JPH11189126A - エアバッグ用ガス発生器及びエアバッグ装置 - Google Patents

エアバッグ用ガス発生器及びエアバッグ装置

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JPH11189126A
JPH11189126A JP9360542A JP36054297A JPH11189126A JP H11189126 A JPH11189126 A JP H11189126A JP 9360542 A JP9360542 A JP 9360542A JP 36054297 A JP36054297 A JP 36054297A JP H11189126 A JPH11189126 A JP H11189126A
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Yasunori Iwai
保範 岩井
Masayuki Yamazaki
征幸 山▲崎▼
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Abstract

(57)【要約】 【課題】作動初期の段階に於いては、乗員に対してでき
る限り衝撃を与えないで作動し、その後急速にガス圧を
増大することにより乗員を確実に保護することのできる
簡易な構造のエアバッグ用ガス発生器を提供する。 【解決手段】ガス排出口を有するハウジング内に、衝撃
によって作動する単一の点火手段と、該点火手段により
着火されて燃焼し燃焼ガスを発生するガス発生剤とを含
んで収容して成るエアバッグ用ガス発生器であって、前
記点火手段の作動によって発生するガスは、そのままフ
ィルタ手段を通過して排出され、該ガスの流路にはフィ
ルタ手段以外に存在しないことを特徴とするエアバッグ
用ガス発生器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、衝撃から乗員を保
護するエアバッグ用ガス発生器であって、特にその作動
性能に特徴を有するエアバッグ用ガス発生器に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車両には、該車両が高速で衝
突した際に、慣性により搭乗者がハンドルや前面ガラス
等の車両内部の硬い部分に激突して負傷又は死亡するこ
とを防ぐために、ガスによりバッグを急速に膨張させ、
搭乗者の危険な箇所への衝突を防ぐエアバッグシステム
が搭載されている。
【0003】かかるエアバッグシステムは、乗員の体格
(例えば座高の高い人若しくは低い人、又は大人若しく
は子供等)や、その搭乗姿勢(例えばハンドルにしがみ
ついた姿勢)等が異なる場合であっても、乗員を安全に
拘束可能であることが望ましい。そこで従来、作動時初
期の段階に於いて、乗員に対してできる限り衝撃を与え
ないで作動する様なエアバッグシステムの提案がなされ
ている。
【0004】特開平8−207696号公報においては、二段
階でガスを発生させ、一段目で比較的ゆっくりバッグを
膨張させ、二段目で迅速なガス発生を行わせるため、2
種類のガス発生剤のカプセルを用いることが提案されて
いるが、ガス発生器内の構造が複雑であり、容器の大き
さが大きくなりコスト高の要因となるという欠点を有す
る。
【0005】又、米国特許第4,998,751号や、米国特許
第4,950,458号に於いても、ガス発生器の作動機能を規
制するため二つの燃焼室を設けてガス発生剤を二段階に
燃焼させることが提案されているが、その構造が複雑で
あり、未だ充分なものとはいえない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、簡易な構造
でありながらも、その作動初期の段階に於いて、乗員に
対してできる限り衝撃を与えないで作動し、且つ引続く
作動段階において、乗員を確実に保護し得るエアバッグ
用ガス発生器を提供することを目的とするものであり、
例えば運転席用のガス発生器では、ガス発生器作動開始
から10ミリ秒の間のエアバッグの膨張速度を従来よりも
より緩やかにすると共に、30乃至50ミリ秒後においては
十分に乗員を拘束するような作動性能を示すエアバッグ
用ガス発生器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のエアバッグ用ガ
ス発生器は、ガス排出口を閉塞しているシールテープ
を、ガス発生器作動初期の段階で破裂させる後記する如
き構造により、バッグ展開初期の乗員への衝撃を抑える
ことができ、上記目的を達成し得る。
【0008】即ち本発明のエアバッグ用ガス発生器は、
ガス排出口を有するハウジング内に、衝撃によって作動
する単一の点火手段と、該点火手段により着火されて燃
焼し燃焼ガスを発生するガス発生剤と、前記燃焼ガスの
冷却及び/又は燃焼残渣の捕集を果たすフィルタ手段と
を含んで収容し、該点火手段の作動に起因して発生する
燃焼ガスは、そのままフィルタ手段を通過して排出さ
れ、該ガスの流路にはフィルタ手段以外存在しないエア
バッグ用ガス発生器として実現可能である。ここでフィ
