JPH11129163A - ねじ締付方法,ねじ締付装置,アタッチメントおよび記録媒体 - Google Patents

ねじ締付方法,ねじ締付装置,アタッチメントおよび記録媒体

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JPH11129163A
JPH11129163A JP9297507A JP29750797A JPH11129163A JP H11129163 A JPH11129163 A JP H11129163A JP 9297507 A JP9297507 A JP 9297507A JP 29750797 A JP29750797 A JP 29750797A JP H11129163 A JPH11129163 A JP H11129163A
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tightening
screw
screw member
tightened
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Takayoshi Murakami
敬宜 村上
Kazuya Mori
森  和也
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Central Motor Wheel Co Ltd
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Central Motor Wheel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボルトの締付力を精度よく管理し得る締付方
法および装置を得る。 【解決手段】 ソケット44を回転させるモータ22を
昇降部材18に保持させ、リニアガイドの案内下に油圧
シリンダ20で下降させる。ソケット44をボルト80
の頭部に相対回転不能に係合させ、油圧シリンダ20の
作動力に基づく圧縮力を加えつつモータ22によりソケ
ット44を回転させ、検出器24により回転抵抗トルク
と圧縮力とを検出する。ボルト80の頭部が第2部材7
8に接触しない初期段階の回転抵抗トルクから、ねじ面
間の摩擦係数を評価し、頭部が第2部材78に接触した
直後でねじ面同士が離れている中間段階の回転抵抗トル
クから、頭部と第2部材78との座面間の摩擦係数を評
価する。それらねじ面間と座面間との摩擦係数を考慮し
て、ボルト80に目標締付力を発生させる目標締付トル
クを決定し、実際の回転抵抗トルクが目標締付トルクに
達したとき締付けを終了する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、雄ねじ部材と雌ね
じ部材とを螺合させた状態で、それら両ねじ部材の一方
である非回転ねじ部材の回転を防止し、それら両ねじ部
材の他方である回転ねじ部材を回転させることにより、
両ねじ部材を被締付物を間に挟んで締め付ける方法およ
び装置に関するものであり、特に、締付力の管理精度の
向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】雄ねじ部材と雌ねじ部材とにより被締付
物が締め付けられる場合、被締付物が複数の場合と単数
の場合とがある。例えば、雌ねじ穴が形成された部材
(これが雌ねじ部材である)に、被締付物の貫通穴を貫
通させたボルト(これが雄ねじ部材である)が締め込ま
れることにより、被締付物が雌ねじ部材に締め付けられ
る場合には、被締付物は単数になることが多いが、頭付
きのボルトとナットとをそれぞれ雄ねじ部材,雌ねじ部
材として締付けが行われる場合には、被締付物は複数個
となる。なお、植込みボルトが取り付けられた部材に、
ナットにより被締付部材が締め付けられる場合には、植
込みボルトが取り付けられた部材を雄ねじ部材と考える
こととする。この場合には、被締付物が単数になること
が多い。締付けに当たっては、雄ねじ部材が回転させら
れる場合と、雌ねじ部材が回転させられる場合とがあ
り、反対側のねじ部材は回転しないようにされることが
必要である。本明細書においては、回転させられる側の
ねじ部材を回転ねじ部材、回転しないようにされる側の
ねじ部材を非回転ねじ部材と称することとする。
【0003】ねじ部材の締付け時には、本来は雄ねじ部
材の軸力である締付力が管理されるべきであるが、締付
力を検出することが困難であるため、通常はJIS B
1083の「ねじの締付け通則」に規定されている
「トルク法」,「回転角法」,「トルク勾配法」等によ
って管理されている。これらのうち、「トルク勾配法」
による場合には、締付力の管理精度が、雌雄両ねじ部材
のねじ面間の摩擦係数(ねじ面間摩擦係数と称する)や
回転ねじ部材の座面と被締付物の座面との間の摩擦係数
(座面間摩擦係数と称する)の影響を受けることはない
が、「トルク法」と「回転角法」とによる場合にはそれ
ら摩擦係数の影響を受ける。従来は、ねじ面間摩擦係数
および座面間摩擦係数を予め測定しておき、それらを使
用して締付力の管理が行われていたが、両摩擦係数はね
じ面や座面の状況により左右される。ねじ面や座面の表
面粗さおよび硬度や潤滑状況等の影響を受けるのであ
り、通常、これらは一定ではないため、締付力のばらつ
きが大きくなり、締付力管理の信頼性が十分とは言えな
かった。
【0004】なお、ねじの締付時には、回転ねじ部材の
座面と被締付物の座面との間にはスプリングワッシャと
平ワッシャとの少なくとも一方が配設されるのが普通で
あり、回転ねじ部材の回転時には回転ねじ部材とワッシ
ャとの間ですべりが生じるのが普通である。したがっ
て、以下においては、ワッシャを被締付物の一部と見な
し、ワッシャの座面を被締付物の座面と見なすことと
し、ワッシャの存在は無視して説明する。さらに付言す
れば、スプリングワッシャが回転ねじ部材と一体的に回
転することもあり得、その場合にはスプリングワッシャ
の被締付物の座面と接触する座面を回転ねじ部材と見な
すべきであることになるが、実用上は、その場合でも回
転ねじ部材とワッシャとの間ですべっていると考えてい
ても問題はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段,作用お
よび効果】本発明は、以上の事情を背景として、締付力
管理の信頼性を向上させることを課題としてなされたも
のである。そして、本発明によって、下記各態様のねじ
締付方法,ねじ締付装置,締付力管理用アタッチメン
ト,締付力管理用記録媒体,摩擦係数関連量取得方法,
摩擦係数関連量取得装置等が得られる。各態様は請求項
と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じ
て他の項の番号を引用する形式で記載する。各項に記載
の特徴の組合わせの可能性を明示するためである。 (1)雄ねじ部材と雌ねじ部材とを螺合させた状態で、
それら両ねじ部材の一方である非回転ねじ部材の回転を
防止し、それら両ねじ部材の他方である回転ねじ部材を
回転させることにより、両ねじ部材を被締付物を間に挟
んで締め付ける方法であって、前記回転ねじ部材の座面
が前記被締付物の座面に接触しない初期段階において、
回転ねじ部材に軸方向力を加えつつその回転ねじ部材を
回転させて回転抵抗トルクを検出し、その検出した初期
段階トルクに基づいて締付終了条件を決定し、その締付
終了条件が満たされたときに締付けを終了するねじ締付
方法(請求項1)。ここにおいて、「回転ねじ部材の座
面」および「被締付物の座面」は、回転ねじ部材と被締
付物とが直接接触する場合は文字通りそれらの座面であ
るが、両者の間にスプリングワッシャと平ワッシャとの
少なくとも一方が配設される場合には、特に断らない限
り、回転ねじ部材の回転時にすべりが生じる2つの座面
(前述のように回転ねじ部材の座面とそれに接触するワ
ッシャの座面であるのが普通である)がそれぞれ「回転
ねじ部材の座面」および「被締付物の座面」であると見
なすこととする。ただし、ワッシャ(スプリングワッシ
ャは特に)はねじの緩みを防止することを主目的として
配設されるものであるのに対し、本発明の方法によりね
じの締付けが行われる場合には締付力が適正に管理され
るため、ねじの緩みが発生しにくくなり、ワッシャの必
要性が低下する。場合によってはワッシャを省略するこ
とも可能になる。上記のようにして検出される初期段階
トルクは、両ねじ部材のねじ面間摩擦係数の影響を受け
る。両ねじ部材の呼び径(または有効径)およびリード
角(またはピッチ)が同じで、回転ねじ部材に加えられ
る軸方向力が同じであれば、ねじ面間の摩擦係数が大き
いほど初期段階トルクが大きくなるのである。そして、
ねじ面間摩擦係数が大きいほど、同じ締付力を得るため
に必要な締付トルクが大きくなるため、トルク法で締付
力を管理する場合には、初期段階トルクが大きいほど、
目標締付トルク(締付を終了させるべき締付トルク)を
大きく設定すれば、ねじ面間摩擦係数の影響を軽減する
ことができる。また、回転角法で締付力を管理する場合
には、回転角の計測起点となるスナグ点等の始点トルク
を、初期段階トルクが大きいほど高く設定することによ
って、ねじ面間摩擦係数の影響を軽減することができ
る。なお、実験によれば、回転ねじ部材に加えられる軸
方向力が大きいほど、ねじ面間摩擦係数の評価精度が向
上する。特に、回転ねじ部材と被締付物との座面間にス
プリングワッシャが配設される場合には、軸方向力がス
プリングワッシャを密着状態にするに足る大きさである
ことが望ましい。締付終了条件を決定するに当たって
は、初期段階トルク自体をねじ面間摩擦係数に関連する
摩擦係数関連量の一種として使用して締付終了条件を決
定しても、初期段階トルクからねじ面間摩擦係数を推定
し、その推定摩擦係数を使用して締付終了条件を決定し
てもよい。ねじ面間摩擦係数を評価すると言っても、必
ずしもねじ面間摩擦係数自体を推定する必要はないので
ある。 (2)前記軸方向力が、前記回転ねじ部材の座面を被締
付物の座面に接近させる向きの力である (1)項に記載の
ねじ締付方法。回転ねじ部材に、その回転ねじ部材の座
面を前記被締付物の座面から離間させる向きの軸方向力
(引張力と称する)を加えつつ回転ねじ部材の回転抵抗
トルクを検出しても、ねじ面間の摩擦係数を評価するこ
とはできるが、本態様におけるように、回転ねじ部材の
座面を被締付物の座面に接近させる向きの軸方向力(圧
縮力と称する)を加えつつ回転ねじ部材の回転抵抗トル
クを検出することが望ましい場合が多い。例えば、回転
ねじ部材に圧縮力を加えるためには、ねじ締付装置のね
じ係合部(レンチ部材と称する)を回転ねじ部材に当接
させればよいため、レンチ部材として従来から使用され
ていたソケット,六角棒等をそのまま使用することがで
きるのに対し、引張力を加えるためには、後に実施形態
の項で説明するように、特殊な構造のレンチ部材を使用
することが必要になる。また、レンチ部材の構造によっ
ては、回転ねじ部材の形状を通常の形状とは異なる形状
にすることが必要なる。さらに、圧縮力を加える場合に
は、次に説明するように、回転ねじ部材と被締付物との
座面間摩擦係数も評価することができるが、引張力を加
える場合にはこれを評価することができない。 (3)前記回転ねじ部材の座面が前記被締付物の座面に
接触し、かつ、両ねじ部材のねじ面が実質的に接触して
いない中間段階においても前記回転抵抗トルクを検出
し、その検出した中間段階トルクにも基づいて前記締付
終了条件を決定する(2)項に記載のねじ締付方法。本態
様におけるように、ねじ面間摩擦係数に加えて座面間摩
擦係数も評価し、締付終了条件の決定に加味すれば、締
付力の管理精度を一層高めることができる。なお、初期
段階において回転ねじ部材に加えられる軸方向力と、中
