JPH11189606A - 塩化ビニル系樹脂の懸濁重合方法 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂の懸濁重合方法

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JPH11189606A
JPH11189606A JP44898A JP44898A JPH11189606A JP H11189606 A JPH11189606 A JP H11189606A JP 44898 A JP44898 A JP 44898A JP 44898 A JP44898 A JP 44898A JP H11189606 A JPH11189606 A JP H11189606A
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polymerization
vinyl chloride
suspension polymerization
blade
stirring
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Application number
JP44898A
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English (en)
Inventor
Kenichi Asahina
研一 朝比奈
Yuki Goto
祐樹 後藤
Yukio Shibazaki
行雄 柴崎
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重合器内壁に樹脂スケールが付着せず、得ら
れる塩化ビニル系樹脂は、高い空隙率を有し、且つ、シ
ャープな粒度分布と高い嵩比重とを有するものを提供す
る。 【解決手段】 塩化ビニル系単量体を、油溶性重合開始
剤の存在下、水性媒体中で懸濁重合する際に、重合器の
攪拌翼が少なくとも2段翼からなり、その最上部攪拌翼
が、塩化ビニル系単量体の重合転化率が0〜25重量%
の範囲において、重合攪拌時に生じるボルテックスの最
下部液面より下に0.4〜1.5mの範囲に位置し、最
上部攪拌翼の翼先端における最大攪拌剪断速度が50〜
400/秒である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化ビニル系樹脂
の懸濁重合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、塩化ビニル系樹脂(以下PV
Cという)は、機械的強度、耐候性、耐薬品性等に優れ
ているため、配管材料、建築材料等の分野で広く利用さ
れている。しかし、成形加工性は、必ずしも優れている
とはいえず、一層の改善が要求されている
【0003】塩化ビニル系樹脂の成形加工性を評価する
代表的な方法としては、可塑剤の吸収性を測定する方法
と、プラストミルを用いてトルクとゲル化時間とを測定
する方法がある。優れた成形加工性とは、前者において
は、可塑剤が塩化ビニル系樹脂の内部にまで短時間で浸
透することであり、後者においては、最大トルクが低
く、かつ、ゲル化時間が短いことである。
【0004】成形加工性を阻害する最大の要因として考
えられるものは、PVC粒子表面のスキン層の存在であ
る。スキン層とは、PVC粒子の表面に存在する表皮層
のことであり、重合において分散剤として使用された部
分鹸化ポリ酢酸ビニル、セルロース誘導体等がPVCに
対して強固にグラフトすることにより形成された層であ
ると考えられる。
【0005】元来、スキン層は重合系内のモノマー油滴
の表面を保護し、油滴の分裂と合体とを調整することに
より、重合系を安定化させる役目を果たしている。しか
し、PVCを成形加工する段階では、塩化ビニル系樹脂
粒子をサブミクロン単位(1次粒子以下)にまで粉砕す
る必要があり、強固なスキン層があることが、却って大
きな障害になっていると考えられる。
【0006】従って、成形加工性に優れたPVCを得る
には、PVC粒子表面のスキン層が少ないか又はほとん
ど無いことが望ましい。また、PVC粒子内部に取り込
まれた液状安定剤、可塑剤等を容易に拡散吸収できるよ
うに、PVC粒子内部にある1次粒子間に微細孔が多く
存在し、多孔性に優れていることが重要であると考えら
れる。
【0007】スキン層の少ないPVCの製造方法として
は、例えば、特公昭53−13395号公報には、塩基
性化合物の存在下で、親油性ソルビタン高級脂肪酸と親
水性のポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステ
ルとを組み合わせた分散剤を使用し、PVCの重合転化
率が5〜40重量%に達した時点で、水溶性セルロース
誘導体を添加する方法、あるいは、特公平5−8640
8号公報には、ソルビタン高級脂肪酸エステルを分散剤
として使用し、ファウドラー翼による攪拌下で重合を開
始し、PVCの重合転化率が5〜40重量%に達した時
点で、水溶性分散剤を添加する方法が開示されている。
【0008】しかしながら、これらの重合方法は、重合
中に重合器内壁に樹脂スケールが付着せず、多孔性に富
んだPVCが得られるが、嵩比重が低くなり、分散剤を
後添加する為、重合工程上、操作が繁雑になり、又分散
剤がPVCの表面に多量に残存し、得られるPVCの物
性を低下させるという問題点があった。
【0009】又、特開平5−295008号公報には、
既知の懸濁分散剤、低鹸化度の部分鹸化ポリ酢酸ビニ
ル、ソルビタンモノラウレート等の非イオン界面活性剤
を、特定比率で添加して重合を行う方法が開示されてい
る。しかしながら、この方法により得られる塩化ビニル
系樹脂は、粒子表面のスキン層部分は少なくなるが、重
合初期段階において、攪拌所要動力を制御する必要があ
り、得られる塩化ビニル系樹脂のゲル化特性、可塑剤吸
収性等がまだ不充分であった。
【0010】又、特開平8−3206号公報には、部分
鹸化ポリビニルアルコールと高粘度のヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース又はカルボキシル基を有する架橋共
重合体を使用する方法が開示されている。しかしなが
ら、この方法により得られる塩化ビニル系樹脂は、可塑
剤吸収性には優れているが、嵩比重が低く満足できるも
のではなかった。
【0011】特開平8−59713号公報、特開平8−
120007号公報、特開平8−231613号公報、
及び特開平8−295701号公報には、反応系に部分
鹸化ポリ酢酸ビニル及びセルロース誘導体の内の少なく
とも1種の分散剤、HLB値が3〜10のソルビタン高
級脂肪酸エステル及びアニオン系乳化剤の内の少なくと
も1種の乳化剤、炭素数が8〜25の高級脂肪酸、特定
の粘度を有する増粘剤を添加し重合する方法が開示され
ている。高鹸化ポリ酢酸ビニルとを組み合わせる方法が
開示されている。この方法は、スキン層がなくゲル化性
が大幅に改良された塩化ビニル系樹脂の製造方法として
優れているが、嵩比重を向上させる為に、重合時の槽容
積当たりの生産性が低下するという問題点があり、技術
課題として、嵩比重を改良すると共に、槽容積当たりの
生産性向上、及びスケール付着防止策の更なる改良が求
められていた。
【0012】上記解決策の1つとして、水性媒体の重合
途中での添加であり、特開平4−325506号公報で
は、可塑剤吸収時にフィッシュアイの発生の少ないPV
Cの製造方法を特定の分散剤を使用し、更に重合途中で
