JPH11113863A - 心機能診断装置 - Google Patents

心機能診断装置

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JPH11113863A
JPH11113863A JP9277770A JP27777097A JPH11113863A JP H11113863 A JPH11113863 A JP H11113863A JP 9277770 A JP9277770 A JP 9277770A JP 27777097 A JP27777097 A JP 27777097A JP H11113863 A JPH11113863 A JP H11113863A
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cardiac function
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pulse
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和彦 天野
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和夫 上馬場
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仁 石山
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  • Measuring Pulse, Heart Rate, Blood Pressure Or Blood Flow (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 脈波波形について1周期分以上を処理するこ
とのなく、簡易な構成によって心機能状態を診断する。 【解決手段】 生体から脈波波形を検出する脈波検出部
10と、脈波波形から心臓の心室収縮期を特定するとと
もに、心室収縮期における駆出波の立ち上がり時間t1
を算出するピーク点抽出・波形解析部40と、算出され
た駆出波の立ち上がり時間t1の変化率を求める評価部
72と、変化率に対応する評価内容を予め記憶する評価
内容記憶部73とを備え、評価部73により求められた
変化率に対応する評価内容が読み出されて、告知部74
によって告知される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被験者の末梢部で
の脈波波形のうち、心臓の収縮に伴う駆出波を解析し
て、当該被験者の心機能を診断・評価する心機能診断装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】脈波は、一般的に言えば、心臓から拍出
されて血管を伝搬する血液の波である。このため、脈波
を検出して解析することにより、種々の医学的情報を得
られることが知られている。そして、脈波の研究が進む
につれ、生体から採取した脈波を種々の手法で解析する
ことによって、血圧や心拍数などではわからないような
情報が得られ、これらの情報をもとに生体の状態を診断
ができるようになってきた。ここで、本願と同じ発明者
は、PCT/JP96/01254(発明の名称:生体状態の診断装置
及び制御装置)において、脈波波形の形状とその歪率と
の関係について着目した。この出願に係る発明は、被験
者の脈波波形を検出して処理し、これにより当該脈波波
形の歪率を算出し、この歪率から脈波波形の形状を特定
することによって当該被験者の生体状態の診断を可能と
するものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術においては、脈波波形の形状とその歪率との関係
を述べたにとどまり、脈波波形のうちどの部分が心機能
状態を示すかが判明していなかった。したがって、脈波
波形を解析するため、脈波波形の1周期分以上をFFT
処理などして、基本波および各次高調波成分の振幅の大
きさを求める必要があり、この結果、必然的に、心機能
の診断には、高い処理能力が要求されるといった問題が
あった。この問題は、特に、診断装置を小型化・軽量化
する場合に顕著となる。
【0004】本発明は、上記問題鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、脈波波形のうちどの部
分が心機能状態を示すかを特定して処理することによ
り、周波数解析処理することのなく簡易な構成により、
心機能状態を診断することが可能な心機能診断装置を提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明にあっては、生体から脈波波形を検出する脈
波検出手段と、前記脈波波形から心臓の収縮期を特定す
る収縮期特定手段と、前記収縮期特定手段により特定さ
れた収縮期における脈波波形のうち、心臓から拍出され
る血液に伴う動脈血管系の圧力特性を示す波形を解析し
て、当該波形を規定する指標を算出する解析手段と、前
記解析手段により算出された指標に基づいて、当該生体
の心機能状態を評価する評価手段とを具備することを特
徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。
【0007】<1:第1実施形態>はじめに、第1実施
形態に係る心機能診断装置について説明する。
【0008】<1−1:第1実施形態の理論的根拠>言
うまでもなく、心臓は、収縮拡張を繰り返すことによっ
て血液を駆出している。ここで、1サイクルの収縮拡張
によって心臓から血液が流れ出る時間は、駆出時間と呼
ばれる。この駆出時間は、運動等により単位時間当たり
の心臓の収縮回数である拍数が高くなると、アドレナリ
ンなどのカテコールアミンが放出される結果、短くなる
傾向にある。これは、心筋の収縮力が増大していること
を意味する。また、この駆出時間が長くなるにつれて、
1サイクルの収縮拡張によって心臓から流出する拍出量
が大きくなる傾向にある。さて、人が運動等すると、心
筋や骨格筋などに酸素を多く供給する必要から、拍数と
拍出量との積、すなわち、単位時間あたりに心臓から送
り出される血液流量は増加する。ここで、拍数が増加す
る結果、駆出時間は短くなるので、拍出量は逆に小さく
なる。ただし、拍数の増加率は拍出量の減少率を上回る
ため、拍数と拍出量との積は、全体的にみれば増加する
ことになる。
【0009】次に、心臓の動きと血圧波形との関係につ
いて説明する。図5(a)は、心電波形を示すものであ
り、一般に、図におけるR点からT波の終点Uまでが心
室収縮期と言われ、これが上記駆出時間に相当するもの
である。また、U点から次のR点までが心室拡張期であ
ると言われている。ここで、心室収縮期において、心室
の収縮は一様に発生するのではなく、外側から内側に収
縮が進行するにつれてゆっくりとなる。このため、心臓
直後における大動脈起始部での血圧波形は、同図(b)
に示すように、大動脈弁解放から閉鎖までの期間におい
て、上に凸の形状となる。
【0010】このような大動脈起始部で血圧波形が末梢
部(橈骨動脈)において現れる脈波波形の一例を同図
(c)に示す。このような形状となるのは、まず、心臓
からの血液の拍出により駆出波と呼ばれる第1波が生
じ、続いて、心臓に近い血管分岐部分での反射に起因し
て退潮波と呼ばれる第2波が生じ、この後、大動脈弁閉
鎖に伴う切痕が生じて、切痕波と呼ばれる第3波が現れ
る、と考えられている。したがって、脈波波形において
は、最も血圧値の低い点から切痕までが心室収縮期に相
当し、切痕から次のサイクルにおいて最も血圧値の低い
点までが心室拡張期に相当することになる。ここで、脈
波波形において大動脈弁解放に相当する点は、血圧値の
最小極小点であり、脈波波形において大動脈弁閉鎖に相
当する点は、時系列的にみれば、当該最小極小点から第
3番目に現れる極小点であり、また、血圧値の大小でみ
れば、当該最小極小点から第2番目の極小点である。な
お、同図(c)に示す脈波波形は、実際には、同図
(b)に示す大動脈血圧波形に対して時間的に遅れる
が、ここでは説明のため、この時間遅れを無視し、位相
を揃えている。
【0011】次に、同図(c)に示した脈波波形につい
て検討してみる。被験者の末梢部で検出される脈波波形
は、いわば、拍動性のポンプたる心臓と導管たる血管系
とからなる閉鎖系を経た血液の圧力波であるため、第1
に、心臓のポンプ機能、すなわち、心機能状態によって
規定されるほか、第2に、血管径や、血管の収縮・伸
展、血液粘性抵抗などの影響を受ける。このため、脈波
波形を検出して解析すれば、当該被験者における動脈血
管系の状態のほか、心機能状態を評価することができ
る、と考えられる。
【0012】ここで、脈波波形のうち、どの部分を解析
するかについて検討してみる。まず、上述したように、
