JPH11108941A - 磁気状態観察装置および方法、磁気記録装置、ならびに、カンチレバー - Google Patents

磁気状態観察装置および方法、磁気記録装置、ならびに、カンチレバー

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JPH11108941A
JPH11108941A JP9272755A JP27275597A JPH11108941A JP H11108941 A JPH11108941 A JP H11108941A JP 9272755 A JP9272755 A JP 9272755A JP 27275597 A JP27275597 A JP 27275597A JP H11108941 A JPH11108941 A JP H11108941A
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probe
magnetic
cantilever
magnetic field
conductor pattern
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Takuma Yamamoto
▲琢▼磨 山本
Masayuki Miyashita
正之 宮下
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Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 試料の局所的な磁気状態を観察するための磁
気状態観察装置を提供する。 【解決手段】 カンチレバー1に形成される導体パター
ンに電源11により交流電流を供給して探針1aに交流
磁界を形成し、カンチレバー1の変位をビーム光源8お
よび光位置検出器9により検出し、検出された変位の前
記交流電流の周波数における振幅および位相をロックイ
ンアンプ12により抽出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体に情
報を記録するための磁気記録装置、局所的な磁気状態を
観察するための磁気状態観察装置および方法、ならび
に、磁気力顕微鏡のカンチレバーに係り、特に、記録の
高密度化に好適な磁気記録装置、微弱な磁気状態を観察
するために好適な、磁気状態観察装置および方法、なら
びに、カンチレバーに関する。
【0002】
【従来の技術】記憶媒体に情報を記録するための磁気記
録装置として、フロッピーディスクドライブや光磁気デ
ィスクドライブなどが用いられている。これらの装置で
は、磁気ヘッドを用いて記憶媒体の磁気状態を変更して
いる。
【0003】また、磁気力顕微鏡(MFM)が、磁性体
膜の磁気状態を高空間分解能で観察するために用いられ
ている。磁気力顕微鏡は、走査型プローブ顕微鏡(SP
M)の一種であり、永久磁化された探針がカンチレバー
に設けられている。そして、探針と磁性体膜との間に働
く力が、探針が設けられているカンチレバーの撓みとし
て計測される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、フロッピーデ
ィスク、光磁気ディスクに適用されている技術では、1
μm以下の空間分解能を実現することは困難である。
【0005】一方、磁気力顕微鏡では、永久磁化された
探針を磁性体膜に近接させるため、探針に形成される磁
界が、磁性体膜の保磁力よりも大きいと、磁性体膜の磁
気状態を変えてしまうことが起こり得る。また、磁性体
膜の磁気状態を変化させることにより、磁気情報を記録
しようとしても、磁気状態の変化を生じさせる箇所を任
意に操作することは困難である。
【0006】さらに、カンチレバーを撓ませる要因に
は、磁性体膜と探針との間の磁気力のほかに、磁性体膜
の起伏形状、磁性体膜と探針との間に働く電気力などが
ある。従来の磁気力顕微鏡では、カンチレバーの撓みを
直流的に計測しているため、磁気力による撓みを、他の
要因による撓みと区別して測定することは困難である。
このため、磁気力以外の要因による撓みが測定の不確定
要因となっている。
【0007】本発明は、磁気記録の空間分解能が向上さ
れた磁気記録装置を提供することを第1の目的とする。
【0008】また、試料の局所的な磁気状態を、磁気力
以外の要因による不確定要因を低減することができる磁
気状態観察装置及び方法を提供することを第2の目的と
する。さらに、本明細書では、このような磁気状態観察
装置に好適なカンチレバーを提供することとする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の第1の態様によれば、試料の表面における
局所的な磁気状態を観察するための磁気状態観察装置に
おいて、探針が形成されたカンチレバーと、前記カンチ
レバーに設けられ、前記探針に磁界を形成するための導