水媒体を追加することにより達成しようとする方法であ
るが、嵩比重の向上や可塑剤吸収性は改善されていな
い。又、特開平8−100004号公報では、反応熱除
去のために特定の熱交換機を用いて、更に重合により減
少する体積分に相当する水媒体を追加することにより、
生産性向上とスケール付着防止を狙いとしているが、嵩
比重の改善は見られない。
【0013】別の解決策として、重合時の攪拌剪断速度
や攪拌動力に関する方法が開示されている。例えば、特
開平3−287603号公報では、重合初期に攪拌剪断
速度104 /sec以上の高速攪拌を行い微細な油滴形
成の後、低速攪拌する重合方法により、シャープな粒度
分布と高嵩比重の樹脂を得ようとしているが、高速剪断
力が高すぎるため、満足できる高嵩比重の樹脂は得られ
ていない。又、特開平7−252305号公報では、重
合時の攪拌動力を重合転化率に応じて設定し嵩比重の改
良を試みているが、粒度分布及び加工特性は満足できる
レベルではない。
【0014】更に別の解決策として、攪拌装置に関する
方法が開示されている。例えば、特開平6−28720
3号公報では、多段翼として、上段翼ほど攪拌翼径を小
さくし乳化重合等で重合槽内の均一攪拌を試みている
が、懸濁重合への適用は液面上部の攪拌が十分でなく嵩
比重の向上は得られていない。又、特開平7−1090
2号公報では、多段翼の最上段翼と下部翼の形状を特定
し、得られる樹脂の嵩比重の向上を試みている。即ち、
多段翼の最上段翼の形状をブルーマージン翼として、そ
の槽底面からの距離と攪拌翼径とを特定しているが、ゲ
ル化特性が改良されたPVCの製造方法としては嵩比重
の向上が認められない。
【0015】又、特開平7−157504号公報では、
重合器の内径と高さの比を特定し、更に重合器の内径に
対する攪拌翼の取り付け間隔を特定して、樹脂粒子の粗
大化やスケール付着防止を試みているが、嵩比重の改良
には寄与していない。更に、特開平7−188309号
公報では、重合液面と最上部攪拌翼間の距離と、重合槽
の内径との比率を特定して嵩比重やスケール付着の改良
を試みているが、改良の程度が低く満足できるレベルで
はない。
【0016】これら従来技術では、攪拌翼や重合器形状
に関係する因子が工業的に利用できる程度に限定されて
おらず、且つ、スキン層が実質的に存在しないPVCの
懸濁重合技術として、樹脂粒子の凝集効果に充分着目で
きていなかった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明のPVCの懸濁
重合方法は、上記に鑑み、重合器内壁に樹脂スケールが
付着せず、得られるPVCは、高い空隙率を有し、比較
的粒子径が大きく、且つ、シャープな粒度分布と高い嵩
比重とを有するものを提供する事を目的とする。更に、
重合生産性を高めて、粒子表面にほとんどスキン層部分
が無く、成形加工性が極めて良好であるPVCの懸濁重
合方法を提供することを目的とする。更に、本方法によ
り得られたPVCを塩素化反応に使用した場合に、高耐
熱性と易ゲル化性を有する塩素化塩化ビニル系樹脂(以
下CPVCという)が得られるPVCの懸濁重合方法を
提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明(以
下第1発明という)は、塩化ビニル系単量体(以下VC
Mという)を、油溶性重合開始剤の存在下、水性媒体中
で懸濁重合する際に、重合器の攪拌翼が少なくとも2段
翼からなり、その最上部攪拌翼が、VCMの重合転化率
が0〜25重量%の範囲において、重合攪拌時に生じる
ボルテックス(図1)の最下部液面より下に0.4〜
1.5mの範囲に位置し、最上部攪拌翼の翼先端におけ
る最大攪拌剪断速度が50〜400/秒であることを特
徴とする。
【0019】請求項2記載の発明(以下第2発明とい
う)は、水銀圧入法による空隙率が27〜40容積%の
範囲のPVCを得る懸濁重合方法において、VCMを、
油溶性重合開始剤の存在下、水性媒体中で懸濁重合する
際に、重合器の攪拌翼が少なくとも2段翼からなり、そ
の最上部攪拌翼の位置と重合開始直前の静止液面との垂
直距離(H)に対する攪拌翼の径(D)の比(D/H)
が0.5〜1.7の範囲(図1)であることを特徴とす
る。
【0020】請求項3記載の発明(以下第3発明とい
う)は、第1発明又は第2発明において、攪拌翼の最上
段翼がファウドラー翼であることを特徴とする。
【0021】請求項4記載の発明(以下第4発明とい
う)は、第1発明〜第3発明の何れかにおいて、VCM
を、油溶性重合開始剤の存在下、水性媒体中で懸濁重合
する際に、常温常圧における0.1重量%水溶液のブル
ックフィールズ粘度が10〜200cPである増粘剤
(f)を添加することを特徴とする。
【0022】請求項5記載の発明(以下第5発明とい
う)は、第1発明〜第4発明の何れかにおいて、VCM
を、油溶性重合開始剤の存在下、水性媒体中で懸濁重合
する際に、反応系に、部分鹸化ポリ酢酸ビニル(a)及
びセルロース誘導体(b)の内の少なくとも1種類の分
散剤、HLB値が3〜10であるソルビタン高級脂肪酸
エステル(c)及びアニオン系乳化剤(d)の内の少な
くとも1種類の乳化剤、及び炭素数が8〜25である高
級脂肪酸(e)を添加することを特徴とする。
【0023】請求項6記載の発明(以下第6発明とい
う)は、VCMを、油溶性重合開始剤の存在下、水性媒
体中で懸濁重合する際に、反応系に、鹸化度が60〜9
0モル%の部分鹸化ポリ酢酸ビニル(a)、HLB値が
3〜10であるソルビタン高級脂肪酸エステル(c)、
炭素数が8〜25である高級脂肪酸(e)、及び常温常
圧における0.1重量%水溶液のブルックフィールズ粘
度が10〜200cPである増粘剤(f)を添加し、且
つ、懸濁重合に使用する重合器内の流動因子である吐出
流量数Nqdが0.4〜1の範囲で懸濁重合を行うことを
特徴とする。但し、Nqdは下記(1)式で表される値で
ある。
【0024】
【数2】
【0025】式中、k=0.8〜1.3(翼形状係
数)、np =攪拌翼枚数、b=攪拌翼幅(鉛直方向
幅)、d=攪拌翼長(スパン長)、D=重合器内径、Z
=液深(液底から静止液面迄の距離)、Re =レイノル
ズ数をそれぞれ表す。
【0026】請求項7記載の発明(以下第7発明とい
う)は、第6発明において、常温常圧における0.1重
量%水溶液のブルックフィールズ粘度が10〜200c
Pである増粘剤(f)の添加量がVCMに対して150
〜2000ppmであって、且つ、吐出流量数Nqd
0.45〜0.9の範囲で懸濁重合を行うことを特徴と
する。以下に本発明を詳述する。
【0027】本発明において、使用される重合器(耐圧
オートクレーブ)の形状、構造等については特に制限さ
れず、従来公知の各種重合器を使用することができる。
【0028】第1発明の重要な目的である嵩比重の向上
は、懸濁重合器内の液面付近の攪拌が十分になされるこ
とが必要である。その為、攪拌翼は2段翼以上の多段翼
であることが必要であり、特に最上部に位置する攪拌翼
は液面付近の樹脂の有効な攪拌が求められている。
【0029】この場合、使用される重合器容量は、重合
生産性の面より、約20〜120m 3 の範囲が好まし
い。重合転化率が0〜25重量%の領域は、重合により
VCMが消費され、体積減少のみならず、重合系全体の
粘度もやや上昇するが、これに伴いうずの最下面の位置
が変化する。攪拌翼が液面最下部からどの程度の距離に
位置するかは、第1発明の狙いである液面付近に浮遊す
る恐れのある樹脂を発生させないことである。
