JPH1112076A - 油中水滴型エマルション爆薬組成物 - Google Patents

油中水滴型エマルション爆薬組成物

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JPH1112076A
JPH1112076A JP17143197A JP17143197A JPH1112076A JP H1112076 A JPH1112076 A JP H1112076A JP 17143197 A JP17143197 A JP 17143197A JP 17143197 A JP17143197 A JP 17143197A JP H1112076 A JPH1112076 A JP H1112076A
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JP
Japan
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water
emulsion explosive
oil
explosive composition
oil type
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JP17143197A
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English (en)
Inventor
Toshihiro Okitsu
敏洋 沖津
Atsushi Suzuki
淳 鈴木
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Nippon Koki Co Ltd
Original Assignee
Nippon Koki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 経時安定性を改良し2年間以上は初期の爆発
性能を維持する油中水滴型エマルション爆薬組成物を提
供する。 【解決手段】 1)有機アミン1〜15wt%、希硝酸
1〜15wt%、緩衝剤0.1〜1.0wt%、硝酸ア
ンモニウム45〜70wt%及び他の補助酸化剤3〜2
5wt%から成る酸化剤水溶液と、常温で固体石油質炭
化水素燃料1.5〜3.0wt%及び液体石油質炭化水
素燃料0.02〜0.10wt%から成る燃料成分と、
ソルビタン脂肪酸エステル型乳化剤2.0〜5.0wt
%と、比重調節剤0.10〜25.0wt%とで構成さ
れ、密度が0.50〜1.25g/ccである、又は
2)水5〜25wt%、硝酸アンモニウム55〜85w
t%及び他の補助酸化剤3〜25wt%から成る酸化剤
水溶液と、1)と同じ組成と割合から成る燃料成分乳化
剤、比重調節剤とで構成され、密度が1)と同じである
油中水滴型エマルション爆薬組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、経時安定性を改良
した油中水滴型エマルション爆薬組成物に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】一般に、産業用爆薬には、ダイナマイ
ト、カーリット等の従前から良く知られた爆薬以外に、
硝酸アンモニウムを主成分とし、安全性を高めるために
成分中に水を5wt%以上含んだ含水爆薬と、コストの
安価なANFO爆薬とがある。又、含水爆薬には、酸化
剤相(これは分散相とも、不連続相とも呼ばれる)の中
に燃料成分(これは単に油相、燃料相或いは連続相とも
呼ばれる)を有する形態のOil in waterタイプのスラリ
ー爆薬(略してO/W型)と、燃料成分の中に酸化剤相
を有する形態のwater in oilタイプのエマルション爆薬
(略してW/O型)とがある。
【0003】ダイナマイト、カーリットは、爆速もガス
ボリュームも高く非常に優秀な爆薬であるが、取扱感度
が高く、これまで度々尊い人命が製造中或いは消費中の
不慮の爆発事故によって失われている。
【0004】そんな中で、安全性が極めて高いウォター
ゲル或いはスラリーと呼ばれる含水爆薬が開発され、ダ
イナマイト或いはカーリットに変わろうとしたが、従来
と同一形状の紙巻きカートリッジにすることが困難であ
ったこと、或いはダイナマイトに比べるとやや威力が劣
る等の点からユーザーには受け入れられなかった。その
間に、紙巻き包装に適するエマルション爆薬も開発され
たが、爆発性能では一部ダイナマイトに劣るものであっ
た。
【0005】エマルション技術を用いた最初の爆薬発明
特許は、R.S.Egly等による米国特許第3,16
1,551号明細書であり、その後小口径で雷管起爆性
のエマルション爆薬はC.C.Wade等の米国特許第
3,715,247号明細書(爆轟触媒の利用)、及び
米国特許第4,110,134号明細書(気泡剤の利
用)で開示され、今日のエマルション爆薬の基礎となっ
ているが、これに様々な種類の鋭感剤を加えて種々特徴
のあるエマルション爆薬が開発され今日に至っている。
【0006】その中には、日本国内の使用状況に合わせ
た改良も種々あり、経時安定性もその一つである。特開
昭59−207889号公報には、ソルビタン脂肪酸エ
ステルのポリオール比率を特定の値に制限することによ
って経時安定性を計ること、特公昭60−8998号公
報にはワックスの特定性能に着目して経時安定性の有効
性を計ることが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、本質的には
