JPH10729A - 積層体およびその製造方法 - Google Patents

積層体およびその製造方法

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JPH10729A
JPH10729A JP8152498A JP15249896A JPH10729A JP H10729 A JPH10729 A JP H10729A JP 8152498 A JP8152498 A JP 8152498A JP 15249896 A JP15249896 A JP 15249896A JP H10729 A JPH10729 A JP H10729A
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synthetic resin
resin composite
composite material
laminate
metal plate
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JP8152498A
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English (en)
Inventor
Yoshiharu Takeyama
義晴 嶽山
Masahiro Kitagawa
雅弘 北川
Arata Honda
新 本多
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IDEMITSU N S G KK
Tobishima Corp
Original Assignee
IDEMITSU N S G KK
Tobishima Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンクリートやモルタル等のセメント系水硬
性物質で形成される各種構造物の耐震性、耐蝕性を向上
でき、かつ、軽量化による工事費削減を図ることができ
る積層体およびその製造方法の提供。 【解決手段】 合成樹脂複合材30とコンクリートやモ
ルタル等のセメント系水硬性物質20とを積層して一体
化させて積層体10を形成する。ここで、合成樹脂複合
材30は、例えばエキスパンドメタル等の表裏を貫通す
る開口部を有する金属製板状部材と、この金属製板状部
材の少なくとも一方の面側に配置されるガラス長繊維等
の補強用繊維と、これらの金属製板状部材および補強用
繊維を一体的に被覆する熱可塑性樹脂とを備えて形成さ
れたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層体およびその
製造方法に関し、建造物の柱や橋梁等の既設構造物の補
強およびこれらの新設工事、埋設型枠を用いるトンネル
や水路等の形成、海洋土木における岸壁等の耐蝕構造物
の形成などに利用できる。
【0002】
【背景技術】一般に、建造物の柱や橋梁、トンネルや水
路、あるいは海洋土木における岸壁等の形成には、コン
クリートやモルタル等のセメント系水硬性物質が用いら
れている。そして、このような構造物には、その用途に
応じ、耐震性(耐エネルギー吸収性、制振性)の向上、
錆びや腐蝕等に対する耐蝕性の向上、あるいは軽量化に
よる工事費削減などの各種の要請がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来より、前述したよ
うな各種の要請に対し、様々な方策が採られているが、
各要請を充分に満足させ、また、全ての要請を同時に満
足させるものは無いのが現状であった。
【0004】例えば、建築物の柱や橋梁等では、内部に
鉄筋を設ける耐震補強が行われている。しかしながら、
このような鉄筋による補強を行っても、コンクリート等
が表面に露出しているため、表面からの亀裂破壊が生じ
るおそれがあり、依然として地震等の振動、特に大地震
に弱いという問題がある。このため、柱や橋梁等の既設
構造物の表面を厚い鋼板で覆うなどの応急的な補強も行
われている。ところが、このような鋼板は、極めて重量
が大きいため、地下鉄や都心の高速道路等の橋梁部分な
どの既存のコンクリート構造物の補強工事に用いること
は困難であるという問題がある。
【0005】また、港湾岸壁等では、耐震性に加え、特
に耐蝕性も要求される。このような港湾岸壁等の形成で
は、一般に鋼矢板を用いた工事が行われるが、その後の
腐蝕対策が必要となることから、コンクリートケーソン
による新設補強も行われている。このコンクリートケー
ソンの形成には、従来よりメタルフォーム等の型枠が使
用されているが、メタルフォーム等の型枠は、工事期間
中でも錆びが発生してしまうため保守管理に手間がかか
るうえ、重量が大きいことからケーソン形成の際に型枠
パネルとして設置する際には、強大なクレーンが必要と
なり、工事費が増大するという問題があった。
【0006】本発明の目的は、コンクリートやモルタル
等のセメント系水硬性物質で形成される各種構造物の耐
震性、耐蝕性を向上でき、かつ、軽量化による工事費削
減を図ることができる積層体およびその製造方法を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、コンクリート
やモルタル等のセメント系水硬性物質で形成された各種
の既設構造物の補強やこれらのセメント系水硬性物質で
形成される構造物の新設工事を行うにあたり、高剛性お
よび可撓性を有しかつ軽量な合成樹脂複合材を用い、こ
れとセメント系水硬性物質とを積層して一体化させるこ
とにより前記目的を達成しようとするものである。
【0008】[本発明の積層体の特徴] (積層体の全体構成および作用)具体的には、本発明の
積層体は、次のような合成樹脂複合材と、コンクリート
やモルタル等のセメント系水硬性物質とを積層して一体
化させたことを特徴とする。合成樹脂複合材は、表裏を
貫通する開口部を有する金属製板状部材と、この金属製
板状部材の少なくとも一方の面側に配置される補強用繊
維と、これらの金属製板状部材および補強用繊維を一体
的に被覆する熱可塑性樹脂とを備えて形成されたもので
ある。
【0009】ここで、合成樹脂複合材に用いられる金属
製板状部材の開口部の開口率は、45〜85%であるこ
とが望ましい。開口率とは、金属製板状部材の表面また
は裏面の全体面積に対して、開口部が占める面積の割合
であり、45〜85%の数値は、金属製板状部材と熱可
塑性樹脂との剥離を防止し、これらの良好な結合を実現
するために、特に必要な数値である。この開口率は、4
5%よりも小さいと金属製板状部材と繊維強化熱可塑性
樹脂層との剥離防止効果が低くなり、85%を超えると
部材の剛性の低下を招くことになる。この開口率は、よ
り好ましくは、50〜70%である。
【0010】また、合成樹脂複合材に用いられる金属製
板状部材としては、表裏を貫通するスリットを設けてか
ら引き伸ばして形成されたエキスパンドメタル、金属製
線状部材を縦横に交差させて形成された金網などを好適
に用いることができる。
【0011】このような本発明においては、金属製板状
