JPH1084813A - C型肝炎モデル動物 - Google Patents

C型肝炎モデル動物

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JPH1084813A
JPH1084813A JP9177222A JP17722297A JPH1084813A JP H1084813 A JPH1084813 A JP H1084813A JP 9177222 A JP9177222 A JP 9177222A JP 17722297 A JP17722297 A JP 17722297A JP H1084813 A JPH1084813 A JP H1084813A
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Nagaharu Taya
長治 多屋
Izumi Saito
泉 斎藤
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Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science
Chugai Pharmaceutical Co Ltd
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TOKYO MET GOV RINSHIYOU IGAKU SOGO KENKYUSHO
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 C型肝炎ウイルス由来のcDNAがスイ
ッチング発現するように導入されているC型肝炎モデル
動物。 【効果】 C型肝炎の発症機構の解明、治療手段の開発
に有用なC型肝炎モデル動物を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、C型肝炎モデル動
物に関する。本発明のモデル動物は、C型肝炎の発症機
構の解明、治療手段の開発等に有用である。
【0002】
【従来の技術】C型肝炎ウイルス(以下、「HCV」と
いう)の遺伝子をマウスなどの小動物に導入し、導入し
た遺伝子を発現させて肝炎の発症モデルをつくろうとい
う試みはこれまでも多く行われてきた(C.Pasquinelli
ら Abstract book of 2nd international meeting on h
epatitis C virus and related viruses(July 31-Augus
t 5, 1994 San Diego,USA)、C.Pasquinelli ら Abstrac
t book of 3nd international meeting on hepatitis C
virus and related viruses(August 28-September 3,1
995 Gold coast,Australia) 、Kazuhiko Koikeら J.Gen
eral Virology 76p3031-3038 1995、T.Kato Arch Virol
141 p951-958 1996 )。しかし、ほかの多くの遺伝子
と異なり、HCV遺伝子はマウス個体への組み込みが困
難であり、また、うまく組み込まれてもHCV蛋白質の
産生が認められない例がほとんどであった。さらに、H
CV蛋白質の産生が認められたきわめて稀な例でも胎児
期より蛋白質が産生され、免疫寛容になるために、生後
も典型的な肝炎症状を呈するものはなく、肝炎モデルに
はなりえていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ヒトの疾患の発症機構
を解明し、その治療手段を開発するにあたっては、その
疾患と酷似した病態を示すモデル動物が重要な役割を果
たす。しかし、上記のようにC型肝炎に関しては、その
ようなモデル動物が未だに作りだされておらず、このこ
とがC型肝炎の発症機構を解明する上での一つの障害と
なっている。本発明は、このような技術的背景の下にな
されたものであり、その目的は、ヒトC型肝炎と同様の
病態を示す新規なモデル動物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため鋭意検討を重ねた結果、HCV由来のcD
NAをスイッチング発現するようにマウスに導入するこ
