JPH1076624A - インクジェット式製版印刷版の作成方法 - Google Patents

インクジェット式製版印刷版の作成方法

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JPH1076624A
JPH1076624A JP25236796A JP25236796A JPH1076624A JP H1076624 A JPH1076624 A JP H1076624A JP 25236796 A JP25236796 A JP 25236796A JP 25236796 A JP25236796 A JP 25236796A JP H1076624 A JPH1076624 A JP H1076624A
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JP
Japan
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group
resin
image
ink
acid
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JP25236796A
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English (en)
Inventor
Eiichi Kato
栄一 加藤
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鮮明な画像の印刷物が得られ、かつ耐刷性に
優れたインクジェット式製版印刷版の作成方法を提供す
る。 【解決手段】 平板印刷用原版の画像受理層上に、常温
で固体のインク組成物を熱溶融し、熱溶融状態で液滴を
ノズルから射出して画像形成を行うホットメルト型イン
クジェット方式で画像を形成した後、この画像受理層の
非画像部を化学反応処理により不感脂化処理して親水性
表面の平版印刷版とするインクジェット式製版印刷版の
作成方法であって、前記画像受理層は耐水性支持体上に
あって、化学反応処理での分解により、−CO2 H基、
−SO3 H基およびPO32基のうちの少なくとも1
つの基を作成する官能基を少なくとも1種含有し、かつ
少なくとも一部分が架橋されている樹脂(A)を含有す
るインクジェット式製版印刷版の作成方法とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録方式を用いた平版印刷版の作成方法に関し、さらに詳
細には、製版画質および印刷画質が良好なホットメルト
型インクジェット式製版印刷版の作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の事務機器の発達とOA化の進展に
伴い、軽印刷分野において、耐水性支持体上に親水性表
面の画像受理層を有する直描型平版印刷原版に種々の方
法で製版、即ち画像形成を行い印刷版を作成するオフセ
ット平版印刷方式が普及している。
【0003】従来の直描型平版印刷用版材は、耐水化処
理を施した紙、プラスチックフィルムなどからなる支持
体上に、無機顔料、水溶性樹脂および耐水化剤等を含む
画像受容層(ないし画像受理層)を設けたものであり、
このような直描型平版印刷用原版上に親油性インキを用
いて、タイプライターまたは手書きによって親油性画像
を形成するか、あるいは熱転写プリンターでインクリボ
ンから画像を熱溶融転写するか、あるいは液体インクを
用いたインクジェットプリンターで親油性画像を形成す
ることで印刷版とする方法が知られている。
【0004】しかし、このような方法で作成された印刷
版は、画像部の機械的強度が充分でなく、印刷すると容
易に画像部の欠落を生じてしまう。
【0005】また、インクジェットプリンターを用いた
製版において、液体インクを用いる場合に生じる版材上
での液体中の画像形成剤の拡散や吸収の問題をなくし画
像のにじみを軽減する方法として、疎水性の固体インク
を、熱溶融で液体にして用いるホットメルト型インクジ
ェット方法(ソリッドジェット方法とも称する)が特開
昭64−27953号に開示されている。ここで用いら
れる印刷用原版の画像受理層表面は親水性のものであ
る。
【0006】しかし、この方法においても、実際に印刷
版を形成して印刷して見ると画像部の滲みが見られ、ま
た印刷枚数もせいぜい数百枚程度が限度であり不充分で
あった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、鮮明
な画像の印刷物を多数枚印刷可能とするホットメルト型
インクジェット式製版印刷版の作成方法を提供すること
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記
(1)〜(4)の本発明により達成される。 (1)平板印刷用原版の画像受理層上に、常温で固体の
インク組成物を熱溶融し、この熱溶融状態でインクの液
滴をノズルから射出して画像形成を行うホットメルト型
インクジェット方式で画像を形成した後、この画像受理
層の非画像部を化学反応処理により不感脂化処理して親
水性表面の平版印刷版とするインクジェット式製版印刷
版の作成方法であって、 前記画像受理層は耐水性支持
体上にあって、化学反応処理での分解により、−CO2
H基、−SO3 H基およびPO32 基のうちの少なく
とも1つの基を生成する官能基を少なくとも1種含有
し、かつ少なくとも一部分が架橋されている樹脂(A)
を含有するインクジェット式製版印刷版の作成方法。 (2)上記樹脂(A)が、分解により−CO2 H基、−
SO3 H基およびPO32 基のうちの少なくとも1つ
の基を作成する官能基を少なくとも1種含有する共重合
成分を含有し、かつ分解により該基を生成した時に、水
に対して難溶または不溶となるように予め架橋されてい
る樹脂である上記(1)のインクジェット式製版印刷版
の作成方法。 (3)前記支持体の画像受理層に隣接する側の表面の平
滑性がベック平滑度で300(秒/10cc)以上である上
記(1)または(2)のインクジェット式製版印刷版の
作成方法。 (4)前記インク組成物が、少なくとも50〜150℃
の融点を有するワックスと樹脂と色材とを含有し、80
℃以上に加熱することによって熱溶融液体となり、この
熱溶融液体の粘度が1〜20cpsである上記(1)〜
(3)のインクジェット式製版印刷版の作成方法。
【0009】
【作用】本発明では、化学反応処理、特に不感脂化処理
工程での分解により、−CO2H基、−SO3 H基およ
びPO32 基のうちの少なくとも1つの基を生成する
官能基を少なくとも1種含有し、かつ少なくとも一部分
が架橋されている樹脂(A)を含有する画像受理層を耐
水性支持体上に有する平板印刷用原版の、該画像受理層
上にホットメルト型インクジェット方式で疎水性のイン
ク画像を形成し、その後非画像部を親水化するので、親
水性の画像受理層にホットメルト型インクジェット方式
で疎水性のインクで画像を形成する場合と比較して、原
板の製版画像、印刷画像とも画質が格段に向上し、加え
て耐刷性も優れたものとなる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0011】本発明の方法によるインクジェット式製版
印刷版は、耐水性支持体上にあって、化学反応処理での
分解により、−CO2 H基、−SO3 H基およびPO3
2基のうちの少なくとも1つの基を生成する官能基を
少なくとも1種含有し、かつ少なくとも一部分が架橋さ
れている樹脂(A)を含有する画像受理層を有する疎水
性表面の画像受理層上に、常温で固体のインク組成物を
熱溶融し、熱溶融状態で液滴をノズルから射出して画像
形成を行うホットメルト型インクジェット方式で画像を
形成した後、この画像受理層の非画像部を化学反応処理
により不感脂化処理して印刷時に平板印刷可能な親水性
表面となる平版印刷版とすることを特徴とし、形成され
た画像層は、接着ないし密着する画像受理層との親和性
が充分に保持され、画像層の欠落等を生じ難い強固な画
像部となる。
【0012】この画像受理層には、樹脂(A)中に含ま
れ、カルボシキル基、スルホ基、−P(=O)(OH)
2 基のうち少なくとも1つの基を生成する官能基を有す
る重合体成分(a)を含有する。この重合体成分(a)
において、1つの官能基から化学反応により生成される
親水性基は1個でも2個でも良い。
【0013】まず、化学反応により少なくとも1つのカ
ルボシキル基を生成する官能基について説明する。
【0014】本発明の好ましい態様によれば、カルボシ
キル基生成官能基としては、例えば、下記の式(I)で
示される官能基が挙げられる。
【0015】−COO−L1 (I) 式(I)において、L1 は下記の基を表す。
【0016】
【化1】
【0017】ここでR11およびR12は互いに同じでも異
なっていても良く、水素原子または炭化水素基を表し、
Xは芳香族基を表し、Zは水素原子、ハロゲン原子、ト
リハロメチル基、アルキル基、シアノ基、−NO2 基、
−SO21 (Z1 は炭化水素基を示す)基、−COO
2 (Z2 は炭化水素基を示す)基、−OZ3 (Z3
炭化水素基を示す)または−COZ4 (Z4 は炭化水素
基を示す)基を表し、n,mはそれぞれ0、1または2
を表す。ただし、nとmが共に0の場合、Zは水素原子
ではない。
【0018】R14、R15およびR16ならびにR20および
21は互いに同じでも異なっても良く、炭化水素基また
は−OZ5 (Z5 は炭化水素基を示す)基を表す。Y2
は環状イミド基を形成する有機残基を表す。R20、R21
は同じでも異なっていても良く、炭化水素基を表す。
【0019】以下さらに詳しく説明する。
【0020】上記R11およびR12は互いに同じでも異な
っていても良く、好ましくは水素原子、または置換され
てもよい炭素数1〜12の直鎖状または分岐状アルキル
基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、クロロメ
チル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、トリ
フルオロメチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル
基、デシル基、ヒドロキシエチル基、3−クロロプロピ
ル基等)を表し、Xは好ましくは置換されても良いフェ
ニル基、またはナフチル基(例えばフェニル基、メチル
フェニル基、クロロフェニル基、ジメチルフェニル基、
クロロメチルフェニル基、ナフチル基等)を表し、Zは
好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例えば塩素原子、
フッ素原子等)、トリハロメチル基(例えばトリクロロ
メチル基、トリフルオロメチル基等)、炭素数1〜12
の置換されても良い直鎖状または分岐状アルキル基(例
えばメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、テトラフ
