JPH11220975A - トランスジェニック動物 - Google Patents

トランスジェニック動物

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JPH11220975A
JPH11220975A JP10323340A JP32334098A JPH11220975A JP H11220975 A JPH11220975 A JP H11220975A JP 10323340 A JP10323340 A JP 10323340A JP 32334098 A JP32334098 A JP 32334098A JP H11220975 A JPH11220975 A JP H11220975A
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一 烏山
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博通 米川
Nagaharu Taya
長治 多屋
Kunie Matsuoka
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TOKYOTO RINSHOU IGAKU SOGO KEN
TOKYOTO RINSHOU IGAKU SOGO KENKYUSHO
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TOKYOTO RINSHOU IGAKU SOGO KEN
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗アレルギー薬の探索または評価のためのモ
デル動物として有用な、新規トランスジェニック動物お
よびその使用方法を提供する。 【解決手段】 特定の抗原の単回投与によりアレルギー
反応を呈することを特徴とするトランスジェニック動
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、抗アレルギー薬
の探索または評価のためのアレルギー動物モデルとして
有用なトランスジェニック動物に関する。
【0002】
【従来の技術】アトピー等のアレルギー反応は、アレル
ゲンに特異的に結合したイムノグロブリンE(以下「I
gE」という)が、マスト細胞上のIgEレセプターを
架橋することによって開始される。そして、マスト細胞
からヒスタミン等メディエーターの放出が起こり、アレ
ルギー反応を呈するようになる。今日、アレルギーの治
療は主として抗ヒスタミン剤や抗炎症ステロイド剤等に
よるものであるが、それら以外の作用点を有する、より
特異的な治療方法の開発は、適切な実験動物がないこと
により妨げられている。
【0003】従来、実験動物にアレルギー反応を誘発さ
せるためには、予め抗原乃至アレルゲンを繰り返し免疫
することにより動物を感作しておいてから当該抗原乃至
アレルゲンを投与する必要があった。この場合、同時に
多数の動物を感作するのは多大な労力を要するばかりで
なく、個々の動物間に反応性のばらつきが生じることが
あり、実験の再現性の上で問題となることがあった。
【0004】また近年、NC/Ngaマウスがアトピー
性皮膚炎のモデル動物として注目されているが、このマ
ウスに起こる皮膚炎は自然発症型であり、ある特定のア
レルゲンに曝露したときに初めて発症するような誘発型
のものではない。また、該マウスで皮膚炎を起こすアレ
ルゲンも特定されていない。
【0005】ところで、特定のアレルゲンに特異的なI
gEを常時産生させるような遺伝子操作を動物に施すこ
とにより、該アレルゲンの単回投与でアレルギー反応を
誘発するようなモデル動物を作製することが可能と考え
られる。これまでにIgEのトランスジェニックマウス
については一例の報告がある(Adamczewski et al. (19
91) Eur. J. Immunol. 21, 617-626)ものの、該マウス
に導入されたのはIgEの重鎖をコードする遺伝子のみ
であり、軽鎖をコードする遺伝子は導入されていなかっ
たため、該マウスは高IgE血症を呈するのみで、抗原
特異的なIgEは産生しなかった。したがってこのマウ
スは、単回のアレルゲン投与によってアレルギー反応を
誘発するようなモデル動物とはなっていない。
【0006】また、国際特許公開WO95/15376
号公報には、ヒト化されたIgEレセプターα鎖をコー
ドする遺伝子を導入したトランスジェニックマウスが開
示されているが、このマウスのマスト細胞にアレルギー
反応を起こさせてアレルギーモデル動物として利用する
には、ヒト抗体もしくはヒト化抗体を投与する必要があ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】 本発明の目的は、抗
アレルギー薬の探索または評価のためのモデル動物とし
て有用な、新規トランスジェニック動物およびその使用
方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】 本発明者らは、上記の
ような問題点を克服し、IgEの重鎖定常領域をコード
するDNAから予め膜結合部位をコードする部分を除去
したDNAを使用して、特定の抗原に対するIgEを常
時発現するような遺伝子操作を動物に施すことにより、
事前の抗原感作を行なうことなしに、該特定の抗原の単
回投与によりアレルギー反応を呈することを特徴とす
る、新規トランスジェニック動物の作出に成功し、本発
明を完成させた。
【0009】すなわち、本発明は、(1) 下記の構成
要素a)およびb)を含むイムノグロブリン(以下「I
g」という)構造を有する分子を常時発現することがで
きるようにそのゲノムが改変されていることを特徴とす
る、トランスジェニック非ヒト動物: a)Ig重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む少なく
とも一つの抗原特異的認識部位(ただし、該認識部位
は、予め選択された抗原に対して特異性を有する); b)該動物のマスト細胞上に発現しているイムノグロブ
リンE(以下「IgE」という)レセプターへの結合を
可能ならしめる重鎖定常領域、(2) 重鎖定常領域が
IgE重鎖定常領域、その一部およびその同効物から選
択されることを特徴とする、(1)記載のトランスジェ
ニック動物、(3) 重鎖定常領域がIgE重鎖定常領
域であることを特徴とする、(1)記載のトランスジェ
ニック動物、(4) Ig構造を有する分子がIgEで
あることを特徴とする、(1)記載のトランスジェニッ
ク動物、(5) Ig構造を有する分子が一つのIg軽
鎖および一つのIg重鎖からなることを特徴とする、
(1)記載のトランスジェニック動物、(6) 重鎖定
常領域が、天然に存在するIgE重鎖定常領域由来であ
ることを特徴とする、(1)記載のトランスジェニック
動物、(7) 事前の抗原感作なしに、特異的抗原に対
するアレルギー反応を呈することを特徴とする、(1)
乃至(6)のいずれか一つに記載のトランスジェニック
動物、(8) 導入された外来遺伝子の産物であるIg
構造を有する分子の血中濃度が、少なくとも8μg/m
lであることを特徴とする、(1)乃至(7)のいずれ
か一つに記載のトランスジェニック動物、(9) 導入
された外来遺伝子の産物であるIg構造を有する分子の
血中濃度が、事前に抗原感作された同種の非トランスジ
ェニック動物における特異的IgEの血中濃度と少なく
とも同等またはそれ以上であることを特徴とする、
(1)乃至(7)のいずれか一つに記載のトランスジェ
ニック動物、(10) 予め選択される抗原が、Ig構
造を有する分子と複合体を形成し、マスト細胞上のIg
Eレセプターを介してヒトのアレルギー症状を擬制した
アレルギー反応を起こし得るものであることを特徴とす
る、(1)乃至(9)のいずれか一つに記載のトランス
ジェニック動物、(11) ヒトのアレルギー症状が花
粉症であることを特徴とする、(10)記載のトランス
ジェニック動物、(12) 齧歯類であることを特徴と
する、(1)乃至(11)のいずれか一つに記載のトラ
ンスジェニック動物、(13) マウスであることを特
徴とする、(1)乃至(11)のいずれか一つに記載の
トランスジェニック動物、(14) ゲノムの改変にゲ
ノミックDNAが使用されていることを特徴とする、
(1)乃至(13)のいずれか一つに記載のトランスジ
ェニック動物、(15) ゲノミックDNAが、有効な
プロモーターおよびエンハンサー領域を含むことを特徴
とする、(14)記載のトランスジェニック動物、(1
6) Ig構造を有する分子の重鎖および軽鎖可変領域
が単一のIgアイソタイプ由来であることを特徴とす
る、(1)記載のトランスジェニック動物、(17)
ゲノムの改変が、同種動物由来のDNAによるものであ
ることを特徴とする、(1)記載のトランスジェニック
動物、(18) Ig構造を有する分子の重鎖定常領域
がヒトマスト細胞上のIgEレセプターと結合可能なも
のから選択されており、かつマスト細胞上に発現するI
gEレセプターが、抗原と複合体を形成したヒトIgE
と結合できるようにヒト化されていることを特徴とす
る、(1)記載のトランスジェニック動物、(19)
Ig構造を有する分子の重鎖定常領域が分泌型IgE分
子由来であることを特徴とする、(1)記載のトランス
ジェニック動物、(20) Ig構造を有する分子をコ
ードする遺伝子のホモ接合体であることを特徴とする、
(1)記載のトランスジェニック動物、(21) 予め
選択される抗原が、花粉由来アレルゲン、真菌由来アレ
ルゲン、ダニ由来アレルゲン、ハウスダスト、動物(皮
屑、糞、体毛)由来のアレルゲン、昆虫由来アレルゲ
ン、食品(卵、牛乳、肉、魚介類、豆類、穀類、果物・
野菜)アレルゲン、寄生虫由来アレルゲン、薬品アレル
ゲン、化学物質アレルゲンおよび一つもしくは二つ以上
のトリニトロフェニル基を有する物質からなる群より選
択されることを特徴とする、(1)乃至(20)のいず
れか一つに記載のトランスジェニック動物、(22)
予め選択される抗原が、一つもしくは二つ以上のトリニ
トロフェニル基を有する物質であることを特徴とする、
(1)乃至(20)のいずれか一つに記載のトランスジ
ェニック動物、(23) Ig構造を有する分子の重鎖
定常領域が分泌型IgE由来であって、かつ配列表の配
列番号2のアミノ酸番号120から542に示されるア
ミノ酸配列を含むものであることを特徴とする、(1)
記載のトランスジェニック動物、(24) Ig構造を
有する分子の重鎖定常領域をコードする遺伝子が、配列
表の配列番号1のヌクレオチド番号415から1683
に示されるヌクレオチド配列を実質的に含むDNAであ
ることを特徴とする、(23)記載のトランスジェニッ
ク動物、(25) Ig構造を有する分子の軽鎖が、配
列表の配列番号3のヌクレオチド番号397から714
に示されるヌクレオチド配列を実質的に含むDNAにコ
ードされる分泌型イムノグロブリンEの軽鎖定常領域を
有するものであることを特徴とする、(1)記載のトラ
ンスジェニック動物、(26) Ig構造を有する分子
の重鎖が、配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から5
42に示されるアミノ酸配列を含むものであることを特
徴とする、(1)記載のトランスジェニック動物、(2
7) Ig構造を有する分子の軽鎖が、配列表の配列番
号4のアミノ酸番号1から219に示されるアミノ酸配
列を含むものであることを特徴とする、(1)記載のト
ランスジェニック動物、(28) Ig構造を有する分
子の重鎖が配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から5
42に示されるアミノ酸配列からなり、同軽鎖が配列表
の配列番号4のアミノ酸番号1から219に示されるア
ミノ酸配列からなることを特徴とする、(1)記載のト
ランスジェニック動物、(29) Ig構造を有する分
子の重鎖をコードする遺伝子が、配列表の配列番号1の
ヌクレオチド番号58から412に示されるヌクレオチ
ド配列を含むDNAであることを特徴とする、(26)
記載のトランスジェニック動物、(30) Ig構造を
有する分子の軽鎖をコードする遺伝子が、配列表の配列
番号3のヌクレオチド番号58から394に示されるヌ
クレオチド配列を含むDNAであることを特徴とする、
(27)記載のトランスジェニック動物、(31) I
g構造を有する分子の重鎖をコードする遺伝子が、配列
表の配列番号1のヌクレオチド番号58から412に示
されるヌクレオチド配列を含むDNAであり、かつ同軽
鎖をコードする遺伝子が、配列表の配列番号3のヌクレ
オチド番号58から394に示されるヌクレオチド配列
を含むDNAであることを特徴とする、(28)記載の
トランスジェニック動物、(32) 下記の構成要素
a)およびb)を含むIg構造を有する分子を常時発現
することができるようにそのゲノムが改変されているこ
とを特徴とする、トランスジェニック非ヒト動物: a)Ig重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む少なく
とも一つの抗原特異的認識部位(ただし、該認識部位
は、予め選択された抗原に対して特異性を有する); b)該動物のマスト細胞上に発現しているIgEレセプ
ターへの結合を可能ならしめる重鎖定常領域: を得る方法であって、まず動物受精卵に、 i)定常領域が分泌型IgE由来であって、可変領域が
特定の抗原に特異的な結合活性を有するIgE由来であ
ることを特徴とするIg重鎖をコードする遺伝子、およ
び ii)可変領域が前記重鎖可変領域を有するIg由来で
あることを特徴とするIg軽鎖をコードする遺伝子を導
入し、次いで、 iii)該受精卵を偽妊娠処置を施した同種の雌動物卵
管に移植し、 iv)該動物胎内で発生させる, ことを特徴とする方法、(33) (32)記載の方法
によって得られるトランスジェニック動物、(34)
下記の構成要素a)およびb)を含むIg構造を有する
分子を常時発現することができるようにそのゲノムが改
変されていることを特徴とする、トランスジェニック非
ヒト動物: a)Ig重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む少なく
とも一つの抗原特異的認識部位(ただし、該認識部位
は、予め選択された抗原に対して特異性を有する); b)該動物のマスト細胞上に発現しているIgEレセプ
