JPH1099976A - Ti被覆クラッド板の製造方法 - Google Patents

Ti被覆クラッド板の製造方法

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JPH1099976A
JPH1099976A JP25688296A JP25688296A JPH1099976A JP H1099976 A JPH1099976 A JP H1099976A JP 25688296 A JP25688296 A JP 25688296A JP 25688296 A JP25688296 A JP 25688296A JP H1099976 A JPH1099976 A JP H1099976A
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JP
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rolling
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JP25688296A
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Hiroshi Yamada
廣志 山田
Fumio Iwane
文男 岩根
Yoshikazu Yamasako
義和 山迫
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Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Ti板を被覆した素板のスラブを加熱し熱間
圧延する際、表面のTiを酸化させることなく、且つ耐
磨耗性にも優れたTi被覆クラッド板の製造方法を提供
する。 【解決手段】 スラブたる素板4の表面にTi板2とそ
の外側にAl層1をそれぞれ被覆して積層板5を得る工
程と、この積層板5を大気中で加熱して、外側にAl2
3層6を、その内側にTiAlの金属間化合物の層8
を生成する工程と、係る積層板7を熱間圧延する工程と
からなるTi被覆クラッド板の製造方法。上記熱間圧延
する工程の前又は後に、Al23層6を除去する工程も
含まれる。また、上記の各工程の後に、焼鈍と冷間圧延
を繰り返して行い所望の板厚にすることもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種金属板の表面
にTi板を被覆したTi被覆クラッド板の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】Tiは軽量で、強度や耐食
性に優れているため、各種金属板の表面にTi板を被覆
したTi被覆クラッド板が使用されている。このTi被
覆クラッド板を工業的に製造するには、素板が熱間圧延
される前のスラブの段階で、Ti板を被覆することが生
産性の点から望ましい。このため、Ti板を被覆した素
板のスラブは、熱間圧延に適した温度に加熱されるが、
その表面に被覆されたTiは非常に活性な金属であるた
め、Ti表面の酸化が著しい。この酸化は、素板のスラ
ブを熱間圧延する間にも進行するため、この圧延後にT
iの酸化物層を除去するが、場合により表面から厚さ1
mm以上も除去する必要がある。この除去により材料の歩
留りは低くなると共に、除去工程を伴うため生産能率の
低下も来たしていた。また、上記酸化物層の除去が不十
分で、表面にTiの酸化物が残留していると、後に行う
冷間圧延時に表面疵を招来するという問題点があった。
【0003】また、上記スラブ表面のTiの酸化を防ぐ
ため、熱間圧延前の加熱を真空中又は不活性ガスの雰囲
気中で行うことも考えられるが、大きな素板のスラブ全
体を加熱する装置は設備が大型化しコスト高になるので
実用的ではない。更に、Tiを被覆した素板のスラブ全
体をステンレス鋼板等で、例えばシース等の被覆をする
方法も考えられるが、熱間圧延した後で上記ステンレス
鋼板を除去する工程が必要となり、やはり製造コストを
高めることに繋がる。一方、素板のみを先に熱間圧延し
た後で、長尺な圧延素板の表面全体にTiを薄板等で例
えば圧着圧延してクラッドすることは、両者の位置合わ
せや工程管理が著しく煩雑になり、工業的には行い難
