JPH11157978A - ガス発生剤組成物 - Google Patents

ガス発生剤組成物

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JPH11157978A
JPH11157978A JP9324313A JP32431397A JPH11157978A JP H11157978 A JPH11157978 A JP H11157978A JP 9324313 A JP9324313 A JP 9324313A JP 32431397 A JP32431397 A JP 32431397A JP H11157978 A JPH11157978 A JP H11157978A
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    • C06D5/06Generation of pressure gas, e.g. for blasting cartridges, starting cartridges, rockets by reaction of two or more solids

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、従来のアジ化金属化合物の有害性
の問題を解決する方策として、有効な含窒素有機化合物
であって、NOx,CO等の有害ガス発生の問題とスラ
グ捕集性の相反する問題を解決し、更に、従来の自動発
火機構の有する問題をも一挙に解決する事にある。 【解決手段】 本発明は、燃焼成分と酸化剤と触媒成分
と主成分として含有するガス発生剤組成物であって、燃
料成分としてアミノテトラゾールを20〜45重量%,
酸化剤を50〜75重量%,自動発火性発現触媒成分と
して三酸化モリブデンを0.05〜5重量%含有する。
そして、酸化剤は、硝酸ストロンチウムと、アルカリ金
属又はバリウムの硝酸塩、或いは、硝酸ストロンチウム
とアルカリ金属又はバリウムの過塩素酸塩とからり、酸
化剤中の硝酸ストロンチウム含有量を75〜95重量%
としたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エアバッグ用ガス
発生剤に関するもので、特に、エアバッグ用非アジド系
ガス発生剤に関し、発生ガス中の有害成分である窒素酸
化物及び一酸化炭素の含有量が少なく、且つスラグ捕集
性に優れ、更に自動発火性を有する新規なガス発生剤組
成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エアバッグ装置は、自動車の乗員の安全
性向上の方策の1つとして、近年広く採用されている乗
員保護装置であり、その原理は、衝突を検出したセンサ
からの信号によりガス発生器を作動させて、エアバッグ
を乗員と車体との間に展開させるものである。このガス
発生器には、有害物を含まずクリーンなガスを発生する
事,短時間で必要十分なガスを発生する事という機能が
要求されている。
【0003】一方、燃焼の安定化の為に、ガス発生剤は
錠剤状に加圧成形されており、これらの錠剤等は、様々
な過酷な環境下においても長期間に亘って初期の燃焼特
性を維持する事が要求されている。若し、錠剤等の形状
が経年変化や環境の変化等によって崩れたり強度低下を
起こした場合には、これら火薬組成物の燃焼特性が初期
の燃焼特性よりも異常に速い燃焼特性を示す事になり、
自動車の衝突の際に、異常燃焼によりエアバッグが破れ
たり、ガス発生器自体が破損する恐れがあり、乗員保護
の目的を達成できないばかりか、逆に乗員に傷害を与え
る恐れすら生じる。
【0004】そこで、これらの機能を満足するものとし
て、従来よりアジ化ソーダ,アジ化カリウム等のアジ化
金属化合物を主成分とするガス発生剤が使用されてい
る。このガス発生剤は、瞬時に燃焼し、且つ燃焼ガス成
分が実質的に窒素のみであり、CO(一酸化炭素)やN
Ox(窒素酸化物)の如き有害ガスを発生させない事、
及び燃焼速度が周囲の環境の影響即ちガス発生器の構造
の影響を受け難いのでガス発生器の設計が容易である
事、等々の利点から多用されている反面、重金属との接
触により生じたアジ化物は、衝撃や摩擦によって容易に
爆発する性質を有しており、その取扱いには最大限の注
意が必要であった。又、アジ化金属化合物自体が有害な
物質であり、更に、水や酸の存在下では分解して有毒ガ
スを発生するという大きな問題点を有している。
【0005】そこで、アジ化金属化合物に代わるものと
して、例えば特開平2−225159号公報,特開平2
−225389号公報,特開平3−20888号公報,
特開平5−213687号公報,特開平6−80492
号公報,特開平6−239684号公報及び特開平6−
298587号公報等々、テトラゾール類,アゾジカル
ボンアミド類その他の含窒素有機化合物を燃料成分とす
るガス発生剤が提案されている。特にテトラゾール類
は、各種含窒素有機化合物の中でも、熱的に安定であ
り、しかも分子構造中の窒素原子の比率が高いので、C
Oの発生を本質的に抑制する性質を有しているが、NO
xの発生に問題がある。このため、上記特開平2−22
5159号公報や特開平3−20888号公報に見られ
る様に、ガス発生器にベンチュリー手段を設けて外部か
ら燃焼ガス中に空気を導入し、これによってNOxの濃
度を相対的に低下させる方法が提案されているが、本質
的な解決にはなっていない。
【0006】又、これら含窒素有機化合物を燃料とし、
これを燃焼させる酸化剤としては、アルカリ金属又はア
ルカリ土類金属の塩素酸塩,過塩素酸塩又は硝酸塩が一
般的である。これらのアルカリ金属やアルカリ土類金属
は、燃焼反応の結果、酸化物を生成するが、これらの酸
化物は、人体や環境に対して有害な物質であるので、エ
アバッグ内に放出されない様に捕集し易いスラグとな
し、ガス発生器内で捕集する必要がある。しかしなが
ら、これら含窒素有機化合物を燃料とするガス発生剤の
多くは、2000〜2500ジュール/g以上の高い燃
焼熱を有しており、このため発生ガスは高温高圧とな
る。この結果、燃焼の際に副生するスラグの温度も高く
なり、スラグの流動性も高くなって、従来のガス発生器
内に内蔵されたフィルタでは、スラグの捕集率が低下す
る傾向にある。そこで、スラグの捕集率を高める為に
は、より多くのフィルタ部材を装填して、スラグを冷却
固化させる方式が考えられるが、この場合にはガス発生
器の寸法が増大し、ガス発生器の小型化,軽量化の流れ
に逆行する事になる。
【0007】又、上記アルカリ金属,アルカリ土類金属
の酸化物を、フィルタ部にて捕集し易いスラグとして効
率よく捕集できる様にするため、スラグ形成剤を添加す
る種々の方式が提案されているが、塩基性物質であるこ
れらの酸化物と容易にスラグ反応を生じる酸性物質或い
は中性物質として、二酸化珪素或いは酸化アルミニウム
を添加する方式が基本的な方式であり、従来のアジ化金
属化合物を燃料とするガス発生剤の場合のスラグ形成方
式と、思想的には何ら変わるものではない。即ち、前記
酸化物を珪酸塩やアルミン酸塩として高粘性或いは高融
点のガラス状物質に変えて捕集する方式である。特に、
特開平4−265292号では、二酸化珪素に代表され
る低温スラグ形成物質と、反応温度近傍或いはそれ以上
の融点の固体を生成する高温スラグ形成剤(例えばアル
カリ土類金属,遷移金属の酸化物等)の双方を添加し、
燃焼反応で生成する固形物としての高融点粒子を、溶融
