JPH1098942A - ラフブルーグラスおよびラフブルーグラスへの共生菌の導入方法 - Google Patents
ラフブルーグラスおよびラフブルーグラスへの共生菌の導入方法Info
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- JPH1098942A JPH1098942A JP8277110A JP27711096A JPH1098942A JP H1098942 A JPH1098942 A JP H1098942A JP 8277110 A JP8277110 A JP 8277110A JP 27711096 A JP27711096 A JP 27711096A JP H1098942 A JPH1098942 A JP H1098942A
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- A01N63/30—Microbial fungi; Substances produced thereby or obtained therefrom
Abstract
たラフブルーグラスを提供することを目的とする。 【解決手段】自然界に存在する野生の植物中に共生して
いる糸状菌から成る共生菌であるエンドファイトを分離
して人工増殖するとともに、人工増殖されたエンドファ
イトをラフブルーグラスに接種感染させて共生させるよ
うにしたものである。
Description
るラフブルーグラスおよびラフブルーグラスへの共生菌
の導入方法に関する。ここでラフブルーグラスとはイネ
科植物中のイチゴツナギ亜科、イチゴツナギ連のイチゴ
ツナギ属に属する植物である。
キーブルーグラス、カナダブルーグラス、スズメノカタ
ビラ、ラフメドウグラス、ブルボウズメドウグラス、ア
ルペンメドウグラス、ウエービーメドウグラス、ウッド
メドウグラス、バルフォースメドウグラス、スワンプメ
ドウグラス、ブロードリーフメドウグラス、ナローリー
フメドウグラス、スムースメドウグラス、スプレッディ
ングメドウグラス、フラッテンドメドウグラス等の植物
が知られている。
名ラフメドウグラス、和名オオスズメノカタビラと呼ば
れている。
もに、イチゴツナギ亜科中のイチゴツナギ連に属し、し
かもイチゴツナギ連中のイチゴツナギ属の植物である。
例えばラフブルーグラスは学名Poa trivial
isと呼ばれている。なおPoa trivialis
は、Claytonら(Genera Gramini
um, Grass of the World 19
86)によって分類された植物に相当する。
スは多くのブルーグラス類の中でも人類にとって重要
で、芝草、牧草等に広く利用されている。
く、しかも使用面積が広大であるために、病害や虫害に
よる被害が大きく、Bluegrass webwor
m(和名シバツトガ)による被害が大きく、ふ化直後の
幼虫に対して薬剤散布が行き届かないところでは一夜に
して芝がなくなるほどの大きな被害が発生している。
なわれている育種、栽培方法としては、人工交配法、選
抜法、突然変異法、細胞融合法、遺伝子導入法等が存在
する。近年のバイオテクノロジーの進歩によって、これ
まで10年以上要した育種期間は数年に短縮されてい
る。とくに形質転換技術である遺伝子導入法は、アグロ
バクテリウムによる方法、エレクトロポレーション法、
パーティクルガン法等が存在し、多くの作物への応用が
実施されている。
伝子導入法は効率が非常に低いことが指摘されている。
アグロバクテリウム法では、イネ科植物へのアグロバク
テリウムの感染が困難なために、遺伝子導入が非常に難
しい。またエレクトロポレーション法では、イネ科植物
のプロトプラストからの再生系の開発が必須であり、再
生が可能であったとしても、培養変異等によって、本来
の植物の形質を損うことが知られている。
ダムに植物体または培養物に導入するために、与えられ
た植物がキメラになることが多いことが知られている。
いても、細胞融合や遺伝子導入を含む細胞育種法は、煩
雑な操作を必要とし、その効率も低いために、実用レベ
ルでの開発に成功した例は非常に少ない。
には、内部共生菌である糸状菌、すなわちエンドファイ
トが共生している植物が存在する。植物体の組織中に、
とくに細胞間隙と呼ばれる細胞と細胞との間の間隙でこ
のような共生菌が生育している。
ァイトは共生する糸状菌であって、宿主の植物に対して
悪影響を及さないばかりか、宿主植物に対して有用な物
質を提供し、環境ストレスに対して抵抗性を有する性質
を植物に付与することに貢献ている。
物の耐虫性(Siegelら、1987 Ann. R
ev. Phytopathol、25:293−31
5)、耐病性(Gwinn and Gavin、19
92 Plant Disease 76:911−9
14)、環境ストレス(乾燥等)耐性(Arachev
altaら、1989 Agron. J. 81:8
3−90)、生長促進(Latchら、1985 N.