【0030】それ故、上記最上部攪拌翼の位置は、重合
転化率が0〜25重量%の範囲において重合攪拌時に生
じるボルテックスの最下部液面より下に0.4〜1.5
mの範囲(図1中αで表される)に限定され、0.5〜
1.2mがより好ましい。0.4m未満では、攪拌翼が
液面に近すぎるため、樹脂が気相部への飛散等により、
嵩比重が低下し、重合器壁へのスケールの付着も多くな
る。又、1.5mを超えると、液面付近での攪拌が十分
でなく、嵩比重が低下する。
【0031】上記攪拌剪断速度とは、攪拌翼の近傍にお
ける流体に対する剪断速度であり、静止流体に対する攪
拌翼の角度によって変化する。攪拌時の剪断速度が0の
基準点は、攪拌軸部とするが、実際には流体の逃げがあ
るため、正味攪拌動力から計算した流体の押しのけ量か
ら逆算して攪拌剪断速度を算出する。複数の攪拌翼を有
する場合は、個別の攪拌動力から勘案する。
【0032】上記最上部に位置する攪拌翼の攪拌剪断速
度は50〜400/secに限定され、100〜300
/secがより好ましい。攪拌剪断速度が50/sec
未満では、液面付近での攪拌が十分なされず、嵩比重の
向上ができず、400/secを超えると攪拌翼先端付
近での攪拌が過度になり、気相部を樹脂に巻き込んだ
り、液面付近の樹脂が槽内壁に飛散し、スケール付着の
問題があり好ましくない。
【0033】上記最上部に位置する攪拌翼の攪拌剪断速
度を特定化することにより、重合液面付近で発生し易い
樹脂の「浮き現象」を効果的に抑制でき、その効果をよ
り高めるものとして、重合転化率が0〜25重量%の範
囲において最上部攪拌翼のボルテックス液面最下部から
の距離を限定している。更に最上部の攪拌翼の形状は、
流動体の上下方向混合が効率的に行われるファウドラー
翼が好ましい。又、重合処方面から、攪拌効果を効率的
に発揮できる増粘剤の添加が組み合わされ、これらによ
り、多成分の重合系においても好ましい高嵩比重のPV
Cが得られる。
【0034】第2発明における攪拌翼は、攪拌翼として
少なくとも2段翼からなり、その最上部攪拌翼の位置と
重合開始直前の静止液面との垂直距離(H)に対する攪
拌翼の径(D)の比(D/H)は0.5〜1.7の範囲
に限定される。
【0035】第2発明の重要な目的である空隙率と嵩比
重の向上は、懸濁重合槽内の液面付近の攪拌が十分にな
されることが必要である。その為、第1発明と同様に、
攪拌翼は多段翼であることが必要であり、特に最上部に
位置する攪拌翼は液面付近の樹脂の有効な攪拌が求めら
れている。
【0036】最上部に位置する攪拌翼は、重合槽内の液
面との距離において、該攪拌翼の径(D)と特定の範囲
で攪拌効率が良いことを見いだした。その範囲として
は、最上部攪拌翼の位置と重合開始直前の静止液面との
垂直距離(H)に対する攪拌翼の径(D)の比(D/
H)は0.5〜1.7の範囲であり、0.7〜1.5が
より好ましい。比(D/H)が0.5未満では、液面付
近での攪拌が十分なされず、空隙率及び嵩比重の向上が
できず、1.7を超えると攪拌翼先端付近での攪拌が過
度になり、気相部を樹脂に巻き込んだり、液面付近の樹
脂が槽内壁に飛散し、スケール付着の問題があり好まし
くない。
【0037】上記最上部に位置する攪拌翼の径と液面か
らの位置を特定化することにより、重合液面付近で発生
し易い樹脂の「浮き現象」を効果的に抑制でき、その効
果をより高めるものとして増粘剤の添加が組み合わさ
れ、更に最上部の攪拌翼の形状は、流動体の上下方向混
合が効率的に行われるファウドラー翼が好ましい。
【0038】第2発明における懸濁重合方法は、空隙率
(水銀圧入法により、圧力2,000kg/cm2 で測
定)が27〜40容量%の範囲のPVCを得る懸濁重合
方法を狙いとし、28〜38容量%がより好ましい。空
隙率が27容量%未満のPVCでは、重合器内の液面付
近での樹脂の「浮き現象」自体が見られず、第2発明の
趣旨である攪拌条件の特定をする必要がなく、空隙率が
40容量%を超えるPVCでは、嵩比重の向上は望め
ず、成形加工時の時間当たりの成形量が低下する等の問
題がある。
【0039】上記攪拌翼としては特に限定されず、例え
ば、ファウドラー翼、パドル翼、タービン翼、ブルマー
ジン翼等が挙げられる。これらのうち、第3発明におい
て、より好ましい態様として、攪拌翼の最上段翼がファ
ウドラー翼のものがより好ましい。また、最上段以外の
攪拌翼については上記ファウドラー翼、パドル翼、ター
ビン翼、ブルマージン翼等が好ましいが、多段翼のうち
少なくとも1つはファウドラー翼が最も好ましい。
【0040】本発明においては、VCMを、油溶性重合
開始剤の存在下、水性媒体中で懸濁重合する。上記VC
Mとしては、塩化ビニル単体の他に、塩化ビニルと共重
合し得る単量体との混合物を用いることができる。上記
塩化ビニルと共重合し得る単量体としては特に限定され
ず、例えば、酢酸ビニル等のアルキルビニルエステル
類;エチレン、プロピレン等のα−モノオレフィン類;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレ
ート、オクチルアクリレート等のアルキル(メタ)アク
リレート類;アルキルビニルエーテル;マレイミド類;
塩化ビニリデン;スチレン等が挙げられる。これらは単
独で使用してもよく、2種以上が併用されてもよい。塩
化ビニルに対して上記塩化ビニルと共重合し得る単量体
を共重合させる場合は、塩化ビニルを50重量%以上と
することが好ましい。
【0041】上記油溶性重合開始剤としては、一般にP
VCの重合に用いられる公知のラジカル重合開始剤等が
用いられる。上記ラジカル重合開始剤としては特に限定
されず、例えば、t−ブチルパーオキシネオデカノエー
ト、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ヘ
キシルパーオキシピバレート、α−クミルパーオキシネ
オデカノエート、t−ヘキシルネオヘキサノエート、
2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシ−2
−ネオデカノエート等のパーエステル化合物;ジイソプ
ロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキ
シルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチ
ルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピル
パーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合
物;デカノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシ
ド、ベンゾイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキ
シド、シクロヘキサノンパーオキシド、2,4−ジクロ
ロベンゾイルパーオキシド、p−メンタンハイドロパー
オキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオ
キシド、イソブチルパーオキシド等のパーオキシド化合
物;α,α′−アゾビスイソブチロニトリル、α,α′
−アゾビス(ジメチルバレロニトリル)、α,α′−ア
ゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)等のアゾ化合物等が挙げられる。これらは単独で使
