JPH11183877A - 電気光学装置 - Google Patents

電気光学装置

Info

Publication number
JPH11183877A
JPH11183877A JP35730497A JP35730497A JPH11183877A JP H11183877 A JPH11183877 A JP H11183877A JP 35730497 A JP35730497 A JP 35730497A JP 35730497 A JP35730497 A JP 35730497A JP H11183877 A JPH11183877 A JP H11183877A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electro
information
liquid crystal
signal
optical device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP35730497A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazunori Katakura
一典 片倉
Kiyoshi Miura
聖志 三浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP35730497A priority Critical patent/JPH11183877A/ja
Publication of JPH11183877A publication Critical patent/JPH11183877A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水平走査期間を一定としても、通常の使用温
度条件下で、良好な表示が出来るようにする。 【解決手段】 水平走査期間を一定とし、走査選択信号
(Vs)のパルス幅(τ)を温度に応じて変化させる。
更には、その情報信号の電圧波高値(V3,V4)をも温
度に応じて変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示装置等に用い
られる温度補償回路を備えた電気光学装置に関するもの
であり、特にカイラルスメクチック相を呈する相転移系
列を示すカイラルスメクチック液晶を用いた電気光学装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】旧来、電気光学素子として例えば、ネマ
ティック液晶を用いたTN型およびSTN型の液晶表示
素子が知られている。しかしこれらの液晶表示素子は、
電気光学効果の応答速度がミリ秒オーダと遅いため、高
速駆動を行おうとすると、画面に乱れが生じたり、コン
トラストが低下したりするという欠点があり、表示可能
な容量に限界があった。そこで、近年、次世代の液晶表
示素子として、強誘電性あるいは反強誘電性液晶を用い
た液晶表示素子の実用化が検討されている。
【0003】1975年に、R.B.Meyerらは分
子の対称性の議論から、光学活性な分子が分子長軸に対
して垂直な方向に双極子モーメントを持っていればカイ
ラルスメクティックC相(SmC*相)で強誘電性を示
すことを予想し、DOBAMBC(2−methylb
utyl p−〔p−(decyloxybenzyl
idene)−amino〕−cinnamate)を
合成し、液晶において初めて強誘電性を確認することに
成功した(R.B.Meyer,L.Liebert,
L.Strzelecki and P.Kelle
r:J.Phys.(Paris)36(1975)L
69.参照)。
【0004】ここで、強誘電性を示すSmC*相の構造
について説明する。SmC*相では、層内における液晶
分子の重心位置は無秩序であるが、図33(a)中にコ
ーン101として模式的に示すように、液晶分子の長軸
(ダイレクタ102)は、スメクティック相を区切る層
面103の法線である層法線zに対して一定の角度θだ
け傾いている。なお、ダイレクタ102の傾く方向は層
から層へ僅かずつずれ、この結果、液晶分子の配向は螺
旋構造をなしている。螺旋のピッチ(ヘリカルピッチ)
は1μm程度であり、約1nmの層間隔よりはるかに大
きい。
【0005】このような分子配列をもつ相は、強誘電性
液晶だけでなく、反強誘電性液晶においても確認されて
いる(A.D.L.Chandani,T.Hagiw
ara,Y.Suzuki,Y.Ouchi,H.Ta
kezoe and A.Fukuda:Jpn.J.
Appl.Phys.27(1988)L729.参
照)。反強誘電性液晶の中にも、光学純度を変化させる
とSmC*相が出現したり、また、MHPOBC(4−
(1−methylheptyloxycarbony
l)phenyl4’−octyloxybiphen
yl1−4−carboxylate)のように、光学
純度100%のR体やS体の場合でもSmC*相が出現
するものも存在する。
【0006】ClarkとLagerwallは、セル
厚が1μm程度(螺旋のピッチと同程度)以下になる
と、この螺旋構造が消滅し、図33(b)に示すよう
に、各層の分子104が印加される電界に応じて双安定
状態のいずれかをとることを発見し、表面安定化型強誘
電性液晶表示素子(SSFLC:surface st
abilized ferroelectric li
quid crystal)を提案した。これは、特開
昭56−107216号公報、および米国特許第436
7924号明細書等に開示されている。なお、図33
(b)では、分子104に印加されている電界の向き
は、紙面に対して垂直かつ紙面裏側から表側へ向かう方
向である。そして、分子104の電気双極子モーメント
は、同図(b)において各分子内に示すように、印加電
界の向きにすべて揃う。
【0007】図34を参照しながらその動作原理につい
て説明する。上述したように、薄セルとして形成された
SSFLCの分子104は、同図に示すとおり、印加さ
れる電界の方向に応じて、状態AおよびBの2つの安定
状態のいずれかをとる。なお、同図に示す状態Aでは、
分子104に印加されている電界の向きは、同図の紙面
に対して垂直かつ紙面表側から裏側へ向かっており、状
態Bでは、紙面に対して垂直かつ紙面裏側から表側へ向
かう方向である。
【0008】このため、直交する2枚の偏光子の間に、
例えば状態Bのときの分子長軸が偏光子の一方の方向
(同図中に矢印で示す方向111)と平行になるよう
に、SSFLCセルを配置することにより、状態Aの場
合には光が透過されて明状態となり、状態Bの場合には
光が遮断されて暗状態となる。すなわち、印加電界の方
向を切り替えることによって、白黒の表示を行うことが
可能となる。
【0009】SSFLCでは、自発分極と電場とが直接
相互作用するために、通常のネマティック液晶における
誘電異方性を用いたスイッチングとは異なって、電界に
対してミリ秒より速い数十〜数百マイクロ秒オーダーの
高速応答が可能である。また、SSFLCは、双安定状
