JPH11183433A - 定電位電解式ガスセンサ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】電磁波の影響を除去するようにした定電位電解
式ガスセンサを提供する。 【解決手段】一定方向の開口部側から被検出ガスを取り
込むようにし、且つ電解液を充填した反応室内に少なく
とも作用極に対峙させた状態で対極及び参照極を備え、
電解液と被検出ガスとの反応状態を作用極から電気的に
取り出すようにし、その開口部には、電磁波を遮蔽する
遮蔽手段（電磁波遮蔽部）を設けた構造にすることであ
り、この電磁波遮蔽部は、シグナルグランド（ＳＧ）又
はフレームグランド（ＦＧ）に接続するようにしたこと
である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、定電位電解式ガス
センサに関するものであり、更に詳しくは被検出ガスを
流入させる入り口側に電磁波を遮蔽する遮蔽手段を備え
た定電位電解式ガスセンサに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来技術における定電位電解式ガスセン
サは、図７に示すように、電解液１０を充填する反応室
１１を設けたケーシング１２の上部に、ガス透過性の高
分子合成樹脂膜１３と、金網等の導電性の材質のものに
貴金属触媒を固定して作成した作用極１４と、透水性で
あり中央部を分割する分割部１５を有する多孔質材１６
と、この多孔質材１６の分割部１５を介した左右の各面
に備えた対極１７及び参照極１８と、これらを収容した
上部から被せる蓋部１９とから構成されている。この蓋
部１９には、所謂一定方向から空気と共に被検出ガス２
１を取り入れる多数の透孔２０を備えた構造となってい
る。

【０００３】このような構造から定電位電解式ガスセン
サにおいて、図示しない参照極１８と作用極１４間にお
ける電位を一定にし、対極１７と作用極１４との間の電
流を検出しておく。

【０００４】この状態において外部からの被検出ガス２
１が高分子合成樹脂膜１３を透過して作用極１４に到達
すると、被検出ガス２１に反応して電子の流れが変化す
る。この電子の変化を作用極１４と対極１７との間の電
流の変化として検出する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記説
明した従来技術における定電位電解式ガスセンサは、電
気的にはハイインピーダンスとなっているため、外部か
らの電磁波の影響を受けやすい構造となっている。又、
従来技術におけるセンサの構造が開口部から被検出ガス
を含んだ空気が自然に流入する構造となっているため、
被検出ガスを検出するセンサ付近でのシールドはできる
が、被検出ガスを含んだ空気が入り込む入り口付近では
シールドできないという問題点がある。

【０００６】従って、空気を自然流入させるガスセンサ
の入口近傍において電磁波を遮蔽できる構造に解決しな
ければならない課題を有している。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る定電位電解式ガスセンサは、所定方向
から被検出ガスを流入させるように開口した開口部と、
該開口部に連通し且つ電解液を充填した反応室と、導電
製部材で形成された作用極に前記電解液を介在させて配
置した対極及び参照極とを備え、前記電解液と被検出ガ
スとの反応状態を前記作用極から電気的に取り出すよう
にして前記被検出ガスを検出するようにした定電位電解
式ガスセンサであって、前記開口部には電磁波を遮蔽す
る遮蔽手段を設けたことである。

【０００８】又、前記遮蔽手段は、金属製のメッシュで
形成し、且つ該メッシュは信号グランド（ＳＧ）又はフ
レームグランド（ＦＧ）に接続するようにしたことであ
る。

【０００９】このような構成からなる定電位電解式ガス
センサは、被検出ガスを含んだ空気を自然流入させる開
口部付近に、金属製のメッシュからなる電磁波を遮蔽す
る遮蔽手段を設けた構造にしたことにより、携帯電話等
の携帯情報機器による電磁波が到達する領域であっても
コンパレータ等の誤動作、誤測定を防止することができ
る。

【００１０】

【発明の実施の形態】次に、本発明に係る定電位電解式
ガスセンサに関する実施の形態について図面を参照して
説明する。

【００１１】定電位電解式ガスセンサは、図１及び図２
に示すように、酸性からなる電解液３０を充填できる反
応室３１及びその上側に連通させたセンサ収容部３２を
備えたケーシング３３と、該センサ収容部３２に所要の
部材を積層させた状態で配設し、そのセンサ収容部３２
の開口側上部から被せる蓋部３４とから構成されてい
る。

【００１２】そして、図４に示すように、このガスセン
サは制御部に接続され、ガスセンサで検出した信号を増
幅し、ゼロ調整及びスパン調整した後に出力信号端子か
らアナログ信号を出力する。