部材、補強用繊維、および熱可塑性樹脂を複合させて形
成した合成樹脂複合材を用い、これとセメント系水硬性
物質とを組み合せるので、高剛性および可撓性を有しか
つ軽量で耐蝕性にも優れているという合成樹脂複合材の
特徴を生かした積層体が得られる。特に、合成樹脂複合
材は、通常のコンクリートと同等の曲げ弾性率を有して
いることから、コンクリート等のセメント系水硬性物質
との確実な積層一体化が可能となる。
【0012】このため、本発明の積層体によって、コン
クリートやモルタル等のセメント系水硬性物質で形成さ
れた各種の既設構造物の補強、あるいはこれらのセメン
ト系水硬性物質で形成される構造物の新設工事を行うこ
とが可能となる。そして、このように本発明の積層体に
より補強された既設構造物、あるいは本発明の積層体に
より形成される新設構造物は、耐震性(耐エネルギー吸
収性、制振性)に優れた構造物となるうえ、合成樹脂複
合材の防蝕効果により耐蝕性に優れた構造物となる。さ
らに、合成樹脂複合材を用いることから軽量化による工
事費削減が図られ、これらにより前記目的が達成され
る。
【0013】また、本発明の積層体に用いられる合成樹
脂複合材の曲げ弾性率は、15万キログラム重毎平方セ
ンチメートル以上であることが好ましく、より好ましく
は、20万キログラム重毎平方センチメートル以上であ
る。
【0014】さらに、本発明の積層体は、合成樹脂複合
材とセメント系水硬性物質との境界部分に、これらの剥
離に対する強度を向上させる剥離強度向上用物質を含ん
でいることが望ましい。このような剥離強度向上用物質
としては、砂を好適に用いることができる。
【0015】また、本発明の積層体では、合成樹脂複合
材にセメント系水硬性物質の側に突出するアンカー部を
設け、このアンカー部により合成樹脂複合材とセメント
系水硬性物質との一体化を強化することが望ましい。そ
して、このように合成樹脂複合材にアンカー部を設ける
場合には、このアンカー部を、金属製板状部材に固定さ
れた金属製アンカー部材により形成することが望まし
い。このような金属製アンカー部材としては、スタッド
ボルトやスタッドピン等を好適に用いることができ、こ
れらのスタッドボルトやスタッドピン等を適宜な間隔で
金属製板状部材に溶接等で固定することによりアンカー
部を容易に形成することができる。
【0016】さらに、本発明の積層体の実施の態様とし
ては、セメント系水硬性物質からなる層の両側に合成樹
脂複合材を配置してもよく、あるいは片側に合成樹脂複
合材を配置してもよい。そして、合成樹脂複合材の両面
側にセメント系水硬性物質からなる層が配置されるよう
にしてもよく、このような場合には、合成樹脂複合材の
両面側にアンカー部を設けておくことが望ましい。ま
た、合成樹脂複合材をコンクリートまたはモルタルの中
に嵌め殺しとして埋込んだ状態で使用することも可能で
ある。
【0017】(合成樹脂複合材の製造方法)本発明の積
層体を構成する合成樹脂複合材の製造方法には、次のよ
うな方法がある。なお、いずれの方法により製造された
合成樹脂複合材を用いても、本発明の積層体の効果は、
確実に発揮される。すなわち、一つの方法(以下、方法
という)として、予め補強用繊維を含む熱可塑性樹脂
からなる繊維強化熱可塑性樹脂層状体を形成しておき、
表裏を貫通する開口部を有する金属製板状部材と前記繊
維強化熱可塑性樹脂層状体とを積層させて合成樹脂複合
材を製造する方法が挙げられる。
【0018】また、別の方法(以下、方法という)と
して、表裏を貫通する開口部を有する金属製板状部材と
補強用繊維とを重ねた状態で配置しておき、これらの金
属製板状部材および補強用繊維に同時に熱可塑性樹脂を
含浸させて合成樹脂複合材を製造する方法が挙げられ
る。
【0019】そして、より具体的には、方法の場合と
して、例えば金属製板状部材の両面側あるいは片面側に
繊維強化熱可塑性樹脂層状体(繊維強化熱可塑性樹脂シ
ート)を配置し、これらの繊維強化熱可塑性樹脂層状体
と金属製板状部材とを積層させた状態で金型内に投入
し、加熱プレス成形する方法が挙げられる。このように
合成樹脂複合材は、プレス成形において金属製板状部材
をインサート成形することにより得られるため、使用す
る金型の寸法および形状の許容範囲内で、単なる平板の
みならず種々の寸法および形状の合成樹脂複合材を製造
できる。
【0020】プレス成形の条件は樹脂の種類により異な
るが、通常、温度は150〜300℃、好ましくは18
0〜270℃であり、プレス圧は10〜300Kg/平
方センチメートル、好ましくは80〜250Kg/平方
センチメートルである。加熱条件やプレス条件により、
繊維強化熱可塑性樹脂層状体の表面光沢を調整すること
が可能である。例えば、繊維強化熱可塑性樹脂層状体の
原料樹脂としてポリプロピレンを用いた場合は、温度は
180〜250℃、プレス圧100〜250Kg/平方
センチメートルとすることが好ましい。
【0021】(熱可塑性樹脂)本発明の積層体を構成す
る合成樹脂複合材に用いられる熱可塑性樹脂としては、
プレス成形し得るものであれば全て用いることができ
る。例えば、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂及び
その共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹
脂、ポリスチレン及びその共重合樹脂等の一般的樹脂,
ポリアミド系樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネー
ト、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキサ
イド及びノリル樹脂,ポリスルフォン等のエンジニアリ
ングプラスチックを挙げることができる。
【0022】ポリオレフィン樹脂としては、例えば高密
度ポリエチレン,中・低密度ポリエチレン,直鎖状低密
度ポリエチレン等のポリエチレン系重合体、いわゆるブ
ロックポリプロピレンと呼ばれる耐衝撃性ポリプロピレ
ン、ランダムポリプロピレン、ポリブテン、4−メチル
ペンテン−1樹脂などを使用することができる。また、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル
共重合体などの他、ブロピレン−塩化ビニル共重合体
等、オレフインと他の極性モノマーとの共重合体をも使
用することができる。さらに、前記各種のホモポリマ
ー,コポリマーのブレンド物も使用することができる。
【0023】また、塩化ビニルの共重合体としては、例
えば塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂,塩化ビニル−塩化ビ
ニリデン共重合体樹脂,塩化ビニル−アクリロニトリル
共重合体樹脂等を挙げることができる。次に、酢酸ビニ
ル系樹脂としては、例えば酢酸ビニル樹脂,ポリビニル
アセトアセタール,ポリビニルブチラール等を挙げるこ
とができる。
【0024】さらに、スチレン系の共重合樹脂として
は、例えばABS樹脂,SAN樹脂,ACS樹脂等を挙