態のいずれかに一旦スイッチすると、電界が消滅しても
その状態を保ついわゆるメモリ性を持つことから、常に
電圧を印加する必要はない。
【0010】以上のように、SSFLC型の液晶表示素
子は、高速応答性とメモリ性という特徴を利用すること
により、1走査線ごとに高速で表示内容を書き込んでゆ
くことができ、単純マトリクス駆動で大容量のディスプ
レイを実現することが可能となり、壁掛けテレビへの応
用も期待されている。
【0011】こうした液晶表示素子の駆動方法は、米国
特許第4,655,561号や、米国特許第4,83
6,656号に詳しく開示されている。
【0012】又、こうした液晶表示素子の製造方法又は
液晶の配向技術は、米国特許第4,639,089号や
米国特許第4,778,259号、米国特許第5,18
9,536号に詳しく開示されている。
【0013】そして、上記表示素子に適した液晶材料
は、米国特許第4,681,404号、米国特許第4,
714,323号、米国特許第5,120,466号に
詳しく開示されている。
【0014】また、FLCは、誘電率異方性が正のもの
と負のものとの2種類に分類することができ、誘電率異
方性の正負によって、スイッチング(配向状態の変化)
を生じさせる駆動電圧のパルス幅(τ)とパルス波高値
(V)との関係、すなわちτ−V特性が異なっているこ
とが多い。
【0015】モノパルス印加時の理想的な駆動特性を例
にとると、FLCに印加される駆動パルスのパルス幅と
パルス波高値との組合せが、図35(a)および(b)
に示すしきい値特性曲線(τ−V曲線)よりも上の領域
に属する場合はスイッチングが起こる一方、上記特性曲
線よりも下の領域に属する場合はスイッチングは起こら
ない。例えば、正の誘電率異方性を有するFLCにおい
て、同図(a)に示す一定のパルス幅τ1を持つ駆動パ
ルスが印加されたとすると、この駆動パルスのパルス波
高値が同図(a)に示すVoff(Voff=Vth−Vd)の
場合はスイッチングが起こらず、Von(Von=Vth+V
d)の場合にスイッチングが起こる。
【0016】同図(a)および(b)を比較することか
ら明らかなように、正の誘電率異方性を有するFLCで
は、駆動パルスのパルス波高値が高くなるほどスイッチ
ングに必要なパルス幅は単調に小さくなってゆく。これ
に対して、負の誘電率異方性を有するFLCでは、スイ
ッチングに必要なパルス幅が極小値(τmin)となるパ
ルス波高値(Vmin)が存在するといういわゆるτ−V
min特性を有すると共に、このVminを境として低電圧側
よりも高電圧側におけるグラフの勾配が急峻となる。
【0017】このため、負の誘電率異方性を有するFL
Cにおいては、同図(b)に示す一定のパルス幅τ2
持つ駆動パルスが印加されたとすると、この駆動パルス
のパルス波高値が同図(b)に示すVoff1(Voff1=V
th1−Vd)あるいはVon2(Von2=Vth2+Vd)の場合
はスイッチングが起こらず、Von1(Von1=Vth1
d)あるいはVoff2(Voff2=Vth2+Vd)の場合に
スイッチングが起こる。
【0018】つまり、負の誘電率異方性を有するFLC
は、上記のVoff1およびVon1の関係のように、選択期
間に画素に印加される非書き込み電圧(FLCがスイッ
チングを起こさないパルス波高値)が書き込み電圧(F
LCがスイッチングを起こすパルス波高値)よりも低く
なるような駆動パルスによる低電圧駆動法と、この逆
に、上記のVoff2およびVon2の関係のように、非書き
込み電圧が書き込み電圧よりも高くなるような高電圧駆
動法とによって駆動することができる。
【0019】なお、前記したように、Vminよりも高電
圧側のグラフ勾配が急峻であることから、高電圧駆動法
は、非書き込み電圧に対する応答速度と書き込み電圧に
対する応答速度との差が大きいため、単位パルス幅(ス
ロット時間)の許容範囲を広くとることができるという
利点を有している。
【0020】こうしたVmin,τminを示す液晶材料を用
いた表示装置は、特開平1−214824号、特開平1
−214825号、特開平1−222228号に詳しく
開示されている。
【0021】又、特開平9−127483号には、上記
液晶材料を用いた表示素子の駆動法が記載されている。
この駆動法は比較的広い範囲の温度条件下で良好な表示
特性を示すものの未だ不充分なものである。
【0022】一方、特開平8−101372号には、温
度条件に応じて画素に印加される電圧とパルス幅を、温
度上昇に伴って電圧の変化の割合が大きくなり且つ電圧
波高値が低くなるように制御し、温度の上昇に伴ってパ
ルス幅の変化の割合が小さくなり且つパルス幅が小さく
なるように制御する駆動信号の温度補償方法が記されて
いる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来のカ
イラルスメクチック液晶を用いた電気光学装置では、印
加電圧のパルス幅及び電圧波高値を、温度が数℃変化す
る毎に細かく変更しなければならず、電気光学素子を駆
動する駆動回路の設計や駆動回路を制御する制御回路の
設計を複雑にし、高コスト化の原因となっていた。特に
低温条件下では、一水平走査期間が長くなり過ぎて、低
フレーム周波数によるフリッカ発生という問題も生じて
くる。
【0024】比較的、温度による駆動への影響が少ない
τ−Vmin特性を有する液晶の場合は、米国特許第4,
902,107号に記されているような、AC電圧を、
その周波数を温度に応じて変えながら、印加するという
方法を試みたが、この方法も上記設計の複雑化、高コス
ト化を解決出来る手法とは云い難い。
【0025】更には、温度によってコントラストが変動
するという新たな解決すべき技術課題があった。
【0026】本発明は、駆動回路や制御回路の設計が容
易で低コストで製造出来る電気光学装置を提供すること
にある。
【0027】本発明の別の目的は、温度が変動してもそ
れに応じて発生し得るコントラスト変化を抑制すること
ができる電気光学装置を提供することにある。
【0028】本発明の他の目的は、幅広い範囲の温度条
件下で良好な表示を行い得る電気光学装置を提供するこ
とにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明は、走査電極群と
情報電極群とを有する一対の基板と該基板間に配された
カイラルスメクチック液晶とを有する電気光学素子と、
該走査電極群に走査選択信号を供給する走査電極駆動回
路と、該情報電極群に情報信号を供給する情報電極駆動
回路と、を有する電気光学装置において、該走査選択信
号の供給期間を温度情報に応じて変更するように該走査
電極駆動回路を動作せしめるとともに、該情報信号の電
圧を温度情報に応じて変更するように該情報電極駆動回
路を動作せしめる手段を有することを特徴とする。
【0030】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に用いられる各種
信号波形を示す。ここでは、走査非選択信号の電位を基
準に示している。
