【発明の詳細な説明】
放射性標識化アネキシン−ガラクトースクラスター複合体
技術分野
本発明は、放射性標識化アネキシン(annexin)−ガラクトースクラスター複合
体に関する。また、本発明により意図されたことは、放射性標識化アネキシン−
ガラクトースクラスター複合体の投与を包含するイメージングのプロトコルであ
る。複合体のアネキシン成分は、複合体の放射性標識化活性な成分を、血管血栓
標的部位に送達するのに役立つ。複合体のガラクトースクラスター成分は、レシ
ピエントの循環から、放射性標識化アネキシン−ガラクトースクラスター複合体
を速やかに排除することを容易にする。
発明の背景
胸痛、動悸、あるいは環状血管の外傷または病気の他の症状を有する患者の場
合、心臓内に血管血栓が存在することが、処置に対して、潜在的な重大で複雑な
要因である。臨床医が、1つ以上の血管血栓が存在するかどうか、非侵襲的に決
定でき、そしてそれが存在する場合、それらの血管血栓の位置決定、より評価の
高い処置選択が可能である。さらに、臨床医が、血管血栓がないと決定できるな
ら、それにより処置における、潜在的な複雑化を排除し、心臓の症状をより安全
かつ効果的に処置し得る。
血管血栓の存在を決定するための、現行の大多数の技術は、侵襲的および/ま
たは煩わしいものであり、ならびに/あるいは良好な感度および特異性により、
そのような血栓の検出がうまく行えない。それゆえ、非侵襲的な血管血栓のイメ
ージングのために有用なイメージング剤が所望される。
アネキシンは、カルシウム媒介によりアニオン性リン脂質と結合することを特
徴とするタンパク質の1つのクラスである。アニオン性リン脂質は、静止性の血
小板より、活性化された血小板に約20倍高度に会合し、かつ活性化された血小板
は、血管血栓に結びつく。
ヨウ素化されたアネキシンVは、インビボで血管血栓への局在化を示すが、こ
れは、起こり得るトランスヨウ素化、および/または血清高分子または非標的組
織への再取り組みをともなう代謝分解により、血中クリアランスの明確なベータ
期のため、次善のイメージング特性を有する。遊離した放射性標識ヨウ素または
ヨウ素を含有する代謝分解産物は、放射能に非標的組織(特に甲状腺)を曝した
。さらに、使用されるヨウ素放射性標識は、入手するのが困難で、それゆえ、広
い範囲の使用では実用的ではない。結果として、改良された放射性標識化アネキ
シン化合物が、所望される。
さらに、従来のイメージングおよび治療は、一般的に到達できる標的割合(標
的に局在化する投与用量対血液中で循環する投与用量の割合、または標的に局在
化する投与用量対骨髄に移動する投与用量割合)が低いという問題に、しばしば
悩まされる。標的割合における改良もまた、求められている。
発明の要約
本発明は、放射性標識化アネキシン−ガラクトースクラスター複合体、および
それらを調製かつ使用する方法を提供する。本発明の好ましいアネキシン含有複
合体は、以下を含有する診断用イメージング剤で放射性標識するのに適してる:
アネキシン;
ガラクトース残基のクラスター;および
アネキシンに結びつくN2S2キレート。
また、本発明により提供されるのは、血管血栓のイメージングに好適な放射性
標識化アネキシン−ガラクトースクラスター複合体であり、そして放射性標識化
アネキシン−ガラクトースクラスター複合体は、以下を含有する:
アネキシン;
ガラクトース残基のクラスター;
アネキシンに結びつくN2S2キレート;および
キレートにより錯体化される診断用放射性核種。
本発明における使用のために好適なアネキシンは、アネキシンVである。本発
明における使用のために好適なガラクトースクラスターは、4つのガラクトース
の複合を組み入れる。本発明における使用のために好ましい他のガラクトースク
ラスターは、3つのガラクトースの複合を組み入れる。
ガラクトースクラスター成分は、三官能性リンカー(例えば、リジン)を介し
てアネキシン成分およびキレート成分と結合し得る。拡張剤(extender)は、ガラ
クトースクラスターの生物学的有用性を促進するために、ガラクトースクラスタ
ーと三官能性リンカーの間に使用され得る。本発明のこの実施態様は、キレート
が、複合化に有用かつ好適な一官能性基として特徴付けられる場合に好ましい。
キレート成分が、他の複合成分との複合化に有用かつ好適な1より多い官能性
基として特徴付けられる場合、以下の構造を使用するのが好ましい:ガラクトー
スクラスター−二官能性リンカー−キレート−二官能性リンカー−アネキシン。
本発明における現実的な使用のために好ましい診断用放射性核種は、Tc-99m、
Re-186およびRe-188(特に好ましいのは、Tc-99m)である。心臓中または心臓の
近くに局在化する血管血栓は、本発明によるイメージングに特になじみやすい。
図の簡潔な説明
図1は、アネキシンVを放射性標識する方法を図解的に表す。
図2は、Tc-99m-アネキシンV(〇)とTc-99m-アネキシンV-ガラクトース(
△)の血液清浄を示す。
図3は、N,N'-ビス(2−ジスルフィジル-4-カルボニルフェニル)-1,3-プロピ
ルジアミンの合成を図解的に示す。
図4は、N,N'-ビス(スルフィジル-4-メチルフェニル)-γ,γ'-ジアミノ-イソ
吉草酸N-ヒドロキシスクシンイミドの合成を図解的に示す。
図5aおよび図5bは、8つのガラクトース含有ガラクトースクラスターの合成
を図解的に示す。
図6は、拡張された8つのガラクトース含有ガラクトースクラスターの合成を
図解的に示す。
発明の詳細な説明
本発明を記載する前に、本開示の中で使用される特定の用語の定義を記載する
ことが、役立ち得る。
アネキシン:ミリモル濃度のカルシウムの存在で膜脂質と高い親和力で結合し
得ることを特徴とする化合物のクラスである。アネキシンは、負に帯電したリン
脂質表面(例えば、活性化された血小板)にアネキシンが結合することにより、
媒介される抗凝固効果を表すことを示す。このアネキシン−リン脂質結合は、そ
のような負に帯電した表面リン脂質により、凝固因子の活性化をブロックすると
信じられている。分子のアネキシン類の前に、その類のメンバーもまた、文献で
、胎盤抗凝固タンパク質(例えば、PAP-1、2、3および4)、リポコルチン、カ
ルパクチン、血管凝固剤(αおよびβ)、カルホビンジンI、胎盤タンパク質4(PP
4)、エンドネキシンII、アンコリン CII、カルシウム依存リン脂質結合タンパク
質などとして文献に記載されている。
Crumptonら、Nature 345:212、1990参照。アネキシン−Vは、本発明の明細書中
に使用されるアネキシン分子の原型である。
NxSy キレート:本明細書中で定義されるように、用語「NxSyキレート」は、(i
)金属または放射性金属と配位的に結合し得、および(ii)アネキシン分子と共有
結合的に付着し得る、二官能性キレーター(chelator)を含む。特に好ましいNxSy
キレートは、N2S3およびN3Sコアを有する。代表的なNxSyキレートは、Fritzberg
ら、Proc .Natl.Acad.Sci.USA 85:4024-29、1988;Weberら、Bioconj .Chem .1
:431-37、1990;および例としてこれらの文献中で記載された参照に記載され
る。この記載の目的のために、NxSyキレートの原型は、N2S2キレートである。
N2S2 キレート:適切に位置する2つの窒素原子と2つの硫黄原子を介して、放
射性核種を安定に錯体化し得るNxSy類のジアミド、ジメルカプチド二官能性キレ
ーターである。N2S2キレートは、例えば米国特許第4,897,225号に記載されてい
る。このタイプの好適なキレートには、以下のビフェニル骨格を有するキレート
が挙げられる:
N3S キレート:適切に位置する3つの窒素原子および1つの硫黄原子を介して
、放射性核種を安定に錯体化し得るNxSy類のトリアミド、メルカプチド二官能性
キレーターである。好ましいN3Sキレートは、例えば、米国特許第4,965,392号に
記載される。
放射性標識化アネキシン:内部に錯体化された放射性核種を有するキレートと
複合化するアネキシンである。
放射性標識化アネキシンーガラクトース:内部に錯体化された放射性核種を有
するキレートと複合化するガラクトース誘導アネキシンである。
糖クラスター:肝臓レセプターにより認識される、配置された多数の糖残基を
有する構築物である。そのようなクラスターは、好ましくは、分枝配置で連結さ
れる糖残基で構成され、そして1つの付着点を介して糖クラスター含有複合体の
他成分に付着する。好ましくは、2つまたは3つの先のとがった枝からなる分枝
網目構造(すなわち、2、4、8、16、32または64のガラクトース残基からなる、
あるいは3、9、27または81のガラクトース残基からなる)である。
ガラクトースクラスター:分枝配置で連結する約3〜約64のガラクトース残基
を有する構築物である。好ましくは、2つまたは3つの先のとがった枝からなる
分枝網目構造(すなわち、2、4、8、16、32または64のガラクトース残基からな
る、あるいは3、9、27または81のガラクトース残基からなる)である。
放射性標識化アネキシン−ガラクトースクラスター:内部に錯体化された放射
性核種を有するキレートに複合化する、ガラクトースクラスター誘導アネキシン
である。
複合化:化学的複合体(共有結合的な、または非共有結合的な結合)、融合タ
ンパク質などを含む複合体である。
本発明は、アネキシン含有複合体、放射性標識化アネキシン−ガラクトースク
ラスター複合体、および診断用イメージング目的のためのそれらの使用に関する
。放射性標識化アネキシンは、以下を特徴とする:アニオン性リン脂質により特
徴付けられる標的細胞部位への速やかな付着;短い代謝半減期;インビボでの代
謝
減衰に対する安定性またはキレートからの放射性核種の分離;および冷却キット
フォーマットにおけるパッケージの容易さ。
放射性標識化アネキシン−ガラクトース複合体はまた、ある程度の違いはある
けれども、前記の特性を示す。例えば、放射性標識化アネキシン−ガラクトース
複合体は、放射性標識化アネキシン類似物より短い循環半減期を示す。また、放
射性標識化アネキシン−ガラクトース複合体は、一般的に、放射性標識化アネキ
シン類似物より標的部位への低い結合親和力を示す。首尾良い診断用イメージン
グは、標的部位シグナルの蓄積、および非標的シグナルの速やかな除去の両方を
含む。結果として、放射性標識化アネキシン−ガラクトース複合体のレシピエン
トの循環からの促進された除去は、短い時間枠での診断用イメージングを成し遂
げる独特の機会を提供する。
さらに、標的部位シグナルは、放射能の減衰の結果として、時間と共に減少す
る。さらに、標的に結びついた物質の代謝もまた、標的シグナルを減少させる。
結果として、短い時間枠でのイメージングは、標的:非標的比、および全標的シ
グナルを高め、それにより、改良された診断用の情報を蓄積する。
本発明の放射性標識化アネキシン−ガラクトースクラスター複合体は、放射性
標識化アネキシン、および放射性標識化アネキシン−ガラクトース複合体の望ま
しい形と結合する。例えば、放射性標識化アネキシン−ガラクトースクラスター
複合体は、放射性標識化アネキシン類似物より短い循環半減期を示す。また、放
射性標識化アネキシン−ガラクトースクラスター複合体は、一般的に、放射性標
識化アネキシン−ガラクトース複合体の類似物より標的部位への高い結合親和力
を示す。結果として、促進されたレシピエントの循環からの除去、および本発明
の放射性標識化アネキシン−ガラクトースクラスター複合体の実質的な結合親和
力の維持は、短い時間枠での明確な診断用のイメージングを成し遂げる機会を提
供する。
本発明の実施態様は、以下を含有する診断用イメージング剤で放射性標識する
のに適したアネキシン含有複合体に関する:
アネキシン;
ガラクトース残基のクラスター;および
アネキシンに結びつくNxSyキレート。
また、レシピエント中(特に心臓中または心臓の近く)のどこかにある、血管血
栓のイメージングに好適な放射性標識化アネキシン−ガラクトースクラスター複
合体もまた意図され、そして、その放射性標識化アネキシン−ガラクトースクラ
スター複合体は、アネキシン、ガラクトース残基のクラスター、NxSyキレート、
およびさらにキレートにより錯体化された診断用放射性核種と複合化する。
本発明の好ましい実施態様は、以下を含有する診断用イメージング剤で放射性
標識するのに適したアネキシン含有複合体を含む:
アネキシン
ガラクトース残基のクラスター;および
アネキシンに結びつくN2S2キレート。
また、血管血栓のイメージングに好適な放射性標識化アネキシン−ガラクトース
クラスター複合体もまた、意図され、そして、その放射性標識化アネキシン−ガ
ラクトース複合体は、アネキシン、ガラクトース残基のクラスター、N2S2キレー
ト、およびさらにキレートにより錯体化された診断用放射性核種と結びつく。
多数の病状に関連する血管血栓の視覚化のために、イメージング放射性核種(
例えば、Tc-99m)で錯体化されたキレートとのアネキシンの複合体は、そのよう
な診断が所望されるレシピエントに投与される。複合体のアネキシン部分は、負
に帯電した表面リン脂質(例えば、血管血栓)により特徴付けられ、標的部位に
、速やかに局在化する。放射性核種は、種々の技術のうちの1つ(例えば、γカ
メライメージング)で、視覚化され得るように選択される。標的部位へのアネキ
シンの速やかな付着、およびアネキセンの血清の短い半減期(一般的に30秒未満
)(放射性標識されていて実質的に長くできない)のために、それらの標的部位
のイメージングは、非標的部位を放射能にほとんど曝さなくてもよくなる。
診断用イメージングは、シグナル/ノイズ比に依存している。標的シグナルの
蓄積、またはノイズの低減のどちらかを包含する改良は、診断用イメージング品
の効果を高める。標的イメージングにおいて、ノイズの低減は、バックグランド
