JPH11174008A - 荷電粒子装置 - Google Patents

荷電粒子装置

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Publication number
JPH11174008A
JPH11174008A JP9344796A JP34479697A JPH11174008A JP H11174008 A JPH11174008 A JP H11174008A JP 9344796 A JP9344796 A JP 9344796A JP 34479697 A JP34479697 A JP 34479697A JP H11174008 A JPH11174008 A JP H11174008A
Authority
JP
Japan
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sample
electrons
charged particle
potential
primary particles
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Application number
JP9344796A
Other languages
English (en)
Inventor
Ryoji Oritsuki
良二 折付
Ken Hashimoto
謙 橋本
Masayoshi Ezawa
正義 江澤
Akira Shimase
朗 嶋瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
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  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 簡単な構成で、試料の帯電を除去する。 【解決手段】 1次荷電粒子を試料9に照射し3、該試
料から放出される2次荷電粒子を検出11する荷電粒子
装置において、前記試料の帯電個所にその帯電した電荷
と逆符号の電荷を補給して帯電を打ち消す帯電除去装置
14を具備させた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はイオンあるいは電子
ビームを用いて絶縁体を有効に分析または加工する荷電
粒子装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、正電荷を有するイオンあるいは負
電荷を有する1次粒子源とする分析装置は数多くあり、
電子を1次粒子として2次電子を計測して試料形状を分
析する走査型電子顕微鏡(SEM)、あるいは同じく試
料組成を分析するオージェ電子分析装置、あるいはイオ
ンを1次粒子として2次イオンを計測して試料組成を分
析する2次イオン質量分析装置(SIMS)、あるいは
試料形状の変更やマイクロマシンの作成に適する集束イ
オンビーム装置(FIB)など、その種類は枚挙に暇が
ない。
【0003】さて、これらイオンあるいは電子が試料に
入射する際、それらのもつ入射エネルギによって試料か
ら2次電子が放出されることがよく知られている。
【0004】このため、試料が絶縁体の場合、試料が正
符号の電位に帯電してしまい、試料電位が上昇して、1
次粒子ビームが不安定になったり、2次粒子が充分検出
されなくなるなどの不具合が生じる。
【0005】したがって、試料帯電を防止することは、
これらの装置にとって重要であり、通常、帯電防止策が
とられている。
【0006】たとえば試料表面に金属薄膜を蒸着形成
し、試料の表面抵抗を低下させて帯電を防止する方法
や、同じく試料表面に、入射粒子数の密度では1次粒子
の面密度の数桁小だが、数百ボルトの電子を試料表面の
広範囲に照射し、試料の表面抵抗を低下させる電子シャ
ワー法などが実用化されている。
【0007】あるいは、”金属”1981年9月号P4
0記載にあるように、1次イオンを負イオンにしたり、
試料にケージをかぶせて電圧を印加し、2次電子を試料
にバックさせて、帯電を防止させる方法がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
で述べた、試料の表面抵抗値を低下させる方法や、2次
電子を試料に戻す方法では、必ずしも充分な帯電防止策
とはいえず、試料の分析精度や加工形状精度が導電体試
料なみに得られない問題がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、試料の帯電が
