JPH11223114A - エンジンブレーキ装置 - Google Patents

エンジンブレーキ装置

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JPH11223114A
JPH11223114A JP2344498A JP2344498A JPH11223114A JP H11223114 A JPH11223114 A JP H11223114A JP 2344498 A JP2344498 A JP 2344498A JP 2344498 A JP2344498 A JP 2344498A JP H11223114 A JPH11223114 A JP H11223114A
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JP
Japan
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engine
valve
pressure
piston
solenoid valve
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Application number
JP2344498A
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English (en)
Inventor
Hirohide Nakao
弘英 中尾
Toshio Iijima
寿男 飯島
Yukinori Kawamoto
幸徳 川本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Jidosha Buhin Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Jidosha Buhin Kogyo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両の減速度運転に適したブレーキ力調整を
容易にすると共に、エンジン搭載時のエンジン改造規模
を縮小してコストを抑制する。 【解決手段】 本発明に係るエンジンブレーキ装置は、
流体圧を蓄える蓄圧室と、蓄圧室の流体圧の供給により
押動されて排気弁2を正規のバルブタイミングとは独立
して開弁し得るピストン15と、ピストン15に対する
流体圧の給排制御を実行すべく設けられた電磁弁16
と、エンジン運転状態に基づき上記電磁弁16を切替制
御するコントローラであって、上記排気弁2がエンジン
の圧縮行程で開弁するよう上記電磁弁2を切り替えるコ
ントローラとを備えたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両のエンジンに
適用されるエンジンブレーキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近来にあっては、エンジンブレーキ使用
時において排気弁をリフトさせ、エンジンのシリンダ内
の圧縮圧を解放させることによりエンジンブレーキ力を
増大させるエンジンブレーキ装置が種々提案されてい
る。
【0003】図15に示すものはいわゆる油圧管制方式
を採用するエンジンブレーキ装置である。これにおいて
は、シリンダヘッド内にポンプユニットaとアクチュエ
ータユニットbとが設けられ、エンジンのカムシャフト
cでポンプユニットaのプランジャdを往復動させると
共に、プランジャd上昇時に、オイル供給口eから供給
されたギャラリ圧のオイル(エンジン潤滑油)を、油圧
配管fを通じてアクチュエータユニットbに圧送するよ
うになっている。アクチュエータユニットbでは、オイ
ルの供給に連動してピストンgを下降させ、押動部材
h、バルブブリッジiを介して排気弁jを開弁ないしリ
フトさせるようになっている。ポンプユニットaには電
磁弁kが設けられ、電磁弁kはオイルの圧送通路を外部
(シリンダヘッド内)に選択的に開放する。即ち、電磁