ルタ手段には、従来のガス発生剤の燃焼による燃焼ガス
を浄化する為のフィルタの他、該ガスを冷却するクーラ
ント、及びこれら2つの機能(即ち、ガスの浄化及び冷
却機能)を併せ持つクーラント・フィルタも含まれる。
このような本発明のガス発生器は、例えばハウジング内
に内筒部材を配設して、内側に点火手段収容室、外側に
燃焼室を画成し、更に点火手段はガス発生剤を着火・燃
焼する伝火薬を含んで構成したエアバッグ用ガス発生器
の場合には、該内筒部材の貫通孔から噴出する伝火薬の
火炎から、燃焼室の周りに配設されるフィルタ手段を保
護する為に、フィルタ手段の内側に配設されるクーラン
トサポート(又はクーラント支持部材)は、少なくとも
貫通孔からガス排出口に至るまでのガス流路において、
障害とならないように形成される必要がある。前記点火
手段の作動に起因して、発生する燃焼ガスとは、点火器
と伝火薬とにより点火手段を構成した場合には、点火器
の作動によって着火・燃焼する伝火薬からの燃焼ガスが
該当する。
【0009】また、ハウジング内を、複数の貫通孔を有
する内筒部材で点火手段収容室とガス発生剤燃焼室とに
画成して、該内筒部材の内側に画成される点火手段収容
室内には衝撃によって作動する点火手段を配設し、該内
筒部材の外側に画成されるガス発生剤燃焼室内には、前
記点火手段により着火されて燃焼し燃焼ガスを発生する
ガス発生剤を含んで収容するエアバッグ用ガス発生器の
場合には、該貫通孔とガス排出口とを結ぶ直線上には防
炎板を存在させない様に構成する。
【0010】ガス発生剤燃焼室内に、更にハウジング内
で発生した燃焼ガスの冷却及び/又は燃焼残渣の捕集を
果たすフィルタ手段を収容すると共に、衝撃によって作
動する点火器と、該点火器の作動によって着火・燃焼す
る伝火薬とで点火手段を構成したエアバッグ用ガス発生
器の場合には、内筒部材の貫通孔とハウジングのガス排
出口とを結ぶ直線上に、防炎板等のガスの流れに障害と
なる部材が存在しない様に構成し、ハウジング内の内筒
部材に形成される貫通孔から噴出する伝火薬等の燃焼に
よる燃焼ガスは、該フィルタ手段を通過して迅速にガス
排出口に到達するように形成する。
【0011】また、フィルタ手段の端面とこれに当接す
る前記ハウジングの内面間で前記燃焼ガスのショートパ
スを防止する為に、フィルタ手段の内側に、該フィルタ
手段の端部開口を塞ぐ円形部と、該円形部と一体に形成
され前記フィルタ手段の内周面に当接する周壁部とから
なるショートパス防止手段を配設する場合、該ショート
パス防止手段は、その周壁部が、少なくとも前記貫通孔
と前記ガス排出口とを結ぶ線を遮ることのない様に規制
される必要がある。
【0012】ハウジング内にフィルタ手段を配設したエ
アバッグ用ガス発生器においては、更に該フィルタ手段
の外側とハウジング周壁部内面との間に間隙が形成され
ることが望ましい。
【0013】本発明のエアバッグ用ガス発生器は、ガス
排出口を有するハウジング内に、衝撃によって作動する
単一の点火手段と、該点火手段により着火されて燃焼し
燃焼ガスを発生するガス発生剤とを含んで収容してな
り、更に該ハウジング内には、必要に応じて、前記燃焼
ガスの冷却及び/又は燃焼残渣の捕集を果たすフィルタ
手段も収容される。
【0014】このガス排出口を有するハウジングは、鋳
造、鍛造又はプレス加工などにより形成することが可能
であり、望ましくはガス排出口を有するディフューザシ
ェルと点火手段収容口を有するクロージャシェルとを溶
接して形成する。両シェルの接合は各種溶接法、例えば
電子ビーム溶接、レーザ溶接、ティグ溶接、プロセクシ
ョン溶接などにより行うことができる。このディフュー
ザシェルとクロージャシェルとは、ステンレス銅板等の
各種鋼板をプレス加工して形成した場合には、両シェル
の製造が容易になると共に、製造コストの低減も達成さ
れる。また両シェルを円筒形の単純、簡単な形状に形成
することによりそのプレス加工が容易となる。ディフュ
ーザシェルとクロージャシェルの材料に関しては、ステ
ンレス鋼板が望ましいが、鋼板にニッケルメッキを施し
たものでもよい。またこのハウジング内には内筒部材を
配設してハウジング内空間を2室以上に画成した上で、
各部材を適宜収容することもできる。
【0015】また、上記の衝撃により作動する単一の点
火手段は、衝撃を感知した衝撃センサから伝達される電
気信号により作動する電気着火式点火手段の使用が好ま
しい。この電気着火式点火手段は、専ら電気的な機構に
より衝撃を感知する電気式センサと、衝撃を感知した該
センサから伝達される電気信号で作動する点火器と、該
点火器の作動により着火・燃焼する伝火薬とからなる。
この電気式センサとしては例えば半導体式加速度センサ
などがある。この半導体式加速度センサは、加速度が加
わると撓むようにされたシリコン基板のビーム上に4個
の半導体歪みゲージが形成され、これら半導体歪みゲー
ジはブリッジ接続されている。加速度が加わるとビーム
が撓み、表面に歪みが発生する。この歪みにより半導体
歪みゲージの抵抗が変化し、その抵抗変化を加速度に比
例した電圧信号として検出するようになっている。特に