ターへの結合を可能ならしめる重鎖定常領域: を得る方法であって、該Ig重鎖をコードする遺伝子が
導入されたトランスジェニック動物と、該Ig軽鎖をコ
ードする遺伝子が導入された同一種由来のトランスジェ
ニック動物とを交配し、次いで前記両方の遺伝子を保持
する動物を得ることを特徴とする方法、(35) (3
4)記載の方法によって得られるトランスジェニック動
物、(36) 下記の構成要素a)およびb)を含むI
g構造を有する分子を常時発現することができるように
そのゲノムが改変されていることを特徴とする、トラン
スジェニック非ヒト動物: a)Ig重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む少なく
とも一つの抗原特異的認識部位(ただし、該認識部位
は、予め選択された抗原に対して特異性を有する); b)該動物のマスト細胞上に発現しているIgEレセプ
ターへの結合を可能ならしめる重鎖定常領域: を得る方法であって、該Igのいずれか一方の鎖をコー
ドする遺伝子が導入されたトランスジェニック動物か
ら、該Igの両方の鎖をコードする遺伝子を保持する動
物を得ることを特徴とする方法、(37) (36)記
載の方法によって得られるトランスジェニック動物、
(38) 動物に抗原を曝露することによって生じるア
レルギー症状に対する、物質の抗アレルギー活性を評価
する方法であって、まず該抗原に特異的なIg構造を有
する分子を定常的に発現する(1)記載の動物を得、次
いで該抗原を該動物に抗アレルギー薬の評価が可能な方
法および条件下で投与することを含むことを特徴とする
方法、(39) 事前の抗原感作なしに、予め選択され
た抗原の単回投与によりアレルギー反応を呈することを
特徴とする、トランスジェニック非ヒト動物、(40)
予め選択された抗原に対して特異的なIgEを構成的
に発現するようにゲノムが改変されていることを特徴と
する、トランスジェニック非ヒト動物、(41) 予め
選択された抗原に対して特異的な結合能を有する抗体型
分子を構成的に発現するようにゲノムが改変されている
トランスジェニック非ヒト動物であって、該抗体型分子
が該動物のマスト細胞上のIgEレセプターに結合可能
な重鎖定常領域を有することを特徴とする動物、に関す
る。
【0010】本発明は、下記の構成要素a)およびb)
を含むIg構造を有する分子を常時発現できるようにそ
のゲノムが改変されていることを特徴とするトランスジ
ェニック非ヒト動物を提供する: a)Ig重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む少なく
とも一つの特異的抗原認識部位(ただし、該認識部位
は、予め選択された抗原に対して特異性を有する); b)該動物のマスト細胞上に発現しているIgEレセプ
ターへの結合を可能ならしめる重鎖定常領域。
【0011】また、本発明は、マスト細胞上に発現して
いるIgEレセプターへの結合が可能な定常領域(好ま
しくはIgE重鎖定常領域、その一部またはその同効
物)を有し、特定の抗原に特異的に結合する抗体型分子
を常時発現するように、そのゲノムが改変されているこ
とを特徴とするトランスジェニック非ヒト動物を提供す
る。
【0012】さらに本発明は、特定の抗原に特異的に結
合するIgEを常時発現するようにそのゲノムが改変さ
れていることを特徴とするトランスジェニック非ヒト動
物を提供する。
【0013】さらにまた、本発明は、事前の感作を必要
とせず、特定の抗原の単回投与によりアレルギー反応を
呈することを特徴とするトランスジェニック非ヒト動物
を提供するものである。
【0014】本発明において、「抗体型分子」とは、少
なくとも一つずつ(好ましくは一つずつ)の軽鎖および
重鎖を含む特徴的なIg構造を有し、特定の抗原に特異
的に結合する分子をいう。このうち、少なくとも一つの
重鎖定常領域はマスト細胞上のIgEレセプターに結合
可能でなければならない。この重鎖定常領域は天然に存
在するものである必要はなく、例えば、あるIgEの定
常領域をそのまま用いても、または少なくともIgEレ
セプターに対する結合能が維持されるようにその定常領
域のアミノ酸配列が改変された同効物であってもよい。
【0015】ここに「同効物」とは、導入される遺伝子
がコードする分子内に、天然に存在するあるIgEの定
常領域と同じ態様でマスト細胞上のIgEレセプターに
結合できるような定常領域として組み込まれ得る全ての
配列をいう。すなわち、該分子とその特異的抗原とが形
成する複合体により架橋されたIgEレセプターがアレ
ルギー反応を起こすことができれば、いかなる配列であ
ってもよい。
【0016】「重鎖可変領域」および「軽鎖可変領域」
という用語は、Ig分子中で抗原に対する結合能を担う
領域を示す。本発明においては、それら可変領域は天然
に存在するものから選択するのが便利であるが、必要な
抗原結合能を有するように人工的に設計されたものも用
いられ得る。
【0017】本発明によれば、複数種類の異なるIgE
分子が常時発現されるようにすることにより、それぞれ
の外来IgEに対応した抗原に対して反応する、安定し
た動物モデルが提供される。このことにより、実験の長
期化や結果のばらつきの原因となっていた、従来の抗原
感作の操作が不要となる。
【0018】本発明の動物は、実質的に安定した量の外
来IgE(典型的な例では約8μg/mlまたはそれ以
上)を発現する。この外来IgE発現量は、いかなる動
物種であっても、当該技術分野における周知の方法(例
えば、後述するような方法)により確認することができ
る。
【0019】本発明の、特定のIgEを発現する動物
は、通常、例えばIgEレセプターが欠損していたりし
ない限り、事前に抗原感作した普通の動物よりも高値の
IgEを産生し、しかも予め選択された抗原の最初の曝
露によりアレルギー反応を呈する。これにより、抗アレ
ルギー剤の探索が容易となる。
【0020】本発明の動物には特定の抗原に対してアレ
ルギーを起こせるが、その症状としては例えば花粉症や
アトピー性皮膚炎等のヒトのアレルギー症状を動物で擬
制したものが選択され得る。したがって、抗アレルギー
療法の研究においては、特定の症状に対する治療法を調
べたり、容易に測定できるマーカーを利用して同定され
るアレルギー反応を起こすようにすることができる。
【0021】本発明に使用するための動物(ヒトを除
く)は、IgEを介してアレルギー反応を起こすもので
あればいかなる動物でもよい。小動物の多くは好適に使
用できるが、他の制約がない場合は、繁殖が早く維持が
容易なものが特に好ましい。その中でも、ウサギ、ラッ
トまたはマウスがより好適であり、マウスが最も好適で
ある。
【0022】本発明の動物は予め決まった特異性を有す
るIgEを発現するが、そのIgEをコードする導入遺
伝子は所望の抗原に特異的に結合するように改変されて
いてもよい。そのような改変は、例えば、まず所望の抗
原に特異的に結合する抗体を産生するハイブリドーマを
取得し、次いで当該技術分野における周知の方法でその
抗体をコードするDNAをクローニングすることにより
可能である。そのようなDNAを使用する利点は、その
可変領域の再構成が既に完了していることにある。この
DNAが適切なプロモーターおよびエンハンサー領域と
ともにゲノムに組み込まれると、結果として予め選択さ
れた抗原に特異性を有するIgEのサブユニット(重鎖
または軽鎖)が発現される。導入されるIgをコードす
る遺伝子はcDNAまたはゲノミックDNAのいずれで
もよいが、プロモーターおよびエンハンサー領域を伴っ
たゲノミックDNAがより好適である。
【0023】重鎖および軽鎖の可変領域としては、抗原
認識を最適にするため、互いに補い合って同一の抗原を
認識するようなものであればよい。また両可変領域は、
IgE由来のものに特に限定はされないが、同じ型の抗
体分子由来であることが好ましい。さらに、両可変領域
は同一の動物種由来(例えば、マウス重鎖とマウス軽
鎖)であることが好ましいが、それに限定されない。
【0024】本発明において、導入されるIgEに必須
な要件は、抗原と結合して複合体を形成したら、その動
物体内のマスト細胞上のIgEレセプターに結合できる
ことである。例えば、動物がマウスの場合、マウスIg
E重鎖由来の定常領域か、少なくともそのIgEレセプ
ターに結合可能な部分またはその同効物が、導入される
分子の一部を構成していないと、抗原と複合体を形成で
きてもIgEレセプターと結合できないことになる。た
だし、外来IgEレセプター遺伝子が導入された動物を
用いるような場合はこの限りではなく、例えば国際特許
出願WO95/15376号公報に開示されているよう
な、ヒト化されたIgEレセプターのトランスジェニッ
クマウスを利用して本発明のトランスジェニック動物を
作出しようとする場合は、ヒトIgE重鎖由来の定常領
域が使用される(なお、ヒトIgE重鎖定常領域をコー
ドする遺伝子の配列は公知(Flanagan and Rabbitts (1
982) EMBO J. 1, 655-660他)である)。
【0025】したがって、トランスジェニック動物体内
で、予め選択された抗原と結合することができ、その結
合が起こった際にマスト細胞上のIgEレセプターを架
橋してアレルギー反応を起こすことさえできれば、本発
明において導入されるIgEは、その動物体内で天然に
産生されるIgEと関連したものでなくてもよい。
【0026】より具体的には、本発明のトランスジェニ
ック動物に導入される抗原特異的Ig重鎖または軽鎖を
コードする遺伝子は、いかなる動物由来のものでもよい
が、以下に記載する条件: 1) 重鎖の定常領域部分は分泌型IgE分子由来のも
のである(ここで、「分泌型IgE」とは、細胞膜結合
部位を有さず、細胞外に分泌されるIgE分子をい
う)。なお軽鎖定常領域は重鎖定常領域と同種の動物由
来であることが好ましいが、それに限定されない; 2) 重鎖、軽鎖の可変領域部分は同一のIg分子由来
のものである(定常領域と同一のIgE由来でもよ
い);および 3) 重鎖定常領域部分が遺伝子導入される動物体内で
産生されるIgEレセプターと結合可能である; を全て満たしていることが好ましい。
【0027】そのようなIgをコードする遺伝子は、好
適にはマウス、ラット等の齧歯類動物由来のIgをコー
ドする遺伝子またはサル、ヒト等霊長類動物由来のIg
をコードする遺伝子であり、より好適にはマウスまたは
ヒト由来のIgをコードする遺伝子である。さらに、重
鎖をコードする遺伝子として好適なものとして、配列表
の配列番号2のアミノ酸番号120から542に示され
るアミノ酸配列を含む重鎖定常領域および任意の抗体の
重鎖可変領域を含むポリペプチドをコードするDNAを
挙げることができる。また、軽鎖をコードする遺伝子と
して好適なものとして、配列表の配列番号4のアミノ酸
番号114から219に示されるアミノ酸配列を含む軽
鎖定常領域および前記重鎖可変領域を有する抗体の軽鎖
可変領域を含むポリペプチドをコードするDNAを挙げ
ることができる。より好適には配列表の配列番号2のア
ミノ酸番号1から542に示されるアミノ酸配列を含む
ポリペプチドをコードするDNAおよび/または配列表
の配列番号4のアミノ酸番号1から219に示されるア
ミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNAであ
る。
【0028】上記において可変領域部分を提供するIg
は、IgG、IgM、IgA、IgE等いかなるIgで
もよく、また分泌型であるか膜結合型であるかを問わな
い。すなわち、本発明のトランスジェニック動物に導入
される遺伝子にコードされるIgは天然型に限定され
ず、例えば可変領域がIgG由来で重鎖定常領域がIg
E由来であるようなものでもよく、さらにいわゆるキメ
ラ抗体やヒト化抗体等の人工改変抗体でもよい。遺伝子
導入する動物とは異種の動物由来のIgや人工改変抗体
をコードする遺伝子を導入する場合は、導入された遺伝
子の発現産物であるIgまたは該人工改変抗体が該動物
体内で自己または外来の(トランスジェニック技術によ
り導入された)IgEレセプターに結合可能であればよ
い。なお、本発明のトランスジェニック動物に導入され
た遺伝子産物のIgは、通常新生仔の時期から産生され
るので、非自己と認識されずに免疫寛容が成立すると考
えられ、特異的抗原のない環境下であれば発生や生育に
及ぼす影響は少ない。
【0029】導入する遺伝子を取得するための遺伝子源
としては、導入によって発現させようとする抗原特異的
Igを十分量産生する細胞、特にモノクローナル抗体を
産生するハイブリドーマを用いることが好ましい。ただ
し、分泌型IgE定常領域をコードするゲノミックDN
Aのみを別個に取得する場合は、抗体産生細胞以外の細
胞も好適に使用可能である。分泌型IgE産生細胞とし
ては、免疫グロブリンとして所望の抗原特異的IgEを
専ら産生するハイブリドーマが好ましく用いられる。そ
のようなIgE産生ハイブリドーマとしては、TNP基
を有する物質に特異的に結合するIgE(以下「抗TN
PIgE」という)産生細胞であるIGEL−b4(A
TCC(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクショ
ン) TIB 141、Eur. J. Immunol. (1981) 11,
527-529およびMol. Immunol. (1992) 29, 161-166参
照)を例示することができる。
【0030】本発明の動物に導入されたIg遺伝子は、
少なくともアレルギー反応の試験が行われる時期までに
構成的に発現していればよい。ただし、抗体の産生を誘
導するために人為的操作を要するような場合は、試験に
余分な操作が加わることになり、事前の感作を必要とす
る従来法と比較して利点が少ない。よって、導入された
Ig遺伝子は、アレルギー反応を即座に起こせる程度に
連続的に十分量発現されることが重要である。
【0031】本発明において「特定の抗原」とは、イム
ノグロブリン(以下「Ig」という)が特異的に結合し
得る物質であって、本発明で使用される動物自らは通常
産生しない物質であればいかなるものでもよく、天然物
由来であるか人工的な物質であるかを問わない。好適な
抗原として、以下に挙げるようなアレルゲンが例示でき
る:花粉由来アレルゲン(スギなどの樹木、カモガヤ等
のイネ科植物、ブタクサ等の雑草などに由来するもの。
例えば、スギ花粉アレルゲンCry j 1(J. AllergyClin.
