JPH0821870A - 走査表面磁気検出装置 - Google Patents

走査表面磁気検出装置

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JPH0821870A
JPH0821870A JP15480094A JP15480094A JPH0821870A JP H0821870 A JPH0821870 A JP H0821870A JP 15480094 A JP15480094 A JP 15480094A JP 15480094 A JP15480094 A JP 15480094A JP H0821870 A JPH0821870 A JP H0821870A
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JP15480094A
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Yukio Honda
幸雄 本多
Nobuyuki Inaba
信幸 稲葉
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 試料表面の形態情報と磁気情報とを分離して
検出する。 【構成】 一端に尖針1を有する板バネ2と、板バネの
変位を検出する光てこ5〜7と、XYZスキャナ9と、
光てこからの出力信号に基づき前記板バネの変位が一定
に保たれるようにXYZスキャナ9のZ軸圧電素子印加
電圧を制御するサーボ制御回路8により原子間力顕微鏡
を構成する。板バネ2の尖針部分に多層磁気抵抗効果膜
3を備え、試料4と尖針1の間にトンネル電圧12を印
加して検出器13で多層磁気抵抗効果膜3を流れるトン
ネル電流を検出するか、又は多層磁気抵抗効果素子3の
磁気抵抗を検出することにより、試料4の表面形態情報
から独立して試料表面の磁気情報を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁性試料表面の極小領
域の磁気情報を検出するのに好適な表面磁気検出装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】現在、単層のパーマロイを用いた磁気抵
抗素子は、磁気ディスク装置における磁気再生ヘッドの
一方式として実用的に用いられている。しかし、この従
来の再生ヘッドは、磁気抵抗変化率が約3%と小さく、
また試料表面の磁界を感知する磁気抵抗素子部が大きい
ため、0.5μm以下のサブミクロンオーダの微小部の
磁気情報を検出することができなかった。また、磁気情
報の感知部である磁気抵抗効果素子を試料表面に数十n
mオーダ以下の距離まで安定に接近して高分解能、高感
度にて磁気情報の検出を行うことはできなかった。
【0003】最近、Dieny らによるフィジカル・レビュ
ー・B(Physical Review B)、第43巻、第1号、1297〜
1300頁に記載の「軟磁性多層膜における巨大磁気抵抗効
果」(Giant Magnetoresistance in Soft Ferromagneti
c Multilayers )のように2層の磁性層を非磁性層で分
離し、一方の磁性層に反強磁性層からの交換バイアス磁
界を印加する磁気抵抗効果膜が考案された。この多層膜
は、数kA/m以下の微弱な磁界でも約10%の高い磁
気抵抗変化率を生じさせることができる。しかし、この
多層膜を用いても、原子レベルの微細領域の磁気情報を
検出することはできない。
【0004】一方、試料について原子レベルの微細領域
の情報を獲得できる装置として、走査トンネル顕微鏡、
原子間力顕微鏡、磁気力顕微鏡等が知られている。走査
トンネル顕微鏡は、探針と試料間に電圧を印加し、探針
と試料との距離を接近したときに流れるトンネル電流お
よび電界放射電流を利用して導体試料の表面形態を調べ
る装置である。一方、原子間力顕微鏡は導体、絶縁体試
料に探針を接近したときに発生する原子間力を利用して
表面状態を調べる装置である。原子間力顕微鏡は、米国
特許第4724318号(特開昭62−130302
号)、ジャーナル・オブ・フィジックス誌、1987年、第
61巻、4723〜4729頁等に記載されている。
【0005】また、磁気力顕微鏡は、探針として磁性体
を用い、この磁性探針と磁性試料の表面に漏洩した磁界
の間に発生する磁気力を利用して試料の磁化状態を調べ
る装置である。磁性探針と試料を接近して得られる磁気
力を利用した走査型磁気力顕微鏡における試料の磁気情
報の取得方法については、ジャーナル・オブ・バキュー
ム・サイエンス・テクノロジー、A6 (1988年) 279〜282
頁、あるいはアプライド・フィジックス・レターズ、第
50巻 (1987年) 1455〜1457頁に論じられている。
【0006】これら原子間力顕微鏡や磁気力顕微鏡の動
作モードには、大別して2つの方式がある。第1の方式
は、板バネ先端の探針を試料表面に接近して原子間力の
作用する距離(表面から数十nm以下)で走査し、力の
変化の直流成分を検出して試料表面の形態や磁気力分布
を計測する。第2の方式は、板バネを共振周波数近傍で
加振し、探針に働く力による板バネの共振周波数の変化
を検出し、力の勾配を計測する。この場合、探針は試料
表面から数十nmから数百nm離れた領域で微小振幅で
