JPH11138444A - 特殊鋼用研削といしおよび研削方法 - Google Patents

特殊鋼用研削といしおよび研削方法

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JPH11138444A
JPH11138444A JP9307337A JP30733797A JPH11138444A JP H11138444 A JPH11138444 A JP H11138444A JP 9307337 A JP9307337 A JP 9307337A JP 30733797 A JP30733797 A JP 30733797A JP H11138444 A JPH11138444 A JP H11138444A
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grinding
abrasive grains
grinding wheel
special steel
alumina
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JP9307337A
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Susumu Nakagami
晋 中上
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 研削仕上面あらさを従来よりも低下させるこ
となく、特殊鋼用研削といしの研削比を向上させる。 【解決手段】 特殊鋼用研削といし1は硬度が低くて破
砕しにくいアルミナ質砥粒3と、硬度が高くて破砕しや
すい高純度アルミナ質砥粒4と、結合剤5とを含む。高
純度アルミナ質砥粒4は、研削中に破砕して鋭利な切れ
味のよい刃先を形成するので、研削力が高く、重研削を
担う。アルミナ質砥粒3は、研削中に磨耗して切れ味の
悪い刃先を形成するので、高純度アルミナ質砥粒4によ
って形成された研削面の凹凸を均す平滑化研削を担う。
破砕性の異なる複数種類の砥粒を使用することによっ
て、各砥粒に異なる役割を分担させることが可能とな
り、研削仕上面あらさの平滑化と研削比の向上とを両立
させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特殊鋼鋼材、特に
ステンレス鋼鋳片の表面疵を研削除去する特殊鋼用研削
といしおよびそれを用いた研削方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から特殊鋼鋼材、たとえば連続鋳造
によって製造されたステンレス鋼鋳片は、表面欠陥を除
去するために特殊鋼用研削といしによって表面を研削さ
れる。ステンレス鋼鋳片の研削は、ステンレス鋼が硬質
であり、かつ研削量も多いので、研削荷重および研削速
度を高くして行われる。このような研削は、重研削と呼
ばれている。特殊鋼用研削といしは、切刃となる重研削
用砥粒を結合剤であるフェノール樹脂で結合保持したも
のである。重研削用砥粒としては、現在では棒状の焼結
アルミナ質砥粒が最もよく用いられている。焼結アルミ
ナ質砥粒は、低硬度で磨耗しやすいけれども、結晶粒が
微細でじん性の高い砥粒である。
【0003】このように、従来の特殊鋼用研削といしは
磨耗しやすい砥粒を有しているので、研削中に摩耗して
鈍い刃先を形成する、いわゆる切れ味の悪いといしであ
る。しかしながら、切れ味は悪い反面、研削仕上面あら
さは良好であるので、その特性を重視するステンレス鋼
鋳片の研削によく用いられている。ステンレス鋼鋳片が
研削仕上面あらさを重視するのは、それが最終製品の表
面品質に大きな影響を及ぼすからである。なお切れ味の
悪さによる研削量の低下は、研削荷重の増加でカバーさ
れる。またステンレス鋼鋳片の研削方法としては、研削
荷重を一定にして研削する定圧研削法がよく採用されて
いる。
【0004】特開昭59−156670号公報には、砥
