JPH1079349A - 選択成長マスク、及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

選択成長マスク、及び半導体装置の製造方法

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JPH1079349A
JPH1079349A JP23328596A JP23328596A JPH1079349A JP H1079349 A JPH1079349 A JP H1079349A JP 23328596 A JP23328596 A JP 23328596A JP 23328596 A JP23328596 A JP 23328596A JP H1079349 A JPH1079349 A JP H1079349A
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selective growth
region
layer
masks
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Takushi Itagaki
卓士 板垣
Muneharu Miyashita
宗治 宮下
Yutaka Mihashi
豊 三橋
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成長層内の結晶性の劣化を抑えた選択成長を
行うことができる選択成長マスク,及び半導体装置の製
造方法を提供する。 【解決手段】 InP基板2上に設けられた、ストライ
プ形状の2つの誘電体膜からなる第1のマスク50a
と、該第1のマスク50aを構成する2本の誘電体膜に
挟まれた領域内に該第1のマスク50aの2本の誘電体
膜のそれぞれに対して所定の間隔を隔てて平行に配置さ
れた2本の線状の誘電体膜からなる第2のマスク50b
とにより構成される選択成長マスク50を用いて、選択
成長を行うようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、選択成長マス
ク,及び半導体装置の製造方法に関し、特に、歪多重量
子井戸構造を選択成長させる際に用いる選択成長マス
ク,及び歪多重量子井戸構造を有する半導体装置の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図6は従来の選択成長マスクを用いた光
変調器付半導体レーザの製造方法の主要工程を模式的に
示す図であり、図6(a) は基板の上面からみた平面図を
示し、図6(b) は、該図6(a) のVIb-VIb 線による断面
に相当する図を示している。図において、2はn型In
P基板、30は幅Wmの2本のストライプ形状の誘電体
膜が間隔Woを隔てて互いに平行に配置されてなる選択
成長マスクで、ここではWm=50μm,Wo=70μ
m,ストライプ方向の長さを450μmとしている。1
0は幅1.5μmの導波路形成領域、31は下クラッド
層、32は歪多重量子井戸構造、33は上クラッド層で
ある。
【0003】誘電体からなる選択成長マスクを用いた選
択MOCVD成長法は、半導体基板上の一部に設けられ
た所定のパターンを有する誘電体マスクによって、本来
誘電体マスクの表面に吸着、成長すべき有機金属からな
る成長種が、マスク周辺部の半導体基板の成長面へ向か
って気相中あるいは誘電体マスクの表面上を拡散すると
いう現象を用いた成長方法であり、誘電体マスクの端か
らその周辺部において成長速度が増大するという効果が
得られる成長方法である。
【0004】実デバイスの作製では、特に、図6(a) に
示したような基板2上に間隔Woで互いに平行に2本配
置した幅Wmのストライプ形状の誘電体材料からなる選
択成長マスク30により、マスク30の周辺の領域,及
びマスク30に挟まれた領域,の成長速度を、マスク3
0から十分に離れた領域,つまりマスク30の影響のな
い領域に比べて増大させる効果を利用している。このよ
うな選択成長マスク30を用いた選択成長においては、
マスク30の周囲、及びマスク30の間に挟まれた領域
上の成長速度は、マスク30を構成する2本の誘電体膜
のそれぞれの幅Wmに比例して増大し、また、2本の誘
電体膜同士の間隔Woを狭めることで増大する。このよ
うな選択成長マスク30を用いた成長方法においては、
マスク30周辺、及びマスク30に挟まれた領域と、マ
スク30から離れた領域との間で成長速度に差を生じさ
せることができるため、結晶成長層の厚さの基板の上面
内における分布を、マスクの幅Wmとマスク間隔Woに
よって制御できる。
【0005】従来から、このような選択成長マスク30
を用いた結晶成長方法を利用して、各種の光デバイスが
作製されている。例えば同一基板上に光変調器と半導体
レーザとを集積化した光変調器付分布帰還型(DFB)
レーザ等の光導波路デバイスの製造方法に本技術を適用
した場合について説明すると、図6(a) に示すような選
択成長マスクを用いて、基板2上に下クラッド層31、
多重量子井戸層(以下,MQW層とも称す)32、上ク
ラッド層33、コンタクト層(図示せず)を順次結晶成
長させると、図6(b) に示す成長断面図のように、マス
ク30上部には結晶成長が起こらず、マスク30から離
れた領域では、通常の成長速度で成長されるとともに、
マスク30に挟まれた領域においては、すべての成長層
に一定の成長速度の増大が生じる。このため、マスク3
0から十分に離れた領域とマスク30に挟まれた領域と
の間で、MQW層31の層厚が異なるため、マスク30
に挟まれた領域とマスク30に挟まれていない領域とを
貫通するように、即ち導波路形成領域10の位置で上記
結晶成長した層をメサ形状にエッチングして導波路を形
成することにより、導波路となるMQW層31にマスク
30に挟まれた領域とマスクに挟まれていない領域との
間でバンドギャップ差を生じさせることができ、この結
果、マスク30に挟まれた領域に半導体レーザを形成
し、マスクに挟まれていない領域に光変調器を形成する
ことができ、半導体レーザと光変調器の2つの機能素子
を基板上に一括して形成することができる。
【0006】一方、上記のような選択成長マスクを用い
た選択成長方法を歪多重量子井戸層を含む構造等の選択
成長に適用した場合、選択成長される層の結晶性が低下
する場合がある。
【0007】図7は従来の選択成長マスクを用いた選択