心室の収縮は一様に発生しないため、心臓から拍出され
る血液波形は、同図(b)に示すように心室収縮期の途
中で最大となる。一方、心臓から拍出される血液は、動
脈血管系の影響を受けて末梢部に到達する。このため、
同図(c)に示す駆出波は、心室の収縮によって拍出さ
れる血液の圧力波が動脈血管系の影響を受けて、末梢部
において現れた波形である、と考えられる。すなわち、
駆出波は、心室の収縮によって拍出される血液に伴う動
脈血管系の圧力特性を示す波形である。したがって、例
えば心筋の変動等により、拍出される血液の圧力波が変
化すれば、その影響が脈波波形の駆出波に現れることに
なるから、心機能を脈波波形で評価するには、まず、心
室収縮期に相当する期間において第1番目に現れる駆出
波を解析することが重要であると考えられる。
【0013】次に、心室の収縮によって拍出される血液
圧力波の特性について考察する。一般に心臓が肥大した
場合、心室が収縮してもその内容積があまり変化しなく
なる。このため、血液は心臓から急峻には送り出されな
くなるので、駆出波の立ち上がり時間が長期化すると考
えられる。同様に、心筋の収縮力が何らかの理由により
低下した場合でも、駆出波の立ち上がり時間が長期化す
ると考えられる。したがって、駆出波の立ち上がり時間
を長期間にわたって求め、その変動を監視することによ
り、心臓の肥大や心筋収縮力の低下などの可能性を判断
することができると考えられる。ここで、心筋収縮力の
低下は、老化や心筋虚血などに起因し、特に後者につい
ては狭心症に結びつき、さらに心筋が壊死すれば心筋梗
塞症にまで至ることから、心機能状態を評価する指標と
して駆出波の立ち上がり時間を用い、これを監視するこ
とは、極めて重要な意義があることがわかる。
【0014】ところで、本願発明者は、循環(血行)の
状態を非侵襲的に求めるため、大動脈起始部から抹消部
までの動脈血管系の挙動を電気的モデルによりシミュレ
ートして、血管の粘性抵抗やコンプライアンスなどの循
環動態に関するパラメータを近似的に算出する技術を提
案している(特開平6-205747号:発明の名称「脈波解析
装置」や、PCT/JP96/03211:発明の名称「生体状態測定
装置」などを参照)。この技術は、端的に言えば、動脈
血管系の挙動をシミュレートした電気的モデルに、被験
者の大動脈起始部の圧力波に対応する電気信号を与えた
とき、その応答波形が、実際に検出された脈波波形と一
致するように、電気的モデルを構成する各素子の値を定
めることで、各素子に対応する循環動態のパラメータを
近似的に算出するものである。この電気的モデルについ
ては、図11(a)に示すような四要素集中定数モデル
や、同図(b)に示すような五要素集中定数モデルがあ
る。特に、後者の五要素集中定数モデルについては、人
体の循環動態の挙動を決定する要因のうち、四要素集中
定数モデルで採用される中枢部での血液による慣性、中
枢部での血液粘性による血管抵抗(粘性抵抗)、末梢部
での血管のコンプライアンス(粘弾性)、および、末梢
部での血管抵抗(粘性抵抗)、以上4つのパラメータに
対し、さらに、大動脈コンプライアンスを追加して、こ
れらのパラメータを電気回路としてモデリングしたもの
である。
【0015】以下、集中定数モデルを構成する各素子と
各パラメータとの対応関係を記す。 静電容量Cc :大動脈コンプライアンス[cm5/dyn] 電気抵抗Rc :動脈系中枢部での血液粘性による血管抵抗[dyn・s/cm5] インダクタンスL:動脈系中枢部での血液による慣性[dyn・s2/cm5] 静電容量C :動脈系末梢部での血管コンプライアンス[cm5/dyn] 電気抵抗Rp :動脈系末梢部での血液粘性による血管抵抗[dyn・s/cm5
【0016】また、集中定数モデルに流れる電流i、i
p、ic、isは、各々対応する各部を流れる血流[cm5/
s]に相当する。なかでも、電流iは大動脈血流に相当
し、電流isは左心室から拍出される血流に相当してい
る。また、入力電圧eは左心室圧[dyn/cm2]に相当
し、電圧v1は大動脈起始部での圧力[dyn/cm2]に相当
する。さらに、静電容量Cの端子電圧vpは橈骨動脈部
での圧力[dyn/cm2]に相当する。くわえて、ダイオー
ドDは、大動脈弁に相当するものであって、心室の収縮
期に相当する期間においてオン(弁が開いた状態)とな
る一方、拡張期に相当する期間においてオフ(弁が閉じ
た状態)となる。
【0017】このように、大動脈起始部から抹消部まで
の動脈血管系は、図11(a)や(b)などの電気的モ
デルによりシミュレートして考えることが可能である。
そこで、今度は、心室収縮期の第1波たる駆出波につい
て、動脈血管系を上記電気的モデルとして扱う考え方で
検討してみる。心室収縮期における大動脈起始部での血
圧波形は、図5(b)に示すように、凸形状の1つのな
だらかな波であるのに対し、心室収縮期における末梢部
での脈波波形は、同図(c)に示すように、駆出波およ
び退潮波からなる2つの波である。この現象を、上記電
気的モデルに置き換えて考えてみると、同図(b)の波
形に相当する電気信号をパルスとして電気的モデルの入
力端に印加したならば、そのモデルの出力端に、入力パ
ルスに応答する第1波と、この波形に続く過渡的な第2
波とが現れたことを意味する。このことから、血管動脈
系という負荷は、単純な抵抗分だけでなく、過渡的な変
化に追従する特性を併せ持つ、ということができる。さ
らに、第1波に相当する駆出波は、心臓という電源と動
脈血管系という負荷とを接続した場合において、電源が
動作しているときに、すなわち、大動脈弁が解放してい
るときに、心臓から拍出される血液波形たる入力パルス
と直接的に対応するもの、ということができる。しか
も、ここでいう入力パルスは、心臓という電源の機能そ
のものによって定まるから、駆出波は、動脈血管系を電
気的モデルで扱う考え方を用いても、心筋の機能と直接
的に関連するもの、と言うことができる。したがって、
駆出波は、立ち上がり時間のほか、その成分等を周波数
解析することなどによっても、心筋の機能を評価するこ
と可能であると考えられる。
【0018】なお、一般に、人がそれほど強い運動をし
ていなくても、緊張やストレスなどに起因して、単位時
間当たりの心臓の収縮回数である拍数が高く場合があ
る。このような場合に、心機能状態を評価するのは適切
でないことがあるので、本実施形態にあっては、被験者
の体動があまり大きくなく、かつ、被験者の拍数がしき
い値以下であることを条件として心機能の状態を評価す
ることとする。
【0019】<1−2:第1実施形態の機能構成>本実
施形態に係る心機能診断装置は、以上のような理論的根
拠に基づいて構成されるものであり、被験者から検出し
た脈波波形から、心室収縮期を特定するとともに、拍動
に対応する駆出波の波形を解析して、駆出波を規定する
指標を算出し、その指標により被験者の心機能状態を評
価するものである。ここで、本実施形態にあっては、駆
出波を規定する指標として、心臓の肥大や心機能等に関
連する駆出波の立ち上がり時間を用いることにする。ま
た、拍数も心機能状態を評価するのに有用な指標となる
ことが一般に知られていることから、本実施形態に係る
心機能診断装置は、拍数も参照して心機能状態を評価す
ることとする。
【0020】図1に、本実施形態に係る心機能診断装置
の機能構成を示すブロック図を示す。この図において、
脈波検出部10は、例えば、被験者の末梢部(例えば、
橈骨動脈)における脈波波形を検出して、その検出信号
をMHとして体動除去部30に出力するものである。一
方、体動検出部20は、例えば、加速度センサなどから
構成され、被験者の体の動きを検出して、その検出信号
を信号THとして波形処理部21に出力するものであ
る。波形処理部21は、ローパスフィルタ等で構成さ
れ、体動検出部20から出力される信号THを波形整形
処理して、体動成分を示す信号MHtとして出力するも
のである。体動除去部30は、脈波検出部10による信
号MHから体動成分を示す信号MHtを減算して、脈波
成分を示す信号MH’として出力するものである。
【0021】本実施形態にかかる心機能診断装置は、被
験者から検出した脈波波形を処理するものであるが、被
験者が安静状態にない場合、脈波検出部10により検出
された信号MHには、脈波成分を示す信号MH’のほ
か、被験者の体動成分を示す信号MHtも重畳されるこ
とになる。このため、MH=MHt+MH’となり、脈
波検出部10から出力される信号MHは、被験者の脈波
波形を正確に示すものではない。
【0022】一方、血流は血管や組織などの影響を受け
るので、信号MHに含まれる体動成分MHtは、被験者
の体動を示す信号THそのものではなく、それを鈍らせ
たものになると考えられる。このため、被験者の体動を
直接的に示す体動検出部20による信号THを波形処理
