劣化を防止して、シリコンオイル
の発熱効率の低下を防止することにより、車室内の暖房
能力の低下を防止することができる。
【0044】また、発熱室23内のシリコンオイルと貯
油室29内の空気とを同時に入れ替えることが可能な空
気通路40が形成されたバルブ33を有する電磁弁装置
19を設けることで、クラッチレスのビスカスヒータ6
のON、OFFの応答性を早めることができるので、例
えばエンジン始動時、アイドリング回転速度の不安定
時、発進加速時または定常走行からの加速時にエンジン
Eの駆動負荷(エンジン負荷)および駆動トルクの軽減
を瞬時に行うことができるので、エンジンEの始動不良
の防止、エンジンストールの防止および車両の加速性能
の向上を図ることができる。
【0045】〔第2実施形態〕図5は本発明の第2実施
形態を示したもので、図5(a)はビスカスヒータの作
動状態を示した図で、図5(b)はビスカスヒータの停
止状態を示した図である。
【0046】本実施形態のビスカスヒータ6では、発熱
室23内のシリコンオイルと貯油室29内の空気とを同
時に入れ替えることが可能な空気通路40を、ビスカス
ヒータ6のサイドプレート15内に設けている。そし
て、電磁弁装置19は、バルブ33を電磁コイル41で
吸引することでバルブ33がオイル穴32を開くビスカ
スヒータ6の作動(ON)時に空気通路40の出口を閉
じように構成されている。また、電磁弁装置19は、バ
ルブ33の頭部35でオイル穴32を閉じるビスカスヒ
ータ6の停止(OFF)時に空気通路40の出口を開く
ように構成されている。
【0047】〔第3実施形態〕図6ないし図8は本発明
の第3実施形態を示したもので、図6はビスカスヒータ
の作動状態を示した図で、図7はロータの概略構成を示
した図で、図8はビスカスヒータの停止状態を示した図
である。
【0048】本実施形態では、ビスカスヒータ6の発熱
室23の地側の外周部分から貯油室29の底部分に向け
てシリコンオイルを排出するためのオイル通路61をサ
イドプレート15に形成している。また、貯油室29の
軸心付近から発熱室23の内周部分に向けてシリコンオ
イルを導入するためのオイル通路62をサイドプレート
15に形成している。
【0049】そして、オイル通路61の途中には、シリ
コンオイルの逆流を阻止するための逆止弁63が設置さ
れている。一方、オイル通路62の入口には、内部に連
通路64を形成した略逆L字形状のパイプ65が接続さ
れている。このパイプ65の側面には、連通路64内に
貯油室29内のシリコンオイルを導入するためのオイル
孔66が形成され、パイプ65の端部には、連通路64
内に貯油室29内の空気を導入するための空気孔(本発
明の空気通路に相当する)67が形成されている。
【0050】また、ビスカスヒータ6のロータ14の外
周には、強力な遠心力を発熱室23内に発生して、発熱
室23内のシリコンオイルを強制的に外周部分に集める
ための遠心式ポンプとしてロータ14を機能させる複数
個のスリット(溝)69が形成されている。
【0051】そして、本実施形態の電磁弁装置19は、
内部に連通路64内に連通する連通路70を形成したパ
イプ形状のバルブ71と、このバルブ71を駆動するア
クチュエータ72とから構成されている。なお、アクチ
ュエータ72には、第1、第2実施形態と同様にして、
電磁コイル73およびリターンスプリング74が設けら
れている。また、バルブ71の側面には、連通孔75が
形成されている。
【0052】これにより、電磁弁装置19は、電磁コイ
ル73がONされると、図6に示したように、パイプ6
5の空気孔67とバルブ71の連通孔75とが一致し
(連通状態となり)、貯油室29内の空気が連通路7
0、64およびオイル通路62を通って発熱室23内に
導入されて、発熱室23内のシリコンオイルと貯油室2
9内の空気とを同時に入れ替えられて、瞬時にビスカス
ヒータ6がOFFされる。また、電磁コイルがOFFさ
れると、図8に示したように、パイプ65のオイル孔6
6とバルブ71の連通孔75とが一致し(連通状態とな
り)、貯油室29内のシリコンオイルが発熱室23内に
戻されることで、ビスカスヒータ6がONされる。
【0053】〔他の実施形態〕本実施形態では、本発明
を車室内の暖房のみを行うことが可能な車両用暖房装置
に適用したが、本発明を車室内の暖房と冷房とを行うこ
