JPH11187873A - 細胞内物質導入ベクター - Google Patents

細胞内物質導入ベクター

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JPH11187873A
JPH11187873A JP9357506A JP35750697A JPH11187873A JP H11187873 A JPH11187873 A JP H11187873A JP 9357506 A JP9357506 A JP 9357506A JP 35750697 A JP35750697 A JP 35750697A JP H11187873 A JPH11187873 A JP H11187873A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 センダイウイルスとリポソームとの融合体の
ように良好な安定性と優れた細胞内物質導入率を示す
が、当該融合体のように赤血球溶血作用を示さず、安全
に使用出来る、細胞内物質導入ベクターを提供するこ
と。 【解決手段】 膜融合能を有するウイルスまたはその部
分とリポソームとを融合させた、生理的条件下でヒト赤
血球に対して溶血または凝集作用を示すことのない、膜
融合リポソーム(前記ウイルスまたはその部分とリポソ
ームとの融合体)を、細胞内物質導入ベクターを、細胞
内物質導入ベクターとして使用すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、安定性と安全性に
優れ、薬物、遺伝子等の適宜な物質を細胞内に効率よく
導入できる、細胞内物質導入ベクターに関する。
【0002】
【従来の技術および欠点】ドラッグデリバリーシステム
(Drug Delivery System:DDS)は、薬物の投与方
法や形態を工夫し、体内での薬物動態を制御することに
より薬物を標的部位に選択的に送り込み、結果として最
適の治療効果を得、さらに薬物による副作用を最小限に
とどめることを目的とした薬物投与に関する新しい技術
である。現在までに様々な DDS製剤が開発されてい
るが、なかでもリポソーム製剤は欠損酵素の補充、制癌
剤および抗生物質の投与、さらには遺伝子治療の分野に
おいても脚光を浴びている。
【0003】リポソームは、生体膜を構成しているリン
脂質を基本とする脂質二重層からなる閉鎖型小胞体であ
って、安全性が高く、脂質膜と水層の部分から構成され
ているため、脂溶性または水溶性のいかんを問わず、様
々な薬物を内包することができるので、薬物キャリアー
として優れた機能を有している。また、リポソームの表
面に抗体やペプチド等を結合させることによりターゲッ
ティング能を付与することができ、さらに脂質の種類を
変化させたり、ポリエチレングリコール等で修飾するこ
とにより、温度感受性リポソーム、血中安定性リポソー
ム、プラスミド導入ベクターとしてのカチオニックリポ
ソーム等、種々の性質の異なるキャリアー(ベクター)
を作製できるという特性を有している。
【0004】通常、リポソームはエンドサイトーシス経
路により細胞内に取り込まれる。すなわち、細胞膜の一
部がリポソームを徐々に取り囲み、次いで陥入し、次第
にくびれて膜から離れ、リポソームを包み込んだ細胞内
小胞となり(エンドサイトーシス)、細胞膜近傍の初期
エンドソーム内に取り込まれる。その後、細胞深部の後
期エンドソームに送られ、そして最終的にはライソゾー
ムへと運ばれる。ところが、ライソゾームは、その内部
に約 40種類の酸性加水分解酵素を保有しており、ライ
ソゾームへ運ばれたリポソームは、この加水分解酵素の
作用により分解され、同時にリポソーム内に封入された
薬物等も代謝されるため、薬物などが未変化体の状態で
細胞質内に到達する割合が極端に低下するという問題が
あった。
【0005】この致命的な欠点を克服するため、細胞の
バリアーである細胞膜に障害を与えることなく細胞質に
直接薬物等を導入する方法が検討されてきた。例えば、
リポソームが膜融合能を獲得すればライソゾームを経由
することなく、直接薬物等を細胞質ゾルまで送達するこ
とが可能となる。これまでに、リポソームを細胞へ融合
させる方法として、pH感受性リポソーム(K.Kono e
t al.:Biochimica etBiophysica Acta、 1193,1(19
94))およびウイルスのエンベロープ蛋白質をリポソー
ムに組み込んだ再構成リポソーム(S.Bagai et a
l.:The Journalof Biological Chemistry、 269,1
966(1994))が検討されている。しかし、pH感受性リポ
ソームは細胞との融合効率が低く、再構成リポソームは
エンベロープ蛋白質がリポソームの内層に配向すること
による封入物質量の制限や操作が煩雑であるために融合
効率が一定しないなどの欠点を有している。
【0006】一方、センダイウイルス(sendai virus;
hemagglutinating virus of Japan:HVJ)の膜融合
能をリポソームに付与した膜融合リポソーム(fusogeni
c liposome)、すなわちセンダイウイルスとリポソーム
の融合体(HVJ−liposome)が報告されている(M.