体パターンと、時間的に変化する変動電流を前記導体パ
ターンに供給するための電源と、前記探針の変位を検出
するための変位検出部と、前記変位検出部により検出さ
れた変位から、前記変動電流の時間変化に伴って変化す
る成分を抽出するための抽出部とを有することを特徴と
する磁気状態観察装置が提供される。
【0010】本発明の第2の態様によれば、試料の表面
における局所的な磁気状態を観察するための磁気状態観
察装置において、探針が設けられたカンチレバーを、探
針の先端を試料の表面に近接させて支持するための支持
部と、前記探針に、強度が変調された磁界を形成するた
めの磁界形成部と、前記カンチレバーの変位のうち、前
記探針に形成された強度変調と同周期で変化する変位成
分の振幅または位相を計測するための計測部とを備える
ことを特徴とする磁気状態観察装置。
【0011】本発明の第3の態様によれば、媒体に磁気
情報を記録するための磁気記録装置において、探針が形
成されたカンチレバーと、前記カンチレバーに設けら
れ、前記探針に磁界を形成するための導体パターンと、
記録すべき情報に応じた時刻に、直流電流を前記導体パ
ターンに供給するための電源とを有することを特徴とす
る磁気記録装置。
【0012】本発明の第4の態様によれば、対象の局所
的な磁気状態を検出するためのカンチレバーにおいて、
少なくとも先端部が軟磁性体で形成される探針と、前記
探針を囲む形状の導体パターンとを有することを特徴と
するカンチレバーが提供される。
【0013】本発明の第5の態様によれば、試料の表面
における局所的な磁気状態を観察するための磁気状態観
察方法において、カンチレバーに設けられた探針の先端
を試料の表面に近接させて支持し、前記探針に、強度が
変調された磁界を形成し、前記カンチレバーの変位のう
ち、前記強度の変調と同周期で変化する変位成分の振幅
または位相を計測することを特徴とする磁気状態観察方
法が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施の形態について説明する。
【0015】まず、図1を参照して、本発明の第1の実
施の形態について説明する。本実施の形態における磁気
状態観察装置は、磁性体膜などの試料における局所的な
磁気状態を観察するためのものである。
【0016】図1において、本実施の形態の磁気状態観
察装置100は、試料となる磁性体膜2を載置するため
の試料台18と、探針1aが設けられたカンチレバー1
と、探針1aに磁界を形成するための電源11と、カン
チレバー1を支持するためのホルダー3と、探針1aを
励振するためのセラミック振動子4および発振器6と、
探針1aおよび磁性体膜を相対移動するための3次元ス
キャナー5および電源7と、カンチレバー1の撓みを検
出するためのビーム光源8および光検出器9と、前記検
出された撓みの前記磁界の変化に伴う変化成分を計測す
るためのロックインアンプ12と、前記検出された撓み
の前記励振した振動に伴う変化成分を計測するためのロ
ックインアンプ10と、装置全体を制御するためのコン
トローラ13とを有して構成される。
【0017】前記カンチレバー1は、探針1aに形成さ
れる磁界を用いて、磁性体膜2の表面での局所的な磁気
状態を観察するためのものである。カンチレバー1の詳
細については後述する。
【0018】前記セラミック振動子4は、ホルダー3に
支持されるカンチレバー1を励振して、探針1aを、前
記磁性体膜2の表面に垂直な方向に振動させるためのも
のである。セラミック振動子4は、交流電圧を発振器6
から印加されることにより振動する。この振動がホルダ
ー3およびカンチレバー1を介して探針1aに伝わる。
【0019】前記3次元スキャナー5は、電源7によっ
て駆動され、探針1aと磁性体膜2とを3次元的に走査
することができる。これによって、探針1aおよび磁性
体膜2の間隔を操作することと、探針1aを磁性体膜2
の表面に沿って走査することとができる。
【0020】3次元スキャナー5は、例えば、チューブ
型ピエゾ素子を用いて構成することができる。
【0021】本実施の形態では、カンチレバー1を移動
させることにより、探針1aと磁性体膜2とを相対移動
させているが、磁性体膜2を移動させる構成でもよい。
磁性体膜2を移動させるためには、例えば、試料台18
に移動機構を設けることでもよい。
【0022】前記ビーム光源8および光位置検出器9
は、光てこ法を用いてカンチレバー1の撓みを検出す
る。すなわち、ビーム光源8から射出されたビーム光束
がカンチレバー1の背面で反射され、光位置検出器9の
受光面上に光スポットを形成する。そして、カンチレバ
ー1の撓みが変化すると、受光面上に形成される光スポ
ットの位置が変化する。この変化を、光位置検出器9で
検出する。ビーム光源8としては、例えば、半導体レー
ザを用いることができる。また、光位置検出器9として