【0031】消去信号Seは、一水平走査期間に先立っ
て選択される走査電極上の画素の表示状態を明又は暗に
リセットする為の走査電極に供給される信号である。
【0032】走査選択信号Ssは、選択された走査電極
に供給される波形を示しており、基準電圧からなる前半
部分と電圧波高値Vsとパルス幅τの正のパルスからな
る後半部分からなる。
【0033】走査非選択信号Snは、選択されていない
走査電極に供給される波形を示しており、一水平走査期
間(1H)中基準電圧となっている。
【0034】書き込み用情報信号Iwは、走査選択信号
sと協働して選択された画素に印加される合成波形Vw
を生成する為の信号であり、情報電極に供給される。
【0035】非書き込み用情報信号Inは、走査選択信
号Ssと協働して画素に印加される非書き込み用合成波
形Vnを生成する為の信号であり、情報信号に供給され
る。
【0036】2つの情報信号Iw,Inは表示すべき画像
情報に応じて、互いに排他的に選択されて情報電極に供
給される。例えば、選択された画素を明状態にする場合
には情報信号Iwを用い、暗状態にする場合にはInを用
いる。
【0037】本発明の特徴の1つは、(必要に応じて、
情報信号によって定められる一水平走査期間を一定と
し、)走査選択信号の供給期間を変化させることにあ
る。即ち、図1の例では、正のパルスのパルス幅を変化
させてパルスの立ち下がりタイミングを次の一水平走査
期間(1H2)終了時まで遅くすることが出来るように
なっている。
【0038】この供給期間の長さを、温度に応じて変更
することにより、広い範囲の温度条件下でも良好な表示
を行うことが出来る。
【0039】具体的には、後述するように、温度が比較
的高い条件下では、パルス巾を短くして、パルスの立ち
下がりを水平走査期間1H1の終了と同期させる。
【0040】一方、温度が比較的低い条件下ではパルス
巾を長くして、パルスの立ち下がりが次の水平走査期間
(1H2)の終了と同期させる。
【0041】加えて、本発明のもう1つの特徴点は、情
報信号の電圧(波高値)|Vd|を温度に応じて変化さ
せることである。
【0042】これにより選択されていない走査電極上の
画素(非選択画素)に印加される合成信号の波高値|V
d|が温度に応じて変化する。
【0043】又、同時に書き込み用及び非書き込み用の
合成信号の波高値も温度に応じて変化する。
【0044】図1では走査選択信号Ssの正パルスの幅
を1H1の1.5倍とし且つ次の水平走査期間1H2にお
ける情報信号が前の水平走査期間1Hと反対である場合
の波形を併せて破線で示している。このように走査選択
信号Ssの正パルスが次の水平走査期間1H2に及んでも
クロストークは生じない。
【0045】合成信号Vw,Vnに着目するに、水平走査
期間の前半のパルスが正であるか負であるか及びそれに
続く後半のパルス波高値が小さいか大きいかの組み合わ
せによって、液晶の反転(スイッチング)と非反転(非
スイッチング)を選択できる。本発明においては前半と
後半の比は同図のように1対1とすること以外に1対2
や1対3であってもよい。
【0046】これは、用いる液晶がτ−Vmin特性を有
するからである。
【0047】(駆動波形によるスイッチング制御)図2
は、負の誘電率異方性を示す液晶材料の駆動特性曲線の
一例である。
【0048】CH0は、一対の電極間に負の誘電率異方
性を示す液晶を配し、その電極間に図1の走査選択信号
sと同じ単純な矩形の電圧パルスを印加した時のしき
い値を示す特性曲線であり、CH1は図1の書き込み用
合成信号Vwと同じ信号を印加した時のしきい値を示す
特性曲線、CH2は図1の非書き込み合成信号Vnと同
じ信号を印加した時のしきい値を示す特性曲線である。
いずれもパルス幅τがある電圧波高値Vsにおいて極小
値(最小値)をとる為、このような特性をτ−Vmin
性という。それぞれの特性曲線CH0,CH1,CH2
より上方となる領域にあたるパルス幅と電圧の信号を与
えると、液晶はスイッチングを生じ、下方となる領域に
あたるパルス幅と電圧の信号を与えると液晶はスイッチ
ングしない。
【0049】つまり、印加する信号の波形を変えること
で、しきい値を満足するパルス幅と電圧の値が変化する
ことを示している。
【0050】例えば点PAに相当するパルス幅と電圧と
を有する波形Vwを与えた場合には、特性曲線CH1の
上方領域に点PAが存在する為、液晶はスイッチングす
る。
【0051】しかしながら、波形Vnの場合には、点P
Aを満たすパルス幅及び電圧の信号を与えても液晶はス
イッチングしない。なぜなら点PAは特性曲線CH2の
下方領域にある為である。
【0052】従って、ある画素の光学状態を定めるべ
く、画素の液晶をスイッチングさせる時に、特性曲線C
H1を示す信号を用い、スイッチングさせない時に特性
曲線CH2を示す信号を用い、更に図2中のハッチング
で示した領域の中から各信号のパルス幅と電圧を選ぶこ
とにより、液晶のスイッチングを制御することが出来
る。
【0053】一方、図3は、正の誘電率異方性を示す液
晶材料の駆動特性曲線の一例である。
【0054】CH0’は、一対の電極間に正の誘電率異
方性を示す液晶を配し、その電極間に図1の走査選択信
号Ssと同じ単純な矩形の電圧パルスを印加した時のし
きい値を示す特性曲線であり、CH1’は図1の書き込
み用合成信号Vwと同じ信号を印加した時のしきい値を
示す特性曲線、CH2’は図1の非書き込み合成信号V
nと同じ信号を印加した時のしきい値を示す特性曲線で
ある。それぞれの特性曲線CH0’,CH1’,CH
2’より右上方となる領域にあたるパルス幅と電圧の信
号を与えると、液晶はスイッチングを生じ、左下方とな
る領域にあたるパルス幅と電圧の信号を与えると液晶は
スイッチングしない。
【0055】つまり、印加する信号の波形を変えること
で、しきい値を満足するパルス幅と電圧の値が変化する
ことを示している。
【0056】例えば点PBに相当するパルス幅と電圧と
を有する波形Vwを与えた場合には、特性曲線CH1’
の左下方領域に点PBが存在する為、液晶はスイッチン
グしない。
【0057】しかしながら、波形Vnの場合には、点P
Bを満たすパルス幅及び電圧の信号を与えると液晶はス
イッチングを生じる。なぜなら点PBは特性曲線CH
2’の右上方領域にある為である。
【0058】従って、ある画素の液晶をスイッチングさ
せる時に、特性曲線CH2’を示す信号を用い、スイッ
チングさせない時に特性曲線CH1’を示す信号を用い
れば、図3中のハッチングで示した領域の中から各信号
のパルス幅と電圧を選ぶことが出来る。
【0059】信号波形Vw,Vnのパルス幅及び電圧を定
める場合、図2の特性であれば、電圧V11を選んだ時、
パルス幅はτ11〜τ12の広い範囲から選ぶことが出来
る。
【0060】一方、図3の特性の場合には、電圧V11
選んだ時のパルス幅の選択可能範囲はτ13〜τ14の狭い
範囲となる。
【0061】つまり、画素を画像情報に応じてスイッチ
ング又は非スイッチングさせ得る駆動条件の選択範囲
(マージン)は図2の特性を示す液晶の方が大きいこと
