JP3549122B2 - ベントグラスとベントグラスへのエンドファイトの導入方法 - Google Patents

ベントグラスとベントグラスへのエンドファイトの導入方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はエンドファイトに感染しているベントグラスとベントグラスへエンドファイトを感染させて導入する導入方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ライグラスやフェスク類等の寒冷地型の芝草では、内部共生菌であるエンドファイト(Acremonium sp.)が植物組織中の細胞間に生育している場合がある。しかしながらこのような植物個体から他の植物個体へのエンドファイトの感染は、自然条件下では生じ得ない。
【0003】
ところがエンドファイトは植物体内に共生している糸状菌であって、植物体に対して悪影響を及ぼさないばかりか、植物に対して有用な物質を提供し、植物を虫や病気の害から守ろうとする機能をもっている。そこでエンドファイトが共生していないペレニアルライグラスへ、共生しているペレニアルライグラスから単離したエンドファイトを人工的に感染させた例がある(日本植物病理学会報58,102,1992年)。しかしエンドファイトは、人工的な接種法においても、その感染する植物に対して特異性を有しており、ペレニアルライグラスにおいても、その種間または品種間において、感染しない場合が多く観察された。
【0004】
またベントグラスにおいては、栽培品種の中には、エンドファイトが共生している植物は発見されておらず、エンドファイトを共生させることによってベントグラスの特性を向上させることが不可能であった。
【0005】
さらに現在発見されているペレニアルライグラスやフェスク、チモシー、ヤマカモジクサ、オーチャードグラス等から単離されたエンドファイトはその特性のために、ベントグラスに感染させることが困難なため、エンドファイトが共生しているベントグラスの開発が不可能であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これまでのペレニアルライグラスへのエンドファイトの導入法は、エンドファイトが共生する個体と共生させたい個体とを交配させ、その種子の中からエンドファイトが共生している個体を選抜する方法がほとんどであった。この手法は効率が悪いばかりでなく、有用な形質を有する個体へ直接導入できない等の問題があった。またベントグラスにおいては、エンドファイトが共生する近縁種が発見されていなかったため、交配による手法をベントグラスに適用するのは不可能であった。
【0007】
さらにペレニアルライグラス等のエンドファイトの共生する植物から単離したエンドファイトを、ベントグラスへ人工的に導入することは、エンドファイトの種々の特性のために困難であった。具体的には、他の植物から単離されたエンドファイトをベントグラスへ接種しても、感染しないか、万一感染しても共生せず、エンドファイトが脱出してしまい、これによってエンドファイトをベントグラスへ安定的に導入することができなかった。
【0008】
【本発明の目的】
本発明は、エンドファイトに感染しているベントグラスと、ベントグラス以外の植物に共生しているエンドファイトをベントグラスへ人工的に導入する方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願の主たる発明は、ヌカボ属のベントグラス以外の植物から分離されたエンドファイトの菌糸が宿主植物であるベントグラスの細胞間隙に伸長して感染共生しているベントグラスに関するものである。ここで人工的にエンドファイトが導入された後代のベントグラスも本発明に含まれるものである。
【0010】
このようなベントグラスは方法に係る発明によって得られる。この方法は、ベントグラス以外の植物に共生しているエンドファイトを分離して人工的に増殖するとともに、人工増殖したエンドファイトをベントグラスの植物体または培養物に接種し、接種したエンドファイトをベントグラスの植物体または培養物で感染させるようにしたエンドファイトの導入方法に関するものである。とくにカラスムギ連の植物であってベントグラス以外の植物から分離されたエンドファイトが上記の方法に好ましく用いられる。さらにヌカボ属内の野生植物であってベントグラス以外の植物体の野生種から単離されたエンドファイトがベントグラスのカルス等の培養組織または植物体への人工的な感染にとくに有用である。
【0011】
この方法の発明によって人工的にエンドファイトに感染したベントグラスは種子感染によって第2世代以降の後代の植物体に感染した状態が伝えられる。本発明による方法はこのような後代の植物にも及ぶものである。
【0012】