振動させながら動作する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記磁気力顕微鏡は、
探針に働く磁気力または磁気力勾配を一定に保つように
探針の位置を制御することにより、試料表面の漏洩磁界
の分布を検出できる。しかし、探針と試料間の距離が接
近したとき原子間力の作用による試料の表面構造情報と
磁気情報とが混在して検出されるため、真の磁気情報の
予測が困難である。また、単層のパーマロイからなる磁
気抵抗素子を用いた従来の再生ヘッドでは、磁性試料表
面の漏洩磁界の検出はできるが、磁性試料表面のサブミ
クロンオーダの微小部の磁区構造などの磁気情報を高分
解能で検出することはできなかった。
【0008】本発明の目的は、前記問題点を解決し、試
料表面の微小部分における磁気情報と表面形態情報を夫
々独立して検出できる走査表面磁気検出装置を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明では、尖針部分に
多層磁気抵抗効果膜を備えた板バネをプローブとして用
い、尖針と試料の間の原子間力を利用して試料の表面形
状等の形態情報を検出し、同時に多層磁気抵抗効果膜の
磁気抵抗を検出するか、又は試料と尖針の間にトンネル
電圧を印加して多層磁気抵抗効果膜3を流れるトンネル
電流を検出することにより、試料の表面形態情報から独
立して試料表面の磁気情報を検出することにより前記目
的を達成する。
【0010】すなわち、本発明の走査表面磁気検出装置
は、一端に尖針を有し尖針部分に多層磁気抵抗効果膜を
備える板バネと、板バネの変位を検出する板バネ変位検
出手段と、板バネの尖針と試料の間の距離を制御する試
料距離制御手段と、板バネ変位検出手段からの出力信号
に基づき板バネの変位が一定に保たれるように試料距離
制御手段に制御信号を出力する手段と、多層磁気抵抗効
果膜の磁気抵抗を検出する磁気抵抗検出手段と、尖針と
試料表面とを二次元的に相対移動させる二次元走査手段
と、二次元走査手段による尖針と試料表面の相対移動に
同期して磁気抵抗検出手段からの検出信号を表示する表
示手段とを含むことを特徴とする。
【0011】また、本発明の走査表面磁気検出装置は、
一端に尖針を有し尖針部分に多層磁気抵抗効果膜を備え
る板バネと、板バネの変位を検出する板バネ変位検出手
段と、板バネの尖針と試料の間の距離を制御する試料距
離制御手段と、板バネ変位検出手段からの出力信号に基
づき板バネの変位が一定に保たれるように試料距離制御
手段に制御信号を出力する手段と、尖針と試料の間にト
ンネル電圧を印加する手段と、多層磁気抵抗効果膜を膜
厚方向に通って流れるトンネル電流を検出する電流検出
手段と、尖針と試料表面とを二次元的に相対移動させる
二次元走査手段と、二次元走査手段による尖針と試料表
面の相対移動に同期して前記電流検出手段の検出信号を
表示する表示手段とを含むことを特徴とする。
【0012】また、本発明の走査表面磁気検出装置は、
一端に尖針を有し尖針部分に多層磁気抵抗効果膜を備え
る板バネと、板バネを所定の周波数の加振信号で加振す
る加振手段と、板バネの変位を加振信号に同期して検出
する板バネ変位検出手段と、板バネの尖針と試料の間の
距離を制御する試料距離制御手段と、板バネ変位検出手
段によって検出された板バネの尖針と試料の間の平均距
離が一定に保たれるように試料距離制御手段に制御信号
を出力する手段と、多層磁気抵抗効果膜の磁気抵抗変化
を加振信号に同期して検出する磁気抵抗変化検出手段
と、尖針と試料表面とを二次元的に相対移動させる二次
元走査手段と、二次元走査手段による尖針と試料表面の
相対移動に同期して磁気抵抗変化検出手段からの検出信
号を表示する表示手段とを含むことを特徴とする。
【0013】また、本発明の走査表面磁気検出装置は、
一端に尖針を有し尖針部分に多層磁気抵抗効果膜を備え
る板バネと、板バネを所定の周波数の加振信号で加振す
る加振手段と、板バネの変位を加振信号に同期して検出
する板バネ変位検出手段と、板バネの尖針と試料の間の
距離を制御する試料距離制御手段と、板バネ変位検出手
段によって検出された板バネの尖針と試料の間の平均距
離が一定に保たれるように試料距離制御手段に制御信号
を出力する手段と、尖針と試料の間にトンネル電圧を印
加する手段と、多層磁気抵抗効果膜を通って流れるトン
ネル電流を加振信号に同期して検出する電流検出手段
と、尖針と試料表面とを二次元的に相対移動させる二次
元走査手段と、二次元走査手段による尖針と試料表面の
相対移動に同期して電流検出手段からの検出信号を表示
する表示手段とを含むことを特徴とする。
【0014】板バネの尖針と試料の間の距離は、振動し
ている板バネの共振周波数又は振動振幅が一定になるよ
うに制御してもよい。二次元走査手段による尖針と試料
表面の相対移動に同期して試料距離制御手段への制御信
号を表示手段に表示すると、試料の表面形状等の形態情
報を表示することができる。
【0015】板バネの尖針と試料の間の距離の制御及び
尖針と試料表面の二次元的相対移動は、板バネに駆動機
構を設けて板バネを移動するようにしてもよいし、試料
をXYZスキャナに載置して試料を移動させるようにし
てもよい。試料と尖針の間の距離の制御は、機械的機構
によって行ってもよいし、試料と尖針の間に数ボルト以
