JPH11169373A - 超音波ドプラ診断装置 - Google Patents

超音波ドプラ診断装置

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JPH11169373A
JPH11169373A JP34095297A JP34095297A JPH11169373A JP H11169373 A JPH11169373 A JP H11169373A JP 34095297 A JP34095297 A JP 34095297A JP 34095297 A JP34095297 A JP 34095297A JP H11169373 A JPH11169373 A JP H11169373A
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JP
Japan
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signal
frequency
real part
output
imaginary part
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JP34095297A
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Inventor
Masabumi Ogasawara
正文 小笠原
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Aloka Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回路規模の小さい超音波ドプラ診断装置を提
供する。 【解決手段】 超音波エコーの受信信号は、A/D変換
器により超音波の送信周波数の4倍の周波数でサンプリ
ングされ、デジタル化されて、複素ドプラ信号の実数部
及び虚数部の信号が交互に並んだ信号列となる。この信
号列は、FIRフィルタ24に入力され、低域成分のフ
ィルタリングが行われる。FIRフィルタ24は、遅延
器244−1〜244−5をカスケード接続して構成さ
れ、偶数番目の乗算器244−0,244−2,244
−4には低域抑圧のための係数が設定され、奇数番目の
乗算器244−1,244−3,244−5には係数0
が設定される。加算器246からは、実数部の信号のフ
ィルタ結果と虚数部の信号のフィルタ結果が交互に出力
される。この構成により、従来、実数部及び虚数部の各
々について必要であったフィルタを1つにまとめること
ができ、超音波ドプラ装置の回路規模を小さくできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】超音波のドプラ効果に基づき
被検体内の運動体の速度などの情報を得る超音波ドプラ
診断装置に関し、特にその信号処理回路の構成に関す
る。
【0002】
【従来の技術】図4は、2方向同時受信方式の従来の超
音波ドプラ診断装置の構成を示すブロック図である。2
方向同時受信方式は、受信信号を整相する整相加算部を
2系統設けることにより、超音波ビームの一回の送信に
対して方向が少しずれた2本の受信ビームを形成する方
式であり、ドプラ断層画像のフレームレートの向上など
のために用いられる。
【0003】図4において、プローブ10は、電気音響
変換を行う複数の振動素子を配列したアレイ型振動子を
有している。送信部12は、発振器14から供給される
周波数f0の信号に基づき、プローブ10の各振動素子
に対する送信パルスを生成する。送信パルスは、f0
周波数を有し、所定のパルス繰り返し周期Tごとに生成
されプローブ10に供給される。プローブ10の各振動
素子は、この送信パルスにより駆動され、超音波パルス
を送信する。また、プローブ10の各振動素子は、この
送信パルスに対する被検体内からのエコーを受信し、電
気的な信号に変換する。これら各信号は、プリアンプ1
6で増幅された後それぞれ2つに分岐し、整相加算部1
8a及び18bに入力される。整相加算部18a及び1
8bは、これら各振動素子からの信号をそれぞれ所定の
遅延量ずつ遅延させた後加算することにより、受信信号
を形成する。各振動素子からの信号に与える遅延量は、
形成したい受信ビームに応じて適宜調整される。ここ
で、整相加算部18aと整相加算部18bとは、加算す
る信号の選択及び遅延量の調整により、互いにわずかに
方向が異なる受信ビームを形成する。整相加算部18a
及び18bが形成する受信信号は、それら各受信ビーム
についての受信信号となる。
【0004】整相加算部18aから出力された受信信号
は、2つに分岐し、ミキサ52a及び52bに入力さ
れ、位相が互いにπ/2(90度)異なる周波数f0