【００１３】図１及び図２に戻って、ケーシグ３３のセ
ンサ収容部３２に積層された状態で配置される部材は、
下部側を半分に分離する突出部３５を設け、且つこの突
出部３５が反応室３１の電解液３０に含浸するように配
置される多孔質部材３６と、突出部３５で分離された多
孔質部材３６の下部側面の其々に取り付けられる半円形
の導電性部材で形成された金属性メッシュの対極３７及
び参照極３８と、円形状の多孔質部材３６の上部面に配
置され且つ円形状の四方に舌片３９を設けた導電性部材
で形成された金属性メッシュの作用極４０と、作用極４
０の上部に設けた電解液３０の漏れを防止するフッ素樹
脂膜４１と、フッ素樹脂膜４１の円周端部を係止するＯ
リング４２と、図３に示すフッ素樹脂膜４１と蓋部３４
との間に位置させて配置した円形状の導電性部材で形成
された電磁波を遮蔽する遮蔽手段である金属製のメッシ
ュ４３ａからなる電磁波遮蔽部４３とから構成されてい
る。

【００１４】そして、組み立ての際には、対極３７、参
照極３８、作用極４０、電磁波遮蔽部４３の夫々はケー
シング３３のコーナに設けた対極用集電端子４４ｄ、参
照極用集電端子４４ｂ、作用極用集電端子４４ａ、電磁
波遮蔽部用集電端子４４ｃの接続片４５ａ〜４５ｄに電
気的に接続するように配置されている。この夫々の端子
４４ａ〜４４ｄはケーシング３３の下部側に配置した基
板４６に電気的な接続も兼ねた状態で接続されている。

【００１５】このようにして構成されたガスセンサにお
いて、電解液３０を介在させた作用極４０に対峙させた
状態で対極３７及び参照極３８とを配置した状態とな
る。そして、先ず蓋部３４の透孔３４の下部側の開口部
から被検出ガス４７（本実施例の場合、硫化水素）を含
んだ空気が自然流入してくると多孔質部材３６に至り、
作用極４０と反応する。そうすると作用極４０と参照極
３８は一定の電位で規制され作用極４０と対極３７に流
れる電流が変化する。この電流の変化を検出すれば所定
のガスが発生したことを検出することができる。

【００１６】図４は、このガスセンサの電解液で反応し
た被検出ガスの抵抗値を検出して比較及び増幅する回路
からなる制御部を示したものであり、ガスセンサの対極
３７と作用極４０、及び参照極３８と作用極４０とに一
定の電位を与える第１のコンパレータＩＣ１と、作用極
４０の電位変化を検出する第２のコンパレータＩＣ２
と、第２のコンパレータＩＣ２からの出力信号とゼロ調
整した信号とを比較する第３のコンパレータＩＣ３と、
第３のコンパレータＩＣ３の出力信号をスパン調整した
後に増幅してアナログ信号を形成する増幅器ＩＣ４とか
ら構成され、このアナログ信号は出力信号端子に出力さ
れる。

【００１７】さて、このようにして電位の変化に基づい
て被検出ガスを検出するようにしても、電位を検出する
コンパレータ等が正常に動作することが補償されていな
いと、誤った動作をすることになりガスセンサの測定精
度を著しく不安定なものにする。

【００１８】この誤動作をする要素の１つに最近の目覚
しく普及している携帯用電子機器、例えば携帯電話器に
代表される電磁波を発生させる機器による場合が多い。

【００１９】本願発明はこの電磁波を遮蔽する遮蔽手段
である電磁波遮蔽部４３を蓋部３４の内側開口側に設け
た構造となっているが、図５は、この電磁波遮蔽部４３
が実際に電磁波を遮蔽できることを実証した測定手法を
示したものであり、下記の表１はその測定データを表に
したものである。

【００２０】

【表１】

【００２１】測定に際しては、電磁発生器としてトラン
シーバー（ＫＥＮＷＯＯＤ社製、ＴＨー７９、ＰＢー３
２バッテリー）を使用し、発射場所を小さくするアンテ
ナ「ＤＩＡＭＯＮＤ、ＲＨ３」を使用する。そして、発
射する電波の周波数は４３５ＭＨＺと７４０ＭＨＺの両
者を使い、ガスセンサとの距離はＬ＝１５ｃｍとする。

【００２２】そして、電磁波遮蔽部４３を電気的にセン
サアンプのグランド（シグナルグランド（ＳＧ）や電源
グランドであるフレームグランド（ＦＧ）等の低インピ
ーダンスを基準にして出力信号端子からのアナログ信号
を測定器（オシロスコープ）で測定する。ここで、本願
実施例における測定する制御部（図４参照）において、
ＳＧは＋１．２３ボルト、ＦＧはゼロボルトである。

【００２３】又、測定の際には、図６に示すように、ト
ランシーバのＰＴＴをオンにしてから３０ｍｓ後にプラ
スピークの尖塔エネルギー（Ｐ点）の電圧値になり、Ｐ
ＴＴをオフしてから３０ｍｓ後にマイナスピークの尖塔
エネルギー（Ｑ点）の電圧値が安定的に出力される。