放射能を減らすことと同意語である。アネキシン(アネキシンVを含む)は、肝
臓により素早く除去される;しかし、活性の一部のみが、肝臓を介して循環して
いる複合体の各経路で、除去される。
より効果的に血液からバックグランド放射能を除去するために、アネキシン含
有複合体の肝臓抽出における改良を、使用し得る。肝臓抽出を効果的に行う好ま
しい方法は、肝臓レセプターにより認識される部分(例えば、ガラクトース)を
有するアネキシン含有複合体を誘導することを包含する。それにより認識される
部分の肝臓レセプター抽出能力は、そのように除去される非誘導アネキシン含有
複合体の量と比較して、誘導されたアネキシン含有複合体(例えば、アネキシン
−ガラクトース複合体)の、肝臓による「1経路当たり」の除去を増加させる結
果になる。
さらに、シグナル/ノイズ比における改良は、肝臓レセプターにより認識され
たガラクトース分子のクラスターで、アンキシン含有複合体を誘導することによ
り、成し遂げられる。それにより認識される部分の肝臓レセプターの抽出効率は
、そのように除去される非誘導アネキシン含有複合体の量と比較して、誘導され
たアネキシン含有複合体(例えば、アネキシン−ガラクトースクラスター複合体
)の、肝臓による「1経路当たり」の除去を増加させる結果になる。さらに、ク
ラスター中に配置された複合ガラクトース残基は、1つの付着点を介してアネキ
シン複合体成分に結合する。結果として、ガラクトース誘導化から得られるアネ
キシン標的結合親和力の、ほとんどないか、またはまったくない減少を、アネキ
シン−ガラクトース複合体と比較して、到達され得る。
アネキシンは、一般的に(最も重要なアネキシンIIを除いて)1本鎖であり、
約33〜72キロダルトンモル重量のグルコシル化されていないタンパク質である。
アネキシンは、カルシウムイオン媒体結合に関連する多数の生物学的活性を有す
る。
研究は、ミリモル濃度のカルシウムの存在下において、アネキシンがアニオン
性膜脂質に対し高い親和性を有することを示す。カルシウム存在下、これらのタ
ンパク質は、負の電荷を帯びたリン脂質、例えば、ホスファチジルセリン、ホス
ファチジルグルセロール、ホスファチジン酸、またはホスファチジルイノシトー
ルに対して、特に高い親和性を有する。例えば、Funakoshiら、Biochem. 26: 55
72-78、1987;および、Taitら、Biochem. 27:6268-76、1988を参照のこと。その
ような負の電荷を帯びたリン脂質は、血管血栓と関係する(例えば、活性化され
たヒトの血小板表面に位置する)。
アネキシンは、抗凝固効果を示す。凝固阻害は、アネキシンが、負の電荷を帯
びた表面リン脂質(例えば、活性化された血小板の表面に存在する)に結合する
ことにより媒介される。そのような負の電荷を帯びた表面リン脂質によって、こ
の結合は凝固因子の活性化をブロックすると考えられる。アネキシンは、アニオ
ン性リン脂質を有する標的部位に速やかに局在化する(すなわち、それらの循環
レベルに依存して約5分〜30分)が、血清中で幾分長い期間循環したままである
(循環半減期<30分間)。下記の実施例IIIは、イメージングの結果を議論し、
ここでは血管血栓が平均時間(アネキシン投与後)82分間で平面画像として視覚
化された。
これらの特性のために、アネキシンあるいは診断薬または治療薬と複合化した
アネキシンは、多くの徴候(例えば、DVT(深静脈血栓症)、PE(肺塞栓症)、
心筋梗塞、心房細動、補てつ心臓血管材料に関連する問題、発作など)に関連す
る血管血栓の診断または処置のためのプロトコルにおいて使用され得る。放射性
標識化アネキシンを使用する代表的なプロトコルおよび実験を、本発明のこの局
面をさらに説明するために以下に示す。
本発明の実施において有用である好ましいアネキシンの例は、アネキシンVで
あり、それは1979年にBohnによってヒト胎盤(これはアネキシンの豊富な供給源
である)から単離され、プラセンタプロテイン4(PP4)と呼ばれる。アネキシ
ンVは、E. coli.中で発現される。また、アネキシンVの全長cDNAクローンは、
発現ベクター中で得られ、そしてサブクローン化され、それによってアネキシン
Vを含む融合タンパク質の産生を促進する。アネキシンVは、4つのドメイン(
4つの縦列の、約75アミノ酸残基の不完全な繰り返し、Funakoshiら、Biochem. 26
:8087-92、1987)から構成され、ここで各ドメインは、5つのαらせんからな
る。この側面から、アネキシンV分子は、その凸状表面に少なくとも4つのカル
シウム結合部位を有するクラウン状(crown-like)のようであり、この部位を介
してアネキシン-リン脂質相互作用が媒介される。本発明の実施において、他の
アネキシン分子もまた有用であり、本明細書中のアネキシンVに関する議論は、
一般的にアネキシン分子に適用される。
アネキシンVは複数のカルシウム結合部位を有し、そして、負の電荷を帯びた
リン脂質へのアネキシンVの結合はカルシウムによって媒介されるため、1つま
たはそれ以上の独立したアネキシンVドメインからなる操作された分子(engine
ered molecule)は、本発明のイメージングプロトコルにおいて使用され得る。
また、アネキシン分子は、ドメインの境界と異なる1つまたは複数の位置におい
て分割されて、カルシウムが媒介するアニオン性リン脂質の結合が可能な操作さ
れた分子を提供し、また、アネキシンVは、アニオン性リン脂質に対するアネキ
シンVの親和性が著しく損なわれない限り、1つまたはそれ以上のアミノ酸残基
において改変され得る。アネキシンリン脂質への結合程度は、Taitら、J .Biol. Chem.
264:7944-49、1989に記載の蛍光消光によって定量され得る。
アネキシンの中でも、アネキシンVは、血漿および細胞外液に相当する条件下
(1.2mMのイオン化されたカルシウム、0.15Mのイオン強度)において、80%のホ
スファチジルコリンおよび20%のホスファチジルセリンを含むリン脂質小胞に対
し最も強い結合親和性(Kd<10-10M)を有する。この結合は、可逆的であり、そ
してカルシウム依存性である。
バックグラウンド放射性標識活性を減少させるために、アネキシンはヘキソー
スまたはヘキソースベースの部分により誘導体化され得る。より詳細には、アネ
キシンは、内皮細胞および/または肝臓のKupffer細胞に関連するAshwellレセプ
ターまたは他の肝臓レセプター(例えば、マンノース/N-アセチルグルコサミン
レセプター)によって、あるいは、マンノース6-リン酸レセプターによって認識
される、1つまたはそれ以上のヘキソース(六炭糖部分)と結合するように誘導
体化され得る。そのようなヘキソースおよびヘキソースベースの部分の代表例と
しては、ガラクトース、マンノース、マンノース6-リン酸、N-アセチルグルコサ
ミン、ペンタマンノシルホスフェートなどが挙げられる。Ashwellレセプターに
よって認識される他の部分としては、グルコース、N-ガラクトサミン、N-アセチ
ルガラクトサミン、ガラクトースのチオグルコシドなどが挙げられ、そして、通
常、D-ガラクトシドおよびグルコシドなどもまた、本発明の実施に使用され得る
。
ガラクトースは、本明細書の目的に使用される、原型のヘキソースである。ガ
ラクトースチオグリコシドのタンパク質との複合化は、好ましくは、Leeら、「2
-イミノ-2-メトキシエチル 1-チオグリコシド:糖をタンパク質に結合させるた
めの新規な試薬」、Biochemistry 15(18):3956、1976の教示に従って達成される
。他の有用なガラクトースチオグリコシド複合化法は、Drantzら、「チオグリコ
シドのタンパク質への結合:肝膜結合の増強」、Biochemistry 15(18):3963、19
76に記載される。アネキシン-ガラクトース複合化はまた、本明細書中に記載の
実施例でも議論される。
化学的方法によるアネキシンとヘキソースとの複合化は、キレートとアネキシ
ンとの複合化の前(後形成アプローチ)または後(前形成アプローチ)のいずれ
かで起こり得る。しかし、ヘキソースの化学的複合化は、好ましくはキレート複
合化の前に行われる。
生成複合体のガラクトース残基の数は、1個から、アネキシンの標的への結合
親和性を顕著に減少させないガラクトースの最大数の範囲である。例えば、ガラ
クトース誘導体化では、少なくとも20%の天然のアネキシン結合活性を保存する
のが好ましく、少なくとも50%の天然のアネキシン結合活性の保存がより好まし
い。アネキシン分子上に位置するガラクトース残基の理論的に可能な最大数は、
22(すなわち、アネキシン構造中のリジン残基の数)である。本発明における、
放射性標識化アネキシン-ガラクトース複合体上のガラクトース残基の代表的な
数は、1と約5との間の範囲である。
本発明の実施において、ヘキソースクラスターが好適に使用される。ガラクト
ースクラスターは、本明細書の目的に使用される典型的なヘキソースクラスター
である。本発明のヘキソースクラスターの設計は、ガラクトースクラスターの設
計について記載する下記の基準を考慮に入れて、なされる:
1)クラスター中のガラクトースの数;
2)クラスター中のガラクトース間の距離;
および
3)ガラクトースクラスターとアネキシン複合成分との距離。
基準1に関して、ヒト肝細胞表面上のガラクトースレセプターはヘテロトリマ
ーとしてグループ化され、おそらくビス-ヘテロトリマーであると文献に示され
ている。例えば、Hardyら、Biochemistry、24:22-8、1985を参照のこと。このよ
うなレセプターに対する最適な親和性のために、本発明者らは、各ガラクトース
クラスターは、好ましくは少なくとも3つのガラクトース残基を含むべきである
と考える。通常、クラスター中の糖の数が多くなるほど、クラスターが肝臓レセ
プターによって認識される傾向は高くなる。
糖のクラスターのサイズの増大は、アネキシンの標的への結合を減少させる。
アネキシンの標的への結合において顕著な減少(例えば、天然のアネキシン結合
の<20%への減少)が観察される場合、2つの部分の間により長いリンカーを使
用してもよく、あるいはこのような大きなクラスターは、本発明の放射性標識化
アネキシン-ガラクトースクラスター複合体において使用されるべきではない。
基準2に関して、各トリマー内のガラクトースレセプターは、互いに15、22、
および25オングストロームの距離で隔てられている。当然、本発明者らは、クラ
スター中のガラクトースは、好ましくは、少なくとも25オングストロームの分離
を可能とする柔軟な結合により分離されるべきであると考える。糖残基間の間隔
は、糖残基の数が少ない場合により重要であると思われる。より大きい構造では
、直接隣り合わない糖残基(すなわち、直接隣り合う糖残基よりもさらに離れて
いる、糖残基)に関して、適切な間隔が生じると思われる。平均結合長を1.5オ
ングストロームと考えると、本発明の好ましい糖クラスターは、隣接する糖残基
と約10結合長またはそれ以上で隔てられることにより特徴づけられる。ガラクト
ースを含む他の好ましい構造は、隣接する糖残基と約25結合長またはそれ以上で
隔てられることにより特徴づけられる。
基準3に関して、アネキシンとガラクトースクラスターとの間の距離は、アネ
キシンの標的への結合において、ガラクトースクラスターのサイズまたは配向に
よって引き起こされる、不利な立体効果を避けるのに十分でなければならない。
この距離は、好ましくは約7結合長より長いか、または約10オングストロームで
ある。必要であれば、延長分子がガラクトースクラスターとリンカー(これはガ
ラクトースクラスターとアネキシン成分とを結合する)との間に、またはアネキ
シンとリンカーとの間に組み入れられ、必要な距離を提供する。
上記のパラメータはガラクトースに最適であると考えられるが、これらの因子
は他のヘキソースまたはそれらの混合物(それらは同じレセプターに結合しても
しなくてもよく、あるいは、異なるように結合し得る)について変化し得るとい
うことに留意しなければならない。本出願で与えられる教示があれば、当業者は
、利用可能な合成技術を使用して、アネキシンと活性試剤とを他のヘキソースク
ラスターに結合し得、そして、最適な挙動を提供するそれらの構造を決定し得る
。
上記の基準に合う任意の分岐糖構造が、本発明の実施において使用され得る。
本発明における、好ましいガラクトースクラスターは、以下の構造のものである
:
ここで、Xは好ましくはHまたはメチルであり、それぞれ、4、8、16、および
32のガラクトース残基を有するガラクトースクラスターが得られる。クラスター
における分岐スキームのさらなる繰り返しにより、32、64などのガラクトース残
基を含むようにガラクトースクラスターを拡大させることができる。さらに、糖
自身と分岐構造との間のリンカー部分(-S-(CH2)4-NX-で示される)も、長さが
可変であり得る。
他の分岐構造もまた、本発明に従って、ガラクトースクラスターの設計におい
て使用され得る。例えば、分岐がガラクトース残基数の2倍化をもたらす他の構
造が使用され得る。さらに、分岐がガラクトース残基数の3倍化または他の便利
な数の増加をもたらす構造もまた、本発明により意図される。
他の潜在的な分岐構造は、ビス-ホモトリス分予:(HO-CH2)3-C-NH2に基づく。
この分子のスルフヒドリル含有誘導体もまた使用され得る。本発明の本実施態様
において、ビス-ホモトリス分子の各結合は延長され、そしてカルボン酸で停止
される:(HO2C-(CH2)y-Z-(CH2)3-C-NH2、ここでZはSまたはOであり、そして
yは1〜約10の範囲である。本発明の本実施態様では、好ましいガラクトースク
ラスターは下記の構造で特徴づけられる:
ここで、Xは好ましくはHまたはメチルであり;yは1〜約10の範囲であり;そ
して、ZはOまたはSである。上記の構造はそれぞれ、3、9、および27のガラ
