JPH10512681A - キャピラリー分離システムにおけるマイクロリザーバ電極からの電気移動注入 - Google Patents

キャピラリー分離システムにおけるマイクロリザーバ電極からの電気移動注入

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JPH10512681A JP10508138A JP50813898A JPH10512681A JP H10512681 A JPH10512681 A JP H10512681A JP 10508138 A JP10508138 A JP 10508138A JP 50813898 A JP50813898 A JP 50813898A JP H10512681 A JPH10512681 A JP H10512681A
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Abstract

(57)【要約】 キャピラリー電気泳動システム(10)が以下を含む。すなわち、第1末端部(30)と第2末端部(140)とをもつ分離キャピラリー(20);溶液(40)を含むソース容器(50); ワイヤループを含むマイクロリザーバ電極(59); ワイヤ(57)によってマイクロリザーバ電極に接続する電源(60); 制御システム(200); 検出器(90); および電解液(150)とアース電極(155)を含む最終仕向先容器(160)。

Description

【発明の詳細な説明】 キャピラリー分離システムにおける マイクロリザーバ電極からの電気移動注入 他の特許出願との関連 本出願は、出願人の米国仮出願番号60/023,074(1996年 8月 2日出願)、名称「 キャピラリー電気泳動法での小ループからの電気移動注入」の継続出願である。 発明の背景 キャピラリー電気泳動("CE")およびこれに関連するキャピラリースケール技術 は、大きな生体分子の分離および定量を行うための非常に重要な分析技術を提供 している。このような技術は小イオンの分離、検出に有用なものであるが、イオ ンクロマトグラフィ法が従来支配的な技術として用いられてきた。最近より効力 のあるイオンクロマトグラフィ検出技術が発見され、これをキャピラリー電気泳 動法に適用できるようになった。 その一つの結果がいわゆる抑制電導度検出キャピラリー電気泳動分離システム ("SuCCESS")である。"SuCCESS”技術を用いることによって、予備濃縮のために 特別の労をかけずに、様々な小イオンの低いμg/L検出限界値を迅速に出すこと ができる。(Dasgupta and Baoの米国特許出願番号5,358,612 および5,433,838 参照) しかしながら、キャピラリー電気泳動法を用いる場合には、図1に示すように 、紫外・可視部吸収検出を利用するのがもっとも一般的である。(例えば、“キ ャピラリー電気泳動法”S.F.Y.Li,Elsevier,NY 1992参照)。図1に示すよう に、CE分析システム10には分離キャピラリー20が含まれる。そしてこのキャピラ リーの末端30は、検体試料Aおよび一般的には他の物質Xをも含む溶液40に最初 のうちは流体接続されている。溶液40はソース容器50に入っており、電極55に電 気的に接続されている。電極55は高電圧("HV")(一般に数十キロボルト)電位V1 の電源60に電線57で接続されている。第2の電位、すなわちアース電極155 はし ばしば最終仕向先容器160 中に設置される。図1のように、キャピラリー20は最 終仕 向先容器160 に至る前に紫外・可視部検出器90の中を通過する。 図1に示すように高電圧電源60をキャピラリー20に接続することによって、検 体Aが右方向矢印で示すようにキャピラリー内で左から右方向へ移動する。この ような移動は電源60を作動させると数秒以内に始まる。その後電源60のスイッチ を切り、キャピラリー20の先端30を移動電解液80を含む第2容器70中へ移す。電 源60は電極55を介して溶液80とつながっているが、この構成は容器50に関連して 記載した電極55と同じ(まったく同一)であってもよい。電源60を再び作動させ ると、試料検体の下流移動が継続する。 この種の電場誘導による検体注入は、電気移動注入あるいは界面導電注入("EI ")と命名されている。 