Z. J. Agric. Res. 28:165
−168)等を向上させることが公知となっている。と
くにエンドファイトが感染したペレニアルライグラスに
おいては、このエンドファイトが生産する忌避物質やア
ルカロイドによって耐虫性が向上することが知られてい
る。
h)らは、ペレニアルライグラスのエンドファイトを収
集調査し、家畜に対して毒性が少なく耐虫性に優れたエ
ンドセーフと呼ばれているエンドファイトの探索を試み
ている。
ている多くの植物は、人類に対して有用性に乏しい野生
植物であって、エンドファイトの有効性を有用なイネ科
植物に導入する必要性が生じている。そこで主要牧草で
あるペレニアルライグラスへのエンドファイトの導入が
これまで試みられてきた。その技術は人工交配法と人工
接種法とに大別される。
いる植物を母親として有用形質を花粉によって導入する
方法であるが、従来の方法においては交配の可能な種
間、品質間の導入に限定されている。また人工接種法で
は、植物体や培養組織に分離培養したエンドファイトを
接種感染させる方法である。
導入の範囲が拡大されるが、しかしエンドファイトの栽
培法、接種時の条件、植物体の条件等の手法的な問題か
ら、ペレニアルライグラスに限定されていた。また感染
効率を向上させるために接種する植物体側の組織にカル
スを利用する方法が報告されている。この方法によれ
ば、カルスからの植物体の再生系の開発が要求されるた
めに、やはりペレニアルライグラスへの導入例に止まっ
ている。
いては、煩雑な操作と熟練とを要する一方、形質転換や
細胞融合によれば、培養変異等の理由によって、導入形
質または導入形質以外の形質に影響を及すために、実用
化が困難になっていた。
際し、植物の形質や形態に及ぼす遺伝子が解明されてい
ない場合には、それらの形質を導入することが不可能で
あった。
する形質は、遺伝子導入法等の方法では、導入すること
ができなかった。また細胞育種法によって作出された植
物は、多くの場合に種子稔性の低下が認められている。
これはイネ科植物において、種子稔性の低下が収量の低
下を招くために致命的な欠陥になる。
を利用した育種法、あるいは形質の改善は、上記の問題
を解決するための全く新しい手法である。
は、エンドファイトの探索、培養系の検討等から、ペレ
ニアルライグラスに限定されており、他の有用なイネ科
植物、例えばラフブルーグラスへの応用が全くなされて
いない。さらにカルス接種法においては、導入植物の再
生系の開発が不可欠である。また接種時においても、エ
ンドファイトの感染効率を向上させる接種条件が開発さ
れていない。
なエンドファイトは、ペレニアルライグラス、トールフ
ェスク、メドウフェスクからしか探索されておらず、導
入の大きな障害になっている。とくにこれらのエンドフ
ァイトの宿主植物は外来の種であり、日本に在来の植物
から日本の環境に適応したエンドファイトはこれまで発
見されていない。
したラフブルーグラス、およびエンドファイトに感染し
ていないラフブルーグラスにエンドファイトを人為的に
導入する方法を提供することを目的とする。
る共生菌、すなわちエンドファイトに感染していないラ
フブルーグラスにエンドファイトを人為的に導入して成
るブルーグラスに関するものである。ここでラフブルー
グラスとはイネ科植物であって、イチゴツナギ亜科中の
イチゴツナギ連に含まれるイチゴツナギ属の植物であ
り、英名ではラフメドウグラス、和名ではオオスズメノ
カタビラと呼ばれるものである。
a trivialis、Poacompressaの
植物を含むものとし、市場に流通しているセイバー、ダ
ークホース、コルト等の品種を含むものとする。
ァイトの導入は、自然界に生育する植物中に共生するエ
ンドファイトを探索発見するとともに、植物中からエン
ドファイトを分離しかつ人工的に培養したものを上記の
ブルーグラスに人為的に導入するものである。なお自然
界に生育する植物であってエンドファイトが存在する植
物は、自然界にカヤツリグサ科、イグサ科等に存在する
ことが知られている。
に培養したエンドファイトであって、下記のエンドファ
イトが用いられてよい。
60(生工研寄託菌 FERM P−15862) このようなエンドファイトが導入されるラフブルーグラ
スには、その後代も含まれるものである。
共生菌、すなわちエンドファイトの導入方法について説
明すると、この方法は自然界に存在する植物に共生して
いるエンドファイトを分離して人工増殖を行なうととも
に、人工増殖されたエンドファイトをラフブルーグラス
に人工接種するものである。そして人工接種されたエン
ドファイトをラフブルーグラスに感染させて共生させる
ことにより、ラフブルーグラスへのエンドファイトの導
入が行なわれる。
において、とくにエンドファイトの分生子を用いるよう
にしてよい。また生工研に寄託されている上記のエンド
