JPH11187776A - 水田の水管理方法および水管理システム - Google Patents
水田の水管理方法および水管理システムInfo
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- JPH11187776A JPH11187776A JP9358794A JP35879497A JPH11187776A JP H11187776 A JPH11187776 A JP H11187776A JP 9358794 A JP9358794 A JP 9358794A JP 35879497 A JP35879497 A JP 35879497A JP H11187776 A JPH11187776 A JP H11187776A
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Landscapes
- Complex Calculations (AREA)
- Management, Administration, Business Operations System, And Electronic Commerce (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 水田形状に依存することなく、かつ少ない水
位計で水田の水位分布を推定し、水田全域の水位を適切
に管理すること。 【解決手段】 1区画または複数区画から成る水田地域
に対して1つ又は複数の風向・風速計を設置すると共
に、各区画の水田に対して水位計をそれぞれ設置し、前
記風向・風速計による水田地域の風向・風速計測値およ
び前記水位計による各区画の水田の計測水位に基づき、
所定の水位分布算出アルゴリズムに従って各水田の水位
分布を算出し、その水位分布より対応する水田の水位特
性を表す物理量を推定し、この物理量が所定の目標水位
の許容範囲に収まるように、各水田に設置された給排水
バルブの操作を行い、各水田の水位を目標水位の許容範
囲内に制御する。
位計で水田の水位分布を推定し、水田全域の水位を適切
に管理すること。 【解決手段】 1区画または複数区画から成る水田地域
に対して1つ又は複数の風向・風速計を設置すると共
に、各区画の水田に対して水位計をそれぞれ設置し、前
記風向・風速計による水田地域の風向・風速計測値およ
び前記水位計による各区画の水田の計測水位に基づき、
所定の水位分布算出アルゴリズムに従って各水田の水位
分布を算出し、その水位分布より対応する水田の水位特
性を表す物理量を推定し、この物理量が所定の目標水位
の許容範囲に収まるように、各水田に設置された給排水
バルブの操作を行い、各水田の水位を目標水位の許容範
囲内に制御する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1区画または複数
区画から成る水田水田地域において、風動時の水田への
風の影響を考慮して、給排水バルブ操作、揚水ポンプ操
作その他の水管理作業を行うための水管理方法に係り、
特に恒常的に強い風の存在する水田地域に適用して好適
な大区画水田の水管理方法および水管理システムに関す
る。
区画から成る水田水田地域において、風動時の水田への
風の影響を考慮して、給排水バルブ操作、揚水ポンプ操
作その他の水管理作業を行うための水管理方法に係り、
特に恒常的に強い風の存在する水田地域に適用して好適
な大区画水田の水管理方法および水管理システムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、給排水パイプライン、給排水路の
整備された水田地域では、稲の生育段階に応じた好まし
い水位管理を行うため、各水田ごとに1つの水位計を設
置しておき、水位計測値が所定の目標水位に近づくよう
に給排水バルブの操作を行っている。例えば、ある地方
の水管理システムでは、目標水位に対して±5cm程度
の不感帯域を設けておき、降雨等の影響により水田水位
が増加し、計測水位が「目標水位+5cm」より高くな
れば、計測水位が目標水位に近づくように、排水バルブ
を開けて排水操作を行い、逆に田水の地下浸透、蒸発散
等により水田水位が減少し、計測水位が「目標水位−5
cm」より低くなれば、計測水位が目標水位に近づくよ
うに、給水バルブを開けて給水操作を行っている。
整備された水田地域では、稲の生育段階に応じた好まし
い水位管理を行うため、各水田ごとに1つの水位計を設
置しておき、水位計測値が所定の目標水位に近づくよう
に給排水バルブの操作を行っている。例えば、ある地方
の水管理システムでは、目標水位に対して±5cm程度
の不感帯域を設けておき、降雨等の影響により水田水位
が増加し、計測水位が「目標水位+5cm」より高くな
れば、計測水位が目標水位に近づくように、排水バルブ
を開けて排水操作を行い、逆に田水の地下浸透、蒸発散
等により水田水位が減少し、計測水位が「目標水位−5
cm」より低くなれば、計測水位が目標水位に近づくよ
うに、給水バルブを開けて給水操作を行っている。
【0003】また、上記水管理システムでは、給排水バ
ルブの電源電力として、太陽電池及び鉛畜電池を利用し
ている。すなわち、各給排水バルブの近傍に1つづつ太
陽電池及び鉛蓄電池を設置しておき、日照時に太陽電池
より発電された電力を鉛蓄電池に蓄電し、必要に応じて
鉛蓄電池から給排水バルブに電力を供給している。
ルブの電源電力として、太陽電池及び鉛畜電池を利用し
ている。すなわち、各給排水バルブの近傍に1つづつ太
陽電池及び鉛蓄電池を設置しておき、日照時に太陽電池
より発電された電力を鉛蓄電池に蓄電し、必要に応じて
鉛蓄電池から給排水バルブに電力を供給している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、水田地域で
は風の影響により水田水面に傾斜が生じる。すなわち、
風下側の水位が高く、風上側の水位が低くなるという水
位の傾斜が生じる。
は風の影響により水田水面に傾斜が生じる。すなわち、
風下側の水位が高く、風上側の水位が低くなるという水
位の傾斜が生じる。
【0005】しかしながら、上記従来技術にあっては、
風向きや風速を考慮せず、各水田に設置した1つの水位
計の計測値と目標水位とを比較することによって各水田
水位を制御するようにしているため、水位計の設置位置
近傍のみは目標水位に制御されるものの、風下側および
風上側の水位は目標水位と大きく異なるといった水位の
偏りが発生してしまうという問題がある。
風向きや風速を考慮せず、各水田に設置した1つの水位
計の計測値と目標水位とを比較することによって各水田
水位を制御するようにしているため、水位計の設置位置
近傍のみは目標水位に制御されるものの、風下側および
風上側の水位は目標水位と大きく異なるといった水位の
偏りが発生してしまうという問題がある。
【0006】そこで、水位計を増設し、各水位計の計測
値の平均値を求め、その平均水位と目標水位とを比較す
ることによって水位を制御する方法が考えられるが、水
位計の増設に伴ってコストが増大するという問題が生じ
る。また、水田の形状が異なる場合、水田の形状に応じ
て水位計の設置場所を選定しなければならないため、汎
用性が低下するという問題が生じる。
値の平均値を求め、その平均水位と目標水位とを比較す
ることによって水位を制御する方法が考えられるが、水
位計の増設に伴ってコストが増大するという問題が生じ
る。また、水田の形状が異なる場合、水田の形状に応じ
て水位計の設置場所を選定しなければならないため、汎
用性が低下するという問題が生じる。
【0007】一方、上記従来技術にあっては、各水田ご
とに設置された給排水バルブの電源電力として、各給排
水バルブごとに設置された太陽電池及び蓄電池を利用し
ているため、コスト高になるという問題がある。例え
ば、農水省が現在推進している大区画水田のモデル地区
(1ha水田×30枚、各水田に対して給水バルブ、排
水バルブを1つづつ設置)の場合、地区全体で2×30
=60個の太陽電池及び蓄電池が必要となり、その設置
コストが高くなる。
とに設置された給排水バルブの電源電力として、各給排
水バルブごとに設置された太陽電池及び蓄電池を利用し
ているため、コスト高になるという問題がある。例え
ば、農水省が現在推進している大区画水田のモデル地区
(1ha水田×30枚、各水田に対して給水バルブ、排
水バルブを1つづつ設置)の場合、地区全体で2×30
=60個の太陽電池及び蓄電池が必要となり、その設置
コストが高くなる。
【0008】本発明の目的は、水田水位に影響を及ぼす