Nakanishi et al.:Experimental Cell Research、1
59,399(1985))。HVJは、細胞間融合現象(Y.Mae
da et al.:Experimental Cell Research、 108,108
(1977))が認められたことから、動物細胞を用いた遺伝
学の先駆けになったウイルスである。また、HVJはリ
ポソームとも融合することができ、その融合体(HVJ
−リポソーム)はさらに細胞膜と融合する。つまり、リ
ポソームとHVJを直接反応させて作製したHVJ−リ
ポソームは、いわゆるハイブリッドベクターであり、内
部にリポソーム由来の空洞を有し、外側はウイルスエン
ベロープと同じスパイク構造を有している。HVJ−リ
ポソームは、蛋白質、化学物質、遺伝子等、リポソーム
内に封入できるものであればあらゆる物質をセンダイウ
イルスと同等の高い効率で細胞内に導入することができ
る(T.Nakagawa et al.:Drug Delivery System、
11,411(1996))。なおまた、HVJ-リポソーム
の改良型として、DNA結合能を有する核蛋白質である
HMG−1(High Mobility Group−1)をDNAと
共導入することにより、さらに導入効率が向上するとい
う報告もある(Y. Kaneda et al.:J.Molec.Medici
ne、 73,289(1995))。
【0007】このHVJ−リポソームによるリポソーム
内容物の細胞質内への導入機構は、まずエンベロープ蛋
白質の一つであるHN蛋白質が細胞表面に普遍的に存在
するシアル酸を認識して結合し、次に細胞との融合に直
接関係するF蛋白質により細胞と融合することにより行
われる。しかし、HVJ−リポソームは、シアル酸を介
して細胞膜との融合を行うために、同様にシアル酸を有
する赤血球とも反応し、溶血を引き起こすことが判明し
た。このHVJ−リポソームの有する赤血球溶血作用は
克服されておらず、そのために、HVJ−リポソームの
投与方法はin vitroおよびex vivo等に限定され、in vi
voおよび全身的な投与には適用できないと言う欠点があ
る。また、インフルエンザウイルスは凝集作用を有して
いるので、これもまた利用できない。
【0008】特に遺伝子治療の面においては、目的遺伝
子を標的細胞に正確に導入することが必要であり、安全
でかつ効率のよい遺伝子導入法の開発は遺伝子治療研究
の中で最も重要な研究課題である。現在臨床の場では、
主にウイルスの感染機構を利用したレトロウイルスベク
ターやアデノウイルスベクター、合成脂質を用いたカチ
オニックリポソーム等のベクターが試みられている。
【0009】しかしながら、これらのベクターは、その
遺伝子導入効率、発現効率、安全性(免疫原性)等が実
用的であるとは言い難く、それらを改善するための基礎
的ならびに臨床的研究が精力的に行われているが、それ
らのベクターの改良にも限界が見えはじめてきたのが現
状である。従って、新しい発想に基づいたベクターの開
発が重要な課題となってきている。一方、in vitroやex
vivoによる薬物導入法は導入した細胞の組織への再構
築、生体への負担、培養コスト等に多くの問題を抱えて
いるので、今後は血球系や皮膚の細胞への遺伝子導入を
除き、in vivoあるいは全身的な投与が主流となると考
えられる。そのため、ベクターにも in vivoや全身的な
投与に対応できるものが求められている。故に、赤血球
溶血作用を有さず、安全性に優れ、かつ、導入効率の高
い有用な細胞内物質導入ベクターの開発が望まれてい
た。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した問
題点の解決、すなわちHVJ−リポソームのように実用
性のある高い安定性と良好な細胞内物質導入率を有する
一方、HVJ−リポソームに認められる欠点である赤血
球溶血作用や、インフルエンザウイルスに認められる欠
点である赤血球凝集作用を有しない、安全性に優れた、
細胞内物質導入ベクターの提供を目的として行われたも
のである。
【0011】
【課題を解決するための手段】水疱性口内炎ウイルス
(Vesicular Stomatitis Virus:VSV)は、ラブド
ウイルスのベシクロウイルス属に属する(−)単鎖RNA
型ウイルスであって、膜表面にエンベロープ蛋白質であ
るG蛋白質を有している。その細胞への感染機構は、リ
ポソームと同様、エンドサイトーシス経路により行われ
る。しかし、VSVはリポソームとは異なり、エンドソ
ーム膜と融合する特性を有しているため、ライソゾーム
内の加水分解酵素による分解を受けることなく、自身の
遺伝子を細胞質内に導入している。つまり、VSVが細
胞膜のフォスファチジルセリンに接着すると、細胞膜の
構造変化により被覆ピットに内包され、細胞内に被覆小
胞として取り込まれる(R.Schelgel et al.:Proc.N
atl.Acad.Sci.USA 、79,2291(1982))。その後、エ
ンドソーム内に運ばれて弱酸性下になるとウイルスG蛋
白質のコンフォメーションが変化し(R. Blumenthal
et al.:Annls NewYork Academy of Sciences、285
(1990))、ウイルス膜とエンドソーム膜が融合する。そ
の結果、ウイルスゲノムはライソゾームに移行すること
なく、細胞質ゾルに放出されて感染が成立する。
【0012】これまでに、VSVが膜融合能を有するこ
とは知られているが、ヒト赤血球に対する溶血作用はp
H等様々な要因により変化し、溶血作用を示す場合もあ
れば、溶血作用を示さない場合もある(S.Yamada et
al.: Biochemistry、25, 3703(1986);C.A.Bailey e
t al.:Virology、 133(1),111(1984);R.Schlegel
et al.:J.Biol.Chem.、259(8),4691(1984);R.Sc
hlegel et al.:J.Virol.、53(1),319(1985) )。ま
た、VSVは多くの組織細胞に普遍的に存在するフォス
ファチジルセリンを受容体とするため、宿主域が広く
(M.J.Clagueet al.:Biochemistry、 29,1303(19
90))、さらにウイルス増殖が速いことから大量のウイル
スが採取できるという特徴を有している。一方、VSV
とリポソームが融合することは報告されているが(S.
Yamada et al.:Biochemistry、25,3703(1986))、V
SVとリポソームとの融合体(VSV-リポソーム)自
体が採取されたことはなく、従って、VSV−リポソー
ムを細胞内物質導入ベクターとして使用する試みも存在
しなかった。
【0013】本発明者らは、VSV−リポソームの細胞
内物質導入ベクターとしての使用可能性を検討する目的
で研究を重ねた結果、VSV−リポソームの単離、精製
に成功し、VSV−リポソームがHVJ−リポソームと
同様、実用性のある良好な安定性と細胞内物質導入率を
有する一方、HVJ−リポソームとは異なって赤血球に
対する溶血作用を有しない事実を確証し、このような確
証事実に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0014】すなわち、本発明は、膜融合能を有するウ
イルス(例えばVSV)またはその部分とリポソームと
を融合させた、生理的条件下でヒト赤血球に対して溶血
または凝集作用を示すことのない、膜融合リポソームか
ら成る、細胞内物質導入ベクターを提供するものであっ
て、実用性のある安定性と細胞内物質導入率に加え、優
れた安全性を有する点に長所が認められる。
【0015】本発明で使用するウイルスは、生理的条件
下でヒト赤血球に対して溶血または凝集作用を示すこと
のない、膜融合能を有するものであって、その代表例は
VSVである。その他のウイルスの具体例としては、ヘ
ルペスウイルス、シンドビスウイルス等を挙げることが
出来る。ここに言う「生理的条件下」とは、ヒトの生体
内条件を示し、in vitroで赤血球の溶血や凝集
を惹き起こすウイルスであっても、ヒト生体内でそのよ
うな現象を起こさないものであれば、使用出来る。な
お、ここに言う「膜融合能」とは、エンドソーム膜又は
細胞膜に対する融合能を言う。以下、ウイルスとして代
表例であるVSVを使用する場合につき本発明を説明す
るが、他のウイルスを使用する場合にもこれに準じて実
施することが出来る。VSVは上記したとおり既知のウ
イルスであって、本発明においてはこれを不活化して使
用する。不活性化は常套の方法、例えば紫外線照射や界
面活性剤処理により行うことが出来る。VSVにはその
変異体も包含され、また、ウイルス全体もしくはその部
分あるいは遺伝子組み換えで作成されたウイルスもしく
はその部分であっても、ウイルス膜融合能を有する限
り、本発明で使用することができる。なお、「部分」の
具体例としては、エンベロープ、膜融合蛋白質等が挙げ
られる。
【0016】リポソームは、その構造から、多重層小胞
(multilamellar vesicles:MLV)と単一層小胞に分
類され、単一層小胞は径0.1μmを境にしてsmall(sma
ll unilamellar vesicles:SUV)とlarge(large uni
lamellar vesicles:LUV)に分けられる。MLVは
0.1〜数μmの直径をもつリポソームでフイルム上の
脂質膜と水溶液を混合し、ボルテクスイング法により調
製する。一般に安定で高分子物質の保持効率も悪くはな
いが、大きさが不均一で多重層であるため、内容物の細
胞への導入効率が劣る。しかし、MLVは超音波処理と
その後のインキュベーション(アニーリング法)によっ
てSUVからLUVへと変えることができる。SUVは
大きさが均一(20〜50nm)であるが、高分子物質
を保持しにくく、比較的不安定である。超音波法、プレ
ーベジクル法、エタノール注入法、フレンチプレス法、
コール酸除去法、トリトンX−100バッチ法などの作
製法がある。LUVは0.1〜1.0μm径の小胞で、蛋
白質やDNAなどの保持効率がよい反面、大きさが不均
一である。カルシウム融合法、エーテル注入法、アニー
リング法、凍結融解融合法、W/O/Wエマルジョン法
などがある。このようにリポソームの調製には多数の方
法が知られており、封入すべき物質の種類に応じて適宜
のリポソームを選択し、それに応じて適当な調製法を採
用すればよい。最も普通に採用されているリポソームの
製造法の具体例としては、逆相蒸発法(F.Szoka et
al.:Biochim. Biophys. Acta, Vol.601,559(198
0))、エーテル注入法(D.W.Deamer:Ann. N.
