JPH11207353A - 用水または排水の浄化処理方法およびその装置 - Google Patents

用水または排水の浄化処理方法およびその装置

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JPH11207353A
JPH11207353A JP3055598A JP3055598A JPH11207353A JP H11207353 A JPH11207353 A JP H11207353A JP 3055598 A JP3055598 A JP 3055598A JP 3055598 A JP3055598 A JP 3055598A JP H11207353 A JPH11207353 A JP H11207353A
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wastewater
purifying
ratio
electrolyte
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信一 中村
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邦彦 福塚
Yuki Kiyosue
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    • C02TREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
    • C02FTREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
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    • C02F2103/02Non-contaminated water, e.g. for industrial water supply
    • C02F2103/023Water in cooling circuits

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 用水や排水中のCOD成分のみならずトータ
ル窒素成分自体も大幅に低減でき、さらに中性〜弱アル
カリ性の高いpH領域において、高い浄化作用を安価な
処理コストにて実施することのできる用水または排水の
浄化処理方法およびその装置を提供する。 【解決手段】 用水または排水に電解質を添加してその
電気伝導性を向上させ、この用水または排水を、陽極板
14と陰極板14とを用いて電気分解を行う用水または
排水の浄化処理方法において、前記電解質によって供給
される陰イオンが、少なくとも臭素イオンと塩素イオン
であるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プール水、風呂
水、ク−リングタワ−等の冷却水、養殖用水槽等の用水
や、産業廃水、生活排水、下水等の排水の浄化処理方法
およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プール水、風呂水、ク−リングタ
ワ−等の冷却水、養殖用水槽等の用水や、産業廃水、生
活排水、下水等の排水の浄化処理方法としては、塩素殺
菌による浄化や、微生物による生物処理(活性汚泥法)
等がなされている。
【0003】しかしながら、これら従来の方法では、水
溶性の有機物成分(以下COD成分と略記する)やアン
モニア性窒素等の窒素含有成分等を効率良く浄化するこ
とができないことから、本発明者らは、先に特開平8―
89969において、用水または排水に食塩や臭化ナト
リウム等の電解質を添加し、これを電気分解することに
よって生じる次亜塩素酸や次亜臭素酸の強い酸化作用に
よって、前記COD成分やアンモニア等の窒素含有成分
等を効率良く浄化する方法を提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
前記した特開平8―89969の方法においては、生活
排水、畜肉や魚の加工排水、養殖水槽用水等に含まれる
アンモニア性の窒素成分を、以下の式
【化1】 に示されるように分解することができるが、これら分解
によって化学的に安定で非常に分解されにくい硝酸が生
成されるようになり、これら硝酸も水溶性の窒素成分で
あることから、用水や排水中のトータル窒素自体を大幅
に低減することはできず、これら窒素成分が河川、湖
沼、海に流入すると、富栄養化現象や有害藻類、特に赤
潮の発生原因となることから、近年においては、これら
トータル窒素を低減化できる方法が切望されている。