風の特性を考慮し、風の特性値及び水位計測値から、水
田形状に依存することなく、かつ少ない水位計で水田の
水位分布を推定し、水田全域の水位を適切に管理するこ
とができる水田の水管理方法及び水管理システムを提供
することにある。
風の特性を考慮し、風の特性値及び水位計測値から、水
田形状に依存することなく、かつ少ない水位計で水田の
水位分布を推定し、水田全域の水位を適切に管理するこ
とができる水田の水管理方法及び水管理システムを提供
することにある。
【0009】また、水田地域内に存在する自然界の物理
現象を利用して給排水バルブの電源電力を供給すること
により、低コストで水田の水位を目標水位に制御するこ
とができる水田の水管理方法及び水管理システムを提供
することにある。
現象を利用して給排水バルブの電源電力を供給すること
により、低コストで水田の水位を目標水位に制御するこ
とができる水田の水管理方法及び水管理システムを提供
することにある。
【0010】さらに、風の影響により発生する水田水の
偏りに対して、自然界の物理現象を利用して、水田に影
響を及ぼす風の強さに応じて上記偏りを軽減することが
できる水田の水管理方法及び水管理システムを提供する
ことにある。
偏りに対して、自然界の物理現象を利用して、水田に影
響を及ぼす風の強さに応じて上記偏りを軽減することが
できる水田の水管理方法及び水管理システムを提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、1区画または複数区画から成る水田地域
に対して1つ又は複数の風向・風速計を設置すると共
に、各区画の水田に対して水位計をそれぞれ設置し、前
記風向・風速計による水田地域の風向・風速計測値およ
び前記水位計による各区画の水田の計測水位に基づき、
所定の水位分布算出アルゴリズムに従って各水田の水位
分布を算出し、その水位分布より対応する水田の水位特
性を表す物理量を推定し、この物理量が所定の目標水位
の許容範囲に収まるように、各水田に設置された給排水
バルブの操作を行い、各水田の水位を目標水位の許容範
囲内に制御することを特徴とする。
に、本発明は、1区画または複数区画から成る水田地域
に対して1つ又は複数の風向・風速計を設置すると共
に、各区画の水田に対して水位計をそれぞれ設置し、前
記風向・風速計による水田地域の風向・風速計測値およ
び前記水位計による各区画の水田の計測水位に基づき、
所定の水位分布算出アルゴリズムに従って各水田の水位
分布を算出し、その水位分布より対応する水田の水位特
性を表す物理量を推定し、この物理量が所定の目標水位
の許容範囲に収まるように、各水田に設置された給排水
バルブの操作を行い、各水田の水位を目標水位の許容範
囲内に制御することを特徴とする。
【0012】そして、前記風向・風速計を風力発電機付
きの風向・風速計で構成したうえ、その風力発電電力を
蓄電する蓄電池を設置し、この蓄電池の蓄電電力を使用
して前記給排水バルブの操作を行うことを特徴とする。
きの風向・風速計で構成したうえ、その風力発電電力を
蓄電する蓄電池を設置し、この蓄電池の蓄電電力を使用
して前記給排水バルブの操作を行うことを特徴とする。
【0013】また、各水田内の水を所定の場所から別の
所定の場所に輸送するためのポンプ等の水輸送装置を有
するパイプラインを各水田内に設置し、水田水面に傾斜
が付いている場合は、風力発電機付き風向・風速計の風
力発電電力を用い、かつ計測された風向・風速に応じて
前記水輸送装置を操作し、水位が高いエリアの水を水位
が低いエリアに輸送するようにしたことを特徴とする。
所定の場所に輸送するためのポンプ等の水輸送装置を有
するパイプラインを各水田内に設置し、水田水面に傾斜
が付いている場合は、風力発電機付き風向・風速計の風
力発電電力を用い、かつ計測された風向・風速に応じて
前記水輸送装置を操作し、水位が高いエリアの水を水位
が低いエリアに輸送するようにしたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施の
形態によって詳細に説明する。図1は、大区画水田にお
ける各水田の水位を管理する水管理システムの実施形態
を示すシステム構成図である。図1に示すように、本実
施形態の大区画水田の水管理システムは、水位計1−j
(j=1、…、30)、給水バルブ2−j、排水バルブ
3−j、コンピュータ104、データ伝送路105、風
向・風速計測可能な風力発電機106、蓄電池107、
電力供給路108、給水パイプライン109、排水パイ
プライン110から構成される。
形態によって詳細に説明する。図1は、大区画水田にお
ける各水田の水位を管理する水管理システムの実施形態
を示すシステム構成図である。図1に示すように、本実
施形態の大区画水田の水管理システムは、水位計1−j
(j=1、…、30)、給水バルブ2−j、排水バルブ
3−j、コンピュータ104、データ伝送路105、風
向・風速計測可能な風力発電機106、蓄電池107、
電力供給路108、給水パイプライン109、排水パイ
プライン110から構成される。
【0015】水管理の対象となる大区画水田地域は、農
水省が推進している大区画水田モデル地区と同様に、3
0枚の1ha規模の水田4−jによって構成される。各
水田4−j内には、水位計1−j、給水バルブ2−j、
排水バルブ3−jが1つづつ設置されており、ある所定
計測周期ごとに各水田4−jの水位、給水量、排水量を
データ伝送路105を介してコンピュータ104に送信
している。
水省が推進している大区画水田モデル地区と同様に、3
0枚の1ha規模の水田4−jによって構成される。各
水田4−j内には、水位計1−j、給水バルブ2−j、
排水バルブ3−jが1つづつ設置されており、ある所定
計測周期ごとに各水田4−jの水位、給水量、排水量を
データ伝送路105を介してコンピュータ104に送信
している。
【0016】ここで、データ伝送路105は、無線又は
有線のどちらでも構わない。更に上記大区画水田地域に
は、風向・風速計測可能な風力発電機106が設置され
ており、上記水位計測周期と同じタイミングで、上記大
区画水田地域における風向・風速を、データ伝送路10
5を介してコンピュータ104に送信している。
有線のどちらでも構わない。更に上記大区画水田地域に
は、風向・風速計測可能な風力発電機106が設置され
ており、上記水位計測周期と同じタイミングで、上記大
区画水田地域における風向・風速を、データ伝送路10
5を介してコンピュータ104に送信している。
【0017】コンピュータ104では、水位計1−jか
らの水位データ、給水バルブ2−jからの給水量デー
タ、排水バルブ3−jからの排水量データ、風力発電機
106からの風向・風速データに基づいて、各水田4−
jの水位分布の推定を行う。
らの水位データ、給水バルブ2−jからの給水量デー
タ、排水バルブ3−jからの排水量データ、風力発電機
106からの風向・風速データに基づいて、各水田4−
jの水位分布の推定を行う。
【0018】本実施形態では、任意の形状の水田に対し
て適用可能な、各水田4−jの水位分布推定方法につい
て図2及び図3に基づいて説明する。
て適用可能な、各水田4−jの水位分布推定方法につい
て図2及び図3に基づいて説明する。
【0019】図2は、水田4−jを上部から見た平面図
であり、実線矢印は水田4−j上での風向・風速を表
す。水面が平面であると仮定すれば、水田4−j上の共
線でない任意の3地点の水位が判れば、水田4−jの水
位分布を算出することができる。
であり、実線矢印は水田4−j上での風向・風速を表
す。水面が平面であると仮定すれば、水田4−j上の共
線でない任意の3地点の水位が判れば、水田4−jの水
位分布を算出することができる。
【0020】そこで、図2に示すように水田4−jの中
心点A、水位計1−jの設置地点B、直線AB上にない
任意の地点Cとし、上記3地点の水位を推定することを
試みる(地点Bの水位は計測されているため実際はA、
Cの2地点のみでよい)。
心点A、水位計1−jの設置地点B、直線AB上にない
任意の地点Cとし、上記3地点の水位を推定することを
試みる(地点Bの水位は計測されているため実際はA、
Cの2地点のみでよい)。
【0021】図3は、地点Aと地点Bとを通過する平面
による水田4−jの断面図である。ここで、水田4−j
における計測データの記号を、w(t)=風速、α
(t)=風向と方向ABとのなす角度、β(t)=風向
と方向ACとのなす角度、x(t)=地点Aでの水位
(平均水位)、z(t)=地点Bでの計測水位、y