2つの参照信号により直交検波される。整相加算部18
bから出力された受信信号も、同様に、ミキサ52c及
び52dにて直交検波される。π/2移相器50は、発
振器14から出力される周波数f0の信号をπ/2だけ
移相して、ミキサ52b及び52dに供給する参照信号
を生成する。この結果、各受信信号について、それぞれ
位相が互いにπ/2異なる2つの検波信号が得られる。
これら2つの検波信号は、それぞれ複素信号の実数部、
虚数部に対応づけることができる。以下では、ミキサ5
2a及び52cの出力を実数部信号とし、ミキサ52b
及び52dの出力を虚数部信号とする。各ミキサ52a
〜52dの出力は、それぞれA/D変換器54a〜54
dでデジタル化され、メモリ56a〜56dにそれぞれ
記憶される。これらのデータは、一連の送受信シーケン
スが完了するまでの間メモリ56a〜56dに蓄えら
れ、送受信シーケンスが完了すると、それぞれMTI
(Moving Target Indication)フィルタ58a〜58d
に入力されて、クラッタ成分となる低域成分が抑圧され
る。MTIフィルタ58a及び58bの出力は、それぞ
れ整相加算部18aの受信ビームについての実数部信号
及び虚数部信号であり、自己相関器28aはこれらの信
号に対して自己相関演算を行う。そして、この自己相関
演算の結果に基づき、速度演算部30a及び分散演算部
32aは、それぞれ当該受信ビーム上の各点の速度及び
分散を算出する。同様に、自己相関器28bは、MTI
フィルタ58cおよび58dの出力に対して自己相関演
算を行い、速度演算部30b及び分散演算部32bは、
この自己相関演算の結果に基づき、整相加算部18bに
ついての受信ビーム上の各点の速度及び分散を算出す
る。このようにして求められた各点の速度及び分散の情
報は、スキャンコンバータ36に入力され、整相加算部
18aの出力に基づきBモード処理部34が求めたBモ
ード断層像と重畳された上で、カラーモニタ38に表示
される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の超音波ドプ
ラ診断装置では、2方向同時受信方式で速度等の情報を
得るに当たり、ミキサ、A/D変換器が4系統必要とな
る上、クラッタ成分抑圧のためのフィルタも4系統必要
となる。すなわち、従来は、直交検波処理などの必要性
から、ミキサやA/D変換器、フィルタが、1ビーム当
たり2つずつ必要であり、回路規模が大きくコストが高
いという問題があった。
【0006】本発明は、このような問題を解決するため
になされたものであり、回路規模の小さい超音波ドプラ
診断装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、所定の送信繰
り返し周期ごとに超音波パルスを被検体内に送信し、反
射波を受信して得た受信信号を信号処理して被検体内の
運動体の運動情報を求める超音波ドプラ診断装置におい
て、受信信号を超音波の送信周波数の4倍の周波数でサ
ンプリングしてデジタル化し、互いにπ/2だけ位相が
異なる実数部信号及び虚数部信号を交互に出力するA/
D変換器と、前記A/D変換器が出力する信号列が入力
され、この信号列における前記実数部信号と虚数部信号
の配列を保ったままこれら各信号の中の低速運動体に係
る低域成分を抑圧する低域抑圧フィルタと、前記低域抑
圧フィルタから順に出力される信号を、実数部チャネル
及び虚数部チャネルに交互に分配するマルチプレクサ
と、前記実数部チャネルと虚数部チャネルからそれぞれ
並列に信号が入力され、それら並列に入力された信号の
組について自己相関演算を行うことにより、被検体内の
高速運動体の運動情報を求める自己相関器と、を含むこ
とを特徴とする。
【0008】この構成では、A/D変換器は超音波の送
信周波数の4倍のレートで受信信号をサンプリングする
ので、位相がπ/2(90度)ずつ異なるデジタル信号
が順に出力される。出力されるデジタル信号を1つおき
に取った系列を考えると、それは、受信信号をπごと、
すなわち送信周波数の2倍のレートでサンプリングした
信号列である。標本化定理によれば、この1つおきの信
号列から元の信号を再現することができる。したがっ
て、A/D変換器から出力された信号の偶数番目の系列
及び奇数番目の系列は、それぞれ元の受信信号を再現す
る情報を含んでいると共に、位相が互いにπ/2だけ異
なっており、一方の系列を複素信号の実数部信号、他方
の系列を複素信号の虚数部信号として扱うことができ
る。すなわち、A/D変換器からは、受信信号を直交検
波結果の複素信号の実数部及び虚数部が交互に出力され
ると捉えることができる。低域抑圧フィルタは、このA
/D変換器から出力された信号列において、実数部信号