正符号であることに鑑み、この帯電部分の試料に不足し
た負電子を、電子銃等の手段により、試料外部から帯電
部分に直接補給し、試料帯電を防止するものである。
【0010】すなわち、試料が帯電するということは、
正イオンの入射あるいは2次電子の放射によって、試料
内または試料表面での電子が欠乏するためである。欠乏
した電子数に相当する電子を補給すれば試料の帯電は防
止できる。
【0011】電子の補給は電子銃を装置内に組み込み、
試料面に電子を照射することで達成できる。しかし、現
状の電子銃は照射面積は広範囲であるが、照射の粒子密
度は1次イオンの数桁小であり、正イオンがもつ電荷量
すら補償することができない。
【0012】ここでは、1次粒子がイオンであった場合
には、イオンの試料入射密度より大きい入射密度の電子
を試料に照射するものである。
【0013】また、1次粒子の試料入射数と試料から放
出される2次電子数にしたがって、試料内あるいは試料
表面の負電荷の数が欠乏し、試料電位が上昇するが、欠
乏する負電荷の数、あるいは上昇した試料電位に相当し
た、入射密度の電子を試料に照射するものである。
【0014】次に、帯電防止のため照射する電子の照射
面積であるが、通常の電子シャワーによる除電の場合
は、試料表面を低抵抗化することが目的であるので、1
次粒子の照射領域よりはるかに広範囲であり、1次粒子
の照射領域が数ミクロンオーダであったとしても、電子
シャワーの照射領域は通常数ミクロンのオーダである。
【0015】しかし、帯電量に応じた電子密度で、試料
の帯電を中和する方法では、1次粒子の照射領域以外に
電子シャワーをする必然性はない。1次粒子の入射領域
と等しいか、これより少し大きい領域に入射すれば充分
である。これは、単に無駄を省くというだけでなく、1
次粒子が入射する場所と電子シャワーが入射する場所
が、遠くにはなれた場合、試料内で電位が異なる場所が
できることを意味しているので、試料内の電位分布に敏
感な分析の場合、好ましいことではない。
【0016】さて、試料帯電量に応じて電子を照射して
除電する方式においては、試料帯電量を知っておいたほ
うが便利である。試料帯電量(Q1)は、入射する1次
粒子の数(Q2)と1次粒子のエネルギと試料材質で決
まる2次電子の数(Q3)と2次イオンの数(Q4)で評
価できる。
【0017】
【数1】 Q1=Q2+Q3−Q4 ……(1) 試料が決まったら、1次粒子の加速エネルギを変えて2
次電子数等を測定しておくことにより、(1)式より帯
電量が予測され、帯電防止のための電子シャワーの電流
値を決定できる。
【0018】なお、分析装置にSIMS等の2次イオン
のエネルギに敏感な検出器がついている場合、検出器の
電位を変化させて、2次イオンの検出量が最大になる検
出器の電位から、帯電電位の大きさ(V)を測定したこ
とになる。この帯電電位の大きさ(V)と試料の容量
(C)から帯電量(Q1)が判る。
【0019】
【数2】 Q1=C・V ……(2) この手法はSIMSがない場合、電子シャワーの電子銃
を試料に照射し、ここから出る2次電子の電流値が最大
になるエネルギを測定することで、帯電圧を評価でき
る。1次電子に対する2次電子の割合、すなわち、2次
電子利得は、1次電子のエネルギが数百ボルト程度のあ
る値の時に最大となるが、1次電子のエネルギが1次電
子の加速電圧と試料の帯電圧の差で決まるためである。
【0020】試料の帯電圧(V)が評価できたら、
(2)式から試料の帯電量(Q1)が判る。帯電圧の評
価と電子銃による除電を組み合わせることにより、正確
な除電が可能となる。
【0021】さて、電子銃から電子を試料に打ち込んで
除電するとき、電子のエネルギが大きいと2次電子の発
生が大となり、2次電子利得が1を超えると、却って正
符号の帯電が増加することになる。
【0022】2次電子の発生は通常1次電子の加速電圧
が20〜30V以上の場合である。すなわち、20〜3
0Vの加速電圧で電子シャワーを印加している限り、試
料の除電に問題はない。つぎに、加速電圧が20〜30
Vを超えると、加速電圧に比例して2次電子が放出され
るが、2次電子の数が1次電子の数より少ない間は、同
様に試料の除電に問題はない。さらに1次電子の加速電
圧が増大すると2次電子の数が1次電子の数を上回る
が、2次電子のエネルギがそれ程大きくないので、試料
の持つ正電界に拠って、遅い2次電子は試料に引き戻さ
れる。したがって、電子銃の加速電圧が50V程度以下
であれば、電子銃による電子の打ち込みによって、帯電
が却って悪化することもなく除電を進行させることがで