ファイトを人工接種するようにしてもよい。
のエンドファイトの導入をその手順に従って詳細に説明
する。
検出と分離工程 (1)エンドファイトの検出工程 探索等によって採取した植物の葉および葉鞘部分の表皮
を剥ぎ、アニリンブルー染色液に入れて染色し、組織内
のエンドファイトを光学顕微鏡下において検出し、エン
ドファイトの存在の有無の確認を行なう。
ンドファイトの分離培地へ置床し、数ヵ月間培養を行な
う。
るいはまた平板培養法を用いて環境条件を変化させた状
態で培養を行ない、形態的な特徴で分類する。また液体
培養を行ない、形態的な特徴で分類する。またスライド
カルチャーを行ない、形態的な特徴で分類する。
イトから生産されるアルカロイドを分析し、とくに耐虫
性の確認を行なう。このときに併せて耐病性、環境スト
レス耐性、生長促進性等についての検定を行なうことを
妨げない。
ーグラスへ人工的に導入する。エンドファイトの導入方
法は、植物体に直接接種する方法と、植物体を1度カル
ス等の未分化の細胞にした後に接種し、カルスから植物
体を再生させる方法とがある。これらはエンドファイト
の導入の対象となる植物の種類に応じて任意に選択され
てよい。
染色し、光学顕微鏡下において顕鏡し、さらに酵素免疫
測定法を用いてエンドファイトの存在あるいは感染の有
無を検出する。
工程 (1)耐虫性検定 エンドファイトを導入して共生させた植物と、エンドフ
ァイトが存在しない植物とを用い、虫害の対象となる昆
虫を飼育し、人工的に食害試験を行なう。
ファイトが存在しない同一種類のラフブルーグラスとを
用い、病害の対象となる病原菌を用い、上記2種類の植
物に対して人為的に病原菌の接種を行なって発病の程度
により病害抵抗性検定を行なう。
ンドファイトの存在を確認後、上述の各検定を行なう。
ら次の方法によってエンドファイトの検出を行なった。
ぎ、光学顕微鏡下において組織内のエンドファイトの有
無の確認を行なった。この確認はスライドガラスに、乳
酸5ml、グリセリン10ml、水5ml、アニリンブ
ルー水溶液0.02gの染色液を数滴滴下する。そして
葉鞘部分を剥がし、裏面表皮をピンセットで葉脈方向に
向って剥いだ。剥ぎ取った表皮をスライドガラスの上に
置き、カバーガラスで覆い、ガスバーナの炎で沸騰さ
せ、光学顕微鏡下において組織を観察した。この条件で
エンドファイトが存在すれば菌糸が青色に呈色するため
に、これによってエンドファイトの検出が行なわれる。
ンドファイトが検出された。そして菌のライフサイクル
から、植物体外へ出ることのない無性世代のみのAcr
emonium型エンドファイトであることが判明し
た。
a属植物体から以下の方法でエンドファイトの分離を行
なった。
および葉鞘部分を水洗後、70%エタノール水溶液に1
0秒間浸漬し、次いで2.5%次亜塩素酸ナトリウム水
溶液に10分間浸漬した後、滅菌水で3回洗浄し、エン
ドファイト分離培地上に置床し、25℃暗条件下で培養
を行なった。
(ポテト デキストロース アガー)培地を121℃、
15分間で滅菌後、ペニシリンとストレプトマイシンと
をそれぞれ100mg/lの濃度になるように添加し、
直径9cmのプラスチックシャーレに20mlずつ分注
して使用した。
分離され、形成されたコロニーを直径が5mmのコルク
ボーラにて取出し、同PDA培地に移植して増殖を行な
った。
ァイトの分類同定 PDA培地へ移植した菌糸は、25℃の暗条件下におい
て培養し、形成される菌叢を調査した。調査の結果、培
地上での菌叢は総て白色の綿状であって、増殖速度は比
較的遅く、コロニーは1カ月で半径が約3cm程度にま
でしか増殖しなかった。
ァイトを工業技術院生命工学工業技術研究所へ寄託を行
なった。菌の表示および寄託番号は以下に示す通りであ
る。
60 FERM P−15862 (4)スライドカルチャーによる菌糸の状態 スライドガラス上に厚さが2〜3mmのPDA培地を載
せ、その上で菌糸を増殖させて菌糸の形態と分生子の形
成とを調査した。なおこの培養は25℃暗条件下におい
て行なった。
が1〜2μmで総てに隔壁が観察された。分生子は、総
てのエンドファイトで容易に形成することが可能であっ
た。
した単生のフィアライドの先端に形成され、ほとんどが
単生の分生子であった。
であった。分生子の形状はほとんどが腎臓形の形状をな
し、大きさは3〜8×1〜3μmであった。また形成さ
れたフィアライドは、総て円筒形で、先端に行くに従っ
て細くなり、隔壁によって菌糸から区切られていた。
M P−15862の宿主植物から以下の方法で、アル
カロイドの分析を行なった。
100mgをサンプルとして乳鉢に入れて磨砕し、メタ
ノールとクロロホルムとをそれぞれ1.5mlずつ加え
て混合し、遠沈管へ回収した。18℃で30分間ゆっく
り混合し、この後にn−ヘキサンと水とをそれぞれ3m
lずつ加え、30分間撹拌した。次いで2000r.
