JPH1079241A - 電池用電槽 - Google Patents

電池用電槽

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JPH1079241A
JPH1079241A JP8232761A JP23276196A JPH1079241A JP H1079241 A JPH1079241 A JP H1079241A JP 8232761 A JP8232761 A JP 8232761A JP 23276196 A JP23276196 A JP 23276196A JP H1079241 A JPH1079241 A JP H1079241A
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JP
Japan
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resin
battery
battery case
flame retardancy
battery container
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JP8232761A
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English (en)
Inventor
Kenji Hara
賢二 原
Arihiko Takemasa
有彦 武政
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Resonac Corp
Original Assignee
Shin Kobe Electric Machinery Co Ltd
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温下で使用される場合でも電池内の電解液
の透湿を抑制し、且つ難燃性を付与させても電槽の変形
を抑えることができる電池用電槽を提供する。 【解決手段】 耐薬品性と難燃性とを有し、透湿度が60
g/30μm・m2 ・24h以下で且つ80℃における曲げ弾
性率が20000 kg/cm2 以上である熱可塑性樹脂で電池用
電槽を形成し、難燃性は熱可塑性樹脂の厚みが1.6 mm以
下でUL94規格V−0を満足する難燃性とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば密閉形鉛蓄
電池の如き二次電池で用いて好適な電池用電槽に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】鉛蓄電池は、開放形(液式)と密閉形に
分けられる。後者の密閉形鉛蓄電池は、無保守,無漏
液,ポジションフリー等の特徴を生かして、ポータブル
機器,コードレス機器,コンピュータのバックアップ電
源をはじめ、大型の据置用電池や自動車のエンジン始動
用としても使用されている。
【0003】密閉形鉛蓄電池に関しては、これまで数多
くの提案がなされ、電池性能も著しく向上している。鉛
蓄電池は他の二次電池に比べ経済性に優れ、安定した性
能を有した電池であることから需要は年々増大し、それ
に伴い、高容量化,長寿命化,使用温度の広範囲化,軽
量化等の電池に対する要求品質も年々厳しくなってい
る。
【0004】特に近年では、製品の安全性に関する要求
も厳しくなっている。従来の開放形鉛蓄電池の電槽材と
しては、主にポリプロピレン樹脂(以下、PP樹脂と記
す。)やアクリロニトリル・スチレン樹脂(以下、AS
樹脂と記す。)が用いられていた。一方、密閉形鉛蓄電
池の電槽材としては、主にアクリロニトリル・ブタジエ
ン・スチレン樹脂(以下、ABS樹脂と記す。)が用い
られていた。密閉形鉛蓄電池では、ABS樹脂を箱形に
射出成形して得た電槽に極板群を挿入した後、蓋を接着
あるいは溶着して密閉化している。
【0005】これらの樹脂は、機械的強度,成形性,経
済性等を考慮した上で採用されているが、電槽材として
より高温での強度を上げる場合、電槽強度例えば曲げ弾
性率はこれら樹脂単体だけでは満足した値を得ることが
できず、これら樹脂に無機フィラー,ガラス繊維,カー
ボン繊維等を添加したり、ポリカーボネイト樹脂(以
下、PC樹脂と記す。)等の熱可塑性樹脂とアロイ化さ