(t)=地点Cでの水位、r(t)=給水量、q(t)
=排水量、s(t)=貯水量、F=水田表面積、b=地
点AB間の距離、c=地点AC間の距離と定義する。但
し、tは所定の計測周期に対応した時刻を表す。
による水田4−jの断面図である。ここで、水田4−j
における計測データの記号を、w(t)=風速、α
(t)=風向と方向ABとのなす角度、β(t)=風向
と方向ACとのなす角度、x(t)=地点Aでの水位
(平均水位)、z(t)=地点Bでの計測水位、y
(t)=地点Cでの水位、r(t)=給水量、q(t)
=排水量、s(t)=貯水量、F=水田表面積、b=地
点AB間の距離、c=地点AC間の距離と定義する。但
し、tは所定の計測周期に対応した時刻を表す。
【0022】さて、各種実験結果より、図3に示す地点
AB間の水位勾配は、AB方向の風速の2乗に比例する
ことが判っている。このAB方向の風速の2乗値をu
(t)とおき、比例パラメータをk(t)とおけば、
AB間の水位勾配は、AB方向の風速の2乗に比例する
ことが判っている。このAB方向の風速の2乗値をu
(t)とおき、比例パラメータをk(t)とおけば、
【0023】
【数1】
【0024】
【数2】
【0025】が成り立つ。また、水収支の関係より、
【0026】
【数3】
【0027】が成り立ち、貯水量の計算式
【0028】
【数4】
【0029】を前記(数3)に代入して、
【0030】
【数5】
【0031】が成り立つ。従って、状態変量を地点Aの
水位x(t)、比例パラメータk(t)とおけば、カル
マンフィルタ理論におけるシステム方程式
水位x(t)、比例パラメータk(t)とおけば、カル
マンフィルタ理論におけるシステム方程式
【0032】
【数6】
【0033】及び観測方程式
【0034】
【数7】
【0035】を導出できる。
【0036】上記の(数6)、(数7)に対してカルマ
ンフィルタアルゴリズムを適用することにより、現時刻
tにおける地点Aの水位x(t)、及び比例パラメータ
k(t)を算出できる。
ンフィルタアルゴリズムを適用することにより、現時刻
tにおける地点Aの水位x(t)、及び比例パラメータ
k(t)を算出できる。
【0037】次に、地点Cの水位y(t)は以下のよう
にして算出する。地点AC間の水位勾配は、AC方向の
風速の2乗に比例し、稲の生育状況、植付間隔は水田内
で一様であることから、その比例定数は上記比例パラメ
ータk(t)に一致する。従って、AC方向の風速の2
乗値をv(t)とおけば、
にして算出する。地点AC間の水位勾配は、AC方向の
風速の2乗に比例し、稲の生育状況、植付間隔は水田内
で一様であることから、その比例定数は上記比例パラメ
ータk(t)に一致する。従って、AC方向の風速の2
乗値をv(t)とおけば、
【0038】
【数8】
【0039】
【数9】
【0040】が成り立つ。上記(数8)、(数9)を解
くことにより、時刻tにおける地点Cの水位y(t)を
算出できる。
くことにより、時刻tにおける地点Cの水位y(t)を
算出できる。
【0041】上述のようにして、各水田4−j内の共線
でない任意の3地点の水位が算出できるため、水面が平
面であると仮定すれば、その水位分布を算出することが
できる。
でない任意の3地点の水位が算出できるため、水面が平
面であると仮定すれば、その水位分布を算出することが
できる。
【0042】上記の水位分布推定方法のメリットは、ど
の生育時期の水田に対しても、同じモデル式を適用でき
る点である。通常、稲の生育とともに風の水面に対する
影響は減少するため、生育時期に応じて複数の水位分布
推定モデルを用意しておく必要があるが、上記計算では
風の水面に対する影響を表す比例パラメータk(t)を
オンラインで同定しているため、複数のモデルを用意し
ておく必要がない。更には、上記水位分布推定方法を別
の地域の水田に適用する際にも新たにモデルを同定する
必要がなく、非常に汎用性の高い水位分布推定方法とみ
なすことができる。
の生育時期の水田に対しても、同じモデル式を適用でき
る点である。通常、稲の生育とともに風の水面に対する
影響は減少するため、生育時期に応じて複数の水位分布
推定モデルを用意しておく必要があるが、上記計算では
風の水面に対する影響を表す比例パラメータk(t)を
オンラインで同定しているため、複数のモデルを用意し
ておく必要がない。更には、上記水位分布推定方法を別
の地域の水田に適用する際にも新たにモデルを同定する
必要がなく、非常に汎用性の高い水位分布推定方法とみ
なすことができる。
【0043】コンピュータ104では、上述のようにし
て各水田4−jの水位分布を推定し、各水田4−jの水
位が目標水位の許容範囲に収まるように給排水バルブを
制御する。
て各水田4−jの水位分布を推定し、各水田4−jの水
位が目標水位の許容範囲に収まるように給排水バルブを
制御する。
【0044】図4は、コンピュータ104が実行する水
位制御処理を概要を示すフローチャートである。コンピ
ュータ104は、上述のようにして大区画水田地域の風
向・風速、各水田4−jの水位、給水量、排水量を測定
した後(ステップ41)、各水田4−jの水位分布を推
定する(ステップ42)。
位制御処理を概要を示すフローチャートである。コンピ
ュータ104は、上述のようにして大区画水田地域の風
向・風速、各水田4−jの水位、給水量、排水量を測定
した後(ステップ41)、各水田4−jの水位分布を推
定する(ステップ42)。
【0045】次に、上記水位分布から各4−jの物理
量、すなわち最高水位、最低水位、平均水位を算出する
(ステップ43)。この後、稲の生育状態や気温・日照
等の気象条件に応じて、毎日の各水田4−jの目標水位
を決定する(ステップ44)。例えば、苗を移植したば
かりで苗の背丈が低いときは、苗が水中に埋没してしま
わないように目標水位を低めに設定し、減数分裂期のよ
うに気温の影響を受けやすい時期は、冷気から稲を守る
ために目標水位を高めに設定する。
量、すなわち最高水位、最低水位、平均水位を算出する
(ステップ43)。この後、稲の生育状態や気温・日照
等の気象条件に応じて、毎日の各水田4−jの目標水位
を決定する(ステップ44)。例えば、苗を移植したば
かりで苗の背丈が低いときは、苗が水中に埋没してしま
わないように目標水位を低めに設定し、減数分裂期のよ
うに気温の影響を受けやすい時期は、冷気から稲を守る
ために目標水位を高めに設定する。
【0046】次に、各水田4−jの物理量(最高水位、
最低水位、平均水位のいずれか)が目標水位の所定の近
傍I内(目標水位±不感帯域)に存在するように、給水
バルブ2−j、排水バルブ3−jの操作を行う。すなわ
ち、上記物理量が近傍I(目標水位−不感帯域)を下回
っていれば、データ伝送路105を介して、給水バルブ
2−jに開信号、排水バルブ3−jに閉信号を伝送し、
給水を実行させる(ステップ45,48)。
最低水位、平均水位のいずれか)が目標水位の所定の近
傍I内(目標水位±不感帯域)に存在するように、給水
バルブ2−j、排水バルブ3−jの操作を行う。すなわ
ち、上記物理量が近傍I(目標水位−不感帯域)を下回
っていれば、データ伝送路105を介して、給水バルブ
2−jに開信号、排水バルブ3−jに閉信号を伝送し、
給水を実行させる(ステップ45,48)。
【0047】給水バルブ2−jでは、コンピュータ10
4からの制御信号を受信し、開信号であればバルブを開
けて給水パイプライン109から水田4−j内に水を供
給し、閉信号であればバルブを閉じて水の供給を停止す
る。排水バルブ3−jでは、コンピュータ104からの
制御信号を受信し、開信号であればバルブを開けて水田
4−jから排水パイプライン110内に水を排水し、閉
信号であればバルブを閉じて水の排水を停止する。これ
により、水田4−jの水位は漸次上昇する。
4からの制御信号を受信し、開信号であればバルブを開
けて給水パイプライン109から水田4−j内に水を供
給し、閉信号であればバルブを閉じて水の供給を停止す
る。排水バルブ3−jでは、コンピュータ104からの
制御信号を受信し、開信号であればバルブを開けて水田
4−jから排水パイプライン110内に水を排水し、閉
信号であればバルブを閉じて水の排水を停止する。これ
により、水田4−jの水位は漸次上昇する。
【0048】水田4−jの水位が上昇し、上記物理量が
目標水位を超え、近傍I内(目標水位+不感帯域)に達
していない場合は(ステップ46,47)、コンピュー
タ104は、データ伝送路105を介して、給水バルブ
2−jに閉信号を送信する(ステップ50)。そして、