い。
【0004】
【発明が解決すべき課題】本発明は、上述した従来の技
術が抱える問題点を解決し、スラブの段階にある素板の
表面にTi板を被覆し、且つ、熱間圧延を行っても表面
に被覆したTiが酸化することを防止し得ると共に、表
面が耐磨耗性に優れたTi被覆クラッド板の製造方法を
提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するため、素板の表面に被覆したTiの外表面側に
耐酸化性に優れたセラミックスや金属間化合物の薄層
を、熱間圧延する前の加熱で生成してTiの酸化を防ぐ
ことに着目して成されたものである。即ち、本発明のT
i被覆クラッド板の製造方法は、素板の少なくとも一方
の表面にTi板とその外側にAl層をそれぞれ被覆して
積層板を得る工程と、この積層板を大気中等の酸化性雰
囲気内で加熱し、外側にAl23層を、その内側にTi
Alの金属間化合物の層を生成する工程と、係る積層板
を熱間圧延する工程とからなることを特徴とする。尚、
TiAl層の内側にはTi層が存在している。本発明に
は、上記熱間圧延する工程の前又は後に、Al23層を
除去する工程を有する製造方法も含まれる。Alは箔と
してTiの表面に容易に被覆でき、大気中で加熱を行う
と、Alの表面側は酸化されて緻密なAl23層を生成
し、AlとTiの接合界面には両者間の相互拡散により
TiAlの金属間化合物の層を生成する。これらAl2
3とTiAlは、共に非常に耐酸化性に優れており、
大気中の加熱及び熱間圧延の間においても、素板に被覆
された内部のTiの酸化を防ぐことができる。上記の加
熱温度は、Al23とTiAlを生成するに必要な40
0〜1100℃の範囲で、且つ所定の時間保持する。
【0006】尚、本発明の前記素板には、ステンレス
鋼、構造用鋼、低合金鋼、高合金鋼、又は特殊鋼が用い
られる。更に、前記Ti板にAl層が予め被覆されたク
ラッド板を、素板の表面に被覆する製造方法も含まれ
る。係るTi板とAl層のクラッド板を予め製作して素
板スラブに被覆すると取扱いが容易化される。また、前
記Al層の被覆が、圧着圧延、溶射、メッキ、爆着、又
は蒸着の何れかの方法による製造方法も含まれる。加え
て、前記各工程の後に、焼鈍と冷間圧延を繰り返して行
う工程を有する製造方法も含まれる。これにより、表面
疵の少ない所望の用途に応じたTi被覆クラッド板を提
供することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明の好適な実施に適し
た実験例と実施例を説明する。 (実験例)先ず、厚さ2mm、幅50mm、及び長さ200mm
の純Ti板2を2枚用意し、図1(A)に示すように、各
純Ti板2の一方の表面に、厚さ0.01mm、幅50m
m、及び長さ200mmの純Al箔1を添接し、冷間によ
る圧着圧延(圧下率;25%)による被覆を行い、厚さ1.
5mmのTiとAlのクラッド板3を2組得た。次に、図
1(B)に示すように、各クラッド板3の間に、厚さ5m
m、幅55mm、及び長さ210mmの素板4たるステンレ
ス鋼板(SUS304)を挿入し、クラッド板3のAl層
1を外側にして、冷間による圧着圧延(圧下率;25%)
を行い、図1(C)に示すような厚さ6mmの積層板5を得
た。
【0008】次いで、上記積層板5を大気中で1,050℃
に加熱保持して、熱間圧延(圧下率;50%)を行い、
図1(D)に示すように、厚さ3mmの積層板7を得た。こ
の積層板7の両表面には、前記Al層1が酸化して生成
された厚さ約1μmのAl23層6が、その内側にはA
l層1とTi層2の相互間の拡散によって生成された厚
さ約6μmTiAlの金属化合物層8がそれぞれ設けら
れ、更に金属化合物層8の内側には、変化しなかったT
i層2が残留し存在している。更に、上記積層板7両面
のAl23層6を、ショットブラスト及び酸洗を施して
除去し、図1(E)に示すように、両表面にTiAlの金
属化合物層8とTi層2を有するTi被覆クラッド板1
0を得た。
【0009】次に、本発明方法による上記積層板7の耐
酸化性試験を比較例と共に行った。比較例として、前記
と同じステンレス鋼板からなる素板4の両面に前記と同
じ純Ti板2を前記同様の冷間圧着圧延、加熱保持、及
び熱間圧延して得たTi被覆クラッド板を用意した。両