せたものを用いている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】開放形鉛蓄電池の電槽
に主に採用されているPP樹脂やAS樹脂は、低比重で
成形性,経済性等に優れているが、曲げ強度や曲げ弾性
率が小さく、温度変化によるこれら特性の低下も著しい
問題点がある。電槽強度を上げる方法として成形肉厚を
厚くしたり、無機フィラー,ガラス繊維,カーボン繊維
等を添加する方法があげられるが、温度変化による諸物
性の変化は樹脂そのもので決まっているため、機械的強
度の絶対値は大きくなるものの、高温で該機械的強度を
保持することはできず、成形性も劣る問題点がある。ま
た、製品の安全性を向上させるため、電槽にUL94規
格V−0の難燃性を付与させた場合、難燃剤の添加によ
って衝撃強度が著しく低下する問題点がある。
【0007】一方、密閉形鉛蓄電池の電槽は、ABS樹
脂製で機械的強度もあり、且つエポキシ樹脂系接着剤と
の密着も良いため、複数の極板群を接続した部分が電槽
上部より突き出していてもその形状に合った蓋をエポキ
シ樹脂系の接着剤を用いて接着すれば容易に密閉でき
る。密閉形鉛蓄電池は、充電末期に正極で発生する酸素
ガスを負極活物質と反応させ、且つ負極で活物質を還元
することで処理して減液をなくし、補水する必要がない
ことを特徴としたものであるが、ABS樹脂の透湿量が
約130 g/30μm・m2 ・24hと高いため、実際には電
槽からの透湿により減液し、高温下で使用される場合、
その減液量も増大する問題点がある。
【0008】電槽からの電解液の透湿を抑えるため、電
槽の材質をより透湿度の小さい熱可塑性樹脂例えばPP
樹脂にしたり、電槽内壁または外壁に透湿度及び酸素透
過度の小さいポリオレフィン樹脂製のフィルムあるいは
これらに金属箔等をラミネートしたものを貼り付ける方
法が提案されているが、作業工程の増加となるため、実
際には採用されていない。
【0009】密閉形鉛蓄電池は遊離電解液を極限まで少
なくした構成となっており、電解液の減少が僅かであっ
ても放電容量の低下に結びつき、短期に寿命に至る問題
点がある。その上、密閉形鉛蓄電池は充電時に過剰の酸
水素ガスを発生し、安全弁が開弁する圧力まで電池内圧
が上昇するため、高温下で曲げ弾性率の低下の大きいA
BS樹脂製の電槽では変形し易く、このため、加圧の不
均一が生じ、部分的活物質の劣化や熱逸走現象等により
早期寿命に至る問題点がある。
【0010】また、製品の安全性を向上させるため、電
槽にUL94規格V−0の難燃性を付与させた場合、多
量のハロゲン系難燃剤の添加が必要であり、そのため比
重が約10%増大し且つ荷重たわみ温度の低下等、熱的性
質が劣ってしまう問題点がある。また、ハロゲン系難燃
剤を用いると、成形時にガス発生が多く、これに起因し
てモールドデポジット付着による成形品の外観不良やエ
ッジクラック等が発生し、また成形金型の腐食等の問題
点がある。
【0011】長寿命化,使用温度の広範囲化及び製品の
安全性に関する要求が厳しくなっている現状において、
従来の鉛蓄電池の電槽材もしくはこの樹脂を改良しただ
けでは要求品質を満足することは困難であり、さらに過
酷な条件では満足することはできない。
【0012】本発明の目的は、広い使用温度範囲特に高
温下で使用される場合でも電池内の電解液の透湿を抑制
し、且つ難燃性を付与させても電槽の変形を抑えること
ができる電池用電槽を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電池用電槽
は、耐薬品性と難燃性とを有し、透湿度が60g/30μm
・m2 ・24h以下で且つ80℃における曲げ弾性率が2000
0 kg/cm2 以上である熱可塑性樹脂で形成され、難燃性
は熱可塑性樹脂の厚みが1.6 mm以下でUL94規格V−
0を満足する難燃性を有していることを特徴とする。
【0014】ここで、UL94規格は、安全規格として
国際的な影響力を有する米国のUL社(Underwriters L
aboratories Inc.)の機器の部品用プラスチック材料の
燃焼性試験の規格番号である。本発明で、難燃性を評価
する時の熱可塑性樹脂の厚みを1.6 mm以下としたのは、
樹脂メーカーが難燃性を評価する場合、大半がこの厚み
出評価を行なっているからである。この厚みは、UL9
4規格で熱可塑性樹脂の難燃性を評価する場合の厚み0.
