JPH11189827A - 成形性および焼入れ性に優れた高炭素鋼板の製造方法 - Google Patents
成形性および焼入れ性に優れた高炭素鋼板の製造方法Info
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- JPH11189827A JPH11189827A JP35741697A JP35741697A JPH11189827A JP H11189827 A JPH11189827 A JP H11189827A JP 35741697 A JP35741697 A JP 35741697A JP 35741697 A JP35741697 A JP 35741697A JP H11189827 A JPH11189827 A JP H11189827A
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Abstract
の低温短時間化に対応できる成形性および焼入れ性に優
れたJIS G 4051、JIS G 4401、JIS G 4802で成分
規定された高炭素鋼板を安定して製造する方法を提供す
る。 【解決手段】 JIS G 4051、JIS G 4401、JIS G
4802で規定される成分系を有する高炭素鋼板を製造する
に際し、(イ)スラブをAr3変態点以上で熱延し、(ロ)熱延
後5℃/sec以上の冷却速度で冷却し、560〜650℃で2〜10
sec保持する短時間熱処理を施した後、再び7℃/sec以上
の冷却速度で冷却し、(ハ)冷却後600℃以下で巻取り、
(ニ)巻取り後30%以上の圧下率で冷延し、(ホ)冷延後580℃
〜Ac1変態点で焼鈍して、平均粒径が1.1μm以下で平均
アスペクト比が1.5以下のセメンタイトおよび平均粒径
が2μm以上のフェライト粒を形成させる方法など。
Description
51(機械構造用炭素鋼)、JIS G 4401(炭
素工具鋼鋼材)、JIS G 4802(ばね用冷間圧
延鋼帯)で成分規定されているNi、Cr、Moなどの
特殊な合金元素を含まない高炭素鋼板の製造方法に関す
る。
ト金具などの自動車部品は、素材としてJIS G 4
051、JIS G 4401、JIS G 4802
で成分規定された高炭素鋼板が用いられ、それを所定の
形状に成形後焼入れ焼戻しなどの熱処理が施されて製造
される。
わち高炭素鋼板のユーザーでは、低コスト化のために成
形工程の簡略化や熱処理の低温短時間化が検討されるよ
うになったが、それにともない素材としての高炭素鋼板
には、複雑な形状を少ない工程でも成形できる優れた成
形性や低温短時間の熱処理でも所望の硬度が得られる優
れた焼入れ性が強く要望されている。
焼入れ性を向上させるために種々の検討が行われてい
る。例えば、特開平5−9588号公報には、熱間圧延
後の鋼帯を10℃/sec以上の冷却速度で20〜50
0℃の温度範囲に冷却し、その後500℃〜(Ac1変
態点+30℃)の温度範囲に再加熱してその温度で巻取
ったり、さらに冷間圧延後650℃〜(Ac1変態点+
30℃)の温度範囲で1時間以上熱処理したりしてセメ
ンタイトの球状化を促進させ、軟質・高延性化して成形
性を向上させる方法が開示されている。また、特開昭6
4−25946号公報や特開平8−246051号公報
には、鋼中の炭素を黒鉛化して軟質・高延性化して成形
性を向上させる方法も提案されている。
者等が特開平5−9588号公報に記載された方法を検
討したところ、ユーザーにおける成形工程の簡略化や熱
処理の低温短時間化に対応できるような成形性および焼
入れ性に優れた高炭素鋼板が必ずしも得られない場合が
あった。また、特開昭64−25946号公報や特開平
8−246051号公報に記載された鋼中の炭素を黒鉛
化する方法には、黒鉛の溶解速度が遅いため低温短時間
の焼入れ処理において十分に硬質化できないといった問
題がある。
なされたもので、ユーザーにおける成形工程の簡略化や
熱処理の低温短時間化に対応できる成形性および焼入れ
性に優れたJIS G 4051、JIS G 440
1、JIS G 4802で成分規定された高炭素鋼板
を安定して製造する方法を提供することを目的とする。
4051、JIS G 4401、JIS G 48
02で規定される成分系を有する高炭素鋼板を製造する
に際し、(イ)スラブをAr3変態点以上の温度で熱間
圧延し、(ロ)熱間圧延後の鋼板を5℃/sec以上の
冷却速度で冷却し、560〜650℃の温度範囲に2〜
10sec保持する短時間熱処理を施した後、再び7℃
/sec以上の冷却速度で冷却し、(ハ)冷却後の鋼板
を600℃以下の温度で巻取り、(ニ)巻取り後の鋼板
を30%以上の圧下率で冷間圧延し、(ホ)冷間圧延さ