上記物理量が近傍I内(目標水位+不感帯域)に達した
場合は、排水バルブ3−jに開信号を送信する(ステッ
プ51)。これにより、水田4−jの水位は漸次下降す
る。この下降の過程で、上記物理量が目標水位より下回
るようになった場合は、コンピュータ104は、データ
伝送路105を介して、排水バルブ3−jに閉信号を送
信する(ステップ49)。
目標水位を超え、近傍I内(目標水位+不感帯域)に達
していない場合は(ステップ46,47)、コンピュー
タ104は、データ伝送路105を介して、給水バルブ
2−jに閉信号を送信する(ステップ50)。そして、
上記物理量が近傍I内(目標水位+不感帯域)に達した
場合は、排水バルブ3−jに開信号を送信する(ステッ
プ51)。これにより、水田4−jの水位は漸次下降す
る。この下降の過程で、上記物理量が目標水位より下回
るようになった場合は、コンピュータ104は、データ
伝送路105を介して、排水バルブ3−jに閉信号を送
信する(ステップ49)。
【0049】以上の制御により、上記物理量が目標水位
の所定の近傍I内に存在するように、水田4−jの水管
理を行うことができる。
の所定の近傍I内に存在するように、水田4−jの水管
理を行うことができる。
【0050】ここで、所定の物理量とは、水田の平均水
位、最高水位、最低水位のことであり、各水田4−jの
水位分布から容易にかつ一意に算出可能である。目標水
位との比較対象として計測水位を直接用いるのでなく、
稲の生育段階に応じて、最高水位、最低水位、平均水位
を適宜に使い分けることにより、より好ましい水管理が
可能になる。すなわち、移植時のように、ある水田4−
jにおける目標水位が低いときは、目標水位との比較対
象である物理量を、該水田の最高水位とする。つまり、
コンピュータ104では、該水田の最高水位が目標水位
の所定の近傍内に収まるように、給排水バルブの操作を
行う。これにより、上記水田において、水位が目標水位
に達しない地点が存在する可能性があるが、「目標水位
が低い」ということは、水田水量が少ない方が多すぎる
よりは好ましいということであることから、上記地点が
存在しても特に問題ない。もし仮りに上記物理量を計測
水位とすれば、該計測水位が上記水田の最低水位になっ
ている可能性があり、その場合、水位が目標水位を超え
てしまい、苗が水中に没してしまう地点が存在する可能
性がある。
位、最高水位、最低水位のことであり、各水田4−jの
水位分布から容易にかつ一意に算出可能である。目標水
位との比較対象として計測水位を直接用いるのでなく、
稲の生育段階に応じて、最高水位、最低水位、平均水位
を適宜に使い分けることにより、より好ましい水管理が
可能になる。すなわち、移植時のように、ある水田4−
jにおける目標水位が低いときは、目標水位との比較対
象である物理量を、該水田の最高水位とする。つまり、
コンピュータ104では、該水田の最高水位が目標水位
の所定の近傍内に収まるように、給排水バルブの操作を
行う。これにより、上記水田において、水位が目標水位
に達しない地点が存在する可能性があるが、「目標水位
が低い」ということは、水田水量が少ない方が多すぎる
よりは好ましいということであることから、上記地点が
存在しても特に問題ない。もし仮りに上記物理量を計測
水位とすれば、該計測水位が上記水田の最低水位になっ
ている可能性があり、その場合、水位が目標水位を超え
てしまい、苗が水中に没してしまう地点が存在する可能
性がある。
【0051】また、深水灌漑時のように、ある水田4−
jにおける目標水位が高いときは、目標水位との比較対
象である物理量を、該水田の最低水位とする。すなわ
ち、コンピュータ104では、該水田の最低水位が目標
水位の所定の近傍内に収まるように、給排水バルブの操
作を行う。これにより、上記水田において、水位が目標
水位を超える地点が存在する可能性があるが、「目標水
位が高い」ということは、水田水量が多い方が少なすぎ
るよりは好ましいということであることから、上記地点
が存在しても特に問題ない。もし仮りに上記物理量を計
測水位とすれば、該計測水位が上記水田の最高水位にな
っている可能性があり、その場合、水位が目標水位に達
せず、冷気の影響を直接受けてしまう地点が存在する可
能性がある。
jにおける目標水位が高いときは、目標水位との比較対
象である物理量を、該水田の最低水位とする。すなわ
ち、コンピュータ104では、該水田の最低水位が目標
水位の所定の近傍内に収まるように、給排水バルブの操
作を行う。これにより、上記水田において、水位が目標
水位を超える地点が存在する可能性があるが、「目標水
位が高い」ということは、水田水量が多い方が少なすぎ
るよりは好ましいということであることから、上記地点
が存在しても特に問題ない。もし仮りに上記物理量を計
測水位とすれば、該計測水位が上記水田の最高水位にな
っている可能性があり、その場合、水位が目標水位に達
せず、冷気の影響を直接受けてしまう地点が存在する可
能性がある。
【0052】また、通常灌漑時のように、ある水田4−
jにおける目標水位が高くもなく低くもなく適当な高さ
であるときは、目標水位との比較対象である物理量を、
該水田の平均水位とする。すなわち、コンピュータ10
4では、該水田の平均水位が目標水位の所定の近傍内に
収まるように、給排水バルブの操作を行う。これによ
り、上記水田において、全体としての水位分布(平均水
位)が目標水位に近づくように水管理を行うことができ
る。
jにおける目標水位が高くもなく低くもなく適当な高さ
であるときは、目標水位との比較対象である物理量を、
該水田の平均水位とする。すなわち、コンピュータ10
4では、該水田の平均水位が目標水位の所定の近傍内に
収まるように、給排水バルブの操作を行う。これによ
り、上記水田において、全体としての水位分布(平均水
位)が目標水位に近づくように水管理を行うことができ
る。
【0053】このように、目標水位との比較対象とし
て、計測水位を用いるのでなく、最高水位、最低水位、
平均水位を適宜に使い分けることによって、好ましい水
運用が可能になる。
て、計測水位を用いるのでなく、最高水位、最低水位、
平均水位を適宜に使い分けることによって、好ましい水
運用が可能になる。
【0054】ところで、本実施形態にあっては、給水バ
ルブ2−j、排水バルブ3−j開閉のための電力は、風
力発電機106によって発電された電力によって賄われ
る。但し、無風時でも電力を安定供給するために、風動
時の風力発電機106によって発電された電力は、蓄電
池107に一旦蓄電され、必要に応じて電力供給路10
8を介して、給水バルブ2−j、排水バルブ3−jに供
給される。勿論、風力発電機106は、風力計と発電機
は一体型でなく、別々のものであってもよい。
ルブ2−j、排水バルブ3−j開閉のための電力は、風
力発電機106によって発電された電力によって賄われ
る。但し、無風時でも電力を安定供給するために、風動
時の風力発電機106によって発電された電力は、蓄電
池107に一旦蓄電され、必要に応じて電力供給路10
8を介して、給水バルブ2−j、排水バルブ3−jに供
給される。勿論、風力発電機106は、風力計と発電機
は一体型でなく、別々のものであってもよい。
【0055】ここで、水田地域に実際に存在する風によ
って、どの程度の発電力が期待でき、幾つの給排水バル
ブの動作電力を賄う事ができるかについて検討する。あ
る地方の大区画水田に実際に風速計を設置して1ヶ月間
の風速を測定した結果、その平均風速は3.52m/s
であった。風力発電機106として、ローター径1.1
4mの市販風力発電機を採用した場合、約9.2Wの電
力供給が期待できる(風車効率70%)。従って、1日
の平均発電力は9.2×24=220.8W・時/日と
なる。一方、給排水バルブにDC12V、1.5A、開
閉時間22秒のアクチュエータを採用し、1日4回の開
閉を行った場合、1つのバルブの1日の消費電力は12
×1.5×22×4/3600=0.44W・時/日と
なる。
って、どの程度の発電力が期待でき、幾つの給排水バル
ブの動作電力を賄う事ができるかについて検討する。あ
る地方の大区画水田に実際に風速計を設置して1ヶ月間
の風速を測定した結果、その平均風速は3.52m/s
であった。風力発電機106として、ローター径1.1
4mの市販風力発電機を採用した場合、約9.2Wの電
力供給が期待できる(風車効率70%)。従って、1日
の平均発電力は9.2×24=220.8W・時/日と
なる。一方、給排水バルブにDC12V、1.5A、開
閉時間22秒のアクチュエータを採用し、1日4回の開