部21によって波形整形して、体動成分を示す信号MH
tとして用い、これを、脈波検出部10による信号MH
から減算し、これにより体動の影響を除去して、脈波成
分を示す信号MH’として出力しているのである。な
お、波形処理部21におけるローパスフィルタの形式
や、段数、定数などは、実際に測定したデータから定め
られる。
【0023】ピーク点抽出・波形解析部40は、信号M
H’を解析して、脈波波形の形状を特定する波形パラメ
ータを抽出するものである。ここで、波形パラメータ
は、図6に示すように定められる。すなわち、波形パラ
メータは、 1拍の立ち上がりピーク点P0(以下、この立ち上が
り時刻を脈波開始時刻という)から、次の拍の立ち上が
りピーク点P6までの時間t6、 脈波波形において順次現れるピーク点(極大点および
極小点)P1〜P5の血圧値(差)y1〜y5、および、 脈波開始時点のピーク点P0(最小極小点)から、上
記各ピーク点P1〜P5が現れるまでの経過時間t1
5 として定められる。なお、この場合、駆出波の立ち上が
り時間は、波形パラメータで言えば、時間t1に相当す
る。また、y1〜y5は、それぞれピーク点P0の血圧値
を基準とした相対的な血圧値を示すことになる。
【0024】さて、ピーク点抽出・波形解析部40は、
波形パラメータの特定において、ピーク点P0およびP
4を特定するが、このことは、必然的に心室収縮期およ
び心室拡張期を特定することを意味する。すなわち、ピ
ーク点P0は駆出波の立ち上がり開始点に相当するか
ら、これを求めることは、心室収縮期の始点(心室拡張
期の終点)を特定することを意味し、また、ピーク点P
4は大動脈弁閉鎖に伴う切痕に相当するから、心室収縮
期の終点(心室拡張期の始点)を特定することを意味す
る。したがって、ピーク点抽出・波形解析部40は、必
然的に心室収縮期および心室拡張期を特定する機能も有
する。なお、ピーク点抽出・波形解析部40の詳細構成
およびピーク情報の内容については、後述することとす
る。
【0025】また、図6に示すように波形パラメータを
定めた際に、本願発明者は、実測した求めた拍数に対し
て、各波形パラメータ単体やこれらの差等との個別的な
相関関係を検討して、心室拡張期に相当する期間(t6-
4)と、相関係数(R2)が0.92という高い相関関
係を有することを見出した。かかる相関関係を予め記憶
するのが拍数変換テーブル60であり、ピーク点抽出・
波形解析部40に求められた期間(t6-t4)を拍数に
変換する。なお、拍数を直接的あるいは正確に求めるの
であれば、ピーク点抽出・波形解析部40によって時間
6を求めて、この換算値から算出すれば良い。
【0026】次に、評価許可部70は、体動検出部20
による信号THがしきい値以下であって、かつ、拍数変
換テーブル60により変換された拍数がしきい値以下で
ある場合に、ピーク点抽出・波形解析部40により求め
られた時間t1を、現在の時刻とともに出力するもので
ある。データ記憶部71は、評価許可部70によって出
力されたt1と時刻とを組にして記憶するものである。
また、評価部72は、次の処理を実行して、駆出波の立
ち上がり時間の変化率を求めるものである。すなわち、
評価部72は、第1に、データ記憶部71に最近記憶さ
れた時間t1と時刻とを読み出し、第2に、評価許可部
70によって出力された現時点の時間t1から読み出し
た時間t1を差し引いて、駆出波の立ち上がり時間の変
化分を求め、第3に、現時点の時刻から読み出した時刻
を差し引いて経過時間を求め、第4に、立ち上がり時間
の変化分を経過時間で割って、その変化率を算出する。
評価内容記憶部73は、駆出波の立ち上がり時間の変化
率に対応して予め複数の評価内容を記憶する一方、評価
部72によって算出された変化率に対応する評価内容を
読み出して出力するものである。告知部74は、診断内
容記憶部73によって読み出された診断内容および時間
的推移作成部75により作成された時間推移を、表示や
音声等により外部に出力するものである。また、時間的
推移作成部75は、評価許可部70から出力された時間
1および時刻、あるいは、データ記憶部71に時系列
に記憶された時間t1および時刻から、駆出波における
立ち上がり時間の時間的推移を作成して出力するもので
ある。
【0027】<1−2−1:ピーク点抽出・波形解析部
の詳細構成>ここで、ピーク点抽出・波形解析部40の
詳細について説明する。図2は、その詳細構成を示すブ
ロック図である。図において、マイクロコンピュータ4
01は、各構成部分を制御するものであり、内部に図示
しないレジスタを有する。波形メモリ402は、RAM
等によって構成され、A/D変換器403およびローパ
スフィルタ404を介して供給される信号MH’の値、
すなわち、脈波成分を示す信号の波形値Wを順次記憶す
る。波形値アドレスカウンタ405は、マイクロコンピ
ュータ401から波形採取指示STARTが出力されて
いる期間、サンプリングクロックφをカウントし、その
カウント結果を、波形値Wの波形値アドレスADR1
(書込アドレス)として出力するものである。この波形
値アドレスADR1は、マイクロコンピュータ401に
より監視される。また、セレクタ406は、波形メモリ
402へのアドレスを選択するものであり、マイクロコ
ンピュータ401によってセレクト信号S1が出力され
ていない場合、波形値アドレスカウンタ405によって
出力される波形値アドレスADR1を選択する一方、セ
レクト信号S1が出力されている場合、マイクロコンピ
ュータ401によって出力される読出アドレスADR4
を選択する。
【0028】一方、微分回路411は、ローパスフィル
タ404から順次出力される波形値Wを時間微分して出
力する。零クロス検出回路412は、波形値Wが極大値
または極小値となることによって波形値Wの時間微分が
ゼロとなった場合に、零クロス検出パルスZを出力する
ものである。さらに詳述すると、零クロス検出回路41
2は、図6に示した波形パラメータのピーク点P0〜P
6を検出するために設けられた回路であり、これらのピ
ーク点に対応した波形値Wが入力された場合に零クロス
検出パルスZを出力する。
【0029】次に、ピークアドレスカウンタ413は、
マイクロコンピュータ401によって波形採取指示ST
ARTが出力されている期間、零クロス検出パルスZを
カウントし、そのカウント結果をピークアドレスADR
2として出力するものである。移動平均算出回路414
は、現時点までに微分回路411によって出力された波
形値Wの時間微分値を過去所定個数分だけ蓄積して、そ
の平均値を算出し、その結果を現時点に至るまでの脈波
の傾斜を表す傾斜情報SLPとして出力するものであ
る。
【0030】ピーク情報メモリ415は、図3に示すピ
ーク情報を記憶するために設けられたものであり、その
内容の詳細については次の通りである。 波形値アドレスADR1 ローパスフィルタ404から出力される波形値Wが極大
値または極小値となった時点において、波形値アドレス
カウンタ405から出力されている波形値アドレスであ
る。換言すれば、波形メモリ402にて、極大値または
極小値に相当する波形値Wが書き込まれたアドレスであ
る。 ピーク種別B/T 上記波形値アドレスADR1に書き込まれた波形値Wが
極大値T(Top)であるか極小値B(Bottom)であるか
を示す情報である。 波形値W 上記極大値または極小値に相当する波形値である。 ストローク情報STRK 直前のピーク値から当該ピーク値に至るまでの波形値の
変化分である。 傾斜情報SLP 当該ピーク値に至るまでの過去所定個数分の波形値の時
間微分の平均値である。
【0031】<1−3:第1実施形態の動作>次に、図
1に示した実施形態に係る心機能診断装置の動作につい
て説明する。
【0032】<1−3−1:初回の測定動作>この心機
能診断装置は、一定時間毎に次の測定を行うものであ
る。このため、まず、初回に行われる測定動作について
説明する。脈波検出部10により出力される信号MHに
は、被験者の体動に伴う体動成分が重畳されるが、体動
成分除去部30により当該体動成分が除去されて、脈波
成分のみを示す信号MH’となって、ピーク点抽出・波
形解析部40に供給される。ピーク点抽出・波形解析部
40においては、後述するように信号MH’のデータが
蓄積・解析され、これにより脈波波形の波形パラメータ
が特定されて、このうち、駆出波の立ち上がりに相当す
る時間t1と心室拡張期に相当する期間(t6-t4)とが
それぞれ求められる。このうち、期間(t6-t4)は、
拍数変換テーブル60によって拍数に変換される。
【0033】さて、評価許可部70においては、体動検
出部20による信号THがしきい値以下であって、か
つ、拍数変換テーブル60により変換された拍数がしき
い値以下である場合に、ピーク点抽出・波形解析部40
により求められた時間t1がそのまま現在の時刻ととも