キャピラリー140 の末端は、終端電解液リザーバ150 に入った電解液150 と流 体接続している。電解液150 は、移動電解液80と同じものであることが望ましく 、また図示の実施例ではアース電位に設定されている。 上述したように、EIを行う間、バックグラウンド電解液(BGE)を満たしたキャ ピラリーを試料バイアル瓶に浸した状態で高電圧を印加する。典型的な状況では 、電気浸透と電気泳動運動が同時に機能し、所望のクラスの検体イオンがキャピ ラリー中へ導入される。一般に、電気浸透移動度(μeo)が電気泳動移動度(μeo )に対して小さい場合に、電気移動予備濃縮を行う条件としてこの手法はもっ とも適している。これらの条件下では、かなり大量の液体が同時に入り込むこと を回避しつつ十分大量の検体を導入することができる。EIは、微量分析に広く利 用されている。この手法は紫外・可視部検出と併用すると特に有効である。なせ なら、検出器90のようなCEで一般に用いるオンカラム紫外・可視部吸収検出器は 、分析に必要な十分な試料濃度の検出限界値が比較的低いためである。小イオン の定量には一般的に間接検出法を利用するが、これは直接検出法に比べると条件 はずっと不利である。 EIを行う際に、試料のイオン強度が非常に低い場合には、検体全体の濃度に対 して高い濃度になるように低移動度イオンを適宜試料に添加した場合に最もよい 結果が得られる。ここで言う“低移動度”とは、分析対象の検体イオンのいずれ よりも低い移動度をもつイオンを意味する。このような場合、添加イオンは終末 (terminating)電解液のように挙動し、電気移動予備濃縮は等速電気泳動に非常 によく似ている。スルフォン酸塩染料中の残留硫酸塩を定量するときのように、 状況によっては高移動度イオンが分析対象の検体であり、低移動度イオンがすで に多量に存在している場合もある。このような場合には、終末電解液を添加する 必要はない。有意なイオン強度をもつ試料中に分析対象の検体が低い濃度で存在 する場合には、十分な終末電解液を添加して後者を優勢な電流担体にしようとす ることは実際的ではない。 残念ながら、試料検体濃度と器具設定とが同一の場合であっても、EIシステム 中へ導入される検体の量は試料導電率によって大きく左右される。このようなこ とが生じるのは導電率が電気浸透導入速度に影響を及ぼすためである。上記ほど 直接的ではないが、導電率はまた、試料にかかる電場の強さの変化によって電気 泳動の移動速度にも影響を与える。さらに、EIは検体自体の移動度にも依存し、 高い移動度をもつイオンに有利なバイアスを生みだす。ここで“バイアス”が生 じるということは、注入された試料が元の試料と異なることを意味する。この違 いは、元々試料中に存在していた試料に対して、分別注入部分により動きの遅い 移動イオンが相対的に不足したり、より動きの速い移動イオンが相対的に過剰に なるためである。Lee とYeung らの研究者(Anal.Chem.1992,64,1226-1231) は、システムに流れる電流をモニターするという単純なアプローチを押し進める ことによって、EIを用いて精密な結果が得られるように改善したが、彼らの手法 は注入に伴いバイアスが生じるという問題についてはほとんど何も解決していな い。 試料導電率がバイアスに依存するという上述の問題に対処するために、他の試 みが先行技術の中で行われてきた。例えば、分析対象のすべての検体を標準的に 添加するような、分析対象の検体移動度の全範囲をカバーする2種類の別の内標 準を使用することが提案された。これらのアプローチは満足のいくものではなく 、また実際、煩瑣な作業となりかねない。 最後に、先行技術では、キャピラリー中へ試料イオンを入れるEIという方法が 究極的には局所的な電場に依存するという根本的な事実が見過ごされがちであっ た。形状の変化及び/若しくはHV電極とキャピラリーの先端との間の物理的距離 のちょっとした変化がEIに大きく影響を及ぼす場合もある。残念なから、先行技 術では信頼性のある真に左右対照な電場をつくりだすことは困難であった。 先行技術では、検体イオンがキャピラリー中へEIによって導入される元となる 試料の部分標本中の検体の総量は、実際に導入される検体の総量に対して非常に 大きい。