成長方法において選択成長された、井戸層に0.7%圧
縮歪を有するInGaAsPウエル層(7nm)とPL
波長が1.18μmとなる組成のInGaAsPバリア
層(5nm)とを、ウエル層が8層となるように交互に
積層してなる多重量子井戸構造(Multi quantum well構
造)の顕微フォトルミネッセンス(以下、PLと称す)
マッピング測定によるPL強度分布を示す図であり、図
において、30aは選択成長マスクであり、40は最大
のPL強度が観測される領域に対して、その強度が約4
0%以上落ちている領域を示している。なおここでは、
上記図6(a) に示した選択成長マスク30と同様の選択
成長マスク30aを用いて、n−InP基板上に厚さ
0.2μmのn−InP層と、In0.74Ga0.26As
0.780.22ウエル層及びIn0.797 Ga0.203 As
0.442 0.558 バリア層からなる多重量子井戸構造と、
厚さ0.1μmのp−InP層とを順次成長した場合の
多重量子井戸構造のPL分布強度を求めており、この選
択成長マスク30aのマスクの幅Wmとマスク間隔Wo
はそれぞれ50μm,70μmである。このPL強度の
測定は、基板の上方からレーザ光を照射することにより
発生したPL光を受光してマッピングしたものであり、
励起光源として1.06μmYAGレーザを用い、ピッ
チを2.5μmとして測定を行った。ビームスポット径
は1μmである。
【0008】この図7に示されているように、マスク3
0a周辺部において、マスク端を起点として特に〈01
1〉方向に平行に発生したPL強度が連続して低下した
領域、例えばPL強度が40%以上低下している領域4
0が観察される。このPL強度の低下した領域は一般に
PLダークラインと呼ばれている。半導体結晶内にはク
ラック等の発生にともない、結晶構造が正常な状態から
ずれてすべり面が形成される場合があるが、PLダーク
ラインは、このような半導体結晶内のすべり面が形成さ
れた部分において観測されるものである。つまり、PL
ダークラインが観測される部分は良好な結晶性が得られ
ていない領域であることを示している。
【0009】図8は、図7に示したようなPL強度分布
を17個のマスクペアについてそれぞれ測定し、それぞ
れのマスクペアにおいて図7のVIII-VIII 線で表された
部分に対応した部分、即ちマスク30aのストライプ方
向の端部近傍を通過する部分におけるダークラインの発
生している頻度を、マスク30aのストライプ方向と垂
直な方向における位置関係で表したものである。図にお
いて、図7と同一符号は同一または相当する部分を示し
ており、線グラフは成長速度の増大率を示し、棒グラフ
はPLダークラインの発生頻度を示している。横軸の0
の位置はマスク30aに挟まれた領域の中央位置に対応
している。なお、成長速度増大率は増大率を測定する部
分の成長速度Rgとマスク等の影響がない通常の成長速
度が得られる部分との成長速度R0 との比により表され
る。
【0010】この図8からわかるように、PLダークラ
インの発生頻度分布は、ストライプ形状のマスク30a
が形成されている領域の延長上の領域では、それぞれの
マスク30aのそれぞれの中央近傍部分にピークを有し
たなだらかな分布を示しているとともに、マスク30a
の端部からやや離れた位置においても、特徴的に高い頻
度の分布を示している部分がある。
【0011】半導体結晶の選択成長においては、マスク
端部を最大とした指数関数的な層厚の増大が起こる。ま
た、MQW層を構成するInGaAsの選択成長におい
ては、マスク端部近傍とマスクから離れた領域との間で
の成長層の組成の変動が発生する。この変化はマスク端
部近傍でIn組成がGa組成より高くなるもので、この
In組成比の増加によりマスク端部近傍では、マスクよ
り離れた成長層よりも圧縮歪がかかる。一般に化合物半
導体において、結晶成長層に圧縮歪をかけた場合、成長
層の層厚の増大及び歪量の増大によって成長層にかかる
応力が増大して結晶構造が破壊されるという、臨界膜厚
の存在が知られているが、選択成長マスクを用いた選択
成長では、マスク周辺部、特に層厚、及び圧縮歪量とも
に最大となるマスク端において、臨界膜厚を超えやす
く、臨界膜厚を越えた場合に、結晶構造が破壊されて、
結晶内にすべり面が形成され、これがPLダークライン
として観察されるようになる。
【0012】また、図10は従来の選択成長マスクを用
いた選択成長方法において選択成長された、井戸層に
1.0%圧縮歪を有するInGaAsPウエル層(7n
m)とPL波長が1.18μmとなる組成のInGaA
sPバリア層(5nm)とを、ウエル層が8層となるよ
うに交互に積層してなる多重量子井戸層に対して図7と
同様に顕微フォトルミネッセンス(PL)マッピング測
定を行って作成されたPL強度分布の一例を示す図であ
り、具体的には、n−InP基板上に厚さ0.2μmの
n−InP層と、In0.806 Ga0.194 As0.729
0.271 ウエル層及びIn0.797 Ga0.203 As0.442
0.558 バリア層からなる多重量子井戸構造と、厚さ0.
1μmのp−InP層とを順次成長したサンプルを用い
た測定結果を示している。図において、図7と同一符号
は同一または相当する部分を示している。この図からわ
かるように、多重量子井戸層の井戸層に、より高い圧縮
歪を加えると新たなモードのPLダークラインが発生す
る。つまり、図10に示すように、マスク30a端部か
ら〈011〉方向に平行に発生する成分に加え、〈01
1〉方向に直交して発生する成分が観察される。
【0013】ここで、図9にマスク周辺部での層厚増大
率,つまり成長速度増大率とPLダークライン発生頻度
との関係を示す。図において、横軸は成長速度増大率を
示し、縦軸はダークラインの発生頻度を示している。こ
の図9より、マスク端から発生するダークラインの発生
頻度と、マスク周辺部の結晶の層厚増大率とは相関関係
にあるとともに、層厚増大率が約1.1未満ではPLダ
ークラインは殆ど発生せず、層厚増大率が1.1以上と
なるとPLダークラインが発生することが分かる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
選択成長マスクを用いた光変調器付半導体レーザ等の半
導体装置の製造方法においては、選択成長マスクの近傍
における成長速度の増大,及び組成の変化によって、選
択成長マスクの近傍の結晶性が劣化して、この結晶性の