爆薬に使用している原料によっては必ずしもそれらの方
法が有効なものではなかった。即ち、これまでエマルシ
ョン爆薬の公知の経時安定化方法には、上述したように
特定のワックスを用いる方法、或いは乳化安定剤及び/
又は乳化増強剤によって安定化が図られてきたが、使用
する主要成分によってはそれらの方法が必ずしも有効な
方法ではなかった。
【0008】一般に、含水爆薬は、爆薬成分中に火薬取
締法で言う火薬成分が全く含まれず、而も水が5wt%
以上含まれているため、高安全性が維持されていると言
っても過言ではない。近年においては、従来から知られ
た含水爆薬の一種であるスラリー爆薬に代わって、爆速
が高く、薬質,取扱性ともダイナマイトと同じようなエ
マルション爆薬が高安全度爆薬の主流になりつつある。
【0009】この爆薬は、公知の硝酸塩又は過塩素酸塩
等から成る酸化性塩水溶液、即ち、水と石油質炭化水素
燃料(油)とを共に高速度で繰り返し裁断して微細化し
たものを、乳化剤が持っている親水・親油両性質(親水
基,親油基)によって素早く結合させたものである。そ
のために、経時安定性は比較的劣悪である。諸外国、例
えば米国のように製造直後に爆発消費してしまうような
実態ならば問題は生じないが、製造後1年以上も火薬庫
に保管することがある日本国内では経時安定性が大きな
問題である。
【0010】本発明は斯かる従来の問題点を解決するた
めに為されたもので、その目的は、経時安定性を改良
し、少なくとも2年間は経時変化を受けても初期の爆発
性能を維持することが可能な油中水滴型エマルション爆
薬組成物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
有機アミン1〜15wt%、希硝酸1〜15wt%、緩
衝剤0.1〜1.0wt%、硝酸アンモニウム45〜7
0wt%及びその他の補助酸化剤3〜25wt%から成
る酸化剤水溶液と、常温では固体の石油質炭化水素燃料
1.5〜3.0wt%及び常温では液体の石油質炭化水
素燃料0.02〜0.10wt%から成る燃料成分と、
ソルビタン脂肪酸エステル型乳化剤2.0〜5.0wt
%と、比重調節剤0.10〜25.0wt%とで構成さ
れ、密度が0.50〜1.25g/ccであることを特
徴とする。
【0012】請求項2記載の発明は、水5〜25wt
%、硝酸アンモニウム55〜85wt%及びその他の補
助酸化剤3〜25wt%から成る酸化剤水溶液と、常温
では固体の石油質炭化水素燃料1.5〜3.0wt%及
び常温では液体の石油質炭化水素燃料0.02〜0.1
0wt%から成る燃料成分と、ソルビタン脂肪酸エステ
ル型乳化剤2.0〜5.0wt%と、比重調節剤0.1
0〜25.0wt%とで構成され、密度が0.50〜
1.25g/ccであることを特徴とする。
【0013】請求項3記載の発明は、請求項1記載の油
中水滴型エマルション爆薬組成物において、その他の固
体補助燃料2.0〜6.0wt%が更に添加されている
ことを特徴とする。請求項4記載の発明は、請求項2記
載の油中水滴型エマルション爆薬組成物において、その
他の固体補助燃料2.0〜6.0wt%が更に添加され
ていることを特徴とする。
【0014】請求項5記載の発明は、請求項1又は請求
項2記載の油中水滴型エマルション爆薬組成物におい
て、常温では固体の石油質炭化水素燃料は、融点が70
℃以上で、針入度で表示される硬さが25(25℃のも
とで)以下、抗張力が100psi以上のマイクロクリ
スタリンワックスであることを特徴とする。請求項6記
載の発明は、請求項1又は請求項2記載の油中水滴型エ
マルション爆薬組成物において、常温では液体の石油質
炭化水素燃料は、撹件機の高速回転による剪断力を酸化
性水溶液及び高温で液化した常温では固体の石油質炭化
水素燃料と乳化剤に容易に伝え、且つ素早く微細な分散
液滴粒子形状にするために、高温熱安定性であってしか
も乳化時の温度95±20℃において150cSt以下
の低粘性液体であることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】一般に、家庭用ドレッシングに見
られるように、水と油はあるエネルギーを与えると、分
散液滴粒子となって均一に混ざった様子を呈する。然し
乍ら、数分間静置すると、再び水と油とに完全に分離す
る。この分離現象を抑えエマルション構造を安定化させ
るためには、混合すべき両液に強力なエネルギーを与え
て均一微細な液滴粒子径にすること、得られる混合液の
粘度を高くすること、両液の比重差を無くすることが通
常考えられる対策である。
【0016】これまでエマルション爆薬の経時安定性を
改善するために為されてきた手段としては、前述のよう
に公知のソルビタン脂肪酸エステル中のソルビトール、
ソルビタン及びソルバイドのポリオール比率をある一定
範囲に取り込む方法と、特定のワックスの性質に限定し
たもの、或いはその他の乳化安定剤或いは乳化増強剤を
添加する方法とが知られている。
【0017】先に挙げた以外に、乳化増強剤の例として
は、特開昭59−97589号公報等が知られている。
然し乍ら、これらの方法は硝酸アンモニウム、硝酸ナト
リウム等の硝酸塩又は過塩素酸塩等から成る酸化性水溶
液を主成分とするエマルション爆薬には妥当な方法であ
るが、エマルション爆薬の爆発性能を増強するために有
機アミンを用い、且つ経時安定性を維持するために酸化
性水溶液のPHを5.5±1.5の範囲にコントロール
したような場合には、公知の安定剤或いは安定化方法も