下の直流電圧を印加し、試料と尖針間の静電界の傾きを
利用して行うことも可能である。この印加電圧はトンネ
ルバイアスを代用することも可能である。
【0016】多層磁気抵抗効果膜としては、前述の2層
の磁性層を非磁性層で分離し、その一方の磁性層に反強
磁性層からの交換バイアス磁界を印加した磁気抵抗効果
膜を用いることができる。その磁性層としては、Ni−
Fe系合金を使用することができ、またこれに10〜2
5at%のCoを添加したNi−Fe−Co系合金を用
いることにより、良好な軟磁気特性と高い磁気抵抗変化
率を得ることができる。
【0017】多層磁気抵抗効果膜としては、その他に
も、例えばNi−Fe系合金をCu,Ag等の非磁性層
を介して一対から数十層積層したもの、Ni−Fe/C
u/Co/Ni−Fe等の多層膜、あるいは巨大磁気抵
抗効果膜〔フィジカル・レビュー・レターズ(Physical
Review Letters)、第61巻、第21号、2472〜2475頁〕等
を用いることもできる。
【0018】プローブの尖針は板バネと一体構造が望ま
しく、単結晶線またはスパッタリング法や真空蒸着法な
どの物理蒸着法で形成した薄膜を用いても良い。また、
尖針を反強磁性材料で作ってもよい。多層磁気抵抗効果
膜の表面には、非磁性の導電性保護膜を設けるのが好ま
しい。多層磁気抵抗効果膜に接続する電極は、トンネル
電流等を多層膜の膜厚方向に流すために、反強磁性層に
接している磁性層又は非磁性層に接続するのが好まし
い。
【0019】板バネの変位検出は、光てこ方式、光干渉
方式、静電容量方式、光臨界角方式、撓み検出方式等、
既知の任意の方式を採用することができる。本発明の走
査表面磁気検出装置は、磁性材料の磁化状態を評価する
ための磁気計測装置として用いることができる。また、
情報ビットが極めて小さく磁気ヘッドを磁気記録媒体に
接触させて用いるアトミック記録装置又は磁気ディスク
装置における磁気再生ヘッドとして利用することができ
る。この場合、磁気情報は多層磁気抵抗効果素子の出力
から導出し、板バネの変位信号は磁気ヘッドを磁気記録
媒体表面に密着させるための制御信号として用いられ
る。
【0020】
【作用】多層磁気抵抗効果素子を配置した尖針を板バネ
の先端に設け、この尖針を試料表面に100nm以下の
距離まで接近すると、尖針に対して作用する引力または
斥力の原子間力により板バネが撓む。この板バネの変位
を測定し、尖針に作用する力が一定になるように、すな
わち板バネの変位が一定になるように、試料あるいは尖
針のZ軸(試料面に垂直の軸)の位置を制御することに
より試料の表面構造の計測をし、同時に尖針を試料表面
から一定の高さに保持する。
【0021】尖針部分に設けられた多層磁気抵抗効果膜
の磁気抵抗は、試料表面における磁界の影響を受けて変
化する。また、試料と尖針の間にトンネル電圧を印加し
てトンネル電流を流すと、このトンネル電流は多層磁気
抵抗効果膜を膜厚方向に流れ、試料の表面磁界の影響を
受けた磁気抵抗による減衰を受ける。従って、前記多層
磁気抵抗効果膜の磁気抵抗又はそれを通って流れるトン
ネル電流を検出することにより、試料の表面磁気情報を
獲得することができる。
【0022】また、先端が鋭く尖った尖針上に上記多層
磁気抵抗効果素子を配置しているので、試料の表面磁気
情報を高分解能で検出することができる。この時、板バ
ネには磁気力が作用しないので、板バネの尖針と試料の
間に作用する原子間力に基づく情報には、磁気情報が混
在することはない。同様に、尖針は試料表面から一定距
離に保たれているので、多層磁気抵抗効果膜の磁気抵抗
又は多層磁気抵抗効果膜を流れるトンネル電流から得ら
れる情報に試料の形状情報が混在することはない。従っ
て、本発明によると、試料の表面形態と磁気情報とを各
々独立して検出することができる。
【0023】多層磁気抵抗効果膜による磁界の検出は、
センス電流を多層膜の膜面に平行な方向に流すよりも膜
厚方向に流す方が感度が高い。板バネの尖針部分に多層
磁気抵抗効果膜を設けると、試料との間のトンネル電流
は多層磁気抵抗効果膜を膜厚方向の横切って流れること
になり、この高感度の配置を実現できる。尖針と試料表
面の間の距離を一定に保つ際に、板バネを加振し、尖針
を試料面に垂直方向(Z軸方向)、または平行の方向に
振動させ、加振周波数と同期した測定を行うと高いS/
N比(信号対ノイズ比)で磁気抵抗変化又はトンネル電
流の検出ができる。
【0024】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げ、図を参照しな
がら具体的に説明する。 〔実施例1〕図1は、本発明による走査表面磁気検出装
置の基本的な構成を説明する図である。
【0025】プローブは、先端に尖針1を備えた板バネ
2からなり、尖針1の表面、あるいは尖針1と板バネ2
の表面に多層磁気抵抗効果素子3が配置されている。多
層磁気抵抗効果素子3は、非磁性層で分離された2層以
上の磁性層と、少なくとも1層の磁性層に交換バイアス
磁界を印加する反強磁性層を備える。上記尖針1の先端
が試料4の表面に接近すると、この両者の間に作用した
原子間力により板バネ2に撓みが発生する。この撓みに
よる板バネ2の変位は、光てこ方式、光干渉方式、静電
容量方式、光臨界角方式、歪計などの撓み検出方式等で
検出する。
【0026】一例として、光てこ方式を用いた板バネ2
