JPH1093183A - 機能素子 - Google Patents

機能素子

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JPH1093183A
JPH1093183A JP8245365A JP24536596A JPH1093183A JP H1093183 A JPH1093183 A JP H1093183A JP 8245365 A JP8245365 A JP 8245365A JP 24536596 A JP24536596 A JP 24536596A JP H1093183 A JPH1093183 A JP H1093183A
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    • H01SDEVICES USING THE PROCESS OF LIGHT AMPLIFICATION BY STIMULATED EMISSION OF RADIATION [LASER] TO AMPLIFY OR GENERATE LIGHT; DEVICES USING STIMULATED EMISSION OF ELECTROMAGNETIC RADIATION IN WAVE RANGES OTHER THAN OPTICAL
    • H01S3/00Lasers, i.e. devices using stimulated emission of electromagnetic radiation in the infrared, visible or ultraviolet wave range
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/35Non-linear optics
    • G02F1/3515All-optical modulation, gating, switching, e.g. control of a light beam by another light beam
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/35Non-linear optics
    • G02F1/3523Non-linear absorption changing by light, e.g. bleaching

Abstract

(57)【要約】 【課題】EITに立脚したLWI固体レーザーを実現す
ること。 【解決手段】EIT層1と、このEIT層1内の不純物
のエネルギー準位の中から3準位を選び上から順に準位
1、準位2、準位3とし、準位1・2間、準位1・3間
各々の準位間エネルギーに対応する2つのコヒーレント
な光をEIT層1に照射する制御光源4およびポンプ光
源5と、EIT層1に設けられた1対のミラー2,3か
らなる共振器を有し、準位1・2間の光学遷移および準
位1・3間の光学遷移は共振器の共鳴モードとそれぞれ
一致し、これら2つの準位間の遷移確率は共振器を設け
ないときよりも高く、かつ準位2・3間の光学遷移は共
振器の共鳴モードから外れ、この準位間の遷移確率は共
振器を設けないときよりも低くいことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固体などの媒体におけ
るEIT(electromagnetically induced transparenc
y)に立脚した、反転分布無しでも動作するLWI(las
ing without inversion)レーザー素子などの機能素子
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、吸収や発光スペクトルなど物質固
有の性質と考えられていた光学的性質に関して、非線形
光学過程を一切利用せず、量子力学的なコヒーレントだ
けを用いてそれを変調する研究が盛んに行なわれてい
る。
【0003】例えば、強い吸収を示すはずの波長領域に
おいても物質中を光が吸収させずに透過してしまうelec
tromagnetically induced transparency(略してEI
T:K.-J. Boller et al., Phys.Rev.Lett.66.2593 (19
91))、反転分布無しでもレーザー発振が可能なため特に
反転分布を形成することが困難な紫外線〜X線領域にか
けての短波長レーザーの実現に期待がかかるlasing wit
hout inversion(略してLWI:S.E.Harris,Phys.Rev.
Lett.62, 1033 (1989)) 、物質の屈折率を非常に大きく
することが可能なenhancement of index of refraction
(M.O.Scully.Hhys.Rev.Lett.67,1855 (1991))、励起光
が照射しているにも拘らずある特定準位に電子を閉じ込
めてしまうpopulation trapping (E.Arimondo et al.,
Lett.NuovoCimento 17,333 (1976)) などの研究が活発
化している。これに伴い、量子コヒーレンスを応用した
光変調素子やLWIレーザーなど各種光素子の研究開発
が積極的に進められている。
【0004】量子コヒーレントに基づく物質の光学的性
質の変調現象の中でも、特にEITは上述した現象すべ
ての基礎であり、例えばLWIレーザーなどではそれを
実現する上で必要不可欠な基本アイテムと考えられてい
る。
【0005】EITはもともと原子ガスにレーザー光を
2本照射した際に見出だされた現象で、1976年の発
見以来様々な原子ガスで同様な現象が確認されている。
例えば、H.R.Gray et al.,Opt.L
ett.3,218(1978);M.Kaivola
et al.,Opt Commun.49,418
(1984);A.Aspect et al.,Ph
ys.Rev.Lett.61,826(1988);
S.Adachi et al.,Opt Commu
n.81,364(1991);A.M.Akulsi
n et.al.,Opt Commun.84,13
9(1991);Y.−Q.Li etal.,Phy
s.Rev.A51,R1754(1995);A.K
asapi et al.,Phys.Rev.Let
t.74,2447(1995)に報告されている。
【0006】なお、発見当時はまだEITとは言わず、
population trappingと呼ばれてい
た。EITはスペクトルに着目した場合、popula
tion trappingは電子分布に着目した場合
の名称で、もともとは同じ現象をさしていた((G.A
lzetta et al.,Nuovo Cimen
to B36,5(1976))。
【0007】図1は、原子ガスのエネルギー準位と入射
光を模式的に示したものである。この図を用いてEIT
の基本原理を説明する。
【0008】対象となる系は、基本的に3つの準位と2
本のコヒーレント光1,2とから構成される。準位1,
2と光の組み合わせに関係して3通りのスキームが存在
し、図1(a)のように一番上の準位1を共通準位とし
て2本の光1,2で励起する場合をΛ型励起、図1
(b)のように基底準位3が共通準位となる場合をV型
励起、そして図1(c)のように真ん中の準位2が共通
準位となる場合をΞ型励起とする。
【0009】まず、3準位をΛ型励起する場合に着目す
る。この系でEITを引き起こすには、光励起を行なわ
ない準位2・3間は光学的に禁制で、さらに緩和速度は
許容遷移である準位1・2間、準位1・3間の緩和速度
と比べて極めて小さいことが求められる。EITを引き
起こすには2つの条件を満足する必要があるが、これは
そのうち1つで遷移確率・緩和に関するEIT条件とし
て知られている。
【0010】次に、光1の光エネルギーω1 が準位1・
2間のエネルギーω12に一致する条件;Δω1 =ω1
ω12=0において、光2の光子エネルギーω2 を変化さ
せながらその光吸収スペクトルを調べた場合を考える。
【0011】図2(a)に、この条件下における光2の
吸収スペクトルを示す。なお、横軸のΔω2 は、光2の
光子エネルギーω2 と準位1・3間のエネルギーとの離
調;Δω2 =ω2 −ω13で整理し直している。
【0012】図に示すように、本来単一の吸収ピークを
示すはずのスペクトルには、Δω2=0(=Δω1 )で
吸収の孔、すなわち透明領域が生ずる。Δω1 =Δω2
が2つ目のEIT条件、すなわち離調に関するEIT条
件である。
【0013】このときの孔の幅Ωは、光1,2のラビ周
波数をそれぞれΩ12,Ω13とすると、Ω〜(Ω12 2 +Ω
13 2 1/2 となる。なお、光のラビ周波数Ω12,Ω
13は、準位1・2間、準位1・3間の電気双極子モーメ
ントμ12,μ13、光1,2の電場強度E12,E13、プラ
ンク定数hを用いると、それぞれΩ12=2πμ1212
h,Ω13=2πμ1313/hで定義される光の強さを表
す量である。
【0014】図2(b)に、Δω1 ≠0の状態に光1の
光子エネルギーを固定した場合の光2の光吸収スペクト
ルを示す。Δω1 =Δω2 となる吸収の裾の領域には、
やはり光2が吸収されない透明領域が形成される。この
場合の孔の幅Ωも、Ω〜(Ω12 2 +Ω13 2 1/2 とな
る。
【0015】以上のように3つの準位に2本の光1,2
が入射すると、Δω1 =Δω2 を満たす光子エネルギー
では、本来強い吸収を示す領域であっても光が吸収され
なくなるEITが起きる。
【0016】この吸収が消える物理的起源は、直感的に
は準位3から準位1への光学遷移と準位2と準位1への
遷移が干渉効果により互いに打ち消し合うことによる。
起源に関するよう詳細な説明は、量子力学、特に密度行
列を解析することで行なうことができ、実際に吸収が無
くなることが示されている。
【0017】V型、Ξ型励起でEITを引き起こすに
は、やはりΛ型励起の場合と同様、系は光で結ばれない
準位間は禁制遷移で、緩和が極めて遅いことが要求され
る。このような系をV型励起した場合2本の光1,2が
Δω1 =Δω2 を満たすとき、またΞ型励起した場合Δ
ω1 =−Δω2 を満たすとき、それぞれ光吸収は弱まり
吸収スペクトルは2本のピークに分裂することが、原子
ガスを用いた実験と理論計算の両面から確認されてい
る。
【0018】なお、密度行列の解析結果より、光吸収が
厳密にゼロになるのはΛ型励起の場合だけであるが、V
型励起、Ξ型励起においても2本の光を用いることで光
吸収を限りなくゼロに近い値まで低減できることが示さ
れている。
【0019】次に、このEITを基盤とするLWIの原
理について説明する。
【0020】図3に示すように、LWIも準位と光の組
み合わせに関係してΛ型、V型、Ξ型励起のスキームが
あるが、ここではΛ型励起の場合に注目する。
【0021】図4(a)は、原子ガスのエネルギー準位
と入射光を模式的に示したものである。図中、新たに付
け加えられた光3は、基底状態から励起状態へ電子をイ
ンコヒーレントにポンピングするインコヒーレント光で
ある。
【0022】いま、系に入射するコヒーレントな光1,
2がEIT条件;Δω1 =Δω2 を満たし、準位3から
準位1への吸収スペクトルに透明領域が形成されている
状況を考える。
【0023】ここで、準位1・3間の遷移エネルギーを
含むようなインコヒーレントな光3を照射した場合、こ
の光3は系により吸収される。これは、直観的にはイン
コヒーレント光に対してはEITによる干渉効果が働か
ず、準位3から準位1は透明にならないためである。光
3により準位3から準位1に励起された電子は、誘導放
射によりコヒーレント光として再び準位3に落ちる。
【0024】すなわち、準位1・3間の遷移の中でもE
ITにより生じた吸収の透明領域では、インコヒーレン
ト光は吸収される。発光するコヒーレント光は吸収され
ないという吸収・発光の非対称性が生じる。
【0025】このため、インコヒーレントな光3により
コヒーレントな光2が増幅される訳である。このような
現象は、励起状態である準位1,2のポピュレーション
の和が、基底状態である準位3のポピレーションより小
