JPH1064439A - 陰極構体、電子銃構体、電子銃用グリッド、電子管、ヒータ、および陰極構体の製造方法 - Google Patents

陰極構体、電子銃構体、電子銃用グリッド、電子管、ヒータ、および陰極構体の製造方法

Info

Publication number
JPH1064439A
JPH1064439A JP13134697A JP13134697A JPH1064439A JP H1064439 A JPH1064439 A JP H1064439A JP 13134697 A JP13134697 A JP 13134697A JP 13134697 A JP13134697 A JP 13134697A JP H1064439 A JPH1064439 A JP H1064439A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cathode
insulating substrate
grid
heating element
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP13134697A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Sudo
孝 須藤
Kazuo Kobayashi
一雄 小林
Toshiharu Higuchi
敏春 樋口
Sakae Kimura
栄 木村
Hideji Takahashi
秀治 高橋
Shinpei Koshigoe
真平 腰越
Takumi Tonai
巧 藤内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Toshiba Development and Engineering Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Toshiba Electronic Engineering Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp, Toshiba Electronic Engineering Co Ltd filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP13134697A priority Critical patent/JPH1064439A/ja
Publication of JPH1064439A publication Critical patent/JPH1064439A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Solid Thermionic Cathode (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】短縮化、省電力化および速動化を図った陰極構
体、これを備えた電子銃構体、および電子管を提供する
ことを課題とする。 【解決手段】陰極構体27は、対向する一対の面を有す
る熱伝導性を備えた絶縁基板21を備え、絶縁基板の一
面には陰極基体24が設けられているとともに、絶縁基
板の他面には、陰極基体を加熱する発熱体25が形成さ
れている。発熱体の電極には、金属層26aを介してヒ
ータ電極端子26が固着されている。絶縁基板には第1
グリッド30が固着され、陰極基体と所定の隙間をおい
て対向している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカラー受像管等の電
子銃に使用される陰極構体、電子銃構体、電子銃用グリ
ッド、電子管、ヒータ、および陰極構体の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータに用いられる表示装
置に対してダウンサイジング化が要求されるようになっ
てきた。特にコンピュータのパーソナル化に伴い、液晶
を中心としたフラットディスプレイが注目を集めてい
る。しかしながら、大型化、高精細化及びコストの面で
は受像管などの電子管に対抗出来る表示装置の開発には
至っていない。このため、受像管などの電子管の短全長
化や軽量化が早急に要求されている。
【0003】また、衛星搭載などを目的とした進行波管
でも同様な要求が増大してきた。これに伴い管球部品で
ある陰極構体を含めた電子銃の小型化、薄型化、軽量化
が望まれるようになってきた。
【0004】さらに、高出力な進行波管では、しばしば
急速な動作が望まれる。一般的な管球では熱陰極構体を
電子源としており、陰極構体の温度上昇時間が管球の安
定動作までの時間を支配している。つまり、急速な管球
動作には陰極構体の急速加熱が必要とされるのである。
【0005】そこで、電子管を用いた表示装置において
も薄肉化および軽量化を図るための開発が試みられ、例
えば特開平7ー58970号に示すように複数個の電子
銃を並べて設けた電子管を用いた薄型の表示装置が提案
されている。
【0006】しかし、このような表示装置を構成する電
子管に設ける電子銃に対しても、表示装置の薄肉化およ
び軽量化を図る点から、さらには表示装置としての性能
を高める点から、全長が短いこと、低消費電力であるこ
と、および速動型であることなどが要望されている。
【0007】ここで、従来の電子管の一例について図6
7を参照して説明する。図67は従来の電子管に使用さ
れている電子銃構体における陰極構体の近傍を示す断面
図である。
【0008】陰極構体はニクロム等の合金よりなる陰極
スリーブ1を備え、この陰極スリーブ1の一端には少量
の還元性物質が添加されたニッケルより形成された基体
金属2が固着されている。基体金属2の表面には酸化バ
リウム(BaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸
化カルシウム(CaO)などよりなる電子放射性物質3
が塗布形成されている。この基体金属2と電子放射性物
質3とで陰極基体4が構成される。陰極基体4として
は、前記構成の他に、多孔質陰極基体に酸化バリウム
(BaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化アル
ミニウム(Al2 3 )などの電子放射性物質を含浸し
た、いわゆる含浸型陰極基体も使用されている。
【0009】陰極スリーブ1は、低熱膨張合金であるア
ンバー(Fe−Ni系合金)により形成されたストラッ
プ5を介して、コバール(Fe−Ni−Co系合金)に
より形成されたカソードホルダ6に取付けられている。
カソードホルダ6は、陰極スリーブ1からの熱を遮蔽反
射するためのNi系耐熱合金材により形成されたリフレ
クター7を介して陰極スリーブ1を包囲している。カソ
ードホルダー6は、ステンレス系合金により形成された
カソードサポートシリンダ8を介してステンレス系合金
からなるカソードサポートストラップ9に取付けられて
いる。
【0010】陰極スリーブ1内にはカソードを加熱する
ためのヒータ10が設けられている。このヒータ10は
Re−W合金線を螺旋状に巻回し、表面に絶縁物である
酸化アルミニウム(Al23 )をコーティングして製
作したもので、電子銃の長手方向に沿う長いものであ
る。ヒータ10は陰極スリーブ1の内部にその他端から
挿入され、端部が陰極スリーブ1から突出している。ヒ
ータ10の端部はステンレス系合金により形成されたヒ
ータタブ11を介してステンレス系合金により形成され
たヒータタブストラップ12に取付けられている。これ
ら陰極基体4および各部品をもって陰極構体を構成が構
成されている。
【0011】電子流を制御するためのステンレス系合金
で形成され第1グリッド13が陰極基体4に対向して設
けられている。陰極構体に第1グリッド13などを加え
ることにより電子銃構体15が構成される。ビードガラ
ス14はこの電子銃構体を包囲するものであり、カソー
ドサポートストラップ9、ヒータタブストラップ12お
よび第1グリッド13が固定されている。
【0012】なお、陰極基体としては、上述した酸化物
陰極を採用したものに代わって、基体金属に電子放射性
物質を含浸した含浸形陰極を採用したものも提供されて
いる。陰極基体では、電子放射面にイリジュウム(I
r)薄膜層などを形成することもある。
【0013】上述した構成の電子銃構体の寸法関係の一
例について説明する。陰極スリーブ1の長さは4mm、
基体金属2の長さ1.1mm、電子放射性物質3の表面
からカソードホルダー6の下端までの長さは9.0m
m、第1グリッド13の上端から電子放射性物質3の表
面間での距離は0.5mm、カソードホルダー6の下端
からヒータタブ11の下端までの距離は5mmである。
従って、従来の電子銃構体の全長の一例は14.5mm
であった。
【0014】一般的な陰極構体において、ヒータ10と
しては、高融点金属のワイヤをコイリングし、円筒状や
螺旋状等に加工したものを使用している。例えば、受像
管用陰極構体のヒータは直径50μm程度のタングステ
ンワイヤを使用しているが、仕様温度に加熱するために
は100〜l30mm程度の長さを必要とする。このワ
イヤを絶縁を保ちヒータ形状にした場合におけるヒータ
寸法は直径l.0mm、全長7mm程度となる。この長
さは陰極構体の全長の90%以上に相当しており、陰極
の小型化、薄型化にはヒータの小型化、薄型化が必要と
される。しかしながら、従来の陰極構体にヒータを使用
した場合には現状ヒータが限界の状態である。
【0015】上述した陰極構体において、陰極基体4は
いわゆる酸化物陰極であり、その動作温度は830℃で
ある。この動作温度に設定するためのヒータ電力は0.
35Wであった。また、陰極構体に電力を投入した後に
画像が安定に動作するまでに要する時間は10秒であっ
た。
【0016】陰極構体の速動化つまり急速加熱に関して
は、ヒータから陰極基体への熱伝導に支配されている。
ヒータから陰極構体のみに直接熱伝導することが理想的
である。
【0017】陰極構体における陰極基体は2つの熱移動
経路を介して加熱される。1つはヒータの輻射熱によ
り、直接陰極を加熱する経路である。もう1つはヒータ
の輻射熱により加熱された支持筒が構体内の熱拡散によ
り陰極基体を加熱する経路である。陰極基体の安定な高
温状態が得られる時間は後者の熱伝導が支配的であり、
昇温速度を遅くする原因になっている。
【0018】しかし、前記構成の陰極構体では、スリー
ブへの熱伝導を避ける事は不可能である。そのために陰
極の急速加熱のーつの方法として、陰極基体やスリーブ
のロウマス化が採用されているが、陰極自体の熱変形な
どの問題があり、その限界がある。現状の進行波管では
ヒータ電力投入後、陰極基体が900〜1050゜Cb
の輝度温度に到達し、安定な管球動作が得られるまでに
3分以上の時間を要している。
【0019】このような従来の電子管は、薄型の表示装
置に用いる上で次に述べる問題がある。
【0020】すなわち、電子銃構体の全長が長すぎる。
薄型の表示装置に用いる電子管の全長は130mm以内
が要望されている。このような要望に対して従来の電子
銃構体における第1グリッドからヒータタブ下端までの
長さ14.5mmは、長すぎるものである。
【0021】前述した薄型の表示装置に用いる電子管で
は複数の電子銃構体が用いられる。例えば40インチ管
の場合には24個の電子銃構体が使用される。このた
め、電子管全体では、1個当りの電子銃構体(陰極構
体)のヒータ電力×電子銃構体の数の総ヒータ電力を必
要とする。このため、電子管全体における総ヒータ電力
をできるだけ小さく抑える必要がある。
【0022】ところが、従来の電子銃構体における陰極
構体に要するヒータ電力はまだ充分小さいとはいえず、
従来の電子銃構体を複数個用いると電子管全体における
総ヒータ電力が高くなる。例えば、従来の電子銃構体を
用いた場合に、総ヒータ電力は0.35W×24個=
8.4Wとなり、電子管の省電力化を図る上で問題であ
る。
【0023】また、複数の電子銃構体を備えた電子管に
おいては、個々の電子銃構体の陰極構体における速動性
にばらつきがあると電力投入後の表示装置の全体画像に
乱れが生じる。従って、この画像の乱れを防ぐために
は、電子銃構体における速動性を向上させる必要があ
る。
【0024】しかし、従来の電子銃構体の場合には画像
が安定するまでに10秒も必要であり、この時間は長す
ぎて良好な速動性を備えているとはいえない。
【0025】このように従来の電子管における陰極構体
では、さらなる短縮化、省電力化および速動化は困難で
あり、新たな構造の陰極構体の開発が要望されている。
このような問題を解決する陰極構体の一つの例が米国特
許5015908に示されている。
【0026】この米国特許に示される陰極構体で使用さ
れたヒータユニットは、異方性熱分解ボロンナイトライ
ド(異方性熱分解窒化ほう素:APBN)からなる基板
に、異方性熱分解グラファイト(異方性熱分解黒鉛:A
PG)のヒータパターンからなる発熱体を形成したもの
であり、その厚さは1mm程度と非常に薄い。また、こ
のヒータユニットは、絶縁基板の裏面を直接陰極基体に
接続することが可能である。つまり、小型化、薄型化お
よび熱容量低減化による速動化が可能である。
【0027】しかし、上記陰極構体は、クライストロン
や進行波管のような構造的に大型の電子管に適したもの
であり、受像管のように小型且つ小電力で、しかも大量
生産が行われる電子管に対しては特別の配慮がなされて
いない。
【0028】また、従来の陰極構体では、陰極基体とヒ
ータまたはヒータ基板との熱膨張係数の差が大きく、非
常に接合性が悪い。このため、陰極基体と絶縁基板との
接合はタングステン薄膜層およびタングステンとニッケ
ルの粉末体を介して焼結による行っており、製造工程が
非常に複雑である。従って、従来の陰極構体では量産性
及び生産コストの点で問題が残っている。
【0029】つまり、ヒータユニットにおける発熱体の
固定は、絶縁基板の最外面にタングステンをコートし、
この面と陰極裏面およびスリーブとの間にニッケルおよ
びタングステンの粉末体を介して1300℃で焼結する
ことにより行われている。しかし、このような焼結によ
る接合では強度が非常に弱く、陰極の動作中に剥離する
恐れがある。また、陰極構体の動作により、焼結が進行
しヒータ特性が変化する可能性が大きい。
【0030】さらに、ヒータユニットからの電極引き出
しにも課題を残している。ヒータの電極は、ねじ止めや
プレスなどの機械的な接合によって発熱体に接続されて
おり、加熱時の熱膨張などで接続不良を生じる恐れがあ
る。また、受像管などで使用されている陰極基体のよう
に直径が1mm程度の小型の陰極基体の場合、ねじ止め
部の熱容量によるヒータ電力の増加などの問題が生じ
る。
【0031】また、カラー受像管の場合、1個の電子銃
構体当り3個の陰極構体を使用しており、第1グリッド
とそれぞれの陰極構体の間隔が一定となるようにエアー
マイクロなどでその間隙を測定しながら陰極構体を固定
している。この時、陰極構体の固定位置にばらつきがあ
ると、受像機のスイッチを投入(電子管に電力を投入)
した場合に、それぞれの電子銃構体から放出される電子
にばらつきが生じ完全な色を再現することができない。
したがって、第1グリッドと陰極構体との間隙の高精度
化が必要である。
【0032】本発明は前記事情に基づいてなされたもの
で、その目的は、短縮化、省電力化および速動化を図っ
た陰極構体、並びに、これを備えた電子銃構体、電子銃
用グリッド、および電子管を提供することにある。
【0033】また、本発明の他の目的は、全長の短縮
化,省電力化,速動化および第1グリッドと陰極構体と
の間隙の高精度化を図った電子銃構体を提供することに
ある。
【0034】本発明の更に他の目的は、発熱体と電極端
子とを簡単且つ強固に接続できるヒータを提供すること
にある。
【0035】本発明の更に他の目的は、短縮化、省電力
化および速動化を図った陰極構体を容易に製造可能な陰
極構体の製造方法を提供することにある。
【0036】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明に係る陰極構体は、対向する一対の面を有
し熱伝導性を備えた絶縁基板と、この絶縁基板の一面に
設けられた陰極基体と、前記絶縁基板の他面に設けられ
前記陰極基体を加熱する発熱体と、導電層を介して前記
発熱体に接合された電極端子と、を具備することを特徴
とする。
【0037】この発明の構成によれば、絶縁基板と発熱
体とで構成されるヒータの長さを従来に比較して大幅に
短縮でき、またヒータ電力を低減するとともに速動性を
向上できるとともに、電極端子を強固に接合することが
可能となる。。
【0038】また、この発明によれば、陰極基体に対向
してグリッドを設け絶縁基板に接合することにより、短
縮化、省電力化および速動化を図った電子銃構体を得る
ことができる。
【0039】この発明に係る電子銃構体は、対向する一
対の面を有する熱伝導性の絶縁基板と、前記絶縁基板の
一面に設けられた陰極基体と、前記絶縁基板の他面に設
けられ前記陰極基体を加熱する発熱体と、前記陰極基体
に対向して設けられた第1グリッドおよび第2グリッド
と、を有し、前記第1グリッドおよび第2グリッドは、
電気的絶縁物よりなるスペーサを介して積層されてグリ
ッドユニットを構成している。そして、グリッドユニッ
トの第1グリッドは、前記絶縁基板に固着されている。
【0040】この発明の構成によれば、従来に比較して
全長の大幅な短縮化,ヒータ電力の低減化、速動化さら
には第1グリッドと陰極構体との間隙の高精度化を図っ
た電子銃構体を得ることができる。
【0041】本発明の電子銃用グリッドユニットは、第
1グリッドと、電気的な絶縁層を挟んで前記第1グリッ
ドと一体的に積層された第2グリッドと、を備えたこと
を特徴としている。
【0042】この発明によれば、電子銃構体の短縮化を
図ることが可能な電子銃用グリッドユニットを得ること
ができる。
【0043】本発明のヒータは、窒化ほう素からなる絶
縁基板と、この絶縁基板に設けられた黒鉛からなる発熱
体と、この発熱体に導電層を介して接合された電極端子
と、を具備していることから、発熱体と電極端子とを簡
単且つ強固に接続でき、特に陰極構体に適したヒータを
得ることができる。
【0044】更に、この発明によれば、陰極構体とグリ
ッドユニットとをスペーサを介して互いに接合し、この
スペーサによって陰極構体の位置決めを行う構成として
いる。これにより、薄型化、低電力化、速動化、および
陰極構体とグリッドとの間の距離の高精度化、固着強度
の向上が可能な電子銃構体、および電子管を提供するこ
とができる。
【0045】また、本発明によれば、前述した構成の陰
極構体を並列して設けることにより、短縮化、省電力化
および速動化を図った陰極構体を有する電子銃構体を構
成し、カラー受像管に適してた電子管、および薄型の表
示装置に適した電子管を得ることができる。
【0046】更に、本発明の陰極構体の製造方法は、熱
伝導性を有する絶縁基板の一方の表面に、黒鉛層を形成
し、前記黒鉛層をパターニングして所定パターンの発熱
体を形成し、前記絶縁基板の他方の面に導電層を介して
陰極基体を接合し、前記発熱体の電極に導電層を介して
電極端子を固着することを特徴としている。
【0047】また、この発明の陰極構体の製造方法は、
窒化ほう素により所定厚の絶縁基板を形成し、前記絶縁
基板の一方の表面に、黒鉛層を形成し、前記黒鉛層をパ
ターニングして所定パターンの発熱体を複数形成し、前
記絶縁基板の他方の面に導電層を介して複数の陰極基体
を接合し、前記発熱体および陰極基体の設けられた絶縁
基板を複数に分割して複数の陰極構体を形成し、前記各
陰極構体の発熱体の電極に導電層を介して電極端子を固
着することを特徴としている。
【0048】
【発明の実施の形態】以下図面を参照しながら、この発
明の第1の実施の形態に係る電子管について詳細に説明
する。
【0049】図1に示すように、電子管35は、ガラス
からなるフェースパネル200およびフェースパネルに
接合されたファンネル202を有する真空外囲器204
を備えている。フェースパネル200は、ほぼ矩形状の
有効部203と有効部の周縁に立設されたスカート部2
05とを有している。ファンネル202は、一端部に円
筒状のネック206を有し、他端部にフェースパネル2
00のスカート部205の外形に対応したほぼ矩形状の
径大なコーン部207を有している。そして、ファンネ
ル202は全体として漏斗状に形成され、そのコーン部
207がフェースパネルに接合されている。
【0050】フェースパネル200の有効部203の内
面には、青、緑、赤に発光する3色の蛍光体層からなる
蛍光体スクリーン210が形成されている。また、外囲
器204内には、蛍光体スクリーン210と対向してほ
ぼ矩形状のシャドウマスク212が配置されている。更
に、ファンネル202のネック206内には、電子銃2
14が配設されている。
【0051】電子銃214は、後述するように、電子ビ
ームを放出する陰極構体27、放出された電子ビームを
制御、収束、加速する複数のグリッド218等を備えて
構成されている。ネック206の外周には、電子ビーム
を収束するコンバージェンスマグネット217が装着さ
れている。
【0052】ファンネル202のネック206とコーン
部207との境界部付近の外側には、偏向ヨーク220
が装着されている。偏向ヨーク220は、合成樹脂によ