粒が球状砥粒と非球状砥粒との混合物であることを特徴
とする研削といしが開示されている。ここで、球状砥粒
は焼結アルミナ質砥粒から成り、非球状砥粒は塊状の溶
融アルミナジルコニア質砥粒または棒状の焼結アルミナ
質砥粒から成る。この先行技術には、一方が球状である
特定的に異なる2種類の形状の砥粒の混合物を研削とい
しに配合することによってコストまたは性能上有利であ
ることが示されている。
【0005】前記重研削用砥粒に関しては、じん性が高
く、耐磨耗性の良好な焼結アルミナジルコニア質砥粒
(特開平7−286166号公報、特開昭64−526
67号公報)や、高純度アルミナ粉末に粘土を添加混合
し、成形、焼結した焼結アルミナ質砥粒の製造方法(特
開平4−20586号公報)や、アルミナジルコニアお
よび稀土類酸化物を含む焼結砥粒(特表平8−5023
04号公報)など多数の先行技術が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、従来の
特殊鋼用研削といしは、研削表面あらさを重視するステ
ンレス鋼鋳片の研削によく用いられている。しかしなが
ら、近年削材であるステンレス鋼鋳片の鋼種の多様化
や、温間研削の導入などによって研削環境が厳しくなる
と、従来の特殊鋼用研削といしでは、といし本体に加わ
る熱および衝撃力を分散することが困難になっている。
その結果、研削といしの磨耗量が増加するとともに、研
削比が低下し、それに伴い研削といしの交換頻度が増加
するという問題が生じている。ここで研削比は、研削と
いしの磨耗量1kgあたりの削材の研削量(kg)を表
す。また、この問題は大型グラインダ設備の導入によっ
て研削といしの研削荷重および研削速度が大幅に増加す
ると、さらに顕著になる。すなわち、研削荷重および研
削速度の増大によって、削材の研削量が増大し、研削と
いしの時間あたりの研削量を表す研削能率(kg/h)
が増大する。しかしながら、研削といしの磨耗量がそれ
以上に増大するので、結果的に研削比は大幅に低下す
る。また研削方法として採用されている定圧研削法は、
研削量を一定に制御することが困難であり、研削歩留り
が変動するという問題がある。
【0007】特開昭59−156670号公報に開示さ
れている先行技術によれば、形状の異なる砥粒の混合物
が研削といしに用いられるので、相対的に高価な棒状焼
結アルミナ質砥粒の使用量を減少することができ、コス
トを削減することができる。しかしながら、この研削と
いしの研削性能は、棒状焼結アルミナ質砥粒のみが用い
られる研削といしの研削性能と同等であるので、同様に
棒状焼結アルミナ質砥粒のみが用いられている前記従来
の特殊鋼用研削といしの研削性能とも同等であると考え
られる。したがって、この先行技術には前記鋼種の多様
化、温間研削の導入および大型グラインダ設備の導入に
対して前記従来の特殊鋼用研削といしと同様の問題があ
る。
【0008】前記重研削砥粒に関する複数の先行技術に
は、複数の特性、たとえば優れたじん性と耐磨耗性とを
有する重研削砥粒が開示されている。これらの重研削砥
粒は、いずれも破砕しにくく研削力の優れた砥粒であ
り、研削性能は極めて優れている。しかしながら、これ
らの重研削砥粒は研削面に凹凸を生じさせやすいので、
研削仕上面あらさが重視されるステンレス鋼鋳片に対し
ては適用しにくいという問題がある。
【0009】本発明の目的は、前記問題を解決し、研削
仕上面あらさを従来よりも悪化させることなく、研削比
など研削性能を向上させることができる特殊鋼用研削と
いしおよび研削方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、砥粒を結合剤
で結合保持する特殊鋼用研削といしにおいて、破砕性の
異なる複数種類の砥粒の混合物を配合成分として有する
ことを特徴とする特殊鋼用研削といしである。
【0011】本発明に従えば、破砕性の異なる複数種類
の砥粒が配合されているので、砕けやすい砥粒は研削中