に出力される。これにより、被験者が安静・平静状態に
ある場合に求められた時間t1のみが評価の対象となる
一方、しきい値に対応する強度上で体動している場合ま
たは緊張やストレス等の状態にある場合に求められた時
間t1が評価の対象から排除されることとなる。評価許
可部70により出力された時間t1および現在時刻は、
データ記憶断71において時系列的に順次記憶される。
なお、ここで記憶された時間t1および時刻は、次回の
測定において読み出され、駆出波の立ち上がり時間の変
化率を算出する際の基礎とされることになる。
【0034】<1−3−1−1:ピーク点抽出・波形解
析部の動作>ここで、図2に示したピーク点抽出・波形
解析部40の動作について説明する。ピーク点抽出・波
形解析部40は、脈波波形を取得してから、波形パラメ
ータを求め、さらに、時間t1および期間(t6-t4)を
求めるまでを、複数の段階で行う。そこで、ピーク点抽
出・波形解析部40の動作については、各段階に分けて
説明することとする。
【0035】<1−3−1−1−1:脈波波形の蓄積お
よびそのピーク情報の採取>まず、ピーク点抽出・波形
解析部40においては、信号MH’が図2における波形
メモリ402に蓄積されるとともに、当該信号MH’で
示される脈波波形のピーク情報が採取される。この動作
は、詳細には次のようにして実行される。まず、脈波波
形の採取開始を指示する旨の信号STARTがマイクロ
コンピュータ401によって出力されると、波形値アド
レスカウンタ405およびピークアドレスカウンタ41
3のリセットが解除される。この結果、サンプリングク
ロックφのカウントが波形値アドレスカウンタ405に
よって開始され、そのカウント値たる波形値アドレスA
DR1が、セレクタ406を介して波形メモリ402に
書込アドレスとして供給される。そして、体動信号除去
部30から出力された脈波成分を示す信号MH’がA/
D変換器403に入力され、サンプリングクロックφに
したがってディジタル信号に順次変換され、ローパスフ
ィルタ404を介し波形値Wとして順次出力される。こ
のようにして出力された波形値Wは、波形メモリ402
に順次供給され、その時点において波形値アドレスAD
R1で指定される記憶領域に書き込まれる。以上の動作
により、例えば、図4に例示する脈波波形における一連
の波形値Wが波形メモリ402に蓄積されることとな
る。
【0036】一方、この蓄積動作と並行して、ピーク情
報の採取およびピーク情報メモリ205への書き込み
が、以下のようにして実行される。まず、脈波成分を示
す信号MH’の波形値Wが微分回路411によって時間
微分され、この結果が零クロス検出回路412および移
動平均算出回路414にそれぞれ供給される。このよう
にして波形値Wの時間微分値が供給される毎に、移動平
均算出回路414は、過去所定個数の時間微分値の平均
値(すなわち、移動平均値)を演算し、演算結果を傾斜
情報SLPとして出力する。ここで、波形値Wが上昇中
もしくは上昇を終えて極大状態となっている場合は傾斜
情報SLPとして正の値が出力され、下降中もしくは下
降を終えて極小状態となっている場合は傾斜情報SLP
として負の値が出力される。
【0037】例えば、図4に示す脈波波形がローパスフ
ィルタ404から出力されると、ピーク点P’1は極大
点であるから、時間微分としてゼロが微分回路411か
ら出力される。このため、零クロス検出パルスZが、零
クロス検出回路412によって出力される。この結果、
マイクロコンピュータ401により、その時点における
波形値アドレスカウンタ405のカウント値たる波形値
アドレスADR1、波形値W、ピークアドレスカウンタ
のカウント値であるピークアドレスADR2(この場
合、ADR2=0)および傾斜情報SLPが取り込まれ
る。また、零クロス検出パルスZが出力されることによ
ってピークアドレスカウンタ203のカウント値たるピ
ークアドレスADR2が「1」になる。
【0038】一方、マイクロコンピュータ401は、取
り込んだ傾斜情報SLPの符号に基づいてピーク種別B
/Tを作成する。このようにピーク点P’1の波形値W
が出力されている場合、その時点における傾斜情報SL
Pが正の値となるので、マイクロコンピュータ401
は、ピーク情報B/Tの値を極大点に対応した「T」と
する。そして、マイクロコンピュータ401は、ピーク
アドレスカウンタ413から取り込んだピークアドレス
ADR2(この場合、ADR2=0)をそのまま書込ア
ドレスADR3として指定し、波形値W、この波形値W
に対応した波形値アドレスADR1、ピーク種別B/
T、傾斜情報SLPを第1回目のピーク情報としてピー
ク情報メモリ415に書き込む。なお、ピーク情報の書
き込みが第1回目の場合、直前のピーク情報がないため
ストローク情報STRKの作成および書き込みは行わな
い。
【0039】その後、図4に示す脈波波形において、ピ
ーク点P’2に対応した波形値Wがローパスフィルタ4
04から出力されると、上述と同様に零クロス検出パル
スZが出力され、波形値アドレスADR1、波形値W、
ピークアドレスADR2(=1)、傾斜情報SLP(<
0)がマイクロコンピュータ401により取り込まれ
る。そして、上記と同様、マイクロコンピュータ401
により、傾斜情報SLPに基づいてピーク種別B/Tが
決定される。ここでは、ピーク点P’2は極小点なの
で、その時点における傾斜情報SLPは負の値となり、
ピーク情報B/Tの値は極小点に対応した「B」とな
る。また、マイクロコンピュータ401によって、ピー
クアドレスADR2よりも「1」だけ小さいアドレスが
読出アドレスADR3としてピーク情報メモリ415に
供給される。これにより、第1回目に書き込まれた波形
値Wが読み出される。そして、マイクロコンピュータ4
01によって、ローパスフィルタ404から今回取り込
んだ波形値Wと、ピーク情報メモリ415から読み出し
た第1回目の波形値Wとの差分が演算され、ストローク
情報STRKが求められる。このようにして求められた
ピーク種別B/T、ストローク情報STRKが、波形値
アドレスADR1、波形値W、傾斜情報SLPととも
に、第2回目のピーク情報としてピーク情報メモリ41
5のピークアドレスADR3=1に対応した記憶領域に
書き込まれる。以後、ピーク点P’3、P’4、…、が
検出された場合も同様の動作が実行される。そして、所
定のタイミングで、マイクロコンピュータ401により
波形採取指示STARTの出力が停止され、波形値Wお
よびピーク情報の採取が終了する。
【0040】<1−3−1−1−2:1拍分の脈波波形
を特定>このようにして図4に例示した脈波波形のピー
ク点P’1〜のピーク情報を採取しても、それだけで
は、図6に定めた波形パラメータを求めたことにはなら
ない。すなわち、図4に示した脈波波形1拍分を特定し
てはじめて、図6で定めた波形パラメータと対応するの
である。このため採取したピーク点P’1〜のピーク情
報から脈波波形を1拍分特定する必要がある。この特定
処理は、次のようにして実行される。
【0041】まず、この特定にあたっては、脈波波形の
特徴、すなわち、脈波波形の血圧値が心室収縮期の開始
点に相当するピーク点P0において最低となり、その直
後の駆出波に相当するピーク点P1において最高とな
る、という特徴を利用する。そのため、マイクロコンピ
ュータ401は、ピーク情報メモリ415から各ピーク
点P’1、P’2、…、に対応した傾斜情報SLPおよ
びストローク情報STRKを順次読み出す。次いで、マ
イクロコンピュータ401は、各ストローク情報STR
Kの中から正の傾斜に対応したストローク情報(すなわ
ち、対応する傾斜情報SLPが正の値となっているも
の)を選択し、さらに、これらのストローク情報の中か
ら値の大きなものを所定個数だけ抽出する。すなわち、
マイクロコンピュータ401は、第1に、極大点である
ピーク点をとりあえず選択し、第2に、その中から直前
ピーク点との変化分が大きいピーク点を抽出する。ここ
で、ピーク点を所定個数抽出しているが、これは、複数
周期分について検討する趣旨である。
【0042】次に、マイクロコンピュータ401は、抽
出したピーク点に対応するストローク情報STRKの中
から中央値に相当するものを特定する。これにより、1
拍分の脈波波形の立上部分(例えば、図4において符号
STRKMによって示した部分)に相当するストローク
情報が特定される。なお、この特定は、複数周期分の脈
波波形についてピーク情報が採取されていることを前提
としているから、測定異常と考えられるものを除外する
趣旨である。そして、マイクロコンピュータ401は、
当該ストローク情報のピークアドレスよりも「1」だけ
前のピークアドレスに相当するピーク点を、波形パラメ
ータのピーク点P0とし、以下のピークアドレスに相当
するピーク点を、順次、波形パラメータのP1〜P6と