12インチ(約3.05mm)より薄く、十分にUL94規格V
−0の条件をクリアしている。
【0015】この場合、熱可塑性樹脂としては、ポリフ
ェニレンエーテル樹脂(以下、PPE樹脂と記す。)系
アロイまたはポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、P
PS樹脂と記す。)を用いる。また、PPE樹脂系アロ
イでPPE樹脂と組み合わせるアロイ材料は、ポリスチ
レン樹脂(以下、PS樹脂と記す。),PP樹脂,ポリ
エチレンテレフタレート樹脂(以下、PET樹脂と記
す。),ポリブタジエンテレフタレート樹脂(PBT樹
脂と記す。)のうちのいずれかである。ポリフェニレン
エーテル樹脂系アロイには、所要の難燃性を得るために
非ハロゲン系難燃剤が添加されている。
【0016】高温下で電槽が変形する原因の1つとし
て、高温での電槽の機械的強度の著しい低下がある。電
槽の機械的強度を決定する曲げ弾性率は、表1に示すよ
うに従来のPP樹脂,AS樹脂,ABS樹脂では25℃で
約20000 〜30000kg /cm2 であっても、温度上昇に伴い
PP樹脂の曲げ弾性率は徐々に低下し、80℃にもなれば
25℃の強度の半分にも満たない。AS樹脂やABS樹脂
は、40℃程度までは25℃とほぼ同様の機械的強度を有す
るが、それ以上になると著しく低下する。α−メチルス
チレンやノリルフェニルマレイミド等の添加剤を添加し
て耐熱性を向上させたABS樹脂でも、80℃では15000k
g /cm2 と25℃の半分である。これら樹脂に難燃性を付
与させた場合、さらに曲げ弾性率の低下は著しい。従っ
て、熱可塑性樹脂の厚みが1.6 mm以下でUL94規格V
−0を満足する難燃性を有し、80℃の高温下での曲げ弾
性率を20000 kg/cm2 以上の電槽を用いることによっ
て、高温下で使用されても電槽の変形を抑えることがで
きる。
【0017】なお、この表1で、実施例で用いたPPS
樹脂が、曲げ弾性率の測定項目で、難燃性を付与してい
ない場合の試験温度25℃と80℃の箇所でデータがブラン
クとなっているのは、このPPS樹脂はこの樹脂自身が
難燃性を有しているため、難燃性を付与していないとい
う条件に当てはまらないためである。
【0018】また、比較例のPPE樹脂が、曲げ弾性率
の測定項目で、UL94規格V−0の難燃性を付与した
場合の試験温度25℃と80℃の箇所でデータが測定不能と
なっているのは、難燃性付与の結果、樹脂が軟化してし
まい曲げ弾性率の測定が不能という意味である。
【0019】
【表1】 電解液量を制限した密閉形電池の長寿命化が進むにつれ
て、電槽から透湿する電解液を抑制することが非常に重
要である。電槽から透湿する電解液を抑制する方法とし
て電槽の肉厚を増大する方法があるが、この方法は電槽
内容積の減少に結びつくため、透湿度の小さい材質のも
ので電槽を形成する方が有用である。周囲温度及び寿命
期間と電解液減液量の関係を追及したところ、透湿度が
60g/30μm・m2 ・24h以下の電槽材質を選定する必
要がある。
【0020】PS樹脂,PP樹脂,PET樹脂,PBT
樹脂のうちのいずれかの樹脂とPPE樹脂とのアロイ樹
脂、またはPPS樹脂はこれらの物性を満足する。PP
E樹脂は非ハロゲン系の難燃剤を容易に添加でき、熱可
塑性樹脂の厚みが1.6 mm以下でUL94規格V−0を満
足する難燃性を付与できる。一方、PPS樹脂はそれ自
体に難燃性を有しているため、難燃剤を添加しなくても
良い。また、これら樹脂は共に耐薬品性,電気特性に優
れていることから、電槽の機械的強度が満足していれば
水溶系の鉛蓄電池,アルカリ電池に限らず、リチウム電
池のような非水系の二次電池の電槽としても使用可能で
ある。
【0021】これらの樹脂は、エポキシ樹脂系接着剤と
の接着強度が従来のABS樹脂に比べ低下するが、電槽
成形品を200 ℃前後の温度でアニールしたり、コロナ放
電処理,プラズマ処理等の処理を行うことによって接着
強度を増大させることができる。
【0022】これらの樹脂を電池の電槽材として用いる
ことにより、広い使用温度範囲、特に高温下で使用され
る場合でも電槽内の電解液の透湿を著しく抑制すること
ができる。このため、これらの樹脂で電槽を形成した電
池は、保存特性,サイクル寿命特性,トリクル寿命特性
が向上し、且つ電槽に難燃性を容易に付与させられるた
め、電池の製品安全性を向上させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明の効果を明確にするため、電解液の
減液の影響の大きい密閉形鉛蓄電池を用いて、次のよう
にして実験を用いて行った。
【0024】金属鉛を含む酸化鉛粉と各種添加剤を添加
し、水及び希硫酸にて混練,調整してペーストを作成
し、該ペーストをPb−Ca−Sn系合金製で厚さが3
mmの集電体に充填し、熟成,乾燥して未化成の正極板と
負極板とをそれぞれ作製した。これらの極板を比重1.05
0 、液温40℃の化成液中で正極板の理論課電量の250 %