クトース残基を有する。分岐のさらなる繰り返しにより、81などのガラクトース
残基を含むように拡大することができる。
また、Xは、メチルとは異なる、エチル、t-ブチルなどの低級アルキル基であ
り得る。Xはまた、低級アルキル酸、エステル、アルデヒド、ケトン、またはエ
ーテルなどの、ヘテロ原子を有する低級アルキル基であり得る。
複合化に利用可能でありかつ適切である単官能基によってキレートが特徴づけ
られる本発明の実施態様において、アネキシン、キレート、およびガラクトース
クラスター成分は、好ましくは三官能性リンカーを通して結合される。複合化に
「利用可能」な官能基は、立体的束縛によって複合体の形成が妨げられない官能
基である。複合化に「適切」な官能基は、化学的な意味において、他の複合成分
に結合している利用できる官能基と反応し得る官能基である。さらに、「適切」
な官能基の複合化は、その官能基が結合している成分の必要な機能を実質的に妨
げない。例えば、抗体標的部位の相補性決定領域に位置する官能基は、通常は、
複合化に「適切」ではない。なぜなら、抗体の標的能力は、そのような結合によ
り実質的に妨げられる可能性があるからである。
有用な三官能性リンカーは、3つの複合成分上の利用可能な官能基、または複
合体構築に使用される任意の拡張剤部分との結合に従う。有用な三官能性リンカ
ーはリジンであり、ここでα-アミノ、ε-アミノ、およびカルボキシル官能基が
使用される。当業者は、他の三官能性リンカーを決定し得、そして、それを本明
細書中に記載の本発明の実施に使用し得る。
本発明において有用な拡張剤分子は、アネキシン成分およびリンカーと、ある
いはガラクトースクラスター成分およびリンカーと結合し得る、二官能性部分で
ある。適切な拡張剤分予には、アミノカプロン酸部分、HS-(CH2)nCOOH、または
それらの活性化エステルの形態などが挙げられ、ここでnは2〜約5の範囲であ
る。当業者は、本明細書中に記載のように、他の適切な拡張剤分子を決定および
使用し得る。あるいは、延長機能は、適切に構築されたリンカーによって付与さ
れ得る。
結合促進部分もまた、本発明において使用され得る。そのような部分は二官能
性であり、そして、複合成分(例えば、ガラクトースクラスター、アネキシン、
キレート、リンカー、および拡張剤)の結合を促進する。そのような結合促進部
分の例としては、尿素官能基、チオ尿素官能基、スクシネート架橋、マレイミド
などが挙げられる。そのような結合促進部分は、当業者により容易に決定および
使用される。
リンカー-拡張剤-結合促進系の例を以下に示す:
ここで、リジンリンカーのα-アミンは、尿素官能基またはチオ尿素官能基を介
して、アミノカプロエートスペーサーに結合する(これが次に、ガラクトースク
ラスター(図示せず)と結合する);リジンカルボキシレートはキレート(図示
せず)との結合に利用可能である;そして、リジンリンカーのε-アミンは、ス
クシネート架橋を通してのアネキシン成分(図示せず)のリジン残基への結合に
利用可能である。システインのような、アネキシン成分の他のアミノ酸残基もま
た、結合の目的に使用され得る。あるいは、マレイミド-S-(CH2)nCO-結合促進部
分-拡張剤の組合せが、糖残基とリジンとを結合させるのに使用され得る。三官
能性リンカーにより結合された複合体の例は、実施例VIIで議論される。
複合体のキレート成分が、複合化に利用可能かつ適切な、1つより多い官能基
により特徴づけられる場合、ガラクトースクラスターはキレート成分に結合し得
、これが、2つまたはそれ以上の二官能性リンカーを通して、複合体のアネキシ
ン成分に結合し得る。複合体のアネキシン成分は、ガラクトースクラスター-キ
レート-アネキシン複合体の形成において、最後に結合するのが好ましい。適切
な二官能性リンカーおよび結合方法は、当業者により決定および使用され得る。
そのようなキレートおよびそのような複合化の方法の例は、実施例Vに記載され
る。
化学的方法によるヘキソースクラスターおよびキレートへのアネキシンの複合
化は、放射性金属とキレートとの錯体化の前(後形成アプローチ)または後(前
形成アプローチ)に生じ得る。化学的複合化は、この複合体に使用されるキレー
トが、室温にて速い反応速度で放射性核種と結合する能力を有しない限り、放射
性金属錯体化の後に行われることが好ましい。
アネキシンVは、本発明での使用のために、イメージング放射性核種によって
放射性標識化される。本発明で有用な放射性核種には、ガンマエミッター、陽電
子エミッター、オージエ電子エミッター、X線エミッター、蛍光エミッターなど
が挙げられる。本発明での使用に適切な放射性核種は当該分野で公知であり、64
Cu、186Re、188Re、100Pd、212Bi、212Pb、109Pd、67Cu、99mTc、94Tc、95Ru、1 05
Ru、99Rh、105Rh、111In、153Sm、177Lu、170Lu、189Pt、193Pt、199Au、197H
gなどが挙げられる。
Tc-99mは本発明の実施に好ましい放射性核種である。Tc-99mは、低い比活性お
よび高い比活性の両方(0.53μCi/μg-101.2μCi/μg)で、本発明のアネキシン
Vに安定に結合する。十分な放射性化学的収率および良好な放射性化学的純度が
得られた。活性化血小板の結合についての研究もまた行われ、そして、放射性標
識化アネキシンV複合体は、活性化された血小板に良好に結合した。
N2S2キレートおよびN3Sキレートは、当該分野で公知である。例えば、好まし
いN2S2キレートは、米国特許第4,897,225号に記載され、そして、好ましいN3Sキ
レートは、米国特許第4,965,392号に記載される。本発明者らは、この安定キレ
ート化技術を適用して、アネキシン分子の血栓標的化能力を利用し、それによっ
て、インビボで速やかに血管の血栓を視覚化し得るイメージング剤を提供する。
本発明の放射性標識化アネキシン、放射性標識化アネキシン-ガラクトース複合
体、および放射性標識化アネキシン-ガラクトースクラスター複合体は、血栓の
画像
を得るのに使用され得、それは代謝的に分解された放射性標識化複合体から生じ
る高レベルのバックグラウンド放射能を、低減または除去する。放射性標識化ア
ネキシン、放射性標識化アネキシン-ガラクトース複合体、および放射性標識化
アネキシン-ガラクトースクラスター複合体はまた、非標的細胞部位への治療に
おける受容不可能な毒性を回避する。本発明の実施例IIIに記載のブタにおける
研究では、Tc-99m放射性標識化アネキシンVはI-123よりも良好な挙動を示した
。
N2S2またはN3Sキレートを使用する、放射性核種によるアネキシンVの放射性
標識化は、前形成アプローチまたは後形成アプローチのいずれかを使用して行わ
れ得る。すなわち、放射性核種は、キレートとアネキシンVとの複合化の前(前
形成)または後(後形成)のいずれかで錯体化され得る。前形成アプローチが好
ましく、かつ適切な方法であり、ゆえに、実施例I、II、およびIVに記載される
。
キレートが室温において放射性核種の速やかな錯体形成を示す本発明の実施態
様では、下記の構造のキレートが使用され得る:
ここで、1つまたはそれ以上のT置換基が、他の複合成分との複合化に利用可能
かつ適切な官能基を組み入れる。上記の例においては、例えばアミンのような官
能基は、リジンのカルボキシル部分またはその活性化エステル誘導体と反応し得
る。あるいは、例えば、活性化エステルを有するキレートは、アミノ官能基と複
合化し得る。当業者は、官能基の性質および特性に熟達しており、そして、その
ような性質および特性はまた、本明細書中でも議論される。
アネキシン分子とキレートとの間、あるいはアネキシン分子とガラクトース残
基との間、あるいはアネキシン分子とリンカーまたはヘキソースクラスターとの
間の複合化反応を促進するために、アネキシン分子は約2〜約6の末端アミノ酸
残基の付加により改変され得る。例えば、末端アミノ酸残基を付加して、スルフ
ヒドリル基を提供し得、あるいは、マレイミド基への誘導体化が可能な基を提供
し得る。このようなスルフヒドリル基およびマレイミド基は、複合化反応に利用
できる。本改変は、タンパク質化学の方法によって、または適切な融合タンパク
質の生成を通じて、あるいはそのために有用な他の方法により、なされ得る。
本発明の、放射性標識化アネキシン、放射性標識化アネキシン-ガラクトース
複合体、および放射性標識化アネキシン-ガラクトースクラスター複合体は、コ
ールドキットとしてパッケージングされるのに適しているという点で、以前に調
製されたI-123標識化アネキシンと比べてさらなる利点がある。すなわち、アネ
キシンまたはアネキシン-ガラクトースまたはアネキシン-ガラクトースクラスタ
ーまたはガラクトースクラスターおよびキレート成分を、個々にバイアルに封入
し得、そして、Tc-99m成分とは別に提供し得る(そして、おそらく、互いに個別
にバイアルに封入し得る)。血栓の画像を必要とする被験体が識別された場合、
コールドキットを取り寄せるか、または貯蔵庫から取り出し得る;Tc-99mは、放
射性物質用薬局(radiopharmacy)またはそれらの他の供給源から得られ得る;
前形成または後形成の錯体形成/錯体化プロセスを行う;放射性標識化アネキシ
ン、放射性標識化アネキシン-ガラクトース複合体、または放射性標識化アネキ
シン-ガラクトースクラスター複合体を、被験体に投与する;そして、被験体は
続いてイメージングされる。放射性標識化アネキシン-ガラクトース複合体につ
いては、アネキシン-ガラクトース複合体が好ましく調製され、キットとしてバ
イアルに封入される。放射性標識化アネキシン-ガラクトースクラスター複合体
については、キレート-アネキシン-ガラクトースクラスター複合体が好ましく調
製され、キットとしてバイアルに封入されるが、アネキシン-ガラクトースクラ
スター/キレートの2成分キット、または他の多成分キットもまた使用され得る
。
複合化成分の凍結乾燥およびバイアルへの封入を、滅菌された、発熱物質のな
い環境で行うことは、優れた製造の実際、特に、生物学的材料に関するような実
際の分野の当業者に公知の技術により達成可能である。
本発明の、放射性標識化アネキシン、放射性標識化アネキシン-ガラクトース
複合体、または放射性標識化アネキシン-ガラクトースクラスター複合体は、診
断において効果的な量の放射性核種を標的部位に送達するような量で投与される
。適切な投与用量は、種々の因子に依存し、この因子の多くは被験体に固有であ
り、当該分野の実施者は、本発明の実施においてこのような因子を考慮する。放
射性標識化アネキシン、放射性標識化アネキシン-ガラクトース複合体、または
放射性標識化アネキシン-ガラクトースクラスター複合体の成分もまた、当該分
野の実施者に公知の方法または普通に確認される様式で、用量に強い影響を与え
る。一般的に、放射性標識化アネキシン、放射性標識化アネキシン-ガラクトー
ス複合体、または放射性標識化アネキシン-ガラクトースクラスター複合体は、
レシピエントの体重1kg当たり約0.3μg〜約300μgの間の範囲で、好ましくは約
3μg/kg〜約10μg/kgの範囲で、大型哺乳類に投与され、それは被験体の生理学
的特性、および関与する病気または疑われる病気に依存する。当該分野の実施者
は、所与の病気を有する所与のレシピエントに対する、適切な用量および投与経
路を同定し得る。
本発明の放射性標識化アネキシン、放射性標識化アネキシン-ガラクトース複
合体、または放射性標識化アネキシン-ガラクトースクラスター複合体は、それ
らのための任意の便利な方法で投与され得る。例えば、静脈内注射は、放射性標
識化アネキシン、放射性標識化アネキシン-ガラクトース複合体、または放射性
標識化アネキシン-ガラクトースクラスター複合体を投与するのに使用され得る
。他の投与経路もまた、本発明の実施において、有用性を認める。さらなる投与
経路の例は、動脈(例えば、冠状動脈)、歯冠内、リンパ内、包膜内、または他
の腔内経路による注射などである。
放射性核種の投与後は、放射性核種の性質および投与の目的に応じて、レシピ
エントは、放射性核種が局在する1ヶ所または複数の部位からの放射線を検出す
るために、種々の手順に供され得る。例えば、Tc-99mを含む複合体は、ガンマカ
メラによりイメージングが可能である。
本発明は、以下の実施例の提示により、さらに説明される。これらの実施例は
、例示のために提示され、制限のための提示ではない。
実施例I
アネキシン-N2S2キレート複合体を放射性標識する手順
アネキシンVは、例えば、Funakoshiら、Biochem. 26: 8087-92,1987; Tait
ら、Biochem. 27: 6268-76,1988;および米国特許第4,937,324号に記載の手順に
従って、種々の組織抽出物(例えば、肝臓、肺および胎盤)から単離され得る。
さらに、アネキシンVは、Taitら、Archives of Biochemistry and Biophysics 288
: 141-44,1991により記載されるように、E. coliにおいて発現され得る。
Cell Lung Cancer Imaging Kitの標識化手順に従って、ジアミドジメルカプチ
ドN2S2キレートを用いてTc-99mにより放射性標識した。
アネキシンVをTc-99mで放射性標識するための好ましい方法は、C-18 Bakerで
される。この手順において、酸性化した活性エステル溶液を0.16mlの0.2M塩酸:
水酢酸(14:2の比)を0.6mlの2,3,5,6-テトラフルオロフェニル-4,5-ビス-(S-1-
エトキシ-エチル-メルカプトアセトアミド)ペンタノエート(0.3mg、0.0005mole
を0.9mlのイソプロピルアルコールに新たに溶解する)に添加することにより調
製した。次いで、0.5mlのこの溶液を、1.1mlのTc-99m-グルコネート(pH6.1〜6.