とにより、マウスにヒトのC型肝炎と酷似した病態を発
症させることができるのを見いだし、本発明を完成し
た。即ち、本発明は、C型肝炎ウイルス由来のcDNA
が導入されていることを特徴とするC型肝炎モデル動物
である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
最初に、本発明のモデル動物の特徴について説明する。
本発明のC型肝炎モデル動物の一例では、HCV由来の
cDNAがスイッチング発現するように導入さている。
ここで「スイッチング発現」とは、所望の時期に特定の
遺伝子を発現させることができる発現システムをいう。
スイッチング発現は、例えば、発現させようとする遺伝
子とそのプロモーターの間に、所望の時期に除去可能な
配列を介在させることや薬物などにより誘導可能なプロ
モーターを使用することにより構築できる。前者の具体
例としては、Cre/loxP発現システム(Nat Sternberg ら
J.Molecular Biology 150.p467-486 1981、Nat Sternb
erg ら J.Molecular Biology 150.p487-507 1981)を挙
げることができる。Cre/loxP発現システムは、2つのlo
xP配列にはさまれた挿入遺伝子(これが、プローモータ
ーと目的とする遺伝子の間に介在し、その遺伝子の発現
を抑制する)と、挿入遺伝子を1つのloxP配列とともに
除去するP1ファージCre DNA組換え酵素(以下、単に
「Cre 」という)とからなり、Cre を作用させることに
より任意の時期に目的の遺伝子を発現させることができ
る。loxP配列は、大腸菌P1ファージの遺伝子に由来する
DNAであって、下記のような塩基配列を有する長さ34
bpのDNAである。
【0006】ATAACTTCGTATAGCATACATTATACGAAGTTAT Cre は、大腸菌P1ファージに由来する分子量約38kDのD
NA組換え酵素である。HCV由来のcDNAをスイッ
チング発現させることにより、動物がある程度成長した
段階でHCV由来のタンパク質を産生させることができ
る。このため、従来のC型肝炎モデル動物で問題となっ
ていた免疫寛容の問題を回避することができる。
【0007】本発明のC型肝炎モデル動物の外形的な特
徴は、ヒトのC型肝炎と同様の病態を示すことである。
具体的な病態としては、本実施例にあるように血清中の
GPTの上昇、肝組織での好酸体の出現と肝細胞の脱
落、クッパー細胞の肥大と増加、リンパ球の集簇などを
挙げることができる。但し、これらの病態は、導入する
DNA断片、モデル動物の種類などにより変動するの
で、本発明の技術的範囲を限定的に定めるものではな
い。
【0008】次に、本発明のモデル動物の作出方法につ
いて説明する。本発明のC型肝炎モデル動物は、例え
ば、以下のようにして作出することができる。まず、H
CV由来のcDNAをスイッチング発現させることので
きるベクターを作製する。このようなベクターは、例え
ば、プロモーターとloxP配列を含むベクターに、HCV
由来のcDNAをloxP配列の下流に挿入することにより
作製できる。プロモーターとloxP配列を含むベクターと
しては、Yumi Kanegaeらが作製したPCALNLW 、本発明者
が作製したpCALN/pBR などがある。なお、pCALN/pBR を
導入した大腸菌は、工業技術院生命工学工業技術研究所
に寄託番号FERM P-15753として寄託されている(寄託
日:平成8年7月22日)。ベクターに挿入するcDNA
としては、例えば、実施例にあるCN2、N24、CR
などを用いることができるが、これらに限定されるわけ
ではない。このようなcDNAは、Nobuyuki Kato らの
方法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.87,9524-9528,1990)に
従って作製することができる。
【0009】次に、作製したベクターから発現カセット
を切り出し、これを受精卵に導入し、導入後の受精卵を
仮親に移植する。受精卵への導入は、例えば、マイクロ
インジェクション法など常法に従って行い得る。また、
cDNA導入の対象とする動物の種類は、トランスジェ
ニック動物の作出技術が確立されている動物であれば特
に制限はない。実施例では、マウスを用いているが、こ
れに限定されることなく、ラット、ウサギ、ブタ、メダ