ゴルフ場等において、環境上の理由から農薬の散布が最大の問題になっている。農薬は殺虫剤、殺菌剤、除草剤等を含むものである。虫による害を防ぐために殺虫剤を散布し、病気による害を防ぐために殺菌剤を散布する。また雑草を枯死させるために除草剤が散布される。またこのような農薬の低減の方法として、耐虫性、耐病性、アレロパシー性のベントグラスの開発が切望されている。
【0013】
エンドファイトは植物体内に共生している糸状菌(カビの一種)であって、その共生の言葉通り、植物体に悪影響を及ぼさないばかりか、その植物体に対して有用な物質を提供するものである。エンドファイトにとって、自分が生活する宿主植物が枯れれば、自分自身も生存できなくなるために、植物を虫や病気の害から守ろうとする機能をもっている。
【0014】
例えば耐虫性については、共生している植物を虫や動物が食べた場合に、そのエンドファイトの中のアルカロイド等によって虫を殺したり弱らせたりする。また病気に対しては、病原菌が植物体中でエンドファイトと拮抗作用を生じ、その病原菌の繁殖を抑えるように働く。さらにエンドファイトが生産する物質が、植物の活性を高め、成長を向上させる。またアルカロイド等の毒物をエンドファイトが生産するために、共生している宿主植物の周辺には草や虫が発生し難くなる。
【0015】
従ってエンドファイトをベントグラスに導入することにより、ベントグラスに対して耐虫性や耐病性を付与するとともに、ベントグラスの成長を促進することが可能になる。しかしエンドファイトはどの植物にも共生しているものではなく、特定の植物にしか存在していないばかりでなく、他の植物への感染は、自然界においては生じていない。またエンドファイトは弱い菌であるために、土や空気中を伝わって植物に感染することがなく、種子等によって増える場合を除いては、ほとんど外部へ増殖することはない。
【0016】
現在までのところ、エンドファイトが共生しているベントグラス類の植物は見出されていない。そこで本願発明者等は、エンドファイトが共生している植物がないかどうかをスクリーニングした。対象としては、できる限り自生している野生種を中心として行なった。野生種を対象とした理由は、栽培植物よりも野生種、つまり雑草の方がこのような特性をもっているものと推定されたからである。スクリーニングの結果、ベントグラスが属しているカラスムギ連の植物、とくにベントグラスが属しているヌカボ属内の野生種であるヤマヌカボ等の野生植物からエンドファイトが発見された。
【0017】
そこでこのようなヌカボ属内の野生種から発見されたエンドファイトをベントグラスの主要品種であるクリーピングベントグラスの品種ペンクロス(Agrostis stolonifela L. cv Penncross)の無菌のカルスおよび植物体にそれぞれ人工的に接種を行なった。その結果カルスおよび植物体中にエンドファイトが感染導入されるとともに、宿主植物それ自体も生存しており、むしろ宿主植物の成長が促進されることが確認された。
【0018】
本願発明において適用されるベントグラスを例示すれば、次のようなものがある。
【0019】
ハイコヌカグサ Agrostis stolonifera L.
コヌカグサ Agrostis gigantea Roth.
コヌカグサ Agrostis alba L.
ヒメコヌカグサ Agrostis canina L.
コロニアルベントグラス Agrostis tenuis SIBTH.
またこれらのベントグラスの交配品種も本発明に適用可能である。
【0020】
次にエンドファイトが分離抽出されるベントグラス以外の植物としては、カラスムギ連の植物の野生種であってよく、とくにヌカボ属内の野生種が用いられてよい。その一例を示すと次の通りである。
【0021】
ユキクラヌカボ Agrostis hideoi Ohwi.
ミヤマヌカボ Agrostis flaccida Hack.
コミヤマヌカボ Agrostis mertensii Trin.
エゾヌカボ Agrostis scabra Willd.
エゾヌカボ Agrostis hiemailis.
ヤマヌカボ Agrostis clavata Trin.
ヌカボ Agrostis clavata Trin. subsp.
ヒメコヌカグサ Agrostis valvata Stend.
バケヌカボ Agrostis dimorpholemma Ohwi.
次に上記のような植物から分離されるエンドファイトを例示すれば、次のような種類がある。
【0022】
Acremonium sp.
Epichloё sp.
Phialophola sp.
Gliocladium sp.
Balansia sp.
Balansiopsis sp.
Atkinosonella sp.
Myriogenospora sp.