さい場合、つまり、反転分布無しでも起きることから、
新しいレーザー発振の原理として注目されている。
【0026】反転分布無しで光2を増幅するためには、
基底状態である準位3から励起状態である準位1あるい
は準位2あるいはその両方に電子をインコヒーレントに
ポンピングする手段が必須である。
【0027】図4(b)は、準位1と準位2の間に存在
する新たな準位4を用い、この準位4を経由して準位2
に電子をポンピングするスキームを示すが、この場合も
反転分布無しで光2を増幅することができる。
【0028】なお、ポンピング光にはコヒーレント光、
インコヒーレント光どちらを用いても良い。また、光以
外のポンピング手段として、図4(c)に示すように、
電子線を用いることが可能であり、この場合も反転分布
無しで光2を増幅することができる。
【0029】LWIレーザーを構成するには、図5に示
すように系を共振器中に置き、コヒーレント光として光
1のみを照射し、さらに基底状態から励起状態へ電子を
インコヒーレントにポンピングすればよい。
【0030】ここで、準位1・2間を励起する光1の光
子エネルギーをω1 、準位2・3間の準位間のエネルギ
ーをω23とすると、光子エネルギー(ω1 +ω23)を中
心にその近辺ではレーザー発振の利得が生じるため、コ
ヒーレント光が発生する。
【0031】反転分布無しでもレーザー発振が起きる物
理的起源に関するより詳細な説明は、EIT同様、密度
行列を解析することで示すことができる。
【0032】以上の結果は全てΛ型励起に関するもので
あるが、V型、Ξ型励起の場合についても、EITによ
って吸収スペクトルに孔があいた透明領域においてレー
ザー発振の利得が生じ、やはりLWIが可能であること
が、密度行列の計算結果から示されている。
【0033】先にも述べたが、LWIはEITを基盤と
するため、やはり離散的なエネルギー準位を持つ系が対
象になる。このことから、EITと同様に原子ガス系を
用いて、様々な波長領域の中でも特に反転分布を形成す
ることが困難な紫外線〜X線領域の短波長レーザーを実
現する研究が活発化している。
【0034】また、最近、LWIを検証する目的でRb
原子ガスを用いた実験が行なわれ、実際にそれに由来す
る近赤外領域でのレーザー発振が観測されたことから、
ますます短波長LWIレーザーに対する期待が高まって
いる(A.S.Zibrov et al., Phys.Rev.Lett.75,1499 (19
95))。
【0035】ところで、原子ガス系でレーザーを構成す
る場合には、装置の巨大化や原子ガスを取り扱うことの
繁雑さといった問題が常に付きまとう。これは、原子ガ
ス系に特有な避けることのできない致命的な欠点と考え
られている。
【0036】このことから、取扱いがより容易で、かつ
小型素子の形成にも繋がる固体系を用いて、LWIレー
ザーを構築することが望まれている。
【0037】ただし、固体系へのLWI,EITの適用
には以下のような制約がある。それは、LWIの基礎と
なるEITが特定準位間の光学遷移の干渉を利用するた
め、バンドを形成するような準位を用いることが困難な
点である。
【0038】そのため、種々の固体系の中でもエネルギ
ー準位が比較的離散的な半導体量子井戸、不純物などを
利用して、まずEITの実現を目指した研究が活発に行
なわれ始めている(例えば、A.Imamoglu et al., Opt.L
ett.19,1744 (1994) ; P.J.Harshman et al., IEEE j.Q
uantum Electronics 30,2297 (1994) ; D.Huang et a
l., J.Opt.Soc.Am.B11,2297 (1994) ; Y.Zhu et al., P
hys.Rev.A49,4016 (1994))。
【0039】しかし、現在までのところでは固体系にお
いて原子ガス系で見られたような顕著なEIT特性は得
られていない。その原因は、半導体量子井戸の場合には
現状の素子作成技術では量子構造を均一に作ることがで
きず、エネルギー準位に非常に大きなバラつきが生じて
しまうことになる。
【0040】このようなエネルギー準位のバラつきに由
来して、離調に関するEIT条件;Δω1 =Δω2 (Λ
型とV型励起)、またはΔω1 =−Δω2 (Ξ型励起)
を満足する量子構造の数は減少し、原子ガス系と比較す
ると光学遷移のEIT特性も小さくなる。このことか
ら、半導体量子井戸ではLWIレーザーなどの光素子に
必要不可欠な、EITに由来する大きな光変調特性が得
られていない。
【0041】これに対して、不純物の場合、特に希土類
イオンや遷移金属イオンの場合には、エネルギー準位の
バラつきが非常に小さな遷移も存在するため、このよう
な遷移を選べば離調に関するEIT条件は比較的容易に
クリアすることができる。
【0042】しかし、希土類イオンのf−f遷移や遷移
金属イオンのd−d遷移では、許容遷移といえども遷移
確率は極めて小さい(通常の許容遷移での振動子強度を
〜1とすると、希土類イオンや遷移金属イオンのそれは
〜10-5程度)。
【0043】また、このような不純物における禁制遷移
の振動子強度の値は理想的なゼロにはならず、10-5
10-8程度の値を持つような遷移も存在することが知ら
れている。
【0044】このため、仮にこれら不純物のエネルギー
準位でΛ型3準位を設定しても許容遷移と禁制遷移との
間で遷移確率の値にコントラストをつけることが難し
く、さらに、緩和速度も両者であまり大きくは変わらな
いため、遷移確率・緩和に関するEIT条件を満足させ
ることが困難になる。このことから、固体中の不純物に
ついても、やはり半導体量子井戸と同様、EITに由来
する大きな光変調特性は得られていない。
【0045】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、固体を用
いたEITに立脚したLWIレーザーや光変調素子など
の機能素子は、固体の遷移確率や緩和速度の値がEIT
条件と合致しないため、その実現が困難であるという問
題があった。
【0046】本発明は、上記事情を考慮してなされたも
ので、媒体を用いたEITに立脚した実用可能な機能素
子を提供することを目的とする。
【0047】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願第1の発明(請求項1)に係る機能素子は、不
純物を含む媒体と、前記不純物のエネルギー準位の中か
ら3つ準位を選び上から順に第1の準位、第2の準位、
第3の準位としたときに、第1の準位と第2の準位との
間のエネルギー差に対応する波長を有する第1のコヒー
レント光、および第1の準位と第3の準位との間のエネ
ルギー差に対応する波長を有する第2のコヒーレント光
を前記媒体中で共存させる励起手段と、前記媒体に設け
られた1対のミラーからなる共振器とを備えており、前
記第1の準位と前記第2の準位との間の光学遷移および
前記第1の準位と前記第3の準位との間の光学遷移は前
記共振器の共鳴モードとそれぞれ一致し、これら2つの
準位間の遷移確率は前記共振器を設けないときよりも高
く、かつ前記第2の準位と前記第3の準位との間の光学
遷移は前記共振器の共鳴モードから外れ、この準位間の
遷移確率は前記共振器を設けないときよりも低くいこと
を特徴とする。
【0048】また、本願第2の発明に係る機能素子(請
求項2)は、不純物を含む媒体と、前記不純物のエネル
ギー準位の中から3つ準位を選び上から順に第1の準
位、第2の準位、第3の準位としたときに、第1の準位
と第3の準位との間のエネルギー差に対応する波長を有
する第1のコヒーレント光、および第2の準位と第3の
準位との間のエネルギー差に対応する波長を有する第2
のコヒーレント光を前記媒体中で共存させる励起手段
と、前記媒体に設けられた1対のミラーからなる共振器
とを備えており、前記第1の準位と前記第3の準位との
間の光学遷移および前記第2の準位と前記第3の準位と
の間の光学遷移は前記共振器の共鳴モードとそれぞれ一
致し、これら2つの準位間の遷移確率は前記共振器を設
けないときよりも高く、かつ前記第1の準位と前記第2
の準位との間の光学遷移は前記共振器の共鳴モードから
外れ、この準位間の遷移確率は前記共振器を設けないと
きよりも低くいことを特徴とする。
【0049】また、本願第3の発明に係る機能素子(請
求項3)は、不純物を含む媒体と、前記不純物のエネル
ギー準位の中から3つ準位を選び上から順に第1の準
位、第2の準位、第3の準位としたときに、第1の準位
と第2の準位との間のエネルギー差に対応する波長を有
する第1のコヒーレント光、および第2の準位と第3の
準位との間のエネルギー差に対応する波長を有する第2
のコヒーレント光を前記媒体中で共存させる励起手段
と、前記媒体に設けられた1対のミラーからなる共振器
とを備えてなり、前記第1の準位と前記第2の準位との
間の光学遷移および前記第2の準位と前記第3の準位と
の間の光学遷移は前記共振器の共鳴モードとそれぞれ一
致し、これら2つの準位間の遷移確率は前記共振器を設
けないときよりも高く、かつ前記第1の準位と前記第3
の準位との間の光学遷移は前記共振器の共鳴モードから
外れ、この準位間の遷移確率は前記共振器を設けないと
きよりも低くいことを特徴とする。
【0050】また、本願第4の発明に係る機能素子(請
求項4)は、上記本願第1の発明に係る機能素子におい
て、前記不純物を含む媒体が結晶であり、前記第1の準
位と前記第2の準位との間の光学遷移および前記第1の
準位と前記第3の準位との間の光学確率がσ遷移または
π遷移であり、σ遷移である場合には前記媒体は前記共
振器のミラー面に垂直な方向で遷移確率が最大となるよ
うに配置され、π遷移である場合には前記媒体は前記共
振器のミラー面に平行な方向で遷移確率が最小となるよ
うに配置されていることを特徴とする。
【0051】また、本願第5の発明に係る機能素子(請
求項5)は、上記本願第2の発明に係る機能素子におい
て、前記不純物を含む媒体が結晶であり、前記第1の準
位と前記第3の準位との間の光学遷移および前記第2の
準位と前記第3の準位との間の光学確率がσ遷移または
π遷移であり、σ遷移である場合には前記媒体は前記共
振器のミラー面に垂直な方向で遷移確率が最大となるよ
うに配置され、π遷移である場合には前記媒体は前記共
振器のミラー面に平行な方向で遷移確率が最小となるよ
うに配置されていることを特徴とする。
【0052】また、本願第6の発明に係る機能素子(請
求項6)は、上記本願第2の発明に係る機能素子におい
て、前記不純物を含む媒体が結晶であり、前記第1の準
位と前記第2の準位との間の光学遷移および前記第2の
準位と前記第3の準位との間の光学確率がσ遷移または
π遷移であり、σ遷移である場合には前記媒体は前記共
振器のミラー面に垂直な方向で遷移確率が最大となるよ
うに配置され、π遷移である場合には前記媒体は前記共
振器のミラー面に平行な方向で遷移確率が最小となるよ
うに配置されていることを特徴とするまた、本願第7の
発明に係る機能素子(請求項7)は、上記本願第1〜第
6の発明に係る機能素子において、前記第1の準位と前
記第2の準位との間のエネルギーに対応した角周波数を
有する光に対する前記媒体の屈折率をn12、前記第1の
準位と前記第3の準位との間のエネルギーに対応した角
周波数を有する光に対する前記媒体の屈折率をn13、前
記第2の準位と前記第3の準位との間のエネルギーに対
応した角周波数を有する光に対する前記媒体の屈折率を
23としたときに、n23/n12およびn23/n13の少な
くとも一方が非整数であることを特徴とする。
【0053】本発明において、媒体とは、原子ガス系以
外で原理的にEITを誘起できる系を意味しており、例
えば、固体や液体をいう。以下、媒体として固体を用い
た場合について説明するが液体の場合も同様である。
【0054】本発明に係る機能素子は、固体中の3つの
不純物準位からなる3つの電子遷移に関して、共振器を
組んだ場合と組まない場合とを比較して、各電子遷移ご
とに光学遷移の遷移確率の大小関係を規定したことを骨
子としている。
【0055】共振器による物質中の電子系の遷移確率制
御は、物質との間で光子のやり取りを行なう幅射場のモ