カ、ゼブラフィッシュなどでもよい。
【0010】次に、仮親から得られた動物の中からHC
V由来のcDNAを有しているものを選抜し、さらに、
HCV由来のcDNAがスイッチング発現するものを選
抜して、本発明のC型肝炎モデル動物を得る。HCV由
来のcDNAを有しているかどうかは、PCR法により
判断できる。即ち、選抜しようとする動物からDNAを
抽出し、それを鋳型とし、導入したcDNAの両末端に
対応するオリゴヌクレオチドを合成してプライマーと
し、PCRを行う。HCV由来のcDNAが導入されて
いれば増幅断片が検出されるが、HCV由来のcDNA
が導入されていなければ増幅断片は検出されない。ま
た、HCV由来のcDNAがスイッチング発現している
かどうかは、HCV由来のcDNAの発現を阻害してい
る配列を除去し、in vitro又はin vivo で該cDNAに
対応するタンパク質が産生されているかどうかを調べれ
ばよい。HCV由来のcDNAに対応するタンパク質が
産生されているかどうかは、ウェスタンブロット法や蛍
光抗体染色法などにより調べることができる。
【0011】HCV由来のcDNAは、スイッチング発
現するので本発明のC型肝炎モデル動物は、そのままの
状態では肝炎を発症せず、肝炎を発症させるためには、
当該cDNAの発現を抑制している配列を除去すること
が必要である。そのような抑制配列を除去するには、D
NA組換え酵素を用いればよく、例えば、抑制配列が、
loxP配列であれば、loxP配列を除去する酵素であるCre
を発現するアデノウイルスAxNCreを感染させればよい。
Cre 及びAxNCreは、Yumi Kanegaeら Nucl.Acids Res.2
3,19,38 16-21.1995 の記載に従って作製できる。
【0012】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説
明する。但し、本発明の技術的範囲は、実施例により限
定されるものではない。 〔実施例1〕Cre/loxP発現システムを利用した発現ベク
ターの構築 CAGプロモーター下流の2つのloxP配列にはされまれ
たネオマイシン耐性遺伝子を挿入した発現カセットを p
CALNLW(Yumi Kanegaeら Nucl.Acids Res.23,19,38 16-
21.1995 )から切り出し、pBR322に組み込みpCALN/pBR
を作成した(図1)。ネオマイシン耐性遺伝子およびlo
xP配列の下流のSwaI切断部位でpCALN/pBR を開裂し、3
種類のHCV由来のcDNA (CN2,N24,CR)
を挿入した(図2) 。
【0013】CN2はHCV遺伝子の 294番から3435番
の塩基に対応する3160bpのcDNAであり、N24はHC
V遺伝子の2769番から6823番の塩基に対応する4055bpの
cDNAであり、CRはHCV遺伝子の 294番から9455
番の塩基に対応する9162bpのcDNAである。このHC
V由来のcDNAは小原らによって、チンパンジーおよ
びHPBMa細胞に感染性が確認されたR6血清(Yohk
o K.Shimizu ら Proc.Natl.Acad.Sci.USA.90,6037-6041
中の「plasma K」に相当する血清である。)からRT−
PCR法により分離したものを使用した(Nobuyuki Kat
o ら Proc.Natl.Acad.Sci.USA.87,9524-9528,1990 )。
【0014】HCV由来のcDNAを挿入した発現ベク
ターから HindIII切断により、発現カセットを切り出
し、アガロースゲル電気泳動により分離精製した。この
DNAをさらに塩化セシウムを用いた比重遠心法にて精
製した。得られたDNAを脱塩、エタノール沈殿後TE
buffer (10mM Tris-HCl, 1mM EDTA) に溶解した。
【0015】〔実施例2〕トランスジェニックマウスの
作出 雌マウス(BALB/cCrSlc 及びC57Bl/10SnSlc 、共に日本
エスエルシー株式会社製)に排卵誘起剤投与後、同系統
の雄と交配し、翌日雌マウスの卵管より前核受精卵を採
取した。実施例1で調製したDNA断片溶液(1-5 μg/
ml)を微小ガラス管を用いて受精卵の前核に約2pl注入
した。この操作は、〔「受精卵へのDNAの注入、発生
工学実験マニュアル」(野村達次 監修、勝木元也