げることができる。また、ポリアミド系樹脂としては、
例えばナイロン6,ナイロン8,ナイロン11,ナイロ
ン66,ナイロン610等を挙げることができる。な
お、ポリアセタールは、単一重合体であっても共重合体
であってもよい。
【0025】さらにまた、ポリカーボネートとしては、
例えばビスフェノールAとホスゲンとから得られるポリ
カーボネート,ビスフェノールAとジフェニルカーボネ
ートとから得られるポリカーボネート等を挙げることが
でる。また、熱可塑性ポリエステル樹脂としては、例え
ばポリエチレンテレフタレート,ポリプロピレンテレフ
タレート等を挙げることができる。
【0026】これら熱可塑性樹脂は、成形可能な分子量
を有していれば、前記各種の熱可塑性樹脂を適宜に選択
して使用することができる。前記各種の熱可塑性樹脂を
単独で用いても良いし、或いは2種以上を混合してポリ
マーブレンドとして用いても良い。
【0027】(補強用繊維)また、本発明の積層体を構
成する合成樹脂複合材に用いられる補強用繊維として
は、通常、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、ケブ
ラーなどの有機繊維がある。特に好ましくはガラス繊維
である。ガラス繊維の繊維長さは特に限定されないが、
3mm以上、通常10mm以上である。また、繊維径と
しては5〜40μm、好ましくは10〜30μmであ
る。ここで、ガラス繊維は、好ましくは連続繊維からな
るマット状のガラス繊維マットであり、このガラス繊維
マットは、特に好ましくはガラス繊維を全体として特定
の方向に配列を強化してマット状に形成したものであ
る。
【0028】なお、このように特定の方向に配向された
ガラス繊維を金属製板状部材の両面側に配置する場合に
は、その配向の方向は、両面の各側で異なっていても良
いし、或いは同一方向であっても良いが、特に高い強度
が要求される場合には、金属製板状部材の両面側でガラ
ス繊維の配向方向を直交させた方が良い。
【0029】本発明で用いるガラス繊維の材質には特に
制限がなく、含アルカリガラス,低アルカリガラス,無
アルカリガラスのいずれでも良く、Eガラス,Cガラ
ス,Aガラス等、従来からガラス繊維として使用されて
いる各種の組成のものを使用することができる。
【0030】本発明で用いるガラス繊維マットは、その
形態上、マット状(乃至はシート状)に形成しているも
のが好ましい。具体的には、スワール(渦巻状)マッ
ト、長繊維ガラスを加工したクロス、長繊維ロービング
を加工したチョップドストランドマット及びロービング
クロス、短繊維ガラスのステープル糸で加工したクロ
ス、短繊維ガラス綿で加工したフェルト及びブランケッ
トなど、或いはニードルパンチングマット、一方向引揃
えマットなどが挙げられる。これらの中でも、スワール
(渦巻状)マット、或いは一方向引揃えマットとスワー
ル(渦巻状)マットとを併用したものが好ましく、特に
一方向引揃えマットとスワール(渦巻状)マットとを併
用したものがより好ましい。スワールマットとしては、
連続ガラス繊維のスワール状マットをニードルパンチし
たガラス繊維マットが好ましい。
【0031】(繊維強化熱可塑性樹脂層)さらに、本発
明の積層体を構成する合成樹脂複合材を、前述した方法
により製造する場合において、合成樹脂複合材中にお
ける繊維強化熱可塑性樹脂層を形成するための繊維強化
熱可塑性樹脂層状体として用いられるシート、好ましく
はガラス繊維が全体として特定方向に配列してなるマッ
トを含有する繊維強化熱可塑性樹脂シートとしては、例
えば特開昭62−240514号公報に記載された複合
長繊維強化熱可塑性樹脂シートが挙げられる。すなわ
ち、一方向に引揃えした補強長繊維と、一方向に引揃え
てはいない、ランダムな長繊維マット(スワール(渦巻
状)マット)との積層物に、熱可塑性樹脂を含浸せしめ
てなるものである。
【0032】本発明で好適に用いられる、ガラス繊維が
全体として特定方向に配列してなるマットを含有する繊
維強化熱可塑性樹脂シートは、このようなガラス繊維の
少なくとも一部を特定の方向に配列して、ガラス繊維マ
ット全体として、特定の方向に配列するようにしたもの
であって、その配列方向と直角の方向に、特に強い曲げ
強度を有するものである。
【0033】このような繊維強化熱可塑性樹脂シート
は、例えば、一方向引揃えマット(或いは引揃え長繊
維)の片面又は両面に、ランダムな長繊維マット(スワ
ール(渦巻状)マット)を載せ、積層体としたものに、
熱可塑性樹脂を含浸せしめることにより得ることができ
る。このような繊維強化熱可塑性樹脂シートを形成する
際のガラス繊維マットと熱可塑性樹脂との積層の態様と
しては、例えば熱可塑性樹脂板の片面又は両面にそれぞ
れ一方向引揃えマット(或いは引揃え長繊維)と、ラン
ダムな長繊維マットとを置き、或いはさらにその両側に
熱可塑性樹脂を配したものや、一方向引揃えマット(或
いは引揃え長繊維)の両面に熱可塑性樹脂板を配し、そ
の両側にランダムな長繊維マットを置き、さらにその両
側に熱可塑性樹脂を配したものが挙げられる。また、複
数層の場合には、異なる種類であってもよい。
【0034】本発明で用いる繊維強化熱可塑性樹脂シー
トにおいて、熱可塑性樹脂とガラス繊維との配合割合
は、樹脂の種類やガラス繊維の種類により、一義的には
決められないが、通常、熱可塑性樹脂/ガラス繊維=8
0〜50/20〜50(重量%)とするのが好ましく、
特に熱可塑性樹脂/ガラス繊維=70〜50/30〜5
0(重量%)とするのが好ましい。
【0035】また、上記繊維強化熱可塑性樹脂シート
に、無機質充填剤を配合することもできる。このような
無機質充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム,炭酸
マグネシウム,ドロマイト等の炭酸塩、硫酸カルシウ
ム,硫酸マグネシウム等の硫酸塩、亜硫酸カルシウム等
の亜硫酸塩、タルク,クレー,マイカ,アスベスト,ケ
イ酸カルシウム,モンモリロナイト,ベントナイト等の
ケイ酸塩、水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム等
の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸塩、
鉄,亜鉛,アルミニウム等の金属粉、炭化ケイ素,チッ
化ケイ素等のセラミック、及びこれらのウィスカ、カー
ボンブラック、グラファイト、炭素繊維等が挙げられ
る。これらの無機質充填剤を単独で、或いは2種以上を
混合して使用することができる。
【0036】なお、無機質充填剤としてタルクや炭酸カ
ルシウムを用いる場合、タルクや炭酸カルシウムとして
は、特に限定はなく、通常用いられるものでよい。タル
クの配合量は、熱可塑性樹脂シートを構成する原料全体
の10〜50重量%、特に20〜40重量%が好まし
く、炭酸カルシウムは、10〜50重量%、特に10〜
30重量%が好ましい。タルクおよび炭酸カルシウムの
配合量が、前記範囲外となると、板材としての強度が低
下するために好ましくない。但し、タルクと炭酸カルシ