ルオロエチル基、オクチル基、シアノエチル基、クロロ
エチル基等)、−CN基、−NO2 基、−SO2
1〔Z1 は脂肪族基(例えば炭素数1〜12の置換され
ても良いアルキル基:具体的にはメチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、クロロエチル基、ペンチル基、
オクチル基等、炭素数7〜12の置換されても良いアラ
ルキル基:具体的にはベンジル基、フェネチル基、クロ
ロベンジル基、メトキシベンジル基、クロロフェネチル
基、メチルフェネチル基等)または芳香族基(例えば置
換基を含有しても良いフェニル基、ナフチル基:具体的
には、フェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニ
ル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、アセチ
ルフェニル基、アセトアミドフェニル基、メトキシカル
ボニルフェニル基、ナフチル基等)を表す〕基、−CO
OZ2 (Z2 は上記Z1 と同義である)基、−OZ3
(Z3 は上記Z1 と同義である)基または−COZ4
(Z4 は上記Z1 と同義である)基を表す。n,mは各
々0、1または2を表す。但しnおよびmが共に0の場
合、Zは水素原子ではない。
【0021】R14、R15およびR16ならびにR20および
21は互いに同じでも異なっていても良く、好ましく
は、炭素数1〜18の置換されても良い脂肪族基〔脂肪
族基はアルキル基、アルケニル基、アラルキル基または
脂環式基を示し、置換基としては例えばハロゲン原子、
−CN基、−OH基、−OZ6 (Z6 はアルキル基、ア
ラルキル基、脂環式基、アリール基を示す)基等が挙げ
られる〕、炭素数6〜18の置換されても良い芳香族基
(例えばフェニル基、トリル基、クロロフェニル基、メ
トキシフェニル基、アセトアミドフェニル基、ナフチル
基等)または−OZ5 (Z5 は置換されても良い炭素数
7〜12のアラルキル基、炭素数5〜18の置換されて
も良い脂環式基、炭素数6〜18の置換されても良いア
リール基を示す)基を表す。
【0022】Y2 はイミド基を形成する有機残基を表
し、好ましくは、式(A)または式(B)で示される有
機残基を表す。
【0023】
【化2】
【0024】式(A)中、R22およびR23は各々同じで
も異なっていても良く、各々水素原子、ハロゲン原子
(例えば塩素原子、臭素原子等)、炭素数1〜18の置
換されても良いアルキル基〔例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、
デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル
基、2−クロロエチル基、2−メトキシエチル基、2−
シアノエチル基、3−クロロプロピル基、2−(メタン
スルホニル)エチル基、2−(エトキシオキシ)エチル
基等〕、炭素数7〜12の置換されても良いアラルキル
基(例えばベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプ
ロピル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、メ
トキシベンジル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル
基等)、炭素数3〜18の置換されても良いアルケニル
基(例えばアリル基、3−メチル−2−プロペニル基、
2−ヘキセニル基、4−プロピル−2−ペンテニル基、
12−オクタデセニル基等)、−SZ8 〔Z8 は前記R
22またはR23のアルキル基、アラルキル基、アルケニル
基と同一の内容を表す置換基、または置換されても良い
アリール基(例えばフェニル基、トリル基、クロロフェ
ニル基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、エト
キシフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基等)を
表す〕基または−NHZ9 (Z9 は前記Z8 と同一内容
を表す)基を表す。また、R22とR23で環を形成する残
基を表しても良い〔例えば5または6員環の単環(例え
ばシクロペンチル環、シクロヘキシル環)、または5も
しくは6員環を含むビシクロ環(例えばビシクロヘプタ
ン環、ビシクロヘプテン環、ビシクロオクタン環、ビシ
クロオクテン環等)、さらにはこれらの環は置換されて
いても良く、置換基としてはR22、R23で前記した内容
と同一のものを含む〕。qは2または3の整数を表す。
【0025】
【化3】
【0026】式(B)中、R24、R25は同一でも異なっ
ても良く、前記R22、R23と同一の内容を表す。さらに
は、R24とR25は連続して芳香族環を形成する有機残基
を表しても良い(例えばベンゼン環、ナフタレン環
等)。
【0027】また、化学反応により少なくとも1つのス
ルホ基を生成する官能基としては、例えば下記式(II)
で表される官能基が挙げられる。
【0028】−SO2 −O−L2 (II) 式(II)中、L2 は下記の基を表す。
【0029】
【化4】
【0030】ここで、R11、R12、X、Z、n、m、Y
2 、R20およびR21はそれぞれ前記と同一の内容を表
す。R26’、R27’はそれぞれ水素原子または炭化水素
基(R22、R23で示す炭化水素基と同一の内容)を表
す。
【0031】また、化学反応により−P(=O)(O
H)2 基を生成する官能基としては、例えば下記式(II
I)で表される官能基が挙げられる。
【0032】
【化5】
【0033】式(III)中、L3 、L4 は同じでも異なっ
ても良く、それぞれ前記L1 と同一の内容を表す。R1
は前記と同一の内容を表す。
【0034】以下に前記した式(I)〜(III)で表され
る各官能基の具体例(a−1)〜(a−30)を例示す
る。但し、本発明の内容は、これらに限定されるもので
はない。なお、下記具体例において、各記号は下記に示
す通りである。また、これらの各官能基は通常、1また
は2個有機共重合体成分(a)の樹脂中に20〜90wt
%、好ましくは25〜80wt%程度含有されていればよ
い。
【0035】
【化6】
【0036】
【化7】
【0037】
【化8】
【0038】
【化9】
【0039】本発明において用いることのできる、前記
したような−CO2 H基、−SO3H基、−P(=O)
(OH)2 基を化学反応で発現する官能基は、これらの
親水性基を保護した官能基であり、これら保護基の当該
親水性基への化学結合による導入の方法は、従来公知の
方法によって容易に行うことができる。
【0040】例えば、J.F.W.McOmie「Protective group
s in Organic Chemistry」(PlenumPress. 1973年
刊)、T.W.Greene「Protective groups in Organic Syn
thesis」(Wiley-Intersciience.1981年刊)、日本化学
会編「新化学実験講座、第14巻、有機化学の合成と反
応」(丸善(株)1978年刊)、岩倉義男・栗田恵輔著
「反応性高分子」(講談社)等に記載された各単位反応
が用いられる。
【0041】これらの官能基を樹脂(A)中に導入する
方法としては−COOH基、−SO3 H基、−P(=
O)(OH)2 基等から選ばれた少なくとも1種の親水
性基を含有する重合体を反応によって各々の親水性基を
保護した官能基に変換する、いわゆる高分子反応による
方法、または前記した式(I)〜(III)で示される官能
基を1種またはそれ以上含有する1種またはそれ以上の
単量体を合成した後、これと共重合し得る他の任意の単
量体との重合反応により重合体とする方法により得られ
る。
【0042】重合体中に、本発明に必要な官能基を任意
に調整し得る、あるいは、不純物(高分子反応の場合、
用いる触媒あるいは副生成物等)を混入しない等の理由
から、後者の方法(予め所望の単量体を得、その後重合
反応を行う方法)により製造することが好ましい。
【0043】例えばカルボキシル基を生成する官能基を
導入する場合、具体的には重合性二重結合を含むカルボ
ン酸類またはその酸のハライド類を、例えば前記した公
知文献等に記載された方法に従って、そのカルボキシル
基を式(I)で示される官能基に変換した後、重合反応
を行い製造する方法で行うことができる。
【0044】以上の如く、式(I)〜(III)の官能基を
含有する共重合成分としては、例えば下記式(VI)の如
き成分が挙げられる。但しこれらの共重合成分例に限定
されるものではない。
【0045】
【化10】
【0046】芳香族基、またはヘテロ環基を示す〔但
し、Q1 、Q2 、Q3 、Q4 は、各々水素原子、炭化水
素基、または式(IV)中の(−Y’−W)を表し、nは
0〜18の整数を示す〕。Y’は、結合基X’と結合基
〔W〕を連結する、ヘテロ原子を介していても良い炭素
−炭素結合を表し(ヘテロ原子としては、酸素原子、イ
オウ原子、窒素原子を示す)、例えば、
【0047】
【化11】
【0048】−COO−、−CONH−、−SO2 −、
−SO2 NH−、−NHCOO−、−NHCONH−等
の結合単位の単独または組み合わせの構成によりなるも
のである〔但しb3 、b4 、b5 は、水素原子または炭
化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカル
ボニルメチル基、ブトキシカルボニルメチル基等の置換
されても良い炭素数1〜6のアルキル基、ベンジル基、
フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、トリル
基、キシリル基、クロロフェニル基、等のアリール基
等)。Wは、式(I)〜(III)で表される官能基を表
す。a1 、a2 は同じでも異なっていても良く、水素原
子、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子等)、シ
アノ基、アルコシキカルボニル基(例えば、メトキシカ
ルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボ
ニル基、プトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボ
ニル基等)、または炭化水素基(例えば、メチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、メトキシカルボニルメ
チル基、エトキシカルボニルメチル基、ブトキシカルボ
ニルメチル基等の置換されても良い炭素数1〜6のアル
キル基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、
フェニル基、トリル基、キシリル基、クロロフェニル
基、等のアリール基等)を表す。また、式(III)中の
〔−X’−Y’〕結合残基は
【0049】
【化12】