弁kが閉(ON)のときは圧送通路が閉じられ、ピストン
gへの油圧供給が可能となると共に、電磁弁kが開(OF
F )のときは圧送通路が外部に開放され、プランジャd
が上昇してもオイルが外部に排出される。
【0004】なお排気弁jの開弁は、排気弁jと同一シ
リンダのブレーキ専用カムを利用する場合や、他シリン
ダのカムを利用する場合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
油圧管制方式のものだと、排気弁の開弁タイミング、リ
フト量がカムによって一律に決まってしまうため、それ
らタイミング等が一定となり、車両の減速度運転に適し
たブレーキ力調整が容易にできなかった。
【0006】また、構造的にも、カムやブラケット等を
有するポンプユニットを狭いシリンダヘッド内に配置し
なければならず、本装置搭載のためのエンジン改造規模
が大きくなり、コストの上昇を招いていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係るエンジンブ
レーキ装置は、流体圧を蓄える蓄圧室と、蓄圧室の流体
圧の供給により押動されて排気弁を正規のバルブタイミ
ングとは独立して開弁し得るピストンと、ピストンに対
する流体圧の給排制御を実行すべく設けられた電磁弁
と、エンジン運転状態に基づき上記電磁弁を切替制御す
るコントローラであって、上記排気弁がエンジンの圧縮
行程で開弁するよう上記電磁弁を切り替えるコントロー
ラとを備えたものである。
【0008】これによれば、ピストンへの油圧供給を電
磁弁とコントローラとで制御でき、排気弁の開弁タイミ
ング等をエンジン運転状態に応じて自由に変えられるの
で、車両の減速度運転に適したブレーキ力調整が容易と
なる。また、従来のポンプユニットが不要となるので、
装置が簡素化され、本装置搭載のためのコストが低減さ
れる。即ち、シリンダヘッドの外部に蓄圧室を設け、蓄
圧室から油圧配管を通じて電磁弁に油圧を供給すればよ
いので、シリンダヘッド内に配置する装置の縮小化が図
れ、エンジンの改造規模も縮小できる。
【0009】ここで、上記コントローラが、エンジン運
転状態に基づき所定の遅延時間と所定の出力時間とを決
定し、エンジン回転に基づく基準パルスの入力時から上
記遅延時間を経過した後、上記出力時間だけ、上記電磁
弁に駆動信号を出力するのが好ましい。また、上記ピス
トンと上記電磁弁とが同一の本体に取り付けられるのが
好ましい。また、上記流体圧がエンジン潤滑油による油
圧であって、上記蓄圧室にギャラリ圧の潤滑油をさらに
昇圧して供給する蓄圧用オイルポンプをさらに備えるの
が好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に従って説明する。
【0011】図1は、本発明に係るエンジンブレーキ装
置をターボ過給式ディーゼルエンジンに適用した場合の
縦断正面図、図2は同平面図、図3は同縦断側面図であ
る。エンジンは各二個ずつの吸気弁(図示省略)及び排
気弁2を備えた4弁形式のものであり、これら弁がカム
シャフト3のカム4によってロッカーアーム5、バルブ
ブリッジ6を介して開弁ないしリフトされるようになっ
ている。このカム4による開弁タイミングを正規のバル
ブタイミングという。排気弁2はバルブブリッジ6に螺
合固定され、バルブスプリング7によって上方ないし閉
弁側に付勢され、閉弁時にはバルブシート8に着座され
るようになっている。シリンダヘッド9からガイド軸1
0が起立され、これがバルブブリッジ6に挿入されてバ
ルブブリッジ6の昇降を案内するようになっている。ロ
ッカーアーム5は、その一端のプッシュピン11でバル
ブブリッジ6のピン受け部12を上方から押し、バルブ
ブリッジ6及び両排気弁2を同時に押し下げるようにな
っている。
【0012】エンジンブレーキ装置1は、ロッカーアー
ム5、バルブブリッジ6及び両排気弁2に並列配置され
たアクチュエータユニット13を有する。アクチュエー
タユニット13は本体14を有し、本体14にはピスト