破砕して切れ味のよい刃先を形成し、砕けにくい砥粒は
研削中磨耗して切れ味の悪い刃先を形成する。これによ
って、砕けやすい砥粒は研削力を高めて重研削を担うこ
とができ、砕けにくい砥粒は研削仕上面の凹凸を均して
研削仕上げ面あらさの平滑化を担うことができる。した
がって研削性能の向上と研削仕上面あらさの平滑化とを
両立させることができる。
【0012】また本発明の前記複数種類の砥粒は、種類
ごとにそれぞれ予め設定される粒度を有することを特徴
とする。
【0013】本発明に従えば、前記複数種類の砥粒の粒
度が種類ごとに予め設定されるので、たとえば研削力の
高い重研削を担う砥粒の粒径を大きく設定し、研削仕上
面あらさの平滑化を担う砥粒の粒径を小さく設定するこ
とができる。これによって、各砥粒の機能を充分に発揮
させることができる。
【0014】また本発明の前記複数種類の砥粒の混合物
は、焼結アルミナ質砥粒と、純度98重量%以上の焼結
高純度アルミナ質砥粒とを含むことを特徴とする。
【0015】本発明に従えば、破砕性の異なる複数種類
の砥粒として、従来から使用されている砕けにくい焼結
アルミナ質砥粒と、高硬度で砕けやすい焼結高純度アル
ミナ質砥粒とが選ばれる。焼結高純度アルミナ質砥粒
は、研削中砕けて鋭利な刃先を形成するので、研削力が
良好であり、焼結アルミナ質砥粒は研削中摩耗して鈍い
刃先を形成するので、従来と同様に研削仕上面あらさを
平滑化する。したがって、本発明は、従来よりも研削仕
上面あらさを悪化させることなく研削性能を向上させる
ことができる。
【0016】また本発明の前記焼結アルミナ質砥粒と焼
結高純度アルミナ質砥粒との体積比は、70:30〜3
0:70の範囲の値に選ばれることを特徴とする。
【0017】本発明に従えば、焼結アルミナ質砥粒と焼
結高純度アルミナ質砥粒との体積比が適正範囲の値に選
ばれるので、従来よりも研削仕上面あらさを悪化させる
ことなく、研削性能を最大限高めることができる。
【0018】また本発明は、破砕性の異なる複数種類の
砥粒の混合物を結合剤で結合保持した特殊鋼用研削とい
しによって特殊鋼鋼材を研削する方法であって、特殊鋼
用研削といしの駆動電動機の電流値が予め定める値にな
るように研削荷重を制御することを特徴とする研削方法
である。
【0019】本発明に従えば、破砕性の異なる複数種類
の砥粒を有する特殊鋼用研削といしによって特殊鋼鋼材
の定電流値研削が行われる。このように電流値が一定に
なるように研削が行われるので、研削仕事量を表す消費
電力も一定となる。したがって研削量および研削能率が
一定となり、研削歩留りの管理が可能となる。また破砕
性の異なる複数種類の砥粒のうち破砕しやすい砥粒は、
研削中砕けて鋭利な刃先を形成するので、その砥粒を有
する特殊鋼用研削といしの切れ味は良好である。このよ
うに、切れ味の良好な特殊鋼用研削といしによって定電
流値研削が行われるので、従来の研削といしよりも研削
荷重を低減することができる。したがって、研削といし
の磨耗量が小さくなり、研削比が向上する。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態で
ある特殊鋼用研削といしの概略構成を示す模式図であ
る。特殊鋼用研削といし1(以後、「研削といし」と略
称することがある)は、特殊鋼鋼材を重研削してその表
面欠陥を研削除去するための研削といしであり、焼結ア
ルミナ質砥粒3と、焼結高純度アルミナ質砥粒4と、結
合剤5とを含んで構成される。削材となる特殊鋼鋼材
は、ステンレス鋼鋼材、耐熱鋼鋼材および高ニッケル合
金鋼鋼材などであり、本実施の形態では連続鋳造によっ
て製造されるステンレス鋼鋳片6を対象材とする。
【0021】焼結アルミナ質砥粒3(以後、「アルミナ
砥粒」と略称することがある)は、原料である微細なボ
ーキサイト粉末を押出等により成形して焼結した焼結砥
粒であり、棒状の形状を有している。アルミナ砥粒3
は、表1に示すように不純物を含んでいるので、ヌープ
