JPH11182408A

JPH11182408A - 風車翼取付装置

Info

Publication number: JPH11182408A
Application number: JP9345049A
Authority: JP
Inventors: Yasuhiko Fujiwara; 靖彦藤原
Original assignee: Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Current assignee: Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date: 1997-12-15
Filing date: 1997-12-15
Publication date: 1999-07-06

Abstract

(57)【要約】（修正有）【課題】十分な強度で容易に風車翼を回転軸へ取付け
る。【解決手段】内部に取付ボルトを挿通するボルト穴４
及びねじ部を有し、翼根部２内に積層されたＦＲＰ層に
等間隔で配置された埋込金物３相互間に埋込金物３に設
ける出っ張り部３ａ，３ｂの外径と略同径の外周面に形
成できる挿入ピース２０を嵌設し、ＦＲＰ層で囲繞して
翼根部２を形成する。また、ボルト穴４及びねじ部を等
間隔に設けたＦＲＰ製の円筒部を二つ割りとして翼端部
２に装着する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はＦＲＰで製作され、
風力発電用等に使用される風車翼の翼根部を、発電機の
回転軸等に固着された翼取付板に取付けるための風車翼
取付装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】ＦＲＰ製の風車翼の翼根部に風車翼と一
体にされたフランジを形成し、発電機の回転軸等に固定
された翼取付板に直接ボルトとナットで取り付けるよう
にした従来の風車翼取付装置の構造では、フランジ径に
制限があり、翼取付部の形状が制限され、充分な強度を
得ることができず、またＦＲＰ製のフランジをボルト
（鉄）で締めつけることになり、締めすぎによる翼取付
部、特に、ＦＲＰ製のフランジ自体を傷つける可能性が
ある。また、ボルトとＦＲＰ製のフランジでは強度が大
幅に異なるため、長期運転では翼取付部のボルト接触部
に亀裂が入り易く、故障の原因となり易く寿命の短いも
のとなっていた。

【０００３】このような従来の風車翼取付装置の不具合
を解消するため、本出願人は、特許第２６０１９０７号
「ＦＲＰ翼の取付装置」を提案した。

【０００４】この装置は、図４に示すように、両端部外
周に出っ張り部３ａ，３ｂを設け、図５に示すように、
ＦＲＰ製の風車翼１の翼取付部である翼根部２を周方向
に等ピッチに２０個以上複数個埋め込まれた筒状の埋込
金物３と、図４に示すように、同埋込金物３の内部に形
成されたボルト穴４、および取付側とは反対側の端部の
出っ張り部３ｂの内周面に螺設されたねじ部５と、図５
に示すように、取付ボルト６が挿入される穴７が設けら
れ、発電機等の回転軸の外周に設置された、図示省略し
たフランジに固着された翼取付板８とを具え、翼取付板
８の穴７と埋込金物３のボルト穴４とを通って挿入さ
れ、埋込金物３のねじ部５と係合させた取付ボルト６の
締付けにより、翼取付板８と翼根部２とを固着して風車
翼１を発電機の回転軸等の外周に取り付けるようにして
いる。

【０００５】この埋込金物３の翼根部２への埋め込み
は、図８（ａ）に示すように、翼根部２に埋め込む埋込
金物３の中央のくびれ部３ｃが配置される位置に、ＦＲ
Ｐを周方向に連続巻きして積層し、くびれ部３ｃの高さ
に対応する高さにＦＲＰ積層９を盛り上げておく。

【０００６】次いで、図８（ｂ）に示すように、翼取付
板８を取付ける翼根部２端部に、一時的に取付けられた
固定治具１０のボルト穴１１を貫通させた固定用ボルト
１２を用いて、埋込金物３を固定治具１０に取付ける。
その際、埋込金物３とＦＲＰ積層９との親和性をよくす
る為、あらかじめ、樹脂を含浸させたガラスファイバー
１３を埋込金物３の全周に巻き付け包んで配設するよう
にしている。

