JPH1067196A - インキ逆流防止体 - Google Patents

インキ逆流防止体

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JPH1067196A
JPH1067196A JP8245584A JP24558496A JPH1067196A JP H1067196 A JPH1067196 A JP H1067196A JP 8245584 A JP8245584 A JP 8245584A JP 24558496 A JP24558496 A JP 24558496A JP H1067196 A JPH1067196 A JP H1067196A
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Japan
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ink
specific gravity
average particle
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particle diameter
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JP8245584A
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Yasuhiro Takahashi
安宏 高橋
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Pentel Co Ltd
Original Assignee
Pentel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 静置時及びインキ供給時には流動性を有して
インキの供給が良好であり、衝撃を受けた時には見かけ
粘度が急激に大きくなって流動性を失い、インキ及びイ
ンキ逆流防止体の移動やインキ収容管からの飛び出しを
防ぐインキ逆流防止体を提供すること。 【解決手段】 難揮発性流体および/または不揮発性流
体よりなる基材と、平均粒子径が10〜200μmの粒
子とを少なくとも含有することを特徴とするインキ逆流
防止体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一方を開口端とし
た筒状のインキ収容管内部に直接充填したインキが、前
記開口端から漏れ出すことを防ぐ目的で、インキよりも
開口端側のインキ収容管内に充填されるインキ逆流防止
体に関する。
【0002】
【従来の技術】一方が開口端となっており、他方がペン
先やインキ供給用導管などで閉鎖されている筒状のイン
キ収容管の内部にインキが直接充填されている系におい
ては、この開口端が横向き又は下向きとなるようインキ
収容管を配置した時に、前記開口端からインキが漏れ出
すことを防ぐことが必要である。この目的を達成するた
めに、特公昭31−4319号公報には、インキ収容管
内に充填したインキよりも開口端側にインキ逆流防止体
を充填することが提案されている。インキ逆流防止体
は、インキ収容管の開口端が、横向き又は下向きの時
に、インキ及びインキの逆流防止体がインキの収容管か
ら外部に流れ出さないようにするために、見かけ粘度が
高いことが必要であり、且つ、インキ収容管内から外部
へのインキの供給に伴うインキ収容管内のインキ量の減
少にあわせて、閉鎖端側へ移動できるだけの流動性が必
要である。また、開口端を通じて外気と接するため経時
的に減量することがないよう難揮発性または不揮発性で
ある必要がある。更に、インキ逆流防止体は、インキと
界面を接するようにインキ収容管内に充填されるため、
インキと化学的に反応せず、溶解あるいは混入懸濁とい
ったことを起こさないことが必要である。以上の理由に
より、インキ逆流防止体は、水性インキには油性の難揮
発性流体及び/又は不揮発性流体が基材として使用さ
れ、油性インキには水性の又はインキと極性の異なる油
性の難揮発性流体及び/又は不揮発性流体が基材として
使用される。前記基材の見かけ粘度を高くするために、
添加剤として、従来公知の有機・無機の増粘・ゲル化剤
を使用することも提案されている。例えば、特公昭31
−4319号公報においては、基材のパラフィン油を金
属石鹸で濃厚化したインキ逆流防止体やゼラチン・ゼリ
ー・プラスチック等で増粘・ゲル化されたインキ逆流防
止体が開示されており、特開平8−11481号公報に
おいては基材のフタル酸エステルを脂環族飽和炭化水素
樹脂と微粒子シリカで増粘したインキ逆流防止体が開示
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記インキ