電気着火式点火手段には、更に点火判定回路を備えるコ
ントロールユニットも含むことができる。この場合、前
記半導体式加速度センサからの信号が点火判定回路に入
力し、その衝撃信号がある値を越えた時点でコントロー
ルユニットは演算を開始し、演算した結果がある値を越
えたときガス発生器に作動信号を出力する。
【0016】必要に応じてハウジング内に収容・配置さ
れるフィルタ手段は、ガス発生剤の燃焼によって燃焼残
渣が発生する場合には、かかる残渣の除去、及び/又は
燃焼ガスを冷却する目的でハウジング内に配設される。
燃焼残渣を発生させないガス発生剤を用いた場合には、
このフィルタ手段は省略することができる。このフィル
タ手段は、多くの場合、略円筒形状で、ガス発生剤が収
容される箇所の外側に配設される。このようなものとし
ては、例えば従来使用されている発生ガスを浄化する為
のフィルタ及び/又は発生したガスを冷却するクーラン
トを使用する他、適宜材料からなる金網を環状の積層体
とし、圧縮成形した積層金網フィルタ等も使用できる。
この積層金網フィルタに関してより具体的には、平編の
ステンレス鋼製金網を円筒体に形成し、この円筒体の一
端部を外側に繰り返し折り曲げて環状の積層体を形成
し、この積層体を型内で圧縮成形するか、或いは平編の
ステンレス鋼製金網を円筒体に形成し、この円筒体を半
径方向に押圧して板体を形成し、該板体を筒状に多重に
巻回して積層体を形成して、これを型内で圧縮成形する
等によって成形することができる。金網の材料として
は、SUS304、SUS310S、SUS316(JIS規格記号)などのス
テンレス鋼を使用することができる。SUS304(18Cr−8N
i−0.06C)のステンレス鋼は、オーステナイト系ステン
レス鋼として優れた耐食性を示す。このフィルタ手段は
また、その内側又は外側に積層金網体からなる層を有す
る二重構造とすることができる。内側の層は、フィルタ
手段に向け噴出される点火手段の火炎、及びこの火炎に
より点火されて燃焼するガス発生剤の燃焼ガスからフィ
ルタ手段を保護するフィルタ手段保護機能を有すること
ができる。また外側の層は、ガス発生器作動時にガス圧
によりフィルタ手段が膨出して該フィルタ手段とハウジ
ング周壁との間に形成される間隙を塞ぐことのないよう
に、フィルタ手段の膨出を抑止する抑止手段として機能
することができる。なお、このフィルタ手段の膨出を抑
止する機能に関しては、該フィルタ手段の外周を、積層
金網体、多孔円筒体又は環状ベルト体等からなる外層で
支持することによっても実現可能である。
【0017】ガス発生剤は、本発明に於いては、特に非
アジド系ガス発生剤を用いることが好ましい。この非ア
ジド系ガス発生剤としては、以下の含窒素化合物、酸化
剤、スラグ形成剤及びバインダーから成るものが好まし
い。又、必要に応じ下記のスラグ形成剤を配合し得る。
【0018】含窒素化合物としては、トリアゾール誘導
体、テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、アゾジカ
ルボンアミド誘導体、ヒドラジン誘導体から成る群から
選ばれる1種又は2種以上の混合物が挙げられる。これ
らの具体例としては、5−オキソ−1,2,4−トリアゾー
ル、テトラゾール、5−アミノテトラゾール、5,5’−
ビ-1H−テトラゾール、グアニジン、ニトログアニジ
ン、シアノグアニジン、トリアミノグアニジン硝酸塩、
硝酸グアニジン、炭酸グアニジン、ビウレット、アゾジ
カルボンアミド、カルボヒドラジド、カルボヒドラジド
硝酸塩錯体、蓚酸ジヒドラジド、ヒドラジン硝酸塩錯体
等を挙げることができる。
【0019】これらの含窒素化合物の中ではテトラゾー
ル誘導体及びグアニジン誘導体から成る群から選ばれる
1種又は2種以上が好ましく、特にニトログアニジン、
シアノグアニジン、5−アミノテトラゾールが好まし
く、分子中の炭素数が少ない点からニトログアニジンが
最も好ましい。ニトログアニジンとして針状結晶状の低
比重ニトログアニジンと塊状結晶の高比重ニトログアニ
ジンがあり、いずれでも使用できるが、少量の水存在下
での製造時の安全性及び取扱容易性の点では、高比重ニ
トログアニジンの使用が好ましい。この含窒素化合物の
ガス発生剤中の配合割合は、分子式中の炭素元素、水素
元素及びその他の酸化される元素の数によって異なる
が、通常25〜56重量%の範囲が好ましく、30〜40重量%
の範囲が特に好ましい。
【0020】ガス発生剤中の酸化剤の種類により、含窒
素化合物の配合割合の絶対数値は異なるが、完全酸化理
論量より多いと発生ガス中の微量CO濃度が増大し、完全
酸化理論量及びそれ以下になると発生ガス中の微量NOx
濃度が増大する。従って両者の最適バランスが保たれる
範囲が最も好ましい。
【0021】また上記ガス発生剤に用いられる酸化剤と
しては種々のものが使用できるが、アルカリ金属又はア
ルカリ土類金属から選ばれたカチオンを含む硝酸塩の少
なくとも1種から選ばれた酸化剤が好ましい。硝酸塩以
外の酸化剤、即ち亜硝酸塩、過塩素酸塩等のエアバッグ
インフレータ分野で多用されている酸化剤も用い得る