【０００７】次いで、複数（例えば２２本）の埋込金物
３のくびれ部３ｃが、等ピッチにＦＲＰ積層９上に配設
されているかどうか、埋込金物３の軸心と固定治具１０
の取付面とが垂直であるかどうかを確認する。

【０００８】次いで、図８（ｃ）に示すように、あらか
じめ埋込金具３の間の形状に、型切り裁断しておいたガ
ラスマット１４を、等ピッチに配設された隣接する埋込
金物３相互の間に積層して、埋込金物３のくびれ部３ｃ
を含む埋込金物３全体の高さを両端部外周に設けた出っ
張り部３ａ，３ｂの高さにする。この場合、ガラスマッ
ト１４を積層しても、高さが低くなる埋込金物３のくび
れ部３ｃに対しては、さらに、クロスおよびマットを周
方向に連続巻して積層し、埋込金物３全体まわりの積層
高さが一様になるようにする。

【０００９】次いで、この均一の高さにされた埋込金物
３を埋め込むようにして、更にクロス、マット、樹脂を
円周方向に積層し、翼根部２全体を締め付けながら巻回
して、図８（ｄ）に示すような、翼根部２の仕上り寸法
にまでワインディングにより形成してゆく。

【００１０】このようにして、翼根部２に埋込金物３が
埋め込まれ仕上り寸法にされ、積層された樹脂が凝固し
た後、埋込金物３と固定治具１０とを連結している固定
用ボルト１２をゆるめて、風車翼１を固定治具１０から
取外すことにより、１個の風車翼１の取付装置が完成す
ることになる。

【００１１】このようにして製作される風車翼取付装置
は、翼取付板８の穴と同じ配置されたボルト穴１１に貫
通した固定用ボルト１２で、埋込金物３を固定して翼根
部２に埋め込むようにした固定治具１０を用いて製作さ
れるので、取付ボルト６による翼取付板８と埋込金物３
との取付時の寸法合わせの必要性がなく、かつ、配置精
度の高い埋込構造のものとすることができる。

【００１２】また、埋込金物３のくびれ部３ｃをマット
及びクロスで周方向に連続巻して積層し、更に締めつ
け、埋込金物３全体の積層高さを一様にして翼根部２を
形成しつつ、両端部に外周方向に出っ張り部３ａ，３ｂ
を設けた埋込金物３を埋込むようにしたので、ＦＲＰの
フープ力及びせん断力で、埋込金物３は引抜け、曲げに
強い構造となり、特に、埋込金物３は段付の構造にした
ため、段付部分にて、風車翼１の回転により発生する大
きな荷重に耐えるものにすることができる。

【００１３】しかしながら、クロスおよびマットで周方
向に連続巻して積層し、積層高さを一様にして、埋込金
物３を埋め込むようにして、更にクロス、マット、樹脂
を円周方向に積層し、翼根部２全体を締め付けながら、
図８（ｄ）に示すような、仕上げ寸法までワインディン
グにより形成してゆく過程において、図８（ｃ）に示す
ように、あらかじめ埋込金具３の間の形状に型切り裁断
しておいたガラスマット１４を等ピッチに翼根部２全周
に配置された埋込金物３相互の間に積層して、埋込金物
３のくびれ部３ｃおよび埋込金物３両端部外周の出っ張
り部３ａ，３ｂの高さにする工程においては、図６に示
すような、多種類の形状のガラスマット１４をあらかじ
め裁断し、ＦＲＰ積層９の上方にくびれ部３ｃを載置し
て、ＦＲＰ積層９の周方向に等ピッチに配設された、隣
接する埋込金物３のすきまに入れ込む、極めて手間のか
かる仕業が付随することになる。