ードを変化させることを基本原理としている。EITで
は2つの光学遷移間の干渉効果を利用して電気双極子モ
ーメントの値を変化させて遷移確率を制御するのに対
し、共振器による遷移確率制御では双極子モーメントの
値自体は変化させずに、共振器中で許される輻射場モー
ドの状態数が真空中と比較して増減することを利用する
点が特徴である。
【0056】従来、物質中における光学遷移の遷移確
率、例えば真空中に置かれた励起原子の自然放出速度な
どは、その原子が元来備え持つ定数であると思われてき
た。しかし、最近の輻射場の量子電磁力学の進歩によ
り、自然放出は真空中での自由な物質それ自体の性質で
はなく、物質と真空場とが結合した系が示す性質である
ことがわかってきた。以下に、共振器による遷移確率の
制御原理を説明する。
【0057】今、真空中に置かれた物質中で、励起準位
|e>から基底準位|g>に電子が遷移する際、光子を
放出するような状況を想定する。
【0058】この場合、体積V中の単一モードの光子を
放出する遷移確率We は、Fermiの黄金律を用いて
次のように書ける。
【0059】 We =(8π3 /h2 )|<g,s+1|Hint |e,s>|2 ρ(1) ここで、Hint は物質と輻射場との間の相互作用ハミル
トニアン、sは単一モードの光子数、ρは単位周波数当
たりのモードの状態数、hはプランク定数をそれぞれ表
している。
【0060】遷移の行列要素は、次式のように表され
る。
【0061】 |<g,s+1|Hint |e,s>|2 =(μ2 hω/4πε0 V)1/2 (s+1) (2) ここで、μは遷移の電気双極子モーメント、ωは光の角
周波数である。これを上の式(1)に代入すると、 We =(2πμ/h)2 (hω/2ε0 V)sρ +(2πμ/h)2 (hω/2ε0 V)ρ (3) が得られる。
【0062】なお、式(3)の第一項はsに比例するこ
とからわかるように誘導放出による遷移確率を表し、第
二項は自然放出による遷移確率を表している。
【0063】真空中では、物質から放出された光子を受
け入れる真空場の輻射モードの状態数は無限に近く存在
する。
【0064】ここで、物質を共振器内に置いた場合を考
えると、輻射モードの状態数は大幅に変化し、結果とし
て物質と真空場との結合様式も大幅に変更を受ける。
【0065】一般に、共振器内でのモードの状態数は、
共鳴角周波数領域において真空中に比べて大きく増加
し、また共鳴から外れた角周波数領域において真空中と
比べて大きく減少する。
【0066】このため、物質の遷移エネルギーに対して
共振器の共鳴角周波数を一致させればその物質の遷移確
率を著しく増強でき、逆にこれを一致させなければ著し
く抑制することが可能になる。
【0067】なお、上の議論は全て発光の遷移確率に関
するものであるが、吸収の遷移確率についても同様な議
論が成り立つ。
【0068】以上の点から、本願第1の発明では、準位
1・2間と準位1・3間の遷移については共振器の共鳴
モードと一致させて準位2・3間の遷移だけは共鳴モー
ドから外し、本願第2の発明では、準位1・3間と準位
2・3間の遷移については共鳴モードと一致させて準位
1・2幅の遷移だけは共鳴モードから外し、本願第3の
発明では、準位1・2間と準位2・3間の遷移について
は共鳴モードと一致させて準位1・3間の遷移だけは共
鳴モードから外すことにより、先の遷移確率に関する条
件を実現することが可能になる。
【0069】また、本願第4〜6の発明では、不純物を
含む固体が結晶であるときに、コヒーレントな光で結ば
れた2つの不純物の光学遷移がともにσ遷移、あいるは
ともにπ遷移それぞれの場合について、共振器軸に対す
る結晶の幾何学的な配置関係を規定した。
【0070】このような共振器構造では、コヒーレント
な光で結ばれた2つの不純物の光学遷移が選択的に共振
器の共鳴モードとは強く結合することが可能になるが、
これは以下に述べるような理由による。
【0071】図6は、固体中の結晶軸と、不純物の光学
遷移の遷移確率(吸収・蛍光の強度)とを模式的に表し
たものである。図6(a)は不純物の光学遷移がこの結
晶軸に対してσ遷移である場合、図6(b)はπ遷移で
ある場合をそれぞれ示す。
【0072】まず、図6(a)のσ遷移の場合には、光
励起により不純物に誘起される電気双極子モーメントは
結晶軸に対して垂直になる。このため、光学遷移は結晶
軸に沿った方向に強く偏り、結晶軸とちょうど平行な方
向で遷移確率が最大となる。これに対し、図6(b)の
π遷移の場合には、誘起双極子モーメントの向きは結晶
軸に対して平行になる。このため、光学遷移は結晶軸以
外の方向に強く偏り、結晶軸にちょうど垂直な方向で遷
移確率が最大となる。
【0073】このことから、図7(a)にすように2つ
の不純物の光学遷移がともにσ遷移の場合には結晶軸を
共振器のミラー面に垂直な軸(共振器軸)に対して平行
になるように配置し、また図7(b)に示すように2つ
の光学遷移がともにπ遷移の場合には結晶軸を共振器軸
に対して垂直になるように配置すると、共振器軸に沿う
方向で最も効率良く光学遷移を引き起こすことが可能に
なる。
【0074】ここで、共振器軸上を伝播する光の角周波
数が共振器の共鳴モードに一致する場合には、2つの光
学遷移と共振器の共鳴モードは強く結合するため、先に
も述べたように、この2つの光学遷移については遷移確
率が著しく増強される。
【0075】以上の点から、不純物を含む固体が結晶で
ある場合に、本願第4の発明では、準位1・2間、準位
1・3間両方の光学遷移がともにσ遷移の場合には共振
器軸と平行方向(言い換えれば、ミラー面に垂直な方
向)で遷移確率が最大になるように、また両方の光学遷
移がともにπ遷移の場合には共振軸と垂直方向(言い換
えれば、ミラー面に平行な方向)で遷移確率が最小にな
るように結晶を配置することにより、本発明(請求項
1)での遷移確率に関する条件を実現するようにしてい
る。
【0076】また、不純物を含む固体が結晶である場合
に、本願第5の発明では、準位1・3間、準位2・3間
両方の光学遷移がともにσ遷移の場合には共振器軸と平
行方向(言い換えれば、ミラー面に垂直な方向)で遷移
確率が最大になるように、また両方の光学遷移がともに
π遷移の場合には共振器軸と垂直方向(言い換えれば、
ミラー面に平行な方向)で遷移確率が最小になるように
結晶を配置することにより、本発明(請求項2)での遷
移確率に関する条件を実現するようにしている。
【0077】また、不純物を含む固体が結晶である場合
に、本願第6の発明では、準位1・2間、準位2・3間
両方の光学遷移がともにσ遷移の場合には共振器軸と平
行方向(言い換えれば、ミラー面に垂直な方向)で遷移
確率が最大になるように、また両方の光学遷移がともに
π遷移の場合には共振器軸と垂直方向(言い換えれば、
ミラー面に平行は方向)で遷移確率が最小になるように
結晶を配置することにより本発明(請求項3)での遷移
確率に関する条件を実現するようにしている。後述する
固体材料中の不純物に関して、2つの不純物の光学遷移
がともにσ遷移、あるいはともにπ遷移になるように3
準位を設定する方法としては、不純物の各エネルギー準
位の結晶場に対する対称性から予測することが可能であ
る。
【0078】一般的には、固体中に分散された希土類不
純物や遷移金属不純物のエネルギー準位は、自由原子・
イオンの場合とは大きく異なり、不純物周りの微視的な
電場環境(結晶場)で決まる。
【0079】この結晶場で特徴づけられるエネルギー準
位の量子状態は、その結晶場が属する点群の既約表現
(対称性の既約表現)で表現されることが知られてい
る。光学遷移の選択則はこの結晶場に対する対称性の既
約表現に基づいて一義的に決まるため、光学遷移のタイ
プがσ遷移か、あるいはπ遷移かという点も、既約表現
から一義的に決まる。
【0080】このため、本願第4の発明では、準位2、
準位3には結晶場に対する対称性の既約表現が等しい材
料系を選択することで、準位1・2間と準位1・3間各
々の光学遷移のタイプをσ遷移、あるいはπ遷移のいず
れか一方に揃えることができ、本願第1の発明における
遷移確率に関する条件を実現できるようになる。
【0081】同様に、本願第5の発明では、準位1、準
位2に結晶場に対する対称性の既約表現が等しい材料系
を選択し、本願第6の発明では、準位1、準位3に結晶
場に対する対称性の既約表現が等しい材料系を選択する
ことにより、やはり本願第2,3の発明での遷移確率に
関する条件を実現できるようになる。
【0082】また、本願第7の発明では、不純物の準位
1・2間、準位1・3間、準位2・3間各々の準位間エ
ネルギーに対応する角周波数ω12,ω13,ω23におい
て、不純物を含む固体の屈折率がそれぞれn12,n13
23であるときに、屈折率の比(n23/n12),(n23
/n13)のどちらかが整数でないことを規定した。これ
は、次に述べるような理由による。
【0083】今、不純物を含む固体材料の屈折率を仮に
12=n13=n23=n0 として、本願第1の発明にある
ように、不純物の準位1・2間と準位1・3間の光学遷
移は共振器の共鳴モードに一致させて準位2・3間はこ
の共鳴モードから外すような状況を想定する。共振器ミ
ラーが固体材料に直接接しており、このときの共振器長
をLとすると、準位1・2間、準位1・3間の準位間エ
ネルギーに対応する角周波数ω12,ω13はLと次のよう
に結び付けられる。
【0084】 L=α(πc/n0 ω12) (4a) L=β(πc/n0 ω13) (4b) ( ただし、β>α) ここで、cは光速である。
【0085】先の条件より、準位1・2間、準位1・3
間両方の光学遷移は共振器の共鳴モードと一致すること
から、式(4)中のαとβはいずれも正の整数である。
【0086】次に、準位2・3間について、やはり準位
間エネルギーに対応する角周波数ω23とLとの関係を調
べると、 L=γ(πc/n0 ω23) (5) が得られる。
【0087】ここで、準位間エネルギーの関係式;ω12
+ω23=ω13に式(4a),(4b),(5)を代入し
て、式(5)中のγをα,βで表現すると、 γ=β−α (6) になる。
【0088】式(6)より、γもまた正の整数であるこ
とがわかる。これは、固体材料の各角周波数における屈
折率n12,n13,n23が全て等しい場合、準位1・2
間、準位1・3間両方の光学遷移を共振器の共鳴モード
に一致させると、準位2・3間の光学遷移についても必
然的に共鳴モードと一致してしまうことを表している。
今度は、固体材料の屈折率がn12≠n13,n12≠n23
13≠n23の場合について、再び不純物の準位1・2間
と準位1・3間の光学遷移は共振器の共鳴モードに一致
させて準位2・3間はこの共鳴モードから外す状況を想
定する。
【0089】共振器構造や共振器長は先程と同じにする
と、角周波数ω12,ω13はLと次のように結び付けられ
る。
【0090】 L=ζ(πc/n12ω12) (7a) L=η(πc/n13ω13) (7b) (ただし、η>ζ)この場合についても、式(4)の中
のηとξはいずれも正の整数である。準位2・3間につ
いて、やはり準位間エネルギーに対応する角周波数ω23
とLとの関係を調べると、 L=ξ(πc/n23ω23) (8) が得られる。
【0091】先と同様にξをζとηで表すと、 ξ=η(n23/n13)−ζ(n23/n12) (9) になる。
【0092】式(9)は、2つの係数(n23/n12),
(n23/n13)のどちらかが整数でなければ、ξも整数
にはならず、結果として準位2・3間の光学遷移だけは
共鳴モードから外せることを示している。
【0093】以上の点から、固体材料の屈折率の比(n
23/n12),(n23/n13)が整数にはならない材料系
を選択することにより、やはり本願第1〜3の発明での
遷移確率に関する条件を実現することが可能になる。
【0094】ここで、上述の条件を満足する固体材料に
は、不純物としてTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,
Ni,Cuなどの第1次遷移金属元素、Zr,Nb,M
o,Tc,Ru,Rh,Pd,Agなどの第2次遷移金