3で、0.12mgのSnCl22H2O、5.0mgのグルコン酸ナトリウムおよび100mCi/mlの[Tc-
における第1の工程)に添加した。反応混合物を75℃で15分間加熱し、続いて氷
上で冷却した。Tc-99mのキレート交換された、Tc-99m-4,5-ビス(チオアセトア
ミド)ペンタノエートの生成テトラフルオロフェニル活性エステル誘導体を、必
要に応じ、そして好ましくは2mlの水で希釈し、そして調整されたC-18カートリ
ッジ(J.T.Baker)に反応混合物をロードし、2.0mlの水で8回洗浄し、続いて
5分間カラムを乾燥し、そして100%アセトニトリルで溶離することにより精製し
た。溶媒を、一定のN2流の下でエバポレートした。次いで、0.15mlのリン酸緩衝
化生理食塩水(PBS)、0.15mlの2.35mg/mlアネキシンV、および0.2mlの0.2M重
炭酸塩(pH10.0)を複合化のためにTc-99m-N2S2に添加した。室温で、20分後、T
c
ラム(Pharmaciaから市販)を通過させることにより精製した。画分(1.0ml)を
回収し、そしてアネキシンVを含有するこれらの画分を貯蔵した。タンパク質濃
度を280nmのUV吸収により決定した。Tc-99m-アネキシンV(300〜350mg)複合体
溶液を希釈し、そして注射に先立って、ウシ血清アルブミン(BSA)を含有するP
BSに、15〜20mgのBSA/ml PBSの最終濃度で貯蔵した。
実施例II
アネキシン-N3Sキレート複合体を放射性標識する手順
S-ベンゾイルメルカプトアセチルグリシルグリシルグリシン(S-ベンゾイルMA
G3)を米国特許第4,965,392号に記載の手順に従って調製する。次いで、25マイ
クログラムのS-ベンゾイルメルカプトアセチルグリシルグリシルグリシンを0.1m
lの1.0M炭酸塩緩衝液(pH12)に溶解する。次いで、75mCiのTc-99mパーテクネテ
ートを約1.0mlで、続いて1.0mgの新たに溶解したナトリウムジチオナイト(10mg
/ml)を添加する。この混合物を100℃±4℃で3分間加熱し、次いで、5分間氷
浴で冷却し、ITLC(CH3CN溶媒);陰イオン交換HPLC(Beckman AX、10ミクロン0
.01M Na2SO4/0.01M Na3PO4、pH7.0);および逆相HPLC(Beckman ODS、5ミクロ
ン 2%CH3CN/0.01M Na3PO4、pH7.0)により決定されるようにTc-99m-MAG3を得る
。
次いで、カルボキシル塩型のTc-99m-MAG3をエステル化する;0.20mlの1N HCl
、0.30mlの0.2Mリン酸緩衝液(pH6.0)、0.01mlの90%CH3CN中、10.0mgの2,3,5,6
-テトラフルオロフェノール(TFP)、および0.1mlの90% CH3CN中、12.5mgのEDC
(1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩)を混合し、
そして反応物を室温(25℃±2℃)で、1時間混合する。この時点で、ITLC(CH3
CN溶媒);陰イオン交換HPLC(Beckman AX、10ミクロン、0.01M Na2SO4/0.01M N
a3PO4(pH7.0));および逆相HPLC(Beckman ODS、5ミクロン、34% CH3CN/0.0
1M Na3PO4(pH7.0))によりTc-99m-MAG3-TFPエステルの収率を決定する。調製
物を、C-18 Bakerカラムを用いて精製する。反応混合物を、必要に応じて、そし
て好ましくは、2mlの水で希釈し、そしてカラムに通し、水で2回洗浄し、次い
で10% C2H5OH/0.01M Na3PO4(pH7.0)で8回洗浄する。生成物をCH3CNで溶離し
、そしてアネキシンVとの複合体化に先立って溶媒を除去する。
活性エステルのアネキシンVの複合体化を、リン酸緩衝液(pH9.5)中、Tc-99
m-MAG3-TFPエステルにアネキシンVを添加することにより行なう。反応は少なく
とも30分間行い、そして所望の放射性標識したアネキシン生成物は、PD-10ゲル
濾過カラムを通過させることにより得られる。
実施例III
放射性標識したアネキシンを用いる血栓のイメージングA . 動物の調製−LA血管血栓。
絶食させた25〜30kgのヨークシアブタに、筋肉内Telazol(5〜10mg/kg)(AVE
CO Co.より市販)および市販のAtropine(1mg、Elkins-Sinn,Inc.、Cherry Hil
l、NJ)を服用させる。Surital(200mg)(Abbott Laboratoriesより市販)麻酔
を静脈内に投与した。動物に挿管し、そして深いレベルの麻酔および生理的な動
脈血のガスを得るのに充分な1.5〜2%のハロタン(Abbott Laboratoriesより市販
)およびO2の吸入麻酔を施した。連続的な心電図のモニタリングをワニ口クリッ
プ電極を使用して開始した。首の領域で切開を行い、そして8フレンチ(french
)カテーテル(USCI Co、Billerica、MA)を、血圧および動脈血ガスモニタリン
グ、ならびに血液採取のために、右の総頸動脈内に置いた。
ブタを右側面位で置き、そして側部の開胸を行い、心臓を露出させた。切開部
は開胸開創器により開胸固定した。心膜を切開し、そして左心耳を血管交差クラ
ンプにより左心房から単離した。ゴム先鉗子(rubber tipped forcep)を使用し
て、心耳を穏やかに破砕した。5分後、リシノール酸塩(1mg、ICN Pharmaceuti
cals、Costa Mesa、CA)およびトロンビン(50mg、Johnson and Johnson Co.、A
rlington、Texas)を、27Ga針を用いてLAA(左心耳)に注射した。交差クランプ
を10分後に除いた。
破砕損傷の1時間後、上記の実施例Iに従って調製したTc-99m-アネキシンVを
、耳静脈に静脈ボーラス用量として投与した。次いで、静脈ラインを生理食塩水
で洗浄した。7頭の動物において、I-125標識のオボアルブミンを非特異的コン
トロールとして、例えば、Frakerら、Biochem .Biophys.Res.Commun. 80: 849
-57、1978に記載の手順により投与した。簡単に言うと、I-125放射性標識したオ
ボ
アルブミンをヨードジェン法(Iodogen method)により、600gのオボアルブミン
(Sigma Chemcal Co.、St.Louis、Missouri)およびNaI-125(2mCi、0.92nmol
)を用いて調製した。
画像の取得を以下のように行った。実験手順の最後に(一般的には約150分)
、動物がまだ通常の麻酔下にある間に、80mEqのKClの静脈内ボーラス投与により
屠殺した。最終的な血液試料をウェル計測のために採取した。心臓を速やかに摘
出し、血液を洗い流し、そしてウェル計測のための試料に切開した。頸動脈、肺
、肝臓、脾臓、筋肉および腎臓のさらなる試料をいくつかの動物において得た。B . コントロール
. 5つの異なるコントロールを用いた:開胸シャム(sham)
;閉胸シャム;オボアルブミン;インジウム血小板;および非特異的にTc-99mで
標識した抗体。
1. 開胸シャム。3頭の動物において、心臓を上記のように露出したが、左心
房は単離、破砕、またはリシノール酸塩/トロンビンを用いて注射しなかった。
コバルトマーカーを用いるマーカー画像を以下に記載するように行い、そしてTc
-99m-アネキシンVをLAA曝露の30〜60分後に注射した。イメージングおよび試料
の取得は上記Aに記載の取得と同じであった。
2. 閉胸シャム。7頭の動物において、耳の静脈ラインを確立した。開胸は行
わなかった。鎮静および麻酔は上記Aに記載のそれらと同じであった。Tc-99m-ア
ネキシンV(+/- 他のコントロールの放射性核種(例えば、I-125オボアルブミ
ンまたはIn-111-血小板))を投与し、そして画像の取得を行った。
3. オボアルブミン。I-125オボアルブミンを陰性コントロールタンパク質とし
て7頭の動物に投与した。オボアルブミンはアネキシンの分子サイズと類似の分
子サイズを有し、そしてわずかにより緩やかな血液クリアランスを示す。
4. インジウム血小板。In-111血小板の標識化を陽性のウェル計測の標識とし
て7頭の動物で行った。In-111放射性標識した血小板を、Strattonら、Am .J.C ardiol.
47: 874、1981およびStrattonら、Circulation 69: 561、1984に記載の
手順に従って調製した。イメージングは、In-111血小板の血清の半減期が長いた
め試みなかった。
5. 非特異的なTc標識抗体。単一の実験において、左心房(LA)血栓を上記方
法により作成したが、Tc-99m-アネキシンVは投与しなかった。代わりに、NR-LU
-10と称する抗体のTc-99m-Fabフラグメントを投与した。NR-LU-10は、ほとんど
の癌腫で発現する約40キロダルトンの糖タンパク質抗原を認識する150キロダル
トンの分子量のIgG2bモノクローナル抗体である。NR-LU-10は、ヒトの臨床試験
において565人を超える患者に安全に投与されている、よく特徴づけられた汎腫
瘍(pancarcinoma)抗体である。NR-LU-10-Fabを公知の技術に従って調製し、J. Nucl.Med.