きる。
【0023】ただし、電子銃からの電子の加速電圧は電
子銃の加速電圧だけで決まるわけではなく、電子銃の加
速電圧と試料の電位の和で決まる。すなわち、試料が帯
電して数kVに帯電している場合、電子銃からの電子は
数kVで加速されて試料に入射する。高速の電子を打ち
込めば当然2次電子が増大し除電はできない。このよう
な場合は、電子銃全体の電位を正電位にシフトすること
で、電子の実質的な加速電圧を低下させることができ、
除電が可能となる。
【0024】同様に、電子銃の電位を変更する替わり
に、試料ホルダの電位を負方向にシフトしても電子の加
速電圧を低下することができる。すなわち、試料の試料
ホルダに対する帯電が1000Vであった場合、試料ホ
ルダに−1000Vの電位を与えれば、試料のグランド
に対する電位は0Vとなって、試料帯電の効果を打ち消
せるからである。
【0025】さて、試料への電子供給による除電は、電
子銃に限るものではない。試料近傍に熱電子放出源ある
いはフィールドエミッションによる電子放出源を設置し
ておけば、もし、試料が帯電した場合、試料電位に拠っ
て電子が引き出され、試料に電子が流れ込んで除電がで
きる。
【0026】熱電子の引き出しなら数ボルトで可能なの
で、試料が帯電して数ボルトの電位になったとすると、
そばの熱電子放出源から、この数ボルトで電子が加速さ
れて試料に流れ込むことになる。
【0027】なお、この場合も試料ホルダの電位を制御
したほうが便利であって、帯電が大である場合は、試料
ホルダの電位を負方向にシフトして電子の加速電圧を抑
制し、帯電量が小なるときは、試料ホルダの電位を正方
向にシフトして電子の数を増やすとよい。
【0028】また、このような熱電子放出源の替わり
に、試料近傍にターゲットをおきここから2次電子を放
出させてもよい。ターゲットは小さい金属片で構わない
ので、電位の制御がやりやすく、試料ホルダの電位を変
更できない場合でも、ターゲットの電位を変化させて、
ターゲットから試料に入射する電子のエネルギを制御で
きる利点がある。
【0029】また、一般に、分析あるいは試料加工時と
除電時では、最適の試料電位の値は異なる。分析あるい
は試料加工と除電は交互に行ったほうがよい。すなわ
ち、分析あるいは試料加工を目的とした試料電位と除電
を目的とした試料電位を交互に繰り返すのがよく、分析
時には、試料の正帯電を打ち消す負電圧を、そして、除
電時には試料帯電を際立たせる正電圧を試料ホルダに印
加するのがよい。すなわち、試料ホルダの電位を正電位
と負電位のあいだで変化させて、負電位の時データをと
るのが好ましい。もちろん、試料の帯電が大になった場
合は、除電時にも試料ホルダの電位を負電位にして、除
電のための電子の加速電圧を下げる必要があるが、試料
表面の表面電流による除電が期待できる場合は、必ずし
もこの限りでなく、分析時は負電位で、除電時には正電
位で試料ホルダを制御したほうがよい。
【0030】また、試料ホルダの電位を変化させる場合
は、1次粒子をパルス化したほうがよい結果が得られる
場合が多い。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明による荷電粒子装置
の実施例を図面を用いて説明する。
【0032】実施例1.図1は、荷電粒子装置の一つで
ある走査型電子顕微鏡(SEM)の一実施例を示した構
成図である。
【0033】同図において、まず、真空チャンバ1があ
り、この真空チャンバ1内は真空ポンプ2によって減圧
されるようになっている。
【0034】真空チャンバ1の頂部には、この真空チャ
ンバ1内に負電子を照射する1次粒子照射装置3が備え
られ、この1次粒子照射装置3は、負電子を発生させる
1次粒子源4と、この1次粒子源4からの負電子を真空
チャンバ1に加速させる加速電極5と、1次粒子源4と
加速電極5との間に電界を発生させる加速電源6と、1
次粒子源4から流れ出す電流を計測する電流計7とから
構成されている。
【0035】この場合の1次粒子照射装置3は、通常、
その加速電源6が約20keVであり、電流計7には約
100μAの電流が流れるようになっている。
【0036】また、真空チャンバ1内には、試料ホルダ
8上に配置された試料9があり、その表面の観察領域に
は前記1次粒子照射装置3からの負電子が走査されて照
射されるようになっている。
【0037】そして、加速された電子は試料9に入射
し、一部は試料9に吸収されて、試料ホルダ8を通って
グランドにおちる。この試料に吸収される電流は、試料
ホルダ8に取り付けた電流計で測定できるが、通常0.