【0050】部と−W部を直接連結させても良い。
【0051】これらの本発明の共重合体成分(a)とと
もに、共重合し得る他の共重合成分としては、それらに
相当する単量体としてその例を挙げれば、酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル、酢酸アリル、プロピオン酸アリル
の如き脂肪族カルボン酸ビニルあるいはアリルエステル
類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン
酸、マレイン酸、フマール酸等の如き不飽和カルボン酸
およびこれらの不飽和カルボン酸のエステル類またはア
ミド類、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレ
ンの如きスチレン誘導体、α−オレフィン類、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、N−ビニルピロリドン
の如きビニル基置換のヘテロ環化合物等が挙げられる。
【0052】本発明の樹脂(A)は、さらにインクジェ
ット式製版印刷用原版の画像受理層中において、少なく
ともその一部が架橋されていることを特徴とする。
【0053】この樹脂(A)に含有される前記式(I)
〜(III)で示される官能基が、分解により前記親水性基
を作成したときに、酸性およびアルカリ性の水溶液に対
して、この樹脂は難溶もしくは不溶性の樹脂となる。
【0054】本発明においては、前記の親水性基生成官
能基と共に熱および/または光で硬化反応を起こす架橋
性官能基を含有する樹脂を用いて、その後の原版製造工
程において架橋構造が形成されることが好ましい。
【0055】この架橋性官能基は、分子間で化学反応を
生じ化学結合を形成し得るものであればいずれのもので
も良い。すなわち、縮合反応、付加反応等による分子間
の結合あるいは重合反応による架橋等を熱および/また
は光によって生じさせる反応様式を利用することができ
る。具体的には、解離性の水素原子を有する官能基〔例
えば−COOH基、−PO32 基、−OH基、−SH
基、−NHR1"基(R1"は、水素原子またはメチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のア
ルキル基を表す)〕と
【0056】
【化13】
【0057】イソシアナート基〔保護されたイソシアナ
ート基(ブロック化イソシアナート)を含む〕、チオイ
ソシアナート基、環状ジカルボン酸無水物の含有基との
群から各々選ばれた官能基の組み合わせを少なくとも1
組含有する場合、あるいは−CONHCH2 OR2"(C
2"は水素原子またはメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル
基を表す)、Si(OR3")l (R3")k 〔R3"はR1"
と同じ炭素数1〜4のアルキル基を表す。但し(l+k=
3)、l は2または3、k は0または1を表す〕または
重合性二重結合基等が挙げられる。
【0058】さらには、例えば遠藤剛、「熱硬化性高分
子の精密化(C.M.C (株)、1986年刊)、原崎勇次、
「最新バインダー技術便覧」第II−1章(総合技術セン
ター、1985年刊)、大津隆行「アクリル樹脂の合成・設
計と新用途開発」(中部経営開発センター出版部、1985
年刊)、大森英三「機能性アクリル系樹脂」(テクノシ
ステム1985年刊)乾英夫、永松元太郎、「感光性高分
子」(講談社、1977年刊)角田隆弘、「新・感光性樹
脂」(印刷学会出版部、1981年刊)、G.E.Green and,B.
P.Star R,J.Macro.Sci Revs Macro.Chem,C21 (2) ,187
〜273 (1981〜82) ,C.G.Roffey,「Photopolymerization
of Surface Coatings」(A.Wiley Interscience Pub.1
982年刊)等の総説に引例された官能基・化合物等を用
いることができる。
【0059】これらの架橋性官能基は、親水性基生成官
能基と共に、一つの共重合体成分中に含有されていても
良いし、親水性基生成官能基を含有する共重合体成分と
は別個の共重合体成分中に含有されていても良い。
【0060】これらの架橋性官能基を含有する共重合体
成分に相当する単量体の具体的なものとしては、例えば
前記式(IV)と共重合し得る該官能基を含有するビニル
系化合物であればいずれでも良い。
【0061】例えば高分子学会編「高分子データ・ハン
ドブック〔基礎編〕培風館(1986刊)等に記載されてい
る。具体的にはアクリル酸、αおよび/またはβ置換ア
クリル酸(例えばα−アセトキシ体、α−アセトキシメ
チル体、α−(2−アミノメチル体、α−クロロ体、α
−プロモ体、α−フロロ体、α−トリブチルシリル体、
α−シアノ体、β−クロロ体、β−ブロモ体、α−クロ
ロ−β−メトキシ体、α,β−ジクロロ体等)、メタク
リル酸、イタコン酸、イタコン酸半エステル酸、イタコ
ン酸半アミド類、クロトン酸、2−アルケニルカルボン
酸類(例えば2−ペンテン酸、2−メチル−2−ヘキセ
ン酸、2−オクテン酸、4−メチル−2−ヘキセン酸、
4−エチル−2−オクテン酸等)、マレイン酸、マレイ
ン酸半エステル類、マレイン酸半アミド類、ビニルベン
ゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルス
ルホン酸、ビニルホスホ酸、ジカルボン酸類のビニル基
またはアリル基の半エステル誘導体、およびこれらのカ
ルボン酸またはスルホン酸のエステル誘導体、アミド誘
導体の置換基中に該架橋性官能基を含有する化合物等が
挙げられる。
【0062】本発明の樹脂における「架橋性官能基を含
有する共重合体成分」の割合は、該樹脂中好ましくは1
5〜80wt%である。より好ましくは20〜50wt%で
ある。
【0063】また、本発明の画像受理層における樹脂
(A)の架橋を十分にし、膜強度をより向上させるため
に架橋剤を添加することが好ましい。ここで、架橋剤に
は一般的に架橋剤として用いられる化合物を挙げること
ができる。具体的には、山下普三、金子東助編「架橋剤
ハンドブック」大成社刊(1981年)、高分子学会編
「高分子データハンドブック、基礎編」培風館(198
6年)等に記載されている化合物を用いることができ
る。
【0064】例えば、有機過酸化物、有機シラン系化合
物(例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリブ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカッ
プリング剤等)、ポリイソシアナート系化合物(例え
ば、トルイレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジ
イソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナー
ト、ポリメチレンポリフェニルイソシアナート、ヘキサ
メチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナー
ト、高分子ポリイソシアナート等)、ポリオール系化合
物(例えば、1,4−ブタジオール、ポリオキシプロピ
レングリコール、ポリオキシエチレングリコール、1,
1,1−トリメチロールプロパン等)、ポリアミン系化
合物(例えば、エチレンジアミン、γ−ヒドロキシプロ
ピル化エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ヘキサ
メチレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、変性
脂肪族ポリアミン類等)、チタネートカップリング系化
合物(例えばテトラブトキシチタネート、テトラクロロ
エポキシチタネート、イソプロピルトリステアロイルチ
タネート等)、アルミニウムカップリング系化合物〔例
えばアルミニウムブチレート、アルミニウムアセチルア
セテート、アルミニウムオキシドオクテート(アルミニ
ウムトリス(アセチルアセテート))等〕、ポリエポキ
シ基含有化合物およびエポキシ樹脂(例えば、垣内弘編
著「新エポキシ樹脂」昭晃堂(1985年刊)、橋本邦之編
著「エポキシ樹脂」日刊工業新聞社(1969年刊)等に記
載された化合物類)、メラミン樹脂(例えば、三輪一
郎、松永英夫編著「ユリアメラミン樹脂」日刊工業新聞
社(1969年刊)等に記載された化合物類)、ポリ(メ
タ)クリレート系化合物〔例えば、大河原信、三枝武
夫、東村敏延編著「オリゴマー」講談社(1976年刊)、
大森英三「機能性アクリル系樹脂」テクノシステム(19
85年刊)等に記載された化合物類〕が挙げられる。これ
らの架橋剤の添加量は樹脂の架橋性官能基を含有する共
重合体成分に対し、0.1〜50mol %、より好ましく
は0.5〜10mol%程度が好ましい。
【0065】本発明では、画像受理層中での架橋反応を
促進させるために、必要に応じて反応促進剤を添加して
もよい。
【0066】架橋反応が官能基間の化学結合を形成する
反応様式の場合には、例えば有機酸類(酢酸、プロピオ
ン酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホ
ン酸等)、フェノール類(フェノール、クロロフェノー
ル、ニトロフェノール、シアノフェノール、ブロモフェ
ノール、ナフトール、ジクロロフェノール等)、有機金
属化合物(アセチルアセトナートジルコニウム塩、アセ
チルアセトンジルコニウム塩、アセチルアセトコバルト
塩、ジラウリン酸ジブトキシスズ等)、ジチオカルバミ
ン酸化合物(ジエチルジチオカルバミン酸塩等)、チノ
ウラムジスルフィド化合物(テトラメチルチノウラムジ
スルフィド等)、カルボン酸無水物(無水フタル酸、無
水マレイン酸、無水コハク酸、ブチルコハク酸無水物、
3,3′,4,4′−テトラカルボン酸ベンゾフェノン
ジ無水物、トリメリット酸無水物等)等が挙げられる。
架橋反応が重合性反応様式の場合には、重合開始剤(過
酸化物、アゾビス系化合物等が挙げられる。これらの反
応促進剤の添加量は前記架橋剤の0.05〜30mol
%、より好ましくは0.1〜20mol %程度が好まし
い。
【0067】本発明に供される画像受理層は、上述の樹
脂(A)および架橋を促進する他の化合物と共に無機顔
料を含有することが好ましい。
【0068】本発明に供される無機顔料としては、例え
ば、酸化チタン、カオリン、雲母類、タルク、ケイソウ
土、クレー、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸カル
シウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグ
ネシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニ
ウム、シリカ、アルミナ等が挙げられる。
【0069】これらの無機顔料粒子は、通常その平均粒
