JPH11181148A - 遠赤外線放射性を有するキチン質、これを含有するプラスチック組成物、及びその製造方法 - Google Patents

遠赤外線放射性を有するキチン質、これを含有するプラスチック組成物、及びその製造方法

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JPH11181148A
JPH11181148A JP9353160A JP35316097A JPH11181148A JP H11181148 A JPH11181148 A JP H11181148A JP 9353160 A JP9353160 A JP 9353160A JP 35316097 A JP35316097 A JP 35316097A JP H11181148 A JPH11181148 A JP H11181148A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 キチン質の抗菌・抗カビ特性及び遠赤外線放
射特性を併有するプラスチック組成物、プラスチック成
形物又は包装材料若しくは保存容器を提供する。 【解決手段】 遠赤外線放射性を有するキチン質を含有
してなるプラスチック組成物である。キチン質に対して
遠赤外線を照射する工程、及び粒状若しくは紛状のプラ
スチック成形材料とキチン質とを混合する工程、の各工
程により製造する。更に、プラスチック組成物を成形し
て包装材料若しくは保存容器等のプラスチック成形物と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、遠赤外線放射性
を有するキチン質に関し、詳しくは当該キチン質を含有
する、プラスチック組成物若しくは包装材料等のプラス
チック成形物及びこれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 キチン質は、一般にカニ・エビ等の甲
殻類や昆虫類の外骨格又は堅い皮膚を形成する物質であ
り、化学的組成としてはキチンとタンパク質を含むもの
である。キチン質の主要成分であるキチン(ポリ−β−
1,4−N−アセチルグルコサミン)は、アミノ糖から
なる多糖の一種であって、アミノ基がアセチル化された
D−グルコサミンがβ−1,4結合した直鎖分子からな
る。キチンの化学構造、性質はセルロース分子に類似す
るが、その多様な機能性からキチンの脱アセチル化物で
あるキトサン(ポリ−β−1,4−グルコサミン)とと
もに「キチン類」として近年注目されている。
【0003】 キチン類はアミノ基を有することから、
イオン交換体、広範囲の重金属吸着剤、若しくは各種酸
性物質(核酸、エンドトキシンなど)の除去剤などの用
途に用いられる他、生体由来原料であり、生体による分
解性、生体適合性が良いことを利用して、手術用縫合
糸、創傷被覆剤或いはカチオン系活性汚泥凝集剤として
用いられており、特開平4−120142号公報や特開
平6−345956号公報には、生分解性プラスチック
用材料としての用途が開示されている。
【0004】 また、キチン類は、抗菌性、抗カビ性を
有することも知られており、特公平1−56754号公
報には包装の内容物における細菌又はカビの生育及び増
殖を阻止することを目的として、プラスチックフイルム
にキトサンの軽度分解物を付着させ、抗菌・抗カビ性を
有するフイルムを製造する方法が開示されている。
【0005】 一方、セラミック等の遠赤外線放射体に
よる遠赤外線の効果についても、活発に研究がされてい
る。当初はヒータや乾燥機など加熱・乾燥の用途が主で
あったが、常温付近においても放射効果が認められたこ
とから、食品工業での食感や品質の向上の他、バイオ分
野、水処理分野に至るまで広範に利用されている。
【0006】 このようにキチン類、遠赤外線は、単独
でもその多様な効果を発揮し得るが、両者を併用するこ
とにより、更に新たな機能性の発現や両者の相乗効果が
期待できる。実際にキチン類と遠赤外線との併用は既に
行われており、例えば、特開平5−117902号公報
には、キチン質及び遠赤外線放射性粉体であるアルミナ
等の金属酸化物を混練したプラスチック混合物を滑り止
めとして靴下に付着し、キチンによる抗菌効果と遠赤外
線による皮膚表面の温度上昇等の効果を併せて得ること
が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、遠赤
外線放射体としては上述の如くアルミナ等の金属酸化
物、即ち、セラミックを用いるのが一般的であるため、