間段階において加えられる軸方向力との大きさおよび向
きは同じとすることが、軸方向力付与装置の構成を簡単
にする上で望ましいが、不可欠ではない。軸方向力の大
きさと向きとの少なくとも一方を初期段階と中間段階と
で変えてもよいのである。初期段階では軸方向力を引張
力として、その反力の非回転ねじ部材への伝達を容易に
し、中間段階では後述の長さ変化装置による圧縮力とす
ることにより、反力をねじ締付装置自体に受けさせる態
様がその一例である。回転ねじ部材に軸方向力を加える
ために、後述の種々の軸方向力付与装置を使用すること
ができるが、手に持って使用するねじ締付装置によりね
じの締付けを行う場合に、そのねじ締付装置の重量によ
って軸方向力を加えたり、作業者がねじ締付装置に軸方
向の力を加えることによって回転ねじ部材に軸方向力を
加えたりすることも可能である。同時点の軸方向力と回
転抵抗トルクとを用いれば、支障なくねじ面や座面間の
摩擦係数を評価することができ、必ずしも軸方向力を一
定に保つ必要はないのである。さらに、1回のねじ締付
中に軸方向力を意識的に変化させてもよい。例えば、軸
方向力を変化させつつ各大きさの軸方向力に対する回転
抵抗トルクを検出し、複数組の軸方向力と回転抵抗トル
クとの組合わせの各々についてねじ面や座面間の摩擦係
数を評価し、それらの平均値を締付終了条件の決定に使
用することができる。また、軸方向力の変化に応じて摩
擦係数が変化する場合があり、この場合には、複数の軸
方向力に対する摩擦係数関連量を取得し、それらに基づ
いて外挿法(補外法)あるいは内挿法(補間法)によ
り、所望の軸方向力に対する摩擦係数関連量を取得する
こともできる。さらに、摩擦係数の評価後は軸方向力を
解除あるいは軽減するなど、作業性等に対する考慮から
軸方向力を変えることも可能である。上記のように、軸
方向力によって摩擦係数が変わる場合には、初期段階や
中間段階に加えられる軸方向力が目標締付力に近いほど
締付力の管理精度が向上することになるが、軸方向力の
増大は装置の大形化や作業性低下につながることが多い
ため、両者を勘案して軸方向力を決めることが望まし
い。さらに付言すれば、回転ねじ部材の回転速度も必ず
しも一定に保つ必要はない。例えば、初期段階や中間段
階では(回転抵抗トルクを検出し得る時間が短い中間段
階で特に)、回転速度を小さくして摩擦係数の評価を容
易にしたり、逆に、最終段階で減速機の減速比を大きく
して回転速度を小さくする代わりに大きな締付トルクが
得られるようにしたりすることができる。 (4)前記締付終了条件が、実際の回転抵抗トルクが、
少なくとも前記初期段階トルクに基づいて決まる目標締
付トルクに等しくなることである (1)ないし (3)項のい
ずれか1つに記載のねじ締付方法。本態様は前記「トル
ク法」による締付力の管理に相当する。 (5)前記締付終了条件が、前記初期段階トルクに基づ
いて決まる始点トルクに実際の回転抵抗トルクが達した
時点からの前記回転ねじ部材の回転角が、前記雄ねじ部
材および前記被締付物の弾性係数と目標締付力とに基づ
いて決まる目標回転角に等しくなることである (1)ない
し (3)項のいずれか1つに記載のねじ締付方法。本態様
は前記「回転角法」による締付力の管理に相当する。た
だし、上記始点トルクとしては、従来の「回転角法」に
おけるスナグ点に限定されず、回転ねじ部材と被締付物
との座面同士と両ねじ部材のねじ面同士とが共に接触
し、締付力が増大する最終段階と、前記中間段階との境
界点である中間段階終了時点における回転抵抗トルク
や、上記スナグ点よりやや高く設定した回転抵抗トルク
を始点トルクとすることも可能である。本態様のねじ締
付方法による締付力の管理精度は始点トルクの設定精度
によって大きく左右される。始点トルクは回転角と回転
抵抗トルクとが比例関係にあることが確実である範囲の
下限値に設定されることが望ましいのであるが、比例域
の下限を正確に検出することは比較的困難である。そこ
で、まず、比例域にあることが保証される締付力の下限
値(例えばねじ面同士および座面同士の接触状態が安定
状態に到達することが確実な締付力)を決定し、その締
付力の下限値と、ねじ面間摩擦係数関連量としての初期
段階トルクと座面間摩擦係数関連量としての中間段階ト
ルクとのうち少なくとも前者とに基づいて始点トルクを
設定することにより、「回転角法」による締付力管理の
精度を向上させようとするのが本態様のねじ締付方法な
のである。 (6)前記回転ねじ部材に相対回転不能に係合するレン
チ部材を回転可能に保持しているケーシングを、前記被
締付物に、レンチ部材から回転ねじ部材への軸方向力の
反力を伝達可能な状態で係合させて締付けを行う (1)な
いし (5)項のいずれか1つに記載のねじ締付方法。回転
ねじ部材に加えられる軸方向力が引張力である場合に
は、ケーシングあるいはそれと一体的な部材を被締付物
の表面に当接させるのみで、引張力の反力を被締付物を
介して非回転ねじ部材に受けさせることができる。それ
に対し、回転ねじ部材に加えられる軸方向力が圧縮力で
ある場合には、ケーシングあるいはそれと一体的な部材
を被締付物に、ケーシングが被締付物から離間しないよ
うに係合させることが必要である。しかも、被締付物が
ケーシングと共にケーシングの側へ移動(これを被締付
物の浮上がりと称する)してはならない。被締付物が浮
き上がってしまえば、回転ねじ部材に十分な圧縮力を加
えることができないからである。被締付物の重量が回転
ねじ部材に加えるべき圧縮荷重より大きい場合には、被
締付物の上方にケーシングを配置し、そのケーシングを
被締付物に、その被締付物に対して相対的に上方へ移動
不能に係合させれば、回転ねじ部材に十分な圧縮力を加
えても被締付物が浮き上がることはない。しかし、被締
付物が重量の小さいものである場合には、例えば、被締
付物を次項におけるように仮に締め付けたり、専用の治
具や別の重量物で押さえて浮き上がらないようにするこ
とが必要になる。以上は、被締付物を下向きに締め付け
る場合を想定して説明したが、上記のように被締付物を
仮に締め付けたり、専用の治具で押さえたりすれば、被
締付物を横方向に締め付けることもできる。なお、上記
レンチ部材なる用語は、回転ねじ部材に直接係合するソ
ケットや六角棒等狭義のレンチ部材のみならず、インパ
クトレンチ等ねじ締付装置の角ドライブ等を備えた出力
軸をも包含する広義の用語として使用する。レンチ部材
をねじ締付装置の出力部材と言い換えることも可能であ
り、その場合、出力部材が先端に六角穴を備えたソケッ
ト部や六角棒部を備えた出力軸であり、直接回転ねじ部
材の六角頭部や六角穴に係合する場合は、その出力軸は
狭義でのレンチ部材と言い得る。それに対し、出力部材
が先端に角ドライブ部等ソケット等の取付部を有するの
みの出力軸である場合には、ソケット等を介して間接的
に回転ねじ部材に係合し得るのみであって、狭義でのレ
ンチ部材とは言い難い。しかし、回転ねじ部材への間接
的な係合も係合であると考えれば、出力軸自体を広義の
レンチ部材と考えることができ、また、出力軸にソケッ
ト等が取り付けられたものを1つの部材と考えれば、そ
れら出力軸とソケット等とが組み合わされた部材は狭義
のレンチ部材と言い得る。 (7)前記被締付物が、前記両ねじ部材の複数対によっ
て締め付けられるものであり、それら複数対のねじ部材
のうちの少なくとも1対により仮に被締付物を締め付
け、その被締付物に、前記回転ねじ部材に相対回転不能
に係合するレンチ部材を回転可能に保持しているケーシ
ングを、レンチ部材から回転ねじ部材への軸方向力の反
力を伝達可能な状態で係合させて、前記複数対のねじ部
材のうちの少なくとも1対を (2)ないし (5)項のいずれ
か1つの方法で締め付けた後、前記仮に締め付けておい
た両ねじ部材の締付けを一旦緩め、 (2)ないし (5)項の
いずれか1つの方法で締め付け直すねじ締付方法。この
方法によれば、専用の治具を使用することなく、軽量の
被締付物を下向きは勿論、横方向にも上向きにも締め付
けることができる。一般に、被締付物は複数対のねじ部
材で締め付けられるため、本態様の締付方法は殆どの場
合に採用することができる。なお、1個の部材に複数の
雌ねじ穴が形成されている場合には、その1個の部材は
複数個の雌ねじ部材が一体的に構成されたものと考える
こととする。 (8)雄ねじ部材と雌ねじ部材とを螺合させた状態で、
それら両ねじ部材の一方である非回転ねじ部材の回転を
防止し、それら両ねじ部材の他方である回転ねじ部材を
回転させることにより、両ねじ部材を被締付物を間に挟
んで締め付ける装置であって、前記回転ねじ部材を回転
させる回転駆動装置と、その回転駆動装置による前記回
転ねじ部材の回転中であって、かつ、その回転ねじ部材
の座面が前記被締付物の座面に接触しない初期段階の少
なくとも一時点に、その回転ねじ部材に軸方向力を付与
する軸方向力付与装置と、その軸方向力付与装置により
軸方向力が付与されている状態における前記回転ねじ部
材の回転抵抗トルクを検出するトルク検出装置と、その
トルク検出装置により検出された初期段階トルクに基づ
いて締付終了条件を決定する締付終了条件決定手段と、
その締付終了条件決定手段によって決定された締付終了
条件が満たされた場合に、前記回転駆動装置の停止指令
を発する停止指令手段とを含むことを特徴とするねじ締
付装置(請求項2)。本態様の装置によれば、前記 (1)
項に記載のねじ締付方法を実施することができる。軸方
向力付与装置は、初期段階を通じて軸方向力を加え続け
るものでも、離散的に1回以上加えるものでもよい。ト
ルク検出装置は1回のみ回転抵抗トルクを検出するもの
とすることも可能であるが、複数回検出するものとすれ
ば、信頼性の高い回転抵抗トルクを取得することができ
る。また、停止指令手段により発せられた停止指令に基
づいて、回転駆動装置を自動で停止させる自動停止手段
を設ければ、締付力が目標締付力に達したとき締付けが
自動的に終了させられるようにすることができて理想的
であるが、不可欠ではなく、例えば、停止指令に基づい
て鳴動するブザー等の報知器を設け、報知器の報知に応
じて作業者が回転駆動装置を停止させるようにすること
も可能である。 (9)前記軸方向力付与装置が、前記回転ねじ部材の座
面を前記被締付物の座面に接近させる向きの軸方向力を
付与するものである (8)項に記載のねじ締付装置(請求
項3)。 (10)前記軸方向力付与装置が、前記回転ねじ部材の
座面が前記被締付物の座面に接触し、かつ、両ねじ部材
のねじ面が実質的に接触していない中間段階の少なくと
も一時点においても軸方向力を付与するものであり、前
記トルク検出装置が、その少なくとも一時点における回
転抵抗トルクである中間段階トルクを検出するものであ
り、前記締付終了条件決定手段が、その中間段階トルク
にも基づいて前記締付終了条件を決定するものである
(9)項に記載のねじ締付装置(請求項4)。 (11)前記締付終了条件が、実際の回転抵抗トルク
が、前記初期段階トルクに基づいて決まる目標締付トル
クに等しくなることである (8)ないし(10)項のいずれか
1つに記載のねじ締付装置。 (12)前記締付終了条件が、前記初期段階トルクに基
づいて決まる始点トルクに実際の回転抵抗トルクが達し
た時点からの前記回転ねじ部材の回転角が、前記雄ねじ
部材および前記被締付物の弾性係数と目標締付力とに基
づいて決まる目標回転角に等しくなることである (8)な
いし(10)項のいずれか1つに記載のねじ締付装置。 (13)前記中間段階の少なくとも一時点を検出する中
間段階検出手段を含む(10)ないし(12)項のいずれか1つ
に記載のねじ締付装置。 (14)前記中間段階検出手段が、前記トルク検出装置
により検出された前記回転抵抗トルクに基づいて前記中
間段階の少なくとも一時点を検出するものである(13)項
に記載のねじ締付装置。初期段階と中間段階とでは回転
抵抗トルクが異なるのが普通であるため、回転抵抗トル