逆流防止体は、インキとインキ逆流防止体とが充填され
たインキ収容管の開口端が横向き又は下向きであって
も、静置状態ではインキおよびインキ逆流防止体の漏れ
はない。しかしながら、インキ収容管に、落下などの衝
撃が加わると、インキとインキ逆流防止体とが移動して
インキ収容管から飛び出たり、インキ逆流防止体がイン
キ収容管から飛び出した後でインキがインキ収容管から
漏れ出したりするといった問題が発生することが有っ
た。このような事態を防ぐ提案も、種々なされている。
例えば、実公昭45−6270号公報には、柔軟な多孔
質体に難揮発性又は不揮発性流体を含浸させてインキ逆
流防止体としたものが開示されており、又、実公平2−
41151号公報には、網状組織体にゲル状物質を含浸
させたインキ逆流防止体が開示されている。このような
インキ逆流防止体は、インキ収容管内径より大きな多孔
質体や網状組織体を圧縮してインキ収容管内に装填した
場合には、落下などの衝撃時に、インキ逆流防止体がイ
ンキ収容管から飛び出すことはない。しかしながら、イ
ンキ供給時にインキの消費に追随して閉鎖端側に移動す
ることができず、インキ逆流防止体が密封栓の役割を果
たしてインキ収容管内が減圧状態となり、インキ収容管
外へインキが供給できなくなる。上記と反対に、インキ
収容管内径より小さな多孔質体や網状組織体をインキ収
容管内に装填した場合には、落下などの衝撃時に、イン
キ逆流防止体がインキ収容管外に飛び出してしまう。即
ち、このようなインキ逆流防止体に、インキの消費に追
随して移動する性能と、耐衝撃性という性能とを付与す
るためには、インキ収容管内部形状より僅かに小さい形
状の多孔質体や網状組織体を成形する高度な成形技術が
必要である。しかし、実際には難揮発性又は不揮発性液
体を含浸した多孔質体や網状組織体を多少圧縮してイン
キ収容管に装填したくらいでは、落下などの衝撃で多孔
質体や網状組織体はインキ収容管外に飛び出してしま
い、且つインキの供給時にはインキの消費に追随して移
動することができず、インキが供給できない。
【0004】本発明は、上記問題点に鑑み、静置時及び
インキ供給時には流動性を有しながら、落下などによる
衝撃のような急激に大きな剪断応力がかかったときには
見かけ粘度が急激に大きくなって流動性を失いインキ逆
流防止体が飛び出るのを防ぐインキ逆流防止体を提供す
ることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、難揮発性流体
および/または不揮発性流体よりなる基材と、平均粒子
径が10〜200μmの粒子とを少なくとも含有するこ
とを特徴とするインキ逆流防止体を要旨とする。
【0006】以下、詳述する。インキ収容管は、ペン類
においては一端にペン先、例えばボールペンペン先やフ
ェルト等の繊維束のペン先や連通多孔体状のペン先やま
た弁等によって閉鎖されている。また、記録計などのイ
ンキタンクではインキ供給用導管によって一端が閉鎖さ
れている。インキ収容管はインキの残量を確認できるよ
うに透明又は半透明のものが多く用いられ、例えばポリ
エチレンやポリプロピレンがよく使用されているが、こ
のほかの各種プラスチックや金属製のものもある。ま
た、必要に応じてインキ収容管内面にシリコーン系やフ
ッ素系の撥水・撥油剤を塗布することもできる。
【0007】インキは、紙などの記録媒体上に画像を形
成する目的で使用するもので、溶媒に溶質の着色材を溶
解したものや、分散媒に分散質の着色材を分散したもの
がある。溶質の着色材としてはウォーターブルーやメチ
ルバイオレット等の水溶性・油溶性染料が知られてお
り、分散質の着色材としてはフタロシアニンブルーやモ
ノアゾイエローや酸価チタンのような有機・無機顔料が
知られている。溶媒や分散媒は水や有機溶剤が使用でき
る。
【0008】インキ逆流防止体は、インキ漏れ防止の為
に用いるものであって、難揮発性流体および/または不
揮発性流体よりなる基材と、平均粒子径が10〜200
μmの粒子とを少なくとも含有するものである。基材
は、従来、インキ逆流防止体用基材として公知の材料が
使用できる。例えばフタル酸ジ−2−エチルヘキシル
(比重0.99)、フタル酸ジブチル(比重1.05)
といったフタル酸エステル類、リン酸トリクレジル(比
重1.175)といったリン酸エステル類、アジピン酸
ジ−2−エチルヘキシル(比重0.93)やアジピン酸
イソデシル(比重0.92)といったアジピン酸エステ
ル類、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル(比重0.9
2)といったセバシン酸エステル類、トリメリット酸ト
リ−2−エチルヘキシル(比重0.99)といったトリ
メリット酸エステル類、クエン酸トリエチル(比重1.