属元素、Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,A
uなどの第3次遷移金属元素、Ce,Pr,Nd,S
m,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb
などのランタノイド系希土類元素、そしてTh,Pa,
Uなどのアクチノイド系希土類元素を少なくとも一種類
以上は含む、LiF,NaF,KF,RbF,CsF,
MgF2 ,CaF2 ,SrF2 ,BaF2 ,MnF2
ZnF2 ,CdF2 ,AlF3 ,YF3 ,LaF3 ,C
eF3 ,PrF3 ,NdF3 ,SmF3 ,EuF3 ,G
dF3 ,TbF3 ,DyF3 ,HoF3 ,ErF3 ,T
mF3 ,YbF3 ,LuF3 ,LiBaF3 ,KMgF
3 ,KMnF3 ,KZnF3 ,KNiF3 ,RbNiF
3 ,ZrF4 ,LiYF4 ,NaYF4 ,KYF4 ,L
iLaF4 ,LiGdF4 ,LiLuF4 ,BaAlF
5 ,SrAlF5 ,K3 YF6 ,K3 CoF6 ,Cs3
NdF7 ,Cs3 GdF7 ,LiCl,NaCl,KC
l,RbCl,CsCl,YCl3 ,LaCl3 ,Ce
Cl3 ,PrCl3 ,NdCl3 ,SmCl3,EuC
3 ,GdCl3 ,TbCl3 ,DyCl3 ,HoCl
3 ,ErCl3,TmCl3 ,YbCl3 ,LuC
3 ,CsMgCl3 ,CsCdCl3 ,LiBr,N
aBr,KBr,RbBr,CsBr,YBr3 ,La
Br3 ,CeBr3 ,PrBr3 ,NdBr3 ,SmB
3 ,EuBr3 ,GdBr3 ,TbBr3 ,DyBr
3 ,HoBr3 ,ErBr3 ,TmBr3 ,YbB
3 ,LuBr3 ,CsMgBr3 ,LiI,NaI,
KI,RbI,CsI,CuCl,CuBr,CuI,
AgF,AgCl,AgBr,AgI,YOCl,La
OCl,LaOBr,TlCl,TlBr,TlI,I
nBr,InI,Li2 O,BeO,N2 5 ,Na2
O,P2 3 ,S2 3 ,K2 O,CaO,Cr
2 3 ,MnO2 ,CoO,NiO,SrO,Zr
2 ,Nb2 5 ,MoO3 ,AgO,Sb2 3 ,T
eO2 ,BaO,WO3 ,Re2 7 ,PbO,PuO
2,Y2 3 ,La2 3 ,Ce2 3 ,Pr2 3
Nd2 3 ,Sm2 3 ,Eu2 3 ,Gd2 3 ,T
2 3 ,Dy2 3 ,Ho2 3 ,Er2 3 ,Tm
2 3 ,Yb2 3 ,Lu2 3 ,ThO2 ,UO2
UO3 ,Ba2 GdNbO5 ,SrGdGa3 7 ,S
2 Gd3 Ga3 12,NaLuO12,LiIO3 ,L
iNbO3 ,LiTaO3 ,Ba2 NaNb5 15,Y
2 2 S,La2 2 S,Ce2 2 S,Pr2
2 S,Nd2 2 S,Sm2 2 S,Eu2 2 S,G
2 2 S,Tb2 2 S,Dy2 2 S,Ho2 2
S,Er22 S,Tm2 2 S,Yb2 2 S,Lu
2 2 S,Y2 3 ,La2 3 ,Ce2 3 ,Pr2
3 ,Nd2 3 ,Sm2 3 ,Eu2 3 ,Gd2
3 ,Tb2 3 ,Dy2 3 ,Ho2 3 ,Er
2 3 ,Tm2 3 ,Yb2 3 ,Lu2 3 ,B2
3 ,GaBO3 ,InBO3 ,TlBO3 ,ScB
3 ,YBO3 ,LaBO3 ,CeBO3 ,PrB
3 ,NdBO3 ,SmBO3 ,EuBO3 ,GdBO
3 ,TbBO3 ,DyBO3 ,HoBO3 ,ErB
3 ,TmBO3 ,YbBO3 ,LuBO3 ,CaYB
4 ,BaB2 4 ,Cd2 2 5 ,LiB3 5
CsB3 5 ,SrB4 7 ,Al3 TbB4 12,Z
nO,ZnGa2 4 ,MgO,MgGa2 4 ,Mg
2 TiO4 ,Mg4 Ta2 9 ,TiO2 ,CaTiO
3 ,SrTiO3 ,BaTiO3 ,PbTiO3 ,KT
iPO5 ,Al2 3 ,LiAlO2 ,YAlO3 ,B
eAl2 4 ,MgAl2 4 ,ZnAl2 4 ,Li
Al5 8 ,Y4 Al2 9 ,YAl3 4 12,Y3
Al5 12,La3 Al5 12,Ce5 Al5 12,P
3 Al5 12,Nd3 Al5 12,Sm3 Al
5 12,Eu3 Al5 12,Gd3 Al5 12,Tb3
Al5 12,Dy3 Al5 12,Ho3 Al5 12,E
3 Al5 12,Tm3 Al5 12,Yb3 Al
5 12,Lu3 Al5 12,LaAl1118,CeMg
Al1119,TbMgAl1119,BaAl1219,B
aMg2 Al1627,Fe2 3 ,Y3 Fe5 12,L
3 Fe5 12,Ce3 Fe5 12,Pr3 Fe
5 12,Nd3 Fe5 12,Sm3 Fe5 12,Eu3
Fe5 12,Gd3 Fe5 12,Tb3 Fe5 12,D
3 Fe5 12,Ho3 Fe5 12,Er3 Fe
5 12,Tm3 Fe5 12,Yb3 Fe5 12,Lu3
Fe5 12,Y3 Ga5 12,La3 Ga5 12,Ce
3 Ga5 12,Pr3 Ga5 12,Nd3 Ga5 12
Sm3 Ga5 12,Eu3 Ga5 12,Gd3 Ga5
12,Tb3 Ga5 12、Dy3 Ga5 12,Ho3 Ga
5 12,Er3 Ga5 12,Tm3 Ga5 12,Yb3
Ga5 12,Lu3 Ga5 12,Y3 Sc2 Ga
5 12,CaPO3 ,ScPO4 ,YPO4 ,LaPO
4 ,CePO4 ,PrPO4 , NdPO4 ,EuP
4 ,GdPO4 ,TbOP4 ,DyPO4 ,HoPO
4 ,ErPO4 ,TmPO4 ,YbPO4 ,LuP
4 ,Ca2 PO4 Cl,Mg3 (PO4 2 ,Ca3
(PO4 2 ,Sr3 (PO4 2 ,Ba3 (PO4
2 ,Zn3 (PO4 2 ,Cd3 (PO4 2 ,Mg5
(PO4 3 F,Mg5 (PO4 3 Cl,Ca5 (P
4 3 F,Ca5 (PO4 3 Cl,Sr5 (P
4 3 F,Sr5 (PO4 3 Cl,Ba5 (P
4 3 F,Ba5 (PO4 3 Cl,Sr2
2 7 ,NdP5 14,SiO2 ,BeSiO3 ,Mg
SiO3 ,CaSiO3 ,SrSiO3 ,BaSi
3 ,ZnSiO3 ,CdSiO3,Zn2 SiO4
NaYSiO4 ,Y2 SiO5 ,La2 SiO5 ,Lu
2 SiO5 ,BeSi2 5 ,MgSi2 5 ,CaS
2 5 ,SrSi2 5 ,BaSi2 5 ,Sc2
2 7 ,Be2 SrSi2 7 ,Ca2 MgSi2
7 ,Si3 4 ,GeO2 ,Zn2 GeO4 ,Cs2
2 4 ,Cs2 UO2 Cl4 ,Cs2 UO2 Br4
Cs3 UO2 5 ,Cs3 UO2 Cl5 ,Cs3 UO2
Br5 ,MgWO4 ,CaWO4 ,SrWO4 ,BaW
4 ,AlWO4 ,CdWO4 ,PbWO4 ,Y2 WO
6 ,MgMoO4 ,CaMoO4 ,SrMoO4 ,Ba
MoO4 ,Li2 MoO4 ,Y2 Mo3 12,La2
3 12,Ce2 Mo3 12,Pr2 Mo3 12,Nd
2 Mo3 12,Sm2 Mo3 12,Eu2 Mo3 12
Gd2 Mo3 12,Tb2 Mo3 12,Dy2 Mo3
12,Ho2 Mo3 12,Er2 Mo3 12,Tm2 Mo
3 12,Yb2 Mo3 12,Lu2 Mo3 12,NaC
aVO4 ,ScVO4 ,YVO4 ,Mg3 (V
42 ,Ca3 (VO4 2 ,Sr3 (VO4 2
Ba3 (VO4 2 ,Zn3(VO4 2 ,Cd3 (V
4 2 ,Mg5 (VO4 3 F,Mg5 (VO4 3
Cl,Ca5 (VO4 3 F,Ca5 (VO4 3
l,Sr5 (VO4 3F,Sr5 (VO4 3 Cl,
Ba5 (VO4 3 F,Ba5 (VO4 3 Cl,Ca
S,SrS,BaS,CaSe,BaSeや、その他フ
ッ化物・ハロゲン化物・臭化物・ヨウ化物・ハロゲン化
銅・ハロゲン化銀・酸ハロゲン化物・タリウム化合物・
インジウム化合物、ホウ酸塩・亜鉛酸化物・マグネシウ
ム酸化物・チタニウム酸化物・アルミン酸塩・ガーネッ
ト・ケイ酸塩・ゲルマニウム酸塩・イットニウム化合物
・ランタン化合物・セリウム化合物・プラセオジウム化
合物・ネオジウム化合物・サマリウム化合物・ユーロピ
ウム化合物・ガドリウム化合物・テルビウム化合物・ジ
スプロシウム化合物・ホルミウム化合物・エルビウム化
合物・ツリウム化合物・イッテルビウム化合物・ルテチ
ウム化合物・ウライ化合物・リン酸塩・シェーレ化合物
・硫化物・セレン化物などの絶縁性無機材料を用いるこ
とができる。 これに加えて、上記の遷移金属元素や希
土類元素を不純物として少なくとも一種類以上含む、ダ
イアモンド、Si,SiC,SiGe,Ge,GaA
s,Ga4,GaN,GaSb,AlAs,AlP,A
lN,AlSb,InAs,InP,InSb,Hg
S,HgSe,HgTe,BAs,BP,BN,Zn
S,ZnSe,ZnTe,CdS,CdSe,CdT
e,Cu2O,SnO2 ,In2 3 などの半導体ある
いは半絶縁性材料を用いることもできる。
【0095】なお、上記材料中において遷移金属元素や
希土類元素は通常イオンの状態で存在するが、その価数
は特に限定されない。
【0096】さらに、半導体素子作製技術が向上し、エ
ネルギー準位の不均一さが原子ガスのそれと同程度のレ
ベルにまで低減した場合には、超格子や量子細線、量子
ドットなどの半導体量子構造を用いることも可能であ
る。
【0097】また、本発明において光励起される電子遷
移としては、第1次遷移金属イオンを励起する場合には
このイオンの3d準位が関与するd→d遷移、第2次遷
移金属イオンを励起する場合には4d準位が関与するd
→d遷移、第2次遷移金属イオンを励起する場合には5
d準位が関与するd→d遷移、ランタノイド系希土類イ
オンを励起する場合には4f,5d準位が関与するf→
f遷移やf→d遷移、アクチノイド系希土類イオンを励
起する場合には5f準位が関与するf→f遷移がそれぞ
れ用いられる。
【0098】さらに、光源にはコヒーレント光、すなわ
ちレーザー光が用いられる。上述の電子遷移と波長が合
えばレーザーの種類は特に限定されないが、小型素子の
形成に有利な半導体レーザーを用いることが望ましい。
【0099】[作用]上述のように構成したことによ
り、本発明に係る機能素子では、固体中の不純物の各光
学遷移の遷移確率や緩和速度の値がEIT条件と合致し
ない場合においても、量子コヒーレントを背景とした大
きな光変調特性を反転分布無しでのレーザー発振を得る
ことが可能になる。以下、図面を参照してこの点を詳細
に説明する。
【0100】EITを希土類や遷移金属不純物を引き起
こす際のポイントは、遷移確率・緩和に関するEIT条
件を満足する系を選択することである。例えば、Λ型励
起の場合には、光励起を行なわない準位2・3間が禁制
遷移(遷移確率はゼロ)であり、励起準位2から基底準
位3へは自然放出などの緩和過程が無いこと、すなわち
励起準位2は無限に長い寿命を持った準安定状態である
ことが求められる。このため、現実の系ではΛ型3準位
を選ぶときには、準位2の選択がポイントになる。
【0101】同様に、Ξ型励起では光励起を行なわない
準位1・3間が禁止で、励起準位1から基底準位3へは
自然放出などの緩和は無いことが求められる。基底準位
3から見た場合に、励起準位1は準安定状態として振る
舞うような準位を選択することがポイントになる。
【0102】また、V型励起でもやはり光励起を行なわ
ない準位1・2間が禁制で、励起準位1から励起準位2
へは自然放出などの緩和は無いことが求められる。励起
準位2から見た場合に、励起準位1は準安定状態として
振る舞うような準位を選択しなければならない。
【0103】今、不純物の中でも特にランタノイド系希
土類イオンに注目して、そのエネルギー準位を利用して
EITを引き起こす場合を考える。希土類イオンの吸収
や発光は、主として不完全殻である4f電子によるもの
である。4f電子はその外側の5S,5P殻の8個の電
子にシールドされているため、あまり外界の影響を受け
ない。したがって、吸収や発光スペクトルは結晶中にお