Y. Acad. Sci., Vol.308,250(1978))、界面活性
剤法(J.Brunner et al.:Biochim. Biophys. Ac
ta,Vol.455, 322(1976))、カルシウム融合法(D.P
aPahadjopoulos et al.:Biophys.Acta,Vol.45
5,483(1976))等が挙げられる。
【0017】リポソームを形成せしめるための脂質とし
ては、一般に、リン脂質、コレステロール類、窒素脂質
等が用いられるが、特にリン脂質が好適に使用される。
より具体的には、ホスファチジルコリン、ホスファチジ
ルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジ
ルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホ
スファチジン酸、カルジオリピン、スフィンゴミエリ
ン、卵黄レシチン、大豆レシチン、リゾレシチン等の天
然リン脂質、あるいはこれらを常法によって水素添加し
たものの他、ジアシルホスフェートが例示され、さらに
前記物質のアシル基の具体例としてはラウリル基、ミリ
ストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオ
イル基などが挙げられる。例えば、ジステアロイルホス
ファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリ
ン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、
ジパルミトイルホスファチジルセリン、エレオステアロ
イルホスファチジルコリン、エレオステアロイルホスフ
ァチジルエタノールアミン、エレオステアロイルホスフ
ァチジルセリン等の合成リン脂質が例示される。
【0018】これらのリン脂質を含む脂質は単独で用い
ることもできるが、二種以上を併用することも可能であ
る。このとき、エタノールアミンやコリン等の陽性基を
有する原子団を分子内に持つ脂質を用いることにより、
陰性電荷を帯びている核酸物質の結合率を増加させるこ
ともできる。これらリポソーム形成時の主要なリン脂質
の他に、一般にリポソーム形成用添加剤として知られる
コレステロール、ステアリルアミン、α−トコフェロー
ル等の添加剤を用いることもできる。
【0019】VSVまたはその膜融合能を有する部分と
リポソームからその間の融合体、すなわちVSV−リポ
ソームを作成するには、自体常套の方法、例えば適宜の
媒体中、両者を混合すればよい。通常、VSVのエンベ
ロープが活性化されている条件下に融合させるのが好ま
しく、このために媒体を酸性条件下に保持する。VSV
ーリポソームの精製法としては種々の方法が考えられる
が、本発明では、特に蔗糖密度勾配遠心分離法を採用し
て好結果を得ている。
【0020】なお、細胞内に導入すべき物質の封入は、
通常、融合体の形成に先立ってリポソームに対して行
う。すなわち、リポソームに適宜の物質を封入したう
え、これを前記のとおりVSVと融合させて、物質の封
入されたVSV−リポソーム融合体を調製する。リポソ
ームに対する物質の封入は、自体常套の方法で実施する
ことが出来、例えばリポソームを形成すべき材料(例え
ばリン脂質)の薄膜を封入すべき物質を含有する溶液に
懸濁、混合するか、必要に応じ更に超音波処理等を施し
て製造することが出来る。なお、リポソームを形成すべ
き材料、封入すべき物質およびVSVを同時に混合し、
必要に応じ超音波処理等を施してもよいが、この場合に
は、当該物質の封入効率やVSVとリポソームの融合効
率が劣化する傾向がある。
【0021】封入すべき物質としては、特に制限はない
が、薬物、遺伝子等の使用が普通である。その具体例と
しては、抗生物質、化学療法剤、抗アレルギー薬、循環
器官用薬、抗炎症薬、抗リウマチ薬、ホルモン、ビタミ
ン、抗悪性腫瘍薬、リボ造影剤、生理活性を有するタン
パク質、核酸等があり、使用する核酸として更に具体的
には、細胞内に導入されて目的のタンパクを発現させる
ことのできる目的タンパクをコードした核酸、目的のタ
ンパクの発現を抑制することのできる核酸(アンチセン
ス核酸)、自殺遺伝子、アポトーシス誘導遺伝子等から
選択することができる。
【0022】リポソームに封入した物質を、更に核への
移行、細胞質への内在化、エンドサイトーシス等を直接
的あるいは間接的に促進し、効果的に細胞への導入を促
進させるために、そのような能力のある物質をエンベロ
ープあるいは融合蛋白を有するリポソームに共存または
修飾させることができる。そのような物質は合成された
ものでもよく、また、天然のもの、例えば生体内の細胞
膜、細胞膜表面もしくは細胞内に存在する成分またはそ
のリガンドであってもよい。更に具体的には、タンパク
質類、ペプチド類、抗体、受容体のリガンド、カルシウ
ム依存性または非依存性の細胞間接着分子(カドヘリン
類、Igファミリータンパク、セクレチン類、インテグ
リン類、プロテオグリカン類等)あるいはそのリガン
ド、糖類、糖タンパク質、グリコサミノグリカン類、ア
ミノ酸、脂質、飽和もしくは不飽和脂肪酸、糖脂質、ス
テロイド骨格を有する物質、ポリエチレングリコール、
アミン類、ポリアミン類等から選択することができる。
【0023】前記物質は、また、膜融合能を有するウイ
ルスのエンベロープまたは膜融合蛋白あるいは種々のウ
イルスのウイルス成分等から選択されてもよい。ここに
言うウイルス成分とは、ペントン、ペントンベース、フ
ァイバー、ヘキソン、キャプシド、エンベロープ、エン
ベロープ断片、膜融合タンパク、ウイルスタンパク(ス
パイク糖タンパク等)等、機能・構造を有する最小単位
である。ゆえに、本発明の膜融合リポソームに、種々の
ウイルス成分を単離し、付与または置換させたり、膜融
合ウイルスのエンベロープあるいは膜融合タンパクを単
離して、種々のウイルスに付与またはウイルス成分と置
換させたり、または膜融合ウイルスより単離したタンパ