閉を行った場合、1つのバルブの1日の消費電力は12
×1.5×22×4/3600=0.44W・時/日と
なる。
【0056】従って、単純計算で220.8/0.44
≒500個の給排水バルブの電力供給が可能となり、大
区画水田地区全域(1ha水田30枚、給排水バルブ6
0個)の給排水バルブ電力需要を十分賄うことができ
る。また、上記市販の風力発電機106の標準価格は1
23、000円程度であるため、給排水バルブ1つ当り
の風力発電機の価格は2、000円程度となり、従来の
水管理システムのように、各給排水バルブごとに太陽電
池を設置する場合より格安となる。
≒500個の給排水バルブの電力供給が可能となり、大
区画水田地区全域(1ha水田30枚、給排水バルブ6
0個)の給排水バルブ電力需要を十分賄うことができ
る。また、上記市販の風力発電機106の標準価格は1
23、000円程度であるため、給排水バルブ1つ当り
の風力発電機の価格は2、000円程度となり、従来の
水管理システムのように、各給排水バルブごとに太陽電
池を設置する場合より格安となる。
【0057】以上のように、本実施形態によれば、水田
水位に影響を及ぼす風の特性(風向、風速)を考慮し、
風の特性値及び水位計測値から、水田形状に依存するこ
となく水田の水位分布を推定し、その水位分布より対応
する水田尾水位特性を表す物理量(最高水位、最低水
位、平均水位)を推定し、その物理量が目標水位の許容
範囲内に収まるように、各水田に設置した給排水バルブ
の操作を行うようにしているため、1区画の水田につき
1個の水位計のみで各水田の水位を適切に管理すること
ができるうえ、水田の形状に応じて水位計の設置場所を
異ならせるなどの面倒な作業から解放され、水田形状に
依存しない汎用性の高いをシステムを構築することがで
きる。
水位に影響を及ぼす風の特性(風向、風速)を考慮し、
風の特性値及び水位計測値から、水田形状に依存するこ
となく水田の水位分布を推定し、その水位分布より対応
する水田尾水位特性を表す物理量(最高水位、最低水
位、平均水位)を推定し、その物理量が目標水位の許容
範囲内に収まるように、各水田に設置した給排水バルブ
の操作を行うようにしているため、1区画の水田につき
1個の水位計のみで各水田の水位を適切に管理すること
ができるうえ、水田の形状に応じて水位計の設置場所を
異ならせるなどの面倒な作業から解放され、水田形状に
依存しない汎用性の高いをシステムを構築することがで
きる。
【0058】また、カルマンフィルタ理論によって、各
水田の平均水位を推定しているが、カルマンフィルタ理
論では平均水位推定モデルのパラメータもリアルタイム
に推定できるため、推定モデルを他の水田に適用するた
びにパラメータ同定を行う必要がなく、この点でも極め
て汎用性の高いシステムを構築することができる。
水田の平均水位を推定しているが、カルマンフィルタ理
論では平均水位推定モデルのパラメータもリアルタイム
に推定できるため、推定モデルを他の水田に適用するた
びにパラメータ同定を行う必要がなく、この点でも極め
て汎用性の高いシステムを構築することができる。
【0059】さらに、水田地域内に存在する自然界の物
理現象である風を利用して、給排水バルブの電源電力を
供給するようにしているため、低コストで水田の水位を
目標水位に制御することができる。
理現象である風を利用して、給排水バルブの電源電力を
供給するようにしているため、低コストで水田の水位を
目標水位に制御することができる。
【0060】次に、本発明の第2の実施の形態として、
大区画水田の水管理方法について、図5を参照して説明
する。図5に示すように、本実施形態の大区画水田の水
管理システムは、水輸送パイプライン401、送水ポン
プ402、開閉バルブ5−k(k=1、…、4)、風向
・風速計測可能な風力発電機406、蓄電池407、電
力供給路408から構成されている。
大区画水田の水管理方法について、図5を参照して説明
する。図5に示すように、本実施形態の大区画水田の水
管理システムは、水輸送パイプライン401、送水ポン
プ402、開閉バルブ5−k(k=1、…、4)、風向
・風速計測可能な風力発電機406、蓄電池407、電
力供給路408から構成されている。
【0061】水管理の対象となる大区画水田4−jに
は、第1の実施形態で説明した水管理システムが設置さ
れているものとする。即ち、風の特性に基づいて水田の
水位分布を推定し、上記水位分布から算出される水田の
平均水位、最高水位、最低水位等の物理量を適宜に使い
分けることにより、より好ましい水管理を行っている。
また、そのための給水バルブ2−j、排水バルブ3−j
の電源電力は、水田地域内に存在する風のパワーを利用
し、コスト軽減を図っている。
は、第1の実施形態で説明した水管理システムが設置さ
れているものとする。即ち、風の特性に基づいて水田の
水位分布を推定し、上記水位分布から算出される水田の
平均水位、最高水位、最低水位等の物理量を適宜に使い
分けることにより、より好ましい水管理を行っている。
また、そのための給水バルブ2−j、排水バルブ3−j
の電源電力は、水田地域内に存在する風のパワーを利用
し、コスト軽減を図っている。
【0062】しかしながら、上記水管理システムではよ
り緻密な水位調整は可能となるが、風の影響による水面
の傾斜は改善されない。即ち、風が吹いている限り、風
下側に吹き寄せられた水田水の偏りは存在することにな
る。本発明の第2の実施形態は、風の影響により発生す
る水田水の偏りを軽減するものである。
り緻密な水位調整は可能となるが、風の影響による水面
の傾斜は改善されない。即ち、風が吹いている限り、風
下側に吹き寄せられた水田水の偏りは存在することにな
る。本発明の第2の実施形態は、風の影響により発生す
る水田水の偏りを軽減するものである。
【0063】水田4−j内には、水輸送パイプライン4
01が水田4−jの周辺に沿って水中内にループ上に埋
設されており、パイプライン401内を水田水が自由に
行き来できるようになっている。パイプライン401に
は等間隔(4隅)に開閉バルブ5−kが設置されてお
り、開閉バルブ5−kが開いているとき、水田水がパイ
プライン401内に自由に出入りできる。またパイプラ
イン401には送水ポンプ402が設置されており、パ
イプライン401内の水を順方向又は逆方向に輸送でき
るようになっている。
01が水田4−jの周辺に沿って水中内にループ上に埋
設されており、パイプライン401内を水田水が自由に
行き来できるようになっている。パイプライン401に
は等間隔(4隅)に開閉バルブ5−kが設置されてお
り、開閉バルブ5−kが開いているとき、水田水がパイ
プライン401内に自由に出入りできる。またパイプラ
イン401には送水ポンプ402が設置されており、パ
イプライン401内の水を順方向又は逆方向に輸送でき
るようになっている。
【0064】コンピュータ104では、水田4−jの水
位分布推定結果に基づいて、水田4−j内の水面の傾斜
を把握し、上記傾斜ができるだけ少なくなるように送水
ポンプ402、及び開閉バルブ5−kの操作を行う。即
ち、水田4−jに水面傾斜が存在していれば、コンピュ
ータ104は、データ伝送路105を介して、最高水位
地点近くの開閉バルブA、及び最低水位地点近くの開閉
バルブBに対して開信号を送信し、その他の開閉バルブ
に対しては閉信号を送信し、更に開閉バルブAから開閉
バルブBの方向にパイプライン401内の水が向かうよ
うに、送水ポンプ402に対してポンプ運転信号を送信
する。
位分布推定結果に基づいて、水田4−j内の水面の傾斜
を把握し、上記傾斜ができるだけ少なくなるように送水
ポンプ402、及び開閉バルブ5−kの操作を行う。即
ち、水田4−jに水面傾斜が存在していれば、コンピュ
ータ104は、データ伝送路105を介して、最高水位
地点近くの開閉バルブA、及び最低水位地点近くの開閉
バルブBに対して開信号を送信し、その他の開閉バルブ
に対しては閉信号を送信し、更に開閉バルブAから開閉
バルブBの方向にパイプライン401内の水が向かうよ
うに、送水ポンプ402に対してポンプ運転信号を送信
する。
【0065】ここで、コンピュータ104にて行われる
開閉バルブ5−jの開閉決定方法、及び送水ポンプ40
2の運転方法について、図6に基づいて説明する。水田
4−jを、それぞれの開閉バルブ5−kから最も近い距
離にあるような4つの領域6−kに分割する。最高水位
地点及び最低水位地点は、上記4つの領域6−kのいず
れか1つの領域に別々に存在しており、例えば領域6−
