JPH11183258A - 赤外線放射温度計測装置 - Google Patents

赤外線放射温度計測装置

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JPH11183258A
JPH11183258A JP34982397A JP34982397A JPH11183258A JP H11183258 A JPH11183258 A JP H11183258A JP 34982397 A JP34982397 A JP 34982397A JP 34982397 A JP34982397 A JP 34982397A JP H11183258 A JPH11183258 A JP H11183258A
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JP
Japan
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infrared
infrared radiation
temperature
rotating body
chopper blade
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JP34982397A
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Eiichi Yokoyama
榮一 横山
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 赤外線放射温度計測装置において、赤外線放
射計測を効率的にできる方式を提供し、光学設計の自由
度を大きくして、小型、安価なシステムの実現を可能と
する。 【解決手段】 可視域画像を得るCCDカメラ15を備
え、CCDカメラ15は、回転ヘッド装置3のヘッドギ
ャップを同定できる分解能を持つ。このような可視域画
像を得るため、ゲルマニュームレンズで構成された赤外
線用光学系1の光軸上にハーフミラー2を配置し、赤外
線はこのハーフミラー2を透過させて赤外線用センサー
10上に結像させる。ハーフミラー2は、可視光のみを
反射させる機能を持っており、可視光と赤外線とを分離
するときの赤外線のロスが回避される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビデオテープレコ
ーダのように記録媒体に対して摺接される回転体を有す
る情報記録装置等において生ずる摩擦熱を媒介とした現
象を解明する赤外線放射温度計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ビデオテープレコーダの回転ヘッ
ドの如き回転体において記録媒体である記録テープと該
回転ヘッドのヘッドチップとが摺接しながら該記録テー
プが走行する場合、もしくは、いわゆるスチル(静止
画)モードにおいて記録テープが停止したまま回転ヘッ
ドが回転してこの回転ヘッドのヘッドチップと該記録テ
ープとが摺接する場合に、これら記録テープとヘッドチ
ップとの間の摩擦により生ずる熱を計測しようとする
と、測定対象が、例えば直径が数μmから数十μm程度
の微少な領域である場合には、正確に計る方法はなかっ
た。
【0003】このような場合について、サーミスターを
回転ヘッド上にマウントして接触式で温度を計測する技
術の提案がある。しかしながら、この技術においては、
計測のために加工が必要となり、この加工が施された結
果、加工が施されない実際の使用状態に一致する結果が
得られない虞れがある。
【0004】また、接触式の温度計測においては、セン
サーと計測したい対象との接触状態や接触条件を管理す
るのが極めて困難である。すなわち、記録媒体も回転体
の表面も、それぞれ異なった表面性状を持っており、熱
計測の観点でいえば、所謂サーマルアスペリティ(Ther
mal Asperity)が異なるからである。
【0005】このように、接触式の温度計測において
は、信頼性のある計測データが得られないとともに、セ
ンサーのサイズを、計測したい対象、例えばビデオヘッ
ドの摩擦熱を計測する場合においてはヘッド部の微少エ
リアに合わせた超小型のものとすることが要求される。
そして、このような超小型のセンサは、製造が不可能で
ある。
【0006】さらに、界面のトライボロジー(Trybolog
y)を究明するような場合においては、極めてわずかな
温度上昇も捉える計測確度が要求される。しかし、現状
において実用化されている赤外線温度計測装置では、充
分な計測確度が得られない。例えば、機械的ミラーで2
次元的にスキャンニングして計測を行う赤外線温度計測
装置が提案されているが、計測範囲を回転体の高速回転
に追従させることができず、計測範囲が限定され、主に
静止している物体を対象とするものである。また、この
ような赤外線温度計測装置は、微少領域計測には不向き
であり、回転体の任意の場所の温度計測などは不可能で
ある。
【0007】また、近年、電子的2次元走査を原理とし
た赤外線計測装置が提案されている。このような赤外線
計測装置は、赤外線イメージャーを有して構成されてい
る。赤外線イメージャーとしては、白金シリカを使用す
るもの、インジュームアンチモン(InAb)を使用するも
の、あるいは、酸化バナジュームを使用するものなどが
提案されている。これら赤外線イメージャーは、CCD
(固体撮像素子)に類似した2次元アレイを構成してい
るものである。しかし、充分に画素数の多いものは提案
されていない。また、いずれの赤外線イメージャーも、
感度を有する波長帯域は、3.0μm乃至5.0μm帯
であり、常温領域で最高感度を有する8.0μm乃至1
2.0μm帯については、S/N(シグナルノイズ比)
についての問題の解決が困難であり、実現していない。
【0008】対象物について計測すべき測定温度ディペ