有効な手段ではなく、配合成分に応じてその手段を講じ
ることが必要であることが分かった。
【0018】そこで、乳化組成物の安定性について原点
に戻って調査,検討した。乳化・可溶化の技術(工学図
書出版杜版、辻薦著、p58〜、p87〜)、及び分散
・乳化系の化学(工学図書出版社版、北原・古沢共著、
p235〜)にはエマルションの安定化について詳しい
記述がある。又、ワックスの性質と応用(幸書房、府瀬
川健蔵監修、p175〜)もエマルションの安定化につ
いて詳しい。
【0019】これらの事実を要約すると、一般的に、乳
化組成物の経時安定性は (1)分散物の細粒化と均質化 (2)粘度の増大 (3)水相/油相の比重差の低減 (4)保存温度管理 (5)安定剤の作用 等があり、(5)の安定剤の作用効果まで含めると分散
媒の改質等極めて多様となる。
【0020】ここでは、(3)は実質的に調整困難であ
り、(4)についてもユーザーに余計な負担をかけるの
をで改良策とはいえないことから、(1)、(2)につ
いての改良を検討することとした。先の文献は、乳化さ
れた分散液滴粒子が均一微細で尚かつ十分な粘性媒体中
にあり、乳化剤の種類が水相及び油相成分に見合ったも
のならば、特別な乳化安定剤或いは乳化増強剤を使用せ
ずとも十分に安定な乳化物を得ることができることを示
唆している。ここで、十分に均一微細な分散液滴粒子と
は、ワックスの粘性が0.05g/cm・secとして
5μm以下のことであり、又機械的高速回転だけでは1
μm以下より微細化することは困難であると述べてい
る。分散液滴粒子の粒子径が均一微細で、それを取り巻
く分散媒の粘度が高ければ、分散粒子の安定性はストー
クスの式とアインシュタインの式とのバランス関係から
より安定に保つことができる。従って、分散液滴粒子径
が5μm以下になるように乳化機設定をすればよいこと
になる。爆薬業界の製造設備は爆発性物質を取扱う関係
上、万一の異物の混入等の不具合でも、爆発事象の発生
を絶無に抑制する必要がある。そのため、乳化機等の回
転機器は回転体と固定体との隙間を3mm以上開けなけ
ればならない等の均一微細な分散液滴粒子にしようとす
る条件から逸脱した不利な条件が科せられている。そん
な中で、先の分散液滴粒子を均一微細に保つため、本発
明者は回転翼で効率よく微細に裁断できるよう高温安定
な低粘性のオイルを少量ずつ定量的に注出することとし
た。
【0021】一般に、エマルション組成物の安定性に
は、空気を取り込まないようにすることのほかに、乳化
終了後早めに冷却し、一気に粘性を増大させることが重
要なことである。乳化組成物に空気を取り込まないよう
にするためには、減圧乳化法か、加圧乳化法が好まし
い。
【0022】本発明では、周速の遅い(13.7m/
s)乳化では減圧乳化法を用い、周速の早い(18.8
m/s)乳化では加圧乳化法を採用した。一方、乳化分
散液滴粒子の合一を遅らせ、安定化を図るための手段と
して得られた爆薬カートリッジを冷凍機に導入し薬温を
40℃/10minまで急冷した。従って、回転翼(以
後タービンと称する)と得られた分散液滴粒子との潤滑
を計るために、常温では液体の高温安定な低粘性オイル
(動粘性係数150cSt以下)をできるだけタービン
近傍に導入することとし、その添加量は前記のように重
量比で0.02〜0.10wt%とした。
【0023】この添加量が0.10wt%を超えると、
分散液滴粒子は均質微細であっても最終製品の硬さが柔
らかくなり、経時安定性に悪影響が生じるばかりか、ユ
ーザーから柔らかいというクレームの対象になる。一
方、0.02wt%未満では、5μm以下の均質微細な
分散液滴粒子にするのに時間がかかり大量生産には向か
ない。
【0024】本発明で規定する低粘性オイルは、エマル
ション爆薬の燃料成分としての機能と共に乳化機タービ
ン或いはその軸受けの潤滑剤としての役割を兼ね備えた
ものであり、低粘性で高温安定性(引火点130℃以上
の潤滑油)であることが必須条件である。而も、この低
粘性オイルは、タービンにできるだけ近い位置で乳化工
程中絶え間なく定量的に注出されていることが望まし
い。こうすることによって、処理液がタービンをよりス
ムースに通過するためパス回数が増えてそれに応じて処
理済み分散液滴粒子は微細化されるとともに均一化が進
む。
【0025】又、乳化工程中における添加方法は、間歇
乃至連続的にタービン等の回転体の極めて近傍で注出す
る構造が望ましい。更に得られた製品カートリッジの安
定化を図るにはカートリッジ上に包装されたら直ぐに冷
却することである。こうすることによってこれまでの2
倍以上の経時安定化が計られる。
【0026】上述したように、エマルション爆薬の経時
安定性を向上するためには、使用する原料によって経時
安定化方法が異なるが、ある一定PH範囲の酸化剤溶液
を使用する場合には、これまで通常取られてきた安定化
方法が必ずしも妥当なものではなく、エマルション分散
液滴粒子径の均質細粒化とそれを取り巻く溶媒の粘性増
大によって、更に好ましくは得られたカートリッジに急
激な冷却工程を入れることによってより、一層のエマル
ション爆薬の経時安定性の向上を図ることができる。
【0027】この分散液滴粒子径の均一微細化のために
取るべき手段は、高温安定な低粘性石油質炭化水素(例
えば、タービンオイル或いはハイホワイトオイル)であ
って、好ましくは乳化機のタービン近傍に少量(0.0
2〜0.10wt%)を間歇乃至定量的に注入できる構
造であれば尚良好である。こうすることによって、これ