【００１４】このため、翼根部２への埋込金物３の埋込
作業は、１ケ１ケ手仕上げすることになり、著しく生産
性が悪くなるという不具合がある。

【００１５】すなわち、図６に示すように、両端部に外
周に出っ張り部３ａ，３ｂを有し、周方向に連続巻きさ
れた積層されたＦＲＰ積層９の周方向に等ピッチに配置
され、円環状に配設された埋込金物３の内周より内側お
よび外周より外側は、くびれ部３ｃを含めてＦＲＰの連
続巻き積層により形成することができるが、隣接する埋
込金物３の間では、埋込金物３の内周と外周との径方向
に空間が生じ、引抜け、曲げ強度が低減するため、隣接
する埋込金物３の間隔に応じた、図７に示すような多種
類のガラスマット１４をあらかじめ裁断しておき、隣接
する埋込金物３の間隔に対応するガラスマット１４を順
次入れ込み、埋込金物３の出っ張り部３ｂ高さにまで積
層する必要があり、極めて手間のかかる作業となり、生
産性がきわめて悪いものとなる。

【００１６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、本出願人が
特許第２６０１９０７号「ＦＲＰ翼の取付装置」で提案
し、種々の利点を有する風車翼取付装置において、風車
翼の翼根部に埋込金物を埋設するときに生じる不具合、
すなわち、翼根部のＦＲＰ積層上に周方向に等ピッチで
配置される埋込金物の隣接する埋込金物との間に、多種
形状のガラスマットを予め裁断しておき、順次入れ込
み、埋込み金物の出っ張り部の高さまで積層する必要が
あるために生産性が悪くなる欠点を解消するために、内
部に形成されたボルト穴およびねじ部に挿入される取付
ボルトで、風車翼の翼根部を前面風車翼の回転軸の外周
に固着された翼取付板に連結するために、風車翼の翼根
部外周に周方向に等ピッチに配設される、出っ張り部を
設けた筒状の埋込金物の隣接する埋込金物との間にガラ
スマット等のつめものを積層することなく、ＦＲＰの巻
層のみで翼根部内に埋込金物を埋設できるようにし、し
かも、風車翼の回転によって生じる大きな荷重によって
も、引き抜け、曲げ等が発生することのなく、しかも、
取付けボルトの締め付け、または長期運転においても、
取付けボルトによる連結部、特に、ＦＲＰで形成された
部分に亀裂等の発生の恐れのない風車翼取付装置を提供
することを課題とする。

【００１７】

【課題を解決するための手段】このため、外周に出っ張
り部を設け、風車翼の翼根部内に埋設された筒状の埋込
金物、埋込金物の内部に形成されたボルト穴およびねじ
部に挿入される取付ボルトで埋込金物と連結して、風車
翼の翼根部を風車翼の回転軸の外周に固着する翼取付板
を設け、風車翼を回転軸に取り付けるようにした、第１
番目の本発明の風車翼取付装置は、次の手段とした。

【００１８】（１）ＦＲＰ層が形成された翼根部の周方
向に等ピッチに配置されて、内部に取付ボルトを挿通す
るボルト穴およびねじ部をそれぞれ設けた埋込金物を設
けるものとした。なお、埋込金物は前述したように、両
端部外周に出っ張り部を設け、ＦＲＰ製の風車翼の翼取
付部である翼根部２を、周方向に等ピッチにして２０個
以上の複数個配設され、翼根部に埋め込まれる筒状のも
のにすることが好ましい。

【００１９】（２）翼根部に積層されたＦＲＰ層の外周
に隣接して配置された埋込金物の間にそれぞれ配設さ
れ、埋込金物の全体外径を、少くとも埋込金物に設ける
出っ張り部の外径と同径の外周にする挿入ピースを設け
るものとした。なお、挿入ピースは１体のもので形成さ
れ、翼根部に積層されたＦＲＰ層の外周の周方向に配置
された埋込金物と交互に配設され、ＦＲＰ層の外周の全
周に配設されたとき、埋込金物の出っ張り部の厚みにさ
れた円筒を、ＦＲＰ層の外周上に埋込金物と共に形成す
るようにしたものが好ましい。

【００２０】また、第２番目の本発明の風車翼取付装置
は、次の手段とした。（３）内部に取付ボルトを挿通するボルト穴およびねじ
部を設け、翼根部に積層されたＦＲＰ層の外周に配設さ
れる二つ割り状にされた半円筒状の埋込金物を設けるも
のとした。

