JPH11218064A - 電磁式燃料噴射弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】シート部から噴射孔までの間の燃料流れの安定
化。 【解決手段】一列に並ぶ噴射孔の列に対しほぼ直角方向
から燃料を供給する手段をシート部上流に設けたもの。 【効果】流れの安定化により、噴霧が細く安定して多方
向へ噴射する。また、一つの噴射弁で複数の気筒、ある
いは、吸気弁へ、途中の隔壁に極力当たらずに均等に、
噴霧を細く安定化する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は燃料噴射弁にかか
り、特に、内燃機関用燃料噴射弁に好適な電磁式燃料噴
射弁に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の多気筒内燃機関の燃料噴射方式と
して、各気筒毎に燃料噴射弁を持つものや、気化器があ
ったが、前者は各気筒に噴射弁を取りつけるため装置全
体のコストを上昇させることになり、後者は吸気管の集
合部で燃料霧化が行われるため吸気管の形状や、内燃機
関の運転状態によって各吸気管毎に均一に燃料分配がで
きないという問題がある。

【０００３】この対策のため、特公昭53−25889 号に記
載されたような吸気分岐管に対して噴射方向が規定され
た１つの噴射弁で複数の気筒に燃料を噴射することが考
えられた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように
構成された燃料噴射装置では、燃料噴射弁の取付け位
置，空気の流れ方向と燃料の噴射方向，燃料の噴射タイ
ミングとの関係などの影響で各気筒に均一に燃料を供給
できないという問題があった。その結果、気筒間分配性
能が悪化するという問題が生じる。

【０００５】また、当初、燃料をシート部上流のガイド
部に設けた対向する４方向の燃料通路から供給する方法
を取ったが、シート部下流の燃料の流れが乱され、噴射
孔から出る噴霧一本一本が広がり、バラツキも大きく、
途中の隔壁に付着したり、隔壁に邪魔されて各気筒へ均
一な燃料供給ができなかった。

【０００６】本発明の目的は、１本の噴射弁で複数の気
筒、あるいは、吸気弁へ、途中の吸気管の隔壁に極力あ
たらずに均等に供給する様に、噴霧を細く安定化するも
のである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では一列、あるいは、二列以上の平行に並ぶ
複数の噴射孔の列に対し、ほぼ直角方向から燃料が供給
されるように、シート上流の弁のガイド部に、列に対し
直角の燃料通路を設けることで、噴射孔に入る燃料の流
れを安定化させ、更には、上記通路と干渉しない方向に
燃料が溜まる空間を設け、シート部下流の圧力変動を少
なくするダンパー効果を持たせ、噴射孔から出る噴霧を
細く安定化させるもの。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下本発明の一実施例を図１から
図６により説明する。

【０００９】図１は、３気筒エンジン１に噴射弁２が装
着され噴射している図である。

【００１０】噴射弁２は吸気管３の上部に取り付けら
れ、各シリンダに向けて燃料が噴射される。

【００１１】４気筒の場合は４方向に噴霧が噴射され
る。

【００１２】ここでそれぞれの噴霧４ａ，４ｂ，４ｃが
それぞれの噴霧が大きく広がっていたり、噴く方向が不
安定となると、噴霧は吸気管３の壁６や隔壁７に噴霧が
当たり、各気筒に供給される燃料が不均一になり、気筒
間分配性能が悪化する。

【００１３】ここで、噴射弁からの噴霧は安定均一で細
いことが要求される。

【００１４】図２は、４気筒用の４方向に燃料を噴射す
る燃料噴射弁の断面図である。

【００１５】磁気回路は固定鉄心（コア）１０７，外周
ケース（ヨーク）８，プランジャ９からなり、コア１０
７の内部にはプランジャ９とボール弁１０からなる弁体
をノズル１１のシート部１２に押圧するスプリング１
３、スプリング力を調整固定するスプリングアジャスタ
１４が設けられる。また、コア１０７とヨーク８の間に
は磁気回路を励磁するところのコイル１５，外部からの
信号をコイル１５に伝えるコネクタ１６，コイル１５を
保持するボビン１７，コイル１５を包むアウターモール
ド１８で構成されるコイル組立体が設けられる。ヨーク
８下方にはプランジャ９とボール弁１０とリング１９か
らなる弁体のボール弁１０をガイドし、シート部１２へ
燃料を供給する燃料溝２１を持つガイド部材２０を結合
し、４方向に燃料を噴射する噴射孔２２を持つノズル１
１が設けられる。また、ノズル１１とヨーク８の間には
弁体のストロークを決定するストッパ２３がある。