ンドでの所望のピーク感度と、放射温度(K)との間に
は、ウィーンの変位則、すなわち、 λpeak・K=2897.8 という一定の関数式が存在する。特に、常温、例えば、
300K付近において摩擦による温度上昇範囲が数十K
の場合に、この計測を赤外線で行う場合には、計測の信
頼性が保証されない。常温より数十度の範囲での温度計
測を行う場合、検出感度帯域が8.0μm乃至12.0
μm帯のMCT(水銀−カドミューム−テレリューム)
が最適である。
【0009】赤外線放射を利用する温度計測では、計測
結果は、その赤外線放射エネルギーが物体の持つ絶対温
度の4乗、及び、その物体の赤外線放射率に比例する。
赤外線放射率は、酸化の状態や、光沢など、材料及び表
面性状に依存する。磁気テープが摩擦する際の温度計測
の如く、放射率が低く、摩擦熱がそれほど高くない場合
では、正確に温度計測する事が困難であった。例えば、
潤滑剤があるかどうかなどというシステムデザイン上で
のわずかな違いによる赤外線損失も、直接に、計測デー
タの信頼度、測定確度を失わせる事になる。
【0010】さらに、温度の測定場所を同定する方法に
ついても、改善が必要である。例えば、ファインダに、
赤外線画像そのものを表示するように構成された装置が
提案されている。しかし、このような装置においては、
ファインダ画像における分解能が足りない。なお、光学
的分解能は、波長をλ、対物レンズの開口数をNAとし
たとき、0.66λ/NAで決定される。
【0011】従来、赤外線のための光学系の光軸の中心
部に、可視域画像を得るための微少な反射ミラーを取り
付け、可視域と赤外線とを物理的な位置関係で分離する
ようにした装置が提案されている。このような光学系
は、カセグレン(Cassegrain)光学系と呼ばれ、多用さ
れているものである。また、図21に示すように、屈折
光学系でも、赤外線用光学系101の光軸中心に可視域
用の小さい傾斜ミラー102を配置するものが一般的な
技術であった。この装置においては、被写体面103よ
り発した光は、赤外線用光学系101により、チョッパ
ブレード104の外周部分上に集光される。このチョッ
パプレート104は、モータ105により回転操作され
る。このチョッパプレート104の外周部分には、開口
部及び折り曲げミラー108が設けられている。赤外線
用光学系101により集光された光は、チョッパプレー
ト104の開口部を通過すると、集光レンズ109によ
り、センサ面110上に集光される。また、センサ面1
10には、参照熱源107より発した赤外光が、集光レ
ンズ106、折り曲げミラー108及び集光レンズ10
9を介して、集光される。すなわち、センサ面110に
は、チョッパブレード104の回転により、被写体面1
03よりの光と、参照熱源107よりの光とが、交互に
集光される。一方、被写体面103より赤外線用光学系
101に向かう光の一部は、傾斜ミラー102により反
射されて、コリメータレンズ111を経て、ハーフミラ
ー112を透過し、集光レンズ113及びミラー114
を経て、CCD(固体撮像素子)センサ面115に到達
する。また、照明用ファイバ116より発せられた照明
光が、ハーフミラー112により反射され、コリメータ
レンズ111及び傾斜ミラー102を経て、被写体面1
03上に照射される。すなわち、CCDセンサ面115
を有するCCDの出力信号においては、照明用ファイバ
116よりの照明光により照明された被写体面103を
観察することができる。
【0012】これらいずれの構成においても、赤外線の
エネルギーは、可視光のために必要な小型傾斜ミラー1
02の面積に比例して損失する。このような赤外線エネ
ルギーの損失は、特に本案のような、常温近傍のわずか
な温度変化を計測する場合においては、致命的な計測エ
ラーの原因となる。例えば、図17に示すように、40
°Cにおいては、放射エネルギーは、300°Cにおけ
る放射エネルギーの1/10に低下する。
【0013】このような赤外線の損失は、レンズの口径
を大きくすることで回避することができる。しかし、赤
外線領域では、レンズは、透過特性の問題から、ゲルマ
ニュームレンズでなければならない。したがって、レン
ズ口径を大きくすることは、加工及び精度の確保が通常
の光学レンズに比較してかなり困難であり、また、装置
の価格を極めて高価なものとしてしまう。これは、レン
ズの口径を大きくするに伴って増加する収差の増大、及
び、加工品を検査する手段が、一般の光学機器において
使用される常套手段ではできないからである。例えば、
反射防止膜をゲルマニュームレンズ上に形成する場合で
も、反射防止膜の厚みdは、d=λ/(4√(n1・n
2))より、波長に比例するので、複雑、高価な加工と
なる。したがって、このような解決手段は、大型化や高
価であることを許容できるシステムにおいてのみ可能で
あり、最近のビデオテープレコーダやパーソナルコンピ
ュータのように、小型化が求められている電子機器に
は、不向きである。
【0014】そして、回転体を含めた多目的な熱計測の
場合、材料や形状の違い、表面性状の違いでの温度の相
対比較は、測定確度を得る観点でも重要であるが、バッ
クグラウンドからの赤外線放射光を削除する計測が必要
である。しかし、そのような機能を持ち、しかも回転体
に使用できる計測装置はなかった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】磁気記録において、サ
ーマルスタビリティー(Thermal decay in Magenetic p
roperty)の議論は、高密度記録を達成するために避け
ては通れない。一方、ビデオヘッド表面のメカノケミカ
ル反応、ブラウンステイン/ホワイトステイン等の発生
メカニズムとヘッド/テープ界面での摩擦熱との関係
は、急を要する解決すべきテーマである。そして、上述
したように、赤外線放射を原理とする常温付近での温度
計測の最大の欠点として、バックグラウンドからの赤外