ウムは、あくまでガラス繊維と共に用いられるものであ
って、しかも最大配合量は上記したガラス繊維の配合量
80重量%までである。ここでタルクはガラス繊維と同
等の補強効果を有している。一方、炭酸カルシウムはガ
ラス繊維との併用により、コストダウン効果がある。
【0037】また、繊維強化熱可塑性樹脂シートは、上
記の如くタルクおよび炭酸カルシウムを配合した熱可塑
性樹脂と、特定方向に配列したガラス繊維マットとを、
それぞれシート状に形成した後、両者を積層し、加熱下
に連続的に加圧し、冷却加圧により固化することによっ
て製造することができる。
【0038】このようにして得られる繊維強化熱可塑性
樹脂シートの厚さは、目的に応じて異なるが、1〜6m
m程度である。また、金属製板状部材の両面側に繊維強
化熱可塑性樹脂シートを配置して合成樹脂複合材を積層
形成する場合には、表裏両面に形成される繊維強化熱可
塑性樹脂層厚さは同じでもよいし、或いは異なるもので
あってもよい。
【0039】なお、優れた外観を必要とする場合には、
この繊維強化熱可塑性樹脂層の表面(すなわち、最終的
に得られる合成樹脂複合材の表裏面)に意匠を施した
り、光沢に優れたものを用いることもできる。例えば、
加熱方式,プレス方式により、合成樹脂複合材の表面の
光沢を適宜調整することが可能である。
【0040】(金属製板状部材)次に、本発明の積層体
を構成する合成樹脂複合材に用いられる金属製板状部材
のうち、エキスパンドメタルとしては、通常使用されて
いるものを用いることができる。エキスパンドメタル
は、メッシュ状の金属製品であって、通常、建物の床張
り,階段の踏板,通気窓,建物の間仕切り,フェンス,
窓格子,網戸,手摺りなどとして用いられている。ま
た、金属の材質としては特に制限されないが、入手の点
から鋼が好ましい。このエキスパンドメタルには、XG
グレーティング型(亀甲型)、XSスタンダード型(菱
形)、XFフラット型(平型)があり、これらのいずれ
も本発明に用いることができるが、特にXFフラット型
(平型)のエキスパンドメタルが、外観,薄物複合材を
得るために好ましい。このXFフラット型(平型)のエ
キスパンドメタルは、XSスタンダード型(菱形)のエ
キスパンドメタルを圧延ロールに掛けることにより、網
目全体を同一平面とし、フラット(平型)としたもので
ある。これらエキスパンドメタルは、多くの種類とメッ
シュサイズのものがJISに定められている。
【0041】このエキスパンドメタルを含め、本発明に
用いる金属製板状部材の形状や大きさ等は、用途に応じ
て適宜選定すればよい。例えば、金属製板状部材が繊維
強化熱可塑性樹脂シートより一部はみ出たものでもよい
が、上記繊維強化熱可塑性樹脂層を形成するための繊維
強化熱可塑性樹脂シートより、若干外寸の小さなものを
用いることが好ましい。これは金属製板状部材の周囲を
繊維強化熱可塑性樹脂層で包み込んだ形のものの方が、
曲げ荷重等が付加された際に、内部の界面剥離が発生し
にくいためである。また、本発明の積層体を構成する合
成樹脂複合材を、前述した方法により製造する場合に
おいても、同様のことがいえる。
【0042】そして、本発明の積層体を構成する合成樹
脂複合材に用いられる金属製板状部材のうち、金網とし
ては、金属製線状部材を縦横に編んで形成されたもの、
あるいは金属製線状部材を縦横に配置して溶接等で固定
したものが挙げられる。
【0043】(合成樹脂複合材中における各要素の配置
の態様)本発明の積層体を構成する合成樹脂複合材を、
前述した方法により製造する場合において、金属製板
状部材と繊維強化熱可塑性樹脂層状体により形成される
繊維強化熱可塑性樹脂層との積層の態様としては、通常
は金属製板状部材の片面に繊維強化熱可塑性樹脂層を配
した二層構造のものや、金属製板状部材の両面に繊維強
化熱可塑性樹脂層を配した三層構造のものが挙げられ
る。
【0044】また、使用目的によっては、上記二層構造
のもの、或いは三層構造のものの片面或いは両面に、さ
らに金属製板状部材と繊維強化熱可塑性樹脂層が順次積
層された四層以上の構造からなるものであってもよい。
この場合、最外層が繊維強化熱可塑性樹脂層であるもの
が好ましい。つまり金属製板状部材を二層以上のものと
することもできる。また、金属製板状部材と繊維強化熱
可塑性樹脂層との二層構造のものの繊維強化熱可塑性樹
脂層とは反対側に、熱可塑性樹脂シート等を配した三層
構造の合成樹脂複合材とすることもできる。このような
合成樹脂複合材において、金属製板状部材の両面側に繊
維強化熱可塑性樹脂層を配した三層構造のものが好まし
い。この三層構造のものは、軽量化効果が高く、しかも
上下の繊維強化熱可塑性樹脂層を形成する繊維強化熱可
塑性樹脂が金属製板状部材の開口部を通じて結合一体化
するため、曲げ荷重等が付加された際に、内部の界面剥
離が発生しにくい。
【0045】特に、中間の金属製板状部材を両面の繊維
強化熱可塑性樹脂層で包み込んだもの、すなわち後述の
図2に示すように金属製板状部材の周囲(辺縁部分)が
繊維強化熱可塑性樹脂層により包み込まれているものが
好ましい。この場合、周囲を繊維強化熱可塑性樹脂で包
み込んでいないものに比べて、曲げ弾性率が2倍以上と
なる。このようにして得られた合成樹脂複合材は、両表
面ともに平滑で強度に優れているので、土木用型枠など
には両面を用いることができ、耐用回数を著しく長くす
ることができる。換言すれば、単に金属製板状部材の表
面(片面又は両面)に繊維強化熱可塑性樹脂層を積層配
置しただけでは補強効果が必ずしも充分でなく、剥離現
象が発生するおそれがあるなど一体感の複合性が出ない
ことがあるが、金属製板状部材の周囲を繊維強化熱可塑
性樹脂層で完全に覆い(包み込み)一体化することによ
って、金属製板状部材による弾性率の向上が図れると共
に、繊維強化熱可塑性樹脂層の影響で弾性変形効果を持
たせることができる。
【0046】また、繊維強化熱可塑性樹脂層と金属製板
状部材との容量比は、特に制限はないが、通常、金属製
板状部材の重量が、繊維強化熱可塑性樹脂層を形成する
ためのシートの量の20〜70重量%、好ましくは30
〜60重量%とする。金属製板状部材の容量がこれより
多くなると、金属製板状部材が表面に飛び出したり、界
面強度が弱くなる(つまり金属製板状部材を挟んだ上下
の繊維強化熱可塑性樹脂層が一体化するのに量的に不足
する)ために、曲げ強度の補強効果が低くなり、塑性変
形しやすくなってしまう。また、金属製板状部材の容量
がこれより少なくなると、金属製板状部材による補強効
果が極めて低くなる。
【0047】本発明の積層体を構成する合成樹脂複合材
の厚さは、通常、3〜30mmであり、例えば、繊維強
化熱可塑性樹脂層(表裏層)をエキスパンドメタル(フ
ラットタイプ)(中間層)の両面に形成する場合、表裏
層と中間層の厚さの比率は、前者:後者=1:0.2〜
3、好ましくは1:0.3〜2である。
【0048】また、本発明の積層体を構成する合成樹脂
複合材を、前述した方法により製造する場合において
も、前述した方法により製造する場合における各要素
の配置の態様と全く同様に、各種の配置の態様を採るこ