が、硝酸塩に比べて亜硝酸塩分子中の酸素数が減少する
こと又はバッグ外へ放出されやすい微粉状ミストの生成
を減少させる等の観点から硝酸塩が好ましい。アルカリ
金属又はアルカリ土類金属から選ばれたカチオンを含む
硝酸塩としては、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸
マグネシウム、硝酸ストロンチウム等が挙げられ、硝酸
ストロンチウムが特に好ましい。この酸化剤のガス発生
剤中の配合割合は、用いられるガス発生剤化合物の種類
と量により絶対数値は異なるが40〜65重量%の範囲が好
ましく、特に上記のCO及びNOx濃度に関連して45〜60重
量%の範囲が好ましい。
【0022】前記必要に応じて配合されるスラグ形成剤
の機能は、ガス発生剤中の特に酸化剤成分の分解によっ
て生成するアルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物
をミストとしてインフレータ外へ放出することを避ける
ため液状から固体状に変えて燃焼室内に止める機能であ
り、金属成分の違いによって最適化されたスラグ形成剤
を選ぶことができる。このスラグ形成剤の具体例として
は、酸性白土、シリカ、ベントナイト系、カオリン系等
のアルミノケイ酸塩を主成分とする天然に産する粘土並
びに合成マイカ、合成カオリナイト、合成スメクタイト
等の人工的粘土及び含水マグネシウムケイ酸塩鉱物の1
種であるタルク等の少なくとも1種から選ばれたスラグ
形成剤が挙げられ、これらの中では酸性白土又はシリカ
が好ましく、特に酸性白土が好ましい。
【0023】例えば、硝酸カルシウムから発生する酸化
カルシウム、粘土中の主成分である酸化アルミニウム及
び酸化ケイ素の三成分系における酸化混合物の粘度及び
融点は各々その組成比によって1350℃から1550℃の範囲
で粘度が3.1ポイズから約1000ポイズまで変化し、融点
は組成により1350℃から1450℃に変化する。これらの性
質を利用してガス発生剤の混合組成比に応じたスラグ形
成能を発揮することができる。このスラグ形成剤のガス
発生剤中の配合割合は1〜20重量%の範囲で変えること
ができるが、好ましくは3〜10重量%の範囲である。多
すぎると線燃焼速度の低下及びガス発生効率の低下をも
たらし、少なすぎるとスラグ形成能を十分発揮すること
ができない。
【0024】バインダーは所望の成型体を得るための必
須成分であり、水及び溶媒等の存在下で粘性を示し、且
つ組成物の燃焼挙動に大幅な悪影響を与えないものであ
れば何れでも使用可能である。かかるバインダーの具体
例としては、カルボキシメチルセルロースの金属塩、ヒ
ドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオ
ン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ニトロセルロー
ス、澱粉等の多糖誘導体が挙げられる。内でも製造上の
安全性と取り扱い易さから水溶性のバインダーが好まし
く、カルボキシメチルセルロースの金属塩、特にナトリ
ウム塩が最も好ましい例として挙げられる。バインダー
のガス発生剤中の配合割合は3〜12重量%の範囲が好ま
しく、4〜12重量%の範囲が更に好ましい。量的には多
い側でより成型体の破壊強度が強くなるが、量が多いほ
ど組成物中の炭素元素及び水素元素の数が増大し、炭素
元素の不完全燃焼生成物である微量COガスの濃度が増大
し、発生ガスの品質を低下させるため好ましくない。特
に12重量%を超える量では酸化剤の相対的存在割合の増
大を必要とし、ガス発生化合物の相対的割合が低下し、
実用できるガス発生器システムの成立が困難となる。
【0025】更に、バインダーとしてカルボキシメチル
セルロースのナトリウム塩を用いた場合には副次的な効
果として水を使用した成型体製造時に硝酸塩との金属交
換反応によって生じる硝酸ナトリウムの分子オーダーの
ミクロな混合状態の存在により酸化剤である硝酸塩、特
に分解温度の高い硝酸ストロンチウムの分解温度をより
低温側に移行させ、燃焼性を向上させる効果を有する。
本発明のエアバッグ用ガス発生器の実施にあたって用い
られる好ましいガス発生剤は、 (a)約25〜56重量%、好ましくは30〜40重量%のニト
ログアニジン (b)約40〜65重量%、好ましくは45〜65重量%の酸化
剤 (c)約1〜20重量%、好ましくは3〜10重量%のスラグ
形成剤 (d)約3〜12重量%、好ましくは4〜12重量%のバイン
ダーから成るガス発生剤 であり、特に好ましい組成物としては、 (a)約30〜40重量%のニトログアニジン (b)約40〜65重量%6の硝酸ストロンチウム (c)約3〜10重量%の酸性白土又はシリカ及び (d)約4〜12重量%のカルボキシメチルセルロースの
ナトリウム塩から成るガス発生剤である。
【0026】上記ガス発生剤は、単孔円筒状又は多孔円
筒状等の有孔状成型体に形成されることが望ましい。特
に該有孔状成型体は、孔の内径dの値は0.2〜1.5(mm)
の範囲にあり、その長さをLとした場合、L/dの値が3.