ン15と電磁弁16とが取り付けられる。このアクチュ
エータユニット13は、蓄圧室をなすコモンレール17
から高油圧の供給を受け、この油圧によってピストン1
5を押動し、排気弁2を正規のバルブタイミングと独立
して開弁させるというものである。ピストン15の駆動
タイミングは電磁弁16で規定されることとなる。アク
チュエータユニット13は各シリンダ毎に一つずつ設け
られる。
【0013】本体14はシリンダヘッド9にボルト14
cで固定される。本体14には貫通穴14aとピストン
挿入穴14bとが設けられ、それぞれ油圧制御室18と
ピストン室19とを区画している。電磁弁16は、それ
ぞれ同軸配置された電磁ソレノイド20、ガイドスリー
ブ21、スプール弁22、リターンスプリング23及び
スプリング受け部材24で構成される。電磁ソレノイド
20の下端の雄ねじ部20aにガイドスリーブ21が圧
入され、ガイドスリーブ21内に昇降自在にスプール弁
22が挿入されると共に、リターンスプリング23の挿
入後、ガイドスリーブ21の下端にスプリング受け部材
24が圧入されることで、電磁弁16はユニット化され
ている。電磁弁16は貫通穴14aに上方から挿入され
て雄ねじ部20aによって螺合固定され、ガイドスリー
ブ21及びその内部の部品が貫通穴14a内に収められ
るようになっている。ガイドスリーブ21の外周には上
下に二か所、Oリングとバックアップリングとの組合せ
26が設けられるようになっている。
【0014】コモンレール17及び本体14は油圧配管
28で接続される。コモンレール17は図2ではシリン
ダヘッド9内に配置されているが、実際は油圧配管28
を延長してシリンダヘッド9の外部に配置する。油圧配
管28は本体14及びガイドスリーブ21の入口穴2
9,30に連通される。一方、ガイドスリーブ21の入
口穴30の下方に出口穴31が設けられ、出口穴31は
本体14の出口穴32を介してピストン室19に連通さ
れる。スプール弁22は、上端が閉じられた円筒状に形
成されると共に、外周部の長手方向中央部が縮径され
て、ガイドスリーブ21内面との間に軸方向に長い連通
路33を区画している。
【0015】そこで、図5に示すように、電磁ソレノイ
ド20が励磁(ON)されると、スプール弁22がリター
ンスプリング23の付勢力に抗じて下降し、連通路33
により入口穴29(図に現れず),30と出口穴31,
32とを連通するようになる。コモンレール17からは
油圧配管28を通じて常時油圧(流体圧)が供給されて
おり、このときは油圧がピストン室19に供給されるよ
うになる。また、図6に示すように、電磁ソレノイド2
0が非励磁(OFF )となれば、スプール弁22がリター
ンスプリング23の付勢力等によって上昇し、入口穴2
9(図に現れず),30と出口穴31,32とが遮断さ
れ、ピストン室19への油圧供給が停止されると共に、
ピストン室19の油圧が出口穴31,32、ガイドスリ
ーブ21内を通じてスプリング受け部材24のチョーク
穴34から排出されるようになる。ここで油圧がエンジ
ン潤滑油によるものなので、排出された潤滑油はそのま
ま動弁機構の潤滑等に用いられることになる。このよう
に電磁弁16は、ONのとき供給側に、OFF のときに排出
側にそれぞれ切り替わることとなる。
【0016】特に、チョーク穴34が絞りを形成するた
め、電磁ソレノイド20がOFF とされたときの油圧排出
は比較的緩慢に行われる。
【0017】次に、図1乃至図3に示すように、ピスト
ン15は、ピストン挿入穴14bの内面に沿って摺動可
能な大径の摺動部35と、摺動部35の軸心位置から下
方に延出する小径の軸部36とから一体的になる。ピス
トン15の下方には押動部材37が設けられ、押動部材
37は上端が閉じられた円筒状に形成されると共に、シ
リンダヘッド9から起立された案内軸38が挿通され
る。これによって押動部材37は案内軸38に沿って昇
降可能となる。また、押動部材37は二重のリターンス
プリング39,39によって上方に付勢され、軸部36