特定する。例えば、図4でいえば、立上部分STRKM
の直前に位置するピーク点P’6が、波形パラメータの
算出基準となるピーク点P0と特定され、以下に続くピ
ーク点P’7〜P’12が順次波形パラメータのP1〜
P6と特定される。
【0043】なお、心室拡張期に相当するピーク点P4
からP6(P0)までの特定にあたっては、脈波波形の
次のような特徴を利用しても良い。すなわち、脈波波形
の血圧値は、心室拡張期の始点に相当するピーク点P4
において、2番目に小さい極小値となる特徴を利用し
て、検出された各ピーク点のうち、値の大きさが下から
2番目の極小値をピーク点P4と特定しても良い。個人
差や体調などによって、脈波波形には退潮波がはっきり
と現れない場合がある。この場合、退潮波によるピーク
点P2、P3は特定できないが、ピーク点P4は、値の
大きさが下から2番目の極小値と定めることにより特定
することが可能となる。
【0044】<1−3−1−1−3:波形パラメータの
算出>マイクロコンピュータ401は、上記1拍分の脈
波波形に対応した各ピーク情報を参照して各波形パラメ
ータを算出する。例えば、ピーク点P’6〜P’12
が、波形パラメータの基準となるピーク点P0〜P6と
特定された場合、次のようにして求められる。 血圧値y1〜y5 ピーク情報のうちピーク点P’6〜P’11の波形値W
に係数を乗じたものを、それぞれy1〜y5とする。な
お、この係数は、脈波検出部10の感度や、A/D変換
器403の特性、ローパスフィルタ404の回路構成な
どにより決定されるものである。 時間t1 ピーク点P’7に対応する波形アドレスからピーク点
P’6に対応する波形アドレスを差し引き、その結果に
対してサンプリングクロックφの周期を乗じてt1を算
出する。 時間t2〜t6 上記t1と同様、対応する各ピーク点間の波形アドレス
差に基づいてそれぞれ演算する。マイクロコンピュータ
401は、以上のようにして得られた各波形パラメータ
を、内部のレジスタに蓄積する。
【0045】<1−3−1−1−4:時間t1および期
間(t6-t4)の算出>マイクロコンピュータ401
は、第1に、内部のレジスタから、各波形パラメータの
期間t1、t4およびt6をそれぞれ読み出し、第2に、
読み出したt4およびt6に基づいて期間(t6-t4)を
算出して、時間t1および期間(t6-t4)を出力する。
このようにして、時間t1および期間(t6-t4)はそれ
ぞれ算出されて、評価許可部70や評価部72における
評価の基礎とされることとなる。
【0046】以上のようにして、初回の測定動作におい
ては、被験者が安静・平静状態にあれば、評価許可部7
0により出力された時間t1およびその時刻が、データ
記憶断71において時系列的に順次記憶される。なお、
被験者が安静・平静状態になければ、時間t1は、評価
許可部70によってデータ記憶部71には記憶されな
い。このため、次回以降の測定において、算出された時
間t1がデータ記憶部71に記憶されたときが実質的な
初回の測定動作となる。また、ここで記憶された時間t
1および時刻は、次回の測定において読み出され、駆出
波の立ち上がり時間の変化率を算出する際の基礎とされ
ることになる。
【0047】<1−3−2:2回目以降の測定動作>さ
て、上述のように初回の測定動作が終了し、前回の測定
から一定時間経過すると再び同じ測定が実行されて、被
験者が安静・平静状態にあれば、駆出波の立ち上がりに
相当する時間t1とその時点における時刻とがそれぞれ
評価許可部70により出力されることになる。ここで、
評価部72においては、第1に、データ記憶部71から
最近記憶された時間t1とその時刻とが読み出され、第
2に、現時点で算出された時間t1から読み出された時
間t1を差し引いて、その測定期間における時間t1の変
化分が求められる。さらに、第3に、現時点の時刻から
読み出された時刻を差し引いて、前回測定時から今回測
定時に至るまでの経過時間が求められ、第4に、変化分
が経過時間で割った商が求められて、駆出波における立
ち上がり時間の変化率が算出されることになる。上述し
たように、この変化率は極めて重要な意義を有するもの
である。
【0048】駆出波における立ち上がり時間の変化率が
算出されると、評価内容記憶部73においては当該変化
率に対応する診断内容が読み出され、その内容が告知部
74により被験者や医師等に告知される。以後同様な測
定動作が繰り返し行われ、その都度、変化率が算出さ
れ、それに対応する診断内容が告知されることとなる。
【0049】<1−4:告知の態様>ここで、本実施形
態における告知部74による告知の種々の例について説
明する。まず、変化率を図7に示すように6段階にラン
ク付けするとともに、それらのランク付けにそれぞれ対
応する診断メッセージを診断内容として記憶させてお
き、評価部72により算出された時間t1の変化率に対
応する診断メッセージを読み出して告知する構成とする
ことが考えられる。また、診断メッセージではなくて、
図8に示すようなフェイスチャートを算出された時間t
1の変化率に対応して表示する構成としても良い。さら
に、駆出波の立ち上がり時間は、上述のように、心室の
収縮によって拍出される血液の圧力特性を示し、心臓の
肥大や心筋収縮力の低下を評価する上での基礎となり得
るものであるから、時間ttそのものを告知する構成と
しても良い。
【0050】また、時間的推移作成部75により時間t
tの時間的推移は、例えば、次のようにして作成され
る。具体的には、データ記憶部71の記憶内容は、時刻
とその時刻において測定された時間ttとの組であるか
ら、読み出したデータのうち時刻をx軸に、時間tt
y軸にそれぞれとることにより、時間ttの時間的推移
が作成される。この場合、図9に示すように、x軸を、
読み出した最も古い時刻を基準とする経過時間とし、さ
らに、y軸について言えば、読み出した最も古い時刻に
対する時間ttの大きさを「1.0」として、それ以外
の時間をその割合で示しても良い。なお、図示の例で
は、測定が2分間隔で行われる場合を示す。
【0051】また、告知部74による告知については、
視覚による表示や音声等による通知のほか、種々の感覚
によって告知することが可能である。例えば、触覚に訴
える告知としては、腕時計等の裏面に電極を設け、この
電極に通電させることによって電気的刺激を与える構成
などが考えられる。また、腕時計等の携帯機器の裏から
突起物を出し入れ可能な構造として、この突起物によっ
て機械的刺激与える構成などが考えられる。一方、嗅覚
に訴える告知として、装置に香料等の吐出機構を設ける
とともに、告知内容と香りとを対応させておき、告知内
容に応じた香料を吐出する構成などが考えられる。ちな
みに、香料等の吐出機構には、マイクロポンプなどが好
適である。さらに、単独で使用するのみならず複数の手
段を組み合わせても良いことは勿論である。
【0052】なお、本実施形態にかかる心機能診断装置
においては、体動検出部20により被験者の体動成分を
検出する構成となっていたが、被験者が体動していない
状態を前提として診断するならば、脈波検出部10によ
り信号MHは、そのまま脈波成分のみを示す信号MH’
となるので、体動検出部20および波形処理部21は不
要である。くわえて、本装置においては、心室拡張期に
相当する期間(t6-t4)から拍数を求める構成とした
が、波形パラメータの時間t6から求めても良いのはも
ちろんであるし、また、被験者の拍数が十分に低い状態
にあることを前提として診断するならば、拍数を求める
ための構成そのものも不要となる。このため、評価許可
部70は任意的な要件である。また、なお、上述した実
施形態にあっては、駆出波における立ち上がり時間の変
化率を現時点の値とデータ記憶部71に記憶された最近
の値とにより求めたが、これに限られないのはいうまで
もない。例えば、現時点の値と過去所定個数分前の値と
により求めても良いし、現時点から過去所定個数分まで
の平均値と過去の平均値とから求めても良い。
【0053】以上のように、第1実施形態に係る心機能
診断装置によれば、被験者から検出した脈波波形のピー
ク点を抽出して、駆出波の立ち上がり時間t1を求め、
必要ならば、その変化率を求めるだけで、当該被験者の
心機能状態をある程度、評価診断することが可能とな
る。したがって、脈波波形について周波数解析処理をし
なくて済むので、処理の負担を低減することができ、装
置の小型化や簡易化などに大いに貢献することが可能と
なる。
【0054】<2:第2実施形態>次に、本発明の第2
実施形態に係る心機能診断装置について説明する。
【0055】<2−1:指標としてt1/t4>上記第1
実施形態では、駆出波の立ち上がり時間t1を評価の指
標として用いた。ここで、時間t1の意義について再検
討してみると、上述したように時間t1は、心室の収縮
によって拍出される血液の圧力特性によって定まると考