クに基づいて中間段階を検出することができる。例え
ば、両段階の境界では回転抵抗トルクが急変するため、
次項におけるように、その急変に基づいて中間段階の開
始時点を検出することができる。ただし、回転抵抗トル
クに基づくことは不可欠ではなく、例えば、後に実施形
態の項で説明するように、回転ねじ部材の座面が被締付
物の座面に当接した瞬間、レンチ部材に対する反力が変
動する(回転速度が大きい場合や、スプリングワッシャ
が使用されない場合特に)ため、この変動に基づいて中
間段階の開始時点を検出することができる。 (15)前記中間段階検出手段が、前記初期段階から前
記中間段階への移行時における前記回転抵抗トルクの急
変を検出することにより中間段階の開始時点を検出する
中間段階開始時点検出手段を含む(14)項に記載のねじ締
付装置。 (16)前記中間段階検出手段が、前記トルク検出装置
により時々刻々検出される前記回転抵抗トルクを記憶す
るトルク記憶手段と、前記回転抵抗トルクが設定トルク
に達した後、前記トルク記憶手段に記憶された回転抵抗
トルクの群に基づいて前記中間段階の終了時点を決定す
る中間段階終了時点決定手段とを含む(14)項または(15)
項のいずれか1つに記載のねじ締付装置。中間段階から
最終段階への移行時には、回転抵抗トルクの変化が、初
期段階から中間段階への移行時に比較して緩やかである
ため、中間段階から前記最終段階への移行時を回転抵抗
トルクに基づいてリアルタイムで検出することは不可能
ではないが、精度よく検出することは難しい。それに対
し、時々刻々の回転抵抗トルクをトルク記憶手段に記憶
させておき、後にそれら回転抵抗トルクの群に基づい
て、中間段階から最終段階への移行時点、すなわち中間
段階終了時点を特定することは容易である。ただし、締
付力が目標締付力に達する前に、それに対応する目標締
付トルク(「トルク法」の場合)あるいは目標回転角
(「回転角法」の場合)が決定されていることが必要で
あるため、中間段階終了時点はできる限り早期に決定さ
れることが望ましい。したがって、上記設定トルクは、
中間段階から最終段階への移行を特定し得る範囲で、で
きる限り小さな値に設定されることが望ましい。中間段
階終了時点決定手段は、例えば、回転角に対する回転抵
抗トルクの変化勾配を時間の経過方向とは逆向きに調べ
た場合に、変化勾配が始めて設定勾配(例えば0)以下
となる時点を中間段階終了時点に決定するものとした
り、回転抵抗トルクが極小値となる時点を中間段階終了
時点に決定するものしたり、中間段階終了時点から時間
的にそれぞれ正負両方向に隔たり、それぞれ中間段階と
最終段階とに属することが明らかな複数個ずつの回転抵
抗トルクにより規定される2本の直線が交差する時点を
中間段階終了時点に決定するものとしたりすることがで
きる。 (17)前記締付終了条件決定手段が、前記トルク検出
装置により検出された回転抵抗トルクと前記軸方向力付
与装置により付与される軸方向力とに基づいて、前記両
ねじ部材のねじ面間摩擦係数と、前記回転ねじ部材と前
記被締付物との座面間摩擦係数との少なくとも一方を推
定する摩擦係数推定手段を含み、その推定した摩擦係数
に基づいて前記締付終了条件を決定するものである (8)
ないし(16)項のいずれか1つに記載のねじ締付装置。 (18)前記軸方向力付与装置により付与される軸方向
力を検出する軸方向力検出装置を含み、かつ、前記摩擦
係数推定手段が、その検出された軸方向力と、前記トル
ク検出装置により検出された回転抵抗トルクとに基づい
て前記摩擦係数の少なくとも一方を推定するものである
(17)項に記載のねじ締付装置。軸方向力付与装置により
付与される軸方向力が予め定められた一定値であれば、
軸方向力検出装置は省略できるが、軸方向力検出装置を
設ければ、同時点に検出された軸方向力と回転抵抗トル
クとに基づいて摩擦係数を推定することができるため、
軸方向力を一定に保つ必要がなくなり、締付作業の自由
度が増す効果が得られる。なお、軸方向力付与装置によ
り付与される軸方向力が予め定められた一定値である場
合でも、軸方向力検出装置を設ければ摩擦係数の推定精
度が向上する効果が得られる。 (19)前記回転駆動装置が、前記回転ねじ部材に相対
回転不能に係合するレンチ部材と、そのレンチ部材を回
転させる回転駆動源とを含む (8)ないし(18)項のいずれ
か1つに記載のねじ締付装置。 (20)前記軸方向力付与装置が、少なくともねじの締
付時には、前記両ねじ部材の軸方向において前記非回転
ねじ部材と相対移動不能となる反力受部材と、その反力
受部材と前記レンチ部材との間に配設され、それら反力
受部材とレンチ部材とを前記両ねじ部材の軸方向に相対
移動させる軸方向駆動装置とを含む(19)項に記載のねじ
締付装置。反力受部材の代表的なものは次項に記載の反
力伝達部材であるが、例えば、ねじ部材が締め付けられ
るべき対象物が床上に設置された支持台に支持される一
方、反力受部材が支持台とは別体の支持フレームや天井
に固定され、あるいは後に実施形態の項で説明するよう
に油圧シリンダ等の昇降装置を介して支持されている場
合には、反力受部材は必ずしも次項に記載の態様で非回
転ねじ部材と被締付物とのいずれか一方に係合させる必
要はない。 (21)前記反力受部材が、前記非回転ねじ部材と前記
被締付物とのいずれか一方に、前記レンチ部材により前
記回転ねじ部材に加えられる前記軸方向力の反力を伝達
可能に係合する反力伝達部材を含む(20)項に記載のねじ
部材締付装置。 (22)前記反力伝達部材が、前記非回転ねじ部材と前
記被締付物とのいずれか一方に機械的に係合する機械的
係合部を備える(21)項に記載のねじ締付装置。機械的係
合部としては、後に実施形態の項で説明するコレットチ
ャックや、キャリパの非回転ねじ部材への当接部等が採
用可能である。 (23)前記反力伝達部材が、前記非回転ねじ部材と前
記被締付物とのいずれか一方に負圧により吸着する負圧
吸着部を備える(21)項に記載のねじ締付装置。本態様と
次項に記載の態様とによれば、非締付物や非回転ねじ部
材の平坦な表面にでも反力伝達部材を離間不能に係合さ
せることができる。 (24)前記反力受部材が、前記非回転ねじ部材と前記
被締付物とのいずれか一方に磁気力により吸着する磁気
吸着部を備える(21)項に記載のねじ締付装置。磁気吸着
部を永久磁石を備えたものとすることも可能であるが、
電磁石を備えるものとすれば、非回転ねじ部材や被締付
物に対する吸着,離間の作業を容易に行うことができ
る。 (25)前記軸方向力付与装置が、前記レンチ部材と一
体的に移動する部材全部の重量とほぼ等しい力でそれら
部材全部を吊り上げる荷重バランサと、その荷重バラン
サの作用を解除するバランサ解除装置とを含む(19)項に
記載のねじ締付装置。常には、レンチ部材と一体的に移
動する部材全部の重量と荷重バランサの作用力とが釣り
合っており、作業者はレンチ部材を容易に移動させて回
転ねじ部材に係合させることができる。その係合後、バ
ランサ解除装置に荷重バランサの作用を解除させれば、
レンチ部材と一体的に移動する部材全部の重量が回転ね
じ部材に圧縮力として加えられる。レンチ部材と一体的
に移動する部材全部の重量を大きくすれば、回転ねじ部
材に大きな圧縮力を加えることができ、しかもその重量
は常には荷重バランサによって受けられるため、作業性
が損なわれることを回避できる。 (26)前記軸方向力付与装置が、当該ねじ締付装置の
少なくとも一部と前記レンチ部材との間に設けられ、長
さが変化可能である長さ変化装置と、その長さ変化装置
の長さを前記初期段階と前記中間段階との少なくとも一
方において少なくとも1回変化させる長さ変化装置制御
装置とを含む(19)項に記載のねじ締付装置。長さ変化装
置の長さが変化させられれば、レンチ部材とねじ締付装
置の少なくとも一部(慣性質量部と称する)とが互いに
離間させられるが、レンチ部材は回転ねじ部材に係合さ
せられているため移動不能であり、慣性質量部が移動さ
せられる。その結果、この移動の加速度と慣性質量部の
質量との積である慣性力が、軸方向力としてレンチ部材
を介して回転ねじ部材に加えられる。長さ変化装置の長
さが増大させられれば圧縮力が、減少させられれば引張
力が回転ねじ部に加えられるのである。上記慣性力は、
ねじ締付装置のレンチ部材と一体的に移動する部材全部
の重量よりも大きくすることが容易であるため、ねじ締
付装置を比較的軽いものとしつつ、大きな軸方向力を回
転ねじ部材に加えることができる。なお、軸方向力を大
きくするためには、慣性質量部の質量と加速度との少な
くとも一方を大きくすればよいのであるが、ねじ面間や
座面間の摩擦係数を精度良く評価するためには、慣性力
がある程度の時間持続させられることが望ましく、加速
度が比較的長い時間大きな値に維持されることが望まし
い。しかし、これはそれほど容易なことではないため、
慣性質量部の質量ができる限り大きくされることが望ま
しく、長さ変化装置ができる限りレンチ部材に近い位置
に設けられ、ねじ締付装置のできる限り多くの部分が慣
性質量部として機能するようにされることが望ましい。 (27)回転駆動源が電動モータである(19)ないし(26)
項のいずれか1つに記載のねじ締付装置。 (28)前記トルク検出装置が、前記電動モータの電流
に基づいて前記回転抵抗トルクを検出する電流依拠トル
ク検出装置を含む(27)項に記載のねじ締付装置。 (29)回転駆動源がエアモータである(19)ないし(26)
項のいずれか1つに記載のねじ締付装置。 (30)前記回転駆動装置が、前記回転駆動源の回転を
前記レンチ部材に伝達しつつそのレンチ部材に衝撃トル
クを付与する衝撃トルク付与装置を含む(19)ないし(29)
項のいずれか1つに記載のねじ締付装置。一般に、レン
チ部材が一定速度で回転させられる方がねじ面間や座面
間の摩擦係数の評価精度が高くなるが、レンチ部材に衝
撃トルクが付与され、レンチ部材の回転速度が変動する
場合でも、摩擦係数と回転抵抗トルクとの間には一定の
関係があり、回転抵抗トルクに基づいて摩擦係数を評価
することは可能である。そして、ほぼ一定の締付トルク
によるよりも、衝撃トルクによる方が容易に大きな締付
力を実現することができる。ただし、初期段階と中間段
階とにおける摩擦係数の評価精度を向上させる上から
は、レンチ部材に衝撃トルクが加えられないようにする
ことが望ましく、また、衝撃トルクはそれの目的からし
て最終段階の後半において付与されれば十分であるか
ら、衝撃トルク付与装置は、初期段階および中間段階に
は衝撃トルクを付与せず、最終段階に付与するものとす
ることが望ましい。 (31)前記初期段階トルクに基づいて前記両ねじ部材
の螺合異常を検出する螺合異常検出手段を含む (8)ない
し(30)項のいずれか1つに記載のねじ締付装置。両ねじ
部材のねじ面間に異物が噛み込まれ、あるいは両ねじ部
材のねじ面が正常に螺合されていない等の螺合異常か発
生すれば、初期段階トルクが通常より大きくなる。した
がって、例えば、ねじの呼び径やピッチ等のデータに基
づいて初期段階トルクの許容範囲を設定する許容範囲設
定手段と、初期段階トルクがその許容範囲から外れた場
合には螺合異常と判定する螺合異常判定手段とを含む螺
合異常検出手段を設ければ、螺合異常を早期に発見する
ことができ、さらに、螺合異常判定手段の判定結果に応
じて回転駆動装置を停止させる異常停止手段を設けれ
ば、螺合異常の発生にもかかわらず無理に締付けが行わ
れることを良好に回避することができる。 (32)ケーシングと、そのケーシングに回転可能に保
持されたレンチ部材と、そのレンチ部材を回転させる回
転駆動源とを含み、前記レンチ部材が、雄ねじ部材と雌
ねじ部材とのうち回転させるべきねじ部材である回転ね
じ部材に相対回転不能に係合させられてその回転ねじ部
材を回転させることにより、両ねじ部材を被締付物を間