状態の低温スラグ形成剤と反応させると共に、反応の結
果生じる粒子同士を融着させて捕集効率を高める方式が
開示されている。
【0008】上述の高温スラグ形成性を有する酸化剤と
しては、硝酸ストロンチウムが特に好適な物質として、
前述の特開平4−265292号公報,特開平5−11
7070号公報及び特開平5−21368号公報に開示
されている。確かに、高温スラグ形成性という側面から
は有効な手段ではあるが、硝酸ストロンチウムを酸化剤
として用いた場合には、燃料成分との化学量論比を如何
に変化させても、NOx濃度が望ましいレベルにまで低
下しないという実用上の問題点がある。尚、この対応策
として、前述の特開平5−117070号公報には、化
学添加剤として、燃料成分をアルカリ金属塩又はアルカ
リ金属の炭酸塩として使用する事が開示されているが、
コストアップやガス発生剤のガス化率低下に繋がり、好
ましい方法ではない。
【0009】一方、硝酸ストロンチウムに代えて硝酸カ
リウムを用いた場合には、NOx濃度を人体に許容され
る程度にまで低下させる事は可能であるが、硝酸カリウ
ムから生成する酸化カリウムに由来する白煙状のミスト
によるスラグ流出量が非常に多くなり、エアバッグが、
このミストによって溶損し、最悪の場合には穴を開けて
乗員に火傷を負わせる可能性があった。このため、多量
の二酸化珪素等のスラグ形成物質を添加し、更にガス発
生器内のフィルタ部材の厚さを大きくする事により、前
述の硝酸ストロンチウムの場合よりもスラグ捕集性能は
落ちるが、かなりの程度スラグ流出量を抑える事は可能
である。しかしながら、この方式では、ガス発生器の小
型化・軽量化という流れに逆行するため実用上の問題が
ある。
【0010】以上の様に、硝酸ストロンチウムを用いれ
ば、スラグ流出量を減少させる事はできるが、許容限度
を越えてNOxが増加し、NOxの発生を抑えるために
硝酸カリウムを使用すれば、今度はスラグ流出量が増加
する事になり、この二率背反する問題に対しての解決
は、非常に困難であった。
【0011】更に、ガス発生器の容器材質として、ガス
発生器の軽量化のために、従来のステンレス(SUS)
製に代わってアルミニウム製を用いる事が普及してい
る。SUS製の場合には、高温強度に優れているので、
車両用火災やガス発生器の焼却処理等の昇温時にも、容
器の破壊を生じる事なく内部の火薬組成物を燃焼させる
事が可能であったが、アルミニウム製の場合には、高温
強度が著しく低下するため、車両用火災等によりガス発
生器が火炎に晒されて内部の火薬組成物が燃焼すると、
その燃焼圧力に耐え切れず、容器が破壊して破片が周囲
に飛び散り、乗員や周囲にいる人達を殺傷するおそれが
ある。そこで、エアバッグ用ガス発生器に要求される項
目の中に、係る状況下でも容器の破壊等の危険な状態が
生じない様にする事が挙げられている。この対策とし
て、USP4,561,675号に、アルミニウム製容
器を用いる場合には、アルミニウムの強度低下が生じる
温度よりも低い温度で自動発火する火薬を、容器内面に
密着させて配置する方式が提案されている。ここで使用
されている自動発火薬は、ニトロセルロースを主成分と
して構成されているものであり、ニトロセルロース自体
は、高温下では長期安定性に欠け、更に、その劣化によ
り自然発火する可能性すらあった。
【0012】自動発火温度としては、アルミニウムの強
度上から150〜210℃が好ましく、それ以下で発火
する物質については、長期保存上の安定性に問題があ
る。係る自動発火組成物については、特開平4−265
289号公報,特開平7−232989号公報,特開平
8−508972号公報及び特開平8−511233号
公報等があるが、先の米国特許と同様に、ガス発生器の
内部に何等かの構造物を取り付けたり、点火薬や伝火薬
等に組み込んだりする必要があり、構造の複雑化とコス
トアップの要因になっていた。又、特開平8−5089
72号公報記載のもの以外は、酸化剤に鋭敏な塩素酸塩
を使用するため、製造時の危険性にも問題がある。更
に、ガス発生剤自体に自動発火性を保有させるものとし
ては、特開平7−257986号公報に記載のものがあ
るが、この組成物の具体例として記載されているもの
は、70重量%もの無機酸化物を含有するため、ガス発
生率が低く、ガス発生器の小型化・軽量化が困難となる
問題を有している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記の通り、従来のア
ジ化金属化合物の有害性の問題点を解決する方策として
有効な含窒素有機化合物、特に、アミノテトラゾール類
を燃料成分とするガス発生剤の酸化剤成分の選択に関す
る問題、即ち、NOx,CO等の有害ガス発生の問題と
スラグ捕集性の相反する問題を解決し、更に、従来の自
動発火機構の有する問題をも一挙に解決する事を目的と
するものである。
【0014】具体的には、発生ガス中の有害ガス成分で
あるNOx及びCOの発生量が低く且つガス化率が高
く、更にスラグ流出量が少なく、加えて、ガス発生剤自
体に自動発火機能を保持させた新規なガス発生剤組成物
を提供する事にある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、係る課題を解
決するもので、燃料成分と酸化剤と自動発火性発現触媒
成分とを主要成分として含有するガス発生剤組成物であ
って、燃料成分としてアミノテトラゾールを20〜45
%(重量%。以下別段の記載がない限り同じ)酸化剤を
50〜75%,自動発火性発現触媒成分として三酸化モ
リブデンを0.05〜5%含有すると共に、前記酸化剤
は、硝酸ストロンチウムとアルカリ金属又はバリウムの
硝酸塩又は過塩素酸塩とからなり、該酸化剤中の硝酸ス
トロンチウム含有量が75〜95%である事を特徴とす
るものである。これにより、NOx発生量とスラグ流出
量が共に少なく且つ自動発火機能を有するガス発生剤組
成物となすものである。尚、前記三酸化モリブデンに代
えて、モリブデン酸,モリブデン酸ナトリウム,リンモ
リブデン酸アンモニウム等の加熱により三酸化モリブデ
ンを生成するモリブデン化合物を、三酸化モリブデン換
算で、0.05〜5%含有させたものであってもよい。
【0016】上記燃料成分と酸化剤と触媒成分とからな
る組成物に、バインダとして、次式で示されるヒドロタ
ルサイト類を、組成物全体に対して2〜10%混合して
成形する事も好ましい組成物である。 〔M2+ 1-x 3+ x (OH)2 x+〔An- x/n ・mH
2 O〕x- ここで、 M2+:Mg2+,Mn2+,Fe2+,Co2+,Ni2+,Cu
2+,Zn2+等の2価金属 M3+:Al3+,Fe3+,Cr3+,Co3+,In3+等の3
価金属 An-:OH- ,F- ,Cl- ,NO3 - ,CO3 2- ,S
4 2- ,Fe(CN) 6 3- ,CH3 COO- ,蓚酸イオ
ン,サリチル酸イオン等のn価のアニオン x :0<x≦0.33
【0017】尚、前記ヒドロタルサイト類としては、 化学式:Mg6 Al2 (OH)16CO3 ・4H2 Oで表
される合成ヒドロタルサイト、又は、 化学式:Mg6 Fe2 (OH)16CO3 ・4H2 Oで表
されるピロウライトを用いるのが好ましい。
【0018】更に、上記組成物に、スラグ捕集剤として
の金属窒化物又は金属炭化物の1種以上を、該組成物全
体に対して2〜10%混合してスラグ捕集性を改善した
り、或いは前記組成物に、滑剤として、ステアリン酸マ
グネシウム,ステアリン酸亜鉛,グラファイト,窒化硼
