JPH11149917A - 非水電解質電池及びその製造方法と充放電方法 - Google Patents

非水電解質電池及びその製造方法と充放電方法

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JPH11149917A
JPH11149917A JP9312995A JP31299597A JPH11149917A JP H11149917 A JPH11149917 A JP H11149917A JP 9312995 A JP9312995 A JP 9312995A JP 31299597 A JP31299597 A JP 31299597A JP H11149917 A JPH11149917 A JP H11149917A
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JP
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lithium
aqueous electrolyte
mah
incident
negative electrode
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JP9312995A
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Yasushi Nakagiri
康司 中桐
Toru Matsui
徹 松井
Kenichi Takeyama
健一 竹山
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リチウム材料を負極に用いた非水電解質二次
電池において、充放電サイクル中に不均一反応が進行
し、デンドライト析出が起こるために電池の効率および
寿命の低下に影響を与えていた。 【解決手段】 リチウムを活物質とするシート状負極の
表面をある結晶面で優先的に配向させた後に、負極の表
面近傍を電気化学的に溶解することにより、均一な析出
溶解反応すなわち電池の充放電を行うことが可能とな
り、デンドライト析出の抑制効果を得ることができる。
その効果により高効率、長寿命の非水電解質二次電池を
提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明はリチウムを用いた
非水電解質電池に関するものであり、特に負極の改良と
この負極を用いた非水電解質電池の製造方法、及びその
充放電方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、負極活物質にリチウムを用
い、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジ
メトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン等
を溶媒とし、これにLiClO4、LiBF4、LiAs
6、LiPF6、LiCF3SO3等の溶質を溶解させた
電解液をもちいた非水電解質電池が提案されている。こ
れらは、高エネルギー密度を有することから、電子時
計、カメラをはじめとする小型電子機器用の一次電池、
また、携帯電話、携帯用パーソナルコンピュータ、ビデ
オムービー等の携帯用機器用の電源として期待されてい
る。
【0003】この種の非水電解質電池は、リチウムの化
学反応性が高く、容易に電解液成分と反応して負極表面
に不動態皮膜を形成するため、自己放電反応が抑制さ
れ、保存特性が良いという特長がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし一方で、充電中
にリチウム負極表面に樹枝状、針状、フィブリル状等の
リチウム析出物、いわゆる、デンドライトが発生すると
いう課題がある。この原因は、充電中に負極表面に不動
態皮膜が形成されたり、反応表面が結晶学的、形態的に
不均一であるため、負極表面上でのリチウムイオンの析
出場所が局在化するためと考えられている。充電時にこ
のようなデンドライトが形成され、次の放電過程で、デ
ンドライトが部分的に溶解して寸断され、充電中に析出
させたすべてのリチウムを溶解させることができなくな
り、結果として充放電効率が著しく低下するといった課
題がある。また、デンドライトが寸断されずに成長する
ことにより、負極と正極の間の内部短絡が生じ、充放電
サイクル寿命が短くなるといった課題もある。
【0005】本願発明は、このような課題を解決するも
のであり、デンドライトの発生を抑制し、長期にわたり