14)やアセチルクエン酸トリブチル(比重1.04)
といったクエン酸エステル類、エポキシ化大豆油(比重
0.99)やエポキシ化アマニ油(比重1.04)とい
ったエポキシ化植物油やエポキシ化脂肪酸エステル(比
重0.92〜0.97)、ポリエステル系可塑剤(比重
1.02〜1.12)のような可塑剤が挙げられるま
た、ポリブテン(比重0.82〜0.90)、ポリブタ
ジエン(比重0.90)、流動パラフィン(比重0.8
5〜0.90)、α−オレフィンオリゴマー(比重0.
82〜0.85)といった液状オリゴマーや液状ゴムが
挙げられ、パラフィン系・ナフテン系・アロマ系プロセ
スオイル(比重0.85〜1.05)やエクステンダー
オイル等の鉱物油、植物油、ポリエーテル変性シリコー
ン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ワセリン等の油
脂類が挙げられる。またフルオロアルコキシシクロトリ
ホスファゼンとしてはホスファロールNF46(比重
1.76)、同NF68(比重1.78)、同NF10
0(比重1.79)(以上、大塚化学(株)製)などが
挙げられ、塩素化パラフィンとしては、エンパラK43
(塩素含有量42〜44%、比重1.12〜1.1
5)、同K45(塩素含有量44〜46%、比重1.1
5〜1.18)、同K47(塩素含有量47〜49%、
比重1.19〜1.22)、同K50(塩素含有量50
〜52%、比重1.23〜1.26)(以上、味の素
(株)製)などが挙げられる。これらは1種もしくは2
種以上混合して使用できる。
【0009】平均粒子径が10〜200μmの粒子は、
落下などの衝撃によるインキ逆流防止体の飛散を防止す
るために用いるものであって、有機・無機の各種の粉体
が使用できる。有機の粉体としては各種の樹脂やゴムが
あり、無機の粉体としては炭酸カルシウム、炭酸マグネ
シウム、クレー、石英粉、ガラス粉等がある。粒子の平
均粒子径が10μm未満の場合、耐衝撃性が得られず、
200μmより大きい場合、粒子の間隙が大きく、同じ
速度勾配でも大きな速度を生じてインキ逆流防止体が大
きく移動し、インキ収容管から飛び出してしまう。これ
らの粒子の形状は塊状重合の樹脂粉や粉砕された無機粉
のような塊状不定形や板状、針状といった形状のどれで
もよいが、特に球状が好ましい。これは、球状粒子の場
合、筆記時に粒子どうしの接触や絡み合いといったこと
が少なく、粒子が分散される前の前記従来公知のインキ
逆流防止体の流動特性を損なうことが少ない為である。
これら球状粒子には有機のものや無機のものがあり、内
部が詰まった状態のビーズと、中空状のバルーンとがあ
る。
【0010】以下、球状粒子について具体的に例を挙げ
る。有機球状粒子のビーズとしては、ポリエチレンビー
ズ、フェノール樹脂ビーズ、アクリル樹脂ビーズ、ポリ
アセタール樹脂ビーズ等、各種汎用樹脂のビーズが市販
されている。この他、シリコーン樹脂ビーズとしてトス
パール3120(平均粒子径12μm、比重1.32)
(東芝シリコーン(株)製)が挙げられる。
【0011】有機球状粒子のバルーンとしては、ポリア
クリロニトリルバルーンの表面に無機粉体をコーティン
グしたものとして、マツモトマイクロスフェアーMFL
100CA(平均粒子径100μm、比重0.13、炭
酸カルシウムコーティング)、同MFL80GCA(平
均粒子径20μm、比重0.20、炭酸カルシウムコー
ティング)、同MFL80TA(平均粒子径100μ
m、比重0.13、タルクコーティング)、同MFL3
0STI(平均粒子径20μm、比重0.20、酸価チ
タンコーティング)等が挙げられる。
【0012】無機球状粒子のビーズとしては、ガラス製
のものとして、東芝ガラスビーズGB210(平均粒子
径17μm)、同GB731M(平均粒子径18μ
m)、同GB731(平均粒子径30μm)、同EGB