に挟んで締め付けるねじ締付装置に取り付けて使用され
るアタッチメントであって、前記ケーシングに取り付け
られる補助ケーシングと、その補助ケーシングに回転可
能に保持され、後端に前記レンチ部材に相対回転不能に
係合する接続部を、先端部に前記回転ねじ部材に相対回
転不能に係合するレンチ部をそれぞれ備えた回転伝達部
材と、その回転伝達部材の捩じれトルクを検出するトル
ク検出装置と、そのトルク検出装置に接続される制御装
置であって、少なくとも回転ねじ部材の座面が前記被
締付物の座面に接触しない初期段階においてトルク検出
装置により検出された捩じれトルクである初期段階抵抗
トルクに基づいて締付終了条件を決定する締付終了条件
決定手段と、その締付終了条件決定手段によって決定
された締付終了条件が満たされた場合に、前記回転駆動
装置の停止指令を発する停止指令手段とを備えたものと
を含む締付トルク管理用アタッチメント(請求項5)。
本態様のアタッチメントを通常のねじ締付装置に取り付
ければ、本発明に係るねじ締付装置を得ることができ
る。 (33)雄ねじ部材と雌ねじ部材とを螺合させた状態
で、それら両ねじ部材の一方である非回転ねじ部材の回
転を防止し、それら両ねじ部材の他方である回転ねじ部
材を回転させることにより、両ねじ部材を被締付物を間
に挟んで締め付ける際に、締付トルクをコンピュータに
より管理するための制御プログラムであって、前記回転
ねじ部材の座面が前記被締付物の座面に接触しない初期
段階における回転ねじ部材の回転抵抗トルクである初期
段階トルクを検出する初期段階トルク検出工程と、その
初期段階トルク検出工程において検出された初期段階ト
ルクに基づいて締付終了条件を決定する締付終了条件決
定工程と、その締付終了条件決定工程において決定され
た締付終了条件が満たされたときに締付けの終了を指令
する締付終了指令工程とを含む締付トルク管理プログラ
ムが、前記コンピュータにより読み取り可能に記録され
た記録媒体(請求項6)。 (34)雄ねじ部材と雌ねじ部材とを螺合させた状態
で、それら両ねじ部材の一方である非回転ねじ部材の回
転を防止し、それら両ねじ部材の他方である回転ねじ部
材を回転させることにより、両ねじ部材を被締付物を間
に挟んで締め付ける際に、両ねじ部間の摩擦係数に関連
する摩擦係数関連量を取得する方法であって、前記回転
ねじ部材の座面が前記被締付物の座面に接触しない初期
段階において、その回転ねじ部材に軸方向力を加えつつ
その回転ねじ部材を回転させて回転抵抗トルクを検出す
る工程を含む摩擦係数関連量取得方法。本摩擦係数関連
量取得方法の利用法の一例は、多数の回転ねじ部材の締
付作業の最初に、本態様の方法で1個以上適数個の回転
ねじ部材について摩擦係数関連量を取得し、その取得し
た摩擦係数関連量を使用して、従来の「トルク法」によ
りすべての回転ねじ部材の締付力の管理を行うことであ
る。 (35)雄ねじ部材と雌ねじ部材とを螺合させた状態
で、それら両ねじ部材の一方である非回転ねじ部材の回
転を防止し、それら両ねじ部材の他方である回転ねじ部
材を回転させることにより、両ねじ部材を被締付物を間
に挟んで締め付ける際に、両ねじ部間の摩擦係数に関連
する摩擦係数関連量を取得する装置であって、前記回転
ねじ部材を回転させる回転駆動装置と、その回転駆動装
置による前記回転ねじ部材の回転中であって、かつ、そ
の回転ねじ部材の座面が被締付物の座面に接触しない初
期段階の少なくとも一時点に、その回転ねじ部材に軸方
向力を付与する軸方向力付与装置と、その軸方向力付与
装置により軸方向力が付与されている状態における前記
回転ねじ部材の回転抵抗トルクを検出するトルク検出装
置とを含む摩擦係数関連量取得装置。 (36)雄ねじ部材と雌ねじ部材とを螺合させた状態
で、それら両ねじ部材の一方である非回転ねじ部材の回
転を防止し、それら両ねじ部材の他方である回転ねじ部
材を回転させることにより、両ねじ部材を被締付物を間
に挟んで締め付ける方法であって、前記回転ねじ部材の
座面が前記被締付部材の座面に接触し、かつ、両ねじ部
材のねじ面が実質的に接触していない中間段階におい
て、回転ねじ部材にその回転ねじ部材の座面を被締付物
の座面に押し付ける向きでかつ設定値以上の軸方向力を
加えつつその回転ねじ部材を回転させて回転抵抗トルク
を計測し、その回転抵抗トルクの計測結果に基づいてス
ナグ点を決定する工程と、そのスナグ点からの回転角を
計測しつつ回転ねじ部材を回転させ、検出した回転角
が、締付力が所望の大きさに到達するに必要な回転角に
到達したとき回転ねじ部材の回転を停止させる工程とを
含むねじ締付方法。本態様は、中間段階において、回転
ねじ部材を、回転ねじ部材と被締付物との座面を安定な
接触状態に保つに必要でかつ十分な大きさの圧縮力を加
えつつ回転させ、回転抵抗トルクを計測すれば、スナグ
点を精度良く検出し得ることを利用して、「回転角法」
による締付力の管理精度を向上させるものであり、ねじ
面間摩擦係数や座面間摩擦係数を評価することによって
締付力の管理精度を向上させる前記各態様とは基本的に
技術思想を異にするものである。したがって、上記軸方
向力の設定値は、回転ねじ部材と被締付物との座面の接
触状態が安定状態に到達するのに必要かつ十分な大きさ
に設定される。例えば、回転ねじ部材と被締付物との座
面間にスプリングワッシャが配設される場合にはそのス
プリングワッシャを密着状態にするに必要でかつ十分な
大きさに設定されるのである。また、回転ねじ部材と被
締付物との座面間に平ワッシャが配設される場合には、
回転ねじ部材の座面と平ワッシャの座面、平ワッシャの
座面と被締付物の座面が、それぞれの座面に存在する可
能性のある微小突起や座面間に噛み込まれる可能性のあ
る異物が完全につぶれて、最終締付状態と実質的に同じ
状態で接触するのに必要でかつ十分な大きさに設定され
る。 (37)雄ねじ部材と雌ねじ部材とを螺合させた状態
で、それら両ねじ部材の一方である非回転ねじ部材の回
転を防止し、それら両ねじ部材の他方である回転ねじ部
材を回転させることにより、両ねじ部材を被締付物を間
に挟んで締め付ける装置であって、前記回転ねじ部材の
座面が前記被締付部材の座面に接触し、かつ、両ねじ部
材のねじ面が実質的に接触していない中間段階におい
て、回転ねじ部材にその回転ねじ部材の座面を被締付物
の座面に押し付ける向きの軸方向力を加える軸方向力付
与装置と、その中間段階において回転ねじ部材の回転抵
抗トルクを検出するトルク検出装置と、そのトルク検出
装置により検出された回転抵抗トルクに基づいてスナグ
点を決定する手段と、そのスナグ点からの回転ねじ部材
の回転角を検出する回転角検出装置と、その回転角検出
装置により検出された回転角が、締付力が所望の大きさ
に到達するに必要な回転角に到達したとき回転ねじ部材
の回転停止を指令する停止指令手段とを含むねじ締付装
置(請求項7)。本態様によれば、(36)項に記載のねじ
締付方法を実施し得る。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明のいくつかの実施形
態であるねじ締付装置および方法を図面に基づいて説明
する。図1において、10はねじ締付装置の本体フレー
ムであり、支持台部12が設けられるとともにブラケッ
ト14が取り付けられている。ブラケット14にはリニ
アガイド16を介して昇降部材18が取り付けられ、油
圧シリンダ20により昇降させられるようになってい
る。昇降部材18には、減速機付き電動モータ(以下モ
ータと略称する)22と、検出器24とが取り付けられ
ている。検出器24は、トルク検出部と圧縮力検出部と
を備え、トルク検出部は、図2に示すように、モータ2
2の回転軸に連結された検出軸30を備え、その検出軸
30の表面には4個のストレンゲージ32が2個ずつ+
45度と−45度傾斜させられて固定され、ブリッジ回
路34が形成されている。このブリッジ回路34に2対
のスリップリング36により直流電源38が接続される
とともに、別の2対のスリップリング40により電圧検
出回路42に接続されている。検出軸30に捩じりトル
クが作用させられれば、その捩じりトルクに比例する電
圧が電圧検出回路42に現れる。圧縮力検出部は図示を
省略するが、4個のストレンゲージのうち2個が検出軸
30の軸方向に平行に固定され、残る2個が周方向に平
行に固定される点を除いて、トルク検出部と同様の構成
を有する。なお、圧縮力は、油圧シリンダ20の油圧を
油圧検出器で検出することにより、演算で求めてもよ
い。検出軸30の先端部にはレンチ部材の一種であるソ
ケット44が取り付けられている。油圧シリンダ20の
作動および作動力は、図3に示す電磁方向切換弁46等
の作動制御弁および電磁圧力制御弁48等の作動力制御
弁により制御される。
【0007】上記電磁方向切換弁46,電磁圧力制御弁
48,モータ22,検出器24等は制御装置50に接続
されている。制御装置50は、入力装置52と、処理部
としてのマイクロコンピュータ54とを備えており、マ
イクロコンピュータ54は、ドライバ56,57,58
を介して前記モータ22,電磁方向切換弁46,電磁圧
力制御弁48を制御するとともに、検出器24のトルク
検出部60および圧縮力検出部62から検出結果を読み
込む。そのためにマイクロコンピュータ54は、PU6
6,ROM68,RAM70およびI/Oポート72を
備え、ROM68には図4に示す締付トルク制御プログ
ラムを始めとする種々の制御プログラムが格納されてい
る。PU66はRAM70を利用してこれら制御プログ
ラムを実行し、自動で締付力の管理を行う。
【0008】本ねじ締付装置は、図1に示すように、支
持台部12に載置可能な第1部材76と第2部材78と
をボルト80等の回転ねじ部材で締め付けるに適したも
のである。図示の例では第1部材76が非回転ねじ部
材、第2部材78が被締付物である。締付作業の開始に
先立って、入力装置52から、ボルト80の目標締付
力,ねじ呼び径,ねじピッチ,設定トルク等のデータが
作業者やホストコンピュータにより入力され、RAM7
0に格納される。次に、支持台部12上に第1部材76
と第2部材78とが載置され、ボルト80が第2部材7
8のボルト穴を貫通して第1部材76の雌ねじ穴に螺合
される。以上で締付けの準備が完了し、ねじ締付装置の
入力装置52のスタートボタンが押されれば、ねじの締
付けが自動で行われる。
【0009】まず、ステップ1(以下単にS1で表す。
他のステップも同様とする)において、目標締付力F3
がRAM70から読み出され、S2において、ボルト8
0に加えられるべき圧縮力Qが演算される。圧縮力Q
は、摩擦係数の評価精度の観点からすれば、目標締付力
F3に等しくすることが望ましいのであるが、圧縮力の
増大は装置の大形化や作業性の低下につながり易いた
め、通常、圧縮力Qより小さくされる。圧縮力Qはねじ
呼び径dが大きいほど大きくされることが望ましく、目
標締付力F3もねじ呼び径dが大きいほど大きくなるた
め、本実施形態においては、圧縮力Qが目標締付力F3
の3〜30%の範囲から予め選定された値に対応する大
きさとなるように演算される。続いて、S3において、
圧縮力Qを0として締付けが開始される。具体的には、
電磁圧力制御弁48が油圧シリンダ20に供給される油
圧をごく小さい値に制御する状態とされた上で、電磁方
向切換弁46が油圧シリンダ20を伸長させる位置に切
り換えられるとともに、モータ22が低速で回転させら
れるのである。それに伴ってソケット44が低速で回転
しつつ下降し、ボルト80の頭部に相対回転不能に係合
し、以後はボルト80を回転させる。
【0010】予め定められた時間の経過後に、S4にお
いて、トルク検出部60の出力信号が読み込まれ、S5
において、回転抵抗トルクが実質的に0であるか否か、
具体的には、微小な設定値以下であるか否かが判定さ
れ、判定結果がNOであれば、S6においてモータ22