【００２１】なお、埋込金物には、少くとも風車翼側の
端部外周に出っ張り部を設けるとともに、２０本以上の
取付ボルトを挿通するボルト穴およびねじ部を周方向に
設けることができることは勿論のこと、取付ボルトの締
付けで翼根部と翼取付板とを固定するとき、締付け力等
により破損しない強度にできる、肉厚の半円筒状のもの
にすることが好ましい。

【００２２】また、第３番目の本発明の風車翼取付装置
は、次の手段とした。（４）翼根部に積層されたＦＲＰ層の外周に配設される
二つ割り状にされ、内部に取付ボルトを挿通するボルト
穴を設けたスリーブが周方向に等ピッチに配置された半
円筒状の穴付リングと、穴付リングの風車翼側に隣接し
て設けられ、ボルト穴に挿通された取付ボルトの先端が
螺合する螺溝が設けられるとともに、穴付リングの外径
より大きい出っ張り部を形成する、二つ割り状にされた
ネジ付きリングとからなる埋込金物を設けるものとし
た。

【００２３】なお、穴付きリングに配置され、２０本以
上の取付ボルトがそれぞれ挿通されるボルト穴を設ける
スリーブは、翼根部と翼取付部とを固定するとき、取付
ボルトの締付力によっても座屈しない強度を持つ素材、
例えば所定肉厚をもつ強度の大きい金属性のものにする
ともに、スリーブとともに半円筒状の穴付リングを形成
し、大きな強度を必要としないスリーブ以外の穴付リン
グの素材は、ＦＲＰ等の軽量のものにすることが好まし
い。

【００２４】また、ネジ付リングはボルト穴に対応する
螺溝が外周縁に沿って設けられた、所定肉厚をもつ、強
度の大きい金属性の円板にすることが好ましい。さら
に、穴付リングとネジ付きリングとは、スリーブの一端
をネジ付きリングに結合して一体化するようにしても、
非結合にして分離できるものにするようにしても良い。

【００２５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の風車翼取付装置の
実施の一形態を図面にもとづき説明する。図において、
前述した従来の風車翼取付装置の部材と同一、若しくは
類似の部材は同一符号を符して説明は省略する。

【００２６】図１は、本発明の風車翼取付装置の実施の
第１形態を示す図で、図１（ａ）は一部断面で示す翼根
部の側面図、図１（ｂ）は図１（ａ）の矢視Ａ−Ａにお
ける正面図、図１（ｃ）は図１（ａ）に示す埋込金物の
詳細を示す斜視図、図１（ｄ）は隣接させて翼根部のＦ
ＲＰ層の外周に配置された埋込金物の間に配設される挿
入ピースの詳細を示す斜視図である。

【００２７】本実施の形態の風車翼取付装置では、図１
（ｃ）に示すように、両端部に出っ張り部３ａ，３ｂが
設けられ、中央部にくびれ部３ｃが設けられるととも
に、内部に、図５に示すように風車翼１の回転軸の外周
面に設けた翼取付板８に、風車翼１の翼根部２を固定す
るための、取付ボルト６を挿通するためのボルト穴４お
よびねじ部５が設けられた、図４に示す埋込金物３と同
じものを、図１に示すように、翼根部２に埋め込み、風
車翼１を回転軸に取り付けるようにしている。

【００２８】この埋込金物３は、図８（ｂ）に示すよう
に翼根部２の形成過程で、積層されたＦＲＰ層の外周全
周に等ピッチにして配設されるとき、隣接する埋込金物
３の間が埋められるように、あらかじめ成形しておい
た、図１（ｄ）に示すような、ＦＲＰ等で形成された挿
入ピース２０と交互にくみあわせて円環状となし、形成
途中の翼根部２のＦＲＰ層の外周面に配設される。