高効率を保つ、信頼性の高い非水電解質電池を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】リチウムのデンドライト
発生を抑制するためには、エネルギー的に均一な析出お
よび溶解反応の進行を繰り返し行うことが必要である。
このためには、リチウム金属が充放電する反応表面で、
充放電以外の副反応は、できるだけ避ける必要がある。
【0007】これを実現する手段として、リチウム金属
の結晶子の結晶面がシート表面に対して優先的に配向し
てリチウムを活物質とするシートをもちいて、リチウム
表面を特定の電気量だけ電気化学的に溶解したものを負
極として非水電解質電池を構成することが有用である。
【0008】具体的には、表面の法線方向からの入射X
線に対して得られる200結晶面のX線反射ピーク強度
が、前記入射X線より得られる反射ピーク強度全体の和
の50%以上であるリチウムを活物質として有するシー
トを作成し、これに対して0.1mAh/cm2以上か
つ3mAh/cm2以下の電気量で電気化学的に前記リ
チウムの表面を溶解した負極と、非水電解質及び正極に
より非水電解質電池を構成すると、電池充放電に際し、
デンドライト発生を効果的に抑えることが出来る。
【0009】この時、リチウムの溶解電気量を0.1m
Ah/cm2以上かつ1.5mAh/cm2以下とするこ
とも可能である。
【0010】また、電気化学的に表面の溶解をするリチ
ウムは、表面の法線方向からの入射X線に対して得られ
る110結晶面の反射ピーク強度が、前記入射X線より
得られる反射ピーク強度の和の70%以上であるものと
用いても、デンドライト発生を効果的に抑えることが出
来る。
【0011】また本願発明では、電気化学的に表面の溶
解をするリチウムを、表面の法線方向からの入射X線に
対して得られる反射のうち、211結晶面、310結晶
面、321結晶面および222結晶面からなる群より選
択されるいずれかの反射ピーク強度が、前記入射X線よ
り得られる反射ピーク強度全体の和の50%以上である
ものを使用することもできる。
【0012】本願発明で非水電解質電池の製造方法は、
リチウムを活物質として有するシートに対して非水電解
質を用いて電気化学的に前記リチウムの表面を溶解する
工程と、前記溶解工程で使用した非水電解質と前記溶解
工程を経た前期シートを分離する工程と、表面の溶解を
行った前記シートと非水電解質および正極により電池を
構成する工程を有する。
【0013】本願発明の充放電方法は、以上の構成で作
成した非水電解質電池に対して、予め0.1mAh/c
2以上かつ3mAh/cm2以下の電気量で放電を行っ
た後、所望のモードでの充放電を開始するものである。
また、予め行う放電電気量を0.1mAh/cm2以上
かつ1.5mAh/cm2以下とすることも可能であ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】本願発明の非水電解質電池の構成
のポイントは、結晶的に特定の配向性を有するリチウム
を用いて、特定の電気量だけ溶解したものを、負極とし
て用いる点にある。金属リチウムを活物質とする負極を
用いた電池を充放電すると、負極ではリチウムの析出溶
解反応が起こる。微視的に考えた場合に、結晶面の違い
によりリチウムの析出溶解に要するエネルギーはそれぞ
れ異なるものである。そのため基板であるリチウム金属
の表面に一つの結晶面が優先的に配向している場合に
は、リチウムの析出溶解のエネルギーの分布が抑えら
れ、なおかつ析出溶解反応が均一に進行すると考えられ
る。
【0015】このような優先配向性を得るためには、リ
チウム箔に対して最適な処理を行う必要がある。しか
し、結晶全体として結晶面の優先配向が得られる処理を
施しても、最表面においてリチウムの析出や溶解に対し
て、反応障害を起こす状況や物質が存在すると、均一な
反応を起こすことはできない。すなわち、反応障害を起
こす最表面近傍は、析出溶解を行う前に反応の阻害因子
を除去しなければならない。つまり、反応の阻害因子を
除去した後で所望とする充放電を始めると、サイクルを
重ねた場合でも結晶面を優先的に配向することが出来、
その結果、均一な析出溶解反応が進行し、デンドライト
析出が抑制される。
【0016】そこで、本願発明の非水電解質電池に用い
る負極としては、結晶面の優先的な配向性を得ることが
できたリチウムを活物質とするシートの表面に、電気化
学的溶解処理を行った材料を用いるものである。この電
気化学的溶解表面処理の電気量としては、3mAh/c
2以下の電気量が望ましいが、あまり少ないとその効
果はない。
【0017】もちろん、通常に入手したリチウム箔すな