32: 1445-51、1991に記載の手順に従って、放射性標識したアネキシ
ンVを調製するための実施例Iに記載の改変C-18 Bakerの精製Tc-99m-N2S2-TFP手
順で放射性標識する。このTc-99m-Fab複合体を、ウェル計測およびイメージング
の両方の陰性コントロールとして設計した。
C . イメージング. コバルトマーカーをLAAの曝露した表面上に置き、そして
開胸開創器に添付した外科テープで適切な位置に保持した。マーカーが一般に各
心臓サイクルでLAAと共に動くように、このテープを調整した。マーカーの画像
は各平面図について10秒間、そして各断層撮影スライスについて10秒間を必要と
した。次いで、コバルトマーカーを除去した。
Tc-99m画像を得るために、一般的な用途のコリメーターを備えたGeneral Elec
tric Starportのカメラを使用した。5分の平面取得を連続的に左側部、45 LAO
、そして腹部において行った。これらは、10分の断層撮影取得の後に続けた。こ
の3つの平面取得および1つの断層撮影の全セットを合計5セット繰り返した。
全体のイメージング配列の間、ブタまたは画像用構台を動かさないように注意を
払った。
画像をVAXメインフレームシステムに従属したMicrodeltaコンピューター上に
記録した。画像をテープ上またはVAXハードドライブ上に保存した。平面画像分
析は、最初にマーカーで像を観測すること、および観測する端末スクリーン上に
マーカー位置を記録することからなる。Tc-99m-アネキシンVの注射の後に得ら
れた最初の画像を心臓血液プールを定義するために使用した。その後の各画像を
、マーカー、および基準としての最初の血液プールを用いて観測し、そして分析
した。各画像を陽性、不確定、または陰性として点数付けした。
13頭の動物で、左心房血栓を作製し、上記のように画像化した。12頭の動物に
、
画像化のためにTc-99m-アネキシンVを注射し、そして1頭の動物にコントロー
ルとして非特異的なTc-99m Fabを注射した。閉胸イメージングを、心房損傷のな
い7頭の動物で行い、そして開胸シャム実験を3頭の動物で行った。心房性血栓
を有する動物において、Tc-99m-アネキシンVの投与後、35分未満で撮影した全
ての平面画像は陰性であった。70分以降に撮影した心房性血栓の平面画像の内の
9つは陽性、1つは不確定、そして2つは陰性であった。心房性血栓の全ての断
層撮影画像は、注射後2時間以上のイメージング時間で、陽性(n=10)、または
不確定(n=2)のどちらかであった。Tc-99m-アネキシンVの投与後、平面画像が
陽性になる平均時間は82分であった(35〜135分)。
閉胸コントロール動物は、全く陽性の画像を有しなかった。3つの開胸シャム
の内の1つは、85分で陽性画像を有した。この擬陽性は、外科的に誘導された血
栓の産生から生じると考えられる。
これらの結果は、Tc-99m-アネキシンVの静脈内投与が、複合体投与後の短い
時間内に心房性血管血栓を同定する診断画像の取得を可能にしたことを示す。
D . 試料集収. 上記のように、試料(血液および組織の両方)を秤量し、そ
してTc-99mの速やかな計測のためにバイアル中に置いた。Tc-99mが減衰した後(
代表的に5〜7日で)、I-125のカウントを得るために試料を再アッセイした。各
バイアルを1分間計測した。カウントを減衰、次いで重量について補正し、1グ
ラム当たり、1分当たりのカウントとして記録した。次に、各試料について、1
グラム当たり、1分当たりのカウントを除算することにより正規化した。従って
、各試料の結果を、最後の血液試料を用いて比で計算した。これにより、動物間
の意味ある比較を可能にする。この手順を、所定の実験における全ての放射性核
種に対して行った。
ウェル計測の比を種々の組織試料について得た。損傷した組織および血栓につ
いて、多くの場合、多くの標本を同じ動物から得た。これらの場合、任意の1つ
の標本に対して最大の比、および得られた全ての標本の平均を記録する。各動物
についての最大値を全ての動物にわたって平均し、最大Anx-V比として記録する
。
これらの結果は、Tc-99m-アネキシンVが、心房性血栓および損傷した左心房
に優先的に局在化し、最も高い非標的な局在化が腎臓で生じることを示す。腎臓
レベルは、少なくとも部分的には、腎臓経路によるTc-99m-アネキシンVの排出
を示す。
実施例IV
放射性標識したアネキシン-ガラクトース複合体
A . アネキシンV-ヒト胎盤からの調製およびE.coliにおける発現による調製
。Funakoshiら、Biochemistry 26、5572-78、1987およびTaitら、Biochemistry 27
、6268-76、1988に記載されるように、アネキシンVをヒト胎盤から、99%の最
終純度に精製した。
あるいは、アネキシンVをE.coliにおける発現により得たが、以下の実験に
は使用しなかった。この発現を以下のように行った。
1. 大量発酵上清の調製。標準的な分子生物学の技術を用いて、E.coliにお
いてアネキシンVを発現させた。より詳細には、アネキシンVのcDNAのタンパク
質コード領域(上記に参照されたFunakoshiらを参照のこと)をプラスミドpET-1
2a(Novagen、Madison WI)のNdeI/BamHI部位に挿入した。選択されたプラスミ
ドを、E.coli株BL21(DE3)(Novagen)を形質転換するために使用した。
個々のコロニー(クローン)を、Sambrookら、「Molecular Cloning Laborato
ry Manual」、第2版、Cold Springs Harbor Laboratory Press、1989に記載さ
れるように、50g/mlのアンピシリンまたはカルベニシリンを含有するLuria Brot
hプレート上で単離した。産生について、所望のプラスミドを含有する選択クロ
ーンの培養を、37℃で1晩、50μg/mLカルベニシリン(Sigma Chemical Co.、st
. Louis、Missouriより市販)を含有するTerrific Broth(Tartofら、Bethesda Res .Lab.Focus
、9: 12、1987を参照のこと)中で振盪することにより増殖させ
た。培養を同じ培地で1:20に希釈し、そして37℃で18〜24時間、振盪することに
よりインキュベートした。遠心分離により細菌を採集し、pH8で、同量の0.05MTr
is-HCl、0.15M塩化ナトリウムで一度洗浄し、そして-20℃でペレットとして貯蔵
した。ペレットを解凍し、そしてpH7.2で、10〜15%(w/v)の冷0.05M Tris-HCl、0
.02M Na4EDTAで再懸濁した。懸濁液を氷上で4分間超音波処理し、遠心分離し、
そして上清を-70℃で貯蔵した。
2. 大量発酵上清からのアネキシンVの精製。上清を解凍後、0.1μm中空糸
ユニット(A/G Technology、Needham、MAから市販)を用いて濾過し、そして伝
導率を濃塩化ナトリウムで0.02M Tris-HCl、0.5M塩化ナトリウム(pH8)に等し
くなるまで調整した。ポリエチレンイミン-WP(J.T.Baker、Phillipsberg、NJ
)を0.02M Tris-HCl、0.5M塩化ナトリウム(pH8)中に懸濁し、そして大量発酵
上清10ml当たり1gの樹脂を濾過した上清に添加した。30分撹拌した後、上清を
除去し、0.02M Tris-HCl(pH8)中へと交換し、そして同じ緩衝液で平衡化したQ
M塩化ナトリウムの段階グラジエントで展開した。画分を、サイズ排除HPLCによ
りアネキシンVについてアッセイし、そしてA280吸収物質を含む画分の適切な量
をプールした。半精製アネキシンVをPBS中へと交換し、そして限外濾過により
製したタンパク質を得た。タンパク質濃度を1mg/mlに調整し、0.2μmの無菌濾過
を行い、そして2〜8℃で貯蔵した。
B . ガラクトースによるアネキシンVの誘導。Leeら、Biochemistry 15: 6268
-76、1976の一般的な方法に従った。
a. 2-イミノ-2-メトキシエチル-1-チオ-D-ガラクトピラノシドの調製。
シアノメチル-2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-チオ- -D-ガラクトピラノシド(
Sigma Chemical Company、St.Louis、MOより市販)の1.0M溶液を、1.83g(4.5m
mole)を4.5mlの無水メタノールに溶解して50℃まで加熱することにより調製し
た。この溶液を50℃に保持し、そしてメタノール中の25%ナトリウムメトキシド
(Aldrich Chemical Company、Milwaukee、WIより市販)の0.1ml(0.45mmole)
を連続的に撹拌しながら添加した。50℃にて6時間後、メタノールを減圧下で除
去し、無色の粘性のオイルとしてガラクトースメチルイミデートを得た。
b. アネキシンVのガラクトシル化
ガラクトースメチルイミデートをアネキシンVに300:1、150:1、および75:1の
モル比で供給した。300:1の添加については、メタノール中、3.35mgのガラクト
ースメチルイミデートを窒素気流下、オイルに入れた。このオイルに、0.05M HE
PES緩衝液(Sigma Chemical Co.、St Louis、Missouriより市販)(pH7.4)中の
2.53mgのアネキシンV、および0.04mlの0.5Mのホウ酸ナトリウム緩衝液(pH8.5
)を添加した。この溶液を、反応容器を回転させることにより、室温にて1時間
混合し、次いで、室温にて1晩(約18時間)静置した。反応混合物を0.4mlのPBS
で希釈し、透析チューブ(6000〜8000MWカットオフ)に移し、そしてPBSに対し
て24時間透析した。透析袋から材料を取り出した後、溶液を0.2μmのシリンジフ
ィルターを通して濾過した。他の供給レベルを同様に行った。
C . ガラクトース誘導体化アネキシンVの特徴付け。タンパク質濃度を、1mg/
mlのアネキシンVの溶液に対して0.6のA280を用いて決定した。Habeeb、Analyti cal Biochemistry
14: 328-36、1966に記載されるように、アネキシンV1分子
当たりのガラクトース残基の数を、ガラクトースメチルイミデートととの反応前
、および反応後に、アネキシンV上の反応性アミンの全数をトリニトロベンゼン
スルホン酸を用いて測定することにより決定した。
供給比 置換比
300:1 4.7:1
150:1 2.3:1
75:1 1.1:1
ThiagarajanおよびTait J .Biol.Chem. 265: 17240-43、1990の方法に従って、
ガラクトース修飾アネキシンVが活性化された血小板に結合する能力を、新たに
単離したヒト血小板への、非修飾125I放射性標識化アネキシンVの結合を阻害す
るその能力を決定することにより評価した。以下の表は、競合アッセイの結果を
、絶対値(左の縦列)、および非修飾アネキシンVに対して100%に正規化された
値(右の縦列)の両方によって示す。
D . Tc-99m-アネキシン-V-ガラクトースの調製。Kasinaら、J .Nucl.Med. 3 2
: 1445-51、1991に記載されるように、アネキシンV-ガラクトースを、ジアミ
ドジメルカプチド(N2S2)キレートを用いて、テクネチウム99mで放射性標識化
した。 Fritzbergら、Proc .Natl.Acad.Sci.USA 85: 4025-29、1988に記載さ
れるように、予め形成した活性エステルキレートを2.0mlの水で希釈し、そして
アネキシンV-ガラクトースとの複合の前に、改変された条件でC-18カラムを用
いて精製し、2.0mlの水で8回洗浄し、続いて5分間カラムを乾燥し、そして100
%アセトニトリルで溶出した。溶媒をN2の定常気流下で除去した。次いで、0.15m
lのPBS、0.35mlの1.0mg/mlアネキシンV-ガラクトース(4.7:1のガラクトース:
アネキシンV)、および0.2mlの0.2M重炭酸緩衝液(pH10.0)をTc-99m-N2S2-TFP
エステルと複合化するため添加した。室温にて20分後、Tc-99m-アネキシンV-ガ
り市販)を通過させることにより精製した。
1.0mlの画分を回収し、そしてアネキシンVを含む画分をプールした。タンパ
ク質濃度を280nmにおけるUV吸収により決定した。複合体の放射化学的収率は35.
