JPH1094716A - フロン分解処理方法及びその処理装置 - Google Patents

フロン分解処理方法及びその処理装置

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JPH1094716A
JPH1094716A JP8251204A JP25120496A JPH1094716A JP H1094716 A JPH1094716 A JP H1094716A JP 8251204 A JP8251204 A JP 8251204A JP 25120496 A JP25120496 A JP 25120496A JP H1094716 A JPH1094716 A JP H1094716A
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JP
Japan
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gas
decomposition
alkali
alkaline
exhaust gas
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JP8251204A
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English (en)
Inventor
Satoru Ohashi
悟 大橋
Toshihiro Mori
俊浩 森
Hisao Yokoyama
久男 横山
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Hitachi Engineering Co Ltd
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Engineering Co Ltd
Hitachi Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】バッチ式に排ガス処理とアルカリ溶液の再生を
行い、アルカリ溶液の再利用と有価物の回収する。 【解決手段】1日に必要なアルカリ溶液量を有するアル
カリ槽40とアルカリ再生系で構成する。アルカリ溶液
は、アルカリ槽40からダイヤフラム式ポンプ41を経
由し、排ガス処理装置30で酸性ガスを除去に用いられ
て、アルカリ槽40へ戻される。処理後のアルカリ溶液
は、アルカリ槽40からダイヤフラム式ポンプ41を経
由し、遠心式脱水機51に供給される。ここで、アルカ
リ溶液に含まれる固形分が分離されて有価物として回収
され、アルカリ溶液も再生される。 【効果】フロン分解ガスの排ガス処理を少ない水量によ
って行えるとともに、有価なフッ化カルシウムを回収す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フロン分解処理方
法及びその処理装置に係り、特に触媒を用いたフロン分
解処理方法及びその処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、オゾン層を破壊する物質としてフ
ロンが注目され、モントリオール議定書においてクロロ
フルオロカーボン(CFC)は1996年までに全廃、
ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)は202
0年までに全廃することが決定している。一方、オゾン
層破壊係数は小さいが、温暖化係数が10,000 倍以
上と大きい過フッ化炭素(PFC),六フッ化硫黄(S
6 ),ハイドロフルオロカーボン(HFC)は、現
状、規制はされていないが、今後、温暖化防止への高ま
りとともに対策が必要になる。
【0003】そこで、これらの物質を分解する技術が種
々検討されており、これまでに触媒分解法,プラズマ分
解法及び燃焼分解法の研究が進められている。これらの
いずれの分解法においても分解生成物としてフッ化水
素,塩化水素が発生する。例えば、全国の各自地体で廃
冷蔵庫から回収が進められている冷媒のフロン12を、
フロン濃度:3vol% (キャリアガス:空気)で水蒸気
とともに分解した場合には、フッ化水素が約6vol% 、
塩化水素が約6vol% が発生する。
【0004】フッ化水素及び塩化水素は、腐食性が強
く、有害物質であるため、大気汚染防止法によりその排
出が厳しく規制されている。そのため、分解処理装置は
分解後の排ガス処理設備を必要とする。
【0005】特に、フッ化水素の場合、大気汚染防止で
排出濃度を11ppm 以下にすることが定められており、
フロン12分解時のような高濃度のフッ化水素を規制値
以下にするには、一般の焼却炉にある排ガス設備(乾
式,湿式)では難しく、水及びアルカリ溶液を多量に用
いた洗浄塔(スプレー塔,充填塔)などの排ガスと水と
の接触を多くする方法でないと除去することはできな
い。そのため、多量の水が必要であり、また接触時間を
得るために大規模な排ガス処理設備が必要になる。更
に、装置材料の面においても、腐食性の強いフッ化水素
の場合、高温ガスが接する部分には、一般の酸性ガス用
耐食材料として用いられるセラミックが使用できず、高
価な耐食材料を使用しなければならない。また、酸性ガ
スを除去した水やアルカリ溶液と接する部分では、ガス
の場合より材料の腐食環境は厳しくなり、溶液のpHが
少しでも酸性側になると高価な耐食性材料を使用しても
腐食が発生してしまう。そのため、腐食防止には、pH
や温度を含めた厳密な管理を行わなければならない問題
がある。
【0006】排ガス洗浄に用いた水は、フッ素イオンが
含まれている為、系外に放出するには排水基準を満たさ
なければならない。フッ素イオンを含む排水の放出は、
国の排水基準ではフッ素濃度を15ppm 以下にしなけれ
ばならない。また、地方自治体の条例等では、フッ素イ
オンを含む排水の放出は、さらに厳しい規制がかけられ
ている。
【0007】通常、フッ素イオンを含む排水では、フッ
素イオン濃度を基準値以下に抑えるために、フッ素イオ
ンをカルシウム塩の使用により溶解度の小さいフッ化カ
ルシウムにかえ、溶解分のフッ素イオンを規制値以下に
している。しかしながら、溶解分のフッ素イオンと非溶
解性のフッ化カルシウムとの分離・除去するために、凝
集剤を添加しないで脱水を行った場合、脱水後の排水に
非溶解性のフッ化カルシウムが混入する。これは排水中
のフッ素イオン濃度を上昇させることになり、排水中の
フッ素イオン濃度が規制値以下にならない。従って、フ
ッ素イオン濃度を規制値以下にするために、フッ化カル
シウムを含む溶液に凝集剤を添加し、非溶解性のフッ化
カルシウムをある一定の大きさに凝集後、脱水によって
分離・除去する方法が用いられる。一方、脱水後の排水
に凝集剤が入っていると、閉塞や析出が起こる可能性が
あるために排水の再利用ができず、排水を系外に排出し
なければならない。フッ化カルシウムが分離・除去され
た排水は、通常、排水処理設備のタンクに一時貯蔵後、
pH調整をして系外に放出される。フロン分解の排ガス
処理は、酸性ガスの除去・中和に多量の水を使用するの
で、排水を再利用しないで放出すると、貯蔵するタンク
類を含めた排水処理設備が大規模になる。
【0008】また、脱水によって非溶解性のフッ化カル
シウムの分離・除去を行った場合は、フッ化カルシウム
が大量に発生するという問題が生じる。フロン12の場
合、フロン1kgを分解し、排ガス処理を行うと最終的に
フッ化カルシウムが0.65kg発生する。
【0009】一般に、フッ化カルシウムは、製鉄でのス
ラグの流動化材やガラス工業の原料として用いられるな
ど、工業用の原料としては有用性の高い物質である。
【0010】しかし、フロンから発生するフッ化カルシ
ウムは、排水処理設備で凝集剤を添加し、沈降させた
後、脱水し、脱水ケーキの形で回収されるが、回収後の
脱水ケーキは、多量の水分と凝集剤を含んでいるので、
この状態では有価物として再利用することはできず、そ
のまま埋めたてられているのが現状である。このためフ
ロンを処理しても、2次廃棄物が発生し、分解処理施設
の経済性を損なっている。また脱水ケーキは、管理型の
埋立地で処理しなければならず、全国的に埋立設備の残
容量が不足している現状では、埋立をすることがますま
す難しくなっている。
【0011】このように、大規模な排ガス処理設備で、
大量の水を用いて排水の再利用なしで排ガス処理を行
い、そのうえ2次廃棄物が発生する現状のフロンの分解
処理は、実用性に欠けている。
【0012】また、大規模な排ガス処理設備が必要な現
状では、分解設備を含めた全体の分解処理設備も大規模
になり、分解ガスの保管場所の近くに分解処理設備を設
置することが難しいという問題がある。フロンの多く
は、一般に沸点が低く、保管は高圧ボンベに圧力をかけ
て行っている。現在、一部の地方自治体で回収が行われ
ている冷媒用のフロン12は、気化しやすいために圧力
を加えた高圧ボンベ内に充填され保管されている。多量
のフロンガスを長期間にわたり系外へ漏洩せずに保管す
ることは、経済的にも難しい。また、フロンを充填した
ボンベを、フロンを漏洩させることなく遠方のフロン分
解設備まで運搬するためには、さらに数倍の高圧ボンベ
で運搬しなければならず、安全上の問題や、運搬コスト
がかかる問題がある。
【0013】このため、回収・保管場所の近くに設置で
きる小型で、装置構成がシンプルな設備、または回収・
保管場所まで移動できる可搬式設備の必要性が高まって
いる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来のフ
ロン分解処理方法は、フロン分解後の排ガス処理におい
て発生するフッ化水素を効率よく除去するためには、多
量の水が必要であり、排水設備が大規模になる問題があ
る。
【0015】また、設備の大部分に高温・高濃度の酸性
ガスや酸性ガスを除去・中和したアルカリ溶液が接する
ので耐食をもたすために高価な材料を使用しなければな
らず、設備の経済性を損ねている。
【0016】さらに、最終的に生成するフッ化カルシウ
ムの分離・除去が不十分であるために、フッ化カルシウ
ムを2次廃棄物として埋め立てており、有効に利用され
ていない問題がある。
【0017】本発明の目的は、高温・高濃度の酸性ガス
や酸性ガスを除去・中和したアルカリ溶液に対し耐食性
を持った安価な材料を分解装置及び排ガス処理装置に使
用し、フロン分解によって発生するフッ化水素ガスを効
率よく除去するとともに、除去に必要な水の量を少なく
し、さらに最終的に生成するフッ化カルシウムを効率よ
く有価物として利用可能な形にし、回収するフロン分解
処理方法及びその処理装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、アルカリ槽と
排ガス処理装置を有し、アルカリ溶液を循環し、少ない
水量でフロン分解ガスを効率よく処理するとともに、バ
ッチ式にアルカリ溶液の再生を行い、アルカリ溶液の再
利用と、発生する有価なフッ化カルシウムを回収する方
法を提供するものである。本発明の具体例を以下に述べ
る。
【0019】分解の対象になるフロンは、クロロフルオ
ロカーボン(CFC),ハイドロクロロフルオロカーボ
ン(HCFC),ハイドロフルオロカーボン(HF
C),過フッ化炭素(PFC),六フッ化硫黄(S
