JPH11118783A - 食品中の亜硝酸根の簡易測定用発色試薬と亜硝酸根の簡易測定法 - Google Patents

食品中の亜硝酸根の簡易測定用発色試薬と亜硝酸根の簡易測定法

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JPH11118783A
JPH11118783A JP9281507A JP28150797A JPH11118783A JP H11118783 A JPH11118783 A JP H11118783A JP 9281507 A JP9281507 A JP 9281507A JP 28150797 A JP28150797 A JP 28150797A JP H11118783 A JPH11118783 A JP H11118783A
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reagent
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JP9281507A
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Hiroshi Hirahara
弘志 平原
Yuichi Kamata
雄一 鎌田
Masanori Numazawa
雅則 沼澤
Akio Ogoshi
昭夫 尾越
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Maruha Nichiro Corp
Original Assignee
Nichiro Corp
Nichiro Gyogyo Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、食品素材中に自然に含まれている亜
硝酸塩や、食品の発色剤として添加されている亜硝酸根
の簡易な測定用発色試薬と、それを用いた簡易な定量測
定方法に関するものである。 【構成】 スルファニルアミドおよび/またはスルファ
ニル酸とN−1−ナフチルエチレンジアミンと常温で固
体の酸とを組み合わせてなる亜硝酸根簡易測定用発色試
薬と、食品より水で亜硝酸根を抽出し、この亜硝酸根抽
出液を濾過したうえ、当該亜硝酸根簡易測定用発色試薬
を添加して赤色に発色させた後、当該亜硝酸根発色液と
標準発色見本とを比色することにより、亜硝酸根の濃度
値を決定するようにしたことを特徴とする食品中の亜硝
酸根の簡易測定法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】食品素材中に自然に含まれている
亜硝酸塩や、食品の発色剤として添加されている亜硝酸
根の簡易な測定用発色試薬と、それを用いた簡易な定量
測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】亜硝酸根(NO2 )は、自然界に広く分
布しており、原料魚中にも微量ながら存在している。ま
た亜硝酸塩は、食肉ハム、ソーセージ、筋子、いくら等
の加工食品の変色を防止し着色効果を上げるための添加
剤として使用が許可されている。しかるに、亜硝酸根
(NO2 )は、魚肉中のジメチルアミンと反応して、ニ
トロソジメチルアミンを生成するが、このニトロソジメ
チルアミンには、最近発癌性があることが解ってきた。
このため、我国の食品衛生法では、食品中の亜硝酸根
は、食肉ハム、ソーセージ等は70ppm以下、筋子、
いくら等の魚卵類は5ppm以下でなくてはならないと
規定し、食品衛生的見地から食品中の亜硝酸根(NO
2 )含量や使用量(残存量)が重要な問題となり、各方
面で亜硝酸根(NO2 )の定量法の研究開発がなされる
ようになった。普及している亜硝酸根(NO2 )の定量