【0005】また、前記した特開平8―89969の方
法において、食塩を電解質に用いた場合には、食塩は価
格が安く、大量の用水や排水の処理に適しているもの
の、電気分解によって生成する次亜塩素酸は、以下の化
学式
【化2】 に示されるように、強酸性および強アルカリ性において
は、塩素または次亜塩素イオンに変化してしまうことか
ら、図7に示されるように、pH4〜6の弱酸性領域に
おいて安定して存在でき、その酸化能力もpH4〜6の
弱酸性領域において高いものとなるために、一般的な用
水や排水は中性でpH7付近であることから、これら用
水や排水に無機酸等を添加してpHを4〜6に低下させ
る必要があった。
【0006】これに対し、食塩に代えて臭化ナトリウム
を電解質に用いた場合においては、電気分解により生成
される次亜臭素酸が、前記次亜塩素酸同様に前記化学式
に示されるように強酸性および強アルカリ性において
は、臭素または次亜臭素酸イオンに変化してしまうが、
図7に示されるように、次亜臭素酸は、pH8付近にお
いても比較的安定的に存在することができることから、
これらpH8付近の弱アルカリ性領域においても高い酸
化能力が得られ、用水や排水のpHを下げることなしに
電解処理を実施することができるが、臭化ナトリウムは
食塩に比較して10〜15倍の価格であり、高価である
ことから、手洗い殺菌や歯科治療用水等の付加価値が高
く、小量の処理には適するが、大量の用水や排水の処理
では処理コストが高くなってしまうという問題点を有し
ていた。
【0007】よって、本発明は上記した問題点に着目し
てなされたもので、用水や排水中のCOD成分のみなら
ずトータル窒素自体も大幅に低減でき、さらに中性〜弱
アルカリ性の高いpH領域において、高い浄化作用を安
価な処理コストにて実施することのできる用水または排
水の浄化処理方法およびその装置を提供することを目的
としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した問題を解決する
ために、本発明の用水または排水の浄化処理方法は、用
水または排水に電解質を添加してその電気伝導性を向上
させ、この用水または排水を、陽極板と陰極板とを用い
て電気分解を行う用水または排水の浄化処理方法におい
て、前記電解質によって供給される陰イオンが、少なく
とも臭素イオンと塩素イオンであることを特徴としてい
る。この特徴によれば、用水または排水に臭素イオンと
塩素イオンとを共存させることにより、中性〜弱アルカ
リ性の高いpH領域においてCOD成分等に対しても強
い浄化能力を得ることができるとともに、その酸化能力
が臭素イオンまたは塩素イオン単体を用いた場合よりも
強く、用水または排水中の窒素成分が分解されて生成す
る硝酸をも水と窒素に分解することができ、トータル窒
素自体を大幅に低減することができる。更に、臭素イオ
ンと塩素イオンとを共存させることから、塩素イオンを
供給する低価格な電解質である食塩と、臭素イオンを供
給する例えば臭化ナトリウム等の高価な電解質とを混合
して用いることで、臭化ナトリウム等を単体で用いた場
合よりも安価な処理コストにて処理を実施できる。
【0009】本発明の用水または排水の浄化処理方法
は、前記臭素イオンと塩素イオンとのモル比率が、6:
4〜1:9の範囲とすることが好ましい。このようにす
れば、安価な処理コストにて臭素イオン単体を用いた場
合よりも高い浄化能力を得ることができる。
【0010】本発明の用水または排水の浄化処理方法
は、前記臭素イオンと塩素イオンとの比率が、電解処理
前の用水または排水における水素イオン濃度(pH)が
所定の値より低い場合には塩素イオンの比率を多くし、
所定の値より高い場合には臭素イオンの比率を多くする
ように適宜調節することが好ましい。このようにすれ
ば、用水または排水における水素イオン濃度(pH)に
基づいて臭素イオンと塩素イオンとの比率を変化させ、
必要最小限の臭素イオンを用いるようにでき、処理コス
トを削減できるばかりか、用水または排水のpHが上昇
した場合には臭素イオンの比率を高めることにより、浄
化能力が低下することを防止でき、安定した浄化処理を
実現することもできる。
【0011】本発明の用水または排水の浄化処理方法
は、前記用水または排水を所定の温度に昇温させた後ま
たは昇温させながら電気分解することが好ましい。この
ようにすれば、電気分解によって生成する次亜塩素酸や
次亜臭素酸の酸化反応力を高めることができ、より高い
浄化能力を得ることができる。
【0012】本発明の用水または排水の浄化処理方法
は、電解処理済の用水または排水を加熱することが好ま
しい。このようにすれば、電解処理によって用水または