731(平均粒子径18μm)、同GB301S(平均
粒子径45μm)(以上、東芝バロティーニ(株)製、
いずれも比重2.5)、ユニビーズSPM−30(平均
粒子径30μm)、同SPM−90(平均粒子径90μ
m)(以上、(株)ユニオン、いずれも比重4.2
0)、ユニビーズSPL−100(平均粒子径100μ
m)、同SPL−200(平均粒子径200μm)(以
上、(株)ユニオン、いずれも比重2.50)や、再帰
反射製品用に使用される中・高屈折率ガラスビーズとし
てユニビーズNHシリーズやMシリーズ(いずれも、
(株)ユニオン製)や、ガラスビーズを再加熱すること
によって再結晶化させる結晶化ガラスが挙げられる。ま
た、金属製のものとして球状銅粉、球状青銅粉、真鍮青
銅粉が挙げられる。
【0013】無機球状粒子のバルーンとしては、ガラス
製のものとしてスコッチライト グラスバブルズ K1
(平均粒子径69μm、比重0.125)、同K25
(平均粒子径54μm、比重0.250)、同K46
(平均粒子径45μm、比重0.460)、同S15
(平均粒子径56μm、比重0.150)、同S60
(平均粒子径30μm、比重0.600)(以上、住友
スリーエム(株)製)、グラスマイクロバルーン IG
101(比重0.311)、同IG25(比重0.23
7)、同R(比重0.361)、同FT102(比重
0.250)、同FTD202(比重0.238)(以
上、日本シリカ工業(株)製、いずれも平均粒子子径8
0μm)等が挙げられる。また、セラミック製のものと
してマイクロセルズSL75(平均粒子径45μm)、
同SL125(平均粒子径80μm)、同SL150
(平均粒子径100μm)、同SL180(平均粒子径
115μm)(以上、小野田セメント(株)製、いずれ
も比重0.68〜0.70)、グラス マイクロバルー
ンFAA(比重0.6)(日本シリカ工業(株)製、平
均粒子径80μm)等が挙げられる。更に、シリカ製の
ものとしてグラス マイクロバルーンSI(比重0.2
54)(日本シリカ工業(株)製、平均粒子径80μ
m)といったものが挙げられる。これらの粒子は1種も
しくは2種以上併用できる。
【0014】これらの粒子は、インキ逆流防止体全体の
10〜50容積%になるようにすることが好ましい。こ
れは、インキ逆流防止体における粒子の占める体積が5
0容積%を越えるとインキ逆流防止体の流動性が損なわ
れ、インキの消費に伴う移動に円滑に追随できず、イン
キの供給が悪くなる場合があるためである。また、これ
らの粒子は、インキ逆流防止体の全域にわたって存在す
る必要はなく、インキ収容管の開口端側の逆流防止体中
に存在していればよい。なぜなら、逆流防止体が飛び散
るのは開放端側からであるから、その部分にこれらの粒
子が存在すれば目的の効果が得られる。効果を充分に得
たければ逆流防止剤の充填量を多くすればよい。逆流防
止体中の開口端側に粒子を存在させる方法としては、粒
子の比重を基材の比重より小さくし、遠心などで力を加
て開口端側に粒子を集中させる方法などを採用すること
ができる。
【0015】本発明のインキ逆流防止体は、上記基材
と、平均粒子径が10〜200μmの粒子とを撹拌し、
混合することによって容易に得ることができる。
【0016】なお、上記成分以外、基材の粘性が低い場
合、増粘剤やゲル化剤を併用することもできる。その具
体例としては、アエロジル(日本アエロジル(株)製)
などの微粒子シリカ、ディスパロン305(楠本化成
(株)製)などの水添ひまし油系のもの、ソロイド(三
晶(株)製)などのセルロース系のもの、更に金属セッ
ケン類、ベントナイト等が挙げられる。これらは1種も
しくは2種以上混合して使用できる。更に、インキ収容
管内壁へのインキ付着防止の為に、ソルビタン脂肪酸エ
ステルやグリセリン脂肪酸エステルを用いたり、低温で