法としては、食品衛生法で定めている食品添加物試験法
(法定比色定量法)と、グリースロミイン試薬(Griess
-Romijn's reagent )による方法がある。
【0003】前者の食品添加物試験法は、公定法と称さ
れ、次のように行われる。先ず、食品試料をすり潰した
試料の酵素作用を停止または破壊するために80℃の水
を加えるとともに、NaOH,ZnSO4 を使用して、
コロイド性沈殿を形成して除蛋白質操作を行う。 2NaOH+ZnSO4 →Zn(OH)2 ↓+Na2
4
【0004】この条件下でCH3 COONH4 Buff
erを添加して液性をアルカリ性(pH9.5)とする
と、添加したZn2+のほとんどすべてがZn(OH)2
の形で沈殿する。Zn(OH)2 は、液中の微粒子をよ
く吸着するので清澄な濾液(NO2 の抽出液)が得られ
る。この濾液(NO2 の抽出液)を酸性下でスルファニ
ルアミド(NH264 SO2 N−H2 )とN−1−
ナフチルエチレンジアミンと(C107 NHC24
2 )とに反応させ、次式に示すアゾ色素の形成により
赤色に発色(約20分間放置)させる。この発色した測
定液を分光光度計にて吸光度を測定し、NO2 の濃度を
決定する方法である。その発色の原理は数1の通りであ
る。
【0005】
【数1】
【0006】後者のグリースロミイン試薬(Griess-Rom
ijn's reagent )による方法は、簡易比色定量法とされ
ているもので、旧法と新法とがある。まずグリースロミ
イン試薬による旧法は、食品試料をすり潰した試料の酵
素作用を停止または破壊するために80℃の水を加えた
うえ、NaOHとZnSO4 を添加せず加熱によって蛋
白質を凝集沈殿して除蛋白質操作をおこなう。これを濾
過して濾液(NO2 の抽出)を得、この濾液のpH調整
を行わずにグリースロミイン試薬(Griess-Romijn's re
agent )を加えて発色(約15分間放置)させ、これを
比色して、NO2 の濃度を決定する方法である。尚、グ
リースロミイン試薬というのは、α−ナフチルアミン1
%、スルファニル酸10%、酒石酸89%を成分とする
試薬である。
【0007】次にグリースロミイン試薬による新法は、
食品をすり潰した試料の酵素作用を停止または破壊する
ために80℃の水を加えるとともに、NaOH,ZnS
4を使用して、コロイド性沈殿を形成して除蛋白質操
作を行う。次に、この条件下でCH3 COONH4 Bu
fferを添加して液性をアルカリ性(pH9.5)と
すると、添加したZn2+のほとんどすべてがZn(O
H)2 の形で沈殿する。Zn(OH)2 は、液中の微粒
子をよく吸着するので清澄な濾液(NO2 の抽出液)が
得られる。当該濾液を塩酸(HCl)とグリースロミイ
ン試薬で発色(約20〜30分間放置)させ、これを比
色して、NO2 の濃度を決定する方法である。
【0008】当該新法と旧法は、共にグリースロミイン
試薬によって発色させ、これを比色して、簡便にNO2
の濃度を判定する点で共通しているが、新法は、平成五
年度より適正すじこ製造工場認定制度が制定されたこと
により、分析法も途中の除蛋白質操作も公定法と同様に
変更したものである。尚、当該グリースロミイン試薬に
よる発色反応は、数2の通りである。
【0009】
【数2】
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、従来の三
種類の定量法についてその分析値を比較しながら、その
問題点を検討した。
【0011】前記食品添加物試験法(公定法)は、先ず
食品試料をNaOH,ZnSO4 を使用して除蛋白質操
作を行って試料液を調製するとともに、空試料液の調製
と検量線用標準液の調製をおこない、当該試料液と空試
料液にスルファニルアミド(NH264 SO2 N−