1に最高水位地点501、領域6−2に最低水位地点5
02が存在する場合、開閉バルブ5−1、5−2のみを
開き、送水ポンプ402の送水方向を北向き(バルブ5
−1からバルブ5−2に向かう方向)とすればよい。そ
の他、考えられる全パターン(相似な関係は除く)に対
する開閉バルブ5−jの開閉状態、送水ポンプ402の
送水方向について、表1に示しておく。
開閉バルブ5−jの開閉決定方法、及び送水ポンプ40
2の運転方法について、図6に基づいて説明する。水田
4−jを、それぞれの開閉バルブ5−kから最も近い距
離にあるような4つの領域6−kに分割する。最高水位
地点及び最低水位地点は、上記4つの領域6−kのいず
れか1つの領域に別々に存在しており、例えば領域6−
1に最高水位地点501、領域6−2に最低水位地点5
02が存在する場合、開閉バルブ5−1、5−2のみを
開き、送水ポンプ402の送水方向を北向き(バルブ5
−1からバルブ5−2に向かう方向)とすればよい。そ
の他、考えられる全パターン(相似な関係は除く)に対
する開閉バルブ5−jの開閉状態、送水ポンプ402の
送水方向について、表1に示しておく。
【0066】
【表1】
【0067】また、図7の特性図に示すように、最大水
位差(=最高水位−最低水位)に比例して、送水ポンプ
402の送水量が増加するようにポンプ回転数を決定す
る。
位差(=最高水位−最低水位)に比例して、送水ポンプ
402の送水量が増加するようにポンプ回転数を決定す
る。
【0068】開閉バルブ5−kでは、コンピュータ10
4からの制御信号を受信し、開信号であればバルブを開
けてパイプライン401内への水田水の出入りを可能に
し、閉信号であればバルブを閉じてパイプライン401
内への水田水の出入りを不可能にする。送水ポンプ40
2では、コンピュータ104からの制御信号を受信し、
所定の方向にパイプライン401内の水を送水する。
4からの制御信号を受信し、開信号であればバルブを開
けてパイプライン401内への水田水の出入りを可能に
し、閉信号であればバルブを閉じてパイプライン401
内への水田水の出入りを不可能にする。送水ポンプ40
2では、コンピュータ104からの制御信号を受信し、
所定の方向にパイプライン401内の水を送水する。
【0069】その結果、水位の高い領域の水田水が開閉
バルブAから取り込まれ、送水ポンプ402の助力を得
て、開閉バルブBから水位の低い領域に排水される。即
ち、風下側に吹き寄せられた水田水を風上側に戻すよう
な循環灌漑が可能となり、水面の傾斜を改善できる。
バルブAから取り込まれ、送水ポンプ402の助力を得
て、開閉バルブBから水位の低い領域に排水される。即
ち、風下側に吹き寄せられた水田水を風上側に戻すよう
な循環灌漑が可能となり、水面の傾斜を改善できる。
【0070】この場合、開閉バルブ5−jの開閉、送水
ポンプ402の運転のための電力は、風力発電機406
によって発電された電力によって賄われる。但し、風速
の変動が激しいときでも電力を安定供給するために、風
動時の風力発電機106によって発電された電力は、一
旦蓄電池407に蓄電され、必要に応じて電力供給路4
08を介して、開閉バルブ5−j、送水ポンプ402に
供給される。勿論、上記風力発電機406、及び蓄電池
407は、第1の実施形態で記述した風力発電機106
及び蓄電池107で代用しても構わない。
ポンプ402の運転のための電力は、風力発電機406
によって発電された電力によって賄われる。但し、風速
の変動が激しいときでも電力を安定供給するために、風
動時の風力発電機106によって発電された電力は、一
旦蓄電池407に蓄電され、必要に応じて電力供給路4
08を介して、開閉バルブ5−j、送水ポンプ402に
供給される。勿論、上記風力発電機406、及び蓄電池
407は、第1の実施形態で記述した風力発電機106
及び蓄電池107で代用しても構わない。
【0071】本実施形態の水管理システムのメリット
は、単に風下側の水田水を風上側に輸送するのみなら
ず、水田水を輸送するための送水ポンプ402の電源電
力を、水面傾斜の原因である風から得ている点にある。
更に、風のパワー(風速)に比例して、送水ポンプへの
電力供給も増加し、送水量も増加するため、非常に合理
的な送水ポンプの運転が可能となる。例えば、風速が大
きいときは、水面の傾斜は大きくなるが、それに応じて
送水ポンプも十分なパワーを得、より多量の水を輸送す
ることができる。風速が小さいときは、送水ポンプの得
るパワーは小さくなるが、逆に水面の傾斜は小さいため
多量の水を輸送する必要がない。
は、単に風下側の水田水を風上側に輸送するのみなら
ず、水田水を輸送するための送水ポンプ402の電源電
力を、水面傾斜の原因である風から得ている点にある。
更に、風のパワー(風速)に比例して、送水ポンプへの
電力供給も増加し、送水量も増加するため、非常に合理
的な送水ポンプの運転が可能となる。例えば、風速が大
きいときは、水面の傾斜は大きくなるが、それに応じて
送水ポンプも十分なパワーを得、より多量の水を輸送す
ることができる。風速が小さいときは、送水ポンプの得
るパワーは小さくなるが、逆に水面の傾斜は小さいため
多量の水を輸送する必要がない。
【0072】このように、本実施形態によれば、風の影
響により発生する水田水の偏りに対して、自然界の物理
現象を利用して、水田に影響を及ぼす風の強さに応じて
上記偏りを軽減することができる。
響により発生する水田水の偏りに対して、自然界の物理
現象を利用して、水田に影響を及ぼす風の強さに応じて
上記偏りを軽減することができる。
【0073】図5および図6においては、1つの水田内
でのパイプラインの設置方法について示したが、大区画
水田の場合、図8の実施形態に示すように、個々の水田
同士を結ぶ連絡パイプラインを設けて水田同士で水を融
通し合うように構成することができる。
でのパイプラインの設置方法について示したが、大区画
水田の場合、図8の実施形態に示すように、個々の水田
同士を結ぶ連絡パイプラインを設けて水田同士で水を融
通し合うように構成することができる。
【0074】図8において、水田4−j(j=1〜9)
の内周水中内には、水輸送パイプライン801がループ
上に埋設されており、このパイプライン801内を水田
水が自由に行き来できるようになっている。パイプライ
ン801には等間隔に開閉バルブ8−k(k=1〜2
0)が設置されており、開閉バルブ8−kが開いている
とき、水田水がパイプライン801内に自由に出入りで
きるようになっている。
の内周水中内には、水輸送パイプライン801がループ
上に埋設されており、このパイプライン801内を水田
水が自由に行き来できるようになっている。パイプライ
ン801には等間隔に開閉バルブ8−k(k=1〜2
0)が設置されており、開閉バルブ8−kが開いている
とき、水田水がパイプライン801内に自由に出入りで
きるようになっている。
【0075】また、パイプライン801には送水ポンプ
402が設置されており、パイプライン801内の水を
順方向又は逆方向に輸送できるようになっている。
402が設置されており、パイプライン801内の水を
順方向又は逆方向に輸送できるようになっている。
【0076】また、水田4−j(j=1〜9)には、隣
合う水田との間に水融通配管10−i(i=1〜12)
が設置されており、これらの水融通配管10−iの両端
に設けたバルブ9−m(m=1〜16)を開くことによ
り、水位の高い側の水田から水位の低い側の水田に水を
融通し合えるようになっている。
合う水田との間に水融通配管10−i(i=1〜12)
が設置されており、これらの水融通配管10−iの両端
に設けたバルブ9−m(m=1〜16)を開くことによ
り、水位の高い側の水田から水位の低い側の水田に水を
融通し合えるようになっている。
【0077】この実施形態では、水輸送パイプライン8
01の所定のバルブ8−kを開き、風力発電機406の
発電電力を利用して送水ポンプ402を作動させ、風下
側の水田の水を風上側に輸送し、大区画水田全体で水位
が一様になるように制御すると共に、隣合う水田同士で
も水融通配管10−iのバルブ9−mを開くことによっ
て風上側から風下側に水が移動するのを促進させる。
01の所定のバルブ8−kを開き、風力発電機406の
発電電力を利用して送水ポンプ402を作動させ、風下
側の水田の水を風上側に輸送し、大区画水田全体で水位
が一様になるように制御すると共に、隣合う水田同士で
も水融通配管10−iのバルブ9−mを開くことによっ
て風上側から風下側に水が移動するのを促進させる。