線放射光の影響がある。また、赤外線放射率を正確に同
定できない欠点がある。
【0016】すなわち、本発明は、上述の実情に鑑みて
提案されるものであり、摩擦熱を非接触(In-Situ and
non destructive)で計測する赤外線放射温度計測手段
に関する光学設計手段に関係し、複数ポイント計測とそ
の差分データからそれらのアンビィギューイティを相殺
できる計測方法に関与する。
【0017】本発明は、磁気記録再生装置におけるヘッ
ドと記録再生媒体界面で発生する摩擦熱を非接触、非破
壊で、かつ、常温に近い試料からの低い赤外線放射エネ
ルギでも計測できるようにしようとするものである。ま
た、本発明は、常温付近の温度測定で問題になるバック
グラウンドからの赤外線放射光を削除して計測できるこ
ととし、ミクロンサイズ、例えば、ビデオヘッドを構成
する複合材料個々に、微少熱計測領域を実現しようとす
るものである。
【0018】さらに、本発明は、計測精度を確保するた
めに、既知の温度で制御された参照熱源を赤外線用光学
系の光軸に導いて放射温度計測の絶対較生する手段、記
録再生媒体の赤外線放射率を効果的に活用した計測手段
等を設け、ヘッド及び磁気テープ界面でのトライボロジ
ーを解明するために有用な赤外線放射温度計測装置を提
供しようとするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
め、微小な領域である測定場所を精度よく同定するた
め、本発明に係る赤外線放射温度計測装置は、CCD
(固体撮像素子)カメラの如き可視域の画像を得る手段
を備えている。この手段は、例えば、回転ヘッド装置に
おけるヘッドギャップを同定できる分解能を持つ。この
ように可視域の画像を得るため、ゲルマニュームレンズ
で構成された赤外線用光学系の光軸上にハーフミラーを
配置し、赤外線はこのハーフミラーを透過させて赤外線
用のセンサー上に結像させる。ハーフミラーは、可視光
のみを反射させる機能を持っており、可視光と赤外線と
を分離するときの赤外線のロスが回避される。
【0020】そして、ビデオテープレコーダの回転ヘッ
ド装置の如き回転体である測定対象物上の複数の測定位
置が、赤外線用光学系の光軸上をよぎる時間は、時間変
動を伴う。そこで、回転体の1回転毎に位相同期発振す
る回路を用いて回転体の正確な位置を同定し、かつ、回
転体が外乱の影響を受けてもそれに追従できる即応型と
している。なお、いわゆるPLL方式では、1回前の回
転情報をも含むデメリットがあるので、これを改善した
ものである。さらに、この赤外線放射温度計測装置にお
いては、回転体と同期回転するチョッパブレードの閉口
部を位相同期させることとしている。
【0021】また、この赤外線放射温度計測装置は、複
数箇所の測定場所を個々に特定するためのサンプリング
ゲート生成回路からなる計測位置の特定手段を有してい
る。さらに、測定点のバックグラウンドからの赤外線放
射光の影響を削除できるように、差分検出を、例えば、
ヘッド摩擦部分やテープとドラム表面接触部分等の複数
のポイントで行える計測手段が設けられている。
【0022】この赤外線放射温度計測装置は、チョッパ
ブレードの1回転毎に1回、チョッパブレードの閉口部
を通過する赤外線信号のレベルを較正できる外部参照熱
源及びリレーレンズ光学系を内蔵している。なお、この
較正において、センサへの入射の立体角は、実際の計測
時と同じ約15ステラジアンにする。そして、チョッパ
ブレードの表面の一部には、異なる熱抵抗、熱分布を発
生する手段が設けられており、これによる温度較正手段
がある。
【0023】PET(ポリエチレンテレフタレート)や
PEN(ポリエチレンナフタレート)等の高分子材料を
磁気記録再生媒体のベースとする場合において、摩擦熱
を赤外線放射計測する場合では、図9に示すように、赤
外線の吸収スペクトルを効果的、選択的に利用し、放射
率を最大限活用することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る赤外線放射温
度計測装置の実施の形態について、図面を参照しながら
詳細に説明する。
【0025】この赤外線放射温度計測装置においては、
図1に示すように、被写体面3より発した光は、赤外線
用光学系1により、チョッパブレード4の外周部分上に
集光される。このチョッパプレート4は、モータ5によ
り回転操作される。このチョッパプレート4の外周部分
には、開口部64及び折り曲げミラー8が設けられてい
る。赤外線用光学系1により集光された光は、チョッパ
プレート4の開口部64を通過すると、集光レンズ9に
より、MCTセンサ10の受光面上に集光される。ま
た、MCTセンサ10の受光面には、参照熱源7より発
した赤外光が、集光レンズ6、折り曲げミラー8及び集
光レンズ9を介して、集光される。すなわち、MCTセ
ンサ10の受光面には、チョッパブレード4の回転によ
り、被写体面3よりの光と、参照熱源7よりの光とが、
交互に集光される。一方、被写体面3より赤外線用光学
系1に向かう光のうちの可視光成分は、図3に示すよう
に、モニタ用ハーフミラー2により反射されて、図1に
示すように、コリメータレンズ11を経て、照明用ハー
フミラー12を透過し、集光レンズ13、ミラー14及
び拡大レンズ17を経て、CCD(固体撮像素子)セン
サ面15に到達する。また、照明用ファイバ16より発
せられた照明光が、照明用ハーフミラー12により反射
され、コリメータレンズ11及びモニタ用ハーフミラー
2を経て、被写体面3上に照射される。すなわち、CC
Dセンサ面15を有するCCDの出力信号においては、
照明用ファイバ16よりの照明光により照明された被写
体面3を観察することができる。
【0026】CCDセンサ面15は、CCDイメージャ
ーのセンサー面である。拡大レンズ17は、リアコンバ
ージョンレンズである。ミラー14は、光軸を90度偏
向させるためのミラーであり、図示しない微調整機構を