硬度が低く、耐磨耗性が低いけれども、焼結されている
ので、結晶粒が微細でじん性が高いという特性を有して
いる。表1中に示すじん性は、JISR6128に規定
されている試験方法にしたがって測定したものであり、
数値が高いほどじん性が高いことを示す。また、JIS
R6004には研削材、研削といしおよび研磨布紙の用
語および記号が規定されており、その中で破砕性は砥粒
破砕時の砕けやすさで、じん性に対応すると定義されて
いる。したがって、じん性の高いアルミナ砥粒3は研削
中に破砕しにくいという特性を有している。
【0022】焼結高純度アルミナ質砥粒4(以後、「高
アルミナ砥粒」と略称することがある)は、原料である
純度の高いコランダムの微細粉末を押出等により成形し
て焼結した焼結砥粒であり、棒状の形状を有している。
高アルミナ砥粒4は、表1に示すように純度98重量%
以上のアルミナから成るので、ヌープ硬度が極めて高
く、耐磨耗性が良好である。しかしながら、高アルミナ
砥粒4はじん性が低いので、研削中に破砕しやすいとい
う特性を有している。結合剤は、砥粒を結合保持するバ
インダであり、研削といし1のマトリックスを形成す
る。本実施の形態では、結合剤としてフェノール樹脂が
用いられている。
【0023】
【表1】
【0024】特殊鋼用研削といし1は、アルミナ砥粒と
高アルミナ砥粒とを所定の体積比で混合し、さらに混合
した砥粒と粉末状フェノール樹脂とを混合して型でホッ
トプレスし、ベークすることによって製造される。研削
といし1の直径は、たとえば760mmであり、ベーク
温度はたとえば200℃である。したがって研削といし
1は、破砕性の異なるアルミナ砥粒3と高アルミナ砥粒
4との混合物(以後、「混合砥粒」と呼ぶ)を配合成分
として有し、混合砥粒をフェノール樹脂で形成されたマ
トリックスで包囲するように構成されている。
【0025】前記アルミナ砥粒3と高アルミナ砥粒4と
の体積比は、70:30〜30:70の範囲の値に選ば
れることが好ましい。この限定理由については、後述す
る。またアルミナ砥粒3および高アルミナ砥粒4は、個
別に予め設定される粒度を有することが好ましい。粒度
は、砥粒の大きさを表す用語であり、通常25.4mm
の長さの間にあるふるい目の数を表す「番」で呼ぶ。し
たがって「番」の大きいほど砥粒の粒径は小さくなる。
砥粒の粒径は、大きくなるほど研削力が強くなるけれど
も、研削仕上面あらさが粗くなる。したがって、アルミ
ナ砥粒3および高アルミナ砥粒4の粒度は、後述のよう
に研削力と研削仕上面あらさとが両立するように設定さ
れる。
【0026】図2は、本実施の形態の研削といしの研削
時における混合砥粒の状況を説明するための模式図であ
る。本実施の形態の研削といし1は、前記混合砥粒を配
合成分として有する。前記混合砥粒中の高アルミナ砥粒
4は、前述のように高硬度で破砕しやすいので、図2
(1),(2)に示すように研削中に破砕して鋭利な切
れ味のよい刃先を形成する。これによって、高アルミナ
砥粒4の研削力は高まるので、高アルミナ砥粒4は重研
削を担うことができる。また前記破砕は、次々と生じる
ので、研削力は良好な水準のまま維持される。さらに高
アルミナ砥粒4の先端は、図2(1)に示すように研削
中破砕して微小な破片となって砕け散るので、研削中に
発生する熱(以降、研削熱と呼ぶ)が粒界を介してフェ
ノール樹脂マトリックスに伝わりにくくなり、フェノー
ル樹脂マトリックス5の温度上昇が防止される。したが
って、フェノール樹脂の分解が回避され、図2(2)に
示すように高アルミナ砥粒4の脱落が防止される。
【0027】前記混合砥粒中のアルミナ砥粒3は、前述
のように低硬度で破砕しにくいので、研削中に磨耗して
切れ味の悪い鈍い刃先を形成する。これによって、アル
ミナ砥粒3の研削力は低下するので、重研削を担うこと
ができない。したがって、アルミナ砥粒3は高アルミナ
砥粒4によって形成された研削面の凹凸を均す平滑化研