2 )とN−1−ナフチルエチレンジアミン(C107
NHC24 NH2 )と塩酸とを加えて測定液と空測定
液となし、これを発色させたうえ、これらの吸光度を測
定し、両者の吸光度差を求めておく。他方、検量線用標
準液についてもそれぞれ正確に量り試料液と同様の操作
を施して、それぞれの吸光度差を求め検量線を作成して
おく。そのうえで、前記吸光度差と検量線から亜硝酸根
含有量を求め、これから所定の式によって検体中の亜硝
酸根含有量を計算する方法である。
【0012】このように公定法の試験法は、比色法によ
り発色を測定して亜硝酸根として定量するため、測定条
件を揃えた除蛋白質操作や発色操作を何度も行ったり、
何度も測定したり、複数の計算をしなければならないの
で、測定にかなりの時間を要する。しかも公定法は、正
確な定量値を得るための専門的な知識と複雑な操作や計
算が必要であるうえ、メスフラスコやピペット等の器具
も必要である。そのため、塩蔵筋子、イクラなどの製造
現場で、簡便に定量作業をおこない品質管理を行うのが
困難である。
【0013】これに対し、グリースロミイン試薬(Grie
ss-Romijn's reagent )による発色は、α−ナフチルア
ミンとスルファニル酸と酒石酸とを使用し、これらの混
合粉末を試験液に添加して発色するが、公定法に比べ発
色(安定)時間が長くかかる。(本発明者の実験では、
十分な発色をさせる為には、少なくとも40分以上の時
間が必要であった。)また、発色時に適したpH域が狭
く(pH3〜4)その調整が難しい。また、魚卵類の場
合には白濁を生じ易いなどの欠点がある。
【0014】それだけでなく、グリースロミイン試薬
(Griess-Romijn's reagent )による発色法には、重大
な欠点がある。それはグリースロミイン試薬の含有成分
であるα−ナフチルアミンは、皮膚障害や発癌性がある
など有害である。このため、労働安全衛生法において特
定化学物質第1類の特別管理物質として指定されてお
り、これを取り扱う業務に従事する者は、防塵マスクや
保護眼鏡や労働衛生保護衣類を用い皮膚を露出しないよ
うにし、定期的に所定の健康診断を行う必要がある。ア
メリカ労働衛生局からも発癌性のある物質としてリスト
アップされている。このように、グリースロミイン試薬
を用いて亜硝酸根の測定をする場合には、有害物質のα
−ナフチルアミンを含んでいるため、測定する人の健康
が害される虞がある。
【0015】そこで、本願発明は、第1に安全で、信頼
性のある亜硝酸根簡易測定用発色試薬を開発すること、
第2に、当該発色試薬を用いて、簡便に且つ短時間に発
色し、容易に測定できる亜硝酸根簡易測定法を開発する
ことを目的とした。
【0016】
【課題を解決するための手段】特許を受けようとする第
1発明は、スルファニルアミドおよび/またはスルファ
ニル酸とN−1−ナフチルエチレンジアミンを組み合わ
せてなる亜硝酸根簡易測定用発色試薬である。
【0017】この発色試薬は、次の反応により赤色に発
色することが原理である。NO2 は、酸性下でスルファ
ニルアミド(NH264 SO2 N−H2 )とN−1
−ナフチルエチレンジアミンと(C107 NHC24
NH2 )と反応してアゾ色素を形成することで赤色に発
色する。
【0018】
【数3】
【0019】NO2 は、酸性下でスルファニル酸(NH
264 SO3 H)とN−1−ナフチルエチレンジア
ミンと(C107 NHC24 NH2 )と反応してアゾ
色素を形成することで赤色に発色する。
【0020】
【数4】
【0021】この発色試薬は、安全であるうえ、保存性
があるし、その発色強度と亜硝酸濃度との高い相関関係
が認められ、発色速度が速いなどの適性がある。
【0022】特許を受けようとする第2発明は、食品よ
り水で亜硝酸根を抽出し、この亜硝酸根抽出液を濾過
