JPH11117709A - ガスタービンエンジン内の冷却加圧空気からの油滴分離装置 - Google Patents

ガスタービンエンジン内の冷却加圧空気からの油滴分離装置

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JPH11117709A
JPH11117709A JP27921397A JP27921397A JPH11117709A JP H11117709 A JPH11117709 A JP H11117709A JP 27921397 A JP27921397 A JP 27921397A JP 27921397 A JP27921397 A JP 27921397A JP H11117709 A JPH11117709 A JP H11117709A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の油滴分離装置においては、ギアケース
の内部を流れる冷却加圧空気が凹所に溜まった潤滑油を
ギアケースの内側壁面に沿って押し上げる現象が発生し
てしまい、排出口からの潤滑油の排出が阻害されてしま
う。 【解決手段】 回転可能に支持された中空の軸体5の周
囲に放射状に複数の羽根部6が設けられ、隣り合う羽根
部6の間に位置する軸体5の側面に軸体内部の中空部分
と連通する開口7が形成された遠心式分離機構3が、補
機駆動用ギアボックス1内に設置されてなる油滴分離装
置に、遠心式分離機構3の周囲に円筒状の壁部11を設
け、ギアケース2の外側から壁部11の内側に連通し、
遠心式分離機構3に冷却加圧空気を導入する導入管15
を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスタービンエン
ジンに付設される補機駆動用ギアボックス内に設置され
て冷却加圧空気から油滴を分離する油滴分離装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】航空用ガスタービンエンジンにおいて
は、補機駆動用ギアボックス(A.G.B.)を構成する
ギアケースの内部に遠心式分離機構を設置しておき、エ
ンジン内の各軸受け部の冷却に使用された冷却加圧空気
(ベントエア)をギアケースの内側に導入し、冷却加圧
空気からこれに含まれる潤滑油の細かな油滴を分離する
機構を付与されることがある。
【0003】図3に、冷却加圧空気からの油滴分離装置
を備える補機駆動用ギアボックスの一例を示す。この補
機駆動用ギアボックス1は、横長で中央が両端よりも下
方に配置された側断面形状を有するギアケース2を備え
ており、一端2a側に遠心式分離機構3が配置され、他
端2b側にはギアケース2の内側に冷却加圧空気を導入
する導入管4が設けられている。
【0004】遠心式分離機構3は、回転可能に支持され
た中空の軸体5の周囲に放射状に複数の羽根部6が設け
られ、隣り合う羽根部6の間に位置する軸体5の側面に
軸体5内部の中空部分に連通する開口7が設けられた羽
根車状の形態を有しており、図4に示すように軸体5を
回転させることで冷却加圧空気に含まれる油滴を羽根部
6に付着させ、冷却加圧空気は導入管4を通じてギアケ
ース2の外に排出し、羽根部6に付着した油滴は遠心力
によって羽根部6から分離させて回収するしくみになっ
ている。
【0005】また、ギアケース2の中央下部には、分離
された油滴が集まる凹所2cが形成され、さらにこの凹
所2cに溜まった油をギアケースから排出する排出口8
が設けられている。
【0006】導入管4から導入された油滴を含んだ冷却
加圧空気は、ギアケース2の形状に従って流れ、遠心式
分離機構3によって油滴が分離される。油滴が分離され
た冷却加圧空気はそのままギアケース2の外に排出さ
れ、油滴はギアケース2の内部を内側壁面に沿って流下
し、凹所2cに集まって排出口8からギアケース2の外
に排出されるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように構成された油滴分離装置においては、ギアケース
の内部を流れる冷却加圧空気が凹所に溜まった潤滑油を
