JPH11183582A - 衛星通信用小型アンテナの衛星捕捉方法および装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 VSATなどの衛星通信用小型アンテナを正確か
つ簡単に静止衛星に向けることを目的とする。 【解決手段】 GPS測位衛星からの信号に基づいてアン
テナ設置地点の緯度および経度を演算し、求めた緯度お
よび経度と静止衛星の位置に基づいて静止衛星の方位角
および仰角を演算し、手動により方位角および仰角に合
わせてアンテナを位置決めし、静止衛星から発射された
信号に基づいて静止衛星の捕捉を確認することを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、VSAT（Very Small
Aperture Terminal。超小型衛星通信地球局）などに使
用される衛星通信用小型アンテナを設置するに当たり静
止衛星を捕捉するべくアンテナを位置決めするための方
法および同方法を実施するための装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】静止衛星は赤道上空の一定高度の限られ
た軌道にしか配置することができないので、軌道上には
多数の静止衛星が存在する。現在、静止衛星は経度方向
に２度の角度間隔で配置されている。

【０００３】このように静止衛星相互の間隔が狭いの
で、VSATなどの衛星通信用小型アンテナを設置するに際
しては、アンテナを正確に衛星に向け、目標とする静止
衛星を捕捉させる必要がある。さもないと、アンテナが
誤って隣の衛星や他の衛星を捕捉した場合には、不法電
波を発射することがあると共に、他の衛星に回線障碍を
惹き起こす。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】基地局の大型アンテナ
とは異なり、VSATなどの小型アンテナにはアンテナ制御
装置は設けられていない。そこで、従来、小型アンテナ
の設置に際しては、目的とする静止衛星から発射された
電波信号をスペクトラムアナライザ等で受信し、手動で
アンテナを動かしながら、受信強度が最も強くなるよう
な位置にアンテナを据え付けていた。

【０００５】この方法には、アンテナが誤って隣の衛星
を捕捉する虞れがある。また、スペクトラムアナライザ
で受信強度を見ながらアンテナ角度を調整するので、ア
ンテナの設置に多大な時間と手数を要していた。更に、
高価なスペクトラムアナライザを用いるので、機材費が
嵩む。

【０００６】他方、特開平1-214774号には、GPS（Globa
l Positioning System。全地球測位システム）用測位衛
星からの信号を利用して送電線監視ロボットの通信用パ
ラボラアンテナの角度調整を行うようになったアンテナ
制御装置が開示されている。この制御装置は、ロボット
の位置を検出するGPS演算手段と、通信衛星に対するア
ンテナの追尾量を演算するアンテナ追尾量演算手段と、
追尾量演算手段の出力に基づいてアンテナを駆動するア
ンテナ追尾機構を有する。このアンテナ制御装置は、追
尾量に基づいてアンテナを駆動するアンテナ追尾機構を
備えているので、装置が大がかりとなり、VSATなどの小
型アンテナの設置に使用するには余りに高価となる。

【０００７】本発明の目的は、衛星通信用小型アンテナ
の設置に当たり目的とする衛星を短時間で正確に捕捉す
ることを可能にする簡便な方法および装置を提供するこ
とにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の方法は、衛星通
信用小型アンテナの設置に際してアンテナが目標静止衛
星を捕捉するべくアンテナを位置決めするに当たり、GP
S用測位衛星からの信号に基づいてアンテナ設置地点の
緯度および経度を演算し、斯く求めた緯度および経度と
目標静止衛星の既知の位置とに基づいてアンテナ設置地
点から視た目標静止衛星の目標方位角および目標仰角を
演算し、アンテナの方位角および仰角が夫々目標方位角
および目標仰角に一致するべくアンテナを位置決めし、
目標静止衛星から発射された信号に基づいてアンテナが
目標静止衛星を捕捉したことを確認することを特徴とす
る。

【０００９】本発明の方法によれば、 GPSにより求めた
緯度および経度に基づいて目標静止衛星の方位角および
仰角を演算し、それらに合わせてアンテナを位置決めす
るので、アンテナを短時間で正確に衛星に向けることが
できる。

【００１０】また、 GPSを利用してアンテナの位置決め
が行われるので、高価で大がかりなスペクトラムアナラ
イザを使用することなく、簡単にアンテナを設置するこ
とができる。