し、当該亜硝酸根抽出濾過液を酸性となるようにpH調
整したうえ、当該酸性の亜硝酸根抽出濾過液にスルファ
ニルアミドおよび/またはスルファニル酸とN−1−ナ
フチルエチレンジアミンを組み合わせてなる亜硝酸根簡
易測定用発色試薬を添加して赤色に発色させた後、当該
亜硝酸根発色液と標準発色見本とを比色することによ
り、亜硝酸根の濃度値を決定するようにしたことを特徴
とする食品中の亜硝酸根の簡易測定法である。
【0023】当該第2発明は、第1発明に係る亜硝酸根
簡易測定用発色試薬の一実施例を用いて赤く発色させ、
当該亜硝酸根発色液を標準発色見本と比色することによ
り、亜硝酸根の濃度値を判定する亜硝酸根の簡易測定法
である。
【0024】特許を受けようとする第3発明は、食品よ
り水で亜硝酸根を抽出し、この亜硝酸根抽出液を濾過
し、当該亜硝酸根抽出濾過液を酸性となるようにpH調
整したうえ、当該酸性の亜硝酸根抽出濾過液にスルファ
ニルアミドおよび/またはスルファニル酸とN−1−ナ
フチルエチレンジアミンを組み合わせてなる亜硝酸根簡
易測定用発色試薬を添加して赤色に発色させた後、当該
亜硝酸根発色液を分光光度計にてその吸光度を測定し、
標準亜硝酸根の発色液の吸光度と比較して、亜硝酸根の
濃度値を決定するようにしたことを特徴とする食品中の
亜硝酸根の簡易測定法である。
【0025】当該第3発明は、第1発明に係る亜硝酸根
簡易測定用発色試薬の他実施例を用いて赤く発色させ、
分光光度計にてその吸光度を測定し、標準亜硝酸根の発
色液の吸光度と比較することにより、亜硝酸根の濃度値
を判定する亜硝酸根の簡易測定法である。
【0026】特許を受けようとする第4発明は、スルフ
ァニルアミドおよび/またはスルファニル酸とN−1−
ナフチルエチレンジアミンと常温で固体の酸とを組み合
わせてなる亜硝酸根簡易測定用発色試薬である。
【0027】当該第4発明は、第1発明に常温で固体の
酸を組み合わせた点に特徴がある。構成成分であるスル
ファニルアミド、スルファニル酸、N−1−ナフチルエ
チレンジアミン、常温で固体の酸のいずれもが、常温で
固体または粉末にすることができるので、保存性、簡便
性において優れている。
【0028】特許を受けようとする第5発明は、食品よ
り水で亜硝酸根を抽出し、この亜硝酸根抽出液を濾過し
たうえ、当該亜硝酸根抽出濾過液にスルファニルアミド
および/またはスルファニル酸とN−1−ナフチルエチ
レンジアミンと常温で固体の酸とを組み合わせてなる亜
硝酸根簡易測定用発色試薬を添加して赤色に発色させた
後、当該亜硝酸根発色液と標準発色見本とを比色するこ
とにより、亜硝酸根の濃度値を決定するようにしたこと
を特徴とする食品中の亜硝酸根の簡易測定法である。
【0029】当該第5発明は、第4発明に係る亜硝酸根
簡易測定用発色試薬の一実施例を用いて赤く発色させ、
当該亜硝酸根発色液を標準発色見本と比色することによ
り、亜硝酸根の濃度値を判定する亜硝酸根の簡易測定法
である。
【0030】特許を受けようとする第6発明は、食品よ
り水で亜硝酸根を抽出し、この亜硝酸根抽出液を濾過し
たうえ、当該亜硝酸根抽出濾過液にスルファニルアミド
および/またはスルファニル酸とN−1−ナフチルエチ
レンジアミンと常温で固体の酸とを組み合わせてなる亜
硝酸根簡易測定用発色試薬を添加して赤色に発色させた
後、当該亜硝酸根発色液を分光光度計にてその吸光度を
測定し、標準亜硝酸根発色液の吸光度と比較して、亜硝
酸根の濃度値を決定するようにしたことを特徴とする食
品中の亜硝酸根の簡易測定法である。
【0031】当該第6発明は、第6発明に係る亜硝酸根
簡易測定用発色試薬の他実施例を用いて赤く発色させ、
分光光度計にてその吸光度を測定し、標準亜硝酸根の発
色液の吸光度と比較することにより、亜硝酸根の濃度値