まで公知の特別な乳化安定剤或いは乳化増強剤のような
化学的方法を使用しなくとも十分安定なエマルション爆
薬が得られることが分かった。
【0028】次に、本発明において、油中水滴型エマル
ション爆薬組成物の密度を0.50〜1.25g/cc
とする理由は、下記の通りである。爆薬にとっては燃料
成分ではなく不純物であるガラスマイクロバルーンのよ
うな比重調節剤で密度を0.50g/cc未満にする
と、爆轟中断を起こす。然し、比重調節剤が樹脂バルー
ンのようなそれ自身が燃料成分となる場合は、更に低い
密度でも爆発性は維持できるが、容積比率で見た場合に
は、油中水滴型エマルション組成物成分が40容積%程
度までならば爆発性を維持する。つまり、油中水滴型エ
マルション組成物成分が20容積%未満では反応物質が
不足し、反応持続性が無くなる。一方、密度が1.25
g/ccを超えると、低温起爆性能が著しく低下し、つ
いには雷管起爆性が失われてしまう。
【0029】又、本発明において、比重調節剤は、粒径
が44〜250μmの樹脂又はガラス質微小中空球体で
あることが望ましい。爆発速度(爆速)は微小中空球体
の粒子径が44μm近傍又はそれ以下で最大値を示し、
これより同粒子径が大きくなると低下し、低温感度は同
粒子径が74〜200μmで最も効果がある。従って、
エマルション爆薬はスラリー爆薬に比べ、爆薬を構成す
る燃料及び酸化剤の接触効率が非常に高く、そのため反
応効率が極めて高く高爆速が得られる。それ故、爆速向
上を狙うよりも低温性能の向上を狙って微小中空球体の
粒子径が選定される。即ち、粒子径が44μm未満では
得られる爆薬の低温感度が不十分で、逆に250μmを
超えると爆速が極めて低下する。
【0030】又、炭素質燃料成分としては、例えば、パ
ラフィン系炭化水素、オレフィン系炭化水素、ナフテン
系炭化水素、芳香族系炭化水素、飽和又は不飽和炭化水
素、石油精製鉱油、潤滑油、流動パラフィン、例えば、
ニトロ炭化水素等の炭化水素誘導体等の燃料油及び/又
は石油から誘導される未精製若しくは精製マイクロクリ
スタリンワックス、パラフィンワックス等、或いは鉱物
性ワックスであるモンタンワックス、オゾケライト等、
動物性ワックスである鯨ロウ、昆虫ワックスである密ロ
ウ等のワックス類等、従来からW/O型爆薬の連続相に
使用される炭化水素系物質の何れをも含み、これらを単
独若しくは混合物として用いることができる。
【0031】又、ソルビタン脂肪酸エステル型の乳化剤
としては、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビ
タンモノオレート、ソルビタンモノパルミテート、ソル
ビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレート、
ソルビタンジオレート、ソルビタントリオレート等があ
る。又、その他の補助酸化剤は、アルカリ金属又はアル
カリ土類金属硝酸塩及び/又は過塩素酸塩の水溶性酸化
性塩である。アルカリ金属又はアルカリ土金属の硝酸塩
又は過塩素酸塩から選ばれる酸化性塩としては、硝酸ナ
トリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロ
ンチウム、硝酸バリウム、硝酸リチウム等の硝酸塩、過
塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸カルシ
ウム、過塩素酸ストロンチウム、過塩素酸バリウム、過
塩素酸リチウム等の過塩素酸塩である。
【0032】処で、爆薬の威力向上を目的とする場合は
一般的な常套手段であるアルミニウムのような燃料成分
を添加することのほか、水和ヒドラジン或いはモノエタ
ノールアミン、エチレンジアミン及びモノメチルアミン
等の有機アミン類を用いた方が例えば弾動臼砲比で示さ
れる爆薬の静的威力が明らかに向上する。従って、その
一例として水和ヒドラジン及びモノエタノールアミンを
用いた場合を実施例に明示した。その際、添加する有機
アミンがモノメチルアミンであろうとエチレンジアミン
であろうと水分を除いた正味添加量がほぼ同等であれば
威力向上の度合いには殆ど有意差はない。そこで、本発
明は、経時安定性を向上した組成物に関するものである
ため、エチレンジアミン及びモノメチルアミンの場合の
比較例・実施例については省略した。
【0033】本発明において、酸化性水溶液のPHを
5.5±1.5とする理由は下記の通りである。PH
4.0未満では、乳化剤成分が酸により乳化作用が弱ま
り不安定化し、PHが7.0を超えると、エマルション
組成物中の過飽和溶液状態にある水滴相内でアンモニア
ガスが発生し、ついにはエマルション構造の破壊となり
経時安定性を損なってしまうからである。
【0034】又、有機アミンが15wt%を超えると、
最終爆薬組成物の酸素バランスが大きく負になり、低温
感度、反応速度、砂上殉爆度及び弾動臼砲比等の爆発性
能が極めて悪くなる。希硝酸は、有機アミンを中和しP
H範囲を所定の値にするために必要とされる量であっ
て、有機アミンの使用量と設定するPH値によって一義
に決まる。硝酸アンモニウムは、設定値より少なすぎる
と、弾動臼砲比が低下し、多すぎると、その他の成分が
相対的に減って経時安定性等が悪化する。又、その他の
補助酸化剤の量が設定値より少なすぎると、酸素バラン
スが大きく負になり、前述のように爆発性能に悪影響を
呈し、多すぎると相対的に硝酸アンモニウムの量が減り
弾動臼砲比の低下をきたす。
【0035】又、常温では固体の石油質炭化水素燃料の