排水中に生成された次亜塩素酸や次亜臭素酸の酸化反応
力を、加熱することによって高めることができ、より高
い浄化能力を得ることができるばかりか、これら用水ま
たは排水中に残留する未反応の次亜塩素酸や次亜臭素酸
の濃度を低減することもできる。
【0013】本発明の用水または排水の浄化処理方法
は、電解処理後の用水または排水を、ガラス、岩石、
砂、セラミックス、金属酸化物、活性炭、樹脂等から成
る多孔質部材と接触させることが好ましい。このように
すれば、電解処理によって用水または排水中に生成され
た次亜塩素酸や次亜臭素酸が、前記多孔質部材と接触す
ることによって分解する際に、用水または排水に浄化作
用を及ぼすようになり、浄化能力を高いものとすること
ができるばかりか、これら用水または排水中に残留する
未反応の次亜塩素酸や次亜臭素酸の濃度を低減すること
もできる。
【0014】本発明の用水または排水の浄化処理方法
は、電解処理後の用水または排水中に生じる不溶性の異
物を、フィルター等により濾過することが好ましい。こ
のようにすれば、前記不溶性の異物を用水または排水よ
り除去することにより、用水または排水をよりきれいな
ものとすることができ、これら不溶性の異物が配管等の
用水通路や水槽等に付着することを防止することができ
る。
【0015】本発明の用水または排水の浄化処理装置
は、用水または排水を供給する流通手段と、この流通手
段中の所定位置に設けられ、少なくとも臭化物塩と塩化
物塩とを個別に格納する格納部を具備し、これら臭化物
塩と塩化物塩とを所定の比率にて用水または排水に混入
する電解質混入手段と、この電解質混入手段の下流部の
用水または排水中に設けられ、陽極板と陰極板とを具備
する電解処理手段と、から成ることを特徴としている。
この特徴によれば、用水または排水に所定の比率にて臭
化物塩と塩化物塩とが混入されて、用水または排水中に
所定の比率にて塩素イオンと臭素イオンとが共存するよ
うになり、この用水または排水を電気分解することによ
って、中性〜弱アルカリ性の高いpH領域においても高
い浄化能力を得ることができるとともに、その酸化能力
が塩素イオンまたは臭素イオン単体を用いた場合よりも
強く、用水または排水中の窒素成分が分解されて生成す
る硝酸をも水と窒素に分解することができ、トータル窒
素自体を大幅に低減することができる。更に、塩化物塩
である安価な食塩と、臭化物塩である例えば臭化ナトリ
ウム等の高価な電解質とを混入して使用することで、臭
化ナトリウム等を単体で用いた場合よりも安価な処理コ
ストにて処理を実施できる。
【0016】本発明の用水または排水の浄化処理装置
は、前記臭化物塩と塩化物塩との混入比率を随時可変可
能とする混入比率制御手段を具備することが好ましい。
このようにすれば、用水または排水の種別やその汚れ状
況等に応じて臭化物塩と塩化物塩との混合比率を変える
ことにより、効率的な浄化処理を実施できるようにな
る。
【0017】本発明の用水または排水の浄化処理装置
は、前記電解質混入手段の上流部に、用水または排水の
水素イオン濃度(pH)を検出する検出手段を具備し、
この水素イオン濃度(pH)に基づいて前記臭化物塩と
塩化物塩との比率を前記混入比率制御手段にて制御する
ことが好ましい。このようにすれば、用水または排水に
おける水素イオン濃度(pH)に基づいて臭化物塩と塩
化物塩との混合比率を変化させ、高価な臭化物塩を必要
最小限とするようにでき、処理コストを削減できるばか
りか、用水または排水のpHが上昇した場合には、臭化
物塩の混合比率を高めることにより、浄化能力が低下す
ることを防止でき、安定した浄化処理を実現することが
できる。
【0018】本発明の用水または排水の浄化処理装置
は、前記電解処理手段の上流部に、用水または排水を所
定の温度に昇温する昇温手段を具備することが好まし
い。このようにすれば、電気分解によって生成する次亜
塩素酸や次亜臭素酸の酸化反応力を高めることができ、
より高い浄化能力を得ることができる。
【0019】本発明の用水または排水の浄化処理装置
は、前記電解処理手段の下流部に、用水または排水を加
熱する加熱手段を具備することが好ましい。このように
すれば、電解処理によって用水または排水中に生成され
た次亜塩素酸や次亜臭素酸の酸化反応力を、加熱するこ
とによって高めることができ、より高い浄化能力を得る
ことができるばかりか、これら用水または排水中に残留
する未反応の次亜塩素酸や次亜臭素酸の濃度を低減する
こともできる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基
づいて説明する。
【0021】(実施例1)図1は、本実施例1の用水ま