クから成るリポソームを作成し、種々のウイルス成分を
付与することもできる。更には、遺伝子組み換えによ
り、膜融合能を有するエンベロープまたは膜融合蛋白を
発現させたウイルスも用いることが出来る。また、細胞
表面のインテグリンに結合するペントンベース、フィブ
ロネクチンおよびビトロネクチン等の接着分子の共通の
配列であるArg−Gly−Asn配列を有するペプチ
ドを利用することもできる。これら物質は天然もしくは
合成のいかんを問わず、そのまま或いは誘導体、さらに
は2種またはそれ以上の混合物として利用されてもよ
い。
【0024】膜融合能を有するウイルスとして、例え
ば、トガウイルス科(Togaviridae)のアルファウイル
ス(Alphaviruses)、オルトミキソウイルス科(Orth
omyxoviridae)のインフルエンザウイルス(Influenza
riruses)、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)、
バンヤウイルス科(Bunyaviridae)、パラミキソウイ
ルス科(Paramyxoviridae)、ラブドウイルス科(Rha
bdoviridae)、レトロウイルス科(Retroviridae)、
アレナウイルス科(Arenaviridae)、コロナウイルス
科(Coronaviridae)およびイリドウイルス科(Irido
viridae)等がある。
【0025】本発明のベクターを使用して物質を導入す
べき細胞としては、真核細胞、特に動物細胞系を挙げる
ことが出来、接着細胞系と浮遊細胞系のいずれであって
もよい。また、一般には導入の困難な細胞系である初期
細胞系、幹細胞系、線維芽細胞系、マクロファージ細胞
系等を含め、広範囲な細胞系に適用できる。封入すべき
物質として薬物を選んだ場合、その製剤は、溶液、懸濁
液、シロップ、リポソーム製剤、乳剤、シロップ等の液
体の投与形態であってもよいし、錠剤、顆粒剤、粉末
剤、カプセル剤等の固形の投与形態であってもよい。必
要に応じ、上記製剤には、各種助剤、安定剤、潤滑剤、
その他一般に使用される添加剤、例えば乳糖、クエン
酸、酒石酸、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウ
ム、白陶土、蔗糖、コーンスターチ、タルク、ゼラチ
ン、寒天、ペクチン、落下生油、オリーブ油、カカオバ
ター、エチレングリコール等が添加され得る。
【0026】本発明の細胞内物質導入ベクターを使用し
た医薬は、赤血球溶解作用を有しない、安全性の高いも
のであり、in vivo法で投与するか、または全身
的な投与を行うのに適している。すなわち、治療目的の
疾患、標的臓器等に応じた適当な投与経路により投与す
ることが出来、例えば、静脈、動脈、皮下、筋肉内など
に投与するか、又は腎臓、肝臓、肺、脳、神経等の疾患
の対象部位に直接投与することができる。疾患部位に直
接投与すれば、臓器選択的に治療することができる。な
お、ex vivo法で投与することも可能であり、こ
の場合には、常法に準じ、ヒトの細胞(例えば、リンパ
球、造血幹細胞等)を採取し、それに本発明の医薬で処
理、感作を行い、その後に当該細胞をヒトの体へ戻せば
よい。
【0027】臨床においては、家族性高脂血症、閉塞性
動脈硬化症(ASO)、高血圧、遺伝子欠損、自己免疫
疾患等さまざまな分野で遺伝子治療が試みられている。
例えば、PTCA(percutaneous transluminal corona
ry angioplasty)後の再狭窄の遺伝子治療においては、
質のよいベクターの開発と、カテーテル(導入手段)の
開発が望まれており、平滑筋細胞増殖抑制に働くアンチ
センスオリゴヌクレオチド等の遺伝物質導入等、本発明
のベクターが好ましく利用できる。
【0028】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定
されるものではない。 実施例1(紫外線照射によるVSVの不活化) ヒト羊膜由来FL細胞を5vol.%ウシ胎児血清(FC
S)(GIBCO)を含むイーグルMEM培地(日水製
薬)で培養した。VSV New Jersey株は農林水産省
家畜衛生試験場より分与されたものを用いた。VSVは
FL細胞に感染、増殖させ、その培養上清をイーグルM
EM培地で10倍に希釈したものをウイルス液として使
用した。15Wの紫外線殺菌灯の直下15cm(124μ
W/cm2)のもとで60mm dish(Nunc)に層厚2mmにな
るようにウイルス液(4.2mL)を添加し、紫外線照射
し、経時的に試料液を採取した。96穴マイクロプレー
トにFL細胞を4×104個播種し、37℃、5vol.%
CO2下で24時間培養した。培養液を除去した後、別
に1vol.%FCSイーグル MEM培地で10倍段階希
釈したウイルス液をそれぞれ50μL/穴添加し、2日
間培養した。細胞変性効果(CPE)を顕微鏡下で観察
し、Behrena−Karber法にて50%培養細胞感染量
(TCID50)を算出した。表1(ウイルス不活化に対
する紫外線照射の効果)に示すとおり、VSVの増殖能
は30秒間の紫外線照射により失活した。以降の実験で
は、この不活化したVSVを使用した。
【表1】
【0029】実施例2(VSV−リポソーム融合体の調
製) VSVと反応させるリポソームは、できるだけ小さい粒
子にするため、直径100nmのフィルターを通して作製し
た。粒子変化によるリポソームの比重低下を考慮したV
SV、リポソームおよびVSV−リポソーム反応物を分
離するステップ蔗糖密度勾配遠心を行い、未反応のVS
V、リポソームおよび VSV−リポソーム融合体の分
離・精製を行った。ウイルスの精製 :VSVは5vol.%ウシ胎児血清加イー
グル MEM培地でFL細胞に感染させ、増殖させた。
この培養上清と24w/v%のポリエチレングリコール
(PEG)6000を含む1.5M NaCl溶液を1:2の比
率で混合し、最終濃度8w/v%のPEG6000を含む0.