量は、1.5wt%未満では、微細粒子化された酸化剤
溶液を包み込むだけの油脂分が不足し経時安定性の劣化
をきたし、逆に3.0wt%を超えると、酸素バランス
が大きく負になり、前述のように爆発性能に悪影響を呈
する。又、常温では液体の石油質炭化水素燃料の量は、
0.02wt%未満では、分散すべき酸化剤溶液の微細
粒子化が困難になり、結局経時安定性の悪化をきたす。
逆に、0.10wt%を超えると、得られるエマルショ
ン爆薬の薬質が柔らかくなり、経時安定性に悪影響を与
えるばかりか添加の目的から逸脱してしまう。
【0036】又、ソルビタン脂肪酸エステル型乳化剤の
量は、2.0wt%未満では、分散された微細粒子の酸
化剤溶液とこれを包み込む油脂分との結合剤が少なく、
エマルション状態を保つことが困難になり、結局経時安
定性の悪化をきたす。逆に、5.0wt%を超えると、
得られるエマルション爆薬の薬質が柔らかくなるばかり
か、酸素バランスが大きく負になり前述のように経時安
定性が悪くなると同時に爆発性能に悪影響を呈する。
【0037】次に、請求項2における成分配合比の範囲
について説明する。水の範囲が5wt%未満では、含水
爆薬の定義から外れるばかりか、乳化に非常に時間が掛
かり、時には不完全乳化となることがある。逆に、25
wt%を超えると、得られた爆薬の薬質が極めて柔らか
くなって経時安定性の悪化を招くと同時に、爆発時に水
を気化するために余分なエネルギーを必要とし、このた
め爆発エネルギーの低下をきたす。
【0038】請求項3における成分配合比の範囲につい
て説明する。その他の固体補助燃料としてはアルミニウ
ムが最も有効であるため、これを例にとって説明する。
この量が2.0wt%未満では、添加しただけの明瞭な
効果が得られず、ただ単に製品単価を上げるのみであ
る。一方、6.0wt%を超えると、酸素バランスが大
きく負になり、爆発威力の増大という目的に対する効果
はほぼ飽和状態を過ぎてしまったかのように幾分漸増す
るものの製品単価の上昇に大きく跳ね返るばかりで有効
な方法ではない。
【0039】請求項5における設定範囲について説明す
る。融点が70℃未満、抗張力が100psi未満で
は、得られたエマルション爆薬の薬質が柔らかく且つぼ
そぼそとしたものになり、低温時において氷化の兆候が
現れたり或いは経時安定性が悪くなる。逆に、針入度が
25を超えると、得られたエマルション爆薬の薬質が柔
らかくなり経時安定性が悪くなる。
【0040】請求項6における設定範囲について説明す
る。動粘性係数が150cStを超えると、微量の常温
で液休である石油質炭化水素が効率よくタービン軸受け
近傍に分散され難くなって不均一な酸化剤分散粒子径と
なり、経時安定性に悪影響を与える。本発明において、
固体補助燃料は、アルミニウム、硫黄、尿素、ギルソナ
イト、カーボンから成る群から選ばれた一種又は二種以
上を含む。
【0041】
【実施例】
(実験例1)水12wt%に硝酸アンモニウム70wt
%と硝酸ナトリウム8.9wt%を加え、85〜90℃
まで加温して溶解させた後、同温度に加温した2.00
重量のワックス(日本精蝋株式会社製Himic206
5)及び4.45wt%の乳化剤混合物(花王株式会社
製レオドールSP−O15 1.00wt%と、日本乳
化剤株式会社製エマトールNS 3.45wt%)を加
えてバッチ式乳化機(周速13.7m/s)で減圧乳化
して得られた組成物に、2.65wt%のガラスマイク
ロバルーン(住友3M社製K−15)を加えて捏和し
た。
【0042】得られた爆薬のカートリッジ充填密度は、
約80℃で1.16g/ccであり、一方、精機工業研
究所製粘度計ビスメトロンVS−H型のNo.7ロータ
で測定した粘度は85℃の高温状態で4.22×106
cPであった。この配合は酸化剤成分が全て硝酸塩水溶
液から成るエマルション爆薬であって、低温における爆
発性能をよくするために気泡剤を若干増やした。
【0043】爆薬性能は表1の実験例1に記した。 (実験例2)濃度70%のモノエタノールアミン(ME
A)4.3wt%に水9.2wt%と硝酸アンモニウム
66.8wt%及び酢酸ナトリウム0.3wt%を加
え、よく混ぜる。これに67%希硝酸約4.0wt%加
えてそのPHを5.0±0.05に調節する。その後、
硝酸ナトリウム6.9wt%を加えて先の実験例1と同
様に約85℃以上に加温溶解する。その後、別途85℃
以上に加温した2.00wt%のワックス(日本精蝋株
式会社製Himic2065)及び4.00wt%の乳
化剤混合物(花王株式会社製レオドールAO−15
1.00wt%と、日本乳化剤株式会社製エマトールN
S 3.00wt%)をその酸化剤溶液に加えてバッチ
式乳化機(周速13.7m/s)で減圧乳化する。
【0044】得られた乳化組成物に、2.5wt%のガ
ラスマイクロバルーン(住友3M社製K−15−30
0)を加えて捏和し、ポリエチレンラミネートパラフィ
ン紙に充填したカートリッジの密度は約85℃で1.1
9g/ccであり、一方、精機工業研究所製粘度計ビス
メトロンVS−H型のNo.7ロータを用いた粘度は8
5℃で3.42×106cPであった。
【0045】その爆薬性能は表1の実験例2に記した。 (実験例3)濃度80%の水和ヒドラジン3.0wt%
に水9.2wt%と硝酸アンモニウム66.7wt%及
び酢酸ナトリウム0.3wt%を加え、よく混ぜる。こ
れに67%希硝酸約4.4wt%加えてそのPHを5.
0±0.05に調節した。その後、硝酸カルシウム6.