有している。集光レンズ13(f=120mm)、コリ
メータレンズ11(f=60mm)及びモニタ用ハーフ
ミラー2は、可視光学系を構成している。これは、被写
体面3、例えば、ビデオテープレコーダの回転ヘッド装
置のヘッドギャップ位置を正確に確認する機能を持ち、
75ミクロンの視野内の画像を倍率β=−4.0、さら
に、モニター倍率(CCD Imager size × Monitor si
ze)がかかった所定の大きさでテレビモニター画面の中
央に表示されるよう、ミラー14の微調整機構により調
整される。
【0027】照明用ファイバ16は、可視画像のための
照明用光ファイバーバンドルである。照明用ファイバ1
6は、照明用ハーフミラー12、可視光と赤外線とを分
けるモニタ用ハーフミラー2を経由し、被写体3である
回転ヘッドのヘッドギャップ部分を均一に証明する。な
お、照明用ファイバー16を介して照明する光源は、そ
の光量が任意に調整される機能を有し、対象測定物の反
射率を勘案し最適化される。
【0028】従来の赤外線放射温度計測装置において使
用されていた傾斜ミラー102は、ガラスロッド(ソー
ダーガラス:屈折率n=1.5)で構成され、反射面に
はアルミ蒸着膜が使われている。この傾斜ミラー102
は、ゲルマニューム屈折光学系のウィンドー上に、例え
ば接着剤で取り付けられるか、あるいはカセグレン光学
系の場合では、空間に支持する機構などがいるので、装
置構成を複雑にしていた。
【0029】この赤外線放射温度計測装置における赤外
線用光学系1は、ゲルマニューム屈折光学系であって、
3枚構成のレンズからなり、チョッパブレード4の開口
部64に一旦収束させ、集光リレー光学系である集光レ
ンズ(倍率β=−1.0)9を介して、赤外線センサー
であるMCTセンサ10の受光面に結像させるものであ
る。集光光学系は、倍率β=−2.0、NAは被写体側
で0.25、センサー側で0.125である。
【0030】この実施の形態では、光学倍率は2倍、す
なわち、0.1mm角のセンサーサイズに100μmX
50μmの楕円(サジスタル)のビームプロファイルを
意識的に形成させており、ゲルマニュームで作成された
モニタ用ハーフミラー2の厚みの選択でそれを得てい
る。
【0031】計測対象が、いわゆる「8mmVTR」の
回転ヘッドである場合、ドラムの曲率半径が6mm乃至
8mm、テープとヘッドとが接触しているエリアはヘッ
ドギャップから長手方向±200μmである。メリジオ
ナル方向については、ヘッドトラック幅が25μmであ
りガラス溶着部を含めて50μmである。このようなヘ
ッド表面での摩擦熱を選択的に集光する観点で、ビーム
プロファイルを変えてある。
【0032】さらに、液体窒素のデュワー付きのMCT
センサ(赤外線センサ)10のFOV(Field of Vie
w)は、15度の角度に保ち、センサー内にはコールド
アパーチャーを設け、被写体以外からの不要な赤外線の
入射を制限して、測定精度確保を容易にしている。コー
ルドアパーチャーは、金属性アパーチャーであり、液体
窒素温度に冷却されるので、周囲からの余分な熱は通過
できない構造になっている。これは、ヘッドとテープと
の実質的接触部以外からのいかなる熱も削除するためで
ある。
【0033】温度計測の絶対較正のために参照熱源7か
ら放射される赤外線は、参照熱源リレー光学系である集
光レンズ6(倍率β=−1.0)を経由して、チョッパ
ブレード4上であって開口部64を阻害しない位置に取
り付けられた直角三角形の折り曲げミラー8で反射さ
れ、MCTセンサー10に導く。直角三角形の折り曲げ
ミラー8は、表面がアルミ蒸着されたものである。この
折り曲げミラー8が参照赤外線を反射するのは、参照熱
源7とリレーレンズ系である集光レンズ6とが45度の
角度で相対する場合であり、チョッパブレード4が1回
転する間に1回である。よって、チョッパブレード4の
1回転に1度、外部参照熱源7を使って既知の温度でレ
ベルを較正する事ができる。このような較正をするため
の時間関係とその時の波形は、図5に示すように、チョ
ッパブレード4の回転に同期した周期的な信号となる。
【0034】参照熱源7は、カーボン(放射率=1.
0)をペルチェ素子で加熱し、このカーボン上に磁気テ
ープの磁性面を貼り、テープ背面から赤外線を放射させ
るものである。カーボンの温度は、接触式の温度計で測
定する。そして、較正は、任意の温度で行えるように、
設定温度は任意に可変される。また、カーボンの温度
は、サーボループを付加し、一定に制御されている。
【0035】このように、同じ放射率を持つ磁気テープ
経由で較正すれば、テープ背面からの放射率εの放射エ
ネルギー、E=δεT(4乗)に対する影響は相殺で
き、装置ファクター、ミラーの光学定数の補正のみで較
正が可能になる。
【0036】チョッパブレード4は、図2に示すよう
に、表面が放射率の高い黒アルマイト処理された薄い円
盤でできている。このチョッパブレード4の周囲側部分
には、均等に小径の開口部64が設けられている。この
実施の形態では、開口部64の直径は、1.4mmであ
り、シャッター部(遮蔽部)との比は50:50であ
る。この開口部64での収束ビーム径の直径は、0.1
mmである。回転体が保有するジッターの影響をこの開
口部64において受けることはない。開口部64を通過
した赤外線は、MCTセンサー10の受光面のサイズ
(この実施の形態では0.1mm角)に結像する。赤外
線用光学系の光軸を遮る位置とチョッパブレードの開口
部64の位置との制御は、図7に示すように、モーター
5をサーボ回路で制御することにより、チョッパブレー
ド4の回転の周波数を制御することにより行う。
【0037】例えば、30Hzで回転するビデオテープ
レコーダの回転ヘッドとテープとの摩擦によりヘッド界
面で発生する摩擦熱を計測する場合では、チョッパブレ
ード4は、回転周波数が30Hzとなされ、回転ヘッド