p.m.で10分間遠心分離した。これによって有機層
と水とを分取した。
AG2×8とAnalytichem Blond
Elut CBAのカラムで精製し、濃縮後80%メタ
ノールを100μl添加し、メルクのシリカゲル60を
使用した薄層プレートに各サンプルを20μlずつ滴下
し、展開触媒として、クロロホルム:メタノール:酢
酸:水を20:10:1:1の割合で混合したものを使
用し、展開し、TLC(薄層クロマトグラフ)法により
分析を行なった。
ーブにサンプルを各500μlずつ入れ、遠心エバポレ
ータにて一度溶媒を完全に蒸散させた後に、クロロホル
ムで最終的に200μlに希釈した。希釈後に、薄層プ
レートにはメルクのシリカゲル60を使用し、各サンプ
ルを3μlずつ滴下し、展開溶媒として、クロロホル
ム:エタノールを9:1の割合で混合したものを使用
し、TLC法によって分析を行なった。
Vで確認し、Ehrlich試液(p−ジメチルベンズ
アルデヒド1.0gを96%エタノールに溶解したも
の)とニトロソナフトール試液を用い、呈色反応とRf
値とを測定した。
hrlich試液を用いた場合に青紫色のスポットが確
認され、試薬による呈色反応とRf値とからこれらがイ
ンドールアルカロイドであることを確認した。
rlich試液を用いた総ての植物から青紫色のスポッ
トが、ニトロソナフトール試液を用いた場合に、赤紫色
のスポットが同様の位置に確認され、試薬による呈色反
応からこれらがインドールアルカロイドであることを確
認した。
M P−15862の菌糸を25℃の暗条件下において
PDA培地で2カ月間培養後、コロニーを直径が5mm
のコルクボーラで取出し、300mlの振とうフラスコ
にPD(ポテトデキストロース ブロース)培地を10
0ml入れ、121℃で15分間滅菌したものに各フラ
スコに1個ずつ入れ、25℃で150r.p.m.の往
復振とうを行なった。
杯に増殖した。
人口接種を行なった。ここで用いられた対象の植物は、
ラフブルーグラス中の品種セイバーを用いた。なおここ
ではタキイ種苗株式会社の販売に係るセイバーを使用し
た。
法によって増殖した後に、フレッシュなPDA培地へ移
植し、同条件下において5〜12日間培養したものを用
いた。接種は水に0.8%のAgarを添加したWA培
地(Water Agar培地)に種子を滅菌して播種
し、暗条件で培養した。培養開始から3〜7日後に、植
物体の生長点部分にメスで切込みを入れ、PDA培地で
培養した菌糸を挿入した。
8日間培養した後に、15℃、16時間照明下に移して
4日間は培養し、さらに25℃の16時間照明下に移し
て2日以上培養し、緑色に成長してきた個体を鉢上げ馴
化した。。
用いてエンドファイトの導入を確認した結果、植物への
導入が確認された。また感染効率は25℃よりも30℃
の方が明らかに高かった。
導を行なった。材料はラフブルーグラス中の品種セイバ
ーを使用し、MS基本培地に2.0mg/lの2,4−
D(2,4−ジクロロフェノキシ酢酸)と0.2mg/
lのBAP(6−ベンジルアミノプリン)を添加し、カ
ルス誘導培地とした。
誘導培地へ移植し、25℃の暗条件下において2カ月間
培養することにより、再分化能を有するカルスを得た。
60 FERM P−15862を用いてラフブルーグ
ラスののカルスを用いた人工接種を行なった。各カルス
は上述の誘導培地で誘導したものであって、得られたカ
ルスを植物ホルモン無添加のMS基本培地へ移植した。
し、(6)項で増殖させた菌糸を1カルス当り50μl
滴下した。
それぞれ数週間培養した後に、16時間照明下に移すか
あるいは直ちに16時間照明下に移して培養し、再生し
てできた個体をフレッシュなMS培地に移植し、1カ月
間培養した。これらを(1)項の方法を用いてエンドフ
ァイトの導入を確認した結果、導入が確認された。