たは排水の浄化処理装置を示すシステム・フロー図であ
り、図2は、本実施例1の用水または排水の浄化処理装
置に用いた電解反応装置の構造を示す一部破断分解斜視
図であり、図1においてLSは水位を計測するレベルセ
ンサー、FMは流量計、Pはポンプ、Vはバルブであ
る。
【0022】本実施例1の用水または排水の浄化処理装
置は、図1に示されるような構成とされており、処理水
タンク2に一次貯溜された用水または排水等の処理原水
は、ポンプP1により電解装置1の下部より供給され、
この電解装置1への供給経路中において、電解質水溶液
タンク4より、電解質水溶液タンク4内にて臭化ナトリ
ウムと塩化ナトリウム(食塩)とが、所定の比率および
濃度にて溶解された電解質水溶液が、処理原水の電気伝
導度が所定の値となるようにポンプP2により適宜添加
され、前記電解装置1により電気分解処理がなされて浄
化が実施されるようになっている。
【0023】本実施例1の浄化処理装置には、図1に示
すように臭化ナトリウムを格納する臭化ナトリウムタン
ク6と塩化ナトリウムを格納する塩化ナトリウムタンク
とが個別に設けられ、その下部には、これらを計量して
前記電解質水溶液タンク4に投入する計量装置5が設け
られており、この計量装置5は臭化ナトリウムと塩化ナ
トリウムとの投入量を個別に制御可能とされており、こ
の計量装置5は制御装置8により制御され、この制御装
置8は処理水タンク2内に設けられたpHセンサー3に
接続されており、このpHセンサー3により検出される
pH値により臭化ナトリウムと塩化ナトリウムとの混合
比率を制御するようにプログラムされている。
【0024】また、電解装置1の下流部にはバルブV2
と処理水タンク2への流通路が設けてあり、電解処理に
よる浄化を再度実施したい場合等においては、電解処理
された用水または排水を再度処理水タンク2へ戻すこと
が可能なようになっている。
【0025】また、本実施例1に用いた前記電解装置1
は、図2に示されるような構成とされており、電気分解
を行うための電解通路13が、二枚の電極板14との間
に形成されたものとなっている。
【0026】これら電極板14は、チタン板の表面に白
金がメッキされたものまたはフェライトであり、これら
各電極板14は、所定の間隙となるような形状とされた
塩化ビニル製の筐体15内に嵌入されて配置されてい
る。
【0027】これら電極板14の間隔としては、1〜1
0mmの範囲内、特には3〜6mmの範囲とすることが好ま
しく、本実施例1では6mmとしている。
【0028】この筐体15端部の開口部は、パッキン1
6を介して塩化ビニル製の蓋材17が皿ねじ18により
固定されることにより塞がれ、前記電極板9には、この
蓋材17を貫通して筐体15の外部に露出する電極端子
19(他方の電極は図示せず)が設けられており、この
電極端子19は前記蓋材17にOリング20、丸ワッシ
ャー21、ステンレスナット22により固定され、この
電極端子19には、整流電源より直流電流が供給され、
電解装置1の両端には電解通路13への入口ジョイント
12と出口ジョイント23が設けられており、電解装置
1の下方より処理原水が供給されるようになっている。
【0029】この電解装置1の内部においては、前記電
解通路13の両側に設けられた電極板14間に、所定の
一定電流(本実施例1では5Aとした)が流れるように
前記整流装置により制御されており、電解質の添加(本
実施例1では1g/リットル)により処理原水の電気伝
導度を1400〜1500μs/cmとした場合の電圧
は約9Vであった。
【0030】これら前記した浄化処理装置を用い、処理
原水として合併処理槽よりの排水(COD;20mg/
リットル、pH8)に、前記制御装置8による設定を随
時変更して臭化ナトリウムと塩化ナトリウムとの比率を
随時変更して添加し、電解処理を処理原水の流量100
cc/分と200cc/分とにおいて実施した結果を図3に
示す。
【0031】図3において、COD低減率とは電解処理
によって低減したCOD成分の低減量を原水のCOD成
分量で除したものであり、この値が高い程浄化能力が高
いことを示すものである。
【0032】図3に示されるように、COD低減率は、
単体の場合においては塩化ナトリウムより供給される塩
素イオンにより生成される次亜塩素酸よりも、臭化ナト
リウムより供給される臭素イオンにより生成される次亜
臭素酸の方が浄化能力に優れていることが判るととも
に、これら塩化ナトリウムと臭化ナトリウムとを混合し
て塩素イオンと臭素イオンとを共存させることにより、
その浄化能力が臭化ナトリウムや塩化ナトリウム単体よ
りも高くなることが判る。
【0033】これら浄化能力の向上は、塩素イオンに少