れた鋼板を580℃〜Ac1変態点の温度で焼鈍して、
平均粒径が1.1μm以下で平均アスペクト比が1.5
以下のセメンタイトおよび平均粒径が2μm以上のフェ
ライト粒を形成させる成形性および焼入れ性に優れた高
炭素鋼板の製造方法により解決される。
タイトの平均アスペクト比、およびフェライト粒の平均
粒径は、以下のようにして測定される。
厚み方向で形成される断面を電子顕微鏡により1500
倍で観察し、約300個のセメンタイトについて長軸、
短軸(長軸に直角方向)およびそれらと45°の方向の
長さを求めて平均する。 b)セメンタイトの平均アスペクト比:圧延方向と厚み
方向および幅方向と厚み方向で形成される断面を電子顕
微鏡により1500倍で観察し、約500個のセメンタ
イトについて長軸と短軸(長軸に直角方向)の長さの比
を求めて平均する。 c)フェライト粒の平均粒径:圧延方向と厚み方向で形
成される断面を光学顕微鏡により500倍で観察し、約
300個のフェライト粒について長軸、短軸(長軸に直
角方向)およびそれらと45°の方向の長さを求めて平
均する。
程の簡略化や熱処理の低温短時間化に対応できるように
JIS G 4051、JIS G 4401、JIS
G4802で規定される成分系を有する高炭素鋼板の
成形性および焼入れ性の向上を検討したところ、熱間圧
延後の冷却条件および冷間圧延ー焼鈍後のセメンタイト
やフェライト粒の形態が重要な役割を演じていることが
明らかになった。以下に、その詳細を説明する。
と、フェライト粒の粗大化が起こり焼入れ性にとって好
ましくないフェライトとパーライトの不均一組織が形成
されるので、Ar3変態点以上で行う必要がある。な
お、熱間圧延は、成分調整された溶鋼を連続鋳造や造塊
・分塊圧延により製造されたスラブを直接圧延しても、
また、加熱炉を経由させて圧延してもよい。
入れ性にとって好ましい組織を形成させるために、微細
なパーライトが均一に分布した組織を有していることが
必要である。そのためには、パーライト変態のノーズが
熱間圧延後の冷却中の温度範囲にくるようにし、鋼板を
このノーズ近傍の温度範囲に保持して短時間でパーライ
ト変態を終了させればよい。具体的には、JIS G
4051、JIS G 4401、JIS G 480
2で規定される成分系を有する高炭素鋼のパーライトノ
ーズは560〜650℃の温度範囲にあるので、熱間圧
延後5℃/sec以上で冷却し、560〜650℃の温
度範囲に2〜10sec保持した後、再び7℃/sec
以上の冷却速度で冷却して、巻取ればよい。
であったり、ノーズにおける短時間保持後の冷却速度が
7℃/sec未満であったり、560〜650℃の温度
範囲における保持時間が10secを超えると、パーラ
イトの粗大化を招く。また、560〜650℃の温度範
囲における保持時間が2sec未満では、この温度範囲
でパーライト変態が終了せず、微細なパーライトが均一
に分布した組織が得られない。
後の冷却速度は、巻取り時のコイル形状を劣化させない
ように30℃/sec以下にすることが望ましい。ま
た、560〜650℃の温度範囲における保持は必ずし
もこの温度範囲の一定温度で行われる必要はなく、温度
傾斜があってもこの温度範囲に2〜10sec保持され
ていればよい。実際にこの温度範囲で短時間保持するに
は、例えば熱間圧延後の散水による冷却をこの温度範囲
で短時間中止する、すなわち散水を止めて自然冷却する
ことによって行える。
引き起こすので、600℃以下にする必要がある。な
お、巻取り時のコイル形状を劣化させないように480
℃以上で巻取ることが好ましい。
均粒径、平均アスペクト比およびフェライト粒の平均粒
径について JIS G 4802のS65C−CSP相当の成分系
のスラブを820℃の温度で熱間圧延後、7℃/sec
の冷却速度で550〜660℃の温度まで冷却して、そ
の温度範囲に1〜12sec保持した後、10℃/se
cの冷却速度で冷却して550℃の温度で巻取った。そ
の後20〜60%の圧下率で冷間圧延し、550〜72
0℃の温度で20hrの焼鈍を行って板厚1.2mmの
高炭素鋼板を作製した。そして、上記の方法によりセメ
ンタイトの平均粒径、平均アスペクト比およびフェライ
ト粒の平均粒径を測定した。また、圧延方向に対し0
°、45°、90°方向に沿ってJIS5号試験片を切
り出し、引張速度10mm/minで引張試験を行い、
各方向を平均した全伸びを求めて成形性を評価した。さ
らに、50×100mmのサイズに切り出した試験片を
760℃で10秒間の短時間加熱後20℃の油中に焼入
れ、鋼板面におけるロックウェルCスケール硬度(HR
C)測定し、焼入れ性を評価した。
ば、S65C−CSPと同様な成分系を有し板厚が1.