01nA程度である。
【0038】試料9に1次粒子照射装置3からの負電子
が照射されることによって、その表面から2次電子が放
出され、この2次電子は反射電子とともに真空チャンバ
1の側壁に取り付けられたたとえば2次電子増倍管等か
らなるセンサ11に入射され、カウンタ12によって該
センサ11に入射された2次電子をカウントするように
なっている。
【0039】試料9に入射される1次粒子の大部分は、
試料9によって反射される反射電流と、試料内の原子に
エネルギーを与えて試料9から放出される2次電子とか
らなっている。このため、試料9が絶縁体の場合、その
表面は上述した2次電子の放出によって正に帯電するよ
うになる。
【0040】さらに、この実施例では、チャンバ1の側
壁に、前記試料6の帯電を除去するための帯電除去装置
14が取りつけられている。
【0041】すなわち、この帯電除去装置14は、電子
を照射する電子銃15と、この電子銃15からの電子を
加速収束するための加速収束電極16と、電子銃15と
加速収束電極16との間に電界を発生させる加速電源1
7と、電子銃15と加速収束電極16との間に流れる電
流を計測する電流計18とから構成されている。
【0042】この場合の帯電除去装置14は、その加速
電源17は通常約50Vであり、電流計18には約1m
Aの電流が流れて駆動されるようになっている。
【0043】加速収束電極16を介して照射される電子
銃15からの電子は試料9の観察領域に照射されるよう
になっているとともに、該電子の照射領域は前記観察領
域と同一あるいはそれよりも若干広い領域となってい
る。
【0044】この帯電除去装置14によって、試料9の
2次電子の放射による電子の不足から生じる帯電個所
(観察領域)に、電子を補充して照射するようになって
いることから、結果的に試料9の帯電を防止することが
できるようになる。
【0045】この場合、帯電除去装置14から照射され
る電子は、上述のように低加速電圧50Vによって試料
9に照射されることから、新たな2次電子の発生を抑制
できるようになっている。このため、帯電除去装置14
の加速電源17は50V以下で駆動させるようにしても
よいことはいうまでもない。
【0046】このように構成された走査型電子顕微鏡
は、その試料9の帯電が正符号であることに鑑み、この
帯電部分の試料9に不足した負電子を電子銃15によっ
て直接補給し、試料帯電を防止している。
【0047】すなわち、試料9が帯電するということ
は、2次電子の放射によって試料内または試料表面での
電子が欠乏することが原因する。このため、欠乏した電
子数に相当する電子を補給することによって試料9の帯
電を防止することができる。
【0048】ここで、電子の照射量を決定する試料帯電
量Q1は、次のような関係式(1)によって定められ
る。
【0049】すなわち、入射する1次荷電粒子の数をQ
2、この1次荷電粒子のエネルギーと試料の材質で決定
される2次電子と反射電子の和の数をQ3、2次イオン
の数をQ4=0とした場合、上式(1)が成立する。
【0050】このことは、対象となる試料9が選定され
た場合、1次荷電粒子の加速エネルギーを変えて2次電
子の数を測定しておくことにより、上記式(1)を用い
て試料帯電量が予測でき、帯電防止のための電子銃15
を駆動させるための電流値を決定することができる。
【0051】なお、参考のために、従来の電子シャワー
方式の数値を挙げておくと、電子シャワーの加速電圧は
通常数百ボルトで、電流値は通常100nA程度であ
り、照射領域は通常1mmφである。加速電圧は本発明
によるよりはるかに大きく、また、電流値は小さい。S
EM観測領域に限って言うならば、従来の電子シャワー
は1次粒子たりる1次電子と比較して、あくまでも試料
表面の低抵抗化を図るものであり、帯電した電荷と逆符
号の電荷を補給して帯電を打ち消すものでないことが判
る。
【0052】実施例2.図2は、荷電粒子装置の一つで
ある2次イオン質量分析装置(SIMS)の一実施例を
示した構成図である。
【0053】上記走査型電子顕微鏡と類似の構成をな
し、図1と同符号のものは同一の機能を有する部材とな
っている。
【0054】図1と異なるのは、まず、絶縁体である試
料9に照射する1次粒子源3からの荷電粒子がたとえば
正のイオンとなっている。
【0055】そして、試料9から放出される荷電粒子は
2次イオンとなり、この2次イオンは質量分析計のセン
サ19に入射され、分析計20によって分析されるよう
になっている。