の下面に常時当接される。つまりリターンスプリング3
9,39が、押動部材37を介してピストン15を上方
に付勢している。
【0018】ここで、押動部材37及びバルブブリッジ
6には、径方向外方に突出する突出部40,41が一体
的に設けられ、押動部材37の突出部40はバルブブリ
ッジ6の突出部41の上面に当接されている。
【0019】この構成によれば、図5に示すように、電
磁ソレノイド20がONとされピストン室19に油圧供給
が行われると、ピストン15がその油圧によって下方に
押動され、これに伴って押動部材37、バルブブリッジ
6及び排気弁2が押し下げられる。これにより排気弁2
は開弁ないしリフトされる。このときのリフト量はカム
4による正規のリフト量より小さい。一方、図6に示す
ように、電磁ソレノイド20がOFF とされピストン室1
9の油圧が排出されれば、ピストン15が押動部材37
及びバルブブリッジ6を介し、リターンスプリング3
9,39及びバルブスプリング7によって上昇される。
これにより排気弁2は閉弁される。
【0020】このように、ピストン15は、電磁ソレノ
イド20のON/OFFに応じて、排気弁2を正規のバルブタ
イミングとは独立して開閉することができる。ただし、
仮に、ピストン15によるリフト(以下ピストンリフト
という)とカム4によるリフト(以下カムリフトとい
う)とが互いに干渉した場合はリフト量の多い方が優先
される。例えば、ピストン15が排気弁2を開弁してい
るとき、カム4が正規のタイミングで排気弁2を開弁し
ようとした場合、カム4によるリフト量が上回れば、突
出部40,41同士が離れ、バルブブリッジ6がロッカ
ーアーム5のみにより押し下げられる。そして排気弁2
はカム4のみによってリフトされるようになる。
【0021】ここで、ピストン15の下降量、つまり排
気弁2のピストンリフト量は以下のリリーフ機構によっ
て所定量に制限される。即ち、図8に示すように、ピス
トン15の軸心部には、ピストン室19のオイルをリー
クさせるためのリーク穴42が設けられ、リーク穴42
は逆T字状に形成されて下方の末端が外部に開放されて
いる。一方、ピストン室19の上壁にはストッパボルト
43が所定位置まで螺合され、ロックナット44によっ
て位置が固定されている。ストッパボルト43の内部の
中空穴45にリターンスプリング46とチェックピン4
7とが配設され、チェックピン47はリターンスプリン
グ46によって下方に付勢されている。中空穴45の内
側壁にストップリング46aが係止され、チェックピン
47の下降が規制されている。チェックピン47は、ピ
ストン15の頂面に当接してリーク穴42を塞ぎ得るよ
うになっている。
【0022】これにおいては、ピストン15が油圧を受
けて下降する際、チェックピン47がリーク穴42を塞
ぎつつ、ピストン15に追従して下降する。しかしなが
ら、その下降がストップリング46aで規制されると、
その位置からピストン15が下がった瞬間、リーク穴4
2が開き、ピストン室19のオイルがリーク穴42から
排出される。これによってピストン室19の最大油圧値
が規定され、ピストン15ないし排気弁2の下降量も一
定量に制限される。ここではストッパボルト43の位置
がピストン15の下降量、排気弁2のピストンリフト量
を決定するようになるが、これは外部から容易に調節す
ることができる。即ち、ロックナット44を緩め、スト
ッパボルト43の位置を調節してロックナット44を再
度締め付ければ、位置調節が達成される。
【0023】なお、このようなリリーフ作用により、エ
ンジンオーバーラン時のジャンプ、バウンス等に基づく
排気弁2とエンジンピストンとの衝突を防止できる。ま
たオイルにエアが混入した場合でもエアをオイルととも
に排出できる。
【0024】ところで、図4に示すように、電磁ソレノ
イド20は電子制御装置であるコントローラ48に電気
的に接続されている。コントローラ48は、ここでは本
装置専用でECUと組み合わせて使用されるが、別段他
の電子制御装置と兼用であっても構わない。コントロー