2mmの球状化焼鈍材の全伸びの平均は高々31%程度
であり、また、焼入れ後硬度の平均はHRCで高々55
程度なので、33%以上の全伸びおよびHRCで60以
上の焼入れ後硬度の得られる条件を本発明とした。
ペクト比およびフェライト粒の平均粒径との関係を示
す。
以下で、フェライト粒の平均粒径が2μm以上の場合
に、全伸びが33%以上となり、優れた成形性の得られ
ることがわかる。
均粒径との関係を示す。セメンタイトの平均粒径が1.
1μm以下の場合に、焼入れ後硬度はHRCで60以上
となり、短時間加熱でも安定して優れた焼入れ性の得ら
れることがわかる。
未満だとパーライトが十分に破壊されず、焼鈍後に平均
粒径が1.1μm以下で平均アスペクト比が1.5以下
の微細なセメンタイトが得られないので、30%以上に
する必要がある。上限は特に規定しないが、圧延機への
負荷が大きくならないよう70%以下にすることが望ま
しい。
と未再結晶組織が残り硬質・低延性になる場合があるの
で、580℃以上にする必要がある。また、Ac1変態
点を超えて焼鈍するとパーライトが生成し、成形性や焼
入れ性を著しく阻害するので、Ac1変態点以下にする
必要がある。
き後、りん酸塩処理を施すと、自動車部品であるギヤー
などを冷間鍛造やしごき成形などの高面圧下による方法
で成形しても型かじりや割れが発生し難くなる。なお、
亜鉛めっきは電気亜鉛めっき法、溶融亜鉛めっき法など
で行える。
C相当の成分系(wt%でC:0.36、Si:0.1
8、Mn:0.74、P:0.008、S:0.00
7、Al:0.01)のスラブを連続鋳造により製造
し、1250℃に加熱後、表1に示す条件で熱間圧延ー
一次冷却ー短時間熱処理ー二次冷却ー巻取りー冷間圧延
ー焼鈍を順次行い、板厚1.2mmの21種類の試料を
作製した。ここで、表1における一次冷却速度および二
次冷却速度は散水の条件を変えて変化させた。また、短
時間熱処理は、表に示す温度に達した時点で表に示す時
間だけ散水を止めて行った。
りセメンタイトの平均粒径と平均アスペクト比、フェラ
イト粒の平均粒径、全伸び、焼入れ後硬度(加熱温度:
820℃)を測定した。
れた試料では、いずれも35%以上の全伸び、HRCで
50以上の焼入れ後硬度が得られ、同様な成分系と板厚
の高炭素鋼板を従来法で製造したときの平均的な全伸び
30%前後および焼入れ後硬度HRCで40前後に比
べ、より優れた成形性および焼き入性を示す。
試料では、従来法で作製したもの並みあるいはそれ以下
の成形性や焼き入性しか得られない。
5C−CSP相当の成分系(wt%でC:0.65、S
i:0.21、Mn:0.76、P:0.007、S:
0.007、Al:0.01)のスラブを連続鋳造によ
り製造し、1280℃に加熱後、表2に示す条件で熱間
圧延ー一次冷却ー短時間熱処理ー二次冷却ー巻取りー冷
間圧延ー焼鈍を順次行い、板厚1.2mmの21類の試
料を作製した。ここで、一次冷却、短時間熱処理、二次
冷却の条件設定は、実施例1の場合と同様に行った。
りセメンタイトの平均粒径と平均アスペクト比、フェラ
イト粒の平均粒径、全伸び、焼入れ後硬度(加熱温度:
750℃)を測定した。
れた試料では、いずれも33%以上の全伸び、HRCで
60以上の焼入れ後硬度が得られ、同様な成分系と板厚
の高炭素鋼板を従来法で製造したときの平均的な全伸び
30%前後および焼入れ後硬度HRCで50前後に比
べ、より優れた成形性および焼き入性を示す。
試料では、従来法で作製したもの並みあるいはそれ以下
の成形性や焼き入性しか得られない。
い、その表面に電気亜鉛めっき(Zn:21g/m 2)
後、りん酸塩処理(P皮膜:1.95mg/m2)を施
して摩擦摺動試験を行った。
す。ローラレベラ4上を水平移動できる試料台3に試験
片2をセット後、油圧シリンダ6でローラレベラ4を上
方へ持ち上げて試験片2を圧子1にある押し付け力で押
し付け、試料台3を水平移動させる。このとき、圧子1
と試験片2の表面の間にかかる水平方向の力は引き抜き