用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0042】上記VCMを懸濁重合する際に使用する分
散剤としては特に限定されず、一般に公知のものが使用
される。例えば、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、ポリエチ
レンオキサイド、アクリル酸、ゼラチン等の水溶性高分
子;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース等の水溶性セルロース;ソルビタンモノ
ラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレ
ート等の水溶性乳化剤等が挙げられ、これらは単独で使
用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。分散剤
の総添加量は、VCMに対して100〜30,000p
pmが好ましい。
【0043】第4、6及び7発明において使用される増
粘剤(f)は、本発明のより好ましい態様であるが、常
温常圧における0.1重量%の水溶液のブルックフィー
ルズ粘度が10〜200cPであるものが用いられる。
10cP未満であっても、200cPを超えても、得ら
れるPVCの粒度分布が悪くなるので、上記範囲が好ま
しく、より好ましくは11〜140cPである。
【0044】上記増粘剤(f)としては特に限定され
ず、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロ
リドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド共重
合体、架橋型(メタ)アクリル酸系樹脂、メチルセルロ
ースカルシウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、澱粉燐
酸エステルナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギ
ン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチル
セルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカ
ルシウム等が挙げられる。これらは単独で使用されても
よく、2種以上が併用されてもよい。
【0045】上記増粘剤(f)として用いられるポリエ
チレンオキサイドは、平均分子量170万〜550万の
ものが好ましい。特に、430万〜480万のものを
0.1重量%水溶液にすると、ブルックフィールズ粘度
が12cPとなるので好適である。
【0046】上記増粘剤(f)の添加量は、上記VCM
に対して、5〜2,000ppmが好ましい。5ppm
未満であると、粘度が低いため、得られるPVCの粒度
分布の改善効果が低く、2,000ppmを超えると、
得られるPVC粒子の表面に強いスキン層が形成される
ため、ゲル化速度が遅くなる。より好ましくは、25〜
900ppmである。
【0047】第5、6及び7発明の何れかにおいて使用
される部分ケン化ポリ酢酸ビニル(a)及びセルロース
誘導体(b)の内の少なくとも1種類の分散剤、HLB
値が3〜10であるソルビタン高級脂肪酸エステル
(c)及びアニオン系乳化剤(d)の内の少なくとも1
種類の乳化剤、及び炭素数が8〜25である高級脂肪酸
(e)については下記の通りである。
【0048】上記部分ケン化ポリ酢酸ビニル(a)は、
分散剤として使用されるものであり、ケン化度が、60
〜90モル%が好ましく、70〜85モル%がより好ま
しい。ケン化度が、60モル%未満であると、油溶性が
強くなり、上記VCMを分散する能力が低下するため、
得られるPVCが粗大粒子の多いものとなり、90モル
%を超えると、保護コロイド性が強くなるので、得られ
るPVC粒子表面に強いスキン層が形成され、ゲル化特
性が悪くなる。
【0049】上記部分ケン化ポリ酢酸ビニル(a)の平
均重合度は、500〜3,000が好ましく、700〜
1,500がより好ましい。平均重合度が500未満で
あると、上記VCMの分散能力に欠け、得られるPVC
が粗大粒子やブロック状になりやすく、3,000を超
えると、スキン層が厚くなるとともに、多孔性が不足し
て成形加工性が低下する。
【0050】上記部分ケン化ポリ酢酸ビニル(a)の添
加量は、上記VCMに対して、150〜1,500pp
mが好ましい。150ppm未満であると、上記VCM
の油滴が不安定となり、得られるPVCがブロック状に
なりやすく、1,500ppmを超えると、得られるP
VC粒子表面のスキン層が厚くなって、成形加工性が悪
くなり、フィッシュアイと呼ばれるガラス玉粒子が多く
なる。
【0051】上記セルロース誘導体(b)は、懸濁分散
剤として使用され、例えば、メチルセルロース、エチル
セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース等が挙げられ、これらは単独
で用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0052】上記セルロース誘導体(b)の添加量は、
少なくなると油滴が不安定になるため、PVC粒子が得
られずブロック状になることがあり、多くなるとPVC
粒子表面のスキン層が厚くなりゲル化性が悪くなるの
で、VCMに対して、150〜2,000ppmが好ま
しい。
【0053】上記部分ケン化ポリ酢酸ビニル(a)及び
セルロース誘導体(b)としては、両者から選ばれた各
種のものを単独で使用してもよく、2種以上が併用され
てもよい。
【0054】上記ソルビタン高級脂肪酸エステル(c)
は、HLB値が3〜10のものが好ましく、4〜9がよ
り好ましい。HLB値が3未満であると、親油性が強い
ため、上記VCMの水中での乳化分散能力が低くなり、
得られるVCMの粒度分布が粗大粒子を含む幅広いもの
となり、10を超えると、親水性が大きいため、重合中
の上記VCMの油滴が不安定となり、上記VCMの粒子
の凝集が起こりやすく、得られるPVCがブロック状に
なったり粗大粒子の集合体になったりする。
【0055】上記HLB値とは、親水親油平衡値のこと
であり、W.C.Griffin(J.soc.Cos
metic Chem.,1巻、311頁(1949
年))によって提唱された非イオン性界面活性剤の親水
基と疎水基との釣り合いを意味する値である。この値が
大きいほど親水性が大きくなり、小さいほど疎水性が大
きくなる。
【0056】上記HLB値が3〜10のソルビタン高級
脂肪酸エステル(c)としては特に限定されず、例え
ば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノミリス
テート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノ
ステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタン
トリステアレート等のソルビタン飽和高級脂肪酸エステ
ル及びソルビタン不飽和高級脂肪酸エステル等が挙げら
れる。これらは単独で使用してもよく、2種以上が併用
されてもよい。
【0057】上記ソルビタン高級脂肪酸エステル(c)
の添加量は、少なくなると得られるPVC粒子のスキン
層が厚く形成されて、多孔性に欠け、成形加工性が低下
し、多くなると得られるPVCの粒度分布が広く、重合