【0056】ここで、センサ19は、試料9から2次イ
オンを引き出す構成となっていることから、試料9との
間で電位差をもたせる必要があり、この点、前記走査電
子顕微鏡と異なる構成となっている。
【0057】すなわち、センサ19はグランドに保持さ
れ、試料ホルダ8は調整電源21を介して接地されてい
る。
【0058】この試料と分析計の間の電位差が変化する
と、2次イオンの分析計への引込みが出来なくなり、分
析不能となったり、分析精度が低下する。すなわち、試
料が絶縁体の場合、試料が帯電して、試料と分析計の間
の電位を変化させるので、問題となる。
【0059】このため、本発明では、電子銃から加速電
圧を50Vに設定して、低速の電子を試料に供給するよ
うになっている。その供給量は、分析面積当たりで比較
して、1次粒子の照射量密度より大きくなる。
【0060】ここで、試料が大きく正符号の帯電をする
場合がある。この場合、除電用の電子銃からの電子は、
試料の帯電によっても加速され、2次電子利得が1を超
え、大量の2次電子が発生し、却って、帯電が増大する
場合がある。これを防止するため、試料ホルダに負電圧
を加え、試料の正帯電とあわせて、試料の電位を50%
程度に調整できるようになっている。
【0061】すなわち、試料からの2次電子発生をでき
るだけ抑えるようになっている。
【0062】なお、この場合、試料ホルダ8の電位の最
適値は分析時と帯電除去時では異なることに注意を要す
る。
【0063】まず、分析時には、分析対象が正の2次イ
オンである場合、試料ホルダ8に正電圧を印加し、逆に
負の2次イオンである場合、負電圧を印加する必要があ
る。
【0064】また、印加する電位の大きさは、装置の特
性に応じ、たとえばセクタ型あるいはTOF(Time of
Flight)の場合は数keVで、四重極型の質量分析計の
場合は数百Vにする必要がある。
【0065】また、帯電除去時には、帯電圧に依存し、
試料ホルダ8の電圧を変更する。この場合、帯電除去時
間を充分にとっておくことによって、試料9は極端に帯
電しないので、帯電除去装置14をその電圧を約50V
で駆動するのみでよく、試料ホルダ8への電圧印加は必
要としなくなる。
【0066】そして、本実施例では、分析計20からの
信号によって調整電源21における電圧を制御できるよ
うにもなっている。
【0067】たとえば、SIMSあるいはオージェ分析
計等の場合、試料9が帯電してしまうと、分析計20か
ら信号がでなくなることから、このことに基づいて調整
電源21における電圧を制御できるようになっている。
【0068】また、SEMの場合、試料9の帯電部分か
らの2次電子が極端に多くなることから、このことに基
づいて調整電源21における電圧を制御できるようにな
っている。
【0069】いずれにせよ、分析計20の信号が正常と
なる試料ホルダ8の電位を捜すことによって、分析時点
での試料帯電圧が判り、この試料帯電圧を打ち消す負電
圧を試料ホルダ8に印加するようにしている。
【0070】このように構成することによって、試料が
大きく帯電してしまう不都合を解消できるとともに、帯
電除去時間よりも分析する時間を多く取りたいという要
求を満足させることができるようになる。
【0071】さらに、本実施例では、分析計20からの
信号によって電子銃15における電流を制御できるよう
にもなっている。
【0072】すなわち、分析計20の信号から試料9の
帯電圧を評価し、その帯電圧が高ければ、電子銃の電流
値を増大させるようにしている。
【0073】図3は、帯電除去を分析と分離して行う場
合の一実施例をタイムチャートで示した説明図である。
【0074】同図に示すように、1次粒子の出力をパル
ス化し、帯電除去用の電子電流の出力もパルス化してい
る。そして、横軸時間tで1次粒子の出力と帯電除去用
の電子電流の出力とを同期して制御している。
【0075】ここでは、電流値を増大させることなく、
帯電除去の時間を長くすることによって、試料帯電圧の
低減化を図っている。
【0076】また、同図に示すように、試料ホルダ8の
電位を分析と帯電除去のタイミングにあわせて制御する
ようにしている。
【0077】実施例3.図2と同符号のものは同一機能
を有する部材を示している。
【0078】図2の構成と異なる部分は、質量分析計の
センサ19および分析計はそれのみの機能を有するよう
にし、新たに、たとえば二次電子増倍管からなるセンサ
22を具備させ、このセンサ22の出力によって、調整
電源21における電圧を制御できるようにしているとと