ラ48の構成、機能は後に明らかとなる。ここでコント
ローラ48には回転センサ49が接続されている。回転
センサ49は、カムシャフト3のスリット付円盤3aを
利用して、カムシャフト3の所定角度(ここでは360
°)回転毎に基準パルスを発生する。
【0025】また、同図に示すように、本装置1は、大
気圧程度のエンジン潤滑油を高圧まで高めてコモンレー
ル17に蓄えるための油圧発生装置50を有する。特に
ここではその一部をエンジンに通常装備されるオイルポ
ンプ等と共用にしている。
【0026】油圧発生装置50は、オイルパン51に貯
留された大気圧程度のエンジン潤滑油を吸入して吐出す
るエンジン潤滑用オイルポンプ52を有する。このオイ
ルポンプ52から吐出されたオイルの圧力は、リリーフ
弁53で管理され、リリーフ弁53を経たオイルはオイ
ルフィルタ54を通過した後、オイルギャラリ55に貯
えられる。ここから種々の配管を通じてオイルが各エン
ジン潤滑部に供給される訳だが、ここではそのギャラリ
圧のオイルがさらに、フィルタ56を経た後、蓄圧用オ
イルポンプ57で高圧まで昇圧されるようになってい
る。蓄圧用オイルポンプ57から吐出されたオイルは、
蓄圧用リリーフ弁58で所定のコモンレール圧に調整さ
れる。そしてこのコモンレール圧のオイルがコモンレー
ル17に供給され蓄えられる。59は圧力計である。
【0027】蓄圧用オイルポンプ57は、カムシャフト
3に通常設けられるタイミングギヤ60で駆動されるよ
うになっている。これによって蓄圧用オイルポンプ57
はエンジン回転数の1/2 の回転数で回転駆動されること
となる。図中、破線はオイルの戻り経路を示す。
【0028】さて、以上の構成にかかる本装置の動作内
容は図9に示す如きである。ここで図9は本装置単体で
の動作をシミュレーションした結果で、横軸にはクラン
ク角がとってある。先ず、所定のクランク角(ここでは
排気弁2と同一シリンダのエンジンピストンの上死点)
で回転センサ49から基準パルスが発生すると、コント
ローラ48が所定の遅延時間T1を経過した時点で、所定
の出力時間T2だけ電磁ソレノイド20に駆動信号(ON信
号)を出力する。こうなるとその時間だけ電磁弁16が
供給側に切り替わり、コモンレール17の高圧油がピス
トン15に供給され、ピストン15が押動部材37、バ
ルブブリッジ6を介して排気弁2を開弁させる。出力時
間T2が経過すると、コントローラ48が電磁ソレノイド
20をOFF にするので、これによって電磁弁16が排出
側に切り替わり、ピストン室19のオイルが排出され、
ピストン15が上昇し、排気弁2が閉弁する。出力時間
T2が短時間であるため、ピストン室19への油圧供給は
パイロット的に行われ、排気弁2のリフトカーブは図示
するように山形となる。上段の線図はピストン室19の
供給側(入口側)の圧力を示しており、ピストン室19
への油圧供給が行われると圧力が低下する。aで示す圧
力低下部分が最初に排気弁2を静止状態から動かすため
の慣性油圧である。一方、bで示す圧力上昇部分が油圧
排出時のバルブスプリング7、リターンスプリング3
9,39による戻り油圧である。
【0029】これと対応したコントローラ48の構成、
機能を以下に説明する。図4に示すように、コントロー
ラ48は、強電部(ドライバ)をなし電磁ソレノイド2
0に駆動信号を出力するソレノイド駆動回路と、弱電部
をなしソレノイド駆動回路への出力信号を成形する演算
回路とからなる。演算回路は具体的には、クロック、ゲ
ート1、ゲート2、カウンタ1、カウンタ2、カウンタ
比較器1、カウンタ比較器2、及び遅延時間T1、出力時
間T2のマップをメモリしたROM からなる。
【0030】クロックは一定時間間隔で時間パルスを発
生しており、そのパルスをゲート1に常時送出してい
る。一方ゲート1は、回転センサ49から基準パルスを
入力した時点で、いわゆる開状態となり、カウンタ1に
時間パルスを送出する。カウンタ1では、その時間パル
スのパルス数をカウントしてそのカウント数をカウンタ