の回転と位相同期回転するように、サーボ制御がなされ
る。これによって、ビデオヘッドの回転位置と時間を、
チョッパブレード4の開口部64の中心と合わせること
ができる。開口部64の数は、図18に示すように、M
CTセンサーの1/fノイズを避けるよう、つまり交流
信号に変換されるその周波数が400Hz以上となるよ
うにしており、この実施の形態では、48個(1440
Hz)にしてある。
【0038】チョッパブレード4には、図示しないフォ
トセンサーに図示しない発光素子(LED)の光を1回
転に1度与えるための穴65が設けられている。これ
は、回転体の位置を決定して位相サーボを行うための光
学的手法である。もっとも、チョッパブレード4の位置
のサーボ制御は、磁気的手段、例えば、チョッパそのも
のでなくモーター側に設ける事もでき、通常のビデオテ
ープレコーダにおけるドラムサーボのように、PG(位
置出し)、FG(回転制御)によって可能である。
【0039】チョッパ出力波形とレベル検出のためのA
/D サンプリングゲートパルス(Sampling Gate Puls
e)とのタイミング関係並びに出力波形は、図4に示す
ように、シャッター開口部区間40(図2に示す開口部
64に相当する)と赤外線を遮断する部分であるシャッ
ター部区間41との繰返しの周期的信号となる。図7に
示すように、ヘッド53からの信号は、ヘッドが赤外線
用光学系の光軸中心をよぎる時間に、チョッパブレード
4の開口部64と位相を合わせると、図4に示すよう
に、波形42のようにレベル及び波形が変化する。この
ようなレベルの変動は、ヘッドからの摩擦熱に依存す
る。回転体の回転ムラ、テープ走行系からの外乱によっ
て波形は多少左右に変化する。後述のようにA/Dサン
プリングゲートパルス43は、常に、波形42の中心に
制御されている。
【0040】チョッパ出力波形の較正時には、図5に示
すように、波形が変化する。参照熱源7の温度を変化さ
せれば、その変化に追従した出力が、図5中領域70に
おいて、波形71,72,73のように変化して表れ
る。波形cは、チョッパブレード4の表面から放射され
るエネルギーによる検出センサ出力電位、波形dから波
形eの変化は、参照熱源7の温度の変化で変わり、波形
aから波形bへ落ち込む変化はヘッド摩擦熱の変化を表
す。これの変動分はサンプリングゲートパルス43,7
4,75で所定の位置が選ばれて較正される。複数のポ
イントに計測点を拡張するのは、差分データを得る上で
必要であり、それぞれのサンプリングゲートパルス4
3,74,75の計測位置は、任意に移動される。これ
らサンプリングゲートパルス43,74,75によりサ
ンプリングゲートされ、バックグラウンドの放射光を相
殺するために、差分データとして計測される。
【0041】チョッパ出力波形を較正する場合には、も
う一つの手段がある。すなわち、図6に示すように、部
分的なレベルの変化は、チョッパブレード4に設けられ
たフォトセンサー及びLEDのための穴65によって発
生する空冷効果によるわずかな温度変化が、出力レベル
変化となる事例であり、これを較正手段として活用する
ものである。チョッパブレード4の両面側には、図8に
示すように、フォトセンサー62及びLED63が設け
られている。すなわち、センサー出力のうち、チョッパ
ブレードの穴65に対応する位置では、図6に示すよう
に、レベル及びオフセット変化が発生し、レベルb1か
らレベルb2、レベルa1からレベルa2のように変化
する。
【0042】このように、チョッパブレード4の局部的
熱抵抗に従った熱分布の違いは、較正に利用できるもの
である。すなわち、LED63を加熱媒体に変更し、回
転中その一部の局所部分にだけ熱分布違いを発生させ、
検出器62で局所的な差を検知することとすれば、較正
できる手段として活用できる。
【0043】信号検出のための回路は、図7に示すよう
に、回転ヘッド装置のドラムに設けられたPG(位置出
し用パルスジェネレータ)50と、このPG50に接続
された位相同期発振器51と、サーボ回路52とを有し
て構成される。回転しているヘッドが赤外線用光学系の
光軸中心をよぎる時間は、回転体の回転ムラ、テープ走
行系からの外乱によって変化する。ドラムシリンダーに
搭載したビデオヘッドが持つ回転中のジッターをPG5
0で検出し、位相同期発振器51のクレイアス回路を位
相同期発振させ、任意タイミングをカウンターで生成す
る。
【0044】回転ヘッドのドラム53からの赤外線放射
エネルギーは、リレーレンズ光学系を経てMCTセンサ
ー10の受光面に結像する。MCTセンサー10の出力
は、プリアンプ55で2000倍に増幅され、12ビッ
トA/Dコンバータ56に送られる。この12ビットA
/Dコンバータ56では、この12ビットA/Dコンバ
ータ56をイネーブルにするタイミング信号発生器57
の制御に従い、チョッパ出力が選択的にA/Dされ検出
される。
【0045】そして、回転ヘッドのドラムのジッターに
リンクした信号検出用サンプリングパルスによって、回
転中のドラムが、ちょうど赤外線用光学系の光軸の中心
位置に来た時のセンサー出力を検出可能とする。なお、
いわゆるPLL回路では、回転体の外乱によるインデイ
シャル応答が計測タイミングに不適合であり、使用でき
ない。
【0046】一方、チョッパブレード4の回転も、サー
ボ回路52で制御され、回転体であるドラム53に位相
同期される。チョッパブレード4の回転により、その開
口部64を通しての出力が光軸中心位置にあるドラム5
3からの信号である事を可能にするには、サーボ回路5
2にサーボロック位相を可変にする位相器を設ければ実
現できる。
【0047】さらに、チョッパブレード4も回転ムラ、
すなわち、残留サーボエラーを発生する。これに対応す
るには、チョッパブレード4の開口部64の径(この実
施の形態では1.4mm)を、ジッター(0.006
%)を勘案した径として、チョッパ出力信号の中心をサ
ンプリングする事で、ジッターフリー検出とする。