いても鋭い線スペクトルとして観測される。このことか
ら、先にも述べたように、スペクトル中のシャープな光
学遷移を選ぶことで離調に関するEIT条件はクリアす
ることが可能である。
【0104】図8は、LaCl3 結晶中に不純物として
分散された13種の希土類イオン(+3価)のエネルギ
ー準位を示す。なお、この準位図はDieKeダイアフ
ラムとして良く知られたものである。図に示した各イオ
ンのエネルギー準位は、大まかには自由イオン(ガス)
と同様、軌道角運動量L、スピン角運動量S、全角運動
量Jで決まり、記号2S+1J で表される。自由イオンの
2S+1J 準位は(2J+1)重に縮退しているが、結晶
中のイオンではそのイオンが置かれた位置での微視的な
電場環境(結晶場)のためにさらに細かく分裂する。
【0105】結晶場で分裂した準位は、結晶場が属する
点群の既約表現(対称性の既約表現)で表される。異な
2S+1J 準位でも同じ既約表現のものがあれば、結晶
場を介して相互作用をする。すなわち、結晶場は異なっ
2S+1J 準位間の混合を引き起こす。このため、結晶
中のイオンではJは“良い量子数”ではなく、既約表現
が“良い量子数”になる。
【0106】自由イオンでは同一殻内の光学遷移はパリ
ティーにより禁止されるが、結晶中のイオンでは結晶場
の奇の対称性を持つ成分によって僅かに光学遷移が許さ
れるようになる。光学遷移の選択則は既約表現により決
まり、準位間の既約表現の組み合わせに応じて許容遷移
や禁制遷移が現れる。
【0107】しかし、遷移確率は結晶場によって辛うじ
て生じたものであるため、許容遷移といえども振動子強
度は〜10-5程度の値しか持たない。また、選択則から
は本来禁制遷移と予測される光学遷移でも、しばしば1
-8〜10-5程度の振動子強度を示すことが知られてい
る。
【0108】2準位間の緩和速度については、大まかに
上準位の寿命から見積もることができる。寿命の値は、
温度や光学遷移の種類によっても異なるが、一般には遷
移確率で決まるような値を持つことが知られている。
【0109】寿命から予測される緩和速度の値について
も、上の遷移確率の場合と同様、許容遷移と禁制遷移と
の間であまり大きなコントラストがつかない場合がしば
しば見受けられる。
【0110】したがって、既約表現と選択則を考慮する
ことで、結晶中の不純物準位の中から遷移確率・緩和に
関するEIT条件を満足するΛ,V,Ξ型3準位を見出
だすことは必ずしも容易なことではない。
【0111】このため、既約表現と選択則を考慮する方
法とは別に、上のEIT条件を満たすような3準位の選
択・作成方法が望まれている。共振器による遷移確率の
制御は、このうちの3準位の作成方法に関係したもの
で、遷移確率や緩和速度の値が必ずしもEIT条件と一
致しない一般的な3準位においても、EITに適したよ
り理想的な準位構成に近づけることが可能になる。
【0112】以下では、Λ型3準位を例にとって、光励
起を行わない下2準位間の自然放出確率がゼロの場合、
すなわち下2準位間が完全に禁制遷移になる理想的な場
合と、下2準位間の自然放出確率がゼロでない場合、す
なわち現実の材料系において最も頻繁に見受けられる下
2準位間が完全な禁制遷移にならない場合とを比較し
て、まず下2準位間の緩和がEIT特性やLWI特性に
どの様な影響を及ぼすかを調べていく。
【0113】次いで、遷移確率の増強・抑制が可能な共
振器効果を適用した場合についてのEIT特性やLWI
特性を議論していく。
【0114】(A)下2準位間の自然放出確率がゼロの
場合(理想的なΛ型3準位) (A−1)EIT特性 図9(a)に示す理想的なΛ型3準位において、EIT
が起きているときの準位3から準位1への吸収係数の値
を、密度行列σから求めていく。まず、3準位系の密度
行列σを示す。
【0115】
【数1】
【0116】ここで、各行列要素σijの添字i,j
(i,j=1,2,3)はそれぞれ準位1、準位2、準
位3に対応する。この行列要素について簡単に説明する
と、対角要素σiiは各準位のポピュレーションを表し、
非対角要素σijは準位i,j間の量子力学的なコヒーレ
ントを表している。物質の光吸収、光増幅、そしてスペ
クトル形状などはこの非対角要素から求めることができ
る。
【0117】今、Λ型3準位に関して光1ならびに光2
に対する物質の吸収係数を、それぞれα1 ,α2 とする
と、 α1 =C1 ×Im{σ12}/Ω1 (11a) α2 =C2 ×Im{σ13}/Ω2 (11b) (C1 とC2 は正の実数、Ω1 とΩ2 は光1と光2のラ
ビ周波数)が成立する。
【0118】これより、準位1・2間を結ぶ光1の離調
Δω1 は固定した状態で、光2の離調Δω2 に対するσ
13の挙動を調べれば、EITが起きているときの準位3
から準位1への吸収スペクトルを得ることができる。
【0119】なお、以後の計算では光1、光2いずれの
離調についてもΔω1 =Δω2 =0として進める。
【0120】実際の密度行列σの計算には、次のような
Liouvilleの運動方程式を用いる。
【0121】 (d/dt)σij=[H′,σ]ij/(jh/2π) (12) (H′=HI +HR ) ここで、HI は物質と光との間の相互作用ハミルトニア
ン(回転波近似)、HR は緩和のハミルトニアンであ
る。
【0122】
【数2】
【0123】 [HR ,σ]11/(jh/2π)=−(Г+γ)σ11 (14a) [HR ,σ]22/(jh/2π)=Гσ11 (14b) [HR ,σ]33/(jh/2π)=Гσ11 (14c) [HR ,σ]12/(jh/2π)=−(Г+γ)σ12/2 (14d) [HR ,σ]13/(jh/2π)=−(Г+γ)σ13/2 (14e) [HR ,σ]23/(jh/2π)=0 (14f) (Гは準位1から準位2への自然放出速度、γは準位1
から準位3への自然放出速度を表す) なお、光2の強度は光1に比べて非常に弱く(Ω2 《Ω
1 )、さらにΩ2 <<Γ,γであるものとする。式(1
2),(13),(14)より、各行列要素σijの運動
方程式は以下のようになる。
【0124】 2(d/dt)σ11=jΩ1 (σ21−σ12)+jΩ2 (σ31−σ13) −2(Г+γ)σ11 (15a) 2(d/dt)σ22=−jΩ1 (σ21−σ12)+2Гσ11 (15b) 2(d/dt)σ33=−jΩ2 (σ31−σ13)+2γσ11 (15c) 2(d/dt)σ12=jΩ1 (σ22−σ11)+jΩ2 σ32 −(Г+γ)σ12 (15d) 2(d/dt)σ13=jΩ2 (σ33−σ11)+jΩ1 σ23 −(Г+γ)σ13 (15e) 2(d/dt)σ23=−jΩ2 σ21+jΩ1 σ13 (15f) (1=σ11+σ22+σ33,σij * =σji) 定常状態における各行列要素の値を求めるには、式(1
5)の左辺を全てゼロと置けば良い。これを解くと、I
m{σ13}は、 Im{σ13}=0 (16) になる。
【0125】結局、Δω1 =Δω2 (ここでは、Δω1
=Δω2 =0となる角周波数において光2の吸収係数α
2 は、 α2 =0 (17) になることがわかる。
【0126】すなわち、本来強い吸収があるべき角周波
数において、光2は完全に透過することがわかる。
【0127】(A−2)LWI特性 図9(b)の構成において、光2が増幅される様子を密
度行列の非対角要素σ13から調べていく。LWIでは基
底準位3から励起準位1,2のどちらか一方へ電子を励
起する必要がある。
【0128】ここでは、図9(b)に示したように、電
子励起は準位3から準位2に行なうものとする。ただ
し、準位2・3間は禁制遷移であるため、まず準位3か
ら準位4へ光励起を行い、次いで準位4からの緩和を利
用して準位2に電子をポンピングするものとする。
【0129】このような励起方法では、長波長の光を用
いて短波長の光のレーザー発振を行なうことが可能にな
る。なお、準位3から準位2へのポンピング速度はλと
する。また、前節同様、Δω1 =Δω2 =0の場合につ
いて計算を行なう。
【0130】まず、前節の式(11b)を再度見る。I
m{σ13}の符号に注目すると、これが正ならばα2
正となり、光2は吸収される。
【0131】これに対して、Im{σ13}が負ならばα
2 は負となる。この負の吸収係数は、まさに光増幅が起
きることを表している。これより、光2が吸収、あるい
は増幅されるかはIm{σ13}の符号から判別すること
ができる。
【0132】相互作用ハミルトニアンHI の形は前節と
同様である。ただし、緩和のハミルトニアンHR は多少
変化し、新たに準位3から準位2へのインコヒーレント
なポンピングの項λが加わる。
【0133】 [HR ,σ]11/(jh/2π)=−(Г+γ)σ11 (18a) [HR ,σ]22/(jh/2π)=Гσ11+λσ33 (18b) [HR ,σ]33/(jh/2π)=γσ11+λσ33 (18c) [HR ,σ]12/(jh/2π)=−(Г+γ)σ12/2 (18d) [HR ,σ]13/(jh/2π)=−(Г+γ+λ)σ13/2(18e) [HR ,σ]23/(jh/2π)=−λσ23/2 (18f) この式を先の式(12)代入して各行列要素σijの運動
方程式を解き、Im{σ13}から光2の吸収係数α2
求めると、 α2 =−C2 λ(Г+λ)/[2Ω1 2 (γ+2λ)] (19) となる。
【0134】式(19)は、吸収係数α2 はλには依存
せずに常に負になり、光2は増幅されることを示してい
る。
【0135】(B)下2準位間の自然放出確率がゼロで
ない場合(現実の材料系でのΛ型3準位) (B−1)EIT特性 図9(c)に示す下2準位間に自然放出速度Rの緩和過
程が存在するΛ型3準位について、EITが起きている
ときの準位3から準位1への吸収係数を求める。なお、
これまで同様、Δω1 =Δω2 =0の場合について計算
する。
【0136】相互作用ハミルトニアンHI の形は(A−
1)節のそれと同様である。だたし、緩和のハミルトニ
アンHR は変化し、準位2から準位3への自然放出項R
が加わる。
【0137】 [HR ,σ]11/(jh/2π)=−(Г+γ)σ11 (20a) [HR ,σ]22/(jh/2π)=Гσ11+λσ22 (20b) [HR ,σ]33/(jh/2π)=γσ11+λσ22 (20c) [HR ,σ]12/(jh/2π)=−(Г+γ+R)σ12/2 (20d) [HR ,σ]13/(jh/2π)=−(Г+γ)σ13/2 (20e) [HR ,σ]23/(jh/2π)=−Rσ23/2 (20f) この式を先の式(12)に代入して各行列要素σijの運
動方程式を解き、Im{σ13}から光2の吸収係数はα
2 を求めると次のような式になる。
【0138】 α2 =C2 R/2Ω1 2 (21) 式(21)より、下2準位間に緩和がある場合には、こ
の緩和速度が増加するに従い吸収係数の値も増加するこ
とがわかる。これは、緩和に由来して、EITが徐々に
起こりづらくなることを表している。
【0139】(B−2)LWI特性 図9(d)に示す、下2準位間に自然放出速度Rの緩和
過程が存在する構成において、光2が増幅される様子を
吸収係数の値から調べていく。なお、準位3から準位2
へのポンピング速度はλとし、準位2から準位3への自
然放出速度はRとする。また、これまで同様、Δω1
Δω2 =0の場合について計算する。
【0140】相互作用ハミルトニアンHI の形は(A−
1)節のそれと同様である。ただし、緩和のハミルトニ
アンHR は変化し、準位2・3間のポンピング項λと自
然放出項Rが加わる。
【0141】 [HR ,σ]11/(jh/2π)=−(Г+γ)σ11 (22a) [HR ,σ]22/(jh/2π)=Гσ11−Rσ22+λσ33 (22b) [HR ,σ]33/(jh/2π)=γσ11+Rσ22−λσ33 (22c) [HR ,σ]12/(jh/2π)=−(Г+γ+R)σ12/2 (22d) [HR ,σ]13/(jh/2π)=−(Г+γ+λ)σ13/2 (22e) [HR ,σ]23/(jh/2π)=−(R+λ)σ23/2 (22f) この式を先の式(12)に代入して各行列要素σijの運
動方程式を解き、Im{σ13}から光2の吸収係数はα