6 )等である。また対象とするフロン分解方法として
は、触媒法,プラズマ法,焼却法などがある。
【0020】フロンの分解及び排ガスの処理は、連続処
理を行うことによって酸性ガスの中和・除去に伴い、2
次生成物が多量に発生する。この2次生成物を処理装置
の系内に保持するためには、大きなタンクを必要とす
る。このため、2次生成物を連続的に分離除去して系外
に排出することが好ましい。しかし、生成した2次生成
物を連続的に分離除去し、必要となるアルカリを所定量
連続的に供給するためには中和アルカリ(水酸化カルシ
ウム)の連続定量供給機能、2次生成物を分離除去する
連続固形分除去(フィルター)機能が必要となり、装置
構成が複雑になる。これに対し、小容量処理のバッチ処
理では、1日1〜10時間の分解処理運転とすれば、1
〜10時間処理運転に必要なアルカリを事前に供給して
おけばよく、タンクに容積も大きくならず、2次生成物
については分解終了後、アルカリ再生系で分離・除去す
ればよく、定量供給機能及び固形分の連続分離機能が不
要となり、処理装置の簡素化が図れる。
【0021】バッチ式の排ガス処理においては、アルカ
リ槽を1基、アルカリ再生系またはアルカリ槽を2基以
上を有し、そのアルカリ槽では、予め1日1〜10時間
の排ガス処理に必要なアルカリ溶液を作製しておく。1
日の排ガス処理では、アルカリ溶液が、アルカリ槽から
ダイヤフラム式ポンプで排ガス処理装置に定量供給さ
れ、分解装置から排出される酸性ガスを冷却しかつ除去
した後に、再度、アルカリ槽へ戻る閉ループ内で使用さ
れる。このようなアルカリ溶液の再利用は、酸性ガスの
除去に必要な水量を確保するとともに、系外に排出する
水量を少なくする。尚、排ガス処理装置は、分解ガスを
冷却する分解ガス冷却装置、及び酸性ガスの除去を行う
酸性ガス除去装置を備える。
【0022】また、バッチ式の排ガス処理は、別系統と
してアルカリ再生系を有する。アルカリ再生系は、分解
処理に使用したアルカリ溶液からフッ化物塩を除去す
る。アルカリ槽とアルカリ再生系とは、同量のアルカリ
溶液を保有している。アルカリ槽側で酸性ガス除去を行
っている間、アルカリ再生系は、前日1〜10時間の間
に酸性ガスの除去及び中和処理を行ったアルカリ溶液か
ら、フッ化物塩を除去し、このアルカリ溶液の再生を行
う。そして、フッ化物塩を除去した後の処理水は、再
度、アルカリ物質を投入することで、フロン分解排ガス
の酸性ガス除去用のアルカリ溶液として再利用できる。
【0023】このため、アルカリ槽及びアルカリ再生系
内にそれぞれ保有されているアルカリ溶液が交互に酸性
ガス処理に使用されることによって、系外に排出される
排水量が極めて少なくなり、排ガス処理に使用される新
しい水の量が少なくなる。また、アルカリ槽を2基以上
を有し、それぞれのアルカリ槽でアルカリ溶液を交互に
酸性ガス処理に使用することによっても、同じ効果が得
られる。
【0024】尚、バッチ式の排ガス処理では、ダイヤフ
ラム式ポンプを1基有し、1基のダイヤフラム式ポンプ
によって、分解処理時のアルカリ槽から排ガス処理装置
へのアルカリ溶液の定量供給を行い、また運転終了時の
使用済アルカリ溶液をアルカリ再生系に移送することを
行い、さらには、再生後のアルカリ溶液をアルカリ槽に
移送することを行っている。これらのアルカリ溶液の移
送を可能とするポンプとしては、ダイヤフラム式ポンプ
が適している。通常の移送ポンプは、ポンプの保護の観
点からタンクに設けたレベル計またはレベルスイッチに
よる水位制御を必要とする。ダイヤフラム式ポンプを用
いる場合は、水位制御が必要なく、タイマーによる簡単
な時間制御を行えばよい。このため、1基のダイヤフラ
ム式ポンプでアルカリ溶液の3通りの移送を可能にす
る。しかし、通常のポンプでも水位制御を行うことによ
り移送ポンプとして用いることができる。
【0025】ここで、フロン分解排ガスのフッ化水素除
去に使用するアルカリ物質は、水酸化ナトリウムでもよ
い。しかしながら、アルカリ物質としては、最終的にフ
ッ化カルシウムの形で除去しなければ排水基準を満足で
きないので、取扱い安く、安価な水酸化カルシウムを使
用することが望ましい。フッ化カルシウムは、溶解度が
小さくほとんどが析出する。フッ化カルシウムの形で除
去し易く、アルカリ溶液中の溶解性物質が少ないので、
アルカリ溶液の再利用するのに適している。
【0026】特に分解対象が、フッ素と炭素だけで構成
されるCF4 やC26等のPFC(パーフルオロカーボ
ン)及びSF6 である場合、アルカリとして水酸化カル
シウムを使うと、中和生成物としてはフッ化カルシウム
だけができる。そのため、アルカリ再生系でフッ化カル
シウムを除去すると、再生後のアルカリ溶液には溶解性
物質を含まないので、フッ化カルシウムの除去に伴い減
少した水のみを加え、水酸化カルシウムを添加すれば酸
性ガス除去用のアルカリ溶液としてずっと使用できる。
【0027】尚、フッ化カルシウムの除去方法として
は、フッ化カルシウムを迅速に分離することができる方
法として、脱水が最適である。脱水方法としては、遠心
式脱水機を用いることが望ましい。遠心式脱水機以外の
脱水方法では、アルカリ溶液中のフッ化カルシウム等に
不溶解性物質の分離・除去効率が悪く、脱水後のアルカ
リ溶液を再利用するうえで、分離・除去できなかった不
溶解性物質による配管内の析出や閉塞を引き起こす。ま
た、アルカリ溶液を系外に放出する場合には、フッ素イ
オン濃度を排出基準以下にしなければならないので、遠
心式脱水機以外の脱水方法では、排出基準を満たすこと
が難しい。このため分離・除去効率がよく不溶解性物質
を除去できる遠心式脱水機が最適である。
【0028】さらに、遠心式脱水機の運転条件は、フッ
素イオン濃度を排出基準以下まで不溶解性物質を除去す
る遠心力として650G以上とする。650G以上の遠
心力を与えることによって、フッ化カルシウム等の不溶
解物質を除去でき、フッ素イオン濃度を8ppm 以下にす
ることができる。さらに脱水時間を遠心力650Gで1
0分以上とすると脱水した固形分中の含水率が50%以
下にでき、後述する固形物の再利用に伴う、製品価値を
あげるための乾燥・造粒に伴うエネルギーを少なくでき
る。なお遠心力を大きくすると脱水時間は短くできるの
で、脱水時間を短くしたい場合には、遠心力の大きい遠
心式脱水機を選ぶことで対応できる。
【0029】次に、排ガス除去装置は、装置を小型化す
るために、横方向多段結合型とし、各部屋ごとにアルカ
リのスプレーを行う方式とする。通常、排ガス処理装置
では、排ガスと水との接触時間を取るために、装置高さ
を高くするので、装置全体が大規模になるが、横方向多
段結合型にすることで、装置の大きさを小型化ができ、
更に効率よく酸性ガスの除去も行える。
【0030】また、有機ハロゲン化合物の分解では、ダ
イオキシン等の有害な2次生成物が発生する可能性があ
るので、分解直後のガスを急冷する必要がある。そのた
め、横方向多段結合型の排ガス処理装置では、第1室
(分解ガス冷却装置)に冷却専用のスプレー室をもう
け、高温のガスを急冷することで、有害な2次生成物の
発生しやすい温度領域をさけることが出来る。また急冷
することで、分解ガス温度が100℃以下になるので、
酸性ガスを除去・中和したアルカリ溶液の接する部分の
装置材料に耐食性に優れているが耐熱性に劣る、安価な
塩化ビニールを使用できる。
【0031】尚、フロンの分解装置から排ガス処理装置
において酸性ガスがアルカリ溶液と接するまでは、高温
で、しかも高濃度の酸性ガスが装置に接する。このた
め、高温,高濃度の酸性ガスに対し、装置の耐食性が必
要である。これを解決するために、高温,高濃度の酸性
ガスが接する部分にNi基合金のインコネル600やハ
ステロイCを使用する。Ni基合金は、高濃度の酸性ガ
ス雰囲気であっても、水分が凝縮しない範囲(100℃
以上)では、十分な耐食性を有している。
【0032】排ガス処理装置の構造は、アルカリ溶液を
排ガス処理装置とアルカリ槽との間を、閉ループで循環
させているので、これらを一体化することも可能であ
る。
【0033】排ガス処理装置では、横方向多段結合型で
アルカリ溶液をスプレーすることで系外への排出基準以
下にできるが、万一、除去しきれない場合は、排ガス処
理装置出口に酸性ガスの吸着除去フィルターを設置す
る。この場合には、吸着剤が2次廃棄物となる。酸性ガ
スの吸着剤としては活性炭,ゼオライト、等のガス吸着
性を有する物質やCa(OH)2,NaOH等の様に中和
反応により化学的に固定するアルカリ性物質を使用する
ことができる。ガス吸着性を有する物質の場合には、吸
着ガスの再生分離による再利用が可能であるが、この場
合には、吸着の対象が酸性ガスであるので、吸着剤が酸
化劣化を受けるので好ましくない。一方アルカリ物質を
用いる場合には、化学的に補足するので再生できずこれ
が2次廃棄物となる。しかし、酸性ガスにより反応する
のは、アルカリ充填物質の表層部分のみであり充填物全
量からするとごく一部にしかすぎずフィルターとしては
破過しても充填物全体としてはアルカリ性を維持してい
る。このため、フィルターとして用いたアルカリ性吸着
剤を排ガス処理のアルカリ溶液のアルカリとして再利用
することにより、2次廃棄物とせず有効利用が可能であ
る。特に、水酸化カルシウムを用いている場合には、酸
性ガスの吸着除去フィルター充填剤として、粒状の水酸
化カルシウムを用いる。吸着除去フィルターとして使用
した後の粒状の水酸化カルシウムは、中心部はまだアル
カリ性であるのでアルカリ溶液のアルカリとして利用で
きる。
【0034】このようにバッチ処理の排ガス処理を行う
ことで、大量の水と大規模な施設を要していたフロン分
解処理装置を小型化でき、使用する水量を少なくするこ
とがきる。
【0035】脱水によって除去されたフッ化カルシウム
を含む固形物は、水分を約50wt%含んでいる。この
脱水固形分を有価物として利用するには、乾燥すること
が好ましい。これは、約50wt%含まれる水分を除去
することにより取扱い重量を大幅に低減でき、また流動
状態から固形分に変わるので取扱いも容易となる。用途
によっては、乾燥後、造粒することにより、取扱いが更
に容易になり、乾燥物の飛散が防止できるからである。
【0036】前述の手段を用いることにより、フロンを
分解によって発生するフッ化水素ガスを効率よく除去す
るとともに、除去に必要な水の量を少なくし、最終的に
生成するフッ化カルシウムを効率よく有価物として回収
することができるので、簡易で経済的なフロン分解処理
方法が提供できる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下に実施例を示すが、本発明は
これに限定されるものではない。
【0038】(実施例1)排ガスの処理方法をバッチ処
理とし、触媒によるフロン12の分解処理の実施例を図
1に示す。
【0039】フロン12の分解処理は、フロン濃度を調
整するキャリアガスを空気とし、SV=1,500
-1 ,フロン濃度3.0vol%,触媒層温度450℃の
条件で運転を実施した。
【0040】フロン12は1kg/h(8.3モル/hr )
供給し、フロンを加水分解に必要な水は、理論モル比の
2.5倍量である0.8kg/h(41.5モル/hr )を供
給する。キャリアガスの空気は、フロン濃度が3.0vol