Immunol. 71, 77-86 (1983))、同Cry j 2(FEBS Lett
ers, 239, 329-332(1988))、ブタクサアレルゲン(Amb
a I.1、Amb a I.2、Amb a I.3、Amb a I.4、Amb a II
等));真菌由来アレルゲン(アスペルギルス属、カン
ジダ属、アルテルナリア属等);ダニ由来アレルゲン
(ヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ等由来のアレル
ゲン。例えばDer p I、Der p II、Der p III、Der p VI
I、Der f I、Der f II、Der f III、Der f VII等);ハ
ウスダスト;動物の皮屑、糞、体毛由来のアレルゲン
(例えばネコアレルゲンFel d I);昆虫由来のアレル
ゲン(ガ、チョウの鱗毛、鱗粉、ユスリカ等またはスズ
メバチ等の毒);食品に含まれるアレルゲン(卵、牛
乳、肉、魚介類、豆類、穀類、果物・野菜等);寄生虫
由来のアレルゲン(カイチュウ、アニサキス等);薬品
(ペニシリン、インシュリン等);化学物質(イソシア
ネート、エチレンオキサイド、無水フタル酸、ラテック
ス等); 2,4,6−トリニトロフェノール等、トリニトロフェ
ニル(以下「TNP」という)基を有する物質 等を挙げることができる。このうち最も好適なものは、
一つもしくは二つ以上のTNP基を有する物質である
(なお、これらのアレルゲンの多くは例えばフナコシ
(株)を通じて購入することができる)。
【0032】本発明のトランスジェニック動物は、導入
された外来のIg重鎖をコードする遺伝子または同軽鎖
をコードする遺伝子のヘテロ接合体、およびホモ接合体
を包含するものである。いずれの場合も、導入された遺
伝子は発現するので、アレルギー動物モデルとして利用
可能である。なお、本発明のトランスジェニック動物も
しくは本発明のトランスジェニック動物と他のトランス
ジェニック動物等の系統との雑種を繁殖によって得よう
とする場合には、本発明のトランスジェニック動物のホ
モ接合体を少なくとも一方の親として使用する方が、よ
り確実に目的の動物を生産できる。
【0033】また例えば、本発明のトランスジェニック
動物を作出するために、特定の抗原に特異的な結合活性
を有するIg重鎖をコードする遺伝子が導入されたトラ
ンスジェニック動物と、同軽鎖をコードする遺伝子が導
入された同一種由来のトランスジェニック動物とを交配
する方法や、まず重鎖をコードする遺伝子を導入したト
ランスジェニック動物を作出し、次にそのトランスジェ
ニック動物またはその子孫を材料として軽鎖をコードす
る遺伝子を導入する方法等を採用することが可能であ
る。従って、特定の抗原に特異的な結合活性を有するI
g重鎖または軽鎖のいずれか一方をコードする遺伝子が
導入されたトランスジェニック動物は、それ自体本発明
の効果を奏するものではないが、本発明のトランスジェ
ニック動物を作出するための中間体として有用である。
【0034】
【発明の実施の形態】 本発明のトランスジェニック動
物は、動物受精卵に特定の抗原に特異的な結合活性を有
するIg重鎖をコードする遺伝子および/または同軽鎖
をコードする遺伝子を導入し、次いで該受精卵を偽妊娠
処置を施した同種の雌動物卵管に移植し、該動物胎内で
発生させることにより作出することができる。また、特
定の抗原に特異的な結合活性を有するIg重鎖をコード
する遺伝子が導入されたトランスジェニック動物と、同
軽鎖をコードする遺伝子が導入された同一種由来のトラ
ンスジェニック動物とを交配する方法や、まず重鎖をコ
ードする遺伝子を導入したトランスジェニック動物を作
出し、次にそのトランスジェニック動物またはその子孫
を材料として軽鎖をコードする遺伝子を導入する方法等
を採用することもできる。
【0035】前記した遺伝子源から所望の遺伝子クロー
ンを単離する方法としては、通常の遺伝子クローニング
で汎用されるものをいずれも採用しうる。以下に本発明
における好適なクローニング方法を概説するが、本発明
のトランスジェニック動物に導入する遺伝子のクローニ
ング方法はこれらに限定されない。
【0036】まず、細胞からのmRNA(ポリ(A)+
RNA)の調製は、まず全RNAを調製し、該全RNA
からオリゴ(dT)セルロースやオリゴ(dT)ラテッ
クスビーズ等のポリ(A)+ RNA精製用担体を用いて
精製する方法、または細胞ライセートから該担体を用い
て直接精製する方法により実施できる。全RNAの調製
方法としては、アルカリショ糖密度勾配遠心分離法[Do
ugherty, W. G. and Hiebert, E. (1980) Viology 101,
466-474参照]、グアニジンチオシアネート・フェノー
ル法、グアニジンチオシアネート・トリフルオロセシウ
ム法、フェノール・SDS法、グアニジンチオシアネー
トおよび塩化セシウムを用いる方法[Chirgwin, J. M.,
et al. (1979) Biochemistry 18, 5294- 5299参照]等
も採用し得るが、全RNA抽出用溶媒(ISOGEN
(登録商標):ニッポンジーン(株)社製)を用いる方
法が好適である。
【0037】上記のごとくして得られたポリ(A)+
NAを鋳型として、逆転写酵素反応により一本鎖cDN
Aを合成した後、この一本鎖cDNAから二本鎖cDN
Aを合成することができる。この方法としてはS1ヌク
レアーゼ法[Efstratiadis,A., et al. (1976) Cel1 7,
279-288 参照]、グブラー−ホフマン法[Gubler,U. a
nd Hoffman, B. J. (1983) Gene 25, 263-269 参照]、
オカヤマ−バーグ法[Okayama, H. and Berg, P. (198
2) Mol. Cell. Biol. 2, 161-170 参照]等を採用し得
るが、本発明においては、逆転写酵素反応後直ちに、該
反応生成物である一本鎖cDNAを鋳型としてポリメラ
ーゼ連鎖反応(以下「PCR」という)[Saiki, R.
K., et al. (1988) Science 239, 487-49 参照]を行な
う、いわゆるRT−PCR法が好適である。特にIgの
場合、マウス等のmRNAからPCRを利用してクロー
ニングを行なうためのプライマーが重鎖用、軽鎖用とも
に市販されているので、それら既製のプライマーとハイ
ブリドーマから抽出されたRNAを使用してRT−PC
Rを実施することにより、所望のIg重鎖または軽鎖を
コードするcDNA断片を容易に取得することができ
る。
【0038】このようにして得られた二本鎖cDNAを
クローニングベクターに組み込み、得られた組換えベク
ターを大腸菌等の微生物に導入して形質転換させ、テト
ラサイクリン耐性あるいはアンピシリン耐性等を指標と
して形質転換体を選択することができる。大腸菌の形質
転換は、ハナハン法[Hanahan, D. (1983) J. Mol. Bio
l. 166, 557-580 参照]、すなわち塩化カルシウムや塩
化マグネシウムまたは塩化ルビジウムを共存させて調製
したコンピテント細胞に、該組換えDNAベクターを加
える方法により実施することができる。なお、ベクター
としてブラスミドを用いる場合は、上記の薬剤耐性遺伝
子を有することが必要である。また、プラスミド以外の
クローニングベクター、例えばラムダ系のファージ等を
用いることも可能である。
【0039】上記により得られた形質転換株から、目的
の抗原特異的Igの各サブユニットをコードするcDN
Aを有する株を選択する方法としては、例えば以下に示
す各種方法を採用できる。なお、上記RT−PCR法に
より目的のcDNAを特異的に増幅した場合は、これら
の操作を省略することが可能である。
【0040】(1)ポリメラーゼ連鎖反応を用いる方法 目的タンパク質のアミノ酸配列の全部または一部が解明
されている場合、該アミノ酸配列の一部に対応するセン
スストランドとアンチセンスストランドのオリゴヌクレ
オチドプライマーを合成し、これらを組合せてポリメラ
ーゼ連鎖反応[Saiki, R. K., et al. (1988) Science
239, 487-49 参照]を行ない、目的の抗原特異的Ig重
鎖あるいは軽鎖サブユニットをコードするDNA断片を
増幅する。ここで用いる鋳型DNAとしては、例えばT
NP抗原特異的モノクローナルIgEを産生するハイブ
リドーマのmRNAより逆転写酵素反応にて合成したc
DNAを用いることができる。
【0041】このようにして調製したDNA断片は、市
販のキット等を利用して直接プラスミドベクターに組み
込むこともできるし、該断片を32P、35Sあるいはビオ
チン等で標識し、これをプローブとして用いてコロニー
ハイブリダイゼーションまたはプラークハイブリダイゼ
ーションを行なうことにより目的のクローンを選択する
こともできる。
【0042】例えば、本発明のトランスジェニック動物
に導入される抗原特異的Igの各サブユニットの部分ア
ミノ酸配列を調べる方法としては、電気泳動やカラムク
ロマトグラフィーなどの周知の方法を用いて各サブユニ
ットを単離してから、自動プロテインシークエンサー
(例えば、島津製作所(株)製 PPSQ−10)等を
利用してそれぞれのサブユニットのN末端アミノ酸配列
を解析する方法が好適である。
【0043】上記のごとくして得られた目的の形質転換
株より、抗原特異的Igの各サブユニットをコードする
cDNAを採取する方法は、公知の方法[Maniatis,
T., etal. (1982) in "Molecular Cloning A Laborator
y Manual" Cold Spring Harbor Laboratory, NY. 参
照]に従い実施できる。例えば細胞よりベクターDNA
に相当する画分を分離し、該プラスミドDNAより目的
とするサブユニットをコードするDNA領域を切り出す
ことにより行うことが可能である。
【0044】(2)合成オリゴヌクレオチドプローブを
用いるスクリーニング法 目的タンパク質のアミノ酸配列の全部または一部が解明
されている場合(該配列は、複数個連続した特異的配列
であれば、目的タンパク質のどの領域のものでもよ
い)、該アミノ酸配列に対応するオリゴヌクレオチドを
合成し(この場合、コドン使用頻度を参考に推測される
ヌクレオチド配列、または考えられるヌクレオチド配列
を組み合わせた複数個のヌクレオチド配列のいずれも採
用でき、また後者の場合イノシンを含ませてその種類を
減らすこともできる)、これをプローブ(32P、35Sあ
るいはビオチン等で標識する)として、形質転換株のD
NAを変性固定したニトロセルロースフィルターとハイ
ブリダイズさせ、得られたポジティブ株を選別する。
【0045】このようにして得られるDNAの配列の決
定は、例えばマキサム−ギルバートの化学修飾法[Maxa
m, A. M. and Gilbert, W. (1980) in "Methods in Enz
ymology" 65, 499-576参照]やジデオキシヌクレオチド
鎖終結法[Messing, J. andVieira, J. (1982) Gene 1
9, 269-276参照]等により実施することができる。
【0046】また近年、蛍光色素を用いた自動塩基配列
決定システムが普及している(例えばパーキンエルマー
ジャパン社製シークエンスロボット"CATALYST 800"およ
びモデル373A DNAシークエンサ一等)。
【0047】こうしたシステムを利用することで、DN
Aヌクレオチド配列決定操作を能率よく、かつ安全に行
うことも可能である。このようにして決定された本発明
のDNAの各ヌクレオチド配列、および重鎖および軽鎖
の各N末端アミノ酸配列データから、本発明のトランス
ジェニック動物に導入する抗原特異的Igの重鎖および
軽鎖の全アミノ酸配列を決定することができる。
【0048】また、導入遺伝子をゲノミックDNAの形
でクローニングする場合は、遺伝子源となる細胞から定
法に従ってDNAを抽出し、ゲノムライブラリーを作製
した後、上記のcDNAクローニングの場合と同様の方
法により所望のクローンを単離することができる。
【0049】全アミノ酸配列または部分アミノ酸配列が
既知であるようなIgEの定常領域については、それら
の知見に基づいてまず定常領域をコードする遺伝子を別
途クローニングすることができるので、本発明において
は、そのようにしてクローニングされたIgE定常領域
をコードする遺伝子を、抗原特異的Igの可変領域をコ
ードする遺伝子と連結することにより、導入する遺伝子
を調製することができる。なおこの場合、連結する遺伝
子が両者ともイントロンを含むゲノミックDNAであれ
ば、両者の間にエンハンサー配列を挿入することがで
き、また翻訳される際のリーディングフレームを合わせ
る必要もない。さらに、可変領域をコードする遺伝子を
他の抗原特異的Igのものと置換することにより、所望
の抗原に対するアレルギーモデル動物を作製するための
導入遺伝子を作製することができる。
【0050】導入する遺伝子を動物細胞内で発現させる
ための、プロモーターやエンハンサー等の調節遺伝子と
しては、導入された動物の細胞内で機能するものであれ
ばいずれも使用することができるが、特にイムノグロブ
リン遺伝子のプロモーターまたはエンハンサーが最も好
適である。該プロモーターまたはエンハンサーは、公知
のもの[例えば、Hiramatsu, R. et al., (1995) Cell
83, 1113-1123参照]を別途クローニングしておいて導
入遺伝子に連結するか、もしくは導入遺伝子としてクロ
ーニングしたゲノミックDNA中に含まれているものを
そのまま利用することにより使用可能である。
【0051】導入遺伝子は、動物受精卵に導入する際に
は、IgをコードするDNAおよびその発現を制御する
プロモーターやエンハンサーを含む断片の形態であれば
よく、それ以外の部分は除去して使用することができ
る。したがって、導入遺伝子を増幅するためのベクター
としては、公知のクローニング用ベクターをいずれも使
用することができるが、導入に必要な断片を切り取るた
めに適当な制限酵素切断部位を有するものが好ましい。
また、適当な制限酵素部位がないベクターを使用した場
合も、導入に必要な部分の両端に対応するセンスおよび
アンチセンスプライマーを用いたPCRを実施すること
によって、該必要部分のみの増幅が可能である。
【0052】そのような、導入遺伝子を増幅するための
宿主−ベクター系としては、通常の遺伝子クローニング
で汎用されているものを好適に利用することができる。
原核細胞の宿主としては、例えば大腸菌(Escherichia
coli)や枯草菌(Bacillus subtilis)等が挙げられ
る。目的の遺伝子をこれらの宿主細胞内で増幅させるに
は、宿主と適合し得る種由来のレプリコン、すなわち複
製起点を含んでいるプラスミドベクターで宿主細胞を形
質転換すればよい。またべクターは、形質転換した細胞
での表現形質による選択性を付与することができる配列
を有するものが望ましい。例えば大腸菌としては、E.