9wt%を加えて先の実験例1と同様に約85℃以上に
加温溶解する。一方、85℃以上に加温した2.00w
t%のワックス(日本精蝋株式会社製Himic206
5)及び4.00wt%の乳化剤混合物(花王株式会社
製レオドールAO−15 1.00wt%と、日本乳化
剤株式会社製エマトールNS 3.00wt%)をこの
酸化剤溶液に加えてバッチ式乳化機(周速10.7m/
s)で減圧乳化した。
【0046】得られた乳化組成物に3.5wt%のガラ
スマイクロバルーン(住友3M社製K−25−750)
を加えて捏和し、ポリエチレンラミネートパラフィン紙
に充填した。カートリッジの密度は約85℃で1.19
g/ccであり、一方、精機工業研究所製粘度計ビスメ
トロンVS−H型のNo.7ロータを用いた粘度は85
℃で2.35×106cPであった。
【0047】爆薬性能は表1の実験例3に記した。 (実験例4)実験例3と同様な製造方法であるが、バッ
チ式乳化機の回転数を周速12.2m/sと稍上げて乳
化物を製造した。
【0048】これに3.5wt%のガラスマイクロバル
ーン(住友3M社製K−25−750)と東洋アルミニ
ウム株式会社製燐片状アルミニウム(PF0100S)
3.0wt%を加えて捏和し、同上パラフィン紙に充填
した。カートリッジの密度は約85℃でl.21g/c
cであり、一方、精機工業研究所製粘度計ビスメトロン
VS−H型のNo.7ロータを用いた粘度は85℃で
4.11×106cPであった。
【0049】爆薬性能は表1の実験例4に記した。 (実験例5)実験例3と同様な製造方法であるが、ワッ
クスの種類を融点の高いもの(日本精蝋株式会社製Lu
vax 2191)に変え、バッチ式乳化機の回転数を
周速13.7m/sと上げて乳化物を製造した。
【0050】これに3.5wt%のガラスマイクロバル
ーン(旭硝子株式会社製N−25)と東洋アルミニウム
株式会社製粒状アルミニウム(AC0780)5.0w
t%を加えて捏和し、同上パラフィン紙に充填したカー
トリッジの密度は約85℃で1.22g/ccであり、
一方、精機工業研究所製粘度計ビスメトロンVS−H型
のNo.7ロータを用いた粘度は85℃で4.06×1
6cPであった。
【0051】爆薬性能は表1の実験例5に記した。 (実験例6)濃度80%の水和ヒドラジン10.0wt
%に硝酸アンモニウム56.0wt%及び酢酸ナトリウ
ム0.5wt%を加え、よく混ぜる。これに67%希硝
酸約14.8wt%加えてそのPHを5.0±0.05
に調節した。その後、硝酸ナトリウム9.2wt%を加
えて先の実験例1と同様に約85℃以上に加温溶解す
る。
【0052】別途に1.5wt%のワックス(日本精蝋
株式会社製Himic2065)と4.0wt%の乳化
剤(花王株式会社製レオドールSP−010 1.00
wt%と、日本乳化剤株式会社製エマトールNS 3.
00wt%)及び0.5wt%のタービンオイル(日本
石油株式会社製FBK100)を混ぜ、約90℃に加温
溶解した。
【0053】これを上述の酸化剤溶液に加えてバッチ式
乳化機(周速12.2m/s)で減圧乳化した。得られ
た乳化組成物に3.5wt%のガラスマイクロバルーン
(旭硝子株式会社製N−25)を加えて捏和し、ポリエ
チレンラミネートパラフィン紙に充填した。
【0054】カートリッジの密度は約85℃で1.20
g/ccであり、一方、精機工業研究所製粘度計ビスメ
トロンVS−H型のNo.7ロータを用いた粘度は85
℃で3.35×106cPであった。その爆薬性能は表
1の実験例6に記した。 (実験例1〜6の考察)以上の実験例1〜5は、高温安
定な低粘性オイルを含まず、周速をやや抑えたものであ
るが、実験例6は同じ乳化方法であっても低粘性オイル
(タービンオイル)を0.5wt%加えたものである。
【0055】実験例3〜5は、周速が遅く、又処理物の
タービンヘの通過回数も低いことから、均一微細な液滴
粒子が得られ難く、そのために温度サイクル数で示され
る経時安定性が低い結果となっている。一方、実験例6
は、タービンオイルが含まれているため、処理物がター
ビンへと循環し易い雰囲気にあって、本発明の効果を享
受できるはずであるが、タービンの周速が12.2m/
sと低いため、十分な微細化が得られなかったこと、更
にその添加量が0.50wt%と多いために得られた爆
薬の粘度が85℃で3.35×106cPと低く、経時
安定性が18ヶ月と悪くなった。
【0056】前述のように、酸化剤水溶液の中に通常の
硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム又は硝酸カルシウム
以外の成分、例えばアミン硝酸塩又はアミン過塩素酸
塩、或いはRDX,HMXのようなそれ自身爆薬であっ
て水への溶解度が低い成分等が入ったエマルション爆薬
にあってはその成分に応じた経時安定化方法がある筈で
ある。
【0057】そこで、アミン硝酸塩を含み、ある一定範
囲のPHに調節した酸化剤溶液から成る本発明のような
乳化型爆薬の経時安定性について検討するため、理論的
に裏付けられたストークスの沈降・浮上則とアインシュ
タインの拡散則から分散液滴粒子径を5μm以下で可能
な限り小さくすることと溶媒の粘性を上げることを試み
た。
【0058】その検討の初期段階としてタービンの周速
及び処理液のタービン通過回数による影響として分散液
滴粒子径と経時安定性の関係を調査した。その結果、前
記文献通り分散液滴粒子径が小さく、又その粒子径が均
一である方が遥かに経時安定性がよいことが分かった。
そのために、タービンの周速を可能な限り上げるほか
に、低粘性潤滑油をタービン又はタービン軸受け近傍に
定量的に注出し処理液が循環し易いようにすることによ
って、処理液を均一微細な分散液滴粒子とすることがで
きることが分かった。