【0078】この実施形態によれば、水融通配管10−
iによって隣合う水田同士でも風上側から風下側に水を
移動させるため、水輸送パイプライン801のみで水位
を調整する場合に比べて水輸送パイプライン801の負
荷が軽くなり、送水ポンプ402として送水能力の小さ
なものを使用することができ、結果的に発電能力の小さ
な風力発電機を使用することができる。
iによって隣合う水田同士でも風上側から風下側に水を
移動させるため、水輸送パイプライン801のみで水位
を調整する場合に比べて水輸送パイプライン801の負
荷が軽くなり、送水ポンプ402として送水能力の小さ
なものを使用することができ、結果的に発電能力の小さ
な風力発電機を使用することができる。
【0079】また、図6のように1つの水田単位に風力
発電機や水輸送パイプラインを設置する場合に比べ、風
力発電機や水輸送パイプラインを複数区画の水田で共用
することにより、設備コストを低下させることができ
る。
発電機や水輸送パイプラインを設置する場合に比べ、風
力発電機や水輸送パイプラインを複数区画の水田で共用
することにより、設備コストを低下させることができ
る。
【0080】特に、水田相互間で水を融通し合いことに
より、肥料濃度などの水質や水温等の均質化を促進する
こともできるため、稲の成育や収穫量のバラツキが少な
くなり、どの水田でも一様な品質と量の収穫を期待する
ことができ、品質管理および収穫量予測が容易になると
いう効果がある。
より、肥料濃度などの水質や水温等の均質化を促進する
こともできるため、稲の成育や収穫量のバラツキが少な
くなり、どの水田でも一様な品質と量の収穫を期待する
ことができ、品質管理および収穫量予測が容易になると
いう効果がある。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、水
田水位に影響を及ぼす風の特性(風向、風速)を考慮
し、風の特性値及び水位計測値から、水田形状に依存す
ることなく水田の水位分布を推定し、その水位分布より
対応する水田の水位特性を表す物理量(最高水位、最低
水位、平均水位)を推定し、その物理量が目標水位の許
容範囲内に収まるように、各水田に設置した給排水バル
ブの操作を行うようにしているため、1区画の水田につ
き1個の水位計のみで各水田の水位を適切に管理するこ
とができるうえ、水田の形状に応じて水位計の設置場所
を異ならせるなどの面倒な作業から解放され、水田形状
に依存しない汎用性の高いをシステムを構築することが
できる。
田水位に影響を及ぼす風の特性(風向、風速)を考慮
し、風の特性値及び水位計測値から、水田形状に依存す
ることなく水田の水位分布を推定し、その水位分布より
対応する水田の水位特性を表す物理量(最高水位、最低
水位、平均水位)を推定し、その物理量が目標水位の許
容範囲内に収まるように、各水田に設置した給排水バル
ブの操作を行うようにしているため、1区画の水田につ
き1個の水位計のみで各水田の水位を適切に管理するこ
とができるうえ、水田の形状に応じて水位計の設置場所
を異ならせるなどの面倒な作業から解放され、水田形状
に依存しない汎用性の高いをシステムを構築することが
できる。
【0082】また、カルマンフィルタ理論によって、各
水田の平均水位を推定しているが、カルマンフィルタ理
論では平均水位推定モデルのパラメータもリアルタイム
に推定できるため、推定モデルを他の水田に適用するた
びにパラメータ同定を行う必要がなく、この点でも極め
て汎用性の高いシステムを構築することができる。
水田の平均水位を推定しているが、カルマンフィルタ理
論では平均水位推定モデルのパラメータもリアルタイム
に推定できるため、推定モデルを他の水田に適用するた
びにパラメータ同定を行う必要がなく、この点でも極め
て汎用性の高いシステムを構築することができる。
【0083】さらに、水田地域内に存在する自然界の物
理現象である風を利用して、給排水バルブの電源電力を
供給するようにしているため、低コストで水田の水位を
目標水位に制御することができる。
理現象である風を利用して、給排水バルブの電源電力を
供給するようにしているため、低コストで水田の水位を
目標水位に制御することができる。
【0084】さらに、風の影響により発生する水田水の
偏りに対して、その偏りが発生している際は必ず風が吹
いているという物理現象を利用して発電を行い、、その
発電力に応じて(風速に応じて)風下側の水田水を風上
側に強制輸送することにより、上記偏りを軽減すること
ができる。
偏りに対して、その偏りが発生している際は必ず風が吹
いているという物理現象を利用して発電を行い、、その
発電力に応じて(風速に応じて)風下側の水田水を風上
側に強制輸送することにより、上記偏りを軽減すること
ができる。
【図1】本発明を適用した水管理システムの発明の第1
の実施形態を示すシステム構成図である。
の実施形態を示すシステム構成図である。
【図2】1つの水田における水位分布の算出方法を示す
説明図である。
説明図である。
【図3】1つの水田における水位分布の算出方法を示す
説明図である。
説明図である。
【図4】コンピュータが実行する水位制御処理の概要を
示すフローチャートである。
示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態を示すシステム構成図
である。
である。
【図6】開閉バルブ操作方法の説明図である。
【図7】送水ポンプ回転数の決定方法の例を示す特性図
である。
である。
【図8】隣合う水田同士で水を融通し合う配管を設けた
第3の実施形態を示す構成図である。
第3の実施形態を示す構成図である。
1−j…水位計、2−j…給水バルブ、3−j…排水バ
ルブ、4−j…水田、5−k…開閉バルブ、10−i…
水融通配管、105…データ伝送路、104…コンピュ
ータ、106,406…風力発電機、107,407…
蓄電池、401…水輸送パイプライン、402…送水ポ
ンプ。
ルブ、4−j…水田、5−k…開閉バルブ、10−i…
水融通配管、105…データ伝送路、104…コンピュ
ータ、106,406…風力発電機、107,407…
蓄電池、401…水輸送パイプライン、402…送水ポ
ンプ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉原 郁夫 神奈川県川崎市麻生区王禅寺1099番地 株 式会社日立製作所システム開発研究所内 (72)発明者 阿部 敏文 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株 式会社日立製作所大みか工場内 (72)発明者 大内 信秀 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株 式会社日立製作所大みか工場内 (72)発明者 棟方 研 埼玉県大宮市日進町1丁目40番地2 生物 系特定産業技術研究推進機構内
Claims (10)
- 【請求項1】 1区画または複数区画から成る水田地域
に対して1つ又は複数の風向・風速計を設置すると共
に、各区画の水田に対して水位計をそれぞれ設置し、前
記風向・風速計による水田地域の風向・風速計測値およ
び前記水位計による各区画の水田の計測水位に基づき、
所定の水位分布算出アルゴリズムに従って各水田の水位
分布を算出し、その水位分布より対応する水田の水位特
性を表す物理量を推定し、この物理量が所定の目標水位
の許容範囲に収まるように、各水田に設置された給排水
バルブの操作を行い、各水田の水位を目標水位の許容範
囲内に制御することを特徴とする水田の水管理方法。 - 【請求項2】 前記風向・風速計を風力発電機付きの風
向・風速計で構成したうえ、その風力発電電力を蓄電す
る蓄電池を設置し、この蓄電池の蓄電電力を使用して前
記給排水バルブの操作を行うことを特徴とする請求項1
記載の水田の水管理方法。 - 【請求項3】 前記水位分布算出アルゴリズムは、予め
定式化しておいた各水田の水面傾斜と風向・風速との関
係式に含まれる未知パラメータをオンラインで自己同定
しつつ、前記風向・風速計による風向・風速計測値から
各水田の水面傾斜を算出し、その水面傾斜から各水田の
水位分布を算出することを特徴とする請求項2または3
記載の水田の水管理方法。 - 【請求項4】 予め定式化しておいた各水田の水面傾斜
と風向・風速の関係式から、前記未知パラメータ及び所
定の物理量を状態変量としてカルマンフィルタ理論にお
けるシステム方程式及び観測方程式を導出しておき、カ
ルマンフィルタ理論に基づいて前記システム方程式及び
観測方程式を解くことにより、前記未知パラメータを自