子径が0.05〜5μm であることが好ましく、さらに
は、0.1〜3μm が好ましい。
【0070】画像受理層における全組成物量100重量
部に対して、無機顔料の好ましい使用割合は、50wt%
〜90wt%であり、より好ましくは70wt%〜85wt%
である。各画像受理層中の顔料と樹脂の割合は、一般に
顔料100重量部に対して、樹脂が10〜50重量部の
割合であり、好ましくは、13〜30重量部の割合であ
る。
【0071】この範囲において、画像受理層の膜強度が
より一層向上し、印刷時における膜強度の保持が十分に
なされると共に、顔料粒子の存在により、膜表面に適度
な凹凸が、膜中に適切な空隙がそれぞれ保持されること
で、この画像受理層上に形成されたインク画像部が、十
分な密着面積の向上とアンカー効果により、画像部が画
像受理層と十分に密着し、印刷枚数が多くなっても画像
の欠損を生じることなく十分な耐刷性を得ることができ
る。なお、この画像受理層の空孔率は通常3〜50vol
%、好ましくは10〜40vol %程度のものが好まし
い。
【0072】さらには、表面の凹凸性と、膜中の空隙に
よって、印刷時の印刷版としての水の保持が十分になさ
れ、高い親水性の維持が可能となり、印刷物の地汚れが
抑制される。
【0073】画像受理層の表面の平滑度は、ベック平滑
度で30〜400(秒/10cc)が好ましく、より好まし
くは45〜300(秒/10cc)である。また、画像受理
層の膜の空隙は、5〜50vol %が好ましく、より好ま
しくは15〜40vol %である。
【0074】本発明の画像受理層において、樹脂(A)
は、画像受理層組成物を塗布した後、光および/または
熱硬化されることが好ましい。熱硬化を行なうために
は、例えば、乾燥条件を従来の受理層作製時の乾燥条件
より厳しくする。例えば、乾燥条件を高温度および/ま
たは長時間とするか、あるいは塗布溶剤の乾燥後、更に
加熱処理することが好ましい。例えば60℃〜150℃
で5〜120分間処理する。上述の反応促進剤を併用す
ると、より穏やかな条件で処理することができる。
【0075】また、樹脂中の特定の官能基を光硬化して
もよく、光照射で硬化する方法としては、化学的活性光
線で光照射する工程を入れるようにすればよい。化学的
活性光線としては、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子
線、X線、γ線、α線などいずれでもよいが、好ましく
は紫外線、より好ましくは波長310nmから波長500
nmの範囲の光線である。
【0076】一般には低圧、高圧あるいは超高圧の水銀
ランプ、ハロゲンランプなどが用いられる。光照射の処
理は通常5cm〜50cmの距離から10秒〜10分間の照
射で充分に行なうことができる。
【0077】本発明における画像受理層の厚さは、原版
1m2当りの画像受理組成物の塗布量(乾燥後)で示して
3〜30g 程度とすることが好ましい。
【0078】本発明の画像受理層は耐水性支持体上に設
けられる。耐水性支持体としては、耐水化処理を施した
紙、プラスチックフィルムあるいは金属箔をラミネート
した紙またはプラスチックフィルム等を用いることがで
きる。
【0079】本発明に供せられる支持体は、画像受理層
に隣接する側の表面の平滑性が、ベック平滑度で300
(秒/10cc)以上、好ましくは900〜3000(秒/
10cc)に調整されていることが好ましく、より好ましく
は1000〜3000(秒/10cc)であることが好まし
い。
【0080】このように規制された耐水性支持体の高平
滑な表面とは、画像受理層が直接塗布される面のことを
いい、例えば支持体上に後述するアンダー層、オーバー
コート層を設ける場合には、そのアンダー層、オーバー
コート層の表面のことをいう。
【0081】これにより支持体の表面の凹凸を受けるこ
となく上記のように表面状態が調整された画像受理層が
充分に保持され、より一層の画質向上が可能となる。
【0082】上記平滑度の範囲に設定する方法として
は、種々従来公知の方法を用いることができる。具体的
には、基体表面を樹脂により、溶融接着する方法、高平
滑の熱ローラーによるカレンダー強化法等の方法によ
り、支持体の表面のベック平滑度を調整する方法等を挙
げることができる。
【0083】上記樹脂を溶融接着する方法として、本発
明においては、好ましくは押出ラミネート法によって被
覆されることが好ましい。この押出ラミネート法によっ
て被覆することにより、所望の平滑度に調整した支持体
を作ることができる。押出ラミネート法とは樹脂を溶融
し、これをフィルムにしてから直ちに原紙に圧着後、冷
却してラミネートする方法であり、種々の装置が知られ
ている。
【0084】このようにしてラミネートされる樹脂層の
厚さは製造安定性の点から10μm以上である。好まし
くは10μm 〜30μm である。
【0085】ここで、上記樹脂としては、ポリエチレン
系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、メタ
クリル系樹脂、エポキシ系樹脂、およびそれらの共重合
体を挙げることができる。また、これらの樹脂を2種以
上使用することもできる。このなかでも、好ましくはポ
リエチレン系樹脂である。ポリエチレン系樹脂の中で
も、低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンの混合物
が特に好ましい。これにより、被覆膜均一性があり、耐
熱性に優れるようになる。さらに、この混合物を用いる
ことにより、樹脂層に後述するような導電性物質を添加
した場合、より導電性が優れるようになる。
【0086】上記の低密度ポリエチレンとしては、密度
0.915〜0.930g/cc、メルトインデックス;
1.0〜30g/10分のものが好ましく、高密度ポリエ
チレンとしては密度;0.940〜0.970g/cc、メ
ルトインデックス;1.0〜30g/10分のものが好ま
しい。ブレンド比率としては、低密度ポリエチレン10
〜90wt%、高密度ポリエチレン90〜10wt%が好ま
しい。
【0087】また、基体として原紙を用いる場合には原
紙と上記樹脂層との接着力を向上させるため、予め原紙
上にエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステ
ル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン
−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリロニトリル
−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリロニトリル−
メタクリル酸共重合体などのポリエチレン誘導体を塗布
したり、原紙の表面をコロナ放電処理しておくことが好
ましい。別法として、特開昭49−24126号、同5
2−36176号、同52−121683号、同53−
2612号、同54−111331号および特公昭51
−25337号の各公報に記載されている表面処理を原
紙に施すこともできる。
【0088】他の方法として挙げられるカレンダー強化
方法は、例えば後述の紙等の基体もしくは基体上にアン
ダー層を形成した支持体にカレンダー処理することによ
り達成される。ここでカレンダー処理条件は、基体やア
ンダー層の組成によって適宜コントロールされるもの
で、金属製ロール、樹脂ロール、コットンロール等のロ
ールの種類および組合わせ、カレンダーロールの段数、
ロールニップ圧、ロール表面温度等の条件を適宜選定す
ることができる。
【0089】また、本発明では上記のように支持体と画
像受理層との間に耐水性および層間接着性を向上する目
的でアンダー層を、また画像受理層とは反対の支持体面
にカール防止を目的としてバックコート層(裏面層)を
設けることができるが、バックコート層は、その平滑度
が150〜700(秒/10cc)の範囲であることが好ま
しい。
【0090】これにより、印刷版を、オフセット印刷機
に給版する場合に、ズレやスベリを生じることなく正確
に印刷機にセットされる。
【0091】このような支持体のアンダー層とバックコ
ート層の平滑度をそれぞれに調整する場合には、例えば
アンダー層形成後に一旦カレンダー処理を行ない、バッ
クコート層形成後再度カレンダー処理をするというよう
に、カレンダー処理の工程を複数回実施したり、また、
後述するようなアンダー層およびバックコート層の例え
ば顔料の割合・粒度等の組成上の調整とカレンダー処理
条件の調整との組合わせにより平滑度をコントロールす
ることが望ましい。
【0092】本発明の原版に供せられる基体としては例
えば木材パルプ紙、合成パルプ紙、木材パルプと合成パ
ルプの混抄紙、不織布、プラスチックフィルム、布、金
属シート、これらの複合シート状物等の基体をそのまま
用いることができる。また、本発明で特定する平滑度を
得るために、および耐水性、その他特性を調整するため
に、上記基体上に後述のアンダー層やバックコート層に
使用される疎水性樹脂、水分散性または水溶性樹脂や顔
料等からなる塗料が含浸処理されていてもよい。
【0093】本発明においては、平版印刷用原版に要求
される例えば記録特性、耐水性、耐久性等の印刷適性を
満たすとともに、前記のように所望の平滑度に調整すべ
く前記基体上にアンダー層およびバックコート層を設け
た支持体を用いることが好ましい。このようなアンダー
層およびバックコート層は、樹脂、顔料等を含有する塗
液を支持体上に塗布・乾燥したり、ラミネートすること
により形成される。ここで使用される樹脂としては、各
種の樹脂が適宜選択して用いられる。具体的には、疎水
性樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、塩化ビニル系
樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、
スチレン−アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニ
リデン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等が挙げられ、親水性
樹脂としては例えばポリビニルアルコール系樹脂、セル
ロール系誘導体、でんぷんおよびその誘導体、ポリアク
リルアミド系樹脂、スチレン無水マレイン酸系共重合体
等が挙げられる。
【0094】また、顔料としてはクレー、カオリン、タ
ルク、ケイソウ土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、雲母類等が挙げ
られる。これら顔料は所望の平滑度を達成するために、
その粒度を適宜選択して用いることが好ましく、例えば
アンダー層においては比較的高度の平滑性が要求される
ことから、小粒径のものや大粒子をカットして具体的に
は8μm 以下、好ましくは0.5〜5μm 程度の粒度の
顔料が好ましく用いられる。また、バックコート層にお
いてはアンダー層と比べて低めの平滑度が要求されるこ
とから、粒度の大きめのもの、具体的には0.5〜10