の変位検出について説明する。光てこ方式検出器は、レ
ーザ光源5、位置センサ6、位置検出回路7から構成さ
れる。レーザ光源5から出射したレーザ光は板バネ2の
背面に集光され、この面で反射し、位置センサ6に入射
する。板バネ2が撓むと、その背面で反射したレーザ光
の光路がずれ、位置センサ6に入射するレーザ光の位置
が変化する。この位置センサ6に入射したレーザ光の基
準位置からのズレを位置検出回路7で増幅し、これより
板バネ2の変位を精度良く検出する。
【0027】位置検出回路7の出力信号はサーボ制御回
路8に入力され、XYZスキャナ9のZ軸圧電素子を作
動して、板バネ2の変位が一定、すなわち尖針1と試料
4の距離が一定になるように制御する。XY走査回路1
0により試料4を尖針1に対してXY方向に相対的に走
査し、XY方向の尖針の位置に対するZ軸圧電素子の制
御信号を表示装置11に入力することにより、試料4の
表面形状を表示装置11に表示することができる。
【0028】試料4が磁気を帯びている場合、プローブ
の多層磁気抵抗素子3中の磁性層に磁気力が作用する。
しかし、試料表面に尖針を極めて近く接近した場合(<
50nm以下)、この磁気力は試料4と板バネの尖針の
間に作用する原子間力に比べて極めて小さく、無視する
ことができる。また、尖針1に配置されている多層磁気
抵抗効果素子3と試料4の間にトンネルバイアス12を
印加し、この間に流れるトンネル電流を磁気抵抗検出回
路13で検出する。この信号は、試料4の表面磁界の影
響による多層磁気抵抗効果素子3の磁気抵抗変化を反映
したものであり、試料4の表面磁界に関する情報を含ん
でいる。
【0029】上述したように、プローブの尖針1に作用
する原子間力が一定の大きさになるように、すなわち尖
針1と試料4の距離が一定になるようにXYZスキャナ
9のZ軸圧電素子を制御しているので、もし試料4の表
面磁界が一様であれば磁気抵抗検出回路13で検出され
るトンネル電流は一定になるはずである。従って、この
トンネル電流の変化は試料4の表面磁界の変化のみを反
映しており、XY走査回路10によりXYZスキャナ9
を制御して、試料4をプローブの尖針1に対してXY方
向に相対的に走査すると同時に、磁気抵抗検出回路13
の出力信号をXY走査に同期して表示装置11に入力す
ると、試料4の表面磁界の強度分布を表示することがで
きる。
【0030】このように、サーボ制御回路8の出力、す
なわち板バネ2の変位信号より試料の表面形態を、多層
磁気抵抗効果素子3の磁気抵抗の変化、すなわち磁気抵
抗検出回路13の出力信号より試料表面の磁気情報を、
それぞれ分離して検出することができる。
【0031】〔実施例2〕図2に断面構造の一部を模式
的に示すように、板バネ2の上に多層磁気抵抗効果素子
を形成した。板バネとしては、Si、SiO2 、窒化シ
リコンなどの非磁性材料を用いることができる。
【0032】多層磁気抵抗効果素子は、イオンビームス
パッタリング法により作製した。作製装置の到達真空度
は3×10-5Pa、スパッタリング時のArガス圧力は
0.02Paである。薄膜の形成速度は、0.1〜0.
2nm/sとした。第1磁性層21および第2磁性層2
2には、厚さ3nmのNi−20at%Fe合金を用
い、第1磁性層と第2磁性層を分離する非磁性層23に
は、厚さ2nmのCuを用いた。板バネ2と第1磁性層
21の間に配置される反強磁性層24には、厚さ5nm
のFe−40at%Mn合金を用いた。また保護層25
には、厚さ5nmのAuまたはAg,Cu,Pt,Cを
用いた。保護層25は、上記多層磁気抵抗効果素子の酸
化などによる変質防止の他に、試料と尖針の間に流れる
トンネル電流を安定にする役割がある。
【0033】上記多層磁気抵抗効果素子は、基本的には
次のごとく動作する。第1磁性層21には、反強磁性層
24からの交換バイアスが強く印加され、磁化の向きが
固定される。一方、第2磁性層22は非磁性層23によ
り分離されているため、2層の磁性層間の交換相互作用
が弱められ、従って第2磁性層22の磁化の向きは外部
磁界によって図に矢印で示すように容易に変化する。上
記多層磁気抵抗効果素子に一定電流を流し、外部磁界を
印加すると、第1、第2磁性層の磁化の向きが平行の時
に多層磁気抵抗効果素子の磁気抵抗変化率が最小にな
り、反平行の時に最大となる。
【0034】図3は、尖針1を備えた板バネ2に上記の
多層磁気抵抗効果素子を配置したプローブの一例を示
す。尖針1と板バネ2は、Si、SiO2 、窒化シリコ
ン等の材料からリソグラフィ技術により作成し、板バネ
2は、長さ約200μm、バネ定数約1N/mものを用
いた。尖針1は、板バネ2と同一材料で構成し、先端曲
率は10〜100nmとした。この上に、イオンビーム
スパッタリング法により、多層磁気抵抗効果素子を作成
した。まず反強磁性層24として、厚さ5nmのFe−
40at%Mn合金を形成し、この上に厚さ3nmの第
1磁性層21、厚さ2nmの非磁性層23、厚さ3nm
の第2磁性層22および厚さ5nmの保護層25を順次
形成した。第1、第2磁性層としては、Ni−20at
%Fe合金を、非磁性層23としてはCuを、保護層と
してはAuを用いた。さらに、第1、第2磁性層間のト
ンネル電流を検出するために、図3のごとく、多層磁気
抵抗効果素子において非磁性層23の上部の磁性層の一