比較器1に送る。
【0031】ここで、遅延時間T1、出力時間T2のマップ
には、エンジン回転数及びエンジン負荷に対応する各時
間T1,T2の値が設定されている。エンジン回転数及びエ
ンジン負荷のデータはECUから送られ、これらに基づ
きコントローラ48は、基準パルス入力時の遅延時間T
1、出力時間T2をマップからルックアップする。もっと
も、エンジン運転状態を示す他の要素、例えば水温、吸
気圧等を含めて各時間T1,T2を決定するようにしてもよ
い。
【0032】こうして決定された遅延時間T1と、カウン
タ1のカウント数とがカウンタ比較器1で比較される。
そしてカウント数が遅延時間T1に相当する値となったな
らば、カウンタ比較器1からソレノイド駆動回路に命令
信号が出される。こうなればソレノイド駆動回路が電磁
ソレノイド20に駆動信号を出力する。
【0033】カウンタ比較器1による命令信号はゲート
2にも出力される。この時点でゲート2が開状態とな
り、カウンタ2にクロックからの時間パルスが送出され
る。カウンタ比較器2では、前述の如く決定された出力
時間T2とカウンタ2によるカウント数とが比較される。
そしてカウント数が出力時間T2に相当する値となったな
らば、カウンタ比較器2からソレノイド駆動回路に、駆
動信号送出停止のための命令信号が出される。こうなれ
ば、ソレノイド駆動回路が駆動信号の送出を停止する。
以上により図9の動作が達成される。
【0034】ここで、図10には、本装置の油圧応答特
性を調べた試験結果が示されている。基準パルスの代わ
りに近接スイッチの信号が用いられ、この信号発生時か
ら所定の遅延時間T1を経過した後、所定の出力時間T2の
間だけ、電磁ソレノイド20に駆動信号(ソレノイド印
加電圧)が出力されている。これによって電磁ソレノイ
ド20に電流が流れ、やや遅れてピストン室19の油圧
が立ち上がる。本装置には僅かながらこのような応答遅
れが存在する。
【0035】さて、上述のように本装置では、遅延時間
T1、出力時間T2の決定の仕方により排気弁2の開弁タイ
ミングをいかようにも設定できる。そこで本装置では、
排気弁2の開弁タイミングを図11に示すように決定す
ることとしている。
【0036】同図も図9と同様のシミュレーション結果
であり、本装置をエンジンに適用した例であるが、同図
に示されるように、排気弁2は少なくともエンジンの圧
縮行程で開弁され、またそうなるように遅延時間T1、出
力時間T2が決定されている。基準パルスがエンジンピス
トン上死点で発生するのは同様で、このパルス発生後、
所定の遅延時間T1を経て、所定の出力時間T2だけ電磁ソ
レノイド20が励磁され、一瞬遅れて排気弁2がリフト
するようになっている。このリフト期間と正規のリフト
期間とはオーバーラップせず、図示例ではエンジンが圧
縮上死点となったときに最大リフトするようになってい
る。もっとも、ピストンリフトによるリフト開始時期、
リフト期間、リフト量は、遅延時間T1、出力時間T2の決
定の仕方により自由に変化させることができる。例え
ば、リフト開始時期を早めたいときは遅延時間T1を短く
すればよい。またリフト期間、リフト量を多くしたいと
きは、出力時間T2を長くすれば、油圧排出時期が遅れ、
ピストン室19の油圧値も増大するので、リフト期間が
長くなり、リフト量も多くなる。こうして、本装置によ
れば、排気弁の開弁タイミング、リフト量をいかように
も決められ、車両の減速度運転に適したブレーキ力調整
を容易に行えるようになる。
【0037】図12、図13は、本装置適用のエンジン
を実際に運転したときの試験結果である。図12はピス
トンリフト量を大きくした場合、図13は小さくした場
合である。これらの図から、実際の結果がシミュレーシ
ョン結果にほぼ一致していることが分かる。
【0038】図14は本装置適用のエンジンのシミュレ
ーション結果で、横軸に筒内容積(V)、縦軸に筒内圧
(P)をとった圧縮ブレーキサイクル曲線(PV線図)
である。ここではリフト期間を変化させることにより、