coli K12株由来のJM109株等がよく用いら
れ、ベクターとしては、一般にpBR322やpUC系
のプラスミドがよく用いられるが、これらに限定され
ず、公知の各種の菌株およびベクターをいずれも使用で
きる。
【0053】上記のごとくして得られた導入遺伝子をプ
ロモーター下流に連結し、さらに必要に応じてエンハン
サーやポリA付加シグナル配列等を連結したものを上記
増幅用ベクターに組込んで組換えベクターを構築し、該
組換えベクターで形質転換された宿主を培養することに
より、該組換えベクターを増幅して、必要量の導入遺伝
子を得ることができる。導入効率を上げるため、導入遺
伝子は、ベクター部分を制限酵素消化等により除去した
後、塩化セシウム密度勾配遠心分離等の操作により精製
されることが好ましい。
【0054】遺伝子を導入する動物は、ヒト以外の哺乳
動物であればよいが、特にマウス、ラット等の齧歯類が
好適であり、マウスが最も好適である。
【0055】動物から受精卵を取得し、遺伝子導入の
後、偽妊娠動物に移植し発生させる手順については、既
に確立されている方法に従うことができる[発生工学実
験マニュアル(野村達次 監修、勝木元也 編、1987年
刊)、マウス胚の操作マニュアル("Manipulating the
Mouse Embryo, A Laboratory Manual" B. Hogan, F. Co
stantini and E. Lacy著、山内一也、豊田裕、森庸厚、
岩倉洋一郎 訳、1989年刊)、特公平5−48093号
公報等参照]。具体的には、例えばマウスの場合、まず
雌マウス(BALB/c、C57BL/6等)に排卵誘
起剤を投与後、同系統の雄と交配し、翌日雌マウスの卵
管より前核受精卵を採取する。次いで、導入するDNA
断片溶液を微小ガラス管を用いて受精卵の前核に注入す
る。このとき、重鎖をコードする遺伝子と軽鎖をコード
する遺伝子とを混合したものを注入することが好ましい
が、本発明はこの方法に限定されない。遺伝子をDNA
を注入した受精卵は、偽妊娠仮親雌マウス(Slc:I
CR等)の卵管に移植し、約20日後に自然分娩又は帝
王切開により出生させる。
【0056】このようにして得られた動物が導入した遺
伝子を保持していることを確認する方法としては、該動
物の尾等からDNAを抽出し、該DNAを鋳型として導
入遺伝子に特異的なセンスおよびアンチセンスプライマ
ーを用いたPCRを行う方法、該DNAを数種の制限酵
素で消化後ゲル電気泳動し、ゲル中のDNAをニトロセ
ルロース膜やナイロン膜等にブロッティングしたものに
ついて導入遺伝子の全部または一部を標識したものをプ
ローブとしたサザンブロット解析を行なう方法等を挙げ
ることができる。
【0057】また、導入された遺伝子が実際に動物体内
で発現しているか否かを確認する方法としては、末梢血
中のIg濃度をエンザイム・イムノアッセイ法(以下
「ELISA法」という)により測定して正常動物より
も血中Ig濃度が高いことを確認するか、または導入し
た遺伝子にコードされるIgが特異的に結合する抗原を
固相化して、該固相化抗原に対する血中Igの結合活性
をELISA法により調べる方法等を挙げることができ
る。
【0058】本発明のトランスジェニック動物が、導入
した遺伝子にコードされるIgが特異的に結合する抗原
の単回投与によりアレルギー反応を起こすことを確認す
る方法としては、例えば該抗原を動物皮膚に塗布し、塗
布部位の皮膚の発赤や肥厚を観察する方法、該抗原を静
脈注射することにより全身性のアナフィラキシー症状
(呼吸困難、体温低下、運動停止、血管透過性の上昇
等)を起こすか否かを確認する方法等を挙げることがで
きる。また、上記のような実験系において、抗アレルギ
ー薬の候補物質を抗原投与の前後に投与するか、または
抗原との同時投与や連続投与を行なってアレルギー反応
が軽減されるか否かを調べることにより、該候補物質の
薬効評価を行なうことができる。なお、本発明のトラン
スジェニック動物が抗原投与により起こすアレルギー反
応の多くは、上記のようないわゆるI型アレルギー反応
に分類されるものであるので、上記以外の他のI型アレ
ルギー反応を起こさせる実験系で候補物質の薬効評価を
行なうことも可能である。
【0059】さらに、本発明のトランスジェニック動物
と、同種の他のトランスジェニック動物等の系統との交
配により、両系統の遺伝的特徴を有する動物を得ること
ができる。例えば、本発明の方法に従って、導入遺伝子
にコードされるIgの重鎖定常領域がヒトIgE由来で
あるようなトランスジェニックマウスを作出し[ヒトI
gE定常領域をコードする遺伝子については、Seno, M.
et al. (1983) Nuc.Acids Res. 11, 719-726、Ueda,
S. et al. (1982) EMBO J. 1, 1539-1544等参照]、該
トランスジェニックマウスと、ヒトIgEレセプターを
コードする遺伝子が導入されたトランスジェニックマウ
ス[Fung-Leung, W-P. et al. (1996) J. Ex. Med. 18
3, 49-56およびDombrowicz, D. et al. (1996) J. Immu
nol. 157,1645-1651参照]とを交配させることにより、
IgE−IgEレセプター系がヒト型であるトランスジ
ェニックマウスを得ることができ、該マウスはヒトのア
レルギーを想定したモデル動物として有用である。
【0060】
【実施例】 以下に実施例および試験例をあげ、本発明
をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定され
るものではない。なお、遺伝子操作実験における基本操
作については文献[Maniatis, T., et al. (1982) in "
Molecular Cloning A Laboratory Manual" Cold Spring
Harbor Laboratory, NY. 参照]の記載に従った。
【0061】1. 抗TNP IgEの重鎖および軽鎖
をコードするcDNA断片の単離 (1)RNAの調製 抗TNPIgE産生ハイブリドーマ IGEL−b4
(ATCC TIB 141、Rudolph, A. K. et al.
(1981) Eur. J. Immunol. 11, 527-529、Kofler,H. et
al. (1992) Mol. Immunol. 29, 161-166およびNaito,
K. et al. (1995)Eur. J. Immunol. 25, 1631-1637参
照)を、5%ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地
中で、37℃で5×107細胞になるまで培養した後、
遠心分離(12000rpm、5分間)により沈澱した
細胞を回収した。この細胞に全RNA抽出用溶媒(IS
OGEN(登録商標):ニッポンジーン(株)社製)1
mlを加え懸濁し、細胞を溶解させた。この溶解液にク
ロロホルム 0.4mlを加えて懸濁した後、1500
0rpm、4℃で15分間遠心分離してから水層(上
層)を回収した。このものに等量の2−プロパノールを
加えてから−80℃で1時間冷却した後、15000r
pm、4℃で20分間遠心分離して上清を除去した。沈
澱を1mlの75% エタノールで洗浄し、再び150
00rpm、4℃で5分間遠心分離して上清を除去し
た。この沈澱を風乾してから、200μlの水に溶解し
たものを全RNA試料とした。
【0062】(2)RT−PCR 上記(1)で調製した全RNAを鋳型として、市販のR
T−PCR用キット(ギブコ・ビーアールエル社製)、
マウス免疫グロブリン可変領域特異的プライマー(重鎖
用プライマー1および同2、または軽鎖用プライマー混
合液:ファルマシア社製)およびTaqポリメラーゼ
(Ex Taq(登録商標)、宝酒造(株)社製)を用
いてRT−PCRを実施した。
【0063】 逆転写反応: 全RNA 10乃至15μg オリゴdT(10μM、キットに付属) 1μl 5× 第一鎖合成用緩衝液(キットに付属) 4μl 25mM 塩化マグネシウム(キットに付属) 2μl 0.1M ジチオスレイトール(キットに付属) 2μl 上記試料および試薬を混合し、全量が19μlとなるよ
うに水を加え、逆転写酵素(キットに付属)を1μl加
えてから42℃で50分保温した。
【0064】 PCR(重鎖用反応と軽鎖用反応を別個に実施した): 逆転写反応液 2μl 10× PCR用緩衝液(キットに付属) 5μl 10mM dNTP1μl プライマー 重鎖用プライマー1および同2 各0.5μl 軽鎖用プライマー混合液 0.5μl 上記試料および試薬を混合し、全量が49.5μlとな
るように水を加え、Taqポリメラーゼを0.5μl加
えてから、96℃で2分加温した後、96℃で30秒、
55℃で1分、72℃で1分の温度サイクルを40サイ
クル実施し、さらに72℃で7分保温してから、25℃
で10分保温した。
【0065】(3)PCR産物の分離 上記(2)で得られた重鎖用および軽鎖用RT−PCR
反応液についてそれぞれ0.8% アガロースゲル電気
泳動を実施した。泳動終了後、ゲルを常法に従って臭化
エチジウムで染色してからUVトランスイルミネーター
上でDNAバンドを可視化し、それぞれの試料について
300乃至350bpに相当するバンド部分のゲルを切
り出して透析チューブ(シームレス、セルロース製)中
に入れた。この透析チューブを電気泳動槽中に入れて電
気泳動(100V、1時間)を行なうことにより、DN
Aをゲルから溶出させた後、透析チューブ内液を回収し
てフェノール抽出、フェノール・クロロホルム抽出およ
びクロロホルム抽出を行った後、エタノール沈澱操作を
行ってDNAを精製し、10乃至20μlのTE緩衝液
(10mM トリス−塩酸(pH8.0)、1mM エ
チレンジアミン四酢酸(以下「EDTA」という))に
溶解した。このようにして得られたRT−PCR産物
を、プラスミドベクター pCRII(インビトロジェ
ン社製)に、ライゲーションキット(宝酒造(株)社製)
を用いて組み込んだ後、コンピテント大腸菌株(JM1
09)を常法に従って形質転換してアンピシリン耐性ク
ローンを選択した。これらのクローンを少量培養してプ
ラスミドDNAを調製した後、ジデオキシ法に従ってヌ
クレオチド配列を解析した。その結果、得られたクロー
ンは重鎖用、軽鎖用とも、IGEL−b4が産生する抗
TNPIgEの重鎖または軽鎖可変領域の一部をコード
するDNA(配列表の配列番号1のヌクレオチド番号5
8から412および配列番号3のヌクレオチド番号58
から393)を有することが確認された。
【0066】(4)プローブの標識 上記(3)で得られた、重鎖または軽鎖の可変領域の一
部をコードするDNAを含むプラスミドをそれぞれ制限
酵素EcoRIで消化した後、電気泳動を行ってから
(3)記載と同様の方法でそれぞれの挿入DNA断片を
単離した。これらの断片をそれぞれランダムプライマー
法用DNA標識キット(バージョン2、宝酒造(株)社
製)および[α−32P]dCTP(ニューイングランド
ニュークリア(NEN)社製)を用いて標識し、ゲノミ
ックDNAスクリーニング用のプローブとした。
【0067】2. 抗TNPIgEの重鎖および軽鎖を
コードするゲノミックDNAのクローニング (1)ゲノミックDNAの抽出 抗TNPIgE産生ハイブリドーマ IGEL−b4
を1×107細胞になるまで培養し、1200rpmで
5分間遠心分離して上清を除去した。沈澱した細胞を氷
冷したダルベッコPBS(−)(phosphate buffered s
aline:以下単に「PBS」という)で2回洗浄した
後、100mM 塩化ナトリウム、25mM EDT
A、0.5% ラウリル硫酸ナトリウム(以下「SD
S」という)および0.1mg/ml プロテイナーゼ
Kを含む10mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)
に懸濁し、50℃で保温しながら一晩振盪した。次いで
このものについてフェノール抽出、フェノール・クロロ
ホルム抽出およびクロロホルム抽出を行った後、エタノ
ール沈澱操作を行ってDNAを精製し、水に溶解したも
のをゲノミックDNA試料とした。
【0068】(2)ゲノムライブラリーの調製 上記(1)で調製したゲノミックDNAを、制限酵素E
coRI、BamHI、PstI、BglII、Xba
I、HindIIIまたはSacIでそれぞれ消化し
た。各消化物をアガロースゲル電気泳動し、ナイロン膜
(ハイボンド−N+:アマシャム社製)にブロッティン
グした後、上記1.の(4)で調製した重鎖および軽鎖
に対応するプローブ、マウスIgM重鎖をコードするD
NAを保持するプラスミドpVH167μ[Kim, S. et
al., (1981) Cell 27, 573-581、Proc. Natl. Acad. S
ci. USA (1980) 77, 7400-7404参照]に由来するHin
dIII−XbaI断片を標識したプローブ、および同
軽鎖をコードするDNAを保持するプラスミドpV16
7Cκ[Selsing, E. and Storb, U., (1981) Cell 25,
47-58参照]のSacI−SacII断片を標識したプ
ローブを用いてそれぞれハイブリダイゼーションを行っ
た。なお、pVH167μのHindIII−XbaI
断片およびpV167CκのSacI−SacII断片
は、それぞれIgM重鎖および軽鎖をコードするゲノミ
ックDNAの可変領域の一部をコードする部分とエンハ
ンサー上流の領域を含む断片である。重鎖、軽鎖それぞ
れについて、上記1.の(4)で調製した重鎖用プロー
ブとpVH167μのHindIII−XbaI断片の
プローブ、または上記1.の(4)で調製した軽鎖用プ
ローブとpV167CκのSacI−SacII断片の
プローブとで共通に検出されるバンドをクローニングす
るため、該バンド付近のゲノミックDNA断片のDNA
ライブラリーを以下に記載する方法に従って構築した。
【0069】まず、上記(1)で調製したゲノミックD
NAを、制限酵素EcoRI(重鎖用)またはHind
III(軽鎖用)で消化した。それぞれの消化物を0.