わち結晶面の優先配向性が得られていないリチウム箔に
対しても、製造工程上においてリチウム表面に析出溶解
反応に対する障害物質が存在することは十分に考えられ
る。そこで、このようなときも同様の電気化学的な溶解
表面処理を行えば良好な結果が得られる。
【0018】また、リチウムを活物質とするシートとし
て、表面の法線方向からの入射X線に対して得られる2
00結晶面の反射ピーク強度が、前記入射X線より得ら
れる反射のピーク強度の和の50%以上である前記シー
トを用いて、電気化学的な溶解表面処理を行うことによ
り前述した均一析出溶解反応を進行させる効果を得るこ
とができる。そして、望ましくは、電気化学的溶解表面
処理の電気量として、1.5mAh/cm2以下とした
方がさらに効果的である。
【0019】次に、本願発明の非水電解質電池の製造方
法としては、活物質であるリチウムを主体とするシート
に対して、非水電解質を用いて電気化学的表面溶解処理
を行う工程と、前記非水電解質を除去する工程と、前記
表面処理を行ったシート状負極と新規非水電解質および
正極とともに電池を構成する工程を含むものである。
【0020】これは、非水電解質電池を構成する前に、
使用する負極に対して電気化学的表面溶解処理を行うと
いうものであり、電気化学的表面溶解処理を行う非水電
解質と電池を構成するときの非水電解質は必ずしも同種
でなくても良い。
【0021】また、リチウムを主体とするシートとし
て、そのシート状負極が体心立方格子型の結晶構造を持
ち、その法線方向からの入射X線に対して得られる11
0反射、200反射、211反射、310反射、321
反射、222反射のうち、いずれか一つのピーク強度
が、入射X線により得られるシート状負極の反射の全ピ
ーク強度の和の50もしくは70%以上を持つような結
晶面に優先的に配向しているような物質に対して、上記
の電気化学的表面溶解処理を含んだ製造方法を用いる方
がより効果を得ることができる。
【0022】最後に、本願発明の非水電解質電池の充放
電方法としては、活物質であるリチウムを主体とするシ
ートからなる負極を用いた非水電解質電池に対して、3
mAh/cm2以内の初期放電を行った後に充放電を開
始するといった方法を行うものである。
【0023】また、この場合においても、やはり活物質
であるリチウムを主体とするシートの表面の法線方向か
らの入射X線に対して得られる200反射のピーク強度
が、前記入射X線より得られる反射のピーク強度の和の
50%以上であるシートを用いて上記の充放電方法を行
った方が、より高い効果が得られる。そして、望ましく
は、1.5mAh/cm2以内の初期放電を行う方がさ
らに高い効果が得られる。このときに使用する負極につ
いては、事前に電気化学的な表面処理を行っていても、
もちろん構わない。
【0024】これらの発明に対して用いるリチウムとし
ては、リチウムに代表されるが、その他のいずれのリチ
ウムも、リチウムと同様に体心立方格子型の結晶構造を
とるため、どのリチウムを用いても同様な効果が得られ
る。
【0025】また、体心立方格子型を保ち結晶面の優先
配向が得られるならば合金系の材料を使用しても構わな
い。
【0026】
【実施例】以下、本願発明の実施例について、図面を参
照しながら詳細に説明する。なお、以下のすべての処理
はアルゴンガス雰囲気中で行った。
【0027】(実施例1)まず、本願発明の構成で使用
する原材料であるリチウム箔の結晶構造の確認を行っ
た。入手直後のリチウム箔について、CuKα線を用い
てX線解析を行ったところ、JCPDSカードのLi金
属(番号150401)に対応する体心立方格子型の結
晶構造に相当する各ピークが出現しており、その他のピ
ークは無く、すべて体心立方格子型の金属リチウムであ
ることが判明した。
【0028】しかし、発明者が入手した複数のリチウム
箔のX線回折図形を比較してみると、試料により各ピー
クの強度比は一定せず、同じロットのリチウム箔でもそ
の中の結晶子の配向状態はかなりばらついており、結晶
性がかなり低い試料も存在していることがわかった。こ
れは、検討したリチウム箔を押し出し成型によって製造
したため、結晶子の方向がバラバラになったものと考え
られる。
【0029】JCPDSカード(番号150401)に
よるとリチウム金属のX線回折パターンでは、図5に示
すように、次の7つのピークが観測される。すなわち、
110反射、200反射、211反射、220反射、3
10反射、222反射、321反射に相当するピークで
ある。そして、それらのピーク強度比は、先ほどの順に
42.9%、12.9%、17.1%、8.6%、8.