【００１１】本発明は、また、上記方法を実施するため
の装置を提供するもので、この装置は、測位衛星からの
信号に基づいてアンテナ設置地点の緯度および経度を演
算するGPS測位手段と、斯く求めた緯度および経度と目
標静止衛星の既知の位置とに基づいてアンテナ設置地点
から視た目標静止衛星の目標方位角および目標仰角を演
算する手段と、アンテナの方位角および仰角を検出する
装置と、目標静止衛星から発射された信号に基づいてア
ンテナが目標静止衛星を捕捉したことを確認する手段、
とを備えてなる。

【００１２】好ましい実施態様においては、アンテナの
方位角および仰角を検出する装置は、アンテナに着脱自
在に装着される。

【００１３】本発明の装置はアンテナ建設時にのみ使用
される。アンテナの据え付けが終わると、この装置はア
ンテナから取り外される。静止衛星は厳密には赤道上に
静止しているのではなく、『８』の字の軌道を描いてい
るが、VSATなどの小型アンテナは据え付け時に衛星を捕
捉させておけば、その後の衛星の追尾は不要である。従
って、本発明の装置を使用してアンテナを設置すれば、
アンテナの建設費と維持費を最小限にすることができ
る。

【００１４】

【発明の実施の形態】周知のように、 衛星通信におい
ては、図１に示したように、基地局１０と複数のVSAT
（超小型衛星通信地球局）１２との間で静止衛星１４を
介して通信が行われる。

【００１５】VSAT１２は小型アンテナ１６を備え、この
アンテナ１６は本発明の装置を使用して本発明の方法に
より地面に設置することができる。

【００１６】アンテナ１６は、雲台１８によって方位角
と仰角を調節可能に支持することができる。この雲台１
８は、地面に据え付けられた基台２０に垂直軸線を中心
として回動可能に支持された支柱２２と、水平な枢軸２
４を中心として上下方向（仰角方向）に回動可能に支柱
２２に支持されたブラケット２６とで構成することがで
きる。

【００１７】図２はアンテナの方位角の検出に使用する
装置２８を示す。方位角検出装置２８は、支柱２２に取
り付けた方位基準マーク３０と、基台２０に取り付けた
目盛り付きの帯材３２とで構成することができる。基準
マーク３０および帯材３２はその裏面に配置した磁性帯
などにより着脱自在に支柱２２および基台２０に付着さ
せることができる。

【００１８】同様に、図３に示したように、アンテナの
仰角を検出するため、ブラケット２６には基準マーク３
４が付してあると共に、支柱２２には基準マーク３４と
協働してアンテナの仰角を検出するための目盛り付きの
帯材３６が磁性帯などにより着脱自在に付着してある。

【００１９】図４を参照するに、本発明の装置は、GPS
測位衛星３８からの電波信号を受信するアンテナ４０
と、GPS受信機４２と、測位衛星からのデータに基づい
てアンテナ設置地点の緯度および経度を演算するGPS位
置演算部４４と、アンテナ設置地点の緯度および経度と
目標静止衛星の既知の位置とに基づいてアンテナ設置地
点から視た目標衛星の方位角および仰角を演算する方位
角・仰角演算部４６と、求めた目標衛星の方位角および
仰角を表示する表示部４８を有する。

【００２０】更に、図５に示したように、本発明の装置
は、アンテナの１６の送受信機５０（図１）に接続さ
れ、目標静止衛星から発射された信号に基づいてアンテ
ナが目標静止衛星を捕捉したことを確認する衛星捕捉確
認部５２を有する。

【００２１】アンテナ１６を所望の地点に設置するに際
しては、先ず、GPS受信機４２をその地点に搬入し、そ
の地点の緯度および経度を位置演算部４４に演算させる
と共に、目標衛星の方位角および仰角を方位角・仰角演
算部４６に演算させて表示部４８に表示させる。

【００２２】また、図２に示したように、方位磁石を用
いて方位基準マーク３０を所定の方位（例えば、真北又
は真南）を示すように支柱２２に付着させると共に、目
盛り付きの帯材３２を基台２０に付着させる。なお、方
位磁石を用いる代わりに、図６に示したように、アンテ
ナ設置地点とその付近のＡ、Ｂ２地点の緯度および経度
をGPS受信機を使用して求め、三角測量により真北を求
めてもよい。この場合には、磁北の偏差の影響を受ける
ことなく真北方向を知ることができる。