【0048】ここで、図16に示すように、真実接触点
の摩擦熱による温度上昇について説明する。一辺が2L
という正方形の突起が滑る場合の接触部の温度Tと両方
の固体の温度と、ほぼ室温Taとの差、すなわち、摩擦
熱による温度上昇(T−Ta)は、以下の〔数1〕、
〔数2〕で求められる。
【0049】
【数1】
【0050】
【数2】
【0051】速度が大きい場合の温度上昇は、速度が小
さい時のように、速度vの1乗に比例しない。すなわ
ち、ゆっくりと速度の1/2乗に比例して増加する。接
触部が半径2aの円形としたときは、L=0.885a
で、面積が同じとして求められる。
【0052】また、ある程度以上に加重が大きいときで
は、表面突起がすべて押しつぶされて平滑面と同様の接
触をするので、真実接触面積が加重Wの2/3乗に比例
する。そこで、摩擦係数は、Wの1/3乗に比例する。
しかしビデオテープレコーダのテープの走行時の加重
は、通常、タンジェンシャルフォースで6mN乃至7m
Nで、ノーマルフォースでは1mN乃至2mNであり、
塗布型の磁性媒体の表面性状には、図19及び図20に
示すように、ほとんど変化が表れない。
【0053】そして、みかけの接触面と真実接触してい
る面の温度とは違う。固体の接触面での真実点は、幾つ
かの点で形成され、それぞれが剪断によって破壊され、
また、別の点で形成され、みかけの接触面で移動する。
剪断破壊が起こるごとに、瞬間的に高温になり、これを
フラッシュ温度(Flash Temperature)と呼ぶ。本発明
において測定するのは、みかけの接触面での平均温度計
測である。
【0054】
【数3】
【0055】ρ/dλは、物体表面の単位面積から、単
位時間あたりに放射されるエネルギーに対応し、放射が
均一、等方的とみなせれば半球面放射強度になる。した
がって、ρ/πが単位立体角(ステラジアン)あたりの
放射強度である。
【0056】すなわち、赤外線放射にあっては、図17
に示すように、E=εδT4で示されるように、常温付
近での物体からの赤外線放射エネルギーが弱い。放射エ
ネルギーが絶対温度の4乗に比例するからである。
【0057】300Kの場合で、放射エネルギーを試算
してみる。赤外線放射率ε=0.6とし、ステファンボ
ルツマン、δ=5.67x10−12W/cm2・K4
とすると、0.6x5.67.10−12x3004=
27.54W/cm2であり、1°C温度が異なると、
dW/dT=4εδT3=0.016W/cm2・Kと
なる。
【0058】比較的低温、常温近傍でピーク感度を有す
る赤外線センサとしては、赤外線領域(8.0μm乃至
12.0μm帯)に感度を有する必要がある。従来の量
子型赤外線センサーは、3.0μm乃至5.0μm帯に
感度を有しているので、常温近傍の赤外線センサとして
は、充分でない。
【0059】例えば、MCT(HgCdTe)センサー
の場合では、Hg1−xCdxTe(77K)でのxの
値は0.2乃至0.3であり、これによるエネルギーギ
ャップの変化の波長依存性は、0.08eV乃至0.2
2eVである。検出するための波長λ、そのピーク(ラ
ムダピーク)と温度(K)との積は一定で、測定温度3
00K付近では9.65μmがピークになる。センサー
のカットオフ特性を決定する波長とエネルギーギャップ
との関係式は、λ(μm)≦1.24/Eg(eV)で
与えられ、所望のピーク感度と放射温度(K)との間に
はウィーンの変位則(λpeak・K=2897.8)に
従った一定の関係式があるからである。
【0060】このように、波長が長い(常温近傍の温
度)赤外線画像を得るためのセンサー(イメージャー)
は、エネルギーギャップが小さいセンサーであり、S/
N(シグナルノイズレシオ)の確保は困難である。その
上、極めて小さい測定エリア、例えばビデオテープレコ
ーダのテープとヘッドとの接触時の、50μm径の部分
からの放射を、レンズに入射する立体角14.47度
(Sinθ=NA,NA=0.25)でコンパクトに実
現する視点から、MCTセンサーの波長シフトを行う。
これは、Hg1−xCdxTeのxを変える事で実現で
きる。
【0061】この場合のxの最適解は、計測温度範囲に
最高ピーク感度をもたせることと、磁気テープ自身が保
有する赤外線領域の吸収スペクトラム、放射率を効果的
に活用できる波長帯で計測すべきである。図9から、そ
れは7.5μm乃至9.0μmとなる。なお、磁気テー
プでの3.0μm乃至5.0μmでの放射率はほぼ20
%以下でありS/N確保上問題があるのは明白であろ
う。
【0062】ビデオテープレコーダに使用される磁気テ
ープは、高分子材料からなるベースフィルムがあり、そ
の上に磁性媒体が塗布もしくは蒸着されて構成されてい
る。標準的ないわゆる「8mmVTR」の塗布型テープ
では、8μm厚みのPET(ポリエチレンテレフタレー
ト)、長時間使用のための薄いテープでは、PEN(ポ
リエチレンナフタレート)、データストリーマー等の耐
久性を要求されるものでは更に薄い、4μm厚みのポリ
アラミド等が使用されている。これらベースフィルム上
に、1μm乃至2μmの磁性層が形成されている。
【0063】FTIR(フーリエー変換赤外線分光装
置)による赤外線分光スペクトルを、図9に示す。吸収
と透過の特性は、PETを構成するエステル基の振動、
伸縮運動、回転運動などによって異なる。図9では、厚
み9.2ミクロンのPETの例を示しているが、112
0カイザーと1280カイザーのウエーブナンバーに吸
収特性を持ち、この波長における赤外線放射率は特に高
い。この吸収特性の裏返しがほぼ放射率を示している。
さらに詳細は、図10、図11及び図12に示してい
る。
【0064】テープの磁性面で発生した摩擦熱がベース
フィルムの吸収特性で熱を一旦溜めてテープ背面から2
次放射する。キルヒホッフの法則は「放射能と吸収能は
温度と波長の関数でその比は同温度の完全黒体の放射能
に一致する」ことを意味し、よって、物体の吸収率をA