【００２９】すなわち、埋込金物３はネジ穴４を有して
いて、両端部の径が大きく中間部が小径にされた複雑形
状の円筒型のものにされ、隣接する埋込金物３の間に挿
入される挿入ピース２０は、これとは逆の形状になって
いて、これらを交互に組合せることで、形成過程におけ
る翼根部２のＦＲＰ層の外周に嵌合する円環状のものに
することができる。

【００３０】この埋込金物３と挿入ピース２０からなる
環状体が翼根部２のＦＲＰ層の外周に配設された後、さ
らに、その上方にＦＲＰを積層することによって、外周
側からおおわれ、換言すれば埋込金物３と挿入ピース２
０とは、翼根部２のＦＲＰの積層中に埋設され、一体化
される。

【００３１】また、隣接して配設された埋込金物３の間
には、挿入ピース２０が挿入されて、すき間がなくなる
とともに、埋込金物３および挿入ピース２０は、段付構
造にされているため、この段付部によって荷重を相互に
伝えることができ、十分に荷重を支えることが可能な構
造になるとともに、従来、必要としていた繁雑な作業と
なる、隣接して配設された埋込金物３間のガラスマット
１４等の積層作業を行う必要がなくなる。

【００３２】このように、風車翼１の翼根部２を翼取付
板８に取り付けて、風車翼１を回転軸の外周に配設する
埋込金物３は、挿入ピース２０によって段付部によって
拘束され、また、挿入ピース２０は、その段付部によっ
てＦＲＰ積層部に拘束される結果、埋込金物３のねじ部
５には、風車翼１の取付強度が充分確保できる。

【００３３】従って、従来の一枚一枚のガラスマット１
４を形状に合わせて裁断し、等ピッチに配設された埋込
金物３の間に積層する必要がなくなり、全埋込金物３を
一気に翼根部２に積層して埋め込むことができる。した
がって、性能は先に提案した風車翼取付装置と同一で、
生産性の高い構造の風車翼取付装置とすることができ
る。

【００３４】次に、図２は本発明の風車翼取付装置の実
施の第２形態を示す図で、図２（ａ）は一部断面で示す
翼根部の側面図、図２（ｂ）は図２（ａ）の矢視Ｂ−Ｂ
における正面図、図２（ｃ）は図２（ａ）に示す埋込金
物の詳細を示す斜視図である。

【００３５】本実施の形態の風車翼取付装置では、図２
（ｃ）に示すように、風車翼１側に配置されるようにし
た端部に出っ張り部２２が設けられ、内部に、図５に示
すように、風車翼１の回転軸の外周面に設けた翼取付板
８に、風車翼１の翼根部２を固定するための取付ボルト
６と螺合するためのねじ部２３が、周方向に等ピッチに
設けられ、二つ割りの半円筒状にされた埋込金物２１を
図２（ａ）に示すように翼根部２に埋め込み、図５に示
す取付ボルトを、ねじ部２３にねじ込むことにより、風
車翼１を回転軸に取り付けるようにしたものである。

【００３６】このように、風車翼１を取付けるねじ部２
３は、２つ割れスリーブ状の埋込金物２１の取付部に周
方向に加工されているため、埋込金物２１が翼根部２の
形成過程で翼根部２に積層されたＦＲＰ層上に両側から
積層されて、埋込金物２１の出っ張り部２２が、翼根部
２を最終的な形状にするＦＲＰ積層部によって外周から
おおわれることによって、荷重の伝達が可能な構造とな
っている。

【００３７】本実施例によると、従来と比べ荷重に対す
る強度を確保したままで、埋込みの作業性を向上させる
ことが可能となる。また、このように二つ割れスリーブ
状にされた埋込金物２１は、出っ張り部２２を設けたこ
とにより、埋込金物２１を埋め込むＦＲＰ積層に拘束さ
れるため、ねじ部２３は十分な取付強度を持つことにな
る。