の回転が停止させられ、S7において図示しないブザー
が鳴動させられるなどして螺合異常が作業者に報知され
る。
【0011】一方、S5の判定結果がYESの場合に
は、S8において電磁圧力制御弁48が制御され、S2
において演算された圧縮力Qが油圧シリンダ20により
加えられる。この時点においては、ボルト80は、図5
に示すように、雄ねじ部82は雌ねじ穴84に螺合して
いるが、頭部86の座面88が非締付物としての第2部
材78の座面90から離れており、図6に拡大して示す
ように、ねじ面92,94が互いに押し付けられてい
る。この状態でS9,S10が一定微小時間ごとに繰返
し実施され、設定トルクTbに到達するまでの回転抵抗
トルクTがRAM70のトルクメモリに格納される。
【0012】S9,10が繰返し実施されている間に、
ボルト80の頭部86の座面88が、図7に示すように
被締付物78の座面90に着座し、その後は、図8に示
すように、ボルト80のねじ面92が雌ねじ穴84のね
じ面94に実質的に接触しない状態となる。中間段階へ
の移行が行われるのである。ここにおいて「実質的に接
触しない状態」とは、「ボルト80と雌ねじ穴84の偏
心等により一部において両ねじ面92,94が軽く接触
することはあり得るが、初期段階におけるように互いに
強く押し付けられることはない状態」という意味であ
る。中間段階への移行後、さらにボルト80が所定角度
回転させられれば、図9,10に示すように、ボルト8
0のねじ面92と雌ねじ穴84のねじ面94とが、前記
初期段階におけるのとは反対側において接触する状態と
なる。最終段階への移行が行われるのである。以上のよ
うな段階の移行につれて、トルク検出部60によって検
出される回転抵抗トルクTは、概ね図11に示すように
変化する。
【0013】回転抵抗トルクTが設定トルクTbに到達
したならば、S11において初期段階トルクT1がRA
M70の初期段階トルクメモリに格納された後、S12
において中間段階トルクT2が決定されてRAM70の
中間段階トルクメモリに格納される。初期段階トルクT
1は、初期段階にあるうちに取得された複数の回転抵抗
トルクTの平均値として求められる。また、中間段階ト
ルクT2は、トルクメモリに格納されている複数の回転
抵抗トルクTの極小値として求められる。具体的には、
回転抵抗トルクTが設定トルクTbに到達した時点から
逆上って、トルクメモリに格納されている複数の回転抵
抗トルクTの隣接するもの同士の差が演算され、差が始
めて負になったときの回転抵抗トルクTの組のいずれか
一方が中間段階トルクとされるのである。
【0014】続いて、S13において目標締付トルクT
3の決定が行われる。この決定は以下の事実に基づい
て、後述の(3)式の演算により行われる。図5,6に
示す初期段階においては、ねじ面92,94間の摩擦係
数に比例する係数ξと、油圧シリンダ20によってボル
ト80の頭部に加えられる圧縮力Qとの積である摩擦ト
ルクξ・Qが発生するが、同時に、ねじ面92,94の
斜面の効果に基づいてボルト80を締め込む向きの下記
トルクTqも発生する。 Tq=ζ・Q ただし、ζ=(p/2π) したがって、ボルト80を締込方向に回転させるに必要
な締付トルクである初期段階トルクT1は次式で表され
る。 T1=ξ・Q−ζ・Q・・・・(1)
【0015】また、図7,8に示す中間段階において
は、座面88,90間の摩擦係数に比例する係数ηと、
油圧シリンダ20によってボルト80の頭部に加えられ
る圧縮力Qとの積である摩擦トルクη・Qが発生し、こ
れがボルト80を締込方向に回転させるに必要な締付ト
ルクである中間段階トルクT2と次式で表されるように
釣り合うことになる。 T2=η・Q・・・・(2)
【0016】そして、図9,10に示す最終段階におい
ては、ボルト80が第2部材78を締め付ける締付力を
Fとすれば、座面88,90間に作用する力はF+Qで
あり、この力に基づいて座面88,90間に発生する摩
擦トルクはη・(F+Q)となる。また、ねじ面92,
94間の摩擦係数および斜面の効果と締付力Fとに基づ
いて発生する回転抵抗トルクはξ・F+ζ・Fとなる。
これら摩擦トルクη・(F+Q)および回転抵抗トルク
ξ・F+ζ・Fが、ボルト80を締付方向に回転させる
のに必要な締付トルクTであるから、 T=η・(F+Q)+ξ・F+ζ・F・・・・(3)
【0017】上記(1)および(2)式から係数ξおよ
びηを演算することができ、(3)式の圧縮力Qは検出
されるものであり、締付力FはS1で設定されており、
係数ζはS1で設定されたねじピッチpから演算できる
ため、(3)式から、所望の締付力F3を得るために必
要な締付トルクT3を演算することができる。S13に
おいてはこの演算が行われるのである。それ以後、S1
4とS15とが繰返し実行され、回転抵抗トルクTが目
標締付トルクT3に到達することが待たれ、到達すれば
S16においてモータ停止指令が発せられる。この指令
に応じて、ドライバ56がモータ22を停止させるた
め、締付けが自動的に終了させられる。
【0018】このように、本実施形態においては、初期
段階における回転抵抗トルクTである初期段階トルクT
1に基づいて、ねじ面92,94間の摩擦係数に関連す
るねじ面間摩擦係数関連量の一種である係数ξが取得さ
れ、中間段階における回転抵抗トルクTである中間段階
トルクT2に基づいて、座面88,90間の摩擦係数に
関連する座面間摩擦係数関連量の一種である係数ηが取
得される。そして、それら両係数ξ,ηに基づいて目標
締付トルクT3が決定され、最終段階における回転抵抗
トルクが目標締付トルクT3に等しくなったとき、締付
けが自動的に終了させられる。そのため、例えば、油が
付着しているか否か,面粗さの大小等により、ねじ面間
摩擦係数および座面間摩擦係数が変化しても、その変化
の影響を受けず、常にほぼ一定の締付力でボルト80を
締め付けることができる。
【0019】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、油圧シリンダ20が軸方向力付与装置を
構成し、モータ22,ソケット44等が回転駆動装置を
構成し、検出器24のトルク検出部60がトルク検出装
置を構成している。また、マイクロコンピュータ54
の、S11〜S13を実行する部分が締付終了条件決定
手段を構成し、S14〜S16を実行する部分が停止指
令手段を構成している。
【0020】本発明の別の実施形態として、中間段階ト
ルクT2が、トルクメモリに格納されている複数の回転
抵抗トルクの変化勾配に基づいて決定されるようにする
ことも可能である。この場合には、図4のフローチャー
トのS12が図12に示すS12´に変更される。S1
2´においては、トルクメモリに格納されている複数の
回転抵抗トルクの隣接するもの同士の差が、回転抵抗ト
ルクTが設定トルクTbに到達した時点から逆上って順
次演算され、その結果得られる複数の変化勾配が、始め
て設定勾配以下となったとき、その時点の回転抵抗トル
クTが中間段階トルクT2とされる。
【0021】また、初期段階トルクT1および中間段階
トルクT2が図13に示すフローチャートで表されるプ
ログラムの実行によって決定されるようにすることも可
能である。図13において、S1〜S8およびS13〜
S16は図4における対応する各ステップと同じであ
り、S21〜S23が異なっている。S21およびS2
2が繰返し実行されて、回転抵抗トルクTの急変が現れ
ることが待たれる。例えば、相前後する二つの回転抵抗
トルクTの差が予め定められている設定トルク差を超え
ることが待たれるのである。そして、急変が発生したな
らば、S23において、急変前後の2つの回転抵抗トル
クTがそれぞれ初期段階トルクT1および中間段階トル
クT2に決定され、初期段階トルクメモリおよび中間段
階トルクメモリに格納される。
【0022】さらに、初期段階トルクT1および中間段
階トルクT2が図14に示すフローチャートで表される
プログラムの実行によって決定されるようにすることも
可能である。図14のフローチャートにおいてはS31
〜S38が一定微小時間ごとに繰返し実行されることに
より初期段階トルクT1および中間段階トルクT2が決
定される。まず、S31において回転抵抗トルクTが読
み込まれてトルクメモリに格納され、S32においてフ
ラグがONにされているか否かが判定される。このフラ
グは初期段階トルクT1の決定後にS35でONにされ
るものであり、当初はOFFであるため、S33におい
て回転抵抗トルクTの急変が発生したか否かが判定され
る。例えば、前記S22と同様に、相前後する二つの回
転抵抗トルクTの差が予め定められている設定トルク差
を超えたか否かが判定されるのである。判定の結果がN
Oであればプログラムの実行はS31に戻されるが、Y
ESであれば、初期段階の終了時点あるいは中間段階の
開始時点であるとして、S34において、それまでにト
ルクメモリに格納されている複数の回転抵抗トルクTの
うち、初期段階の終了時点に最も近い設定個数の回転抵
抗トルクTの平均値が初期段階トルクT1に決定され
る。その後はS32の判定がYESとなるため、S33
〜S35がバイパスされ、S36,S38,S31,S
32が繰返し実行されて、回転抵抗トルクの勾配が設定
トルク勾配以上になることが待たれ、設定トルク勾配以
上になれば、中間段階の終了時点あるいは最終段階の開
始時点であるとして、S37において中間段階の終了時
点に最も近い設定個数の回転抵抗トルクTの平均値が中
間段階トルクT2に決定される。次に、回転抵抗トルク
Tが設定トルクTbに到達すれば、図4のS13以降が
実行される。本実施形態においては、回転抵抗トルクが
急変することと、回転抵抗トルク勾配が設定トルク勾配
以上になることとが、それぞれ、中間段階の開始時点お
よび終了時点の決定に用いられ、初期段階トルクT1と
中間段階トルクT2とが、それぞれ初期段階および中間
段階に属することが明らかな設定個数ずつの回転抵抗ト
ルクTに基づいて決定されるため、信頼性の高い初期段
階トルクT1および中間段階トルクT2が取得される。
【0023】本発明の別の実施形態を図15に示す。本
実施形態は、エンジンのシリンダブロック100にシリ
ンダヘッド102を複数本のボルト104により締め付
ける場合のように、大形の被締付物の締付けに適したも
のである。シリンダブロック100とシリンダヘッド1
02とは図示のように重ねられ、シリンダヘッド102
のボルト穴を貫通してボルト104がシリンダブロック
100の雌ねじ穴にある程度螺合された状態で、コンベ
ヤ106により、締付けステーションへ搬送されて来
る。締付けステーションの上方には、複数のねじ締付装
置主体部110を保持した昇降フレーム112が配置さ
れ、油圧シリンダ114等の昇降装置を介して天井また
は位置固定の支持フレームに支持されている。勿論、昇
降フレーム112はガイドにより昇降を案内されること
が望ましい。ねじ締付装置主体部110の各々は図1に
示したねじ締付装置の主体部と類似のものであるが、前
記リニアガイド16が昇降フレーム112に取り付けら
れ、前記油圧シリンダ20がダイヤフラム式の流体圧ア
クチュエータ116にそれぞれ変更されている点におい
て異なっている。流体圧アクチュエータを作動させるた
めの作動流体は液体でも気体でもよいが、前者によれば
流体圧アクチュエータを小形化し得る。シリンダブロッ
ク100およびシリンダヘッド102が締付けステーシ
ョンへ搬送されたならば、それまで上昇位置に保たれて
いた昇降フレーム112が油圧シリンダ114により下
降位置へ下ろされる。この状態では、各ねじ締付装置主
体部110のソケット118はボルト104の頭部に近
接するのみで、係合はしない。続いて、流体圧アクチュ
エータ116が低い圧力で作動させられ、各ソケット1
18が各ボルト104の頭部に係合させられる。この後