2 を求めると次のような式になる。
【0142】 α2 =C2 [R(γ+R)−λ(Г+λ)] /[2Ω1 2 (γ+R+2λ)] (23) 下2準位間に緩和が無い場合には無しきい値でレーザー
発振が可能であったが、この場合にはλがある値を越え
ないレーザー発振が起きないことがわかる。
【0143】(C)EIT,LWIへの共振器効果の応
用 これまでの結果を整理する。なお、議論の見通しを良く
するために、γ=ψГ,λ=φГ,R=θГ(ψ,φ,
θ>0)を用いる。
【0144】下2準位間に緩和が無い場合の光2の吸収
係数α2 は、 EIT;α2 =0 (24a) LWI;α2 =−C2 Гφ(1+φ) (24b) /[2Ω1 2 (ψ+2φ)] であった。
【0145】また、下2準位間に緩和がある場合のα2
は、 EIT;α2 =C2 θГ/2Ω1 2 (25a) LWI;α2 =−C2 Г[φ(1+φ)−θ(ψ+θ)] /[2Ω1 2 (ψ+2φ+θ)] (25b) であった。
【0146】下2準位間に緩和がある場合のθは、光
1,2で結ばれた準位間の自然放出速度に対する、光で
結ばれない下2準位間の自然放出速度の比を表す。この
θを小さくしていくと、式(25a),(25b)の状
態は、それぞれEIT,LWI状態に漸近していく。
【0147】以上の点から、下2準位間の遷移確率がゼ
ロにならない一般の系でEIT,LWIを行なう場合に
は、光1,2で結ばれた準位間と下2準位間の遷移確率
にコントラストをつければ、量子コヒーレントを背景と
する光学遷移の変調が可能になる。
【0148】共振器による遷移確率の制御では、共振器
を構成する2枚のミラーの反射率で自然放出確率の増強
ならびに抑制の強さが決定される。
【0149】ここで、共振器効果による自然放出確率の
増強の割合をFENH 、また抑制の割合をFINH とする
と、FENH ,FINH はそれぞれ次のように表される。
【0150】 FENH 〜−[ln(R1・R2)]-1 (26a) FINH 〜−ln(R1・R2) (26b) R1,R2は2枚のミラーの反射率である。
【0151】式(26)を用いて自然放出確率の増強な
らびに抑制の強さを見積もる。今、R1 =100%、R
2 =98%とすると、FENH としては〜50、FINH
しては〜0.02程度の値が得られる。
【0152】これは、共鳴モードの角周波数を遷移エネ
ルギーに一致させたときには自然放出確率を50倍に増
強し、また共鳴モードから外したときには50分の1に
抑制できることを示している。
【0153】このことから、上の式(25)において自
然放出確率の比θが仮にθ〜1としても、共振器を組む
ことでθ〜FINH /FENH =0.0004程度の値を持
つΛ型3準位を構成することが可能になり、EIT特性
やLWI特性が劇的に向上することがわかる。
【0154】以上、Λ型3準位を例にとり、下2準位間
の遷移確率や緩和速度がゼロでない場合には、EIT,
LWI特性ともに発現しづらくなることを述べた。そし
て、この様な物質においても、共振器を構成することで
良好なEIT,LWI特性が得られることを説明した。
【0155】このような手法により、EITが適用可能
な物質系の範囲が広がり、固体でもLWIレーザーの構
築が可能になるが、それだけに止まらず、例えば光変調
素子など量子コヒーレンスを背景とする多様な光素子を
実現することも可能になる。
【0156】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態(以下、実施形態という)を説明する。
【0157】(第1の実施形態)図10は、本発明の第
1の実施形態に係るLWIレーザーの概略構成を示す模
式図である。
【0158】Λ,V,Ξ型3準位ともに制御光とポンプ
光の2種類の光を用いる。制御光とポンプ光の役割は、
Λ型3準位の場合では制御光は準位1・2間を仮想的に
励起し、ポンプ光は準位4を経由して準位3から準位2
へ電子をポンピングするために用いる。
【0159】また、V型3準位では、制御光は準位2・
3間を励起し、ポンプ光は準位4を経由して準位2から
準位1へ電子をポンピングするために用いる。
【0160】また、Ξ型3準位では、制御光は準位1・
2間を仮想的に励起し、ポンプ光は準位4を経由して準
位3から準位2へ電子をポンピングするために用いる。
【0161】本実施形態のLWIレーザーは、不純物を
含む固体であるEIT層1と、このEIT層1を挟み、
共振器を構成する互いに向かい合う2枚のミラー2,3
と、制御光をEIT層1に入射する制御光源4と、ポン
プ光をEIT層1に入射するポンプ光源5と、ミラー3
から外に向けて出射されるLWIレーザー光(EIT層
から出力されるシグナル光)の強度を検出するためのフ
ォトダイオード6と、このフォトダイオード6とミラー
3との間に設けられ、制御光をカットするフィルタ7と
から構成されている。
【0162】図11は、EIT層中のエネルギー準位と
制御光、ポンプ光、ならびにLWIにより発生したレー
ザー光とを模式的に示したものである。
【0163】図11(a)に示すΛ型励起の場合、EI
T層に用いる材料としては、準位2、準位3の対称性が
等しく、準位1のそれが異なる系を選択する。また、制
御光は準位1・2間を仮想的に励起し、ポンプ光は準位
4から準位2への緩和を利用して準位3から準位2に電
子をポンピングする。
【0164】このように構成したとき、LWIに由来し
た反転分布無しでのレーザー発振が起きる。このレーザ
光の光子エネルギーω2 は、制御光の光子エネルギーを
ω1、準位2・3間のエネルギー差の中心値をω23とす
ると、ω2 =ω1 +ω23である。
【0165】図11(b)に示すV型励起の場合、EI
T層に用いる材料としては、準位1、準位2の対称性が
等しく、準位3のそれが異なる系を選択する。また、制
御光は準位2・3間を実励起し、ポンプ光は準位4から
準位1への緩和を利用して準位2から準位1に電子をポ
ンピングする。
【0166】このように構成したとき、LWIに由来し
た反転分布無しでのレーザー発振が起きる。その光子エ
ネルギーω2 は、制御光のエネルギーをω1 、準位1・
2間のエネルギー差の中心値をω12とすると、ω2 =ω
1 +ω12である。
【0167】図11(c)に示すΞ型励起の場合、EI
T層に用いる材料としては、準位1、準位3の対称性が
等しく、準位2のそれが異なる系を選択する。また、制
御光は準位1・2間を仮想的に励起し、ポンプ光は準位
4から準位2への緩和を利用して準位3から準位2に電
子をポンピングする。
【0168】このように構成したとき、LWIに由来し
た反転分布無しでのレーザー発振が起きる。その光子エ
ネルギーω2 は、制御光のエネルギーをω1 、準位1・
3間のエネルギー差の中心値をω13とすると、ω2 =ω
13−ω1 である。
【0169】(第2の実施形態)本実施形態は、図10
に示したLWIレーザーをより具体化した例である。す
なわち、本実施形態では、EIT層としてPr3+が不純
物として分散しているY3 Al5 12(YAG)を用
い、制御光源4およびポンプ光源5としてともに半導体
レーザーを用い、フォトダイオード6としてSiフォト
ダイオードを用いた構成とした。
【0170】3つのエネルギー準位としてはYAG中の
Pr3+の不純物準位を用い、図12に示すように、一番
上の準位1には電子配置(f)2 30 準位、真ん中
の準位2には電子配置(f)2 33 準位のうち結晶
場で分裂したB1準位、一番下の準位3には基底準位で
ある電子配置(f)2 34 準位のうち同じく結晶場
で分烈したA1準位をそれぞれ選択した。各準位の対称
性は 30 準位がГ1で、 33 (B1)準位と、 3
4 (A1)準位がともにГ3 である。
【0171】これより、準位1・2間の 33 (B1)
30 遷移はГ3 →Г1 、準位1・3間の 34 (A
1)→ 30 遷移もГ3 →Г1 の遷移から構成され、準
位2・3間の 34 (A1)→ 33 (B1)遷移がГ
3 →Г3 の遷移から構成されている。また、電気双極子
遷移に関する光学遷移の選択則からは、準位1・2間と
準位1・3間の遷移が許容で、準位2・3間の遷移が禁
制となる。
【0172】準位3から準位2へ電子をポンピングする
ための準位4としては、 33 (B2)準位を選んだ。
33 (B2)準位の対称性はГ1 であるため、選択則
から34 (A1)→ 33 (B2)遷移は許容とな
る。
【0173】33 (B2)準位に励起された電子はフ
ォノンを放出して 33 (B1)準位へ素早く緩和す
る。したがって、 33 (B2)準位に電子励起を行な
えば 33 (B1)単位にポピュレーションを形成する
ことが可能になる。
【0174】次に、共振器の構成に関しては、準位1・
2間と準位1・3間の 33 (B1)→ 30 遷移と 3
4 (A1)→ 30 遷移が共鳴モードと一致するよう
に2枚のミラー間の距離を調節した。共鳴モードと一致
しているかどうかは、 30準位から 33 (B1)準
位と 34 (A1)準位への発光寿命を調べることで判
別した。
【0175】共鳴モードと一致する場合には、共振器を
構成しない場合と比較して発光寿命が短くなるため、比
較的容易に判別可能である。なお、このとき準位2・3
間の34 (A1)→ 33 (B1)遷移は共鳴モード
から外れていた。
【0176】また、共振器内でのYAG結晶の配置に関
しては、以下のように構成した。
【0177】YAG中のPr3+の対称性は点群D2 に属
する。点群D2 において、最も対称性の高い軸は2回軸
である。結晶中の2回軸としては、[110]軸、[1
01]軸、[011]軸などが挙げられる。選択則よ
り、準位1・2間と準位1・3間の 33 (B1)→ 3
0 遷移と 34 (A1)→ 30 遷移は、いずれもこ
れら2回軸に対してσ遷移として振り舞う。このため、
ここではYAG結晶の[110]軸が共振器軸に対して
平行になるように配置した。
【0178】これより、本LWIレーザーでは 3
3 (B1)・3 0 準位間を光励起しながら、 3
4 (A1)準位から 33 (B1)準位へ電子を光ポン
ピングした。制御光の光エネルギーω1 は準位1・2間
33 (B1)→ 30 遷移に対応するものを選び、
ポンプ光の光子エネルギーは準位3・4間の 34 (A
1)→ 33 (B2)遷移に対応するものを選択した。
なお、制御光の強度は0.1W、またEIT層に入力す
るポンプ光の強度は1Wとした。
【0179】以上の素子構成に基づいて、 30 準位か
34 (A1)準位へのレーザー発振の有無を調べ
た。
【0180】その結果、図13に示すように、 3、P0
34 (A1)遷移に対応する角周波数20534c
-1付近においてレーザー光の連続発振を観測した。そ
のときの強度はおよそ0.5mWであった。
【0181】(比較例1)共振器の構成に関して、ミラ
ー間の距離を変化させて準位1・2間の 33 (B1)
30 遷移を共鳴モードから外した以外は、第1の実
施形態と全く同様の構成のLWIレーザーを用いて 3
0 準位から 34 (A1)準位へのレーザー発振の有無
を調べた。
【0182】その結果、本比較例ではレーザー発振を観
測することはできなかった。以上のことから、固体中の
不純物を用いてLWIを得るには、共鳴モードの角周波
数と遷移エネルギーの大きさを十分に考慮した上で、共
振器を構成する必要があることが理解される。
【0183】(第3の実施形態)本実施形態は、図10
に示したLWIレーザーをより具体化した例である。す
なわち、本実施形態では、EIT層としてPr3+が不純
物として分散しているYAGを用い、制御光源4として
導体レーザーの第2高調波を用い、ポンプ光源5として
半導体レーザーの基本波を用い、フォトダイオード6と
してSiフォトダイオードを用いた構成とした。
【0184】3つのエネルギー準位としてはYAGの中
のPr3+の不純物準位を用い、図13に示すように一番
上の準位1には電子配置(f)2 30 準位、真ん中
の準位2には電子配置(f)2 12 準位のうち結晶
場で分散したC1準位、一番下の準位3には基底準位で
ある電子配置(f)2 34 準位のうちやはり結晶場