【００３８】また、２つ割れスリーブ状の埋込金物２１
とすることにより、埋込金物２１内径側の合せ作業を容
易とし、また、積層作業においても、ねじ部２３の間
は、一体の埋込金物２１に設けるようにしているため
に、埋込金物２１の外周側のＦＲＰ積層だけで翼根部２
が形成されるため著しく作業性が良くなる。

【００３９】次に、図３は本発明の風車翼取付装置の実
施の第３形態を示す図で、図３（ａ）は一部断面で示す
翼根部の側面図、図３（ｂ）は図２（ａ）の矢視Ｂ−Ｂ
における正面図、図３（ｃ）は図３（ｄ）に示す穴付き
リングに埋設するスリーブの斜視図、図３（ｄ）は穴付
きリングの斜視図、図３（ｅ）はネジ付リングの正面図
である。

【００４０】本実施の形態の風車翼取付装置では、埋込
金物２５は、図３（ｄ）に示す二つ割れのネジ付リング
２７と、図３（ｃ）に示す同様に二つ割れにされた穴付
リング２６と組合せて形成される。

【００４１】このような埋込金物２５を翼根部２に配設
した後、外周をＦＲＰ積層することにより、風車翼１を
回転軸の外周に取り付けることのできる風車翼取付装置
とすることができる。すなわち、穴付リング２６の風車
翼１側に隣接して配設され、穴付リング２６よりも大き
な出っ張り部を形成するとともに、取付ボルト６の先端
が螺合する螺溝が刻設されたねじ部２８を設けた、ネジ
付リング２７の段付部によって荷重は伝えられる。

【００４２】一方、穴付リング２６はＦＲＰ等のみで作
ると、金属製の取付ボルト６のネジ付リング２７に設け
た螺溝への締込力に耐えられないため、取付ボルト６を
内部に挿通するようにした、図３（ｃ）に示す金属製の
スリーブ２９をＦＲＰ製の穴付リング２６に埋設するこ
とによって、強力な取付ボルト６の締込により風車翼１
の回転軸への連結に対応できる構造にしている。

【００４３】このように、穴付リング２６とネジ付リン
グ２７を、図３（ａ）に示すように翼根部２に埋め込
み、図５に示す取付ボルト６をネジ付リング２７のねじ
部２８にねじ込むことにより風車翼１を回転軸に取り付
けるようにしている。２つ割れのネジ付リング２７は、
翼根部２にさらに積層されるＦＲＰ積層によって、十分
拘束されるので、ねじ部２８と風車翼１は十分に取付強
度を持つ。

【００４４】一方、穴付リング２６は、取付ボルト６の
締付力が負荷されるスリーブ２９を取付ボルト６の配設
位置に設けることにより、風車翼１の軽量化のために、
ＦＲＰ等を用いて形成することができる。

【００４５】従って、ねじ部２９にかかる荷重による穴
付リング２６の圧縮は、スリーブ２９にて防止すること
ができ、しかも、スリーブ２９を埋設する穴付リング２
６はＦＲＰで形成できるので風車翼１の重量をさほど増
加させずに、従来と同じ取付強度を守りながら、隣接な
埋込金物の間のすき間へのガラスマットの積層等行わず
に済み、なおかつ一体で埋め込めるため、著しく作業性
が良くなる。また、２つ割りで、穴付リング２６および
ネジ付リング２７が形成されているため内径側のあわせ
作業が容易なものとなる。

【００４６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の風車翼取
付装置によれば、翼根部の周方向に等ピッチに配置され
て、内部に取付ボルトを挿通するボルト穴およびねじ部
をそれぞれ設けた埋込金物と翼根部に積層されたＦＲＰ
層の外周に隣接して配置された埋込金物の間にそれぞれ
配設され、埋込金物の全体外径を埋込金物に設ける出っ
張り部の外径と同径の外周面にする挿入ピースを設ける
ものとした。