の筆記性低下防止の為にメタクリレートコポリマーを用
いたり、その他、種々の添加剤を適宜必要に応じて使用
することもできる。
【0017】
【作用】流体の流動状態は流体にかかる剪断応力と流体
に生じる速度勾配の関係によって示される。流体の流れ
難さを表す粘性は「(剪断応力)÷(速度勾配)」で表
され、これが一定の場合は粘度、一定でない場合は見掛
け粘度と呼ばれる。剪断応力と速度勾配の関係は式1に
よって表される。
【式1】 式1において、n>1の場合、これらの流動を総称して
チキソトロピー的挙動を示す流体といい、n<1の場
合、ダイラタンシーといい、n=1の場合をニュートン
流体と呼ぶ。前記基材や、増粘剤やゲル化剤によって増
粘やゲル化された従来のインキ逆流防止体は、「(剪断
応力)÷(速度勾配)」が一定でなく、剪断応力の増加
または速度勾配の増加に対して見掛け粘度が小さく、n
>1となる塑性流動、擬塑性流動、擬粘性流動といった
チキソトロピー的挙動の流動特性を示す。
【0018】落下などの衝撃を受けたとき、インキ逆流
防止体には、インキ供給時や静置時にかかる剪断応力に
比べ、はるかに大きな剪断応力がかかる。そのため、チ
キソトロピー的挙動を示す前記インキ逆流防止体は、イ
ンキ供給時や静置時に比べ衝撃時は見かけ粘度が急激に
低下し、大きな速度勾配が生じてインキ逆流防止体が飛
び散ってしまい、インキ漏れの防止ができない。
【0019】これに対し、一般に急激に大きな剪断応力
を掛けると見かけ粘度が急激に増大して、速度勾配が僅
かしか増加しない流動を、もしくは速度勾配の増加に対
して剪断応力と見かけ粘度が急激に増大する流動をダイ
ラタンシーという。ダイラタンシーは流体の体積変化を
伴う体積ダイラタンシーと体積変化を伴わないレオロジ
ーダイラタンシーとがあるが、体積ダイラタンシーの機
構は以下のようになっている。硬い粒子の濃厚懸濁液を
ゆっくりかき混ぜているときは流れやすいが、急にかき
混ぜると抵抗力が増大して流れ難くなる現象は、例え
ば、片栗粉の濃厚懸濁液で見ることができる。硬い粒子
の濃厚懸濁液の場合は、剪断応力が時間に対して一定で
ある定常状態の場合、粒子は最密充填に近い状態におか
れて流動しているが、急激に剪断応力が増大すると最密
充填の状態がくずれ粒子間の間隙が大きくなり、液体が
粒子間に吸い込まれて粒子間に摩擦が生じて流動し難く
なる。このため、棒のようなもので、硬い粒子の濃厚懸
濁液をかき混ぜている場合、急激に力を大きくしてもか
き混ぜる速さは僅かしか増えない。また、落下衝撃のよ
うな場合、硬い粒子は前述と同じように粒子どうしの摩
擦で僅かしか動かないが、液体は流れようとする。しか
し、液体は粒子の間隙を流れなければならないため、粒
子の無い場合と同じ速度勾配で流れても速さは小さく、
僅かしか流れることができない。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説
明する。 インキの作成 <インキ1> クロノスKR380(酸化チタン、チタン工業(株)製) 30.0重量部 ジョンクリルJ61J(スチレン−アクリル酸エステル共重合体のアンモニウ ム塩、ジョンソンポリマー(株)製) 17.0重量部 水 62.4重量部 エチレングリコール 5.0重量部 グリセリン 5.0重量部 ケルザンAR(キサンタンガム、三晶(株)製) 0.6重量部 上記各成分中、ケルザンAR以外の各成分を混合し、ボ
ールミルで24時間分散処理を行った後、ケルザンAR
を加えて1時間撹拌を行いインキ1を得た。
【0021】 <インキ2> ウォーターブラック187L(オリエント化学工業(株)製) 8.0重量部 ポリビニルピロリドンK−90 10.0重量部 エチレングリコール 15.0重量部 サンニックスPP−400(潤滑剤、三洋化成(株)製) 10.0重量部 水 57.0重量部 上記各成分を混合、撹拌してインキ2を得た。