り形成されラッパ状のセパレータ221と、このセパレ
ータの内面側に上下対称に配設されたー対のサドル形水
平偏向コイル222と、セパレータの外面側に上下対称
に配設されたトロイダル形垂直偏向コイル224と、を
備えている。
【0053】そして、電子銃214から放出された電子
ビームは、偏向ヨーク220の発生する磁界により水平
および垂直方向に偏向され、シャドウマスク212によ
り色選別された後、蛍光体スクリーン210に入射し所
望の画像を表示する。
【0054】次に、電子ビームを放出する電子銃214
について詳細に説明する。図2ないし図5に示すよう
に、電子銃214の一部を構成する陰極構体27は、対
向する一対の面を有するほぼ長方形の絶縁基板21と、
絶縁基板の一方の面上に設けられた陰極基体24と、絶
縁基板の他方の面上に設けられた発熱体25と、を備え
て構成されている。
【0055】絶縁基板21は、熱伝導性を有する材料、
例えば、窒化ほう素、好ましくは、異方性熱分解ボロン
ナイトライド(異方性熱分解窒化ほう素、以下APBN
と称する)により形成されている。この絶縁基板21の
長さは4mm、幅は1.2mm、厚さは0.25mmで
ある。絶縁基板21の一方の面(図示上面)の中央部に
は円形をなす基体金属22が形成されており、これは還
元性金属であるマグネシウム(Mg)、けい素(Si)
が微量添加されたニッケル(Ni)により形成されてい
る。この基体金属22の厚さは0.05mm、直径は
0.9mmである。基体金属22は陰極へ電圧を印加す
るための舌片状の電極リード22aを一体に備え、この
電極端子は、基体金属22の周縁から絶縁基板21の他
方の面を越えて延出している。また、電極リード22a
はカソードストラップ33に接続されている。
【0056】基体金属22は、チタンからなり導電層と
して機能する金属層22bを介して絶縁基板21上に接
合されている。そして、電極リード22aは、この金属
層22bから延出して形成されていてもよい。
【0057】基体金属22の表面には電子放射性物質2
3が円形にコーティングして形成してあり、これは酸化
バリウム(BaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、
あるいは酸化カルシウム(MgO)などにより形成sれ
ている。電子放射性物質23のコーティング部の直径は
0.75mm、厚さは0.05mmである。これら基体
金属22および電子放射性物質23によりいわゆる酸化
物陰極型の陰極基体24が構成されている。
【0058】図4および図5に示すように、絶縁基板2
1の他方の面には発熱体25が形成されている。絶縁基
板21と協同してヒータを構成した発熱体25は、絶縁
基板21の長手方向にジグザグに延びるパターンをな
し、黒鉛、好ましく、異方性熱分解グラファイト(異方
性熱分解黒鉛、以下APGと称する)により形成されて
いる。発熱体25の長手方向両端部の表面には、チタン
(Ti)からなる導電層26aが形成されている。そし
て、これらの導電層26a上には一対の電極端子26が
それぞれ接合され、絶縁基板21に対して垂直に延出し
ている。電極端子26はニッケル(Ni)により細長い
板状に形成されていとともに、それぞれステンレス鋼で
形成されたヒータストラップ28を介してビードガラス
29に取付けられている。
【0059】絶縁基板21、陰極基体24、発熱体25
および電極端子26により陰極構体27が構成されてい
る。この陰極構体27は図示するように電子放射性物質
23の表面から電極端子26の先端までの長さが2.0
mmであり、従来の陰極構体27の長さに比較して大幅
に短く形成されている。
【0060】図2に示すように、陰極構体27の陰極基
体24と対向して電子銃の第1グリッド30が配設され
ている。ステンレス鋼により形成された第1グリッド3
0は絶縁基板21の陰極基体側表面と平行に配設され、
その両端部がビードガラス29(一方のみ図示する)に
固定されている。
【0061】絶縁基板21の陰極基体形成部面の両端部
と第1グリッド30との間には、アルミナにより形成さ
れたスペーサ31が挟持され、第1グリッド30と電子
放射性物質23との距離を所望の値に保持している。ま
た、第1グリッド30にはステンレス鋼で形成されたキ
ャップ状の反射体32が固定され、陰極構体27を覆っ
ている。反射体32の周壁部32aは、第1グリッド3
0との間で絶縁基板21およびスペーサ31を挟持する
ことにより陰極構体27を第1グリッド30に連結して
いるとともに、反射体32の底壁32bは、絶縁基板2
1の発熱体形成面に対して空間部を置いて平行に対向し
ている。そして、反射体32は、陰極構体27を第1グ
リッド30に固定する役目と発熱体25からの熱を陰極
構体27側へ反射する役目を有している。
【0062】陰極構体27に第1グリッド30および反
射体32を加えることにより、電子銃214の一部を構
成する電子銃構体34が形成されている。第1グリッド
30の厚さを0.5mmとすると、電子銃構体34の全
長は、陰極構体27の長さ2.0mmに第1グリッド3
0の厚さ0.5mmを加えて2.5mmとなる。そし
て、電子銃構体34は、筒形をなすビードガラス29お
よび電子銃214の他の構成部材とともにファンネル2
02のネック206内部に収納されている。
【0063】次に、以上のように構成された電子管の製
造方法、特に、陰極構体27の製造方法について説明す
る。まず、例えば化学気相成長法(CVD法)によりA
PBNからなる厚さ0.25mmの絶縁基板21を製作
する。
【0064】続いて、絶縁基板21の一方の表面に発熱
体25を形成する。この場合、まず、絶縁基板21の表
面にアルミニウム(Al)層を真空蒸着法により蒸着形
成した後、このAl層にレジストを塗布する。そして、
レジストを露光、現像およびエッチングすることによ
り、発熱体25のパターンとは逆のパターンを形成す
る。次に、エッチングにより発熱体パターンに相当する
部分のAl層を除去し、除去された部分(発熱体パター
ン部分)にCVD法でAPGからなる発熱体25を形成
する。その後、残りのAl層をエッチング法で除去す
る。以上の工程により絶縁基板21の表面に所定のパタ
ーンを有する発熱体25が形成される。
【0065】次に、絶縁基板21表面の内、基体金属2
2を接合する部分、および、発熱体25の内、電極端子
26を接合する部分、つまり、発熱体25の両端部表面
に、それぞれチタン(Ti)粉末を塗布し、その後、絶
縁基板21を真空中で高温熱処理することによりチタン
の金属層22b、26aをそれぞれ形成する。続いて、
絶縁基板21において金属層22b上に基体金属22
を、また、導電層26a上に電極端子26を、それぞれ
レーザ溶接法によって取付け固定する。次に、絶縁基板
21に固定された基体金属22の表面に電子放射性物質
23をスプレー法などによりコーティングして陰極基体
24を形成する。以上の構成により陰極構体27が製造
される。
【0066】上述した陰極構体27の製造方法は、1個
の陰極基体24につき1枚の絶縁基板21を用いる方法
であった。しかしながら、量産性の向上および低コスト
化を図るため、大判の絶縁基板に複数組の発熱体パター
ンおよびTi金属層を形成した後、この絶縁基板を複数
の絶縁基板に分割して個々の部材とする、いわゆる多数
個取りの方法を採用することもできる。
【0067】次に、電子銃構体34の組立方法について
説明する。まず、絶縁基板21の表面にスペーサ31を
載置する。続いて、陰極構体27に反射体32を装着
し、反射体32の側壁32aの両端部を第1グリッド3
0に溶接して固定する。次に、バーナーで半溶融状態に
したビードガラス29に第1グリッド30およびヒータ
ストラップ28を埋め込んだ後、各電極端子26をヒー
タトラップ28に溶接する。同様に、基体金属22の電
極リード22aをカソードストラップ32に溶接によっ
て接続固定する。このようにして電子銃構体34および
電子管35を製作する。
【0068】以上のように構成された電子管35によれ
ば、陰極構体27は、対向する一対の面を有する熱伝導
性を有する絶縁基板21と、この絶縁基板21の一面に
設けられた陰極基体24と、絶縁基板21の他面に設け
られ陰極基体を加熱する発熱体25とを備えている。そ
のため、絶縁基板21と発熱体25とで構成されるヒー
タの長さを従来に比較して大幅に短縮して陰極構体27
の全長を大幅に短縮できる。
【0069】さらに説明を加える。まず、この陰極構体
27を用いることにより電子銃構体34の全長を2.5
mmとして、従来の電子銃構体の全長14.5mmの1
7%に相当する長さまで縮小でき極端に小型化、薄肉化
できた。
【0070】また、上記構成の陰極構体27を用いるこ
とにより陰極構体の低消費電力化を図ることができる。
本実施の形態に係る陰極構体27および従来の陰極構体
をそれぞれ電子銃に組込み、カソード温度を830℃に
するために必要なヒータ電力を比較した。その結果、従
来の陰極構体の場合は、0.35Wであったのに対し、
本実施の形態に係る陰極構体27の場合は、0.15W
で可能であった。従って、陰極構体27によれば、消費
電力を従来の電力に比較して約43%に低減できる。
【0071】更に、上記構成の陰極構体27を用いるこ
とにより陰極構体の速動化を図ることができる。陰極構
体27および従来の陰極構体を夫々電子銃に組込みヒー
タ電力投入後から画像が安定する安定温度(830℃)
に達するまでの時間を比較した。その結果、従来の陰極
構体の場合は10秒を要したのに対し、本実施の形態に
係る陰極構体27の場合は2秒で安定時間に達すること
ができた。
【0072】すなわち、従来の陰極構体の場合、ヒータ
で発生した熱は、主に放射の形で陰極スリーブおよび基
体金属へ伝達される。その後、陰極スリーブおよび基体
金属の熱容量の大きさに依存して温度が上昇する。これ
に対して、本実施の形態に係る陰極構体27の場合、発
熱体25からの熱はAPBNからなる絶縁基板21を熱
伝導の形で伝達する。APBNからなる絶縁基板21は
高い熱伝導率を有し陰極基体24を効率良く加熱するこ
とができ、このために2秒という速動性が得られたと考
えられる。
【0073】また、本実施の形態に係る陰極構体27は
以下の作用効果を得ることができる。すなわち、従来の
陰極構体の場合にヒータ電圧、電流は6.3V、56m
Aであるのに対して、陰極構体27の場合のヒータ電圧
・電流は3V、5mAであった。絶対値は異なるが、両
者ともに受像機のヒータ回路に適合できる電圧・電流で
ある。受像機のヒータ電圧として問題となる電圧は0.
5V以下である。この程度の電圧になるとヒータ回路に
使用する電線の抵抗が無視できなくなり、このために適
正ヒータ電圧の設定が困難となる。
【0074】陰極構体27に類似した構体として、タン
グステン薄膜をスパッタリング法でコーティングした陰
極構体が考えられるが、この場合、ヒータ電圧が0.2
V程度と非常に低くなり実用化に至っていない。本実施
の形態の陰極構体27を用いて高いヒータ電圧を達成で
きた理由は、発熱体材料であるAPGが高い比抵抗を持
っているためである。
【0075】また、従来の陰極構体は、受像機等に使用
され数万時間以上の寿命を有していることが判ってい
る。本陰極構体27の動作中の安定性については、陰極
構体27を有する電子銃214を供試管に組み込んで強
制寿命試験を行った。ヒータ電圧を135%とし、30
00時間の寿命試験を行った。比較例として、従来の陰
極構体およびタングステン薄膜をスパッタリング法でコ
ーティングした陰極構体も同時比較した。測定は初期に
設定したヒータ電圧を一定とし、寿命試験中のヒータ電
流の変化を追跡した。3000時間後の変化率は、従来
の陰極構体が2.0%、本陰極構体27が1.8%であ
った。タングステン薄膜スパッタリング陰極は寿命試験
500時間でヒータ断線した。この結果により本実施の
形態に係る陰極構体27は従来の陰極構体とほぼ同等の
寿命特性を有するものと推定できる。
【0076】上述した第1の実施の形態に係る電子管2
5によれば、陰極基体24は、導電層として機能する金
属層22bを介しで絶縁基板21に固着されているとと
もに、電極端子26は、導電層26aを介して発熱体2
5の端部に直接固着されている。そのため、陰極基体2
4および電極端子26を絶縁基板21および発熱体25
に確実に固着することができる。これらの金属層および
導電層としては、本実施の形態に使用したTiの他に、
Ni、Mo、W、Nb、Taまたはそれらを含む合金あ
るいは化合物から選ばれるいずれか1種の層を使用する
ことが可能である。
【0077】また、陰極基体と絶縁基板とを接合する層
としては、Tiの他に、Mo、W、Nb、Taまたはそ
れらを含む合金あるいは化合物から選ばれるいずれか1
種の層、あるいは、陰極基体を黒鉛層を介して絶縁基板
に接合する場合の層は、Mo、W、Nb、Taまたはそ
れらを含む合金あるいは化合物から選ばれるいずれか1
種の層を使用することが可能である。
【0078】なお、導電層26aは、APGからなる発
熱体25上に塗布された金属粉末を加熱処理することに
より形成されたAPGと金属粉末との反応層で構成され
ていてもよい。また、導電層の形成方法としては、本実
施の形態のように粉末を塗布形成後高温加熱して形成す
るような各種厚膜形成法、あるいは蒸着法,スパッタリ
ング法などの各種薄膜形成法を採用することが可能であ
る。
【0079】上記構成の陰極構体27によれば、絶縁基
板21を窒化ほう素により形成し、発熱体25を黒鉛に
より形成しているので、製造性が良好で良好な品質の絶
縁基板と発熱体からなるヒータを得ることができる。
【0080】また、陰極構体27における陰極基体24
は、絶縁基板21の表面に基体金属22を形成し、この
基体金属22の表面に電子放射性物質23を塗布した酸
化物陰極としているので、陰極構体27に酸化物陰極の
陰極基体24を有効に用いることができる。
【0081】陰極構体27によれば、発熱体25から発
する熱を反射する反射体の一例である反射体32が、絶
縁基板21に空間部を介して対向配置されている。その
ため、絶縁基板21と発熱体25とで構成されるヒータ
の長さを短縮させながら、発熱体25から発する輻射熱
を絶縁基板21へ向けて反射させて陰極基体24の加熱
に有効に利用することができる。その結果、ヒータ電力
の低減に寄与することができる。
【0082】更に、本実施の形態に係る電子銃構体34
は、上述した陰極構体27と、この陰極構体27の陰極
基体24に対向して設けられたグリッド30とを組み合
わせて構成されていることから、短縮化、省電力化およ
び速動化を図った電子銃構体を得ることができ、電子銃
214全体の小型化、省電力化および速動化を図ること
ができる。同様に、上述した電子銃構体34を用いて電
子銃214および電子管35を構成することにより、フ
ァンネル202のネック206を従来に比較して大幅に
短くすることが可能となり、薄型の表示装置に適した電
子管を得ることができる。
【0083】図6および図7は、この発明の第2の実施
の形態に係る電子管の陰極構体27を示している。この
陰極構体27は、第1の実施の形態に係る陰極構体27
に比較して、電気的絶縁層36および反射層37を設け
た以外は同一であり、同一の部分には同一の参照符号を
付してその詳細な説明を省略する。
【0084】電気的絶縁層36は、絶縁基板21におけ
る発熱体形成面において発熱体25を覆って形成したも
ので、例えば異方性熱分解ボロンナイトライド(異方性
熱分解窒化ほう素、APBN)により形成されている。
反射層37は発熱体25からの熱を反射するためのもの
で、例えば異方性熱分解グラファイト(異方性熱分解黒
鉛、APG)により電気的絶縁層36の表面に重ねて形
成されている。絶縁層36は反射層37および外部に対
して発熱体25を保護するとともに電気的絶縁を図るた
めである。
【0085】上記構成の陰極構体27によれば、反射層
37が発熱体25からの熱を一番近い距離で反射して絶
縁基板21を介して陰極基体24を加熱するため、第1
の実施の形態に係る陰極構体27よりもヒータ電力をさ
らに例えば15%低減することができた。
【0086】なお、絶縁層36を形成する材料はAPB
Nに限定されず、電気的絶縁物であり且つ耐熱温度が1
100℃以上である材料であれば良い。また、反射層3
7は熱を反射することが目的であるので、APGに限ら
ず金属膜で形成しても良い。この実施の形態では、絶縁
層36と反射層37とを1組の組合せとしているが、こ
れに限定されずに複数組重ねて形成すると、さらに反射
効率が向上して一層省ヒータ電力設計を図ることができ
る。
【0087】前述した第1および第2の実施の形態で
は、陰極基体は基体金属22に電子放射性物質を塗布し
た酸化物型陰極を用いている。しかし、陰極基体として
は、図8および図9に示すように多孔質タングステンな
どの多孔質陰極基体に酸化バリウム(Ba0)、酸化カ
ルシウム(Ca0)、酸化アルミニウム(Al23
などの電子放射性物質を含浸したいわゆる含浸型陰極の
陰極基体24Aを用いることができる。この含浸型陰極
の陰極基体24Aは、基体金属22に接合して取付けら
れているが、含浸型陰極は、図2ないし図6で説明した
ような基体金属上に電子放射物質を形成した、いわゆる
酸化物型陰極と異なり、電子放射物質は多孔質陰極基体
に含浸されている。そのため、酸化物型陰極のような陰
極基体に必要な基体金属は必ずしも必要としない。従っ
て、含浸型陰極の陰極基体24Aを用いる場合、基体金
属22に代わり、電極リード22aからの電流を通す役
目を有する導電層を形成すれば良く、この導電層として
は、動作温度の点から例えばTa、Re−Mo合金、M
o、Nb材などが使用される。
【0088】次に、本願発明の第3の実施の形態に係る
電子管の電子銃構体ついて図10ないし図14(b)を
参照して説明する。第3の実施の形態においては、絶縁
基板の形状、および、ビードガラス29に対する陰極構
体27の取付け構造が前述した第1の実施の形態と相違
している。他の構成は第1の実施の形態と実質的に同一
であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳
細な説明を省略する。
【0089】図10ないし図12に示すように、APB
Nからなる絶縁基板21の一方の表面(陰極基体形成
面)には、例えば長手方向の両端部に位置して同じ高さ
の凸部21aが形成されている。各凸部21aは陰極基
体24と第1グリッド30との間の間隔を規定するスペ
ーサとして機能する。また、絶縁基板21の他方の表面
(発熱体形成面)には各凸部21aと反対側の位置に凹
部21bが形成されている。陰極基体24はチタンから
なる金属層22bを介して絶縁基板21の上面中央部に
設けられ凸部21a間に位置している。絶縁基板21の
長さは4mm、幅は1.2mm、厚さは0.25mmで
ある。
【0090】なお、凹部21bは、任意に設定されるも
のであり、本発明においては、必ずしも必要とされるも
のではない。
【0091】一方、ステンレス鋼により形成された第1
グリッド30は、絶縁基板21の凸部21aにチタンか
らなる金属層31bを介して固着されている。金属層3
1bは第1グリッド30を凸部21aに確実に固着させ
るために形成したメタライズ層の一例である。
【0092】陰極構体27を覆うように設けられたステ
ンレス鋼からなる反射体32は、その側壁32aの端部
が第1グリッド30に固定されているとともに、ビード
ガラス29に取り付けられている。これにより、反射体
32は、陰極構体27および第1グリッド30を固定支
持しているとともに、発熱体25からの熱を絶縁基板2
1側へ反射する役目をなしている。
【0093】陰極構体27に第1グリッド30および反
射体32を加えることによって電子銃構体34が構成さ
れている。第1グリッド30の厚さを0.5mmとする
と、電子銃構体34の全長は陰極構体27の長さ2.0
mmと第1グリッド30の厚さ0.5mmとを加えて
2.5mmとなる。
【0094】次に上記のように構成された電子銃構体3
4の製造方法について説明する。まず、図13(a)に
示すように、化学気相成長法(CVD法)により厚さ
0.25mmのAPBNからなる絶縁基板21を製作す
る。APBNを気相成長させる基体には一般的に炭素が
用いられている。また、絶縁基板21は平坦でなく一方
の面に凸部21a、他方の面に凹部21bが夫々形成さ
れる。
【0095】続いて、絶縁基板21の他方の面に発熱体
25を形成する。先ず、絶縁基板21の面にアルミニウ
ム(Al)を真空蒸着法で蒸着する。絶縁基板21には
任意に設定される凹部21bを形成しているが、蒸着に
際してはこの部分にも均一に蒸着されるので問題はな
い。次に、このAl層表面にレジストを塗布した後、レ
ジストを露光、現像およびエッチングすることにより、
発熱体のパターンと丁度逆のパターンを形成する。そし
て、エッチングにより、発熱体パターンに相当する部分
のAlを除去し、除去された部分(発熱体パ夕一ン部
分)にCVD法でAPG層を形成する。その後、残りの
Alをエッチング法で除去する。これにより図13
(b)に示すように、絶縁基板21の他方の面に所定の
パターンを有する発熱体25を形成する。
【0096】次に、図13(c)に示すように絶縁基板
21の一方の面および凸部21aにチタンからなる金属
層22b、31bを蒸着法により形成する。この場合、