劣化が結晶成長層内に広がってしまうという問題があっ
た。そして、その結果が結晶成長層内に広がったPLダ
ークラインとして観察されていた。このようなPLダー
クラインが発生している場合、その周辺領域においてリ
ーク電流が発生してキャリアの再結合が生じるため、作
製される素子の性能が大きく劣化してしまう。例えばレ
ーザダイオードにおいては、PLダークラインの発生に
よりリーク電流が生じると、発振しきい値電流密度の増
大、ばらつきや信頼性の低下を招き、素子性能を大きく
劣化させてしまい、素子の歩留まりを大きく低下させて
しまう。
【0015】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたものであり、成長層内の結晶性の劣化を
抑えた選択成長を行うことができる選択成長マスク,及
びこれを用いた半導体装置の製造方法を提供することを
目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】この発明に係る選択成長
マスクは、互いに平行に配置された所定幅を有する2本
のストライプ形状の誘電体膜からなる第1のマスクと、
該第1のマスクの2本の誘電体膜に挟まれた領域内に、
該第1のマスクの2本の誘電体膜のそれぞれに対して所
定の間隔を隔てて平行に配置された、所定幅を有する2
本の線状の誘電体膜からなる第2のマスクとを備えるよ
うにしたものである。
【0017】また、上記選択成長マスクにおいて、上記
第2のマスクのそれぞれは、上記第1のマスクのそれぞ
れの長さよりも長さが長く、上記第1のマスクの2本の
誘電体膜に挟まれた領域以外の領域上にも配置されてい
るようにしたものである。
【0018】また、上記選択成長マスクにおいて、上記
第2のマスクのそれぞれは、上記第1のマスクのそれぞ
れの周囲を囲むように、上記第1のマスクのそれぞれに
対して所定の間隔を隔てて配置されているようにしたも
のである。
【0019】また、この発明に係る選択成長マスクは、
互いに平行に配置され、その先端部が互いに対向する側
に折れ曲がっているとともに、該折れ曲がった先端部の
折れ曲がった側の辺上に、該折れ曲がった先端部以外の
部分と平行な方向に突出した突出部,またはくぼんだく
ぼみ部を有する、所定幅の2本のストライプ形状の誘電
体膜からなるようにしたものである。
【0020】また、この発明に係る半導体装置の製造方
法は、半導体基板を用意する工程と、該半導体基板上
に、互いに平行に配置された所定幅を有する2本のスト
ライプ形状の誘電体膜からなる第1のマスクと、該第1
のマスクの2本の誘電体膜に挟まれた領域内に、該第1
の領域の2本の誘電体膜のそれぞれに対して所定の間隔
を隔てて平行に配置された、所定幅を有する2本の線状
の誘電体膜からなる第2のマスクとからなる選択成長マ
スクを配置する工程と、該選択成長マスクを用いて、上
記半導体基板上の、該選択成長マスクが配置されていな
い領域上に、1層以上の半導体層を選択的に結晶成長さ
せる工程とを含むようにしたものである。
【0021】また、上記半導体装置の製造方法におい
て、上記第2のマスクを、上記半導体基板の半導体装置
を形成する領域の両端に達するように配置するようにし
たものである。
【0022】また、この発明に係る半導体装置の製造方
法は、半導体基板を用意する工程と、該半導体基板上
に、互いに平行に配置され、その先端部が互いに対向す
る側に折れ曲がっているとともに、該折れ曲がった先端
部の折れ曲がった側の辺上に、該折れ曲がった先端部以
外の部分と平行な方向に突出した突出部,またはくぼん
だくぼみ部を有する、所定幅の2本のストライプ形状の
誘電体膜からなる選択成長マスクを配置する工程と、該
選択成長マスクを用いて、上記半導体基板上の、該選択
成長マスクが配置されていない領域上に、1層以上の半
導体層を選択的に結晶成長させる工程とを含むようにし
たものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1に係る選
択成長マスクの構造を示す,基板の上面からみた平面図
であり、ここでは、特に光変調器付分布帰還型(以下,
DFBと称す)半導体レーザの製造に用いられる選択成
長マスクを示している。図において、2は(100)面
を主面とするn型InP基板、10は導波路形成領域、
50はSiNやSiO2 等の誘電体膜からなる選択成長
マスクで、InP基板2上に間隔70μmで〈011〉
方向に互いに平行に配置された幅50μm,長さ450
μmのストライプ形状の2つの誘電体膜からなる第1の
マスク50aと、該第1のマスク50aを構成する2本
の誘電体膜に挟まれた領域内に該第1のマスク50aの
2本の誘電体膜のそれぞれに対して約10μmの間隔を
隔てて平行に配置された幅約3μmの2本の線状の誘電
体膜からなる第2のマスク50bとにより構成されてい
る。
【0024】また、図14はこの発明の実施の形態1に
係る選択成長マスクを用いた光変調器付DFBレーザの
製造方法の主要工程を示す図であり、図14(a) は図1
のIb−Ib線による断面に相当する図、図14(b) は
一部切り欠き斜視図である。図において、図1と同一符
号は同一または相当する部分を示しており、1は光変調
器102とDFBレーザ101を同一基板上に集積して
なる変調器付半導体レーザ、27はn型InP下クラッ
ド層、4は多重量子井戸層であり、組成比の異なるIn
GaAsP層を交互に積層して形成されている。12は
InGaAsPからなる埋込み型の回折格子で、回折格
子として機能するものであればどのような構造のものを
用いるようにしてもよい。26はp型InP第1上クラ
ッド層,14はメサ構造,8は半絶縁性FeドープIn
P電流ブロック層、5はp型InP第2上クラッド層,
6はp型のInGaAs等からなるコンタクト層,29
はSiO2 等の絶縁膜からなる保護膜、3はTi/Au
/Pt等からなる裏面電極,7はCr/Au等からなる
表面電極,15はプロセスメサ,101はDFBレー
ザ,102は光変調器である。また、13はp型InP
バリア層、23はInGaAsPガイド層、24はp型
InPキャップ層である。
【0025】この発明の実施の形態1に係る選択成長マ
スク50は、基板2上に形成された主たる成長速度増大
効果をもたらす2本の誘電体膜からなる第1のマスク5
0aと、該第1のマスク50aに挟まれた領域内に、該
第1のマスク50aに近接して形成された線状の第2の