削を担う。このように、アルミナ砥粒3は重研削を担わ
なくてもよいので、磨耗量が低減し、発生する研削熱も
低減する。したがって、フェノール樹脂の温度上昇も低
減してアルミナ砥粒3の脱落が防止される。
【0028】図3は、従来の研削といしの研削時におけ
る焼結アルミナ質砥粒の状況を説明するための模式図で
ある。従来の研削といし7は、アルミナ砥粒3を単独の
配合成分として有する。アルミナ砥粒3は、前述のよう
に低硬度で破砕しにくいので、研削中に磨耗して図3
(1)に示すように切れ味の悪い鈍い刃先を形成する。
これによって、研削といし1と研削量を同一にするに
は、研削荷重を高くしなければならないので、発生する
研削熱が増大するとともに研削熱がアルミナ砥粒3を介
してフェノール樹脂マトリックス5に伝わる。したがっ
てフェノール樹脂の分解が生じて図3(2)に示すよう
にアルミナ砥粒3の脱落が部分的に生じる。
【0029】このように、本実施の形態の研削といし1
は、従来の研削といし7に比べて研削力が大きく磨耗量
が少ないので、研削比が大きい。また研削といし1は、
破砕性の異なる混合砥粒を有しているので、各砥粒に異
なる役割を分担させることが可能であり、切れ味の良好
な高アルミナ砥粒4に重研削を担わせ、切れ味の悪いア
ルミナ砥粒3に平滑化研削を担わせることができる。し
たがって、研削といし1は研削性能の向上と研削仕上面
あらさの平滑化とを両立させることができ、従来の研削
といし7と比べて研削仕上面あらさを悪化させることな
く研削比を向上させることができる。
【0030】図4は、図1に示す研削といしを用いてス
テンレス鋼鋳片を研削する方法を説明するためのグラフ
である。図4中の直線10は本実施の形態の研削といし
1の研削荷重と、研削といし1の駆動電動機の電流値
(以後、「電流値」と略称する)との関係を示す直線で
あり、図4中の直線11は従来の研削といし7の研削荷
重と、研削といし7の電流値との関係を示す直線であ
る。直線10および直線11に示すように電流値は、研
削荷重が大きくなるにつれて増加する。
【0031】本実施の形態では、ステンレス鋼鋳片は研
削といし1の電流値が予め定める値C1になるように研
削荷重を制御することによって研削される。この研削方
法は、定電流値研削と呼ばれる。このように電流値が一
定になるように研削が行われるので、電圧を一定とする
と研削仕事量を表す消費電力も一定となり、それに伴い
研削量および研削能率も一定となる。前記電流値は予め
設定することができるので、研削量がステンレス鋼鋳片
の表面欠陥を除去することができる研削量になるように
電流値を設定すれば、表面欠陥が確実に除去され、さら
に研削歩留りの管理が可能となる。
【0032】また、研削といし1は前述のように切れ味
のよい高アルミナ砥粒4を有しているので、研削といし
1の切れ味は従来の研削といし7の切れ味よりも良好で
ある。したがって、図4に示すように電流値を設定電流
値に合致させるのに必要な研削荷重は、研削といし1と
従来の研削といし7とで異なり、切れ味のよい研削とい
し1の研削荷重P1の方が切れ味の悪い従来の研削とい
し7の研削荷重P2よりも小さい。このように、研削と
いし1は従来の研削といし7に比べて研削荷重を低減す
ることができるので、研削といしの磨耗量が小さくな
り、研削比が大きくなる。
【0033】さらに図4に示すように、設定電流値C1
の変動ΔC1に対応する研削荷重P1の変動ΔP1と研
削荷重P2の変動ΔP2とは異なり、ΔP1の方がΔP
2よりも小さい。これによって、本実施の形態の研削と
いし1は、従来の研削といし7に比べて相対的に小さい
研削荷重の変動で電流値を設定電流になるように制御す
ることができる。したがって、研削といし1は従来の研
削といし7よりも電流値の制御性が良好である。さらに
また、前述のように研削といし1は従来の研削といし7
に比べて定電流制御時の研削荷重の変動量が小さいの
で、機械振動を小さくすることができる。したがって研