5M NaCl溶液とし、37℃、3時間攪拌した。この
ウイルス液を15000×g、20分遠心分離の後、沈殿をN
TE溶液(0.13M NaCl、1mM EDTA、50m
M Tris HCl、pH=7.8)2mLに懸濁した。次
に、遠心チューブに60w/v%、45w/v%蔗糖/NTE
をそれぞれ2mL、10mLずつ重層し、この最上層へ先
のVSV懸濁液を添加し、21000rpm(Beckman SW2
8.1 ロータ)、4℃で45分間遠心分離した。その
後、60w/v%と45w/v%蔗糖溶液の境界に存在するV
SVを再度NTE溶液に懸濁し、その沈殿(VSV)を
実験に使用した。また、VSVの長期保存はNTE溶液
で懸濁し、−80℃以下で冷凍保存した。
【0030】Rhodamine(Rh)添加リポソームの調
:卵フォスファチジルコリン(PC)(日本油脂)、ウ
シ脊髄由来L−α−phosphatidyl−L−serine solutio
n(和光純薬工業)およびコレステロール(Chol)(和光
純薬工業)をモル比4:1:5となるように混合した。
この脂質15μmolをクロロホルム1.5mLに溶解し、
さらに0.2mol%のN−(lissamine rhodamine B sulf
onyl)−phosphatidylethanolamine(N−Rh−PE)(A
vanti Polar Lipids)を加えた。これをロータリーエ
バボレーターを用いて55℃で沸騰を防ぎながら40〜
50Kpaに減圧してクロロホルムを蒸発させ、ガラス製
遠沈管の壁に薄膜を作成した。さらに30分間、100
Kpa以上で残存溶媒を完全に除いた。この遠沈管にBS
S(-)(10mM Tris、150mM NaCl、pH=7.
6)300μL加えた後、55℃に30秒浸け、さらに
ボルテックスを30秒間行った。この操作を計10回繰
り返すことによりRhodamine添加リポソームを作製し
た。次にリポソーム懸濁液を液体窒素に浸し、充分凍ら
せた後に55℃で融解する操作を計3回行った。最後に
0.1μmのポリカーボネート製フィルターに10回通す
ことにより最大粒子径の均一化を行った。
【0031】VSVとリポソームとの融合反応:VSV
とリポソームとを融合させる条件は酸性条件下で行っ
た。リポソームの外層は内層と同様に中性であるので、
Econo−Pac 10 DG Chromatography Columns
(BIO−RAD)によりクエン酸緩衝液(140mM
NaCl、2mM MgCl2、1mM EDTA、80mM cit
rate、pH=5.5)に置換した。これを遠心操作により
(23000rpm、1時間)沈殿させた VSVをよく懸濁
し、氷中30分、37℃で15分間反応させた。VSV−リポソーム反応物の分離 :遠心用チューブに6
0,45,10w/v%蔗糖/NTEをそれぞれ2mL,6.
5mL,6.5mLずつ重層し、この最上層へ先のVSV−
リポソーム反応液を添加し、23000rpm,4℃で1時間ス
テップ蔗糖密度勾配遠心分離を行った。遠心分離の後、
密度の高い順に0.8mLずつ採取し、20フラクション
に分画した。
【0032】リポソーム膜成分の定量:リポソームの膜
成分の挙動は、リポソーム膜中のRhodamineの蛍光を測
定することにより確認した。すなわち、各フラクション
10μLをBSS(−)990μLに希釈し、これを励起波
長 560nm、蛍光波長 590nmで測定した。 結果を図1に示す。(A)はリポソームの場合、(B)
はVSV−リポソーム混合物の場合である。この図に見
られるように、リポソーム単独ではフラクション19,
20のみに蛍光が検出されたが、VSV−リポソーム反
応液ではリポソーム分画のフラクション19,20とそ
れ以外の10にも顕著な蛍光が検出された。リポソーム
とVSVを反応させることにより、リポソームよりも明
らかに比重の高い分画に蛍光が認められたことから、フ
ラクション10にVSV−リポソーム融合体が存在して
いると考えることが出来る。
【0033】実施例3(VSV−リポソーム融合体にお
けるVSV由来蛋白の検出) フラクション10に存在するVSV由来の蛋白質の検出
を行うことにより、このフラクションがVSVとリポソ
ームの反応体であるかどうかを確認した。リポソームの調製 :実施例2に準じて行った。N-Rh-
PEは加えずに作製した。VSV-リポソーム反応物の分離 : 実施例2に準じて行
った。 ウイルス蛋白質の定量: 各フラクションの蛋白質定量
はプロテインアッセイキット(BIO−RAD)を用い
て行った。検量線はウシ血清アルブミン(Armour Pha
rmaceutical Company)溶液を用いて作製した。
【0034】結果を図2に示す。(A)はリポソームの
場合、(B)はVSV−リポソーム混合物の場合であ
る。VSV単独とステップ蔗糖密度勾配遠心分離したも
のでは大部分の蛋白質が60w/v%と45w/v%蔗糖溶液
の境界のフラクション3に存在していた。また、データ
には示していないが、このフラクションにウイルス感染
活性の存在を確認している。一方、VSV−リポソーム
反応物では、VSV単独のステップ蔗糖密度勾配遠心分
離と同様、フラクション3に蛋白質が確認されたが、こ
の分画以外にリポソームが存在する0%蔗糖溶液のフラ
クション20、さらに45w/v%と10w/v%蔗糖溶液の
境界フラクション10にも蛋白質が検出された。VSV
とリポソームを反応させることにより、フラクション1
0の蛋白質量が増加したこと、および、この同じ分画に
リポソーム膜由来成分が存在することから、この分画に
VSVとリポソームの融合体(VSV−リポソーム)が
存在することが示唆された。
【0035】実施例4(VSVとリポソームの融合体の
証明) これまでの結果では、VSVとリポソームが融合体とし
て存在しているのか、あるいは単に結合しているだけか
必ずしも明瞭ではないため、NBD/Rh法を用い、V
SVとリポソームの結合形態を検討した(Douglas K.