当該物質を複合することにより、キチン類の有する生体
由来の素材であるという特徴が減殺される可能性があ
る。従って、生体由来原料であるキチンの特徴を減殺せ
ずに、遠赤外線放射性を付与できれば種々の用途に用い
ることができる機能性材料を創生できる可能性がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】 本発明者等は、キチン
質に対して遠赤外線照射処理を施すことにより、キチン
質に遠赤外線放射性が付与されることを見出し、本発明
を完成した。即ち、本発明によれば、遠赤外線放射性を
有することを特徴とするキチン質又はその組成物が提供
される。
【0009】 本発明のキチン質は、キチン質に遠赤外
線を照射することにより得ることができ、プラスチック
に含有させてプラスチック組成物とすることができる。
また、本発明によれば、遠赤外線放射性を有することを
特徴とするプラスチック組成物が提供される。本発明の
プラスチック組成物は、プラスチック成形物として用い
ることができ、特に包装材料若しくは保存容器として好
適に用いることができる。
【0010】 更に、本発明によれば、(A)キチン質
に対して遠赤外線を照射する工程、(B)粒状若しくは
紛状のプラスチック成形材料とキチン質とを混合する工
程、の各工程からなることを特徴とする遠赤外線放射性
を有するプラスチック組成物の製造方法が提供される。
【0011】 当該製造方法においては、プラスチック
成形材料と混合するキチン質が、キチン質原料から酸若
しくは熱水により抽出されてなるキチン質含有水である
ことが好ましい。
【0012】 更にまた、本発明によれば、(A)キチ
ン質に対して遠赤外線を照射する工程、(B)粒状若し
くは紛状のプラスチック成形材料とキチン質とを混合
し、当該プラスチック組成物を成形する工程、の各工程
からなることを特徴とする遠赤外線放射性を有するプラ
スチック成形物の製造方法が提供される。
【0013】 当該製造方法においては、プラスチック
成形材料と混合するキチン質が、キチン質原料から酸若
しくは熱水により抽出されてなるキチン質含有水である
ことが好ましく、プラスチック組成物を成形する温度が
230℃以下であることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の遠赤外線放射性
を有するキチン質につき詳細に説明する。本発明の遠赤
外線放射性を有するキチン質は、キチン質に遠赤外線を
照射するという極めて簡便な操作により得られるもので
ある。
【0015】 キチン質が遠赤外線放射体に変換される
という現象については未だ報告がないが、キチン質が遠
赤外線照射処理により、例えばエルソン−モーガン反
応のようなアセチル基の分子内環化反応(オキサゾール
環、ピロール環の形成)、グリコシド結合の構造変
化、アミノ糖骨格のアミノ基の酸化還元反応等、何ら
かの化学構造変化を起こし、キチン質に対して遠赤外線
放射性が付与されるものと推定している。
【0016】 本発明に用いる遠赤外線は、可視光とマ
イクロ波の中間に位置する電磁波である赤外線(波長
0.76〜1000μ)のうち、より波長の長い3.0
〜1000μの範囲に含まれる赤外線である。当該遠赤
外線を用いる限りにおいて、照射方法は特に限定されな
いが、例えば、セラミックなどの遠赤外線放射体を加温
して遠赤外線を放射させ、キチン質に対して照射する方
法が挙げられる。
【0017】 具体的には、例えば箱形電気乾燥機の内
壁に遠赤外線放射体を貼付し、キチン質を入れた状態で
電気乾燥機を加温する方法などが挙げられる。このよう
な遠赤外線照射処理を施すことにより、通常は図2のよ
うに遠赤外線放射性を有しないキチン質が、図1に示す
ように黒体と同等の遠赤外線放射性、特に8〜12μの
遠赤外線放射性を有する構造に変換される。
【0018】 なお、本発明における「キチン質」と
は、キチン質からの抽出物を含む概念であって、主とし
てアミノ糖誘導体及びその重合物、例えば、キチン、キ
トサン及びこれらの部分分解物、或いはこれらの構成単
位であるN−アセチル−D−グルコサミンやD−グルコ
サミン及びこれらの混合物や単離したものの全てを包含
する。
【0019】 本発明の遠赤外線放射性を有するキチン
質(以下、「本発明に係るキチン質」という。)はそれ
単独で用いることも可能であるが、種々の素材と複合化
することにより、当該素材に対して、キチン質特有の、
及び遠赤外線放射性に基づく機能性を付与する態様で用
いることが好ましい。
【0020】 本発明に係るキチン質と複合化させる素