素,二硫化モリブデンの1種以上を、該組成物全体に対
して0.1〜1%混合して成形性を改善するのも好まし
い方式である。特に、上記金属窒化物又は金属炭化物
は、前記燃料成分及び酸化剤のいずれか一方又は双方の
粉砕時に混合する様になせば、金属窒化物や金属炭化物
が均一に分散してスラグ反応の均一化と共に、固結防止
剤の役割をもなす効果が期待できる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明のガス発生剤の基本構成は、燃料成分とし
てのアミノテトラゾールと、これを燃焼させる酸化剤混
合物と、自動発火性を発現させるための三酸化モリブデ
ンとを主要成分として含有し、更に、これに適宜バイン
ダとしてのヒドロタルサイト類及び他の添加剤を混合し
てなるものである。
【0020】そこで、先ず、本発明で燃料成分として使
用するアミノテトラゾールについて説明する。アミノテ
トラゾールは、分子構造中の窒素原子の比率が高く有害
なCOの発生を基本的に抑制する構造を有しており、し
かも、安定性及び安全性を含めて取り扱いが容易であ
り、価格面でも安価であって、各種含窒素有機化合物の
中でも、最も好ましい物質である。このアミノテトラゾ
ールの含有量は、組成物全体に対して、20〜45%が
好ましい。20%以下ではガス発生量が少なく、エアバ
ッグの展開不良を生じるおそれがあり、又、45%を越
えて添加すると、相対的に酸化剤の添加量が少なくなっ
て不完全燃焼を生じ、有害なCOガスを大量に発生する
おそれがあり、更に極端な場合には、未燃焼物が生じる
おそれがあるからである。
【0021】次に、本発明のガス発生剤で使用する酸化
剤について説明する。前述の通り、アミノテトラゾール
と硝酸ストロンチウムとの組み合わせでは、NOxの発
生が多くなり、又、アミノテトラゾールと硝酸カリウム
との組み合わせでは、NOx発生量は低減するが、スラ
グ流出量が多くなる二律背反の問題点があったが、本発
明者等は、種々の検討の結果、硝酸ストロンチウムと硝
酸カリウムとを混合して使用した場合に、ある範囲の混
合割合においては、両者の加成性にて予測された混合効
果とは大きく異なるNOx低減効果とスラグ流出量低減
効果が発現される事を発見した。その範囲は、酸化剤全
体に対して、硝酸ストロンチウムを75〜95%,硝酸
カリウムを5〜25%としたものである。尚、硝酸カリ
ウムに代えて、他のアルカリ金属又はバリウムの硝酸塩
或いはアルカリ金属又はバリウムの過塩素酸塩を使用し
ても同様の効果が得られるが、硝酸カリウムが最も好ま
しい。又、酸化剤の含有量は、ガス発生剤組成物全体に
対して50〜75%が好ましい。酸化剤の含有量が50
%未満では、供給酸素量が不足して不完全燃焼を生じ、
有害なCOガスを生じたり、極端な場合には燃料に未燃
焼物を生じて、エアバッグ展開に必要なガスが供給され
ず、エアバッグに展開不良を生じるおそれがある。一
方、75%を越えると、逆に燃料成分不足が生じる恐れ
があり、前述の場合と同様に、エアバッグ展開に必要な
ガスが供給されず、エアバッグに展開不良を生じるおそ
れがある。
【0022】次に、本発明で使用する自動発火性発現の
ための触媒成分について説明する。前述のアミノテトラ
ゾールと硝酸ストロンチウム及び硝酸カリウムの組成物
系に各種金属酸化物,金属硫化物及び金属粉末を添加し
て、自動発火機能が付与されるか否かを検討したとこ
ろ、驚くべき事に、唯一三酸化モリブデンのみが、自動
発火機能を発現させる性質を有するものである事が判明
した。その添加量が、0.05%の極めて少ない添加量
でも自動発火機能が発現し、5%までは、その機能が殆
ど変化しない事も判明した。従って、自動発火性付与の
ための触媒成分としての三酸化モリブデンの添加量は、
0.05%〜5%の範囲が好ましく、0.05%未満で
は自動発火機能が発現せず、又、5%を越えるとガス化
率が低下する事になる。
【0023】又、上記三酸化モリブデンと他の燃料成分
との組み合わせ或いは他の酸化剤との組み合わせにおい
ても自動発火機能が発現するか否かを確認したところ、
燃料成分が、ニトログアニジン,ジシアンジアミド及び
アゾジカルボンアミドでは、自動発火機能が発現せず、
又、酸化剤が、硝酸ストロンチウムと硝酸カリウムの組
み合わせの場合において、最も優れた自動発火機能を示
し、他のアルカリ金属又はバリウムの硝酸塩或いは過塩
素酸塩と硝酸ストロンチウムとの組み合わせにおいても
自動発火機能が確認されたが、硝酸ストロンチウム単独
では、自動発火機能は確認されなかった。この意味か
ら、三酸化モリブデンは、燃料成分がアミノテトラゾー
ルであり、酸化剤が硝酸ストロンチウムとアルカリ金属
又はバリウムの硝酸塩或いは過塩素酸塩の組み合わせに
おいてのみ、自動発火機能を発現させる特異な触媒であ
ると言える。
【0024】又、三酸化モリブデンに代えて、モリブデ
ン酸,モリブデン酸ナトリウム,リンモリブデン酸アン
モニウム等の、アルミニウムの劣化温度以下の180℃
以下の加熱により、三酸化モリブデンを生成するモリブ
デン化合物であっても、自動発火機能が得られる事が確
認されており、本発明においては、これらのモリブデン
化合物の使用も可能である。尚、これらのモリブデン化
合物を三酸化モリブデンに代えて使用する場合の添加量
は、生成する三酸化モリブデン換算で、上記の0.05
〜5%の範囲となる様に添加する事が肝要である。
【0025】次に、本発明で使用するその他の添加剤成
分について説明する。本発明で使用する添加剤の1つ
に、スラグ捕集剤としの金属窒化物或いは金属炭化物が
ある。先ず、金属窒化物について説明すると、本発明で
使用する他の添加物としては、スラグ捕集剤としての金
属窒化物があり、この金属窒化物として使用可能なもの
は、窒化珪素(Si3 4 ),窒化硼素(BN),窒化
アルミニウム(AlN),窒化マグネシウム(Mg3
2 ),窒化モリブデン(MoN/Mo2 N),窒化タン
グステン(WN2 /W2 N,W2 3 ),窒化カルシウ
ム(Ca3 2 ),窒化バリウム(Ba3 2 ),窒化
ストロンチウム(Sr3 2 ),窒化亜鉛(Zn
3 2 ),窒化ナトリウム(Na3 N),窒化銅(Cu
3 N),窒化チタン(TiN),窒化マンガン(Mn4
N),窒化バナジウム(VN),窒化ニッケル(Ni3
N/Ni3 2 ),窒化コバルト(CoN/Co2 N/
Co3 2),窒化鉄(Fe2 N/Fe3 N/Fe
4 N),窒化ジルコニウム(ZrN),窒化クロム(C
rN/Cr2 N),窒化タンタル(TaN),窒化ニオ
ブ(NbN),窒化セリウム(CeN),窒化スカンジ
ウム(ScN),窒化イットリウム(YN)及び窒化ゲ
ルマニウム(Ge3 4 )の群から選ばれた1種以上が
使用される。尚、上記金属窒化物の内、窒化ナトリウム
(Na3 N)と、従来よりガス発生剤の燃料として使用
されているアジ化ナトリウム(NaN3 )とは基本的に
異なる化合物であり、本発明でいう金属窒化物には、ア
ジ化ナトリウムは含まれない。
【0026】これらの内、窒化珪素,窒化硼素,窒化ア
ルミニウム,窒化モリブデン,窒化タングステン,窒化
チタン,窒化バナジウム,窒化ジルコニウム,窒化クロ
ム,窒化タンタル,窒化ニオブ等は、ファインセラミッ
クスと呼ばれているものであり、熱的にも安定で高強度
の耐熱材料として使用されているものであるが、高温の
酸化性雰囲気下では、他の窒化金属と同様に燃焼する性
質がある。本発明は、この燃焼する性質を利用して、ス