Struck,DickHoekstra,E.Pagano;Biochemistry
20,4093(1981))。7−nitro−2,1,3−benzoxadi
azol−4-yl(NBD)およびRhは、それぞれ460n
m、560nm付近に励起波長を、530nm、590nm付
近に蛍光波長をもつ蛍光物質である。この蛍光物質は、
両者が隣接して存在する場合、460nmでNBDを励起
してもそのエネルギーがRhに移動してNBDの蛍光が
消失し、逆にRhの蛍光が表れるという特徴がある。そ
こで、この両蛍光物質を組み込んだリポソームを作製し
た。このリポソームがVSVと融合するとリポソームの
膜脂質成分はVSVの膜脂質成分によって希釈され、両
蛍光物質の距離が長くなり、Rhへのエネルギー移動が
行われず、NBDの530nmの蛍光消失が回復すると予
想される。
【0036】リポソームの調製:リポソームは混合脂質
(PC:PS:Chol=4:1:5)にN−Rh-PE、
N−(7-nitro−2,1,3−benzoxadiazol−4-yl)−ph
osphatidylethanolamine(N−NBD-PE)(Avanti
Polar Lipids)を1mol%ずつ加え、実施例2に準じて
調製した。VSV−リポソームの作成および精製 :VSV−リポソ
ームは、上記リポソームから実施例2に準じて調製し
た。得られた VSV−リポソームはNTE溶液に懸濁
し、23000rpm、4℃で1時間遠心分離し、その沈殿(V
SV-リポソーム反応体)を実験に使用した。
【0037】HVJ−リポソームの作製および調製:H
VJ−リポソームは、水口らの方法を用いて作製した。
センダイウイルスを遠心分離操作により(24000rpm、4
0分)沈殿させ、これに上記のリポソーム溶液を加えよ
く懸濁して、37℃で2時間反応させた。50,30,1
0w/v%BSS(−)(10mM Tris,150mM NaC
l, pH=7.6)をそれぞれ2mL,6.5mL,6.5mLず
つ重層し、この最上層へ先のHVJ−リポソーム懸濁液
を添加し、24000rpm、4℃で2時間遠心分離した。遠心
分離の後、30w/v%と10w/v%蔗糖/BSS(−)の境
界に来るHVJ−リポソームを回収し、BSS(−)に懸
濁し、20000rpm、4℃で40分間遠心し、洗浄した。遠
心分離の後、沈殿をBSS(−)に懸濁した。
【0038】蛍光スペクトル測定:リポソーム、HVJ
−リポソーム、VSV−リポソームを励起波長460n
m、蛍光波長590nmで蛍光強度を測定した。各々のリ
ポソームの蛍光強度をそろえ、励起波長460nm、蛍光
波長490〜650nmで蛍光スペクトルを測定した。さ
らに、20vol.%TritonX−100を終濃度が0.2vo
l.%となるように加え、完全にリポソームを破壊さ
せ、その時の蛍光スペクトルを測定した。
【0039】結果を図3に示す。(A)はリポソームの
場合、(B)はHJVーリポソームの場合、(C)はV
SV−リポソームの場合、(D)はVSV−リポソーム
に界面活性剤を添加した場合である。リポソームに46
0nmの励起エネルギーを照射したとき、NBDの励起エ
ネルギーは、リポソーム膜上の距離的に近いRhに供給
されるため、NBDの蛍光波長である530nmのピーク
は低く、逆にRhの蛍光波長である590nmの蛍光が強
く表れている。このリポソームを用いて作成したHVJ
−リポソームの場合、NBDの蛍光はリポソームの2倍
の回復を示した。また、VSV−リポソームの場合は、
HVJ−リポソームと同様NBDの蛍光強度が増加して
いた。また、それぞれにTriton X−100を加え、粒
子を崩壊させた時には両物質の空間的距離が最大とな
り、リポソーム、HVJ−リポソーム、VSV−リポソ
ームの全てで530nmを最大に単一のピークが検出され
た。これらの事実はVSVとリポソームが単に付着、結
合しているのではなく、融合体を形成していることを証
明している。これまでHVJ−リポソームに関しては、
電子顕微鏡による形態および生化学的特性によりHVJ
とリポソームの融合体であることが示されている。図3
(B)に示したHVJ−リポソーム融合体のパターンと図
3(C)に示している VSV−リポソームのパターンが一
致していることからも、VSVとリポソームは融合体と
して存在していると考えられる。
【0040】実施例5(VSV−リポソーム融合体への
物質導入封入効率の検討)リポソームの調製 :リポソームの調製は実施例2に準じ
て行うが、100mM5(6)−carboxyfluorecein(CF)
(SIGMA)を封入物質として用いた。未封入のCFはEcono
-pac 10DG Chromatography Columnsを用いて除去した。
リポソーム封入物質の定量:BSS(−)990μLにス
テップ蔗糖密度勾配遠心分離後の各分画を10μL加
え、励起波長490nm、蛍光波長520nmで蛍光強度を
測定した。この時の蛍光強度をF0とした。次に、20v
ol.% Triton X−100を10μL加えることにより、
リポソームを破壊した。この時の蛍光強度をFxとし
た。リポソームに封入された CFは次式により計算し
た。
【式1】1.01×Fx−F0
【0041】HVJ−リポソームの精製:実施例4に準
じて行った。HVJ−リポソーム、VSV−リポソームの封入効率の
測定 :リポソーム溶液をNTE溶液で希釈し、励起波長
560nm、蛍光波長590nmでRhの蛍光強度を測定し
た。さらに、Triton X−100を加えて完全崩壊した
後、励起波長490nm、蛍光波長520nmでCFの蛍光
強度を測定した。同様に、HVJ−リポソーム溶液およ
びVSV−リポソーム溶液の両蛍光強度も測定した。R
hの蛍光強度あたりのCFの蛍光強度を測定し、リポソ
ームに対する HVJ−リポソームおよび VSV−リポ
ソームの封入効率を導いた。
【0042】結果を図4に示す。この図には、VSVと
リポソームを反応させ、ステップ蔗糖密度勾配遠心分離
後のリポソーム封入物質の挙動が示されている。(A)
はリポソームの場合、(B)はVSV−リポソーム混合
物の場合である。リポソーム単独では蔗糖濃度10w/v
%以下のフラクション19,20のみに蛍光が検出され
た。VSVとリポソームの反応物ではリポソーム分画の
フラクション19,20とフラクション10に蛍光が検
出された。これは図1のリポソーム膜を検出したときの
フラクションのパターンと同様であることから、CFは
VSV−リポソーム内に含まれていることが予想され
る。また、表2(種々のリポソームのカルボキシフルオ
レセインの包含効率)に示したように、この時のリポソ
ームあたりの封入効率はHVJ−リポソーム73.4
%、VSV−リポソーム66.4%であり、両者に有意