部をリソグラフィにより除去し、電極を接続した。
【0035】この多層磁気抵抗効果素子を備えたプロー
ブを、実施例1と同様の走査表面磁気検出装置に設置し
た。すなわち、試料4をXYZスキャナ9に固定し、試
料を接地する。図示しないXY走査回路によりXYZス
キャナ9を制御して試料4を尖針1に対してXY方向に
相対的に走査し、板バネ2の背面で反射されたレーザ光
源5からの光線が位置センサ6の所定位置に入射するよ
うに、図1と同様のサーボ制御回路によってXYZスキ
ャナ9のZ軸圧電素子への印加電圧を制御し、尖針1と
試料4間の距離が一定になるようにフィードバック制御
する。この制御信号から試料4の表面形状情報を得るこ
とができる。また、多層磁気抵抗効果素子の第1磁性層
22は、トンネルバイアス12を介して、磁気抵抗検出
回路13に接続されており、試料表面の磁界が変化する
と多層磁気抵抗効果素子の磁気抵抗が変化し、試料と多
層磁気抵抗効果素子を通して流れるトンネル電流が変化
する。
【0036】従って、光てこの検出器6の出力を利用し
て尖針1と試料表面の間の距離を一定に保ちつつ試料を
XY走査すると、XYZスキャナ9のZ軸制御信号から
試料の表面形態を、磁気抵抗検出回路13の出力信号か
ら表面の磁気情報をそれぞれ独立して検出することがで
きる。多層磁気抵抗効果素子は、センス電流を膜面に平
行な方向に流すよりも膜厚方向に流す方が原理的に感度
が高い。本実施例によると、多層磁気抵抗効果素子のセ
ンス電流は、試料表面に最も近く磁界の影響を最も強く
受けている部分で膜厚方向となるため、多層磁気抵抗効
果素子の感度を最大限に利用することができると共に、
位置分解能が高く、原子オーダーの微小部分の磁気情報
を分解して検出することができる。
【0037】〔実施例3〕図4は、先端が屈曲した構造
の尖針1を備えたV字型の板バネ2に多層磁気抵抗効果
素子を配置したプローブの一例を示す。尖針1は、屈曲
したV字型の板バネ2の先端に設ける。多層磁気抵抗効
果素子は、実施例2と同様の材料を用い同じ条件で作製
した。この構成のプローブには、図4のごとく多層磁気
抵抗効果素子の両端に電極32、33を配置し、この間
にセンス電流(約1×106 A/cm2 )を流し、試料
4の磁界による磁気抵抗変化を磁気抵抗検出器31で検
出する。板バネ2の撓みによる変位を光てこ方式、光干
渉方式などにより検出し、この変位を一定に保つように
XYZスキャナ9のZ軸圧電素子への印加電圧をフィー
ドバック制御しながら試料をXY走査する。
【0038】前記制御信号をXY走査と同期して表示装
置に入力することにより、試料の表面形態情報を得るこ
とができ、磁気抵抗検出器31の出力を入力することに
より表面磁気に関する情報を得ることができる。このよ
うにして、前記実施例と同様に表面形態と独立の情報と
して表面磁気を検出できる。
【0039】〔実施例4〕図5により、板バネの先端に
多層磁気抵抗効果素子を配置した尖針を有するプローブ
を用いた走査表面磁気検出装置の一例を説明する。板バ
ネ2の先端に反強磁性材料からなる反強磁性尖針41を
形成する。反強磁性材料としては、Fe−Mn合金、N
iOなどの材料を用いることができるが、本実施例では
NiO薄膜を板バネの先端部にスパッタリング法により
形成し、余分のNiOを集束イオンビームによりエッチ
ングして、先端が鋭く尖った反強磁性尖針41を作成し
た。この上に前記したイオンビームスパッタリング法に
より第1磁性層21、非磁性層23、第2磁性層22、
および保護層25の順に順次形成して多層磁気抵抗効果
素子を作成した。第1磁性層21には反強磁性尖針41
からの交換バイアスが印加され、非磁性層23で分離さ
れた第2磁性層22には交換バイアスが直接印加されな
いので、上記実施例2で述べた多層磁気抵抗効果素子特
有の磁気抵抗変化を示す。
【0040】上記のごとく構成したプローブを用い、図
5に示したように、第1磁性層21と試料4の間にトン
ネルバイアス12を印加し、磁気記録した試料4を通し
て多層磁気抵抗効果素子を流れたトンネル電流を検出す
ることにより、試料4の磁界による多層磁気抵抗効果素
子の磁気抵抗変化を磁気抵抗検出回路13により検出で
きる。板バネ2の変位を図5に一例として示した光てこ
方式や光干渉方式などの変位検出手段により検出し、図
1に示したようなサーボ制御回路を用いてXYZスキャ
ナ9を制御し、尖針先端と試料表面の距離を一定に保ち
つつXY走査する。そして、板バネ2の変位制御信号か
ら試料の表面形態を、磁気抵抗検出回路13によって検
出した磁気抵抗変化から磁気情報をそれぞれ独立に高分
解能で検出できる。
【0041】本実施例のプローブは、反強磁性材料で尖
針を形成しており、多層磁気抵抗効果素子の高感度部分
が尖針部分に局限されるため、実施例2のプローブより
高い位置分解能で試料の磁気情報を検出することができ
る。
【0042】〔実施例5〕多層磁気抵抗素子3の検出感
度を向上するために、尖針1を試料4の面に対して垂
直、もしくは水平方向に加振、振動させる機能を付加し
た例につき図6により説明する。板バネ2およびその支
持台を加振素子61の上に固定する。加振素子61とし
ては、圧電素子を用いることができる。加振素子61は
発振器62に接続して特定の周波数で励起され、これに
より板バネ2は加振される。この加振周波数は、数十H