の各ねじ締付装置主体部110の作動は図1のねじ締付
装置と同様であるため、説明を省略する。
【0024】別の実施形態を図16に示す。本実施形態
は、大形の第1部材122に大形の第2部材124をボ
ルト126により締め付ける場合に適している。ねじ締
付装置主体部130は、図1のねじ締付装置の主体部と
同様に、モータ22と検出器24とを備え、モータ22
の嵌合部132が、キャリパ134の嵌合部136にス
プライン,キー等により相対回転不能かつ軸方向に相対
移動可能に嵌合されている。キャリパ134にはブラケ
ット138を介してエアシリンダ140が取りつけられ
ており、モータ22,検出器24等をキャリパ134に
対して軸方向に相対移動させる。エアシリンダ140ま
たはキャリパ134にアイボルト142等のつり下げ部
材が取り付けられ、上方に配設された図示しない荷重バ
ランサにより吊り下げ可能とされている。締付けに当た
っては、キャリパ134の係合部144が第1部材12
2の裏側に当接可能な状態で、エアシリンダ140が作
動させられ、ソケット145からボルト126に圧縮力
が加えられるとともに、その反力がブラケット138,
キャリパ134等を介して第1部材122に伝達され
る。これにより、ボルト126に所望の大きさの圧縮力
を加えることができる。ねじ締付装置主体部130の作
動は図1のねじ締付装置と同様であるため、説明を省略
する。
【0025】さらに別の実施形態を図17に示す。本実
施形態は、軸方向力付与装置を、前記モータ22,検出
器24等の重量によってボルト,ナット等の回転ねじ部
材に圧縮力を加えるものとしたものである。本軸方向力
付与装置は、モータ22等をつり下げるエア式の荷重バ
ランサ146と、その作用を解除する作用解除装置の一
種としての電磁方向切換弁148とを含んでいる。モー
タ22により回転させられるソケット等のレンチ部材が
ボルトに係合させられるまでは、電磁方向切換弁148
が、荷重バランサ146の圧力室150をエア源152
に連通させて、荷重バランサ146を作用状態に保ち、
モータ等の重量が作業者に負担をかけないようにしてい
るが、レンチ部材のボルトへの係合後、圧力室150を
大気に連通させる状態に切り換えられ、モータ22等の
重量がボルトに圧縮力として加えられるようにする。
【0026】前記図16に示したねじ締付装置は、非回
転ねじ部材に機械的に係合する機械的係合部として、キ
ャリパ134の係合部144を備えたものであるが、さ
らに別の機械的係合部を備えたねじ締付装置を図18に
示す。この機械的係合部は被締付物に係合するものであ
る。本ねじ締付装置は、図1のねじ締付装置と同様にモ
ータ22と検出器24とを備えたものであるが、それの
出力軸160は先端にレンチ部として六角棒部162を
備えている。モータ22と検出器24とはケーシング1
64に、軸方向に相対移動可能かつ相対回転不能に収容
されている。ケーシング164とモータ22との間には
流体圧シリンダ165が配設され、ケーシング164に
対してモータ22,検出器24,出力軸160等を相対
的に進退させ得るようになっている。ケーシング164
の先端部は小径部166とされており、ここにリング状
をなす第1シリンダ168が嵌合されて固定されるとと
もに、その第1シリンダ168内にリング状の第1ピス
トン170が配設され、第1シリンダ168の内周面と
上記小径部166の外周面とにそれぞれ液密かつ摺動可
能に嵌合されている。その結果、第1シリンダ168内
の空間が2つの圧力室172,174に区切られてい
る。第1ピストン170と一体的にリング状の第2シリ
ンダ176が形成され、この第2シリンダ176にリン
グ状の第2ピストン178が液密かつ摺動可能に嵌合さ
れている。その結果、第2シリンダ内の空間が2つの圧
力室180,182に区切られている。第2シリンダ1
76の先端にはコレット184が固定され、第2ピスト
ン178には円筒状のテーパ部材186が固定され、テ
ーパ部材186がコレット184の内側に嵌合されてい
る。コレット184は、内周面の一部がテーパ部材18
6の外周テーパ面188に対応する内周テーパ面190
とされるとともに、先端から途中まで形成された複数の
軸方向に平行なすり割り溝により先端部が複数の部分に
割られている。したがって、テーパ部材186がコレッ
ト184に対して相対的に先端側へ移動させられれば、
コレット184の先端部の直径が増大させられる。その
先端部の外周面には係合突起192が形成されている。
【0027】常には、圧力室172,182に圧力流体
(作動油,圧縮空気等)が供給されて第1ピストン17
0が前進端位置に保たれる一方、第2ピストン178が
後退端位置に保たれている。この状態で、コレット18
4の先端部が、被締付物200に形成されたざぐり穴2
02の内周面と、ボルト198の頭部との間に挿入され
る。続いて、圧力室180に圧力流体が供給されて第2
ピストン178が前進させられ、テーパ部材186によ
りコレット184の直径が増大させられる。それによ
り、係合突起192がざぐり穴202の内周面に食い込
み、コレット184,第2シリンダ176,第1ピスト
ン170,第1シリンダ168等を介して、ケーシング
164が被締付物200に係合させられる。コレット1
84,テーパ部材186およびそれらを駆動する2つの
流体圧シリンダにより、機械的係合部が構成されている
のである。この機械的係合部の係合を可能にするため
に、ざぐり穴202は従来のざぐり穴よりやや大径にさ
れることが必要である。なお、ざぐり穴202の内周面
に、係合突起192と係合する円環状の係合溝を形成す
れば、係合を一層確実にすることができる。上記係合後
に、モータ22が回転させられつつ、流体圧シリンダ1
65によりモータ22,検出器24および出力軸160
がケーシング164に対して前進させられ、六角棒部1
62がボルト198の六角穴に係合させられる。
【0028】この状態で、流体圧シリンダ165の作動
力が増大させられれば、六角棒162によりボルト19
8に圧縮力が加えられ、その反力はケーシング164,
コレット184等を介して被締付物200に伝達され
る。この際、六角棒162によりボルト198に加えら
れるべき圧縮力に比較して被締付物200の重量が十分
大きければ、被締付物200が非回転ねじ部材である雌
ねじ部材204から浮き上がることはない。それに対
し、重量が小さければ、被締付物200が雌ねじ部材か
ら浮き上がってしまい、六角棒162によりボルト19
8に十分な圧縮力を加えることができない。その場合に
は、被締付物200を雌ねじ部材204に締め付けるた
めの複数本のボルト198のうちの一部のもの(被締付
物200が小さければ1本で十分であり、大きければ複
数本とすることが望ましい)を、本発明に従わない通常
の方法で仮に締付け、その状態で、残りのボルト198
を本発明の方法で締め付ければよい。最後に、仮に締め
付けておいたボルト198を一旦緩め、本発明の方法で
締め付け直せば、被締付物200の雌ねじ部材204へ
の締付け作業が終了する。
【0029】以上説明した機械的係合部に代えて、図1
9に示す磁気吸着部210を採用することも可能であ
る。磁気吸着部210は、上記ケーシング164の先端
部に電磁石214を設けたものである。電磁石214
は、鉄心216にコイル218を巻き付けたもので、コ
イル218に電流を供給すれば磁化し、電流を絶てば消
磁するため、ケーシング164を被締付物200に係合
させたり離脱させたりする作業を容易に行い得る。な
お、図示の電磁石214は円環状のものであるが、複数
の独立した電磁石をケーシング164に固定して磁気吸
着部とすることも可能である。また、図19のねじ締付
装置においては、前記検出器24が、トルク検出器22
0と軸方向力検出器222とに分離されている。本実施
形態のねじ締付装置は、ボルト198に圧縮力を与えて
ねじ面間摩擦係数や座面間摩擦係数を評価するためのも
のであるが、ボルトの頭部とレンチ部材とを、例えば、
図27,28に示すような特殊な頭部とレンチ部材とに
変えることにより、ボルト198に引張力を与えてねじ
面間摩擦係数や座面間摩擦係数を評価するための装置と
しても使用可能である。
【0030】上記磁気吸着部210を、図20に示すよ
うに、負圧吸着部228に変えることも可能である。負
圧吸着部228は、ケーシング164に固定の複数のカ
ップ状の吸着部本体230と、その各開口部に取り付け
られた吸盤232等のシール部材とを備えており、吸着
部本体230の内部空間が電磁方向切換弁234等の負
圧制御装置を経て負圧源236に接続されている。負圧
吸着部228は、電磁方向切換弁234の制御により、
吸着する作用状態と吸着しない非作用状態とに容易に切
り換えることができる。なお、本負圧吸着部228も前
記磁気吸着部210も、被締付物200が小さい場合に
は、直接雌ねじ部材204に吸着させてもよい。また、
被締付物200に貫通穴や切欠を設け、それらを通して
磁気吸着部210や負圧吸着部228を直接雌ねじ部材
204に吸着させてもよい。
【0031】以上の実施形態はすべて、最初から本発明
に係るねじ締付装置として構成されたものであったが、
図21に示すように、通常のねじ締付装置としてのイン
パクトレンチ240に、アタッチメント242を取り付
けて本発明に係るねじ締付装置とすることも可能であ
る。インパクトレンチ240は公知のものであるので詳
細な説明は省略するが、給気部244 ,モータ部24
6および打撃部248を備え、給気部244の操作部材
250により制御される圧縮空気により、ベーンモータ
等のエアモータから成るモータ部246が作動し、出力
軸252が回転させられるとともに、打撃部248によ
り出力軸252に回転方向の打撃が加えられるものであ
る。このインパクトレンチ240のケーシング254
に、補助ケーシングとしてのアタッチメントケーシング
256が取り付けられている。アタッチメントケーシン
グ256内には、図1に示したのと同様な検出器24が
設けられており、検出器24の検出軸258の後端の接
続部260が、出力軸252先端の係合部としての角ド
ライブ262と、相対回転不能かつ圧縮力伝達可能に係
合させられている。検出軸258の先端部は角ドライブ
264とされており、ここにソケットや六角棒を取り付
けて、回転ねじ部材を回転させることができる。検出器
24には図示は省略するが図1のねじ締付装置と同様な
制御装置が接続されており、検出された回転抵抗トルク
が目標締付トルクと等しくなったとき、ブザー等の報知
器により作業者に報知される。この報知に応じて作業者
が操作部材250を解放すれば、モータ部246が停止
する。なお、給気部244に接続されるエア供給通路に
電磁開閉弁等の制御弁を設けて、回転抵抗トルクが目標
締付トルクと等しくなったときエア供給通路が遮断さ
れ、締付けが自動的に終了させられるようにすることも
可能である。
【0032】上記ねじ締付装置はインパクトレンチを利
用して構成されていたが、打撃部を有しないねじ締付装
置に上記アタッチメント242を取り付けても本発明に
係るねじ締付装置を得ることができる。逆に、前記各実
施形態におけるモータ22をエアモータに変更すること
も可能であり、さらに打撃部を設けてインパクトレンチ
とすることも可能である。また、モータ22と出力軸と
の間に打撃部を設けてインパクトレンチとすることも可
能である。ただし、初期段階,中間段階においては打撃
部が作用しないようにすることが、ねじ面間摩擦係数お
よび座面間摩擦係数の評価精度を高める上で望ましい。
【0033】図22にさらに別の実施形態を示す。この
ねじ締付装置は、モータ部270に減速機272および
検出器24が取り付けられるとともに、検出器24の検
出軸274とレンチ部材276との間に、長さ変化装置
278が設けられたものである。長さ変化装置278