な差は認められなかった。
【表2】
【0043】実施例6(VSV−リポソームと細胞との
結合性)細胞 :サル腎上皮細胞LLCMK2細胞は10vol.%ウ
シ胎児血清(FCS)を含むイーグルMEMで培養し
た。リポソームの調製 :実施例2に準じて行った。VSV−リポソームの精製 :実施例4に準じて行った。膜融合リポソームの精製 :実施例4に準じて行った。細胞接着率の測定 :12穴プレートにLLCMK2細胞
を1.0×105個播種した。24時間37℃、5vol.%
CO2で培養した後、細胞を氷上で10分間プレインキ
ュベートした。その後、氷冷したPBSで細胞を2回洗
浄した後、蛍光量を一定にし、氷冷したVSV−リポソ
ームを400μL加え、氷上で1,10,30,60分
間インキュベートした。氷冷したPBSで2回洗浄した
後、0.25w/v%トリプシン溶液500μLで細胞を剥
がした。PBS500μLをさらに加え、蛍光光度計で
蛍光強度を測定した。測定後、この溶液の蛋白質量を実
施例1および3に準じて行い、蛋白質濃度に対する蛍光
強度を算出した。
【0044】結果、すなわちリポソーム(△)、VSV
−リポソーム(●)、HVJ−リポソーム(□)の細胞
への結合率の経時的変化を図5に示す。VSV−リポソ
ームは HVJ−リポソームよりは劣るものの、通常の
リポソームに比べると効率よく細胞に結合した。
【0045】実施例7(ジフテリア毒素フラグメントA
(DTA)を封入したVSV−リポソームの殺細胞効果) DTA(分子量約62,000)はジフテリアによって産生さ
れるジフテリア毒素のAドメインで、数分子細胞内に導
入されれば NAD+によるポリペプチド鎖延長因子elonga
tion factor2(eEF−2)のADP−リボシル化を触
媒し、eEF−2を不活化することによって蛋白合成を
阻害し、細胞を障害させることができる強力な毒素であ
る。しかし、このフラグメントAは、細胞膜表面上に存
在するジフテリア毒素受容体を識別・認識し、フラグメ
ントAを細胞に送るフラグメントBを欠いているため単
独では細胞質に入ることができない。そのため、リポソ
ームに封入されたDTAは膜融合により細胞質に導入さ
れなければ全く毒性を示さないことになる。このように
DTAはVSV−リポソームの細胞への物質導入キャリ
アーとして評価するための優れたマーカー蛋白質であ
る。
【0046】リポソームの調製:リポソームは、封入物
質として200ng/300μL DTAまたはBSS(−)
を用いて、実施例2に準じて行った。VSV−リポソームの精製 :実施例4に準じて行った。蛋白質合成能の測定 :24穴プレートにFL細胞を2.
5×104個播種した。 24時間37℃、5vol.%CO2で培養した後、細胞を
イーグルMEMで1回洗浄し、種々のRhの蛍光量で濃
度をそろえたDTA封入VSV−リポソームを200μ
L加えた。細胞を37℃で3時間処理し、イーグルME
Mで2回洗浄した後、5vol.%FCSイーグルMEMで
24時間培養した。細胞をメチオニンを含まないイーグ
ルMEMで洗浄し、8μCi/mLの[35S]−メチオニン
(Amersham)を含むイーグルMEMで37℃で3時間パル
スした。トリクロロ酢酸不溶性画分に含まれる放射活性
を、液体シンチレーションカウンターで測定した。
【0047】リポソームリン脂質濃度の測定:DTA未
封入リポソームを段階希釈し、リン脂質測定キット(リ
ン脂質Bテストワコー)(和光純薬)を用いて測定し
た。 結果を図6に示す。図中、△は空のリポソームの場合、
▲はDTAを含むリポソームの場合、○は空のリポソー
ムの場合、●はVSV−リポソームの場合である。これ
から明らかなように、VSV−リポソームは、細胞への
DTA導入による蛋白質合成阻害効果を示した。VSV
−リポソームが自身の細胞障害性を伴わずに膜融合によ
りリポソーム内に封入したDTAを細胞内に導入できる
ことを示している。VSV−リポソームは通常のリポソ
ームに比べ、その導入効率が100倍以上優れているこ
とが判明した。
【0048】実施例8(VSV−リポソームの溶血反応
性) VSV−リポソームを物質導入キャリアーとしてin viv
oへ直接投与を考えた場合、生体内には物質導入を妨げ
る様々な阻害因子が存在すると考えられる。HVJ−リ
ポソームは溶血を引き起こすという致命的欠点を有して
いる。VSVはエンドサイトーシス経路により細胞に取
り込まれ、エンドソーム内のpHが低下することにより
エンベロープ蛋白質が活性化し、エンドソーム膜(細胞
膜)と融合するが、赤血球の場合にはエンドサイトーシ
スを行わないことにより、溶血を引き起こさないと考え
られ、VSV−リポソームの溶血性を検討した。また、
VSVのエンベロープ蛋白質による融合が活性化される
因子と考えられるpHにおいても同様に赤血球との反応
性を検討した。
【0049】リポソームの調製:実施例2に準じて行っ
た。VSV−リポソームの精製 :実施例4に準じて行った。HVJ−リポソームの精製 :実施例4に準じて行った。赤血球溶血反応の測定 :赤血球溶血反応の評価はHsuら
の方法(Ming−ChuHsu,Andreas Scheld,Pumell
W.Choppin;Viology 95,476(1979))を一部改変し
て行った。新鮮なヒト赤血球を採取し、heparin処理
(血液1mLに対し50unit加える)を行った後、BSS
(−)で3回洗浄した。1vol.%赤血球/BSS(−)の懸
濁液250μLを加えて混合し、4℃で1時間静置し
た。その後、直ちに1500×g、4℃、10分間遠心し、
上清のヘモグロビン量を吸光波長540nmにおいて測定
した。1vol.%Triton X−100で完全に溶解したと
きの吸光度を100%溶血として評価した。リポソーム
濃度はRhの蛍光により一定量にそろえた。
【0050】結果を表3(VSV−リポソームの溶血活
性に対するpHの効果)に示す。HVJ−リポソームは
HVJと同様、HA蛋白質の赤血球凝集活性、F蛋白質の
融合活性の働きにより、著しい溶血反応が認められた。
HVJ−リポソームはpHにほとんど影響されなかっ
た。VSV−リポソームはエンドサイトーシスされない
ことにより、pH=7.0で全く溶血反応を示さなかっ
た。さらに、G蛋白質が活性化されるpH=5.5におい
てもリポソーム同様ほとんど溶血反応を起こさなかっ
た。
【表3】
【0051】実施例9(VSV−リポソームの血漿安定
性) VSV−リポソームは、赤血球に対しては溶血反応を示
さないことが明らかとなったが、その他の蛋白質や補体
などの阻害因子が考えられる。VSV−リポソームの血
漿安定性をリポソーム封入物質の維持という観点からラ
ット新鮮血漿を用いて評価した。リポソーム封入物質と