【００４７】この埋込金物と挿入ピースからなる円環状
が配設された後、さらに、その上方にＦＲＰを積層する
ことによって、外周側からおおわれ、換言すれば埋込金
物と挿入ピースとはＦＲＰの積層中に埋設され、翼根部
に一体化され、しかも隣接して配設された埋込金物の間
には、挿入ピースが挿入されてすき間がなくなるととも
に、埋込金物および挿入ピースは、段付構造にされてい
るため、この段付部によって荷重を相互に伝えることが
でき、十分に荷重を支えることが可能な構造になるとと
もに、従来、必要としていた繁雑を作業となる、隣接し
て配設された埋込金物の間へのガラスマット等の積層を
する必要がなくなる。

【００４８】また、本発明の風車翼取付装置によれば、
内部に取付ボルトを挿通するボルト穴およびねじ部を設
け、翼根部に積層されたＦＲＰ層の外周に配設される二
つ割り状にされた半円筒状の埋込金物を設けるものとし
た。

【００４９】これにより、二つ割れスリーブ状にされた
埋込金物は出っ張り部を設けたことにより、埋込金物を
埋め込むＦＲＰ積層に拘束されるため、ねじ部は十分な
取付強度を持つことになる。また、２つ割れスリーブ状
の埋込金物とすることにより、埋込金物内径側の合せ作
業を容易とし、また、積層作業においても、一体の埋込
金物の内部に取付ボルトを挿通するようにしているため
に、埋込金物の外周側のＦＲＰ積層だけで、翼根部が形
成されるため、著しく作業性が良くなる。

【００５０】また、本発明の風車翼取付装置によれば、
翼根部に積層されたＦＲＰ層の外周に配設される二つ割
り状にされ、内部に取付ボルトを挿通するボルト穴を設
けたスリーブが、周方向に等ピッチに配置された半円筒
状の穴付リングと、穴付リングの風車翼側に隣接して設
けられ、ボルト穴に挿通された取付ボルトの先端が螺合
する螺溝が設けられるとともに、穴付リングの外径より
大きい出っ張り部を形成する、二つ割り状にされたネジ
付きリングとからなる埋込金物を設けるものとした。

【００５１】このように、穴付リングとネジ付リング
を、翼根部に埋め込み、取付ボルトをネジ付リング２の
ねじ部にねじ込むことにより、風車翼を回転軸に取り付
けるようにしており、しかも２つ割れのネジ付リング
は、外周が出っ張り部を形成しており、ＦＲＰ積層によ
って十分拘束されるので、ねじ部と風車翼は十分に取付
強度を持つ。一方、穴付リングは取付ボルトの締付力が
負荷されるスリーブを、取付ボルトの配設位置に設ける
ことにより、取付ボルトの締付力に抗することができる
とともに、風車翼１の軽量化のために、ＦＲＰ等を用い
て形成して、より軽量化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の風車翼取付装置の実施の第１形態を示
す図で、図１（ａ）は一部断面で示す翼根部の側面図、
図１（ｂ）は図１（ａ）の矢視Ａ−Ａにおける正面図、
図１（ｃ）は図１（ａ）に示す埋込金物の全体を示す斜
視図、図１（ｄ）は隣接させて配置された埋込金物の間
に配設される挿入ピースの全体を示す斜視図、

【図２】本発明の風車翼取付装置の実施の第２形態を示
す図で、図２（ａ）は一部断面で示す翼根部の側面図、
図２（ｂ）は図２（ａ）の矢視Ｂ−Ｂにおける正面図、
図２（ｃ）は図２（ａ）に示す埋込金物の全体を示す斜
視図、

【図３】本発明の風車翼取付装置の実施の第３形態を示
す図で、図３（ａ）は一部断面で示す翼根部の側面図、
図３（ｂ）は図２（ａ）の矢視Ｂ−Ｂにおける正面図、
図３（ｃ）は図３（ｄ）に示す穴付リングに埋設するス
リーブの斜視図、図３（ｄ）は穴付リングの斜視図、図
３（ｅ）はネジ付リングの正面図、