マスク50bとからなるものである。
【0026】つぎに選択成長マスクを用いた光変調器付
DFBレーザの製造方法について図1,図14を用いて
説明する。まず、図1に示すように、n型InP基板2
表面上の,DFBレーザ101及び光変調器102のリ
ッジ型導波路となる導波路形成領域10を挟むように2
本のストライプ形状の第1のマスク50aと、2本の線
状の第2のマスク50bとからなる選択成長マスク50
を形成する。次に、図14(a) に示すように、選択成長
マスク50を用いて、n型InP基板2上にn型InP
下クラッド層27、InGaAs/InGaAsP多重
量子井戸層22、p型InPバリア層13、InGaA
sPガイド層23、p型InPキャップ層24を、基板
2の上記選択成長マスク50が設けられている領域以外
の領域にMOCVD法(有機金属気相成長法)を用いて
順次成長させる。この際、この選択成長マスク50の第
1のマスク50aに挟まれた領域の成長層の厚さは、こ
れ以外の領域に成長する層の厚さより厚くなる。従っ
て、多重量子井戸層4の厚さも、この第1のマスク50
a間の領域の厚さが、他の領域の厚さより厚くなる。な
お、第2のマスク50b上には結晶成長は行われないと
ともに、この第2のマスク50bの幅は第1のマスク5
0aの幅よりも十分に狭いため、この第2のマスク50
bは、第1のマスク50aによる成長層の成長速度を増
加させる効果を阻害しない。
【0027】この後、選択成長マスク50を除去し、全
面にフォトレジスト(図示せず)を塗布した後、干渉露
光法を用いて周期的なレジストパターンを形成し、この
レジストをマスクとして、p型InPキャップ層24及
びInGaAsPガイド層23をエッチングして、上部
にp型InPキャップ層24を備えたInGaAsPガ
イド層23からなる回折格子12を形成し、さらに、光
変調器を形成すべき領域のp型InPキャップ層24及
びInGaAsPガイド層23をエッチング除去して、
DFBレーザ101を形成すべき領域のみに回折格子1
2を残す。この後、全面にp型InP層(図示せず)を
MOCVD法を用いて成長させる。このp型InP層
と,p型InPバリア層13と,p型InPキャップ層
24とが、p型InP第1上クラッド層26となる。
【0028】その後、導波路領域10部分を残すように
選択的にウエットエッチングを行い、メサ構造14を形
成し、さらに、このメサ構造14の両脇を埋め込むよう
に半絶縁性FeドープInP層8をMOCVD法を用い
て成長させた後、全面にp型InP第2上クラッド層
5、p型InGaAsコンタクト層6をMOCVD法を
用いて順次成長させる。続いて、DFBレーザと光変調
器の間のp型InGaAsコンタクト層6をエッチング
除去して、アイソレーション溝を形成し、さらに、DB
Fレーザ及び光変調器を形成すべき領域の両脇の領域を
エッチングして、プロセスメサ15を形成した後、全面
にSiO2 保護膜29をスパッタリングにより被着さ
せ、DFBレーザ101の活性層と光変調器102の光
吸収層の直上の領域のSiO2 保護膜29を除去した
後、この保護膜29を除去した領域にCr/Au表面電
極7を形成する。最後に、n型InP基板2裏面を研削
した後、Ti/Pt/Au裏面電極3を形成することに
より、図14(b) に示すように、DFBレーザ101と
光変調器102とを集積化した変調器付半導体レーザ1
を得る。
【0029】ここで、図2に典型的な誘電体マスクを用
いて選択成長を行ったときの、マスク端からの距離に対
する成長層厚増大率,つまり成長速度増大率の変化の関
係(以下、層厚プロファイルと称す)を示す。なお図2
において、横軸は、マスク端からの距離(μm)を示
し、縦軸は成長層厚増大率を示している。
【0030】従来の技術において図9を用いて説明した
ように、成長層厚増大率が約1.1以上となると、PL
ダークラインが発生することから、この図2より、マス
ク端からの距離が約10μm以内の部分においては、成
長層厚増大率が約1.1以上となり、この部分で成長さ
れる多重量子井戸層は臨界膜厚を越えてしまい、その結
果、PLダークラインが発生することがわかる。
【0031】通常、変調器付半導体レーザにおいては、
選択成長マスクを用いて成長された多重量子井戸層を含
む成長層は、その選択成長マスクに挟まれた中央の幅
1.5μmの導波路領域のみがデバイスに用いられ、そ
の他の領域はメサエッチングにより除去される。したが
って、品質のよい変調器付半導体レーザ等の半導体装置
を得るためには、歪多重量子井戸構造の選択MOCVD
成長においてマスク端近傍で必然的に発生するPLダー
クラインが、デバイス領域まで伝搬することを阻止する
ことが必要となる。
【0032】この実施の形態1においては、図2に示さ
れた層厚プロファイルからわかるように、第1のマスク
50aの端から約10μmの位置に第2のマスク50b
を設け、この第2のマスク50bが形成された領域に非
成長領域を形成しているので、第1のマスク50aの端
で発生したPLダークラインを第1のマスク50aの端
と、この第2のマスク50bとの間の、幅約10μmの
領域に閉じ込めることができ、第1のマスク50aに近
接した部分の成長層において発生し、〈011〉方向と
直交する方向に伝搬するPLダークラインが、デバイス
に利用される導波路領域10の存在する第1のマスク5
0aに挟まれた領域の中央部分に伝搬することを阻止す
ることが可能となる。したがって、導波路領域10を含
む中央部分へのPLダークラインの発生を抑えた選択成
長、つまり結晶性の劣化を抑えた選択成長が可能とな
る。
【0033】このように本実施の形態1によれば、In
P基板2上に設けられた、ストライプ形状の2つの誘電
体膜からなる第1のマスク50aと、該第1のマスク5
0aを構成する2本の誘電体膜に挟まれた領域内に該第
1のマスク50aの2本の誘電体膜のそれぞれに対して
所定の間隔を隔てて平行に配置された2本の線状の誘電
体膜からなる第2のマスク50bとにより構成される選
択成長マスク50を用いるようにしたから、選択成長の
際に、第1のマスク50aの端部近傍で発生する〈01
1〉方向に直交するPLダークラインを第1のマスク5
0aの近傍に閉じ込めることができ、選択的に成長した
成長層の選択成長マスク50に挟まれた領域の中央部分
の結晶性の劣化を抑えて、品質に優れた光変調器付半導
体レーザを得られる効果がある。
【0034】なお、図2に示されたマスク端からの層厚