8%アガロースゲルで電気泳動し、泳動後のゲルを臭化
エチジウムで染色した後、UVトランスイルミネーター
上で目的のバンドに相当する部分のゲルを切り出し、上
記1.の(3)に記載した方法でゲル中のDNAを抽出
・精製した。
【0070】このようにして得られたEcoRI消化断
片(重鎖用)をλgt10(ストラタジーン社製)に、
またHindIII消化断片(軽鎖用)をZAP エク
スプレス ベクター(ストラタジーン社製)に、それぞ
れT4 DNAリガーゼ(ニュー・イングランド・バイ
オラブ社製)を用いて連結した。これらのものを、パッ
ケージングキット(GIGAPACK II Gold、ストラタジー
ン社製)を用いてファージにパッケージングした。その
結果、それぞれ9×105プラーク形成単位(pfu)
(重鎖用ライブラリー)、4×106pfu(軽鎖用ラ
イブラリー)の力価を有するDNAライブラリーが得ら
れた。
【0071】(3)スクリーニング 上記(2)で得られた重鎖用および軽鎖用DNAライブ
ラリーから、上記1.の(4)で調製したプローブにハ
イブリダイズするクローンを以下に記載の方法(プラー
クハイブリダイゼーション法)に従ってスクリーニング
した。
【0072】まず、宿主大腸菌(重鎖用:NM514
株、軽鎖用:XL1−Blue MRF'株(以上スト
ラタジーン社製))に重鎖用または軽鎖用ライブラリー
を感染させ、それらをφ15cmプラスチックシャーレ
中に作製した寒天培地プレート上に1×105プラーク
が出現するように培養した。このプレート上にナイロン
膜(ハイボンド N+:アマシャム社製)をのせ、はが
した後風乾した。次に、この膜を1.5M 塩化ナトリ
ウムを含む0.5N 水酸化ナトリウム水溶液に5分間
浸して膜上のDNAをアルカリ変性させた後、1.5M
塩化ナトリウムを含む0.5M トリス−塩酸緩衝液
(pH7.6)に5分間浸して中和した。さらにこの膜
を2×SSC(1×SSCは0.15M 塩化ナトリウ
ム、15mM クエン酸三ナトリウム)に5分間浸して
から、風乾した後、UVクロスリンカー(ストラタジー
ン社製)を用いてDNAを膜上に固定した。
【0073】この膜を、プレハイブリダイゼーション溶
液(50% ホルムアミド、5×SSC、50mM リ
ン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)、1×デンハート
液、250μg/ml 変性サケ精子DNA)に浸し、
42℃で1時間保温した後、上記1.の(4)で調製し
た重鎖用または軽鎖用プローブを含むハイブリダイゼー
ション溶液(プレハイブリダイゼーション溶液:50%
硫酸デキストラン=4:1(v/v))に浸し、42
℃で一晩保温した。膜を取り出し、2×SSC/0.1
% SDSで2回洗浄した(室温で5分間、50℃で3
0分間)後、0.2×SSC/0.1% SDSで2回
洗浄した(50℃で30分間を2回)。洗浄後の膜を風
乾し、X線フィルム(X−OMAT AR、コダック社
製)を用いてオートラジオグラフィーを行なった。その
結果ゲル上で同定された陽性プラークに相当する培地の
ゲルを切り出し、ファージをゲルから回収した後、低い
プラーク密度で再度プラークハイブリダイゼーションを
実施することにより、単一クローンを獲得した。
【0074】(4)クローニング 1)重鎖 上記(3)で重鎖用ライブラリーから単離された陽性ク
ローンからファージDNAを精製[前出Maniatis et a
l.参照]し、EcoRI消化した後、アガロースゲル電
気泳動を実施して、目的のDNAを含むEcoRI−E
coRI断片(約4kbp)を分離・精製した。この断
片を予めEcoRI消化したpBluescript
SK(+)ベクターに組み込んだものを作製した。
【0075】2)軽鎖 軽鎖用ライブラリーから単離された陽性クローンに保持
される目的のDNA(HindIII−HindIII
断片、約2.5kbp)は、ZAP エクスプレス ベ
クターに組み込まれているため、該ベクターの使用方法
に従ってヘルパーファージを用いることにより、プラス
ミドpBK−CMVに組み込まれた形で回収された。
【0076】(5)ヌクレオチド配列の確認 1)重鎖 上記(4)で得られたEcoRI−EcoRI断片(4
kbp)をさらにXbaIで消化し、アガロースゲル電
気泳動によって分離後回収したEcoRI−XbaI断
片、XbaI−XbaI断片、XbaI−EcoRI断
片をそれぞれ別個にpBluescript SK
(+)ベクターにサブクローニングし、ヌクレオチド配
列の解析を行った結果、重鎖用RT−PCR産物と同一
のヌクレオチド配列(配列表の配列番号1のヌクレオチ
ド番号58から412)を含むことを確認した。
【0077】2)軽鎖 上記(4)で得られた軽鎖クローンをHindIIIで
消化し、得られたHindIII−HindIII断片
(2.5kbp)をさらにHaeIIIで消化してか
ら、アガロースゲル電気泳動によって分離後回収した断
片をpBluescript SK(+)ベクターにサ
ブクローニングし、ヌクレオチド配列の解析を行った結
果、該軽鎖クローンが軽鎖用RT−PCR産物と同一の
ヌクレオチド配列(配列表の配列番号3のヌクレオチド
番号58から394)を含むことを確認した。
【0078】3.導入遺伝子の調製 各導入遺伝子の構築の概略を図1および図2に示した。
【0079】(1)重鎖/軽鎖ゲノミックDNAの処置 上記2.の(4)で得られた、重鎖クローン中のEco
RI−EcoRI断片(約4kbp)は、プロモーター
および再構成された可変領域(VDJ)を含んでいたの
で、そのまま以後の操作を行なった。
【0080】一方、上記2.の(4)で得られた、軽鎖
クローン中のHindIII−HindIII断片(約
2.5kbp)は、制限酵素PvuIIおよびPstI
で消化し、再構成された可変領域(VJ)を含むPvu
II−PstI断片(1.5kbp)を回収して以後の
操作を行なった。
【0081】(2)重鎖/軽鎖定常領域ゲノミックDN
Aおよびプロモーター・エンハンサーのクローニング 1)BALB/cマウスゲノミックDNAライブラリー
の調製 マウスIgEの重鎖定常領域をコードするDNAをクロ
ーニングため、以下に記載する方法に従ってゲノムライ
ブラリーを調製した。
【0082】まず、BALB/cマウス(日本エスエル
シー社より購入)を安楽死させた後、肝臓を摘出して液
体窒素中で凍結させた。この肝臓をハンマーで破砕した
後、上記2.の(1)記載と同様の方法に従ってゲノミ
ックDNAを抽出精製した。マウス分泌型IgE定常領
域をコードするDNAはゲノム中のXbaI−XbaI
消化断片の一つ(約4kbp)に含まれることが知られ
ている[Ishida, N. et al. (1982) EMBO J. 1, 1117-1
123参照]ので、このゲノミックDNAをXbaIで消
化した後、アガロースゲル電気泳動を行って、2.5乃
至4.5kbpに相当する部分のゲルを切り出し、DN
Aを抽出した。以下、上記2.の(2)記載と同様の方
法に従って、ZAP エクスプレスベクターをベクター
とするゲノムライブラリーを調製した。
【0083】2)スクリーニング用プローブの調製 まず、以下に記載するヌクレオチド配列: 5'- ctcaacatca ctgagcagca atgg -3'(センスプライマ
ー:配列表の配列番号9); 5'- gcgttattgt ggtgcttagt gtacc -3'(アンチセンス
プライマー:配列表の配列番号10) を有するオリゴヌクレオチドプライマーをホスホアミダ
イト法で合成した。次いで、上記1)で調製したBAL
B/cマウスゲノミックDNAのXbaI−XbaI消
化断片混合物(2.5乃至4.5kbp)を鋳型とし
て、以下に記載する条件でPCRを実施した。
【0084】反応液組成: 鋳型DNA 5μg センスプライマー(1μM) 5μl アンチセンスプライマー(1μM) 5μl 10× Ex Taqバッファー 10μl 10mM dNTP 10μl 全量が99μlとなるように水を加え、さらにEx T
aqポリメラーゼを1μl添加した。
【0085】温度条件: 96℃で2分間加熱した後、
96℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分間の温
度サイクルを30サイクル繰り返し、さらに72℃で7
分間、次いで25℃で10分間保温した。
【0086】PCR後の反応液から、上記1.の(3)
記載の方法に従って増幅されたDNA断片(375b
p)をpCRIIベクターにクローニングし、上記1.
の(4)記載の方法に従って32Pで標識した。
【0087】3)スクリーニング 上記2)で調製されたプローブで、上記1)で調製され
たゲノムライブラリーをプラークハイブリダイゼーショ
ン法(上記2.の(3)参照)でスクリーニングを行な
い、得られたクローン(プラスミドpBK−CMVに組
み込まれた形で回収される)をXbaI消化してからア
ガロースゲル電気泳動を行って約4kbpのXbaI−
XbaI断片を回収した。
【0088】4)重鎖エンハンサーの一部のクローニン
グ まず、既知のマウス免疫グロブリン重鎖エンハンサーの
ヌクレオチド配列を参考にして、以下に記載するヌクレ
オチド配列: 5'- tagaattcat tttcaaaatt agg -3'(センスプライマ
ー:配列表の配列番号11); 5'- agtctagata attgcattca tttaa -3'(アンチセンス
プライマー:配列表の配列番号12) を有するオリゴヌクレオチドプライマーをホスホアミダ
イト法で合成した。次いで、上記1)で調製したBAL
B/cマウスゲノミックDNAを鋳型として、以下に記
載する条件でPCRを実施した。
【0089】反応液組成: 鋳型DNA 5μg センスプライマー(1μM) 1μl アンチセンスプライマー(1μM) 1μl 10× Ex Taqバッファー 5μl 10mM dNTP 5μl 全量が99μlとなるように水を加え、さらにEx T
aqポリメラーゼを1μl添加した。
【0090】温度条件: 96℃で2分間加熱した後、
96℃で30秒、45℃で1分間、72℃で1分間の温
度サイクルを30サイクル繰り返し、さらに72℃で7
分間保温した。
【0091】PCR終了後の反応液をアガロースゲル電
気泳動し、増幅されたDNA断片をEcoRIおよびX
baIで消化し、再度アガロースゲル電気泳動を行って
約300bpの断片を回収した。
【0092】5)軽鎖 一方、マウスIgEの軽鎖定常領域をコードするゲノミ
ックDNAとして、IgK軽鎖をコードするDNAクロ
ーン pMM222[Hiramatsu, R. et al.,(1995) Ce
ll 83, 1113-1123参照]を制限酵素PstIおよびNo
tIで消化してからアガロースゲル電気泳動し、イント
ロンエンハンサー、定常領域をコードする部分(Cκ)
および3'末端側エンハンサーを含むPstI−Not
I断片(約12kbp)を分離・回収した。また、pM
M222を制限酵素SalIおよびPvuIIで消化し
てからアガロースゲル電気泳動し、プロモーターを含む
SalI−PvuII断片(約5kbp)を分離・回収
した。
【0093】(3)可変領域と定常領域、プロモーター
・エンハンサーの連結 1)重鎖 上記(2)の4)で調製した、エンハンサーの一部を含
むEcoRI−XbaI断片(約300bp)を、予め
EcoRIおよびXbaIで消化したpBluescr
ipt SK(+)ベクターにサブクローニングした。
このプラスミドをXbaIで消化して開環してから、上
記(2)の3)で調製したマウスIgE重鎖定常領域を
コードする遺伝子を含むXbaI−XbaI断片(約4
kbp)をT4 DNAリガーゼ反応により連結しサブ
クローニングした。得られたクローンのヌクレオチド配
列解析を行って、該XbaI−XbaI断片が正方向に
連結された(定常領域をコードするDNAのセンス鎖の
5'末端側がエンハンサーの3'末端側に連結された)ク
ローンを選択した。次に、このクローンをEcoRI消
化により開環してから、上記2.の(4)で得られた重
鎖クローン中のEcoRI−EcoRI断片(約4kb
p、プロモーター・可変領域を含む)をT4 DNAリ
ガーゼ反応により連結しサブクローニングした。得られ
たクローンのヌクレオチド配列解析を行って、該Eco
RI−EcoRI断片が正方向に連結された(可変領域
をコードするDNAのセンス鎖の3'末端側がエンハン
サーの5'末端側に連結された)クローンを選択し、配
列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列(リーダー配
列を含む)をコードする遺伝子、該遺伝子発現用プロモ
ーターおよびエンハンサー配列が連結されたDNAを含
む組換えプラスミドpSK−TNP−IgE−Hを得
た。
【0094】2)軽鎖 SalIとPstIで消化したpBluescript
SK(+)ベクターに、上記(2)で調製したプロモ
ーターを含むSalI−PvuII断片(約5kbp)
および上記(1)で調製した可変領域を含むPvuII
−PstI断片(約1.5kbp)をT4 DNAリガ
ーゼ反応により同時に連結しサブクローニングした。次
に、得られたプラスミドをPstIおよびNotIで消
化した後、上記(2)で調製したイントロンエンハンサ
ー、定常領域をコードする部分(Cκ)および3'末端
側エンハンサーを含むPstI−NotI断片(12k
bp)をT4 DNAリガーゼ反応により同時に連結し
て、配列表の配列番号4に示されるアミノ酸配列(リー
ダー配列を含む)をコードする遺伝子、該遺伝子発現用
プロモーターおよびエンハンサー配列が連結されたDN
Aを含む組換えプラスミドpSK−TNP−IgE−L
を得た。
【0095】(4)導入遺伝子の調製 上記(3)で構築したpSK−TNP−IgE−Hおよ
びpSK−TNP−IgE−Lは、いずれもSalIお
よびNotIで消化して直鎖化し、アガロースゲル電気
泳動を行って、導入に必要なDNA断片(重鎖:約8.