になる。
【0062】このように、図2の特性は印加電圧波形依
存性を顕著に示すので、本発明に好適に用いられる。
【0063】(走査選択信号のパルス幅変調による温度
補償)前述したマージンは温度によって変化する為に、
まず走査選択信号の正パルスのパルス幅を温度に応じて
変調しなければならない。
【0064】図4は、本発明に用いられる電気光学素子
としての液晶素子の一画素部を拡大して示している。
【0065】1a,1bはガラス等の透明基板、2a,
2bはITO等の透明導電膜、3a,3bはマージンを
広げる為に必要に応じて設けられる絶縁膜、4a,4b
は配向膜であり、好ましくは、カイラルスメクチック液
晶がU2ユニフォーム配向したシェブロン層構造が得ら
れるように上下の配向膜4a,4bをほぼ同一方向にラ
ビングされたものを用いるとよい。
【0066】5は強誘電性を示すカイラルスメクチック
液晶である。
【0067】不図示ではあるが、図4の素子に偏光素子
を組み合わせることにより、液晶分子の配向状態(安定
状態)に応じて光を透過又は遮断できる。
【0068】カイラルスメクチック液晶のシェブロン層
構造にはC1ユニフォーム配向状態とC2ユニフォーム
配向状態の2つがある。
【0069】ユニフォーム状態においては、その光学的
性質からみてダイレクタが上下基板間でねじれていない
と考えられる。図5の(A)はC1配向の各状態におけ
る基板間の各位置でのダイレクタの配置を示す摸式図で
ある。図中、51〜54は各状態においてダイレクタを
コーンの底面に投影し、これを底面方向から見た様子を
示しており、51および52がスプレイ状態、53およ
び54がユニフォーム状態と考えられるダイレクタの配
置である。同図から分かるとおり、ユニフォームの2状
態53と54においては、上下いずれかの基板界面の液
晶分子の位置がスプレイ状態の位置と入れ替わってい
る。図5の(B)は、C2配向を示しており、55,5
6は界面のスイッチングはなく、内部のスイッチングで
2状態があるC2スプレイ状態である。C2配向につい
ては米国特許第4,932,758号、第5,200,
848号に詳しく記されている。
【0070】本発明においては、このようなC2配向の
中でも特にIDW97,PP.269−272に記され
ているようにC2ユニフォーム状態57,58を用いる
ことが好ましい。
【0071】図6は、本発明の電気光学装置を示してお
り、図4に示したような断面構造の画素を有する単純マ
トリクス型の液晶素子10を有している。
【0072】液晶素子10は、その走査電極群11に接
続された走査電極駆動回路13と、その情報電極群12
に接続された情報電極駆動回路14によって駆動され
る。
【0073】駆動電圧発生回路15は、液晶素子10の
各電極に印加される電圧を生成する為の所定の電位の電
圧を発生し、駆動回路13,14に供給する。
【0074】16は制御回路であり、各駆動回路13,
14の内部にあるスイッチをオン/オフさせる為の信号
を供給する。
【0075】又、制御回路16は駆動電圧発生回路15
が発生する電圧レベルを変更する為の信号を該回路15
に供給する。
【0076】更に、液晶素子10に接して、又はその近
くに配置された温度センサー17或いは液晶素子10に
一体的に設けられた温度センサからの温度情報に応じ
て、制御回路は回路15の出力電圧レベルや駆動回路1
3,14内のスイッチのオン/オフのタイミングを制御
して図1に示したような波形を駆動回路13,14が出
力するように、駆動回路13,14及び回路15の動作
を制御する。こうして、液晶素子10はマルチプレキシ
ング駆動(マトリクス駆動)がなされて、各画素は走査
電極毎にノンインターレース走査される。
【0077】図7は本発明の走査電極駆動回路を、図8
はその動作タイミングチャートを示す図であり、説明を
容易にする為に2つの出力端子に係る部分のみ示してい
る。
【0078】論理回路LG1,LG2は電源電圧Vcc
より電力を供給されて動作し、クロックCLK、スター
トパルスSTP、温度補償コントロール信号TCNTに
よりコントロールされる。
【0079】スタートパルスSTPが入力され温度補償
コントロール信号TCNT1としてハイレベルのパルス
が供給されると回路LG1は端子φ1 よりハイレベルの
パルスを出力する。スイッチSW11がオンして消去信号
となる電圧Veが出力端子S1より一本目の走査電極に
供給される。この時、NORゲートNOR1の出力はロ
ーとなりスイッチSW1 はオフする。又、論理回路LG
2の端子φ2の出力及び論理回路LG2の端子φ11,φ
12の出力はいずれもローレベルの為、スイッチSW12
SW21,SW22もオフである。
【0080】次にコントロール信号TCNT1が再びハ
イレベルとなり端子φ2 の出力がハイレベルになり、ス
イッチSW12がオンし、消去信号となる電圧Veが出力
端子S2より二本目の走査電極に供給される。端子φ1
の出力がローレベルになると、NORゲートNOR1の
出力はハイレベルになりスイッチSW1 がオンして、出
力端子S1には走査非選択信号となる電圧Vcが供給さ
れる。
【0081】次に端子φ2 の出力がローレベルになると
NORゲートNOR2の出力はハイレベルになり、スイ
ッチSW2 がオンして、出力端子S2から走査非選択信
号となる電圧Vcが供給される。
【0082】こうして、消去電圧Veを供給してから所
定期間経過後、論理回路LG2の端子φ11よりハイレベ
ルのパルスが出力されスイッチSW21がオンして電圧V
sの走査選択信号が出力端子S1より出力され、一本目
の走査電極に供給される。この時NORゲートNOR1
の出力はローレベルの為スイッチSW1 はオフになる。
又、端子φ1の出力もローレベルのままであるので、ス
イッチSW11もオフのままである。
【0083】同様に端子φ12よりハイレベルのパルスが
出力され、スイッチSW22がオンして二本目の走査電極
に電圧Vsが供給される。電圧Vsの供給期間は温度補
償コントロール信号TCNT2のパルスタイミングによ
り制御される。
【0084】非選択期間はスイッチSW1 ,SW2 のみ
オンしているので、走査電極は電圧Vcレベルに保持さ
れる。
【0085】図8はクロックCLK、温度補償コントロ
ール信号TCNT1、TCNT2,端子φ1 ,φ2 ,φ
11,φ12の出力とゲートNOR1,NOR2の出力のタ
イミングを示している。TCNT1にハイレベルのパル
スが供給されるタイミングで端子φ1 ,φ2 の出力が立
ち上がるタイミングと、端子φ11,φ12の出力パルスが
立ち上がるタイミングが決まる。TCNT2へのハイレ
ベルパルスの供給タイミングで端子φ11,φ12の出力パ
ルスの立ち下がりタイミングが決まる。
【0086】こうして、パルス巾が図中矢印のように温
度に応じて変調されて温度補償が出来る。
【0087】以上詳細したとおり本発明において、温度
センサ17からの情報に応じて入力されるコントロール
信号TCNT1,2に従って、スイッチSW11,S
12,SW21,SW22がそれぞれオンする期間(オン期