μm 程度の粒度の顔料が好ましく用いられる。なお、上
記のような顔料は樹脂100重量部に対して、アンダー
層においては80〜150重量部、バックコート層にお
いては80〜200重量部の割合で使用されるのが好ま
しい。なお、アンダー層およびバックコート層は優れた
耐水性を得るために、例えばメラミン系樹脂、ポリアミ
ドエピクロルヒドリン系樹脂等の耐水化剤を含有するこ
とが効果的である。なお、上記の粒径は走査型電子顕微
鏡(SEM)写真により測定することができる。また、
粒子が球状でないときは投影面積を円に換算して求めた
直径である。
【0095】本発明の平版印刷用原版を作るには一般
に、支持体の一方の面に、必要あればアンダー層成分を
含む溶液を塗布乾燥してアンダー層を形成し、さらに必
要あれば他方の面にバックコート層成分を含む溶液を塗
布乾燥してバックコート層を形成した後、画像受理層成
分を含む塗布液を塗布乾燥して画像受理層を形成すれば
よい。なお、画像受理層、アンダー層、バックコート層
の塗布量は、それぞれ1〜30g/m2、特に6〜20g/m2
が適当である。
【0096】さらに好ましくは、アンダー層もしくはバ
ックコート層を設けた耐水性支持体の膜厚としては、9
0〜130μm の範囲、好ましくは100〜120μm
の範囲である。
【0097】次にホットメルト型インクジェット方式
(あるいはソリッドジェット方式)に供される常温で固
体のインク組成物である固体インクについて説明する。
【0098】本発明に供される固体インクは、前述のよ
うに、温度35℃以下では固体であり、温度80℃〜1
50℃に加熱されると熱溶融液体となるものであり、か
つ熱溶融時の粘度が1cps〜20cps、好ましくは
2cps〜15cpsの範囲にあるもので、従来公知の
ものを用いることができる。
【0099】具体的には、本発明の熱溶融性インクは、
常温で固体であり、50℃〜150℃の融点を有するワ
ックスと、樹脂と、色材と、接着性改質剤とを少なくと
も含有し、好ましくは50℃〜150℃の融点を有する
ワックスを30〜90wt%と、樹脂を5〜70wt%と、
色材としての染料もしくは顔料を0.1〜10wt%と、
接着性改質剤を2〜40wt%とを、インク成分として含
有する。
【0100】ビヒクルの一成分として用いられる融点5
0℃〜150℃のワックス、いわゆる常温固体ワックス
は、融点以上の加熱溶融状態において、少なくともイン
クジェットプリンタのインク吐出温度において熱的に安
定なものを用いる。
【0101】前記ワックスとしては、例えば、石油ワッ
クス、望ましくはパラフィンワックスまたはマイクロク
リスタリンワックスや;植物系ワックス、望ましくはキ
ャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワッ
クス、またはホホバ固体ロウや;動物系ワックス、望ま
しくはミツロウ、ラノリンまたは鯨ロウや;鉱物系ワッ
クス、望ましくはモンタンワックスや;合成炭化水素、
望ましくはフィッシャートロプシュワックスまたはポリ
エチレンワックスや;水素化ワックス、望ましくは硬化
ヒマシ油または硬化ヒマシ油誘導体や;変性ワックス、
望ましくはモンタンワックス誘導体、パラフィンワック
ス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体または
ポリエチレンワックス誘導体や;高級脂肪酸、望ましく
はベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン
酸、またはラウリン酸や;高級アルコール、望ましくは
ステアリルアルコール、またはベヘニルアルコールや;
ヒドロキシステアリン酸、望ましくは12−ヒドロキシ
ステアリン酸または12−ヒドロキシステアリン酸誘導
体や;ケトン、望ましくはステアロンまたはラウロン
や;脂肪酸アミド、望ましくはラウリン酸アミド、ステ
アリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、
リシノール酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸ア
ミド、特殊脂肪酸アミドまたはN−置換脂肪酸アミド
や;アミン、望ましくはドデシルアミン、テトラデシル
アミンまたはオクタデシルアミンや;エステル、望まし
くはステアリン酸メチル、ステアリン酸オクタデシル、
グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレング
リコール脂肪酸エステル、またはポリオキシエチレン脂
肪酸エステルや;重合ワックス、望ましくはα−オレフ
ィン無水マレイン酸共重合体ワックス;等の従来公知の
ワックスのいずれかを特に限定することなく用いること
ができる。これらのワックスは、単独で用いてもよい
し、2種以上を混合して用いてもよく、インク全体に対
して30〜90wt%の範囲で含有されることが望まし
い。
【0102】ワックスとともにビヒクルの一成分として
用いられる樹脂は、印刷用紙への接着性の付与や、イン
クの粘度制御、さらにはワックスの結晶性の妨げ、とい
った働きのほかに、インクに透明性を付与するといった
働きもする。
【0103】前記樹脂としては、油溶性樹脂が望まし
い。油溶性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、
望ましくはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂また
はポリイソブチレン樹脂や;ビニル系樹脂、望ましくは
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合樹脂または酢酸ビニル樹脂またはエチレン−
塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂や;アクリル系樹脂、望ま
しくはメタクリル酸エステル樹脂、ポリアクリル酸エス
テル樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂ま
たはエチレン−メタクリル酸共重合樹脂や;フェノール
樹脂や;ポリウレタン樹脂や;ポリアミド樹脂や;ポリ
エステル樹脂や;ケトン樹脂や;アルキド樹脂や;ロジ
ン系樹脂や;水素添加ロジン樹脂や;石油樹脂や;水素
添加石油樹脂や;マレイン酸樹脂や;ブチラール樹脂
や;テルペン樹脂や;水素添加テルペン樹脂や;クロマ
ン−インデン樹脂;等が挙げられる。また、これらの樹
脂(高分子材料)は、単独で用いてもよいし、2種以上
を混合して用いてもよく、インク全体に対して5〜70
wt%の範囲で含有されることが望ましい。
【0104】また色材としては、従来から油性インク組
成物に用いられている染料および顔料であればどれでも
使用可能である。
【0105】顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わ
ず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用
することができる。具体的には、例えば、カーボンブラ
ック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイ
エロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化ク
ロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、ウルトラ
マリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、ア
ゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔
料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、ス
レン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオイ
ンジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料、等
の従来公知の顔料を特に限定することなく用いることが
できる。
【0106】染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、
ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、
カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染
料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロ
ソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロ
シアニン染料、金属フタロシアニン染料、等の油溶性染
料が好ましい。
【0107】これらの顔料および染料は、単独で用いて
もよいし、適宜組み合わせて使用することも可能である
が、インク全体に対して0.1〜10wt%の範囲で含有
されることが望ましい。
【0108】また、用いられる接着性改質剤は、インク
全体としての粘度、融点、融解エネルギーを大きく変化
させることなく、固形状態の熱溶融性インクに可塑性や
粘着性を効果的に付与し、記録シートに対する定着性お
よび記録ドット同士の定着性を飛躍的に向上させる働き
をする。接着性改質剤としては、例えばポリオレフィン
類もしくはその誘導体(例えばポリオレフィン系ポリオ
ール等)等が挙げられ、これらをインク全体に対して2
〜40wt%の範囲で含有させることが望ましい。
【0109】以上のほか、本発明のインクには、分散
剤、防錆剤等の各種添加剤を含有させてもよい。本発明
のインクは、上記の材料を加熱状態で混合することによ
り得られる。各インクの融点は、用いる構成成分の種
類、およびそれらを混合して用いる場合はその混合比率
をかえることにより種々の値に設定することができる。
また、インクの融点は一般的な融点測定装置、あるいは
DSC、DTA等の熱分析装置等を用いることにより測
定することができる。
【0110】次に、前記した平版板印刷用原版(以下
「マスター」とも称する)上に画像を形成する方法を説
明する。このような方法を実施する装置系としては例え
ば図1に示すものがある。
【0111】図1に示す装置系は、固体インクを使用す
るソリッドジェット方式によるインクジェット記録装置
1を有するものである。
【0112】図1に示すように、まず、マスター2に形
成すべき画像(図形や文章)のパターン情報を、コンピ
ュータ3のような情報供給源から、パス4のような伝達
手段を通し、ソリッドジェット方式によるインクジェッ
ト記録装置1に供給する。記録装置1のインクジェット
記録用ヘッド部10では、固体インクを融かしてインク
タンク内に貯え、記録装置1内にマスター2が通過する
と、前記情報に従い、インクの微小な液滴をマスター2