絶縁基板21の全面にレジストを塗布し、Tiを蒸着す
る箇所は発熱体25の製造と同様に露光、現像およびエ
ッチング処理によりのAPBNからなる絶縁基板21の
表面を出しておく。同時に、APBNの凸部21aのレ
ジストも除去しておく。そこへTiを蒸着してレジスト
を除去することにより図13(c)に示すように金属層
22b、31bを形成する。その後、金属層22b、3
1bと絶縁基板21との密着性を良くするために、これ
らを真空中で1670℃にて加熱処理し金属層のメタラ
イジング処理をする。
【0097】続いて、図13(d)に示すように、前述
と同様な方法によりニッケルからなる基体金属22を金
属層22b上に蒸着形成する。基体金属22を形成した
後に基体金属22と金属層22bとの密着性を持たせる
ために、真空中でニッケルが拡散する程度の1300℃
で処理を行う。この際、図13(e)に示すような基体
金属22とは別体の電極リード22aを、基体金属22
に接触配置することより電極リード22aを形成する。
この場合、電極リード22aは別体である基体金属22
に接触するように先端部が屈曲されていることが好まし
い。
【0098】次に、図14(a)に示すように基体金属
22の表面に電子放射性物質23を例えばスブレー法を
用いてコーティングし陰極基体24を形成する。以上の
構成により、陰極構体27が製造される。
【0099】上述した陰極構体27の製造方法は、陰極
1個当たり1枚の絶縁基板を用いた方法である。さら
に、量産性向上と低コスト化を達成させる手段として、
絶縁基板を多数個取りとし、発熱体パターンの形成、T
iメタライズ層形成、基体金属の蒸着までを多数個取り
の基板で実施し、その後多数個取りの基板を分割するこ
とにより夫々の部材とする方法を採用することもでき
る。
【0100】続いて、電子銃構体34の組立方法てにつ
いて説明する。図14B(b)示すように絶縁基板21
の凸部21aに蒸着された金属層31bに所定形状の第
1グリット30を載せ、レーザ溶接によって金属層31
bと第1グリッドとを固着する。この時、第1グリッド
30と電子放射性物質23との間の距離は、電子銃から
設計通りの電子放射がなされるか、否かという重要なこ
となので、各凸部21aの高さは正確に出しておく必要
がある。なお、Ti層およびNi層を蒸着法の形成によ
り形成したが、この他の薄膜形成方法としては、スパッ
ター、イオンプレーティングなどの方法があり、これら
の方法でも問題なく採用することができる。
【0101】次に、陰極構体27に反射体32を装着
し、反射体32と第1グリット30とを溶接により固定
する。次にバーナーで半溶融状態にしたビードガラス2
9に反射体32およびヒータストラッブ28を埋め込
む。その後、電極端子26とヒータストラップ28とを
溶接する。同様に、電極リード22aとカソードストラ
ッブ533とを溶接により固着する。このようにして電
子銃構体34および電子管35を製作する。
【0102】以上のように構成された陰極構体27、電
子銃構体34、および電子管においても、前述した第1
の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。更
に、本実施の形態によれば、絶縁基板21の凸部21a
によってスペーサを一体的に形成することにより、電子
銃構体の組立性の向上を図ることができる。
【0103】図15は、この発明の第4の実施の形態に
係る電子管の陰極構体を示している。第4の実施の形態
によれば、前述した第3の実施の形態に係る陰極構体2
7に、電気的絶縁層36および反射層37を設けて構成
されている。
【0104】電気的絶縁層36は絶縁基板21の発熱体
形成面において発熱体25を覆って形成したもので、例
えばAPBNにより形成されている。反射層37は発熱
体25からの熱を反射するためのもので、例えばAPG
により形成してある。電気的絶縁層36は反射層37お
よび外部に対して発熱体25を保護するとともに電気的
絶縁を図るためである。
【0105】なお、電気的絶縁層36を形成する材料は
APBNに限定されず、電気的絶縁物であり且つ耐熱温
度が1100℃以上である材料であれば良い。また、反
射層37は熱を反射することが目的であるので、APG
に限らず金属膜で形成しても良い。この実施の形態で
は、電気的絶縁層36と反射層37とを1組の組合せと
しているが、これに限定されずに複数組重ねても形成す
ると、さらに反射効率が向上して一層省ヒータ電力設計
を図ることができる、前述した第1ないし第4の実施の
形態では、APBNからなる絶縁基板21に基体金属2
2を固定する方法として、チタン等の金属層を介在させ
る方法を採用しているが、これに限定されずに、さらに
鳩目によるかしめ法、クリップによる固定法などの他の
方法を単独あるいは複合で採用するようにしても良い。
また、発熱体と電極端子とを固定する方法についても、
金属層を介在させる方法を実施例として説明したが、鳩
目によるかしめ法、クリップによる固定法などの他の方
法を単独あるいは複合で採用するようにしても良い。
【0106】また、第3および第4の実施の形態でも、
陰極基体は基体金属に電子放射性物質を塗布した酸化物
型陰極を用いた例を示している。しかし、陰極基体とし
ては、多孔質タングステンなどの多孔質陰極基体に酸化
バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化
アルミニウム(Al23 )などの電子放射性物質を含
浸したいわゆる含浸型陰極の陰極基体を用いることがで
きる。この含浸型陰極の陰極基体は基体金属に接合して
取付けられているが、含浸型陰極の場合は、基体金属上
に電子放射物質を形成した、いわゆる酸化物型陰極と異
なり、電子放射物質は多孔質陰極基体に含浸されている
ため、酸化物型陰極のような陰極基体に必要な基体金属
は必ずしも必要としない。このような含浸型陰極の陰極
基体を用いる場合、基体金属に代わり、電極端子からの
電流を通す役目を有する導電層を形成すれば良く、この
導電層としては、動作温度の点から例えばTa、Re−
Mo合金、Mo、Nb材などが使用される。
【0107】図16は、この発明の第5の実施の形態に
係る電子管の陰極構体を示している。この陰極構体27
は、APBNにより形成され対向する一対の面を有する
絶縁基板21を備えている。絶縁基板21の一方の表面
には、APGにより発熱体25がジクザグパターンをも
って形成されている。発熱体25の両端部には、チタン
等の導電層26aを介して、タングステンワイヤなどか
らなる電極端子26が接合されている。
【0108】絶縁基板21の他方の表面には陰極基体2
4が形成されている。陰極基体24は、還元剤であるマ
グネシウム(Mg)、けい素(Si)が微量添加された
ニッケル(Ni)粉末からなり絶縁基板21の一表面全
体に形成された基体金属層22と、この基体金属層22
に塗布または浸透させた電子放射性物質23と、から形
成されている。本実施の形態では、基体金属層22はA
PG層38を介して絶縁基板21の表面上に形成されて
いる。これは基体金属層22と絶縁基板21との接合を
確実にするためと、陰極基体24の均熱効果を期待する
ためである。
【0109】上記のように構成された陰極構体27を製
造する方法について説明する。まず、絶縁基板21にA
PGからなる発熱体25とAPG層38とをそれぞれを
形成し、次いで、APG層の形成されている絶縁基板2
1にスクリーン印刷法で基体金属粉末層を形成する。こ
こで、スクリーン印刷には、250meshのスクリー
ンを使用した。また、スクリーン・ミクスチャは還元剤
を含むNi粉末とバインダを含む溶剤とを2300ポア
ズ程度の粘度になるように混合したものを用いた。基体
金属粉末層の形成は、スピンコート法、スプレー法およ
びプレス法でも可能である。
【0110】続いて、真空中または還元雰囲気中で11
50℃×60分の焼結を行い、基体金属層22の形成、
および基体金属層22と絶縁基板21との接合を同時に
行う。すなわち、絶縁基板21と発熱体25とでヒータ
を構成し、基体金属層22の形成、および基体金属層2
2とヒータとの接合を同時に行う。その後、スプレー法
や筆塗り法等により、電子放射性物質66と溶剤との混
合物を基体金属層22に塗布あるいは浸透させて陰極基
体24を形成する。
【0111】上記構成の第5の実施の形態によれば、基
体金属層22と絶縁基板21の間にAPG層38を設け
ているが、このAPG層38は任意に形成されるもので
あり、絶縁基板21に基体金属層22を直接形成しても
よい。すなわち、本実施の形態に係る陰極構体27は、
絶縁基板21上(任意にAPG層を含む)に、あらかじ
め製造された基体金属を接合するのではなく、直接、絶
縁基板上に基体金属粉末層を形成し、その後の焼結など
により基体金属層22の形成と、基体金属層の絶縁基板
への接合とを同時に行って構成したものである。
【0112】図17に示す第6の実施の形態によれば、
絶縁基板21の一方の表面には発熱体25が形成され、
他方の表面には電子放射性物質を含浸した多孔質タング
ステンまたは多孔質モリブデンからなる含浸型の陰極基
体24が形成されている。他の構成は、図16に示す第
5の実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の参
照符号を付して示している。
【0113】上記のように構成された陰極構体27は、
以下の方法によって製造される。まず、発熱体の形成さ
れていない絶縁基板21の一表面にスピンコート法によ
り厚さ50μmの多孔質陰極基体粉末層を形成する。こ
こで、コート・ミクスチャは直径3μmのタングステン
粒子とバインダを含む溶剤との混合物を用いた。
【0114】次に、真空中または還元雰囲気中で190
0℃×60分の焼結を行い、多孔質陰極基体24の形
成、および陰極基体と絶縁基板21との接合を同時に行
う。その後、電子放射物質を多孔質基体金属の空孔部に
含浸させて陰極基体24を形成する。
【0115】上記のように構成された第5および第6の
実施の形態によれば、発熱体25を形成した絶縁基板2
1に陰極基体の基体金属粉末層を直接形成し、焼結を行
うことにより、陰極基体の形成、および絶縁基板21と
陰極基体との接合を同時に行っている。そのため、陰極
構体の製造工程が簡略化され、陰極構体の生産性向上、
コストダウンを図ることが可能となる。また、陰極基体
が粉末焼結体であるために陰極基体と絶縁基板との間の
熱膨張差を緩和して充分な接合強度で両者を接合するこ
とができる。そして、陰極構体の小型化、軽量化および
速動化を同時に達成することができる。
【0116】第5および第6の実施の形態に係る陰極構
体と従来の一般的な陰極構体との特性を表1に比較して
示す。
【0117】
【表1】
【0118】表1は寸法及び重量の比較を示している。
この表から、本実施の形態に係る陰極構体は、寸法、重
量とも従来の一般的な陰極構体に比べ、小型化および軽
量化を達成できたことが確認できた。また、陰極基体の
形成とヒータの接合を同時に行うことにより、生産性の
向上とコストダウンを同時に達成できた。
【0119】図18のグラフは、第5の実施の形態の陰
極構体aおよび第6の実施の形態の陰極構体bの立ち上
がり特性と、従来の一般的な陰極構体cの立ち上がり特
性とを示している。また、図18において、縦軸は陰極
基体の輝度温度Tk(℃b)、横軸は陰極構体の立ち上
がりの時間Time(min)を表している。この図か
ら、従来の一般的な陰極構体cの立上がりでは1000
℃bに到達する時間が5分程度であったのに対し、一点
鎖線aで示される第5の実施の形態に係る陰極構体aの
立ち上がり時間は5秒程度、破線bで示される第6の実
施の形態に係る陰極構体の立ち上がり時間は10秒程度
であった。従って、第5および第6の実施の形態に係る
陰極構体では速動化が達成されていることが確認され
た。
【0120】次に、本発明の第7の実施の形態に係る電
子管の電子銃構体ついて図19を参照して説明する。本
実施の形態に係る電子銃構体34は、カラー電子管に適
合した電子銃構体として構成され、夫々三原色である赤
色、緑色および青色に対応して3組の陰極構体27aな
いし27bを備えている。各陰極構体の構成は、前述し
た第3の実施の形態における陰極構体とほぼ同一であ
り、同一の部分には同一の参照符号を付している。
【0121】絶縁基板21の一方の面には長手方向に間
隔を存して4個の凸部21aが並べて形成され、各凸部
21aに挟まれる部分には例えば酸化物型陰極をなす3
個の陰極基体24が設けられている。各陰極基体24に
おける基体金属22の電極リード22aは、それぞれカ
ソードトラップ23に接続されている。各凸部21aは
金属層31bを介して第1グリッド30に接合され、ス
ペーサとして機能しているとともに、隣り合う陰極基体
24の電子放射が互いに影響しあうことを阻止する効果
を有している。
【0122】絶縁基板21の他方の表面には共通の発熱
体25が形成され、発熱体の両端部には導電層26aを
介して電極端子26がそれぞれ接合されている。また、
発熱体25および3組の陰極構体27a、27b、27
cは共通の反射体32によって固定保持されている。
【0123】上記のように構成された実施の形態によれ
ば、前述した第3の実施の形態と同様の作用効果をそれ
ぞれ有する3組の陰極基体24とグリッド30とを組合
わせて電子銃構体34を構成することにより、小型で優
れた性能を有する電子銃構体、カラー電子管を得ること
ができる。
【0124】第8の実施の形態に係る陰極構体ついて図
20を参照して説明する。本実施の形態によれば、陰極
構体は、APBNからなる絶縁基板101と、絶縁基板
の一方の面にAPGにより形成された発熱体102およ
び一対の電極102aとを備えている。絶縁基板101
の面には発熱体102を覆ってAPBN層103を形成
してある。APBN層103の表面にはAPGコート層
104を介して、電子放射物質および還元剤を含むニッ
ケル系粉末からなる含浸形の陰極基体105が形成され
ている。APGコート層104は、APBN層103の
全面を覆っている。また、絶縁基板101の他方の面に
は少くともAPBN層103と同一の面積を有するAP
Gコート層106が形成してある。これらのAPGコー
ト層104、106は、発熱体102とAPBN層10
3との接合性を高めるためと、発熱体102の熱を均一
に分散して陰極基体105全体を均一に加熱する均熱効
果を期待するためである。
【0125】絶縁基板101の各電極102aにはタン
グステン(W)ワイヤなどからなる電極端子107が接
続されている。電極端子107は、ろう材である導電層
108を用いたろう付けにより電極102aに直接接合
されている。
【0126】そして、絶縁基板101、発熱体102、
APBN層103、電極端子107により、陰極構体の
ヒータ120が構成されている。ヒータ120は、発熱
体102に通電することにより陰極基体105を加熱す
る。
【0127】上述したヒータ120および陰極基体10
5を備えた陰極構体の製造方法について説明する。先
ず、ヒータ120への電極端子の取り付け方法を説明す
る。APG発熱体102の電極102aに端子として電
極端子107を構成するタングステンワイヤを配置し、
その接続部に金属粉末体をバインダー剤を含む溶剤で塗
布する。次に水素雰囲気中および真空中で炉内ろう付け
を行う。
【0128】ろう付けにおいて、導電層108となるろ
う材やろう付け条件は次のように検討した。ろう材はA
PGに対する塗れ性が良く、融点が1400℃以上であ
るニッケル(Ni)、チタン(Ti)、モリブデン(M
o)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル
(Ta)および一般的に電子管で使用されているルテニ
ウム/モリブデン(Ru/Mo)とルテニウム/モリブ
デン/ニッケル(Ru/Mo/Ni)の8種類を用い
た。
【0129】APGは一気圧の水素雰囲気中で1600
℃以上の熱処理により、水素と反応を起こしてガス化し
てしまうことが実験より確認されている。このため、処
理温度が1600℃以上の場合は真空中で処理を実施し
た。つまり、今回の検討ではニッケルのろう付けのみ水
素中で実施し、その他のろう材については真空中で実施
した。その結果を表2に示す。
【0130】
【表2】
【0131】この表2によればNi、Tiで良好なろう
付けが確認された。また、Mo、W、Nb、Taは接合
したが、高融点金属であるために焼結による接合にとど
まった。Ru/Mo、Ru/Mo/Niろう材は溶融し
たが、接合されなかった。この結果から炉内ろう付けに
用いるろう材としては、Ni、Tiが最適であることが
判った。実施の形態ではNiをろう材として用い、水素
雰囲気中で1475℃でろう付けを実施した。
【0132】次にヒータ120に陰極基体105を形成
する方法について説明する。電子放射物質と還元剤を含
むニッケル粉末とを有機系溶剤を用いて混合して材料を
得る。次いで、ヒータ120のAPBN層103の表面
に、前記材料をAPGコート層104を介してスクリー
ン印刷により1mmの厚さで塗布する。この場合の塗布
方法は、スピンコート、スプレー法等でも可能である。
その後、電子放射物質の熱分解工程を行い、還元剤を含
んだニッケル系粉末体を熱拡散によりAPGコート層1
04に付着させて陰極基体105を製作する。
【0133】上記構成の実施の形態によれば、陰極構体
のヒータ120は、窒化ほう素からなる絶縁基板101
と、この絶縁基板101に設けられた黒鉛からなる発熱
体102と、この発熱体102にろう付けにより接合さ
れた電極端子107とを具備することにより、発熱体1
02と電極端子107とを簡単且つ強固に接続でき、特
に陰極構体に適したヒータを得ることができる。
【0134】また、絶縁基板101に重合して陰極基体
105を接合固着しているので、陰極基体105に支持
筒が不要で構成が簡素である。
【0135】本発明の第9の実施の形態に係る陰極構体
ついて図21(a)、21(b)を参照して説明する。
【0136】本実施の形態では、電子放射物質が含浸さ
れた多孔質タングステンからなる含浸形の陰極基体10
5が用いられ、この陰極基体105はろう材である導電
層108を用いてAPBN層103に固着されている。
また、絶縁基板101の対向する縁部には一対の切欠1
01aが形成され、これらの切欠101a内には、発熱
体102の電極102aがそれぞれ形成されている。そ
して、各切欠101aには電極端子107が電極102
aと接して嵌合され、ろう付けにより接合固着されてい
る。
【0137】上記のように構成された陰極構体のヒータ
120によれば、電極端子107を絶縁基板101の切
欠101aに位置決め固定できるとともに、電極端子1
07と電極102aとの接合面積が大きくなり、両者の
接合強度が増大する。
【0138】次に、ヒータ120および陰極基体105
を備えた上述の陰極構体の製造方法について説明する。
【0139】電極端子107と電極102aとの接合
は、第8の実施の形態の場合と同じであるが、本実施の
形態では、導電層108としてTiろう材を使用してい
る。まず、APBN層103に陰極基体105基体金属
である多孔質タングステンをろう付けする。この場合の
ろう材である金属やろう付け条件は次のように検討し
た。ろう材は窒化ほう素に対してぬれ性が良く、融点が
1400℃以上であるNi、Ti、Mo、W、Nb、T
aおよび一般的に電子管で使用されているRu/Moと
Ru/Mo/Niの8種類を用いた。前述した通り、A
PGは水素雰囲気中で不安定な為、処理温度が1600
℃以上の場合は真空中で処理を実施した。つまり、今回
の検討ではNiのろう付けのみ水素中て実施し、その他
は真空中で実施した。その結果を表3に示す。
【0140】
【表3】
【0141】この表3でわかるようにTiろう材を用い
ることにより良好なろう付けが確認された。また、M
o、W、Nb、Taは接合したが、高融点金属であるた
め焼結による接合にとどまった。Ru/M0、Ru/M
o/NiやNiは溶融したが接合できなかった。このた
め、ろう材としてはTiが最適であることが判った。
【0142】最後に電子放射物質を基体金属である多孔
質タングステンに含浸し陰極基体105を作成する。
【0143】第10の実施の形態について図22を参照
して説明する。本実施の形態の構成は、発熱体の電極と
電極端子との接合部を除いて第9の実施の形態の構成と
同じであり、図21(a)と同じ部分には同一の参照符
号を付してその詳細な説明を省略する。すなわち、本実
施の形態によれば、発熱体102の電極102aは、絶
縁基板101の側面を通り他方の面に回り込んで形成さ
れ、電極端子107はろう付けにより電極102aに接
合固定されている。陰極基体105は含浸形である。
【0144】上記構成のヒータ120および陰極基体1
05の製造方法について説明する。
【0145】先ず、陰極基体105と接合するAPBN
層103および電極端子107と接合する電極102a
に溶射法によりろう材膜を形成する。また、その他の形
成方法としてイオンプレーティング、スパッタ、真空蒸
着等を用いることが可能である。続いて、この膜をろう
材として陰極基体105の基体金属および電極端子10
7をろう付けする。検討したろう材および雰囲気は前述
した実施の形態の場合と同様であり、溶射後に溶射膜を