もし本当に少量の試料から十分に長い時間をかけてEIを行うことが可能 であれば、分析対象の検体イオンを実際にすべてキャピラリー中に悉皆的に(即 ち、余すこと無く)導入することは原理的には可能であろう。処理の過程で、試 料が脱イオン化されることはなく、また導電性を失うこともないであろう。電場 で発生したH+またはOH-と、すでに試料中に存在する適当な対イオン、また、EOF にさからって移動しキャピラリーから試料中に流入するイオンなどが試料の導 電状態を維持するので、脱イオン化あるいは導電率の低下は生じないであろう。 実際、EIを十分に長い時間をかけて行うことができれば、かなりの量のH+ある いはOH-が導入されるであろう。残念なから、先行技術を用いて悉皆的な電気移 動を効果的に実行することは不可能である。 従って、簡単に製造でき、好適には1μL未満の液体容量を持ち、悉皆的な電 気移動と電気泳動に利用できるマイクロリザーバが必要とされる。好適には、こ のようなマイクロリザーバは内部の全試料を容易に対称電場にかけることができ るものであることが望ましい。さらに、このマイクロリザーバは、試料が入る部 分の対称の中心に分離キャピラリーの入口先端を配置することができるものであ ることが望ましい。これらの特徴および手法を取り入れたシステムは、電気移動 注入キャピラリー電気泳動における導電率の影響を低減するという好ましい結果 を生じる。 本発明はそのような方法及び装置を提供するものである。 発明の要約 試料中の所望の極性をもつ検体イオンを分離キャピラリー中へ悉皆的に導入す ることができるマイクロリザーバ電極を利用することにより、電気移動注入("EI ")を用いた分離システムにおけるバイアスによる望ましくない影響を低減できる (この分離システムは、電気泳動あるいは通電クロマトグラフィーシステムであ ってもよい。)。金属化された基体中に形成されたワイヤループまたは半球体に よって有限容積のマイクロリザーバが画定される。悉皆的な導入に要する時間を 短縮するにはマイクロリザーバは対称形とするのが望ましい。また分離キャピラ リーの入口端をマイクロリザーバの中心に配置することが望ましく、これによっ て悉皆的な導入に要する時間を有利に短縮することができる。 マイクロリザーバは導電体であるので、高電圧電源端子に接続されており、こ の分離システムの高電圧電極の一つを構成している。高電圧が印加されると分析 試料はマイクロリザーバ内で電場にかけられ、分離システムによって検体の悉皆 的な注入が行われる。 この分離システムにおいて悉皆的な電気的注入を実施すれば、試料中の高速移 動イオンが、同じ極性をもつが低速移動のイオンよりも早くキャピラリー内に入 ってくることに起因するバイアスの影響を実質的に低減できるという好ましい結 果が得られる。電気移動を用いる悉皆的な注入により試料の定量的な注入を実質 的な結果として得ることができる。この注入方法は試料の導電率に実質的に依存 せず、また、同じ極性をもつ様々な検体イオンのイオン移動度にも実質的に依存 せずに行われる。 悉皆的電気注入は、好適には以下のように行う。再現性があり、かつ、微量( 例えば2μL 未満)の体積をもつ、好適に対称のマイクロリザーバ電極を用いて 、少量の部分標本すなわち試料の一部を分取する。この部分試料は、ループ型マ イクロリザーバ電極を試料の入った容器中に浸して取り出すことにより得られる 薄膜であってもよい。マイクロリザーバ電極を一つの電極として用い所望の時間 (例えば30秒から60秒間)EI 電位を印加する。この時間中に試料中に存在する所 望の極性をもつすべてのイオンが分離キャピラリーの始端部中へ実質的に定量的 に注入される。最初、高速移動イオンが注入され、これらのイオンが枯渇するに つれて、低速移動イオンがキャピラリー中へ注入される。このような結果が得ら れるのはリザーバ容積が比較的小さいことに起因する。その結果、高速移動イオ ンに加えて、より低速で移動するイオンをより忠実に再現したものを注入された 試料が含むことになるという点でバイアスの影響が低減される。 本発明の他の特徴及び有利な諸点を以下に記載し、図面と共に推奨実施例を詳 細に明らかにする。 図面の簡単な説明 図1は、先行技術による従来の分離システムを描いたものである。 図2は、本発明によるEI分離システムを描いたものである。 