3%であった。シリカゲルを含浸させたガラス繊維シートでの簡易(instant)薄
層クロマトグラフィー(12%w/vトリクロロ酢酸水溶液で展開)により分析すると
、複合体の放射化学的純度は99.8%であった。このITLCシートを切って2分し、
そして各半分をガンマカウンターまたは線量カリブレーターにおいてカウントし
た。放射性標識化アネキシンV-ガラクトース複合体が原点に析出し、そしてタ
ンパク質に結合していない放射活性種はこの溶媒系のソルベントフロントに移動
した。静脈内注射の前に、Tc-99m-アネキシンV-ガラクトース複合体(300〜350
g)溶液を、15〜20mg/mlPBSの最終濃度でウシ血清アルブミン(Sigma Chemical
Co.より市販)を含有するPBSで希釈し、そして貯蔵した。E . Tc-99m-アネキシンVおよびTc-99m-アネキシンV-ガラクトースの血中クリ アランス
。実施例IIIで前述したような動物モデルを分子の血中クリアランスを
評価するために使用した。N=20のブタについて、血中クリアランス(図2)は二
相性(二指数関数的)である:
%ID/g a=0.0389 t1/2 a=9.6分
%ID/g b=0.0300 t1/2 b=46分
a+b=0.0689であり、それゆえ、注射用量(Injection dose)/血液グラムの57%
(0.0389/0.0689)をより速いa相でクリアランスし、そしてID/gの43%をより遅
いb相でクリアランスする。
ブタのTc-99m-アネキシンV-ガラクトースの血中クリアランス(図2)もまた
二相性(二指数関数的)である:
%ID/g a=0.0313 t1/2 a=3.5分
%ID/g b=0.0045 t1/2 b=160分
a+b=0.0358であり、それゆえ、注射用量/血液グラムの87%(0.0313/0.0358)を
初期のa相で迅速にクリアランスする。このより速いクリアランスは、血液区画
におけるバックグラウンドの放射活性(すなわち、ノイズ)を減少させ、そのた
めS/N比を改良する。従って、血栓イメージングをより短時間で達成し得る。
実施例V
キレート調製4,4- ジエトキシカルボニルプロピル-1,3-ジアニリン
:2.065g(1.25mole)の4-
アミノ安息香酸エチル、14.35mL(0.125mole)の1,3-ジ-ヨードプロパンおよび1
0.5g(0.125mole)の重炭酸ナトリウムを500mLの乾燥DMSO中で撹拌した溶液を、
100℃にて3時間窒素下で加熱する。冷却して、混合物を撹拌しながら2Lの氷水
に注ぎ、そして得られた沈殿を濾過により回収する。次いで、沈澱を、出発物質
である4-アミノ安息香酸エチルが全て除去されるまで氷酢酸(14×75mL)で洗浄
する。真空にて乾燥後、得られた生成物をさらに精製することなく次の工程にて
使用する。1,3- ジ(2-イミノ-6-エトキシカルボニルベンズチアゾリル-3-)プロパン
:チオ
シアン酸アンモニウム(16.5g、0.217mole)を、1500mLの氷酢酸中に4,4-ジエト
キシカルボニルプロピル-1,3-ジアニリン(10.0g、0.27mole)を含む懸濁液にマ
グネチックスターラーで撹拌しながら添加する。次いで、100mLの氷酢酸中に臭
素(34.6g、0.216mole)を含む溶液を、室温にて撹拌しながら懸濁液に滴下する
。室温にて1晩、反応混合物を撹拌した後、粗生成物のジヒドロブロマイド塩を
濾過により回収し、そして乾燥する。温水中に粗生成物を溶解し、飽和重炭酸ナ
トリウム溶液の添加により塩基性のpHに調整し、濾過により沈澱を回収し、そし
て
真空中で乾燥することにより、生成物を単離する。N,N'- ビス(2-ジスルフィジル-4-ヒドロキシカルボニルフェニル)-1,3-プロピ ルジアミン
:固体の水酸化カリウム(20.0g、0.357mole)を、40mLの蒸留水中に
1,3-ジ(2-イミノ-6-エトキシカルボニルベンズチアゾリル-3-)プロパン(1.0g
、0.002mole)を含む懸濁液に添加し、そして得られた混合物を120℃にて12時間
加熱する。1時間後には完全に溶解する。次いで、反応混合物を氷浴で冷却し、
そして5.0N酢酸でpHを5.0に調整する。次にこの水溶液を100mLずつの酢酸エチル
で3回抽出する。合わせた酢酸エチル抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そ
して乾燥剤を濾過する。溶媒の除去により生成物を得る。
この時点までのこの合成を図3に図示する。
N,N'- ビス(2-ジスルフィジル-4-ヒドロキシカルボニルフェニル)-1,3-プロ ピルジアミンモノ-(メチル-アミノカプロエート)付加物
。ジメチルホルムアミ
ド中にN,N'-ビス(2-ジスルフィジル-4-ヒドロキシカルボニルフェニル)-1,3-
プロピルジアミンおよび2〜3当量の6-アミノヘキサン酸メチル塩酸塩(以下の
実施例VIに記載のように調製される)を含む混合物に、10当量のトリエチルアミ
ンを添加し、続いて0.9〜1.0当量のBOP(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシート
リス-(ジメチル-アミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)を添加
する。混合物を15〜30℃にて2〜24時間撹拌し、次いで濃縮する。残渣を脱イオ
ン水で希釈し、そして1N塩酸水溶液でpHを約2に調整する。混合物を再び濃縮す
る。残渣をシリカゲル上でクロマトグラフにかける。生成物を含有するクロマト
グラフの画分を合わせ、そして濃縮して生成物を得る。
このキレートは、適切な三官能性リンカーまたは一対の二官能性リンカーと共
に使用して、本発明の放射性標識化アネキシン-ガラクトースクラスター複合体
を形成するに適する。一対の二官能性リンカーとのその使用を以下の実施例に記
載する。
実施例VI
放射性標識化アネキシン-ガラクトースクラスター複合体
二官能性リンカーのアプローチ
A.8個のガラクトースのクラスターの調製
この手順を図5に模式的に示す。
6- ブロモヘキサン酸メチル。1Lの丸底フラスコに、20g(102.5mmol)の6-ブロ
モヘキサン酸および500mLのメタノールを仕込み、塩化水素ガスで2〜3分間泡
立たせた。この混合物を室温で4時間撹拌し、そして濃縮して21.0gの生成物を
黄色油状物として得た(99%):1H-NMR(200MHz、d6-DMSO);3.57(s,3H),3.51(t
,2H),2.30(t,2H),1.78(ペンテット,2H),および1.62-1.27(m,4H)ppm。
6- アミノヘキサン酸メチル塩酸塩。1Lの丸底フラスコに、40.0gのアミノカプ
ロン酸を仕込み、500mLのメタノールを加えた。この混合物に塩化水素ガスを通
気して5分間泡立たせ、そして混合物を室温で5時間撹拌した。次に、この混合
物をロータリーエバポレータで、次いで完全真空ポンプ圧下(<0.1mmHg)で濃縮
して、55gの生成物を白色固体として得た(99%):1H-NMR(200MHz、CD3OD);3.
67(s,3H),3.02(t,2H),2.68(s,3H),2.48(t,2H),および2.03-1.87(ペンテット,2H
)ppm。
6-( トリフルオロアセトアミド)-ヘキサン酸メチル:1Lの丸底フラスコに、25
.0g(138mmol)の6-アミノヘキサン酸メチル塩酸塩および500mLの塩化メチレンを
仕込み、そして24mL(170mmol)の無水トリフルオロ酢酸を加えた。この混合物を
氷浴中で冷却し、そして42mL(301mmol)のトリエチルアミンを25〜30分間かけて
加えた。この混合物を0℃から室温で2時間撹拌し、次いで濃縮した。残渣を15
0mLのジエチルエーテルおよび150mLの石油エーテルで希釈し、そして得られた溶
液をまず1NのHCl水溶液(3×150mL)で洗浄し、次に飽和重炭酸ナトリウム水溶液(
3×150mL)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして濃
縮して32.9gの生成物を淡黄色油状物として得た(99%):1H-NMR(200MHz、d6-DMS
O);9.39(m,1H),3.57(s,3H),3.14(q,2H),2.29(t,2H),1.60-1.38(m,4H),および1.
32-1.19(m,2H)ppm。
N,N'- ビス(6-メトキシカルボニルヘキシル)アミン塩酸塩。500mLの乾燥した丸
底フラスコに、12.0g(50.0mmol)の第二級アミド、すなわち6-(トリフルオロアセ
トアミド)-ヘキサン酸メチル、および250mLの乾燥テトラヒドロフランを仕込み
、そして2.2g(55mmol、1.1当量)の60%水素化ナトリウムを加えた。この混合物
を室温で30分間撹拌し、次いで10.25g(49.0mmol、0.98当量)の臭化アルキル、6-
ブ
ロモヘキサン酸メチルを加えた。この混合物を還流下、3時間撹拌した。さらに
5.80g(27.7mmol、0.55当量)の6-ブロモヘキサン酸メチルを加え、そしてこの混
合物を還流下、70時間撹拌した。この混合物を冷却し、1NのHCl水溶液150mLで希
釈し、次いで酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて、硫酸マ
グネシウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残渣を200mLのメタノールで希
釈し、次いで30mLの10N水酸化ナトリウム水溶液で処理した。この混合物を室温
で18時間撹拌し、次いで濃縮した。残渣を200mLの脱イオン水で希釈し、そして3
7%の濃HClでpH1〜2に酸性化した。この溶液をジエチルエーテル(3×100mL)で
洗浄した。水相を濃縮した。残渣を200mLのメタノールで希釈し、そして再濃縮
した。次の残渣を250mLのメタノールで希釈し、そしてHClガスを通気して2〜3
分間泡立たせ、次いで室温で3時間撹拌した。この混合物を濃縮した。残渣を30
0mLのメタノールで希釈し、そして濾過して無機塩を除去した。濾液を3gの活性
炭で処理し、Celite(J.T.Baker製造)で濾過し、そして濃縮した。残渣はオフホ
ワイトの固体であり、これを100mLの2-プロパノールから再結晶化して7.0gの生
成物を白色固体として得た。濾液の濃縮および残渣のさらなる再結晶化によって
、さらに1.65gの生成物が得られ、全体で8.65gが得られた(56%):1H-NMR(200MH
z、d6-DMSO);3.57(s,3H),2.90-2.73(m,4H),2.30(t,4H),1.67-1.44(m,8H),およ
び1.37-1.20(m,4H)ppm。
4- メチルアミノ酪酸メチル塩酸塩。1Lの丸底フラスコに、30.0g(195mmol)の4-
メチルアミノ酪酸および500mLのメタノールを仕込み、HClガスで1〜2分間泡立
たせた。混合物を室温で3〜4時間撹拌し、次いで濃縮して32.5gの生成物を泡
状のオフホワイトの固体として得た(99%):1H-NMR(200MHz、CD3OD);3.67(s,3H
),3.03(t,2H),2.68(s,3H),2.48(t,2H),および2.03-1.87(ペンテット,2H)ppm。
4- メチルアミノブタノール。1Lの丸底フラスコに、32.5g(194mmol)のエステル
、すなわち4-メチルアミノ酪酸メチル塩酸塩を仕込み、500mLの1Mボラン(テトラ
ヒドロフラン中)を1時間かけて0℃で加えた。添加完了後、この混合物を20時
間還流し、0℃に冷却し、そして100mLのメタノールを慎重に加えることによっ
て過剰のボランを分解(destroy)した。全てのメタノールを添加した後、混合物
を室温で1時間撹拌し、次いで濃縮した。残渣を400mLのメタノールで希釈し、
次
いでHClガスを溶液中に通気して5分間泡立たせた。この混台物を16時間還流し
た。混合物を冷却し、濃縮し、次いで250mLの脱イオン水で希釈した。10N水酸化
ナトリウム水溶液を添加してpH9〜9.5とし、次いで70gのAG 1 X-8アニオン交換
樹脂(水酸化物形態)(BioRadから市販)を加え、そしてこの溶液を2時間撹拌する
ことにより、生成物をまず遊離塩基とした。樹脂を濾過して除去し、そして150m
Lの脱イオン水で洗浄した。水性濾液を合わせて濃縮した。残渣を200mLの2-プロ
パノールで希釈し、そして濾過した。回収した固体を100mLの2-プロパノールで
濯いだ。有機濾液を合わせて濃縮した。残渣を減圧下で蒸留し、12.85gの生成物
を無色油状物として得た(0.1〜0.2mmHGでの沸点68℃;64%):1H-NMR(200MHz、D2
O);3.52(t,2H),2.56(t,2H),2.31(s,3H),および1.65-1.43(m,4H)ppm。
4-(N- メチル-トリフルオロアセトアミド)-1-ブタノール。250mLの丸底フラス
コに、10.0g(96.9mmol)のアミン、すなわち4-メチルアミノブタノールを100mLの
乾燥メタノール中に仕込み、17.5mL(147mmol)のトリフルオロ酢酸エチルを加え
た。この混合物を室温で24時間撹拌し、次いで濃縮して18.55gの生成物をほぼ無
色の油状物として得た(96%):1H-NMR(200MHz、D2O);3.63および3.50(2t's,4H)
,3.20および3.05(dおよびs,3H),および1.82-1.47(m,4H)ppm。
1-(p- トルエンスルホニルオキシ)-4-(N-メチル-トリフルオロアセトアミド)ブ タン
。1Lの乾燥した丸底フラスコに、17.0g(85.4mmol)の上記アルコール、すな
わち4-(N-メチル-トリフルオロアセトアミド)-1-ブタノールを400mLの塩化メチ
レン中に仕込み、17.1g(89.7mmol、1.05当量)の塩化トルエンスルホニルを加え
、次いで30mL(213mmol、2.5当量)のトリエチルアミンを0℃で10分間かけて加え
た。この混合物を0℃から室温で15時間撹拌し、次いで5%(v/v)のHCl水溶液(3
×200mL)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮
した。残渣をシリカゲルでクロマトグラフにかけ、50:50ヘキサン/塩化メチレン
、次に塩化メチレンで溶出し、25.1gの生成物を淡黄色油状物として得た(83%)
:1H-NMR(200MHz、CDCL3);7.80(d,2H),7.37(d,2H),4.07(m,2H),3.41(m,3H),3.0
9および2.98(qおよびs,3H),2.45(s,3H),および1.68(m,4H)ppm。TLC(塩化メチレ
ン)Rf=0.31。
1-S-(2,3,4,6- テトラ-O-アセチル-β-D-ガラクトピラノシル)-2-チオプソイド ウレア臭酸塩
。250mLの丸底フラスコに、5.08g(60.8mmol、1.09当量)のチオウレ
アおよび36mLのアセトンを仕込み、25.0g(66.7mmol)のテトラ-アセチル-α-D-ガ
ラクトピラノシルブロミドを加えた。この混合物を還流下15〜20分間撹拌し、次
いで氷冷した。この混合物を濾過してブフナー漏斗中に入れ、そして25mLの氷冷
アセトンで濯いだ。固体を50mLのアセトンで処理し、15分間還流し、氷冷し、そ
して濾過した。固体を25mLの冷アセトンで濯ぎ、風乾し、次いで減圧乾燥して22
.6gの生成物を白色固体として得た(76%):1H-NMR(200MHz、d6-DMSO);9.4-9.0(
広幅d,4H),5.63(d,1H),5.38(d,1H),5.23(dd,1H),5.09(t,1H),4.40(t,1H),4.04(d
d,1H),2.13(s,3H),2.08(s,3H),2.00(s,3H),1.93(s,3H)ppm。
4-(N- メチルアミノブチル)-1-チオ-β-D-ガラクトピラノシド。500mLの丸底フ
ラスコに、上記のように調製したチオプソイドウレア臭酸塩20.7g(42.5mmol、1.