プロファイルは、マスク幅や成長圧力、隣接するマスク
等によって変化する。また、選択成長される歪MQW構
造の井戸層の歪量が高いほど、成長層厚増大率の小さな
場合でも、PLダークラインが発生しやすくなることが
予想される。したがって、第2のマスク50bを配置す
る位置は、選択成長させる半導体層や、その選択成長条
件等に合わせて、第1のマスク50aの端から、導波路
領域10までの間の位置で適宜調整する必要がある。
【0035】また、選択成長マスク50の第2のマスク
50bの幅は、第1のマスク50aの対の層厚を増大さ
せる効果、及び組成を変化させる効果に影響を与えない
程度の幅にする必要がある。この第2のマスク50bの
幅は形成される半導体装置の素子設計によって異なる
が、通常の半導体装置においては、第1のマスク50a
の幅の約10パーセント以下の幅であれば、実用上問題
が生じることはない。
【0036】実施の形態2.図3はこの発明の実施の形
態2に係る選択成長マスクを説明するための図であり、
特に光変調器付DFBレーザの製造に用いられる選択成
長マスクの平面図を示している。図において、図1と同
一符号は同一または相当する部分を示している。この実
施の形態2に係る選択成長マスクは、主基板上に形成さ
れる主たる成長速度増大効果をもたらす第1のマスク5
0aに近接して設けられる第2のマスク50bを、スト
ライプ形状の第1のマスク50aに挟まれた領域内のみ
ではなく、ストライプ形状の第1のマスク50aと平行
に、第1のマスク50aに挟まれた領域内を通って光変
調器付DFBレーザが形成される領域の両端に達するよ
うに形成したものである。
【0037】図3に示すように、この実施の形態2に係
る選択成長マスク50は、第2のマスク50bの対が、
DFBレーザ101が形成される領域、つまり第1のマ
スク50aの対において挟まれた領域から光変調器10
2が形成される領域までを貫通するように形成されてい
る。上記実施の形態1においては、選択成長マスク50
の第2のマスク50bにより、第1のマスク50a間の
PLダークラインの発生を抑えることができたが、第1
のマスク50aの端部に近接した部分においては、該第
1のマスク50aに挟まれた領域以外の領域においても
選択成長の際に、選択成長速度が増加することにより
〈011〉方向及びこれに直交する方向に伝搬するPL
ダークラインが発生し、これが、第2のマスク50bの
設けられていない光変調器102の導波路形成領域10
にまで伝搬して、光変調器102の特性に影響を与える
という問題が発生する場合がある。
【0038】これに対し、この実施の形態2に係る選択
成長マスク50を用いた場合、第1のマスク50aに挟
まれた領域以外の光変調器が形成される部分にも連続し
て、第1のマスク50aと平行に第2のマスク50bが
設けられているため、第1のマスク50aに挟まれた領
域以外の、該第1のマスク50に近接した部分において
発生するPLダークラインが、光変調器102の導波路
に伝搬するのを防ぐことができ、この結果、特性に優れ
た光変調器付半導体レーザが得られる効果がある。
【0039】図12は本発明の実施の形態2に係る選択
成長マスクを用いた選択成長方法により形成された、井
戸層に0.7%圧縮歪を有するInGaAsPウエル層
(7nm)とPL波長が1.18μmとなる組成のIn
GaAsPバリア層(5nm)とを、ウエル層が8層と
なるように交互に積層してなる多重量子井戸構造(Mult
i quantum well構造)の顕微フォトルミネッセンス(以
下、PLと称す)マッピング測定によるPL強度分布を
示す図であり、図において、図3と同一符号は同一また
は相当する部分を示しており、41は最大のPL強度が
観測される領域に対して、その強度が40%以上落ちて
いる領域を示している。なおここでは、上記図3に示し
た選択成長マスク50と同様の選択成長マスク51を用
いて、n−InP基板上に厚さ0.2μmのn−InP
層と、In0.74Ga0.26As0.780.22ウエル層及びI
0.797 Ga0.203 As0.442 0.558 バリア層からな
る多重量子井戸構造と、厚さ0.1μmのp−InP層
とを順次成長してなるサンプルについてPL分布強度を
求めており、この選択成長マスク30aのマスクの幅W
mとマスク間隔Woはそれぞれ50μm,70μmであ
る。このPL強度の測定は、基板の上方からレーザ光を
照射することにより発生したPL光を受光してマッピン
グしたものであり、励起光源として1.06μmYAG
レーザを用い、ピッチを2.5μmとして測定を行っ
た。ビームスポット径は1μmである。
【0040】この図12と、図7に示した従来の選択成
長マスクを用いて形成した多重量子井戸構造のフォトル
ミネッセンスマッピングの結果とを比較すると、この実
施の形態2に係る選択成長マスク50を用いて選択成長
を行うと、選択成長マスク50に挟まれた領域のPLダ
ークラインの発生が抑えられる効果が得られることがわ
かる。
【0041】実施の形態3.図4はこの発明の実施の形
態3に係る選択成長マスクを説明するための図であり、
図において、図1と同一符号は同一または相当する部分
を示している。この実施の形態2に係る選択成長マスク
は、基板2上に形成される主たる成長速度増大効果をも
たらす第1のマスク50aの周囲に、該第1のマスク5
0aを所定の間隔を隔てて囲むように第2のマスク50
bを設けたものであり、ここでは、第2のマスク50b
の幅を約3μmとし、第1のマスク50aとの間隔を約
10μmとしている。
【0042】上記実施の形態1においては、選択成長マ
スク50の第2のマスク50bにより、第1のマスク5
0a間のPLダークラインの発生を抑えることができた
が、第1のマスク50aの周囲に近接した部分において
は、該第1のマスク50aに挟まれた領域以外の領域に
おいても、選択成長の際に選択成長速度が増加して〈0
11〉方向やこれに直交する方向に伝搬するPLダーク
ラインが発生し、これが、第2のマスク50bの設けら
れていない領域にも伝搬して、この結果、選択成長マス
ク50間以外の領域に形成される素子等の特性に影響を
与えるという問題が発生する場合がある。
【0043】これに対し、この実施の形態3に係る選択
成長マスク50を用いた場合、第1のマスク50aの周
囲に近接して、該第1のマスク50aを囲うように非成
長領域を形成するための第2のマスク50bを設けるよ