材については種々考えられるが、特にプラスチックと複
合化させたプラスチック組成物とすることにより、広範
な利用が期待できる。なお、本発明においてプラスチッ
ク組成物とは、プラスチックと本発明に係るキチン質と
の単なる混合物、或いはペレット等の混練物などすべて
の状態の組成物を包含する。
【0021】 本発明に係るキチン質とプラスチックを
複合化してプラスチック組成物とする方法としては、例
えばプラスチック成形体の表面に本発明に係るキチン質
を塗布、付着若しくは散布する方法等も考えられる。但
し、キチン質層の剥離がなく、効果が長期間持続する点
において、粒状若しくは紛状のプラスチック成形材料と
キチン質とを混合することによりプラスチック組成物と
することが好ましい。
【0022】 プラスチック成形材料の材質は特に限定
されず、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど一般
のプラスチックを用いることができる。その形状はキチ
ン質との均一な混合物を得るために、粒状若しくは紛状
であることが好ましく、例えばビーズ状、ペレット状、
或いは粉末状の成形材料を用いることができる。但し、
粉体の飛散が少ない等取扱いが容易である点においてビ
ーズ状、ペレット状が更に好ましく、粒径としては通常
2〜4mm程度のものが用いられる。
【0023】 混合するキチン質としては、キチン質原
料から酸若しくは熱水により抽出されてなるキチン質含
有水であることが好ましい。キチン質含有水、即ちキチ
ン質の水溶液を用いることにより、粉体を用いた場合に
比して、プラスチックに対して均一に分散することが可
能となり、例えばプラスチックフィルム等にした場合の
透明度の低下を防止することができる。
【0024】 高純度のキチンはエビ・カニ等の甲殻類
の外骨格を洗浄後、細かく粉砕して粉末とし、希酸で脱
灰、アルカリで除タンパク後、水洗乾燥して粗製品と
し、濃塩酸で溶解・再沈殿して精製することにより得ら
れる。但し、本発明においてはこのような高純度品を用
いる必要はなく、エビ・カニ等のキチン質原料から酸に
より抽出されたキチン質含有水をそのまま用いることが
できる。
【0025】 キチン質は中性条件下93〜95℃程度
の熱水でも抽出は可能である。但し、抽出量が少ないた
め、酸性条件下で抽出することが好ましい。キチン質は
酸性条件下であれば若干の分解を伴う場合もあるが、ア
ミノ基との酸付加塩を作るため溶解しやすくなるためで
ある。
【0026】 抽出に用いる酸としては、塩酸等の無機
酸、酢酸等の有機酸の水溶液を用いることができ、酢酸
であれば水100容に対して酢酸5容を混合した酢酸水
溶液にキチン質原料を投入し、50℃にて1時間攪拌す
ることにより原料に含まれるキチン質を抽出することが
できる。
【0027】 プラスチック成形材料とキチン質含有水
との混合方法は種々考えられるが、ビーズ状、ペレット
状の成形材料をカゴ状容器に入れ、キチン質含有水中に
浸漬した後に引き上げて脱液し、残存する水分のみを乾
燥する混合方法がより均質な混合を達成できる点におい
て好ましい。
【0028】 また、プラスチック成形材料に対して、
一定量のキチン質含有水を添加した後、均一に混合する
方法を採ることもできる。混合装置としては、一般のプ
ラスチック製造に準じて、従来公知の方法、例えば、高
速ミキサー、タンブルミキサー、バンバリーミキサー、
V字型ブレンダー、リボンブレンダー等を用いることが
できる。
【0029】 本発明に係るプラスチック組成物の製造
にあっては、キチン質に対して遠赤外線を照射する工
程、及び粒状若しくは紛状のプラスチック成形材料とキ
チン質とを混合する工程、の両工程を含むことが必要で
あるが、工程の順序は特に限定されない。
【0030】 従って、キチン質に遠赤外線を照射した
ものをプラスチックと混合する方法の他、プラスチック
とキチン質とを混合する工程中で、或いは混合した後の
プラスチック組成物(後述の成形物も含む)に対して、
遠赤外線を照射する方法を用いてもよい。
【0031】 例えば、前述の如くプラスチック成形材
料をキチン質含有水中に浸漬して混合する方法を採った
場合には、遠赤外線を照射しつつ温風を送風して乾燥す
ることが好ましい。キチン質に対する遠赤外線照射処理
と、製品に欠陥を生ずるおそれがある成形材料表面に残
存する付着水の乾燥が同時に達成できるからである。こ
の場合、遠赤外線の効果により、通常より迅速な水分の
乾燥が可能となる。
【0032】 本発明において、成形とはプラスチック
成形材料に熱・圧力等を加えて流動化し、所定の形状に