(λ、T)、放射率ε(λ、T)とするとA=εとな
る。
【0065】したがって、赤外線センサーの波長感度特
性は、これらテープの放射特性を勘案して決定すべきも
のである。光学的バンドパスフィルターをデュワー付き
赤外線センサーのウィンドウ上に形成するのは容易であ
り、周囲の計測に不要な波長、迷光を削除し、または、
テープ特性の違いに存在した選択性を持たせる等により
測定確度を上げることができる。
【0066】テープ表面温度T(surf)は、このP
ETフィルムの放射率とは別に、影響を受けるものであ
る。外部に加熱物体があるとかバックグラウンドからの
放射を受ける場合があり、摩擦熱に依存する放射熱と分
離した計測が必要となる。回転時も静止時も、テープの
放射率εに変化はなく、摩擦の影響がない静止状態で一
旦計測し、回転時の摩擦部分からの熱と差分を取る。こ
のようにして表面温度は相殺できる事になる。したがっ
て、摩擦熱を分離できる事になる。しかも、本発明にお
いては、回転体の静止状態でのテープ表面温度は簡単に
計測できる。これらデータは、遂一回転時との差分デー
タを取るために、一旦パソコン上にストアされ、それら
は任意場所のデータと参照されて、最終計測データとす
ることができる。このように、本発明においては、テー
プの放射率を含んだ情報として複数のデータを参照でき
るメリットがあり、信頼性が高い。
【0067】本発明のケースの摩擦熱は、ドラムシリン
ダーの回転により発生し、一旦PETフィルムの内部に
吸収され、2次的に再放射するエネルギーを計測するも
のであり、表面温度との差異は明白であろう。もしPE
Tフィルムが測定領域(8μm乃至12μm)で透過特
性のみであるなら、摩擦と限定した現象の熱ではない。
PETフィルムの厚み方向で透過、反射(多重反射)を
繰り返し外部に放射するエネルギーは少なく、厳密なる
熱計測はできないことになる。
【0068】高分子材料であるPET内での放射光の総
量と放射率の関係は、次式で表される。
【0069】ε=(1−r)・(1−t)・(1−(r
t)n/(1−rt)) ここで、r<1.0、t<1.0の条件では、1−(r
t)n→1.0となり、 ε=((1−r)・(1−t))/(1−rt) ゲルマニュームレンズ(屈折率n=4.0)の反射防止
膜は、本発明では、8.0μm乃至12.0μmの波長
をカバーするように選定される必要がある。この反射防
止膜は、2種類の屈折率を持つ材料の薄膜が交互に多層
コーティングされて構成される。反射率は、図13に示
すように、98.0%が確保されている。
【0070】可視光と赤外線とを分離させるモニタ用ハ
ーフミラー4の光学特性は、透過率が、図14に示すよ
うに、赤外線を透過させるものであり、45°入射での
反射率が、図15に示すように、可視光のみを反射させ
るものとなっている。このモニタ用ハーフミラー4は、
ダイクロイックミラーの作成と同様に、異なる屈折率の
材料を多層膜として交互に蒸着して成膜して形成する。
【0071】次に、可視光用光学系と赤外線用光学系と
の光軸のアライメントについて説明する。赤外線用のゲ
ルマニュームレンズの光軸中心に較正用アパチャー(5
0μmφ)を置き、ミラー14に付属する微細な調整機
構で、可視光画像の光軸を上下左右に可変し、モニター
画像上の中心に較正用アパーチャー(50μmφ)を写
し出す。この点を測定場所として、この条件で赤外線放
射エネルギーを最大になるようアライメントする。計測
したい測定位置の同定は、以後測定場所を可視画面中央
に設定すればよい。
【0072】ミラー14に付属する微細な調整機構は、
所定の測定点を可視CCDカメラで確認し、その場所で
の赤外線放射が最大になるように、赤外線屈折光学系を
位置合わせするものである。赤外線放射が最大になる
時、測定場所が可視の画像の中心になるように調整す
る。
【0073】この結果、測定したい場所を画面中央に選
定すれば、その中心の50μmφ(較正用アパーチャー
の径)のみの赤外線が、レンズで集光されることとな
る。
【0074】
【発明の効果】上述のように、本発明に係る赤外線放射
温度計測装置においては、測定エリアを観察する可視光
画像の解像度が確保されるので、赤外線観察画像による
計測位置を、可視光により確認できる。また、この赤外
線放射温度計測装置においては、可視光光学系の付加に
よる赤外線放射エネルギーの損失が防止されている。そ
して、回転体とこの回転体に接触して移動もしくは静止
する媒体との摩擦による赤外線放射からの信号検出の精
度を確保することができる。
【0075】すなわち、本発明によれば、赤外線の放射
エネルギーが極めて弱い場合、例えば常温近傍の温度上
昇であって、かつ、バックグラウンドからの赤外線放射
光の影響を受ける条件での温度測定が行える。したがっ
て、回転体とその媒体の界面で生ずる数μmオーダーの
微少領域の熱計測が、かかる条件下であっても正確にで
きる。
【0076】すなわち、本発明においては、可視域の反
射ミラーを赤外線屈折光学系の一部に設置する場合のよ
うに、これによる光量の低下を補うために光学系の各要
素設計のサイズ拡大が必要になることがないので、特殊
なゲルマニュームレンズ口径を大きくして収差補正光学
系の追加や大口径レンズ加工という困難性が回避できる
だけではなく、小型機器の温度計測を非接触、非破壊で
実現できるようになった。本発明は、赤外線放射計測を
効率的にできる方式を提供するものであり、光学設計の
自由度をその分大きくでき、小型、安価なシステムの実
現を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る赤外線放射計測装置の構成を示す
側面図である。
【図2】チョッパブレードの構成を示す正面図である。
【図3】上記赤外線放射計測装置におけるモニタ用ハー
フミラーの構成を示す側面図である。
【図4】チョッパ出力波形、絶対較正の第1の構成を説
明するグラフである。