量の臭素イオンを加えた場合に著しく、その理由として
は以下の化学式、
【化3】 に示されるように電気分解により生成される次亜塩素酸
と臭素イオンとによりイオン交換が実施されて、浄化能
力が高く、弱アルカリ領域でも安定な次亜臭素酸が生成
されることに起因するものと考えられる。
【0034】また、図3において、斜線部で示される範
囲である臭素イオンと塩素イオンとの比率6:4〜1:
9の範囲では、臭素イオン単体の場合よりも高い浄化能
力が得られ、尚且つ安価な塩素が混合される割合が高
く、処理コストを低く抑えることもできるようになる。
【0035】また、これら臭素イオンと塩素イオンの混
合系が、臭素イオン単体の系が前記したように弱アルカ
リ性の高いpH領域まで高い浄化能力を示すのに対し、
その浄化能力を維持できるpH領域が、塩素イオンの混
在により低下するとその実用性が低下する畏れがあるた
め、前記処理原水のpHを水酸化ナトリウムと無機酸で
ある硫酸とにより各pHに調整し、各pHにおける浄化
能力の変化を測定した結果を図4に示す。
【0036】図4に示されるように、臭化ナトリウムと
塩化ナトリウムの重量比率が3:7以上であれば、pH
8付近までほぼ同様かそれ以上の浄化能力を維持できる
ことが判るとともに、図4に示される結果から、処理原
水のpHの変化により浄化能力にも変化を生じることか
ら、処理原水のpHの変化に応じて臭化ナトリウムと塩
化ナトリウムの比率を変化させることが好ましく、例え
ば、処理原水のpHが低い場合においては、高価な臭化
ナトリウムの割合を低減させても十分な浄化能力を得ら
れることから、臭化ナトリウムの割合を低減させて処理
コストを抑え、処理原水のpHが高い場合には、臭化ナ
トリウムの割合を上げ、浄化能力の低下を防止して、安
定した浄化を実施できるようにすれば良く、本実施例1
のように処理原水のpHに基づいて臭化ナトリウムと塩
化ナトリウムの比率を随時変化させられるようにするこ
とが好ましい。
【0037】(実施例2)図5は、本実施例2の用水ま
たは排水の浄化処理装置を示すシステム・フロー図であ
る。
【0038】本実施例2の浄化処理装置は、実施例1の
浄化処理装置の電解装置1の下流部に、0.1ミクロン
の中空糸フィルターユニット9が配置されており、その
他の構成は実施例1と同様とされている。
【0039】この図5に示される浄化処理装置におい
て、処理原水として合併処理槽よりの排水(COD;2
2mg/リットル、トータル窒素;26.8mg/リッ
トル、色度14、pH8.2)に、臭化ナトリウム:塩
化ナトリウムの比率を7:3として溶解された電解質水
溶液を電気伝導度が1600μs/cmとなるように添
加し、流速150cc/分において電解処理を実施した際
における前記中空糸フィルターユニット9の上下流部に
おける処理水の浄化結果および前記において電解質を臭
化ナトリウム単体とした場合の中空糸フィルターユニッ
ト9の上下流部における処理水の浄化結果を以下に示
す。
【表1】
【0040】この結果より、電解質が臭化ナトリウム:
塩化ナトリウムの混合、非混合に拘わらず、電解処理後
に中空糸フィルターユニット9を通過させることにより
トータル窒素、およびCODの各値が、中空糸フィルタ
ーユニット9を通過する以前の各値よりも低下している
とともに、残留塩素および残留臭素自体も低下している
ことが判る。
【0041】これは、前記中空糸フィルターユニット9
を通過すると、処理水中の残留塩素および残留臭素が低
下することから、電解処理により生成され、処理水中に
残存する未反応の次亜臭素酸や次亜塩素酸が、中空糸フ
ィルターやそのケース等に触れることによって分解し、
その際に浄化作用を及ぼしてトータル窒素、およびCO
Dが低下するものと考えられる。
【0042】これら次亜臭素酸や次亜塩素酸が接触して
分解を起こす物質としては、本実施例2の中空糸フィル
ターのような高分子化合物の他に、ガラス、岩石、砂、
セラミックス、金属酸化物、活性炭等があることは、本
発明者らが特願平9―53408号にも記載している通
りであり、これらを中空糸フィルターに代えて用いても
良い。
【0043】このように、本実施例2によれば、より高
い浄化能力を得られるばかりか、未反応にて処理水中に
残存する残留塩素および残留臭素の量を低減することが
でき、これら残留塩素および残留臭素が生物、例えば養
殖場における魚等に悪影響を及ぼすことを防止すること
もできる。
【0044】また、本実施例2の前記結果より、臭化ナ
トリウム:塩化ナトリウムを重量比率3:7に混合する
ことにより、臭化ナトリウム単体の場合に比較して処理
水中に残存するトータル窒素の量が約半減することも判
る。