器の内壁に樹脂が付着し易くなるので、VCMに対して
400〜5,000ppmが好ましく、600〜2,5
00ppmがより好ましい。
【0058】上記アニオン系乳化剤(d)としては特に
限定されず、例えば、ステアリン酸ソーダ石鹸等の脂肪
酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステ
ル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアル
キルベンゼンスルホン酸塩、オクチルナフタレンスルホ
ン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩、
ジドデシルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスル
ホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン
酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫
酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合
物、特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリオキ
シエチレンアルキル燐酸エステル、反応性界面活性剤等
が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以
上が併用されてもよい。
【0059】上記アニオン系乳化剤(d)の添加量は、
少なくなると得られるPVC粒子のスキン層が厚く形成
されるため、多孔性に欠け、成形加工性が悪くなり、多
くなると得られるPVCの粒度分布が広くなり、重合器
の内壁に樹脂スケールが多く付着し、場合によってはP
VC粒子がブロック化するので、上記VCMに対して、
5〜1,000ppmが好ましく、25〜750ppm
より好ましい。
【0060】上記HLB値が3〜10のソルビタン高級
脂肪酸エステル(c)及びアニオン系乳化剤(d)のう
ちの少なくとも1種の乳化剤とは、(c)、(d)それ
ぞれの中から選ばれた各種の乳化剤を単独で使用しても
よく、2種以上が併用されてもよい。
【0061】上記炭素数8〜25の高級脂肪酸(e)と
しては、主鎖の不飽和度、分岐により効果が低下するこ
とはないが、直鎖型の飽和脂肪酸が好ましい。炭素数が
少なくなると、親水性を帯びるため、重合中に該高級脂
肪酸(e)が上記VCMの油層に分配されず、ゲル化促
進効果を発揮せず、多くなると、該高級脂肪酸(e)の
融点が高くなるため、得られるPVCを成形加工温度に
しても、ゲル化促進効果を発揮し難いので、上記範囲が
好ましく、炭素数11〜22がより好ましい。
【0062】上記高級脂肪酸(e)としては特に限定さ
れず、例えば、イソステアリン酸、ステアリン酸、n−
ヘプタデカン酸、パルミチン酸、n−ペンタデカン酸、
ミリスチン酸、アラギン酸、ノナデカン酸、n−トリデ
カン酸、ラウリン酸、ウンデシル酸等が挙げられる。こ
れらは単独で使用してもよく、2種以上が併用されても
よい。上記高級脂肪酸(e)の添加量は、上記VCMに
対して、300〜20,000ppmが好ましい。
【0063】本発明の懸濁重合方法においては、懸濁分
散剤、乳化剤、増粘剤、VCMなどを投入する方法は従
来公知の方法で行われ、重合条件により、重合調整剤、
連鎖移動剤、帯電防止剤、架橋剤、安定剤、充填剤、ス
ケール防止剤、pH調整剤等を適宜添加してもよい。ま
た、添加は一括添加、間欠又は連続添加のいずれであっ
てもよい。
【0064】第6発明の懸濁重合方法において、下記式
で表される吐出流量数Nqdは、0.4〜1に限定され、
0.45〜0.9が好ましい。この吐出流量数Nqdは、
攪拌効率を示す1つの指標であるが、特に本発明が対象
とする重合処方においては、重合樹脂の粒子径、粒子径
分布、スキン層の厚み、及びスキンフリー率を制御する
重要な因子であることが明らかとなった。
【0065】
【数3】
【0066】式中、k=0.8〜1.3(翼形状係
数)、np =攪拌翼枚数、b=攪拌翼幅(鉛直方向
幅)、d=攪拌翼長(スパン長)、D=重合器内径、Z
=液深(液底から静止液面迄の距離)、Re =レイノル
ズ数をそれぞれ表す。
【0067】上記吐出流量数Nqdが0.4未満では、ス
キンフリー率が低下し、スキン層も厚くなり、又、平均
粒子径が小さくなり、微粉が多くなり塩素化の際に高耐
熱性が得られず好ましくない。又1を超えると、スキン
フリー率は高くなるが、平均粒子径が大きくなりすぎ、
大粒子が多くなるのでゲル化性が悪化し好ましくない。
【0068】上記レイノルズ数Re は、流体速度、流体
密度、流体粘度、及び流体固有長で定まる無次元数であ
り、本発明においては、Re 数は、2000〜2000
0の範囲が好ましく、3000〜15000がより好ま
しい。上記翼形状係数kは、翼形状により決定される経
験的に求められた数値であり、例えば、平翼k=1.
3、後退翼k=0.82、及びブルマージン翼k=0.
72である。(「化学工学便覧」化学工学会編、改定5
版、894頁、丸善株式会社、1988年発行)。
【0069】本発明により製造されたPVCを塩素化反
応によりCPVCとなす場合に、塩素化反応に使用する
反応器の材質は、ガラスライニングが施されたステンレ
ス製反応器の他、チタン製反応器等、一般に使用される
ものが適用される。塩素化はPVCを水性媒体により懸
濁状態にした後、塩素源として、液体塩素又は気体塩素
を導入する事により塩素化反応をおこなうが、液体塩素
を導入することが工程上からも効率的である。反応途上
の圧力調製のため、又塩素化反応の進行に伴う塩素の補
給については液体塩素の他、気体塩素を適宜吹き込むこ
ともできる。
【0070】懸濁状樹脂の調製については、PVCを重
合した後、乾燥させたものを再度、水性媒体で懸濁化し
てもよく、重合系中より、塩酸等、塩素化反応に好まし
くない物質を除去した懸濁液を使用してもよい。反応器
内に仕込む水性媒体の量は、特に限定されないが、一般
にPVCの重量1に対して2〜10(重量倍)の水性媒
体を仕込むのが好ましい。
【0071】上記懸濁した状態で塩素化する場合は、反
応生成物に光を照射して光反応的に塩素化を促進する場
合と、熱により樹脂の結合や塩素を励起させて塩素化を
促進する場合が例示できる。光エネルギーにより塩素化
する場合は、光源としては、紫外光線;水銀灯、アーク
灯、白熱電球、蛍光灯、カーボンアーク灯等の可視光線
が好適に使用され、特に紫外線が効果的である。熱エネ
ルギーにより塩素化する場合は、加熱方法として、反応
器壁からの外部ジャケット方式の他、内部ジャケット方
式、スチーム吹き込み方式等が例示でき、外部又は内部
ジャケット方式が一般に適用されている。
【0072】上記塩素化の工程で、得られるCPVCの
塩素含有率は、少ないと耐熱性に乏しく、多いと耐熱性
は高いが、ゲル化性が悪化して成形性に劣るので、60
〜72重量%になるように調製するのが好ましく、63
〜70重量%がより好ましい。
【0073】
【発明の実施の形態】以下に実施例を掲げて本発明を更
に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定
されるものではない。
【0074】(実施例1)内容積約20m3 の重合器
(耐圧オートクレーブ)であって、攪拌翼径(D)が
1.1mのファウドラー翼を2段翼として、上下とも同