0以上であることが望ましい。有孔状成型体が着火シス
テムの熱エネルギーで着火するとき、内径部分の全内表
面積のうち初期に着火する内表面積の割合を制御してい
るためである。初期に着火されなかった部分は着火部分
の発生熱量により直ちに着火状態に移行する。このため
最大圧到達までの時間遅れがなく初期着火段階のみを制
御することができる。この技術は、この点でガス発生出
力全体を若千低下させ初期段階を制御するいわゆるデパ
ワー技術と根本的に異なると認識すべきものである。従
って、上記単孔円筒状又は多孔円筒状等の有孔状成型体
のガス発生剤は、単孔状態であっても良いし、小さな単
孔状態の集合体で結果として前記の制御に関わる結果が
得られる状態であればその形状は問わないが、成型コス
ト面からは単孔状態が好ましい。孔の内径dの値は0.2
〜1.5mmであるが、好ましくは0.4〜1.0mmである。dの
値が0.2mm未満であると着火システムの熱エネルギーに
よる有孔状成型体内面の初期着火面積が不足し、所望の
結果が得られず、1.5mmを超えると有孔状成型体内面全
体に熱エネルギーが到達し、結果として初期の着火燃焼
面積が多くなり所望のガス発生出力が得られない。ま
た、有孔状成型体のL/dの値は3.0以上であるが、当然
Lが長すぎると所望のガス発生容器内での充填効率が低
下するため適宜ガス発生容器の大きさに合わせて決定さ
れるべきであり、L/dの値の好ましい範囲は3.0〜10.0
である。L/dの値が3.0未満であると上記のようにガス
発生挙動を制御することができない。本発明の有孔状成
型体の長さLは特に限定されないが、1.5〜30mmが好ま
しい。また外径Dも特に限定されないが、2.0〜5.0mmが
好ましい。
【0027】本発明のガス発生剤成型体として好ましい
ものは、 (a)約25〜56重量%のニトログアニジン (b)約40〜65重量%の酸化剤 (c)約1〜20重量%のスラグ形成剤 (d)約3〜12重量%のバインダーから成る組成物を、
単孔円筒状に成型してなるものである。
【0028】本発明のガス発生器に於いては、ガス発生
器の作動に際して有利な構造や部材を適宜採用すること
ができる。ガス発生器の作動に際して有利な構造・部材
としては、例えば、内側に点火手段収容室を画成する内
筒部材とフィルタ手段との間に配設され、該フィルタ手
段を支持する「フィルタ支持部材」、フィルタ手段の内
周の上端及び/又は下端を包囲し、発生したガスがフィ
ルタ手段とハウジング内面との隙間を通過する事態を阻
止する「ショートパス防止手段」、ガス発生剤の上方及
び/又は下方に配設されガス発生剤の移動を阻止する
「クッション部材」、及びフィルタ手段の外面とハウジ
ングの側壁内面との間に確保されガス流路として機能す
る「間隙」等がある。
【0029】但し、本発明のエアバッグ用ガス発生器に
於いては、燃焼ガスを迅速に通すこと目的としているこ
とから、該ガスの流れの障害となるような構造や部材の
採用は避けるべきである。
【0030】上記のエアバッグ用ガス発生器は、該ガス
発生器で発生するガスを導入して膨張するエアバッグ
(袋体)と共にモジュールケース内に収容され、エアバ
ッグ装置となる。
【0031】このエアバッグ装置は、衝撃センサが衝撃
を感知することに連動してガス発生器が作動し、ハウジ
ングのガス排出口から燃焼ガスを排出する。この燃焼ガ
スはエアバッグ内に流入し、これによりエアバッグはモ
ジュールカバーを破って膨出し、車両中の硬い構造物と
乗員との間に衝撃を吸収するクッションを形成する。
【0032】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のエアバッグ用ガ
ス発生器の一つの実施の形態の縦断面図である。
【0033】この図に示すガス発生器は、ディフューザ
シェル1とクロージャシェル2とからなるハウジング3
内を、内筒部材16により点火手段収容室23と、ガス発生
剤燃焼室28との2室に画成している。そして点火手段収
容室23内には、衝撃により作動してガス発生剤6を着火
・燃焼させる点火手段(本実施例に於いては点火器4及
び伝火薬5とを含む点火手段)を収容し、燃焼室28内に
は、前記点火手段により着火・燃焼され燃焼ガスを発生
するガス発生剤6が配設されている。ディフューザシェ
ル1は、鋳造、鍛造又はプレス加工等の何れによっても
形成することができるが、この実施の形態に於いては、
ステンレス鋼板をプレス加工により成形している。該デ
ィフューザシェル1は、円形部12と、該円形部12の外周
に形成される周壁部10と、この周壁部10の先端部に半径
方向外側に延在するフランジ部19とを有している。周壁
部10には、本実施例では3mm径のガス排出口11が、周方
向に18個等間隔に配設されており、該ガス排出口11は、
シールテープ52により閉塞されている。このディフュー
ザシェル1は、その円形部12の中央部に補強段部49によ
り外側に突出した突出円形部13が形成され、該補強段部
49は、ハウジング3、特にその天井部を形成するディフ
ューザシェル円形部12に剛性を与えると共に、収容空間
の容積増大を果たしている。突出円形部13と点火器4と
の間に伝火薬5を収容する伝火薬容器53が挟持されてい