5kbp、軽鎖:約19kbp)を分離・精製した。さ
らにこれらのDNA断片を、塩化セシウム密度勾配超遠
心法により精製してからTEに溶解し、重鎖用断片と軽
鎖用断片を等量混合したものを導入用DNA試料とし
た。
【0096】4.遺伝子導入 雌マウス(BALB/c、4週齢、日本エスエルシー
(株)より購入)に排卵誘起剤を投与後、同系統の雄と
交配し、翌日雌マウスの卵管より前核受精卵を採取し
た。上記4.で調製した導入用DNA溶液(1乃至5μ
g/ml)を、微小ガラス管を用いて受精卵の前核に約
2pl注入した。この操作は、文献[「受精卵へのDN
Aの注入」発生工学実験マニュアル 41-76頁(野村達
次 監修、勝木元也 編、講談社、1987年)および「前
核へのDNAのマイクロインジェクション」マウス胚の
操作マニュアル 155-173頁、("Manipulating the Mou
se Embryo, A Laboratory Manual" B. Hogan, F. Costa
ntini and E. Lacy著、山内一也、豊田裕、森庸厚、岩
倉洋一郎 訳、近代出版、1989年]の記載に従って実施
した。DNAを注入した受精卵は、偽妊娠仮親雌マウス
(Slc:ICR、日本エスエルシー株式会社製)の卵
管に移植し、約20日後に自然分娩または帝王切開によ
り出生させた。
【0097】5.導入の確認 (1)導入遺伝子の検出 1)プライマーの合成 上記4.で導入した遺伝子が、出生したマウスに保持さ
れているか否かをPCRによって調べるため、以下に記
載するヌクレオチド配列からなる4種のオリゴヌクレオ
チドプライマー: 5'- gcaagatggg gcttaatctt tgctatgg -3'(重鎖用セン
スプライマー:配列表の配列番号5); 5'- ccaccttgat gctctagata attgc -3'(重鎖用アンチ
センスプライマー:配列表の配列番号6); 5'- gatgttttga tgacccaaac tccac -3'(軽鎖用センス
プライマー:配列表の配列番号7); 5'- cttggtccca gcaccgaacg tgagc -3'(軽鎖用アンチ
センスプライマー:配列表の配列番号8); を、ホスホアミダイト法により合成した。
【0098】2)PCR上記4.で得られたマウス(生
後3週齢)の尾(約1cm長)から、上記2.の(1)
に記載した方法に従ってゲノミックDNAを抽出し、1
00μlの水に溶解した。このDNAを鋳型として、重
鎖、軽鎖それぞれについて以下に記載する条件でPCR
を実施した。
【0099】反応液組成: 鋳型DNA 2μl センスプライマー(1μM) 0.5μl アンチセンスプライマー(1μM) 0.5μl 10× Exバッファー 2μl 水 14.5μl Ex Taqポリメラーゼ 0.5μl 温度条件: 96℃で2分間加熱した後、96℃で30
秒、50℃で1分間、72℃で1分間の温度サイクルを
30サイクル繰り返してから、25℃で7分間保温し
た。
【0100】PCR終了後、反応液の一部を採取して
1.2%アガロースゲル電気泳動を実施し、特異的に増
幅されるバンドの有無を確認した(重鎖:約1.5kb
p、軽鎖:約300bp)。その結果、上記4.で作出
したマウス71匹のうち、3匹のマウスから、上記4.
で導入した重鎖および軽鎖のそれぞれをコードする遺伝
子が検出された。
【0101】また、これらの導入した重鎖および軽鎖の
それぞれをコードする遺伝子が検出されたマウスをBA
LB/c正常マウスと交配させ、生まれた子のDNAを
上記の方法で解析した結果、50%の子が導入遺伝子を
重鎖、軽鎖ともに保持していた。
【0102】(2)マウスの血中IgE濃度測定方法お
よび結果 マウスの血中IgE濃度の測定は、マウスIgE分子上
の異なるエピトープを認識する2種の抗マウスIgE抗
体を用いて、サンドイッチ−ELISA法で行った[Hi
rano, T. et al., (1988) Int. Archs. Allergy Appl.
Immun. 85, 47-54参照]。試料として生後4週以上経過
したマウスから採取した血清を使用した。また標準曲線
作成用の試料としてマウスIgE(ファーミンジェン社
製)を使用した。
【0103】まず、PBSで希釈した抗マウスIgE抗
体 6HD5(5μg/ml、ヤマサ醤油(株)社製)
をELISA用96穴プレート(Nunc-Immuno Plate, P
olySorp Surface:ヌンク社製)に50μl/ウエル添
加し、4℃で一晩静置して抗体をウエル底面に吸着させ
た。抗体溶液を除去後、ブロッキング溶液(4% ウシ
血清アルブミン(以下「BSA」という。シグマ社製)
および0.2% ツイーン20を含むPBS)を70μ
l/ウエル加え、室温で1時間静置した(ブロッキン
グ)。ウエル内のブロッキング溶液を除去後、各ウエル
を洗浄溶液(0.05% ツイーン20を含むPBS)
200μl/ウエルで3回洗浄してから、ブロッキン
グ溶液で希釈した試料(マウス血清または段階希釈した
濃度既知のマウスIgE)を50μl/ウエル加え、3
7℃で1時間保温した。
【0104】ウエル内の試料を除去し、洗浄溶液 20
0μl/ウエルで3回洗浄した後、ブロッキング溶液で
希釈したビオチン標識抗マウスIgE HMK12(5
μg/ml、ヤマサ醤油(株)社製)を50μl/ウエ
ル加え、37℃で1時間保温した。
【0105】ウエル内の抗体溶液を除去し、洗浄溶液
200μl/ウエルで3回洗浄した後、ブロッキング溶
液で250倍に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ標
識ストレプトアビジン(アマシャム社製)を50μl/
ウエル加え、室温で1時間静置した。
【0106】ウエル内のストレプトアビジン溶液を除去
し、洗浄溶液 200μl/ウエルで3回洗浄した後、
基質溶液(40mg/ml o−フェニレンジアミン、
0.00001% 過酸化水素、40mM リン酸水素
二ナトリウム、50mM クエン酸)を50μl/ウエ
ル加え、室温で20分間静置した。次いで、6N 硫酸
を50μl/ウエル加えてペルオキシダーゼ反応を停止
させ、各ウエルの490nmの吸光度を測定し、その測
定値をマウスIgEの標準曲線に参照して、試料中のI
gE濃度を決定した。
【0107】その結果、導入遺伝子の存在が確認された
全てのマウスは、8μg/ml以上の高い血中IgE濃
度を示した。
【0108】(3)抗TNPIgEの検出方法および結
果 上記4.で作出したマウスの血中IgEの抗原特異性を
ELISA法により評価した。まず、TNPで標識した
ニワトリ由来オブアルブミン(以下「OVA」という)
または未標識OVA溶液(5μg/ml)をELISA
用96穴プレート(Nunc-Immuno Plate, PolySorp Surf
ace、ヌンク社製)に50μl/ウエル添加し、4℃で
一晩静置してOVAをウエル底面に吸着させた。以下、
このOVA固相化プレートを使用し、上記(2)と同様
の操作を行ってTNP特異的IgE濃度を測定した。た
だし、標準曲線作成用のIgEとしてハイブリドーマI
GEL−b4が産生する抗TNPIgEを使用した。そ
の結果、導入遺伝子の存在が確認された全てのマウスの
血中IgEは、TNP標識OVAには結合するが、未標
識OVAには結合しなかったので、該マウスで発現した
遺伝子産物はTNPに対する特異性を保持していること
が明らかとなった。また、血中の抗TNPIgE濃度と
上記(2)で測定されたIgE濃度との比較から、導入
遺伝子の存在が確認されたマウスの血中IgEのほとん
どが、導入遺伝子の産物であることが判明した。
【0109】試験例 (1) ハプテンとしてTNPを有する塩化ピクリル
(picryl chloride)を未感作の正常マウスおよび実施
例で作製されたトランスジェニックマウスの耳介に塗布
したところ、正常マウスでは著変は認められなかった
が、トランスジェニックマウスにおいては塗布後1時間
をピークとする著明な皮膚の一過性の肥厚が認められ
た。これに対し、異なるハプテン抗原オキザゾロン(ox
azolone)を塗布した場合には、いずれのマウスにおいて
も耳介皮膚の肥厚は観察されなかった。すなわち、実施
例で作製されたトランスジェニックマウスでは事前の感
作を何ら必要とせず、1回の抗原投与のみで抗原特異的
な典型的I型アレルギー反応を誘発できることが確かめ
られた。
【0110】(2) TNPを結合させたアルブミンを
青色素エバンスブルーとともに正常マウスおよび実施例
で作製されたトランスジェニックマウスの尾静脈から注
射した結果、トランスジェニックマウスでは呼吸困難、
体温の低下、運動停止、青色素の血管外滲出など典型的
な全身性アナフィラキシーの病態を呈した。一方、TN
Pを結合させていないアルブミンを注射した場合にはこ
のようなアナフィラキシー症状は認められなかった。ま
た、正常マウスではいずれの場合もアナフィラキシー症
状は呈さなかった。
【0111】(3) 抗アレルギー剤の探索または効果
確認のための試験方法 以下に挙げる各実験系において、被検物質の前投与、同
時投与、後投与または連続投与による効果を調べる。
【0112】(a) 上記(1)の方法で本発明のトラ
ンスジェニック動物に誘発した皮膚アレルギー反応(皮
膚の肥厚)に対する、被検物質投与による抑制効果を、
皮膚厚を測定することにより判定する。
【0113】(b) 上記(2)の方法で本発明のトラ
ンスジェニック動物に誘発した全身性アナフィラキシー
ショックに対する、被検物質投与による抑制効果を、体
温、気道抵抗、青色素の血管外滲出などを指標にして判
定する。
【0114】(c) アレルゲンをネブライザーなどを
用いて本発明のトランスジェニック動物に鼻から吸入さ
せることにより、呼吸器系におけるアレルギー反応を誘
発することが可能である。このような呼吸器系における
アレルギー反応に対する、被検物質投与による抑制効果
を、気道抵抗、肺のコンプライアンスなどを測定するこ
とにより判定する。
【0115】(d) アレルゲンを本発明のトランスジ
ェニック動物に経口的に投与することによって、消化器
系におけるアレルギー反応を誘発することが可能であ
る。このような消化器系におけるアレルギー反応に対す
る被検物質投与による抑制効果を、下痢、嘔吐などの症
状の軽減を指標にして判定する。
【0116】
【発明の効果】 上記のごとく、本発明により抗アレル
ギー薬の探索のためのアレルギー動物モデルとして有用
な、新規トランスジェニック動物およびその使用方法が
提供された。本発明のトランスジェニック動物を用いる
ことにより、アレルギー性疾患の治療薬の探索や効果の
確認を効率良く行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 マウス抗TNPIgE重鎖をマウスで発現さ
せるための導入遺伝子の構築図。
【図2】 マウス抗TNPIgE軽鎖をマウスで発現さ
せるための導入遺伝子の構築図。
【配列表フリーテキスト】
配列番号 1: 設計されたマウスIgE重鎖をコード
するDNA。 配列番号 2: 設計されたマウスIgE重鎖。 配列番号 3: 設計されたマウスIgE軽鎖をコード
するDNA。 配列番号 4: 設計されたマウスIgE軽鎖。 配列番号 5: IgE重鎖をコードする導入遺伝子を
検出するためのPCRプライマー。 配列番号 6: IgE重鎖をコードする導入遺伝子を
検出するためのPCRプライマー。 配列番号 7: IgE軽鎖をコードする導入遺伝子を
検出するためのPCRプライマー。 配列番号 8: IgE軽鎖をコードする導入遺伝子を
検出するためのPCRプライマー。 配列番号 9: マウスIgE重鎖定常領域をコードす
るDNAの断片を増幅するためのPCRプライマー。 配列番号 10: マウスIgE重鎖定常領域をコード
するDNAの断片を増幅するためのPCRプライマー。 配列番号 11: マウスIg重鎖遺伝子のエンハンサ
ー領域を増幅するためのPCRプライマー。 配列番号 12: マウスIg重鎖遺伝子のエンハンサ
ー領域を増幅するためのPCRプライマー。
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> The Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science Sankyo Company, Limited <120> Transgenic Animal Allergy Models and Methods for Their Use <130> 98131KS <140> <141> <150> JP HEI 9-313989 <151> 1997-11-14 <160> 12 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 1683 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Designed DNA encoding the heavy chain of a mouse immunoglobulin E <220> <221> CDS <222> (1)..(1683) <220> <221> sig peptide <222> (1)..(57) <220> <221> mat peptide <222> (58)..(1683) <400> 1 atg gaa ttg atc tgg gtc ttt ctc ttc ctc ctg tca gta act gca ggt 48 Met Glu Leu Ile Trp Val Phe Leu Phe Leu Leu Ser Val Thr Ala Gly -15 -10 -5 gtc cac tct gag gtc cag ctt cag cag tct gga gct gag ctg gtg agg 96 Val His Ser Glu Val Gln Leu Gln Gln Ser Gly Ala Glu Leu Val Arg -1 1 5 10 cct ggg tcc tca gtg aag atg tcc tgc aag agt tct gga tat aca ttc 144 Pro Gly Ser Ser Val Lys Met Ser Cys Lys Ser Ser Gly Tyr Thr Phe 15 20 25 aca agc tac ggt ata aac tgg gtg aag cag agg cct gga cag ggc ctg 192 Thr Ser Tyr Gly Ile Asn Trp Val Lys Gln Arg Pro Gly Gln Gly Leu 30 35 40 45 gaa tgg att gga tat att tat att gga tat ggt tat att gag tat aat 240 Glu Trp Ile Gly Tyr Ile Tyr Ile Gly Tyr Gly Tyr Ile Glu Tyr Asn 50 55 60 gag aag ttc aag ggc aag gcc aca ctg act tca gac aca tcc tcc agg 288 Glu Lys Phe Lys Gly Lys Ala Thr Leu Thr Ser Asp Thr Ser Ser Arg 65 70 75 aca gcc tac atg caa ctc agc agc ctg aca tct gag gac tct gca atc 336 Thr Ala Tyr Met Gln Leu Ser Ser Leu Thr Ser Glu Asp Ser Ala Ile 80 85 90 tat ttc tgt gca aga tgg ggc tta atc ttt gct atg gac tac tgg ggt 384 Tyr Phe Cys Ala Arg Trp Gly Leu Ile Phe Ala Met Asp Tyr Trp Gly 95 100 105 caa gga acc tca gtc acc gtc tcc tca gcc tct atc agg aac cct cag 432 Gln Gly Thr Ser Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Ile Arg Asn Pro Gln 110 115 120 125 ctc tac ccc tta aag ccc tgt aaa ggc act gct tcc atg acc cta ggc 480 Leu Tyr Pro Leu Lys Pro Cys Lys Gly Thr Ala Ser Met Thr Leu Gly 130 135 140 tgc cta gta aag gac tac ttc cct aat cct gtg act gtg acc tgg tat 528 Cys Leu Val Lys Asp Tyr Phe Pro Asn Pro Val Thr Val Thr Trp Tyr 145 150 155 tca gac tcc ctg aac atg agc act gtg aac ttc cct gcc ctc ggt tct 576 Ser Asp Ser Leu Asn Met Ser Thr Val Asn Phe Pro Ala Leu Gly Ser 160 165 170 gaa ctc aag gtc acc acc agc caa gtg acc agc tgg ggc aag tca gcc 624 Glu Leu Lys Val Thr Thr Ser Gln Val Thr Ser Trp Gly Lys Ser Ala 175 180 185 aag aac ttc aca tgc cac gtg aca cat cct cca tca ttc