と虚数部信号が交互に並んだ配列を保ったまま、それら
各信号に含まれる低域成分(これは、被検体内の例えば
心臓壁などの低速運動体を示す)を抑圧する。マルチプ
レクサは、低域抑圧フィルタから出力された、低域成分
が抑圧された実数部信号及び虚数部信号が交互に並んだ
信号列を受け取り、順に入力される信号を実数部チャネ
ル及び虚数部チャネルに交互に分配する。この結果、実
数部チャネル及び虚数部チャネルには、それぞれ1/2
周期ごとの離散的な実数部信号及び虚数部信号が出力さ
れることになる。この実数部信号及び虚数部信号に対し
て自己相関演算を行うことにより、被検体内の運動体の
速度や分散などの運動情報を求めることができる。
【0009】この構成によれば、被検体内の運動体の運
動情報を得るのに、ミキサなどの検波のための特別の手
段を設ける必要がなく、またA/D変換器や低域成分抑
圧のための低域抑圧フィルタは1つでよいので、全体と
しての回路規模を小さくすることができる。
【0010】また、本発明の好適な態様では、低域抑圧
フィルタは、遅延量の等しい遅延器を複数個カスケード
接続して構成した遅延部と、前記遅延部への入力信号及
びこの入力信号を順次遅延した前記各遅延器の出力信号
に対しそれぞれ所定の係数を乗算する複数の乗算器と、
前記各乗算器の出力信号の総和を算出する加算器と、を
含むFIR(Finite Impulse Response)フィルタとし
て構成され、前記各乗算器の奇数番目系列又は偶数番目
系列のうちの一方の系列に属する各乗算器については前
記係数は所定の低域抑圧効果を奏する値にそれぞれ設定
され、かつ他方の系列に属する各乗算器については前記
係数は0に設定され、前記加算器から低域成分が抑圧さ
れた実数部信号と虚数部信号とが交互に出力される。
【0011】この態様では、ある時相では、虚数部信号
の系列に対しては係数0が乗算され、実数部信号の系列
に対して所定の低域抑圧効果のための係数が乗算され、
それらが加算器で加算されて出力される。この加算結果
は、実数部信号の低域成分を抑圧した値となる。一方、
その時相から遅延量分の時間が経過した次の時相では、
遅延部内で信号が1つずつシフトされるので、今度は実
数部信号の系列に対しては係数0が乗算され、虚数部信
号の系列に対して所定の低域抑圧効果のための係数が乗
算される。したがって、加算器からは、虚数部信号の低
域成分を抑圧した結果が出力される。この態様によれ
ば、実数部信号と虚数部信号とが交互に並んだ信号列か
ら、その配列を保持したまま低域成分を除去することが
できる。
【0012】また、本発明は、さらに、A/D変換器の
出力を、隣接する1対の信号を単位として間引く間引き
手段を有することを特徴とする。
【0013】A/D変換器の出力は、実数部信号と虚数
部信号が交互に繰り返す信号列なので、隣接する1対の
信号は、実数部信号とこれとπ/2位相の異なる虚数部
信号である。この構成では、この対を単位として信号を
間引くことにより、自己相関演算処理に影響を及ぼすこ
となく、信号の数を低減することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以下
実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0015】図1は、本発明に係る超音波ドプラ診断装
置の構成を示すブロック図である。図1の装置は、図4
に示した従来装置と同様、2方向同時受信機能を有す
る。なお、図1において、図4に示した構成要素と同様
の機能を持つ構成要素については、同一の符号を付す。
【0016】図1において、送信部12は、発振器14
から供給される周波数f0の信号に基づき、f0の周波数
を有する送信パルスを生成し、プローブ10の各振動素
子に供給する。ここで、送信部12は、送信パルスを供
給する振動素子を選択し、さらにそれら各振動素子に供
給する送信パルスの遅延量を調整することにより、送信
ビームを形成する。この送信ビームに対する被検体内か
らのエコーは、プローブ10の各振動素子により受信さ
れ、電気的な信号に変換される。これら各振動素子から
出力される信号は、プリアンプ16で増幅された後それ
ぞれ2つに分岐し、異なる2方向についての受信ビーム
を形成するために整相加算部18a及び18bに入力さ
れる。整相加算部18a及び18bは、これら各振動素
子からの信号をそれぞれ所定の遅延量ずつ遅延させた後
加算することにより、各々の受信ビームに対応する受信
信号を形成する。
【0017】本実施形態では、整相加算部18a及び1
8bで形成された受信信号は、分岐せずに、A/D変換
器20a及び20bにそれぞれ入力される。ここで、A
/D変換器20a及び20bには、発振器14から、送
信周波数f0の4倍の周波数(4f0)のクロック信号が