%になるように約6Nm3 を供給する。
【0041】まず、空気は加熱器11で電気ヒータによ
り間接加熱され、同時に水も加熱器11で加熱され、蒸
気になる。ここで空気は、空気流量調節弁10aで調節
・制御され、水の供給量は定量ポンプ12で一定量が供
給される。
【0042】フロンは、フロンボンベ13からフロン流
量調節弁13aで調節・制御され、定量供給される。こ
こで、フロンは、加熱された空気と蒸気が混合した後の
加熱器11の下流から供給する。これは、混合ガスを加
熱するときに高温になった電気ヒータに、フロンが接
し、部分的に熱分解をするのを防止するためである。フ
ロン12の場合、温度が800℃以上であれば熱分解が
おこる。またフロンの部分的な熱分解が起こると、H
F,HClの酸性ガスが発生し、ガスの接する部分の材
料が腐食する問題が生じるためである。酸性ガスが発生
すると、電気ヒータや配管類を耐食性に優れた高価な材
料を使用する必要が生じる。
【0043】加熱・混合されたガスは、触媒容器20に
供給され、触媒によって分解される。分解温度は、45
0℃になるように制御している。分解温度の制御は、触
媒層21の温度を計測し、設定温度450℃との差をも
とに加熱器11の電気ヒータの出力を調整し、触媒容器
20に供給する混合ガスの温度を変化させることで分解
温度が450℃一定になるようにしている。
【0044】既に述べた通り、フロンの分解により多量
のフッ化水素,塩化水素の酸性ガスが発生するためフロ
ン分解装置では、十分な耐食性が要求される。装置が腐
食されると装置のメンテナンスコストが高くなるのみで
なく、金属が腐食されることにより廃液中にクロム等の
有害な重金属が移行し廃液処理が非常に難しくなる。
(クロムは6価クロムとなり、非常に有害である。)こ
のように装置の耐食性確保は非常に重要な因子であるが
フッ化水素,塩化水素共存下での耐食性評価は今まで十
分になされていなかった。このため、気相及び液相での
耐食試験を実施した。
【0045】気相試験は、約400℃、酸性ガス濃度1
2vol% (フッ化水素6vol% ,塩化水素6vol% )の
フロン分解の環境に、1,000 時間暴露して供試金属
材料の評価試験を実施した。供試材料はSUS304,インコ
ネル600,ハステロイCを用いて行った。試験結果を
表1に示すが、SUS304は数十時間のオーダで供試材が消
失するほど激しい腐食をしたが、インコネル600,ハ
ステロイCは金属光沢を失っておらず、顕微鏡観察でも
腐食の痕跡は確認されなかった。
【0046】一方、液相試験は、フロン分解ガスをアル
カリ溶液に通気して酸性とした溶液に供試材料を100
時間浸漬した。試験結果を図13に示す。耐食に優れる
と言われるハステロイC,インコネル600でも液相で
の腐食は、回避できないことがわかった。液相はアルカ
リ溶液に液性状を維持するが、実運用においては、付着
水滴などの部分的に酸性になることを考慮しておくこと
が必要である。
【0047】このことより液相系では、金属材料が使用
できないので耐食性に優れる高分子材料(塩化ビニール
樹脂,FRP,ポリエチレン,テフロン等)を使用する
必要があるが、下記の2つの問題がある。
【0048】1つは、耐熱温度の問題であり、高分子材
料は、400℃の温度には耐えられない、できれば10
0℃以下の温度条件、好ましくは、50℃程度まで温度
を下げる必要がある。このため、分解ガスは急冷処理を
行い、適用材料として高分子材料とすることにした。
【0049】2つ目の問題は、強度である。温度が高い
条件で高分子材料に大きな強度は期待できない、このた
め通常は高分子材料を金属にライニングないしコーティ
ングを用いる。コーティングやセラミックは、形状が複
雑になると施行が難しく、コストが高くなる。そこで、
液相では装置に要求される強度の低い処理方法を選択し
た。つまり高温ガスの急冷は、高温ガスの液中へのバブ
リング処理が一般的に用いられているが、この場合に
は、高温ガスを液中に押し込むため、圧力損失が大き
く、大きな排気吸引力が必要となり、系内の負圧度が大
きくなり、装置構成材料に大きな強度が要求される。
【0050】これに対し高温ガスの急冷をスプレーで行
うと圧力損失は、数10mmAq程度であり、系内の負圧
度はさほど大きくならず、高分子材料単体で十分たえら
れる。このように、フロン分解処理では、装置の耐食性
確保のために適切な適用材料の選定及び高温ガスの急冷
方式を選定する必要がある。
【0051】触媒で分解された後、分解ガスは排ガス処
理装置30へ導かれる。排ガス処理装置30の第1室
(分解ガス冷却装置)では、高温の排ガスにスプレーノ
ズル35からアルカリ溶液をスプレーし、冷却を行う。
この第1室(分解ガス冷却装置)でのスプレーは、高温
の排ガスを急冷し、100℃以下までにすることで、ダ
イオキシン等の有害な有機ハロゲン化合物の発生を抑え
ている。また分解ガス温度を100℃以下にすること
で、排ガス処理装置30の材料として、塩化ビニール樹
脂,ポリエチレン,テフロン等のプラスチック材料が適
用できる。分解ガス中に含まれる高濃度のHF,HCl
(フロン12:3.0vol%に対し、それぞれ約6.0vol
%生成)は、腐食性が高く、それらを中和・除去したア
ルカリ溶液が接する部分には、金属材料が使用はできな
い。一方、プラスチック材料は、HF,HClに対し十
分な耐食性を有しているが、耐熱性に劣る。このため、
第1室(分解ガス冷却装置)にてスプレーにより分解温
度を下げることにより、ダイオキシン等の有害ハロゲン
化合物生成を抑制できるとともに、排ガス処理装置30
に安価な材料を使用することができる。またプラスチッ
ク材料を使用することは、材料費が安くなるばかりでな
く、部材の接合が容易なので加工コストも下げることが
できる。
【0052】しかし、第1室(分解ガス冷却装置)は、
部分的に高温ガスが壁面に当たる可能性があり、耐熱性
にすぐれるテフロン(耐熱温度:200℃)製ないし、
テフロンの内張り、または耐熱性塩化ビニール等が使用
できる。第2室(酸性ガス除去装置)以降は、分解ガス
温度が100℃以下になっているので、耐熱性の劣る塩
化ビニール樹脂,ポリエチレン等が利用できる。
【0053】第2室(酸性ガス除去装置)以降では、ア
ルカリ溶液のスプレーによって排ガス中の酸性ガスの除
去を行う。尚、第1室(分解ガス冷却装置)では、分解
ガスの冷却を目的にしているが、第2室(酸性ガス除去
装置)以降と同様にアルカリ溶液のスプレーにより分解
ガス中の一部の酸性ガス除去もされる。
【0054】フロン12を3vol% で供給すると、フロ
ン12の分解により約12vol% の酸性ガスが発生す
る。これを大気に放出するには、酸性ガスの濃度を約1
ppm のオーダまで低減する必要がある。このためには、
アルカリスプレー塔を多段に組み合わせて、酸性ガスを
中和除去する必要があり、装置が大型になってしまう問
題がある。これに対し、複数段のスプレー室を横方向に
連続してつなぐ構造とし、これらの中をアルカリ溶液の
スプレーが分解ガスと並向又は対向に接する構造にする
ことにより、排ガス処理装置30の高さを低くでき、装
置の小型化が図れる。またこのような構造にすること
で、酸性ガスの除去効率が向上し、排ガス処理装置30
出口での酸性ガス濃度(HCl,HF)は、HF:0.
5mg/Nm3以下,HCl:2mg/Nm3 以下にでき、
大気汚染防止法に定める排出基準(HF:10mg/Nm
3 以下,HCl:80mg/Nm3 以下)を満たすことで
きる。尚、排ガス処理装置30の出口には、酸性ガスモ
ニター65を設け、酸性ガス濃度が排出基準以上になる
と、装置全体を停止するように制御を行い、安全性を確
保している。
【0055】酸性ガスを除去した分解ガスは、排風機1
5を介して系外に排出される。系外排気を吸引排気方式
にすることにより装置系内を負圧に維持でき、装置損傷
時でも系内の酸性ガスの漏洩を防止できる。
【0056】排風機15の風量を調節するために、空気
入口調節弁10bを設けて空気をインリークさせ、所定
量の系統流量に調節する。
【0057】排ガス処理装置30から排出されたアルカ
リ溶液は、アルカリ槽40に戻される。アルカリ槽40
には、1日の運転に必要なアルカリ溶液が準備されてお
り、1日の分解処理を行っている間に、アルカリ溶液
は、閉ループによって、アルカリ槽40からダイヤフラ
ム式ポンプ41を経由して、排ガス処理装置30の各ス
プレーへ一定量供給され、再度アルカリ槽40に回収さ
れる。
【0058】尚、フロン12の処理量が1kg/hr(8.
3mol/hr)である場合、分解で発生する酸性ガス(H
F,HCl)を中和するために必要な水酸化カルシウム
の量は、1.23kg/hr(16.6mol/hr)である。これ
を約6wt%濃度の水酸化カルシウム溶液とすると1kg
のフロン12当たり約20リットルのアルカリが必要に
なる。運転終了時にアルカリ溶液が酸性になるのを防ぐ
ために、水酸化カルシウムの量を1.2 倍量とし水酸化
カルシウム溶液は、1kgのフロン12当たり約25リッ
トルとする。フロン分解処理装置の1日の運転モード
を、準備・起動に1時間,分解処理に6時間,停止・後
かたづけに1時間とすると、1日の分解に必要なアルカ
リ溶液量は、約150リットルになる。これを分解処理
開始前にアルカリ槽40に準備される。
【0059】アルカリ溶液は、アルカリ槽40からダイ
ヤフラム式ポンプ41を経由して、排ガス処理装置30
のスプレーへ供給される。また、ダイヤフラム式ポンプ
41から供給されるアルカリ溶液の一部は、熱交換器4
2を経由してアルカリ槽40に戻され、アルカリ槽40
内のアルカリ溶液を冷却する。
【0060】このように、排ガス処理装置30内でアル
カリ溶液に持ち込まれる熱は、ダイヤフラム式ポンプ4
1からアルカリ槽40へ戻る配管に設置された熱交換器
42によって除去される。このため、アルカリ溶液の温
度が所定値以下に維持される。
【0061】排ガス処理装置30内でアルカリ溶液に伝
えられた熱量は、約3,000kcal/hである。この場
合には、熱交換器42として空冷式のラジエタを用い、
冷却ファンによって外気との熱交換によって冷却でき
る。このためクーリングタワーや、ポンプが必要な水冷
式に比べ、装置構成が簡単で設備が小型化できる。
【0062】1日の分解処理が終了するとアルカリ槽4
0内のアルカリ溶液は、沈降槽50に移送される。この
移送は、ダイヤフラム式ポンプ出口から分岐させた配管
上のスラリ移送弁41bを開き、ダイヤフラム式ポンプ
出口弁41aを閉じることで容易に行える。アルカリ溶
液がアルカリ槽40から沈降槽50に移送された後、既
に固形分が脱水除去されて不足分の水を補った再生後の
アルカリ溶液が、処理水貯槽52からアルカリ槽40に
移送される。この移送はアルカリ槽出口弁40aを閉じ処
理水供給弁52aを開くことにより行われ、アルカリ溶
液は処理水貯槽52からダイヤフラム式ポンプ41,ス
プレーノズル35,排ガス処理装置30を通り、その他
の配管や弁等を洗浄しながらアルカリ槽40に達する。
固形分を除去された再生後のアルカリ溶液の移送によ
り、装置内のフラッシングを行うことができ、系内での
固形分の固着等の不具合の発生を防止することができ
る。アルカリ槽40内へ供給されたアルカリ溶液は、翌
日の運転時のスプレー水に使用するものであり、翌日、