る。ディフューザシェル1のフランジ部19は、パットモ
ジュールの取付金具への取付部98を有している。この取
付部98は、フランジ部19の周方向に90度の間隔をおいて
配設されており、螺着用の取付孔99を有している。
【0034】クロージャシェル2も、ディフューザシェ
ル1と同様に鋳造、鍛造又はプレス加工等により形成す
ることができるが、この実施例に於いてはステンレス鋼
板をプレス加工して成形している。該クロージャシェル
2は、円形部30と、その中央部に形成される中央孔15
と、前記円形部30の外周部に形成される周壁部47と、こ
の周壁部47の先端部に半径方向外側に延在するフランジ
部20とを有している。中央孔15はその孔縁部に軸方向曲
折部14を有している。この曲折部14は、中央孔15の孔縁
部に剛性を与えると共に、内筒部材16との間に比較的大
きな接合面を提供している。この中央孔15に嵌合するよ
うに内筒部材16を配置している。ディフューザシェル1
とクロージャシェル2は、ハウジング3の軸方向中央横
断面上の位置近辺で、それぞれのフランジ部19、20を重
ね合わせて、レーザ溶接21で両者を接合しハウジング3
を形成している。これらフランジ部19、20は、ハウジン
グ、特にその外周壁8に剛性を与え、ガス圧によるハウ
ジングの変形を阻止している。
【0035】この実施の形態に於いては、前述の通り、
該ハウジング内に略円筒形状の内筒部材16を配設し、そ
の内側を点火手段収容室23、外側をガス発生剤燃焼室28
とする。この内筒部材16は、鋳造、鍛造若しくはプレス
加工又は切削加工等の何れか、或いはそれらの組み合わ
せにより形成することができる。プレス加工により形成
する場合には、例えばUOプレス方式(板をU形に成形
した後、O形に成形し、継目を溶接するもの)、または
電縫管方式(板を円形に成形し、継目に圧力を加えなが
ら大電流を流して抵抗熱で溶接するもの)等により形成
することができる。この内筒部材16の点火器4を収容す
る側の端部には、かしめ部27が形成され、該かしめ部27
により点火器4を固定している。また内筒部材16の周壁
には、燃焼室28への貫通孔54を有している。本実施例の
場合、直径2.5mmの貫通孔54が周方向に6個等間隔に配設
されており、該貫通孔54は、シールテープ52’により塞
がれている。該内筒部材16は、その端部に形成した外向
きフランジ38をディフューザシェル1の突出円形部13内
面に溶接する。
【0036】本実施の形態では、ガス発生剤6の着火・
燃焼により発生するガスを浄化・冷却する為にハウジン
グ1内に該ガス発生剤6を取り囲んでクーラント・フィ
ルタ7が配設され、内筒部材16の周囲に環状の室、即ち
ガス発生剤燃焼室28を画成する。該クーラント・フィル
タ7は、ステンレス鋼製平編の金網を半径方向に重ね、
半径方向及び軸方向に圧縮してなる。この様に形成した
クーラント・フィルタ7は、各層においてループ状の編
目が押し潰されたような形をしており、それが半径方向
に層をなしている。従って、このクーラント・フィルタ
7は、発生した燃焼ガスを冷却する他、空隙構造が複雑
となるため、優れた捕集効果をも有することができる。
このクーラント・フィルタ7に関しては、その他にも、
従来ガス発生剤の燃焼によるガスを浄化する為に使用さ
れている公知のフィルタや、該ガスを冷却する為に使用
されている公知のクーラント等も使用することができ
る。但し、このクーラント・フィルタ7は、ガス発生剤
として、燃焼しても燃焼残渣を生じさせず、またその燃
焼ガスを冷却する必要のないものを用いた場合には省略
することもできる。該クーラント・フィルタ7は、クロ
ージャシェル2の円形部30を取り囲んで周方向に形成さ
れる傾斜部31により、その移動が阻止され、ハウジング
3の外周壁8とクーラント・フィルタ7との間に確実に
間隙9が形成される。該間隙9は、ガス流路として機能
する。
【0037】ハウジング3内に配設される内筒部材16の
内側に画成された点火手段収容室23内には、点火器4と
伝火薬5とを含んで構成される電気着火式点火手段が配
設されている。
【0038】ガス発生剤6は固形であり、ガス発生剤燃
焼室28内に収容される。この実施例に於いては、該ガス
発生剤は、特に非アジド系ガス発生剤であって、ニトロ
グアニジン、Sr(NO32、カルボキシメチルセルロース
及び酸性白土とからなる固形のガス発生剤で、その組成
重量比を、ニトログアニジン:Sr(NO32:カルボキシ
メチルセルロース:酸性白土=35.4:49.6:10:5とし
たガス発生剤、及びニトログアニジン、Sr(NO32、カ
ルボキシメチルセルロースのナトリウム塩及び酸性白土
とからなり、その組成重量比を、ニトログアニジン:Sr
(NO32:カルボキシメチルセルロースのナトリウム
塩:酸性白土=31.5:51.5:10:7としたガス発生剤を
使用することができる。また、このガス発生剤6は、中
空円柱体を成しており、該ガス発生剤1個の長さをL(m
m)、成型体の孔の内径をd(mm)とした時、dの値が0.2
〜1.5(mm)で、且つL/dの値が3.0以上に規制されてい
る。この形状の故に、燃焼は外面及び内面で起こり、燃