賦形することをいう。本発明のプラスチック組成物は、
通常のプラスチック成形に準じ、射出成形、押出成形、
ブロー成形、プレス成形、シート成形等の成形方法を用
いて種々のプラスチック成形物を製造することが可能で
ある。
【0033】 但し、流動化や成形の温度が高すぎると
キチン質の分解に伴う着色が生ずるため、キチン質が分
解しない230℃以下に抑制すべきである。例えば、ポ
リエチレンとキチン質との組成物をスクリュー押出機に
より押出成形する場合であれば200℃の条件下で行う
ことが好ましい。
【0034】 本発明のプラスチック組成物は、例えば
生鮮食品、加工食品、農産物出荷用の包装材料・保存容
器に成形して用いることが特に好ましい。本発明のプラ
スチック組成物により構成された包装材料等はキチン質
による抗菌・抗カビ効果を有するのみならず、水のクラ
スターの小型化、酸化還元電位の低下、酸素転化等によ
り、水分子の活性化、水中の酸素に起因する酸化等の悪
影響を抑制するなど遠赤外線放射性に伴う種々の効果を
奏する。
【0035】 具体的には、本発明に係る包装材料や保
存容器を食品の保存に用いた場合には、鮮度保持、酸化
防止効果、消臭効果の他、食品からの離水を防止する
(保水性を高める)、熟成を促進する、食感を向上させ
る等の効果を得ることができる。
【0036】 例えば、ほうれん草、カット野菜、つま
大根等の野菜にあっては植物の呼吸に伴う水分の蒸散に
よる野菜のしおれを防止し、シャキシャキとした食感を
保持することができる。また、未熟バナナについては全
体を均一に熟成させる効果があり、熟成の不均一に伴う
部分的な固さ、苦みを防止することができる。
【0037】 更に、肉や魚についてもドリップと呼ば
れる水分やうまみ成分の流出や乾燥、色落ち等を回避で
きることにより、刺身、エビ、貝類等が水っぽくなら
ず、或いは肉・魚を煮焼きした際のパサつき・縮みが抑
制されるため、ともに食感を向上させることができる。
【0038】 生鮮食品以外では、パン・ケーキ・和菓
子等の生地の硬化防止やクリーム・餡の甘味の改質効
果、塩、砂糖、酢等の調味料については塩度、糖度、酸
度を変えずに、まろやかさを引き出す効果、加工食品や
惣菜の熟成効果等多様な効果を得ることができ、この他
にも、衣類の帯電及び色あせの防止効果、パン粉の帯電
防止効果などについても確認されている。
【0039】 既述の通り、キチン質を付着せしめたプ
ラスチック包装材料については従来も存在し、抗菌・抗
カビ効果は得られるが、上述のような遠赤外線放射性に
伴う効果を得ることはできない。
【0040】
【実施例】 以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に
説明する。なお、実施例において使用されるキチン質含
有水の製造法を参考例として説明する。
【0041】(参考例1)先ず、市販の冷凍沖アミ1K
gを解凍後水洗した。次いで、水洗後の沖アミを容器に
入れた後、沖アミの表面が隠れる程度の水を加えて昇温
し、93〜95℃の熱水で煮沸した後、濾過した残渣を
遠赤外線放射体のセラミック板を内壁に貼付した箱形電
気乾燥機により、40℃で12時間乾燥した。
【0042】 更に、水100容に対して酢酸5容を混
合した酢酸水溶液を用意し、乾燥後の残渣を前述の容器
に入れた後、残渣の表面が隠れる程度の前記酢酸水溶液
を加えて50℃まで昇温した。当該温度にて1時間煮沸
することにより沖アミに含有されるキチン質を抽出し
た。抽出終了後、冷却し、布袋で濾すことにより、残渣
を除去しキチン質含有水を得た。
【0043】(実施例1)カゴ状容器に投入された、平
均粒径が3mmのビーズ状のポリエチレン50Kgを、
参考例1に記載の方法で調製したキチン質含有水に容器
ごと浸漬した後に容器を引き上げて脱液した。次いで、
当該ビーズ状ポリエチレンを攪拌装置に投入し、全体が
均一となるように攪拌を行いながら、残存する付着水の
乾燥を行い、ポリエチレン組成物を得た。
【0044】 なお、乾燥は遠赤外線放射性体であるセ
ラミック板に70℃の温風を当て、遠赤外線を放射させ
つつ、当該温風をポリエチレン組成物に対しても送風す
る方法で行った。乾燥時間は5分であった。
【0045】(実施例2)実施例1で得たポリエチレン
組成物を200℃の温度にてスクリュー押出機にかけ、
厚さ10μのチューブ状に成形した後製袋し、縦300
mm×横230mmの包装用ポリ袋とした。
【0046】 以下、実施例1のポリエチレン組成物の
物理的性状を図3〜6に、化学的性状を表1に、キチン