ギアケースの内側壁面に沿って押し上げる現象が発生し
てしまい、排出口からの潤滑油の排出が阻害されてしま
うといった問題があった。
【0008】また、ギアケース内部のスペース上の制約
から遠心式分離機構の大きさが制限されてしまうため、
十分な油滴分離能力を得られないといった問題があっ
た。
【0009】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
であり、十分な油滴分離能力を備え、かつ分離された潤
滑油の排出を良好に行うことができる油滴分離装置を目
的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの手段として、次のように構成された油滴分離装置を
採用する。まず、ギアケースの内部に設けられた遠心式
分離機構の周囲に円筒状の第1の壁を設け、ギアケース
の外側から第1の壁の内側に連通し、遠心式分離機構に
冷却加圧空気を導入する導入路を設ける。
【0011】導入路を通じてギアケース内に導入された
冷却加圧空気は、第1の壁に沿って遠心分離機構の周囲
を旋回し、回転する遠心式分離機構の羽根部に油滴が付
着することで油滴の分離がなされた後、ギアケースの外
に排出される。分離された潤滑油は第1の壁に沿って流
れ、排出口からギアケースの外に排出される。
【0012】また、第1の壁の内側に第2の壁を設けて
第1の壁に沿って略環状の空間を形成し、この空間には
導入路を第1の壁に対してその接線方向に連通させてサ
イクロン式分離機構を構成する。そして第2の壁には、
空間に導入された冷却加圧空気を中央に位置する遠心式
分離機構に向けて流通させる流路を形成する。
【0013】これによれば、冷却加圧空気は導入路を通
じて空間に導入され、空間内を周方向に流通する過程に
おいてサイクロン式分離機構によって油滴の分離がなさ
れる。そして、サイクロン式分離機構を通過した冷却加
圧空気は流路を通過して第1の壁の内側に導入され、遠
心式分離機構によって再度油滴の分離がなされた後、ギ
アケースの外に排出される。分離された潤滑油は第1、
第2の壁に沿って流れ、排出口からギアケースの外に排
出される。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に係るガスタービンエンジ
ン内の冷却加圧空気からの油滴分離装置の一実施形態を
図1および図2に示して説明する。図1には、図2に示
す補機駆動用ギアボックス1内に設置された油滴分離装
置を示している。図2に示すように、ギアケース2には
従来と同様に一端2a側に遠心式分離機構3が配置さ
れ、他端2b側には冷却加圧空気を導入する導入管4が
設けられ、ギアケース2の中央下部には凹所2cが形成
されている。さらに凹所2cに溜まった油をギアケース
から排出する排出口8が設けられている。
【0015】遠心式分離機構3は、ギアケース2の一方
の側面2dに対して垂直に配設されて回転可能に支持さ
れた中空の軸体5と、ギアケース2内部に位置する軸体
5に軸線を一致させて固定された2枚の円板6aと、こ
れら円板の間にあって軸体5の周囲に放射状に形成され
た複数の羽根部6を備えている。さらに隣り合う羽根部
6の間には、軸体5内部の中空部分に連通する開口7が
形成されている。
【0016】軸体5はローラベアリング10aに挿嵌さ
れる等して回転可能に支持され、その一端にはギア10
が固定されており、エンジン回転軸(図示せず)から取
り出される回転力によってギア10が回転駆動されるこ
とで遠心式分離機構3が作動されるようになっている。
【0017】遠心式分離機構3の周囲には、軸体5の回
転軸線を中心とする略円筒形状の壁部(第1の壁)11
がギアケース2の側面2dに一体に形成されている。壁
部11は側面2dから羽根部6を覆う高さにまで垂直に
立設され、その上端は円板6aと面一となるように屈曲
されており、遠心式分離機構3を中心としてその周囲に
は壁部11によって円形の空間12が形成されている。
【0018】壁部11の内側には、空間12を2つに区
切るように壁部(第2の壁)13がギアケース2の側面
2dに一体に形成されている。壁部13は側面2dから
立設され、途中から上部に向かうにつれてその壁面が遠