ろう材に使用できるのはチタンだけであった。ここで、
溶射法における成膜の結果を表4に示す。
【0146】
【表4】
【0147】この表4によればTi、Mo、Nbおよび
TaがAPBN層、APG電極のいずれも場合も良好で
あった。
【0148】最後に陰極基体105の基体金属に電子放
射物質を含浸し、必要により陰極基体105の表面にイ
リジウムコート層を形成して陰極基体105を作成す
る。
【0149】図23に示す第12の実施の形態によれ
ば、含浸形陰極基体105は、APGコート層104を
介してAPBN層103に接合されている。また、発熱
体102の電極102aと電極端子107とを接合固定
するため、および陰極基体105とAPBN層103と
を固定するために、ろう材109を用いてTIG(ティ
グ)溶接を施している。他の構成は第11の実施の形態
と同一である。
【0150】上記構成の陰極構体の製造方法において、
発熱体102の電極102aと電極端子107とを接合
する場合、電極102aおよび電極端子107の周辺に
ろう材109を配置し、TIG溶接によりろう材である
導電層109を溶融させて電極102aと部材107と
を接合する。導電層109は表2で検討されたNi、T
i、W、Mo、Nb、Taが良好であり、ここではTa
を用いた。
【0151】次いで、APBN層103にAPGコート
層104を介して含浸形陰極基体105の基体金属であ
る多孔質タングステンを配置し、その周辺にろう材とし
ての導電層109を配置する。その後、この導電層10
9をTIG溶接で溶融し、基体金属と発熱体面であるA
PBN層103とを接合する。導電層は表3で検討され
たTi、Mo、W、Nb、Taが良好であり、ここでは
Taを用いた。最後に基体金属に電子放射物質を含浸さ
せ含浸型陰極基体105を作成する。
【0152】なお、上記第8ないし第11の実施の形態
においては、APGコート層104、106、APBN
層103および陰極基体105を備えた構成としたが、
これらはヒータの用途に応じて任意に設定されるもので
あり、ヒータの構成を限定するものではない。
【0153】図24に示す第12の実施の形態に係る陰
極構体は、図20に示す陰極構体に基づいて、発熱体1
02の電極102aと電極端子107とをろう付け以外
の手段で接合させたものであり、図20と同じ部分は同
じ符号を付して示している。ろう付け以外の接合手段と
しては、TIG溶接、レーザー溶接、電子ビーム溶接な
どが挙げられる。
【0154】本実施の形態によれば、APBNからなる
絶縁基板101と、この絶縁基板101に設けられたA
PGからなる発熱体102と、この発熱体102にろう
付け以外の手段で接合された電極端子107とを具備す
ることにより、発熱体102と電極端子107とを簡単
且つ強固に接続でき、特に陰極構体に適したヒータ12
0を得ることができる。また、絶縁基板101に重合し
て陰極基体105を接合固着しているので、陰極基体1
05に支持筒が不要で構成が簡素となる。
【0155】なお、第12の実施の形態において、AP
Gコート層104、106、APBN層103および陰
極基体105は意図する用途により任意に設定されるも
のであり、必要に応じて省略可能である。
【0156】図25に示す第13の実施の形態は、図2
2に示す陰極構体に基づいたもので、図22と同じ部分
は同じ符号を付して示している。本実施の形態では、発
熱体102の電極102aに金属層110を形成し、こ
の金属層110に電極端子107をろう材としての導電
層108を用いてろう付けしている。また、ヒータ12
0のAPBN層103に金属層110を形成し、導電層
108を用いて含浸型陰極基体105をろう付けしてい
る。
【0157】本実施の形態に係る陰極構体を製造する場
合、まず、発熱体102の電極102aおよびヒータ1
20のAPBN層103に夫々溶射法により金属層11
0を形成する。金属層110は、イオンプレーティン
グ、スパッタ、真空蒸着等の方法によって形成してもよ
い。金属層110はAPBNやAPGに付着する金属で
あって、融点が1650℃以上であれば良い。特に溶射
法では、表4に示したTi、Mo、Nb、Taで良好な
金属層を形成可能であることが確認された。
【0158】ここで、溶射法によりタングステンの金属
層を形成することは困難であったが、スパッタ法では形
成可能である。本実施の形態においては、Nbを使用し
ている。
【0159】次いで、金属層110と、電極端子107
および含浸型陰極基体105の基体金属とを、一般的な
ろう材、例えばRu/Moを用いてろう付けする。続い
て、基体金属に電子放射性物質を含浸し、必要あれば表
面にIrを被覆して含浸型陰極基体105を作成する。
【0160】上記のように構成された本実施の形態によ
れば、発熱体102と電極端子107とを簡単且つ強固
に接続でき、特に陰極構体に適したヒータ120を得る
ことができる。また、絶縁基板101に重合して陰極基
体105を接合固着しているので、陰極基体105に支
持筒が不要で構成が簡素である。
【0161】図26に示す第14の実施の形態に係る陰
極構体は、図25に示す陰極構体に基づいたもので、図
25と同じ部分は同じ符号を付して示している。本実施
の形態によれば、電極端子107は、ろう付け以外の手
段によって電極102a上の導電層110に接合されて
いる。また、ヒータ120のAPBN層103にAPG
コート層104を介して含浸型陰極基体105を接合固
定してある。
【0162】上記構成の陰極構体を製造する場合には、
まず、発熱体102の電極102a上に溶射法によって
導電層110を形成する。この導電層110はAPBN
やAPGに付着する金属であって、融点が1650℃以
上であれば良い。次いで、電極端子107を導電層11
0を介して電極102aにろう付け以外の手段で接合す
る。ろう付け以外の接合手段としては、TIG溶接、レ
ーザー溶接、電子ビーム溶接などが挙げられる。その
後、基体金属に電子放射性物質を含浸し、必要あれば表
面にIrを被覆して含浸型陰極基体105を作成する。
【0163】本実施の形態によれば、発熱体102の電
極に形成された導電層110に、ろう付け以外の手段で
電極端子107を接合することにより、発熱体102と
電極端子107とを簡単且つ強固に接続でき、特に陰極
構体に適したヒータを得ることができる。また、絶縁基
板101に重合して陰極基体105を接合固着している
ので、陰極基体105に支持筒が不要で構成が簡素とと
なる。
【0164】次に、第8および第9の実施の形態におけ
る陰極構体と従来の一般的な陰極構体の特性、例えば、
寸法および重量を比較した結果を示している。
【0165】
【表5】
【0166】この表5によれば、本願実施の形態に係る
陰極構体は、寸法、重量とも従来の一般的な陰極構体に
比べ、小型化および軽量化を達成できたことが確認でき
た。
【0167】また、図27は、本願の実施の形態に係る
陰極構体と従来の陰極構体の立上り特性を示している。
図27において、縦軸は陰極基体の輝度温度Tk(℃
b)、横軸は陰極構体の立ち上がりの時間Time(m
in)を表している。また、図において、一点鎖線aは
第8の実施の形態の陰極構体における特性、破線bは第
9の実施の形態の陰極構体における特性、および実線c
は従来の陰極構体の特性をそれぞれ示している。
【0168】従来の陰極構体では1000℃に到達する
時間が5分程度であったのに対し、第8の実施の形態の
陰極構体のそれは5秒、第9の実施の形態の陰極構体で
は10秒程度であり、速動化が達成されていることが確
認された。
【0169】図28は、本発明の実施の形態に係る陰極
構体と従来の陰極構体との発熱体温度の安定性を比較し
て示す線図である。図において、縦軸は使用開始からの
ヒータ電流の変化率ΔIf(%)、横軸は試験時間Ti
me(Hr)を表している。発熱体温度は1200℃と
してヒータ電流の変化を測定した。図28において、2
点鎖線aは第8の実施の形態の陰極構体における特性、
破線bは第9の実施の形態の陰極構体における特性、お
よび実線cは従来の陰極構体の特性をそれぞれ示してい
る。この図から本願実施の形態に係る陰極構体における
高温の安定性は従来の一般的なヒータと同様であること
が確認できた。
【0170】続いて、本発明の第15の実施の形態に係
る電子管の陰極構体ついて図29(a)、29(b)を
参照して説明する。本実施の形態に係る陰極構体27
は、カラー電子管の電子銃に適合した陰極構体として構
成され、三原色である赤色、緑色および青色に対応した
3組の陰極基体を備えている。陰極構体27の基本的構
成は、前述した第1の実施の形態における陰極構体とほ
ぼ同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付して
その詳細な説明を省略する。
【0171】陰極構体27は、APBNで形成された絶
縁基板21と、絶縁基板の一方の表面に形成されたAP
Gからなる発熱体25と、を備えている。絶縁基板21
は、対向する一対の平坦な表面21c、21dを有する
細長い偏平な矩形状に形成され、その寸法は例えば長さ
が14mm、幅が1mm、厚さが0.3mmとなってい
る。発熱体25は、絶縁基板21の一面(図示下面)2
1cに形成され、絶縁基板21の長手方向全長に亙って
いわゆるジグザグ形のパターンに形成されている。発熱
体25のパターンの寸法は、例えば、線幅が0.15m
m、厚さが0.02mmに設定されている。
【0172】発熱体25の長手方向両端部上には、例え
ばチタンからなる導電層26aを介して電極端子26が
それぞれ接合されている。各電極端子26は導電性金
属、例えば銅により形成されている。
【0173】そして、これら絶縁基板21、発熱体2
5、および電極端子26によって陰極構体27のヒータ
が構成されている。
【0174】絶縁基板21の他面(図示上面)21dに
は、絶縁基板の長手方向に等間隔、例えば2mmの間隔
をおいて3個の陰極基体24が並んで形成されている。
各陰極基体24は、ニッケル粉末と電子放射物質とを圧
粉してペレット状に形成された基体22を有し、この基
体22の寸法は、例えば直径が0.6mm、厚さが0.
5mmに設定されている。基体22の表面には、酸化バ
リウム(BaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸
化カルシウム(CaO)などより電子放射性物質23が
スプレーなどにより塗布されている。
【0175】各陰極基体24は、絶縁基板21の表面2
1dに形成されたAPG層35に導電層22bを介して
固着されている。導電層22bは、ろう材とAPG層3
5との反応層である。すなわち、APG層35は絶縁基
板21に長手方向に間隔を存して形成されており、夫々
に陰極基体24がろう付けにより接合されている。な
お、陰極基体24の基体22からは電圧印加用の電極リ
ード22aが延出している。
【0176】絶縁基板21において、その長手方向両端
部は、電極端子26を接合する接合部Bとなっており、
また、これらの接合部Bに挟まれた領域は3個の陰極基
体34が並べて接合された接合部Cとなっている。
【0177】そして、絶縁基板21において、一方の電
極端子26の接合部Bと陰極基体34の接合部Cとの
間、および他方の電極端子26の接合部Bと陰極基体3
4の接合部Cとの間には、夫々切欠39が形成されてい
る。これらの切欠39は絶縁基板21の陰極基体24が
形成された表面21dから他方の表面21cに向けて切
り欠かれたものである。すなわち、各切欠39は、帯状
に形成され絶縁基板21の長手方向と直交する方向に延
び、絶縁基板の両側縁に開口している。各切欠27は、
例えば幅が0.5mm、深さが1mmの寸法を有してい
る。
【0178】絶縁基板21の断面積の内、切欠39が形
成された部分の断面積は、他の部分の断面積に比較して
25%も減少している。
【0179】上記構成の陰極構体27は以下の方法によ
って製造される。まず、図30に示すように、複数個の
絶縁基板21を並べて形成できる大きさのAPBNから
なる板材を用意する。すなわち、CVD法により例えば
縦15cm、横16cm、厚さ0.3mmのAPBN板
材21Aを形成する。このAPBN板材21Aの両面に
は、各絶縁基板21に相当する部分毎に夫々CVD法に
よって0.2mmのAPG層を形成してウエハを作製す
る。
【0180】その後、レジスト塗布、露光、現像を経て
パターニングした後、RIE法(反応性イオンエッチン
グ)などによりAPG層をエッチングして任意のパター
ンをもった多数の発熱体25を並べて形成する。また、
板材21Aにおける他面には、各絶縁基板21に相当す
る部分毎に同様にエッチングして所定パターンの3個の
APG層35を形成する。
【0181】このようにして得た性絶縁基板用の板材2
1Aに、各絶縁基板21に共通する切欠39を形成す
る。この実施の形態では、前述と同様なRIE法などの
エッチングにより絶縁基板の陰極基体接合面側から切欠
39を形成したが、機械加工により形成しても良い。
【0182】続いて、ウエハの状態で、板材21Aにお
ける各絶縁基板21のAPG層35に陰極基体24を固
着する。その直径は0.8mm、厚さは0.1mmであ
る。固着はニッケルろう材を用いたレーザろう付けによ
り行った。ろう材を使用した理由は、APGとニッケル
などの金属を直接接合できないためである。
【0183】その後、スクリーン印刷などによりニッケ
ルペーストを所定の位置に塗布して、ペースト内部に含
まれている有機溶剤を乾燥機で飛散させる。次いで、水
素雰囲気中で1320℃に加熱してAPGとニッケルの
反応層である導電層22bを形成する。その後、導電層
22bにレーザ溶接にて陰極基体24を接合する。その
後、陰極基体形成面にラッピング処理を施し、各陰極基
体24のレべリングを行う。そして、ダイシング加工に
より絶縁基板用の板材21Aを各絶縁基板21毎に切り
離して陰極構体27を形成する。
【0184】上記のように構成された陰極構体27は、
第1の実施の形態と同様に、電子銃のグリッド、スペー
サ、反射体等と組み合わされて電子銃構体を構成し、電
子管のネックに組込まれる。この電子銃構体では、発熱
体25に通電して発熱させることにより、絶縁基板21
を介して陰極基体24を加熱する。それにより、陰極基
体24は電子ビームを放出し、この電子ビームは電子銃
グリッドによって制御、収束、および加速される。
【0185】以上のように構成された陰極構体27は、
絶縁基板21の一面に発熱体25を設けてヒータを構成
し、絶縁基板の他面に陰極基体24を設けた構成とする
ことにより、前述した種々の実施の形態と同様に、全長
の短縮化、省電力化、速動化を図ることができる。例え
ば、上記陰極構体27を用いて構成した電子銃構体の全
長は1.56mmであって、従来に比較して全長を約1
0%まで短縮できた。
【0186】また、陰極構体27によれば、絶縁基板2
1の各接合部Bと接合部Cとの間に切欠39を形成し
て、接合部Bと接合部Cとで挟まれる部分の断面積を、
接合部Bおよび接合部Bの夫々の断面積よりも小さく設
定している。このため、絶縁基板21全体の熱容量を低
減することができる。なお、絶縁基板21の全体を薄肉
にすることも考えられるが、絶縁基板の機械的強度が低
下し望ましくない。
【0187】そして、絶縁基板21の切欠39によりヒ
ートダムが形成されるため、発熱体25からの熱が電極
端子26の接合部Bに分散することを抑制し、陰極基体
24の接合部Cに発熱体からの熱を集中させることがで
きる。すなわち、加熱を必要としない接合部Bへの熱の
分散を規制し、加熱を必要とする接合部Cのみへ熱を集
中させることができる。これにより、発熱体25の熱が
絶縁基板21において伝導するロスが低減し、陰極構体
の消費電力を大幅に低減することができる。
【0188】例えば、この陰極構体を電子銃に装備し
て、カソード温度を830℃にするためのヒータ電力を
従来のものと比較した。その結果、従来の陰極構体では
2.1Wであったが、本実施の形態ではこれより小さく
1.3Wであった。また、従来の陰極構体におけるヒー
タ電力が1.05W(6.3V/170mA)であった
のに対して、本実施の形態では0.32W(4.5V/
70mA)であり、従来品の約30%程度まで低電力化
が可能となった。
【0189】更に、上記構成の陰極構体27によれば、
発熱体25の熱はAPBNからなる絶縁基板21を伝導
して直ちに陰極基体24を加熱する。このため、ヒータ
電力投入時から電子管の画像が安定する温度までの時間
を従来に比較して大幅に短縮する(速動化)ことができ
る。すなわち、発熱体25の熱は絶縁基板21を良好に
伝導して陰極基体24を迅速に加熱することができる。
【0190】図31(a)、31(b)に示す第16の
実施の形態に係る陰極構体によれば、切欠39は絶縁基
板21の側縁に形成されている。すなわち、絶縁基板2
1の一方の接合部Bと接合部Cとの間の領域において、
絶縁基板21の左右両側縁部には一対の切欠39がそれ
ぞれ形成されている。また、絶縁基板21の他方の接合
部Bと接合部Cとの間の領域において、絶縁基板21の
左右両側縁部に一対の切欠39が形成されている。各切
欠39は、絶縁基板21の両表面21c、21d間を貫
通する断面半円形に形成されている。すなわち、切欠3
9は、その軸方向が絶縁基板21の厚さ方向(積層方
向)に沿うようにして形成されている。
【0191】本実施の形態において、他の構成は第15
の実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の参照
符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0192】上記構成の陰極構体27を製造する場合に
は、図32に示すように、複数個の絶縁基板21を並べ
て形成できる大きさに材料取りしたAPBN板材21A
を用意し、この板材の両面に各絶縁基板の領域毎夫々に
APG層を所定形状に形成する。次いで、板材21Aに
おける各絶縁基板21の領域の境界線上に、直径0.5
mmの円形をなす貫通孔39Aを夫々形成し、隣り合う
絶縁基板21の切欠39を同時に形成する。以降の工程
は第15の実施の形態と同様で、ダイシング加工により
板材21Aから各絶縁基板21を切り離す。これによ
り、左右両側縁部に半円形の切欠39を有する陰極構体
27を得ることができる。
【0193】なお、貫通孔はRIEなどのエッチング法
により形成する方法があるが、他に機械加工に依る方法
も挙げられる。
【0194】図33(a)、33(b)に示す第17の
実施の形態によれば、絶縁基板21に、前述した第15
の実施の形態における切欠39に加えて、陰極基体24
間にも切欠39と同様な切欠40を形成している。この
構成によれば、本来加熱する必要がない絶縁基板21に
おける陰極基体24間の領域に、切欠40によってヒー
トダムを形成し、本来加熱する必要がある各陰極基体2
4に面した領域に発熱体25の熱を集中させてることが
できる。
【0195】従って、本実施の形態によれば、絶縁基板
21における熱の伝導の損失を低減させて、陰極基体2
4を一層効率よく加熱することができ、発熱体の消費電
力を低下させることができる。
【0196】なお、上述した第15ないし第17の実施
の形態において、切欠の形成位置は、接合部Bと接合部
Cとの領域であれば、絶縁基板の陰極基体形成面に限ら
ず、発熱体形成面のみに、あるいは両方の面に形成する
ことも可能である。
【0197】図34(a)ないし34(c)は、本発明
の第18の実施の形態に係る陰極構体を示している。上
述したようなAPBNからなる絶縁基板と、APGから
なる発熱体とによって構成されたヒータを有する陰極構
体において、絶縁基板はCVD法により制作され積層構
造を有しているとともに、絶縁基板と発熱体とはアンカ
ー効果により付着している。そのため、このヒータは、
機械的応力に対して比較的強度が低くなる恐れがある。
【0198】そこで、本実施の形態は、陰極基体から延
出した電極端子、あるいは、発熱体の電極端子によって
絶縁基板および発熱体を機械的に挟み込むことにより、
陰極構体の機械的強度を向上させることを特徴としてい
る。
【0199】すなわち、図34(a)および34(b)
に示すように、本実施の形態に係る陰極構体27は、A
PBNで形成された細長い矩形状の絶縁基板21と、絶
縁基板の一方の表面にその長手方向全長に亙って形成さ
れたAPGからなる発熱体25と、を備え、これら絶縁
基板および発熱体によりヒータが構成されている。ヒー
タの寸法は、厚さ0.32mm、長さ14mm、幅1m
mとなっている。
【0200】絶縁基板21の他方の表面には、絶縁基板
の長手方向に所定の間隔、例えば4.92mmの間隔を
おいて3個の陰極基体24が並んで形成されている。各
陰極基体24は、基体金属22と電子放射性物質層23
とで構成されている。電子放射性物質層23は、直径
0.6mm、厚さ0.3mmに形成されている。また、
絶縁基板21の表面の内、陰極基体24が設けられる部
分には、チタンからなる金属層22bが形成され、各陰
極構体24はこの金属層22b上にレーザ溶接されてい
る。
【0201】各陰極基体24の基体金属22は、電極端
子として機能する電極リード22aを一体に備えて形成
されている。電極リード22aは帯状に形成され陰極基
体24から絶縁基板21の両側縁側へ延出している。電
極リード22aは、例えば、厚さ0.03mm、幅0.