を判定する亜硝酸根の簡易測定法である。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
する。出願人は、筋子やいくらの製造に発色剤として亜
硝酸ナトリウムを使用している。亜硝酸の使用は好まし
い赤色を発現させたり、細菌の繁殖を抑制したりといっ
た長所を有する反面、アミンとの反応で発癌性物質を生
成するという欠点をもっている。そのため、現在、食品
衛生法で筋子中の亜硝酸根は5ppm以下でなくてはな
らないという規則があり、出願人においても製造現場に
て筋子中の亜硝酸根の管理をしている。従来、グリース
ロミイン試薬(Griess-Romijn's reagent )を用いた亜
硝酸根簡易測定法により管理していたが、グリースロミ
イン試薬には発癌性のあるα−ナフチルアミンを含んで
いるため、測定する人の健康が害される虞があるなどの
問題があることが解った。そのため、安全な亜硝酸根簡
易測定用発色試薬を開発することを主目的とした。その
他、亜硝酸根簡易測定用発色試薬は、簡便性を持たせる
ため、保存性があること、粉末(外地の製造現場でも使
用しやすい)であること、また発色性と信頼性を確立す
るため亜硝酸濃度と発色強度に良好な相関関係が得られ
ること、などが求められている。
【0033】発明者は、亜硝酸根簡易測定用発色試薬と
して次の4種類を試作した。 スルファニルアミドとN−1−ナフチルエチレンジア
ミンを組み合わせてなる亜硝酸根簡易測定用発色試薬。
(A発色試薬) スルファニル酸とN−1−ナフチルエチレンジアミン
を組み合わせてなる亜硝酸根簡易測定用発色試薬。(B
発色試薬) スルファニルアミドとN−1−ナフチルエチレンジア
ミンと常温で固体の酸とを組み合わせてなる亜硝酸根簡
易測定用発色試薬。(C発色試薬) スルファニル酸とN−1−ナフチルエチレンジアミン
と常温で固体の酸を組み合わせてなる亜硝酸根簡易測定
用発色試薬。(D発色試薬)
【0034】尚、試薬の構成成分は、粉砕機にて粉末化
し混合したうえ、発色液中に0.3gを添加したとき、
公定法の発色液中のスルファニルアミドとN−1−ナフ
チルエチレンジアミンの濃度と同じになるように設定し
た。尚、常温で固体の酸として、酒石酸、コハク酸、リ
ンゴ酸を選定して使用した。
【0035】上記各発色試薬について、吸光度、保存
性、発色強度と亜硝酸濃度との関係について調べてその
適性を検討した。
【0036】1)吸光度の測定 亜硝酸との反応はNO2 として0.1ppmの亜硝酸溶
液15mlに上記各発色試薬を0.3g添加し、530
nmの吸光度を測定した。尚、上記発色試薬A、Bの試
験に用いる0.1ppmの亜硝酸溶液は、酒石酸を用い
てpHを酸性に調製したものを使用した。
【0037】<各発色試薬の0.1ppm亜硝酸溶液に
対する吸光度> A発色試薬の吸光度: 0.090Abs B発色試薬の吸光度: 0.087Abs C発色試薬の吸光度: 0.088Abs D発色試薬の吸光度: 0.086Abs 上記4種類の発色試薬ともその吸光度は、充分の高さを
もっており、発色試薬としての適正が確認された。
【0038】2)保存性の測定 調製した各発色試薬A、B、C、Dについて、室温25
℃で保存した場合と、冷蔵庫5℃で保存した場合を想定
して、7ケ月の保存をした。そのうえで保存した各発色
試薬はNO2 として0.1ppmの亜硝酸溶液15ml
に0.3g添加し、530nmの吸光度を測定した。
【0039】
【表1】保存後の各発色試薬の0.1ppm亜硝酸溶液
に対する吸光度(単位:Abs)
【0040】上記調査の結果、前記各発色試薬とも7ケ
月の保存でも発色にはほとんど変化なく、取り扱いに特
別注意をする必要も無いことが解った。
【0041】3)反応液の発色強度と亜硝酸濃度との相
関関係 NO2 として0.152ppm、0.253ppm、