で分裂したA1準位をそれぞれ選択した。各準位の対称
性は 30 準位と 12 (C1)準位がともにГ1 で、
34 (A1)準位がГ3 である。
【0185】これより、準位1・2間の 12 (C1)
30 遷移はГ1 →Г1 、準位1・3間の 34 (A
1) 30 遷移と準位2・3間の 34 (A1)→ 1
2 (C1)遷移がГ3 →Г1 の遷移から構成されてい
る。
【0186】電気双極子遷移に関する光学遷移の選択則
からは、準位1・2間の遷移は禁制で、準位1・3間と
準位2・3間の遷移が許容となる。
【0187】準位2から準位1へ電子をポンピングする
ための準位4としては、 16 (D2)準位を選んだ。
16 (D2)準位の対称性はГ3 であるため、選択則
から、 12 (C1)→ 16 (D2)遷移は許容とな
る。
【0188】16 (D2)準位に励起された電子はフ
ォノンを放出して 30 準位へ素早く緩和する。従っ
て、 16 (D2)準位に電子励起を行えば 30 準位
にポピュレーションを形成することが可能になる。
【0189】次に、共振器の構成に関しては、準位1・
3間と準位2・3間の 34 (A1)→ 30 遷移と 3
4 (A1)→ 12 (C1)遷移が共鳴モードと一致
するように2枚のミラー間の距離を調節した。
【0190】共鳴モードと一致しているかどうかは、 3
0 準位から 34 (A1)準位と、 12 (C1)準
位から 34 (A1)準位への発光寿命を調べることで
判別した。なお、このとき準位1・2間の 12 (C
1)→ 30 遷移は共鳴モードから外れていた。
【0191】また、共振器内でのYAG結晶の配置に関
しては、以下のように構成した。
【0192】選択則より、準位1・2間と準位1・3間
33 (B1)→ 30 遷移と 34 (A1)→ 3
0 遷移は、いずれも結晶中の2回軸([110]軸、
[101]軸、[011]軸など)に対してσ遷移とし
て振る舞う。このため、YAG結晶は[110]軸が共
振器軸に対して平行になるように配置した。
【0193】これより、本LWIレーザーでは 3
4 (A1)・ 12 (C1)準位間を光励起しながら、
12 (C1)準位から、 30 準位へ電子を光ポンピ
ングした。制御光の光子エネルギーω1 は準位2・3間
34 (A1)→ 12 (C1)遷移に対応するもの
を選び、ポンプ光の光子エネルギーは準位2・4間の 1
2 (C1)→ 16 (D2)遷移に対応するものを選
択した。
【0194】なお、制御光の強度は0.1W、またEI
T層に入力するポン光の強度は1Wとした。
【0195】以上の素子構成に基づいて、 30 準位か
34 (A1)準位へのレーザー発振の有無を調べ
た。その結果、 30 34 (A1)遷移に対応する
角周波数20534cm-1付近においてレーザー光の連
続発振を観測した。そのときの強度はおよそ1.2mW
であった。
【0196】(比較例2)共振器の構成に関して、ミラ
ー間の距離を変化させて準位2・3間の 34 (A1)
12 (C1)遷移を共鳴モードから外した以外は、
本実施形態と全く同様の構成のLWIレーザーを用いて
30 準位から 34 (A1)準位へのレーザー発振の
有無を調べた。その結果、本比較例ではレーザー発振を
観測することはできなかった。
【0197】(第4の実施形態)本実施形態は、図10
に示したLWIレーザーをより具体化した例である。す
なわち、本実施形態では、EIT層としてHo3+が不純
物として分散しているYAGを用い、制御光源4および
ポンプ光源5として半導体レーザーを用い、フォトダイ
オード6としてSiフォトダイオードを用いた構成とし
た。
【0198】3つのエネルギー準位としてはYAG中の
Ho3+の不純物準位を用い、図14に示すように、一番
上の準位1には電子配置(f)10 33 (1)準位の
うち結晶場で分散したZ1準位、真ん中の準位2には電
子配置(f)10 52 準位のうち同じく結晶場で分裂
したY1準位、一番下の準位3には基底準位である電子
配置(f)10 58 準位のうちやはり結晶場で分裂し
たX1準位をそれぞれ選択した。各準位の対称性は 3
3 (1)(Z1)準位と 58 (X1)準位がともにГ
2 で、 52 (Y1)準位がГ1 である。
【0199】これより、準位1・2間の 52 (Y1)
33 (1)(Z1)遷移と準位2・3間の 58 (X
1)→ 52 (Y1)遷移がともにГ1 →Г2 の遷移、
準位1・3間の 58 (X1)→ 33 (1)(Z1)
遷移がГ2 →Г2 の遷移から構成されている。また、電
気双極子遷移に関する光学遷移の選択則からは、準位1
・3間の遷移は禁制で、準位1・2間と準位2・3間の
遷移が許容となる。
【0200】準位3から準位2へ電子をポンピングする
ための準位4としては、 52 (Y3)準位を選んだ。
52 (Y3)準位の対称性はГ1 であるため、選択則
から58 (X1)→ 52 (Y3)遷移は許容とな
る。 52 (Y3)準位に励起された電子はフォノンを
放出して 52 (Y1)準位へ素早く緩和する。
【0201】したがって、 52 (Y3)準位に電子励
起を行なえば 52 (Y1)準位にポピュレーションを
形成することが可能になる。
【0202】次に、共振器の構成に関しては、準位1・
2間と準位2・3間の 52 (Y1)→ 33 (1)
(Z1)遷移と 58 (X1)→ 52 (Y1)遷移が
共鳴モードと一致するように2枚のミラー間の距離を調
節した。
【0203】共鳴モードと一致しているかどうかは、 3
3 (1)(Z1)準位から 52(Y1)準位と、 5
2 (Y1)準位から 58 (X1)準位への発光寿命
を調べることで判別した。なお、このとき準位1・3間
58 (X1)→ 33 (1)(Z)遷移は共鳴モー
ドから外れていた。
【0204】また、共振器内でのYAG結晶の配置に関
しては、以下のように構成した。
【0205】選択則より、準位1・2間と準位2・3間
52 (Y1)→ 33 (1)(Z1)遷移と 58
(X1)→ 52 (Y1)遷移は、いずれも結晶中の2
回軸[110]軸、[101]軸、[011]軸など)
に対してπ遷移として振る舞う。このため、YAG結晶
は[110]軸が共振器軸に対して垂直になるように配
置した。
【0206】これより、本LWIレーザーでは、 52
(Y1)・ 33 (1)(Z1)準位間を光励起しなが
ら、 58 (X1)から 52 (Y1)準位へ電子を光
ポンピングした。
【0207】制御光の光子エネルギーω1 は準位2・3
間の 52 (Y1)→ 33 (1)(Z1)遷移に対応
するものを選び、ポンプ光の光子エネルギーは準位2・
4間の 58 (X1)→ 52 (Y3)遷移に対応する
ものを選択した。なお、制御光の強度は0.1W、また
EIT層に入力するポンプ光の強度は1Wとした。
【0208】以上の素子構成に基づいて、 52 (Y
1)準位から 58 (X1)準位へのレーザー発振の有
無を調べた。その結果、 52 (Y1)→ 58 (X
1)遷移に対応する角周波数18450cm-1付近にお
いてレーザー光の連続発振を観測した。そのときの強度
はおよそ0.4mWであった。
【0209】(比較例3)共振器の構成に関して、ミラ
ー間の距離を変化させて準位1・2間の 52 (Y1)
33 (1)(Z1)遷移を共鳴モードから外した以
外は、本実施形態と全く同様の構成のLWIレーザーを
用いて 52 (Y1)準位から 58 (X1)準位への
レーザー発振の有無を調べた。その結果、本比較例では
レーザー発振を観測することはできなかった。
【0210】(第5の実施形態)本実施形態は、図10
に示したLWIレーザーをより具体化した例である。す
なわち、本実施形態では、EIT層としてSm2+が不純
物として分散しているCaF2 を用い、制御光源4およ
びポンプ光源5として半導体レーザーを用い、フォトダ
イオード6としてSiフォトダイオードを用いた構成と
した。
【0211】3つのエネルギー準位としてはCaF2
のSm2+の不純物準位を用い、図15に示すように、一
番上の準位1には電子配置(f)5 (d)のT1u準位、
真ん中の準位2には電子配置(f)6 71 準位、一
番下の準位3には基底準位である電子配置(f)6 7
0 準位をそれぞれ選択した。各準位の対称性はT1u
位がT1u、また、 71 準位がT1g、そして 70 準位
がA1gである。
【0212】これより、準位1・2間の 71 →T1u
移はT1g→T1uの遷移、準位1・3間の 70 →T1u
移はA1g→T1uの遷移、準位2・3間の 70 71
遷移がA1g→T1gの遷移から構成されている。また、電
気双極子遷移に関する光学遷移の選択則からは、準位1
・2間と準位1・3間の遷移が許容で、準位2・3間の
遷移が禁制となる。
【0213】準位3から準位2へ電子をポンピングする
ための準位4としては、電子配置(f)5 (d)のA1u
遷移を選んだ。A1u準位に励起された電子は 71 準位
へ素早く緩和する。
【0214】したがって、 70 準位からA1u準位に電
子励起を行えば 71 準位にポピュレーションを形成す
ることが可能になる。
【0215】共振器の構成に関しては、準位1・2間と
準位1・3間の 71 →T1u遷移と70 →T1u遷移が
共鳴モードと一致するように2枚のミラー間の距離を調
節した。なお、このとき準位2・3間の 70 71
遷移は共鳴モードから外れていた。
【0216】これより、本LWIレーザーでは 71
1u準位間を光励起しながら、 70 準位から 71
位へ電子を光ポンピングした。制御光の光子エネルギー
ω1は準位1・2間の 71 →T1u遷移に対応するもの
を選び、ポンプ光の光子エネルギーは準位3・4間の 7
0 →A1u遷移に対応するものを選択した。なお、制御
光の強度は0.1W、またEIT層に入力するポンプ光
の強度は1Wとした。以上の素子構成に基づいて、T1u
準位から 70 準位へのレーザー発振の有無を調べた。
その結果、T1u 70 遷移に対応する角周波数144
83cm-1付近においてレーザー光の連続発振を観測し
た。そのときの強度はおよそ0.09mWであった。
【0217】(第6の実施形態)本実施形態は、図10
に示したLWIレーザーをより具体化した例である。す
なわち、本実施形態では、EIT層としてTm2+が不純
物として分散しているCaF2 を用い、制御光源4およ
びポンプ光源5として半導体レーザーを用い、フォトダ
イオード6としてSiフォトダイオードを用いた構成と
した。
【0218】3つのエネルギー準位としてはCaF2
のTm2+の不純物準位を用い、図16に示すように、一
番上の準位1には電子配置(f)12(d)のG3/2g
位、真ん中の準位2には電子配置(f)13 25/2
位のうち結晶場で分裂したB1準位、一番下の準位3に
は基底準位である電子配置(f)13 27/2 準位のう
ち同じく結晶場で分烈したA1準位をそれぞれ選択し
た。各準位の対称性はG3/ 2g準位がG3/2g、また 2
5/2 (B1)準位がE5/2u、そして、 27/2 (A1)
準位がE5/2uである。
【0219】これより、準位1・2間の 25/2 (B
1)→G3/2g遷移と準位1・3間の 27/2 (A1)→
3/2g遷移はともにE5/2u→G3/2gの遷移、準位2・3
間の 27/2 (A1)→ 25/2 (B1)遷移がE5/2u
→E5/2uの遷移から構成されている。また、電気双極子
遷移に関する光学遷移の選択則からは、準位1・2間と
準位1・3間の遷移が許容で、準位2・3間の遷移が禁
制となる。
【0220】準位3から準位2へ電子をポンピングする
ための準位4としては、電子配置(f)13 2
5/2 (B2)準位を選んだ。 25/2 (B2)準位に励
起された電子は 25/2 (B1)準位へ素早く緩和す
る。
【0221】したがって、 27/2 (A1)準位から 2
5/2 (B2)準位に電子励起を行えば 25/2 (B
1)準位にポピュレーションを形成することが可能にな
る。
【0222】共振器の構成に関しては、準位1・2間と
準位1・3間の 25/2 (B1)→G3/2g遷移と 2
7/2 (A1)→G3/2g遷移が共鳴モードと一致するよう