ベントグラスへのエンドファイトの感染のための接種方法としては、ベントグラスの植物体にメスで傷をつけ、そこにエンドファイトを直接接種する方法、あるいはまたエンドファイトを培養した液体中に傷をつけたベントグラスを浸漬し、感染させる方法、脱分化した組織であるカルスにエンドファイトの培養液または直接エンドフィイトを接種する方法等がある。
【0023】
このようなエンドファイトの感染のための接種方法は、必ずしも無菌条件下である必要はないが、他の雑菌によるコンタミネーション(汚染)が発生し易いために、無菌条件下で行なうことがより好ましい。
【0024】
また使用するエンドファイトは長期培養したものは変異を生ずる可能性が高く、このために単離直後か、乾燥状態あるいは低温状態で異変を除く処理をしたものを用いることが好ましい。また接種時の温度は0〜30℃の温度が好ましい。30℃以上の高温下で長期間の培養を行なうと、エンドファイトの活性が低下するばかりでなく、死滅する可能性がある。
【0025】
エンドファイトを接種したベントグラスまたはその培養物は適当な培地上において数日から数週間培養される。すると植物体それ自体が生育するとともに、感染したエンドファイトが生育してベントグラスに共生するようになる。
【0026】
ベントグラスにエンドファイトが感染して共生したかどうかは、例えばベントグラスの植物体の一部をアニリンブルー水溶液等の染料を用いて染色し、光学顕微鏡によって観察することにより確認される。ベントグラスの細胞組織は上記の染料に染まらず、エンドファイトのみが選択的に染色されるために、エンドファイトが感染して共生された場合には、細胞間隙を菌糸が伸長しているのが観察される。感染していないものは、菌糸が全く見られないか、見られたとしても、組織の表面上をはい、細胞間隙に達していないものである。
【0027】
【実施例】
実施例1
(1)ベントグラスからのカルスの誘導
ベントグラスの種子または生長点を含む組織を、70%エチルアルコール、次亜塩素酸ナトリウム水溶液等で滅菌し、カルス誘導培地へ置床した。ここで言うカルス誘導培地は、公知のMS基本培地等にショ糖等の糖を3%加え、オーキシンとして、2,4−D、ピクロラム、ジカンバ等を加え、好ましくはサイトカイニンとして、カイネチン、BAP等を添加する。
【0028】
さらに培地の固化剤として、寒天またはゲランガム等を添加した。ベントグラスの組織をカルス誘導培地で、1〜2ケ月間、25℃暗黒下で無菌条件下で培養することにより、カルスが形成される。このカルスの中から植物体を再生する能力をもったEカルスを選別し、接種に用いた。
【0029】
(2)エンドファイトの単離
ヌカボ属内の野生種であるヤマヌカボの完熟種子を、70%エチルアルコールおよび次亜塩素酸ナトリウムの水溶液で滅菌し、発芽培地に置床した。発芽培地には、PDA培地(ポテトデキストロースアガー)またはMS基本培地に3%ショ糖、寒天10%を添加した培地を使用した。培地は、25℃、暗黒下で無菌条件下で行なった。ヤマヌカボは10〜20日程度で発芽し、その種子からエンドファイトが成長し始めた。培地で成長してきたエンドファイトを接種に使用した。
【0030】
(3)ベントグラスヘのエンドファイトの接種
ベントグラスのEカルスを接種培地であるMS基本培地に3%ショ糖、寒天0〜1.5%またはゲランガム0〜0.7%を添加した固形培地に置床し、そのEカルスに接触する前にエンドファイトを置床した。培養は25℃、1000lux、16時間日長で行ない、ベントグラスへエンドファイトを接種した。
【0031】
(4)ベントグラスの再分化と検定法
接種後に培養することによって、カルスはグリーンスポットを形成して再分化した。一方エンドファイトはカルス中に感染して侵入し、ベントグラス植物へ導入された。
【0032】
エンドファイトを接種したベントグラスの葉鞘裏面表皮をピンセットによって剥ぎ取り、アニリンブルー水溶液(乳酸100ml、グリセリン200ml、水100ml、アニリンブルーO 0.4g)を数滴滴下したスライドグラスに表皮をのせ、カバーグラスをかけて、ガスバーナであぶり、染色液を煮沸して染色後、光学顕微鏡によって観察を行なった。
【0033】