【0022】実施例1 エンパラK43 85.0重量部 レオパールKE(ゲル化増粘剤、デキストリン脂肪酸エステル、千葉製粉(株 )製) 2.5重量部 アエロジルR972(ゲル化増粘剤、微粒子シリカ、一次粒子の平均粒子径1 6nm、日本アエロジル(株)製) 2.5重量部 スコッチライト グラスバブルズK25 13.0重量部 上記成分を150℃にて10分間、撹拌混合してスコッ
チライト グラスバブルズ K25が全体の41容積%
を占めるインキ逆流防止体を得た。 <試験用ボールペン1の作成>直径0.8mmのボール
(材質:超硬)とステンレス製ボールペンチップとより
なるボールペンペン先を、内径3mmのポリプロピレン
製インキ収容管にとりつけ、インキ1を長さ100m
m、逆流防止体を長さ15mm充填配置して試験用ボー
ルペン1となした。
【0023】実施例2 エンパラK47 85.0重量部 レオパールKE 2.5重量部 アエロジルR972 2.5重量部 スコッチライト グラスバブルズK46 5.7重量部 上記成分を150℃にて10分間、撹拌混合してスコッ
チライト グラスバブルズK46が全体の15容積%を
占めるインキ逆流防止体を得た。 <試験用ボールペン2の作成>実施例1と同様にしてイ
ンキ1とインキ逆流防止体とを充填配置して試験用ボー
ルペン2となした。
【0024】実施例3 ポリブテンLV50 89.0重量部 レオパールKE 5.0重量部 アエロジルR972 3.0重量部 アルクーブ805(ポリアルキルメタクリレート、三洋化成工業(株)製) 1.0重量部 ユニビーズSPL−200 112.0重量部 上記成分を150℃にて10分間、撹拌混合してユニビ
ーズSPL−200が全体の30容積%を占めるインキ
逆流防止体を得た。 <試験用ボールペン3の作成>実施例1と同様にしてイ
ンキ2とインキ逆流防止体を充填配置して試験用ボール
ペン3となした。
【0025】実施例4 フタル酸ジ−2−エチルヘキシル 99.4重量部 ゲルオールD(ゲル化剤、ジベンジリデンソルビトール、新日本理化(株)製 ) 0.6重量部 東芝ガラスビーズGB210 63.0重量部 上記成分を120℃にて10分間、撹拌混合して東芝ガ
ラスビーズGB210が全体の20容積%を占めるイン
キ逆流防止体を得た。 <試験用ボールペン4の作成>実施例1と同様にしてイ
ンキ2とインキ逆流防止体とを充填配置して試験用ボー
ルペン4となした。
【0026】実施例5 ポリブテンLV50 89.0重量部 レオパールKE 5.0重量部 アエロジルR972 3.0重量部 アルクーブ805(ポリアルキルメタクリレート、三洋化成工業(株)製) 1.0重量部 スコッチライト グラスバブルズK1 19.5重量部 上記成分を150℃にて10分間、撹拌混合してスコッ
チライト グラスバブルズK1が全体の60容積%を占
めるインキ逆流防止体を得た。 <試験用ボールペン5の作成>実施例1と同様にしてイ
ンキ2とインキ逆流防止体を充填配置して試験用ボール
ペン5となした。
【0027】実施例6 ポリブテンLV50 89.0重量部 レオパールKE 5.0重量部 アエロジルR972 3.0重量部 アルクーブ805(ポリアルキルメタクリレート、三洋化成工業(株)製) 1.0重量部 スコッチライト グラスバブルズK46 3.5重量部 上記成分を150℃にて10分間、撹拌混合してスコッ
チライト グラスバブルズK46が全体の7容積%を占
める逆流防止体を得た。 <試験用ボールペン6の作成>実施例1と同様にしてイ
ンキ2とインキ逆流防止体とを充填配置して試験用ボー
ルペン6となした。
【0028】比較例1 実施例1において、スコッチライト グラスバブルズK
25を除いた以外は同様になして試験用ボールペン7を
得た。