【0059】具体的には、以下の通りである。分散液滴
粒子径を5μm以下の均一微細化にするために乳化機タ
ービン又はタービン軸受け近傍部に高温安定な低粘性潤
滑剤、例えばタービンオイル或いはハイホワイトオイル
を例えば間歇油圧ポンプ或いはギヤポンプで定量的
(0.02〜0.10wt%)に注出することによって
タービンの回転とそこを通る処理液の通過をスムースに
させ、処理液のタービン通過回数を増大させた。
【0060】一方、もう一つの分散液滴の凝集合一を遅
らすためには、溶媒粘性を上げることが有効であり、そ
の1手段としてワックスの選定がある。通常、本発明の
ような乳化型爆薬に使われるワックスには、不飽和炭化
水素から成るマイクロクリスタリンワックスが好ましい
とされるが、その中でも硬めのものが経時安定性を良好
に保つ点から好ましいことが分かり、25℃での針入度
(石油ワックスの針入度試験法JlS−K−2235の
5・4による)が20以下で、70℃以上の融点を持つ
マイクロクリスタリンワックスを使用した。
【0061】以上のこれまでにない特定の手段と従来の
エマルション爆薬製造技術とを組み合わせて以下のよう
に実施した。 (実施例1)実験例1とほぼ同様な配合比であるが、本
発明で言う高温安定な低粘性オイル(日本石油株式会社
製FBKタービンオイル100)0.10wt%を用い
て減圧乳化(真空度600mmHg)した。
【0062】電子顕微鏡写真(図1)から分散液滴は、
微細であるが稍均一性に欠ける。実験例1よりも経時安
定性が良くなっており(18ヶ月が27ヶ月になっ
た)、爆速値もやや上昇している(5155m/sが5
350m/sになった)。その他の試験結果は実施例1
のコラムに示した。ここで、電子顕微鏡は日本電子製J
MS220を用い、その倍率は5000倍である。
【0063】(実施例2〜4)実験例2の配合比をベー
スにし、それにアルミニウムを加えたときの効果を示し
ている。これらは本発明で言う高温安定な低粘性オイル
(日本石油株式会社製FBKタービンオイル100)を
それぞれ0.02wt%、0.04wt%、0.08w
t%を用いゲージ圧を2.5〜2.8Kgf/cm2
加圧乳化した。
【0064】アルミニウムは爆薬の爆轟反応温度を上昇
させ、その結果爆薬の持つ静的威力効果を増大させると
いわれているが、本実施例においても爆速・低温感度に
は有効に作用していないが、弾動臼砲比には大きな効果
を有していることが分かる。これらの爆発試験結果等は
それぞれの実施例のコラムに示した。 (実施例5〜7)実験例3、4、5とほぼ同様な配合比
であるが、実施例5、6では本発明で言う高温安定な低
粘性オイルとして0.04wt%のハイホワイトオイル
(日本石油株式会社製ハイホワイト350)を用い、実
施例7では0.10wt%のタービンオイル(日本石油
株式会社製FBKタービンオイル100)を用い、ゲー
ジ圧2.5〜2.8Kgf/cm2で加圧乳化したもの
である。
【0065】アルミニウムをそれぞれ3wt%、5wt
%添加した実施例6、7は弾動臼砲比が徐々に大きくな
っており、アルミニウムの添加効果が明瞭である。性能
試験結果はそれぞれのコラムに示す。 (実施例8、9)実験例6の配合比をベースにし、比重
調節剤の種類の効果及びアルミニウムの効果を調べるた
めの配合比である。
【0066】実施例8は本発明で言う高温安定な低粘性
オイルとしてハイホワイトオイル(ハイホワイト35
0)を0.04wt%を用いてゲージ圧2.5Kgf/
cm2で加圧乳化したもの、実施例9は0.04wt%
のタービンオイル(日本石油株式会社製FBKタービン
オイル100)を用いて減圧乳化(真空度580mmH
g)した。
【0067】性能試験結果はそれぞれのコラムに示す。
実施例8の電子顕微鏡写真を図2に示す。 (実施例1〜9の考察)通常、産業用爆薬は、特別坑外
用と限定してないものは坑内使用を勘案して人体に有害
な発破後ガス(これを通常後ガスと呼んでいる)が発生
しないように酸素バランスを零付近乃至カートリッジ包
装分を含めて若干正に調節している。処が、アルミニウ
ムを添加した実施例2、3、4、6、9(添加量3wt
%、OB約−2.4)及び実施例7(添加量5wt%、
OB約−4.2)は酸素バランスが大きく負であるに拘
わらず発破後の有害なガス、例えば、CO、NO、NO
2が極めて少ないことが分かる。これは、アルミニウム
の燃焼反応温度が高いため、反応効率が上昇し、その結
果、有害ガスが減じたものであろう。
【0068】又、本発明において、実施例の粘度が比較
例の粘度より高い点に特長がある。エマルションの安定
化法としてエマルション粒子径の微細粒化と粘度の増大
が上げられる。一例でもって説明を加えると、実験例l
と実施例1とでは配合組成上殆ど差はないにも拘わらず
乳化組成物の平均粒子径がやや小さく更に粘度も高くな
っている。これは0.10wt%のタービンオイルの添
加によりより効率的に乳化が進行し、組成物が微細粒化
されたためであってその結果として粘度が上昇したもの
である。これら微細粒化と粘度増大とにより温度サイク
ルで示される経時安定月数が延びたものである。
【表1】 表1において、乳化組成物の平均粒子径(μm)は、電
子顕微鏡(日本電子製JMS220、倍率は5000
倍)により判定した。爆薬密度(g/cc)は、充填温
度約80℃での30φ×50mmアルミカップ充填容器
から割り出した密度である。MIT(℃)は、Minimum
Initiation Temperatureの略で、3/3完爆温度であ
る。
【0069】砂上殉爆度(薬径倍数)は火薬学会規格E
S−32(1)による値である。カートリッジ爆速(m
/s)は、30φ×200gのカ−トリッジ試料を火薬
学会規格ES‐41(2)に準じて実施した値である。
弾動臼砲比(TNT%)は火薬学会規格ES−44