図3Aは、本発明による傾斜ループ形状およびそれに関連する支持ワイヤを用い たマイクロリザーバ電極を開示する第1実施例を描いたものである。 図3Bは、本発明による、キャピラリー縦軸とループ半径とが共通平面上にある 、平面ルーブ形状を用いたマイクロリザーバ電極を開示する第2実施例を描いた ものである。 図3Cは、本発明による、導電基体上に形成された半球体を含むマイクロリザー バ電極を開示する第3実施例を描いたものである。 図4は、本発明による、十分に混合した薄膜から得られた数値シミュレーショ ンEIデータを描いたものである。 図5は、本発明による、他の条件は図4と同一にした、混合を行わなかった場 合に薄膜から得られるEI数値シミュレーションを描いたものである。 図6は、本発明による、他の条件は図5と同一にした、薄膜中の塩化物、酢酸 塩および水酸化物の空間分布をEI時間の関数として描いたものである。 図7は、本発明による、他の条件は図5と同一にした、モデルが拡散混合物を 含む場合の薄膜から得られるEIの数値シミュレーションデータを描いたものであ る。 図8は、本発明による、モデルが拡散混合物を含む場合の薄膜中の塩化物、酢 酸塩および水酸化物の空間分布をEI時間の関数として描いたものである。 図9は、本発明による、注入された塩化物と酢酸塩の分画をループ半径とEI時 間との関数として描いたものである。 図10A および図10B は、それぞれ従来のEIおよび本発明によるループから得ら れるEIを描いたものである。 図11A は、本発明による小ループからのEIを描いたもので、一定の硝酸塩濃度 条件下における酢酸塩の変動を3桁におよぶ非常に広い動的範囲で示したもので ある。 図11B は、本発明による、一定の酢酸塩濃度条件下における硝酸塩の変動を3 桁の範囲で描いたものである。 図12は、本発明による、塩化物の酢酸塩に対するピーク面積比率を正規化した ループEIのデータを、HVとEI時間の関数として描いたものである。 図13A は、本発明による、ループ−EIで注入された当量を、EIの関数として描 いたものである。 図13B は、本発明による、塩化物に対するループ−EIバイアスをEIの関数とし て描いたものである。 図14は、本発明による、ループの EI での遅延によって生ずる水酸化物の導入 を描いたものである。 推奨実施例の詳細な説明 図2に、マイクロリザーバ電極59を備えた、いくぶん改変したCEシステム10' を示す。本明細書に記載するように、マイクロリザーバ電極は、約1μL 以下の 容積保持収容力を持つものとして画定することが望ましく、この電極は先行技術 を示す図1の電極55の代わりに、電極として有利に機能する。このマイクロリザ ーバ電極の形状は対称であり、好適には、導電ワイヤで形成されたループ(図3A 、3B参照)、あるいは金属基体または導電基体で画定された半球体であることが 望ましい(図3C参照)。 出願人は、内径74μm 、外径360 μm 、長さ60cmの溶融石英キャピラリー20を 用いる、完全自動化した特注CEシステムとして、システム10' を使用した。この ようなキャピラリーは、アリゾナ州、フェニックスのポリマイクロ・テクノロジ ー(Polymicro Technologies,Phoenix,AZ.)で入手することができる。高電圧( “HV”)電源60は、プログラム制御可能なHV電源、モデルCZE 2000によって設け ることができ、ニューヨーク州プレインビューのスペルマンハイボルテージ(Spe llman High Voltage,Plainview,NY.)から入手できる。可変波長紫外・可視部 オンカラム吸収検出器120 あるいは130(LINEAR model 206 PHDサーモセパレーシ ョンシステムズ(Thermo Separation Systems)から入手可能)を、80386 クラスの パーソナルコンピュータ(不図示)で動くW-206 データ収集ソフトウェア(LINEA R)と組み合わせて使用した。言うまでもなく、別の装置や異なるサイズのキャピ ラリーを使用することもできる。当業者であれば、システム10に実際にキ ャピラリー通電クロマトグラフィーシステムが含まれることを認めるであろう。 このような場合には、キャピラリー20は中空管ではなく充填カラムとなるであろ う。 