zから数メガHzの任意の周波数で良いが、板バネ2の
機械的な共振周波数が望ましい。板バネ2の振動により
多層磁気抵抗素子3を配置した尖針1は試料3の表面に
対して垂直(Z軸)方向に振動し、その結果、Z軸方向
の磁界変化による磁気抵抗の変化が多層磁気抵抗素子3
に生じ、これを磁気抵抗検出器31により検出する。多
層磁気抵抗素子3を配置したプローブは、図4に示した
構成のものを用いた。
【0043】発振器62からの参照信号63をロックイ
ンアンプ64、および65に入力する。多層磁気抵抗素
子3の磁気抵抗変化は、前記発振周波数に重畳されてお
り、発振器62により発生した周波数と同じか、もしく
はその近傍の特定の周波数成分の抵抗変化のみをロック
インアンプ65により選択して検出する。これにより磁
気抵抗の変化を従来方式に比べて約十倍感度良く検出す
ることが可能となる。またS/N(信号/ノイズ比)も
向上できる。ロックインアンプ65の出力信号をXY走
査回路10の信号と同期させて表示装置11に表示す
る。
【0044】この時、尖針1の先端と試料4の表面との
距離は、次の方法で一定の値に保持することができる。
第1の方法は、図6において加振された板バネ2の変位
を光てこ方式などの変位検出手段により検出し、板バネ
2の平均変位、すなわち板バネの振動振幅の平均位置の
変位を一定に保持するように試料4のZ軸圧電素子を制
御する方法である。
【0045】第2の方法は、板バネ2をその機械的共振
周波数もしくはその近傍の周波数で加振し、尖針と試料
表面間の原子間力による板バネの振動振幅の変化、また
は共振周波数のずれを光てこ方式などの位置検出器の検
出信号から検出し、これを板バネ2の変位信号としてX
YZスキャナ9のZ軸を制御するサーボ制御回路8を作
動させ、尖針と試料表面間の距離を一定に保持する方法
である。
【0046】ここでは、プローブとして図4に示したも
のを用いた場合について説明したが、プローブとして図
3又は図5に示すものを使用することもできる。その場
合には試料4と尖針1の間にトンネルバイアスを印加
し、磁気抵抗検出器31は多層磁気抵抗効果素子を通っ
て流れるトンネル電流の変化を検出することになる。多
層磁気抵抗効果素子を構成する磁性層としては、Ni−
Fe合金が使用でき、これに10〜25at%のCoを
添加したNi−Fe−Co系合金を用いることにより高
い磁気抵抗変化率を得ることができる。本実施例では、
多層磁気抵抗効果素子を構成する磁性層は2層の場合に
ついて説明したが、非磁性層を介して2層以上の磁性層
を積層して用いることもできる。反強磁性材料として
は、Fe−Mn合金、NiOなどを用いることができ
る。
【0047】板バネとしては、Si、酸化Si、窒化S
i、ダイヤモンド薄膜、あるいは金属箔を用いることが
できるが、その表面には数十nm厚の非晶質状の膜が形
成されている方が、この上に形成する多層磁気抵抗効果
素子の結晶配向を向上でき、その結果磁気抵抗変化率な
どの性能を向上するのに有効である。尖針は板バネと同
一材料で構成するか、もしくは反強磁性材料を板バネの
先端に形成して構成しても良い。
【0048】多層磁気抵抗効果素子の表面には、Au,
Ag,Cu,Pt,C等の非磁性、導電性保護膜を形成
することによりトンネル電流をより安定に流すことが可
能であり、また多層磁気抵抗効果素子の変質などによる
特性の劣化を防止できる。本実施例では尖針を試料の面
に垂直方向に加振した例について述べたが、試料面に平
行に加振しても同様の作用が得られることは言うまでも
ない。
【0049】また板バネの変位検出は、光てこ方式の他
に、非接触、大面積変位検出方式、即ち、光干渉方式、
静電容量方式、光臨界角方式、あるいは歪計などによっ
ても実現できる。ここでは、試料をXYZスキャナに搭
載した例について説明したが、試料をディスクの形とす
ることも可能であり、その場合には、板バネにXYZ方
向の走査機能を付加すればよい。
【0050】
【発明の効果】先端が鋭く尖った尖針と板バネに設置し
た多層磁気抵抗効果素子からなるプローブを用いること
によりサブミクロン以下の微小な磁気検出素子が構成で
きる。そして、板バネの変位から試料の表面形態を、板
バネに設置した多層磁気抵抗効果素子の磁気抵抗の変化
から同一場所の試料面上の磁気情報を独立して検出する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による走査表面磁気検出装置の一実施例
の概略図。
【図2】多層磁気抵抗効果素子の構成を説明する図。
【図3】本発明による走査表面磁気検出装置の他の実施
例の概略図。
【図4】本発明による走査表面磁気検出装置の他の実施
例の概略図。
【図5】本発明による走査表面磁気検出装置の他の実施
例の概略図。
【図6】本発明による走査表面磁気検出装置の他の実施
例の概略図。
【符号の説明】
1…尖針、2…板バネ、3…多層磁気抵抗効果素子、4
…試料、5…レーザ光源、6…位置センサ、7…位置検
出回路、8…サーボ制御回路、9…XYZスキャナ、1
0…XY走査回路、11…表示装置、12…トンネルバ
イアス、13…磁気抵抗検出回路、21…第1磁性層、
22…第2磁性層、23…非磁性層、24…反強磁性
層、25…保護層、31…磁気抵抗検出器、32,33
…電極、41…反強磁性尖針、61…加振素子、62…