質の同定結果を図7〜8にそれぞれ示す。
【0047】 1)物理的・化学的性状及びキチン質の
同定結果 物理的性状 実施例1のポリエチレン組成物と市販の他社製ポリエチ
レン(以下、「市販品」という。)について、赤外線吸
収スペクトル及びX線回折の測定を行った。
【0048】 なお、X線回折については、管球:C
u、管電圧:20KV、管電流:2mAとし、試料水平
ゴニオメータにより、サンプリング幅:0.020°、
走査速度:1.000°/min.、発散スリット:1
°、散乱スリット:1°、受光スリット:0.15mm
の条件下で測定した。
【0049】 その結果、図3〜4に示すように、実施
例1のポリエチレン組成物と市販品の赤外吸収スペクト
ルに有意差は認められず、図5〜6に示すX線解析につ
いても、23度付近のピーク強度がやや相違するものの
有意差は認められなかった。
【0050】 化学的性状 表1に示すように、元素分析結果においては、実施例1
のポリエチレン組成物においてのみ、市販品には検出さ
れない窒素が0.35%含まれていた。
【0051】 即ち、当該窒素はキチン質含有水による
処理に起因するものと考えられ、この数値から概算した
結果、実施例1のポリエチレン組成物には、ポリエチレ
ンの1/20(5%)以下のキチン質を含有するものと
推定された。
【0052】
【表1】
【0053】 キチン質の同定 実施例1のポリエチレン組成物を1規定の塩酸水溶液
中、100℃にて処理した。この際の可溶部(分解生成
物)を遠心エバポレーターにて濃縮乾固した残渣につい
て、DIONEX−PADシステムによるイオンクロマ
トグラフィーにより構造解析を行った。その結果を図7
〜8に示す。
【0054】 図7は実施例1のポリエチレン組成物の
分解生成物のクロマトパターン、図8が標準物質のグル
コサミン塩酸塩(キチン類の加水分解生成物)のクロマ
トパターンである。
【0055】 この結果より、実施例1のポリエチレン
組成物からは、キチン類由来のグルコサミン塩酸塩が9
分の位置に確認できた。また、2分前後に、タンパク質
由来のアミノ酸と思われるピークが僅かに検出された。
【0056】 2)機械的・光学的性状の測定結果 実施例1のポリエチレン組成物と市販品について、機械
的・光学的性状を測定した結果を表2に示す。なお、サ
ンプルとしては、インフレーション法で製造された20
μ厚みのフィルムを用いた。
【0057】 なお、引張降伏点強度、引張破断点強
度、引張破断点伸度、引張弾性率についてはJISK7
127、引張強度(エルメンドルフ)についてはJIS
K7128、衝撃強度(ダート)についてはJISK7
124、ヘイズについてはJISK7105に記載の試
験法により行った。
【0058】
【表2】
【0059】 その結果、表2に示すように実施例1の
ポリエチレン組成物と市販品との間に優位差はなかっ
た。即ち、実施例1のポリエチレン組成物に品質低下は
認められず市販品と同等の品質であることが証明され
た。
【0060】 3)器具及び容器包装規格試験 実施例2のポリ袋について、食品、添加物等の規格基準
(昭和34年厚生省告示第370号)の第3のDの2
「合成樹脂製の器具又は包装容器」に従って、器具及び
容器包装規格試験を行った結果を表3に示す。
【0061】 その結果、表3に示すように、合成樹脂
の一般規格である材質試験(カドミウム、鉛)、溶出試
験(重金属、過マンガン酸カリウム消費量)、ポリエチ
レンの個別規格である溶出試験(n−ヘプタン、20%
エタノール、水、4%酢酸による蒸発残留物)とも適正
な範囲であり、規格を満足するものであった。
【0062】
【表3】
【0063】 4)遠赤外線放射性試験 実施例2のポリ袋と、本発明と同様にキチン質を加えて
いるが遠赤外線照射処理のみ行わなかったもの(以下、
「非処理品」という。)について、遠赤外線放射スペク
トルを測定した結果を図1〜2に示す。
【0064】 その結果、図2に示すように非処理品で
は遠赤外線部分の放射スペクトルが確認できなかった
が、実施例2のポリ袋は図1に示すように黒体と同等の
遠赤外線放射性、特に8〜12μの遠赤外線放射性を示
した。
【0065】 5)実際の使用による効果 以下、実施例2のポリ袋と同形状に加工した非処理品を
実際に使用において比較した結果を表4に示す。
【0066】(野菜等の保存) もやしを5℃において冷蔵保存した。その結果、非処理
品においては4日目で植物の呼吸に伴う水分の蒸散、も
やしの褐変(着色)が観察されたが、実施例2のポリ袋
は9日間に渡り水分の蒸散、もやしの褐変(着色)は観