に2枚のミラー間の距離を調節した。なお、このとき準
位2・3間の 27/2 (A1)→ 25/2 (B1)遷移
は共鳴モードから外れていた。
【0223】これより、本LWIレーザーでは 25/2
(B1)・G3/2g準位間を光励起しながら、 2
7/2 (A1)準位から 25/2 (B2)準位へ電子を光
ポンピングした。
【0224】制御光の光子エネルギーω1 は準位1・2
間の 25/2 (B1)→G3/2g遷移に対応するものを選
び、ポンプ光の光子エネルギーは準位3・4間の 2
7/2 (A1)→ 25/2 (B2)遷移に対応するものを
選択した。なお、制御光の強度は0.1W、またEIT
層に入力するポンプ光の強度は1Wとした。
【0225】以上の素子構成に基づいて、G3/2g準位か
ら、 27/2 (A1)準位へのレーザー発振の有無を調
べた。その結果、G3/2g 27/2 (A1)遷移に対応
する16675cm-1付近においてレーザー光の連続発
振を観測した。そのときの強度はおよそ0.05mWで
あった。
【0226】(第7の実施形態)図18は、本発明の第
7の実施形態に係るLWIレーザーの概略構成を示す模
式図である。
【0227】本実施形態は、EIT媒体としてPrCl
3 を極性溶媒に溶した液体を用いた例である。図18に
示したLWIレーザでは、先の図10のそれとは異な
り、EIT媒体に圧力を加えてノズル9からジェット状
に噴出させることで、液体の形状を板状に整える機構が
付加されている。他の構成要件(制御光源4、ポンプ光
源5、フォトダイオード6など)については先の実施形
態と同様である。
【0228】3つのエネルギー準位としてはPr3+の4
f準位を用い、図19に示すように一番上の準位1には
3 0 準位、真ん中の準位2には3 6 準位、一番下の
準位3には基底準位である3 4 準位をそれぞれ選択し
た。
【0229】準位3から準位2へ電子をポンピングする
ための準位4としては、1 2 準位を選んだ。1 2
位に励起された電子は3 6 準位へ素早く緩和する。し
たがって、3 4 準位から1 2 準位に電子励起を行え
3 6 準位にポピュレーションを形成することが可能
となる。
【0230】共振器の構成に関しては、準位1・2間と
準位1・3間の3 4 3 0 遷移と3 6 3 0
移が共鳴モードと一致するように2枚のミラー間の距離
を調節した。なお、このとき準位2・3間の3 4 から
3 6 への遷移は共鳴モードから外れていた。
【0231】これより、本LWIレーザでは3 6 3
0 準位間を光励起しながら、3 4 準位から1 2
位へ電子を光ポンピングした。制御光の光子エネルギー
ω1は準位1・2間の3 6 から3 0 への遷移に対応
するものを選び、ポンプ光の光子エネルギーは準位3・
4間の3 4 から1 2 への遷移に対応するものを選択
した。なお、制御光の強度は0.1W、また、EIT層
に入力するポンプ光の強度は1Wとした。
【0232】以上の素子構成に基づいて、3 0 準位か
3 4 準位へのレーザ発振の有無を調べた。その結
果、3 0 3 4 遷移に対応する20551cm-1
近においてレーザ光の連続発振を観測した。そのときの
強度はおよそ0.03mWであった。
【0233】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、媒体
中の不純物の光学遷移の遷移確率や緩和速度の値がEI
T条件と合致しない場合でも、光で結ばれる準位間のエ
ネルギーを共振器の共鳴モードに一致させ、光で結ばれ
ない準位間をこの共鳴モードから外すように系を構成す
ることにより、ほぼ全ての不純物においてEITを誘起
でき、これにより固体などの媒体においてEITに立脚
した実用可能なLWIレーザーなどの機能素子を実現で
きるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】EITの基本原理を示す図
【図2】原子ガスのEITのよる光吸収スペクトルを示
す図
【図3】EITに基づくLWIレーザーの基本原理を示
す図
【図4】EITに基づく他のLWIレーザーの基本原理
を示す図
【図5】従来のEITに基づくLWIレーザーの概略構
成を示す模式図
【図6】固体中の結晶軸に対する、不純物の遷移確率の
空間的な強度分布を定性的に示す図
【図7】共振器内でのEIT結晶の幾何学的な配置関係
を定性的に示す図
【図8】LaCl3 結晶中の不純物として分散された1
3種の希土類イオンのエネルギー図
【図9】本発明に係るEIT,LWIに関して、Λ型励
起の場合のエネルギー準位と励起光と緩和過程を示す定
性的なエネルギー図
【図10】本発明の第1の実施形態に係るLWIレーザ
ーの概略構成を示す模式図
【図11】第1の実施形態のLWIレーザーで用いたE
IT層中のエネルギー準位と制御光、ポンプ光との関係
を示す定性的なエネルギー図
【図12】本発明の第2の実施形態に係るLWIレーザ
ーにおいて、EIT層として用いたPr3+;Y3 Al5
12中のPr3+のエネルギー準位を示す図
【図13】本発明の第2の実施形態に係るLWIレーザ
ーにおいて、制御光とポンプ光を照射した際のLWI発
振のスペクトルを調べた結果を示す図
【図14】本発明の第3の実施形態に係るLWIレーザ
ーにおいて、EIT層として用いたPr3+;Y3 Al5
12中のPr3+のエネルギー準位を示す図
【図15】本発明の第4の実施形態に係るLWIレーザ
ーにおいて、EIT層として用いたHo3+;Y3 Al5
12中のHo3+のエネルギー準位を示す図
【図16】本発明の第5の実施形態に係るLWIレーザ
ーにおいて、EIT層として用いたSm2+;CaF2
のSm2+のエネルギー準位を示す図
【図17】本発明の第6の実施形態に係るLWIレーザ
ーにおいて、EIT層として用いたTm2+;CaF2
のTm2+のエネルギー準位を示す図
【図18】本発明の第7の実施形態に係るLWIレーザ
ーの概略構成を示す模式図
【図19】本発明の第7の実施形態に係るLWIレーザ
ーにおいて、EIT媒質として用いたPrCl3 のエネ
ルギー準位を示す図
【符号の説明】
1…EIT層(不純物を含む固体) 2…ミラー 3…ミラー 4…制御光源(励起手段) 5…ポンプ光源(励起手段) 6…フォトダイオード 7…フィルタ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不純物を含む媒体と、 前記不純物のエネルギー準位の中から3つ準位を選び上
    から順に第1の準位、第2の準位、第3の準位としたと
    きに、第1の準位と第2の準位との間のエネルギー差に
    対応する波長を有する第1のコヒーレント光、および第
    1の準位と第3の準位との間のエネルギー差に対応する
    波長を有する第2のコヒーレント光を前記媒体中で共存
    させる励起手段と、 前記媒体に設けられた1対のミラーからなる共振器とを
    具備してなり、 前記第1の準位と前記第2の準位との間の光学遷移およ
    び前記第1の準位と前記第3の準位との間の光学遷移は
    前記共振器の共鳴モードとそれぞれ一致し、これら2つ
    の準位間の遷移確率は前記共振器を設けないときよりも
    高く、 かつ前記第2の準位と前記第3の準位との間の光学遷移
    は前記共振器の共鳴モードから外れ、この準位間の遷移
    確率は前記共振器を設けないときよりも低くいことを特
    徴とする機能素子。
  2. 【請求項2】不純物を含む媒体と、 前記不純物のエネルギー準位の中から3つ準位を選び上
    から順に第1の準位、第2の準位、第3の準位としたと
    きに、第1の準位と第3の準位との間のエネルギー差に
    対応する波長を有する第1のコヒーレント光、および第
    2の準位と第3の準位との間のエネルギー差に対応する
    波長を有する第2のコヒーレント光を前記媒体中で共存
    させる励起手段と、 前記媒体に設けられた1対のミラーからなる共振器とを
    具備してなり、 前記第1の準位と前記第3の準位との間の光学遷移およ
    び前記第2の準位と前記第3の準位との間の光学遷移は
    前記共振器の共鳴モードとそれぞれ一致し、これら2つ
    の準位間の遷移確率は前記共振器を設けないときよりも
    高く、 かつ前記第1の準位と前記第2の準位との間の光学遷移
    は前記共振器の共鳴モードから外れ、この準位間の遷移
    確率は前記共振器を設けないときよりも低くいことを特
    徴とする機能素子。
  3. 【請求項3】不純物を含む媒体と、 前記不純物のエネルギー準位の中から3つ準位を選び上
    から順に第1の準位、第2の準位、第3の準位としたと
    きに、第1の準位と第2の準位との間のエネルギー差に
    対応する波長を有する第1のコヒーレント光、および第
    2の準位と第3の準位との間のエネルギー差に対応する
    波長を有する第2のコヒーレント光を前記媒体中で共存
    させる励起手段と、 前記媒体に設けられた1対のミラーからなる共振器とを
    具備してなり、 前記第1の準位と前記第2の準位との間の光学遷移およ
    び前記第2の準位と前記第3の準位との間の光学遷移は
    前記共振器の共鳴モードとそれぞれ一致し、これら2つ
    の準位間の遷移確率は前記共振器を設けないときよりも
    高く、 かつ前記第1の準位と前記第3の準位との間の光学遷移
    は前記共振器の共鳴モードから外れ、この準位間の遷移
    確率は前記共振器を設けないときよりも低くいことを特
    徴とする機能素子。
  4. 【請求項4】前記不純物を含む媒体は結晶であり、前記
    第1の準位と前記第2の準位との間の光学遷移および前
    記第1の準位と前記第3の準位との間の光学確率はσ遷
    移またはπ遷移であり、σ遷移である場合には前記媒体
    は前記共振器のミラー面に垂直な方向で遷移確率が最大
    となるように配置され、π遷移である場合には前記媒体
    は前記共振器のミラー面に平行な方向で遷移確率が最小
    となるように配置されていることを特徴とする請求項1
    に記載の機能素子。
  5. 【請求項5】前記不純物を含む媒体は結晶であり、前記
    第1の準位と前記第3の準位との間の光学遷移および前
    記第2の準位と前記第3の準位との間の光学確率はσ遷
    移またはπ遷移であり、σ遷移である場合には前記媒体
    は前記共振器のミラー面に垂直な方向で遷移確率が最大
    となるように配置され、π遷移である場合には前記媒体
    は前記共振器のミラー面に平行な方向で遷移確率が最小
    となるように配置されていることを特徴とする請求項2
    に記載の機能素子。
  6. 【請求項6】前記不純物を含む媒体は結晶であり、前記
    第1の準位と前記第2の準位との間の光学遷移および前
    記第2の準位と前記第3の準位との間の光学確率はσ遷
    移またはπ遷移であり、σ遷移である場合には前記媒体
    は前記共振器のミラー面に垂直な方向で遷移確率が最大
    となるように配置され、π遷移である場合には前記媒体
    は前記共振器のミラー面に平行な方向で遷移確率が最小
    となるように配置されていることを特徴とする請求項3
    に記載の機能素子。
  7. 【請求項7】前記第1の準位と前記第2の準位との間の
    エネルギーに対応した角周波数を有する光に対する前記
    媒体の屈折率をn12、前記第1の準位と前記第3の準位
    との間のエネルギーに対応した角周波数を有する光に対
    する前記媒体の屈折率をn13、前記第2の準位と前記第
    3の準位との間のエネルギーに対応した角周波数を有す
    る光に対する前記媒体の屈折率をn23としたときに、n
    23/n12およびn23/n13の少なくとも一方が非整数で
    あることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか
    1項に記載の機能素子。
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