本発明を実施するに際して、キャピラリーの標本ヘッドを試料からの引き出す 過程を正確に制御する自動化システムが特に重要である。図3A及び図3Bに示され たマイクロリザーバ電極ループ59様の、ワイヤループに付着した薄膜のような再 現性のある液量を容器50から引き出すことが望ましい。薄膜中に保持される液量 を再現性よく確保するには、この操作をゆっくり行わなければならない。出願人 の実験では、改変したフラクションコレクター(model 2110,BIO-RAD,Richmond ,CA)をオートサンプラーとして使用することにより、システムの自動化を達成 した。キャピラリーヘッドを水平及び垂直方向に動かすために、電動式エアソレ ノイド弁で作動するいくつかの空圧式リニアアクチュエータを使用した。プログ ラム制御可能なマイクロコントローラ(カリフォルニア州ロスアンジェルスのミ ナリック電気(Minarik Electric)から入手可能なMicro Master LS 装置)によっ てシステムオペレーションを制御した。他の制御システムを代わりに採用するこ ともできる。これらの構成部分およびサブシステムを集合的に200 として図2に 一般的に示す。図2が煩雑になることをさけるために、マイクロリザーバ電極59 の物理的な動きは示していない。 キャピラリーの始端部でワイヤループをつくる一般的手法が出願人の刊行物(A nal.Chem.1996,68,1164-1168)に開示された。これと対比すると図3Aおよび 図3Bに示した本発明の実施例で使用したループは実質的に大きく、そのためにか なり製造し易い。手短に言えば,直径135 μm のステンレス鋼のワイヤを適当な サイズのドリル・ビットの周りに巻き付けることにより直径5/64から1/8 インチ のループを最初に作り、その後これを1乃至2回撚り合わせて保持する。 図3Aと3Bに示すように、ワイヤループを取り入れたマイクロリザーバ電極(略 して“ループ”)を2つの異なる形状で使用した。図3Aでは、ループ59のなす平 面は分離キャピラリー20の縦軸に対して45°から90°の角度φで傾斜している。 キャピラリー20に平行な垂直支持ワイヤ64によってループ59が所定位置に保持さ れる。このループが対称形で始端部30の中心が中央部で対称位置に配置されてい る ことに注目されたい。下部キャピラリー始端部30の上方数センチのところで、66 として描かれている小さなプレキシガラスジグによって支持ワイヤとキャピラリ ーを保持する。ワイヤループによって高電圧電源50に導電ワイヤ57が接続される 結果、分離システム10' においてループ59が一つの電極を形成する。ループマイ クロリザーバ電極を用いる一つの利点は、真に対称な電場が電極全体に作り出さ れることである。図3Aの実施例では、液体からパルプを引き出したときループ中 に保持される液量はループ平面角がより垂直になるにつれて減少する。 図3Bの実施例では、ループ59は、キャピラリー始端部30の周りに形成され、キ ャピラリーの軸線はループの平面に対して平行になる。終端ワイヤ68をキャピラ リーの始端部の周りに巻きつけ、接着用エポキシ樹脂によってそこに接着する。 図3Aおよび図3Bの実施例では、ループにつながっている突出ワイヤ(すなわち 支持ワイヤ)64 またはワイヤ57に対して高電圧の接続を行う。上述したように、 結果的にループ59が図1の電極55の代わりに高電圧電極として機能する。本実験 は逆極性(−HV)に限定して行ったのでループ電極59を製造するにはステンレス 鋼材が適当であった。 上述したようにシステム10' で使用するときは、マイクロリザーバ電極59は一 定の液量(例えば1μL 以下)を保持し、マイクロリザーバ全体に均一な電場が 与えられることが望ましい。図3Aと図3Bに示すような対称ループはこのような目 的に合致している。図3Cの実施例では、マイクロリザーバ電極59は半球体の窪み 68を形成する面をもつ導電基体(例えば金属のような)から構成される。わかり 易い例図としてこの基体を矩形で示したが、円形の基体を代わりに用いてもよい 。円形の基体を用いれば対称性を保つのにさらに役立つであろう。半球体の窪み は所望の液量(例えば1μL 未満)を保持するサイズとし、それによって一定容 量の収容力を持つマイクロリザーバとして機能する。 