細胞組織は染まらず、エンドファイトのみが上記の染料液によって青色に染まる。従ってエンドファイトが感染している場合には、細胞間隙を菌糸が伸長しているのが観察される。感染していないものは菌糸が全く見られないか、見られたとしても組織の表面上をはい、細胞間隙には達していないものである。本実施例によれば、エンドファイトが感染している状態が明確に確認された。
【0034】
実施例2
(1)エンドファイトの単離
ヌカボ(Agrostis clavata L.)の完熟種子を70%エタノール水溶液と次亜塩素酸ナトリウム水溶液にて滅菌し、滅菌水で洗浄し、ポテトデキストロースアガー培地(以下PDA培地)に置床し、25℃暗黒下で培養した。
【0035】
種子は数日で発芽し、エンドファイトが種子中より培地へ繁殖し始めるが、他の糸状菌に比べて成育速度が遅いことが1つの特徴になっている。色は乳白色であり、菌糸を光学顕微鏡下で観察すると、分岐が少ない直線状の菌糸が確認された。
【0036】
(2)ベントグラスの植物体への接種
クリーピングベントグラス(品種ペンクロス)の完熟種子または植物体を70%エタノール水溶液と次亜塩素酸ナトリウム水溶液で滅菌し、滅菌水で洗浄したもの、または無菌下で栄養繁殖させた植物を接種に供試した。
【0037】
▲1▼ 無菌の植物体のほふくをメスによって切断したサンプルをPDA培地中に繁殖したエンドファイト中に差込み、植物体の切断面がエンドファイト中に浸漬されるようにした。
【0038】
▲2▼ MS培地中に3%シュクロース、0〜1.5%アガーを添加した培地に無菌の植物体を差し、切断面にPDA培地中で繁殖したエンドファイトを接触させて培養した。
【0039】
▲3▼ MS基本培地に3%シュクロース、0〜1.5%アガーを添加した培地に、無菌植物体を差し、葉をメスによって切断し、その切断面にPDA培地中で繁殖したエンドファイトを接触させて接種した。
【0040】
▲4▼ MS基本培地に3%シュクロース、0〜1.5%アガーを添加した培地に、無菌植物体を差し、茎または葉の一部を切断し、その切断面に無菌条件下で播種したエンドファイトの共存しているヤマヌカボの植物体の一部を切出した切片を接触させた。
【0041】
(3)培養
上記の▲1▼〜▲4▼の方法によってエンドファイトを感染接種させたベントグラスを、25℃、3000lux、16hr照明下において1〜3週間培養し、植物体を生育させた。この時点では培地中にエンドファイトとベントグラスとが共存していることになる。
【0042】
(4)検定
▲1▼ 培養法
接種後に成長したベントグラスの先端部の葉または茎をメスで切出し、組織を細断した後に新しいPDA培地中へ置床した。培養は25℃、暗黒下において5〜20日間培養することにより、組織の断面よりエンドファイトが放出され、PDA培地中で繁殖するのが確認された。もし、ベントグラスがエンドファイトに感染していれば、組織層よりエンドファイトが観察されることになる。
【0043】
▲2▼ 顕微鏡観察法
実施例1と同様の方法で染色したエンドファイトを光学顕微鏡で観察できる。
【0044】
この他にELISA(エライザ法)を用いて検定を行なうことも可能である。
【0045】
実施例3
(1)カルスの培養
クリーピングベントグラス(品種ペンクロス)の完熟種子を70%エタノール水溶液と次亜塩素酸ナトリウム水溶液で滅菌し、滅菌水で洗浄後、カルス誘導培地(MS培地、3%シュクロース、2〜5mg/l 2,4−D、または2〜5mg/l Picloram、または2〜10mg/l dicamba、0.8〜1.5%アガーまたは0.2〜1.0%ゲランガムを添加し、オートクレーブにおいて121℃で15分間加熱したもの)に置床し、25℃で暗黒下でカルスの誘導を行なった。
【0046】
(2)エンドファイトの接種
▲1▼ MS基本培地に3%シュクロース、0.8〜1.5%アガーを添加した培地に誘導したカルスまたは増殖させたカルスを置床し、さらに別に培養したエンドファイトを接触させて培養した。
【0047】
▲2▼ 誘導したカルスを液体増殖培地(例えば、AA培地に2%シュクロース、3%ソルビトール、2〜5mg/l 2,4−Dまたは2〜5mg/l Picloram、または2〜10mg/l dicamba、カゼイン加水分解物200mg、MES1g/l、AA培地のアミノ酸を添加した培地)にて培養し、増殖させたカルスに上記の方法にてエンドファイトを接種した。
【0048】