M P−15862を用い、分生子の大量生産を行なっ
た。すなわちこの菌を(6)項と同様の方法によって培
養し、フレッシュなPD培地に移植し、分生子の形成能
がピークに達する5〜12日後に培養液を20ml取出
し、20μmのメッシュを2枚重ねしたもので不要な菌
糸を除去し、瀘液を10mlの遠沈管に入れて1000
r.p.m.で10分間遠心分離した。遠心分離の後の
上清み液を捨てて1mlのPD培地を添加し、分生子懸
濁液を得た。
M P−15862の分生子懸濁液を(8)項のカルス
接種法を用いてラフブルーグラスの品種セイバーに人工
接種を行なった。得られた個体を(1)項の方法で検定
した結果、高頻度にエンドファイト導入個体が確認さ
れ、それらは菌糸を用いた接種法である(8)項の方法
と比較しても大きな有意差が認められた。
よるエンドファイトの検出 (7)項、(8)項、および(9)項の人工接種法によ
ってエンドファイトが確認された植物体の葉片から次の
ような方法でエンドファイトの検出を行なった。
を入れ、乳鉢で磨砕し、抽出液を得た。50μlの抽出
液をマイクロプレートのウェルへ入れ、室温において3
0分間吸着させた。そして未結合の抗原を洗浄した。
溶液)で満たし、30分後に洗浄した。また抗エンドフ
ァイトのウサギ抗血清(1次抗体)をウェルに加え、室
温で60分間反応させた。そして未結合の抗体を洗浄し
た。
ゼ標識したヤギ抗ウサギIgG抗体)をウェルに加え、
室温で60分間反応させた。未結合の抗体を洗浄した。
この後に基質溶液にウェルを加え、アルカリホスファタ
ーゼ反応を起させた。そして0.5NのNaOHで反応
を停止し、405nmの波長で吸光度を測定した。
(9)項で作出したエンドファイト導入個体の全てから
呈色反応が確認され、これらのエンドファイトのラフブ
ルーグラスへの導入が証明された。
sp. Po−060FERM P−15862を導入
したラフブルーグラス(品種セイバー)(以下セイバー
E+という)を用い、シバツトガに対する抵抗性検定を
行なった。
化し、対照区として接種を行なっていないセイバーの種
子(以下セイバーE−)を70%エタノールに10秒間
浸漬し、次に2.5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液に1
0分間浸漬した後に、滅菌水で3回洗浄し、風乾し、M
S基本培地に移植し、発芽後2カ月間培養したものを馴
化して使用した。
ぞれ約1cmの長さに切片し、直径9cmのシャーレ内
に各3枚ずつ並べ、ふ化直後のシバツトガの幼虫を約2
00匹を入れ、24時間後に葉片の食害の有無を調査し
た。この結果セイバーE−は食害が見られたのに対し、
セイバーE+は全く食害されなかった。
菌Drechslera sp. 、Curvular
ia sp. 、およびBipolarissp. を
それぞれPDA培地上で2週間培養し、菌叢の表面に形
成された分生子をニードルでかき取り、滅菌水に懸濁し
て5000〜10000個/mlに濃度を調整した。
対照区は接種を行なっていないセイバーE−の種子を、
70%エタノールに10秒間浸漬し、次に2.5%次亜
塩素酸ナトリウム水溶液に10分間浸漬した後、滅菌水
で3回洗浄し、風乾した後、MS基本培地に移植し、発
芽後2カ月間培養したものを6×6×10cmのプラン
トボックスに滅菌した培養土を入れ、材料を10個体ず
つ植込み、2週間培養を行なった。
あるいは塗布し、28℃で16時間日長条件下で1カ月
間培養した。
しない対照区は、接種1週間目から葉の先端から葉腐れ
が始まり、3週間で植物体は完全に枯死したのに対し、
エンドファイトを含有するセイバーE+は、葉に直径2
mmほどの感染初期の黒色のスポット、および葉の先端
1cm程度の葉枯れが検出されたが、その後の病斑の広
がりはほとんどなく、Drechslera sp.