ラグ形成とガス発生の両方の作用を同時に行うものであ
る。例えば、窒化珪素の場合には、次の(1)式の如き
硝酸ストロンチウムとの酸化反応によって窒素ガスと珪
酸塩と酸素を生成する。尚、反応式の係数は省略してい
る。 2Si3 4 +6Sr(NO3 2 →6SrSiO3 +10N2 +9O2 ・・・・・・・(1) ここで生成した窒素ガスは、燃料成分の燃焼によって生
成した窒素ガスや炭酸ガスと共にエアバッグ内に放出さ
れてエアバッグの展開に有効に利用され、酸素ガスは、
燃料成分の燃焼に利用される。
【0027】尚、(1)式では、説明の便宜上、各1分
子のSi3 4 +Sr(NO3 2との反応式を示した
が、実際には酸化剤として添加される硝酸ストロンチウ
ムの量は、スラグ捕集のために添加される窒化珪素より
も圧倒的に多量であるから、化学量論的には上記反応は
部分的には成立するも、次の(2)式で示される硝酸ス
トロンチウムの分解によって生成する酸化ストロンチウ
ム粒子の表面層に、次式の(3)式で示す如き一般式で
示されるストロンチウム珪酸塩が生成すると考えられ
る。 2Sr(NO3 2 →2SrO+2N2 +5O2 ・・・・・・・・・(2) SrO+SrSiO3 →Srx SiOy ・・・・・・・・・・・・・(3) 〔ここで、(x,y)=(2,4),(3,5);反応
式中の係数は省略〕
【0028】又、硝酸ストロンチウムの分解によって生
成する酸化ストロンチウムは、高融点(2430℃)の
酸化物であり、ガス発生器内では微細な固体粒子として
燃焼過程で生成するが、上記(1),(3)式の反応に
よって、その粒子表面部に融点が1600℃前後の各種
珪酸塩が形成される。この珪酸塩は、反応環境温度の下
では高粘度の溶融状態にあるので、各微粒子が互いに融
着して凝集し、大きな粒子となってガス発生器内のフィ
ルタ部材で捕集され易くなる。
【0029】又、前記金属窒化物が窒化アルミニウム
(AlN)の場合には、上記(1),(3)式は次の様
に書き換えられる。尚、(5)式の係数は省略してい
る。 2AlN+Sr(NO3 2 →Sr(AlO2 2 +2N2 +O2 ・・・・・・(4) SrO+Sr(AlO2 2 →Srx (AlO2 y ・・・・・・・(5) ここで生成するアルミン酸塩も、上記珪酸塩と同様に、
固形スラグ(SrO)の表面に高粘度のスラグ層を形成
し、スラグ微粒子を融着凝集してフィルタで濾過し易い
形態のスラグを形成する。
【0030】これら金属窒化物の添加量は、ガス発生剤
組成物全体に対して0.5〜10%の範囲が好ましく、
0.5%以下では、上記したスラグ捕集効果が期待でき
なくなり、又、10%を越えると、燃料や酸化剤の添加
量が制限されるので、発生ガス量不足や不完全燃焼を生
じるおそれが出てくる。又、これらの粒径は、細かい程
その効果が期待し易いので、個数基準50%平均粒径で
5μm以下、好ましくは1μm以下が良い。尚、個数基
準50%平均粒径とは、個数基準で粒度分布を表す方法
であり、全粒子の個数を100としたとき、小さい方か
ら積算して50個に達したときの粒度をいう。この金属
窒化物の微粒子を、前記燃料成分や酸化剤成分の粉砕時
に少量添加しておけば、これら粉砕成分の固結防止剤の
作用をなすと共に酸化剤や燃料中に均一に分散させる事
ができ、前記スラグ反応の均一化も期待できる。尚、こ
れら金属窒化物を固結防止剤として使用する際に、二酸
化珪素の微粉末である微粒化シリカと併用する事も可能
である。
【0031】尚、金属窒化物をガス発生剤に用いた例と
しては、特公平6−84274号に記載されたものがあ
るが、このガス発生剤は、従来のアジ化金属化合物に代
えて窒化アルミニウム,窒化硼素,窒化珪素或いは遷移
金属窒化物を用いるものであって、いわゆる燃料成分と
してこれら金属窒化物を用いるものであり、本発明のス
ラグ捕集性を向上させるために金属窒化物を用いるもの
とは、根本的に思想が異なるものである。
【0032】次に、前記金属窒化物と同様に、本発明に
おいてスラグ捕集剤として使用する金属炭化物について
説明する。本発明で使用する金属窒化物としては、炭化
珪素(SiC),炭化硼素(B4 C),炭化アルミニウ
ム(Al4 3 ),炭化マグネシウム(MgC2 /Mg
2 3 ),炭化モリブデン(MoC/Mo2 C),炭化
タングステン(WC/W2 C),炭化カルシウム(Ca
2 ),炭化バリウム(BaC2 ),炭化ストロンチウ
ム(SrC2 ),炭化亜鉛(ZnC2 ),炭化ナトリウ
ム(Na2 2 ),炭化銅(Cu2 2 ),炭化チタン
(TiC),炭化マンガン(Mn3 C),炭化バナジウ
ム(VC),炭化ニッケル(Ni3 C),炭化コバルト
(Co2 C,CoC2 ),炭化鉄(Fe2 C/Fe
3 C),炭化ジルコニウム(ZrC),炭化クロム(C
3 2 /Cr7 3 /Cr236 ),炭化タンタル
(TaC),炭化ニオブ(NbC),炭化セリウム(C
eC2 ),炭化スカンジウム(ScC2 ),炭化イット
リウム(YC2 )及び炭化ゲルマニウム(GeC)の群
から選ばれた1種以上が使用される。
【0033】これらの内、炭化珪素,炭化硼素,炭化モ
リブデン,炭化タングステン,炭化チタン,炭化バナジ
ウム,炭化ジルコニウム,炭化クロム,炭化タンタル,
炭化ニオブ等は、ファインセラミックスと呼ばれている
ものであり、熱的にも安定で高強度の耐熱材料として使
用されているものであるが、高温の酸化性雰囲気下で
は、他の炭化金属と同様に燃焼する性質がある。本発明
は、この燃焼する性質を利用してスラグ形成とガス発生
の両方の作用を同時に行うものである。例えば、炭化珪
素の場合には、次の(6)式の如き酸化反応によって炭
酸ガスと二酸化珪素を生成する。 2SiC+2Sr(NO3 2 →2SrSiO3 +2CO2 +2N2 +O2 ・・・・(6) ここで生成した炭酸ガス及び窒素は、燃料成分の燃焼に
よって生成した窒素ガス,炭酸ガス及び水蒸気と共にエ
アバッグ内に放出されて、エアバッグの展開に有効に利
用され、酸素は、燃料成分の燃焼に利用される。
【0034】一方、副生した珪酸塩は、硝酸ストロンチ
ウムの分解によって生じる燃焼残渣としてのSrOと前
記反応式(3),(5)の如き反応によってガス発生器
内のフィルタ内で捕集し易い高粘性のスラグを形成する
事は、前述の場合と同様である。即ち、燃焼残渣として
生じるSrOは、上記(6)式で生成する炭酸ガスと次
式に示す反応によって炭酸ストロンチウムを生成する。 SrO+CO2 →SrCO3 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(7) この炭酸ストロンチウムも、前述のストロンチウム珪酸
塩と同様に、1500℃程度で高粘性の溶融状態になる
ので、高融点粒子である固体の酸化ストロンチウムの表
面に高粘性の炭酸ストロンチウムを形成して燃焼残渣の
微粒子を融着凝集し、大きな粒子となってガス発生器内
のフィルタ部材で捕集され易くする作用をなす。
【0035】これら金属炭化物の添加量は、前記金属窒
化物と同様に、ガス発生剤組成物全体に対し、0.5〜
10%の範囲が好ましく、0.5%以下では、上記した
スラグ捕集効果が期待できなくなり、又、10%を越え
ると、燃料や酸化剤の添加量が制限されるので、発生ガ
ス量不足や不完全燃焼を生じるおそれが出てくる。更
に、これらの粒径は、細かい程その効果が期待し易いの
で、個数基準50%平均粒径で5μm以下、好ましくは
1μm以下が良い。これらの金属炭化物の微粒子を、前