運転前に水酸化カルシウムを添加することで、アルカリ
溶液は再利用することできる。
【0063】沈降槽50へ移送されたアルカリ溶液内
に、1日の運転によって中和生成物としてフッ化カルシ
ウムが約3.9kg、塩化カルシウムが約5.5kg生成され
る。この内、フッ化カルシウムは溶解度が小さく、ほぼ
全量が析出するが、塩化カルシウムは溶解度が大きく析
出しない。また余分に入れた水酸化カルシウム約1.5k
gも溶解度が小さいので析出する。これらの析出物は、
運転終了から翌朝まで一晩かけて沈降槽50の底部に沈
澱する。翌日、フロンの分解処理を行っている間(約6
時間)に沈降槽50内のアルカリ溶液の再生処理を行
う。
【0064】沈降槽50では、沈降した固形分と上澄み
液とに分離しているので、上澄み液のみを、沈降槽50
上部に設置してある上澄み排水弁50aを開き重力を利
用して処理水貯槽52へ移送する。これにより、脱水機
51での脱水対象物の量が少なくでき、脱水機への負荷
を小さくすることができる。
【0065】一方、沈降した中和生成物は、水分を多量
に含んでいるので、沈降槽50底部から排出して遠心式
脱水機51で脱水し、固形分内の含水率を約50wt%
まで低下させる。一方、脱水により分離された水は、上
澄み液と同様に処理水貯槽52に蓄えられ、不足分の水
を補うことで次の日のフロン分解用のアルカリ溶液とし
て利用される。
【0066】このように、使用済のアルカリ溶液より中
和生成物である固形分を分離し、溶液に水酸化カルシウ
ムを添加して再使用するには、脱水処理の過程で凝集剤
等の添加剤を加えることはできない。凝集剤を使用する
と、脱水で分離した液相側にも凝集剤が移行する。凝集
剤を含むアルカリ溶液を再利用した場合、水酸化カルシ
ウムが凝縮し、スプレーノズル及び配管を閉塞させる。
アルカリ溶液より中和生成物を分離する脱水処理とし
て、遠心分離を適用することによって、添加剤を全く必
要としない。このため、スプレーノズル及び配管の閉塞
を防止できる。図14に、使用済のアルカリ溶液から中
和生成物を分離する遠心分離の試験結果を示す。この試
験結果より650G以上の遠心力を加えることにより、
固相と液相に分離することが分かる。従って、遠心式脱
水機51は650G以上の遠心力を発生するものを選定
する必要がある。また、このように分離した液相中のF
イオン濃度の値は1ppm である。本実施例は、フッ化水
素の除去を行うために水酸化カルシウムを用いたので、
中和生成物としてフッ化カルシウムが生じる。フッ化カ
ルシウムの溶解度は小さく、ほぼ全量、非溶解性物質に
なるため、遠心式脱水機(650G以上)による中和生
成物分離後のアルカリ溶液内のフッ素イオン濃度を1pp
m にできる。その他のアルカリでは、中和物の溶解度が
大きく、脱水後のフッ素イオンを排水基準以下にするこ
とは難しい。
【0067】このため遠心式脱水機(650G以上)を
用いることにより、フッ素イオンの排水基準値である1
5ppm 以下を十分下まわっており、アルカリ溶液として
再利用はもとより、pHを調整することで系外へ排出す
ることも可能である。
【0068】(実施例2)排ガス中の湿度を低減する方
法として、排ガス処理装置の最終室に、空気インリーク
ライン及びバッフル板,デミスターを設置したフロン分
解処理装置の実施例を図2に示す。
【0069】排ガス処理装置30から出た排ガスは、ア
ルカリ溶液のスプレーのために湿度が高く、下流に設置
してある排風機15内で結露がしやすい。排風機15内
で結露が生じると、腐食等との問題が生じる。これを防
止するために、排ガス処理装置30の最終室に、空気の
インリークラインとバッフル板67を設ける。空気のイ
ンリークでは、空気入口流量調節弁10bで空気量を調
節することができ、湿分を多く含んだ排ガスと混合する
ことで冷却することができる。冷却後の排ガス中の水分
は、バッフル板67によって除去され、排風機15へ導
かれる。これにより、排風機15への結露水の持ち込み
を防止することができる。また、非ガス処理装置30を
通る排ガスが、系統内の流速の関係でアルカリスプレー
の飛沫を同伴する場合がある。この場合には、排ガス処
理装置30の最終室のインリークした空気と混合する前
に、デミスター66を設置し、デミスター66によって
同伴する飛沫が排風機内へ持ち込むのを防止する。尚、
除去した飛沫は、デミスター66内に蓄積し、徐々に圧
損を上げるので、少量のアルカリ溶液を間欠または連続
的にスプレーすることで、デミスター66内の飛沫を除
去することができる。
【0070】また、実施例2では、脱水後の固形分を取
扱いが容易にできる方法も示す。脱水後の固形分には、
フッ化カルシウムが含まれている。フッ化カルシウム
は、工業用の原料としては有用性の高い物質で、製鉄ス
ラグの流動化材やガラス工業の原料として利用されてい
る。そのため、フッ化カルシウムを含む脱水後の固形分
を有価物として利用できれば、フロン分解処理に伴う2
次廃棄物が発生しない処理システムになる。
【0071】脱水後の固形分は、約50%の水分を含有
しており、スラリ状のため取扱いが難しく、工業用のフ
ッ化カルシウム(ホタル石)と同様に取り扱えるように
する必要がある。
【0072】脱水後の固形分を有価物として利用するに
は、含まれる水を取り除き、フッ化カルシウムの含有率
を上げる必要がある。このため、乾燥機53によって固
形分内の水分を蒸発させて、含水率を10%以下に低下
させる。この時、乾燥に使用する熱源は、経済性の観点
から重油を燃焼させた熱風を利用して乾燥するのが好ま
しい。
【0073】脱水後の固形分の組成は、フッ化カルシウ
ム,水酸化カルシウム,塩化カルシウムと無機物である
ため、乾燥温度を500℃位にしても有害物質が発生す
ることがないので、高温が得られる重油燃焼による熱風
乾燥が適している。この様にして乾燥された固形分中に
は水分に溶解して持ち込まれた塩化カルシウムが数%含
有されるが、用途を限定すればこのままで十分再利用す
ることが可能である。乾燥後のフッ化カルシウムを含む
固形分は、粉末または不定形の塊になる。フッ化カルシ
ウムを含む固形分は、このままでも有価物として利用で
きるが、粉末または不定形の塊では、輸送時や取扱い時
に飛散が発生したり、保管スペースが大きくなるので、
さらに製品価値を上げるとともに取扱い性を考慮し、乾
燥後、造粒機54で一定サイズにする。造粒機54で
は、固形分が飛散しないように圧縮し、一定のペレット
サイズにする。大きさは、主成分のフッ化カルシウムを
利用する場所の要望に応じ、調整できる。
【0074】このように本実施例でのバッチ式のフロン
分解処理によって使用する水を少なくでき、装置大きさ
も小型化できる。また生成するフッ化カルシウム中和生
成物を有価物として利用できる製品形状で回収ができ、
2次廃棄物が発生しない。
【0075】(実施例3)ダイヤフラム式ポンプの必要
容量を少なくするとともに、アルカリ槽へ持ち込まれる
熱の効率的な除去を可能にするフロン分解処理方法を図
3に基づいて説明する。
【0076】排ガス処理装置30でアルカリ溶液のスプ
レーによって酸性ガスを除去されたアルカリ溶液は、高
温の分解ガスから持ち込まれる熱によって、循環して使
用すると徐々に温度が上昇してくる。このため、熱交換
器等を介して、持ち込まれた熱の除去をしなければなら
ない。実施例1は、ダイヤフラム式ポンプ41の出口
に、アルカリ溶液を排ガス処理装置30のスプレーノズ
ル35に供給するラインと、熱交換器42を経由しアル
カリ槽40へ戻すラインとを接続している。これは、ア
ルカリ溶液を冷却することにより、溶解している成分が
析出する可能性があるためである。このために、上記の
2つのラインにそれぞれアルカリ溶液を供給しなければ
ならず、ダイヤフラム式ポンプ41の必要容量が大きく
なる。
【0077】ダイヤフラム式ポンプ41の容量を小さく
するために、スプレー等の閉塞が起こらないようにアル
カリ溶液内の溶解成分の析出を抑制できる程度で、かつ
アルカリ槽40に持ち込まれる熱量を除去できる程度
に、アルカリ溶液の冷却温度(熱交換器入口と出口の温
度差)を低くする運転条件で熱交換器41を使用する。
これにより、ダイヤフラム式ポンプ41から吐出された
アルカリ溶液は、熱交換器42で冷却された後、排ガス
処理装置30のスプレーノズル35に導くことが可能に
なる。この場合には、ダイヤフラム式ポンプ41の出口
で前述のように2つのラインに分岐する必要がなく、ダ
イヤフラム式ポンプ41の容量を小さくできる。
【0078】(実施例4)アルカリ槽40から排ガス処
理装置30のスプレーノズル35へ供給するアルカリ溶
液において、閉塞の原因になる析出物の同伴を抑制でき
るフロン分解処理装置を図4により説明する。
【0079】排ガス処理装置30のスプレーノズル35
から噴射されるアルカリ溶液に酸性ガスが吸収され、ア
ルカリ溶液と酸性ガスとの中和反応によって、中和生成
物が生じる。フロンの分解では、フッ化水素と水酸化カ
ルシウムが反応してフッ化カルシウム(中和生成物)が
生成する。フッ化カルシウムは、溶解度が小さくアルカ
リ溶液中でほぼ全量析出し、アルカリ槽40の底部に沈
降する。アルカリ槽出口弁40aを開きダイヤフラム式
ポンプ41を駆動することによって、アルカリ槽40底
部からアルカリ溶液が取り出される。このとき、析出物
である中和生成物もアルカリ溶液と共に排ガス処理装置
30のスプレーノズル35に供給される。中和生成物に
よって、スプレーノズル35の閉塞が生じる恐れがあ
る。
【0080】本実施例は、この問題を防止するために、
アルカリ槽40の上部からアルカリ溶液を取り出してダ
イヤフラム式ポンプ41に導くラインを設けている。こ
のラインには、アルカリ溶液取出弁40bが設置されて
いる。アルカリ槽40上部のアルカリ溶液は、中和生成
物の含有量が少ない。アルカリ溶液取出弁40bを開き
ダイヤフラム式ポンプ41を駆動してアルカリ槽40の
上部からアルカリ溶液を取り出し、このアルカリ溶液を
排ガス処理装置30のスプレーノズル35に供給する。
アルカリ槽40の上部からアルカリ溶液を取り出すこと
で、フッ化カルシウム等の析出物のスプレーノズル35
への同伴が抑制される。また、取り出し時におけるアル
カリ溶液の流速を抑えることで、より一層、析出物の同
伴が抑制される。
【0081】このように、フロン分解処理運転時は、ア
ルカリ槽40の上部からアルカリ溶液を取り出し、排ガ
ス処理装置30に供給する一方、運転終了時の使用済ア
ルカリ溶液を沈降槽50へ移送する場合は、アルカリ溶
液を全量排出するために、アルカリ溶液取出弁40bを
閉し、アルカリ槽底部のアルカリ槽出口弁40aを開す
る。これによりアルカリ溶液は、ダイヤフラム式ポンプ
41を経由し、全量を沈降槽50へ移送することができ
る。尚、この時、ダイヤフラム式ポンプ41をダイヤフ
ラムポンプにすることで、レベル計またはレベルスイッ
チによるアルカリ槽40の水位制御をする必要がなく、
タイマーによる時間制御のみで使用することができる。
【0082】(実施例5)排ガス処理方式をバッチ処理
とし、燃焼器を利用したフロン12の分解処理を行う他
の実施例であるフロン分解処理装置を図5により説明す
る。排ガス処理装置は、実施例1と同じ装置構成で実施
した。
【0083】フロン12は、触媒と同様に1kg/h(8.