心式分離機構3の半径方向外方に広がるテーパ状に形成
され、さらに上端を壁部11の内側に繋げられており、
壁部11と壁部13との間には環状の空間14が形成さ
れている。
【0019】ギアケース2と壁部11との間には、油滴
を含んだ冷却加圧空気を補機駆動用ギアボックス1の外
側から空間12に導入する導入管(導入路)15が、壁
部11に対してその接線方向に向けて配設され、空間1
4に連通して設けられている。これによって空間14に
は、冷却加圧空気から油滴を分離するサイクロン式分離
機構16が構成されている。
【0020】壁部13には、空間12と空間14とを連
通させる貫通孔(流路)17が周方向に等間隔を空けて
形成され、さらに壁部11の空間14をなす側面には、
複数の貫通孔18が周方向に等間隔を空けて形成されて
おり、サイクロン式分離機構16によって油滴を分離さ
れた冷却加圧空気は貫通孔17を通じて空間12に流入
し、冷却加圧空気から分離された油滴は貫通孔18を通
じて壁部11の外に流出するようになっている。
【0021】また、壁部11の空間12をなす側面に
は、複数の貫通孔19が周方向に等間隔を空けて形成さ
れており、遠心式分離機構3によって冷却加圧空気から
分離された油滴が貫通孔19を通じて壁部11の外に流
出するようになっている。
【0022】上記のように構成された油滴分離装置によ
って、冷却加圧空気から油滴が分離される過程を図2を
もとに説明する。エンジン内の各軸受け部の冷却に使用
された冷却加圧空気は、図示しない流通管によって集め
られ、導入管15を通じてまず空間14に導入される。
空間14に導入された冷却加圧空気は、導入管15が壁
部11に対してその接線方向に向けて配設されているこ
とから空間14内を周方向に流通し、この過程において
サイクロン式分離機構16によって油滴の分離がなされ
る。
【0023】サイクロン式分離機構16では、冷却加圧
空気に含まれる油滴は、空間14を周方向に流通する過
程において遠心力によって分離されて壁部11側に移動
し、貫通孔18を通じて壁部11の外に流出する。油滴
を分離された冷却加圧空気は、貫通孔17を通じて空間
12に流入する。
【0024】空間12に流入した冷却加圧空気は、回転
駆動される遠心式分離機構3によって空間12内を周方
向に旋回し、遠心式分離機構3によって再度油滴の分離
がなされる。
【0025】遠心式分離機構3では、冷却加圧空気に含
まれる油滴は、回転する羽根部6に付着し、遠心力によ
って羽根部6から分離して貫通孔19を通じて壁部11
の外に流出する。油滴を分離された冷却加圧空気は開口
7を通じてギアケース2の外に排出される。
【0026】貫通孔18、19を通じて壁部11の外に
流出した油滴はギアケース2の内部を内側壁面に沿って
流下し、凹所2cに集まって排出口8からギアケース2
の外に排出される。
【0027】上記のように構成された油滴分離装置によ
れば、導入管15を通じて空間14に導入された冷却加
圧空気が、空間14内を周方向に流通する過程において
サイクロン式分離機構16によって油滴の分離がなされ
た後、さらに貫通孔17を通過して空間12に導入さ
れ、回転する遠心式分離機構3によって再度油滴の分離
がなされるので、限られたスペースの中で冷却加圧空気
がサイクロン式分離機構16ならびに遠心式分離機構3
によって二度にわたって油滴の分離を実施することがで
き、高い油滴分離能力を発揮することができる。
【0028】また、導入管15を通じてギアケース2内
に導入された冷却加圧空気が、壁部11の内側に構成さ
れたサイクロン式分離機構16ならびに遠心式分離機構
3によって二度にわたって油滴の分離がなされた後、軸
体5の内部を通じてギアケース2の外に排出されるの
で、冷却加圧空気がギアケース2の内部を流通すること
がなく、従来のような冷却加圧空気が凹所2cに溜まっ
た潤滑油をギアケース2の内側壁面に沿って押し上げる
といった現象は発生しない。これにより、排出口8から
の潤滑油の排出を支障なく行わせることができる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ギアケースの内部に設けられた遠心式分離機構の周囲に