リフト量をL1 ,L2 ,L3(ただしL1 >L2
3 )と変化させている。図示するようにリフト量が大
きくなるに従い最大筒内圧が減少している。高いブレー
キ力を得るためにはエンジンピストンの動きに対するリ
フト開始時期とリフト期間とが重要で、同じブレーキ力
を得る場合、リフト量を大きくして筒内圧を下げた方が
騒音、装置耐久上有利である。
【0039】ここで、本装置では、電磁弁16のチョー
ク穴34により、ピストン室19から油圧を排出する
際、排出速度を抑えて油圧排出を緩慢にできる。これに
より、ピストン15が一気に上昇することがなくなり、
排気弁2の上昇速度も抑えて着座時(閉弁時)の衝撃を
抑制できる。そして打撃騒音の低減、耐久性の向上等も
図れる。
【0040】また、本装置は従来のようなポンプユニッ
トを必要としないシンプルな構成である点も有利であ
る。しかもアクチュエータユニット13が、同一の本体
14にピストン15と電磁弁16とを取り付けたコンパ
クトな構成であるため、シリンダヘッド9内に容易に組
み込むことができる。このように、本装置をエンジンに
搭載する場合のエンジンの改造規模を縮小でき、コスト
を抑制することができる。また、本装置はエンジンと独
立した構成であるため、エンジンに任意的に付加するこ
とができるし、故障した際もフェールセーフが確保でき
る。
【0041】ここで、図9のaに示したように、開弁初
期には排気弁2を静止状態から動かすための慣性油圧が
発生する。従来の油圧管制方式だと、カムのプロフィー
ルに基づく開弁リフト曲線となるため、動弁の慣性力も
カム加速度の範囲で発生するが、本装置では油圧と時間
制御とにより開弁リフト曲線を創成できるため、同じ慣
性力の場合、油圧緩衝により機械的衝撃を吸収できる。
よって本装置の場合、動弁系の耐久性向上に大きく寄与
できる。
【0042】ところで、他の実施の形態としては図7に
示すようなものが考えられる。前記実施の形態では、ピ
ストン15でバルブブリッジ6を押し下げ、両方の排気
弁2を開弁させるようになっていたが、ここでは一方の
排気弁2のみを開弁させる構成となっている。即ち、排
気弁2の上方にプッシュロッド62とピストン15とが
同軸配置され、ピストン15はプッシュロッド62を介
して排気弁2を押し下げるようになっている。プッシュ
ロッド62はスリーブ63に摺動自在に挿通され、スリ
ーブ63はバルブブリッジ6に螺合され、ナット64で
固定される。ここでは図示する排気弁2がバルブブリッ
ジ6に固定されておらず、図示しない他方の排気弁2の
みがバルブブリッジ6に固定される。プッシュロッド6
2とスリーブ63の下端部とはテーパ嵌合するようにな
っている。
【0043】この構成によれば、バルブブリッジ6がエ
ンジンのカム4で押し下げられず静止しているとき、ピ
ストン15が油圧で押し下げられれば、プッシュロッド
62がスリーブ63内を下降して排気弁2を押し下げ
る。一方、バルブブリッジ6がエンジンのカム4で押し
下げられたときは、スリーブ63下端部のテーパ部がプ
ッシュロッド62下端部のテーパ部に係合するので、プ
ッシュロッド62と排気弁2とが同時に押し下げられ
る。このときピストン15が下降しなければプッシュロ
ッド62がピストン15から離れる。
【0044】他の構成の相違点としては、本体14内に
リターンスプリング39とスプリング受け65とが設け
られる点、電磁弁16が倒立配置されている点等が揚げ
られる。このような1弁駆動方式を採用するか、2弁駆
動方式を採用するかは事情に応じて定めればよい。例え
ば、高いブレーキ力を得たい場合は2弁駆動方式、性能
よりコストを優先する場合は1弁駆動方式とするかの如
くである。この他、排気ブレーキ装置との併用や、ブレ
ーキ時の過給機運転による高ブレーキ出力仕様とするこ
とも考えられる。
【0045】他にも本発明は種々の実施の形態を採用し
得る。例えばエンジン潤滑油以外の流体の使用等が考え
られる。
【0046】
【発明の効果】以上要するに本発明は以下の如き優れた
効果を発揮する。