己同定しつつ、各水田の水面傾斜を算出することを特徴
とする請求項3記載の水田の水管理方法。 - 【請求項5】 前記各水田の水位特性を表す物理量は、
水田内での平均水位、最低水位、最高水位のいずれかで
あることを特徴とする請求項1ないし4記載のいずれか
の水田の水管理方法。 - 【請求項6】 1区画または複数区画の水田地域に対し
て1つ又は複数の風力発電機付き風向・風速計を設置す
ると共に、各水田内の水を該水田内の所定の場所から該
水田内の別の所定の場所に輸送するためのポンプ等の水
輸送装置を有するパイプラインを各水田内に設置し、水
田水面に傾斜が付いている場合は、前記風力発電機付き
風向・風速計の風力発電電力を用い、かつ計測された風
向・風速に応じて前記水輸送装置を操作し、水位が高い
エリアの水を水位が低いエリアに輸送することを特徴と
する水田の水管理方法。 - 【請求項7】 前記パイプラインに対して水田水を取り
込み吐き出し可能とする複数の開閉バルブを設けてお
き、水位の高いエリアに近い開閉バルブ及び水位の低い
エリアに近い開閉バルブのみを開状態にした状態で、前
記水輸送装置を操作し、水位が高いエリアの水を水位が
低いエリアに輸送することを特徴とする請求項6記載の
水田の水管理方法。 - 【請求項8】 1区画または複数区画から成る水田地域
に対して1つ又は複数の風向・風速計を設置すると共
に、各区画の水田に対して水位計をそれぞれ設置し、さ
らに各水田内の水を該水田内の所定の場所から該水田内
の別の所定の場所に輸送するためのポンプ等の水輸送装
置を有するパイプラインを各水田内に設置し、前記風向
・風速計による水田地域の風向・風速計測値および前記
水位計による各区画の水田の計測水位に基づき、所定の
水位分布算出アルゴリズムに従って各水田の水位分布を
算出し、その水位分布より対応する水田の水位特性を表
す物理量を推定し、この物理量が所定の目標水位の許容
範囲に収まるように、各水田に設置された給排水バルブ
の操作を行い、各水田の水位を目標水位の許容範囲内に
制御すると共に、前記水位分布に基づき水田水面の傾斜
を判断し、水田水面に傾斜が付いている場合は、前記風
力発電機付き風向・風速計の風力発電電力を用い、かつ
計測された風向・風速に応じて前記水輸送装置を操作
し、水位が高いエリアの水を水位が低いエリアに輸送す
ることを特徴とする水田の水管理方法。 - 【請求項9】 1区画または複数区画から成る水田地域
に対して設置された1つ又は複数の風向・風速計と、各
区画の水田に対して設置された水位計および給排水バル
ブと、前記風向・風速計による水田地域の風向・風速計
測値および前記水位計による各区画の水田の計測水位に
基づき、所定の水位分布算出アルゴリズムに従って各水
田の水位分布を算出し、その水位分布より対応する水田
の水位特性を表す物理量を推定し、この物理量が所定の
目標水位の許容範囲に収まるように、各水田に設置され
た前記給排水バルブの操作を行い、各水田の水位を目標
水位の許容範囲内に制御することを特徴とする水田の水
管理システム。 - 【請求項10】 前記風向・風速計を風力発電機付きの
風向・風速計で構成したうえ、その風力発電電力を蓄電
する蓄電池を設置し、この蓄電池の蓄電電力を使用して
前記給排水バルブの操作を行うことを特徴とする請求項
9記載の水田の水管理システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9358794A JPH11187776A (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | 水田の水管理方法および水管理システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9358794A JPH11187776A (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | 水田の水管理方法および水管理システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11187776A true JPH11187776A (ja) | 1999-07-13 |
Family
ID=18461149
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9358794A Pending JPH11187776A (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | 水田の水管理方法および水管理システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11187776A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002176855A (ja) * | 2000-12-12 | 2002-06-25 | Esutekku:Kk | 遠隔地農業支援システム |
JP2006288364A (ja) * | 2005-04-08 | 2006-10-26 | Takahito Kawamoto | 環境にやさしい自然エネルギーを利用し、バッテリーの低圧(DC12v)電源を充電しながら使用し、三相インバータ(タイマーやリモコン等を備えた)で駆動する低圧(DC12v)ブラシレス三相電動機付きポンプの移動用散水システム。 |
JP2016220681A (ja) * | 2015-05-29 | 2016-12-28 | 株式会社笑農和 | 水位管理システム |
JP2017109851A (ja) * | 2015-12-17 | 2017-06-22 | Jfeスチール株式会社 | 原料ヤードの発じん防止方法 |
JP2020166867A (ja) * | 2020-05-12 | 2020-10-08 | 積水化学工業株式会社 | 用水管理装置 |
JP2020190991A (ja) * | 2019-05-23 | 2020-11-26 | ネポン株式会社 | 情報処理装置、判定方法、判定プログラム、および判定システム |
JP2022036244A (ja) * | 2020-05-12 | 2022-03-04 | 積水化学工業株式会社 | 用水管理装置 |
-
1997
- 1997-12-26 JP JP9358794A patent/JPH11187776A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002176855A (ja) * | 2000-12-12 | 2002-06-25 | Esutekku:Kk | 遠隔地農業支援システム |
JP2006288364A (ja) * | 2005-04-08 | 2006-10-26 | Takahito Kawamoto | 環境にやさしい自然エネルギーを利用し、バッテリーの低圧(DC12v)電源を充電しながら使用し、三相インバータ(タイマーやリモコン等を備えた)で駆動する低圧(DC12v)ブラシレス三相電動機付きポンプの移動用散水システム。 |
JP4587071B2 (ja) * | 2005-04-08 | 2010-11-24 | 孝人 河本 | 環境にやさしい自然エネルギーを利用し、バッテリーの低圧(DC12v)電源を充電しながら使用し、三相インバータ(タイマーやリモコン等を備えた)で駆動する低圧(DC12v)ブラシレス三相電動機付きポンプの移動用散水システム。 |
JP2016220681A (ja) * | 2015-05-29 | 2016-12-28 | 株式会社笑農和 | 水位管理システム |
JP2017109851A (ja) * | 2015-12-17 | 2017-06-22 | Jfeスチール株式会社 | 原料ヤードの発じん防止方法 |
JP2020190991A (ja) * | 2019-05-23 | 2020-11-26 | ネポン株式会社 | 情報処理装置、判定方法、判定プログラム、および判定システム |
JP2020166867A (ja) * | 2020-05-12 | 2020-10-08 | 積水化学工業株式会社 | 用水管理装置 |
JP2022036244A (ja) * | 2020-05-12 | 2022-03-04 | 積水化学工業株式会社 | 用水管理装置 |
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