に吹き付ける。これにより、マスター2に前記パターン
でインクが付着する。
【0113】付着した画像形成剤は、自然に凝固する。
こうしてマスター2に画像を形成し終え、製版マスター
(製版印刷原版)を得る。
【0114】図1の装置系におけるようなインクジェッ
ト記録装置の構成例を図2〜図4に示す。図2〜図4で
は図1と共通する部材は共通の符号を用いて示してい
る。
【0115】図2はこのようなインクジェット記録装置
の要部を示す概略構成図である。図2のインクジェット
記録装置は、固体インクを加熱して溶融し、液化したイ
ンクをノズルから噴射するヘッド部10を有し、ヘッド
部10を支承するキャリッジ30、キャリッジ30が摺
動するためのガイド40およびプラテン50を有し、そ
してマスター2を備える。
【0116】上記構成により、上位装置からの印字信号
に従って、キャリッジ30に支承されたヘッド部10が
ガイド40に沿って左右に摺動するとともに、液化した
インクをノズルからマスター2に噴射し、印字が行なわ
れる。
【0117】図3は、上記インクジェット記録装置にお
けるヘッド部10の概略構成図である。図3に示すよう
に、ヘッド部10は、大きく分けてインクジェットヘッ
ド11およびインクタンク20により構成されている。
そして、固体インク25を加熱溶融する手段21を有
し、このようなものには例えば発熱抵抗体を使用したも
のがあり、ここでは発熱抵抗体を使用した例で説明す
る。ヘッド部10のインクタンク20内には、発熱抵抗
体21により溶融されたインク22が収納されており、
インクタンク20にはタンクキャップ23が取り付けら
れている。さらに、ヘッド部10は、インクジェットヘ
ッド11にインクタンク20内の溶融インク22を供給
するインク供給路24を有する。
【0118】オペレータ等により固体インク25がイン
クタンク20に供給されると、固体インク25は、イン
クタンク20を包むように設けられた発熱抵抗体21に
より加熱され溶融し、インク供給路24を通ってインク
ジェットヘッド11に供給される。
【0119】図4は、上記インクジェットヘッド11を
説明するための概略構成図である。図4に示すように、
上記インクジェットヘッド11は、ノズル12、圧力室
13、圧力室13内のインクを加圧する圧電素子14、
共通インク室15、インク供給口15a、そして溶融イ
ンク22を加熱、保温する発熱抵抗体21aおよび電極
21bにより構成されている。共通インク室15より圧
力室13に供給された溶融インク22は、圧力室13に
て発熱抵抗体21aによりインク噴射に最適な温度に保
温される一方、圧電素子14の駆動によりノズル12か
ら噴射される。そして、噴射された溶融インク22は、
マスター2に付着した後、マスター2内に浸透し凝固す
ることにより定着が完了する。
【0120】なお、上記のインクジェットヘッド11
は、圧電素子のような電気機械変換素子を用いた例にて
説明したが、その他の加圧手段、例えばワイヤ式加圧機
構等によるものでも同等の効果が得られる。また、加熱
手段は発熱抵抗体の他、セラミックヒータ等の加熱手段
を用いることもできる。インクタンク20内における溶
融インク22の温度は、圧力室13内における噴射直前
のインクの温度ほど高くなくてもよい。このため、イン
クタンク20の外側に設けた発熱抵抗体21と、圧力室
13の外側に設けた発熱抵抗体21aとを個別に加熱し
て、インクジェット記録装置内の温度上昇を抑えてもよ
い。
【0121】一方、インクタンク20とインクジェット
ヘッド11を、同等の温度に加熱する場合、加熱方法
は、インクタンク20およびインクジェットヘッド11
を、上記のような発熱抵抗体21、21aにより個別に
加熱してもよいが、インクタンク20とインクジェット
ヘッド11を、ニクロム線等を内蔵した加熱機構で、一
筺体に覆う方法を採ってもよい。
【0122】インクジェット記録装置のヘッドの加熱温
度は80℃〜150℃、好ましくは90℃〜130℃の
範囲に設定される。
【0123】記録用ヘッドとしては、固体インクを用い
る技術を駆使でき、かつ高い解像度を持つものを用いる
のが望ましい。
【0124】例えば、固体のインクを図2のインクジェ
ット記録装置のインクタンク20に供給し、ヘッド加熱
温度120℃、圧電素子駆動電圧70V、噴射時のイン
ク粘度20cps にて製版すると、40μm のノズルから
60μm のインク粒子を噴射し、600dpi の解像度で
鮮明な画像形成を行なうことができる。
【0125】以上のようにして、平板印刷用原版上に、
ソリッドジェット方式で画像を形成して得られた製版マ
スターを不感脂化処理液で表面処理して非画像部を不感
脂化して印刷版が作成される。不感脂化処理するために
は、処理液による反応の他に化学的光学活線による脱保
護反応を用いても良く、またこれらを併用しても良い。
すなわち、不感脂化処理により架橋された樹脂(A)中
には、−CO2 H基、−SO3 H基およびPO32
の官能基が分解し、水に対して難溶または不溶となる。
【0126】処理液は通常所定のpHに調整された水溶液
を用いる。pHの調整には、公知のpH調整剤を用いること
ができる。適用されるpH域は酸性〜中性〜アルカリ性の
いずれでも良いが、処理液の防錆性を勘案すると、pH8
以上のアルカリ性領域が好ましい。アルカリ性処理液と
する化合物としては、従来公知の無機化合物または有機
化合物のいずれでも良く、例えば、炭酸塩、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナト
リウム、有機アミン化合物等を単独または混合して用い
ることができる。
【0127】さらには、親水性反応を迅速化するために
併用できる化合物として、パーソン(Pearson )の求核
定数n〔R. G. Pearson & H. Sobel, J.Amer. Chem. So
c.,90,319 (1968) 〕が5.5以上の値を有する置換基
を含有し、かつ蒸留水100重量部中に1重量部以上溶
解する求核性化合物が挙げられる。
【0128】具体的な化合物としては、例えばヒドラジ
ン、ヒドロキシルアミン、亜硫酸塩(アンモニウム塩、
ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩等)チオ硫酸鉛等が
挙げられ、また、分子内にヒドロキシル塩、カルボキシ
ル塩、スルホ基、ホスホノ基、アミノ基から選ばれた少
なくとも1つの極性基を含有するメルカプト化合物、ヒ
ドラジド化合物、スルフィン酸化合物、第1級アミン化
合物、第2級アミン化合物等が挙げられる。
【0129】例えばメルカプト化合物として、2−メル
カプトエタノール、2−メルカプトエチルアミン、N−
メチル−2−メルカプトエチルアミン、N−(2−ヒド
ロキシエチル)−2−メルカプトエチルアミン、チオグ
リコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、メルカプ
トベンゼンカルボン酸、2−メルカプトエンスルホン
酸、2−メルカプトエチルホスホン酸、メルカプトベン
ゼンスルホン酸、2−メルカプトプロピオニルアミノ酢
酸、2−メルカプト−1−アミノ酢酸、1−メルカプト
プロピオニルアミノ酢酸、1,2−ジメルカプトプロピ
オニルアミノ酢酸、2,3−ジヒドロキシプロピルメル
カプタン、2−メチル−2−メルカプト−1−アミノ酢
酸等を、スルフィン酸化合物として、2−ヒドロキシエ
チルスルフィン酸、3−ヒドロキシプロパンスルフィン
酸、4−ヒドロキシブタンスルフィン酸、カルボキシベ
ンゼンスルフィン酸、ジカルボキシベンゼンスルフィン
酸等を、ヒドラジド化合物として、2−ヒドラジノエタ
ノールスルホン酸、4−ヒドラジノブタンスルホン酸、
ヒドラジノベンゼンスルホン酸、ヒドラジノ安息香酸、
ヒドラジノベンゼンカルボン酸等を、第1級または第2
級アミン化合物として、例えばN−(2−ヒドロキシエ
チル)アミン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)ア
ミン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)エチレンジ
アミン、トリ(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミ
ン、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミン、
N,N−ジ(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミン、
2−アミノプロピオン酸、アミノ安息香酸、アミノピリ
ジン、アミノベンゼンジカルボン酸、2−ヒドロキシエ
チルモルホリン、2−カルボキシエチルモルホリン、3
−カルボキシピペラジン等を挙げることができる。
【0130】これら処理液中の求核性化合物の存在量は
好ましくは0.05〜10モル/リットル、より好まし
くは0.1〜5モル/リットルである。また、処理液の
pHは8以上が好ましい。
【0131】処理液は、上記した求核性化合物およびpH
調整剤以外に、他の化合物を含有しても良い。このよう
に、水に可溶性の有機溶媒としては、例えば、アルコー
ル類(メタノール、エタノール、プロパノール、プロパ
ギルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアル
コール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルテト
ン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等)、エーテル
類(ジオキサン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、
エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリ
コールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、テトラヒドロピラン等)、アミド類(ジメチルホル
ムアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、ジメチ
ルアセトアミド等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エ
チル、ギ酸エチル、スルホラン、テトラメチル尿素等)
等が挙げられる。これらは単体または2種以上を混合し
て用いても良い。
【0132】また、界面活性剤を水100重量部中に
0.1〜20重量部含有しても良い。界面活性剤として
は、従来公知のアニオン性、カオチン性またはノニオン
性の各界面活性剤が挙げられる。例えば、堀口博「新界
面活性剤」(1975年刊)三共出版(株)、小田良平、寺
村一広「界面活性剤の合成とその応用」(1980年刊)槇
書店等に記載されている化合物を用いることができる。
さらに、処理液の保存時の防腐性、防黴性向上のため
に、従来公知の防腐性化合物、防黴性化合物を併用して