間)が制御される。
【0088】図9は本発明に用いられる電圧変調用の温
度補償回路である。
【0089】サーミスターのような温度センサ17から
の温度情報はアナログデジタルコンバーター17aでデ
ジタルデータに変換されて制御回路16に送られる。
【0090】制御回路16内では、デジタル化された温
度情報をROM内に格納されている温度補償テーブルの
値と比較し、対応する電圧データをデジタル値で出力す
る。
【0091】駆動電圧発生回路15内のデジタルアナロ
グコンバータ15aが温度情報に基づいて決められたデ
ジタル電圧データを電圧変調されたアナログ電圧データ
に変換する。
【0092】駆動電圧発生回路15内の比較器15b
は、アナログ電圧データと基準電圧Vpwを入力し、そ
の差分を増幅し、情報信号Iw,Inの電圧波高値を定め
る。こうして得られた液晶素子駆動用の基準電圧はバッ
ファアンプ15Cを介して走査電極駆動回路に出力され
る。
【0093】本発明においては、温度センサ17からの
出力に従って、論理回路の出力端子に出力されるハイレ
ベルのパルスのパルス幅を変えることによりスイッチが
それぞれオンする期間(オン期間)が制御される。例え
ば、高温では、端子φ11,φ12からオーバーラップしな
いハイレベルのパルスが時系列的に順次出力され、低温
ではオーバーラップするハイレベルのパルスが順次出力
される。
【0094】従来の温度補償法では、幅広い可変幅の電
圧に対応する為にスイッチにスイッチング動作範囲の広
いCMOSトランスミッションゲートを用いていたが、
本発明によれば、可変幅を数ボルト又は0ボルトに狭く
できるので、単極性のユニポーラトランジスタのみでス
イッチを構成することも可能となる。
【0095】図10は、本発明に用いられる温度により
変調される駆動波形を示している。電位関係は、V1>
V3>VC>V4>V2であり、|V1−Cc|>|V
2−Cc|,|V2−Cc|>|V3−Cc|,|V3−
c|=|V4−Cc|である。
【0096】駆動波形Aは液晶素子の温度が高温(T
H)の時に用いられる波形である。
【0097】まず、ある走査電極上の画素の表示状態を
定める水平走査期間(1H)の前に電圧V2、パルスΔ
Trの消去用の負のパルスSEを走査電極に供給する。
この時、画素には、情報信号がIwであるかInであるか
に係りなく、画素の液晶を一方の配向状態にそろえるに
十分なパルス幅と電圧をもつ合成波形VE,VE’が印加
される。こうしてパルスSEが供給される予定の走査電
極上の全ての画素は暗(又は明)状態にリセットされ
る。
【0098】次いで所定期間経過後、ある水平走査期間
1H1中に走査選択信号Ssが走査電極に供給され、これ
に同期して情報信号Iw又はInが情報電極に供給され
る。
【0099】リセットされた状態の画素の液晶をスイッ
チングさせる為の情報信号Iwとの合成信号Vwは、水平
走査期間1H1前半で電圧V3の小パルスと、その後半
の電圧(V1−V3)の大パルスを含む信号である。
【0100】リセットされた状態の画素の液晶をスイッ
チングさせない為の情報信号Inとの合成信号Vnは、電
圧V4(<0)の負の小パルスとそれに続く電圧(V1
−V4)の正の大パルスを含む。
【0101】この時、各合成信号Vw,Vnのパルス幅、
波高値を、用いる液晶の特性に応じて、図2,3で示し
たマージンの中から選択すれば画素のスイッチングを制
御できる。
【0102】駆動波形Bは、中温(TM)の時に用いら
れる波形である。駆動波形Aとの違いは、走査選択信号
sの正パルスの立ち下がりが遅れて、パルス巾が2倍
になっている点である。従って、次の水平走査期間1H
2に画素に印加される合成波形が、駆動波形Aの場合と
相違している。次の水平走査期間1H2の前半のパルス
の電圧がV1−V4となるかV1−V3となるかは、次
の水平走査期間1H2に供給される情報信号に依存す
る。同様に次の水平走査期間1H2の後半のパルスの電
圧がV3となるかV4となるかも期間1H2に供給され
る情報信号に依存する。
【0103】但し、いずれの場合でも画素のスイッチン
グは駆動波形Aの場合と同様に良好に制御可能となって
いる。
【0104】駆動波形Cは、低温(TL)の時に用いら
れる波形である。駆動波形Bとの違いは、走査選択信号
sの正パルスの立ち下がりが更に遅れてパルス巾が、
駆動波形Aの走査選択信号Ssの正パルスの3倍になる
点である。
【0105】図11は、τ−V特性の温度依存性を示
す。
【0106】駆動波形Aの場合の走査選択信号の電圧V
1を最小値τminとなりうるV21と定めた時、液晶素子
の温度が高温の場合のパルス幅選択範囲(マージン)は
21〜T22であり、中温、低温になるに従ってパル
ス幅マージンは広くなるが、パルス幅自体も大きくなっ
ている。
【0107】図12は、同様に駆動波形Bの場合のτ−
V特性の温度依存性を示す。
【0108】図13は、駆動波形Cの場合のτ−V特性
の温度依存性を示している。
【0109】図11,12,13に示したような特性を
基にして、横軸に温度を縦軸に走査選択信号V1をV2
1に固定した時に選択可能なパルス幅をプロットしたグ
ラフを図14に示す。
【0110】パルス幅ΔTdをτ30と固定し、高温条件
下では駆動波形Aを用い、中温条件下では駆動波形B
を、低温条件下では駆動波形Cを用いることによって最
高温のTMP1〜最低温のTMP4までの温度範囲内で
確実に画素のスイッチング又は非スイッチングを定める
ことが出来る。
【0111】具体的には、温度TMP1〜TMP2の高
温領域では、駆動波形Aを用い、温度TMP2〜TMP
3の中温領域では駆動波形Bを用い、温度TMP3〜T
MP4の低温領域では駆動波形Cを用いるとよい。
【0112】又、この特性を示す液晶素子の場合は、駆
動波形Bによるマージンと駆動波形Cによるマージンの
重なり部分が大きい為、駆動波形BとCの切替えは温度
TMP5を境界値としてもよい。
【0113】図15は複数の走査電極(n1〜n5)に
供給される信号と複数の情報電極(m1〜m3)に供給
される信号のタイミングと、それらの電極の交点にある
画素の表示状態を模式的に描いている。
【0114】図15は高温時に用いられる信号、図16
は中温時に用いられる信号、図17は低温時に用いられ
る信号である。
【0115】ここでは走査電極5本分の信号しか示して
いないが、実際には100本〜10000本程になる
為、4つの走査電極に順次走査選択信号Ssが供給され
ている時同時に他の走査電極に消去信号Seが供給され
ることになる。
【0116】図の例では消去信号Seのパルス幅は一水
平走査期間の4倍となっているが、その期間に消去がな
されるのであれば、その長さには制限はない。好ましく
は一水平走査期間より長い期間、具体的には一水平走査
期間の2倍乃至6倍にするとよい。又、消去信号のパル
ス幅は、走査選択信号Ssのパルス幅に応じて変化させ
1フレーム期間中に画素に印加されるDC成分を抑制す
ることが好ましいものである。
【0117】そして、本発明においては、情報信号
w,Inの電圧レベルを温度に応じて変化させることに