【図5】チョッパ出力波形、絶対較正の第2の構成を説
明するグラフである。
【図6】チョッパ出力波形、絶対較正の第3の構成を説
明するグラフである。
【図7】チョッパ出力信号検出回路の構成を示すブロッ
ク図である。
【図8】チョッパブレードによる較正法を説明する側面
図である。
【図9】PETフィルムのFTIRスペクトルデータを
示すグラフである。
【図10】PETフィルムの放射率データを示すグラフ
である。
【図11】PETフィルムの反射率データを示すグラフ
である。
【図12】PETフィルムの吸収スペクトルを示すグラ
フである。
【図13】ゲルマニウム(Ge)レンズのARコートの
分光透過率を示すグラフである。
【図14】モニタ用ハーフミラーの分光透過率を示すグ
ラフである。
【図15】モニタ用ハーフミラーの分光反射率を示すグ
ラフである。
【図16】真実接触点の摩擦熱による温度上昇を説明す
るための断面図である。
【図17】放射スペクトルと温度との関係を説明するデ
ータを示すグラフである。
【図18】MCTセンサの1/fノイズのデータを示す
グラフである。
【図19】ビデオテープのヘッドの接触による変形状態
を示す斜視図である。
【図20】ビデオテープのヘッドの接触による変形状態
を示すグラフである。
【図21】従来の赤外線放射計測装置の構成を示す側面
図である。
【符号の説明】
1 赤外線用光学系、2 モニタ用ハーフミラー、3
被写体面、4 チョッパブレード、5 モータ、6 集
光レンズ、7 参照熱源、8 折り曲げミラー、9 集
光レンズ、10 MCTセンサ、15 CCDセンサ面

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可視光を利用して画像を得る第1のイメ
    ージャと赤外線を利用して画像を得る第2のイメージャ
    との複数の光学的手段を有する画像装置であって、 上記第1及び第2のイメージャの光学系は、入射側にお
    いて光軸が互いに一致しており、ハーフミラーを介して
    入射光束を分岐させて、各別のセンサに光束を入射させ
    ることを特徴とする赤外線放射温度計測装置。
  2. 【請求項2】 回転体とこの回転体に接触して移動もし
    くは静止する媒体との摩擦による赤外線放射を検出する
    にあたって、 上記回転体に位相及び周波数が同期されて回転操作され
    第2のイメージャの光学系の光路を周期的に遮るチョッ
    パブレードと、 信号検出のためのサンプリングゲートパルスを上記チョ
    ッパ回転体の回転周波数に同期させるとともに、クロッ
    ク位相を任意に設定できる制御手段とを設け、 上記制御手段は、サンプリングゲートを任意の複数箇所
    で行い、差分データをとる手段により、バックグラウン
    ド放射光を削除することを特徴とする請求項1記載の赤
    外線放射温度計測装置。
  3. 【請求項3】 チョッパブレードの表面に配置され、少
    なくともチョッパブレードの1回転に1回の赤外線放射
    エネルギーを第2のイメージャの赤外線センサに入力さ
    せる赤外線用反射鏡と、 回転体から放射される摩擦による赤外線放射エネルギー
    の信号検出を絶対較正する手段とを備え、 第2のイメージャにおける赤外線センサ出力の信号検出
    レベルを絶対較正することを特徴とする請求項2記載の
    赤外線放射温度計測装置。
  4. 【請求項4】 チョッパブレードの回転中にこのチョッ
    パブレードに直交する方向より該チョッパブレードの表
    面に対して時間的、離散的な熱放射分布を与える熱源
    と、 上記熱源により熱放射分布を与えられた箇所と他の箇所
    との熱分布の違いに基づいて、チョッパブレードの開口
    部を介して入射する赤外線エネルギーに依存した検出信
    号を較正することを特徴とする請求項3記載の赤外線放
    射温度計測装置。
  5. 【請求項5】 回転体とこの回転体に接触して移動もし
    くは静止する媒体との摩擦による摩擦熱を検出するにあ
    たって、 磁気記録再生媒体及び高分子材料の赤外領域の複数の吸
    収スペクトラムの中で放射率の高い領域である7.5μ
    m乃至9μm帯で放射される赤外線にピーク感度が略々
    一致されたセンサと、 上記センサの前面側に配置され、上記7.5μm乃至9
    μm帯から外れた不要なスペクトラムを削除する光学フ
    ィルタとを備えたことを特徴とする請求項1記載の赤外
    線放射温度計測装置。
JP34982397A 1997-12-18 1997-12-18 赤外線放射温度計測装置 Withdrawn JPH11183258A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US9431639B2 (en) 2009-10-30 2016-08-30 Sony Corporation Battery and a package for a battery

Cited By (2)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9431639B2 (en) 2009-10-30 2016-08-30 Sony Corporation Battery and a package for a battery
US10305071B2 (en) 2009-10-30 2019-05-28 Murata Manufacturing Co., Ltd. Battery package including blackbody material layer and nonaqueous electrolyte battery including the same

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