も良い。処理の温度は15〜60℃、浸漬時間は10秒
〜5分間が好ましい。さらに処理時に、超音波の適用ま
たは機械的な摺動(ブラシなどでこする等)等の物理的
操作を併用しても良い。
【0133】他方、化学的活性光線の照射により、脱保
護反応する場合に用いられる光線としては、可視光線、
紫外線、遠紫外線、電子線、X線、γ線、α線等いずれ
でも良いが、好ましくは紫外線、より好ましくは波長3
10nm〜500nmの範囲の光線である。一般には高圧ま
たは超高圧の水銀ランプ等が用いられる。光照射処理は
通常5cm〜50cmの距離から10秒〜10分間の照射で
十分に行うことができる。このようにして光照射した
後、上記のような水溶性溶液中に浸漬することで容易に
印刷版とすることができる。
【0134】
【実施例】以下に実施例を示して、本発明を詳細に説明
するが、本発明の内容がこれらに限定されるものではな
い。
【0135】実施例1 酸化チタン100g、下記構造の樹脂(A−1)20g
およびトルエン250gの混合物を湿式分散機ホモジナ
イザー(日本精機(株)製)を用いて回転数1×104
rpm で10分間分散した後、この分散物に無水フタル酸
0.2g および0−クロロフェノール0.02g を加え
て、さらに回転数1×103 rpm で1分間分散した。。
【0136】軽印刷用電子写真式平版印刷原版として用
いられているELP−1型マスター(富士写真フイルム
(株)製商品名)の支持体(支持体アンダー層の平滑度
500(秒/10cc))を用い、この上に上記分散物をワ
イヤーバーを用いて塗布し、100℃で30秒間加熱
し、さらに140℃で1時間加熱した。得られた印刷用
原版の画像受理層の塗布量は、20g/m2であり、空孔率
は30%であり、その表面のベック平滑度は200(秒
/10cc)であった。以上の印刷用原版をサンプルNo.1
とする。
【0137】
【化14】
【0138】サンプルNo.1において、耐水性支持体と
して用いたELP−1型マスター支持体の代わりに、E
LP−1X型マスター(富士写真フイルム(株)製商品
名)の支持体[支持体アンダー層の平滑度1800(秒
/10cc)]を用いた他は、サンプルNo.1と同様にして
平版印刷用原版を得た。これをサンプルNo.2とする。
【0139】さらにサンプルNo.3として、市販されて
いる親水性の画像受理層表面を有する直描型印刷用原版
を用いた。結果を表1に示す。
【0140】サンプルNo.1〜3について画像受理層表
面における水との接触角および平滑度は以下のようにし
て測定した。
【0141】1)印刷原版の表面に、蒸留水を2μlを
乗せ、30秒後の表面接触角(度)を、表面接触角計
(CA−D、協和界面科学(株)製)を用いて測定し
た。本値が低い程、水への濡れ性がよく、親水的である
ことを示す。
【0142】2)画像受理層の平滑度 印刷原版をベック平滑度試験機(熊谷理工(株)製)を
用い、空気容量10ccの条件にてその平滑度(秒/10cc)
を測定した。
【0143】なお、上記において示した支持体の平滑度
もこれと同様にして測定したものである。
【0144】次に、中間転写体を経由して記録媒体に画
像形成を行うソリッドジェットプリンターとして市販さ
れているPhaser340JSプリンター(Sony-Tektronix
(株)製)をおよび黒色固体インク(インステックブラ
ック:同プリンター付帯品)を用いて、平版印刷用原版
を製版した。
【0145】上記プリンターは図2〜図4の構成に準じ
るものであり、上記の黒色固体インクは融点100℃程
度のワックスを含有しており、120℃程度の温度で加
熱して溶融したインクの粘度は20cps 程度であった。
また、中間転写体ドラムの材質は陽極酸化処理したアル
ミニウムであり、そのベック平滑度は3000秒/10cc
以上である。中間転写部の温度は50℃とした。
【0146】このようにして得られた製版物の複写画像
の画質を以下のようにして評価した。結果を表1に示
す。
【0147】3)製版画質 得られた製版物の複写画像を光学顕微鏡により、200
倍の倍率で観察して評価した。表中には◎、○、△、
×、××で表示する。
【0148】 ◎ 複写画像に全く問題がなく、細線や細文字も非
常に良好 ○ 複写画像に問題がなく、細線や細文字も良好 △ 細線や明朝体の細文字に微かに欠落があった
り、細線や細文字に微かに滲みが発生し、やや不良 × 細線や細文字に少々欠落があったり、細線や細
文字に少々滲みが発生し、不良 ×× 細線や明朝体の細文字に欠落があったり、細線
や細文字に滲みが発生し、極めて不良 次に、上記のように製版した後、下記内容の不感脂化処
理液(E−1)中に、温度35℃で20秒間浸漬した
後、十分に水洗し、平板印刷版を作成した。
【0149】 不感脂化処理液(E−1) PS版処理剤(DP−4富士写真フイルム(株)製) 143g N,N−ジメチルエタノールアミン 80g を蒸留水で希釈し、全量を1リットルにしたもの(pH1
2.3) この印刷版を浸し水としてPS版用浸し水(SG−23
東京インキ(株)製)を蒸留水で130倍に希釈した水
溶液(pH7.0)を用い、印刷機としてオリバー94型
((株)桜井製作所製)を用い、印刷紙として中性紙を
使用して、各種平板印刷用色インキで印刷した。
【0150】但し、サンプルNo.3は、画像受理層表面
は予め親水性の印刷原版であり、製版後、不感脂化処理
することなく、そのまま印刷を行なった。
【0151】これらの印刷物の印刷画像を以下のように
して評価し、さらに耐刷性を以下のようにして評価し
た。結果を表1に示す。
【0152】4)印刷画像 印刷10枚目の印刷物の印刷画像(地カブリ、平網部の
均一性、画像部のベタ均一性)を20倍のルーペを用い
て目視評価した。表中には◎、○、△、×、××で表示
する。
【0153】 ◎ 複写画像に全く問題がなく、細線や細文字も非
常に良好 ○ 複写画像に問題がなく、細線や細文字も良好 △ 細線や明朝体の細文字に微かに欠落があった
り、細線や細文字に微かに滲みが発生し、やや不良 × 細線や明朝体の細文字に少々欠落があったり、
細線や細文字に少々滲みが発生し、不良 ×× 細線や明朝体の細文字に欠落があったり、細線
や細文字に滲みが発生し、極めて不良 5)耐刷性 印刷物の地汚れもしくは画像の欠落が目視で判別できる
までの印刷枚数を調べた。
【0154】
【表1】
【0155】表1の結果について考察する。
【0156】サンプルNo.1〜3の画像受理層表面の平
滑性は、ベック平滑度でほぼ同値とし、また、各原版の
濡れ性は、サンプルNo.1、2では、水との接触角が高
く、極めて疎水性の表面であり、他方サンプルNo.3で
は、水との接触角が低く、著しい親水性であった。
【0157】製版後の画質は、サンプルNo.2が非常に
良好で鮮明なものであり、またサンプルNo.1は、細線
・細文字の再現性が良好であった。即ち、画像受理層に
隣接する支持体アンダー層表面の平滑性が高いほど、製
版画像が良好となることを示している。しかし、サンプ
ルNo.3は、細線・細文字等に画像の滲みの発生が著し
かった。このことは、疎水性の大きな画像受理層表面
と、親油性インクとの親和性の大きさが影響しているも
のと推定される。
【0158】不感脂化処理して印刷版としたサンプルN
o.1とNo.2は、非画像部の不感脂化も十分で印刷イ
ンキの付着による地汚れは認められず2000枚以上の
耐刷枚数が得られた。他方No.3は、印刷物の耐刷性が
著しく不良となった。
【0159】更に、各版を印刷版としてオフセット印刷
した印刷物の画質は、サンプルNo.1およびサンプルN
o.2は各々製版画質と同等レベルを再現し、かつこの
様なものが2000枚得られた。他方サンプルNo.3は
画像が滲み、刷り込むと50枚程で、画像の欠落を生じ
た。また、本発明の印刷版は、色インキの種類にかかわ
らず、いずれの場合も2000枚以上の地汚れのない鮮
明な画像の印刷物が得られた。
【0160】さらに、本発明の印刷版を用いて印刷を行
った後、通常の操作のまま、つぎにPS版を用いて印刷
したところ、何の問題も生じなかった。すなわち、同一
印刷機をPS版などの他の平板印刷機と容易に共用でき
ることが確認された。
【0161】実施例2 〈耐水性支持体の作成〉基体として秤量100g/m2の上
質紙を用い、基体の一方の面に下記組成のアンダー層用
塗料をワイヤーバーを用いて塗布して、乾燥塗布量10
g/m2のアンダー層を設けた。アンダー層表面の平滑度は
150秒/10ccであり、カレンダー処理により平滑度を
1500(秒/10cc)に調製した。
【0162】 〈アンダー層用塗料〉 ・シリカゲル 10重量部 ・SBRラテックス(50wt%水分散液、Tg25℃) 92重量部 ・クレー(45wt%水分散液) 110重量部 ・メラミン(80wt%水溶液) 5重量部 ・水 191重量部 さらに、基体の他方の面に下記の組成のバックコート層
用塗料をワイヤーバーを用いて塗布して、乾燥塗布量1
2g/m2のバックコート層を設けた後、バックコート層の
平滑度が50(秒/10cc)程度になるようにカレンダー
条件を設定してカレンダー処理を行なった。
【0163】 〈バックコート層用塗料〉 ・カオリン(50%水分散液) 200部 ・ポリビニルアルコール水溶液(10%) 60部 ・SBRラテックス(固形分49%、Tg0℃) 100部 ・メラミン樹脂初期縮合物 5部 (固形分80%、スミレッツレジンSR−613) 〈平版印刷用原版の作成〉酸化チタン80g 、シリカゲ
ル20g 、下記構造の樹脂(A−2)21g およびトル
エン180g の混合物を、ホモジナイザーを用いて回転
数1×104 rpmで8分間分散した後、この分散物に無
水ピロメリット酸0.3g およびアセチルアセトンジル
コニウム塩0.01g を加えてさらに回転数1×103
rpm で1分間分散した。
【0164】この分散物を、上記の耐水性支持体上にワ
イヤーバーを用いて塗布量15g/m2となるように、塗布
し、110℃で20分間加熱し、さらに140℃で1時
間加熱して、表面平滑度240(秒/10cc)の平版印刷
用原版を作成した。
【0165】
【化15】
【0166】この印刷原版を、実施例1と同様にして製
版した後、下記内容の不感脂化処理液E−2で処理して
印刷版とし、オフセット印刷を行なった。
【0167】 ・不感脂化処理液(E−2) PS版処理剤(DP−4富士写真フイルム(株)製) 120g ベンジルアルコール 50g N−プロピルエタノールアミン 30g を蒸留水で希釈し、全量を1リットルにしたもの(pH1
2.4) 得られた印刷物は、実施例1のサンプルNo.2と同様に
非画像部の汚れのない鮮明な画質のものであり、このよ
うなものが2000枚以上得られ、印刷画像、耐刷性が
ともに優れることがわかった。
【0168】実施例3 〈耐水性支持体の作成〉秤量95g/m2の上質紙の両面に
エチレン−アクリル酸メチル−アクリル酸共重合体(モ
ル比65:30:5)の水性ラテックスを乾燥塗布量が
0.2g/m2となるように塗布・乾燥したのち、この基体
の片面に密度0.920g/cc、メルトインデックス5.