【0045】また、本実施例2では中空糸フィルターユ
ニット9のみを電解装置1の下流部に設けているが、本
発明はこれに限定されるものではなく、これら中空糸フ
ィルターユニット9は、前記したように、浄化能力の向
上と残留塩素および残留臭素の低減を実施するばかりで
はなく、電解処理により生じる不溶性の異物を除去する
役割を兼ねるようにされているが、これら各役割を区別
し、前記ガラス、岩石、砂、セラミックス、金属酸化
物、活性炭等により浄化能力の向上と残留塩素および残
留臭素の低減を実施し、その他のフィルターにて電解処
理により生じる不溶性の異物を除去するようにしても良
く、その場合においては、不溶性の異物を除去するフィ
ルター等を前記ガラス、岩石、砂、セラミックス、金属
酸化物、活性炭等が配置された下流部に配置することが
好ましく、このようにすれば、ガラス、岩石、砂、セラ
ミックス、金属酸化物、活性炭等による浄化作用により
生成する不溶性の異物も効率良く除去できるようにな
る。
【0046】(実施例3)図6は、本実施例3の用水ま
たは排水の浄化処理装置を示すシステム・フロー図であ
る。
【0047】本実施例3の浄化処理装置は、図6に示さ
れるように、処理水タンク2の外周に、予熱ヒーター1
0が設けられ、処理原水を所定の温度に昇温するように
されており、電解装置1の下流部には、電解処理された
処理水を加熱する加熱装置11が設けられており、その
他は実施例1と同様とされている。
【0048】この図6に示される浄化処理装置におい
て、処理原水として合併処理槽よりの排水(COD;約
28mg/リットル、トータル窒素;約35mg/リッ
トル、pH8.3)に、臭化ナトリウム:塩化ナトリウ
ムの比率を7:3として溶解された電解質水溶液を、実
施例2と同様に電気伝導度が1600μs/cmとなる
ように添加し、流速150cc/分において電解処理を実
施した際に、前記予熱ヒーター10により40℃に処理
原水を予熱(電解処理により処理水は47℃になるため
処理温度は47℃とした)した場合と、予熱を実施せず
に電解処理後において、処理水を約50℃に加熱した場
合の処理水の浄化結果並びに比較のために、予熱および
加熱を実施せずに電解処理した処理水の結果を以下に示
す。
【表2】
【0049】この結果より、予熱および電解処理後にお
ける加熱を実施しないものに比較して、予熱および電解
処理後における加熱を実施することにより、処理水中に
残存するCOD成分量およびトータル窒素成分量の双方
が、大幅に低減していることが判るばかりか、電解処理
後において加熱することにより、処理水中に残存する残
留臭素や残留塩素の量も著しく低下することが判る。
【0050】これら、予熱または加熱する温度として
は、浄化装置の耐熱性等から適宜選択されれば良く、特
に限定されるものではないが、この温度が高いと温度上
昇に要するコストが高くなってしまうことから、好まし
くは30〜70℃の範囲とすることが好ましい。
【0051】また、これら浄化処理された処理水よりヒ
ートポンプ等を用いて熱を回収し、この熱によって予熱
や加熱を実施するようにしても良い。
【0052】以上、本発明を図面に基づいて説明してき
たが、本発明は前記各実施例に限定されるものではな
く、本発明の主旨を逸脱しない範囲での変更や追加があ
っても、本発明に含まれることは言うまでもない。
【0053】また、前記各実施例においては、ハロゲン
化塩として塩化ナトリウムおよび臭化ナトリウムを用い
ているが、本発明はこれに限定されるものではなく、こ
れら塩を他のアルカリ金属、例えばカリウムやリチウム
等や、アルカリ土類金属であるマグネシュウムやカルシ
ウム等との塩を使用しても良く、これら選択はそのハロ
ゲン化塩の価格等などから適宜選択されれば良い。
【0054】また、本実施例2および3に示されるフィ
ルタ等による方法と予熱および加熱による方法とを組み
合わせて用いる事等は任意とされる。
【0055】
【発明の効果】本発明は以下の効果を奏する。
【0056】(a)請求項1項の発明によれば、用水ま
たは排水に臭素イオンと塩素イオンとを共存させること
により、中性〜弱アルカリ性の高いpH領域においてC
OD成分等に対しても強い浄化能力を得ることができる
とともに、その酸化能力が臭素イオンまたは塩素イオン
単体を用いた場合よりも強く、用水または排水中の窒素
成分が分解されて生成する硝酸をも水と窒素に分解する
ことができ、トータル窒素自体を大幅に低減することが
できる。更に、臭素イオンと塩素イオンとを共存させる
ことから、塩素イオンを供給する低価格な電解質である
食塩と、臭素イオンを供給する例えば臭化ナトリウム等
の高価な電解質とを混合して用いることで、臭化ナトリ