もに、電子銃15における電流を制御できるようにして
いるものである。
【0079】新たに設けたセンサ22は、試料9からの
2次電子を測定するものであり、この測定値から試料9
の帯電圧を評価できることから、図2に示したと同様の
制御ができることになる。
【0080】実施例4.図2と同符号のものは同一機能
を有する部材を示している。
【0081】図2の構成と異なる部分は、試料ホルダ8
は、調整電源21を介さずして直接グランドにおとし、
帯電除去装置14の電子銃15にバイアス電源24を備
えたことにある。
【0082】これにより、電子銃15からの電子の試料
入射エネルギーの制御を、試料ホルダ8の電位ではな
く、前記バイアス電源21によって制御する構成として
いる。
【0083】この場合、電子の試料への入射エネルギー
は、電子銃15の加速電圧に試料9の帯電圧を加え、電
子銃のバイアス電圧を引いた値である。
【0084】電子銃のバイアス電圧は、試料ホルダ8に
電圧印加した前述の実施例と同様に、試料の帯電圧と同
程度の正電圧に制御するのが好適となる。
【0085】実施例5.図6は、他の実施例を示す説明
図である。
【0086】この実施例では、帯電除去用の電子銃15
の替わりに試料9の近傍に熱電子放出源26を配置した
ことにある。
【0087】この熱電子放出源26としては、たとえば
BaOを主成分とする酸化物カソード、あるいはタング
ステンカソードを用いることができる。
【0088】試料9に1次荷電粒子が入射されると、2
次電子が試料9から放射され、該試料9が帯電する。そ
して、この帯電圧が5V以上になると、熱電子がカソー
ドから吸い寄せられて帯電除去が開始されることにな
る。
【0089】また、この場合においても、試料ホルダ8
の電位を制御できるようにしてもよく、このようにした
場合、帯電量が大きくなった場合に、該電位を負方向に
制御することによって電子の加速電圧を抑制でき、ま
た、荷電量が小さくなった場合、該電位を正方向に制御
することによって電子の数を増加させるようにできる。
【0090】なお、上述した実施例では、熱電子放出源
26を用いたものであるが、同様の趣旨からフィールド
エミッションによる電子放出源を用いてもよいことはい
うまでもない。
【0091】実施例6.図7は、他の実施例を示す構成
図である同図において、図1と同符号のものは同一機能
を有する部材を示している。
【0092】図7において、まず、試料の近傍に2次電
子放出源28を配置したことにある。この2次電子放出
源28としては、たとえばMgO、Al、あるいはステ
ンレスが選択される。好ましくは2次電子利得の大きい
材料がよい。
【0093】そして、この2次電子放出源28に電子銃
から電子を打ち込み、該2次電子放出源28から2次電
子を放出させ、近傍の試料の帯電を除去するようになっ
ている。
【0094】この場合、2次電子放出源28の電位を調
整電源29で制御することによって、該2次電子放出源
28から試料9に入射する電子のエネルギーを制御でき
るようになり、電子銃15あるいは試料ホルダ8の電圧
を変更する必要がなくなる。
【0095】以上、上記各実施例による荷電粒子装置に
よれば、それに具備された帯電除装置によって、試料の
帯電個所にその帯電した電荷と逆符号の電荷を補給して
帯電を打ち消すように構成していることから、確実に帯
電を除去することができるようになる。
【0096】上述した各実施例では、SEM、SIMS
等の荷電粒子装置について説明したが、これに限定され
ることはないことはもちろんである。たとえば、オージ
ェ、EDX、FIB等の荷電粒子装置についても適用で
きることはいうまでもない。
【0097】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明による荷電粒子装置によれば、簡単な構成によっ
て試料の帯電を除去できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による荷電粒子装置の一実施例を示す構
成図である。
【図2】本発明による荷電粒子装置の他の実施例を示す
構成図である。
【図3】本発明による荷電粒子装置の他の実施例を示す
構成図である。
【図4】本発明による荷電粒子装置の他の実施例を示す
構成図である。
【図5】本発明による荷電粒子装置の他の実施例を示す
構成図である。
【図6】本発明による荷電粒子装置の他の実施例を示す
説明図である。
【図7】本発明による荷電粒子装置の他の実施例を示す
構成図である。
【符号の説明】