3モル/h)供給する。助燃剤として都市ガスを供給
し、酸化剤として空気を供給する。まず、フロン12
は、フロンボンベ13からフロン流量調節弁13aで流
量を1kg/h(8.3mol/h)に調節し、都市ガスと
混合して燃焼器22へ供給する。都市ガスは、都市ガス
流量調節弁15aで流量を、フロン分解に必要なメタン
量の理論モル比の2.5 倍である0.47Nm3/h(2
1mol/h)に制御する。空気は、送風機10から空気
流量調節弁10aで流量を空燃比が1.2 倍になるよう
に約0.6Nm3/hに制御され、燃焼器22へ供給され
る。
【0084】燃焼器22では、燃焼バーナ23で空気と
都市ガスを燃焼させる。フロン12は、温度が800℃
以上になると熱分解し、都市ガスの燃焼で生成した水素
と反応してフッ化水素,塩化水素,二酸化炭素になる。
【0085】燃焼器22内の温度は、フロンの熱分解を
行うために、800℃以上に維持する。燃焼器22内の
温度が高温になると燃焼器22内の炉材がフッ化水素,
塩化水素によって腐食する恐れがあるので、燃焼器22
内の温度は800℃〜1,200℃の範囲にする必要がある。
【0086】燃焼器22内の温度を800℃〜1,20
0 ℃の範囲に維持するための制御は、2つの方法があ
る。第1の制御方法は、供給する空気流量を制御するこ
とによって燃焼器22の温度調節を行う。例えば、燃焼
器22内の温度が800℃以下になった場合には、空気
流量調節弁10aを絞り、供給空気量を減らすことで、
燃焼温度を上昇させることができる。逆に、燃焼器22
内の温度が1,200 ℃以上になった場合には、空気流
量調節弁10aを開き、供給空気量を増加させること
で、燃焼温度を下げることができる。第2の制御方法
は、都市ガスの流量を制御することによって、燃焼温度
の制御するものである。しかし、都市ガスの流量制御
は、都市ガスの流量をフロン分解に必要な水素量以下に
すると、不完全な反応によって副次生成物が発生するの
で、都市ガスは必要量以上供給しなければならない。こ
のため、空気流量で粗調整した後に、微調整用として都
市ガス流量の制御で燃焼器22内の温度調節を行う。
【0087】燃焼器22内で分解された後、分解ガスは
排ガス処理装置30へ導かれる。排ガス処理装置30の
第1室(分解ガス冷却装置)では、高温の排ガスにスプ
レーノズル35からアルカリ溶液をスプレーすることで
排ガスの冷却を行う。冷却法は、分解ガスの温度が80
0℃と高いので、ダイヤフラム式ポンプ41からのアル
カリ溶液量(2.0Nm3/hr)のうち第1室(分解ガス
冷却装置)のスプレーノズル35に1.0Nm3/hrを供
給し、第1室(分解ガス冷却装置)での分解ガス温度を
100℃以下にする。第2室(酸性ガス除去装置)以降
では、アルカリ溶液のスプレーによって分解ガス中の酸
性ガスの除去を行い、分解ガスは系外へ放出される。
【0088】本実施例の排ガス処理は実施例1の触媒法
と同様のシステム構成によって処理を行う。排ガス処理
装置30で除去されたフッ化水素及び塩化水素は、アル
カリ槽40で中和され、フッ化カルシウム及び塩化カル
シウムになる。アルカリ槽40内には、一日に必要なア
ルカリ溶液が準備されている。1日の分解処理を行って
いる間は、アルカリ溶液がアルカリ槽40からダイヤフ
ラム式ポンプ41を経由して、排ガス処理装置30の各
スプレーノズル35へ定量供給される。そして、アルカ
リ溶液は、排ガス処理装置30から、再度、アルカリ槽
40へ回収される。
【0089】一日の運転終了後、アルカリ溶液は、沈降
槽50へ移送されて次の日に遠心式脱水機51で沈降し
た固形分の脱水を行う。沈降槽50の上澄みや、脱水後
のアルカリ溶液は、処理水貯槽52に蓄えられ、次の排
ガス処理用のアルカリ溶液として利用される。脱水され
たフッ化カルシウムを含む固形分は、実施例2と同様
に、乾燥,造粒し、ペレット状にして有価物として回収
する。
【0090】(実施例6)排ガス処理方式をバッチ処理
とし、プラズマを利用したフロン12の分解処理を適用
するフロン分解処理装置の実施例を図6に示す。尚、プ
ラズマによるフロン分解の排ガス処理は、分解温度が局
部的に10,000 ℃と高く、それにともない分解ガス
も触媒法及び燃焼法に比べ高温(1,000 ℃以上)に
なるので、分解ガスを直接、アルカリ槽40に導き、そ
こで急冷させることができるように排ガス処理装置30
とアルカリ槽40を一体型にしている。
【0091】フロン12は、1kg/h(8.3mol/h)
供給する。水は、フロン分解に必要なモル比の2.5倍
量である0.75kg/h(41.5mol/h)を供給す
る。フロン12は、フロンボンベ13からフロン流量調
節弁13aで流量を調節し、水を混合した後にプラズマ
トーチ24へ供給する。水は、蒸気発生装置14から10
0℃の蒸気として供給する。プラズマトーチ24は、プ
ラズマ発生装置によって、プラズマにより局部的に1
0,000 ℃の高温状態を作る。10,000 ℃の高温
状態では、フロン12はフッ素原子,塩素原子,炭素原
子の形になる。それらの原子は、水からの水素原子及び
酸素原子と反応し、安定なフッ化水素,塩化水素,二酸
化炭素になる。
【0092】分解ガスは高温のままアルカリ槽40へ導
かれる。プラズマによる分解では、分解ガスが1,00
0 ℃以上になるので、直接、アルカリ槽40内で分解
ガスをバブリングさせて、100℃以下に冷却する。1
00℃以下に冷却された分解ガスは、酸性ガスを除去す
るためにアルカリ槽40と一体化させた横方向多段式の
排ガス処理装置30でスプレーによって酸性ガスの除去
を行い、系外へ排出される。
【0093】排ガス処理装置30で除去されたフッ化水
素,塩化水素はアルカリ槽40で中和され、フッ化カル
シウム,塩化カルシウムになる。アルカリ槽40には、
一日に必要なアルカリ溶液が準備されている。
【0094】尚、プラズマ法では、分解温度が高く、ア
ルカリ槽へ持ち込まれる熱量が大きいので、熱交換器4
2としてアルカリ槽40内に冷却管を設置し、クーリン
グタワーからの冷却水を冷却管内に流し、熱交換させる
ことで冷却を行う。一日の運転終了後は、沈降槽50へ
移送し、次の日に沈降した固形分の脱水を行う。
【0095】脱水処理以降は、実施例1の触媒法と同様
のシステム構成で処理を行い、沈降槽50の上澄みや、
脱水で排出されたアルカリ溶液は、処理水貯槽52に蓄
えられ、次の排ガス処理用のアルカリ溶液に利用する。
脱水されたCaF2 を含む固形分は、その後、乾燥・造
粒し、ペレット状にして有価物として回収する。
【0096】(実施例7)排ガスの処理をアルカリ槽を
2基もちいたバッチ処理とし、触媒によるフロン12の
分解処理を行う他の実施例であるフロン分解処理装置を
図7に示す。
【0097】フロン濃度を調整するキャリアガスとして
空気を用いて、SV=10,000h-1,フロン濃度3v
ol% ,触媒層温度440℃の条件で運転を実施した。
触媒は、金属酸化物触媒を使用した。フロンの処理量
は、1kg/hr(8.3モル/hr)である。水は理論量の
1.8倍である0.5kg/hr(14.7モル/hr )供給す
る。空気は約6m3/hr供給しフロン濃度を3vol% と
する。
【0098】まず、空気は加熱器11で石油ガス化バ−
ナにより間接加熱されると同時に、水も加熱器11によ
り加熱されて蒸気となる。空気と蒸気は加熱器11内で
混合される。ここで、空気流量は、空気入口調節弁10
bにより制御される。水の供給量は、定量ポンプ12に
より定量供給される。一方、フロン12は、フロンボン
ベ13よりフロン流量調節弁13aにより一定量が供給
される。尚、フロン12の供給は、加熱された空気と水
蒸気が混合された後(下流側)で行われる。これは、加
熱器11よりも上流側でフロンを供給すると、混合ガス
の加熱時に、高温になった加熱器伝熱管にフロン12が
接し、フロンの部分的に分解することを防止するためで
ある。フロンの部分分解が生じると、HF,HCl等の
腐食性ガスが発生し、接する部位の材料を高耐食性のも
のにする必要があるからである。このようにして、所定
条件に混合・加熱された混合ガスは、触媒容器20に供
給され、触媒によりフロン12が分解される。尚、触媒
容器20は、カートリッジタイプとなっており簡単に交
換が行える。この時の分解温度を440度に制御する必
要があるが、この温度制御は次の2段階で行われる。ま
ず、大きな温度調整は、加熱器11への燃料供給量を調
整する燃料流量調節弁16aにて行われる。この燃料供
給量のみでは、触媒層温度の一定制御は精度的に難しい
ためこの粗調整後において燃料流量調節弁16aの開度
は固定とし、±20℃程度の細かい温度制御は、触媒層
21の温度計(図示せず)の検出値に基づいて温度調節
用弁17aを調節し、外気空気のインリーク量を増減さ
せることにより行う。この温度調節用弁17aは、フロ
ン12の供給位置より上流側に設け、フロン12供給時
のキャリアガスの温度を下げ、フロン12の部分分解を
防止する。
【0099】触媒にて分解された後、分解ガスは排ガス
処理装置30へ導かれる。排ガス処理装置30の第1室
(分解ガス冷却室)では、分解ガスにスプレーノズル3
5からアルカリ溶液がスプレーされる。この第1室(分
解ガス冷却装置)でのスプレーは、分解ガスの温度を1
00℃以下まで急冷させて、ダイオキシン等の非常に有
害な有機塩素化合物の生成を防止するために行われる。
また、分解ガス温度を急冷させることは、排ガス処理装
置30の材料として、塩化ビニール樹脂,ポリエチレ
ン,テフロン等のプラスチック材料の適用を可能とする
ことができる。プラスチックは、これらの腐食性ガスに
対し十分な耐食性を有しているが、耐熱性の点で劣るの
である。このため、第1室(分解ガス冷却装置)にてス
プレーノズル35により分解ガスの温度を下げることに
より、排ガス処理装置30に、安価なプラスチック材料
を使用することができる。プラスチック材料を適用でき
ることは、材料費が安くなるのみではなく、接着剤によ
る接合が可能になるので、加工コストも大幅に下げるこ
とができる。
【0100】しかし、第1室(分解ガス冷却装置)は、
部分的に高温ガスが壁面に当たる可能性があり、耐熱性
に優れるテフロン(耐熱温度:200℃)製とするか、
テフロン内張りとする必要がある。第2室以降は耐熱性
に劣る塩化ビニール樹脂,ポリエチレン等(耐熱温度:
100℃以下)でも十分である。
【0101】排ガス処理装置30の第2室(酸性ガス除
去室)以降は分解ガスとスプレーするアルカリ溶液との
接触面積を確保するための充填物31を充填しており、
分解ガス中の酸性ガス(HF,HCl)の除去を行う。
尚、第1室(分解ガス冷却装置)のスプレーノズル35
からスプレーされるアルカリ溶液は、分解ガスの冷却と
ともに酸性ガスの一部を除去する。
【0102】このように、排ガス処理装置30を、内部
に充填物31を充填した室を横方向に何段にもつないだ
構造とすることにより、排ガス処理装置30の高さを低
くし、かつ充填物31の充填容積を大きくでき、酸性ガ
スの除去効率の向上を図るとともに、装置の小型化が図
れる。
【0103】酸性ガスが除去された分解ガスは、排風機
15を介して系外へ排気される。排ガス処理装置30か
ら流出した排ガスは、湿度分が高いため排風機15内で
結露し、排風機15を腐食させる可能性が高い。本実施
例は、空気流量調節弁10aより空気をインリークさせ
ており、分解ガスの結露温度を下げて排風機15内での
結露を防止している。
【0104】排ガス処理装置30から排出されたアルカ
リ溶液は、アルカリ槽に戻される。2つのアルカリ槽4
3,44は、交互に使用される。
【0105】フロン12の処理量は、1kg/hr(8.3モ
ル/hr)であるので、分解により発生する酸性ガス(H
F,HCl)を中和するためには、1.23kg/hr(1
6.6モル/hr)の水酸化カルシウム(Ca(OH)2
が必要である。これを4wt%濃度の水酸化カルシウム
溶液とすると、約30リットルの水酸化カルシウム溶液
が必要になる。よって、フロン分解処理装置の1日の運
転モ−ドを、準備・起動に1時間、分解処理に6時間、
停止・あとかたずけに1時間とすると、180リットル
必要となるが、運転終了後もアルカリ性に保持するため
10%の余裕を見込んで、アルカリ槽には200リット