0.505ppmの亜硝酸溶液15mlに発色試薬A、
B、C、Dを0.1g,0.3g,0.5g使用したと
きの亜硝酸根と吸光度の関係を測定した。
【0042】
【表2】各発色試薬の亜硝酸濃度と吸光度の関係
【0043】当該発色試薬A、B、C、Dを0.1g、
0.3g、0.5g使用したいずれの場合でも、亜硝酸
濃度と吸光度との間に高い相関関係が得られることが解
った。これにより亜硝酸と発色試薬との反応液の発色強
度は亜硝酸の濃度に依存しているということが言え、定
量的に亜硝酸を発色により測定できることが解った。
【0044】従って、特に食品の製造現場においては、
発色試薬の量を正確に計りとるのは困難であるが、当該
発色試薬は、0.1gから0.5gの範囲(薬さじの小
さじ1杯約0.3g)において定量的に亜硝酸濃度を測
定できたので、現場での測定において有用と言える。
【0045】以上のように、発色試薬A、B、C、Dの
いずれもその吸光度、保存性、発色強度と亜硝酸濃度と
の関係について調べた結果、亜硝酸根簡易測定用発色試
薬としての適性があることを確認した。
【0046】次に、実施例として本発明に係る亜硝酸根
簡易測定用発色試薬を用いて市販銀鮭筋子の亜硝酸根濃
度を測定するとともに、従来の測定法と比較する試験を
おこなった。その具体的測定試験法は次のようにした。
市販銀鮭筋子サンプルを10種類用意し、各種類のサン
プル毎に4gのすりつぶした筋子区分を4試料づつ調製
した。各試料について公定法、グリースロミイン試薬に
よる新簡易法(現行簡易法)、本発明に係る発色試薬に
よる簡易法(発明簡易法)をおこない、比較試験した。
【0047】尚、本発明に係る亜硝酸根簡易測定用発色
試薬を用いて筋子の亜硝酸根濃度を測定す方法は、次の
ようにした。 :4gのすりつぶした筋子試料を80℃の水を混和し
て全量80mlとし、100℃で15分間加温した後、
冷却し水で全量100mlとする。 :これを濾過紙(TOYO、No.5c)にて濾過し
て15mlの濾液を採取する。 :濾液にスルファニルアミド(1.2%重量)とN−
1−ナフチルエチレンジアミン(0.3%重量)と酒石
酸(98.5%重量)とを組み合わせてなる亜硝酸根簡
易測定用発色試薬小さじ1杯(約0.3g)を添加す
る。 :すると瞬間的に赤色に発色するので、これを標準液
または色見本と比較判定する。 当該市販銀鮭筋子の比較試験による測定値は表3の通り
である。その結果を見ると、本発明簡易法は、現行簡易
法よりも公定法による測定値に近似しており、簡易法と
しての信頼性が高いものである。
【0048】
【表3】
【0049】尚、本発明に係る亜硝酸根簡易測定用発色
試薬を使用して残存亜硝酸根を測定する方法を適応でき
るのは、食品、畜肉、魚肉加工品等の亜硝酸を使用する
食品であれば特に制限されるものではない。
【0050】
【効果】本発明に係る亜硝酸根簡易測定用発色試薬は、
従来の簡易測定法のグリースロミイン試薬とは相違し、
その構成成分に発癌性物質が含まれていないので、測定
作業者の安全性に問題がない。
【0051】また、本発明に係る亜硝酸根簡易測定用発
色試薬は、その吸光度、保存性、発色強度と亜硝酸濃度
との関係について調べた結果、亜硝酸根簡易測定用発色
試薬としての適性があり、従来の測定法と比較しても遜
色のない信頼性があり、実用性がある。
【0052】しかも、本発明の発色試薬を用いた亜硝酸
根の測定法は、発色が添加後瞬時に起こるので測定時間
が従来のものに比較して飛躍的に短時間となり、簡便性
が向上している。
【0053】特に魚卵類の亜硝酸根測定においても、グ
リースロミイン試薬は白濁を生じ易かったが、本発明に
係る亜硝酸根簡易測定用発色試薬は白濁を生じ難くなか
ったので、魚卵類における亜硝酸根測定の精度が向上し