07当量)を70mLの脱イオン水中に仕込み、6.4g(46.3mmol、1.16当量)の炭酸カリ
ウムおよび4.7g(45.2mmol、1.13当量)の重亜硫酸ナトリウムを加え、その直後に
、70mLのアセトン中の14.1g(39.9mmol、1.0当量)の上記トシレート、すなわち1-
(p-トルエンスルホニルオキシ)-4-(N-メチルトリフルオロアセトアミド)ブタン
を加えた。この混合物を室温で16時間撹拌した。混合物を50mLのブラインで希釈
し、そして酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、硫酸マグネ
シウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残渣をシリカゲルでクロマトグラフ
にかけ、まず75%塩化メチレン/ヘキサン、次に塩化メチレン、次に2%メタノ
ール/塩化メチレン、そして最後に10%メタノール/塩化メチレンで溶出した。異
なるアセチル化度のアルキル化生成物を含む画分を合わせて濃縮した。残渣を25
0mLのメタノールおよび150mLの脱イオン水で希釈し、そしてBioRadから市販のAG
-1X-8樹脂(水酸化物形態;2.6m当量/g乾燥重量)110gで処理した。混合物を室温
で18時間撹拌した。混合物を濾過し、そして樹脂をメタノール(2×150mL)で濯い
だ。濾液を合わせて濃縮し、6.1gの生成物を得た(54%):1H-NMR(200MHz、D2O)
;4.38(d,1H),3.88(d,1H),3.69-3.41(m,5H),2.82-2.64(m,4H),2.43(s,3H),およ
び1.68-1.57(,4H)ppm。
N-BOC- ビス-メチルエステル。1.00g(3.23mmol)の上記アミン塩酸塩、すなわち
上記のように調製したN,N-ビス(6-メトキシカルボニルヘキシル)アミン塩酸塩に
1.5mL(10.6mmol)のトリエチルアミンを加え、次いで875mg(3.55mmol、1.1当量)
のBOC-ON、すなわち2-(tert-ブトキシカルボニルオキシイミノ)-2-フェニルアセ
トニトリルを加えた。この混合物を室温で18時間撹拌し、次いで濃縮した。残渣
を100mLの酢酸エチルで希釈し、そして1Nの塩酸水溶液(3×50mL)、次に飽和重炭
酸ナトリウム水溶液(2×50mL)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、
濾過し、そして濃縮した。残渣をシリカゲルでクロマトグラフにかけ、15%(容
量パーセント)の酢酸エチル/ヘキサンで溶出した。生成物を含むクロマトグラフ
画分を合わせて濃縮し、990mgの生成物をほぼ無色の油状物として得た(83%)。
N-BOC- ビス-酸。10mLのメタノール中の、前記工程で調製されたジエステル980
mg(2.62mmol)に、5.8mLの1N水酸化ナトリウム水溶液(5.8mmol)を加えた。この混
合物を室温で16時間撹拌し、次いで濃縮した。残渣を30mLの脱イオン水で希釈し
、そしてpH1.5-2に酸性化した。混合物を酢酸エチル(6×50mL)で抽出した。有機
抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残渣をJ.T.Bake
rから市販の逆相C-18シリカゲルでクロマトグラフにかけ、65%メタノール/水で
溶出した。生成物を含むクロマトグラフ画分を合わせて濃縮し、851mgの生成物
をほぼ無色の油状物として得た(94%)。
N-BOC- テトラ-メチルエステル。35mLの乾燥ジメチルホルムアミド中の、上記
のように調製されたビス−酸825mg(2.39mmol)に、1.75g(5.65mmol、2.36当量)の
アミン塩酸塩、すなわち、N,N-ビス(6-メトキシカルボニルヘキシル)アミン塩酸
塩、および3.0mLのトリエチルアミンを加え、次いで2.4g(5.4mmol、2.3当量)のB
OPを加えた。この混合物を室温で17時間撹拌し、次いで濃縮した。残渣を100mL
の酢酸エチルで希釈し、そして1N塩酸(3×50mL)で洗浄し、次いで重炭酸ナトリ
ウム水溶液(2×50mL)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し
、そして濃縮した。残渣をシリカゲルでクロマトグラフにかけ、酢酸エチルで溶
出した。生成物を含むクロマトグラフ画分を合わせて濃縮し、1.63gの生成物を
ほぼ無色の油状物として得た(80%)。
N-BOC- テトラ-酸。25mLのメタノール中、上記のように調製したテトラ-メチル
エステル1.41g(1.65mmol)を含む溶液に、7.4mL(7.4mmol)の1N水酸化ナトリウム
水溶液を加えた。この混合物を室温で22時間撹拌し、次いで濃縮した。残渣を30
mLの脱イオン水で希釈し、そして1N塩酸水溶液でpH2に酸性化した。混合物を3:1
(容量比)酢酸エチル/イソプロパノール(3×100mL)で抽出した。有機抽出物を濃
縮した。残渣を逆相C-18シリカゲルでクロマトグラフにかけ、最初に50:50(容量
比)メタノール/水で溶出し、最終的に75:25メタノール/水で溶出した。生成物を
含むクロマトグラフ画分を合わせて濃縮し、1.19gの生成物を無色油状物として
得た(90%)。
N-BOC オクタ−メチルエステル。上記のように調製されたテトラ−酸501mg(0.6
26mmol)および30mLの乾燥ジメチルホルムアミドの混合物に、968mg(3.12mmol、5
.0当量)のアミン塩酸塩、すなわち、N,N'-ビス(6-メトキシカルボキシヘキシル)
アミン塩酸塩、および2.0mL(14.2mmol)のトリエチルアミンを加え、次いで1.22g
(2.76mmol、4.6当量)のBOPを加えた。この混合物を室温で19時間撹拌し、次いで
濃縮した。残渣を75mLの酢酸エチルで希釈し、そして1N塩酸水溶液(2×50mL)で
洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残渣
を逆相C-18シリカゲルでクロマトグラフにかけ、最初に60:40メタノール/水で溶
出し、最終的に90:10メタノール/水で溶出した。生成物を含むクロマトグラフ画
分を合わせて濃縮し、715mgの生成物をほぼ無色の油状物として得た(63%)。
N-BOC オクタ-酸。20mLのメタノール中、上記のように調製したオクタ-メチル
エステル715mg(0.393mmol)を含む溶液に、6mLの1N水酸化ナトリウム水溶液(6mmo
l)および5mLの脱イオン水を加えた。この混合物を室温で16時間撹拌し、次いで
濃縮した。残渣を20mLの脱イオン水で希釈し、そしてこの溶液をpH1.5〜2.0に酸
性化した。混合物を濃縮し、そして残渣を逆相C-18シリカゲルでクロマトグラフ
にかけ、最初に50:50メタノール/水で溶出し、最終的に80:20メタノール/水で溶
出した。生成物を含むクロマトグラフ画分を合わせて濃縮し、647mgの生成物を
ほぼ無色の油状物として得た(96%)。
上記手順は8個のガラクトース残基を有するガラクトースクラスターの形成の
ために設計されている。4個のガラクトースのものは、この手順に従って、テト
ラ酸から、8-ガラクトースクラスターについて後述するガラクトース誘導体化工
程へと進むことによって作製され得る。同様に、16個、32個などのガラクトース
クラスター構築物は、本発明に従って、メチルエステルおよび酸の形成工程の繰
り返しをより多く導入することによって調製され得る。より詳細には、16-メチ
ルエステル構築物、16-酸、32-メチルエステルなどを、テトラおよびオクタ形態
について上述したのと本質的に同様にして調製する。所望の数の酸残基が形成さ
れた時点で、成分の比率が酸残基の数に適合するように調節して、ガラクトース
誘導体化工程を行う。
N-BOC- オクタ-ガラクトシル構築物。上記のように調製されたオクタ-酸161mg(
94mmol)および225mg(906μmol、9.64当量)のガラクトースアミン、すなわち4-N-
メチルアミノブチル)-1-チオ-β-D-ガラクトピラノシドを8mLの乾燥ジメチルホ
ルムアミド中に含む混合物に、0.5mL(3.54mmol)のトリエチルアミンを加え、次
いで371mg(839μmol、8.4当量)のBOPを加えた。この混合物を室温で17時間撹拌
し、次いで濃縮した。残渣を逆相C-18シリカゲルでクロマトグラフにかけ、最初
に40:60メタノール/水で溶出し、最終的に70:30メタノール/水で溶出した。生成
物を含むクロマトグラフ画分を合わせて濃縮し、170mgの生成物をほぼ無色の油
状物として得た(47%)。
オクタ-ガラクトシルアミン。上記のように調製されたN-BOC-オクタ-ガラクト
シル構築物170mgに、5mLのトリフルオロ酢酸を加えた。この混合物を室温で10分
間撹拌し、そして濃縮した。残渣を10mLのメタノールで希釈し、そして再濃縮し
た。この残渣をさらに精製することなく使用した。
B.拡張剤-ガラクトースクラスターの調製
この手順を図6に模式的に示す。
6-(N-BOC)- アミノカプロン酸メチル。上記のように調製されたアミン塩酸塩、
すなわち6-アミノヘキサン酸メチル塩酸塩の混合物に、1.1当量のBOC-ONを加え
、次いで2〜3当量のトリエチルアミンを加える。この混合物を15〜30℃で16〜24
時間撹拌し、そして濃縮する。残渣を酢酸エチルに溶解し、そして1N塩酸水溶液
で洗浄し、次いで飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄する。有機相を硫酸マグネ
シウムで乾燥し、濾過し、そして減圧したロータリーエバポレータで濃縮する。
残渣をシリカゲルでクロマトグラフにかけ、25%酢酸エチル/ヘキサンで溶出す
る。生成物を含むクロマトグラフ画分を合わせて濃縮し、生成物を得る。
6-(N-BOC)- アミノカプロン酸。上記メチルエステル、すなわち6-(N-BOC)-アミ
ノカプロン酸メチルをメタノール中に含む溶液に、1.5当量の1N水酸化ナトリウ
ム水溶液を加える。混合物を15〜30℃で16〜24時間撹拌し、次いで濃縮する。残
渣を脱イオン水で希釈し、そして酢酸エチルで抽出する。有機抽出物を合わせて
、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮する。残渣をシリカゲルでク
ロマトグラフにかけ、最初に25%酢酸エチル/ヘキサンで溶出し、最終的に100%
酢酸エチルで溶出する。生成物を含むクロマトグラフ画分を合わせて濃縮し、生
成物を得る。
N-BOC で延長されたオクタ-ガラクトシル構築物。上記のように調製したオクタ
-ガラクトシルアミンをジメチルホルムアミド中に含む溶液および1.5〜3当量の6
-(N-BOC)-アミノカプロン酸に、4〜6当量のトリエチルアミンを加え、次いで1.1
〜1.5当量のBOPを加える。この混合物を15〜30℃で4〜24時間撹拌し、次いで濃
縮する。残渣を脱イオン水で希釈し、そして1N塩酸水溶液を添加してpHを1.5〜2
.0に調節する。混合物を酢酸エチルで洗浄する。水相を濃縮し、そして残渣を逆
相C-18シリカゲルでクロマトグラフにかけ、最初に50:50メタノール/水で溶出し
、最終的に65:35メタノール/水で溶出する。生成物を含むクロマトグラフ画分を
合わせて濃縮し、生成物を得る。
アミンで延長されたオクタ-ガラクトシル構築物。前記工程で調製されたN-BOC
保護アミンにトリフルオロ酢酸を加える。この混合物を15〜30℃で10分間撹拌し
、次いで濃縮する。残渣をメタノールで希釈し、そして再濃縮して生成物を得る
。これをさらに精製することなく使用する。
C.ガラクトースクラスターとキレートおよびアネキシン成分との複合化
オクタ-ガラクトシル-キレート構築物。アミンで延長されたオクタ-ガラクト
シルアミン、1.2当量のN,N'-ビス(2-ジスルフィジル-4-ヒドロキシカルボニルフ
ェニル)-1,3-プロピルジアミンモノ-(メチルアミノカプロン酸)付加物、および
5当量のトリエチルアミンをジメチルホルムアミド中に含む混合物に、1.1当量
のBOPを加える。この混合物を15〜30℃で2〜24時間撹拌し、次いで濃縮する。
残渣を脱イオン水で濃縮し、そして1N塩酸水溶液を添加することによってpHを2.