より、画素の非選択期間におけるコントラスト変化を抑
制する。こうして表示画像のコントラストは、温度が変
化しても変動し難くなる。
【0118】このような走査信号と情報信号とにより多
数の画素をもつ液晶素子がマルチプレキシング駆動(マ
トリクス駆動)される。
【0119】図の例では単位パルス幅ΔTdを一定とし
た例を示している。
【0120】パルス幅ΔTdを一定にするということ
は、一水平走査期間即ち一本の走査電極が選択されてい
る期間が一定となりフレーム周波数が常に一定となる。
従って、単位パルス幅を15μsec.程度に小さく出
来るなら、走査電極の数が500本であっても全走査電
極の選択が完了するまでの期間即ち1フレーム走査期間
は15msecとなりフレーム周波数は約67Hzとな
る。よって、動画の大画面表示が非常に容易になる。
【0121】図18は、ヘキスト社製の強誘電性液晶
「FELIX 016/030」を用いた液晶素子に図
1に示したような情報信号と走査非選択信号を印加した
時の見かけのチルト角の温度依存性を示している。
【0122】図より明らかなように印加されるパルスに
よる液晶分子のゆらぎに起因して見かけのチルト角は温
度の上昇と共に小さくなっている。
【0123】そして、液晶素子のマルチプレキシング駆
動の場合、1フレーム期間中に、選択されていない期間
が占める割合はほとんどである。
【0124】従って、走査選択信号のパルス幅を温度に
応じて変調し画素のスイッチングを制御出来たとして
も、表示画像のコントラストまでは補償出来ない。
【0125】そこで、本発明では温度に応じて情報信号
の電圧を変調することによって、非選択期間におけるみ
かけのチルト角の大きさの変化を抑制する。
【0126】図19は温度25℃の時上記液晶素子に印
加する情報信号の電圧とみかけのチルト角との関係を示
している。
【0127】図より明らかなように情報信号の電圧波高
値を大きくするに伴い、見かけのチルト角の大きさも大
きくなる。
【0128】図20は見かけのチルト角の温度及び電圧
依存性を示す。同図の特性に従えば、温度が10℃の
時、情報信号の波高値を4Vとし、温度が40℃の時、
情報信号の波高値を5.2Vとし、10℃〜40℃の間
では4.0V〜5.2Vまで連続的又は断続的に温度上
昇と共に波高値を大きくする。
【0129】こうすれば、見かけのチルト角は温度が1
0℃〜40℃の範囲内で変化したとしても、約15.5
度に保持される。
【0130】(実施例1)前出の図4に示すような構成
の液晶素子を作製する方法について述べる。
【0131】2枚のガラス基板上にそれぞれスパッタリ
ング法により厚さ70nmの酸化インジウム錫(IT
O)膜を形成し、その後、スパッタリング法により厚さ
120nmの酸化タンタル(Ta23)膜を形成した。
【0132】この2枚の基板の酸化タンタル膜上にポリ
イミドの前駆体であるポリアミック酸LP−64(東レ
(株)製)のNMP(Nメチルピロリドン):n−BC
(n−ブチルセロソルブ)混合溶液をスピンコートし
た。塗布溶液はNMP:n−BC=2:1の混合溶媒に
LP−64を1重量%となるように調整し、スピン条件
は、45回転/秒で20秒行った。
【0133】この基板を、80℃のオーブン中で5分
間、溶媒乾燥を行った後、200℃のオーブン中で1時
間の加熱焼成を行いイミド化した。得られたポリイミド
膜は約10nmの厚さで、この膜をラビング処理して配
向膜とした。ラビングは、直径10cmのローラーに巻
き付けたナイロン製の布を用い、16.7回転/秒、配
向膜表面に対する布の押し込み0.4mm、基板の送り
速度10mm/秒で、同じ方向に二回(片道)のラビン
グを行った。
【0134】その後、この基板表面に平均粒径1.2μ
mのシリカビーズを0.008重量%で分散させたIP
A(イソプロピルアルコール)溶液を、25回転/秒で
10秒間の条件でスピン塗布し、分布密度300個/m
2程度のビーズスペーサを散布した。
【0135】以上のようにして得られた二枚の基板をラ
ビング方向が互いに同じ向きとなるように対向して貼り
合わせ、周辺部を熱硬化性樹脂でシールし、150℃の
オーブン中で90分間熱硬化させ、セルとした。
【0136】このセルに、ヘキスト社製の誘電率異方性
が負の強誘電性液晶「FELIX−016/030」
(商品名)を減圧下(10Pa)、等方相温度(100
℃)で注入し、Sm*C相まで徐冷することにより液晶
素子とした。
【0137】この液晶に単純な矩形パルスを印加した時
のτ−V特性を図21に示す。
【0138】又、この液晶の相移転系列の他のデータを
図22に示す。
【0139】こうして得られた液晶素子に図23に示し
たような駆動波形D〜Fを用いて駆動した。この波形は
温度に応じて走査選択信号SSの正のパルス電圧V1を
温度が上昇するに従って大きくなるように変化させてい
る。又、液晶に印加されるDC成分を抑制する為に消去
信号のパルス巾を走査選択信号SSの正のパルスの巾の
変化に応じて変化させる。
【0140】図24は図23中の各パルスの波高値V
1,V2,V3,V4,VCの値と温度の関係を示して
いる。V1,V2,VCは使用条件下の全温度範囲にお
いて一定である。V3,V4は温度上昇とともにVCを
基準とした時の電圧波高値が大きくなっている。
【0141】図25は図23中の各パルス幅ΔTr,Δ
Ts,1H,ΔTdの値と温度の関係を示している。Δ
Trは消去パルスのパルス幅であり、温度上昇と共にパ
ルス幅が短くなるように11段階に変化させている。
【0142】ΔTsは走査選択信号Ssの正パルスのパ
ルス幅であり、温度上昇と共にパルス幅が短くなるよう
に11段階に変化させている。
【0143】一水平走査期間(1H)と情報信号の単位
パルス幅(ΔTd)は全温度範囲内で一定である。
【0144】図26は本例の液晶素子のτ−V特性の温
度依存性を示す。この特性は駆動波形として図23の駆
動波形Dを用いた場合である。
【0145】温度が高温になるにつれてパルス幅ΔTd
のしきい値の最小値は低下している。
【0146】従って、この波形は低温下の駆動よりも高
温下の駆動に適している。
【0147】図27は10℃の時の各駆動波形D〜Fに
よるτ−V特性を示している。
【0148】10℃のような低温条件下では、駆動波形
Fが最適であることがわかる。
【0149】温度条件を細かく変化させながら各駆動波
形毎にパルス幅を最小にし得る駆動電圧におけるパルス
幅の選択範囲を示したものが図28である。
【0150】40℃近傍の高温度条件下では駆動波形D
を用い、25℃近傍の中温度条件下では駆動波形Eを用
い、10℃近傍の低温度条件下では駆動波形Fを用いる
ことにより一水平走査期間(1H)を一定として、温度
に応じて情報信号電圧を1〜2Vの範囲内で可変にする
だけで、全温度範囲に亘って良好な表示を行うことが出
来る。
【0151】図25の例ではΔTsの可変段階数を11
段階としたが、駆動波形D〜Fの3段階としてもよい
し、更に液晶素子の使用温度範囲が狭い場合には、2段
階とすることもできる。
【0152】(実施例2)液晶素子には実施例1と同じ