ウム等を単体で用いた場合よりも安価な処理コストにて
処理を実施できる。
【0057】(b)請求項2項の発明によれば、安価な
処理コストにて臭素イオン単体を用いた場合よりも高い
浄化能力を得ることができる。
【0058】(c)請求項3項の発明によれば、用水ま
たは排水における水素イオン濃度(pH)に基づいて臭
素イオンと塩素イオンとの比率を変化させ、必要最小限
の臭素イオンを用いるようにでき、処理コストを削減で
きるばかりか、用水または排水のpHが上昇した場合に
は臭素イオンの比率を高めることにより、浄化能力が低
下することを防止でき、安定した浄化処理を実現するこ
ともできる。
【0059】(d)請求項4項の発明によれば、電気分
解によって生成する次亜塩素酸や次亜臭素酸の酸化反応
力を高めることができ、より高い浄化能力を得ることが
できる。
【0060】(e)請求項5項の発明によれば、電解処
理によって用水または排水中に生成された次亜塩素酸や
次亜臭素酸の酸化反応力を、加熱することによって高め
ることができ、より高い浄化能力を得ることができるば
かりか、これら用水または排水中に残留する未反応の次
亜塩素酸や次亜臭素酸の濃度を低減することもできる。
【0061】(f)請求項6項の発明によれば、電解処
理によって用水または排水中に生成された次亜塩素酸や
次亜臭素酸が、前記多孔質部材と接触することによって
分解する際に、用水または排水に浄化作用を及ぼすよう
になり、浄化能力を高いものとすることができるばかり
か、これら用水または排水中に残留する未反応の次亜塩
素酸や次亜臭素酸の濃度を低減することもできる。
【0062】(g)請求項7項の発明によれば、前記不
溶性の異物を用水または排水より除去することにより、
用水または排水をよりきれいなものとすることができ、
これら不溶性の異物が配管等の用水通路や水槽等に付着
することを防止することができる。
【0063】(h)請求項8項の発明によれば、用水ま
たは排水に所定の比率にて臭化物塩と塩化物塩とが混入
されて、用水または排水中に所定の比率にて塩素イオン
と臭素イオンとが共存するようになり、この用水または
排水を電気分解することによって、中性〜弱アルカリ性
の高いpH領域においても高い浄化能力を得ることがで
きるとともに、その酸化能力が塩素イオンまたは臭素イ
オン単体を用いた場合よりも強く、用水または排水中の
窒素成分が分解されて生成する硝酸をも水と窒素に分解
することができ、トータル窒素自体を大幅に低減するこ
とができる。更に、塩化物塩である安価な食塩と、臭化
物塩である例えば臭化ナトリウム等の高価な電解質とを
混入して使用することで、臭化ナトリウム等を単体で用
いた場合よりも安価な処理コストにて処理を実施でき
る。
【0064】(i)請求項9項の発明によれば、用水ま
たは排水の種別やその汚れ状況等に応じて臭化物塩と塩
化物塩との混合比率を変えることにより、効率的な浄化
処理を実施できるようになる。
【0065】(j)請求項10項の発明によれば、用水
または排水における水素イオン濃度(pH)に基づいて
臭化物塩と塩化物塩との混合比率を変化させ、高価な臭
化物塩を必要最小限とするようにでき、処理コストを削
減できるばかりか、用水または排水のpHが上昇した場
合には、臭化物塩の混合比率を高めることにより、浄化
能力が低下することを防止でき、安定した浄化処理を実
現することができる。
【0066】(k)請求項11項の発明によれば、電気
分解によって生成する次亜塩素酸や次亜臭素酸の酸化反
応力を高めることができ、より高い浄化能力を得ること
ができる。
【0067】(l)請求項12項の発明によれば、電解
処理によって用水または排水中に生成された次亜塩素酸
や次亜臭素酸の酸化反応力を、加熱することによって高
めることができ、より高い浄化能力を得ることができる
ばかりか、これら用水または排水中に残留する未反応の
次亜塩素酸や次亜臭素酸の濃度を低減することもでき
る。
【0068】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における用水または排水の浄
化処理装置のシステム・フロー図である。
【図2】本発明の実施例1における用水または排水の浄
化処理装置に用いた電解装置の構造を示す一部破断分解
斜視図である。
【図3】本発明の実施例1において、ハロゲン化塩とし
て塩化ナトリウムと臭化ナトリウムとを混合して用い、
その混合比率を変化させた際のCOD低減率を示すグラ
フである。
【図4】本発明の実施例1において、各pHにおける塩
化ナトリウムと臭化ナトリウムとの各混合比率でのCO
D低減率を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例2における用水または排水の浄