6%、1.3%、8.6%となっている。このピーク強
度比を標準と考えた場合、110面に関しては70%以
上、その他のピークに関しては50%以上のピーク強度
比を持つときは、リチウム箔中の結晶子は、X線を照射
した面に各ピークに相当する結晶面が、かなり優先的に
配向していると考えることができる。
【0030】活物質材料として、厚さ100μm、幅2
2mmの上記リチウム箔を用いた。このリチウム箔を1
辺が22mmの角状に切り取って16分の1に折り畳ん
だ後、鏡面研磨された面を持つ鋼製の治具を用いて、2
50kg/cm2の圧力で10秒間押圧した。得られた
リチウム箔を再び折り畳んで同様の方法で押圧した。続
いて、そのリチウム箔を今度は折り畳まずにそのまま2
00kg/cm2の圧力で10秒間押圧する作業を2回
繰り返した。すなわち合計4回の押圧処理をリチウム箔
に施した。この作業を行うことにより、リチウム箔の厚
さは当初と同様の約100μmとなった。準備したリチ
ウム箔の表面は鈍い金属光沢をしていたが、それに比べ
てこの押圧処理を行ったリチウム箔は、非常に輝いた金
属光沢表面を持っていた。
【0031】このリチウム箔について、CuKα線を用
いてX線解析を行った。その結果を図1に示す。図1に
示すように、得られた回折パターンは200反射の回折
ピークの強度が非常に大きく、200反射のピーク強度
は、得られた全回折ピークのピーク強度の和の約91%
を占めていた。このような200反射ピークの優先的な
配向性は、上記の押圧処理を施したリチウム箔の全般に
わたって観察することができた。
【0032】このようなリチウム箔では、リチウム結晶
全体としては非常に優先的な結晶子の配向をしているこ
とになる。そして、表面は非常に輝いた金属光沢をして
いるので表面被膜は薄いと思われる。しかし、押圧処理
による結晶内部の内部歪みや接触部での影響などが特に
表面近傍に残存していることは十分考えられる。
【0033】そこで、このようなリチウム箔に対して、
図2に示す様な3電極式の電気化学ガラスセル内で、表
面近傍の初期溶解を行った。
【0034】図2を参照しながら説明を行う。まず、上
記した押圧処理を施したリチウム箔1を円形状に打ち抜
きニッケル製の集電体2に圧着した。この集電体2に
は、ニッケルリボンがスポット溶接されている。そし
て、そのリチウム箔1を参照極3、対極4とともにガラ
スセル5の中の電解液6中に浸した。この参照極4、対
極5には購入したままで未処理のリチウム箔を用いた。
対極4はリチウム箔1に対して十分大きなものを準備し
た。またこのときの電解液6には、エチレンカーボネー
トとジエチルカーボネートを体積比で1:1の割合で混
合し、この混合溶媒にLiClO4を1モル/リットル
の割合で溶解したものを用いた。集電体2、参照極3、
対極4は、それぞれポテンショガルバノスタット7に接
続した。このような状況で押圧処理を施したリチウム箔
1の電気化学的溶解を行った。
【0035】電気化学的溶解を行う電気量として、0.
1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.