とが可能な車両用空調装置に適用しても良い。
【0054】本実施形態では、バルブ33を駆動するア
クチュエータ34を、電磁コイル41およびリターンス
プリング42等から構成したが、バルブを駆動するアク
チュエータを、負圧作動式アクチュエータや正圧作動式
アクチュエータ等の空気圧作動式アクチュエータ、およ
び空気圧を切り替える電磁弁装置等から構成しても良
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】ビスカスヒータの概略構成を示した断面図であ
る(第1実施形態)。
【図2】車両用暖房装置の冷却水回路を示した回路図で
ある(第1実施形態)。
【図3】(a)はビスカスヒータの作動状態を示した説
明図で、(b)はビスカスヒータの停止状態を示した説
明図である(第1実施形態)。
【図4】OFF時に空気を発熱室内に導入することが可
能なビスカスヒータおよびOFF時に空気を発熱室内に
導入することができないビスカスヒータのトルク変化を
示したタイムチャートである(第1実施形態)。
【図5】(a)はビスカスヒータの作動状態を示した説
明図で、(b)はビスカスヒータの停止状態を示した説
明図である(第2実施形態)。
【図6】ビスカスヒータの作動状態を示した説明図であ
る(第3実施形態)。
【図7】ロータの概略構成を示した正面図である(第3
実施形態)。
【図8】ビスカスヒータの停止状態を示した説明図であ
る(第3実施形態)。
【符号の説明】
E エンジン 1 空調ユニット 6 ビスカスヒータ(剪断発熱器) 12 ヒータコア(加熱用熱交換器) 14 ロータ 19 電磁弁装置(弁手段) 23 発熱室 29 貯油室(貯留室) 31 オイル穴(排出用流体通路) 32 オイル穴(導入用流体通路) 33 バルブ 34 アクチュエータ 40 空気通路 63 逆止弁 67 空気孔(空気通路) 69 スリット
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 肇 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンを冷却した冷却水と空気とを熱交
    換して車室内を暖房する加熱用熱交換器と、 エンジンの回転動力が加わると回転するロータ、および
    このロータに回転動力が加わると剪断力が作用されて熱
    を発生する粘性流体を内部に収納する発熱室を有し、こ
    の発熱室内の粘性流体の発生熱により前記加熱用熱交換
    器に供給される冷却水を加熱する剪断発熱器とを備え、 前記剪断発熱器は、前記ロータによる剪断力の影響を受
    けることなく粘性流体を貯留することが可能な貯留室
    と、前記発熱室内の粘性流体を前記貯留室内に排出する
    排出用流体通路と、前記貯留室内の粘性流体を前記発熱
    室内に導入する導入用流体通路と、発熱が必要な時に前
    記導入用流体通路を開き、発熱が不要な時に前記導入用
    流体通路を閉じる弁手段とを設けた車両用暖房装置にお
    いて、 前記剪断発熱器は、前記弁手段により前記導入用流体通
    路を閉じる時に前記貯留室内から前記発熱室内に空気を
    導入する空気通路を設けたことを特徴とする車両用暖房
    装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の車両用暖房装置におい
    て、 前記弁手段は、前記導入用流体通路を閉じた際に前記空
    気通路を開き、前記導入用流体通路を開いた際に前記空
    気通路を閉じるバルブ、およびこのバルブを駆動するア
    クチュエータを有することを特徴とする車両用暖房装
    置。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2に記載の車両用暖
    房装置において、 前記ロータの外周部には、遠心力を発生させる複数個の
    スリットが設けられており、 前記排出用流体通路は、前記発熱室の外周部分と前記貯
    留室の底部分とを連通し、内部に前記貯留室内から前記
    発熱室内への粘性流体の逆方向の移動を阻止する逆止弁
    を設けていることを特徴とする車両用暖房装置。
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