素子を用い、駆動波形としては図23の駆動波形Dと同
じ信号を用いた。
【0153】そして温度の変化とともに電圧V3,V
4、消去信号Seのパルス幅ΔTn,単位パルス幅ΔTd
及び一水平走査期間1Hを変化させた。これらの関係を
図29,30に示す。
【0154】前出の実施例では一水平走査期間1Hを一
定としたが、本例では単位パルス幅ΔTdの長さを変え
ることにより、可変とした。これに伴い走査選択信号の
正パルスの立ち下がりは一水平走査期間の終了時と常に
一致することになる。
【0155】図31に実施例1,2におけるコントラス
トの温度依存性を示す。本発明の実施例によれば、コン
トラスト変化が抑制され良好に温度補償されていること
がわかる。これに対して、情報信号の電圧波高値を温度
に応じて変化させなかった場合は、低温及び高温下でみ
かけのチルト角が30℃において最適化された偏光子の
光軸からずれる為にコントラストが低下する。更に低温
ではスイッチング速度の低下によって、又高温では、分
子のゆらぎによってコントラストの低下が助長されてい
る。
【0156】又、液晶の中にはヘキスト社製の強誘電性
液晶「FELIX−016/100」のように温度が高
くなるにつれて、パルス幅τの極性が小さくなるととも
に、それに対応した電圧波高値も小さくなる特性を示す
材料もある。この一例のしきい値特性を図32に示す。
【0157】このような液晶材料を用いる場合には、情
報信号のパルス波高値を温度が高くなるに従って小さく
するように制御することが望ましい。
【0158】
【発明の効果】本発明によれば、一水平走査選択期間の
可変範囲を小さくできるので、駆動回路や制御回路の設
計が容易になる。
【0159】又、温度に応じて変化させる電圧の可変範
囲が小さくてすむので、駆動回路内のスイッチが単純で
安価なトランジスタで構成出来るようになる。こうし
て、電気光学装置を低コストで製造できるようになる。
【0160】更には、低温条件下でも数十マイクロ秒で
一水平走査が行えるので動画等の表示特性が良好にな
る。加えて、温度変化によるコントラストの変動が抑制
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気光学装置に用いられる電気光学素
子の駆動波形の一例を示す図。
【図2】本発明の電気光学装置に用いられる電気光学素
子のしきい値特性を示す図。
【図3】電気光学装置のしきい値特性の別の例を示す
図。
【図4】本発明に用いられる電気光学素子の構造を示す
図。
【図5】本発明に用いられる電気光学素子に用いられる
液晶分子の配向を説明する為の模式図。
【図6】本発明の電気光学装置の一例を示す図。
【図7】本発明の電気光学装置に用いられる走査電極駆
動回路の一例を示す図。
【図8】図7の回路の動作タイミングチャートを示す
図。
【図9】本発明の電気光学装置に用いられる駆動電圧の
温度補償回路を示す図。
【図10】本発明の電気光学装置に用いられる電気光学
素子の駆動波形の別の例を示す図。
【図11】本発明に用いられる電気光学素子のしきい値
特性を示す図。
【図12】本発明に用いられる電気光学素子のしきい値
特性を示す図。
【図13】本発明に用いられる電気光学素子のしきい値
特性を示す図。
【図14】本発明の電気光学装置の駆動マージンの温度
依存性の一例を示す図。
【図15】本発明に用いられる駆動波形の供給タイミン
グを示す図。
【図16】本発明に用いられる駆動波形の供給タイミン
グを示す図。
【図17】本発明に用いられる駆動波形の供給タイミン
グを示す図。
【図18】見かけのチルト角の温度依存性を示す図。
【図19】見かけのチルト角の情報電圧依存性を示す
図。
【図20】見かけのチルト角の温度及び電圧依存性を示
す図。
【図21】本発明に用いられる別の電気光学素子のしき
い値特性を示す図。
【図22】本発明に用いられる液晶の相転移系列を示す
図。
【図23】本発明に用いられる別の電気光学素子の駆動
波形の一例を示す図。
【図24】本発明に用いられる各種信号の電圧変調の様
子を示す図。
【図25】本発明に用いられる各種信号のパルス幅変調
の様子を示す図。
【図26】本発明に用いられる電気光学素子のしきい値
特性を示す図。
【図27】本発明に用いられる電気光学素子のしきい値
特性を示す図。
【図28】本発明に用いられる電気光学素子のマージン
の温度依存性を示す図。
【図29】本発明に用いられる各種信号の電圧変調の様
子を示す図。
【図30】本発明に用いられる各種信号のパルス幅変調
の様子を示す図。
【図31】コントラストの温度依存性を示す図。
【図32】本発明に用いられる電気光学素子のしきい値
特性の別の例を示す図。
【図33】カイラルスメクチック液晶の分子配向を説明
する為の模式図。
【図34】強誘電性カイラルスメクチック液晶の配向を
説明する為の模式図。
【図35】代表的な2種のカイラルスメクチック液晶を
用いた液晶素子のしきい値特性を示す図。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走査電極群と情報電極群とを有する一対
    の基板と該基板間に配されたカイラルスメクチック液晶
    とを有する電気光学素子と、該走査電極群に走査選択信
    号を供給する走査電極駆動回路と、該情報電極群に情報
    信号を供給する情報電極駆動回路と、を有する電気光学
    装置において、 該走査選択信号の供給期間を温度情報に応じて変更する
    ように該走査電極駆動回路を動作せしめるとともに、該
    情報信号の電圧を温度情報に応じて変更するように該情
    報電極駆動回路を動作せしめる手段を有することを特徴
    とする電気光学装置。
  2. 【請求項2】 走査電極群と情報電極群とを有する一対
    の基板と該基板間に配されたカイラルスメクチック液晶
    とを有する電気光学素子と、該走査電極群に走査選択信
    号を供給する走査電極駆動回路と、該情報電極群に情報
    信号を供給する情報電極駆動回路と、を有する電気光学
    装置において、 該情報信号により定められる一水平走査期間を一定とし
    て、該走査選択信号の供給期間を温度情報に応じて変更
    するように該走査電極駆動回路を動作せしめる手段と、 非選択の画素に印加される電圧を温度情報に応じて変更
    するように該情報電極駆動回路を動作せしめる手段と、
    を有することを特徴とする電気光学装置。
  3. 【請求項3】 該カイラルスメクチック液晶はシェブロ
    ン層構造を呈する請求項1又は2記載の電気光学装置。
  4. 【請求項4】 該カイラルスメクチック液晶はC2配向
    を呈する請求項1又は2記載の電気光学装置。
  5. 【請求項5】 該カイラルスメクチック液晶は、その誘
    電率異方性が負である請求項1又は2記載の電気光学装
    置。
  6. 【請求項6】 該カイラルスメクチック液晶は、しきい
    値特性曲線が極小値を呈する請求項1又は2記載の電気
    光学装置。