削といし1は従来の研削といし7よりも研削仕上面あら
さのバラツキが少なく、騒音も小さい。このように、研
削といし1を使用して定電流値制御を行う本実施の形態
の研削方法は、前述のような種々の効果を得ることがで
きるので、ステンレス鋼鋳片の研削方法として極めて優
れた方法である。
【0034】なお本実施の形態では、破砕しやすい砥粒
として高アルミナ砥粒を使用しているけれども、高アル
ミナ砥粒に代わって塊状のジルコニアを含有した溶融ア
ルミナ・ジルコニア質砥粒を使用してもよく、2種類の
砥粒にとどまらず3種類以上の砥粒を組合せて使用して
もよい。また本実施の形態とは全く別の破砕性の異なる
混合砥粒を用いてもよい。
【0035】(実施例)アルミナ砥粒3と高アルミナ砥
粒4とを異なる体積比で混合して複数の混合砥粒を準備
し、前記各混合砥粒をそれぞれ配合成分として有する複
数の研削といし1を準備し、前記各研削といし1を用い
てステンレス鋼鋳片を前記定電流値研削法によって研削
した。電流値は研削能率が380〜400kg/hとな
るように設定した。
【0036】表2は、前記体積比と、研削比および研削
仕上面あらさとの関係を、前記体積比が本発明の範囲を
満たす発明例1〜3と、前記体積比が本発明の範囲から
外れる比較例1〜2とについて対比して示す表である。
なお、比較例1は従来の研削といしを表している。表2
中に示す粒度は、前記体積比の大きい主体となる砥粒の
粒度を示しており、カッコ内の粒度は前記体積比の小さ
い砥粒の粒度を示している。表2中に示す組織は、研削
といし中の砥粒の含有割合を表しており、その数値はJ
ISR6212に基づくものである。表2中に示す研削
仕上面あらさは、研削後の仕上面を目視観察した評価結
果を表しており、○印は研削仕上面あらさの評価が従来
の研削といしの研削仕上面あらさと同等で良好であるこ
とを表す記号であり、×印は研削仕上面あらさの評価が
従来の研削といしの研削仕上面あらさよりも悪いことを
表す記号である。
【0037】表2から、発明例1〜3の研削比は比較例
1〜2に比べて良好であること、発明例1〜3の研削仕
上面あらさは、従来の研削といしの研削仕上面あらさと
同等で良好であること、比較例1の研削比は発明例1〜
3の研削比に比べて劣ること、比較例2の研削比および
研削仕上面あらさは発明例1〜3のそれらに比べて劣る
ことなどが判る。前述のように、本実施の形態において
前記体積比が70:30〜30:70の範囲の値に選ば
れるのはこの理由によるものである。また、アルミナ砥
粒3および高アルミナ砥粒4の粒度は、前記体積比に応
じて各砥粒の機能が充分に発揮できるように個別にきめ
細かく設定されるので、研削比の向上と研削仕上面あら
さの平滑化とをともに向上させることができる。このよ
うに破砕性の異なるアルミナ砥粒3と高アルミナ砥粒4
とを前記適正な体積比で混合して研削といし1に配合す
ることによって、従来の研削といしに比べて研削仕上面
を悪化させることなく、研削比を向上させることができ
る。
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、破砕性の
異なる複数の種類の砥粒が配合されているので、鋭利な
切刃を形成する砕けやすい砥粒によって研削力を高めて
重研削を担うことができ、砕けにくい砥粒によって研削
仕上面あらさの平滑化を担うことができる。したがっ
て、研削性能の向上と研削仕上面あらさの平滑化とを両
立させることができる。
【0040】また本発明によれば、複数種類の砥粒の粒
度が種類ごとに予め設定されるので、各砥粒の機能を充
分に発揮させることができる。
【0041】また本発明によれば、破砕性の異なる複数
種類の砥粒として、従来から使用されている砕けにくい
焼結アルミナ質砥粒と、高硬度で砕けやすい焼結高純度
アルミナ質砥粒とが選ばれるので、従来に比べて研削仕
上面あらさを悪化させることなく研削性能を向上させる
ことができる。
【0042】また本発明によれば、焼結アルミナ質砥粒