うにしたので、第1のマスク50aのマスク端近傍で発
生する〈011〉方向に平行な成分、及びこれに直交す
る成分の両方のPLダークラインを第1のマスク50a
近傍に閉じ込めることができ、PLダークラインが第1
のマスク50aの近傍からその他の領域に伝搬するのを
防ぐことができ、この結果、複数の素子を集積化する場
合においても、特性に優れた半導体装置が得られる効果
がある。
【0044】例えば、この実施の形態3に係る選択成長
マスク50を、図15に示すような、4つの異なる波長
を出力するレーザダイオードの出力を、一つのレーザダ
イオード(LD)アンプ部で増幅する4波長レーザダイ
オードアレイの製造方法に用いた場合について考える
と、この4波長レーザダイオードアレイのそれぞれのレ
ーザダイオード72、及びLDアンプ部70を従来の選
択成長マスクを用いて成長した場合には、各マスクから
発生した〈011〉方向やこれに直交する方向に伝搬す
るPLダークラインにより、曲がり導波路部71等の結
晶性が悪くなってしまい、品質が劣化するという問題が
生じるが、この実施の形態3に係る選択成長マスク50
を4波長レーザダイオードアレイのそれぞれのレーザダ
イオード72、及びLDアンプ部70の成長に用いる
と、PLダークラインの発生を抑えて、高品質な所望の
特性を備えた4波長レーザダイオードアレイを得ること
ができる。なお、図15において、図4と同一符号は同
一または相当する部分を示しており、70はLDアンプ
部、71は曲がり導波路部、72はレーザダイオードを
示している。
【0045】図13は本発明の実施の形態2に係る選択
成長マスクを用いた選択成長方法により形成された、井
戸層に0.7%圧縮歪を有するInGaAsPウエル層
(7nm)とPL波長が1.18μmとなる組成のIn
GaAsPバリア層(5nm)とを、ウエル層が8層と
なるように交互に積層してなる多重量子井戸構造(Mult
i quantum well構造)の顕微フォトルミネッセンス(以
下、PLと称す)マッピング測定によるPL強度分布を
示す図であり、図において、図12と同一符号は同一ま
たは相当する部分を示している。この測定は図12にお
いて行った測定を選択成長マスクをこの実施の形態2に
係る選択成長マスクに代えて同様の条件で行ったもので
ある。
【0046】この図13と、図7に示した従来の選択成
長マスクを用いて形成した多重量子井戸構造のフォトル
ミネッセンスマッピングの結果とを比較すると、この実
施の形態2に係る選択成長マスク50を用いて選択成長
を行うと、選択成長マスク50に挟まれた領域のPLダ
ークラインの発生が抑えられる効果が得られることがわ
かる。
【0047】実施の形態4.図5は本発明の実施の形態
4に係る選択成長マスクを説明するための図であり、特
に光変調器付半導体レーザの製造に用いられる選択成長
マスクの平面図を示している。図において、図1と同一
符号は同一または相当する部分を示しており、60は互
いに平行に配置され、その先端部が互いに対向する側に
折れ曲がっているとともに、該折れ曲がった先端部の折
れ曲がった側の辺上に、該先端部以外の部分と平行な方
向に突出した突出部61を有する、2本のストライプ形
状の誘電体膜からなる選択成長マスクで、平面形状はL
字型となっている。ここでは、この選択成長マスク60
のストライプ幅は50μmで、ストライプの伸びる方向
の長さは450μm、折れ曲がった部分のストライプ幅
は25μm、折れ曲がった部分の長さは15μm、折れ
曲がった部分以外の2本の誘電体膜同士の間隔は約70
μmとしている。また、突起部61は、折れ曲がった部
分から10μmの位置に設けられている。この選択成長
マスク60は基板2の(100)面上に設けられてお
り、該マスク60のストライプの伸びる方向は〈01
1〉方向となっている。
【0048】本実施の形態4に係る選択成長マスク60
を用いて選択成長を行うと、上述した従来の選択成長マ
スクと同様にこの選択成長マスク60に挟まれた領域の
成長速度は他の領域よりも速くなる。ここで、マスク6
0の突起部61が設けられている部分においては、選択
成長により形成される成長層は〈011〉方向に平行あ
るいは直交する面以外の面方位を有する成長となるた
め、異常成長となり、他の部分よりも成長速度が増加す
る。このため、成長速度の速い選択成長マスク60に挟
まれた領域のうちでも、この突起部が設けられている領
域近傍が成長中に最も早く局所的に臨界膜厚を越え、こ
こからPLダークラインが〈011〉方向に平行に発生
する。この〈011〉方向に平行なPLダークラインの
存在により、のちに選択成長マスク60の内側の端部で
発生する,〈011〉方向と直交するPLダークライン
がマスクの中央方向へ伝搬することが阻止される。
【0049】これは、(100)面を主面として結晶成
長させた時の結晶破断は〈011〉方向に平行な面に進
行しやすいため、後に発生する〈011〉方向に直交す
る成分の破断エネルギーが、突起部61によって発生し
すでに存在している〈011〉方向に平行な破断面に吸
収されるためである。
【0050】この結果、選択成長マスク60の端部近傍
で発生したPLダークラインが導波路形成領域10に伝
搬することがなくなり、この結果、高品質な導波路を得
ることができる。
【0051】なお、突起部61を、選択成長マスク60
の折れ曲がった部分以外の内側の辺,つまり2つのマス
クの向かい合う辺から、約10μm離れた位置に形成し
ているが、これは第1の実施例で説明したように、選択
成長マスクに挟まれた領域のPLダークラインが発生す
る位置よりも、選択成長マスクに挟まれた領域のうちの
中央に近い位置に〈011〉方向に直交する方向のダー
クラインの伝搬を阻止する手段を講じる必要があるため
である。
【0052】このように本実施の形態4においては、互
いに平行に配置され、その先端部が互いに対向する側に
折れ曲がっているとともに、該折れ曲がった先端部の折
れ曲がった側の辺上に、該先端部以外の部分と平行な方
向に突出した突出部を有する、2本のストライプ形状の
誘電体膜からなる選択成長マスクを用いるようにしたか
ら、選択成長工程において2本の選択成長マスクのマス
クの互いに向かいあった端部近傍に発生するPLダーク
ラインを、同じ選択成長工程において選択成長マスクの
突起部から発生するPLダークラインで、選択成長マス
クにおいて挟まれた領域の中央に伝搬することを防ぐこ
とができ、これにより、品質の優れた選択成長層を得る