3mm、長さ0.8mmに形成されている。
【0202】そして、電極リード22aは、絶縁基板2
1の陰極基体形成面側から絶縁基板の両側縁に沿って折
り曲げられ、更に、絶縁基板の発熱体形成面側に回り込
んで延びている。電極リード22aの両延出端部は、チ
タンからなる導電層40を介して、絶縁基板21の発熱
体形成面に接合されている。従って、絶縁基板21およ
び金属層22bは、電極リード22aによって両表面側
から挟み込まれた状態で保持されている。なお、電極リ
ード22aには、別の電極リード42が接合されてい
る。また、電極リード22aおよび陰極基体24は、そ
れぞれ別々に形成された単独部品を互いに接合するよう
にしてもよい。と図34(a)および34(b)に示す
ように、発熱体25の長手方向両端部上には、それぞれ
チタンからなる導電層40が形成されているとともに、
絶縁基板21の長手方向両端部において、陰極基体形成
面側にもチタンからなる金属層22bが形成されてい
る。そして、発熱体25の両端には、導電層40を介し
て電極端子26がそれぞれ溶接固定されている。
【0203】本実施の形態において、各電極端子26
は、2本の帯状端子26c、26dを組み合わせて形成
されている。帯状端子26cは、金属層22bに溶接固
定され絶縁基板21の陰極基体形成面側に位置している
とともに、絶縁基板の両側縁に沿って折り曲げられ絶縁
基板の他面側まで延出している。帯状端子26dは、導
電層40および帯状端子26cに溶接固定されていると
ともに、下方に向かって所定長さ突出している。
【0204】これにより、発熱体25の長手方向両端部
および絶縁基板21の長手方向両端部は、それぞれ電極
端子26によって両側から挟み込まれた状態に保持され
ている。
【0205】上記構成の陰極構体27は以下の方法によ
って製造される。まず、APBNおいよびAPGの2重
層をCVD法によって作成する。次に、RIE法によっ
て絶縁基板上に発熱体を形成し、これをダイシングする
ことにより、ヒータが構成されいる。導電層が形成され
る箇所は陰極基体および電極端子が形成される箇所のみ
とし、スクリーン印刷により形成した。導電層のスクリ
ーン印刷後、真空雰囲気中で絶縁基板の熱処理を行い、
その後、サイジングを行った。実施例では、50×50
mmの絶縁基板を作成し、約150個のヒータを得た。
【0206】続いて、金属層上に、陰極基体および電極
リードを載置し、電極リードをヒータの形状に沿って折
り曲げ、ヒータを挟み込む。その後、電極リードの位置
で、陰極基体と金属層とをレーザ溶接した。
【0207】次に、ヒータの長手方向両端部に、電極端
子をそれぞれレーザ溶接によって固定し、電極端子によ
ってヒータ両端部を挟み込む。最後に、基体金属22の
表面に電子放射性物質層23を塗布して陰極構体が完成
する。
【0208】上記のように構成された陰極構体27によ
れば、前述した種々の実施の形態と同様に全長の短縮
化、省電力化、速動化を図ることができる。また、陰極
基体の電極端子および電極端子によって絶縁基板および
発熱体を挟み込む構成としたことから、電極基体、絶縁
基板、発熱体、電極端子間にの隔離を防止し、陰極構体
の機械的強度を大幅に向上させることができる。
【0209】図35(a)ないし35(c)は、第19
の実施の形態に係る陰極構体を示している。この陰極構
体27は、上述した第18の実施の形態に係る陰極構体
27において、金属層22b、導電層40と絶縁基板2
1との間にAPG層44を追加した構成となっている。
【0210】すなわち、絶縁基板21の内、3個の陰極
基体24が固定される部分、および電極端子26が接合
される部分には、APG層44が形成され、金属層22
bおよび導電層40は、それぞれ対応するAPG層44
上に形成されている。金属層としては、ニッケルの金属
層が用いられている。
【0211】また、本実施の形態によれば、絶縁基板2
1のAPG層44が形成された部分の幅W1は、絶縁基
板21の他の部分の幅W2よりも広く形成され、凸形状
をなしている。他の構成は第18の実施の形態と同一で
あり、同一の部分には同一の参照符号を付してある。
【0212】上記のように構成された第19の実施の形
態においても、上述した第18の実施の形態と同様の作
用効果を得ることができる。加えて本実施の形態によれ
ば、絶縁基板21の内、3個の陰極基体24が固定され
る部分、および電極端子26が接合される部分を凸状と
し、他の部分を細く形成したことから、ヒータ全体の熱
容量を低減し、一層の省電力化および速動化を図ること
ができる。
【0213】以下の表6は、上記陰極構体の接合強度測
定結果を示している。強度測定は、引っ張り試験を行
い、破断荷重を引っ張り強さとした。電極端子によって
ヒータを挟み込んでいない構成の陰極構体の破壊強度を
基準1とした場合、表6から分かるように、第18およ
び第19の実施の形態のいずれにおいても、引っ張り強
度が5倍以上に向上したことが確認された。
【0214】
【表6】
【0215】図36ないし図38は、この発明の第20
の実施の形態に係る陰極構体を備えた電子銃構体を示し
ている。本実施の形態は前述した実施の形態に比較し
て、電極端子、発熱体の構成、および陰極構体を支持し
たホルダを備えている点において相違している。
【0216】詳細に述べると、図36および図37に示
すように、電子銃構体34は、3個の陰極基体24が設
けられた陰極基体27と、この陰極基体を支持したホル
ダ50と、を備えている。
【0217】まず、陰極構体27の構成について詳細に
説明する。図38(a)ないし図38(c)に示すよう
に、陰極構体27は、APBNで形成された細長い矩形
状の絶縁基板21と、絶縁基板の一方の表面にその長手
方向全長に亙って形成されたAPGからなる発熱体25
と、を備え、これら絶縁基板および発熱体によりヒータ
が構成されている。絶縁基板21は、CVD法により、
幅1mm、長さ14mm、厚さ0.3mmに形成されて
いる。
【0218】発熱体25は、絶縁基板21の一方の表面
にCVD法によって0.02mm厚のAPG層を形成
し、前述した種々の実施の形態と同様の方法によってA
PG層をパターニングすることにより形成されている。
発熱体25は、通電することによりそれぞれ発熱する第
1ないし第3の高温加熱部25a、25b、25cと、
これらの加熱部間に形成された一対の低温加熱部50
と、絶縁基板21の長手方向両端部にそれぞれ設けられ
た一対の電極51と、を有している。
【0219】第1ないし第3の高温加熱部25a、25
b、25cは、それぞれ3個の陰極基体24と対向する
位置に設けられているとともに、ジグザグのパターンを
有し、線幅0.12mm、折返し部分間の隙間は0.1
mmに形成されている。絶縁基板21の内、陰極基体2
4が設けられている部分以外の箇所は加熱する必要がな
いため、一対の低温非加熱部50および一対の電極51
は、絶縁基板21とほぼ等しい線幅となるように幅広に
形成され、通電時の発熱が抑制されている。従って、第
1ないし第3の高温加熱部25a、25b、25cによ
って陰極基体24を効率よく加熱することが可能とな
る。
【0220】また、カラー電子管の場合、3個の陰極基
体24から放出される電子ビームを均一にするために、
これらの陰極基体を同一の動作温度で加熱する必要があ
る。上記構成の発熱体25の場合、絶縁基板21の長手
方向両端部側から熱が逃げやすい。そこで、絶縁基板2
1の長手方向両端部側に設けられた第1および第3の高
温加熱部25a、25cは、中央に位置した第2の高温
加熱部25bよりも発熱量が多くなるように、第2の高
温加熱部よりも長く形成されている。
【0221】一方、絶縁基板21の他方の表面の内、3
個の陰極基体24が設けられる部分には、それぞれ0.
02mm厚のAPG層54が所定の隙間を置いて形成さ
れている。同様に、絶縁基板21の長手方向両端部に
は、それぞれ0.02mm厚のAPG層55がAPG層
54に対し所定の隙間を置いて形成されている。
【0222】3つのAPG層54上にはそれぞれ陰極基
体24が設けられ、絶縁基板21の長手方向に所定の間
隔、例えば4.92mmの間隔をおいて配置されてい
る。各陰極基体24は、ニッケルからなる基体金属22
と金属層の上面に塗布された電子放射性物質層23とで
構成されている。基体金属22は、直径0.8mm、厚
さ0.1mmに形成されているとともに、絶縁基板21
の長手方向に沿って延出した厚さ0.05mmのフラン
ジ22fを一体に備えている。なお、陰極基体24とし
ては、多孔質基体金属に電子放射性物質を含浸した含浸
型の陰極基体を用いてもよい。
【0223】各陰極基体24は、導電層56を介してA
PG層54に接合されている。すなわち、APG層54
の内、陰極基体24が接合される部分には、予めニッケ
ルペーストを0.02mm厚程度に塗布し乾燥した後、
水素雰囲気中で1320℃に加熱処理することにより、
APG、Niの反応層からなる導電層56が形成されて
いる。そして、各陰極基体24は、基体金属22のフラ
ンジ22fを導電層56にレーザ溶接することによりA
PG層54に固着されている。
【0224】更に、各APG層54には陰極基体24に
電圧を印加するための電極リード22aが接合され、絶
縁基板21の側縁から突出している。各電極リード22
aは基体金属22のフランジ22fに接合されていても
よい。なお、上記と同様の方法により、PAG層55表
面、および発熱体25の電極51表面には、APG、N
iの反応層からなる導電層58が形成されている。
【0225】図36および図37に示すように、絶縁基
板21の両端部に一対づつ設けられた電極51には、そ
れぞれ電極端子26が固着されている。図39および図
40に示すように、各電極端子26は、それぞれほぼU
字状に折り曲げられた第1および第2端子板60a、6
0bを互いに接合することにより一体的に形成されてい
る。第1端子板60aは、絶縁基板21の端部を挿入可
能な矩形状の凹所61を有しているとともに、第2端子
板60bは、他方の電極端子に向かって互いに広がる方
向に延出した一つのアーム62を有している。
【0226】第1および第2端子板60a、60bは、
熱容量が小さく、加工性が良く、かつ、機械的強度が高
いことが望ましい。そのため、各端子板は、ニッケルを
主成分とする合金であるステンレス、コバール(KO
V)、ハステロイ等によって形成されていることが望ま
しく、本実施の形態においては、0.05mm厚さのK
OVにより形成されている。
【0227】このような電極端子26は以下の工程によ
り絶縁基板21に固着される。まず、第1端子板60a
の凹所61に絶縁基板21の端部を挿入し、絶縁基板の
陰極基体接合面側に形成された導電層58に第1端子板
の中央部をレーザ溶接する。続いて、発熱体25の電極
51上に形成された導電層58に、第2端子板60bの
中央部をレーザ溶接により接合する。その後、第1端子
板60aおよび第2端子板60bをレーザ溶接によって
互いに連結し、これらの端子板によって絶縁基板21の
端部を外側から挟み込む。以上の工程により、電極端子
26の取付けが完了する。
【0228】このように構成された陰極構体27は、各
電極端子26のアーム62を介してホルダ50に取り付
けられている。すなわち、図36および図37に示すよ
うに、ホルダ50は、厚さ2.5mmのセラミックから
なるほぼ矩形状のベース板63と、KOVで形成されベ
ース板の外周面に固着された支持枠64と、それぞれベ
ース板に固定されベース板の両面から突出した複数の支
持ピン65と、を備えている。
【0229】支持枠64および各支持ピン65はKOV
によって形成されているとともに、各支持ピンは直径
0.5mmに形成されている。そして、支持枠64およ
び各支持ピン65は、ベース板63に対して、それぞれ
溶融ガラスにより電気的に絶縁状態で接合されている。
また、ベース板63には例えば一対の排気孔66が貫通
形成されており、これらの排気孔66は、電子管の排気
中に陰極基体24の電子放射性物質から放出される分解
ガスを効率よく排気するために設けられている。
【0230】そして、陰極構体27は、各電極端子26
の一対のアーム62を対応する一対の支持ピン65に溶
接するとともに、各陰極基体24の電極リード22aを
対応する支持ピン65に溶接することによってホルダ5
0に取り付けられている。そして、絶縁基板21および
発熱体25からなるヒータは、ホルダ50のベース板6
3に対して所定の間隔を置いて平行に対向している。ホ
ルダ50は陰極構体27を支持するとともに、ヒータか
ら発生した熱をセラミックのベース板63によって陰極
構体側へ反射し熱効率を向上させる機能も有している。
【0231】このように構成された電子銃構体は、陰極
基体24の表面からベース板63表面までの寸法が1.
5mm、全体の高さが6.5mmとなっている。
【0232】次に、以上のように構成された電子銃構体
における陰極構体の製造方法について詳細に説明する。
なお、ここでは、含浸型の陰極基体を備え、導電層とし
てAPG層とタングステンとの反応層を用いた陰極構体
の製造方法について説明する。また、本製造方法では、
半導体のウエハーを製作する場合のように、複数個の陰
極構体を同時に製作する方法について説明する。
【0233】まず、図41(a)に示すように、減圧熱
CVD法により厚さ0.3mmのAPBN基板を製作す
る。具体的には、減圧雰囲気中で塩化ボロンとアンモニ
アを反応させ、温度約2000℃に加熱したグラファイ
ト基板上に、APBNを気相成長さる。次に上記で得ら
れたAPBN基板の両表面上に厚さO.02mmのAP
G層を気相成長させる。具体的には、減圧雰囲気中で炭
化水素を分解させ、温度約2000℃に加熱したAPB
N基板上にPGを気相成長させる。
【0234】続いて、図41(b)に示すように、一方
のAPG層を露光、現像、エッチングすることにより所
定パターンの発熱体を形成する。具体的には、APG層
を被覆したレジスト膜を所定パターンに露光し、現像し
た後、弗化炭素系ガスを用いた反応性イオンエッチング
法(RIE法)で所望のパターン形状を得る。その後、
残ったレジスト膜を除去することにより発熱体が完成す
る。
【0235】次に、図41(c)に示すように、平均粒
径3μmのW粉末を有機系バインダーと混練したペース
トを、スクリーン印刷法、スピンコート法、スプレー法
等により、他方のAPG層上にコーティングする。そし
て、コーティングされたW粉末を、真空中、1700〜
1800℃で加熱し、空孔率が約20%の焼結体層を得
る。焼結体層の厚さは、O.21mmとした。
【0236】上記のように形成された多孔質W層にレジ
スト層を形成した後、図38に示した陰極基体のパター
ンに応じて露光、現像、エッチングすることにより、所
望の陰極基体パターンを形成する。続いて、残ったレジ
ストを除去することにより、図41(d)に示すように
陰極基体が完成する。
【0237】次に、陰極基体以外の部分をマスキングし
た後、有機溶剤に分散させた電子放射物質をスプレー法
によって各陰極基体の表面に塗布する。その後、基板全
体を真空中、1650℃に加熱し、各陰極基体上にコー
ティングされた電子放射物質を陰極基体の空孔部に溶
融、含浸させ含浸型陰極基体を得る。
【0238】続いて、各含浸型陰極基体の高さの精度が
±1μmとなるように、各含浸型陰極の表面をラッピン
グ加工する。その後、各陰極基体の表面にスパッタ法で
Irをl500オングストローム厚に被覆する。被覆物
質は、Os(オスミウム)、Os−Ru、Sc23
るいはSc23 −Wを用いてもよい。
【0239】続いて、図41(e)に示すように、上記
のように製造された基板を、タイジングにより各陰極構
体毎に分割した後、電極端子を取り付けることにより陰
極構体が完成する。
【0240】以上のように構成された第20の実施の形
態に係る陰極構体および電子銃構体によれば、以下の作
用効果を得ることができる。
【0241】まず、本実施の形態によれば、前述した種
々の実施の形態と同様に、全長の短縮化、低省費電力
化、速動化を図ることができる。例えば、本実施の形態
に係る電子銃構体を用いて電子銃を構成した場合、従来
14.5mmであつたものを7mmまで短縮でき、50
%の低減を図ることができる。また、例えば、陰極構体
を1000℃にする為に必要なヒータ電力は、従来2.
IWであったのに対し、本実施の形態では、1.7Wと
なり、消費電力を20%減少にする事が出来た。更に、
ヒータ電力投入後、安定温度(1000℃)に達するま
での時間を比較したところ、従来10秒を要したのに対
し、本実施の形態の陰極構体は、6秒で安定する事が出
来た。
【0242】従来構造の陰極構体の場合、ヒータ電圧、
電流は、6.3V、333mAであるのに対して、本実
施の形態に係る陰極構体の場合は、6.3V、270m
Aであり、両者共に受像機のヒー夕回路に適合できる。
【0243】第1グリッドと陰極基体との間隔は、3個
の陰極構体についてバラツキを無くし、特性を揃える必
要がある。本実施の形態によれば、3つの陰極基体をラ
ビング処理して高さを揃えているため、精度が向上し均
一な特性を得ることができる。
【0244】また、本実施の形態に係る電子銃構体を電
子管に組み込み、ヒータ電圧を135%とし、3000
時間の寿命試験を行つた。比較例として、従来陰極およ
びタングステン薄膜をスパッタコートした陰極を同時に
試験した。測定は、初期に設定したヒータ電圧を一定と
し、寿命試験中のヒータ電流の変化を追跡した。
【0245】3000時間経過後の変化率は、従来陰極
が2.0%、本実施の形態が1.99%であり、タング
ステン薄膜スパッタ陰極については、寿命試験500時
間でヒータ断線が生じた。上記結果より、本実施の形態
に係る陰極構体は、従来陰極とほぼ同等の寿命特性を持
つことが分かる。
【0246】また、本実施の形態によれば、半導体のチ
ップ製作と同じく基板上に陰極構体を複数個製作し、後
に分割しているため、同時に大量の陰極構体を製造する
事ができ、生産性の向上を図ることができる。
【0247】更に、本実施の形態によれば、絶縁基板に
形成された発熱体は、陰極基体に対向する高温加熱部
と、高温加熱部間に位置した低温加熱部とを有し、低温
加熱部は、発熱を抑制するように幅広に形成されてい
る。また、3つの発熱部の内、熱の逃げやすい両側の高
温加熱部は、中央の高温加熱部よりも発熱量が多くなう
ように形成されている。従って、3個の陰極基体を効率
よく、かつ、均一に加熱することができる。
【0248】次に、陰極基体と第1グリッドとの間隔を
高精度に保ために、陰極構体とグリッドとを一体的に構
成した種々の実施の形態について説明する。図42ない
し図43(d)に示すように、この発明の第21の実施
の形態に係る電子銃構体34は、陰極構体27と、この
陰極構体に固着されたグリッドユニット66とを備えて
いる。
【0249】陰極構体27はAPBNかなる絶縁基板2
1を備え、この絶縁基板は長さ8mm、幅1.5mm、
厚さ0.7mmの矩形状に形成されている。また、絶縁
基板21の一方の表面には、その長手方向に沿って所定
の間隔を置いて3つの凹所64aが形成されている。各
凹所64aは絶縁基板21の長手方向と直交して延びて
いる。
【0250】絶縁基板21の各凹所64a内には陰極基
体24が設けられている。この陰極基体24は、ニッケ
ル粉末と電子放射性物質とにより直径0.6mm、厚さ
0.5mmのペレット状に形成されている。陰極基体2
4の製造方法は、例えばニッケル粉末と電子放射性物質
とを70:30の組成比で混合し、十分に攪拌した後、
10トン/平方センチの圧力で加圧し、ペレット状とす
る。この際、約2%のパラフィンを同時に混合しておく
と、プレス後の陰極基体24の形状を保持するのに好都
合である。この陰極基体は、いわゆるモールドカソード
である。
【0251】そして、各陰極基体24は、各凹所64a
の底面に、APG層65、ニッケルからなる金属層22
bを介して接合されている。金属層22bは直径0.9
mm、厚さ0.005mmに形成されている。凹所64
aの底面に接合した状態において、陰極構体24の上面
は絶縁基板21の表面と同一の面内に位置している。ま
た、各陰極基体24には電極リード22aが接合されて
いる。
【0252】絶縁基板21の他方の面には、APG層を
パターニングすることにより形成されてた発熱体25が
設けられている。発熱体25は、通電することによりそ
れぞれ発熱する第1ないし第3の高温加熱部25a、2
5b、25cと、これらの高温加熱部間に形成された一
対の低温加熱部50と、絶縁基板21の長手方向両端部
にそれぞれ設けられた一対の電極51と、を有してい
る。
【0253】第1ないし第3の高温加熱部25a、25
b、25cは、それぞれ3個の陰極基体24と対向する
位置に設けられているとともに、ジグザグのパターンを
有し、線幅0.15mm、折返し部分間の隙間は0.1
mmに形成されている。絶縁基板21の内、陰極基体2
4が設けられている部分以外の箇所は加熱する必要がな
いため、一対の低温加熱部50および一対の電極51
は、絶縁基板21とほぼ等しい線幅となるように幅広に
形成され、通電時の発熱が抑制されている。
【0254】発熱体25の各電極51には、チタン等の
金属層26bを介して電極端子26が接合されている。
【0255】一方、陰極構体27に取り付けられる電子
銃のグリッドユニット66は、第1グリッド67、第2
グリッド68、およびそれらの間隙に挟持された電気的
の絶縁層よりなるスペーサ69を一体的に積層して構成
されている。第1および第2グリッド67、68はそれ
ぞれAPGより板状に形成され、スペーサ69はAPB
Nより形成されている。スペーサ69は例えば厚さ0.