は、例えば、2分割された受光素子を用いることができ
る。
【0023】前記ロックインアンプ10は、前記光位置
検出器9の出力と、前記発振器6で発振される交流電圧
とを入力する。そして、発振器6から出力された交流電
圧とほぼ同周期で変化する信号成分を、光位置検出器9
の出力から抽出し、その抽出された信号の振幅および位
相を出力する。これにより、セラミック振動子4で励振
される周波数における、探針1aの振動の振幅および位
相をモニターすることができる。
【0024】前記ロックインアンプ12は、前記光位置
検出器9の出力と、電源11で供給する電流を示す信号
とを入力する。そして、交流電源11が供給する交流電
流と同周期で変化する信号成分を、光位置検出器9の出
力から抽出し、その抽出された信号の振幅および位相を
出力する。これにより、探針1aに形成される磁界の変
調周波数(すなわち、交流磁界の周波数)と同周期で変
化する、探針1aの振動成分を抽出し、その振動成分の
振幅および位相をモニターすることができる。
【0025】次に、図2および図5を参照して、カンチ
レバーについて説明する。
【0026】まず、図2を参照して、カンチレバーの構
成について説明する。
【0027】図2において、カンチレバー1は、支持体
23と、レバー部22とを有し、レバー部22の先端に
は、探針1aが凸設されている。探針1aは、少なくと
もその先端部が磁性材料で形成される。
【0028】また、カンチレバー1の探針1aが設けら
れている面には、導体パターン21およびパット24が
形成されている。導体パターン21は、探針1aに磁界
を形成するためのコイル部21Cと、当該コイル部21
Cおよび前記パット24を接続するためのリード部21
Lとを有する。
【0029】導体パターン21は、電気的な導通が得ら
れればよく、例えば、金属で形成される。より具体的に
は、例えば、ニッケルクロムと金とを用いて形成するこ
とができる。
【0030】また、前記パット24は、導体パターン2
1の両端に形成されている。パット24にワイヤーボン
ディングを施すことにより、外部との電気的な接続を容
易に行うことができる。
【0031】次に、図5を参照して、探針と導体パター
ンとの位置関係、および、磁性材料で形成される探針の
部位について説明する。図5の(a)から(c)では、
ハッチングを施した領域1mは、磁性材料で形成される
部位を表す。
【0032】図5の(a)において、探針1aの全体を
含む部位1mが磁性材料で形成される。そして、探針1
aを、この磁性材料で形成される部位1mを含んで囲む
形状に、導体パターン21のコイル部21Cが形成され
ている。なお、コイル部21Cが探針1aを囲む態様
は、コイル部21Cを流れる電流によって、探針1aに
磁界を形成できればよく、1周に渡り囲む態様に限ら
ず、また、その経路が閉じていなくてもよい。すなわ
ち、図5の(a)のコイル部21Cのように、リード部
21Cに接続する部分で開いていてもよい。もちろん、
1周の4分の3にわたって囲む態様であっても、絶縁体
を挟んで多層化するなどして、複数回囲む態様であって
もよい。
【0033】また、図5の(b)では、探針1aの全体
が磁性材料で形成されている。そして、探針の先端部
(四角錐の頂部)の周りに、コイル部21Cが形成され
ている。すなわち、コイル部21Cは、探針1aの全体
を囲む形状だけではなく、その先端部を含む一部を囲ん
でいればよい。
【0034】そして、図5の(c)では、探針1aの磁
性材料で形成される領域1mは、探針1aの先端部を含
む一部となっている。このように、探針1aは、その少
なくとも先端部が磁性材料で形成されることにより、コ
イル部21Cを流れる電流によって形成される磁界を、
探針1aの先端近傍に集めることができる。なぜなら、
磁性材料で形成される領域1mの透磁率は、他の領域の
透磁率より大きく、コイル部21Cを流れる電流がつく
る磁束が領域1mを通るように集束して、探針1aの先
端近傍における磁界を強め、かつ、他の範囲に及ぶ磁界
を低減するからである。
【0035】このように、探針1aの先端部を含む一部
が磁性材料で形成される場合、磁性材料で形成される領
域1mを囲むように、コイル部21Cを形成することに
より、発生する磁束のほとんどが領域1mを貫く。従っ
て、図5の(a)に示す探針1aの全体を囲むようにコ
イル部21Cを形成する場合より、さらに、磁界を探針
1aの先端近傍に集めることができる。
【0036】なお、探針1aとして導電性の材料、例え
ば、金属材料を用いる場合には、探針1aと導体パター
ン21との絶縁をとる必要がある。絶縁の形態として
は、絶縁膜を用いてもよく、図5(c)の様な構造にし
てもよい。
【0037】探針1aを形成するための磁性材料として
は、透磁率が大きく、保持力が小さいことが望ましく、
軟磁性体を用いることができる。透磁率が大きいことに
より、磁束を集める効果が向上する。また、保持力が小