【図４】従来の埋込金物の１例を示す断面図、

【図５】図４に示す埋込金物で風車翼を翼取付板に取付
けた状態を示す断面図、

【図６】図４に示す埋込金物を翼根部の周方向に配設し
たとき、隣接する埋込金物の間を示す図で、図６（ａ）
は側面図、図６（ｂ）は図６（ａ）の矢視Ｄ−Ｄにおけ
る横断面図、

【図７】図６に示す隣接して配置された埋込金物の間に
積層するガラスマットの平面図で、図７（ａ）は最も間
隔の大きい個所に積層されるガラスマット、図７（ｂ）
は中間程度の間隔個所に積層されるガラスマット、図７
（ｃ）は最も間隔の小さい個所に積層されるガラスマッ
ト、

【図８】従来の翼根部に埋込金物を設ける工程を示す図
で、図８（ａ）は埋込金物の配置のためにＦＲＰ積層を
行う工程、図８（ｂ）は埋込金物をＦＲＰ積層の周方向
に配設する工程、図８（ｃ）は隣接する埋込金物の間に
ガラスマットを積層する工程、図８（ｄ）は、埋込金物
をＦＲＰ積層で埋設した翼根部の最終的な形状を示す図
である。

【符号の説明】

１風車翼２翼根部３埋込金物３ａ（フランジ側）出っ張り部３ｂ（翼側）出っ張り部３ｃくびれ部４ボルト穴５ねじ部６取付ボルト７穴８翼取付板９ＦＲＰ積層１０固定治具１１ボルト穴１２固定用ボルト１３ガラスファイバー１４ガラスマット２０挿入ピース２１埋込金物２２出っ張り部２３ねじ部２５埋込金物２６穴付リング２７ネジ付リング２８ねじ部２９スリーブ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】外周に出っ張り部を設け、風車翼の翼根
部内に埋設された筒状の埋込金物、前記埋込金物の内部
に形成されたボルト穴およびねじ部に挿入される取付ボ
ルトで前記埋込金物と連結して、風車翼の翼根部を前記
風車翼の回転軸の外周に固着する翼取付板を設けた風車
翼取付装置において、ＦＲＰ層で形成された前記翼根部
の周方向に等ピッチに配置された前記埋込金物と、前記
翼根部の外周に隣接して配置された前記埋込金物の間に
それぞれ配設され、前記埋込金物の外周を前記出っ張り
部の外径と同径の外周面にする挿入ピースとを設けたこ
とを特徴とする風車翼取付装置。
【請求項２】外周に出っ張り部を設け、風車翼の翼根
部内に埋設された筒状の埋込金物、前記埋込金物の内部
に形成されたボルト穴およびねじ部に挿入される取付ボ
ルトで前記埋込金物と連結して、風車翼の翼根部を前記
風車翼の回転軸の外周に固着する翼取付板を設けた風車
翼取付装置において、内部に前記取付ボルトを挿通する
ボルト穴およびねじ部を設け、ＦＲＰ層で形成された前
記翼根部の外周に配設される二つ割り状にされた半円筒
状の前記埋込金物を設けたことを特徴とする風車翼取付
装置。
【請求項３】外周に出っ張り部を設け、風車翼の翼根
部内に埋設された筒状の埋込金物、前記埋込金物の内部
に形成されたボルト穴およびねじ部に挿入される取付ボ
ルトで前記埋込金物と連結して、風車翼の翼根部を前記
風車翼の回転軸の外周に固着する翼取付板を設けた風車
翼取付装置において、ＦＲＰ層で形成された前記翼根部
の外周に配設される二つ割り状にされ、内部に前記取付
ボルトを挿通するボルト穴を設けたスリーブが周方向に
等ピッチに配置された半円筒状の穴付リングと、前記穴
付リングの前記風車翼側に隣接して設けられ、前記ボル
ト穴に挿通された前記取付ボルトの先端が螺合する螺溝
が設けられるとともに、前記穴付リングの外径より大き
い前記出っ張り部を形成する、二つ割り状にされたネジ
付きリングとからなる前記埋込金物を設けたことを特徴
とする風車翼取付装置。