えられる。しかしながら、拍出される血液の圧力特性
は、個人毎による相違するのが一般的である、と考えら
れる。このため、同一被験者についての評価であればと
もかく、複数の被験者にわたっての相互評価は、適切で
はないと考えられる。一方、上述したように1サイクル
の収縮拡張によって心臓から流出する血液の拍出量は、
駆出時間に依存しているため、その拍出における血液の
圧力特性を示す時間t1も駆出時間の影響を受けると考
えられる。そこで、脈波波形における駆出波の立ち上が
り時間t1を、脈波波形において駆出時間に相当するピ
ーク点P0からP4までの時間t4で正規した値を、す
なわち、t1/t4を、t1に換えて(あるいはt1ととも
に)評価の指標として用いることが考えられる。
【0056】このための構成は、図2におけるマイクロ
コンピュータ401が、その内部のレジスタに記憶した
時間t1およびt4からt1/t4を算出して出力し、以
降、図1に示したピーク点抽出・波形解析部40の後段
において、t1に換えて(あるいはt1とともに)t1
4を指標として用いることで可能であり、t1/t4
れ自体や、その変化率で心機能状態が評価されることと
なる。また、t1/t4の時間的推移を作成して告知して
も良い点も同様である。結局、かかる応用例の構成は、
実質的に図1および図2の構成と同一となる。
【0057】<3:指標の有用性>上述したように、心
機能状態を評価する指標として、第1実施形態では脈波
波形における駆出波形の立ち上がり時間t1を、第2実
施形態では、この時間t1を駆出時間に相当する時間t4
で正規したt1/t4を、ぞれぞれ用いた。ここで、これ
らの指標の有用性について実測結果を参照して検討して
みる。図12は、心臓移植者と健常者とが、それぞれ着
座姿勢、仰向姿勢、直立姿勢をとった場合における拍
数、t1/t4をそれぞれ示した図表であって、本願発明
者の一人である上馬場和夫医師がオーストラリアで実測
した結果に基づくものである。この図に示すように、健
常者の拍数は、各姿勢での負荷に対応したものとなって
おり、最も負荷の高い直立姿勢において最高値となって
いる。上述したように、拍数は、心臓から送り出すべき
血液量に応じて変化するから、その時点において心筋に
要求される収縮力の指標とも言えるものである。しかし
ながら、図に示すように、心臓移植者の拍数は、各姿勢
によらずほぼ一定となっている。また、この現象は、高
齢などにより心機能が極めて低下し、心拍をペースメー
カに頼ざるを得ない者も同様である。このように、心臓
から送り出すべき血液量に応じて心臓の拍数を制御でき
ない者にとっては、当然のことながら、拍数は、心筋に
要求される収縮力の指標に足り得るものではなくなる。
【0058】これに対し、第2実施形態において用いた
1/t4は、健常者においてはもちろんのこと、心臓移
植者においても、健常者の拍数と同様な変化特性を有し
ている。このため、t1/t4は、健常者のみならず心臓
移植者のような拍数を制御できない者においても、心機
能を評価する際の指標として極めて有用であることが判
る。
【0059】<4:外部機器へのデータ転送>心機能診
断装置に小型化・軽量化が要求される場合、図1および
図2に示す構成を1個の装置として集約する構成では、
その評価・診断も医師等の判断が入り込む余地がないも
のとなる。そこで、被験者の脈波波形を検出した後、図
1における評価許可部70に供給すべき時間t1(t1
4)および拍数を外部機器にデータ転送し、そこで詳
細な診断・解析を行う構成が考えられる。
【0060】図1において波線で示した通信I/F(イ
ンターフェイス)76がそのための構成である。通信I
/F76は、内部にデータバッファを有し、時間t
1(t1/t4)、時刻および拍数を所定の測定期間分だ
け蓄積した後、診断・解析を行う通信I/F76にデー
タ転送する構成となっている。ここで、通信I/F76
は、外部機器と光通信にてデータ転送するためのLED
およびフォトトランジスタを有するものである。
【0061】一方、図10は、このような外部機器の構
成を示すブロック図である。この図のように、外部機器
は、機器本体600や、ディスプレイ601、キーボー
ド602、プリンタ603などから構成されて、以下の
点を除いて通常のパーソナルコンピュータと同じもので
ある。すなわち、機器本体600は、図1における評価
許可部70以降の構成を構築するとともに、送信データ
を光に変換して送信するためのLED604を有する一
方、受信光をデータに変換するためのフォトトランジス
タ605を有している。これらLED604、フォトト
ランジスタ605には、心機能診断装置の通信I/F7
6に設けられるLEDおよびフォトトランジスタの特性
と同一もしくは近似しているものがそれぞれ用いられ
る。ここでは、近赤外線タイプ(例えば中心波長が94
0nmのもの)が望ましい。そして、近赤外線タイプを
用いる場合には、可視光を遮断するための可視光カット
用のフィルタが、機器本体600の前面に設けられ、光
通信用の通信窓606となっている。
【0062】このような構成にかかる心機能診断装置
は、データ転送を行わない場合には、単独でも時間t1
(t1/t4)の変化率に基づいて上述した被験者の心機
能状態を評価・診断を行う一方、データ転送を行う場合
には、ピーク点抽出・波形解析部40により算出された
時間t1(t1/t4)と拍数変換テーブル60により変
換された拍数とからなる組を、所定の測定期間分だけ通
信I/F76のデータバッファに蓄積する。ここで、医
師等の第三者がキーボード601を操作して、データ要
求を指示すると、外部機器は、データリクエスト信号を
LED604を介して送信した後、データを受信するた
めの待機状態となる。一方、心機能診断装置側における
通信I/F76のフォトトランジスタがデータリクエス
ト信号を受信すると、通信I/F76のデータバッファ
に蓄積された組データが、通信I/F76のLEDによ
り送信される。この組データをフォトトランジスタ60
5が受信することにより、外部機器では、被験者におけ
る駆出波の立ち上がり時間t1(t1/t4)、および、
その測定時間のデータが取得されることになる。この
後、外部機器では、図1における評価許可部70以降の
構成を構築することにより、時間t1(t1/t4)の変
化率に基づいて被験者の心機能状態を評価・診断や、蓄
積したデータにより医師等の診断も可能となる。
【0063】なお、データ転送には、このほかに、被験
者の体動状態も併せて外部機器に送信することや、逆
に、変化率に対応するランク付けや診断メッセージなど
を外部機器側にて設定して、その内容を心機能装置側に
送信することなどが考えられる。
【0064】<5:実施形態や応用形態の外観的構成>
次に、上述した実施形態に係る心機能診断装置の構成例
のいくつかについて説明する。本装置は、被験者の心機
能状態を継続的に測定するものであるから、日常的に装
着して苦にならない構成が望ましい。このような構成
は、次のように、腕時計型や装身具などの形態を模した
ものや、その機能の一部として組み込むものが考えられ
る。
【0065】<5−1:腕時計型A>まず、実施形態に
係る心機能診断装置1を腕時計型とした場合の構成例に
ついて、図13を参照して説明する。同図(a)および
(b)に示すように、心機能診断装置1は、主に、腕時
計構造を有する装置本体100と、この装置本体100
に接続されるケーブル101と、このケーブル101の
先端側に設けられた脈波検出部10とから構成されてい
る。このうち、装置本体100には、リストバンド10
2が取り付けられている。詳細には、リストバンド10
2の12時方向から被験者の左腕に巻き付いて、その他
端が装置本体100の6時方向で固定されている。装置
本体100の6時方向には、また、コネクタ部103が
設けられている。このコネクタ部103には、ケーブル
101の端部となっているコネクタピース104が着脱
自在に取り付けられている。なお、このコネクタピース
104を取り外すと、コネクタ部103には、同図
(c)に示すように、ケーブル101との接続ピン11
1、112のほか、上述したデータ転送を行うためのL
ED113、フォトトランジスタ102が設けられてい
る。
【0066】一方、脈波検出部10は、同図(b)に示
すように、センサ固定用バンド11によって遮光されな
がら、被験者の人差し指の根本に装着される。このよう
に、脈波検出部10を指の根本に装着すると、ケーブル
101が短くて済むので、装着しても邪魔にならない。
また、掌から指先までの体温の分布を計測すると、寒い
ときには、指先の温度が著しく低下するのに対し、指の
根本の温度は比較的低下しない。したがって、指の根本
に脈波検出部10を装着すれば、寒い日に外出しても、
脈波波形を正確に検出できる。また、装置本体100の
表面側には、液晶パネルからなる表示部110が設けら