1mmで、これにより第1グリッド67と第2グリッド
68との間を電気的に絶縁している。
【0256】そして、グリッドユニット66は、第1グ
リッド67が絶縁基板21の上面に接した状態で陰極構
体27に接合されている。第1グリッド67の内、絶縁
基板21に接合される接合部67aは、他の部分よりも
厚く突出して形成されている。各接合部67aは、陰極
基体27とグリッドユニット66との距離を設計寸法に
対し高精度に保ためのスペーサとしての機能も有してお
り、スペーサとしての突出高さは0.1mmとなってい
る。また、グリッドユニット66の内、3個の陰極構体
24と対向する部分には、陰極基体24から放出された
電子ビームを通過させるための貫通孔70がそれぞれ形
成されている。
【0257】そして、上記のように構成されたグリッド
ユニット66は、第1グリッド67の接合部67aを金
属層71を介して絶縁基板21表面に接合することによ
り、陰極構体27に固着されている。
【0258】次に、以上のように構成された電子銃構体
34の製造方法について説明する。まず、陰極構体27
を製造する場合には、前述した種々の実施の形態と同様
に、APBNからなる絶縁基板を形成した後、一方の表
面い深さが0.5mm±1μmの均一でかつ高精度の凹
部を形成する。続いて、絶縁基板の他方の表面にAPG
層を形成し、これをパターニングすることにより発熱体
を形成する。
【0259】その後、絶縁基板の各凹所の底面上に、A
PG層およびニッケル層を順番に形成し、更に、水素雰
囲気あるいは真空中で例えば1300℃程度に加熱し、
APG層の上にニッケルの金属層を形成する。続いて、
金属層上に、陰極基体24をレーザ溶接により固着す
る。
【0260】なお、この金属層としては、Ni,Ti,
Mo,W,Nb,Taまたはこれらのいずれか含む合金
から選ばれるいずれか1種であれば使用可能である。ま
た、金属層の形成方法としては、粉末を塗布形成後高温
加熱して形成する各種厚膜形成法、蒸着,スパッタリン
グ法などの各種薄膜形成法を採用することが可能であ
る。
【0261】この様にして陰極基体24を縁性基板21
に固着した後、陰極基体24の上面と縁性基板の表面と
が同一面上になるようにラッピングを行う。この際、例
えば直径20cm程度の大判基板に複数の陰極基体24
を固着した後、同時にラッピング処理することにより寸
法的に均一な複数の陰極構体を同時に製作することがで
き、大量生産に適している。また、第1グリッドと陰極
基体との間隔の高精度化を図ることができる。
【0262】次に、グリッドユニット66の製造方法に
ついて説明する。前述した絶縁基板21の場合と同様
に、スペーサ69となる所定厚さのAPBN基板を形成
し、その後、APBN基板の各面にAPGよりなる第1
グリッド67および第2グリッド68をCVD法で形成
する。続いて、第1グリッド67の表面に凸状の接合部
67aを形成するため、接合部67aのパターンとは逆
パターンの保護膜を第1グリッド表面に形成した後、R
IEを行い、第1グリッドの陰極基体と対向する領域を
薄くする。その後、保護膜を任意の手段により除去す
る。同様に方法によれい、第1および第2グリッド、並
びにスペーサに貫通孔70を形成する。
【0263】この際、第1グリッドの孔と第2グリッド
の孔との直径や形状が異なる場合には、それぞれ別々に
エッチングすることにより異形の貫通孔を形成すること
ができる。なお、貫通孔70は、機械加工により形成す
ることもできる。
【0264】以上の工程により第1グリッド67、第2
グリッド68、およびこれらの間に位置した電気的絶縁
物よりなるスペーサ69を積層配置した一体化のグリッ
ドユニット66が作成される。
【0265】以上のような製造方法は、グリッドユニッ
トを1個ごとに作成しても良く、また、例えば直径20
cm程度のAPBN基板を用いて、複数のグリッドユニ
ットを同時に作成する多数個取りとし、その後分割する
方法を採用しても良い。この場合、高精度の寸法精度を
有するグリッドユニット66を同時に大量に製造するこ
とができる。
【0266】続いて、上記のように作成された陰極構体
27およびグリッドユニット66を金属層71を介して
互いに接合する。すなわち、ろう材としての金属層71
を間に挟んで陰極構体27およびグリッドユニット66
を互いに位置決めし、加熱処理を行うことによってろう
付けする。これにより、電子銃構体が得られる。
【0267】以上のように構成された電子銃構体34
は、図44、45に示すように、支持フレーム、反射体
等を用いて電子管のネック内に組込まれている。すなわ
ち、支持フレーム72は平行に対向した一対の側壁72
aを有するほぼ矩形枠状に形成され、各側壁には固定ピ
ン73が突設されている。そして、支持フレーム72
は、これらの固定ピン73をビードガラス29に埋め込
むことにより、ビードガラスに固定されている。また、
各側壁72aの上端部は内側に折り曲げられてフランジ
72bを構成している。
【0268】そして、電子銃構体34は、支持フレーム
72の両側壁72a間に収容されているとともに、グリ
ッドユニット66のスペーサ69の上面側縁部がフラン
ジ72bの内面に接触している。また、両側壁72aの
下端部には板状の反射体75が固定されている。この反
射体75は、陰極構体27の電極端子26および電極リ
ード22aを除いて、絶縁基板21の発熱体形成面と対
向している。反射体75は、APBNからなる絶縁層7
4を介して発熱体25に当接し、電子銃構体34を側壁
72aのフランジ72bに押し付け保持している。反射
体75は、電子銃構体34を保持するとともに、発熱体
25からの熱を反射する役目を有している。また、絶縁
層74は発熱体25形成後、CVD法などにより絶縁基
板21上に形成することが可能である。なお、反射体7
5は、絶縁層74を介せず、所定間隙を介して電子銃構
体34と対向配置されていてもよい。
【0269】また、陰極構体27の一対の電極端子26
は、ステンレスよりなるヒータストラップ28を介して
ビードガラス29に固定されている。陰極構体27の各
陰極基体24から導出した電極リード22aは、陰極ス
トラップ33に接続されている。
【0270】なお、電子銃構体34を電子管に組み込む
場合には、電子銃構体を支持フレーム72内に挿入した
後、反射体75を支持フレームに装着し、この反射体と
支持フレームとを抵抗溶接などで溶接する。そして、バ
ーナで半溶融状態にしたビードガラス29に固定ピン7
3およびヒータストラップ28を埋め込み固定する。
【0271】なお、上述した説明においては、電子銃構
体34の陰極構体27とグリッドユニット66とは金属
層を介してろう付け固定する構成としたが、電子銃構体
を電子管に組込む際、支持フレーム72のフランジ72
bと反射体75との間に電子銃構体を挟持することによ
り、ろう付けを用いることなく、陰極構体27とグリッ
ドユニット66と機械的に密着させるようにしてもよ
い。
【0272】以上のように構成された本実施の形態に係
る電子銃構体によれば、前述した種々の実施の形態と同
様に、陰極構体および電子銃構体の長さを短縮すること
ができるとともに、省電力化および速動化を図ることが
できる。
【0273】これに加えて、本実施の形態によれば、A
PGなどより形成された第1および第2グリッドは、そ
れらの間隙にAPBNなどの電気的絶縁物よりなるスペ
ーサを配置することにより積層一体化され、かつこれら
は薄膜形成技術により形成されているため、従来の電子
銃用グリッドと異なり、個々の部品を作成する必要がな
く、高い寸法精度を維持でき、品質管理上高水準の電子
銃構体を得ることができる。
【0274】また、第1グリッドと3個の陰極基体との
間隔は、電子銃構体のばらつきを無くし、特性を一定に
するために極めて重要な因子である。本実施の形態にお
いては、3つの陰極基体を絶縁基板と共にラッピングし
て高さを揃えると共に、第1グリッドの凸部は、陰極基
体との距離が設計寸法に対し高精度で保たれるようにス
ペーサの役目を有しているため、高精度の管理ができ、
特性の極めて揃った電子銃構体が得られる。
【0275】更に、半導体チップの製造と同様に、陰極
構体およびグリッドユニットは、それぞれ同一基板上で
多数個同時に製造し、その後分割して製造することが可
能であるため、同時に同一精度のものを多量に製造する
ことができ、量産性に優れたものである。
【0276】図46は、本発明の第22の実施の形態に
係る電子銃構体を示している。この電子銃構体は、上述
した第21の実施の形態において、陰極基体24として
含浸型陰極を使用すると共に、絶縁基板21の上面に形
成されたAPG層76を形成し、ろう材としてのモリブ
デン−ニッケル(Mo−Ni)からなる金属層71を介
してグリッドユニット66および陰極構体27を接合し
たものである。
【0277】この場合、陰極基体24として含浸型陰極
を使用しているため、グリッドユニット66を陰極構体
27へ固着する際、高温に加熱することが可能となり、
高温ろう材の使用が可能となる。
【0278】上記電子銃構体を製造する場合には、絶縁
基板の表面および各凹所の底面に第1層としてCVD法
によりAPG層65、76を形成し、その際、絶縁基板
表面上に厚めにAPG層を形成する。陰極基体とAPG
層との接合を良好にするために、各凹所内に第2層とし
てTiあるいはモリブデン−ニッケル(Mo−Ni)な
どよりなる金属層22bを形成する。そして、水素雰囲
気あるいは真空中で例えば1600℃および1450℃
程度に加熱する。
【0279】次に、陰極基体24をAPG層65および
金属層22bにレーザを用いて溶接することにより、絶
縁基板21に固着する。続いて、絶縁基板21の表面に
形成されたAPG層76と陰極基体24の上面が同一面
上になるようにラッピングを行う。
【0280】更に、APG層76上にMo−Niからな
るろう材を塗布し、グリッドユニット66と絶縁基板2
1とを所定位置に配置し、水素雰囲気中あるいは真空中
で1450℃に加熱することにより、これらをろう付け
し電子銃構体を得る。
【0281】他の構成および製造方法は、第21の実施
の形態と同一であり、同一部分には同一の参照符号を付
してその詳細な説明を省略する。
【0282】図47に示す第23の実施の形態によれ
ば、絶縁基板21の表面にAPG層76を形成し、この
APG層単層を介して、グリッドユニット66を陰極構
体27に固着している。
【0283】また、図48に示す第24の実施の形態に
よれば、各陰極基体24を、APG層を介さず直接Ti
などよりなる金属層22b介して、絶縁基板21の凹所
64aに接合,固着している。
【0284】この場合、APG層を介さず金属層22b
のみで固着するため、その金属層として、Ti,Mo,
W,Nb,Taまたはそれらのいずれかを含む合金から
選ばれた1種を使用することができる。そして、金属層
22bのみにて陰極基体24を絶縁基板21に接合でき
るため、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0285】更に、図49に示す第25の実施の形態に
よれば、グリッドユニット66を第1グリッド67およ
びスペーサ69のみで構成している。この場合、第1グ
リッド67はAPGで形成されているため、そのAPG
単層体では強度を保つことができない恐れがあるため、
APBNのような電気的絶縁物よりなるスペーサ69を
基板として利用している。スペーサ69は必要に応じて
省略可能である。このような構成によれば、陰極基体、
および第1グリッド以外のグリッドは任意に選択し配置
することが可能となる。
【0286】なお、第23ないし第25の実施の形態に
おいて、他の構成および製造方法は、第21の実施の形
態と同一であり、同一部分には同一の参照符号を付して
その詳細な説明を省略する。
【0287】図50ないし50(c)は、本発明の第2
6の実施の形態に係る電子銃構体を示している。本実施
の形態は以下の構成において前述した第21の実施の形
態と相違している。つまり、本実施の形態によれば、陰
極構体における絶縁基板の陰極基体接合面は平坦に形成
されているとともに、グリッドユニットはスペーサを介
して陰極構体に接合され、更に、複数の陰極基体間に位
置した遮蔽板が設けられている。他の構成は第21の実
施の形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号
を付してその詳細な説明を省略する。
【0288】すなわち、図50に示すように、陰極基体
27の絶縁基板21は、対向する一対の平坦な表面を備
えたほぼ矩形状に形成され、その寸法は例えば長さ8m
m、幅1.5mm、厚さ0.3mmである。そして、3
個の陰極基体24は、絶縁基板21の一方の表面上に所
定の間隔をおいて並んで配置されている。各陰極基体2
4は、ニッケル粉末と電子放射物質とを圧粉してペレッ
ト状にして形成したもので、その直径は0.6mm、厚
さは0.5mmであり、2mmの間隔で設けられてい
る。また、各陰極基体24は金属層22bを介して絶縁
基板21に固着されている。
【0289】一方、グリッドユニット66は、スペーサ
77を介して絶縁基板21に接合され、3個の陰極基体
24と所定の間隔をおいて対向配置されている。スペー
サ77は、第1グリッド67に下面周縁部に沿った枠形
をなすもので、電気的絶縁材料、例えばAPBNにより
形成されている。そして、第1グリッド67の下面周縁
部および絶縁基板21の上面周縁部は、スペーサ44を
介して互いに接合されている。この状態で、陰極基体2
4の上面と第1グリッド67との間は例えば0.1mm
の間隔に保持されている。これにより陰極構体27とグ
リッドユニットとが一体的に固着されている。
【0290】また、隣り合う2つの陰極基体24間には
遮蔽板78がそれぞれ設けられている。これらの遮蔽板
78は、絶縁基板21の熱が第1グリッド67へ直接伝
わることを阻止した状態で配置され、電子銃構体24の
動作中に陰極基体24から蒸発する蒸発物が周辺に飛散
して絶縁基板21の面上に付着し堆積することを阻止す
る。
【0291】すなわち、各遮蔽板78は、電気的絶縁
物、例えばAPBNにより平板状に形成されている。そ
して、遮蔽板78は第1グリッド67に固定され、第1
グリッドから絶縁基板21へ向けてほぼ垂直に延びてい
るとともに、その延出端は、絶縁基板21に所定の隙間
をおいて対向している。
【0292】これにより、遮蔽板78はスペーサ77と
共同して各陰極基体24をほぼ包囲しており、電子銃構
体の動作中に陰極基体24から蒸発する蒸発物が周辺に
飛散することを阻止する。従って、遮蔽板78は、、陰
極基体24から蒸発する蒸発物が周辺の絶縁基板21面
上に付着し堆積することを防止し、その結果、各陰極基
体24から放出された電子が相互に漏洩し各陰極基体2
4の電子放出量が変動し、また各陰極基体24を独立し
て動作させることが困難になるという事態の発生を防止
できる。
【0293】上述した構成を有する電子銃構体24の
内、陰極構体27は前述した第21の実施の形態と同様
の製造方法によって製造される。また、グリッドユニッ
ト66は、図51(a)に示すように、前述した第21
の実施の形態と同様の製造方法により第1グリッド、ス
ペーサ、第2グリッドを積層して形成される。そして、
図51(b)および51(c)に示すように、遮蔽板7
8は、第1グリッド78の表面において遮蔽板78を形
成しない部分のみをマスキングし、APBNからを0.
5mmの高さに積層した後、マスキング層を除去するこ
とにより形成する。その後ダイシングを行い多数のグリ
ッドユニットに分割する。
【0294】続いて、図50に示すように陰極構体27
とグリットユニット66とを向き合わせて位置決めし、
APBNからなるスペーサ77を挟んで所定間隔を存し
て接合することにより電子銃構体34を製作する。
【0295】以上のように構成された本実施の形態に係
る電子銃構体によれば、前述した第21の実施の形態と
同様に、陰極構体および電子銃構体の長さを短縮するこ
とができるとともに、省電力化および速動化を図ること
ができる。
【0296】また、本実施の形態によれば、陰極基体2
7にスペーサ77を介してグリッドユニット66を一体
的に固着していることから、陰極基体27とグリッドユ
ニットの第1グリッド67との距離を高精度に設定する
ことができる。本電子銃構体34において、第1および
第2グリッド67、68は発熱体25と同じ材料である
APGにより形成され、各スペーサ69、77は絶縁基
板21と同じ材料であるAPBNを使用して形成されて
いる。そのため、熱膨張による陰極基体21と第1グリ
ッド67との間の距離の変化が極めて小さい高精度の組
み立てが可能となる。電子銃構体における陰極基体およ
びグリッドユニットは、CVD法によりウエハ状の製作
が可能であり量産性に優れている。
【0297】更に、本電子銃構体34によれば、絶縁基
板21と第1グリッド67との間で隣り合う陰極基体2
4間に設けた遮蔽板78により、陰極基体24から蒸発
する蒸発物が周辺に飛散することを阻止している。それ
により、陰極基体24から蒸発した蒸発物が陰極基体周
辺に飛散して絶縁基板21面上に堆積することを防止
し、各陰極基体の電子放出量が変動したり、あるいは、
各陰極基体を独立して動作させることが困難になるとい
う不具合を防止することができる。
【0298】例えば、本電子銃構体を組み込んだ電子管
に対して3000時間のライフ試験を実施し、その後電
子銃構体を分解し調査したところ、絶縁基板21上に陰
極基体24からの蒸発物は付着しておらず漏洩電流は発
生しなかった。また、ライフ試験中、電子管にはクロス
トークは発生せず、安定して勤作することが確認され
た。
【0299】そして、各遮蔽板78は第1グリッド67
に接合され絶縁基板21に接触しない高さを有している
ため、絶縁基板21の熱容量の増大を回避できるととも
に、絶縁基板21の熱が遮蔽板を介して第1グリッド6
7へ直接伝わることを阻止することができる。このた
め、発熱体25が陰極基体24を加熱するために発する
熱の損失を小さく抑え、陰極基体24を効率良く加熱す
ることができる。更に、遮蔽板78が絶縁基板21に設
けられていないので、絶縁基板21の形状が単純で陰極
基体33を容易に接合することができる。
【0300】図52に示す第27の実施の形態によう
に、各遮蔽板78を予め独立した部品として作成し、ろ
う材80を用いたろう付けにより第1グリッド67に固
着してもよい。ろう材80としては、例えばニッケルが
用いられている。この構成によれば、遮蔽板78を第1
グリッド67に対し確実に固着することができる。
【0301】また、図53に示す第28の実施の形態に
よれば、グリッドユニット66に形成された各貫通孔7
0は、段付の貫通孔に形成され、第1グリッド67から
スペーサ69の中間部まで延びた第1部分70aと、ス
ペーサ69の中間部から第2グリッド68まで延びた第
2部分70bと、を有している。そして、第2部分70
bの直径は第1部分70aの直径よりも大きく形成され
ている。
【0302】このような段付の貫通孔70を用いた場
合、電子銃構体34の動作中に陰極基体24からの蒸発
物が貫通孔70に侵入してその内面に付着堆積した場合
でも、第1および第2グリッド67、68間における電
流の漏洩を防止することができる。すなわち、貫通孔7
0の第2部分70bの直径を第1部分70aの直径より
も大きくすることにより、陰極基体24からの蒸発物が
貫通孔70の第2部分70bの内面に付着し堆積するこ
とを抑制することができる。これは、陰極基体24から
の蒸発物は、第1部分70aを通過する時にその大部分
が第1部分の内面に付着し、その後に第2部分70bに
侵入してその内面に付着する量が大幅に減少するためで
ある。これにより蒸発物の付着による第1および第2グ
リッド67、68間における電流の漏洩を防止すること
ができる。
【0303】図54に示す第29の実施の形態によれ
ば、各遮蔽板78はスペーサ69と一体に成形されてい
る。すなわち、APBNからなるスペーサ69におい
て、隣り合う陰極基体24間と対向する部分には、絶縁
基板21に向けて延びる遮蔽板78が一体に形成されて
いる。そして、第1グリッド67は、スペーサ69の表
面および各遮光板78の表面に連続して形成されてい
る。また、各遮光板78は、その表面に形成された第1
グリッド67が絶縁基板21の表面に接触しないような
突出高さに形成されている。
【0304】この場合、遮蔽板78はCVD法によりス
ペーサ69に一体に形成し、スペーサ69および遮蔽板
78の表面にCVD法により第1グリッド67を形成す
る。なお、貫通孔70は第1グリッド67を形成した後
に形成する。また、陰極基体24としては、酸化物型陰
極を用いる。
【0305】このような構成の第29の実施の形態によ
れば、遮蔽板78とグリッドユニット66との固着強度
が大なるを電子銃構体を得ることができる。
【0306】また、図55に示す第30の実施の形態に
よれば、遮蔽板78は絶縁基板21の表面に固着され、
隣り合う陰極基体24間に位置している。各遮蔽板78
は、第1グリッド67に向けて垂直に延びているととも
に、その先端が第1グリッド67に接触しない高さに形
成されている。
【0307】これらの遮蔽板78の役目は、陰極基体2
4の蒸発物が周辺に飛散することを阻止するものであ
る。また、各遮蔽板78は絶縁基板21の熱を第1グリ
ッド67に直接伝えることがなく、発熱体25の熱を陰
極基体24の加熱に有効に利用することができる。
【0308】なお、図52ないし図55に示した第27
ないし第30の実施の形態において、他の構成および製
造方法等は前述した第26の実施の形態と同一であり、
同一の部分には同一の参照符号を付している。また、こ
れら第27ないし第30の実施の形態の構成も、前述し
た第26の実施の形態の構成と同様に、電子銃構体にお
ける薄型化、低電力化、速動化、および陰極基体27と
第1のグリッド67との間の距離の高精度化を図ること
ができる。
【0309】次に、図56ないし図59を参照して、本
発明の第31の実施の形態に係る電子銃構体について説
明する。本実施の形態は、前述した第26の実施の形態
と比較して、遮蔽板が設けられていない点、および陰極
基体とグリッドユニットとを固着するスペーサの構成が
相違している。第26の実施の形態と同一の部分には同
一の参照符号を付している。
【0310】図56に示すように、本実施の形態によれ
ば、陰極基体27の絶縁基板21は、対向する一対の平
坦な表面を備えたほぼ矩形状に形成され、その寸法は例
えば長さ8mm、幅1.5mm、厚さ0.3mmであ
る。そして、3個の陰極基体24は、絶縁基板21の一
方の表面上に所定の間隔をおいて並んで配置されてい
る。各陰極基体24は、ニッケル粉末と電子放射物質と
を圧粉してペレット状にして形成され、金属層22bを
介して絶縁基板21に固着されている。また、絶縁基板
21の他方の表面には、APGからなる発熱体25が形
成されている。
【0311】一方、グリッドユニット66は、スペーサ
77を介して絶縁基板21に接合され、3個の陰極基体
24と所定の間隔をおいて対向配置されている。スペー
サ77は、第1グリッド67に下面周縁部に沿った枠形
をなすもので、電気的絶縁材料、例えばAPBNにより