記燃料成分や酸化剤成分の粉砕時に少量添加しておけ
ば、これら粉砕成分の固結防止剤の作用をなすと共に酸
化剤や燃料中に均一に分散させる事ができ、前記スラグ
反応の均一化も期待できる。尚、これら金属炭化物を固
結防止剤として使用する際に、二酸化珪素の微粉末であ
る微粒化シリカと併用すれば、スラグ捕集効率を一層高
められる事は前述の通りである。又、この金属炭化物を
前述の金属窒化物と併用してもよい事はいうまでもな
い。
【0036】次に、本発明で使用する他の添加剤として
は、バインダとしての次の一般式で示されるヒドロタル
サイト類がある。 〔M2+ 1-x 3+ x (OH)2 x+〔An- x/n ・mH
2 O〕x- ここで、M2+:Mg2+,Mn2+,Fe2+,Co2+,Ni
2+,Cu2+,Zn2+等の2価金属。 M3+:Al3+,Fe3+,Cr3+,Co3+,In3+等の3
価金属。 An-:OH- ,F- ,Cl- ,NO3 - ,CO3 2- ,S
4 2- ,Fe(CN) 6 3- ,CH3 COO- ,蓚酸イオ
ン,サリチル酸イオン等のn価のアニオン。 x :0<x≦0.33
【0037】このヒドロタルサイト類は、結晶水を有す
る多孔質の物質であって、含窒素有機化合物系のガス発
生剤のバインダとして極めて有効である。即ち、ヒドロ
タルサイト類をバインダとして含有するガス発生剤は、
本発明の出願人の先願に係る特願平8−277066号
に詳細に記載されている様に、低い打錠圧力において
も、特に、アミノテトラゾールを主成分を燃料成分とし
た場合には、一般のアジド系ガス発生剤の錠剤硬度10
〜15kg(モンサント型硬度計)よりも遙かに高い硬
度(25〜30kg)を得る事が可能となる。これは、
ヒドロタルサイト類が共通して水分を吸着し易い性質を
有しており、この性質が組成物の各成分を強固に結合さ
せる作用をなすものと考えられる。又、このバインダを
用いた錠剤は、高温・低温の繰り返しによる熱衝撃に対
しても錠剤の特性及び燃焼特性に変化がなく、従って実
際に車両に搭載した後の経年変化が少なく、極めて特性
の安定した錠剤を得る事が可能となる。
【0038】尚、ヒドロタルサイト類の代表的なものと
しては、 化学式:Mg6 Al2 (OH)16CO3 ・4H2 Oで表
される合成ヒドロタルサイト、又は、 化学式:Mg6 Fe2 (OH)16CO3 ・4H2 Oで表
されるピロウライトがあるが、入手の容易性及び価格面
から合成ヒドロタルサイトが好ましい。
【0039】このヒドロタルサイト類は、ガス発生剤の
燃焼に際し、例えば合成ヒドロタルサイトの場合には、
次の反応式に示す様に分解するので、有害ガスを発生せ
ず、又、反応自体は吸熱反応であるので、ガス発生剤の
発熱量を低減させる効果もある。 Mg6 Al2 (OH)16CO3 ・4H2 O → 6MgO+Al2 3 +CO2 +12H2 O・・・・・・・・・(8) 更に、分解反応で得られるMgOやAl2 3 は、前記
スラグ形成性金属成分の高融点の酸化物であり、前記窒
化物や炭化物中に含有される金属成分の珪酸塩(例えば
Srx SiOy )と前記合成ヒドロタルサイトの分解に
より生じるMgOとが次式の如く反応して容易にフィル
タで濾過可能なガラス状のマグネシウムの珪酸塩の複塩
がスラグとして生成される。 MgO+Srx SiOy →MgO・Srx SiOy ・・・・・・・・(9) 又、合成ヒドロタルサイトの分解生成物自体も、次式に
示す酸・塩基反応であるスラグ反応によって容易に濾過
可能なスピネルを形成する。 MgO+Al2 3 →MgAl2 4 ・・・・・・・・・・・・・(10)
【0040】このヒドロタルサイト類をバインダとして
添加する場合には、ガス発生剤組成物全体に対して、2
〜10重量%の範囲で含有させる。2%より少ないとバ
インダとしての機能が達成し難く、10%を越えると、
他の成分の添加量が少なくなってガス発生剤組成物とし
ての機能が果たし難くなるからである。特に3〜8%の
範囲で添加されるのが好ましい。
【0041】次に、ガス発生剤組成物は、直径4〜10
mm,厚さ2〜5mmの錠剤或いは適宜寸法のディスク
状に成形して使用されるのが一般的であり、その成形時
の粉体の流動性を改善する目的で、例えば、ステアリン
酸,ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸マグネシウム,ス
テアリン酸カルシウム,ステアリン酸アルミニウム,二
硫化モリブデン,グラファイト,窒化硼素の群から選択
された1種以上の滑剤を、ガス発生剤全体に対して0.
1〜1%添加するのが好ましい。これにより成形性を一
層改善する事が可能となる。
【0042】又、上記成形して得られたガス発生剤成形
体を、成形後に100〜120℃の温度で2〜24時間
程度熱処理する事により、経時変化の少ないガス発生剤
を得る事ができる。特に107℃×400時間の過酷な
耐熱老化試験を行う場合に、この熱処理は極めて有効で
ある。尚、熱処理時間は、2時間未満では熱処理が不十
分であり、24時間を越えると、それ以上は意味のない
熱処理となるので、2〜24時間の範囲で適当に選定す
るのが良い。好ましくは5〜20時間が良い。又、熱処
理温度は、100℃以下では効果が少なく、120℃を
越えると却って劣化のおそれがあるので、100〜12
0℃の範囲で適当な値を選定する事になる。好ましくは
105℃〜115℃程度が良い。
【0043】次に、本発明の各成分の好ましい組み合わ
せについて説明する。先ず、燃料成分としては、安定で
且つ安全性の高い物質であり、分子構造中の窒素原子の
比率が高く、その結果分解して多量の窒素ガスを放出
し、しかも有害なCOの発生を本質的に抑制する機能を
有する5−アミノテトラゾールが好ましい。又、酸化剤
としては、NOx 発生を抑制する作用を有する硝酸塩が
好ましく、特に、捕集し易い高粘性スラグを生成する硝
酸ストロンチウムと、NOxの低減効果及びアミノテト
ラゾールと三酸化モリブデンとの組み合わせで自動発火
機能を発現させる硝酸カリウムとの混合物が最適であ
る。尚、これらの含有量については、前述の通りであ
る。
【0044】又、金属窒化物としては窒化珪素が好まし
く、又、金属炭化物としては炭化珪素が好ましい。これ
は珪素分が燃焼過程で二酸化珪素を生成し、この二酸化
珪素が、硝酸ストロンチウムから生成する酸化ストロン
チウム、或いはバインダとして添加するヒドロタルサイ
ト類に含有されている金属成分とスラグ反応を生じて容
易に捕集し易い高粘性のスラグを形成するからである。
尚、これらの添加量については前述の通りである。
【0045】次に、これらの粒子混合物を結合して成形
するためのバインダとしては、高融点酸化物であるMg
OとAl2 3 を生成し得る合成ヒドロタルサイトが最
も好ましい。これらは窒化珪素又は炭化珪素から生じる
得る二酸化珪素とスラグ反応を生じて、ガス発生器のフ
ィルタ部で捕捉され易い高粘性のスラグを生成する。
又、成形性を改善するための滑剤としては、ステアリン
酸マグネシウムが最適である。尚、これらの添加量につ
いては前述の通りである。
【0046】
【実施例】以下に本発明の実施例について説明する。
尚、実施例中の%は全て重量%である。 〔実施例1〕燃料成分としての5−アミノテトラゾール
を32.2%と、酸化剤としての硝酸ストロンチウムを
53.4%と硝酸カリウムを5.8%(酸化剤中の硝酸
ストロンチウム含有率:90.2%)と,触媒成分とし
ての三酸化モリブデンを0.5%と、金属窒化物として