は、アクチュエータ部280と変位拡大部282とを備
えている。アクチュエータ部280は積層圧電素子28
4を主体とするものであり、この積層圧電素子284
は、出力軸274の一端に形成された大径の支持部28
6と変位拡大部282の大径ピストン288とに挟まれ
ている。支持部286にはシリンダ290が固定され、
これに大径ピストン288が液密かつ摺動可能に嵌合さ
れている。変位拡大部282は、上記大径ピストン28
8およびシリンダ290と共に小径ピストン292を備
えており、これらに囲まれた閉空間293に作動液が充
満させられている。そのため、積層圧電素子284の伸
長により大径ピストン288がシリンダ290に対して
前進させられると、その前進距離より大きな距離だけ小
径ピストン292が前進させられる。変位拡大部282
は液圧式なのである。なお、小径ピストン292と一体
的にボールスプライン軸294が、また、シリンダ29
0と一体的にボールスプライン穴部296が設けられて
おり、これらボールスプライン軸294とボールスプラ
イン穴部296とが複数のボール298を介してバック
ラッシュなしで係合することにより、小径ピストン29
2のシリンダ290に対する相対回転が良好に防止され
ている。
【0034】レンチ部材276が回転ねじ部材に係合さ
せられた状態で、積層圧電素子284に電圧が印加され
ると、積層圧電素子284が伸長して大径ピストン28
8をシリンダ290に対して相対的に前進させ、小径ピ
ストン294がそれより大きな距離前進させられる。長
さ変化装置278の支持部286からボールスプライン
軸294までの長さが伸びるのである。この際、レンチ
部材276は回転ねじ部材に係合させられているため前
進不能であり、代わりにモータ部270,減速機27
2,検出器24等から成る慣性質量部が後退させられ
る。その結果、慣性質量部の質量と加速度との積に相当
する慣性力がレンチ部材276に加えられることとな
る。本実施形態においては、慣性質量部と長さ変化装置
278とにより軸方向力付与装置が構成されているので
ある。
【0035】上記積層圧電素子284が、初期段階と中
間段階とにおいて、短い周期で繰返し伸長させられるよ
うにし、その伸長と同期して検出器24によって回転抵
抗トルクが検出されるようにすれば、ねじ面同士や座面
同士を慣性質量部の重量より大きな力で押し付けた状態
で、ねじ面間摩擦係数や座面間摩擦係数を評価すること
ができる。したがって、ねじ締付装置を軽量化して作業
性を向上させつつ、ねじ面間摩擦係数や座面間摩擦係数
の評価精度を向上させることができる。
【0036】積層圧電素子284が初期段階と中間段階
とにおいて1回ずつ伸長させられるようにすることも可
能である。初期段階は時間的に長いため、初期段階に1
回積層圧電素子284が伸長させられるようにすること
は容易である。しかし、中間段階は短いため、中間段階
に積層圧電素子284が1回伸長させられるようにする
ためには、中間段階に移行したことを検出し、その検出
に応じて積層圧電素子284を1回伸長させることが必
要である。この検出は例えば次のようにして行うことが
できる。長さ変化装置278が作動しない状態でも、回
転ねじ部材には慣性質量部の重量は加えられているた
め、座面同士が当接することによる回転抵抗トルクの急
変は、検出器24のトルク検出部の出力信号の急変から
検出することができる。また、回転ねじ部材の座面が被
締付物の座面に当接した瞬間、回転ねじ部材の軸方向移
動、すなわち慣性質量部の軸方向移動が急に停止させら
れるため、長さ変化装置278に加えられる圧縮力が増
大する。この増大を積層圧電素子284により検出する
ことによって中間段階への移行を検出することができ
る。積層圧電素子284の一部の圧電素子を圧縮力検出
専用の素子にするか、あるいは積層圧電素子284全体
を通常は圧縮力検出用の素子として機能させ、圧縮力の
増大を検出させるのである。そして、中間段階への移行
が検出された後、積層圧電素子284に電圧を印加して
伸長させ、慣性質量部の慣性力により回転ねじ部材への
圧縮力を一時的に増大させ、その時点における回転抵抗
トルクの検出値に基づいて座面間摩擦係数を評価すれ
ば、評価精度を高めることができる。なお、上記のよう
に、積層圧電素子284の一部の素子あるいは積層圧電
素子284全体を圧縮力検出手段として利用することが
できるため、検出器24の軸方向力検出部を省略するこ
とも可能である。
【0037】長さ変化装置の別の実施形態を図23に示
す。この長さ変化装置300は、油圧シリンダ301を
主体とするもので、シリンダ302とピストン303と
により形成された油圧室を備えている。シリンダ302
とピストン303とはそれぞれスラスト軸受304を介
してモータ軸305と出力軸306とに相対回転可能に
受けられており、モータ軸305の回転は歯車機構30
7により出力軸306に伝達される。モータ軸305と
出力軸306との間の軸方向力の伝達はスラスト軸受3
04と油圧シリンダ301とを介して行われ、回転トル
クの伝達は歯車機構307を介して行われる。歯車機構
307は、モータ軸305と出力軸306との軸方向の
相対移動を許容しつつ回転トルクを伝達する回転伝達装
置を構成しているのである。ねじの締付時には、レンチ
部材により回転ねじ部材に加えられる反力により出力軸
306がモータ軸305側へ押され、油圧シリンダ30
1は最も収縮した状態にある。長さ変化装置300が最
も短い状態にあるのである。そして、長さ変化装置30
0を伸長させる必要が生じた場合には、制御弁としての
電磁方向切換弁308に一定微小時間の間電流が供給さ
れ、図示しない外部油圧源から一定量の作動油が供給さ
れ、油圧シリンダ301の伸長により長さ変化装置30
0が一定量伸長させられる。続いて、電磁方向切換弁3
08への電流の遮断により油圧シリンダ301からの作
動油の流出が許容され、長さ変化装置300の長さが元
の長さに復帰させられる。
【0038】以上の各実施形態においては、締付力の管
理が「トルク法」によって行われるようになっていた
が、「回転角法」によって行われるようにすることも可
能である。例えば、図1に示したねじ締付装置のモータ
22に、図24に示すようにエンコーダ309を付加
し、図25のフローチャートで表されるプログラムによ
り締付力の管理を行うのである。S23までは図13の
フローチャートと同じである。初期段階トルクT1およ
び中間段階トルクT2の決定後、S41において始点ト
ルクTsが決定される。始点トルクTsは前記(3)式
に、係数ξ,η,ζと始点軸力Fsとを代入して演算さ
れる。始点軸力Fsは例えば目標締付力F3に一定比率
を掛けた値とされるが、その一定比率は3〜30%の範
囲、望ましくは5〜15%の範囲から選定される。そし
て、S42,S43において回転抵抗トルクTが始点ト
ルクTsに到達することが待たれ、到達すればS44に
おいて次式により目標回転角θ3、すなわち始点トルク
Tsを作用させた点を起点とした回転ねじ部材の回転角
θ3が決定される。 θ3=(F3−Fs)/φ Fs=(Ts+η・Q)/(η+ξ+ζ) φ=(p・Kb・Kc)/〔2π・(Kb+Kc)〕 ただし、Kbはボルト系の引張ばね定数、Kcは被締付
物系の引張ばね定数その後、S45において、エンコー
ダ309の出力信号に基づいてソケット44の実際の回
転角θを演算し、S46において実際の回転角θが目標
回転角θ3に到達したか否かの判定を行うことが繰返し
実行され、実際の回転角θが目標回転角θ3に到達した
ときS47においてモータ22の停止指令が出される。
なお、上記始点トルクTsを決定するための始点締付力
Fsは、本実施形態においては、従来の回転角法におけ
るスナグ点(回転角θと締付力Fとの関係を示すθ−F
線図の直線部のうちでなるべく小さい値)とされる。
【0039】上記実施形態においては、ねじ面間摩擦係
数関連量としての係数ξと座面間摩擦係数関連量として
の係数ηとに基づいて始点トルクが決定されるようにな
っていたが、中間段階において、回転ねじ部材を、設定
値以上の圧縮力を加えつつ回転させ、その回転中の回転
抵抗トルクを計測すれば、回転抵抗トルクが増大し始め
る時点、すなわち中間段階と最終段階との境界を明瞭に
検出することができることを利用して、始点トルクを決
定することもできる。例えば、図28に示すように、回
転ねじ部材としてのボルト326と被締付物328との
座面330,332間にスプリングワッシャ334が配
設されている場合には、スプリングワッシャ334を平
板状に押しつぶして、それの両座面336,338をそ
れぞれ座面330,332に密着させるに必要でかつ十
分な圧縮力をボルト326に加えつつボルト326を回
転させ、回転抵抗トルクTを計測すれば、回転抵抗トル
クTは前記図11に示すように変化する。そして、その
回転抵抗トルクTがほぼ一定の中間段階トルクT2に保
たれている状態から増大する状態への変化が、上記ほど
の大きな圧縮力を加えない従来に比較して急激に現れ
る。そのため、その回転抵抗トルクの増大開始点近傍の
点(例えば、回転抵抗トルクが始めて設定トルク勾配を
超える点、あるいはその時点より回転抵抗トルクが設定
増分だけ増大した点等)であるスナグ点を精度良く決定
することができ、「回転角法」による締付力管理の精度
を向上させ得る。前記図1,図15,図16,図18等
に記載のねじ締付装置は、本実施形態のねじ締付方法を
実施するためのねじ締付装置として使用することができ
る。なお、初期段階から中間段階への移行時における回
転抵抗トルクの急変も検出し、その急変後(あるいはそ
の急変後の一定経過時間内)に回転抵抗トルクが増大し
た場合に、その時点が中間段階から最終段階への移行時
点であるとすれば、一層確実にスナグ点を検出すること
ができる。
【0040】以上の各実施形態においては、圧縮力を加
えた状態で回転ねじ部材を回転させ、ねじ面間摩擦係数
の評価が行われるようになっていたが、引張力を加えた
状態で回転させ、ねじ面間摩擦係数の評価が行われるよ
うにすることも可能である。例えば、図26に示すよう
に、ボルト310の頭部312に、頭部の頂面から軸方
向に延びる軸方向溝314とその軸方向溝314の先端
からボルト310の締込み時の回転方向下流側へ延びる
周方向溝316とを有するL字形の係合切欠318を形
成(軸対称に複数個形成することが望ましい)する一
方、図27に示すように、レンチ部材320に、軸方向
溝314から進入して周方向溝316に係合可能な形状
の係合部322を設け、係合部322を周方向溝316
に係合させてボルト310に引張力と締付トルクとを加
え得るようにする。そして、ねじ締付装置として、例え
ば図19に示すように被締付物200に当接する当接部
(図19の実施形態においては電磁石214)を備えた
ものを使用し、流体圧シリンダ165を収縮方向に作動
させつつモータ22をボルト310を締め付ける向きに
回転させ、トルク検出器220により回転抵抗トルクを
検出し、検出した回転抵抗トルクに基づいてねじ面間摩
擦係数を評価するのである。
【0041】前記実施形態においては、軸方向力Qがほ
ぼ0の状態で回転抵抗トルクTを検出し、それがほぼ0
でなければ、異物噛込み等の螺合異常が発生したと検出
されるようになっていたが、軸方向力Qをほぼ0にする
ことなく螺合異常が検出されるようにすることも可能で
ある。例えば、図29に示すように、軸方向力QをQ
e,Qf等複数の値に変化させて回転抵抗トルクTe,
Tf等を取得し、これら複数の回転抵抗トルクTe,T
f等から外挿法により軸方向力Qが0のときの回転抵抗
トルクTgを演算し、演算した回転抵抗トルクTgの絶
対値が0を挟む比較的狭い設定領域内の値であれば、螺
合異常がないと判定され、設定領域から外れていれば、
螺合異常が生じていると判定されるようにするのであ