一寸法のファウドラー翼を設置した。この攪拌翼付き重
合器に、脱イオン水8,000kgを入れ、更に、塩化
ビニル単量体に対して、表1に示したように、部分ケン
化ポリ酢酸ビニル(a)(ケン化度72モル%、平均重
合度700)1,200ppm、t−ブチルパーオキシ
ネオデカノエート500ppmを投入した。次に、重合
器内を40mmHgまで脱気した後、塩化ビニル単量体
を8,000kg仕込み、攪拌を開始した。攪拌回転数
は520rpmとし、その時攪拌剪断速度は140/s
ecであった。又、上部攪拌翼のボルテックス最下部液
面からの距離は0.8mであった。重合温度は57℃と
し、重合終了までこの温度を保持した。
【0075】重合転化率が90%に達した時点で反応を
終了し、重合器内の未反応単量体を回収した後、重合体
をスラリー状で系外に取り出し、脱水乾燥後、得られた
PVCに対し、後述の試験方法に従って、粒度分布、嵩
比重、最高トルク、ゲル化時間、可塑剤吸収性、スキン
フリー率、及び、スケール付着状態の評価を行い、結果
を表3に示した。
【0076】(実施例2)ポリエチレンオキサイド(平
均分子量430万〜480万、12cP/0.1%水溶
液)200ppmを重合開始前に添加し、懸濁分散剤の
種類を実施例1と同様のものを用い、添加量を1,00
0ppmにして重合したこと以外は実施例1と同様に実
施した。
【0077】(実施例3、4)表1に示す通り上部攪拌
翼の回転数等を適宜変更し、攪拌剪断速度を変えたこと
以外は実施例1と同様に実施した。尚上部攪拌翼のボル
テックス最下部液面からの距離は、実施例1と同じにな
るように上部攪拌翼の位置を設定した。
【0078】(実施例5)上部攪拌翼の攪拌剪断速度は
実施例1と同様に行ったが、上部攪拌翼のボルテックス
最下部液面からの距離は0.5mになるように上部攪拌
翼の位置を設定した。
【0079】(実施例6)上部攪拌翼をパドル翼に変更
し、上部攪拌翼のボルテックス最下部液面からの距離は
1.3mになるように上部攪拌翼の位置を設定したこと
以外は実施例1と同様に実施した。
【0080】(実施例7)重合処方として、脱イオン水
8,000kgを入れ、更に、塩化ビニル単量体に対し
て部分ケン化ポリ酢酸ビニル(a)(ケン化度72モル
%、平均重合度700)500ppm、ソルビタンモノ
ラウレート(HLB=8.6)1,600ppm、ラウ
リン酸1,500ppm、ポリエチレンオキサイド(平
均分子量430万〜480万、12cP/0.1%水溶
液)100ppm、t−ブチルパーオキシネオデカノエ
ート500ppmを投入した。次に、重合器内を40m
mHgまで脱気した後、塩化ビニル単量体を8,000
kg仕込み、攪拌を開始した。重合温度は57℃とし、
重合終了までこの温度を保持したこと以外は実施例1と
同様に実施した。
【0081】(比較例1)攪拌剪断速度及び攪拌翼距離
を表2に示すように設定した事以外は実施例1と同様に
実施した。
【0082】(比較例2)攪拌剪断速度及び攪拌翼距離
を表2に示すように設定した事以外は実施例2と同様に
実施した。
【0083】(比較例3、4)攪拌剪断速度を表2に示
すように設定した事以外は実施例7と同様に実施した。
比較例1〜4の性能評価結果を表4に示した。
【0084】尚、実施例1〜6及び比較例1、2につい
ては、スキン層が付着したPVCの重合処方で実施した
ので、PVC粒子表面のスキンフリー率は測定しなかっ
た。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】(実施例8)内容積約220リットルの重
合器(耐圧オートクレーブ)であって、攪拌翼径(D)
が350mmのファウドラー翼を2段翼とした。下部攪
拌翼は底部から50mmの位置とし、上部攪拌翼の位置
(H)は所定液面から下に350mmのところに位置す
るよう予め計算して組み込み、比(D/H)=1.0と
した。この攪拌翼付き重合器に、脱イオン水80kgを
入れ、更に、塩化ビニル単量体に対して、表5に示した
ように、部分ケン化ポリ酢酸ビニル(a)(ケン化度7
2モル%、平均重合度700)1,200ppm、t−
ブチルパーオキシネオデカノエート500ppmを投入
した。次に、重合器内を40mmHgまで脱気した後、
塩化ビニル単量体を80kg仕込み、攪拌を開始した。
重合温度は57℃とし、重合終了までこの温度を保持し
た。
【0090】重合転化率が90%に達した時点で反応を
終了し、重合器内の未反応単量体を回収した後、重合体
をスラリー状で系外に取り出し、脱水乾燥後、得られた
PVCに対し、後述の試験方法に従って、粒度分布、嵩
比重、空隙率、最高トルク、ゲル化時間、可塑剤吸収
性、スキンフリー率、及び、スケール付着状態の評価を
行い、結果を表7に示した。
【0091】(実施例9)ポリエチレンオキサイド(平
均分子量430万〜480万、12cP/0.1%水溶
液)200ppmを重合開始前に添加し、懸濁分散剤の
種類を実施例8と同様のものを用い、添加量を1,00
0ppmにして重合したこと以外は実施例8と同様に実
施した。
【0092】(実施例10、11)表5に示す通り上部
攪拌翼の位置を適宜変更し、上部攪拌翼の径と上部攪拌
翼の位置の比(D/H)を変えたこと以外は実施例8と
同様に実施した。
【0093】(実施例12)上部攪拌翼の翼径が250
mmのパドル翼に変更し、液面からの距離を200mm
になるように組み込んだこと以外は実施例8と同様に行
った。
【0094】(実施例13)重合処方として、脱イオン
水80kgを入れ、更に、塩化ビニル単量体に対して部
分ケン化ポリ酢酸ビニル(a)(ケン化度72モル%、
平均重合度700)500ppm、ソルビタンモノラウ
レート(HLB=8.6)1,600ppm、ラウリン
酸1,500ppm、ポリエチレンオキサイド(平均分
子量430万〜480万、12cP/0.1%水溶液)
100ppm、t−ブチルパーオキシネオデカノエート
500ppmを投入した。次に、重合器内を40mmH
gまで脱気した後、塩化ビニル単量体を80kg仕込
み、攪拌を開始した。重合温度は57℃とし、重合終了
までこの温度を保持したこと以外は実施例8と同様に実
施した。
【0095】(比較例5)上部攪拌翼の径と上部攪拌翼
の位置の比(D/H)=0.4とした事以外は実施例8
と同様に実施した。
【0096】(比較例6)上部攪拌翼の径と上部攪拌翼
の位置の比(D/H)=2.0とした事以外は実施例9
と同様に実施した。
【0097】(比較例7)上部攪拌翼の径と上部攪拌翼
の位置の比(D/H)=0.4とした事以外は実施例1
3と同様に実施した。
【0098】(比較例8)実施例12と同様の攪拌翼を
用い、上部攪拌翼の径と上部攪拌翼の位置の比(D/
H)=2.0とした事以外は実施例13と同様に実施し
た。比較例5〜8の性能評価結果を表8に示した。
【0099】
【表5】
【0100】
【表6】
【0101】
【表7】
【0102】
【表8】
【0103】(実施例14) 〔PVCの調製〕内容積650リットルであって、表9
に示す通りの攪拌翼を設置した重合器(耐圧オートクレ
ーブ)に、脱イオン水260kg、VCMに対して、部
分鹸化ポリ酢酸ビニル(平均鹸化度72モル%及び平均
重合度700)300ppm、ソルビタンモノラウレー
ト1500ppm、ラウリン酸1400ppm、ポリア
クリルアミド(20℃、1気圧での0.1重量%水溶液
のブルックフィールズ粘度が51cPのもの)250p
pm及びt−ブチルパーオキシネオデカノエート550
ppmを投入した。次いで、重合器内を45mmHgま