供給されている。A/D変換器20a及び20bは、こ
のクロック信号に従って、整相加算部18a及び18b
から供給される受信信号を4f0のサンプリング周波数
でサンプリングし、デジタル化する。
【0018】この送信周波数の4倍のレートでのサンプ
リングは、検波の機能をも併せ持つ。これについて、以
下説明する。ドプラ遷移を受けた超音波信号を時間tの
関数f(t)とすると、f(t)は次式で表される。
【0019】
【数1】f(t)=Acos(ω0+ωd)t ここで、ω0は送信超音波の角周波数、ωdはドプラ遷移
の角周波数、Aは振幅である。この信号に対し送信周波
数(送信超音波の周波数)の4倍でサンプリングするこ
とを考える。この場合、離散化周期Tは、送信波の周期
の1/4である。すなわち、
【数2】T=π/2ω0 である。この離散化周期Tで関数f(t)を離散化した
場合、次式に示す離散化信号列Xk(kは整数)が得ら
れる。
【0020】
【数3】 ここで、信号列Xkをサンプリング周波数の1/2の周
波数で2つのチャネルに分配することを考える、各チャ
ネルを、それぞれI(In-phase)チャネル及びQ(Quad
rature)チャネルと呼ぶと、Iチャネルの信号列は次式
で表される。
【0021】
【数4】 同様に、Qチャネルの信号列は次式で表される。
【0022】
【数5】 これらの式から分かるように、Iチャネル及びQチャネ
ルに振り分けられた信号の組は、ωdなる角周波数を持
つ複素ドプラ信号をTの2倍の周期、すなわち送信周波
数の2倍の周波数でサンプリングしたサンプル値列とみ
なせる。これは、受信信号をアナログで直交検波し、こ
の結果得られた複素ドプラ信号を送信周波数の2倍の周
波数でサンプリングした結果とまったく等価である。こ
のように、A/D変換器20a及び20bでのサンプリ
ング処理は、ドプラ周波数成分を抽出する検波の機能を
有する。Iチャネル及びQチャネルの信号は、複素ドプ
ラ信号の実数部信号及び虚数部信号として扱うことがで
きる。
【0023】本実施形態では、このA/D変換器20a
及び20bの出力を2つのチャネルに並列展開する前、
すなわち実数部信号及び虚素部信号が周期Tで交互に並
んだシーケンシャルな信号列の状態で、クラッタ成分を
除去するためのフィルタリング処理を行う。
【0024】このため、A/D変換器20a及び20b
から出力される信号は、ドプラ情報を得るための一連の
送受信シーケンス(通例8回から16回程度の送受信を
行う。)の開始から終了までの間メモリ22a及び22
bにそれぞれ順序を保ったまま記憶される。一連の送受
信シーケンスが終了すると、メモリ22a及び22bに
蓄えられた信号が、サンプリング順序に従って、FIR
フィルタ24a及び24bにそれぞれ順次入力される。
【0025】図2は、本実施形態において用いるFIR
フィルタの構成を示すブロック図である。図2に示すF
IRフィルタでは、遅延部は、遅延量ΔTの5個の遅延
器242−1〜242−5がカスケード接続されて構成
され、各遅延器242の出力が順に次段の遅延器242
に入力されるようになっている。また、入力信号及び各
遅延器242の出力信号に対してそれぞれ予め設定され
た係数を乗じる乗算器244−0〜244−5が設けら
れており、各乗算器244の出力の総和が加算器246
で求められ、フィルタリング結果として出力される。こ
こで、乗算器244の係数は、奇数番目の系列の乗算器
242−1,242−3,242−5については0に設
定され、偶数番目の系列の乗算器242−0,242−
2,242−4についてはそれぞれα0,α1,α2に設
定されている。なお、係数α0,α1,α2は、要求され
る低域抑圧効果をもたらすために予め求められていた係
数である。
【0026】このFIRフィルタに、実数部信号及び虚
数部信号が交互に並んだシーケンシャルな信号列
{R0,I0,R1,I1,R2,I2,R3,I3,・・・}
が入力されたとする。ここで、Rnは実数部信号、In
虚数部信号である。図2のフィルタのタップに全ての信
号が揃ったとき、加算器246の出力は、次のようにな
る。
【0027】
【数6】R0・0+I0・α2+R1・0+I1・α1+R2
・0+I2・α0=I0・α2+I1・α1+I2・α0 これは、虚数部信号についてフィルタリングを行った結
果である。これに対し、次の時相では、新たな信号R3
が入力され、他の信号は一段ずつシフトされる結果、加
算器246の出力は次のようになる。
【0028】
【数7】I0・0+R1・α2+I1・0+R2・α1+I2
・0+R3・α0=R1・α2+R2・α1+R3・α0 これは、実数部信号についてフィルタリングを行った結
果である。
【0029】このように、図2に示したFIRフィルタ
からは、虚数部信号のフィルタリング結果及び実数部信