焼の進行につれてガス発生剤全体の表面積はあまり変わ
らないという利点を有している。
【0039】本発明のガス発生器では、内筒部材16の貫
通孔54から噴出する伝火薬5の燃焼による燃焼ガスが、
迅速にガス排出口11を閉塞するシールテープ52に到達
し、該シールテープ52を破裂するように、迅速な燃焼ガ
スの流れに支障を来す防炎板を有する部材は使用されな
いか、或いは該防炎板が燃焼ガスの流れに支障を来さな
い程度の長さに規制される必要がある。即ち、燃焼ガス
の流れの障害となる部材は、クーラント・フィルタ7を
除き、円筒部材16に形成された貫通孔54から発生した燃
焼ガスがガス排出口11へ排出されるまでの流路中に存在
しない。
【0040】図2に示すガス発生器は、図1に示すガス
発生器とは異なり、クーラント・フィルタ7の移動を阻
止すると共に、燃焼ガスがクーラント・フィルタ7とデ
ィフューザシェル1内面との間を通過するショートパス
を防止するクーラント支持部材を、迅速な燃焼ガスの流
れに支障を来さない程度の長さに規制して、フィルタ手
段の内側に配設している。
【0041】この図2に示すガス発生器では、クーラン
ト・フィルタ7の移動を阻止すると共に、燃焼ガスがク
ーラント・フィルタ7とディフューザシェル1内面との
間を通過するショートパスを防止する目的で、燃焼室28
内のディフューザシェル1内側に配設されるクーラント
支持部材32は、内筒部材16の外向きフランジ38を取り囲
んで配置され傾斜部49に当接する環状部36と、該環状部
36と一体に形成され、クーラント・フィルタ7の内面に
当接する防炎板、即ち壁面部34とからなり、該支持部材
32中の壁面部34は、内筒部材16の貫通孔54とガス排出口
11とを結ぶ線γを遮ることのない様に、その長さαが規
制されている。
【0042】この図2に示すガス発生器では、更に、ガ
ス発生剤燃焼室28内を、ガス発生剤の燃焼により変形及
び/又は変位及び/又は破壊するか、或いは燃焼する仕
切部材110で、ガス発生剤収容室24と空間部100とに画成
し、ガス発生剤の燃焼によって、ガス発生剤収容室24と
空間部100とが連通するように形成している。その結
果、一層顕著な効果を得ることができる。
【0043】図1又は2に示すガス発生器では、点火手
段の作動によって発生する燃焼ガス、具体的には、貫通
孔54から排出される伝火薬5の燃焼による燃焼ガスの流
れがクーラント・フィルタ7以外の部材によって妨げら
れることはない為、迅速にガス排出口11に到達し、該排
出口11を閉塞するシールテープ52をガス発生器作動初期
の段階で破裂させることができる。即ち、このガス発生
器では、内筒部材16の貫通孔54から噴出される伝火薬5
の燃焼ガス(又は火炎)は、その流路付近のガス発生剤
6を着火すると共に、迅速にガス排出口11を閉塞するシ
ールテープ52に到達し、ガス発生器作動初期の段階で該
シールテープ52を破裂させる。そして、該貫通孔54から
噴出する燃焼ガスによって着火されたガス発生剤6の火
炎は、その後周辺にあるガス発生剤6を着火し、大量の
燃焼ガスを発生させる。伝火薬5及びガス発生剤6の燃
焼によって発生した燃焼ガスは、クーラント・フィルタ
7を通過した後、該フィルタ7の外側に形成される間隙
9を通過し、ガス排出口11から排出される。この場合、
該間隙9はガス流路として機能する。
【0044】その結果、簡易な構造でありながらも、作
動初期の段階に於いて、乗員に対してできる限り衝撃を
与えないで作動し、且つ引続く作動段階において、乗員
を確実に保護し得るエアバッグ用ガス発生器となる。
【0045】なお、図2中、図1に基づき説明したもの
と同一部材については、同一の符号を付してその説明を
省略する。
【0046】図3に、電気着火式点火手段を用いたガス
発生器を含んで構成した場合の本発明のエアバッグ装置
の実施例を示す。
【0047】このエアバッグ装置は、ガス発生器200
と、衝撃センサ201と、コントロールユニット202と、モ
ジュールケース203と、そしてエアバッグ204からなって
いる。ガス発生器200は、図1に基づいて説明したガス
発生器が使用されており、その作動性能は、ガス発生器
作動初期の段階において、乗員に対してできる限り衝撃
を与えないように調整されている。
【0048】衝撃センサ201は、例えば半導体式加速度
センサからなることができる。この半導体式加速度セン
サは、加速度が加わるとたわむようにされたシリコン基
板のビーム上に4個の半導体ひずみゲージが形成され、
これら半導体ひずみゲージはブリッジ接続されている。
加速度が加わるとビームがたわみ、表面にひずみが発生
する。このひずみにより半導体ひずみゲージの抵抗が変
化し、その抵抗変化を加速度に比例した電圧信号として
検出するようになっている。
【0049】コントロールユニット202は、点火判定回
路を備えており、この点火判定回路に前記半導体式加速
度センサからの信号が入力するようになっている。セン
サ201からの衝撃信号がある値を越えた時点でコントロ
ールユニット202は演算を開始し、演算した結果がある
値を越えたとき、ガス発生器200の点火器4に作動信号
を出力する。
【0050】モジュールケース203は、例えばポリウレ