で脱気したのち、VCM260kgを仕込み攪拌を開始
した。重合時の流体のレイノルズ数は5200であっ
た。吐出流量数Nqdは0.501であった。重合器を5
7℃に昇温して重合を開始し、重合反応終了までこの温
度を保った。重合転化率が90重量%になった時点で反
応を終了し、重合器内の未反応VCMを回収したのち、
重合体をスラリー状で系外へ取り出し、脱水乾燥してP
VCを得た。得られたPVCの特性は表11の通りであ
った。
【0104】〔CPVCの調製〕内容積250リットル
のチタン製耐圧反応器に脱イオン水100kg〔対PV
C重量比=2〕と上記で得たPVC50kg〔これを1
とする〕を入れ、攪拌してPVCを水中に分散させた。
その後反応器内に窒素ガスを吹き込み、器内を窒素ガス
置換した。次に反応器内に気体塩素を導入し、反応器を
110℃まで昇温した。この時点での反応器内の圧力は
0.6MPaであった。その後、塩素化反応触媒とし
て、過酸化水素を100ppm投入した。塩素化反応
は、熱エネルギーだけとして反応を継続し、器内の塩酸
濃度を測定し、塩素化反応の進行状況を確認しながら塩
素化反応を続けた。生成したCPVCの塩素含有率が6
9.0重量%に達した時点で、塩素化反応を終了させ
た。反応時間は130分であった。更に、器内に窒素ガ
スを吹き込んで、未反応塩素を除去し、得られた樹脂を
水酸化ナトリウムで中和した後、水で洗浄し、脱水、乾
燥して粉末状のCPVCを得た。得られたCPVCの塩
素含有率は69.0重量%であった。得られたCPVC
の特性は表11の通りであった。
【0105】(実施例15)PVCの調製に用いた重合
器は、実施例13と同様のものを使用し、重合処方は表
9に示した条件で行った事以外は、実施例13と同様に
実施した。増粘剤については、ポリエチレンオキサイド
(20℃、1気圧で0.1重量%水溶液のブルックフィ
ールズ粘度が12cPのもの)200ppmを使用し
た。CPVCの調製は、表11に示す通りに実施した。
塩素源として液体塩素を使用し、塩素化反応を水銀ラン
プの紫外線照射による光エネルギーで塩素を励起させて
塩素化反応させた。尚塩素化反応触媒は使用しなかっ
た。
【0106】(実施例16)PVCの調製に用いた重合
器は、内容積200リットルの重合器(耐圧オートクレ
ーブ)であって、表9に示す通りの攪拌翼(パドル型)
を設置した重合器に、脱イオン水70kg、VCMに対
して、部分鹸化ポリ酢酸ビニル(平均鹸化度72モル%
及び平均重合度700)500ppm、ソルビタンモノ
ラウレート2000ppm、ラウリン酸1800pp
m、ポリアクリルアミド(20℃、1気圧で0.1重量
%水溶液のブルックフィールズ粘度が51cPのもの)
300ppm、及びt−ブチルパーオキシネオデカノエ
ート550ppmを投入した。次いで、重合器内を45
mmHgまで脱気したのち、VCM70kgを仕込み攪
拌を開始した。CPVCの調製は、実施例15と同様に
水銀ランプによる紫外線照射を行い塩素化反応を進め
た。
【0107】(実施例17)PVCの調製は、増粘剤の
添加量を変えたこと以外は実施例14と同様に実施し
た。CPVCの調製は、実施例14と同様に実施した。
反応時間は140分であった。
【0108】(比較例9)PVCの調製は、表10に示
す通り、重合器の攪拌翼の幅と長さ(スパン長)を変更
し、吐出流量数を変更したこと以外は実施例14と同様
の重合器を使用し、重合処方は実施例14と同様に実施
した。得られたPVCの特性は表12の通りであった。
CPVCの調製は、反応時間を変えたこと以外は実施例
16と同様に実施した。得られたCPVCの特性は表1
2の通りであった。
【0109】(比較例10)PVCの調製は、重合器の
攪拌翼の幅を変更し、吐出流量数を変更したこと以外は
実施例16と同様の重合器を使用し、重合処方は実施例
14と同様に実施した。CPVCの調製は、反応時間以
外は実施例14と同様に実施した。
【0110】(比較例11、12)PVCの調製は、比
較例11、12とも、部分鹸化ポリ酢酸ビニル(a)の
鹸化度と平均重合度を変更し、比較例12については、
増粘剤として実施例15と同様のポリエチレンオキサイ
ドを使用した以外は実施例14と同様に実施した。CP
VCの調製は、反応時間を変えた事以外は実施例14と
同様に実施した。
【0111】
【表9】
【0112】
【表10】
【0113】
【表11】
【0114】
【表12】
【0115】〔性能評価方法〕 (可塑剤吸収性の測定)ガラスフィルター付き遠心管に
得られたPVCを5g入れ、PVCに対して過剰の可塑
剤DOP(10mL)を添加し、よく混合して、1時間
した。しかる後に、遠心分離器(H−200N、回転
数:3000rpm、国産遠心分離器社製)で30分間
処理して、過剰のDOPを分離して、PVC100g当
たりのDOPの吸収量を求めた。
【0116】(空隙率の測定)水銀圧入ポロシメーター
(ポロシメーター2000、アコム社製)を用いて、
2,000kg/cm2 で得られたPVC100g当た
りに圧入される水銀の容量を測定して、空隙率を求め
た。
【0117】(粒度分布の測定)JIS Z 8801
に準じて、得られたPVCを、60、100、150、
200メッシュの篩を用いて分別し、通過量の重量%を
求めた。
【0118】(嵩比重の測定)JIS Z 6721に
準じて、得られたPVCの嵩比重を測定した。
【0119】〔加工性(最高トルク、ゲル化時間)の測
定〕 試験用試料;得られたPVC100重量部に、ジブチル
錫メルカプト(有機錫系安定剤:JF−10B、三共有
機社製)2重量部、モンタン酸エステル(滑剤:WAX
OP、ヘキスト社製)0.5重量部を入れ、スーパー
ミキサー(三井三池社製)を用いて120℃に昇温・混
合した後、40℃で冷却して、試験用試料とした。
【0120】装置;プラストミル:東洋精機社製、機
種:ハーケ・レオコード90 試験条件;試験用試料60gを温度120℃の試験チャ
ンバーに投入し、5℃/分の割合で昇温しながら、回転
数50回転/分で、200℃になるまで混練し、最高ト
ルク及びゲル化時間を測定した。
【0121】〔表面状態(スキンフリー率)の評価〕得
られたPVC粒子を走査型電子顕微鏡(FE−SEM
S−4200、日立製作所社製)により、加速電圧2k
V、倍率130倍で撮影し、粒子の輪郭、スキン部分、
スキンが存在しない部分(1次粒子が露出している部分
で、以下、スキンフリー部分という)を、トレーシング
ペーパー(又は、OHP用シート)に写した。次に、ト
レーシングペーパー(又は、OHP用シート)を画像解
析装置(PIAS−III、ピアス社製)に導入して画
像解析を行い、粒子面積、スキンフリー面積を算出し、
スキンフリー率を下記の式に従って求めた。スキンフリ
ー率=(スキンフリー面積/粒子面積)×100
【0122】(平均粒子径の測定)得られたPVCを重
合後に、そのスラリー約0.5ミリリットルを約100
ミリリットルの水に投入し、約5分間攪拌し分散させた
後、レーザー回折散乱式粒度分布測定器(LA−91
0、堀場製作所社製)にて20℃で測定し、体積平均粒
子径を算出した。
【0123】(BET比表面積の測定)試料管に測定サ
ンプル約2gを投入し、前処理として70℃で3時間真
空脱気した後、サンプル重量を正確に秤量した。前処理
の終了したサンプルを測定部(40℃の恒温槽)に取り
付けて測定を開始した。測定終了後、吸着等温線の吸収
側のデータからBETプロットを行い、比表面積を算出
した。測定装置として比表面積測定装置「BELSOR