0、3.5、4.0mAh/cm2を選び、それぞれの
条件において試料を3個づつ電気化学的溶解を行った。
このとき電気化学的溶解を行うことにより、電解液6の
内部に非常に小さい黒色微粒子の浮遊物が観察された。
そこで、いったんこの電解液6を取り除き、新たに同じ
種類の電解液をセル内にそそぎ込み、続いて次に示すサ
イクル寿命試験を行った。また、同時に電気化学的溶解
時に使用した電解液6を交換せずにそのまま使用した試
料も同数準備し、サイクル寿命試験を行った。
【0036】各試料について25℃の環境下で、1mA
/cm2の電流密度で充電(リチウム析出)および放電
(リチウム溶解)をそれぞれ2時間行った。充放電電位
が参照極に対して絶対値で1Vを越えた場合に、そこで
サイクル終了として、サイクル寿命を測定した。
【0037】その結果を表1に示す。ただし、表中の放
電容量の値は、平均値±σを表す。
【0038】
【表1】
【0039】表1より、電解液を交換した方が、すべて
の初期溶解の電気量において長いサイクル寿命であった
ことがわかる。そして、電解液交換の有り無しにかかわ
らず、電気化学的溶解の電気量が3mAh/cm2以下
の場合にサイクル寿命が長く、特に1.5mAh/cm
2以内の初期溶解処理において、サイクル寿命の著しい
向上が見られた。
【0040】電解液を交換した場合の方がサイクル寿命
が長いのは、初期溶解において発生した黒色浮遊物が原
因であると考えられる。この物質は明らかとはなってい
ないが、充放電を阻害するリチウム化合物ではないかと
推察される。
【0041】3mAh/cm2を越える初期溶解は表面
形状が非常に荒れてしまい、その後の充電におけるリチ
ウム析出の場所に局在化が起こり、不均一な析出反応が
進行しやすくなるためにデンドライト発生の要因となっ
ていると思われる。また、1.5mAh/cm2以内に
おける初期溶解では、押圧処理時に起こったと思われる
表面近傍の結晶の内部応力歪みや押圧用治具の表面での
反応被膜等が適度に溶解され、非常に結晶面配向性が良
く清浄で平坦なリチウム面が露出されたためにサイクル
寿命の著しい向上が見られたのであると思われる。ま
た、サイクル数が増加してもバラツキはあまり変わら
ず、相対的にバラツキは抑制されていることがわかる。
【0042】従って、当初、特定の結晶面に配向してい
なかったリチウム箔中の結晶子の200結晶面を箔の表
面に優先的に配向させた後に、表面の溶解処理を行った
試料を非水電解質電池の負極に用いることにより、電池
の長寿命化に対して効果があることがわかる。さらに、
電気化学的溶解後に電解液を交換して新しい電解液を用
いて非水電解質電池を製造した場合には、よりサイクル
寿命が伸びる効果があることもわかる。
【0043】なお、この実施例においては、初期溶解用
の電解液とその後に交換した電解液には、同種のものを
使用したが、もちろん交換する時点で違う種類の電解液
を用いてもかまわない。違う種類とは、Li塩だけが違
うもの、溶媒だけが違うもの、Li塩および溶媒の両方
とも違うものを含んでいる。電気化学的溶解に適した電
解液と充放電サイクルに適した電解液の最適な組み合わ
せを用いることで効果が最大になることは言うまでもな
い。
【0044】また、この電気化学的溶解時の電解液を、
その後に新しい電解液に交換するといった手法は、20
0結晶面配向リチウムだけでなく他の結晶面が配向した
リチウムすなわち110、211、310、321、2
22結晶面配向のリチウムに関しても有効である。
【0045】(実施例2)活物質材料として、実施例1
と同じ、厚さ100μm、幅22mmのリチウム箔を用
いた。このリチウム箔に対して、実施例1と同様の押圧
処理を行った。そしてこの押圧処理を行ったリチウム箔
を用いて図3に示す偏平型非水電解質二次電池を作製し
た。
【0046】作製手順を図3を参照しながら説明する。
まず、前準備として、押圧処理のみを行い電気化学的溶
解処理は行わなかったリチウム箔8を円形状に打ち抜
き、一つ一つ重量測定を行った。その後、ニッケル製の
負極集電体9の上に圧着した。続いて、電池の組立を行
った。まず、正極缶10内に、ニッケル製のエキスパン
ドメタルを用いた正極集電体11を配置して、両者をス
ポット溶接した。その上に、購入したままで未処理のL
i箔を円形状に打ち抜いた正極12をその上に圧着し
た。この正極12の量はリチウム箔8よりも多くした。
電解液には、エチレンカーボネートとジエチルカーボネ
ートを体積比で1:1の割合で混合し、この混合溶媒に
LiClO4を1モル/リットルの割合で溶解したもの