【００２３】同様に、水準器を用いて図３に示したよう
に基準マーク３４が水平位置に位置するようにブラケッ
ト２６を保持すると共に、目盛り付きの帯材３６を支柱
２２に付着させる。

【００２４】次に、手で基台２０に対して支柱２２を回
転させながら、アンテナ１６を目標方位角に指向させた
上で、雲台１８の支柱２２をボルトなどにより基台２０
に対して固定する。同様に、枢軸２４を中心としてブラ
ケット２６を仰角方向に回動させ、アンテナ１６を目標
仰角に合わせた上で、支柱２２対してブラケット２６を
適宜固定する。

【００２５】これにより、アンテナ１６は計算上の目標
方位角および目標仰角に位置決めされる。このようにア
ンテナを位置決めし、固定したならば、基準マーク３０
や目盛り付き帯材３２、３６は取り外し、他のアンテナ
の設置に使用することができる。

【００２６】次に、目標衛星から発射される特定周波数
のBEACON信号をアンテナ１６の送受信機５０で受信し、
衛星捕捉確認部５２により受信レベルをチェックするこ
とによりアンテナが目標静止衛星を捕捉していることを
確認する。

【００２７】

【発明の効果】本発明の方法および装置によれば、衛星
通信用アンテナを短時間で正確に衛星に向けることがで
き、アンテナ設置に要する手数と費用を大幅に節減する
ことができる。また、アンテナを正確に位置決めできる
ので、不法電波の発射や回線障碍を回避することができ
る。

【００２８】また、本発明の装置は安価な構成要素から
なり、１つのアンテナ設置地点から他の設置地点へと移
動させながら使用することができるので、アンテナ構造
を簡素化することができると共に、アンテナの建設費、
機材費、アンテナ維持費を最小限にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】衛星通信システムの模式図である。

【図２】図１に示したVSATアンテナの雲台の一部切欠き
斜視図で、アンテナ方位角検出機構を示す。

【図３】図１に示したVSATアンテナの雲台の一部の側面
図で、アンテナ仰角検出機構を示す。

【図４】本発明の装置の主要構成要素を示すブロック図
である。

【図５】本発明の装置の衛星捕捉確認部を示すブロック
図である。

【図６】真北を検出する方法の一例を示す模式図であ
る。

【符号の説明】

１６： VSAT用小型アンテナ ２８／３０／３２： 方位角検出手段 ３４／３６： 仰角検出手段 ４０／４２／４４： GPS測位手段 ４６： 方位角・仰角演算部 ５２： 衛星捕捉確認

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 衛星通信用小型アンテナの設置に当たり
   同アンテナが目標静止衛星を捕捉するべくアンテナを位
   置決めするための方法であって：測位衛星からの信号に
   基づいてアンテナ設置地点の緯度および経度を演算し、 斯く求めた緯度および経度と目標静止衛星の既知の位置
   とに基づいてアンテナ設置地点から視た目標静止衛星の
   目標方位角および目標仰角を演算し、 アンテナの方位角および仰角が夫々目標方位角および目
   標仰角に一致するべくアンテナを位置決めし、 目標静止衛星から発射された信号に基づいてアンテナが
   目標静止衛星を捕捉したことを確認することからなる衛
   星通信用小型アンテナの衛星捕捉方法。
2. 【請求項２】 方位角および仰角を調節可能に支持され
   た衛星通信用小型アンテナを設置するに当たり同アンテ
   ナが目標静止衛星を捕捉するべくアンテナを位置決めす
   るための衛星捕捉装置であって：測位衛星からの信号に
   基づいてアンテナ設置地点の緯度および経度を演算する
   GPS測位手段と、 斯く求めた緯度および経度と目標静止衛星の既知の位置
   とに基づいてアンテナ設置地点から視た目標静止衛星の
   目標方位角および目標仰角を演算する手段と、 アンテナの方位角および仰角を検出する装置と、 目標静止衛星から発射された信号に基づいてアンテナが
   目標静止衛星を捕捉したことを確認する手段、とを備え
   てなる衛星通信用小型アンテナの衛星捕捉装置。
3. 【請求項３】 アンテナの方位角および仰角を検出する
   前記装置は、アンテナに着脱自在に装着されることを特
   徴とする請求項２に基づく装置。