察されず約2倍の期間保存することが可能であった(な
お、同様の効果はカット野菜、つま大根、ほうれん草に
ついても確認された)。
【0067】 また、感応的な効果ではあるが、実施例
2のポリ袋で保存したもやしは、非処理品で保存した場
合に比して殺菌の塩素臭が消え、青臭みや苦みが無くな
った。
【0068】(魚の保存) 鮭を5℃において冷蔵保存した。その結果、非処理品に
おいては3日目でドリップを生じたが、実施例2のポリ
袋では7日間に渡りドリップを生じなかった。なお、感
応的な効果ではあるが、実施例2のポリ袋で保存した鮭
は、非処理品で保存した場合に比して、身がしっとりと
しており、ぱさつきが無かった。
【0069】
【発明の効果】 本発明の遠赤外線放射性を有するキチ
ン質は、キチン質特有の抗菌・抗カビ性、及び遠赤外線
放射性に基づく効果を併有するため、種々の素材と複合
化することにより、前記効果を付与することが可能であ
る。特にプラスチックと複合させたプラスチック組成物
は、種々の成形品や包装材料・保存容器に加工でき、生
鮮食品、加工食品、農産物、衣類の保存等に好適に用い
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例2のポリ袋の遠赤外線放射スペクトル
である。
【図2】 遠赤外線照射処理を行わない非処理品の遠赤
外線放射スペクトルである。
【図3】 実施例1のポリエチレン組成物の赤外吸収ス
ペクトルである。
【図4】 市販品のポリエチレンの赤外吸収スペクトル
である。
【図5】 実施例1のポリエチレン組成物のX線解析結
果である。
【図6】 市販品のポリエチレンのX線解析結果であ
る。
【図7】 実施例1のポリエチレン組成物の分解生成物
のクロマトパターンである。
【図8】 標準物質のグルコサミン塩酸塩のクロマトパ
ターンである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29C 45/00 B29C 45/00 47/00 47/00

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遠赤外線放射性を有することを特徴とす
    るキチン質又はその組成物。
  2. 【請求項2】 キチン質に遠赤外線を照射してなる、請
    求項1に記載のキチン質又はその組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のキチン質を含有
    することを特徴とするプラスチック組成物。
  4. 【請求項4】 遠赤外線放射性を有することを特徴とす
    るプラスチック組成物。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4に記載のプラスチック組
    成物により構成されることを特徴とするプラスチック成
    形物。
  6. 【請求項6】 請求項3又は4に記載のプラスチック組
    成物により構成されることを特徴とする包装材料若しく
    は保存容器。
  7. 【請求項7】 (A)キチン質に対して遠赤外線を照射
    する工程、(B)粒状若しくは紛状のプラスチック成形
    材料とキチン質とを混合する工程、 の各工程からなることを特徴とする遠赤外線放射性を有
    するプラスチック組成物の製造方法。
  8. 【請求項8】 プラスチック成形材料と混合するキチン
    質が、キチン質原料から酸若しくは熱水により抽出され
    てなるキチン質含有水である請求項7に記載のプラスチ
    ック組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】 (A)キチン質に対して遠赤外線を照射
    する工程、(B)粒状若しくは紛状のプラスチック成形
    材料とキチン質とを混合し、当該プラスチック組成物を
    成形する工程、 の各工程からなることを特徴とする遠赤外線放射性を有
    するプラスチック成形物の製造方法。
  10. 【請求項10】 プラスチック成形材料と混合するキチ
    ン質が、キチン質原料から酸若しくは熱水により抽出さ
    れてなるキチン質含有水である請求項9に記載のプラス
    チック成形物の製造方法。
  11. 【請求項11】 プラスチック組成物を成形する温度が
    230℃以下である請求項9又は10に記載のプラスチ
    ック成形物の製造方法。
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