とができる。すなわち、前述した方法により製造する
場合においても、最終的に完成された合成樹脂複合材中
における各要素(補強用繊維、熱可塑性樹脂、金属製板
状部材の三者)の配置状態が、前述した方法により製
造する場合と同様になるような各種の配置の態様を採る
ことができる。
【0049】(合成樹脂複合材の形状の任意性)本発明
の積層体を構成する合成樹脂複合材の形状は、平面状の
ものが代表的なものであるが、平面状に限るものではな
く、種々の形状に成形することができる。
【0050】[本発明の積層体の製造方法の特徴]以上
に述べた本発明の積層体を製造する方法には、積層体の
用途や積層の態様の相違によっていくつかの方法がある
が、このうち特に特徴的な製造方法として、次のような
方法がある。すなわち、本発明の積層体の製造方法は、
コンクリートやモルタル等のセメント系水硬性物質から
なる既設構造物の周囲に、前記合成樹脂複合材を所定間
隔を置いて配置し、その後、前記既設構造物と前記合成
樹脂複合材との間にコンクリートやモルタル等のセメン
ト系水硬性物質を流し込んで硬化させて以上に述べた積
層体を製造することを特徴とする。
【0051】このような製造方法によれば、コンクリー
トやモルタル等のセメント系水硬性物質で形成された各
種の既設構造物の補強を容易かつ確実に行うことが可能
となる。つまり、既設構造物の補強を行うにあたり、既
設構造物の周囲に合成樹脂複合材を配置してセメント系
水硬性物質を流し込むだけなので、既設構造物に対して
特に大掛かりな加工作業等を行う必要はなく、既設構造
物に対してはその表面をはつる程度の作業ですむため、
既設構造物をそのまま利用できる。さらに、合成樹脂複
合材は軽量なため取り扱いが容易であることから、より
一層作業の簡易化、円滑化が図られる。そして、このよ
うな簡易な作業であっても合成樹脂複合材の高い剛性お
よび強度により確実な補強効果を得ることができるう
え、合成樹脂複合材の耐蝕性により防蝕効果を得ること
もできる。
【0052】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各実施形態を図面
に基づいて説明する。 [第一実施形態]図1には、本発明の第一実施形態の積
層体10の断面図が示されている。積層体10は、コン
クリートやモルタル等のセメント系水硬性物質20から
なる層と、この層の両面側に配置された合成樹脂複合材
30とを積層一体化させて形成されている。また、積層
体10は、セメント系水硬性物質20と各合成樹脂複合
材30との境界部分に、これらの剥離に対する強度を向
上させる剥離強度向上用物質としての砂22を含んでい
る。
【0053】図2には、合成樹脂複合材30の一部を破
断した状態の斜視図が示されている。合成樹脂複合材3
0は、金属製板状部材であるエキスパンドメタル31
と、このエキスパンドメタル31の両面側に積層配置さ
れた繊維強化熱可塑性樹脂層40とからなる三層構造を
備えている。
【0054】エキスパンドメタル31は、表裏を貫通す
る多数の開口部32を有し、その開口率は45〜85%
である。これらの開口部32は、エキスパンドメタル3
1の原材料である板材に多数のスリットを設けておき、
このスリットが設けられた板材を引き伸ばした際に形成
されたものである。また、金属製板状部材には、このよ
うなエキスパンドメタル31ではなく、金属製線状部材
を縦横に交差させて形成された金網等を用いてもよい。
【0055】繊維強化熱可塑性樹脂層40は、ガラス繊
維等の補強用繊維41と、この補強用繊維41を含有す
る熱可塑性樹脂42とにより形成されている。そして、
繊維強化熱可塑性樹脂層40を形成する熱可塑性樹脂4
2の一部は、エキスパンドメタル31の各開口部32内
に入り込み、これにより両側の繊維強化熱可塑性樹脂層
40がエキスパンドメタル31を挟んで強固に結合一体
化されているので、合成樹脂複合材30は高い曲げ強度
および高い剛性を有し、曲げ荷重等が付加された際の内
部の界面剥離の発生が抑えられたものとなっている。
【0056】エキスパンドメタル31の大きさは、この
両面側に積層配置された各繊維強化熱可塑性樹脂層40
よりも若干小さくなっている(寸法T,S参照)。従っ
て、エキスパンドメタル31の周囲(辺縁部分)は、全
周に渡って繊維強化熱可塑性樹脂層40により囲まれ、
これによりエキスパンドメタル31が完全に繊維強化熱
可塑性樹脂層40に包み込まれた状態となっている。こ
のため、この包み込みにより、合成樹脂複合材30の曲
げ強度および剛性のより一層の向上が図られ、好ましく
は曲げ弾性率が150,000Kg/平方センチメート
ル以上、より好ましくは曲げ弾性率が200,000K
g/平方センチメートル以上という高剛性の合成樹脂複
合材30を得ることができる。なお、本発明は、必ずし
もこのようにエキスパンドメタル31が完全に包み込ま
れているものに限定されず、エキスパンドメタル31が
合成樹脂複合材30の外部に露出したものも本発明に含
まれる。
【0057】エキスパンドメタル31の片面側には、金
属製アンカー部材である複数個のスタッドボルト33が
適宜な間隔(例えば、50mm間隔)を置いて溶接によ
り固定されている。これらのスタッドボルト33の先端
を含む一部分は、繊維強化熱可塑性樹脂層40から外側
に突出している。そして、この突出部分により、合成樹
脂複合材30にセメント系水硬性物質20の側に突出す
るアンカー部34が形成され、このアンカー部34によ
り合成樹脂複合材30とセメント系水硬性物質20との
一体化が強化されている(図1参照)。また、金属製ア
ンカー部材には、このようなスタッドボルト33ではな
く、スタッドピン等を用いてもよい。
【0058】このような第一実施形態においては、以下
のようにして積層体10を製造する。先ず、次のように
して合成樹脂複合材30を形成する。予め補強用繊維4
1を含む熱可塑性樹脂42からなる繊維強化熱可塑性樹
脂層状体(繊維強化熱可塑性樹脂シート)43を形成し
ておく。また、所定の大きさに形成された金属製板状部
材であるエキスパンドメタル31を用意し、このエキス
パンドメタル31の片面側に複数のスタッドボルト33
を予め溶接固定しておく。
【0059】続いて、図3に示すように、エキスパンド
メタル31の両側に繊維強化熱可塑性樹脂層状体43を
重ねた状態で配置し、これらをこの状態で上型51と下
型52とからなる金型50内に同時に投入し、加熱プレ
ス成形する。上型51には、スタッドボルト33の配置
間隔に対応して複数の凹部53が設けられている。そし
て、加熱プレス成形すると、繊維強化熱可塑性樹脂層状
体43は、加熱溶融されて繊維強化熱可塑性樹脂層40
になるとともに一部の熱可塑性樹脂42がエキスパンド
メタル31の各開口部32内に入り込む。また、この加
熱プレス成形の際に、スタッドボルト33は繊維強化熱
可塑性樹脂層状体43を貫通し、これによりアンカー部
34が形成される。
【0060】次に、このようにして形成された合成樹脂
複合材30のアンカー部34が形成された側の面に、予
め剥離強度向上用物質としての砂22を接着しておく。