発振器、63…参照信号、64,65…ロックインアン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G11B 5/02 U 8841−5D

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端に尖針を有し該尖針部分に多層磁気
    抵抗効果膜を備える板バネと、前記板バネの変位を検出
    する板バネ変位検出手段と、前記板バネの尖針と試料の
    間の距離を制御する試料距離制御手段と、前記板バネ変
    位検出手段からの出力信号に基づき前記板バネの変位が
    一定に保たれるように前記試料距離制御手段に制御信号
    を出力する手段と、前記多層磁気抵抗効果膜の磁気抵抗
    を検出する磁気抵抗検出手段と、前記尖針と試料表面と
    を二次元的に相対移動させる二次元走査手段と、前記二
    次元走査手段による前記尖針と試料表面の相対移動に同
    期して前記磁気抵抗検出手段からの検出信号を表示する
    表示手段とを含むことを特徴とする走査表面磁気検出装
    置。
  2. 【請求項2】 一端に尖針を有し該尖針部分に多層磁気
    抵抗効果膜を備える板バネと、前記板バネの変位を検出
    する板バネ変位検出手段と、前記板バネの尖針と試料の
    間の距離を制御する試料距離制御手段と、前記板バネ変
    位検出手段からの出力信号に基づき前記板バネの変位が
    一定に保たれるように前記試料距離制御手段に制御信号
    を出力する手段と、前記尖針と試料の間にトンネル電圧
    を印加する手段と、前記多層磁気抵抗効果膜を膜厚方向
    に通って流れるトンネル電流を検出する電流検出手段
    と、前記尖針と試料表面とを二次元的に相対移動させる
    二次元走査手段と、前記二次元走査手段による前記尖針
    と試料表面の相対移動に同期して前記電流検出手段の検
    出信号を表示する表示手段とを含むことを特徴とする走
    査表面磁気検出装置。
  3. 【請求項3】 一端に尖針を有し該尖針部分に多層磁気
    抵抗効果膜を備える板バネと、前記板バネを所定の周波
    数の加振信号で加振する加振手段と、前記板バネの変位
    を前記加振信号に同期して検出する板バネ変位検出手段
    と、前記板バネの尖針と試料の間の距離を制御する試料
    距離制御手段と、前記板バネ変位検出手段によって検出
    された前記板バネの尖針と試料の間の平均距離が一定に
    保たれるように前記試料距離制御手段に制御信号を出力
    する手段と、前記多層磁気抵抗効果膜の磁気抵抗変化を
    前記加振信号に同期して検出する磁気抵抗変化検出手段
    と、前記尖針と試料表面とを二次元的に相対移動させる
    二次元走査手段と、前記二次元走査手段による前記尖針
    と試料表面の相対移動に同期して前記磁気抵抗変化検出
    手段からの検出信号を表示する表示手段とを含むことを
    特徴とする走査表面磁気検出装置。
  4. 【請求項4】 一端に尖針を有し該尖針部分に多層磁気
    抵抗効果膜を備える板バネと、前記板バネを所定の周波
    数の加振信号で加振する加振手段と、前記板バネの振動
    を前記加振信号に同期して検出する板バネ振動検出手段
    と、前記板バネの尖針と試料の間の距離を制御する試料
    距離制御手段と、前記板バネ振動検出手段によって検出
    された前記板バネの共振周波数又は振動振幅が一定に保
    たれるように前記試料距離制御手段に制御信号を出力す
    る手段と、前記多層磁気抵抗効果膜の磁気抵抗変化を前
    記加振信号に同期して検出する磁気抵抗変化検出手段
    と、前記尖針と試料表面とを二次元的に相対移動させる
    二次元走査手段と、前記二次元走査手段による前記尖針
    と試料表面の相対移動に同期して前記磁気抵抗変化検出
    手段からの検出信号を表示する表示手段とを含むことを
    特徴とする走査表面磁気検出装置。
  5. 【請求項5】 一端に尖針を有し該尖針部分に多層磁気
    抵抗効果膜を備える板バネと、前記板バネを所定の周波
    数の加振信号で加振する加振手段と、前記板バネの変位
    を前記加振信号に同期して検出する板バネ変位検出手段
    と、前記板バネの尖針と試料の間の距離を制御する試料
    距離制御手段と、前記板バネ変位検出手段によって検出
    された前記板バネの尖針と試料の間の平均距離が一定に
    保たれるように前記試料距離制御手段に制御信号を出力
    する手段と、前記尖針と試料の間にトンネル電圧を印加
    する手段と、前記多層磁気抵抗効果膜を通って流れるト
    ンネル電流を前記加振信号に同期して検出する電流検出
    手段と、前記尖針と試料表面とを二次元的に相対移動さ
    せる二次元走査手段と、前記二次元走査手段による前記
    尖針と試料表面の相対移動に同期して前記電流検出手段
    からの検出信号を表示する表示手段とを含むことを特徴
    とする走査表面磁気検出装置。
  6. 【請求項6】 一端に尖針を有し該尖針部分に多層磁気
    抵抗効果膜を備える板バネと、前記板バネを所定の周波
    数の加振信号で加振する加振手段と、前記板バネの振動