た。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年10月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】 特に魚卵類の亜硝酸根測定においても、
グリースロミイン試薬は白濁を生じ易かったが、本発明
に係る亜硝酸根簡易測定用発色試薬は白濁を生じ難くな
ったので、魚卵類における亜硝酸根測定の精度が向上し
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾越 昭夫 東京都千代田区有楽町1丁目12番1号 株 式会社ニチロ本社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スルファニルアミドおよび/またはスル
    ファニル酸とN−1−ナフチルエチレンジアミンを組み
    合わせてなる亜硝酸根簡易測定用発色試薬。
  2. 【請求項2】 食品より水で亜硝酸根を抽出し、この亜
    硝酸根抽出液を濾過し、当該亜硝酸根抽出濾過液を酸性
    となるようにpH調整したうえ、当該酸性の亜硝酸根抽
    出濾過液にスルファニルアミドおよび/またはスルファ
    ニル酸とN−1−ナフチルエチレンジアミンを組み合わ
    せてなる亜硝酸根簡易測定用発色試薬を添加して赤色に
    発色させた後、当該亜硝酸根発色液と標準発色見本とを
    比色することにより、亜硝酸根の濃度値を決定するよう
    にしたことを特徴とする食品中の亜硝酸根の簡易測定
    法。
  3. 【請求項3】 食品より水で亜硝酸根を抽出し、この亜
    硝酸根抽出液を濾過し、当該亜硝酸根抽出濾過液を酸性
    となるようにpH調整したうえ、当該酸性の亜硝酸根抽
    出濾過液にスルファニルアミドおよび/またはスルファ
    ニル酸とN−1−ナフチルエチレンジアミンを組み合わ
    せてなる亜硝酸根簡易測定用発色試薬を添加して赤色に
    発色させた後、当該亜硝酸根発色液を分光光度計にてそ
    の吸光度を測定し、標準亜硝酸根の発色液の吸光度と比
    較して、亜硝酸根の濃度値を決定するようにしたことを
    特徴とする食品中の亜硝酸根の簡易測定法。
  4. 【請求項4】 スルファニルアミドおよび/またはスル
    ファニル酸とN−1−ナフチルエチレンジアミンと常温
    で固体の酸とを組み合わせてなる亜硝酸根簡易測定用発
    色試薬。
  5. 【請求項5】 食品より水で亜硝酸根を抽出し、この亜
    硝酸根抽出液を濾過したうえ、当該亜硝酸根抽出濾過液
    にスルファニルアミドおよび/またはスルファニル酸と
    N−1−ナフチルエチレンジアミンと常温で固体の酸と
    を組み合わせてなる亜硝酸根簡易測定用発色試薬を添加
    して赤色に発色させた後、当該亜硝酸根発色液と標準発
    色見本とを比色することにより、亜硝酸根の濃度値を決
    定するようにしたことを特徴とする食品中の亜硝酸根の
    簡易測定法。
  6. 【請求項6】 食品より水で亜硝酸根を抽出し、この亜
    硝酸根抽出液を濾過したうえ、当該亜硝酸根抽出濾過液
    にスルファニルアミドおよび/またはスルファニル酸と
    N−1−ナフチルエチレンジアミンと常温で固体の酸と
    を組み合わせてなる亜硝酸根簡易測定用発色試薬を添加
    して赤色に発色させた後、当該亜硝酸根発色液を分光光
    度計にてその吸光度を測定し、標準亜硝酸根発色液の吸
    光度と比較して、亜硝酸根の濃度値を決定するようにし
    たことを特徴とする食品中の亜硝酸根の簡易測定法。
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