その後、用途に応じて、つまり積層体10によって形成
される目的構造物(新設構造物)の外形寸法や外形形状
等に応じて、二枚の合成樹脂複合材30をある間隔を置
いて配置しておき、これらの二枚の合成樹脂複合材30
の間にコンクリートやモルタル等のセメント系水硬性物
質20を流し込んで硬化させ、積層体10の製造を完了
する。
【0061】以上のようにして製造された積層体10
は、建造物の柱や橋梁等の各種の構造物を新設する際に
使用できる。この際には、構造物を設置すべき場所に合
成樹脂複合材30を埋設型枠として配置しておき、その
場でセメント系水硬性物質20を流し込んで硬化させる
ことにより、積層体10を製造すると同時にこれをその
まま構造物とするようにしてもよく、あるいは別の場所
で予め積層体10を製造し、これを構造物を設置すべき
場所に移動させるようにしてもよく、前者、後者のいず
れの場合も合成樹脂複合材30は埋設型枠となる。
【0062】また、後者の場合としては、海洋土木にお
ける岸壁や防波堤等の耐蝕性構造物の新設工事を潜函工
法(ケーソン工法)で行う場合等が挙げられ、この際に
は、合成樹脂複合材30をケーソン埋設型枠として使用
し、これを用いて地上で製造された積層体10をケーソ
ンとして沈設する。
【0063】このような第一実施形態によれば、金属製
板状部材であるエキスパンドメタル31、補強用繊維4
1、および熱可塑性樹脂42を複合させて形成した合成
樹脂複合材30を用い、これとセメント系水硬性物質2
0とを組み合せるので、高剛性および可撓性を有しかつ
軽量で耐蝕性にも優れているという合成樹脂複合材30
の特徴を生かした積層体10を得ることができる。特
に、合成樹脂複合材30は、通常のコンクリートと同等
の曲げ弾性率を有していることから、コンクリート等の
セメント系水硬性物質20との確実な積層一体化を図る
ことができる。
【0064】また、積層体10は、セメント系水硬性物
質20と各合成樹脂複合材30との境界部分に、剥離強
度向上用物質としての砂22を含んでいるので、剥離に
対する強度を向上させることができる。
【0065】さらに、合成樹脂複合材30には、スタッ
ドボルト33によるアンカー部34が設けられているの
で、これにより合成樹脂複合材30とセメント系水硬性
物質20との一体化を強化でき、優れた強度の積層体1
0を得ることができる。
【0066】そして、以上のことから、積層体10によ
って建造物の柱や橋梁等の各種の構造物を形成した場合
には、これらを耐震性(耐エネルギー吸収性、制振性)
に優れた構造物とすることができる。また、合成樹脂複
合材30の防蝕効果により耐蝕性に優れた構造物を形成
できるので、海洋土木における岸壁や防波堤等の耐蝕性
構造物の形成に積層体10を好適に利用できる。さら
に、積層体10を構成する合成樹脂複合材30は軽量で
あることから取り扱いが容易であり、工事費削減を図る
ことができる。
【0067】[第二実施形態]図4には、本発明の第二
実施形態の積層体60によって形成された新設トンネル
61の概略断面図が示されている。前記第一実施形態と
同一のものには同一の符号を付して詳しい説明は省略す
る。新設トンネル61は、岩盤や土砂の素堀りを行って
から、素堀り面62から所定間隔を置いてトンネル内面
形状に応じて複数の合成樹脂複合材30を並べて配置し
た後に、素堀り面62と合成樹脂複合材30との間にコ
ンクリートやモルタル等のセメント系水硬性物質20を
流し込んで硬化させることにより形成されている。
【0068】合成樹脂複合材30には、前記第一実施形
態と同様に、剥離強度向上用物質としての砂22やスタ
ッドボルト33等によるアンカー部34が設けられてい
ることが好ましい。
【0069】このような第二実施形態によれば、前記第
一実施形態の場合と同様な効果を得ることができる。す
なわち、耐震性(耐エネルギー吸収性、制振性)に優れ
た新設トンネル61を形成できる。また、積層体60を
構成する合成樹脂複合材30は軽量であることから取り
扱いが容易であり、工事費削減を図ることができる。さ
らに、水路なども同様にして形成することができ、この
際には、合成樹脂複合材30の防蝕効果により耐蝕性に
優れた水路などを形成できる。
【0070】[第三実施形態]図5には、本発明の第三
実施形態の積層体70によって補強された建造物の柱7
1の概略斜視図が示されている。前記第一実施形態と同
一のものには同一の符号を付して詳しい説明は省略す
る。柱71は、コンクリートやモルタル等のセメント系
水硬性物質で形成された既設構造物である。
【0071】このような柱71の補強は、以下のように
して行われる。すなわち、先ず、既存の柱71の周囲の
面72に、はつり工を施しておく。次に、柱71の周囲
に所定間隔Dを置いて複数の合成樹脂複合材30を配置
する。この合成樹脂複合材30には、前記第一実施形態
と同様に、剥離強度向上用物質としての砂22やスタッ
ドボルト33等によるアンカー部34が設けられている
ことが好ましい。なお、合成樹脂複合材30は図5のよ
うに柱71の各面に1枚づつ配置する形式に限らず、矩
形断面の筒状に形成する等により柱71の全周を連続的
に包囲したり、矩形断面筒体の半割状に形成して柱71
の両側から取付けるようにしてもよい。その後、柱71
の周囲の面72と合成樹脂複合材30との間にコンクリ
ートやモルタル等のセメント系水硬性物質20を流し込
んで硬化させ、既存の柱71の周囲を積層体70で覆
う。
【0072】このような第三実施形態によれば、前記第
一、第二実施形態の場合と同様な効果を得ることができ
る。すなわち、既存の柱71は、周囲を積層体70で覆
われることにより補強されるので、補強後の柱71を耐
震性(耐エネルギー吸収性、制振性)に優れた構造物と
することができる。また、積層体70を構成する合成樹
脂複合材30は軽量であることから取り扱いが容易であ
り、工事費削減を図ることができる。さらに、柱71が
耐蝕性の要求される場所に設置されている場合には、合
成樹脂複合材30の防蝕効果により耐蝕性に優れた柱7
1とすることができる。
【0073】[第四実施形態]図6には、本発明の第四
実施形態の積層体80によって補強された岸壁81の概
略断面図が示されている。前記第一実施形態と同一のも
のには同一の符号を付して詳しい説明は省略する。岸壁
81は、コンクリートやモルタル等のセメント系水硬性
物質で形成された既設構造物である。
【0074】このような岸壁81の補強は、前記第三実
施形態の場合と略同様にして以下のように行われる。す
なわち、先ず、既存の岸壁81の表面82に、はつり工
を施しておく。次に、岸壁81の表面82から所定間隔
Eを置いて複数の合成樹脂複合材30を配置する。この
合成樹脂複合材30には、前記第一実施形態と同様に、
剥離強度向上用物質としての砂22やスタッドボルト3
3等によるアンカー部34が設けられていることが好ま
しい。その後、岸壁81の表面82と合成樹脂複合材3
0との間にコンクリートやモルタル等のセメント系水硬
性物質20を流し込んで硬化させ、既存の岸壁81の表
面82を積層体80で覆う。