ルのアルカリ溶液(4wt%水酸化カルシウム溶液)を
準備しておく。
【0106】所定量のアルカリ溶液が準備されたアルカ
リ槽43からダイヤフラム式ポンプ46により、熱交換
器42を経由して排ガス処理装置30の各スプレーノズ
ル35へ所定量のアルカリ溶液が供給される。中和に必
要なアルカリ量は、理論的には30リットル/hrであ
る。しかしながら、酸性ガスの吸収効率があるため12
0〜240リットル/hrのアルカリ溶液を供給する必要
がある。三方弁48は排ガス処理装置30とアルカリ槽
43を連絡している。アルカリ溶液は、三方弁48を経
て、再度、アルカリ槽43へ戻される。このようにし
て、アルカリ溶液は、アルカリ槽43と排ガス処理装置
30との間を循環し、その一部がアルカリ槽43内のア
ルカリ溶液を撹拌するために用いられる。排ガス処理装
置30においてアルカリ溶液に伝えられた熱は、熱交換
器42にて除去されるので、アルカリ溶液の温度は、約
50℃以下に保持される。熱交換器42には冷却水ポン
プ32によりクーリングタワー49から冷却水が供給さ
れる。この熱交換器42は、ダイヤフラム式ポンプ46
の出口部分の循環流量の多い位置に設けられるので、ア
ルカリ溶液の冷却効果を上げることができる。
【0107】アルカリ槽44内には、前日の運転に使用
されたアルカリ溶液が入っている。1日の運転により、
中和生成物として、フッ化カルシウムが3.9kg 、塩化
カルシウムが5.5kg 生成する。この内、フッ化カルシ
ウムは、ほぼ全量、析出沈澱するが、塩化カルシウムは
溶解度が大きく析出しない。また、余分にいれた水酸化
カルシウム約1kgも溶解度が小さく析出し沈澱する。こ
のように、析出沈澱物は運転終了後、一晩かけて翌朝ま
でにアルカリ槽44の底部に沈澱する。次の日に、アル
カリ槽43のアルカリ溶液をスプレーノズル35からス
プレーしている間(約6時間)に、アルカリ槽44の処
理を行う。まず、循環ライン弁47bを閉め(アルカリ
槽43を使用している運転時には閉)、更に、排水弁5
5bを開ける。三方弁48は、前述したように排ガス処
理装置30とアルカリ槽43を連絡している。この状態
で、ダイヤフラム式ポンプ47を駆動してアルカリ槽4
4内の沈澱物を、アルカリ溶液と共に廃棄物処理装置
(図示せず)ないしは一時貯蔵タンク(図示せず)に排
出する。沈澱物の排出後に、排水弁55bを閉め、アル
カリ溶液の排出量を補うためにアルカリ槽44へ所定レ
ベルまで水を供給する。その後、三方弁48は、前述し
たように排ガス処理装置30とアルカリ槽43を連絡し
ている。ダイヤフラム式ポンプ47を起動して、アルカ
リ槽44内の濃度の低下したアルカリ溶液を循環させな
がら、所定量のアルカリ物質(水酸化カルシウム)をア
ルカリタンク56からアルカリ槽44に供給する。この
後、十分撹拌して翌日使用する所定濃度のアルカリ溶液
が充填されたアルカリ槽44の運転準備が完了する。
【0108】(実施例8)図8に分解ガス中の未分解フ
ロンを捕集するシステムを追加した他の実施例であるフ
ロン分解処理装置を示す。基本的な装置構成及びフロン
分解の処理条件は、実施例7と同様である。触媒を用い
たフロン分解処理装置は、触媒の性能が低下してくる
と、触媒を交換する必要がある。経時的な触媒性能劣化
により触媒の分解性能が低下した場合に、触媒の性能低
下分を補うことができれば、触媒の寿命を延ばすことが
できる。
【0109】特に、触媒に高い分解性能が要求されてい
る場合には、性能低下分として補わなければならない量
(本実施例では、活性炭が吸着しなければならない量)
は限られており、より対応は容易である。本実施例は、
触媒のフロン分解性能の補完として活性炭塔を追加する
場合、及び排ガス処理装置にて十分酸性ガスを除去でき
ないときに酸性ガスを吸収するアルカリ塔を追加する場
合の例である。
【0110】排ガス処理装置30にて、酸性ガス濃度を
十分に下げられないときは、アルカリを充填したアルカ
リ塔57を設けて、未吸収の酸性ガスをここで乾式で吸
収する。アルカリ塔57を設けると、アルカリ塔の充填
物が二次廃棄物になる。そこで、充填物をアルカリ槽の
アルカリ溶液のアルカリ源として使用している水酸化カ
ルシウムを粒状に圧縮成形して充填物として使用する。
この水酸化カルシウム製の粒状充填物は、アルカリ溶液
のアルカリ源として使用できるので、二次廃棄物の発生
を防止できる。
【0111】ガス吸収反応は、粒状充填物の表層のみで
生じる。粒状充填物の内部は未反応であるので、粒状充
填物全体としてはアルカリ性を十分維持している。この
ため、その粒状充填物は、アルカリ塔57の充填物とし
て使用した後に、アルカリ溶液のアルカリ源として使用
できる。これにより、二次廃棄物の発生もなく湿式と乾
式との二段処理により酸性ガスの吸収除去効率を向上さ
せることができるアルカリ塔57を設置することができ
る。
【0112】活性炭塔58により、触媒の寿命を延長さ
せると共に、トータル処理システムとしての分解性能を
向上させることができる。例えば、触媒の分解目標性能
が、99.9%以上で、触媒の分解性能が99.99%か
ら200時間当たり0.05%低下するとすると、触媒
の寿命は約400時間であるが、フロン分解処理量の
0.1% 分のフロンを吸収できる活性炭塔58を設置す
ると、触媒の分解性能は99.8% まで許容され、触媒
寿命は2倍の約800時間までのびる。1日当たりの、
フロン処理量は6kg/日であるのでこれの0.1% は6
gであり、1日当たり6gのフロンを吸着できる活性炭
塔58を2基設けて交互に吸着と再生運転を行えば良
い。活性炭は、フロン濃度にもよるが自重の5〜10%
のフロンを吸着できるので、6gのフロンを吸着するに
は120gの活性炭があればよい。余裕をみても300
gの活性炭を充填できる活性炭塔58で十分である。
【0113】また、触媒の分解性能が悪く、98%程度
の分解率しか得られない場合でも、未分解の2%のフロ
ンを活性炭塔58で吸着することによりトータル処理シ
ステムとしての分解率を大幅に向上できる。2%の未分
解フロンは、120gであるので約2.4kg の活性炭で
吸着できる、余裕をみても5kgで十分である。この活性
炭塔58を2基設けて、1日ごとに吸着と再生を行い、
再生したフロンガスは再度触媒層を分解すればよい。こ
れにより、トータル処理システムとしては、100%近
い分解率が得られる。
【0114】これらのフロンを吸着した活性炭塔58
は、1日毎に交換される。前日に未分解フロンを吸着し
た活性炭塔58は、再生活性炭塔59として再生用弁5
9aの下流位置にセットされる。前日に再生された活性
炭塔58は吸着位置であるアルカリ塔57の下流位置
(図8で活性炭塔58が図示された位置)にセットされ
る。フロン分解処理開始と共に再生用弁59aが開けら
れ、加熱された空気の一部が再生活性炭塔59に供給さ
れる。
【0115】再生活性炭塔59への加熱空気の供給量
は、1日のフロン分解処理が終了する6時間の間に再生
活性炭塔59の出口部の温度が100〜150度に上昇
する流量でよい。再生活性炭塔59内の活性炭に吸着さ
れた未分解フロンは、脱着され、加熱された空気と共に
触媒容器20内に供給される。再生用の加熱された空気
を分岐する位置は、水蒸気供給位置14aよりも上流側
とし、再生活性炭塔59での結露を防止するために乾燥
した空気を用いる。この様に、徐々に昇温させることで
活性炭の再生を徐々に行わせて、メインの処理系におけ
るフロン供給濃度を変動させないようにする。また、こ
の再生作業では、再生活性炭塔59の熱容量により、再
生活性炭塔59の出口空気温度が当初は冷たく徐々に上
昇する。この空気の温度変化は、温度調節弁17aによ
り触媒層温度を一定に保つように制御される。再生完了
後の活性炭塔58は、一晩放置冷却して翌日に吸着用と
して使用される。
【0116】フロン分解のために加熱された熱エネルギ
ーは、アルカリ溶液により除去されるので、アルカリ溶
液を冷却する必要がある。この冷却方法としては、設備
構成として放熱用の熱交換器42を用いて冷却するのが
一番簡単である。放熱量は、アルカリ溶液の循環流量と
熱交換器42の表面積にて設定することができる。熱交
換器42の設置位置は、アルカリ溶液の循環流量が多い
ダイヤフラム式ポンプ46及び47の出口部付近が良
い。
【0117】一晩の静置によりアルカリ槽43内で沈降
した、中和反応により生成した沈澱物は、排泥弁60a
を開けることにより、一部のアルカリ溶液と共にダイヤ
フラム式ポンプ60にてアルカリ槽43より遠心式脱水
機51へ供給される。遠心式脱水機51において、沈澱
物とアルカリ溶液とが分離される。分離された固形分
(沈澱物)は、スラッジドラム缶61に投入される。分
離された沈澱物は、処理水受け容器62に排出されて再
利用する。これにより、系外へ取り出すのは、中和反応
で生成された沈澱物であり、これ以外は全て設備内で再
利用される。中和生成物である沈澱物も、設備外で有価
物として利用される。
【0118】本実施例の設備として必要なユーティリテ
ィは、燃料である灯油、ないしはプロパンガス,水,空
気、及び電気である。このうち、電気は、ポンプ,熱交
換器,冷却ファン及び計装用であり、通常のコンセント
取合にて供給できる電気量である。また、水についても
100リットル/日程度の量である。このため燃料を含
め本設備を車への搭載式として任意の場所にて電気及び
水の供給を受けて、運転することも可能である。
【0119】アルカリ槽を2基以上有して交互に運用し
ても、運転操作性の容易性や小型化等の効果が得られ
る。
【0120】以上、フロン12/113について説明し
たが、フロンは炭素と塩素とフッ素との化合物であり、
他の組成のフロンについても同様に処理できる。
【0121】(実施例9)図9に示す他の実施例である
フロン分解処理装置は、加熱器11の燃焼ガスをキャリ
アガスとして使用するものである。本実施例は、間接加
熱の場合に比べて熱効率を向上できる。間接加熱の場合
には、熱効率は〜60%と言われており、一方、燃焼ガ
スをキャリアガスとして利用する直接加熱方式では熱効
率は90%以上である。直接加熱方式にすることにより
燃料を2/3に減らすことができる。
【0122】しかしながら、本実施例では、キャリアガ
ス中にCO2が多量に含まれ、CO2は水酸化カルシウム
により、CaCO3 として吸収される。排ガス処理装置
30内でアルカリ溶液に吸収されるガスは、分解により
生成する酸性ガス(HF,HCl)と燃焼に伴なうCO
2 となる。従って、本実施例は、ガスの吸収量が増える
ことになる。これに起因して、排ガス処理装置30での
酸性ガスの吸収効率が低下するため装置の大型化が必要
になる。また、CO2 によりアルカリ物質(水酸化カリ
シウム)が消費されるので、直接加熱方式より多量のア
ルカリ物質が必要となる。
【0123】(実施例10)本発明の他の実施例であ
る、触媒を用いた小型タイプのフロン分解処理装置を図
10に基づいて説明する。本実施例における処理対象物
はフロン113であり、その処理能力は1kg/hであ
る。また、一日当たりの処理時間は6時間である。
【0124】本実施例は、大きく分けて下記の〜に
示す3つの処理系を有する。
【0125】処理対象フロンを触媒の分解に必要な所
定の条件(濃度,温度等)に調整したガスを触媒まで供
給するフロン供給系 触媒による分解で発生したフッ化水素,塩化水素ガス
を中和・除去する排ガス処理系 排ガス処理で発生した中和生成物を処理するスラッジ
処理系 上記の各処理系の構成を以下に説明する。
【0126】(フロン供給系)加熱器11は、高温で使
用した方が加熱効率が高く低温で使用する加熱器に比べ
て設備を小さくできる。加熱器11を高温で使用した場
合、加熱器11内部の伝熱管は火炎等と同様に部分的に
高温となる箇所が発生する。このときフロン113をキ
ャリアガスととも加熱器11に供給すると、高温の伝熱
管にフロン113が接触するため、加熱器11の熱によ
って加熱器11内でフッ化水素,塩化水素などの腐食性
ガスが発生する。これを防止するために、加熱器11
は、フロン113供給位置13bより上流に設置し、加
熱器11内にフロン113を通さないようにする。更
に、フロン113供給位置13bより上流側の位置で水
蒸気と加熱空気とを混合し、その後で加熱空気とフロン
113を混合することにより、フロン113を所定の温