の窒化珪素を3.3%と、バインダとしての合成ヒドロ
タルサイトを4.6%及び滑剤としてのステアリン酸マ
グネシウムを0.2%とを夫々配合し、V型混合機によ
り乾式混合した。尚、混合に際し、予め5−アミノテト
ラゾールと硝酸ストロンチウムと硝酸カリウムには、夫
々窒化珪素の微粉末(個数基準50%平均粒径で0.2
μm)を、夫々の重量に応じて略比例配分した量を添加
し、個数基準50%平均粒径で12μm程度に粉砕処理
した。この混合物を、回転式打錠機でプレス成形して直
径5mm,厚さ2.3mm,重量100mgのガス発生
剤の錠剤を得た。次に、この錠剤を110℃で10時
間、熱処理を行った。
【0047】得られた錠剤46gを、図1に示す構造の
試験用ガス発生器1に装填した。この試験用ガス発生器
1は、点火器2と伝火薬3とが配置された中央点火室7
と、その周囲の、ガス発生剤4が装填された燃焼室8
と、更に、その外側の金属フィルタ5が配置された冷却
フィルタ室9とから構成され、燃焼ガスは、冷却フィル
タ室9を経て、ハウジングのガス噴出孔6から外部に噴
出する様になっている。このガス発生器1を用いて60
リットルタンクテストを行った。このテストは、内容積
60リットルの高圧容器内にガス発生器を装着して作動
させ、容器内にガスを放出させて、図2に示す如き容器
内圧力の時間的変化と、容器内への流出スラグ量の測定
を行うものである。尚、図2において、縦軸は容器内圧
力P,横軸は時間tであり、P1は容器内の最大到達圧
力(Kpa),t1は点火器2への通電からガス発生器
の作動開始までの時間(ms:ミリ秒),t2はガス発
生器の作動からP1に至るまでの所要時間(ms)を示
している。この60リットルタンクテストの結果を表1
に示す。又、この試験用ガス発生剤を用いて自動発火性
試験も行い、その結果も併せて表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】表1において、スラグ流出量は、前記試験
用ガス発生器のガス放出孔6から噴出した固体残渣を容
器内から集めた重量(g)を示している。又、人体に有
害なガスとしてCOとNOx (NO及びNO2 を含む)
の量(ppm)は、ガス発生器作動後の60リットル容
器内に溜まったガスを、所定のガス検知管による分析に
よって求めた。更に、AI機能は、自動発火機能を意味
するもので、前記試験用ガス発生器を、外部火災試験と
呼ばれる方法で試験し、火災等に対する自動発火機能の
有無を示している。尚、外部火災試験は、積み上げた木
材の上に試験用ガス発生器を載置し、木材に灯油をかけ
て着火し、火炎の中にガス発生器を10〜30分間放置
しておき、ガス発生剤の燃焼によってガス発生器が破損
するか否かを試験する方法である。因みに、実施例1の
試験用ガス発生器の場合には、木材に着火後、約8分後
にガス発生剤の燃焼が生じたが、ガス発生器は破損せ
ず、実施例1のガス発生剤組成物は、自動着火機能を有
する事が確認された。
【0050】〔実施例2〕燃料成分としての5−アミノ
テトラゾールを32.2%と、酸化剤としての硝酸スト
ロンチウムを48.4%と硝酸カリウムを10.8%
(酸化剤中の硝酸ストロンチウム含有率:81.8%)
と、三酸化モリブデンを0.5%と、窒化珪素を3.0
%と、合成ヒドロタルサイトを4.9%及びステアリン
酸マグネシウムを0.2%とを夫々配合し、実施例1と
同様の方法で混合及び成形を行い、ガス発生剤の錠剤を
得た。尚、混合に際し、予め5−アミノテトラゾールと
硝酸ストロンチウムと硝酸カリウムには、夫々窒化珪素
の微粉末(個数基準50%平均粒径で0.2μm)を、
夫々の重量に応じて略比例配分した量を添加し、個数基
準50%平均粒径で12μm程度に粉砕処理している。
得られた錠剤を用いて実施例1と同様の試験を行い、そ
の結果を上記表1に示す。
【0051】〔実施例3〕燃料成分としての5−アミノ
テトラゾールを32.0%と、酸化剤としての硝酸スト
ロンチウムを50.4%と硝酸ナトリウムを9.0%
(酸化剤中の硝酸ストロンチウム含有率:84.3%)
と、三酸化モリブデンを0.5%と、窒化珪素を3.6
%と、合成ヒドロタルサイトを4.3%及びステアリン
酸マグネシウムを0.2%とを夫々配合し、実施例1と
同様の方法で混合及び成形を行い、ガス発生剤の錠剤を
得た。尚、混合に際し、予め5−アミノテトラゾールと
硝酸ストロンチウムと硝酸ナトリウムには、夫々窒化珪
素の微粉末(個数基準50%平均粒径で0.2μm)
を、夫々の重量に応じて略比例配分した量を添加し、個
数基準50%平均粒径で12μm程度に粉砕処理してい
る。得られた錠剤を用いて実施例1と同様の試験を行
い、その結果を上記表1に示す。
【0052】〔実施例4〕燃料成分としての5−アミノ
テトラゾールを31.6%と、酸化剤としての硝酸スト
ロンチウムを53.6%と過塩素酸カリウムを6.2%
(酸化剤中の硝酸ストロンチウム含有率:90.5%)
と、三酸化モリブデンを0.5%と、窒化珪素を4.0
%と、合成ヒドロタルサイトを3.9%と滑剤としての
ステアリン酸マグネシウムを0.2%とを夫々配合し、
実施例1と同様の方法で混合及び成形を行い、ガス発生
剤の錠剤を得た。尚、混合に際し、予め5−アミノテト
ラゾールと硝酸ストロンチウム及び過塩素酸カリウムに
は、夫々窒化珪素の微粉末(個数基準50%平均粒径で
0.2μm)を、夫々の重量に応じて略比例配分した量
を添加し、個数基準50%平均粒径で12μm程度に粉
砕処理している。得られた錠剤を用いて実施例1と同様
の試験を行い、その結果を上記表1に示す。
【0053】〔比較例1〕燃料成分としての5−アミノ
テトラゾールを32.2%と、酸化剤としての硝酸スト
ロンチウムを59.2%(その他の酸化剤を含まず)
と、三酸化モリブデンを0.5%と、窒化珪素を3.3
%と、合成ヒドロタルサイトを4.6%と滑剤としての
ステアリン酸マグネシウムを0.2%とを夫々配合し、
実施例1と同様の方法で混合及び成形を行い、ガス発生
剤の錠剤を得た。尚、混合に際し、予め5−アミノテト
ラゾールと硝酸ストロンチウムには夫々窒化珪素の微粉
末(個数基準50%平均粒径で0.2μm)を、夫々の
重量に応じて略比例配分した量を添加し、個数基準50
%平均粒径で12μm程度に粉砕処理している。得られ
た錠剤を用いて実施例1と同様の試験を行い、その結果
を上記表1に示す。
【0054】〔比較例2〕燃料成分としての5−アミノ
テトラゾールを32.2%と、酸化剤としての硝酸スト
ロンチウムを30.2%と硝酸カリウムを29.0%
(酸化剤中の硝酸ストロンチウム含有率:51.0%)
と、三酸化モリブデンを0.5%と、窒化珪素を3.3
%と、合成ヒドロタルサイトを4.6%及び滑剤として
のステアリン酸マグネシウムを0.2%とを夫々配合
し、実施例1と同様の方法で混合及び成形を行い、ガス
発生剤の錠剤を得た。尚、混合に際し、予め5−アミノ
テトラゾールと硝酸ストロンチウム及び硝酸カリウムに
は、夫々窒化珪素の微粉末(個数基準50%平均粒径で
0.2μm)を、夫々の重量に応じて略比例配分した量
を添加し、個数基準50%平均粒径で12μm程度に粉
砕処理している。得られた錠剤を用いて実施例1と同様
の試験を行い、その結果を上記表1に示す。
【0055】〔比較例3〕燃料成分としての5−アミノ
テトラゾールを33.7%と、酸化剤としての硝酸カリ
ウムを56.6%(酸化剤中に硝酸ストロンチウム含有
せず)と、三酸化モリブデンを0.5%と、窒化珪素を