【0075】このような第四実施形態によれば、前記第
一、第二、第三実施形態の場合と同様な効果を得ること
ができる。すなわち、既存の岸壁81は、その表面82
を積層体80で覆われることにより補強されるので、補
強後の岸壁81を耐震性(耐エネルギー吸収性、制振
性)に優れた構造物とすることができる。また、岸壁8
1は、特に耐蝕性の要求される構造物であるため、合成
樹脂複合材30による防蝕効果を効果的に発揮させるこ
とができ、耐蝕性に優れた岸壁81を形成することがで
きる。さらに、積層体80を構成する合成樹脂複合材3
0は軽量であることから取り扱いが容易であり、工事費
削減を図ることができる。
【0076】また、既設の水路なども同様にして補強す
ることができ、この際にも、同様な耐震補強効果、耐蝕
性向上効果、軽量化によるコストダウン効果を得ること
ができる。
【0077】[第五実施形態]図7には、本発明の第五
実施形態の積層体90によって補強されたトンネル91
の一部の概略断面図が示されている。前記第一実施形態
と同一のものには同一の符号を付して詳しい説明は省略
する。トンネル91は、コンクリートやモルタル等のセ
メント系水硬性物質で形成された既設構造物である。
【0078】このようなトンネル91の補強は、前記第
三、第四実施形態の場合と略同様にして以下のように行
われる。すなわち、先ず、既存のトンネル91の内面9
2に、はつり工を施しておく。次に、トンネル91の内
面92から所定間隔Fを置いて複数の合成樹脂複合材3
0を配置する。この合成樹脂複合材30には、前記第一
実施形態と同様に、剥離強度向上用物質としての砂22
やスタッドボルト33等によるアンカー部34が設けら
れていることが好ましい。その後、トンネル91の内面
92と合成樹脂複合材30との間にコンクリートやモル
タル等のセメント系水硬性物質20を流し込んで硬化さ
せ、既存のトンネル91の内面92を積層体90で覆
う。
【0079】このような第五実施形態によれば、前記第
一、第二、第三、第四実施形態の場合と同様に、耐震補
強効果、耐蝕性向上効果、軽量化によるコストダウン効
果を得ることができる。
【0080】[変形の形態]なお、本発明は前記各実施
形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成で
きる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
すなわち、前記各実施形態では、合成樹脂複合材30
は、予め補強用繊維41を含む熱可塑性樹脂42からな
る繊維強化熱可塑性樹脂層状体(繊維強化熱可塑性樹脂
シート)43を用いて形成されたものとなっていたが
(前述した方法)、金属製板状部材であるエキスパン
ドメタル31と補強用繊維41とを重ねた状態で配置し
ておき、これらのエキスパンドメタル31および補強用
繊維41に同時に熱可塑性樹脂42を含浸させて形成さ
れたものとしてもよい(前述した方法)。
【0081】また、前記各実施形態では、合成樹脂複合
材30にアンカー部34が設けられていたが、アンカー
部34は本発明には必ずしも必要なものではなく、省略
することもできる。しかし、アンカー部34を設けてお
くことが、合成樹脂複合材30とセメント系水硬性物質
20との剥離防止の点で好ましい。
【0082】さらに、前記各実施形態では、アンカー部
34は、エキスパンドメタル31に溶接された金属製ア
ンカー部材であるスタッドボルト33により形成されて
いたが、スタッドボルト33等を後から打ち込み、ある
いはねじ込むことにより合成樹脂複合材30に取り付け
てアンカー部34を形成するようにしてもよい。そし
て、アンカー部34は、スタッドボルト33等の金属製
アンカー部材により形成されている必要もなく、加熱プ
レス成形時に繊維強化熱可塑性樹脂層40から突出する
状態となるように成形された熱可塑性樹脂42で形成さ
れていてもよい。
【0083】また、前記各実施形態では、セメント系水
硬性物質20と各合成樹脂複合材30との境界部分に、
剥離強度向上用物質としての砂22が含まれていたが、
このような剥離強度向上用物質を省略してもよい。しか
し、剥離強度向上用物質を設けておくことが、合成樹脂
複合材30とセメント系水硬性物質20との剥離防止の
点で好ましい。
【0084】そして、本発明が適用される既設構造物と
しては、前述した各実施形態の柱71、岸壁81、トン
ネル91に限らず、柱や橋梁等、セメント系水硬性物質
で構築される他の構造物をも含む。さらに、これらの構
造物に使用されるコンクリートパネルやコンクリートポ
ール等のセメント系水硬性物質製の中間部材や部分要素
なども既設構造物として本発明を適用することができ
る。
【0085】
【実施例】本発明の効果を確かめるために、次のような
曲げ試験による比較実験を行い、セメント系水硬性物質
であるコンクリートと合成樹脂複合材とを積層して形成
した本発明の積層体(実験例1〜4)およびこれに対す
る比較例について、強度特性、変形特性等を調べた。
【0086】
【表1】
【0087】先ず、表1に示す如く、比較例として、合
成樹脂複合材の無い、コンクリートのみの供試体を用意
した。これに対し、実験例1として、コンクリートの片
面(下面)側のみに単に合成樹脂複合材を積層しただけ
の供試体を用意した。また、実験例2として、実験例1
の合成樹脂複合材とコンクリートの接合面に砂22を接
着した供試体を用意し、実験例3として、実験例1の合
成樹脂複合材にスタッドボルト33によるアンカー部3
4を設けた供試体を用意した。さらに、実験例4とし
て、コンクリートの両面(上下面)側に合成樹脂複合材
を積層し、かつ、スタッドボルト33によるアンカー部
34を設けた供試体を用意した。なお、各実験例1〜4
および比較例の供試体は、それぞれについて3つずつ用
意した(No.1,No.2,No.3)。
【0088】供試体の大きさ、形状および荷重方法は、
土木学会基準、繊維補強コンクリートの曲げタフネス試
験方法に準拠、コンクリートは標準水中養生(摂氏20±
2度)材令7日(図8参照)であり、スタッドボルト3
3を設ける場合の配置は、図9に示す通りである。
【0089】図10〜図14には、比較実験の結果が示
されている。各図に描かれているグラフは、荷重−たわ
み曲線であり、グラフの縦軸には供試体に加える荷重
(tf)、横軸には供試体の中央のたわみ(mm)がと
られている。比較例では、供試体が中央のたわみの小さ
いうちに破壊してしまい、その際の荷重も小さいもので
あった。No.1,No.2,No.3の各供試体で、
0.044,0.045,0.042(tf・mm)で
あった(図10参照)。
【0090】実験例1では、比較例に比べ、破壊時の中
央のたわみが大きくなり、その際の荷重も大きいもので
あった。No.1,No.2,No.3の各供試体で、
0.480,0.448,0.417(tf・mm)で
あった(図11参照)。実験例2では、比較例に比べ、
破壊時の中央のたわみがさらに大きくなり、その際の荷
重もさらに大きいものであった。No.1,No.2,
No.3の各供試体で、0.441,0.674,0.