【0029】比較例2 フタル酸ジ−2−エチルヘキシル 99.4重量部 ゲルオールD(ゲル化剤、ジベンジリデンソルビトール、新日本理化(株)製 ) 0.6重量部 ユニビーズSPL−400(ガラス製球状粒子のビーズ、平均粒子径400μ m、比重2.50、(株)ユニオン製) 44.0重量部 上記成分を120℃にて10分間、撹拌混合してユニビ
ーズSPL−400が全体の15容積%を占めるインキ
逆流防止体を得た。 <試験用ボールペン8の作成>実施例1において、実施
例1のインキ逆流防止体を比較例2のインキ逆流防止体
に代えた以外は実施例1と同様にして試験用ボールペン
8となした。
【0030】比較例3 フタル酸ジ−2−エチルヘキシル 99.4重量部 ゲルオールD 0.6重量部 東芝マイクロビーズMB−10(ソーダ石灰ガラス製球状ビーズ、平均粒子径 5〜7μm、比重2.5、東芝バロティーニ(株)製) 44.0重量部 上記成分を120℃にて10分間、撹拌混合して東芝マ
イクロビーズMB−10が全体の15容積%を占めるイ
ンキ逆流防止体を得た。 <試験用ボールペン9の作成>実施例3において、実施
例3のインキ逆流防止体を比較例3のインキ逆流防止体
に代えた以外は実施例1と同様にして試験用ボールペン
9となした。
【0031】<一端密閉のインキ充填済のインキ収容管
1〜9の作成>試験用ボールペン1〜9において、ボー
ルペンペン先の代わりに真鍮棒を用いた以外は、試験用
ボールペン1〜9と同様にして一端密閉のインキ充填済
のインキ収容管1〜9となした。
【0032】以上、実施例1〜6および比較例1〜3で
得たインキ逆流防止体を用いた試験用ボールペン1〜9
について筆記性試験を行い、実施例1〜6および比較例
1〜3で得たインキ逆流防止体を用いた一端密閉のイン
キ充填済のインキ収容管1〜9について耐衝撃性試験を
行った。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】筆記性試験 試験用ボールペン1〜9を用いて、原稿用紙に文字を手
書きして筆記状態を観察した。
【0035】耐衝撃性試験 一端密閉のインキ充填済のインキ収容管1〜9を用い
て、密閉側を上向とした状態で、1mの高さから落下さ
せて衝撃を与え、これを2回行った後、インキ逆流防止
体の状態を観察した。本試験において、比較例1及び3
のインキ逆流防止体は、インキ収容管より漏れ出るほど
移動してしまった。
【0036】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によるイ
ンキ逆流防止体はインキの供給が良好で、衝撃に対して
もインキ逆流防止体がほとんど移動しないので、インキ
などの漏れの発生しない極めて良好なものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 難揮発性流体および/または不揮発性流
    体よりなる基材と、平均粒子径が10〜200μmの粒
    子とを少なくとも含有することを特徴とするインキ逆流
    防止体。
JP8245584A 1996-08-28 1996-08-28 インキ逆流防止体 Pending JPH1067196A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016088007A (ja) * 2014-11-07 2016-05-23 株式会社パイロットコーポレーション 筆記具用インキ逆流防止体組成物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016088007A (ja) * 2014-11-07 2016-05-23 株式会社パイロットコーポレーション 筆記具用インキ逆流防止体組成物

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