  7. 【請求項7】 該一対の基板の内面には、導電膜と配向
    膜との間に絶縁膜が設けられている請求項1又は2記載
    の電気光学装置。
  8. 【請求項8】 n番目に選択される走査電極に供給され
    る走査選択信号とn+1番目に選択される走査電極に供
    給される走査選択信号とが時間的にオーバーラップして
    供給される請求項1又は2記載の電気光学装置。
  9. 【請求項9】 該オーバーラップする期間を温度情報に
    応じて変更する請求項8記載の電気光学装置。
  10. 【請求項10】 該走査選択信号の供給に先立って、一
    水平走査期間より長い期間中、消去信号を供給する請求
    項1又は2記載の電気光学装置。
  11. 【請求項11】 消去信号を供給した後、一水平走査期
    間以上経過後に、該走査選択信号を供給する請求項1又
    は2記載の電気光学装置。
  12. 【請求項12】 画素の光学状態を反転させる為の印加
    信号は、一水平走査期間内において、一方極性の第1の
    電圧パルスとそれに続く一方極性の第2の電圧パルスを
    含み、該第2の電圧パルスの波高値が該第1の電圧パル
    スの波高値より大きい請求項1又は2記載の電気光学装
    置。
  13. 【請求項13】 画素の光学状態を反転させない印加信
    号は、一水平走査期間内において、反対極性の第3の電
    圧パルスとそれに続く一方極性の第4の電圧パルスとを
    含み、該第4の電圧パルスの波高値が該第3の電圧パル
    スの波高値より大きい請求項1又は2記載の電気光学装
    置。
JP35730497A 1997-12-25 1997-12-25 電気光学装置 Withdrawn JPH11183877A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35730497A JPH11183877A (ja) 1997-12-25 1997-12-25 電気光学装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35730497A JPH11183877A (ja) 1997-12-25 1997-12-25 電気光学装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11183877A true JPH11183877A (ja) 1999-07-09

Family

ID=18453444

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35730497A Withdrawn JPH11183877A (ja) 1997-12-25 1997-12-25 電気光学装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11183877A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002073297A1 (fr) * 2001-03-13 2002-09-19 Minolta Co.,Ltd. Procede de commande d'un dispositif d'affichage a cristaux liquides et dispositif d'affichage a cristaux liquides

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002073297A1 (fr) * 2001-03-13 2002-09-19 Minolta Co.,Ltd. Procede de commande d'un dispositif d'affichage a cristaux liquides et dispositif d'affichage a cristaux liquides
US7034798B2 (en) 2001-03-13 2006-04-25 Minolta Co., Ltd. Liquid crystal display driving method and liquid crystal display apparatus
CN100399116C (zh) * 2001-03-13 2008-07-02 美能达株式会社 液晶显示元件的驱动方法及液晶显示装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4800382A (en) Driving method for liquid crystal device
US5092665A (en) Driving method for ferroelectric liquid crystal optical modulation device using an auxiliary signal to prevent inversion
US5933203A (en) Apparatus for and method of driving a cholesteric liquid crystal flat panel display
US5559616A (en) Driving method for ferroelectric liquid crystal device with partial erasure and partial writing
US4917470A (en) Driving method for liquid crystal cell and liquid crystal apparatus
JP3286503B2 (ja) 液晶素子の駆動法、及び該駆動法が用いられる液晶装置
JPH11174415A (ja) 電気光学装置
JPH11183877A (ja) 電気光学装置
JP2004163494A (ja) 電気光学装置
JPH11174414A (ja) 電気光学装置
JPS6249607B2 (ja)
JP2000206497A (ja) 電気光学装置
JPH11327512A (ja) 電気光学装置
JP3143042B2 (ja) 液晶表示素子
JPH0431374B2 (ja)
JP2721489B2 (ja) 表示装置
JPH06337658A (ja) 液晶表示装置
JPS6348597A (ja) 表示装置
JP3219709B2 (ja) 液晶素子、液晶装置、及び液晶素子の駆動方法
JP2531683B2 (ja) 液晶装置
US5757350A (en) Driving method for optical modulation device
JPS62150331A (ja) 液晶装置
CA1258327A (en) Driving method for optical modulation device
JPH09230312A (ja) 液晶装置
JP2505745B2 (ja) 表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050301