1……真空チャンバ、2……真空ポンプ、3……1次粒
子照射装置、4……1次粒子源、8……試料ホルダ、9
……ホルダ、11……センサ(2次電子増倍管等)、1
2……カウンタ、14……帯電除去装置、15……電子
銃。19……センサ(質量分析計の)、20……分析
計。
フロントページの続き (72)発明者 嶋瀬 朗 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正イオンまたは負電子を1次粒子として
    試料に入射し、試料の分析あるいは試料形状の変更を目
    的とする荷電粒子装置において、 1次粒子がイオンである場合にあっては、イオンの試料
    入射密度より大きく、また、1次粒子がイオンまたは電
    子である場合にあっては、1次粒子の試料入射および2
    次電子放出にともなって上昇する試料電位に相当した荷
    電電流密度にほぼ等しい、入射数密度の電子を照射する
    電子銃を具備したことを特徴とする荷電粒子装置。
  2. 【請求項2】 正イオンまたは負電子を1次粒子として
    試料に入射し、試料の分析あるいは試料形状の変更を目
    的とする荷電粒子装置において、 1次粒子の入射領域とほぼ同一の領域に限定して、電子
    を照射する電子銃を具備したことを特徴とする荷電粒子
    装置。
  3. 【請求項3】 正イオンまたは負電子を1次粒子として
    試料に入射し、試料の分析あるいは試料形状の変更を目
    的とする荷電粒子装置において、 1次粒子が入射する部分の試料の電位を評価あるいは計
    測する手段を有することを特徴とする荷電粒子装置。
  4. 【請求項4】 正イオンまたは負電子を1次粒子として
    試料に入射し、試料の分析あるいは試料形状の変更を目
    的とする荷電粒子装置において、 1次粒子が入射する部分の試料電位を評価し、評価した
    電位をフィードバックして帯電防止機能を制御する手段
    を有することを特徴とする荷電粒子装置。
  5. 【請求項5】 正イオンまたは負電子を1次粒子として
    試料に入射し、試料の分析あるいは試料形状の変更を目
    的とする荷電粒子装置において、 50V以下の加速電圧で電子を照射する電子銃を具備し
    たことを特徴とする荷電粒子装置。
  6. 【請求項6】 正イオンまたは負電子を1次粒子として
    試料に入射し、試料の分析あるいは試料形状の変更を目
    的とする荷電粒子装置において、 グランドに対して正符号の電位を与えられた、電子を照
    射する電子銃を、具備したことを特徴とする荷電粒子装
    置。
  7. 【請求項7】 正イオンまたは負電子を1次粒子として
    試料に入射し、試料の分析あるいは試料形状の変更を目
    的とする荷電粒子装置において、 グランドに対して負符号の電位を試料ホルダに印加する
    機能と、電子銃等の電子を試料に供給する機能を、具備
    したことを特徴とする荷電粒子装置。
  8. 【請求項8】 正イオンまたは負電子を1次粒子として
    試料に入射し、試料の分析あるいは試料形状の変更を目
    的とする荷電粒子装置において、 試料近傍に熱電子等の電子放出源を、具備したことを特
    徴とする荷電粒子装置。
  9. 【請求項9】 正イオンまたは負電子を1次粒子として
    試料に入射し、試料の分析あるいは試料形状の変更を目
    的とする荷電粒子装置において、 試料近傍に正イオンまたは負電子の入射を受け、2次電
    子放出源となるターゲットを、具備したことを特徴とす
    る荷電粒子装置。
  10. 【請求項10】 請求項9の荷電粒子装置において、電
    子放出源あるいは2次電子放出ターゲットが、その電位
    を調整できることを特徴とした荷電粒子装置。
  11. 【請求項11】 正イオンまたは負電子を1次粒子とし
    て試料に入射し、試料の分析あるいは試料形状の変更を
    目的とする荷電粒子装置において、 試料ホルダの電位を正符号あるいは負符号の電位に周期
    的に制御できることを特徴とした荷電粒子装置。
  12. 【請求項12】 請求項11の荷電粒子装置において、
    正イオンまたは負電子からなる1次粒子がパルス制御さ
    れ、かつ、試料ホルダの電位が1次粒子パルスの周期に
    同期して制御できることを特徴とした荷電粒子装置。
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