力測定用ロードセル7により、また、垂直方向にかかる
力は押し付け力測定用ロードセル5により測定されるの
で、摩擦係数を測定できる。
図4に、押し付け力と摩擦係数の関係を示す。表面に電
気亜鉛めっき後、りん酸塩処理を施すと、こうした表面
処理を行わない試料(裸材)に比べ、より高い押し付け
力で摩擦係数の急激な上昇が起こり、かじりの発生する
ことがわかる。この結果より、表面に電気亜鉛めっき
後、りん酸塩処理を施すと、冷間鍛造やしごき成形など
の高面圧下による方法で成形しても型かじりや割れが発
生し難くなるといえる。
いるので、ユーザーにおける成形工程の簡略化や熱処理
の低温短時間化に対応できる成形性および焼入れ性に優
れた高炭素鋼板を安定して製造する方法を提供できる。
処理を施すと、冷間鍛造やしごき成形などの高面圧下に
おける成形性を向上できる。
びフェライト粒の平均粒径との関係を示す図である。
係を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 JIS G 4051(機械構造用炭素
鋼)、JIS G4401(炭素工具鋼鋼材)、JIS
G 4802(ばね用冷間圧延鋼帯)で規定される成
分系を有する高炭素鋼板を製造するに際し、 (イ)スラブをAr3変態点以上の温度で熱間圧延し、 (ロ)熱間圧延後の鋼板を5℃/sec以上の冷却速度
で冷却し、560〜650℃の温度範囲に2〜10se
c保持する短時間熱処理を施した後、再び7℃/sec
以上の冷却速度で冷却し、 (ハ)冷却後の鋼板を600℃以下の温度で巻取り、 (ニ)巻取り後の鋼板を30%以上の圧下率で冷間圧延
し、 (ホ)冷間圧延された鋼板を580℃〜Ac1変態点の
温度で焼鈍して、 平均粒径が1.1μm以下で平均アスペクト比が1.5
以下のセメンタイトおよび平均粒径が2μm以上のフェ
ライト粒を形成させる成形性および焼入れ性に優れた高
炭素鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 焼鈍後の鋼板表面に亜鉛めっき処理後、
りん酸塩処理を施す請求項1に記載の成形性および焼入
れ性に優れた高炭素鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35741697A JP3446003B2 (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | 成形性および焼入れ性に優れた高炭素鋼板の製造方法 |
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Publications (2)
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JPH11189827A true JPH11189827A (ja) | 1999-07-13 |
JP3446003B2 JP3446003B2 (ja) | 2003-09-16 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP35741697A Expired - Fee Related JP3446003B2 (ja) | 1997-12-25 | 1997-12-25 | 成形性および焼入れ性に優れた高炭素鋼板の製造方法 |
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JP (1) | JP3446003B2 (ja) |
-
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- 1997-12-25 JP JP35741697A patent/JP3446003B2/ja not_active Expired - Fee Related
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