れている。この表示部110は、セグメント表示領域
や、ドット表示領域などを有し、現在時刻や診断内容な
ど表示する。すなわち、表示部110は、実施形態にお
ける告知部74に対応している。
【0067】一方、装置本体100の内部には、図示せ
ぬ加速度センサが組み込まれており、被験者の腕の振り
や、体の上下動によって生じる体動を検出している。す
なわち、この加速度センサが、実施形態における体動検
出部20に対応している。また、装置本体100の内部
には、各種演算や変換などを制御するCPUが設けられ
(図示省略)、図2におけるマイクロコンピュータ40
1を兼ねている。さらに、装置本体100の外周部に
は、各種操作や指示を行うためのボタンスイッチSW1
およびSW2がそれぞれ設けられている。
【0068】<5−1−1:脈波検出部の詳細構成>次
に、脈波検出部10の構成について図14を参照して説
明する。この図に示すように、脈波検出部10は、LE
D12、フォトトランジスタ13などから構成される。
スイッチSWがon状態となり、電源電圧が印加される
と、LED12から光が照射される。この照射光は、被
験者の血管や組織によって反射した後に、フォトトラン
ジスタ13によって受光される。したがって、フォトト
ランジスタ12の光電流を電圧に変換したものが、脈波
検出部10の信号MHとして出力される。
【0069】ここで、LED12の発光波長は、血液中
のヘモグロビンの吸収波長ピーク付近に選ばれる。この
ため、受光レベルは血流量に応じて変化する。したがっ
て、受光レベルを検出することによって、脈波波形が検
出されることとなる。また、LED12としては、In
GaN系(インジウム−ガリウム−窒素系)の青色LE
Dが好適である。青色LEDの発光スペクトルは、例え
ば450nmに発光ピークを有し、その発光波長域は、
350nmから600nmまでの範囲にある。この場
合、かかる発光特性を有するLEDに対応させてフォト
トランジスタ13として、GaAsP系(ガリウム−砒
素−リン系)を用いればよい。このフォトトランジスタ
13の受光波長領域は、例えば、主要感度領域が300
nmから600nmまでの範囲にあって、300nm以
下にも感度領域がある。このような青色LEDとフォト
トランジスタとを組み合わせると、その重なり領域であ
る300nmから600nmまでの波長領域において脈
波が検出される結果、以下の利点がある。
【0070】まず、外光に含まれる光のうち、波長領域
が700nm以下の光は、指の組織を透過しにくい傾向
があるため、外光がセンサ固定用バンドで覆われていな
い指の部分に照射されても、指の組織を介してフォトト
ランジスタ33まで到達せず、検出に影響を与えない波
長領域の光のみがフォトトランジスタ33に達する。一
方、300nmより低波長領域の光は、皮膚表面でほと
んど吸収されるので、受光波長領域を700nm以下と
しても、実質的な受光波長領域は、300nm〜700
nmとなる。したがって、指を大掛かりに覆わなくと
も、外光の影響を抑圧することができる。また、血液中
のヘモグロビンは、波長が300nmから700nmま
での光に対する吸光係数が大きく、波長が880nmの
光に対する吸光係数に比して数倍〜約100倍以上大き
い。したがって、この例のように、ヘモグロビンの吸光
特性に合わせて、吸光特性が大きい波長領域(300n
mから700nm)の光を検出光として用いると、その
検出値は、血量変化に応じて感度よく変化するので、血
量変化に基づく脈波波形MHのS/N比を高めることが
できる。
【0071】<5−2:腕時計型B>次に、心機能診断
装置1を腕時計型とした場合において、他の構成例につ
いて、図15を参照して説明する。この構成では、被験
者の脈波波形をLEDやフォトトランジスタ等によって
光電的に検出するのではなく、圧力センサを用いて検出
するものである。同図(a)に示すように、脈波診断装
置1には、一対のバンド102、102が設けられてお
り、その一方の締着具120の締め付け側には、圧力セ
ンサ130の弾性ゴム131が突出して設けられてい
る。締着具120を備えるバンド102は、圧力センサ
130による検出信号を供給するべくFPC(Flexible
Printed Circuit)基板を軟性プラスチックで被覆した
構造(詳細は図示省略)となっている。
【0072】また、使用時においては、同図(b)に示
すように、締着具120に設けられた弾性ゴム131が
橈骨動脈140の近傍に位置するべく、腕時計構造の脈
波診断装置1が被験者の左腕150に巻回される。この
ため、脈波を恒常的に検出することが可能となる。な
お、この巻回については通常の腕時計の使用状態と何等
変わることがない。こうして弾性ゴム131が、被験者
の橈骨動脈140近傍に押圧されると、該動脈の血流変
動(すなわち脈波)が弾性ゴム131を介して圧力セン
サ130に伝達され、圧力センサ130はこれを血圧と
して検知する。
【0073】<5−3:ネックレス型>また、実施形態
に係る心機能診断装置1を、図16に示すようなネック
レス型とすることが考えられる。この図において、圧力
センサ130はケーブル101の先端に設けられてお
り、例えば、図17に示すように、粘着テープ170な
どを用いて、被験者の頸動脈部に取り付けられる。ま
た、図16において、中空部を有するブローチのような
形状をした装置本体100には、この装置の主要部分が
組み込まれているとともに、その前面には表示部11
0、スイッチSW1、SW2が設けられている。なお、
ケーブル101はその一部が鎖160に埋め込まれてお
り、圧力センサ130により出力される信号MHを、装
置本体100に供給している。
【0074】<5−4:眼鏡型>実施形態に係る心機能
診断装置1の形態例としては、図18に示すような眼鏡
型とすることが考えられる。この図に示すように、装置
本体は、ケース100aとケース100bとに分かれ、
それぞれ別々に眼鏡の蔓181に取り付けられ、蔓18
1内部に埋め込まれたリード線を介して互いに電気的に
接続される。ケース100aのレンズ182側にはその
側面に液晶パネル183が取り付けられるとともに、該
側面の一端には鏡184が所定の角度で固定される。ま
た、ケース100aには光源(図示略)を含む液晶パネ
ル183の駆動回路と、表示データを作成するための回
路が組み込まれており、これらが、表示部110を構成
している。この光源から発射された光は、液晶パネル1
83を介して鏡184で反射されて、レンズ182に投
射される。また、ケース100bには装置の主要部が組
み込まれており、その上面には上述したスイッチSW
1、SW2が設けられている。一方、圧力センサ130
は、ケーブル101を介して、ケース100bと電気的
に接続されており、ネックレスの場合と同様に頸動脈部
に貼り付けられる。なお、ケース100aとケース10
0bとを接続するリード線は蔓181に沿って這わせる
ようにしても良い。また、この例では装置本体をケース
100aとケース100bとの2つに分ける構成とした
が、これらを一体化したケースで構成しても良い。さら
に、鏡184については、液晶パネル183との角度を
調整できるように可動式としても良い。
【0075】<5−5:カード型>また、他の形態例と
して、図19に示すようなカード型とすることが考えら
れる。このカード型の装置本体100は、例えば、被験
者の左胸ポケットに収容されるものである。圧力センサ
130は、ケーブル101を介して、装置本体100と
電気的に接続されており、ネックレスや眼鏡の場合と同
様に、被験者の頸動脈部に貼り付けられる。
【0076】<5−6:万歩計型>さらに、他の形態例
として、図20(a)に示すような万歩計型も考えられ
る。この万歩計の装置本体100は、同図(b)に示す
ように、被験者の腰ベルト191に取り付けられるもの
である。圧力センサ130は、ケーブル101を介し
て、装置本体100と電気的に接続されており、粘着テ
ープによって、被験者の股関節部において大腿動脈部に
固定され、さらに、サポータ192によって保護されて
いる。この際、ケーブル101については、被験者の日
常生活に支障をきたさないように、衣服に縫い込むなど
の対策を施すのが望ましい。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
脈波波形のうち心機能状態を示す部分を特定して処理す
ることにより、被験者から検出した脈波波形について、
1周期分以上を周波数解析処理することのなく、当該被
験者の心機能状態を診断することが可能となる。したが
って、心機能の状態を、より簡易な構成によって診断で
きることとなり、装置の小型化・軽量化に大いに貢献す
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態にかかる心機能診断装置の