【００２４】上記に示した表１に示す測定値は、プラス
ピーク（Ｐ点）の電圧値を測定したものであり、２個の
周波数（４３５ＭＨＺ、７４０ＭＨＺ）で測定し、且つ
電磁波遮蔽部４３を取り付けない状態と、電磁波遮蔽部
４３を取り付けた状態とで測定する。そして、電磁波遮
蔽部４３を取り付けた時の測定は、基準となるグランド
をオープンした状態（ＯＰＥＮ）、信号レベルのグラン
ド（ＳＧ）、シャーシや電源となるバッテリのマイナス
側に相当するフレームグランド（ＦＧ）とに分けて夫々
２回の測定を行った。

【００２５】このような条件で行った測定結果から判断
すると、電磁波遮蔽部４３を取り付け、そのグランドを
ＳＧに接続すると、周波数４３５ＭＨＺで行った「ＯＰ
ＥＮ」と「ＳＧ」とのデータを比較、周波数７４０ＭＨ
Ｚで行った「ＯＰＥＮ」と「ＳＧ」とを比較すると、約
１０倍の効果があることが解る。

【００２６】又、電磁波遮蔽部４３を取り付け、そのグ
ランドをＦＧに接続すると、周波数４３５ＭＨＺで行っ
た「ＯＰＥＮ」と「ＳＧ」とのデータを比較、周波数７
４０ＭＨＺで行った「ＯＰＥＮ」と「ＳＧ」とを比較す
ると、約７倍の効果があることが解る。

【００２７】更に興味のある結果であるが、ガスセンサ
の開口部付近に金属が少ない（電磁波遮蔽部４３なしで
周波数４３５ＭＨＺ、７４０ＭＨＺで測定した結果を参
照）ほうが、金属のある場合（電磁波遮蔽部４３があり
で「ＯＰＥＮ」の状態で測定した結果参照）よりも、外
部からの電磁波の影響を受けにくいことが解る。

【００２８】従って、単に、ガスセンサの開口部に金属
物を配置するよりも、配置させて且つグランドに接続す
ることが必要である。

【００２９】

【発明の効果】上記説明したように、本発明に係る定電
位電解式ガスセンサは、被検出ガスを含んだ空気を自然
流入する開口部付近に、金属製のメッシュからなる電磁
波を遮蔽する遮蔽手段を設けた構造にしたことにより、
携帯電話等の携帯情報機器による電波が発生する領域で
あってもコンパレータ等の誤動作、誤測定を防止するこ
とができ、従来からの制御回路等を使用しても高精度に
ガスを検出することができると云う効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る定電位電解式ガスセンサを分解し
て示した斜視図である。

【図２】同定電位電解式ガスセンサを構成する部材の積
層状態を略示的に示した説明図である。

【図３】同定電位電解式ガスセンサの開口部に設けた金
属製のメッシュからなる電磁波を遮蔽する遮蔽手段であ
る電磁波遮蔽部の平面図である。

【図４】同定電位電解式ガスセンサを制御する制御部の
一部の回路である。

【図５】同定電位電解式ガスセンサとその制御部を用い
て電磁波遮蔽部の効果を測定するための、接続方法を略
示的に示した説明図である。

【図６】同定電位電解式ガスセンサとその制御部を用い
て電磁波遮蔽部の効果を測定するにあたり、測定データ
を採取するタイミングを示した説明図である。

【図７】従来技術における定電位電解式ガスセンサの構
造を略示的に示した説明図である。

【符号の説明】

３０；電解液、３１；反応室、３２；センサ収容部、３
３；ケーシング、３４；蓋部、３４ａ；透孔、３５；突
出部、３６；多孔質部材、３７；対極、３８；参照極、
３９；舌片、４０；作用極、４１；フッ素樹脂膜、４
２；Ｏリング、４３；電磁波遮蔽部、４４ａ〜４４ｄ；
端子、４５ａ〜４５ｄ；接続片、４６；基板

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】所定方向から被検出ガスを流入させるよう
   に開口した開口部と、該開口部に連通し且つ電解液を充
   填した反応室と、導電性部材で形成された作用極に前記
   電解液を介在させて配置した対極及び参照極とを備え、
   前記電解液と被検出ガスとの反応状態を前記作用極から
   電気的に取り出すようにして前記被検出ガスを検出する
   ようにした定電位電解式ガスセンサであって、前記開口
   部には電磁波を遮蔽する遮蔽手段を設けたことを特徴と
   する定電位電解式ガスセンサ。
2. 【請求項２】前記遮蔽手段は、金属製のメッシュで形成
   し、且つ該メッシュは信号グランド（ＳＧ）又はフレー
   ムグランド（ＦＧ）に接続するようにした請求項１に記
   載の定電位電解式ガスセンサ。