855(tf・mm)であった(図12参照)。
【0091】実験例3では、比較例に比べ、さらには実
験例1,2に比べても、破壊時の中央のたわみが一層大
きくなり、その際の荷重も一層大きいものであった。N
o.1,No.2,No.3の各供試体で、6.49
3,6.173,6.816(tf・mm)であった
(図13参照)。実験例4では、試供体No.1の試験
が不良のため、No.2,No.3の結果のみ得た(図
14参照)。その結果、比較例に比べ、さらには実験例
1,2に比べても、破壊時の中央のたわみが一層大きく
なり、その際の荷重も一層大きいものであった。No.
2,No.3の各供試体で、6.667,6.733
(tf・mm)であった。
【0092】以上の比較実験結果によれば、本発明の積
層体の曲げに対する強度特性、変形特性等が優れている
ことがわかった。特に、砂22を設けた場合には、より
優れた特性が得られ、スタッドボルト33を設けた場合
には、さらに一層優れた特性が得られた。これらによ
り、本発明の効果が顕著に示された。
【0093】
【発明の効果】以上に述べたように本発明によれば、金
属製板状部材、補強用繊維、および熱可塑性樹脂を複合
させて形成した合成樹脂複合材を用い、これとセメント
系水硬性物質とを組み合せるので、高剛性および可撓性
を有しかつ軽量で耐蝕性にも優れているという合成樹脂
複合材の特徴を生かした積層体を得ることができ、特
に、合成樹脂複合材は、通常のコンクリートと同等の曲
げ弾性率を有していることから、コンクリート等のセメ
ント系水硬性物質との確実な積層一体化を実現できると
いう効果がある。
【0094】このため、本発明の積層体によって、コン
クリートやモルタル等のセメント系水硬性物質で形成さ
れた各種の既設構造物の補強、あるいはこれらのセメン
ト系水硬性物質で形成される構造物の新設工事を行うこ
とができ、本発明の積層体により補強あるいは新設形成
された構造物は、耐震性(耐エネルギー吸収性、制振
性)、耐蝕性に優れた構造物となり、軽量化による工事
費削減も図ることができるという効果がある。
【0095】また、本発明の積層体が合成樹脂複合材と
セメント系水硬性物質との境界部分に砂等の剥離強度向
上用物質を含んでいる場合には、剥離に対する強度を向
上させることができるという効果がある。
【0096】さらに、合成樹脂複合材にセメント系水硬
性物質の側に突出するアンカー部を設けた場合には、合
成樹脂複合材とセメント系水硬性物質との一体化を強化
することができ、より一層優れた積層体を得ることがで
きるという効果がある。
【0097】そして、コンクリートやモルタル等のセメ
ント系水硬性物質からなる既設構造物の周囲に、合成樹
脂複合材を所定間隔を置いて配置し、その後、既設構造
物と合成樹脂複合材との間にコンクリートやモルタル等
のセメント系水硬性物質を流し込んで硬化させて本発明
の積層体を製造した場合には、コンクリートやモルタル
等のセメント系水硬性物質で形成された各種の既設構造
物の補強を容易かつ確実に行うことができるという効果
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態の積層体を示す断面図。
【図2】合成樹脂複合材の一部を破断した状態を示す斜
視図。
【図3】合成樹脂複合材の製造方法を示す断面図。
【図4】本発明の第二実施形態の積層体によって形成さ
れた新設トンネルを示す概略断面図。
【図5】本発明の第三実施形態の積層体によって補強さ
れた建造物の柱を示す概略斜視図。
【図6】本発明の第四実施形態の積層体によって補強さ
れた岸壁を示す概略断面図。
【図7】本発明の第五実施形態の積層体によって補強さ
れたトンネルの一部を示す概略断面図。
【図8】比較実験の供試体の大きさ、形状および荷重方
法を示す断面図。
【図9】比較実験においてスタッドボルトを設ける場合
の配置を示す説明図。
【図10】比較実験の結果である荷重−たわみ曲線を示
すグラフ(比較例)。
【図11】比較実験の結果である荷重−たわみ曲線を示
すグラフ(実験例1)。
【図12】比較実験の結果である荷重−たわみ曲線を示
すグラフ(実験例2)。
【図13】比較実験の結果である荷重−たわみ曲線を示
すグラフ(実験例3)。
【図14】比較実験の結果である荷重−たわみ曲線を示
すグラフ(実験例4)。
【符号の説明】
10,70,80,90 積層体 20 セメント系水硬性物質 22 剥離強度向上用物質としての砂 30 合成樹脂複合材 31 金属製板状部材であるエキスパンドメタル 32 開口部 33 金属製アンカー部材であるスタッドボルト 34 アンカー部 40 繊維強化熱可塑性樹脂層 41 補強用繊維 42 熱可塑性樹脂 43 繊維強化熱可塑性樹脂層状体(繊維強化熱可塑性
樹脂シート) 71 既設構造物である柱 81 既設構造物である岸壁 91 既設構造物であるトンネル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本多 新 東京都千代田区三番町2番地 飛島建設株 式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表裏を貫通する開口部を有する金属製板
    状部材と、この金属製板状部材の少なくとも一方の面側
    に配置される補強用繊維と、これらの金属製板状部材お
    よび補強用繊維を一体的に被覆する熱可塑性樹脂とを備
    えて形成された合成樹脂複合材と、 コンクリートやモルタル等のセメント系水硬性物質とを
    積層して一体化させたことを特徴とする積層体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載した積層体において、前
    記金属製板状部材の開口部の開口率は、45〜85%で
    あることを特徴とする積層体。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載した積層
    体において、前記金属製板状部材は、表裏を貫通するス
    リットを設けてから引き伸ばして形成されたエキスパン
    ドメタルであることを特徴とする積層体。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2に記載した積層
    体において、前記金属製板状部材は、金属製線状部材を
    縦横に交差させて形成された金網であることを特徴とす
    る積層体。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4のいずれかに記載
    した積層体において、前記合成樹脂複合材の曲げ弾性率
    は、15万キログラム重毎平方センチメートル以上であ
    ることを特徴とする積層体。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項5のいずれかに記載
    した積層体において、前記合成樹脂複合材と前記セメン
    ト系水硬性物質との境界部分に、これらの剥離に対する
    強度を向上させる剥離強度向上用物質を含んでいること
    を特徴とする積層体。
  7. 【請求項7】 請求項1から請求項6のいずれかに記載
    した積層体において、前記合成樹脂複合材には前記セメ
    ント系水硬性物質の側に突出するアンカー部が設けら
    れ、このアンカー部により前記合成樹脂複合材と前記セ
    メント系水硬性物質との一体化が強化されたことを特徴
    とする積層体。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載した積層体において、前
    記アンカー部は、前記金属製板状部材に固定された金属
    製アンカー部材により形成されていることを特徴とする
    積層体。
  9. 【請求項9】 コンクリートやモルタル等のセメント系
    水硬性物質からなる既設構造物の周囲に、前記合成樹脂
    複合材を所定間隔を置いて配置し、その後、前記既設構
    造物と前記合成樹脂複合材との間にコンクリートやモル
    タル等のセメント系水硬性物質を流し込んで硬化させて
    なる請求項1から請求項8のいずれかに記載した積層体
    を製造することを特徴とする積層体の製造方法。
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