ことができ、特性に優れた半導体装置が得られる効果が
ある。
【0053】なお、上記実施の形態4に置いては突起部
61を設けた場合について説明したが、本発明において
は、図11に示すように、突起部61を設ける代わり
に、選択成長マスク60の内部方向にくぼんだくぼみ部
62を設けるようにしてもよく、このような場合におい
ても、このくぼみ部62の部分において異常成長が起こ
ることによって、このくぼみ部62から〈011〉方向
にPLダークラインを発生させて、選択成長マスク60
の端部から〈011〉方向と直交する方向のPLダーク
ラインの伝搬を防いで、上記実施の形態4と同様の効果
を奏することができる。このとき、図11において、図
5と同一符号は同一又は相当する部分を示しており、6
2はくぼみ部を示している。
【0054】また、上記実施の形態1,2,4において
は、光変調器付DFBレーザの製造方法について説明し
たが、本発明はその他の選択成長により形成される半導
体装置においても適用できるものであり、このような場
合においても上記実施の形態1,2,4と同様に、選択
成長マスクに挟まれた領域の中央部分の結晶品質を向上
させることができ、品質に優れた半導体装置が得られる
効果を奏する。
【0055】
【発明の効果】以上のように、この発明に係る選択成長
マスクによれば、互いに平行に配置された所定幅を有す
る2本のストライプ形状の誘電体膜からなる第1のマス
クと、該第1のマスクの2本の誘電体膜に挟まれた領域
内に、該第1のマスクの2本の誘電体膜のそれぞれに対
して所定の間隔を隔てて平行に配置された、所定幅を有
する2本の線状の誘電体膜からなる第2のマスクとを備
えるようにしたから、選択成長層の第1のマスク近傍に
おいて発生する結晶品質の劣化を、選択成長層の、第1
のマスクに挟まれた領域の中央部分に伝わるのを防ぐこ
とができ、選択成長マスクに挟まれた領域の中央部分の
結晶品質を向上させることができ、品質に優れた半導体
装置が得られる効果を奏する。
【0056】また、この発明によれば、上記選択成長マ
スクにおいて、上記第2のマスクのそれぞれが、上記第
1のマスクのそれぞれの長さよりも長さが長く、上記第
1のマスクの2本の誘電体膜に挟まれた領域以外の領域
上にも配置されているようにしたから、選択成長層の、
第1のマスクにより挟まれた領域以外の第2のマスクに
挟まれた領域の結晶品質の劣化を防ぐことができ、品質
に優れた半導体装置が得られる効果を奏する。
【0057】また、この発明によれば、上記選択成長マ
スクにおいて、上記第2のマスクのそれぞれは、上記第
1のマスクのそれぞれの周囲を囲むように、上記第1の
マスクのそれぞれに対して所定の間隔を隔てて配置され
ているようにしたから、第1のマスク近傍において発生
する結晶品質の劣化が広がることを、第1のマスク近傍
のみにおいて閉じ込めて、結晶品質の劣化が選択成長層
の他の部分に広がることを防ぐことができ、品質に優れ
た半導体装置が得られる効果を奏する。
【0058】また、この発明に係る選択成長マスクによ
れば、互いに平行に配置され、その先端部が互いに対向
する側に折れ曲がっているとともに、該折れ曲がった先
端部の折れ曲がった側の辺上に、該折れ曲がった先端部
以外の部分と平行な方向に突出した突出部,またはくぼ
んだくぼみ部を有する、所定幅の2本のストライプ形状
の誘電体膜からなるようにしたから、突起部またはくぼ
み部より発生する結晶破断によって、選択成長層の選択
成長マスクの近傍において発生する結晶品質の劣化を、
選択成長層の、選択成長層マスクに挟まれた領域の中央
部分に伝わるのを防ぐことができ、選択成長マスクに挟
まれた領域の中央部分の結晶品質を向上させることがで
き、品質に優れた半導体装置が得られる効果を奏する。
【0059】また、この発明に係る半導体装置の製造方
法によれば、半導体基板を用意する工程と、該半導体基
板上に、互いに平行に配置された所定幅を有する2本の
ストライプ形状の誘電体膜からなる第1のマスクと、該
第1のマスクの2本の誘電体膜に挟まれた領域内に、該
第1の領域の2本の誘電体膜のそれぞれに対して所定の
間隔を隔てて平行に配置された、所定幅を有する2本の
線状の誘電体膜からなる第2のマスクとからなる選択成
長マスクを配置する工程と、該選択成長マスクを用い
て、上記半導体基板上の、該選択成長マスクが配置され
ていない領域上に、1層以上の半導体層を選択的に結晶
成長させる工程とを含むようにしたから、選択成長層の
第1のマスク近傍において発生する結晶品質の劣化を、
選択成長層の、第1のマスクに挟まれた領域の中央部分
に伝わるのを防ぐことができ、選択成長マスクに挟まれ
た領域の中央部分の結晶品質を向上させることができ、
品質に優れた半導体装置が得られる効果を奏する。
【0060】また、この発明によれば、上記半導体装置
の製造方法において、上記第2のマスクを、上記半導体
基板の半導体装置を形成する領域の両端に達するように
配置するようにしたから、選択成長層の、第1のマスク
により挟まれた領域内以外に位置する第2のマスクに挟
まれた領域内の結晶品質の劣化を防ぐことができ、品質
に優れた半導体装置が得られる効果を奏する。
【0061】また、この発明に係る半導体装置の製造方
法によれば、半導体基板を用意する工程と、該半導体基
板上に、互いに平行に配置され、その先端部が互いに対
向する側に折れ曲がっているとともに、該折れ曲がった
先端部の折れ曲がった側の辺上に、該折れ曲がった先端
部以外の部分と平行な方向に突出した突出部,またはく
ぼんだくぼみ部を有する、所定幅の2本のストライプ形
状の誘電体膜からなる選択成長マスクを配置する工程
と、該選択成長マスクを用いて、上記半導体基板上の、
該選択成長マスクが配置されていない領域上に、1層以
上の半導体層を選択的に結晶成長させる工程とを含むよ
うにしたから、突起部またはくぼみ部より発生する結晶
破断によって、選択成長層の選択成長マスクの近傍にお
いて発生する結晶品質の劣化を、選択成長層の、選択成
長層マスクに挟まれた領域の中央部分に伝わるのを防ぐ
ことができ、選択成長マスクに挟まれた領域の中央部分
の結晶品質を向上させることができ、品質に優れた半導
体装置が得られる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る選択成長マス
クの構造を示す平面図である。
【図2】 この発明の実施の形態1に係る選択成長マス
クを説明するための、層厚プロファイルを示す図であ