▲3▼ 液体増殖培地において増殖したカルスを、胚様体誘導培地(例えばN6基本培地、5%シュクロース、3%ソルビトール、200〜1000mg/lカゼイン加水分解物、1g/l MES、AA培地のアミノ酸を添加した培地)において培養し、カルスを胚様体化させ、その胚様体に上記の方法によってエンドファイトを接種した。
【0049】
(3)検定
上記実施例2において述べた検定法と同様の手法によってエンドファイトの存在の検定を行なった。この検定においても、エンドファイトが接種感染されていることが確認された。
【0050】
実施例4
MS基本培地に3%シュクロース、0〜0.7%ゲランガムまたは0〜1.5%アガーを添加した培地に無菌条件下にて播種し、発芽させたエンドファイトが共生しているヤマヌカボ植物体を無菌的に傷つけ、その傷の部分に無菌植物体(ほふく茎)の切断面を接触させた。
【0051】
MS基本培地に3%シュクロース、0.25〜0.7%ゲランガムまたは0.7〜1.5%アガーを添加した培地に、無菌条件下で播種し、発芽させたエンドファイトが共生しているヤマヌカボ植物体の根から出ているエンドファイトに、無菌植物体の切断面を接触させた。
【0052】
共存培養の条件は10〜35℃、好ましくは20〜30℃であって、明条件であっても、暗条件であってもよい。共存培養の期間は1〜60日、好ましくは7〜30日がよい。またこのときのpHを3〜8、より好ましくは4〜6の値に調整される。
【0053】
無菌植物をエンドファイトまたはエンドファイトが共生しているヤマヌカボの植物体に接触させる際に、無菌植物の切断面を更新する。すなわち接触させる直前にもう一度切って切断面を新鮮な状態にすることが感染の効率をより高めることが確認された。
【0054】
次に上記実施例1〜4において使用されている培地の組成を説明する。 1)ポテトデキストロースアガー培地(PDA)
栄研化学株式会社製
Figure 0003549122
2) 育苗培地
MS基本培地(無機塩とビタミン)
3%シュクロース
0.8〜1.5%アガーまたは0.1〜1.0%ゲランガム
pH 1.6
3) ポテトシュクロース培地
バレイショ抽出液 1000ml
シュクロース 10g
pH 5.6
なお各培地ともに調整後に、オートクレーブで121℃で15分間滅菌処理した。
【0055】
次に上記実施例1〜4において用いられている略称の物質名は次の通りである。
【0056】
2,4−D; 2,4−ジクロロフェノキシ酢酸
Picloram; 4−アミノ−3,5,6−トリクロロピコリン酸
dicamba; 3,6−ジクロロ−2−メチルベンゼン酸
MES; 2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(一水和物)
アガー; 寒天
【発明の効果】
以上のように本発明は、ヌカボ属のベントグラス以外の植物から分離されたエンドファイトの菌糸が宿主植物であるベントグラスの細胞間隙に伸長して感染共生しているベントグラスおよびベントグラスへのエンドファイトの感染方法に関するものである。
【0057】
従って本発明に係るベントグラスによれば、感染して共生されたエンドファイトによって耐虫性および耐病性を付与することが可能になるとともに、エンドファイトが生産する物質によってベントグラスの活性を高め、その生長を促進する効果を生ずる。従って殺虫剤、殺菌剤、除草剤等の農薬を散布する必要がないベントグラスを提供することが可能になる。

Claims (2)

  1. ヌカボ属のベントグラス以外の植物から分離されたエンドファイトの菌糸が宿主植物であるベントグラスの細胞間隙に伸長して感染共生しているベントグラス。
  2. ヌカボ属のベントグラス以外の植物に共生しているエンドファイトを分離して人工増殖するか、またはヌカボ属のベントグラス以外の植物にエンドファイトが共生した状態で人工増殖する工程と、
    人工増殖したエンドファイトをベントグラスの植物体の茎、葉、ほふく、種子またはカルス接触または浸漬して接種する工程と、
    接種したエンドファイトをベントグラスの植物体の茎、葉、ほふく、種子、またはカルスに感染させ、菌糸が宿主植物であるベンドグラスの細胞間隙に伸長した状態で共生に至らしめる工程と、
    を具備するベントグラスへのエンドファイトの導入方法。
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