を40時間かけて通電し化成し、化成終了後水洗した後、
正極板は50℃で16時間、負極板は80℃で16時間窒素ガス
雰囲気下で乾燥した。
【0025】かくして得られた正極板3枚と、負極板4
枚と、これら極板間に介在させたガラス繊維を主体とし
て電解液を保持させる厚さ2mmのセパレータとで極板群
を作製した。この極板群を、熱可塑正樹脂で射出成形し
たモノブロックタイプの電槽の各セル室内に1つずつ配
置し、各極板群を直列に接続した後、蓋をエポキシ樹脂
系接着剤を用いて接着した。この電池の各セル室に、比
重1.300 の希硫酸を55ml注液して、6Ah−6Vの密閉
形鉛蓄電池を作製した。
【0026】今回、電槽材質として、PPE樹脂にPS
樹脂をアロイ化させた樹脂(本発明品1)、PPE樹脂
にPP樹脂をアロイ化させた樹脂(本発明品2)、PP
E樹脂にPBT樹脂をアロイ化させた樹脂(本発明品
3)及びPPS樹脂(本発明品4)を用いた。これらの
電槽は、すべて熱可塑性樹脂の厚みが1.6 mm以下でUL
94規格V−0を満足する難燃性が付与されている。
【0027】本発明の効果を確認するために、従来のA
BS樹脂製の電槽(従来品1)及びハロゲン系の難燃剤
を添加して厚み1.6 mmでUL94規格V−0を満足する
難燃性を有するABS樹脂製の電槽(従来品2)を用い
て作製した密閉形鉛蓄電池も同様の試験に投入した。
【0028】作製した電池は、容量確認した後、45℃で
2か月放置し、その後に電池重量変化量と、残存容量
と、設定電圧7.35V,制限電流1.8 Aで16時間かけて定
電圧充電した後の回復容量とを測定した。その結果を表
2に示す。
【0029】
【表2】 この表2から明らかなように、本発明品の電池は従来品
の電池に比べ電池重量変化が小さく、残存容量も高い。
本発明品に用いた電槽は電解液の透湿を抑え、且つ酸素
ガスの透過の低減のより自己放電を抑えていたものと考
える。
【0030】また、60℃でトリクル寿命試験を行い、放
電容量の推移及び電池重量変化を測定した。トリクル寿
命試験は、60℃に設定した恒温槽内に電池を置き、設置
電圧6.825 Vで最大電流1.8 Aで充電し続け、30日間隔
で電池を取り出し、25℃に24時間放置した後、容量確認
を行った。容量確認は、放電電流1.5 Aで電圧が5.10V
に至るまで定電流放電し、放電持続時間及び放電電流値
より電池容量を算出した。放電終了後、設定電圧7.35
V、制限電流1.8 Aで16時間かけて定電圧充電し、再び
トリクル寿命試験に投入した。寿命判定は、電池容量が
初期容量の50%以下になった時とした。また、容量確認
時に電池重量を測定し、電解液の減液量も測定した。60
℃トリクル寿命試験での電解液の減液量を図1に、放電
容量の推移を図2にそれぞれ示す。
【0031】これら図1,図2から明らかなように、本
発明品のすべての電池は、従来品に比べ電池重量変化は
半分以下で、トリクル寿命も2倍以上に延びている。寿
命原因は、共に正極格子腐食の進行により正極活物質の
導電性が悪化して容量低下したものであった。従来品の
寿命原因は、電解液の減液が大きく、負極活物質が著し
く劣化し容量が低下したものであった。また、従来品は
電槽の変形が見られるのに対し、本発明品はすべて電槽
の変形は見られなかった。
【0032】次に、本発明における数値限定の根拠につ
いて説明する。
【0033】(A)透湿度の数値限定の根拠 密閉型鉛蓄電池の場合、電解液量が初期の液量に対し15
%減液すると、寿命に至ることは公知である。従って、
図2より寿命原因が電解液量の減液量による場合のトリ
クル寿命期間を推定することができる。表1に記載の電
槽材の図2より推定したトリクル寿命期間には相関があ
り、現在密閉型鉛蓄電池に期待される寿命期間10年以上
を確保するには、透湿度が60g/30μm・m2 ・24h以
下の電槽材を用いなければ電解液の減液が原因で寿命に
至ることになる。
【0034】(B)曲げ弾性率の数値限定の根拠 本例で用いた樹脂の温度変化による曲げ弾性率の変化を
図4に示す。また、本例で用いた樹脂にて肉厚3mmの電
槽を作成し、この電槽を用いて密閉型鉛蓄電池を作成し
た。この電池を50℃〜85℃の各温度に設定した恒温槽内
で0.02CAの過充電電流を30日通電した後、図5に示す
A,B,Cの箇所の電槽寸法を測定し、その平均値をも
とにして変形の有無を確認した。その結果を表3に示
す。
【0035】
【表3】 この場合、変形量が3mm以上では、発電要素から電槽へ
の放熱がうまく行かず、密閉型鉛蓄電池に熱逸走現象が
生じる可能性が高い。図4の温度変化による曲げ弾性率
の変化と電槽の変形量が3mm以上となる温度を照らし合
わせると、弾性率が20000 kg/cm2 より下となる温度と
変形量が3mm以上となる温度がほぼ一致する。従って、
高温での曲げ弾性率を20000 kg/cm2 以上の樹脂を用い
ることで、電池性能を長期間維持できる。
【0036】
【発明の効果】本発明に係る電池用電槽は、耐薬品性と