タンから形成され、モジュールカバー205を含んでい
る。このモジュールケース203内にエアバッグ204及びガ
ス発生器200が収容されてパッドモジュールとして構成
される。このパッドモジュールは、自動車の運転席側取
り付ける場合には、通常ステアリングホイール207に取
り付けられている。
【0051】エアバッグ204は、ナイロン(例えばナイ
ロン66)、またはポリエステルなどから形成され、その
袋口206がガス発生器のガス排出口を取り囲み、折り畳
まれた状態でガス発生器のフランジ部に固定されてい
る。
【0052】自動車の衝突時に衝撃を半導体式加速度セ
ンサ201が感知すると、その信号がコントロールユニッ
ト202に送られ、センサからの衝撃信号がある値を越え
た時点でコントロールユニット202は演算を開始する。
演算した結果がある値を越えたときガス発生器200の点
火器4に作動信号を出力する。これにより点火器4が作動
してガス発生剤に点火しガス発生剤は燃焼してガスを生
成する。このガスはエアバッグ204内に噴出し、これに
よりエアバッグはモジュールカバー205を破って膨出
し、ステアリングホイール207と乗員の間に衝撃を吸収
するクッションを形成する。
【0053】
【発明の効果】本発明のエアバッグ用ガス発生器は、作
動時初期の段階に於いて乗員に対してできる限り衝撃を
与えないで作動しながらも、その後急速にエアバッグを
膨張させることにより乗員を確実に保護することのでき
る簡易や構造のエアバッグ用ガス発生器を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のガス発生器を示す縦断面
図。
【図2】本発明のガス発生器の他の実施例を示す縦断面
図。
【図3】本発明のエアバッグ装置の構成図。
【符号の説明】
3 ハウジング 4 点火器 5 伝火薬 6 ガス発生剤 7 クーラント・フィルタ 12,30 円形部 24 ガス発生剤収容箇所 28 ガス発生剤燃焼室 100 空間部 110 仕切部材

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガス排出口を有するハウジング内に、衝撃
    によって作動する単一の点火手段と、該点火手段により
    着火されて燃焼し燃焼ガスを発生するガス発生剤とを含
    んで収容して成るエアバッグ用ガス発生器であって、前
    記点火手段の作動によって発生するガスは、そのままフ
    ィルタ手段を通過して排出され、該ガスの流路にはフィ
    ルタ手段以外に存在しないことを特徴とするエアバッグ
    用ガス発生器。
  2. 【請求項2】ガス排出口を有するハウジング内を、複数
    の貫通孔を有する内筒部材で点火手段収容室とガス発生
    剤燃焼室とに画成して、該内筒部材の内側に画成される
    点火手段収容室内には衝撃によって作動する単一の点火
    手段を配設し、該内筒部材の外側に画成されるガス発生
    剤燃焼室内には、前記点火手段により着火されて燃焼し
    燃焼ガスを発生するガス発生剤を含んで収容して成るエ
    アバッグ用ガス発生器であって、該貫通孔とガス排出口
    とを結ぶ直線上には防炎板が存在しないことを特徴とす
    るエアバッグ用ガス発生器。
  3. 【請求項3】前記ガス発生剤燃焼室内には、更にハウジ
    ング内で発生した燃焼ガスの冷却及び/又は燃焼残渣の
    捕集を果たすフィルタ手段を収容し、前記単一の点火手
    段は衝撃によって作動する点火器と、該点火器の作動に
    よって着火・燃焼する伝火薬とからなり、前記貫通孔か
    ら噴出する伝火薬の燃焼による燃焼ガスは、該フィルタ
    手段を通過して迅速にガス排出口に到達する請求項2記
    載のエアバッグ用ガス発生器。
  4. 【請求項4】前記フィルタ手段の内側には、該フィルタ
    手段の端面とこれに当接する前記ハウジングの内面間で
    前記燃焼ガスのショートパスを防止するショートパス防
    止手段が配設され、該ショートパス防止手段は、前記フ
    ィルタ手段の端部開口を塞ぐ円形部と、該円形部と一体
    に形成され前記フィルタ手段の内周面に当接する周壁部
    とからなり、該周壁部は、少なくとも前記貫通孔と前記
    ガス排出口とを結ぶ線を遮ることのない様に規制されて
    いる請求項3記載のエアバッグ用ガス発生器。
  5. 【請求項5】前記ハウジング内には、前記フィルタ手段
    の外側とハウジング周壁部内面との間に間隙が形成され
    る請求項3又は4記載のエアバッグ用ガス発生器。
  6. 【請求項6】エアバッグ用ガス発生器と、 衝撃を感知して前記ガス発生器を作動させる衝撃センサ
    と、 前記ガス発生器で発生するガスを導入して膨張するエア
    バッグと、 前記エアバッグを収容するモジュールケースとを含み、
    前記エアバッグ用ガス発生器が請求項1〜5の何れか1
    項記載のエアバッグのガス発生器であることを特徴とす
    るエアバッグ装置。
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