を用いた。正極12の上方に、ポリプロピレン製の多孔
質フィルムからなるセパレータ13を配置した後、電解
液を正極缶10内に注入し、続いて先程準備したリチウ
ム箔8および負極集電体9をセパレータ13の上部に配
置した。さらにガスケット14を介して封口板15を正
極缶10の開口部に嵌合して、偏平型の非水電解質二次
電池を組み立てた。
【0047】そして、初期放電すなわち電気化学的溶解
を行った後に続いて充放電を行った。初期放電の電気量
は、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、
3.5、4mAh/cm2とし、それぞれの条件の初期
放電を3個づつの試料に対して行った。この初期放電を
行ったときに、リチウム箔8では電気量に相当するリチ
ウムが溶解し、正極13の表面に析出していることにな
る。
【0048】このような初期放電を行った試料に対し
て、各試料について25℃の環境下で、1mA/cm2
の電流密度で充電(リチウム析出)および放電(リチウ
ム溶解)をそれぞれ2時間、20サイクルを行った。そ
の後、リチウム箔8を溶解できなくなるまで電気化学的
溶解し、その時の電気量から残存しているリチウムの量
を測定した。そして、事前のリチウム重量測定から求め
た電気量から初期溶解の電気量を減じた量に対して、残
存しているリチウムの割合を求めて充放電効率を算出し
た。そして、各条件における試料の充放電効率の平均値
を求めた。その結果を図4に示す。
【0049】図4から明らかなように実施例1の時と同
様に、初期溶解の電解容量が3mAh/cm2以内の場
合に充放電効率が高く、特に1.5mAh/cm2以内
の初期溶解処理において、充放電効率の著しい向上が見
られた。
【0050】この場合も実施例1の時と同様に、押圧処
理時に起こったと思われる表面近傍の結晶の内部応力歪
みや押圧用治具の表面での反応被膜等が適度に溶解され
たと考えられる。そして、非常に結晶面配向性が良く清
浄で平坦なリチウム面が露出されたために析出溶解の均
一な反応が進行し、デンドライト析出の抑制効果が発揮
され、充放電効率の向上が得られたものと思われる。
【0051】従って、当初、特定の結晶面に偏向してい
なかったリチウム箔中の結晶子の200結晶面を箔の表
面に優先的に配向させた後に、そのリチウム箔を電池の
負極に用いて、初期に放電すなわち溶解処理を行った後
に充放電を開始する方法をとることにより、電池の充放
電効率の向上に対して効果があることがわかる。
【0052】なお、本実施例においては電池を作製して
すぐに放電を行ったが、一定の期間サイクルを行った後
に電池を長期間保存するような場合に、保存前に適量の
充電を行っておき充放電を再開する前に、適量の放電す
なわち溶解を行えば、その充放電に対しても有効であ
る。
【0053】また、本実施例においては、リチウム箔負
極に対して、初期の電気化学的溶解処理は行わずに非水
電解質電池を作製したが、もちろん、電気化学的溶解処
理を行った後に非水電解質電池を作製し、上記の充放電
方法を適用しても構わない。
【0054】また、本実施例では、正極の影響が出ない
ように正極にも購入したままで未処理のリチウム金属を
用いたが、実際の電池として製造する場合には、LiC
oO 2、LiNiO2、LiMnO2等の層状酸化物や、
LiMn24等のスピネル型酸化物、V25等のV系酸
化物を用いても効果がある。ただし、このときに初期放
電に相当した電気量を考慮して正極、負極の容量バラン
スをとる必要があることは言うまでもない。
【0055】なお、本実施例1、2においては、負極物
質にリチウム金属を使用したが、リチウム以外のリチウ
ムであるナトリウム、カリウム等の負極を用いても、そ
れぞれの結晶面における優先配向性が得られる処理を行
い、本実施例の電気化学的な表面溶解処理を行えば同様
の効果が得られる。
【0056】また、負極物質にリチウム−アルミニウム
合金等の合金系材料、またアルミニウム以外の合金系の
負極を用いても、体心立方構造をとり特定の結晶面への
優先的な配向が得られていれば、同様の効果が得られ
る。
【0057】
【発明の効果】以上のように、本願発明によると、リチ
ウムを活物質とするシートで、その結晶子の結晶面がシ
ート表面に優先的に配向している負極の表面を電池を作
製する前もしくは電池を作製した後に電気化学的に溶解
処理する、電池を作製する前に溶解した場合、表面処理
に使用した電解質を除去した後に、新しい電解質ととも
に非水電解質電池を製造する方法を用いるといった方法
をとることにより、活物質であるリチウムのデンドライ