【0047】(1) 車両の減速度運転に適したブレー
キ力調整を容易に行えるようになる。
【0048】(2) エンジン搭載時のエンジン改造規
模を縮小でき、コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエンジンブレーキ装置の縦断正面
図である。
【図2】同平面図である。
【図3】同縦断側面図である。
【図4】本装置の全体構成図である。
【図5】本装置作動時の縦断側面図である。
【図6】本装置非作動時の縦断側面図である。
【図7】他の実施の形態を示す縦断面図である。
【図8】リリーフ機構を示す半断面図である。
【図9】本装置単体の動作をシミュレーションした結果
を示すタイムチャートである。
【図10】本装置の油圧応答特性線図である。
【図11】本装置をエンジンに適用した場合の動作をシ
ミュレーションした結果を示すタイムチャートである。
【図12】本装置適用のエンジンを実際に運転させた場
合のタイムチャートである。
【図13】本装置適用のエンジンを実際に運転させた場
合のタイムチャートである。
【図14】本装置適用のエンジンのシミュレーション結
果を示す圧縮ブレーキサイクル曲線である。
【図15】従来例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 エンジンブレーキ装置 2 排気弁 14 本体 15 ピストン 16 電磁弁 17 コモンレール 48 コントローラ 57 蓄圧用オイルポンプ T1 遅延時間 T2 出力時間

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体圧を蓄える蓄圧室と、該蓄圧室の流
    体圧の供給により押動されて排気弁を正規のバルブタイ
    ミングとは独立して開弁し得るピストンと、ピストンに
    対する流体圧の給排制御を実行すべく設けられた電磁弁
    と、エンジン運転状態に基づき上記電磁弁を切替制御す
    るコントローラであって、上記排気弁がエンジンの圧縮
    行程で開弁するよう上記電磁弁を切り替えるコントロー
    ラとを備えたことを特徴とするエンジンブレーキ装置。
  2. 【請求項2】 上記コントローラが、エンジン運転状態
    に基づき所定の遅延時間と所定の出力時間とを決定し、
    エンジン回転に基づく基準パルスの入力時から上記遅延
    時間を経過した後、上記出力時間だけ、上記電磁弁に駆
    動信号を出力する請求項1記載のエンジンブレーキ装
    置。
  3. 【請求項3】 上記ピストンと上記電磁弁とが同一の本
    体に取り付けられた請求項1又は2記載のエンジンブレ
    ーキ装置。
  4. 【請求項4】 上記流体圧がエンジン潤滑油による油圧
    であって、上記蓄圧室にギャラリ圧の潤滑油をさらに昇
    圧して供給する蓄圧用オイルポンプをさらに備えた請求
    項1乃至3いずれかに記載のエンジンブレーキ装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016014394A (ja) * 2014-07-01 2016-01-28 エフピーティー モーターエンフォーシュング エージー 特に産業車および商用車における燃焼機関用の潤滑オイルシステム
US9664121B2 (en) 2014-11-13 2017-05-30 Hyundai Motor Company Exhaust CAM non connection engine brake, vehicle having the same as auxiliary brake, and method for controlling the same
CN108825326A (zh) * 2018-09-10 2018-11-16 浙江黎明发动机零部件有限公司 一种电磁控制式发动机制动装置及其启闭控制方法

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