0g/10分の低密度ポリエチレン70%、密度0.95
0g/cc、メトルインデックス8.0g/10分の高密度ポ
リエチレン1.5%および導電性カーボン15%を焙融
混練したペレットを用いて押出し法により、25μm の
厚さでラミネートして均一なポリエチレン層(表面抵抗
率6×109 Ω)を設けた。次にカレンダー処理により
平滑度を2000(秒/10cc)に調整した。
【0169】さらに基体の他方の面に下記組成のバック
コート層用塗料ワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥塗布
量20g/m2のバックコート層(表面抵抗率8×107
Ω)を設けた後、バックコート層の平滑度が450(秒
/10cc)になるようにカレンダー条件を設定してカレン
ダー処理を行なった。
【0170】 〈バックコート層用塗料〉 ・クレー(50%水分散液) 200重量部 ・酸化澱粉(20%水溶液) 40重量部 ・SBRラテックス(固形分49%、Tg10℃) 150重量部 ・メラミン樹脂初期縮合物 10重量部 (固形分80%、スミレッツレジンSR−613) 次いで、ポリエチレン層の表面を5KVA・sec/m2
の条件でコロナ放電処理し、この上に下記組成の画像受
理層用塗布液を塗布、乾燥して画像受理層を設けた。
【0171】〈平版印刷用原版の作成〉酸化チタン10
0g 、下記構造の樹脂(A−3)20g 、下記構造の樹
脂(B−1)3g およびトルエン155gの混合物を湿
式分散機ケディミルを用いて回転数1×104 rpm で2
0分間分散した。
【0172】
【化16】
【0173】
【化17】
【0174】この分散物を、上記の耐水性支持体上にワ
イヤーバーを用いて塗布量14g/m2となるように塗布
し、指触乾燥した後、温度50℃、湿度80%RHの条件
下に3日間放置し膜硬化を行った。得られた平板印刷用
原版の表面平滑度は180(秒/10cc)であった。
【0175】この印刷原版を、実施例1と同様にして、
製版し不感脂化処理して印刷版とし、オフセット印刷を
行なった。
【0176】得られた印刷物は、実施例1のサンプルN
o.2と同様に、非画像部の汚れのない鮮明な画質のも
のであり、このようなものが2000枚以上得られ、印
刷画像、耐刷性が共に優れていることがわかった。
【0177】実施例4ないし8 〈平版印刷用原版の作成〉酸化チタン100g 、下記表
2の樹脂(A(A−4〜8))20g およびトルエン1
50g の混合物を、ホモジナイザーを用いて回転数1×
104 rpm で10分間分散した後、この分散物に無水フ
タル酸0.25g およびフタル酸0.03g を加えてさ
らに回転数1×103 rpm で30分間分散した。
【0178】得られた各分散物は、実施例2に用いたも
のと同じ耐水性支持体上に、ワイヤーバーを用いて塗布
量15g /m2となるように塗布し、指触乾燥した後、さ
らに140℃で1時間加熱した。得られた各印刷用原版
の表面平滑度は200〜250(秒/10cc)の範囲内で
あった。
【0179】
【表2】
【0180】これらの印刷原版を、実施例1と同様にし
て、製版し不感脂化処理して印刷版とし、オフセット印
刷を行なった。
【0181】得られた印刷物は、実施例1のサンプルN
o.2と同様に非画像部の汚れのない鮮明な画質のもの
であり、このようなものが2000枚以上得られ、印刷
画像、耐刷性がともに優れることがわかった。
【0182】実施例9〜12 〈平版印刷版の作成〉前記実施例で作成した印刷原版を
用いて、不感脂化処理を下記のようにして操作して平板
印刷版を作成した。すなわち、下記表3に示した求核性
化合物0.2モル、有機化合物30g およびニューコー
ルB4SN(日本乳化剤(株)製)2g に蒸留水を加え
1リットルとした後、pHを12.5に調整して各処理液
とした。各印刷原版を各処理液中に温度35℃で20秒
間浸漬し、ゆるくこすりながら不感脂化処理を行った。
得られた印刷版を用い実施例1と同様の印刷条件で印刷
したところ実施例1の場合と同様の良好な結果が得られ
た。
【0183】
【表3】
【0184】
【発明の効果】本発明によれば、鮮明な画像の印刷物が
得られ、かつ耐刷性に優れた印刷版を作成することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる装置系の一例を示す概略構成図
である。
【図2】本発明に用いるインクジェット記録装置の要部
を示す概略構成図である。
【図3】本発明に用いるインクジェット記録装置のヘッ
ド部を示す概略構成図である。
【図4】本発明に用いるインクジェット記録装置のヘッ
ド部のインクジェットヘッドを説明するための概略構成
図である。
【符号の説明】
1 インクジェット記録装置 2 マスター 3 コンピューター 4 パス 10 ヘッド部 11 インクジェットヘッド 12 ノズル 13 圧力室 14 圧電素子 15 共通インク口 15a インク供給室 20 インクタンク 21、21a 発熱抵抗体 21b 電極 22 溶融インク 23 タンクキャップ 24 インク供給路 25 固体インク 40 ガイド 50 プラテン

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平板印刷用原版の画像受理層上に、常温
    で固体のインク組成物を熱溶融し、この熱溶融状態でイ
    ンクの液滴をノズルから射出して画像形成を行うホット
    メルト型インクジェット方式で画像を形成した後、この
    画像受理層の非画像部を化学反応処理により不感脂化処
    理して親水性表面の平版印刷版とするインクジェット式
    製版印刷版の作成方法であって、 前記画像受理層は耐水性支持体上にあって、化学反応処
    理での分解により、−CO2 H基、−SO3 H基および
    PO32 基のうちの少なくとも1つの基を生成する官
    能基を少なくとも1種含有し、かつ少なくとも一部分が
    架橋されている樹脂(A)を含有するインクジェット式
    製版印刷版の作成方法。
  2. 【請求項2】 上記樹脂(A)が、分解により−CO2
    H基、−SO3 H基およびPO32 基のうちの少なく
    とも1つの基を作成する官能基を少なくとも1種含有す
    る共重合成分を含有し、かつ分解により該基を生成した
    時に、水に対して難溶または不溶となるように予め架橋
    されている樹脂である請求項1のインクジェット式製版
    印刷版の作成方法。
  3. 【請求項3】 前記支持体の画像受理層に隣接する側の
    表面の平滑性がベック平滑度で300(秒/10cc)以上
    である請求項1または2のインクジェット式製版印刷版
    の作成方法。
  4. 【請求項4】 前記インク組成物が、少なくとも50〜
    150℃の融点を有するワックスと樹脂と色材とを含有
    し、80℃以上に加熱することによって熱溶融液体とな
    り、この熱溶融液体の粘度が1〜20cpsである請求
    項1〜3のインクジェット式製版印刷版の作成方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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