度に加熱する。これにより、フロンと加熱空気の混合時
において、加熱空気の温度は、フロンを熱分解しない温
度まで低下している。本実施例は、加熱器11によるフ
ロン113の部分的な分解を防止しながら触媒分解に必
要な温度である430℃までフロン113を加熱するこ
とができる。なお、触媒容器20で効率的にフロンを分
解するためには、分解処理に適した混合ガス条件とする
必要がある。これを満足させるために、以下のように空
気の供給量,水蒸気の供給量,フロン113の供給量を
所定の条件となるように制御する。
【0127】キャリアガスである空気は、排ガス流量調
整弁70,循環ブロワ17での結露防止用の空気流量調
節弁10a及び空気出口流量調整弁71の3弁の開度を
制御することにより、加熱器11の入口で約6Nm3
h のキャリアガスとなるように流量を調整される。空
気は、プロパンを燃料とした加熱器11により間接的に
加熱され、約600℃に加熱された加熱空気となる。
【0128】フロン分解に必要な水蒸気は、水蒸気流量
調節弁14bにより流量を約0.6kg/hに調整され、
100℃の水蒸気として水蒸気供給位置14aに供給さ
れる。この水蒸気の供給位置は、フロン113供給位置
13bと同じ位置か、できればフロン113供給位置1
3bより上流側とすることが好ましい。これは、加熱空
気と水蒸気を混合させ若干温度が下がった位置にフロン
113を供給することにより、高温の加熱空気が直接フ
ロン113に接触するのを避けるためである。すなわ
ち、直接加熱によるフロンの部分的な分解のポテンシャ
ルを低減する。また、水蒸気のかわりに水を定量的に供
給してもよいが、この場合には加熱空気との熱交換が速
やかに行えるようにスプレーにて供給することが好まし
い。
【0129】フロン113供給位置13bでは、液状の
フロン113がフロン定量供給ポンプ18により1kg/
hで供給され、加熱空気及び水蒸気と混合される。フロ
ン113は、空気及び水蒸気の顕熱により気化して均一
に混合されるが、加熱空気及び水蒸気との熱交換が速や
かに行えるようにスプレーで供給される。
【0130】このようにして、約430℃の加熱空気,
水蒸気,フロン113の分解に適した混合ガスが生成さ
れ、触媒容器20へ供給されてフロンを効率よく分解す
ることができる。
【0131】(排ガス処理系)フロン113の分解後に
おける排ガス中の腐食性のフッ化水素及び塩化水素は、
排ガス処理装置30でアルカリスラリーのスプレーによ
り冷却,中和,除去される。排ガス中の残りの空気、及
び分解により生成された一酸化炭素及び二酸化炭素が、
循環ブロワ17により活性炭塔58に送られ、その後、
大気に排気される。
【0132】排ガス処理装置30の第1室(分解ガス冷
却装置)のスプレー室では、アルカリスラリーをスプレ
ーして、腐食性の高いフッ化水素及び塩化水素を含んだ
約430℃と高い温度のガス(触媒層から導入)を約1
00℃以下に急冷する。フッ化水素及び塩化水素は、触
媒により分解されたフロンの生成物である。前述のガス
の急冷は、有毒なダイオキシンの発生を防ぐ作用、排ガ
スを低温とすることにより下流側スプレー室以降の材料
を比較的安価なものとできる作用、及びフッ化水素,塩
化水素ガスを中和,除去する作用を生じる。
【0133】排ガス処理装置30の第1室(分解ガス冷
却装置)内に腐食性ガスの除去効率を上げるために充填
物を充填してもよいが、触媒層からの分解ガス温度が4
30℃と高いこと、及び腐食性ガスの濃度も高いことか
ら、その充填物は、十分な耐熱性及び耐食性を有するも
のにする必要がある。排ガス処理装置30の第2室(酸
性ガス除去装置)内には、充填物が充填される。これ
は、第1室(分解ガス冷却装置)内で急冷、腐食性ガス
の除去が行われるので、充填物の選定も容易であるから
である。
【0134】本実施例において、排ガス処理装置30の
第1室及び第2室等のスプレー室の数は、4室である。
このスプレー室の数は、フロン処理量が多く生成ガス濃
度が高くなるフロン分解処理装置においては増加するこ
とが望ましい。
【0135】フッ化水素及び塩化水素を除去したあとの
排ガスは、循環ブロワ17によってキャリアガスとして
循環される。フロン分解により発生した一酸化炭素及び
二酸化炭素、及び循環ブロワ17での結露防止のために
吸引した空気分のガスは、活性炭塔58を経て大気放出
配管72から放出される。活性炭塔58は、排ガス処理
装置30で取りきれなかった微量のフッ化水素及び塩化
水素、及び未分解の微量のフロンを吸着し、これらの物
質の大気への放出を防止する。
【0136】0.4m3の所定の水量が、系統運転前にア
ルカリ槽43内に充填される。分解処理する予定量のフ
ロンから生成されるフッ化水素及び塩化水素を中和する
ために必要な約7.2kg の水酸化カルシウムが、アルカ
リ入口ノズル36からアルカリ槽43内に投入される。
アルカリ槽43内の水酸化カルシウムと水が撹拌機45
により撹拌され、アルカリスラリーである水酸化カルシ
ウムのスラリーがアルカリ槽43内に生成される。系統
運転中は、ダイヤフラム式ポンプ41により排ガス処理
装置30へ水酸化カルシウムのスラリーを供給する。こ
の水酸化カルシウムのスラリーは、排ガス処理装置30
内でスプレーされ、フッ化水素,塩化水素を吸収,中和
した後、再び、アルカリ槽43に戻される。運転中には
排ガスから熱エネルギーを受けてアルカリスラリーの温
度が上昇しないように、ダイヤフラム式ポンプ41の出
口付近に空冷用の熱交換器42及び冷却用ファン42a
を設け、アルカリスラリーを冷却する。
【0137】中和剤としては、水酸化カルシウム以外
に、水酸化ナトリウム,炭酸ナトリウム及び炭酸カルシ
ウムなどを用いることもできる。本実施例で用いている
水酸化カルシウムは、中和により毒性もなく安定なフッ
化カルシウム及び塩化カルシウムを生成するという利点
がある。更に、水酸化カルシウムの使用によって、フッ
素を溶解度の低いフッ化カルシウムとして沈澱させるこ
とができ、中和処理後の上澄み水33を排出する場合
に、フッ素の排出基準を容易に守ることができる。水酸
化カルシウムは比較的安価な中和剤である。
【0138】(スラッジ処理系)排ガス処理で発生した
スラッジの処理方法を、アルカリ槽44を用いて以下に
説明する。
【0139】アルカリ槽44に溜まったスラッジのpH
などの水質を測定し、所定の水質条件になったことを確
認してからアルカリ槽44内の撹拌機45を停止させ
る。その後、数時間放置して固形物34(フッ化カルシ
ウム)と上澄み溶液33(塩化カルシウムが溶解してい
る溶液)を分離させる。アルカリ槽44低部に溜まった
固形物34は、スラリー状で排出ポンプ63により遠心
式脱水機51に供給される。脱水された固形物34のケ
ーキは、スラッジドラム缶61内に排出される。このと
きに、脱水の対象となる物質はアルカリ槽44低部に存
在する固形物34を含むスラリーとなるため、上澄み溶
液33に対しての脱水処理は行う必要がない。また、上
澄み溶液33と、遠心式脱水機51で分離された溶液は
系外に廃棄することなくアルカリ槽へ戻して再利用す
る。これによって、廃棄物の発生量を低減でき、かつ新
しい水の供給量も少量で済む。遠心式脱水機51により
固形物34が除去された溶液を再利用するために、直
接、この溶液をアルカリ槽44へ戻すと、アルカリ槽4
4低部に溜まっている固形物34を巻き上げる。これ
は、一旦、前述の分離された溶液を処理水貯槽52に導
き、アルカリ槽44内の固形分34の脱水処理が終了し
た後にその溶液をアルカリ槽44に戻すことによって防
止できる。
【0140】本実施例は、2つ設けたアルカリ槽を交互
に切り換えて使用することにより、一方のアルカリ槽を
利用して排ガス処理運転を行っている間に、もう一方の
アルカリ槽で前回のフロン分解運転時の排ガス処理によ
り発生したスラッジの処理を行えるようにしている。ま
た、アルカリ槽を1つとしてフロン分解運転終了後にア
ルカリ槽のスラッジ処理を行う方法とすればアルカリ槽
を一つとすることができるが、本実施例に比べ運転時間
が長いものになる。
【0141】(実施例11)排ガス処理装置30をジェ
ットスクラバーとした場合の実施例であるフロン分解処
理装置を図11により説明する。本実施例は、触媒容器
20まで分解ガスを供給するフロン供給系廻り、排ガス
処理装置以降のアルカリ槽廻り、及びスラッジを処理す
る遠心式脱水機廻りの構成は、実施例10と同じであ
る。ただし、実施例10は排ガス処理を行った後のガス
を閉ループとしキャリアガスとして再利用しているが、
本実施例は排ガス処理を行った後のガスは直接大気に排
出する構成としている。
【0142】触媒容器20でのフロン分解により生成さ
れたフッ化水素及び塩化水素を含む腐食性の高い高温
(約430℃)のガスは、触媒容器20出口の排ガス処
理装置30の一段目のスプレー室内でアルカリスラリー
をスプレーすることにより約100℃に急冷される。急
冷によってダイオキシンの発生が抑制できる。アルカリ
スラリーによってフッ化水素,塩化水素の一部が除去さ
れた排ガスは、排ガス処理装置30の充填物31が充填
された2段目のスプレー室に導かれる。ここでもアルカ
リスラリーのスプレーによって、排ガス中のフッ化水
素,塩化水素の腐食性ガスを除去される。この排ガスを
吸引する機器は、排ガス処理装置30の下流側に設けら
れたジェットスクラバーである。ジェットスクラバーの
吸引力により排ガスが吸引される。これにより図10に
示した循環ブロワ17を削除することができ、かつフッ
化水素,塩化水素ガスを高い効率で除去することができ
る。本実施例は、ジェットスクラバーの吸引力及び腐食
性ガスの除去効率を向上させるために、2段のジェット
スクラバー37a及び37bを設けている。腐食性ガス
の発生量及び系統内の差圧が小さい場合にはジェットス
クラバーを1段としてもよい。なお、ガス流量の調整
は、大気放出配管72に設けた排ガス流量調整弁70に
よって調整する。
【0143】(実施例12)図12に、2塔の活性炭塔
58を自動的に切替えて、一方の活性炭塔58を再生
し、他方の活性炭塔58に通気して未分解フロンを吸着
する本発明の実施例であるフロン分解処理装置を示す。
【0144】活性炭塔は、1日の運転ごとに吸着と再生
を交互に切替えることにより必要活性炭量を最小として
いる。この切替えは活性炭塔を交換せずに弁操作で行
う。活性炭塔58−1にて未分解フロンを吸着している
時には、分解ガスは、アルカリ塔57から活性炭塔切替
弁58aにて切替えて活性炭塔58−1を経由し、活性
炭塔切替弁58bを通って排気される。一方、再生用弁
59aを通って加熱空気が、再生空気切替弁64aで切
替えられて再生対象の活性炭塔58−2へ供給される。
再生後の空気は、再生空気切替弁64bを通って戻され
る。これにより、活性炭塔の再生切替えを弁操作で行う
ことができる。
【0145】(実施例13)排ガス処理装置及びアルカ
リ槽なと酸性ガス除去においてフッ酸溶液及び塩酸溶液
が接する部分に使用する材料選定試験を行った結果を図
13に示す。
【0146】本試験では、供試体として耐腐食性に優れ
るNi基合金のインコネル,ハステロイおよび樹脂材料
の塩化ビニールの3種類を使用し、各供体を酸性溶液に
100時間浸漬させ、液温度による腐食量を測定した。試
験条件を以下に示す。
【0147】〔試験条件〕 液温度:30℃,50℃,70℃ 酸性溶液:pH 0.1以下 (酸性溶液は、フロン12(3vol%)を触媒で分解した
ときに発生するガス(フッ化水素:約6vol%,塩化水
素:約6vol%)をアルカリ溶液に吸収させて作製し
た。) 浸漬時間:100時間 100時間、酸性溶液に浸漬させた供試体を取り出し、
腐食量を測定した結果(図13)、Ni基合金であるイ
ンコネル,ハステロイともに各温度で腐食が発生した。
また腐食量は、温度に比例し増加する傾向が見られた。
一方、塩化ビニールは各温度とも腐食の発生が見られ
ず、フッ化水素,塩化水素溶液に対する耐食性を有して
いることが分かった。しかし耐熱性塩化ビニールは、耐
熱温度が100℃であることから、材料の使用条件とし
て100℃以下とすることが求められる。
【0148】この結果から、フロンの分解ガス処理にお
いて、酸性ガス除去後のフッ化水素溶液,塩化水素溶液
の接する部分の装置材料は、液温度を100℃以下に抑