さいことにより、探針1aに形成される磁界の、コイル
部21Cを流れる電流への追従性を向上させることがで
きる。
【0038】具体的な、磁性材料としては、例えば、マ
グネタイト(Fe34)、鉄、コバルト、ニッケルなど
の磁性を有する金属、各種のフェライト材料、Supermal
loy、Feroxcubeなどの磁性材料を用いることができる。
【0039】次に、図1および図4を参照して、本実施
の形態の磁気状態観察装置の動作について説明する。
【0040】図4には、探針1aおよび導体パターン2
1のみがえがかれているが、これらは、図1のカンチレ
バー1の下面に形成されているものである。
【0041】まず、図4の(a)に示すように、導体パ
ターン21に対して電流Iaを流すと、探針1aには、
下向き(カンチレバーから試料に向かう向き)の磁界H
aが形成される。一方、電流を流す向きを逆にして、図
4の(b)に示すように電流Ibを流すと、探針1aに
は、上向きの磁界Hbが形成される。
【0042】探針1aを形成する磁性材料としては、透
磁率が大きく、保持力が小さい磁性材料を選ぶことが好
ましく、探針1aの先端での磁束の大きさと向きとは、
導体パターンに流れる電流の大きさと向きとに追従して
変化する。例えば、導体パターンに印加する電圧を、例
えば1kHzの交流とすると、カンチレバー1に働く力
が1kHzで変化するため、カンチレバー1が1kHz
で振動する。この1kHzの振動成分は、純粋に磁気力
によるものであるため、このカンチレバー1の1kHz
での振動振幅および位相をロックインアンプ12で検出
することで、磁性体膜2の局所的な磁気特性を計測でき
る。
【0043】より一般的には、導体パターンに対して、 I=Idc+Iac・cos(ω・t) の電流を流して、ω成分でのカンチレバーの振動の振幅
および位相(電流の位相を基準とする位相)を検出す
る。ただし、IdcおよびIacは、任意の定数である。
【0044】次に、図3の(a)から(e)を参照し
て、カンチレバーを作成するためのプロセスについて説
明する。
【0045】まず、図3の(a)に示すステップにおい
て、厚さ250μmの(100)方位のシリコンウェハ
ー51に約0.2μm厚の熱酸化膜52および53を成
膜する。そして、探針を形成するための6μm角の開口
を、表の熱酸化膜52にフォトリソグラフィー法により
形成する。シリコンウェハー51の開口により露出され
た部分に、TMAHにより異方性エッチングして、ピッ
ト部60をピラミッド型に形成する。
【0046】次に、図3の(b)に示すステップにおい
て、マグネタイトをスパッタ蒸着した後、レジストを除
去してピット部60にのみ0.1μm厚のマグネタイト
膜54を形成する。
【0047】次に、図3の(c)に示すステップにおい
て、シリコンウェハー51の表側に、フォトリソグラフ
ィー法によりパターンニングし、ニッケルクロム/金
(2nm/30nm)のパターン55をスパッタ蒸着に
より形成する。
【0048】そして、図3の(d)に示すステップにお
いて、シリコンウェハー51のピット部60が形成され
た面に0.7μmの窒化シリコン56をスパッタ蒸着に
より成膜した後、この窒化シリコン56をフォトリソグ
ラフィー法によりパターンニングし、ピット部60を先
端に有するカンチレバーの形状に形成する。
【0049】さらに、図3の(e)に示すステップにお
いて、窒化シリコン56にガラスの支持体57を接着し
た後、裏面のシリコン酸化膜53、および、シリコンウ
ェハー51をエッチングにより除去し、片持ちバネのカ
ンチレバー構造を形成する。
【0050】次に、図1を参照して、本実施の形態にお
ける磁気状態観察装置を用いて、磁性体膜の局所的な磁
性状態を観察するための手順について説明する。
【0051】はじめに、探針1aを磁性体膜2表面に近
接させる。
【0052】探針1が磁性体膜2表面に近接する状態と
するために、カンチレバー1の共振周波数250kHz
より僅かに高い周波数のサイン波の交流電圧を発振器6
で発生し、その交流電圧をセラミック振動子4に印加す
る。これにより、前記サイン波でカンチレバー1が励振
され、カンチレバー1は、磁性体膜2に垂直な方向に振
動する。カンチレバー1が振動している状態で、探針1
aを磁性体膜2表面に近接させると、探針1aおよび磁
性体膜2の間に働くファンデルワールス力によりカンチ
レバー1の振動状態が変化する。この変化をビーム光源
8および光位置検出器9ならびにロックインアンプ10
により検知する。そして、検知したカンチレバー1の振
動状態の変化をコントローラ13に入力させ、その入力
信号に基づきカンチレバー1の振動状態が一定になるよ
うに、コントローラ13は、3次元スキャナー5をフィ
ードバック制御する。これにより、探針1aを磁性体膜
2表面に近接させた状態で保持することができる。
【0053】また、探針1aを一旦磁性体膜2表面に接