、Curvularia sp.、およびBipol
aris sp.による葉枯れ病の発生に対して、明ら
かに有意な差が見られた。
夏胞子を、5×5mmの湿った瀘紙の上に付着させた。
夏胞子のついた瀘紙を(12)項と同様の方法にて調整
したセイバーE+および対照区の植物の葉に貼付け、接
種を行なった。接種した植物は湿度の高い20℃、暗条
件下で12時間インキュベートした後、16時間照明下
に移し、3週間培養した。
よび対照区の双方の葉の表面に夏胞子堆が形成された。
その後対照区は、2週間で植物体全体が2次的に形成さ
れた大量の夏胞子堆で覆われたのに対してセイバーE+
においては、新たに形成された夏胞子堆は極少量で植物
体全体が夏胞子堆で覆われることはなく、病徴の発生に
明らかに有意な差が見られた。
たラフブルーグラスを用い、スジギリヨトウでの耐虫性
検定を行なった。この検定は、(12)項と同様の方法
で、幼虫にふ化直後のスジギリヨトウ200匹を用いて
24時間後に食害の有無を調査した。
れたのに対し、セイバーE+はごく一部が摂食されただ
けであった。
cmのポットに入れ、セイバーE+とセイバーE−の1
0cm×10cmのターフを作成し、ふ化後2週間経過
した幼虫を約50匹入れ、4日後に食害の有無を調査し
た。
れたのに対し、セイバーE+は充分に緑色の葉を保持し
た状態であった。
イバーE+とセイバーE−の40cm×40cmのター
フを作成し、ふ化後3週間以上経過した幼虫を各ブロッ
ク毎に7匹ずつ放ち、食害の有無を調査した。
ーE−は4日後には完全に食害されたのに対し、セイバ
ーE+は充分に緑色の葉を保った状態であった。
いた耐虫性検定 エンドファイトの人工接種を行なったセイバーE+と対
照区のセイバーE−の出穂後の種子を回収し、それらを
発芽させた後に実施例1の(1)項の方法でエンドファ
イトを検出し、実施例1の(12)項と同様の方法で耐
虫性検定を行なった。検定の結果、セイバーE+の発芽
後の植物体の葉片は全く食害されず、これに対してセイ
バーE−は完全に食害された。このことからエンドファ
イトの存在により得られる効果は、種子を通して後代へ
伝播した場合も同様であることが確認された。
共生菌、すなわちエンドファイトが存在しないラフブル
ーグラスにエンドファイトを人為的に導入して成るラフ
ブルーグラスおよび人為的にラフブルーグラスに対して
エンドファイトを導入する方法に関するものである。
に対してエンドファイトを導入し、ラフブルーグラス内
においてエンドファイトを共生させることにより、少な
くとも耐虫性および耐病性を付与することが可能にな
る。従ってラフブルーグラスの形質改善が図られるとと
もに、優れた形質を有する有用なラフブルーグラスの提
供が可能になる。
Claims (5)
- 【請求項1】糸状菌から成る共生菌が存在しない個体に
糸状菌から成る共生菌を人為的に導入して成るラフブル
ーグラス。 - 【請求項2】前記ラフブルーグラスに導入された共生菌
がAcremonium sp.Po−060(生工研
寄託菌 FERM P−15862)であることを特徴
とする請求項1の記載のラフブルーグラス。 - 【請求項3】植物に共生している糸状菌から成る共生菌
を分離して人工増殖する工程と、 人工増殖された共生菌をラフブルーグラスに人工接種す
る工程と、 人工接種された共生菌をラフブルーグラスに共生させて
感染させる工程と、 をそれぞれ具備するラフブルーグラスへの共生菌の導入
方法。 - 【請求項4】共生菌の分生子を前記接種する工程で人工
接種することを特徴とする請求項3に記載のラフブルー
グラスへの共生菌の導入方法。 - 【請求項5】前記ラフブルーグラスに人工接種する共生
菌がAcremonium sp.Po−060(生工
研寄託菌 FERM P−15862)であることを特
徴とする請求項3に記載のラフブルーグラスへの共生菌
の導入方法。
Priority Applications (5)
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