えることで耐熱性塩化ビニールが使用できことが確認で
きた。
【0149】実施例1から実施例11に用いられる各排
ガス処理装置は、酸性ガス除去後のフッ化水素溶液,塩
化水素溶液の接する部分の液温度を100℃以下に抑え
る方法について提供しており、装置材料として耐熱性塩
化ビニールを使用することを可能にしている。
【0150】(実施例14)フロンの分解後から排ガス
処理装置に至る間の高温酸性(フッ化水素,塩化水素)
ガス雰囲気における使用材料について行った材料選定試
験の結果を表1に示す。
【0151】
【表1】
【0152】本試験では、供試体として耐腐食性に優れ
るNi基合金のインコネル600,ハステロイCおよび
ステンレス鋼(SUS304)の3種類を使用し、各供試体を
触媒によるフロン12(3vol%)分解後の高温酸性ガス
雰囲気(400℃,フッ化水素:6vol%,塩化水素:
6vol%)に1,000 時間暴露させ、供試体の重量変
化を測定した。試験条件を以下に示す。
【0153】〔試験条件〕 ガス組成:フッ化水素 6vol%,塩化水素 6vol%
(フロン12(3vol%)分解ガス) ガス温度:400℃ 暴露時間:1,000時間(途中、100時間目に試
験片の確認を実施。) 100時間目における試験片の確認では、Ni基合金の
インコネル600,ハステロイCともに異常は見られ
ず、継続して1,000 時間試験を続行した。一方、ス
テンレス鋼(SUS304)は、100時間の時点で供試体そ
のものが腐食によって消失していた。1,000 時間目
での重量測定では、インコネル,ハステロイともに重量
が増加しており、この増加分について詳細に分析を行っ
た結果、腐食生成物ではなく、装置上流からの付着物で
あることが分かった。
【0154】このことより、フロン分解ガスの排がス処
理において、分解処理装置から排ガス処理装置に至る間
の温度が1,000℃ 以下の酸性(フッ化水素,塩化水
素)ガス雰囲気であれば、装置材料としてNi基合金の
インコネル600及びハステロイCが使用できる。この
材料は、実施例1〜12の該当部分に適用することがで
きる。
【0155】(実施例15)図14に遠心式脱水機の脱
水性能を示す。脱水に用いた供試液は、実施例1の装置
によってフロン12を分解し、分解ガス中の酸性ガスを
中和・除去後のアルカリ溶液を用いた。アルカリ溶液の
組成は、フッ化カルシウム:約2wt%,塩化カルシウ
ム:約17wt%,水酸化カルシウム:約1wt%、残
りが水である。
【0156】遠心式脱水機では、遠心力を650G以
上、脱水時間を10分にすることでアルカリ溶液中の不
溶性物質を除去でき、脱水後の固形分に含まれる水分を
約50%にすることができる。なお、脱水後の溶液は目
視による確認では、浮遊物は認められなかった。尚、脱
水後の溶液を分析した結果、フッ素イオン濃度は1ppm
であった。脱水固形分に含まれる水分量は、埋め立てす
る場合の基準として85%以下にする必要がある。ま
た、脱水後の溶液に含まれるフッ素イオン濃度は、系外
へ排出する場合の基準として15ppm 以下にする必要が
ある。
【0157】このことより、遠心式脱水機を運転条件と
して、遠心力650G以上で用いることでアルカリ溶液
に含まれるフッ素イオン濃度を1ppm にすることができ
る。また脱水時間を650Gで10分間とすると脱水し
た固形分に含まれる水分の割合が50wt%まで低下で
きる。このことより、酸性ガスを除去・中和したアルカ
リ溶液では、遠心力を650G以上にすることで、不溶
解性物質の効率的な除去することができる。尚、遠心力
を大きくした場合には、脱水時間は短くなり、更に脱水
の効率は良くなる。以上の知見は、実施例1〜12の遠
心式脱水機51に適用できる。
【0158】
【発明の効果】フロンの分解処理が簡易的に少ない水量
によって行えるとともに、有価なフッ化カルシウムを回
収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施例であるバッチ式排水処
理による触媒方式のフロン分解処理装置の構成図であ
る。
【図2】本発明の他の実施例であるフロン分解処理装置
の構成図である。
【図3】本発明の他の実施例であるダイヤフラム式ポン
プの必要容量を低減するフロン分解処理装置の構成図で
ある。
【図4】本発明の他の実施例であるフロン分解処理装置
の構成図である。
【図5】本発明の他の実施例であるフロン分解処理装置
の構成図である。
【図6】本発明の他の実施例であるフロン分解処理装置
の構成図である。
【図7】本発明の他の実施例であるフロン分解処理装置
の構成図である。
【図8】本発明の他の実施例であるフロン分解処理装置
の構成図である。
【図9】本発明の他の実施例であるフロン分解処理装置
の構成図である。
【図10】本発明の他の実施例であるフロン分解処理装
置の構成図である。
【図11】本発明の他の実施例であるフロン分解処理装
置の構成図である。
【図12】本発明の他の実施例であるフロン分解処理装
置の構成図である。
【図13】フッ化水素溶液,塩化水素溶液と接する部分
の材料選定試験の結果を示す特性図である。
【図14】遠心式脱水機の脱水性能を示す特性図であ
る。
【符号の説明】
10…送風機、10a…空気流量調節弁、10b…空気
入口調節弁、11…加熱器、12…定量ポンプ、13…
フロンボンベ、13a…フロン流量調節弁、13b…フ
ロン113供給位置、14…蒸気発生装置、14a…水
蒸気供給位置、14b…水蒸気流量調節弁、15…排風
機、15a…都市ガス流量調節弁、16a…燃料流量調
節弁、17…循環ブロワ、17a…温度調節弁、17b
…排ガス流量調節弁、18…フロン定量供給ポンプ、2
0…触媒容器、21…触媒層、22…燃焼器、23…燃
焼バーナ、24…プラズマトーチ、30…排ガス処理装
置、31…充填物、32…冷却水ポンプ、35…スプレ
ーノズル、37a,37b…ジェットスクラバー、4
0,43,44…アルカリ槽、40a…アルカリ槽出口
弁、40b…アルカリ溶液取出弁、41,46,47,
60…ダイヤフラム式ポンプ、41a…ダイヤフラム式
ポンプ出口弁、41b…スラリー移送弁、42…熱交換
器、45…撹拌機、46a,47a…循環ライン弁、4
9…クーリングタワー、50…沈降槽、51…遠心式脱
水機、52…処理水貯槽、53…乾燥機、54…造粒
機、55a,55b…排水弁、56…アルカリタンク、
57…アルカリ塔、58,58−1,58−2…活性炭
塔、59a…再生用弁、61…スラッジドラム缶、62
…処理水受け容器、63…排出ポンプ、65…酸性ガス
モニター、66…デミスター。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01J 19/00 (72)発明者 横山 久男 茨城県日立市幸町三丁目2番1号 日立エ ンジニアリング株式会社内

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フロン分解処理において、分解ガスの中和
    に使用したアルカリ溶液を遠心式脱水機を用いて中和生
    成固形分を分離除去し、再度アルカリ溶液として用いる
    ことを特徴とするフロン分解処理方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、アルカリとして水酸化
    カルシウムを用いることを特徴とするフロン分解処理方
    法。
  3. 【請求項3】フロン分解処理において、高温の分解ガス
    を高分子材料製の分解ガス冷却装置にてスプレー冷却す
    るとともに、高温分子材料製の酸性ガス除去装置にて酸
    性ガスをアルカリ溶液のスプレーにて除去すること特徴
    とするフロン分解処理方法。
  4. 【請求項4】フロン分解処理において、アルカリ溶液を
    アルカリ槽からダイヤフラム式ポンプを用いて、分解ガ
    ス冷却装置,酸性ガス除去装置へ循環させることを特徴
    とするフロン分解処理方法。
  5. 【請求項5】フロン分解処理において、ダイヤフラム式
    ポンプを用いて、使用済後のアルカリ溶液をアルカリ再
    生系へ移送することを特徴とするフロン分解処理方法。
  6. 【請求項6】フロン分解処理において、ダイヤフラム式
    ポンプを用いてアルカリ再生系で固形分を分離した処理
    水をアルカリ槽へ移送することを特徴とするフロン分解
    処理方法。
  7. 【請求項7】請求項6において、処理水を分解ガス冷却
    装置,酸性ガス除去装置を経由してアルカリ槽へ移送す
    ることを特徴とするフロン分解処理方法。
  8. 【請求項8】フロン分解処理において、請求項4,請求
    項5,請求項6または請求項7における移送を1台のダ
    イヤフラム式ポンプで兼ねるを特徴とするフロン分解処
    理方法。
  9. 【請求項9】請求項4におけて、アルカリ溶液をアルカ
    リ槽の上部から抜き出すことを特徴とするフロン分解処
    理方法。
  10. 【請求項10】請求項5において、使用済後のアルカリ
    溶液をアルカリ槽の底部から抜き出すことを特徴とする
    フロン分解処理方法。
  11. 【請求項11】請求項4または請求項9において、アル
    カリ溶液の冷却を行った後に、分解ガス冷却装置,酸性
    ガス除去装置へ供給することを特徴とするフロン分解処
    理方法。
  12. 【請求項12】請求項4または請求項9において、アル
    カリ溶液の一部を冷却した後に、アルカリ槽へ戻すこと
    を特徴とするフロン分解処理方法。
  13. 【請求項13】請求項1において、遠心式脱水機にて分
    離した固形分を乾燥させることを特徴とするフロン分解
    処理方法。
  14. 【請求項14】請求項1において、空気,水を加熱した
    後、フロンを混合後、所定の温度にし触媒に供給して分
    解することを特徴とするフロン分解処理方法。
  15. 【請求項15】請求項14において、インコネル600
    ないしは、ハステロイC製の触媒容器を用いること特徴
    とするフロン分解処理方法。
  16. 【請求項16】請求項1または請求項2において、使用
    済後のアルカリ溶液を沈降槽にて固形分を沈降させた後
    に、沈降した固形分を脱水処理するを特徴とするフロン
    分解処理方法。
  17. 【請求項17】フロン分解処理において、高温の分解ガ
    スを冷却し、酸性ガスを除去した後に、外部空気を導入
    して混合し、系内ガスを冷却して、同伴水蒸気を除去す
    ることを特徴とするフロン分解処理方法。
  18. 【請求項18】請求項17において、排風機にて系内を
    負圧維持し、外部空気をインリークにて導入することを
    特徴とするフロン分解処理方法。
  19. 【請求項19】請求項17において、排気口に酸性ガス
    検知機を設け、装置機能を監視することを特徴とするフ
    ロン分解処理方法。
  20. 【請求項20】触媒を用いたフロン分解装置おいて、加
    熱器,触媒容器,排ガス処理装置,アルカリ槽,排風
    機、及び遠心式脱水機よりなるアルカリ再生系より構成
    されることを特徴とするフロン分解処理装置。
  21. 【請求項21】請求項1において、加熱器は空気及び水
    を直接加熱する加熱器であることを特徴とするフロン分
    解処理装置。
  22. 【請求項22】請求項1において、排ガス処理装置が横
    方向多段スプレー方式であることを特徴とするフロン分
    解処理装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109966691A (zh) * 2019-05-05 2019-07-05 清华大学 一种全天候废弃制冷剂光热协同降解系统
CN114797708A (zh) * 2022-05-23 2022-07-29 倪治法 一种脱酸循环系统及脱酸工艺
WO2022210389A1 (ja) * 2021-03-30 2022-10-06 前田建設工業株式会社 汚染物質処理システム及び汚染物質処理方法

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