    を前記加振信号に同期して検出する板バネ振動検出手段
    と、前記板バネの尖針と試料の間の距離を制御する試料
    距離制御手段と、前記板バネ振動検出手段によって検出
    された前記板バネの共振周波数又は振動振幅が一定に保
    たれるように前記試料距離制御手段に制御信号を出力す
    る手段と、前記尖針と試料の間にトンネル電圧を印加す
    る手段と、前記多層磁気抵抗効果膜を通って流れるトン
    ネル電流を前記加振信号に同期して検出する電流検出手
    段と、前記尖針と試料表面とを二次元的に相対移動させ
    る二次元走査手段と、前記二次元走査手段による前記尖
    針と試料表面の相対移動に同期して前記電流検出手段か
    らの検出信号を表示する表示手段とを含むことを特徴と
    する走査表面磁気検出装置。
  7. 【請求項7】 前記二次元走査手段による前記尖針と試
    料表面の相対移動に同期して前記試料距離制御手段への
    制御信号を表示する表示手段を備えることを特徴とする
    請求項1〜6のいずれか1項記載の走査表面磁気検出装
    置。
  8. 【請求項8】 一端に尖針を有し該尖針部分に多層磁気
    抵抗効果膜を備える板バネと、試料を尖針方向であるZ
    方向及びそれに直交するXY方向に駆動可能な試料走査
    手段と、前記板バネの変位を検出する板バネ変位検出手
    段と、前記板バネ変位検出手段からの出力信号に基づき
    前記板バネの変位が一定に保たれるように前記試料走査
    手段にZ方向制御信号を出力するサーボ制御手段と、前
    記尖針と試料の間にトンネル電圧を印加する手段と、前
    記多層磁気抵抗効果膜を通って流れるトンネル電流を検
    出するトンネル電流検出手段と、前記試料走査手段によ
    る試料のXY方向走査に同期して前記トンネル電流検出
    手段の検出信号を表示する表示手段とを含むことを特徴
    とする走査表面磁気検出装置。
  9. 【請求項9】 一端に尖針を有し該尖針部分に多層磁気
    抵抗効果膜を備える板バネと、前記板バネを特定の周波
    数の加振信号で加振する加振手段と、前記板バネの変位
    を前記加振信号に同期して検出する板バネ変位検出手段
    と、試料を尖針方向であるZ方向及びそれに直交するX
    Y方向に駆動可能な試料走査手段と、前記板バネ変位検
    出手段によって検出された前記板バネの共振周波数又は
    振動振幅が一定に保たれるように前記試料走査手段にZ
    方向制御信号を出力するサーボ制御手段と、前記尖針と
    試料の間にトンネル電圧を印加する手段と、前記多層磁
    気抵抗効果膜を通って流れるトンネル電流を前記加振信
    号に同期して検出するトンネル電流検出手段と、前記試
    料走査手段による試料のXY方向走査に同期して前記ト
    ンネル電流検出手段の検出信号を表示する表示手段とを
    含むことを特徴とする走査表面磁気検出装置。
  10. 【請求項10】 前記試料走査手段による試料のXY方
    向走査に同期して前記サーボ制御手段への制御信号を表
    示する手段を備えることを特徴とする請求項8又は9記
    載の走査表面磁気検出装置。
  11. 【請求項11】 前記多層磁気抵抗効果膜の表面に非磁
    性の導電性保護膜を設けたことを特徴とする請求項1〜
    10のいずれか1項記載の走査表面磁気検出装置。
  12. 【請求項12】 前記多層磁気抵抗効果膜は非磁性層で
    分離された少なくとも一対の磁性層と反強磁性層を含
    み、前記一対の磁性層の一方には反強磁性層からの交換
    バイアス磁界が印加されていることを特徴とする請求項
    1〜11のいずれか1項記載の走査表面磁気検出装置。
  13. 【請求項13】 前記尖針は反強磁性材料からなり、前
    記多層磁気抵抗効果膜は非磁性層で分離された少なくと
    も一対の磁性層を含み、前記2層の磁性層のうち一方は
    前記反強磁性材料に隣接して交換バイアス磁界が印加さ
    れていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1
    項記載の走査表面磁気検出装置。
  14. 【請求項14】 前記磁性層のうち少なくとも1層はN
    i−Fe系合金またはNi−Fe−Co系合金からなる
    ことを特徴とする請求項12又は13記載の走査表面磁
    気検出装置。
  15. 【請求項15】 前記非磁性層はCuからなることを特
    徴とする請求項12、13又は14記載の走査表面磁気
    検出装置。
  16. 【請求項16】 前記多層磁気抵抗効果膜の一端におい
    て、前記反強磁性層に接している磁性層又は非磁性層に
    電極を接続したことを特徴とする請求項12〜15のい
    ずれか1項記載の走査表面磁気検出装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102778589A (zh) * 2011-05-09 2012-11-14 株式会社日立高新技术 磁力显微镜用悬臂及其制造方法
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