と焼結高純度アルミナ質砥粒との体積比が適正範囲の値
に選ばれているので、従来に比べて研削仕上面あらさを
悪化させることなく、研削性能を最大限高めることがで
きる。
【0043】また本発明によれば、電流値が一定になる
ように研削が行われるので、研削量および研削能率が一
定となり、研削歩留りの管理が可能となる。また切れ味
の良好な特殊鋼用研削といしによって、定電流値研削が
行われるので、従来のといしに比べて研削荷重を低減す
ることができる。したがって、といし磨耗量が小さくな
り研削比が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である特殊鋼用研削とい
しの概略構成を示す模式図である。
【図2】本実施の形態の研削といしの研削時における混
合砥粒の状況を説明するための模式図である。
【図3】従来の研削といしの研削時における焼結アルミ
ナ質砥粒の状況を説明するための模式図である。
【図4】図1に示す研削といしを用いてステンレス鋼鋳
片を研削する方法を説明するためのグラフである。
【符号の説明】
1 特殊鋼用研削といし 3 焼結アルミナ質砥粒 4 焼結高純度アルミナ質砥粒 5 結合剤 6 ステンレス鋼鋳片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09K 3/14 550 C04B 35/10 E

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 砥粒を結合剤で結合保持する特殊鋼用研
    削といしにおいて、 破砕性の異なる複数種類の砥粒の混合物を配合成分とし
    て有することを特徴とする特殊鋼用研削といし。
  2. 【請求項2】 前記複数種類の砥粒は、種類ごとにそれ
    ぞれ予め設定される粒度を有することを特徴とする請求
    項1記載の特殊鋼用研削といし。
  3. 【請求項3】 前記複数種類の砥粒の混合物は、焼結ア
    ルミナ質砥粒と、純度98重量%以上の焼結高純度アル
    ミナ質砥粒とを含むことを特徴とする請求項1または2
    記載の特殊鋼用研削といし。
  4. 【請求項4】 前記焼結アルミナ質砥粒と焼結高純度ア
    ルミナ質砥粒との体積比は、70:30〜30:70の
    範囲の値に選ばれることを特徴とする請求項3記載の特
    殊鋼用研削といし。
  5. 【請求項5】 破砕性の異なる複数種類の砥粒の混合物
    を結合剤で結合保持した特殊鋼用研削といしによって特
    殊鋼鋼材を研削する方法であって、 特殊鋼用研削といしの駆動電動機の電流値が予め定める
    値になるように研削荷重を制御することを特徴とする研
    削方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2003043784A1 (en) * 2001-11-19 2003-05-30 General Electric Company Mixture of abrasive particles with different toughness
CN105492167A (zh) * 2013-06-28 2016-04-13 圣戈本陶瓷及塑料股份有限公司 包括成形磨粒的研磨制品

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WO2003043784A1 (en) * 2001-11-19 2003-05-30 General Electric Company Mixture of abrasive particles with different toughness
CN105492167A (zh) * 2013-06-28 2016-04-13 圣戈本陶瓷及塑料股份有限公司 包括成形磨粒的研磨制品

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