難燃性とを有し、透湿度が60g/30μm・m2 ・24h以
下で且つ80℃における曲げ弾性率が20000 kg/cm2 以上
である熱可塑性樹脂で形成され、前記難燃性は熱可塑性
樹脂の厚みが1.6 mm以下でUL94規格V−0を満足す
る難燃性を有しているので、広い温度範囲内で該電槽内
の電解液の透湿を抑えることができるため、必要な電解
液量を長期間確保でき、比重上昇も小さい。このため、
負極活物質の劣化や正極格子の腐食等を低減でき、その
結果、電池寿命を延ばすことができる。また、高温での
曲げ弾性率の低下も小さいため、高温で使用されても電
槽は変形しにくく、このため活物質利用率の均一化と熱
逸走現象の防止が図れ、電池寿命を延ばすことができ
る。
【0037】また、PPE樹脂は容易に非ハロゲン系の
難燃剤を添加でき、ハロゲン系の難燃剤の添加に伴う問
題点を回避することができる。一方、PPS樹脂はそれ
自体に難燃性を有しているため、難燃剤を添加しなくて
も熱可塑性樹脂の厚みが1.6mm以下でUL94規格V−
0を満足する難燃性を有しており、熱的性質を悪化させ
ることなく難燃性を付与でき電池の安全性を向上でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明品と従来品の電槽を用いた密閉形鉛蓄電
池の60℃トリクル寿命試験での放電容量の推移を示した
比較図である。
【図2】本発明品と従来品の電槽を用いた密閉形鉛蓄電
池の60℃トリクル寿命試験での電解液の減液量を示した
比較図である。
【図3】本発明品と従来品の電槽材の透湿度とトリクル
寿命期間の関係を示す図である。
【図4】本発明品と従来品の電槽材の温度変化による曲
げ弾性率の変化を示す図である。
【図5】図4での電槽の寸法測定箇所を示す説明図であ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年11月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】削除
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】
【表1】 電解液量を制限した密閉形電池の長寿命化が進むにつれ
て、電槽から透湿する電解液を抑制することが非常に重
要である。電槽から透湿する電解液を抑制する方法とし
て電槽の肉厚を増大する方法があるが、この方法は電槽
内容積の減少に結びつくため、透湿度の小さい材質のも
ので電槽を形成する方が有用である。周囲温度及び寿命
期間と電解液減液量の関係を追及したところ、透湿度が
60g/30μm・m2 ・24h以下の電槽材質を選定する必
要がある。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐薬品性と難燃性とを有し、透湿度が60
    g/30μm・m2 ・24h以下で且つ80℃における曲げ弾
    性率が20000 kg/cm2 以上である熱可塑性樹脂で形成さ
    れ、前記難燃性は前記熱可塑性樹脂の厚みが1.6 mm以下
    でUL94規格V−0を満足する難燃性を有しているこ
    とを特徴とする電池用電槽。
  2. 【請求項2】 前記熱可塑性樹脂はポリフェニレンエー
    テル樹脂系アロイまたはポリフェニレンスルフィド樹脂
    であることを特徴とする請求項1に記載の電池用電槽。
  3. 【請求項3】 前記ポリフェニレンエーテル樹脂系アロ
    イでポリフェニレンエーテル樹脂と組み合わせるアロイ
    材料は、ポリスチレン樹脂,ポリプロピレン樹脂,ポリ
    エチレンテレフタレート樹脂,ポリブタジエンテレフタ
    レート樹脂のうちのいずれかであることを特徴とする請
    求項2に記載の電池用電槽。
  4. 【請求項4】 前記ポリフェニレンエーテル樹脂系アロ
    イには非ハロゲン系難燃剤が添加されていることを特徴
    とする請求項2または3に記載の電池用電槽。
JP8232761A 1996-09-03 1996-09-03 電池用電槽 Abandoned JPH1079241A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006101330A1 (en) * 2005-03-25 2006-09-28 Lg Chem, Ltd. Small battery pack having frame retardant adhesive member
EP2835845A1 (en) 2013-08-06 2015-02-11 GS Yuasa International Ltd. Lead-acid battery container, lead-acid battery using the same, and lead-acid battery casing

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