4.2%と、合成ヒドロタルサイトを4.8%と滑剤と
してのステアリン酸マグネシウムを0.2%とを夫々配
合し、実施例1と同様の方法で混合及び成形を行い、ガ
ス発生剤の錠剤を得た。尚、混合に際し、予め5−アミ
ノテトラゾールと硝酸カリウムには、夫々窒化珪素の微
粉末(個数基準50%平均粒径で0.2μm)を夫々の
重量に応じて略比例配分した量を添加し、個数基準50
%平均粒径で12μm程度に粉砕処理している。得られ
た錠剤を用いて実施例1と同様の試験を行い、その結果
を上記表1に示す。
【0056】上記表1から明らかな様に、全ての実施例
及び比較例の燃料成分が同一であり、いずれも良好に燃
焼する条件での組成物を選択しているので、t2及びP
1に関しては大差は見られない。同様に、COについて
も、燃料成分が全て5−アミノテトラゾール(5−AT
Z)であり、前述の通り、構造的にCOの発生を抑制す
る性格を有しているので、いずれの例においても大差は
見られず且つ人体に有害なレベルではない。
【0057】次に、酸化剤としての硝酸ストロンチウム
と硝酸カリウムについて見ると、酸化剤として硝酸スト
ロンチウムのみを使用した比較例1では、スラグ流出量
を低く抑える効果があるが、NOxは無視し得ぬレベル
にある。一方、酸化剤として硝酸カリウムのみを使用し
た比較例3では、NOx発生量は低い値に抑えられてい
るが、スラグ流出量は、高い値を示している。この事
は、前述した通り、両者の関係が二律背反の関係にある
事を示している。
【0058】そこで、酸化剤としての硝酸ストロンチウ
ムと硝酸カリウムの混合によるNOx低減効果について
見ると、酸化剤中の硝酸ストロンチウム含有量が0%で
あり硝酸カリウムが100%の比較例3では、NOx含
有量は、最低の80ppmであり、酸化剤中の硝酸スト
ロンチウムが100%の比較例1では、最高の650p
pmである。一方、両酸化剤を約半々に混合している比
較例2を見ると、両酸化剤の混合比率とNOx発生量と
の間に加成性が成立するならば、比較例2の場合には、
両者の中間の360〜370ppm程度を示す事になる
が、実際には120ppmであり、両酸化剤の混合によ
るNOxの発生量は、加成性のラインから大きく外れ
て、予期せぬ低減効果が確認された。これは、実施例
1,2の、酸化剤中の硝酸ストロンチウム含有量が、8
0〜90%の高比率の場合でも、NOx含有量は150
〜170ppmと、前記加成性のラインからNOxの低
能度側に大きく外れている事が分かる。又、硝酸ストロ
ンチウムと併用する酸化剤が、硝酸ナトリウム(実施例
3)及び過塩素酸カリウム(実施例4)の場合でも、同
様に、前記加成性のラインからNOxの低能度側に大き
く外れており、これらの酸化剤の併用でも有効な事が分
かる。
【0059】次に、スラグ流出量について見ると、全て
の実施例及び比較例に、スラグ捕集剤としての窒化珪素
を適量配合しているので、いずれの場合にも、極端なス
ラグ流出量は認められない。そこで、前述のNOxの場
合と同様に、酸化剤中の硝酸ストロンチウムと硝酸カリ
ウムとの配合比率とスラグ流出量との関係について見る
と、酸化剤中の硝酸ストロンチウム含有量が0%(硝酸
カリウムが100%)の比較例3では、スラグ流出量
は、最高の8.0gであり、酸化剤中の硝酸ストロンチ
ウムが100%の比較例1では、最低の1.4gであ
る。一方、両酸化剤を約半々に混合している比較例2を
見ると、両者の中間の4.6gであり、この領域では、
両酸化剤の混合とスラグ流出量との間に加成性が成立す
ると見られるが、実施例1,2における酸化剤中の硝酸
ストロンチウム含有量が、80〜90%の高比率の領域
では、スラグ流出量は1.8〜2.2gと、前記加成性
のラインからスラグ流出量の低減側に外れており、スラ
グ流出量においても、両酸化剤の混合に、予期せぬ効果
が確認された。尚、硝酸ストロンチウムと併用する酸化
剤が、硝酸ナトリウム(実施例3)及び過塩素酸カリウ
ム(実施例4)の場合でも、同様に、スラグ流出量は、
低い値に抑えられている事が分かる。
【0060】因みに、COについて見ると、酸化剤とし
て硝酸ナトリウムを併用した場合には(実施例3)、他
の例に比してCO発生量の低減効果がある事が分かる。
又、酸化剤として過塩素酸カリウムを併用した場合には
(実施例4)、t2が最も小さな値を示し、燃焼速度の
向上に有効である事が分かる。
【0061】次に、自動発火性能について見ると、実施
例1〜3のものは、外部火炎試験において、ガス発生器
を破壊する事なく、木材に点火後10分以内にガス発生
剤の燃焼が生じている。比較例2,3についても同様で
ある。一方、比較例1の場合には、木材に点火後23分
を経過した時点で、大音響と共に爆発し、ガス発生器は
粉々になって破片が飛び散っていた。この事から、自動
発火性触媒の三酸化モリブデンの存在下でも、酸化剤が
硝酸ストロンチウム単独では、その効果が期待できず、
三酸化モリブデンと硝酸カリウム/硝酸ナトリウム/過
塩素酸カリウムの共存下で、自動発火機能が生じる事が
分かる。
【0062】〔実施例5〕次に、自動発火機能について
の各種試験結果について説明する。前述の実施例1と同
一のガス発生剤組成物、即ち、燃料成分としての5−ア
ミノテトラゾールを32.2%と、酸化剤としての硝酸
ストロンチウムを53.4%と硝酸カリウムを5.8%
と、自動発火性発現触媒成分としての三酸化モリブデン
を0.5%と、金属窒化物としての窒化珪素を3.3%
と、バインダとしての合成ヒドロタルサイトを4.6%
及び滑剤としてのステアリン酸マグネシウムを0.2%
とを用いて、実施例1と同様にして成形したガス発生剤
の錠剤と、上記実施例1の組成の内、燃料成分(X),
酸化剤中の硝酸カリウム(Y)及び触媒成分としての三
酸化モリブデン(Z)を他の成分に1種類づつ変更し、
実施例1と同様にして成形したガス発生剤の錠剤とを用
いて自動発火性能試験を行い、その結果を表2に示す。
検討した成分としては、燃焼成分(X)では、アミノテ
トラゾール,ニトログアニジン,ジシアンジアミド,ア
ゾジカルボンアミドの4種類であり、酸化剤(Y)で
は、硝酸カリウム,硝酸ナトリウム,硝酸ストロンチウ
ム,硝酸バリウム,過塩素酸カリウムの5種類であり、
触媒成分(Z)では、三酸化モリブデン,酸化鉄,四三
酸化鉄,酸化ニッケル,五酸化バナジウム,酸化銅,酸
化カルシウム,二酸化マンガン,酸化タングステン,酸
化クロム,過マンガン酸カリウム,モリブデン酸,モリ
ブデン酸ナトリウム,リンモリブデン酸アンモニウム,
二硫化モリブデン,硫化鉄,硫化亜鉛,アルミニウム,
鉄,モリブデン,硫黄,活性炭,グラファイトの21種
類である。
【0063】自動発火性能試験の方法は、図3に示した
自動温度調節装置付きシリコンオイルバス11を用意
し、ヒータ12によって自動温度調節可能になっている
オイルバス14中に、内径2cm,長さ20cmの有底
鉄管10を浸漬し、オイルバスの温度が200±2℃に
安定している状態で、該鉄管10内に、前記各種ガス発
生剤の錠剤1粒を投入し、発火するまでの時間を測定し
て自動発火性能を確認した。自動発火試験の判定結果と
して、表2には、錠剤投入後、3分以内で発火したもの
を○,5分以内のものを△,それ以外のものを×で示し
ている。尚、図3中、13は温度計である。
【0064】
【表2】
【0065】表2から明らかな様に、燃料成分がアミノ
テトラゾールで、酸化剤が硝酸ストロンチウムと硝酸カ
リウム/硝酸ナトリウム/硝酸バリウム/過塩素酸カリ
ウムで、触媒成分が三酸化モリブデン/モリブデン酸/