【００１６】上記構成のもとに、コイル１５に通電され
ると、コア１０７，ヨーク８，プランジャ９が励磁さ
れ、プランジャ９がコア１０７側に、スプリング１３の
力に反して吸引される。プランジャ９はボール弁１０及
びリング１９と一体に結合されており、プランジャ９が
移動することでボール弁１０も移動して、ノズル１１の
シート部１２から離れ開弁する。ここで、プランジャ９
はそのショルダ部２４がストッパ２３に当たるまで移動
し、プランジャ９とコア１０７が直接接触することはな
い。燃料はフィルタ２５外周から供給され、ヨーク８の
燃料穴２６を通り、ヨーク８とコイル組立体の間、ヨー
ク８とプランジャ９の間からノズル１１部へ供給され
る。さらに燃料は、ガイド部材２０とノズル１１の間で
構成される縦溝２７を通り、ガイド部材２０の燃料溝２
１を通ってシート部１２へ供給される。シート部１２が
開弁されるとノズル１１に一列に設けられた４つの噴射
孔２２を通って噴射される。

【００１７】図３は、本発明の一実施例である。一列の
４つの噴射孔２２に対し、４方向から燃料が供給され
る。

【００１８】本発明の別の実施例として図４，図５を以
下に説明する。

【００１９】図４は、ノズル１１とガイド部材２０の間
で構成される縦溝２７、及び燃料溝２１が２方向に構成
され、ノズル１１の噴射孔２２の列に対し燃料溝２１の
方向がほぼ９０°に構成される。これにより、燃料溝２
１を通った燃料は、図６に示すように、４個の噴射孔２
２にほぼ同じ条件で安定して流れ込むため、噴射孔２２
から出る噴霧は乱されることなく細く安定した噴霧とな
る。尚、この構成は噴射孔２２の数には関係なく図８に
示す２孔、図７に示す３孔のものにも同様の効果があ
る。

【００２０】図５は、図４のものに対し、シート部と噴
射孔の間の燃料の流れを安定化するものである。二つの
燃料溝２１と干渉しない方向に二つの行き止まりの溝２
８を設けるもの。シート部１２と噴射孔２２の間は、ボ
ール弁１０が開閉することによる圧力脈動があり流れを
乱す要因になっている。その脈動を溝の空間を設けるこ
とでダンパ効果を得、噴射を更に安定させるものであ
る。この溝は、シート部と噴射孔の間であればどこでも
よく、他の特性を阻害しない範囲であれば形状は規定さ
れず、効果が得られる。

【００２１】また、これらは、一つの気筒に一本の噴射
弁がつき、二つの吸気弁に向けて噴射する場合の噴射弁
にも同じ効果が得られる。

【００２２】

【発明の効果】本発明によれば、一本の噴射弁で複数の
気筒、あるいは、吸気弁へ、途中の吸気管の隔壁に極力
当たらず均等に供給するように、噴霧を細く安定化がは
かれる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の噴射弁を用いた噴射システムの該略
図。

【図２】（ａ)，(ｂ）は本発明の噴射弁の構造図。

【図３】（ａ)，(ｂ)，(ｃ)，(ｄ）は本発明実施のガイ
ド部材。

【図４】（ａ)，(ｂ)，(ｃ）は本発明のガイド部材。

【図５】（ａ)，(ｂ）は本発明のガイド部材、他の実施
例。

【図６】本発明のガイド部材を使用したときの燃料の流
れ。

【図７】本発明の別の実施例。

【図８】本発明の更に別の実施例。

【符号の説明】

２…噴射弁、３…吸気管、４…噴霧、７…隔壁、９…プ
ランジャ、１０…ボール弁、１１…ノズル、１２…シー
ト部、２０…ガイド部材、２１…燃料溝、２２…噴射
孔、２７…縦溝。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河原 敬二 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器事業部内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】噴射弁本体内部に固定された励磁コイル、
   コイルを保持するボビン体を有し、該コイルを取り囲む
   固定鉄心，外周ケース、及び固定鉄心（以下コアと称す
   る）と対向し運動する可動鉄心で磁気回路を構成し、可
   動鉄心がコイルを励磁することでコア側に吸引され、可
   動鉄心に一体となった弁を弁座から離脱させることで弁
   座周辺に供給された燃料を噴射する構造を有する内燃機
   関用電磁式燃料噴射弁において、一列に並ぶ、あるいは
   ２列以上の平行に並ぶ複数の噴射孔の列に対し、ほぼ直
   角方向から燃料が供給される燃料通路を有することを特
   徴とする電磁式燃料噴射弁。
2. 【請求項２】請求項１において、噴射孔の列に対し直角
   方向から燃料を供給する部材をシート部の上流に有する
   ことを特徴とする電磁式燃料噴射弁。
3. 【請求項３】請求項１において、噴射孔の列に対し直角
   方向から燃料を供給する通路をシート部の上流の可動弁
   をガイドするガイド部材に設けたことを特徴とする電磁
   式燃料噴射弁。
4. 【請求項４】請求項３において、燃料を供給する通路に
   対し干渉しない方向に、対向した燃料が溜まる空間を設
   けたことを特徴とする電磁式燃料噴射弁。