構成を示すブロック図である。
【図2】 同実施形態におけるピーク点抽出・波形解析
部の詳細構成を示すブロック図である。
【図3】 ピーク情報メモリの記憶内容を説明するため
の図である。
【図4】 波形メモリに記憶される脈波波形の一例を示
す図である。
【図5】 (a)は心電図であり、(b)は大動脈血圧
波形を示す図であり、(c)は抹消部での脈波波形を示
す図である。
【図6】 脈波波形と波形パラメータとの対応を説明す
るための図である。
【図7】 変化率と診断内容との対応を示す図である。
【図8】 変化率と表示内容との対応を示す図である。
【図9】 時間t1の時間的推移を示す表示の一例を示
す図である。
【図10】 外部機器の構成の一例を示す図である。
【図11】 (a)は、人体の動脈血管系をシミュレー
トした四要素集中定数モデルの構成を示す回路図であ
り、(b)は、同じく五要素集中定数モデルの構成を示
す回路図である。
【図12】 指標の有用性を説明するための実測値を示
す図表である。
【図13】 (a)〜(c)は、それぞれ実施形態の構
成を腕時計型とした場合の外観構成を示す図である。
【図14】 実施形態における脈波検出部の構成を示す
図である。
【図15】 (a)は、実施形態の構成を別の腕時計型
とした場合の外観構成を示す図であり、(b)は、その
装着状態を示す図である。
【図16】 実施形態の構成をネックレス型とした場合
の外観構成を示す図である。
【図17】 脈波検出部を頚動脈に取り付けた様子を示
す図である。
【図18】 実施形態の構成を眼鏡型とした場合の外観
構成を示す図である。
【図19】 実施形態の構成をカード型とした場合の外
観構成を示す図である。
【図20】 (a)は、実施形態の構成を万歩計型とし
た場合の外観構成を示す図であり、(b)は、その装着
状態を示す図である。
【符号の説明】
10……脈波検出部(脈波検出手段)、20……体動検
出部(体動検出手段)、30……体動成分除去部(体動
成分除去手段)、40……ピーク点抽出・波形解析部
(収縮期特定手段、正規化手段)、60……拍数変換テ
ーブル、72……評価部(変化率算出手段)、76……
通信I/F(送信手段)

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体から脈波波形を検出する脈波検出手
    段と、 前記脈波波形から心臓の収縮期を特定する収縮期特定手
    段と、 前記収縮期特定手段により特定された収縮期における脈
    波波形のうち、心臓から拍出される血液に伴う動脈血管
    系の圧力特性を示す波形を解析して、当該波形を規定す
    る指標を算出する解析手段と、 前記解析手段により算出された指標に基づいて、当該生
    体の心機能状態を評価する評価手段とを具備することを
    特徴とする心機能診断装置。
  2. 【請求項2】 前記圧力特性を示す波形は、前記収縮期
    特定手段により特定された収縮期において、第1番目に
    現れる波形であることを特徴とする請求項1記載の心機
    能診断装置。
  3. 【請求項3】 前記収縮期特定手段は、 少なくとも1周期分以上の脈波波形についての極小点を
    検出し、当該脈波波形において心臓の大動脈弁解放に相
    当する極小点から弁閉鎖に相当する極小点までを心臓の
    収縮期として特定することを特徴とする請求項1記載の
    心機能診断装置。
  4. 【請求項4】 前記収縮期特定手段は、 検出した極小点のうち、値が下から2番目の極小点を心
    臓の大動脈弁閉鎖に相当する点とすることを特徴とする
    請求項3記載の心機能診断装置。
  5. 【請求項5】 前記収縮期特定手段は、 検出した極小点のうち、値が最小の極小点となる点を心
    臓の大動脈弁解放に相当する極小点とする一方、当該最
    小極小点から数えて第3番目に現れる極小点を心臓の大
    動脈弁閉鎖に相当する点とすることを特徴とする請求項
    3記載の心機能診断装置。
  6. 【請求項6】 前記脈波波形から拍数を検出する拍数検
    出手段をさらに備え、 前記評価手段は、前記解析手段による解析結果とともに
    前記拍数検出手段による拍数にも基づいて、当該生体の
    心機能状態を評価することを特徴とする請求項1記載の
    心機能診断装置。
  7. 【請求項7】 前記生体の体動を示す体動波形を検出す
    る体動検出手段と、 前記体動波形から前記脈波波形に存する体動成分を生成
    するとともに、当該脈波波形から当該体動成分を除去し
    て、前記収縮期特定手段に供給する体動成分除去手段と
    を備えることを特徴とする請求項1記載の心機能診断装
    置。
  8. 【請求項8】 前記評価手段による評価結果を告知する
    告知手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし7い
    ずれか記載の心機能診断装置。
  9. 【請求項9】 前記解析手段は、 前記圧力特性を示す波形の立ち上がり時間を、当該波形
    を規定する指標として算出し、 前記評価手段は、 前記解析手段による解析された立ち上がり時間に基づい
    て、当該生体の心機能状態を評価することを特徴とする
    請求項1記載の心機能診断装置。
  10. 【請求項10】 前記解析手段により算出された立ち上
    がり時間から、その立ち上がり時間の変化率を算出する
    変化率算出手段を備え、 前記評価手段は、 前記変化率算出手段により算出された立ち上がり時間の
    変化率に対応して、当該生体の心機能状態を評価するこ
    とを特徴とする請求項9記載の心機能診断装置。
  11. 【請求項11】 前記評価手段は、予め変化率を値の大
    きさに応じて複数段階に分類するとともに、各段階毎に
    評価内容をそれぞれ対応させておく一方、前記変化率算
    出手段により算出された変化率の属する段階に対応する
    評価内容を、当該生体の心機能状態として評価すること
    を特徴とする請求項10記載の心機能診断装置。
  12. 【請求項12】 前記解析手段により算出された立ち上
    がり時間から、その立ち上がり時間の時間的推移を作成
    する手段を有することを特徴とする請求項9記載の心機
    能診断装置。
  13. 【請求項13】 前記解析手段により算出された立ち上
    がり時間またはその演算結果を、外部機器に送信する送
    信手段を備えることを特徴とする請求項9記載の心機能
    診断装置。
  14. 【請求項14】 前記解析手段は、 前記圧力特性を示す波形の立ち上がり時間を前記収縮期
    特定手段により特定された心臓の収縮期の時間で正規化
    した値を、当該波形を規定する指標として算出し、 前記評価手段は、 前記解析手段により正規化された立ち上がり時間に対応
    して、当該生体の心機能状態を評価するをことを特徴と
    する請求項1記載の心機能診断装置。
  15. 【請求項15】 前記正規化した値の変化率を算出する
    変化率算出手段を有し、 前記評価手段は、前記変化率算出手段により算出された
    変化率に対応して当該生体の心機能状態を評価すること
    を特徴とする請求項14記載の心機能診断装置。
  16. 【請求項16】 前記評価手段は、予め変化率を値の大
    きさに応じて複数段階に分類するとともに、各段階毎に
    評価内容をそれぞれ対応させておく一方、前記変化率算
    出手段により算出された変化率の属する段階に対応する
    評価内容を、当該生体の心機能状態として評価すること
    を特徴とする請求項15記載の心機能診断装置。
  17. 【請求項17】 前記正規化した値の時間的推移を作成
    する手段を有することを特徴とする請求項14記載の心
    機能診断装置。
  18. 【請求項18】 前記解析手段は、 少なくとも1周期分以上の脈波波形についての極小点を
    検出し、当該脈波波形において心臓の大動脈弁解放に相
    当する極小点から、当該脈波波形において最高血圧値と
    なる極大点までに至る時間を、脈波波形の立ち上がり時
    間として検出することを特徴とする請求項9または14
    記載の心機能診断装置。
  19. 【請求項19】 前記解析手段は、 少なくとも1周期分以上の脈波波形についての極小点を
    検出し、当該脈波波形において心臓の大動脈弁解放に相
    当する極小点から、当該極小点直後に現れる極大点まで
    に至る時間を、脈波波形の立ち上がり時間として検出す
    ることを特徴とする請求項9または14記載の心機能診
    断装置。
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