モリブデン酸ナトリウム/リンモリブデン酸アンモニウ
ムの組み合わせにおいてのみ、自動発火性能が確認され
ている。尚、モリブデン酸,モリブデン酸ナトリウム及
びリンモリブデン酸アンモニウムの場合には、200℃
の加熱によって分解し、三酸化モリブデンが生成するた
め、その時点から自動発火性能が生じるものと考えら
れ、そのため、三酸化モリブデンとして添加した場合に
比べて、発火時間が多少遅れている。
【0066】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明のガス発生剤
組成物によれば、以下の如き顕著な効果が期待できる。
即ち、 (1)有害ガスであるCOの発生を基本的に抑制できる
アミノテトラゾールを燃料成分にもちいているので、C
Oの発生の少ないクリーンなガスでエアバッグの展開が
行われ、乗員に対する安全性が向上する。 (2)アミノテトラゾールと酸化剤とを主成分とするガ
ス化率の高いガス発生剤において、酸化剤の主成分を硝
酸ストロンチウムとなし、これにスラグ捕集剤として金
属窒化物或いは金属炭化物を添加する事により、生成ス
ラグの捕集性が著しく高まり、スラグ流出量が少なくな
って、クリーンなガスでエアバッグの展開を行う事が可
能となる。更に、スラグ捕集のためのフィルタ部材の量
も少なくできるので、ガス発生器の小型化・軽量化に寄
与する事になる。 (3)又、金属窒化物或いは金属炭化物は、分解して窒
素ガスや炭酸ガスを生成するが、これは、エアバッグ展
開に有用なガス成分としてエアバッグの展開に寄与する
ので、燃料成分としてのアミノテトラゾールの含有量を
節約でき、この結果、ガス発生器の小型化,軽量化に寄
与する事が期待できる。 (4)硝酸ストロンチウムをベースとする酸化剤に、少
量の硝酸カリウム,硝酸ナトリウム,硝酸バリウム又は
過塩素酸カリウムを添加した混合酸化剤となす事によ
り、硝酸ストロンチウムのみでは抑制困難であったNO
xの発生を大幅に低減させる事が可能となる。 (5)更に、上記組成物に、少量の三酸化モリブデン又
は加熱して三酸化モリブデンを生成するモリブデン化合
物を添加しておく事により、ガス化率を落とす事なくガ
ス発生剤自体に自動発火機能を発現させる事が可能とな
るので、従来の様にガス発生器内に別途自動発火機構を
設ける必要がなくなり、ガス発生器の構造の簡素化とコ
ストダウンが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で使用したガス発生器の概略断
面図である。
【図2】60リットルタンクテストにおける時間(t)
と容器内圧力(P)との関係を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例で使用した自動発火性試験装置
の概略断面図である。
【符号の説明】
1 ガス発生器 2 点火器 3 伝火薬 4 ガス発生剤 5 冷却フィルタ部材 6 ガス放出孔 7 中央点火室 8 燃焼室 9 冷却フィルタ室 10 有底鉄管 11 シリコンオイルバス 12 ヒータ 13 温度計 14 オイルバス P1 最大到達圧力 t1 作動開始までの時間 t2 作動からP1 に到るまでの時間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩崎 誠 兵庫県姫路市豊富町豊富3903−39 日本化 薬株式会社姫路工場内 (72)発明者 久保 大理 兵庫県姫路市豊富町豊富3903−39 日本化 薬株式会社姫路工場内 (72)発明者 吉川 英一郎 兵庫県姫路市豊富町豊富3903−39 日本化 薬株式会社姫路工場内センサー・テクノロ ジー株式会社姫路テクニカルセンター内 (72)発明者 箕口 亨 兵庫県姫路市豊富町豊富3903−39 日本化 薬株式会社姫路工場内センサー・テクノロ ジー株式会社姫路テクニカルセンター内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料成分と酸化剤と触媒成分とを主成分
    として含有するガス発生剤組成物であって、前記燃料成
    分としてアミノテトラゾールを20〜45重量%,酸化
    剤を50〜75重量%,自動発火性発現触媒成分として
    三酸化モリブデンを0.05〜5重量%含有すると共
    に、前記酸化剤は、硝酸ストロンチウムと、アルカリ金
    属又はバリウムの硝酸塩、或いは、硝酸ストロンチウム
    とアルカリ金属又はバリウムの過塩素酸塩とからなり、
    該酸化剤中の硝酸ストロンチウム含有量が75〜95重
    量%である事を特徴とするガス発生剤組成物
  2. 【請求項2】 前記三酸化モリブデンに代えて、加熱に
    より三酸化モリブデンを生成するモリブデン化合物を、
    三酸化モリブデン換算で、0.05〜〜5重量%含有し
    てなる請求項1に記載のガス発生剤組成物
  3. 【請求項3】 前記モリブデン化合物が、モリブデン
    酸,モリブデン酸ナトリウム,リンモリブデン酸アンモ
    ニウムの群から選ばれた1種以上である請求項2に記載
    のガス発生剤組成物
  4. 【請求項4】 前記燃料成分と酸化剤と触媒成分とから
    なる組成物に、バインダとして、次式で示されるヒドロ
    タルサイト類を、組成物全体に対して2〜10重量%添
    加混合して成形してなる請求項1乃至3のいずれかに記
    載のガス発生剤組成物 〔M2+ 1-x 3+ x (OH)2 x+〔An- x/n ・mH
    2 O〕x- ここで、 M2+:Mg2+,Mn2+,Fe2+,Co2+,Ni2+,Cu
    2+,Zn2+等の2価金属 M3+:Al3+,Fe3+,Cr3+,Co3+,In3+等の3
    価金属 An-:OH- ,F- ,Cl- ,NO3 - ,CO3 2- ,S
    4 2- ,Fe(CN) 6 3- ,CH3 COO- ,蓚酸イオ
    ン,サリチル酸イオン等のn価のアニオン x :0<x≦0.33
  5. 【請求項5】 前記ヒドロタルサイト類が、 化学式:Mg6 Al2 (OH)16CO3 ・4H2 Oで表
    される合成ヒドロタルサイト、又は、 化学式:Mg6 Fe2 (OH)16CO3 ・4H2 Oで表
    されるピロウライトである請求項4に記載のガス発生剤
    組成物
  6. 【請求項6】 前記組成物に、スラグ捕集剤としての金
    属窒化物又は金属炭化物の1種以上を、該組成物全体に
    対して2〜10重量%混合してなる請求項1乃至5のい
    ずれかに記載のガス発生剤組成物
  7. 【請求項7】 前記金属窒化物又は金属炭化物の個数基
    準50%平均粒径が5μm以下である請求項6に記載の
    ガス発生剤組成物
  8. 【請求項8】 前記金属窒化物又は金属炭化物の個数基
    準50%平均粒径が1μm以下であり、前記燃料成分及
    び酸化剤のいずれか一方又は双方の粉砕時に混合してな
    る請求項7に記載のガス発生剤組成物
  9. 【請求項9】 前記組成物に、滑剤として、ステアリン
    酸マグネシウム,ステアリン酸亜鉛,グラファイト,窒
    化硼素,二硫化モリブデンの群から選ばれた1種以上
    を、該組成物全体に対して0.1〜1重量%混合してな
    る請求項1乃至8のいずれかに記載のガス発生剤組成物
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