P 28SA」(日本ベル社製)を使用し、測定ガスと
して窒素ガスを使用した。
【0124】〔CPVC加工性(ゲル化温度)評価〕プ
ラストミル(東洋精機社製、機種:ハーケ・レオコード
90)を使用して、CPVC100重量部に対して、三
塩基性硫酸鉛3重量部、二塩基性ステアリン酸鉛1重量
部、及びメチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン
共重合樹脂10重量部からなる樹脂組成物55gを、回
転数40rpmで、温度を150℃から毎分5℃の昇温
速度で上昇させながら混練し、混練トルクが最大になる
時の温度を測定した。
【0125】(CPVC熱安定性の測定)上記樹脂組成
物を、8インチロール2本からなる混練機に供給してロ
ール表面温度205℃で混練し、混練物をロールに巻き
付けてから30秒毎に巻きついたCPVCシートを切り
返しながら、3分毎に少量のシートを切り出して、シー
トの着色度を比較し、黒褐色に変わる迄の時間で熱安定
性を判定した。
【0126】(CPVCビカット軟化温度の測定)上記
熱安定性試験で作製した5mm厚のCPVCシートを、
15mm角に切り出して測定用サンプルとし、JIS
K 7206に準拠しA法(重り1.0kgf)にて測
定した。
【0127】
【発明の効果】本発明のPVCの懸濁重合方法は、上述
の通りであるので、重合器内壁に樹脂スケールが付着せ
ず、また、シャープな粒度分布と高い嵩比重とを有し、
重合生産性が高く、粒子表面にほとんどスキン層部分が
無い、成形加工性が極めて良好であるPVCを得ること
ができる。又、得られたPVCを塩素化してCPVCと
した場合、加工性、熱安定性及び耐熱性に優れたものが
得られる。
【0128】
【図面の簡単な説明】
【図1】ボルテックス液面の最下部と上部攪拌翼の距離
(α)及び重合開始直前の静止液面と上部攪拌翼との垂
直距離(H)に対する攪拌翼の径(D)を示す模式図
【符号の説明】
1・・・上部攪拌翼、2・・・下部攪拌翼 H・・・重合開始直前の静止液面と上部攪拌翼との垂直
距離 D・・・攪拌翼の径

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル系単量体を、油溶性重合開始
    剤の存在下、水性媒体中で懸濁重合する際に、重合器の
    攪拌翼が少なくとも2段翼からなり、その最上部攪拌翼
    が、塩化ビニル系単量体の重合転化率が0〜25重量%
    の範囲において、重合攪拌時に生じるボルテックスの最
    下部液面より下に0.4〜1.5mの範囲に位置し、最
    上部攪拌翼の翼先端における最大攪拌剪断速度が50〜
    400/秒であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂の
    懸濁重合方法。
  2. 【請求項2】 水銀圧入法による空隙率が27〜40容
    積%の範囲の塩化ビニル系樹脂を得る懸濁重合方法にお
    いて、塩化ビニル系単量体を、油溶性重合開始剤の存在
    下、水性媒体中で懸濁重合する際に、重合器の攪拌翼が
    少なくとも2段翼からなり、その最上部攪拌翼の位置と
    重合開始直前の静止液面との垂直距離(H)に対する攪
    拌翼の径(D)の比(D/H)が0.5〜1.7の範囲
    であることを特徴とする塩化ビニル系樹脂の懸濁重合方
    法。
  3. 【請求項3】 攪拌翼の最上段翼がファウドラー翼であ
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の塩化ビニル系
    樹脂の懸濁重合方法。
  4. 【請求項4】 塩化ビニル系単量体を、油溶性重合開始
    剤の存在下、水性媒体中で懸濁重合する際に、常温常圧
    における0.1重量%水溶液のブルックフィールズ粘度
    が10〜200cPである増粘剤(f)を添加すること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の塩化
    ビニル系樹脂の懸濁重合方法。
  5. 【請求項5】 塩化ビニル系単量体を、油溶性重合開始
    剤の存在下、水性媒体中で懸濁重合する際に、反応系
    に、部分鹸化ポリ酢酸ビニル(a)及びセルロース誘導
    体(b)の内の少なくとも1種類の分散剤、HLB値が
    3〜10であるソルビタン高級脂肪酸エステル(c)及
    びアニオン系乳化剤(d)の内の少なくとも1種類の乳
    化剤、及び炭素数が8〜25である高級脂肪酸(e)を
    添加することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項
    に記載の塩化ビニル系樹脂の懸濁重合方法。
  6. 【請求項6】 塩化ビニル系単量体を、油溶性重合開始
    剤の存在下、水性媒体中で懸濁重合する際に、反応系
    に、鹸化度が60〜90モル%の部分鹸化ポリ酢酸ビニ
    ル(a)、HLB値が3〜10であるソルビタン高級脂
    肪酸エステル(c)、炭素数が8〜25である高級脂肪
    酸(e)、及び常温常圧における0.1重量%水溶液の
    ブルックフィールズ粘度が10〜200cPである増粘
    剤(f)を添加し、且つ、懸濁重合に使用する重合器内
    の流動因子である吐出流量数Nqdが0.4〜1の範囲で
    懸濁重合を行うことを特徴とする塩化ビニル系樹脂の懸
    濁重合方法。但し、Nqdは下記(1)式で表される値で
    ある。 【数1】 〔式中、k=0.8〜1.3(翼形状係数)、np =攪
    拌翼枚数、b=攪拌翼幅(鉛直方向幅)、d=攪拌翼長
    (スパン長)、D=重合器内径、Z=液深(液底から静
    止液面迄の距離)、Re =レイノルズ数をそれぞれ表
    す。〕
  7. 【請求項7】 上記増粘剤(f)の添加量が塩化ビニル
    系単量体に対して150〜2000ppmであって、且
    つ、吐出流量数Nqdが0.45〜0.9の範囲で懸濁重
    合を行うことを特徴とする請求項6に記載の塩化ビニル
    系樹脂の懸濁重合方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007246852A (ja) * 2006-03-20 2007-09-27 Kaneka Corp 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JP2009084401A (ja) * 2007-09-28 2009-04-23 Sekisui Plastics Co Ltd 単分散樹脂粒子の製造方法
JP2012072257A (ja) * 2010-09-28 2012-04-12 Sekisui Chem Co Ltd 中空塩化ビニル樹脂粒子及びその製造方法
CN114390945A (zh) * 2019-09-10 2022-04-22 韩华思路信株式会社 氯乙烯树脂悬浮聚合用分批式搅拌器及利用其的分批式悬浮聚合反应器

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CN114390945B (zh) * 2019-09-10 2023-12-12 韩华思路信株式会社 氯乙烯树脂悬浮聚合用分批式搅拌器及利用其的分批式悬浮聚合反应器

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