しては5(6)−carboxyfluorecein(CF)を用いるが、
この物質は高濃度では自己消光しているため、リポソー
ムが崩壊しない限り発光しない。従って、リポソームか
ら漏出し発光する蛍光を即座に測定できる。
【0052】リポソームの調製:実施例5に準じて行っ
た。VSV−リポソームの精製 :実施例4に準じて行った。HVJ−リポソームの精製 :実施例4に準じて行った。血漿崩壊率の測定 :ラットにheparinを静脈内投与し、
血漿を回収した。37℃に保温した血漿450μLにリ
ポソーム由来のリン脂質濃度6.5μg/mLのリポソー
ム、VSV−リポソーム、HVJ−リポソームを50μ
L加えた。経時的に10μLずつ採取し、氷冷したBSS
(−)990μLに加えた。蛍光強度を励起波長490n
m、蛍光波長520nmで測定し、さらに20vol.%Trito
n X−100を10μL加えてリポソームを完全崩壊さ
せ、蛍光強度を測定した。そこで、血漿に加えないとき
の蛍光強度をF0、Triton X−100で処理していな
い試料の蛍光強度をFt、処理後の蛍光強度をFxと
し、そのときの保持効率を次式で表した:
【式2】保持効率(%)=(Ft−F0)/(1.01Fx
0)×100
【0053】結果を図7に示す。図中、●はCF含有V
SV−リポソームの場合、□はCF含有HVJ−リポソ
ームの場合、△はCF含有リポソームの場合を表す。V
SV−リポソームの半減期は約10分であり、崩壊率は
11%にとどまり、血漿中における安定性が非常に高い
ことが判明した。一方、HVJ−リポソームは半減期は
約1分であり、血漿安定性は極めて悪かった。
【0054】実施例10(VSV−リポソームの遺伝子
導入ベクターとしての有用性)細胞 :サル腎上皮細胞LLCMK2細胞は10vol.%F
CSを含むイーグルMEM培地で培養した。プラスミドDNA :ニワトリβ−アクチンプロモーター
とサイトメガロウイルスエンハンサー、およびSV40
early gene poly(A)signalをもつpCAL2(6.4
Kb)を作成して用いた。リポソームの調製 :pCAL2(5mg/mL)を10mM T
ris(pH=7.6)/150mM NaCl/10mM EDT
Aに懸濁し、実施例2に準じて行った。VSV−リポソームの精製 :実施例4に準じて行った。HVJ−リポソームの精製 :実施例4に準じて行った。VSV−リポソーム、HVJ−リポソームを用いたトラ
ンスフェクション :12穴プレートにLLCMK2細胞
を5.0×104個播種した。24時間、37℃、5vol.
%CO2で培養した後、細胞をBSS(+)で洗浄し、1
0vol.%FCSイーグルMEMで懸濁したpCAL2を
封入したHVJ−リポソーム(OD540=0.1)と
そのRhの蛍光強度に相当するpCAL2を封入したVS
V−リポソームを500μL加え、培養し、経日的にル
シフェラーゼ活性を測定した。ルシフェラーゼ活性の測定 :ルシフェラーゼ活性はluci
ferase assay system(ピッカジーン)およびルミノメ
ーター(Lumat LB9501,Berthold)を用いて測定し
た。細胞の蛋白質量は実施例1および3に準じて行っ
た。活性はrelative light units(RLU)/μg prote
inとして表した。
【0055】結果を表4(LLCMK細胞に種々のリポ
ソームにより導入されたルシフェラーゼ活性に対する培
養時間の影響)に示す。リポソームを作用させたときは
ルシフェラーゼ活性はほとんど検出されなかった。HV
J−リポソームを作用させたときのルシフェラーゼ活性
は反応1日目から高く、2日後に最大活性を示した後、
4日後には最大活性の約1/3に減少した。VSV−リ
ポソームは3日後に最大活性を示し、4日後には最大活
性を示したときの約60%に減少した。以上の結果よ
り、VSV−リポソームはプラスミドDNAも細胞に導
入することができ、その最大活性はリポソーム単独に比
べて170倍以上であった。HVJ−リポソームに比べ
ると低かったが、この理由として細胞がエンドサイトー
シスを行う粒子径は150〜200nmまでと言われてお
り、今回、モデルであるpCAL2のサイズ自身のため
にリポソームの粒子径を200nmにせざるを得なく、そ
のリポソームから作成した VSV−リポソームの粒子
径は200nm以上であると考えられ、細胞に取り込まれ
にくかったためと考えられる。
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ステップワイズ蔗糖密度勾配遠心分
離後の各画分の蛍光強度を示すものである。
【図2】 図2は、ステップワイズ蔗糖密度勾配遠心分
離後の各分画の蛋白濃度を示すものである。
【図3】 図3は、N−NBD−PE/N−Rh−PE
リポソームとVSV間のトランスファーに対する融合の
効果を示すものである。
【図4】 図4は、ステップワイズ蔗糖密度勾配遠心分
離後の各分画の蛍光強度を示すものである。
【図5】 図5は、VSVリポソームのLLCMK細胞
に対する結合の時間経過を示すものである。
【図6】 図6は、DTA含有VSV−リポソームのF
L細胞に対する効果を示すものである。
【図7】 図7は、血漿中でのVSV−リポソームの安
定性を示すものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12N 7/00 C12N 7/00 // A61K 45/00 A61K 45/00 C12N 5/10 C12N 5/00 B (72)発明者 真弓 忠範 大阪府池田市石橋3−11−3−205 (72)発明者 山田 修 大阪府大阪市城東区森之宮2−3−30 扶 桑薬品工業株式会社研究開発センター内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】膜融合能を有するウイルスまたはその部分
    とリポソームとを融合させた、生理的条件下でヒト赤血
    球に対して溶血または凝集作用を示すことのない、膜融
    合リポソームから成る、細胞内物質導入ベクター。
  2. 【請求項2】ウイルスまたはその部分が水疱性口内炎ウ
    イルスまたはその膜融合能を有する部分である、請求項
    1記載の細胞内物質導入ベクター。
  3. 【請求項3】リポソームに物質が封入されている、請求
    項1または2記載の細胞内物質導入ベクター。
  4. 【請求項4】物質が薬物である、請求項3記載の細胞内
    物質導入ベクター。
  5. 【請求項5】物質が遺伝子である、請求項3記載の細胞
    内物質導入ベクター。
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