編)41-76頁、講談社1987年〕及び〔「前核へのDNA
のマイクロインジェクション、マウス胚の操作マニュア
ル」(Manipulating the Mouse Embryo, A Laboratory M
anual )(B.Hogan, F.Costantini and E.Lacy/ 著、山
内一也、豊田裕、森庸厚、岩倉洋一郎/訳)、155-173
頁、近代出版1989年〕の記載に従って行った。DNAを
注入した受精卵は、偽妊娠仮親雌マウス(Slc:ICR 、日
本エスエルシー株式会社製)の卵管に移植し、約20日後
に自然分娩又は帝王切開により出生させた。
【0016】〔実施例3〕トランスジェニックマウスの
スクリーニング HCV遺伝子に特異的な配列をもつプライマーを用いた
PCRにより、得られたマウスの体細胞遺伝子へのトラ
ンスジーンの組み込みをスクリーニングした。
【0017】マウスの耳介切片を125mg/mlプロティネー
スK溶液(50mM KCl/10mM Tris-HClpH8.3/1.5mM MgCl2
/0.1% ゲラチン/0.45% NP40/0.55% Tween20)中で55℃1
hインキュベート後96℃10分間加熱した。得られたDN
A溶液5μl をPCRに使用した。CN2を使用したマ
ウスのスクリーニングのためのPCRのプライマーには
センスプライマーとして6-294-S20 (5'-TGATAGGGTGCTTG
CGAGTG-3')、アンチセンスプライマーとして6-604-R18
(5'-TTGCCATAGAGGGGCCAA-3')を各最終濃度1μM で用い
た。PCRは94℃2分加熱後、94℃1分、55℃2分、72
℃2分の反応を40回、サーマルサイクラー(パーキンエ
ルマー)で行った。得られたPCR産物を3%アガロー
スに電気泳動し、エチジウムブロマイド染色にて、目的
のDNA産物(311bp)の有無を判定した。図3にPCR
産物のアガロース電気泳動による検出の例を示す。図中
のAおよびCは陰性マウス、Bは陽性マウス、Nは陰性
対照(BALB/cマウス)、Mは陽性対照(pCALN-CN2 プラ
スミドDNA)からのPCR産物、MはDNAサイズマ
ーカーを示す。BALB/cCrSlc から得られたマウス28匹の
うち7匹が陽性であり、C57Bl/10SnSlc から得られたマ
ウス3匹のうち1匹が陽性であった。それぞれの陽性マ
ウスを繁殖し、以後の検討に用いた。
【0018】N24遺伝子のスクリーニングにはセンスプ
ライマーとして 6-4269-S20 (5'-TATGACATCATAATATGTGA
-3')、アンチセンスプライマーとして6-4599-R20 (5'-C
CCGATAATATGCTACAGCA-3') を使用してCN2と同様の方
法でPCRを行った。この結果、BALB/cCrSlc から得ら
れたマウス55匹のうち8匹が陽性であり、C57Bl/10SnSl
c から得られたマウス16匹のうち4匹が陽性だった。C
R遺伝子のスクリーニングはCN2と同じプライマーを
使用した。BALB/cCrSlc から得られたマウス16匹のうち
1匹が陽性だった。
【0019】〔実施例4〕培養細胞によるトランスジェ
ニックマウスの発現スクリーニング 本発明のトランスジェニックマウスはスイッチング発現
システムを用いているので通常の状態ではHCV遺伝子
は発現しない。発現を開始させるためにCre を作用させ
る必要がある。このため本発明者は、Cre を発現する組
み換えアデノウイルスAxNCreを作成した。アデノウイル
スAxNCreの作成は、Yumi Kanegaeらの方法に従った( N
ucl.Acids Res.23,19,38 16-21.1995 )。
【0020】トランスジェニックマウス(CN2導入、
BALB/cCrSlc 由来)より脾臓を外科的に摘出し、脾細胞
と線維芽細胞を分離培養した。培養した脾細胞および線
維芽細胞にAxNCreを moi=0,10,100で感染させ、48時
間、5%CO2 、37℃で培養した後細胞を回収した。得
られた脾細胞を遠心し、酸性フェノール・グアニジン法
にてRNAを抽出し、このRNAを鋳型として6-604-R2
0 をプライマーとしてcDNA合成を行った。cDNA
合成終了後6-294Sプライマーを追加し、PCRを行い、
PCR産物の有無によりHCV由来のRNA産生の有無
を調べた。この方法で2マウス中2マウスに(line8 と