形成されている。そして、第1グリッド67の下面周縁
部および絶縁基板21の上面周縁部は、スペーサ44を
介して互いに接合されている。この状態で、陰極基体2
4の上面と第1グリッド67との間は例えば0.1mm
の間隔に保持されている。これにより陰極構体27とグ
リッドユニットとが一体的に固着されている。
【0312】図56および図57に示すように、本実施
の形態において、スペーサ77は、絶縁基板21と第1
グリッド67との間に位置してこれらの隙間を規定する
スペーサ部77aと、絶縁基板21の表面に対して垂直
に延び絶縁基板の表面方向の位置を規制する固着位置決
め部77bと、を一体に有し、L字形の断面形状に形成
されている。すなわち、スペーサ77のスペーサ部77
aは、絶縁基板21の上面周縁部に当接する第1固着面
82a、第1グリッド67に当接する第2固着面82b
とを有し、これら第1、第2固着面は互いに並行に形成
されている。また、固着位置決め部77bは、第1固着
面82aに対して垂直に延びているとともに絶縁基板2
1の側縁に当接する位置決め面82cと、第1固着面8
2aと平行に延びているとともに発熱体25の電極25
bと面一に形成された第3固着面82dと、を有してい
る。
【0313】そして、スペーサ77の位置決め面82c
は、絶縁基板21の側縁に当接することにより、スペー
サ77を絶縁基板21に組合せる時の位置を決める役目
をなしている。すなわち、位置決め面82cは、陰極筐
体27とグリッドユニット66とを組合せて固着する上
で相互の位置関係を規定する役目をなしている。
【0314】また、スペーサ77の第3固着面82d
は、発熱体25の電極25bと共に、導電層26aを介
して電極端子26に固着されている。導電層26aとし
ては、ろう材として機能する例えばチタンが使用されて
いる。これにより、陰極基体27の絶縁基板21とスペ
ーサ77とが固着される。なお、導電層26aは、Ti
の他に、Ni、Mo、W、Nb、Ta、またはこれらの
いずれかを含む合金あるいは化合物から選ばれたいずれ
か1種よりなる層を使用することが可能である。
【0315】次に、本実施の形態に係る電子銃構体34
を製造する方法について説明する。陰極構体27は、前
述した実施の形態と同様の方法によってそれぞれ製造さ
れる。また、グリッドユニット66は、図58に示すよ
うに、CVD法によりスペーサ77、69にそれぞれ対
応するAPBN層84、86と、第1、第2グリッド6
7、68にそれぞれ対応するAPG層85、87とを交
互に4層積層形成するする。APBN層84は厚さ1m
m、APG層85は厚さ0.1mm、APBN層86は
厚さ0.32mm、APG層87は厚さ0.4mmであ
る。この積層体の面積は多数のグリットユニットを並べ
て材料取りできる大きさ、例えば直径20cmである。
【0316】続いて、図59に示すようにRIE法など
によりAPBN層84、86およびAPG層85、87
に貫通孔70を形成する。更に、RIE法により、AP
BN層84に段差(スペーサ部77aおよび固着位置決
め部77b)を形成する。最後に、ダイシングすること
によって多数のグリットユニット66に分割する。
【0317】次に、上記のようにスペーサ77を一体に
備えたグリッドユニット66と陰極構体27とを向き合
わせ、スペーサ77の第1固着面82aおよび位置決め
面82cを絶縁基板21の上面および側縁に密着させ
る。これにより、陰極基体27とグリッドユニット66
との距離は高精度に設定され、同時に、陰極基体27は
グリッドユニット66に対して所定の位置に正確に位置
決めされる。その後、発熱体25の電極25b表面およ
びスペーサ77の第3固着面82dに、電極端子26を
ろう材を介してレーザろう付けにより固着する。ろう材
としては、タンタル、ニオブ、モリブデン、タングステ
ンなどでを使用しても良好な固着が可能である。
【0318】以上のように構成された本実施の形態に係
る電子銃構体によれば、前述した第21の実施の形態と
同様に、陰極構体および電子銃構体の長さを短縮するこ
とができるとともに、省電力化および速動化を図ること
ができる。また、本実施の形態によれば、陰極基体27
にスペーサ77を介してグリッドユニット66を一体的
に固着していることから、陰極基体27とグリッドユニ
ットの第1グリッド67との距離を0.5%以下の誤差
で高精度に設定することができる。
【0319】また、ヒータ電圧を135%として、強制
寿命試験を行った結果、3000時間後のヒータ電流の
変化率は従来の電子銃構体および本実施の形態に係る電
子銃構体ともに2%程度であった。このことは陰極構体
とグリッドユニットとが充分な強度で固着されているこ
とを示している。更に、スペーサ77は、絶縁基板21
の側縁に当接した位置決め面82cを備えて構成されて
いることから、グリッドユニット66に絶縁基板21の
表面に沿った方向の概略が作用した場合でも、陰極基体
27とグリッドユニット66との固着状態を確実に維持
することができる。
【0320】特に、APBNからなるスペーサ77とA
PGからなる発熱体25とは、金属との濡れ性が悪いこ
と、熱膨張係数が極めて小さいこと、結晶方向による物
理特性が大きく異なることなどの特性を持っている。こ
のため、スペーサ77と発熱体25とをろう付けのみに
よって固着した場合には、絶縁基板27の表面方向に沿
った外力に対して固着強度が小さく、この外力を受けた
際に陰極構体27とグリッドユニット66とがずれてし
まうことがある。本実施の形態によれば、このような問
題を生じることなく、陰極基体27とグリッドユニット
66との強固に固着することができる。
【0321】さらに、本電子銃構体34では、第1、第
2グリッド67、68は発熱体25と同じ材料であるA
PGにより形成され、各スペーサ69、77は絶縁基2
1と同じ材料であるAPBNによって形成されているこ
とから、熱膨張によるグリッド間距離の変化が極めて小
さい高精度の組み立てが可能である。
【0322】図60は、本発明の第32の実施の形態に
係る電子銃構体をしている。本実施の形態において、第
31の実施の形態と同じ部分は同じ符号を付して示して
いる。本実施の形態によれば、グリッドユニット66に
設けるスペーサ77のスペーサ部77aと固着位置決め
部77bとを別体にして形成したものである。
【0323】すなわち、スペーサ77で、APBNから
なるスペーサ部77aと固着位置決め部77bとを有し
ている。スペーサ部77aは、板状に形成され、絶縁基
板21の表面と第1グリッド67との間に配置されて両
者に当接し、両者間の間隙を保持している。スペーサ部
77aは隣り合う陰極基体24間に配設されている。
【0324】固着位置決め部77bは、第1グリッド6
7の周縁部に固着された枠形をなすもので、絶縁基板2
1の側縁に当接した位置決め面82cを有し絶縁基板の
周囲を囲んで配置されている。また、位置決め固着部7
7bの先端面は、発熱体25の電極25cと面一の第3
固着面82dを有し、金属層26を介してヒータ電極2
6にろう付けされている。
【0325】図61は、本発明の第33の実施の形態に
係る電子銃構体をしている。本実施の形態において、第
31の実施の形態と同じ部分は同じ符号を付して示して
いる。本実施の形態によれば、スペーサ77は、APB
Nにより断面L字状に形成され、その第3固着面82d
は絶縁基板21の下面と同一平面に形成されているとと
もに、この第3固着面82dには、発熱体25の電極2
5bと同じ面を形成するAPGからなる固着層85が設
けられている。そして、スペーサ77のスペーサ部77
aは第1グリッド67に固着され、固着層85は、発熱
体25の電極25bとともにニッケルろう材からなる導
電層26aを用いて電極端子26にろう付けされてい
る。なお、固着層85は、APGの他にチタン、モリブ
デン、タングステン、タンタル、あるいはニオブにより
形成しても良い。
【0326】図62は、本発明の第34の実施の形態に
係る電子銃構体をしている。本実施の形態において、第
31の実施の形態と同じ部分は同じ符号を付して示して
いる。本実施の形態によれば、スペーサ77は、固着位
置決め部を省略しスペーサ部77aのみによって形成さ
れている。そして、スペーサ部77aは、絶縁基板21
の上面にろう付けして固着されている。
【0327】図63は、本発明の第35の実施の形態に
係る電子銃構体をしている。本実施の形態において、第
31の実施の形態と同じ部分は同じ符号を付して示して
いる。本実施の形態によれば、グリッドユニット66と
して2組のグリッドを設けずに、第1グリッド67のみ
を設けて構成したものである。
【0328】これら第32ないし第35の実施の形態の
構成も、前述した第31の実施の形態の構成と同様に電
子銃構体34の薄型化、低電力化、速動化、および陰極
基体27と第1グリッド67との間の距離の高精度化を
図ることができ、更に、電子銃構体における陰極基体2
7と第1グリッド67との固着強度を高めることができ
る。
【0329】図64は、本発明の第36の実施の形態に
係る電子銃構体をしている。本実施の形態において、第
31の実施の形態と同じ部分は同じ符号を付して示して
いる。本実施の形態によれば、スペーサ77は、APB
Nにより絶縁基板21の周縁部には絶縁基板と一体に形
成されている。すなわち、スペーサ77は、絶縁基板2
1の上面周縁部に立設された枠状のスペーサ部77a
と、スペーサ部から上方へ突出しグリッドユニット66
の外周を囲んだ固着位置決め部77bと、を一体に備え
ている。スペーサ部77aは、絶縁基板21の上面と平
行で第1グリッド67の下面に固着された第2固着面8
2bを有している。また、固着位置決め部77bは、第
2固着面82bに対して垂直に延びた位置決め面82c
を有し、この位置決め面82cは、グリッドユニット6
6の周側面(第1グリッド67の周側面、グリッド間ス
ペーサ69の周側面、および第2グリッド68の周側
面)にろう付けによって固着されている。ろう付けに
は、例えばチタンろう、その他、ニオブ、タンタル、モ
リブデン、タングステン等が用いられる。
【0330】本実施の形態においても、前述した第31
の実施の形態と同様に電子銃構体における薄型化、低電
力化、速動化、および陰極基体27と第1グリッド67
との間の距離の高精度化を図ることができ、更に、陰極
基体27と第1グリッド67との固着強度を高めること
ができる。
【0331】なお、本発明は前述した実施の形態に限定
されずに、種々変形して実施することができる。例え
ば、前述した実施の形態においては、単一の電子銃を備
えた電子管について説明したが、この発明は図65およ
び図66に示すような、複数の電子銃を備えた電子管に
ついても適用可能である。
【0332】すなわち、図65および図66に示す電子
管は、内面に蛍光体スクリーン97が形成された平坦な
フェースプレート91と、フェースプレート91に対向
した設けられた平坦なリアプレート92と、フェースプ
レート91とリアプレート92との周縁部を連結した枠
状の側壁93とを備えている。フェースプレート91の
内側には、蛍光体スクリーンに対向したシャドウマスク
94が設けられている。また、リアプレート92には、
多数のファンネル95が縦横に並んで取付けられ、各フ
ァンネル95のネック内に陰極構体27および電子銃構
体34を有する電子銃96が装着されている。
【0333】そして、複数の電子銃96から放出された
電子ビームにより、蛍光体スクリーンを複数の領域に分
けて走査し、各領域に描かれた画像を繋げて1つの大き
な画像を表示する。
【0334】このように構成された電子管においても、
各電子銃構体34の短縮化、省電力化および速動化を図
ることにより、電子管全体の短縮化、省電力化および速
動化図を図ることができる。薄型の表示装置に適した電
子管を得ることができる。
【0335】また、本発明の陰極構体、電子銃構体、電
子銃用グリッド、電子管およびヒータは、以上説明した
実施の形態の構成およびそれらに使用される材料のもの
に限定されるものではなく、種々の形態および材料が適
用可能であり、意図する特性、用途に対して種々変更可
能である。
【0336】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明に係る陰
極構体は、対向する一対の面を有する熱伝導性の絶縁基
板と、この絶縁基板の一面に設けられた陰極基体と、前
記絶縁基板の他面に設けられ前記陰極基体を加熱する発
熱体と、を備え、導電層を介して発熱体に電極端子を接
合する構成としたことにより、絶縁基板と発熱体とで構
成されるヒータの長さを従来に比較して大幅に短縮で
き、またヒータ電力を低減するとともに速動性を向上で
きる。同時に、電極端子を発熱体に対して強固に接合す
ることができる。
【0337】更に、この発明によれば、上述した構成の
陰極構体に、陰極基体に対向してグリッドを設けている
ため、短縮化、省電力化および速動化を図った電子銃構
体を得ることができる。
【0338】更に、本発明の電子銃用グリッドユニット
によれば、電子銃構体の短縮化を図ることができる。
【0339】本発明に係るヒータによれば、窒化ほう素
からなる絶縁基板と、この絶縁基板に設けられた黒鉛か
らなる発熱体と、この発熱体に導電層を介して接合され
た電極端子と、を具備するので、発熱体と電極端子とを
簡単且つ強固に接続でき、特に陰極構体に適したヒータ
を得ることができる。
【0340】更に、この発明の電子銃構体によれば、陰
極構体の絶縁基板に第1グリッドを備えたグリッドユニ
ットを一体的に接合することにより、従来に比較して全
長の大幅な短縮化,ヒータ電力の低減化,速動化さらに
は第1グリッドと陰極構体との間隙の高精度化を図った
電子銃構体を得ることができる。
【0341】また、この発明によれば、陰極構体の隣り
合う陰極基体間に遮蔽板を設けることにより、陰極基体
から蒸発する蒸発物が周辺に飛散することを阻止し、電
子が相互に漏洩し各陰極基体の電子放出量が変動した
り、また独立に各陰極基体を動作させることが困難にな
るという事態の発生を防止できる。
【0342】更に、この発明によれば、陰極構体とグリ
ッドユニットとをスペーサを介して互いに接合し、この
スペーサによって陰極構体の位置決めを行う構成とする
ことにより、薄型化、低電力化、速動化、および陰極構
体とグリッドとの間の距離の高精度化、固着強度の向上
が可能な電子銃構体、および電子管を提供することがで
きる。
【0343】また、本発明によれば、前述した構成の陰
極構体を並列して設けることにより、短縮化、省電力化
および速動化を図った陰極構体を有する電子銃構体を構
成し、カラー受像管に適してた電子管、および薄型の表
示装置に適した電子管を得ることができる。
【0344】この発明によれば、窒化ほう素により所定
厚の絶縁基板を形成し、前記絶縁基板の一方の表面に、
黒鉛層を形成し、前記黒鉛層をパターニングして所定パ
ターンの発熱体を複数形成し、前記絶縁基板の他方の面
に導電層を介して複数の陰極基体を接合し、前記発熱体
および陰極基体の設けられた絶縁基板を複数に分割して
複数の陰極構体を形成し、前記各陰極構体の発熱体の電
極に導電層を介して電極端子を固着することにより、陰
極構体を量産可能な陰極構体の製造方法を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係る電子管を一
部破断して示す側面図。
【図2】前記電子管に組込まれた電子銃構体を示す断面
図。
【図3】前記電子構体の一部を構成する陰極構体の平面
図。
【図4】図3の線IV−IVに沿った断面図。
【図5】前記陰極構体における発熱体形成部を示す平面
図。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る陰極構体にお
ける発熱体形成部を示す平面図。
【図7】図6の線VII−VIIに沿った断面図。
【図8】含浸型陰極基体を用いた陰極構体における陰極
基体形成部の一例を示す平面図。
【図9】含浸型陰極基体を用いた陰極構体の一例を示す
断面図。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る電子管の電
子銃構体を示す断面図。
【図11】同実施の形態の電子管に設ける陰極構体にお
ける陰極基体形成部を示す平面図。
【図12】図11の線XII−XIIに沿った断面図。
【図13】第3の実施の形態において陰極構体を作成す
る工程を示す断面図。
【図14】第3の実施の形態において陰極構体を作成す
る工程を示す断面図。
【図15】本発明の第4の実施の形態に係る陰極構体を
示す断面図。
【図16】本発明の第5の実施の形態に係る陰極構体を
示す断面図。
【図17】本発明の第6の実施の形態に係る陰極構体を
示す断面図。
【図18】前記陰極構体における立上り特性を示す線
図。
【図19】本発明の第7の実施の形態に係る電子管にお
ける電子銃構体を示す断面図。
【図20】本発明の第8の実施の形態に係る陰極構体を
示す断面図。
【図21】本発明の第9の実施の形態に係る陰極構体を
示す断面図。
【図22】本発明の第10の実施の形態に係る陰極構体
を示す断面図。
【図23】本発明の第11の実施の形態に係る陰極構体
を示す断面図。
【図24】本発明の第12の実施の形態に係る陰極構体
を示す断面図。
【図25】本発明の第13の実施の形態に係る陰極構体
を示す断面図。
【図26】本発明の第14の実施の形態に係る陰極構体
を示す断面図。
【図27】前記陰極構体の立上り特性を示す線図。
【図28】前記陰極構体の発熱体温度の安定性を示す線
図。
【図29】本発明の第15の実施の形態に係る陰極構体
を示す平面図および断面図。
【図30】第15の実施の形態における陰極構体の製造
過程を示す図。
【図31】本発明の第16の実施の形態に係る陰極構体
を示す平面図および断面図。
【図32】第16の実施の形態における陰極構体の製造
過程を示す図。
【図33】本発明の第17の実施の形態に係る陰極構体
を示す平面図および断面図。
【図34】本発明の第18の実施の形態に係る陰極構体
を示す平面図および断面図。
【図35】本発明の第19の実施の形態に係る陰極構体
を示す平面図および断面図。
【図36】本発明の第20の実施の形態に係る電子銃構
体の平面図。
【図37】第20の実施の形態に係る電子銃構体の一部
を破断して示す側面図。
【図38】第20の実施の形態に係る電子銃構体の陰極
構体を示す図。
【図39】第20の実施の形態に係る陰極構体の電極端
子を示す斜視図。
【図40】前記電極端子の正面図。
【図41】第20の実施の形態に係る陰極構体の製造工
程を概略的に示す図。
【図42】本発明の第21の実施の形態に係る電子銃構
体を示す断面図。
【図43】前記電子銃構体の各部の構成を示す平面図お
よび断面図。
【図44】前記電子銃構体を電子管に組み込んだ状態を
示す図42の線XXXXIV−XXXXIVに沿った断
面図。
【図45】前記電子銃構体を電子管に組み込んだ状態を
示す図42の線XXXXV−XXXXVに沿った断面
図。
【図46】本発明の第22の実施の形態に係る電子銃構
体を示す断面図。
【図47】本発明の第23の実施の形態に係る電子銃構
体を示す断面図。
【図48】本発明の第24の実施の形態に係る電子銃構
体を示す断面図。
【図49】本発明の第25の実施の形態に係る電子銃構
体を示す断面図。
【図50】本発明の第26の実施の形態に係る電子銃構
体を示す断面図。
【図51】前記電子銃構体のグリットユニットおよび遮
光板の製造方法を示す図。
【図52】本発明の第27の実施の形態に係る電子銃構
体を示す断面図。
【図53】本発明の第28の実施の形態に係る電子銃構
体を示す断面図。
【図54】本発明の第29の実施の形態に係る電子銃構
体を示す断面図。
【図55】本発明の第30の実施の形態に係る電子銃構
体を示す断面図。
【図56】本発明の第31の実施の形態に係る電子銃構
体を示す断面図。
【図57】前記電子銃構体の発熱体、スペーサ、ヒータ
電極端子の接合部を示す平面図。
【図58】前記電子銃構体におけるグリッドユニットを
製造する工程を示す図。
【図59】前記電子銃構体を示す断面図。
【図60】本発明の第32の実施の形態に係る電子銃構
体を示す断面図。
【図61】本発明の第33の実施の形態に係る電子銃構
体を示す断面図。
【図62】本発明の第34の実施の形態に係る電子銃構
体を示す断面図。
【図63】本発明の第35の実施の形態に係る電子銃構
体を示す断面図。
【図64】本発明の第36の実施の形態に係る電子銃構
体を示す断面図。
【図65】本発明の陰極基体、電子銃構体を組込んだ他
の電子管の実施の形態を示す斜視図。
【図66】前記電子管の一部を破断して示す斜視図。
【図67】従来の電子銃構体を示す断面図。
【符号の説明】
21…絶縁基板、 22…基体金属、 22a…電極リード 22b…金属層 24…陰極基体、 25…発熱体、 25a…高温加熱部 50…低温加熱部 26…ヒータ電極端子 26a…導電層 27…陰極構体、 29…ビードガラス、 30…第1グリッド、 32…反射体、 34…電子銃構体、 35…電子管、 36…電気的絶縁層 37…反射層、 39、40…切欠 42…電極リード 44…APG層 60a…第1端子板 60b…第2端子板 62…アーム 66…グリッドユニット 67…第1グリッド 68…第3グリッド 69…スペーサ 70…貫通孔 77…スペーサ 77a…スペーサ部 77b…固着位置決め部 82a…第1固着面 82b…第2固着面 83c…位置決め面 83d…第3固着面 78…遮蔽板 101…絶縁基板、 102…発熱体、 105…陰極基体、 107…電極端子、 108…導電層、 110…導電層、 120…ヒータ。
フロントページの続き (72)発明者 樋口 敏春 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 木村 栄 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 高橋 秀治 神奈川県川崎市川崎区日進町7番地1 東 芝電子エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 腰越 真平 埼玉県深谷市幡羅町1丁目9番2号 株式 会社東芝深谷電子工場内 (72)発明者 藤内 巧 兵庫県姫路市余部区上余部50番地 株式会 社東芝姫路工場内

Claims (52)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対向する一対の面を備え熱伝導性を有する
    絶縁基板と、 前記絶縁基板の一面に設けられた陰極基体と、 前記絶縁基板の他面に設けられ前記陰極基体を加熱する
    発熱体と、 前記発熱体上に形成された導電層を介して前記発熱体に
    接合された電極端子と、 を具備したことを特徴とする陰極構体。
  2. 【請求項2】前記絶縁基板は窒化ほう素により形成さ
    れ、前記発熱体は絶縁基板の他面に形成された黒鉛層を
    パターニングして形成されていることを特徴とする請求
    項1に記載の陰極構体。
  3. 【請求項3】上記導電層は、ニッケル、チタン、モリブ
    デン、タングステン、ニオブ、タンタル、またはこれら
    のいずれかを含む合金あるいは化合物から選ばれたいず
    れか1種よりなる金属層により形成されている特徴とす