aac gaa agt 672 Lys Asn Phe Thr Cys His Val Thr His Pro Pro Ser Phe Asn Glu Ser 190 195 200 205 agg act atc cta gtt cga cct gtc aca cat tca ctg agc cca cct tgg 720 Arg Thr Ile Leu Val Arg Pro Val Thr His Ser Leu Ser Pro Pro Trp 210 215 220 agc tac tcc att cat cgc tgc gac ccc aat gca ttc cat tcc acc atc 768 Ser Tyr Ser Ile His Arg Cys Asp Pro Asn Ala Phe His Ser Thr Ile 225 230 235 cag ctg tac tgc ttc att tat ggc cac atc cta aat gat gtc tcc gtc 816 Gln Leu Tyr Cys Phe Ile Tyr Gly His Ile Leu Asn Asp Val Ser Val 240 245 250 agc tgg cta atg gac gat cgg gag ata act gat aca ctt gca caa act 864 Ser Trp Leu Met Asp Asp Arg Glu Ile Thr Asp Thr Leu Ala Gln Thr 255 260 265 gtt cta atc aag gag gaa ggc aaa cta gcc tct acc tgc agt aaa ctc 912 Val Leu Ile Lys Glu Glu Gly Lys Leu Ala Ser Thr Cys Ser Lys Leu 270 275 280 285 aac atc act gag cag caa tgg atg tct gaa agc acc ttc acc tgc agg 960 Asn Ile Thr Glu Gln Gln Trp Met Ser Glu Ser Thr Phe Thr Cys Arg 290 295 300 gtc acc tcc caa ggc gta gac tat ttg gcc cac act cgg aga tgc cca 1008 Val Thr Ser Gln Gly Val Asp Tyr Leu Ala His Thr Arg Arg Cys Pro 305 310 315 gat cat gag cca cgg ggc gcg att acc tac ctg atc cca ccc agc ccc 1056 Asp His Glu Pro Arg Gly Ala Ile Thr Tyr Leu Ile Pro Pro Ser Pro 320 325 330 ctg gac ctg tat caa aac ggt gct ccc aag ctt acc tgt ctg gtg gtg 1104 Leu Asp Leu Tyr Gln Asn Gly Ala Pro Lys Leu Thr Cys Leu Val Val 335 340 345 gac ctg gaa agc gag aag aat gtc aat gtg acc tgg aac caa gag aag 1152 Asp Leu Glu Ser Glu Lys Asn Val Asn Val Thr Trp Asn Gln Glu Lys 350 355 360 365 aag act tca gtc tca gca tcc cag tgg tac act aag cac cac aat aac 1200 Lys Thr Ser Val Ser Ala Ser Gln Trp Tyr Thr Lys His His Asn Asn 370 375 380 gcc aca act agt atc acc tcc atc ctg cct gta gtt gcc aag gac tgg 1248 Ala Thr Thr Ser Ile Thr Ser Ile Leu Pro Val Val Ala Lys Asp Trp 385 390 395 att gaa ggc tac ggc tat cag tgc gta gtg gac cgc cct gat ttt ccc 1296 Ile Glu Gly Tyr Gly Tyr Gln Cys Val Val Asp Arg Pro Asp Phe Pro 400 405 410 aag ccc att gtg cgt tcc atc acc ctt ccc cag gtg agc cag cgc tca 1344 Lys Pro Ile Val Arg Ser Ile Thr Leu Pro Gln Val Ser Gln Arg Ser 415 420 425 gcc ccc gag gta tat gtg ttc cca cca cca gag gag gag agc gag gac 1392 Ala Pro Glu Val Tyr Val Phe Pro Pro Pro Glu Glu Glu Ser Glu Asp 430 435 440 445 aaa cgc aca ctc acc tgt ttg atc cag aac ttc ttc cct gag gat atc 1440 Lys Arg Thr Leu Thr Cys Leu Ile Gln Asn Phe Phe Pro Glu Asp Ile 450 455 460 tct gtg cag tgg ctg ggg gat ggc aaa ctg atc tca aac agc cag cac 1488 Ser Val Gln Trp Leu Gly Asp Gly Lys Leu Ile Ser Asn Ser Gln His 465 470 475 agt acc aca aca ccc ctg aaa tcc aat ggc tcc aat caa ggc ttc ttc 1536 Ser Thr Thr Thr Pro Leu Lys Ser Asn Gly Ser Asn Gln Gly Phe Phe 480 485 490 atc ttc agt cgc cta gag gtc gcc aag aca ctc tgg aca cag aga aaa 1584 Ile Phe Ser Arg Leu Glu Val Ala Lys Thr Leu Trp Thr Gln Arg Lys 495 500 505 cag ttc acc tgc caa gtg atc cat gag gca ctt cag aaa ccc agg aaa 1632 Gln Phe Thr Cys Gln Val Ile His Glu Ala Leu Gln Lys Pro Arg Lys 510 515 520 525 ctg gag aaa aca ata tcc aca agc ctt ggt aac acc tcc ctc cgt ccc 1680 Leu Glu Lys Thr Ile Ser Thr Ser Leu Gly Asn Thr Ser Leu Arg Pro 530 535 540 tcc 1683 Ser <210> 2 <211> 561 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Designed heavy chain of a mouse immunoglobulin E <400> 2 Met Glu Leu Ile Trp Val Phe Leu Phe Leu Leu Ser Val Thr Ala Gly -15 -10 -5 Val His Ser Glu Val Gln Leu Gln Gln Ser Gly Ala Glu Leu Val Arg -1 1 5 10 Pro Gly Ser Ser Val Lys Met Ser Cys Lys Ser Ser Gly Tyr Thr Phe 15 20 25 Thr Ser Tyr Gly Ile Asn Trp Val Lys Gln Arg Pro Gly Gln Gly Leu 30 35 40 45 Glu Trp Ile Gly Tyr Ile Tyr Ile Gly Tyr Gly Tyr Ile Glu Tyr Asn 50 55 60 Glu Lys Phe Lys Gly Lys Ala Thr Leu Thr Ser Asp Thr Ser Ser Arg 65 70 75 Thr Ala Tyr Met Gln Leu Ser Ser Leu Thr Ser Glu Asp Ser Ala Ile 80 85 90 Tyr Phe Cys Ala Arg Trp Gly Leu Ile Phe Ala Met Asp Tyr Trp Gly 95 100 105 Gln Gly Thr Ser Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Ile Arg Asn Pro Gln 110 115 120 125 Leu Tyr Pro Leu Lys Pro Cys Lys Gly Thr Ala Ser Met Thr Leu Gly 130 135 140 Cys Leu Val Lys Asp Tyr Phe Pro Asn Pro Val Thr Val Thr Trp Tyr 145 150 155 Ser Asp Ser Leu Asn Met Ser Thr Val Asn Phe Pro Ala Leu Gly Ser 160 165 170 Glu Leu Lys Val Thr Thr Ser Gln Val Thr Ser Trp Gly Lys Ser Ala 175 180 185 Lys Asn Phe Thr Cys His Val Thr His Pro Pro Ser Phe Asn Glu Ser 190 195 200 205 Arg Thr Ile Leu Val Arg Pro Val Thr His Ser Leu Ser Pro Pro Trp 210 215 220 Ser Tyr Ser Ile His Arg Cys Asp Pro Asn Ala Phe His Ser Thr Ile 225 230 235 Gln Leu Tyr Cys Phe Ile Tyr Gly His Ile Leu Asn Asp Val Ser Val 240 245 250 Ser Trp Leu Met Asp Asp Arg Glu Ile Thr Asp Thr Leu Ala Gln Thr 255 260 265 Val Leu Ile Lys Glu Glu Gly Lys Leu Ala Ser Thr Cys Ser Lys Leu 270 275 280 285 Asn Ile Thr Glu Gln Gln Trp Met Ser Glu Ser Thr Phe Thr Cys Arg 290 295 300 Val Thr Ser Gln Gly Val Asp Tyr Leu Ala His Thr Arg Arg Cys Pro 305 310 315 Asp His Glu Pro Arg Gly Ala Ile Thr Tyr Leu Ile Pro Pro Ser Pro 320 325 330 Leu Asp Leu Tyr Gln Asn Gly Ala Pro Lys Leu Thr Cys Leu Val Val 335 340 345 Asp Leu Glu Ser Glu Lys Asn Val Asn Val Thr Trp Asn Gln Glu Lys 350 355 360 365 Lys Thr Ser Val Ser Ala Ser Gln Trp Tyr Thr Lys His His Asn Asn 370 375 380 Ala Thr Thr Ser Ile Thr Ser Ile Leu Pro Val Val Ala Lys Asp Trp 385 390 395 Ile Glu Gly Tyr Gly Tyr Gln Cys Val Val Asp Arg Pro Asp Phe Pro 400 405 410 Lys Pro Ile Val Arg Ser Ile Thr Leu Pro Gln Val Ser Gln Arg Ser 415 420 425 Ala Pro Glu Val Tyr Val Phe Pro Pro Pro Glu Glu Glu Ser Glu Asp 430 435 440 445 Lys Arg Thr Leu Thr Cys Leu Ile Gln Asn Phe Phe Pro Glu Asp Ile 450 455 460 Ser Val Gln Trp Leu Gly Asp Gly Lys Leu Ile Ser Asn Ser Gln His 465 470 475 Ser Thr Thr Thr Pro Leu Lys Ser Asn Gly Ser Asn Gln Gly Phe Phe 480 485 490 Ile Phe Ser Arg Leu Glu Val Ala Lys Thr Leu Trp Thr Gln Arg Lys 495 500 505 Gln Phe Thr Cys Gln Val Ile His Glu Ala Leu Gln Lys Pro Arg Lys 510 515 520 525 Leu Glu Lys Thr Ile Ser Thr Ser Leu Gly Asn Thr Ser Leu Arg Pro 530 535 540 Ser <210> 3 <211> 714 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Designed DNA encoding the light chain of a mouse immunoglobulin E <220> <221> CDS <222> (1)..(714) <220> <221> sig peptide <222> (1)..(57) <220> <221> mat peptide <222> (58)..(714) <400> 3 atg aag ttg cct gtt agg ctg ttg gtg ctg atg ttc tgg att cct gct 48 Met Lys Leu Pro Val Arg Leu Leu Val Leu Met Phe Trp Ile Pro Ala -15 -10 -5 tcc agc agt gat gtt ttg atg acc caa act cca ctc tcc ctg cct gtc 96 Ser Ser Ser Asp Val Leu Met Thr Gln Thr Pro Leu Ser Leu Pro Val -1 1 5 10 agt ctt gga gat caa gcc tcc atc tct tgc aga tct agt cag agc att 144 Ser Leu Gly Asp Gln Ala Ser Ile Ser Cys Arg Ser Ser Gln Ser Ile 15 20 25 gta cat agt aat gga aac acc tat tta gaa tgg tac ctg cag aaa cca 192 Val His Ser Asn Gly Asn Thr Tyr Leu Glu Trp Tyr Leu Gln Lys Pro 30 35 40 45 ggc cag tct cca aag ctc ctg atc tac aaa gtt tcc aac cga ttt tct 240 Gly Gln Ser Pro Lys Leu Leu Ile Tyr Lys Val Ser Asn Arg Phe Ser 50 55 60 ggg gtc cca gac agg ttc agt ggc agt gga tca ggg aca gat ttc aca 288 Gly Val Pro Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr 65 70 75 ctc aag atc agc aga gtg gag gct gag gat ctg gga gtt tat tac tgc 336 Leu Lys Ile Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Leu Gly Val Tyr Tyr Cys 80 85 90 ttt caa ggt tca cat gtt ccg ctc acg ttc ggt gct ggg acc aag ctg 384 Phe Gln Gly Ser His Val Pro Leu Thr Phe Gly Ala Gly Thr Lys Leu 95 100 105 gag ctg aaa cgg gct gat gct gca cca act gta tcc atc ttc cca cca 432 Glu Leu Lys Arg Ala Asp Ala Ala Pro Thr Val Ser Ile Phe Pro Pro 110 115 120 125 tcc agt gag cag tta aca tct gga ggt gcc tca gtc gtg tgc ttc ttg 480 Ser Ser Glu Gln Leu Thr Ser Gly Gly Ala Ser Val Val Cys Phe Leu 130 135 140 aac aac ttc tac ccc aaa gac atc aat gtc aag tgg aag att gat ggc 528 Asn Asn Phe Tyr Pro Lys Asp Ile Asn Val Lys Trp Lys Ile Asp Gly 145 150 155 