5に調節する。混合物を酢酸エチルで洗浄する。水相を濃縮する。残渣を、逆相C
-18シリカゲルでクロマトグラフにかける。生成物を含む画分を合わせて濃縮し
、
生成物を得る。
オクタ-ガラクトシル-キレートカルボン酸構築物。先に調製される、エステル
を有するオクタ-ガラクトシル-キレート構築物のメタノール性溶液に4〜5当量
の1N水酸化ナトリウム水溶液を加える。混合物を15〜30℃で16〜24時間撹拌する
。この混合物を濃縮し、そして残渣を脱イオン水で希釈する。得られる溶液のpH
を約2.5に調節し、そして溶液を再濃縮する。残渣を、逆相C-18シリカゲルでク
ロマトグラフにかける。生成物を含む画分を合わせて濃縮し、生成物を得る。
アネキシンV-キレート-オクタ-ガラクトシル構築物。オクタ-ガラクトシル-
キレートカルボン酸構築物を、アネキシンVに対してモル比30:1、15:1、5:1、
および2:1で供する。ガラクトースクラスター-キレート構築物のカルボン酸官能
基をベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-(ジメチルアミノ)ホスホニウム
ヘキサフルオロホスフェート(BOP)で活性化することによって、アネキシンVの
複合化を行う。DMF中のガラクトースクラスター-キレート構築物に、当モル濃度
のBOPを含むDMFを加える。アネキシンVを含む0.05MのHEPES緩衝液(Sigma Chemi
cal Co.,St.Louis,Missouriから市販)(pH7.4)を反応混合物に加え、次いで0.
5Mホウ酸緩衝液(pH8.5)を加える。反応混合物中のDMF濃度を5〜20%の間で維持
する。反応容器を回転させることで、この溶液を室温で1時間混合し、次いで室
温で終夜(約18〜24時間)放置する。次に、反応混合物をPBSで希釈し、透析チュ
ーブ(6000〜8000分子量カットオフ)に移し、そしてPBSに対して24時間透析する
。この物質を透析バッグから取り出した後、0.2μmのシリンジフィルターを通し
て溶液を濾過する。すべての提供レベルを同様に行う。
D.ガラクトースクラスター-キレート-アネキシンV複合体の特徴づけ
アネキシンVの1mg/mL溶液についてのA280が0.6であることを用いて、タンパ
ク質濃度を決定する。Habeeb、Analytical Biochemistry,14:328-36、1966に記
載のように、ガラクトシルクラスター-キレート複合体との反応の前後にトリニ
トロベンゼンスルホン酸を用いてアネキシンV上の反応性アミンの総数を測定す
ることによって、アネキシンVの1分子当たりのガラクトース残基の数を決定す
る。ThiagarajanおよびTait、J .Biol.Chem.,265:17,240-43,1990の方法に従
って、ガラクトース-キレート-アネキシンVが活性化血小板に結合する能力を、
未修飾のI-125-放射性標識化アネキシンVの新鮮な単離されたヒト血小板への結
合を阻害するその能力を決定することによって評価する。
E.予備形成(pre-formed)キレート複合化法に使用するための放射性標識化手順
方法A:5mgのグルコン酸ナトリウム、100μgの塩化第一スズ、1.0mg(1mg/mL)
のガラクトースクラスター-キレート-アネキシンV、および0.1〜1.0mgのラクト
ースを含む、グルコン酸第一スズキットを調製する。HCl、酢酸、またはNaOHを
用いて、pHを5と7との間に維持する。このグルコン酸第一スズキットに、約50
mCiの比活性を有する過テクネチウム酸ナトリウム(Tc-99m)1.0mLを加える。バイ
アルを25〜37℃で5〜30分間インキュベートする。標識化複合体、残余のTcO4、
および加水分解された還元テクネチウムの形成パーセントを、展開溶媒としての
12%TCA中でITLCによって決定する。
方法B:真空排気(evacuator)バイアル中、窒素下で、0.5mLの酒石酸二ナトリ
ウム(10mg/mL)および0.1mL塩化第一スズ(エタノール中1.0mg/mL)を含むように、
酒石酸第一スズキットを調製する。この溶液のpHを、5と7との間、好ましくは
6.0に維持する。この酒石酸第一スズ溶液に1.0mLの過テクネチウム酸ナトリウム
(50mCi)を加え、そして溶液を室温で放置する。真空排気バイアル中に、200μL
のリン酸ナトリウム(0.5M、pH8または10)および1.0mLのガラクトースクラスター
-キレート-アネキシンV複合体(1.0mg/mL)を順次添加する。次いで酒石酸Tc-99m
(50mCi)を加え、そしてこのバイアルを25〜37℃で5〜30分間インキュベートす
る。標識化複合体、残余のTcO4、および加水分解された還元テクネチウムの形成
パーセントを、展開溶媒としての12%(w/v)のトリクロロ酢酸中でITLCによって
決定する。
この例に従って調製された構築物を上記の手順(実施例IIIおよび実施例IV(E))
に従って試験して、例えば、血餅(clot)のイメージング用途において有用である
ことを実証する。
実施例VII
アネキシン-ガラクトースクラスター複合体
三官能性リンカーのアプローチ
A.キレート調製
図4に模式的に示される、キレートのN,N'-ビス(2-ジルスフィジル-4-メチル
フェニル)-γ,γ'-ジアミノ-イソ吉草酸(isovalerate)N-ヒドロキシスクシン
イミドの製造
3- ヨードメチル-4-ヨード酪酸:100mLの四塩化炭素中、1.61g(10mmol)の3-ヒ
ドロキシメチル-4-ブタノリド(KinoshitaおよびHirano,J .Heterocyclic Chem.
,29: 1025,1992の手順により調製)を含む溶液に、8g(40mmol)のヨードトリメ
チルシランを加える。この反応混合物を50℃で12時間、窒素下で加熱する。混合
物をクロロホルムで希釈し、そして水(3×100mL)、5%チオ硫酸ナトリウム水溶
液(100mL)、10%重炭酸ナトリウム水溶液、およびブラインで洗浄する。有機層
を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして蒸発させて、所望の粗生成物を得
る。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒として、酢酸エチル-ヘ
キサン=3:7)によって精製し、3-ヨードメチル-4-ヨード酪酸を得る。
3- ヨードメチル-ヨード酪酸エチル:80mLエタノール中、2.831g(8mmol)の3-ヨ
ードメチル-4-ヨード酪酸を含む溶液を0℃でHClガスで飽和させる。この溶液を
室温で2日間撹拌した後、減圧下、溶媒を除去し、そして残渣をジクロロメタン
中に溶解する。ジクロロメタン層を10%重炭酸ナトリウム水溶液(3×100mL)、水
(1×100mL)、およびブラインで洗浄する。分離したジクロロメタン層を硫酸マグ
ネシウムで乾燥し、濾過し、そしてエバポレートして3-ヨードメチル-4-ヨード
酪酸エチルを得る。
γ,γ'-ジ(4-メチルアニリノ)イソ吉草酸エチル:7.5g(70mmol)の4-トルイジ
ン、2.764g(7mmol)の3-ヨードメチル-4-ヨード酪酸エチル、および0.588g(7mmol
)の重炭酸ナトリウムを30mLの乾燥ジメチルスルホキシド中に含む溶液を撹拌し
ながら、100℃で3時間、窒素下で加熱する。冷却したこの混合物を400mLの氷水
に撹拌しながら注ぐ。得られる沈澱を濾過により回収する。沈澱中に残留する4-
トルイジンを、酢酸水溶液で数回洗浄して除去する。洗浄した沈澱をヘプタン中
再結晶して、生成物を得る。
γ,γ'-[1,3-ジ(2-イミノ-6-メチルベンズチアゾリル-3)]イソ吉草酸エチル:
250mLの氷酢酸中、2.0g(6.5mmol)のγ,γ'-ジ(4-メチルアニリノ)イソ吉草酸エ
チルを含む懸濁液をマグネチックスターラーで撹拌しながら、チオシアン酸アン
モニウム(3.5g、0.046mol)を加え、次いで50mL氷酢酸中に臭素(7.27g、0.046mol
)を含む溶液を滴下する。添加完了後、終夜撹拌を続ける。ジヒドロ臭化物塩の
黄色沈澱を濾過し、そして乾燥する。次に乾燥固体を熱水に溶解し、そして飽和
重炭酸ナトリウム溶液によってベンゾチアゾール遊離塩基を遊離させる。白色固
体を濾過し、そして乾燥して粗生成物を得、これをさらに精製することなく使用
する。
N,N'- ビス(2-ジスルフィジル-4-メチルフェニル)-γ,γ'-ジアミノイソ吉草酸
:40mLの蒸留水中、γ,γ'-[1,3-ジ(2-イミノ-6-メチルベンズチアゾリル-3)]イ
ソ吉草酸エチルを含む懸濁液に、固体水酸化カリウム粒(20.0g、0.037mol)を加
え、そして得られる溶液を120℃で15〜24時間加熱する。数時間加熱の後、懸濁
液は透明な溶液になる。この反応混合物を氷浴中で冷却し、そして5.0N酢酸でpH
5.0に酸性化し、そしてこの水溶液を100mLずつの酢酸エチルで3回抽出する。酢
酸エチル抽出物を合わせたものを無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濾過する
。減圧下、濾液から溶媒を除去し、粗生成物を得る。この粗生成物を、シリカゲ
ルカラムで、1%の酢酸を含む20:80の酢酸エチル:ヘキサン混合物を溶出溶媒
として用いてクロマトグラフにかけ、黄色結晶性固体として生成物を得る。
N,N'- ビス(2-ジルスフィジル-4-メチルフェニル)-γ,γ'-ジアミノ-イソ吉草 酸N-ヒドロキシスクシンイミド
:N,N'-ビス(2-ジスルフィジル-4-メチルフェニ
ル)-γ,γ'-ジアミノ-イソ吉草酸を、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)および
ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)と、テトラヒドロフラン(THF)またはジメ
チルホルムアミド(DMF)のいずれかの中で、室温で反応させる。終夜室温で撹拌
した後、溶媒を除去し、そして粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィ
ーで精製する。
B.複合体形成
このキレートは、下記のように、適切な三官能性リンカーと共に使用して本発
明の放射性標識化アネキシン-ガラクトースクラスター複合体を形成するのに適
している。
市販のN-ε-t-BOC-リジン(Sigma Chemical Company)を、無水トリフルオロ酢
酸を用いて、そのN-α-トリフルオロアセトアミド付加物に転化する。カルボン
酸官能基を、例えば、Aldrich Chemical Co.から市販のBOP(ベンゾトリアゾール
-1-イルオキシ-トリス(ジメチル-アミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェ
ート)を用いて活性化し、そしてこの活性化部分を、ガラクトースクラスター(例
えば上記のように形成されたもの)上の1個の利用可能なアミンと反応させ、ガ
ラクトースクラスター-三官能性リンカー種を得る。このガラクトースクラスタ
ー-三官能性リンカー種のリジン三官能性リンカー成分のα-アミンを、メタノー
ル性水酸化ナトリウムを用いて脱ブロックする。本実施例の上記パートAに記載
のように形成したキレート分子のN-ヒドロキシスクシンイミドエステルとの反応
により、ガラタトースタラスター-キレート-三官能性リンカー種を得る。トリフ
ルオロ酢酸を用いてリジン三官能性リンカー成分のεアミンを脱保護し、次いで
無水コハク酸と反応させることにより、利用可能なカルボン酸官能基が提供され
、これによって、アネキシンは、カルボン酸の活性化(例えばBOPによる)の後、
複合体化され得る。
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フロントページの続き
(31)優先権主張番号 PCT/US95/07599
(32)優先日 1995年6月13日
(33)優先権主張国 米国(US)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),CA,JP
(72)発明者 レノ,ジョン エム.
アメリカ合衆国 ワシントン 98036,ブ
ライアー,エルム ドライブ 2452