号のフィルタリング結果が交互に出力されることにな
る。すなわち、このFIRフィルタは、A/D変換器2
0a又は20bから出力される信号列を、実数部信号及
び虚数部信号の交互配列を保ったまま、実数部信号列及
び虚数部信号列に対してそれぞれ低域抑圧フィルタリン
グを行うことができる。なお、図2に示したFIRフィ
ルタはあくまで一例であり、要求される低域抑圧特性に
応じてカスケード接続する遅延器242の数を増やした
ものや減らしたものを用いることもできる。いずれにし
ても、FIRフィルタは、各乗算器244の係数が1つ
おきに0に設定されているものであれば、同様の効果を
奏することができる。
【0030】また、図2のFIRフィルタにおいて、係
数が0に設定されている奇数番目の乗算器は取り除くこ
とも可能であり、こうすれば回路規模を縮小することが
可能となる。
【0031】このFIRフィルタ24a及び24bの出
力は、それぞれマルチプレクサ(MUX)26a及び2
6bに入力される。マルチプレクサ26aおよび26b
は、それぞれ、1/2分周器21から供給されるサンプ
リング周波数の1/2(すなわち2f0)の周波数のク
ロック信号に応じて、入力された信号列を2つのチャネ
ルに交互に分配する。これにより、FIRフィルタ24
a及び24bの出力信号列は、それぞれ実数部信号及び
虚数部信号に分離され、自己相関器28a及び28bに
入力される。自己相関器28aは、入力される実数部信
号及び虚数部信号に対して公知の自己相関演算を行い、
この演算結果に基づき、速度演算部30a及び分散演算
部32bが、整相加算部18aにより形成された受信ビ
ーム上の各点の速度及び分散を算出する。同様に、自己
相関器28b、速度演算部30b及び分散演算部32b
により、整相加算部18bが形成した受信ビーム上の各
点の速度及び分散の情報が求められる。このようにして
求められた各点の速度及び分散の情報は、スキャンコン
バータ36に入力され、Bモード処理部34で求められ
たBモード断層像と重畳された上で、カラーモニタ38
に表示される。
【0032】このように、本実施形態によれば、従来装
置に比べて回路規模を縮小し、コストの削減を図ること
ができる。すなわち、従来の2方向同時受信方式の超音
波ドプラ診断装置では、検波器、A/D変換器、フィル
タがそれぞれ4系統必要であったのに対し、本実施形態
では、検波器が不要となると共に、A/D変換器及びフ
ィルタがそれぞれ2系統で済むため、回路規模の低減が
可能となる。
【0033】図3は、上記実施形態の変形例の構成を示
すブロック図である。この変形例は、メモリ22a及び
22bの容量の削減を目的とするものである。
【0034】すなわち、A/D変換器20a及び20b
におけるサンプリングレートは、一般に診断画像のピク
セルレートよりも遥かに大きく、表示に当たってスキャ
ンコンバータ36でデータの間引きが行われているのが
通例である。この変形例では、そのようなデータの間引
きを前もってサンプリングの直後に行うことにより、メ
モリ22a及び22bの必要容量を小さくする。
【0035】この変形例では、A/D変換器20a及び
20bの後段に、間引き手段としてのサンプラ42a及
び42bが設けられる。サンプラ42a及び42bは、
発振器14からの4f0のクロック信号を可変分周器4
0でN/M(N,Mは整数。N≦M)分周したクロック
信号に基づき、A/D変換器20a及び20bの出力を
それぞれ再サンプリングする。可変分周器40における
分周率N/Mは、表示画像のピクセル数とA/D変換器
20a及び20bにおけるサンプリング周波数との比に
応じて決まる。ここで問題となるピクセル数はビーム方
向についてのピクセル数であり、これは診断画像の表示
のレンジに応じて定まるので、画像表示のレンジに応じ
て分周率N/Mを自動設定することもできる。
【0036】ここで、サンプラ42a及び42bは、A
/D変換器20a及び20bの出力信号をサンプリング
するに当たり、隣り合う1対の信号(データ)を単位と
してサンプリングを行う。このようなサンプリングによ
れば、実数部信号とこれに対応する虚数部信号とが必ず
対になってサンプリングされるので、後段のフィルタリ
ングや自己相関演算などを正常に実行することができ
る。
【0037】このようにサンプラ42a及び42bによ
れば、A/D変換器20a及び20bから出力された信
号(データ)を表示のレートに合わせて間引くことによ
り、メモリ22a及び22bの容量を節約することがで
きる。なお、この変形例では、マルチプレクサ26a及
び26bには、N/M分周器40のクロックを1/2分
周器21で1/2分周したクロックを供給することによ
り、信号分配のタイミングを適正化している。
【0038】以上、2方向同時受信方式の超音波ドプラ