    る請求項1又は2に記載の陰極構体。
  4. 【請求項4】前記導電層は、上記発熱体を形成した前記
    黒鉛層上に塗布された金属粉末を加熱処理することによ
    り形成された前記黒鉛層と金属粉末との反応層で構成さ
    れていることを特徴とする請求項2に記載の陰極構体。
  5. 【請求項5】前記陰極基体は、チタン、モリブデン、タ
    ングステン、ニオブ、タンタル、またはこれらのいずれ
    かを含む合金あるいは化合物から選ばれたいずれか1種
    よりなる層を介して前記絶縁基板に接合されていること
    を特徴とする請求項1に記載の陰極構体。
  6. 【請求項6】前記陰極基体は、ニッケル、チタン、モリ
    ブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、またはこれ
    らのいずれかを含む合金あるいは化合物から選ばれたい
    ずれか1種よりなる層、および黒鉛層を介して前記絶縁
    基板に接合されていることを特徴とする請求項1に記載
    の陰極構体。
  7. 【請求項7】前記陰極基体は、前記絶縁基板に直接接合
    されていることを特徴とする請求項1に記載の陰極構
    体。
  8. 【請求項8】前記陰極基体、ニッケル、チタン、モリブ
    デン、タングステン、ニオブ、タンタル、またはこれら
    のいずれかを含む合金あるいは化合物から選ばれたいず
    れか1種よりなる層、または黒鉛層、の少なくとも1部
    に前記陰極基体用の電極リードが接合されていることを
    特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の陰
    極構体。
  9. 【請求項9】前記絶縁基板の他面に前記発熱体に重ねて
    形成された電気的絶縁層と、前記電気的絶縁層上に形成
    され前記発熱体から発する熱を前記絶縁基板側へ反射す
    る反射層と、を備えたことを特徴とする請求項1ないし
    8のいずれか1項に記載の陰極構体。
  10. 【請求項10】前記絶縁基板の他面に空間部を介して対
    向配置され前記発熱体から発する熱を前記絶縁基板側へ
    反射する反射体を備えたことを特徴とする請求項1ない
    し8のいずれか1項に記載の陰極構体。
  11. 【請求項11】前記絶縁基板は、前記電極端子が接続さ
    れた第1接合部と、前記陰極基体が接合された第2接合
    部と、を有し、前記第1および第2接合部で挟まれる部
    分の断面積は、前記第1および第2接合部の夫々の断面
    積よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項
    1に記載の陰極構体。
  12. 【請求項12】前記絶縁基板は、前記第1接合部と第2
    接合部との間に形成され前記絶縁基板の一方の表面に開
    口した切欠を備えていることを特徴とする請求項11に
    記載の陰極基体。
  13. 【請求項13】前記絶縁基板に前記陰極基体が複数個設
    けられ、前記絶縁基板は、隣り合う陰極基体間に設けら
    れた切欠を備えていることを特徴とする請求項11又は
    12に記載の陰極構体。
  14. 【請求項14】前記陰極基体に導通した帯状の電極リー
    ドを備え、前記電極リードは前記絶縁基板および発熱体
    を外側から挟み込むように折り曲げた状態で絶縁基板に
    固着されていることを特徴とする請求項1に記載の陰極
    構体。
  15. 【請求項15】前記発熱体に接合された電極端子は、前
    記絶縁基板および発熱体を外側から挟み込むように折り
    曲げた状態で前記絶縁基板に固着されていることを特徴
    とする請求項1又は14に記載の陰極構体。
  16. 【請求項16】前記陰極基体は、ニッケル、チタン、モ
    リブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、またはこ
    れらのいずれかを含む合金あるいは化合物から選ばれた
    いずれか1種よりなる層を介して前記絶縁基板に接合さ
    れ、前記電極リードは前記層と一体的に形成されている
    ことを特徴とする請求項14又は15に記載の陰極構
    体。
  17. 【請求項17】前記絶縁基板の前記陰極基体が接合され
    た部分、および前記電極端子が接合された部分は、絶縁
    基板の幅方向に突出して形成され、他の部分よりも幅広
    に形成されていることを特徴とする請求項14に記載の
    陰極構体。
  18. 【請求項18】前記陰極基体は、ニッケル、チタン、モ
    リブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、またはこ
    れらのいずれかを含む合金あるいは化合物から選ばれた
    いずれか1種よりなる層に接合されているとともにフラ
    ンジを有する基体金属を備えていることを特徴とする請
    求項5又は6に記載の陰極構体。
  19. 【請求項19】前記絶縁基板上に複数個の前記陰極基体
    が所定の間隔を置いて設けられ、前記発熱体は、それぞ
    れ前記陰極基体と対向して設けられた高温発熱部と、隣
    り合う発熱部間に設けられた低温発熱部と、を有し、前
    記高温発熱部は、前記低温非発熱部に比較して細い線幅
    に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の陰
    極構体。
  20. 【請求項20】対向する一対の面を備え熱伝導性を有す
    る絶縁基板と、前記絶縁基板の一面に設けられた陰極基
    体と、前記絶縁基板の他面に設けられ前記陰極基体を加
    熱する発熱体と、前記発熱体上に形成された導電層を介
    して前記発熱体に接合された電極端子と、を備えた陰極
    構体と、 前記陰極基体と所定の隙間をおいて対向配置されたグリ
    ッドと、 を具備したことを特徴とする電子銃構体。
  21. 【請求項21】対向する一対の面を備え熱伝導性を有す
    る絶縁基板と、 前記絶縁基板の一面に設けられた陰極基体と、前記絶縁
    基板の他面に設けられ前記陰極基体を加熱する発熱体
    と、前記発熱体上に形成された導電層を介して前記発熱
    体に接合された電極端子と、を備えた陰極構体と、 絶縁体から形成され前記発熱体と所定の間隔をおいて対
    向したベース板と、上記ベース板から突出した複数の支
    持ピンと、を有し、前記陰極構体を支持したホルダと、
    を具備し、 前記陰極構体の電極端子は、前記絶縁基板から延出して
    いるとともに前記ホルダの支持ピンに固定されたアーム
    を備えていることを特徴とする電子銃構体。
  22. 【請求項22】対向する一対の面を備え熱伝導性を有す
    る絶縁基板と、前記絶縁基板の一面に設けられた陰極基
    体と、前記絶縁基板の他面に設けられ前記陰極基体を加
    熱する発熱体と、を備えた陰極構体と、 前記陰極基体と所定の隙間をおいて対向配置されたグリ
    ッドを有するグリッドユニットと、 を具備したことを特徴とする電子銃構体。
  23. 【請求項23】前記グリッドは、前記陰極構体の絶縁基
    板に固着されていることを特徴とする請求項22に記載
    の電子銃構体。
  24. 【請求項24】前記グリッドユニットは、前記絶縁基板
    に固着された第1グリッドと、電気的な絶縁層を間に挟
    んで第1グリッドと一体的に積層された第2グリッド
    と、を備えていることを特徴とする請求項23に記載の
    電子銃構体。
  25. 【請求項25】前記第1および第2グリッドは黒鉛によ
    り形成され、前記絶縁層は窒化ほう素により形成されて
    いるとを特徴とする請求項23に記載の電子銃構体。
  26. 【請求項26】前記絶縁基板と前記第1グリッドとの間
    に、前記第1グリッドおよび前記陰極基体の間隙を保持
    するスペーサが配置されていることを特徴とする請求項
    23又は25に記載の電子銃構体。
  27. 【請求項27】前記スペーサは第1グリッドの前記絶縁
    基板側表面に設けられた凸部により構成されていること
    を特徴とする請求項26に記載の電子銃構体。
  28. 【請求項28】前記絶縁基板は一面に形成された凹部を
    有し、前記陰極基体は前記凹部に配置されているととも
    に、前記第1グリッドは前記スペーサを介して前記絶縁
    基板の一面に固定されていることを特徴とする請求項2
    6に記載の電子銃構体。
  29. 【請求項29】前記絶縁基板と前記グリッドの周縁部を
    接合したスペーサと、前記絶縁基板と前記グリッドとで
    挟まれる空間において前記絶縁基板の熱が前記グリッド
    へ直接伝わらない状態で配置され前記陰極基体の蒸発物
    が前記陰極基体の周辺に飛散することを阻止する遮蔽板
    と、を具備したことを特徴とする請求項23に記載の電
    子銃構体。
  30. 【請求項30】前記遮蔽板は、前記グリッドから前記絶
    縁基板に向けて延びているとともに、前記絶縁基板に対
    して隙間をおいて対向していることを特徴とする請求項
    29に記載の電子銃構体。
  31. 【請求項31】前記遮蔽板は、前記絶縁基板から前記グ
    リッドに向けて延びているとともに、前記グリッドに対
    して隙間をおいて対向していることを特徴とする請求項
    30に記載の電子銃構体。
  32. 【請求項32】前記遮蔽板は前記グリッドに接合されて
    いることを特徴とする請求項29に記載の電子銃構体。
  33. 【請求項33】前記グリッドユニットは、前記遮蔽板と
    一体に成形された電気的絶縁物を有し、前記グリッドは
    前記電気的絶縁物質に重ねて形成されていることを特徴
    とする請求項29に記載の電子銃構体。
  34. 【請求項34】前記グリッドユニットは、前記第1グリ
    ッド、絶縁層、第2グリッドを貫通して延びているとと
    もに前記陰極基体と対向した貫通孔を有し、前記貫通孔
    は、前記第1グリッドから前記絶縁層まで延びる第1部
    分と、前記絶縁層から第2グリッドまで延びる第2部分
    とを備え、前記第2部分は第1部分よりも大きな径に形
    成されていることを特徴とする請求項24に記載の電子
    銃構体。
  35. 【請求項35】前記グリッドに固着された電気的絶縁物
    からなるスペーサを備え、前記スペーサは、前記絶縁基
    板の前記陰極基体接合面に当接した固着面を有するスペ
    ーサ部と、前記固着面に対して垂直に延び、前記絶縁基
    板の側縁に当接した位置決め面を有する固着位置決め部
    と、を備えていることを特徴とする請求項23に記載の
    電子銃構体。
  36. 【請求項36】前記固着位置決め部は、前記絶縁基板の
    前記発熱体形成面に固着された固着面を有していること
    を特徴とする請求項35に記載の電子銃構体。
  37. 【請求項37】前記スペーサは窒化ほう素により形成さ
    れていることを特徴とする請求項35に記載の電子銃構
    体。
  38. 【請求項38】前記グリッドと前記スペーサとは、ろう
    付け、レーザ溶接およびTig溶接のいずれか、または
    これらの組合せにより固着されていることを特徴とする
    請求項35に記載の電子銃構体。
  39. 【請求項39】前記絶縁基板の周縁部に固着された電気
    的絶縁物からなるスペーサを備え、前記スペーサは、前
    記グリッドに当接した固着面を有するスペーサ部と、前
    記固着面に対して垂直に延び、前記グリッドの側縁に当
    接した位置決め面を有する固着位置決め部と、を備えて
    いることを特徴とする請求項23に記載の電子銃構体。
  40. 【請求項40】前記スペーサの固着部は、前記グリッド
    における前記絶縁基板と反対側の面に固着されているこ
    とを特徴とする請求項39に記載の電子銃構体。
  41. 【請求項41】前記絶縁基板は、前記グリッドの側面に
    当接して前記絶縁基板に対する位置決めを行う位置決め
    面を有していることを特徴とする請求項23に記載の電
    子銃構体。
  42. 【請求項42】前記スペーサは、窒化ほう素により前記
    絶縁基板と一体に形成されていることを特徴とする請求
    項39に記載の電子銃構体。
  43. 【請求項43】フェースパネルを有する真空外囲器と、 前記フェースパネルの内面に形成された蛍光体層と、 対向する一対の面を備え熱伝導性を有する絶縁基板と、
    前記絶縁基板の一面に設けられた陰極基体と、前記絶縁
    基板の他面に設けられ前記陰極基体を加熱する発熱体
    と、前記発熱体上に形成された導電層を介して前記発熱
    体に接合された電極端子と、前記陰極基体と所定の隙間
    をおいて対向配置されたグリッドと、を有し、前記蛍光
    体層に向けて電子ビームを放出する電子銃構体と、 前記真空外囲器内で前記蛍光体層と前記電子銃構体との
    間に配置されたシャドウマスクと、 を具備したことを特徴とする電子管。
  44. 【請求項44】フェースプレートと、前記フェースプレ
    ートに対向したリアプレートと、を有する外囲器と、 前記フェースプレートの内面に形成された蛍光体スクリ
    ーンと、 前記リアプレートに設けられ、前記蛍光体スクリーンを
    電子ビームにより複数の領域に分けて走査する複数の電
    子銃構体と、を備え、 各電子銃構体は、対向する一対の面を備え熱伝導性を有
    する絶縁基板と、前記絶縁基板の一面に設けられた陰極
    基体と、前記絶縁基板の他面に設けられ前記陰極基体を
    加熱する発熱体と、前記発熱体上に形成された導電層を
    介して前記発熱体に接合された電極端子と、前記陰極基
    体と所定の隙間をおいて対向配置されたグリッドと、を
    備えていることを特徴とする電子管。
  45. 【請求項45】フェースプレートと、前記フェースプレ
    ートに対向したリアプレートと、を有する外囲器と、 前記フェースプレートの内面に形成された蛍光体スクリ
    ーンと、 前記リアプレートに設けられ、前記蛍光体スクリーンを
    電子ビームにより複数の領域に分けて走査する複数の電
    子銃構体と、を備え、 各電子銃構体は、対向する一対の面を備え熱伝導性を有
    する絶縁基板と、前記絶縁基板の一面に設けられた陰極
    基体と、前記絶縁基板の他面に設けられ前記陰極基体を
    加熱する発熱体と、前記発熱体上に形成された導電層を
    介して前記発熱体に接合された電極端子と、前記陰極基
    体と所定の隙間をおいて対向配置されたグリッドと、を
    備えていることを特徴とする電子管。
  46. 【請求項46】窒化ほう素からなる絶縁基板と、 前記絶縁基板の表面上に形成され黒鉛からなる発熱体
    と、 前記発熱体に導電層を介して接合された電極端子と、を
    具備したことを特徴とするヒータ。
  47. 【請求項47】ろう材は、ニッケル、チタン、モリブデ
    ン、タングステン、ニオブ、タンタル、またはこれらの
    いずれかを含む合金から選ばれた1種であることを特徴
    とする請求項46に記載のヒータ。
  48. 【請求項48】電子管の陰極構体を製造する陰極構体の
    製造方法において、 熱伝導性を有する絶縁基板の一方の表面に、黒鉛層を形
    成し、 前記黒鉛層をパターニングして所定パターンの発熱体を
    形成し、 前記絶縁基板の他方の面に導電層を介して陰極基体を接
    合し、 前記発熱体の電極に導電層を介して電極端子を固着する
    ことを特徴とする陰極構体の製造方法。
  49. 【請求項49】電子管の陰極構体を製造する陰極構体の
    製造方法において、 窒化ほう素により所定厚の絶縁基板を形成し、 前記絶縁基板の一方の表面に、黒鉛層を形成し、 前記黒鉛層をパターニングして所定パターンの発熱体を
    複数形成し、 前記絶縁基板の他方の面に導電層を介して複数の陰極基
    体を接合し、 前記発熱体および陰極基体の設けられた絶縁基板を複数
    に分割して複数の陰極構体を形成し、 前記各陰極構体の発熱体の電極に導電層を介して電極端
    子を固着することを特徴とする陰極構体の製造方法。
  50. 【請求項50】電子管の陰極構体を製造する陰極構体の
    製造方法において、 熱伝導性を有する絶縁基板の両面に、黒鉛層を形成し、 前記絶縁基板の一方の面に形成された黒鉛層をパターニ
    ングして所定パターンの発熱体を形成し、 前記絶縁基板の他方の面に形成された黒鉛層上の所定位
    置に金属粉末をコーティングし、 前記コーティングされた金属粉末を加熱、焼結して多孔
    質金属層を形成し、 前記多孔質金属層をパターニングして所定パターンの陰
    極基体金属を形成し、 前記陰極基体金属に電子放射性物質を含浸して陰極基体
    を形成することを特徴とする陰極構体の製造方法。
  51. 【請求項51】熱伝導性を有する絶縁基板の一面に発熱
    体を形成する工程と、 前記絶縁基板の他面に陰極基体を形成する工程と、 電気的絶縁物の表面にグリッドを形成する工程と、 前記グリッドの表面に前記絶縁基板の熱が前記グリッド
    へ直接伝わらない状態にして前記陰極基体の蒸発物が前
    記陰極基体の周辺に飛散することを阻止する遮蔽板を設
    ける工程と、 前記熱伝導性絶縁基板と前記グリッドとをスペーサで接
    合する工程とを具備することを特徴とする電子銃構体の
    製造方法。
  52. 【請求項52】熱伝導性を有する絶縁基板の一面に発熱
    体を形成する工程と、 前記絶縁基板の他面に陰極構体を形成する工程と、 グリッドとスペーサ部および固着部を有する固着スペー
    サとを積層したものを得る工程と、 前記固着スペーサのスペーサ部を前記絶縁基板の他面に
    載せ前記固着部を前記スペーサ部から外れて前記絶縁基
    板に固着する工程と、 を具備することを特徴とする電子銃構体の製造方法。
JP13134697A 1996-05-21 1997-05-21 陰極構体、電子銃構体、電子銃用グリッド、電子管、ヒータ、および陰極構体の製造方法 Pending JPH1064439A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13134697A JPH1064439A (ja) 1996-05-21 1997-05-21 陰極構体、電子銃構体、電子銃用グリッド、電子管、ヒータ、および陰極構体の製造方法

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12590096 1996-05-21
JP8-148776 1996-06-11
JP8-125900 1996-06-11
JP14877696 1996-06-11
JP13134697A JPH1064439A (ja) 1996-05-21 1997-05-21 陰極構体、電子銃構体、電子銃用グリッド、電子管、ヒータ、および陰極構体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1064439A true JPH1064439A (ja) 1998-03-06

Family

ID=27315224

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13134697A Pending JPH1064439A (ja) 1996-05-21 1997-05-21 陰極構体、電子銃構体、電子銃用グリッド、電子管、ヒータ、および陰極構体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1064439A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100281722B1 (ko) 전자관
US6703779B2 (en) Image-forming apparatus with lead wiring connected to image-forming substrate through corner of electron source substrate
JPH07220616A (ja) 可制御熱電子放出器
JPH1064439A (ja) 陰極構体、電子銃構体、電子銃用グリッド、電子管、ヒータ、および陰極構体の製造方法
US6200181B1 (en) Thermally conductive spacer materials and spacer attachment methods for thin cathode ray tube
KR100257779B1 (ko) 전자관용 음극
US4712041A (en) Color CRT tension mask support assembly with a glass frame
US6281624B1 (en) Electron gun for cathode ray tube and method of assembling the same
US6828717B2 (en) Electron gun having short length and cathode-ray tube apparatus using such electron gun
JPH11329209A (ja) 陰極構体および電子銃構体
JPH03171532A (ja) 陰極線管のグリッド構体の製造方法
JPH0740295Y2 (ja) 陰極線管
JP3984528B2 (ja) 全長を短縮した電子銃およびこれを用いた陰極線管装置
US6724139B2 (en) Cathode ray tube having improved indirectly heated cathode
EP1544892A1 (en) Image-displaying device, method of producing spacer used for image-displaying device, and image-displaying device with the spacer produced by the method
JPH11354008A (ja) 陰極構体および電子銃構体
JP2000348598A (ja) 陰極構体
JP2000036257A (ja) 陰極線管用電子銃
JP2002373601A (ja) 電子銃及び陰極線管
JPH11111154A (ja) 陰極および電子銃
JPH06275211A (ja) 陰極線管の電子銃及びその製造方法並びに陰極線管
JPH01264132A (ja) 陰極構体
KR980011643A (ko) 칼라 브라운관용 에프.이.에이(fea) 전자총 및 그 제조 방법
JPH0479118A (ja) 陰極構体及びその製造方法
JPH11120931A (ja) 電子銃およびその製法