(1)による値である。針入度は、25℃において、J
lS−K−2530の装置の針の代用として円錐状のコ
ーンを使用した場合の値である。
【0070】経時安定月数(温度サイクル数)は+25
℃(24時間保温)〜−15℃(24時間保温)の温度
サイクル数を示す。 (実施例10〜18)本発明に係る油中水滴型エマルシ
ョン爆薬組成物の低密度性能を調べるために、実施例5
の硝酸カルシウムを硝酸ナトリウムに、そしてガラスバ
ルーンを水に変えた配合組成で加圧乳化法によって乳化
組成物(ベースエマルション)を作り、これに住友3M
社製ガラスバルーンK−25−750を外割で任意の量
混ぜて低密度エマルション爆薬を作り、性能試験を実施
した。
【0071】その結果を表2に示す。
【表2】 表2において、樹脂バルーンMFL80は、松本油脂株
式会社製の塩化ビニリデン/アクリロニトリルから成る
微小中空球体であり、限界薬径は伝爆可能な最小薬径で
ある。
【0072】表2から、比重調節剤を多くすると、それ
だけ密度が下がり、感度が上昇すると共に爆速が低下し
てしまうが、30wt%までであればそのような問題が
ないことが確認された。
【0073】
【発明の効果】以上のように、請求項1乃至請求項6記
載の発明によれば、常温で液体の石油質炭化水素、例え
ばタービンオイル、ハイホワイトオイルを少量燃料成分
として添加することによって乳化機による酸化性水溶液
の分散液滴粒子をより素早く而も均一微細に維持するこ
とが可能となり、それによって爆薬の経時安定性を改良
することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の油中水滴型エマルション爆薬組成物
の分散液滴を示す電子顕微鏡写真。
【図2】実施例8の油中水滴型エマルション爆薬組成物
の分散液滴を示す電子顕微鏡写真。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機アミン1〜15wt%、希硝酸1〜
    15wt%、緩衝剤0.1〜1.0wt%、硝酸アンモ
    ニウム45〜70wt%及びその他の補助酸化剤3〜2
    5wt%から成る酸化剤水溶液と、 常温では固体の石油質炭化水素燃料1.5〜3.0wt
    %及び常温では液体の石油質炭化水素燃料0.02〜
    0.10wt%から成る燃料成分とソルビタン脂肪酸エ
    ステル型乳化剤2.0〜5.0wt%と、 比重調節剤0.10〜25.0wt%とで構成され、 密度が0.50〜1.25g/ccであることを特徴と
    する油中水滴型エマルション爆薬組成物。
  2. 【請求項2】 水5〜25wt%、硝酸アンモニウム5
    5〜85wt%及びその他の補助酸化剤3〜25wt%
    から成る酸化剤水溶液と、 常温では固体の石油質炭化水素燃料1.5〜3.0wt
    %及び常温では液体の石油質炭化水素燃料0.02〜
    0.10wt%から成る燃料成分と、 ソルビタン脂肪酸エステル型乳化剤2.0〜5.0wt
    %と、 比重調節剤0.10〜25.0wt%とで構成され、 密度が0.50〜1.25g/ccであることを特徴と
    する油中水滴型エマルション爆薬組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の油中水滴型エマルション
    爆薬組成物において、 その他の固体補助燃料2.0〜6.0wt.%が更に添
    加されていることを特徴とする油中水滴型エマルション
    爆薬組成物。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の油中水滴型エマルション
    爆薬組成物において、 その他の固体補助燃料2.0〜6.0wt.%が更に添
    加されていることを特徴とする油中水滴型エマルション
    爆薬組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1又は請求項2記載の油中水滴型
    エマルション爆薬組成物において、 常温では固体の石油質炭化水素燃料は、融点が70℃以
    上で、針入度で表示される硬さが25(25℃のもと
    で)以下、抗張力が100psi以上のマイクロクリス
    タリンワックスであることを特徴とする油中水滴型エマ
    ルション爆薬組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1又は請求項2記載の油中水滴型
    エマルション爆薬組成物において、 常温では液体の石油質炭化水素燃料は、攪拌機の高速回
    転による剪断力を酸化性水溶液及び高温で液化した常温
    では固体の石油質炭化水素燃料と乳化剤に容易に伝え、
    且つ素早く微細な分散液滴粒子形状にするために、高温
    熱安定性であってしかも乳化時の温度95±20℃にお
    いて150cSt以下の低粘性液体であることを特徴と
    する油中水滴型エマルション爆薬組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002060295A (ja) * 2000-08-14 2002-02-26 Nippon Kayaku Co Ltd 油中水滴型エマルション爆薬
CN109879710A (zh) * 2017-12-06 2019-06-14 宏大爆破有限公司 用于炸药乳胶基质的复配油相和现场混装炸药、制备方法
CN110183294A (zh) * 2019-07-11 2019-08-30 抚顺隆烨化工南杂木有限公司 一种长保质期的多孔粒铵油炸药配方

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