ト析出反応を抑えることができ、電池のサイクル寿命や
充放電効率の向上といった効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施例の電池の負極に用いたリチ
ウム箔のX線回折図形を示す図
【図2】実施例に用いた電気化学的ガラスセルの構成図
【図3】実施例に用いた偏平型非水電解質二次電池の縦
断面図
【図4】実施例の初期溶解電気量に対する充放電効率の
変化の図
【図5】従来の文献に示されたリチウム金属のX線回折
図形の強度比を示す図
【符号の説明】
1 リチウム箔 2 ニッケル集電体 3 参照極 4 対極 5 ガラスセル 6 電解液 7 ポテンショガルバノスタット 8 リチウム箔 9 負極集電体 10 正極缶 11 正極集電体 12 正極 13 セパレータ 14 ガスケット 15 封口板

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウムを活物質として有するシートに
    対して、前記リチウムの表面を0.1mAh/cm2
    上で3mAh/cm2以下の電気量で電気化学的に溶解
    した負極と、非水電解質および正極とからなる非水電解
    質電池。
  2. 【請求項2】 表面を電気化学的に溶解するリチウム
    は、表面の法線方向からの入射X線に対して得られる2
    00結晶面のX線反射ピーク強度が前記入射X線より得
    られる反射ピーク強度全体の和の50%以上であること
    を特徴とする請求項1記載の非水電解質電池。
  3. 【請求項3】 表面を電気化学的に溶解する電気量が
    0.1mAh/cm2以上で1.5mAh/cm2以下で
    あることを特徴とする請求項2記載の非水電解質電池。
  4. 【請求項4】 表面を電気化学的に溶解するリチウム
    は、表面の法線方向からの入射X線に対して得られる1
    10結晶面の反射ピーク強度が前記入射X線より得られ
    る反射ピーク強度全体の和の70%以上であることを特
    徴とする請求項1記載の非水電解質電池。
  5. 【請求項5】 表面を電気化学的に溶解するリチウム
    は、表面の法線方向からの入射X線に対して得られる反
    射のうち、211結晶面、310結晶面、321結晶面
    および222結晶面からなる群より選択されるいずれか
    の反射ピーク強度が、前記入射X線より得られる反射ピ
    ーク強度全体の和の50%以上であることを特徴とする
    請求項1記載の非水電解質電池。
  6. 【請求項6】 リチウムを活物質として有するシートに
    対して非水電解質を用いて表面を電気化学的に溶解する
    工程と、前記溶解工程で使用した非水電解質と前記溶解
    工程を経た前記負極とを分離する工程と、非水電解質か
    ら分離した前記負極と非水電解質および正極により電池
    を構成する工程を有することを特徴とする請求項1,
    2,3,4または5記載の非水電解質電池の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1,2,3,4または5記載の非
    水電解質電池に対して、予め0.1mAh/cm2以上
    で3mAh/cm2以下の電気量の放電を行った後、充
    放電を開始することを特徴とする非水電解質電池の充放
    電方法。
  8. 【請求項8】 請求項3記載の非水電解質電池に対し
    て、予め0.1mAh/cm2以上で1.5mAh/c
    2以下の電気量の放電を行った後、充放電を開始する
    ことを特徴とする非水電解質電池の充放電方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012150909A (ja) * 2011-01-17 2012-08-09 Toyota Motor Corp リチウム金属固体、当該リチウム金属固体からなるリチウム金属膜、当該金属膜を含む固体電解質膜・リチウム電極接合体、当該固体電解質膜・リチウム電極接合体を備えるリチウム空気電池、及び当該固体電解質膜・リチウム電極接合体の製造方法
JP2017016905A (ja) * 2015-07-01 2017-01-19 古河電池株式会社 リチウム二次電池の充放電方法
JP2018190679A (ja) * 2017-05-11 2018-11-29 古河電池株式会社 リチウム二次電池の充放電方法

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