円筒状の第1の壁を設け、ギアケースの外側から第1の
壁の内側に連通し、遠心式分離機構に冷却加圧空気を導
入する導入路を設けることにより、導入路を通じてギア
ケース内に導入された冷却加圧空気は、第1の壁に遮ら
れて遠心式分離機構の周囲を旋回し、回転する遠心式分
離機構によって油滴の分離がなされた後、軸体の内部を
通じてギアケースの外に排出されるので、冷却加圧空気
がギアケースの内部を流通することがなく、従来のよう
な冷却加圧空気が凹所に溜まった潤滑油をギアケースの
内側壁面に沿って押し上げるといった現象は発生しな
い。これにより、排出口からの潤滑油の排出を支障なく
行わせることができる。
【0030】また、本発明によれば、第1の壁の内側に
第2の壁を設けて第1の壁に沿って略環状の空間を形成
するとともに、この空間には導入路を第1の壁に対して
その接線方向に連通させてサイクロン式分離機構を構成
し、第2の壁には空間に導入された冷却加圧空気を中央
に位置する遠心式分離機構に向けて流通させる流路を形
成することにより、導入路を通じて空間に導入された冷
却加圧空気は、空間内を周方向に流通する過程において
サイクロン式分離機構によって油滴の分離がなされた
後、さらに流路を通過して第1の壁の内側に導入され、
遠心式分離機構によって再度油滴の分離がなされるの
で、限られたスペースの中で冷却加圧空気がサイクロン
式分離機構ならびに遠心式分離機構によって二度にわた
って油滴の分離を実施することができ、高い油滴分離能
力を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るガスタービンエンジンからの冷
却加圧空気からの油滴分離装置の一実施形態を示す側方
断面図である。
【図2】 本発明の油滴分離装置によって冷却加圧空気
から油滴を分離する過程を示す補機駆動用ギアボックス
の概略図である。
【図3】 従来の油滴分離装置を備える補機駆動用ギア
ボックスの一例を示す概略図である。
【図4】 図3におけるIV−IV線矢視断面図であ
る。
【符号の説明】
1 補機駆動用ギアボックス 2 ギアケース 3 遠心式分離機構 5 軸体 6 羽根部 7 開口 8 排出口 11 壁部(第1の壁) 13 壁部(第2の壁) 14 空間 15 導入管(導入路) 16 サイクロン式分離機構 17 貫通孔(流路)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転可能に支持された中空の軸体と、該
    軸体の周囲に放射状に設けられた複数の羽根部とを備
    え、隣り合う羽根部の間に位置する軸体の側面には軸体
    内部の中空部分と連通する開口が形成された遠心式分離
    機構が、ガスタービンエンジンに付設される補機駆動用
    ギアボックス内に設置され、該遠心式分離機構によって
    補機用ギヤボックス内に導入される冷却加圧空気から油
    滴を分離する油滴分離装置であって、 前記遠心式分離機構の周囲に円筒状の第1の壁を設け、
    前記補機駆動用ギアボックスの外側から前記第1の壁の
    内側に連通し、遠心式分離機構に冷却加圧空気を導入す
    る導入路を設けたことを特徴とするガスタービンエンジ
    ン内の冷却加圧空気からの油滴分離装置。
  2. 【請求項2】 前記第1の壁の内側に、第2の壁を設け
    て第1の壁に沿って略環状の空間を形成し、該空間に
    は、前記導入路を第1の壁に対してその接線方向に連通
    させてサイクロン式分離機構を構成し、さらに第2の壁
    には、前記空間に導入された冷却加圧空気を、前記遠心
    式分離機構に向けて流通させる流路を形成したことを特
    徴とする請求項1に記載のガスタービンエンジン内の冷
    却加圧空気からの油滴分離装置。
JP27921397A 1997-10-13 1997-10-13 ガスタービンエンジン内の冷却加圧空気からの油滴分離装置 Expired - Lifetime JP4010032B2 (ja)

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