る。螺合異常に起因する回転抵抗トルクは軸方向力Qの
値の変化によっては変化せず、ほぼ一定の大きさである
ことが多いため、軸方向力Qe,Qfに対応する回転抵
抗トルクTe´,Tf´によって規定される直線が、螺
合異常がない場合の回転抵抗トルクTe,Tfによって
規定される直線を上方へ平行移動させたものとなり、軸
方向力Qが0のときの回転抵抗トルクTg´が0を挟む
設定領域から外れるため、螺合異常の発生を検出するこ
とができるのである。
【0042】以上の各実施形態においては、個々のねじ
締付装置に専用のマイクロコンピュータが設けられてい
たが、複数のねじ締付装置の制御装置のコンピュータの
部分を共用のパーソナルコンピュータやワークステーシ
ョンで構成し、締付力が集中的に管理されるようにする
ことも可能である。また、マイクロコンピュータに代え
て、同様な機能を果たす電気回路を採用することも可能
である。その他、当業者の知識に基づいて種々の変形,
改良を施した態様で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるねじ締付装置を示す
正面図である。
【図2】上記ねじ締付装置におけるトルク検出部を概念
的に示す図である。
【図3】上記ねじ締付装置の制御装置を示すブロック図
である。
【図4】上記制御装置の制御プログラムの一部を示すフ
ローチャートである。
【図5】上記ねじ締付装置によるねじ締付けの初期段階
を示す図である。
【図6】図5の一部を拡大して示す図である。
【図7】上記ねじ締付装置によるねじ締付けの中間段階
を示す図である。
【図8】図7の一部を拡大して示す図である。
【図9】上記ねじ締付装置によるねじ締付けの最終段階
を示す図である。
【図10】図9の一部を拡大して示す図である。
【図11】前記ねじ締付装置によるねじ締付時における
回転抵抗トルクの変化を示すグラフである。
【図12】本発明の別の実施形態であるねじ締付装置の
制御プログラムのフローチャートのうち図4のフローチ
ャートと異なる部分のみを示す図である。
【図13】本発明のさらに別の実施形態であるねじ締付
装置の制御プログラムの一部を示すフローチャートであ
る。
【図14】本発明のさらに別の実施形態であるねじ締付
装置の制御プログラムのフローチャートのうち図13の
フローチャートと異なる部分のみを示す図である。
【図15】本発明のさらに別の実施形態であるねじ締付
装置を示す正面図(一部断面)である。
【図16】本発明のさらに別の実施形態であるねじ締付
装置を示す正面図(一部断面)である。
【図17】本発明のさらに別の実施形態であるねじ締付
装置の軸方向力付与装置のみを示す正面断面図である。
【図18】本発明のさらに別の実施形態であるねじ締付
装置を示す正面断面図である。
【図19】本発明のさらに別の実施形態であるねじ締付
装置を示す正面断面図である。
【図20】本発明のさらに別の実施形態であるねじ締付
装置を示す正面断面図である。
【図21】本発明のさらに別の実施形態であるねじ締付
装置を示す正面断面図である。
【図22】本発明のさらに別の実施形態であるねじ締付
装置を示す正面図(一部断面)である。
【図23】本発明のさらに別の実施形態であるねじ締付
装置における長さ変化装置を概念的に示す正面図(一部
断面)である。
【図24】本発明のさらに別の実施形態であるねじ締付
装置を示す正面図である。
【図25】本発明のさらに別の実施形態であるねじ締付
装置の制御プログラムを示すフローチャートである。
【図26】本発明のさらに別の実施形態であるねじ締付
装置により締め付けられるボルトを示す正面図である。
【図27】上記ボルトが締め付けられる状態を示す正面
断面図である。
【図28】本発明に係るねじ締付方法によって締め付け
られるボルトとスプリングワッシャとを示す正面図であ
る。
【図29】本発明のさらに別の実施形態であるねじ締付
装置による螺合異常の検出を説明するグラフである。
【符号の説明】
10:本体フレーム 12:支持台部 16:リニ
アガイド 18:昇降部材 20:油圧シリンダ
22:減速機付き電動モータ 24:検出器 50:制御装置 76:第1部材 78:第2部材
80:ボルト 88,90:座面 92,94:ねじ面 110:
ねじ締付装置主体部 112:昇降フレーム 114:油圧シリンダ 1
16:流体圧アクチュエータ 118:ソケット
130:ねじ締付装置主体部 134:キャリパ
140:エアシリンダ 146:荷重バランサ 1
48:電磁方向切換弁 152:エア源 162:
六角棒部 164:ケーシング 165:流体圧シ
リンダ 184:コレット 186:テーパ部材
192:係合突起 202:ざぐり穴 210:
磁気吸着部 228:負圧吸着部 240:インパ
クトレンチ 242:アタッチメント 256:ア
タッチメントケーシング 258:検出軸 26
0:接続部 262,264:角ドライブ 27
0:モータ部 272:減速機 274:出力軸 276:レンチ部材 278:長さ変化装置 28
0:アクチュエータ部 282:変位拡大部 284:積層圧電素子 30
9:エンコーダ 318:係合切欠 320:レンチ部材 322:
係合部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 雄ねじ部材と雌ねじ部材とを螺合させた
    状態で、それら両ねじ部材の一方である非回転ねじ部材
    の回転を防止し、それら両ねじ部材の他方である回転ね
    じ部材を回転させることにより、両ねじ部材を被締付物
    を間に挟んで締め付ける方法であって、 前記回転ねじ部材の座面が前記被締付物の座面に接触し
    ない初期段階において、回転ねじ部材に軸方向力を加え
    つつその回転ねじ部材を回転させて回転抵抗トルクを検
    出し、その検出した初期段階トルクに基づいて締付終了
    条件を決定し、その締付終了条件が満たされたときに締
    付けを終了することを特徴とするねじ締付方法。
  2. 【請求項2】 雄ねじ部材と雌ねじ部材とを螺合させた
    状態で、それら両ねじ部材の一方である非回転ねじ部材
    の回転を防止し、それら両ねじ部材の他方である回転ね
    じ部材を回転させることにより、両ねじ部材を被締付物
    を間に挟んで締め付ける装置であって、 前記回転ねじ部材を回転させる回転駆動装置と、 その回転駆動装置による前記回転ねじ部材の回転中であ
    って、かつ、その回転ねじ部材の座面が前記被締付物の
    座面に接触しない初期段階の少なくとも一時点に、その
    回転ねじ部材に軸方向力を付与する軸方向力付与装置
    と、 その軸方向力付与装置により軸方向力が付与されている
    状態における前記回転ねじ部材の回転抵抗トルクを検出
    するトルク検出装置と、 そのトルク検出装置により検出された初期段階トルクに
    基づいて締付終了条件を決定する締付終了条件決定手段
    と、 その締付終了条件決定手段によって決定された締付終了
    条件が満たされた場合に、前記回転駆動装置の停止指令
    を発する停止指令手段とを含むことを特徴とするねじ締
    付装置。
  3. 【請求項3】 前記軸方向力付与装置が、前記回転ねじ
    部材の座面を前記被締付物の座面に接近させる向きの軸
    方向力を付与するものであることを特徴とする請求項2
    に記載のねじ締付装置。
  4. 【請求項4】 前記軸方向力付与装置が、前記回転ねじ
    部材の座面が前記被締付物の座面に接触し、かつ、両ね
    じ部材のねじ面が実質的に接触していない中間段階の少
    なくとも一時点においても軸方向力を付与するものであ
    り、前記トルク検出装置が、その少なくとも一時点にお
    ける回転抵抗トルクである中間段階トルクを検出するも
    のであり、前記締付終了条件決定手段が、その中間段階
    トルクにも基づいて前記締付終了条件を決定するもので
    あることを特徴とする請求項3に記載のねじ締付装置。
  5. 【請求項5】 ケーシングと、そのケーシングに回転可
    能に保持されたレンチ部材と、そのレンチ部材を回転さ
    せる回転駆動源とを含み、前記レンチ部材が、雄ねじ部
    材と雌ねじ部材とのうち回転させるべきねじ部材である
    回転ねじ部材に相対回転不能に係合させられてその回転
    ねじ部材を回転させることにより、両ねじ部材を被締付
    物を間に挟んで締め付けるねじ締付装置に取り付けて使
    用されるアタッチメントであって、 前記ケーシングに取り付けられる補助ケーシングと、 その補助ケーシングに回転可能に保持され、後端に前記
    レンチ部材に相対回転不能に係合する接続部を、先端部
    に前記回転ねじ部材に相対回転不能に係合するレンチ部
    をそれぞれ備えた回転伝達部材と、 その回転伝達部材の捩じれトルクを検出するトルク検出
    装置と、 そのトルク検出装置に接続される制御装置であって、
    少なくとも回転ねじ部材の座面が前記被締付物の座面に
    接触しない初期段階においてトルク検出装置により検出
    された捩じれトルクである初期段階トルクに基づいて締
    付終了条件を決定する締付終了条件決定手段と、その
    締付終了条件決定手段によって決定された締付終了条件
    が満たされた場合に、前記回転駆動装置の停止指令を発
    する停止指令手段とを備えたものとを含むことを特徴と
    する締付トルク管理用アタッチメント。
  6. 【請求項6】 雄ねじ部材と雌ねじ部材とを螺合させた
    状態で、それら両ねじ部材の一方である非回転ねじ部材
    の回転を防止し、それら両ねじ部材の他方である回転ね
    じ部材を回転させることにより、両ねじ部材を被締付物
    を間に挟んで締め付ける際に、締付トルクをコンピュー
    タにより管理するための制御プログラムであって、 前記回転ねじ部材の座面が前記被締付物の座面に接触し
    ない初期段階における回転ねじ部材の回転抵抗トルクで
    ある初期段階トルクを検出する初期段階トルク検出工程
    と、 その初期段階トルク検出工程において検出された初期段
    階トルクに基づいて締付終了条件を決定する締付終了条
    件決定工程と、 その締付終了条件決定工程において決定された締付終了
    条件が満たされたときに締付けの終了を指令する締付終
    了指令工程とを含む締付トルク管理プログラムが、前記
    コンピュータにより読み取り可能に記録されたことを特
    徴とする記録媒体。
  7. 【請求項7】 雄ねじ部材と雌ねじ部材とを螺合させた
    状態で、それら両ねじ部材の一方である非回転ねじ部材
    の回転を防止し、それら両ねじ部材の他方である回転ね
    じ部材を回転させることにより、両ねじ部材を被締付物
    を間に挟んで締め付ける装置であって、 前記回転ねじ部材の座面が前記被締付部材の座面に接触
    し、かつ、両ねじ部材のねじ面が実質的に接触していな
    い中間段階において、回転ねじ部材にその回転ねじ部材
    の座面を被締付物の座面に押し付ける向きの軸方向力を
    加える軸方向力付与装置と、 その中間段階において回転ねじ部材の回転抵抗トルクを
    検出するトルク検出装置と、 そのトルク検出装置により検出された回転抵抗トルクに
    基づいてスナグ点を決定する手段と、 そのスナグ点からの回転ねじ部材の回転角を検出する回
    転角検出装置と、 その回転角検出装置により検出された回転角が、締付力
    が所望の大きさに到達するに必要な回転角に到達したと
    き回転ねじ部材の回転停止を指令する停止指令手段とを
    含むねじ締付装置。
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