者の酸化による増量を、前記1050℃の加熱保持時間
と共に図2のグラフに示した。図2の結果から、上記積
層板7は、40分加熱されても約3mg/cm2程度が酸化増
量されたのみであり、これは表面に生成されたAl23
層6だけによるものであった。一方、比較例のTi被覆
クラッド板では、20分後で約40mg/cm2が、40分経
過後で約80mg/cm2も酸化増量され、表面にかなりのT
iの酸化層が生成されていた。この結果から、上記積層
板7両面のAl23層6を除去して得られるTi被覆ク
ラッド板10は、その両表面に設けたTiAlの金属化
合物層8が大気中の酸素と内部のTi層2の反応を遮断
して、Ti層2の酸化を防止する優れた耐酸化性を有し
ていることが判明した。
【0010】
【実施例】次に、工業的な生産に即した本発明方法の実
施例を説明する。尚、同じ部分には前記図1中と同じ符
号を用いるものとする。先ず、厚さ15mm、幅300m
m、及び長さ3メートルの純Ti板2を2枚用意し、これら
の片面に厚さ0.03mm、幅300mm、及び長さ3メートル
の純Al箔1を添接し、前記と同様に冷間圧着圧延(圧
下率;33.5%)を行い、厚さ10mmのTiとAlのク
ラッド板3を得た(図1(B)参照)。これらのクラッド板
3の間に、厚さ100mm、幅320mm、及び長さ3.2メー
トルの素板4たるステンレス鋼板(SUS304)のスラブ
を挿入し、クラッド板3のAl層1を外側にして、冷間
での圧着圧延(圧下率;20%)を行い、厚さ100mmの
積層板5を得た(図1(C)参照)。
【0011】次に、この積層板5を5組用意し、大気中
で1050℃に60分乃至120分の間でそれぞれ加熱
保持した後、熱間圧延(圧下率;96%)を行い、厚さ4
mmの積層板7を得た(図1(D)参照)。これらの各積層板
7にショットブラスト及び酸洗を施し、両表面のAl2
3層6を除去してTi被覆クラッド板10を得た(図1
(E)参照)。更に、上記各Ti被覆クラッド板10を連
続した焼鈍(800℃)と冷間圧延を繰り返して複数回行
い、厚さ0.1mmのTi被覆クラッド板10を得た。こ
れらのクラッド板10の表面疵を加熱保持時間別に各々
の面積率で調べた。比較例として、上記と同じステンレ
ス鋼板からなる素板4の両面に上記と同じ純Ti板2を
前記同様の冷間圧着圧延、大気中で1050℃に60〜
120分間の加熱保持、熱間圧延、及び焼鈍と冷間圧延
を繰り返し行って得た5組のTi被覆クラッド板を製作
し、同様に表面疵を各面積率で調べた。
【0012】それらの結果を図3に示す。図3から、本
発明方法によって得られるTi被覆クラッド板10は何
れも殆ど表面疵を生じていないのに対し、比較例のもの
は、加熱保持時間が増えるに連れ、約1〜6%へと面積
率の表面疵を増加していた。これは、比較例の表面に生
成されたTiの酸化物の層の厚さに略比例しており、T
iの酸化層が硬質で疵つけ易いことによるものと推測さ
れる。一方、本発明方法によるTi被覆クラッド板10
は、表面に存在するTiAlの金属間化合物層8によっ
て、優れた耐磨耗性を有することが理解される。従っ
て、本発明方法によって得られるTi被覆クラッド板1
0は、前記耐食性と相まって内部の素板を適宜選択する
ことにより、各種のプラント用資材や酸化液用槽、管材
等や、表面が各種物体と摺動する産業機械や各種製品用
板材、部品成形用板材、或いは刃物用板材として広く活
用することが可能である。
【0013】本発明は、以上の実施例等に限定されるも
のではない。Ti層とTiAlの金属間化合物層の被覆
は、素板の片面にのみや、表面の必要な一部分のみにす
ることもでき、素板が露出する表面や部分には、その材
質に応じて適宜必要な酸化防止処理が施される。また、
素板の4周面の一部又は全部にTi層とTiAl層を被
覆するTi被覆クラッド板を製造することもできる。素
板の材質には、前記ステンレス鋼以外のマルテンサイト
系、フェライト系、2相系、析出硬化系等の各種ステン
レス鋼や、構造用鋼、低合金鋼、高合金鋼、又は特殊鋼
も含まれ、例えばSUH系の耐熱鋼、珪素鋼板等の軟質
磁性材料、電熱材料、非磁性材料等を使用することがで
きる。
【0014】Ti板の材質は、純Ti系(ASTM G1〜4)が
望ましいが、V、Mo、Pd、Al等を含むTi合金を