line13) HCV由来のRNAの産生を確認した(図
4)。
【0021】さらに、HCV蛋白質の発現を確認するた
めにウェスタンブロット法と蛍光抗体染色法を行った。
AxNCreを感染させた3×107 細胞の脾細胞を1×Sample
buffer (50mM Tris-HCl pH6.8, 2%SDS,10%グリ
セロール、5%2ME)60μlで溶解し 100℃5分間加
熱した。得られたサンプルを10−20%グラジエントSD
S−PAGEゲルにて泳動した。泳動終了後セミドライ
ブロット装置(ミリポア) にてPVDF膜(ミリポア)
に転写した。転写した膜を抗コアモノクローナル抗体お
よび抗E2モノクローナル抗体と反応させた。8マウス
中2マウス(line8 とline29) に陽性反応を得た(図
5)。なお、本実施例で用いたモノクローナル抗体は、
HCVの遺伝子からコア、E1、E2の蛋白質を遺伝子
組み換えにより作製し、BALB/cマウスに免疫して、作製
した(Masahiko Kaitoら J.GeneralVirology 75 p1775-
1760 1994、Tomiko Kashiwakuraら J.Immunological Me
thods 190 p78-89 1996)。
【0022】またスライドグラス上で培養した線維芽細
胞にもAxNCreを moi=100 で感染させ、48時間培養後、
アセトン:メタノール=1:1溶液中で20℃、10分間、
固定した。固定した細胞を抗コアモノクローナル抗体、
抗E1モノクローナル抗体および抗E2モノクローナル
抗体と反応させ、間接蛍光法にて検出した。ウェスタン
ブロット法と同様に8マウス中2マウス(line8 とline
29) に陽性所見が得られ(図6〔line8 〕)、陽性マウ
ス(line8 とline29) はウェスタンブロット法と蛍光抗
体法で同じだった。
【0023】〔実施例5〕in vivo でのHCV蛋白質発
現 細胞培養実験でHCV蛋白質発現陽性だったマウス(li
ne8 とline29) を用いてin vivo での発現実験を行っ
た。AxNCreは、マウスの尾静脈から静注により投与、ま
たは脾臓に直接注入した。3日後にマウスの肝臓を摘出
し、HCV蛋白質の発現を解析した。マウス肝切片に1
mlのRIPAバッファー(10mM Tris-HClpH7.4/1% SDS
/0.5% NP40/0.15M NaCl/1mM PMSF)を加えダウンスホモ
ゲナイザー中で20ストロークホモゲナイズした。溶液を
100℃、5分間加熱後、4℃、15分間超音波処理をし
た。1万4千回転で10分間遠心し、上清を分離した。得
られた上清の蛋白濃度を測定し、また、コア蛋白質のE
IA(Takeshi Tanakaら J.Hepatology23:742-745.199
5)及びウェスタンブロッティングを行った。
【0024】上清5μl に、コア蛋白質EIA用の分散
液(20mMクエン酸Na、O.5%NaCl、10N Urea)50μl 、さ
らにコア蛋白質に対する変性液(O.5%NaOH)50μl を加
え室温で10分間反応させた。中和液(0.5M NaH2PO4、5%
Triton X-100 )を50μl 加えた後、EIA反応を行っ
た。AxNCreを投与したトランスジェニックマウス(line
8 とline29) の肝サンプルではEIA陽性となったが、
非トランスジェニックマウスでは陰性だった。ウェスタ
ンブロット法でも同様にトランスジェニックマウスでは
21kDa のコア蛋白質、37〜38kDa のE1蛋白質、67〜69
kDa のE2蛋白質が検出されたが(line8 とline29) 、
非トランスジェニックマウスでは検出されなかった。
【0025】〔実施例6〕トランスジェニックマウスに
おけるHCV蛋白質発現による肝障害 トランスジェニックマウス(line8 とline29) にHCV
構造蛋白質(コア、E1、E2)を発現させて、肝臓に
おけるHCV蛋白質の発現と肝臓組織像および血清GP
T値の変化を経時的に観察した。 AxNCre 109 pfu をマ
ウスの尾静脈より投与した。AxNCre投与後3、5、7、
10日目にマウスをと殺した。トランスジェニックマウス
肝臓におけるHCVコア蛋白質の発現を定量的にEIA
法で測定すると、7日目まで増加し、10日目には減少し
た(図7)。血清GPT値は5日目まで低値だが、7日
目に急激に上昇し、10日目まで上昇した(図7)。肝組