診断装置を例にとって、本発明の好適な実施形態を説明
したが、本発明は、2方向同時受信方式以外の超音波ド
プラ診断装置にも適用可能であることはいうまでもな
い。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
被検体内の運動体の運動情報を得るのに、ミキサなどの
検波のための手段を設ける必要がなく、またA/D変換
器や低域成分抑圧のためのフィルタの数も減らせるの
で、回路規模の小さい超音波ドプラ診断装置を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の超音波ドプラ診断装置の
構成を示すブロック図である。
【図2】 図1の装置において用いられるFIRフィル
タの内部構成の一例を示すブロック図である。
【図3】 実施形態の変形例の構成を示すブロック図で
ある。
【図4】 従来の超音波ドプラ診断装置の構成を示すブ
ロック図である。
【符号の説明】
10 プローブ、12 送信部、14 発振器、16
プリアンプ、18a,18b 整相加算部、20a,2
0b A/D変換器、21 1/2分周器、22a,2
2b メモリ、24a,24b FIRフィルタ、26
a,26b マルチプレクサ、28a,28b 自己相
関器、30a,30b 速度演算部、32a,32b
分散演算部、34 Bモード処理部、36 スキャンコ
ンバータ、38 カラーモニタ、40 N/M分周器、
42a,42b サンプラ。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の送信繰り返し周期ごとに超音波パ
    ルスを被検体内に送信し、反射波を受信して得た受信信
    号を信号処理して被検体内の運動体の運動情報を求める
    超音波ドプラ診断装置において、 受信信号を超音波の送信周波数の4倍の周波数でサンプ
    リングしてデジタル化し、互いにπ/2だけ位相が異な
    る実数部信号及び虚数部信号を交互に出力するA/D変
    換器と、 前記A/D変換器が出力する信号列が入力され、この信
    号列における前記実数部信号と虚数部信号の配列を保っ
    たままこれら各信号の中の低域成分を抑圧する低域抑圧
    フィルタと、 前記低域抑圧フィルタから順に出力される信号を、実数
    部チャネル及び虚数部チャネルに交互に分配するマルチ
    プレクサと、 を含み、前記実数部チャネル及び虚数部チャネルから並
    列に入力される信号に対して自己相関演算を行うことに
    より、被検体内の運動体の運動情報を求めることを特徴
    とする超音波ドプラ診断装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の超音波ドプラ診断装置に
    おいて、 前記低域抑圧フィルタは、 遅延量の等しい遅延器を複数個カスケード接続して構成
    した遅延部と、前記遅延部への入力信号及びこの入力信
    号を順次遅延した前記各遅延器の出力信号に対しそれぞ
    れ所定の係数を乗算する複数の乗算器と、前記各乗算器
    の出力信号の総和を算出する加算器と、を含むFIRフ
    ィルタとして構成され、 前記各乗算器の奇数番目系列又は偶数番目系列のうちの
    一方の系列に属する各乗算器については前記係数は所定
    の低域抑圧効果を奏する値にそれぞれ設定され、かつ他
    方の系列に属する各乗算器については前記係数は0に設
    定され、前記加算器からは低域成分が抑圧された実数部
    信号と虚数部信号とが交互に出力されることを特徴とす
    る超音波ドプラ診断装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の超音波ドプラ診
    断装置において、 前記A/D変換器の出力を、隣接する1対の信号を単位
    として間引く間引き手段を有することを特徴とする超音
    波ドプラ診断装置。
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JP2005040224A (ja) * 2003-07-24 2005-02-17 Toshiba Corp 超音波診断装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005040224A (ja) * 2003-07-24 2005-02-17 Toshiba Corp 超音波診断装置
JP4607434B2 (ja) * 2003-07-24 2011-01-05 株式会社東芝 超音波診断装置

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