使用することもできる。Al層の材質も、Alが99.5%
又は99.9%以上の純Al系(1000系)が望ましいが、C
u、Mn、又はSi等を少量含む各種系の展伸用アルミ
ニウム合金を使用することもできる。また、表面にAl
23層とTiAl層を生成するため、前記した大気中で
加熱すると安価に行えるが、酸素量を調整した各種の酸
化性雰囲気中で加熱することもできる。生成されたAl
23層の除去工程は、前記積層板7を熱間圧延した後に
行っても良く、その方法も研磨等によることもできる。
【0015】更に、実施例ではAl層を予めTi板にク
ラッドしたが、素板の表面にTi板を被覆した後、その
表面にAl層を被覆することもできる。また、Al層の
被覆方法もTi板表面へのAl溶射、肉盛溶接、溶融浸
漬メッキ、Al薄板とTi板との爆着、Al蒸着等によ
ることも含まれる。更に、熱間圧延は、Al23層を除
去した後、表面がTiAl層に覆われた状態において、
行うことも可能である。尚、本発明では、最後に表面の
Al23層を除去したが、用途や求められる特性によっ
ては、表面のAl23層を残して使用することも可能で
ある。
【0016】
【発明の効果】以上において説明したように、本発明の
製造方法は、素板の少なくとも一方の表面にTi板とそ
の外側にAl層をそれぞれ被覆して積層板を得る工程
と、この積層板を大気中等の酸化性雰囲気内で加熱し、
外側にAl23層を、その内側にTiAlの金属間化合
物の層を生成する工程と、係る積層板を熱間圧延 する工
程とからなるので、表面に形成されるAl23層のTi
Alの金属間化合物層によって高温酸化に耐えることが
でき、しかも、表面に存在するTiAl層が優れた耐磨
耗性を備えているので、種々の使用環境においても、T
i被覆クラッド板に優れた耐食性と表面強度を与えるこ
とができる。また、Ti板とAl層を被覆し、大気中等
の加熱でAl23層とTiAl層が生成できるので、特
別な設備を要さず安価に製造することができる。更に、
請求項5の発明によれば、用途に応じた種々の厚さと強
度を有するTi被覆クラッド板を容易に提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)乃至(E)は、本発明によるTi被覆クラッ
ド板の各製造工程を示す概略断面である。
【図2】本発明方法によって得られるTi被覆クラッド
板と比較例の酸化増量を示すグラフである。
【図3】本発明方法によって得られるTi被覆クラッド
板と比較例の各表面疵の面積率を示すグラフである。
【符号の説明】
1…………………………………Al層、Al箔 2…………………………………Ti板、Ti層 4…………………………………素板 5…………………………………積層板 6…………………………………Al23層 8…………………………………TiAl層 10………………………………Ti被覆クラッド板

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】素板の少なくとも一方の表面にTi板とそ
    の外側にAl層をそれぞれ被覆して積層板を得る工程
    と、この積層板を大気中等の酸化性雰囲気内で加熱し、
    外側にAl23層を、その内側にTiAlの金属間化合
    物の層を生成する工程と、係る積層板を熱間圧延する工
    程とからなることを特徴とするTi被覆クラッド板の製
    造方法。
  2. 【請求項2】前記熱間圧延する工程の前又は後に、前記
    Al23層を除去する工程を有する請求項1に記載のT
    i被覆クラッド板の製造方法。
  3. 【請求項3】前記Ti板にAl層が予め被覆されたクラ
    ッド板を、素板の表面に被覆する請求項1又は2に記載
    のTi被覆クラッド板の製造方法。
  4. 【請求項4】前記Al層の被覆が、圧着圧延、溶射、メ
    ッキ、爆着、又は蒸着の何れかの方法によるものである
    請求項1乃至3に記載のTi被覆クラッド板の製造方
    法。
  5. 【請求項5】前記各工程の後に、焼鈍と冷間圧延を繰り
    返して行う工程を有する請求項1乃至4に記載のTi被
    覆クラッド板の製造方法。
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