agt gaa cga caa aat ggc gtc ctg aac agt tgg act gat cag gac agc 576 Ser Glu Arg Gln Asn Gly Val Leu Asn Ser Trp Thr Asp Gln Asp Ser 160 165 170 aaa gac agc acc tac agc atg agc agc acc ctc acg ttg acc aag gac 624 Lys Asp Ser Thr Tyr Ser Met Ser Ser Thr Leu Thr Leu Thr Lys Asp 175 180 185 gag tat gaa cga cat aac agc tat acc tgt gag gcc act cac aag aca 672 Glu Tyr Glu Arg His Asn Ser Tyr Thr Cys Glu Ala Thr His Lys Thr 190 195 200 205 tca act tca ccc att gtc aag agc ttc aac agg aat gag tgt 714 Ser Thr Ser Pro Ile Val Lys Ser Phe Asn Arg Asn Glu Cys 210 215 <210> 4 <211> 238 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: 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immunoglobulin E <400> 8 cttggtccca gcaccgaacg tgagc 25 <210> 9 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: PCR primer to amplify the fragment of a DNA encoding the constant region of heavy chain of mouse immunoglobulin E <400> 9 ctcaacatca ctgagcagca atgg 24 <210> 10 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: PCR primer to amplify the fragment of a DNA encoding the constant region of heavy chain of mouse immunoglobulin E <400> 10 gcgttattgt ggtgcttagt gtacc 25 <210> 11 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: PCR primer to amplify the enhancer region of mouse immunoglobulin heavy chain gene <400> 11 tagaattcat tttcaaaatt agg 23 <210> 12 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: PCR primer to amplify the enhancer region of mouse immunoglobulin heavy chain gene <400> 12 agtctagata attgcattca tttaa 25
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松岡 邦枝 東京都世田谷区船橋7−8−2−331

Claims (41)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の構成要素a)およびb)を含むイ
    ムノグロブリン(以下「Ig」という)構造を有する分
    子を常時発現することができるようにそのゲノムが改変
    されていることを特徴とする、トランスジェニック非ヒ
    ト動物: a)Ig重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む少なく
    とも一つの抗原特異的認識部位(ただし、該認識部位
    は、予め選択された抗原に対して特異性を有する); b)該動物のマスト細胞上に発現しているイムノグロブ
    リンE(以下「IgE」という)レセプターへの結合を
    可能ならしめる重鎖定常領域。
  2. 【請求項2】 重鎖定常領域がIgE重鎖定常領域、そ
    の一部およびその同効物から選択されることを特徴とす
    る、請求項1記載のトランスジェニック動物。
  3. 【請求項3】 重鎖定常領域がIgE重鎖定常領域であ
    ることを特徴とする、請求項1記載のトランスジェニッ
    ク動物。
  4. 【請求項4】 Ig構造を有する分子がIgEであるこ
    とを特徴とする、請求項1記載のトランスジェニック動
    物。
  5. 【請求項5】 Ig構造を有する分子が一つのIg軽鎖
    および一つのIg重鎖からなることを特徴とする、請求
    項1記載のトランスジェニック動物。
  6. 【請求項6】 重鎖定常領域が、天然に存在するIgE
    重鎖定常領域由来であることを特徴とする、請求項1記
    載のトランスジェニック動物。
  7. 【請求項7】 事前の抗原感作なしに、特異的抗原に対
    するアレルギー反応を呈することを特徴とする、請求項
    1乃至6のいずれか一つに記載のトランスジェニック動
    物。
  8. 【請求項8】 導入された外来遺伝子の産物であるIg
    構造を有する分子の血中濃度が、少なくとも8μg/m
    lであることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか
    一つに記載のトランスジェニック動物。
  9. 【請求項9】 導入された外来遺伝子の産物であるIg
    構造を有する分子の血中濃度が、事前に抗原感作された
    同種の非トランスジェニック動物における特異的IgE
    の血中濃度と少なくとも同等またはそれ以上であること
    を特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一つに記載の
    トランスジェニック動物。
  10. 【請求項10】 予め選択される抗原が、Ig構造を有
    する分子と複合体を形成し、マスト細胞上のIgEレセ
    プターを介してヒトのアレルギー症状を擬制したアレル
    ギー反応を起こし得るものであることを特徴とする、請
    求項1乃至9のいずれか一つに記載のトランスジェニッ
    ク動物。
  11. 【請求項11】 ヒトのアレルギー症状が花粉症である
    ことを特徴とする、請求項10記載のトランスジェニッ
    ク動物。
  12. 【請求項12】 齧歯類であることを特徴とする、請求
    項1乃至11のいずれか一つに記載のトランスジェニッ
    ク動物。
  13. 【請求項13】 マウスであることを特徴とする、請求
    項1乃至11のいずれか一つに記載のトランスジェニッ
    ク動物。
  14. 【請求項14】 ゲノムの改変にゲノミックDNAが使
    用されていることを特徴とする、請求項1乃至13のい
    ずれか一つに記載のトランスジェニック動物。
  15. 【請求項15】 ゲノミックDNAが、有効なプロモー
    ターおよびエンハンサー領域を含むことを特徴とする、
    請求項14記載のトランスジェニック動物。
  16. 【請求項16】 Ig構造を有する分子の重鎖および軽
    鎖可変領域が単一のIgアイソタイプ由来であることを
    特徴とする、請求項1記載のトランスジェニック動物。
  17. 【請求項17】 ゲノムの改変が、同種動物由来のDN
    Aによるものであることを特徴とする、請求項1記載の
    トランスジェニック動物。
  18. 【請求項18】 Ig構造を有する分子の重鎖定常領域
    がヒトマスト細胞上のIgEレセプターと結合可能なも
    のから選択されており、かつマスト細胞上に発現するI
    gEレセプターが、抗原と複合体を形成したヒトIgE
    と結合できるようにヒト化されていることを特徴とす
    る、請求項1記載のトランスジェニック動物。
  19. 【請求項19】 Ig構造を有する分子の重鎖定常領域
    が分泌型IgE分子由来であることを特徴とする、請求
    項1記載のトランスジェニック動物。
  20. 【請求項20】 Ig構造を有する分子をコードする遺
    伝子のホモ接合体であることを特徴とする、請求項1記
    載のトランスジェニック動物。
  21. 【請求項21】 予め選択される抗原が、花粉由来アレ
    ルゲン、真菌由来アレルゲン、ダニ由来アレルゲン、ハ
    ウスダスト、動物(皮屑、糞、体毛)由来のアレルゲ
    ン、昆虫由来アレルゲン、食品(卵、牛乳、肉、魚介
    類、豆類、穀類、果物・野菜)アレルゲン、寄生虫由来
    アレルゲン、薬品アレルゲン、化学物質アレルゲンおよ
    び一つもしくは二つ以上のトリニトロフェニル基を有す
    る物質からなる群より選択されることを特徴とする、請
    求項1乃至20のいずれか一つに記載のトランスジェニ
    ック動物。
  22. 【請求項22】 予め選択される抗原が、一つもしくは
    二つ以上のトリニトロフェニル基を有する物質であるこ
    とを特徴とする、請求項1乃至20のいずれか一つに記
    載のトランスジェニック動物。
  23. 【請求項23】 Ig構造を有する分子の重鎖定常領域
    が分泌型IgE由来であって、かつ配列表の配列番号2
    のアミノ酸番号120から542に示されるアミノ酸配
    列を含むものであることを特徴とする、請求項1記載の
    トランスジェニック動物。
  24. 【請求項24】 Ig構造を有する分子の重鎖定常領域
    をコードする遺伝子が、配列表の配列番号1のヌクレオ
    チド番号415から1683に示されるヌクレオチド配
    列を実質的に含むDNAであることを特徴とする、請求
    項23記載のトランスジェニック動物。
  25. 【請求項25】 Ig構造を有する分子の軽鎖が、配列
    表の配列番号3のヌクレオチド番号397から714に
    示されるヌクレオチド配列を実質的に含むDNAにコー
    ドされる分泌型イムノグロブリンEの軽鎖定常領域を有
    するものであることを特徴とする、請求項1記載のトラ
    ンスジェニック動物。
  26. 【請求項26】 Ig構造を有する分子の重鎖が、配列
    表の配列番号2のアミノ酸番号1から542に示される
    アミノ酸配列を含むものであることを特徴とする、請求
    項1記載のトランスジェニック動物。
  27. 【請求項27】 Ig構造を有する分子の軽鎖が、配列
    表の配列番号4のアミノ酸番号1から219に示される
    アミノ酸配列を含むものであることを特徴とする、請求
    項1記載のトランスジェニック動物。
  28. 【請求項28】 Ig構造を有する分子の重鎖が配列表
    の配列番号2のアミノ酸番号1から542に示されるア
    ミノ酸配列からなり、同軽鎖が配列表の配列番号4のア
    ミノ酸番号1から219に示されるアミノ酸配列からな
    ることを特徴とする、請求項1記載のトランスジェニッ
    ク動物。
  29. 【請求項29】 Ig構造を有する分子の重鎖をコード
    する遺伝子が、配列表の配列番号1のヌクレオチド番号
    58から412に示されるヌクレオチド配列を含むDN
    Aであることを特徴とする、請求項26記載のトランス
    ジェニック動物。
  30. 【請求項30】 Ig構造を有する分子の軽鎖をコード
    する遺伝子が、配列表の配列番号3のヌクレオチド番号
    58から394に示されるヌクレオチド配列を含むDN
    Aであることを特徴とする、請求項27記載のトランス
    ジェニック動物。
  31. 【請求項31】 Ig構造を有する分子の重鎖をコード
    する遺伝子が、配列表の配列番号1のヌクレオチド番号
    58から412に示されるヌクレオチド配列を含むDN
    Aであり、かつ同軽鎖をコードする遺伝子が、配列表の
    配列番号3のヌクレオチド番号58から394に示され
    るヌクレオチド配列を含むDNAであることを特徴とす
    る、請求項28記載のトランスジェニック動物。
  32. 【請求項32】 下記の構成要素a)およびb)を含む
    Ig構造を有する分子を常時発現することができるよう
    にそのゲノムが改変されていることを特徴とする、トラ
    ンスジェニック非ヒト動物: a)Ig重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む少なく
    とも一つの抗原特異的認識部位(ただし、該認識部位
    は、予め選択された抗原に対して特異性を有する); b)該動物のマスト細胞上に発現しているIgEレセプ
    ターへの結合を可能ならしめる重鎖定常領域: を得る方法であって、まず動物受精卵に、 i)定常領域が分泌型IgE由来であって、可変領域が
    特定の抗原に特異的な結合活性を有するIgE由来であ
    ることを特徴とするIg重鎖をコードする遺伝子、およ
    び ii)可変領域が前記重鎖可変領域を有するIg由来で
    あることを特徴とするIg軽鎖をコードする遺伝子を導
    入し、次いで、 iii)該受精卵を偽妊娠処置を施した同種の雌動物卵
    管に移植し、 iv)該動物胎内で発生させる, ことを特徴とする方法。
  33. 【請求項33】 請求項32記載の方法によって得られ
    るトランスジェニック動物。
  34. 【請求項34】 下記の構成要素a)およびb)を含む
    Ig構造を有する分子を常時発現することができるよう
    にそのゲノムが改変されていることを特徴とする、トラ
    ンスジェニック非ヒト動物: a)Ig重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む少なく
    とも一つの抗原特異的認識部位(ただし、該認識部位
    は、予め選択された抗原に対して特異性を有する); b)該動物のマスト細胞上に発現しているIgEレセプ
    ターへの結合を可能ならしめる重鎖定常領域: を得る方法であって、該Ig重鎖をコードする遺伝子が
    導入されたトランスジェニック動物と、該Ig軽鎖をコ
    ードする遺伝子が導入された同一種由来のトランスジェ
    ニック動物とを交配し、次いで前記両方の遺伝子を保持
    する動物を得ることを特徴とする方法。
  35. 【請求項35】 請求項34記載の方法によって得られ
    るトランスジェニック動物。
  36. 【請求項36】 下記の構成要素a)およびb)を含む
    Ig構造を有する分子を常時発現することができるよう
    にそのゲノムが改変されていることを特徴とする、トラ
    ンスジェニック非ヒト動物: a)Ig重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む少なく
    とも一つの抗原特異的認識部位(ただし、該認識部位
    は、予め選択された抗原に対して特異性を有する); b)該動物のマスト細胞上に発現しているIgEレセプ
    ターへの結合を可能ならしめる重鎖定常領域: を得る方法であって、該Igのいずれか一方の鎖をコー
    ドする遺伝子が導入されたトランスジェニック動物か
    ら、該Igの両方の鎖をコードする遺伝子を保持する動
    物を得ることを特徴とする方法。
  37. 【請求項37】 請求項36記載の方法によって得られ
    るトランスジェニック動物。
  38. 【請求項38】 動物に抗原を曝露することによって生
    じるアレルギー症状に対する、物質の抗アレルギー活性
    を評価する方法であって、まず該抗原に特異的なIg構
    造を有する分子を定常的に発現する請求項1記載の動物
    を得、次いで該抗原を該動物に抗アレルギー薬の評価が
    可能な方法および条件下で投与することを含むことを特
    徴とする方法。
  39. 【請求項39】 事前の抗原感作なしに、予め選択され
    た抗原の単回投与によりアレルギー反応を呈することを
    特徴とする、トランスジェニック非ヒト動物。
  40. 【請求項40】 予め選択された抗原に対して特異的な
    IgEを構成的に発現するようにゲノムが改変されてい
    ることを特徴とする、トランスジェニック非ヒト動物。
  41. 【請求項41】 予め選択された抗原に対して特異的な
    結合能を有する抗体型分子を構成的に発現するようにゲ
    ノムが改変されているトランスジェニック非ヒト動物で
    あって、該抗体型分子が該動物のマスト細胞上のIgE
    レセプターに結合可能な重鎖定常領域を有することを特
    徴とする動物。
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JPH06500233A (ja) * 1990-08-29 1994-01-13 ジェンファーム インターナショナル,インコーポレイティド 異種免疫グロブリンを作る方法及びトランスジェニックマウス
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