織では好酸体の出現と肝細胞の脱落、クッパー細胞の肥
大と増加、リンパ球の集族像が3日目から観察でき、そ
の所見は7日目および10日目に急激に増強した。7日
目、10日目にはこれらの所見に加え、肝細胞の再生像が
強く見られた(図8、図9、図10)。これらの所見は
ヒトの急性肝炎とよく似ており、HCV構造蛋白質の発
現により急性肝障害が誘導されたと考えられた。また好
酸体がアポトーシスをおこした肝細胞であることを確認
するためにTunnel法(R.Gold Lab.Invest 71 p219-225
1994)により断裂化したDNAを染色、陽性所見を得
た。
【0026】
【発明の効果】本発明は、新規なヒト疾患モデル動物を
提供する。このモデル動物は、ヒトのC型肝炎に酷似し
た病態を示すので、C型肝炎の発症機構の解明、治療手
段の確立に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】pCALN/pBR ベクターの構造を示す図である。
【図2】HCV由来のcDNAのpCALN/pBR への挿入部
位を示す図である。
【図3】PCR産物のアガロース電気泳動の結果を示す
写真である。
【図4】PCR産物のアガロース電気泳動の結果を示す
写真である。
【図5】マウス脾細胞由来のタンパク質のウエスタンブ
ロットの結果を示す写真である。
【図6】マウス繊維芽細胞由来のタンパク質の蛍光抗体
染色の結果を示す写真である。
【図7】HCV由来のcDNAを導入したマウス中の血
清GPT値及びHCVコアタンパク質の経時的な変化を
示す図である。
【図8】AxNCre投与前のHCV由来のcDNAを導入し
たマウスの肝細胞の顕微鏡写真である。
【図9】AxNCre投与後5日目のHCV由来のcDNAを
導入したマウスの肝細胞の顕微鏡写真である。
【図10】AxNCre投与後7日目のHCV由来のcDNA
を導入したマウスの肝細胞の顕微鏡写真である。
【手続補正書】
【提出日】平成9年7月4日
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図7】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 多屋 長治 東京都北区王子本町1−13−12−303 (72)発明者 斎藤 泉 東京都渋谷区代々木2−37−15−412

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C型肝炎ウイルス由来のcDNAが導入
    されていることを特徴とするC型肝炎モデル動物。
  2. 【請求項2】 C型肝炎ウイルス由来のcDNAが、ス
    イッチング発現するように導入されていることを特徴と
    する請求項1記載のC型肝炎モデル動物。
  3. 【請求項3】 C型肝炎ウイルス由来のcDNAをスイ
    ッチング発現させる手段が、C型肝炎ウイルス由来のc
    DNAとプロモーターの間にloxP配列を介在させること
    である請求項2記載のC型肝炎モデル動物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1999067394A1 (fr) 1998-06-24 1999-12-29 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Vecteur exprimant le gene pleine longueur de virus a arn et son utilisation
JPWO2003037081A1 (ja) * 2001-10-30 2005-02-17 財団法人 東京都医学研究機構 Hcv遺伝子トランスジェニック動物

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WO1999067394A1 (fr) 1998-06-24 1999-12-29 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Vecteur exprimant le gene pleine longueur de virus a arn et son utilisation
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