触させた後に、微小量だけ磁性体膜2から引き離しても
よい。この場合には、セラミック振動子4を使わずに探
針1aを磁性体膜2表面に近接させることができる。従
って、磁性体膜2に探針1aを接触させてもよい場合に
は、磁気状態観察装置100を、セラミック振動子4を
省略した構成とすることができる。
【0054】前述のようにして探針1aを磁性体膜2表
面に近接させた状態で、導体パターンの両端に20kH
zの交流電圧を印加して交流電流を流す。このとき、探
針1aと磁性体の磁性体膜2との間に働く磁気力によ
り、カンチレバーは20kHzで振動する。この振動の
振幅および位相をロックインアンプ12で検出する。こ
の検出を、探針1aを磁性体膜a上を走査させながら行
うことにより、磁性体膜2の表面における磁気状態の分
布を示す情報を得ることができる。
【0055】このようにして、探針1aに形成される磁
界に変調を与えた状態で、探針1aおよび磁性体膜2の
間に働く磁気力を、上記変調周波数における振動状態で
検出することにより、磁気力以外の要因による影響を低
減して磁気状態の観察を行うことができる。
【0056】次に、図1を参照して、本発明の第2の実
施の形態について説明する。本実施の形態における磁気
記録装置は、磁性体膜などの記憶媒体の表面での、磁気
状態を局所的に変化させて情報を記録するためのもので
ある。
【0057】本実施の形態の磁気記録装置は、第1の実
施の形態における磁気情報観察装置と同様に構成するこ
とができる。ただし、探針1aに磁界を形成するための
電源11が、コントローラ13からの指示に応じて、直
流電流を供給することにおいて相違する。
【0058】この直流電流は、前記磁気情報観察装置の
場合の交流電流の振幅より大きな電流値とする。より具
体的には、磁性体膜2の保持力を越える大きさの磁界
を、探針1aの先端近傍に形成することができる電流値
とする。これにより、磁性体膜2の探針1a直下におけ
る磁化状態を変化させ、記録すべき情報を表す磁化状態
とすることができる。このとき、探針1aに直流電流を
流すタイミングは、記録すべき情報に応じてコントロー
ラ13により制御される。これにより、磁化状態の変化
が不要な部位に探針1aが対応している状態では、探針
1aに磁界を形成せず、磁化状態の変化を避けることが
できる。
【0059】なお、このようにして、探針1aにより磁
性体膜2の磁化状態を変更する際には、カンチレバー1
の撓みは、必ずしも検出する必要がない。従って、探針
1aおよび磁性体膜2が接触する状態に、カンチレバー
1を支持してもよい。
【0060】このようにして記録した情報は、第1の実
施の形態において前述した手順と同様にして磁気状態を
観察して、情報を取得することができる。また、電源1
1が交流電流および直流電流を出力するものであるなら
ば、磁気情報の観察および磁気記録を両方行うことがで
きる。別々の装置で磁気記録、磁気観察を行う場合と比
較して、同じ位置で記録・観察を行う際に、プロープの
位置決めを省略することができるといった利点がある。
【0061】なお、磁性体膜2の磁気状態を観察して、
現在探針1aが対応している記録トラック、記録ブロッ
クなどを示す情報を取得し、情報を記録すべき部位に探
針1aが対応したときに、前述の記録の動作を行っても
よい。
【0062】磁性体膜2の磁化状態を変化させるための
磁界は、カンチレバー1の探針1aの微小な先端付近に
集中させることができる。このため、磁化状態の変化を
局所的に起こさせることが可能となる。従って、情報を
記録する空間分解能を向上させることができる。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、磁性体膜の任意位置に
局所的に、磁性情報を書き込むことができる。このた
め、磁気記録の空間分解能は、カンチレバーに形成され
る微小な探針の先端程度まで向上させることができる。
従って、高い空間分解能で記録することができる磁気記
録装置が提供される。
【0064】また、探針に形成する磁界の変調に伴う、
磁気力を、他の要因による影響を低減して計測すること
ができる。従って、試料の局所的な磁気状態を、磁気力
以外の要因による影響を低減して観察することができる
磁気状態観察装置及び方法が提供される。
【0065】そして、カンチレバーに形成される探針の
先端近傍に磁界を集中させ、かつ、その磁界が残留する
ことを避けることができる。このようなカンチレバー
は、前述の磁気観察装置、および磁気記録装置に好適に
用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 磁気状態観察装置または磁気記録装置の構成
を示すブロック図である。
【図2】 カンチレバーを示す斜視図である。
【図3】 カンチレバーの作製プロセスを示す断面図で
ある。
【図4】 パターンに流れる電流と、探針に形成される