化処理装置のシステム・フロー図である。
【図6】本発明の実施例3における用水または排水の浄
化処理装置のシステム・フロー図である。
【図7】従来の塩化ナトリウムと臭化ナトリウム単体に
よる次亜塩素酸および次亜臭素酸の存在比率とpHとの
関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 電解装置 2 処理水タンク 3 pHセンサー 4 電解質水溶液タンク 5 計量装置 6 臭化ナトリウムタンク 7 塩化ナトリウムタンク 8 制御装置 9 中空糸フィルターユニット 10 予熱装置 11 加熱装置 12 入口ジョイント 13 電解通路 14 電極板 15 筐体 16 パッキン 17 蓋材 18 皿ねじ 19 電極端子 20 Oリング 21 丸ワッシャー 22 チタンナット 23 出口ジョイント
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C02F 1/76 C02F 1/46 101C

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 用水または排水に電解質を添加してその
    電気伝導性を向上させ、この用水または排水を、陽極板
    と陰極板とを用いて電気分解を行う用水または排水の浄
    化処理方法において、前記電解質によって供給される陰
    イオンが、少なくとも臭素イオンと塩素イオンであるこ
    とを特徴とする用水または排水の浄化処理方法。
  2. 【請求項2】 前記臭素イオンと塩素イオンとのモル比
    率が、6:4〜1:9の範囲とする請求項1に記載の用
    水または排水の浄化処理方法。
  3. 【請求項3】 前記塩素イオンと臭素イオンとの比率
    が、電解処理前の用水または排水における水素イオン濃
    度(pH)が所定の値より低い場合には塩素イオンの比
    率を多くし、所定の値より高い場合には臭素イオンの比
    率を多くするように適宜調節する請求項1または2に記
    載の用水または排水の浄化処理方法。
  4. 【請求項4】 前記用水または排水を所定の温度に昇温
    させた後または昇温させながら電気分解する請求項1〜
    3のいずれかに記載の用水または排水の浄化処理方法。
  5. 【請求項5】 電解処理済の用水または排水を加熱する
    請求項1〜4のいずれかに記載の用水または排水の浄化
    処理方法。
  6. 【請求項6】 電解処理後の用水または排水を、ガラ
    ス、岩石、砂、セラミックス、金属酸化物、活性炭、樹
    脂等から成る多孔質部材と接触させる請求項1〜5のい
    ずれかに記載の用水または排水の浄化処理方法。
  7. 【請求項7】 電解処理後の用水または排水中に生じる
    不溶性の異物を、フィルター等により濾過する請求項1
    〜6のいずれかに記載の用水または排水の浄化処理方
    法。
  8. 【請求項8】 用水または排水を供給する流通手段と、
    この流通手段中の所定位置に設けられ、少なくとも臭化
    物塩と塩化物塩とを個別に格納する格納部を具備し、こ
    れら臭化物塩と塩化物塩とを所定の比率にて用水または
    排水に混入する電解質混入手段と、この電解質混入手段
    の下流部の用水または排水中に設けられ、陽極板と陰極
    板とを具備する電解処理手段と、から成ることを特徴と
    する用水または排水の浄化処理装置。
  9. 【請求項9】 前記臭化物塩と塩化物塩との混入比率を
    随時可変可能とする混入比率制御手段を具備する請求項
    8に記載の用水または排水の浄化処理装置。
  10. 【請求項10】 前記電解質混入手段の上流部に、用水
    または排水の水素イオン濃度(pH)を検出する検出手
    段を具備し、この水素イオン濃度(pH)に基づいて前
    記臭化物塩と塩化物塩との比率を前記混入比率制御手段
    にて制御する請求項9に記載の用水または排水の浄化処
    理装置。
  11. 【請求項11】 前記電解処理手段の上流部に、用水ま
    たは排水を所定の温度に昇温する昇温手段を具備する請
    求項8〜10のいずれかに記載の用水または排水の浄化
    処理装置。
  12. 【請求項12】 前記電解処理手段の下流部に、用水ま
    たは排水を加熱する加熱手段を具備する請求項8〜11
    のいずれかに記載の用水または排水の浄化処理装置。
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