る。
【図3】 この発明の実施の形態2に係る選択成長マス
クを説明するための図である。
【図4】 この発明の実施の形態3に係る選択成長マス
クを説明するための図である。
【図5】 この発明の実施の形態4に係る選択成長マス
クを説明するための図である。
【図6】 従来の選択成長マスクを説明するための図で
ある。
【図7】 従来の選択成長マスクを用いて形成した多重
量子井戸層のPL強度分布を示す図である。
【図8】 従来の選択成長マスク近傍における結晶成長
位置と、成長速度増大率、及びPLダークライン発生頻
度との関係を示す図である。
【図9】 従来の選択成長マスクにおける成長速度増大
率とダークラインの発生頻度との関係を示す図である。
【図10】 従来の他の選択成長マスクを用いて形成し
た多重量子井戸層のPL強度分布を示す図である。
【図11】 この発明の実施の形態4に係る選択成長マ
スクの変形例を示す図である。
【図12】 この発明の実施の形態2に係る選択成長マ
スクを用いて形成した多重量子井戸層のPL強度分布を
示す図である。
【図13】 この発明の実施の形態3に係る選択成長マ
スクを用いて形成した多重量子井戸層のPL強度分布を
示す図である。
【図14】 この発明の実施の形態1に係る選択成長マ
スクを説明するための、光変調器付DFBレーザの製造
方法を示す図である。
【図15】 この発明の実施の形態3に係る選択成長マ
スクを用いて形成された半導体装置の構造を説明するた
めの図である。
【符号の説明】
1 光変調器付DFBレーザ、2 n型InP基板、3
裏面電極、4 多重量子井戸層、5 p型InP第2
上クラッド層、6 p型InGaAsコンタクト層、7
表面電極、8 FeドープInP電流ブロック層、1
0 導波路形成領域、12 InGaAsP埋込み回折
格子、13 p型InPバリア層、14メサ構造、15
プロセスメサ、23 InGaAsガイド層、24
p型InPキャップ層、26 p型InP第1上クラッ
ド層、27 n型InP下クラッド層、29 SiO2
保護膜、30,30a,50,51,60 選択成長マ
スク、31 下クラッド層、32 多重量子井戸層、3
3 上クラッド層、40,41 PL発光強度が低下し
た領域、50a 第1のマスク、50b 第2のマス
ク、61 突起部、62 くぼみ部、70 LDアンプ
部、71 曲がり導波路部、72 レーザダイオード
部、101 DFBレーザ、102 光変調器。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに平行に配置された所定幅を有する
    2本のストライプ形状の誘電体膜からなる第1のマスク
    と、 該第1のマスクの2本の誘電体膜に挟まれた領域内に、
    該第1のマスクの2本の誘電体膜のそれぞれに対して所
    定の間隔を隔てて平行に配置された、所定幅を有する2
    本の線状の誘電体膜からなる第2のマスクとを備えたこ
    とを特徴とする選択成長マスク。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の選択成長マスクにおい
    て、 上記第2のマスクのそれぞれは、上記第1のマスクのそ
    れぞれの長さよりも長さが長く、上記第1のマスクの2
    本の誘電体膜に挟まれた領域以外の領域上にも配置され
    ていることを特徴とする選択成長マスク。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の選択成長マスクにおい
    て、 上記第2のマスクのそれぞれは、上記第1のマスクのそ
    れぞれの周囲を囲むように、上記第1のマスクのそれぞ
    れに対して所定の間隔を隔てて配置されていることを特
    徴とする選択成長マスク。
  4. 【請求項4】 互いに平行に配置され、その先端部が互
    いに対向する側に折れ曲がっているとともに、該折れ曲
    がった先端部の折れ曲がった側の辺上に、該折れ曲がっ
    た先端部以外の部分と平行な方向に突出した突出部,ま
    たはくぼんだくぼみ部を有する、所定幅の2本のストラ
    イプ形状の誘電体膜からなることを特徴とする選択成長
    マスク。
  5. 【請求項5】 半導体基板を用意する工程と、 該半導体基板上に、互いに平行に配置された所定幅を有
    する2本のストライプ形状の誘電体膜からなる第1のマ
    スクと、該第1のマスクの2本の誘電体膜に挟まれた領
    域内に、該第1の領域の2本の誘電体膜のそれぞれに対
    して所定の間隔を隔てて平行に配置された、所定幅を有
    する2本の線状の誘電体膜からなる第2のマスクとから
    なる選択成長マスクを配置する工程と、 該選択成長マスクを用いて、上記半導体基板上の、該選
    択成長マスクが配置されていない領域上に、1層以上の
    半導体層を選択的に結晶成長させる工程とを含むことを
    特徴とする半導体装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の半導体装置の製造方法
    において、 上記第2のマスクは、上記半導体基板の半導体装置を形
    成する領域の両端に達するように配置されていることを
    特徴とする半導体装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 半導体基板を用意する工程と、 該半導体基板上に、互いに平行に配置され、その先端部
    が互いに対向する側に折れ曲がっているとともに、該折
    れ曲がった先端部の折れ曲がった側の辺上に、該折れ曲
    がった先端部以外の部分と平行な方向に突出した突出
    部,またはくぼんだくぼみ部を有する、所定幅の2本の
    ストライプ形状の誘電体膜からなる選択成長マスクを配
    置する工程と、 該選択成長マスクを用いて、上記半導体基板上の、該選
    択成長マスクが配置されていない領域上に、1層以上の
    半導体層を選択的に結晶成長させる工程とを含むことを
    特徴とする半導体装置の製造方法。
JP23328596A 1996-09-03 1996-09-03 選択成長マスク、及び半導体装置の製造方法 Pending JPH1079349A (ja)

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