磁界との関係を示す斜視図である。
【図5】 カンチレバーにおける、磁性材料と、探針
と、パターンとの位置関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1…カンチレバー、1a…探針、1m…磁性材料、2…
磁性体膜、3…ホルダー、4…セラミック振動子、5…
3次元スキャナー、6…発振器、7…電源、8…ビーム
光源、9…光位置検出器、10…ロックインアンプ、1
1…電源、12…ロックインアンプ、13…コントロー
ラー、21…導体パターン、22…レバー、23…支持
体、24…パット。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料の表面における局所的な磁気状態を
    観察するための磁気状態観察装置において、 探針が形成されたカンチレバーと、 前記カンチレバーに設けられ、前記探針に磁界を形成す
    るための導体パターンと、 時間的に変化する変動電流を前記導体パターンに供給す
    るための電源と、 前記探針の変位を検出するための変位検出部と、 前記変位検出部により検出された変位から、前記変動電
    流の時間変化に伴って変化する成分を抽出するための抽
    出部とを有することを特徴とする磁気状態観察装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の磁気状態観察装置におい
    て、 前記探針は、軟磁性体で形成されることを特徴とする磁
    気状態観察装置。
  3. 【請求項3】 試料の表面における局所的な磁気状態を
    観察するための磁気状態観察装置において、 探針が設けられたカンチレバーを、探針の先端を試料の
    表面に近接させて支持するための支持部と、 前記探針に、強度が変調された磁界を形成するための磁
    界形成部と、 前記カンチレバーの変位のうち、前記探針に形成された
    磁界の強度変調と同周期で変化する変位成分の振幅また
    は位相を計測するための計測部とを備えることを特徴と
    する磁気状態観察装置。
  4. 【請求項4】 媒体に磁気情報を記録するための磁気記
    録装置において、 探針が形成されたカンチレバーと、 前記カンチレバーに設けられ、前記探針に磁界を形成す
    るための導体パターンと、 記録すべき情報に応じた時刻に、直流電流を前記導体パ
    ターンに供給するための電源とを有することを特徴とす
    る磁気記録装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の磁気記録装置において、 前記探針は、軟磁性体で形成されることを特徴とする磁
    気記録装置。
  6. 【請求項6】 対象の局所的な磁気状態を検出するため
    のカンチレバーにおいて、 少なくとも先端部が軟磁性体で形成される探針と、 前記探針を囲む形状の導体パターンとを有することを特
    徴とするカンチレバー。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のカンチレバーにおいて、 前記探針は、四角錐状に形成され、外周の面に磁性体膜
    が形成されていることを特徴とするカンチレバー。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のカンチレバーにおいて、 カンチレバー支持部に形成されるパットを備え、 前記導体パターンは、前記探針を囲むコイル部と、当該
    コイル部および前記パットを接続するためのリード部と
    を有する形状に形成されることを特徴とするカンチレバ
    ー。
  9. 【請求項9】 試料の表面における局所的な磁気状態を
    観察するための磁気状態観察方法において、 カンチレバーに設けられた探針の先端を試料の表面に近
    接させて支持し、 前記探針に、強度が変調された磁界を形成し、 前記カンチレバーの変位のうち、前記強度の変調と同周
    期で変化する変位成分の振幅または位相を計測すること
    を特徴とする磁気状態観察方法。
JP9272755A 1997-10-06 1997-10-06 磁気状態観察装置および方法、磁気記録装置、ならびに、カンチレバー Pending JPH11108941A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2001073791A1 (en) 2000-03-31 2001-10-04 Institut Curie Atomic force microscope
JP2003114186A (ja) * 2001-10-03 2003-04-18 Seiko Instruments Inc 走査型プローブ顕微鏡

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