一定容量を保持するためには、このようなリザーバに自己サイホン作用を持た せてもよい。マイクロリザーバは導電材で作られているので、ワイヤ57をマイク ロリザーバ電極59の基体に接続し、これを電極として機能させてもよい。再言す るが、キャピラリー20の始端部30はマイクロリザーバ半球体68の中心に対称に配 置される。この結果、半球体68に保持される試料は対称の電場にかけられること になる。 システム10' で使用する試薬は、16M Ωcm以上の特定の電気抵抗を持つ、脱イ オン化した蒸留水(例えばBarnstead Nanopure)を用いてあらゆる種類の溶液を 調製した。クロム酸ナトリウム水溶液(5mM)は、クロム酸ナトリウム4 水和物(Na2 CrO44H2O,A.R.Grade,Mallinckrodt)から調製した、硫酸(H2SO4)0.1M を用い てpH8.0 に調整した50mMのストックから毎日新しく調製した。セチルトリメチル アンモニウム水酸化物(CTAOH)は、セチルトリメチルアンモニウム塩化物溶液をO H-型200-400 メッシュ Dowex 1x8陰イオン交換カラムクロマトグラフィーでイオ ン交換して調製し、20mMのストックから使用した。(−HVに印加したアース電極 への流れをつくるために)電気浸透流("EOF")調節剤としてCTAOH を使用し、ク ロム酸塩電解液に添加し、最終的に濃度0.5mM の溶液を得た。 システム10' を操作する際に、まずキャピラリー20をBGE で満たし、その後ル ープ59を洗浄するために始端部30を下げて1つの試料バイアル瓶に入れ、そこか ら引き出す。そして、キャピラリーを2番目の同じ試料バイアル瓶に入れ、ゆっ くりと引き出してループ上に試料薄膜を形成する。次に、キャピラリーを水平に 移動し、例えば、図2の容器160 のような仕向先側の液面と同じ高さの位置に置 く。この位置で、ループの周りの領域が円筒状に閉じ、弱い窒素流( 20〜25cm3/ min)によりCO2の過度の侵入が阻止される。高電圧電源60から電気移動電圧(明示 されていない場合、−3kV)を印加した。上述したように、マイクロリザーバ59は システム10' の一方の電極として機能した。もう一方の電極は電極155 に(また は、システムの別の10' 場所に)接続した。 所望のEI時間の後、キャピラリーを最初のBGE バイアル瓶中に洗浄のため入れ 、それを下げて2番目の新しいBGE バイアル瓶に作業を行うために入れる。電気 泳動のために−18kVの作業電圧を使用した。従来の試料バイアル瓶からEIを行う ときと同様の方法でほぼ同じ手順を用いた。陰イオンの定量を行い、特に記載が なければ試料はすべてナトリウム塩として塩化物(200 μg/L)、硝酸塩(400μg/L )、蟻酸塩(400μg/L)および酢酸塩(400μg/L)の混合物で構成した。 次に、本発明を実施する際に基礎となる原理について考察する。EIにおいて、 電圧V が印加されたとき、長さL、内径reの キャピラリー中に時間t の間に 導入されるイオンi の量Qiは次式で与えられる。 Qi(μi+μeo)πrc 2VCit/L (1) ただし、μiおよびμeoはそれぞれ電気泳動および電気浸透移動度であり、Ci はイオン種 iの濃度である。この分析では、キャピラリー先端の電場E はキャピ ラリー内部の電場と同一であると仮定されており、従ってこの値はv/L で与えら れている。この流束はキャピラリー入口域断面中に生じる。検体i のバルクリザ ーバが非常に大きいので、c'の値はEIの実行中本質的に不変である。従って、キ ャピラリー内の検体イオンの移動速度がキャピラリー先端での検体導入速度に影 響を与えないかぎり、(1)式のより一般的な公式は以下のようになる。 Mi=dQi/dt=(Eμi+Ueo)aCi (2) ただし、Miはキャピラリー始端部の周りの面積a の中を通る、キャピラリー の方へのイオンi の質量輸送速度(eq/s)であり、イオン種 iの濃度はCiである 。 実際には、電場Eがキャピラリーの内部と外部で同じであることはあり得ない 。それにもかかわらず、電気浸透によって導入されたEIの成分は、キャピラリー 中に発生したEOF に支配される。従ってEOF が支配するEIの成分は、キャピラリ ーに発生するバルク流体速度μeoという項によって直接的によりよく特定される 。Eμiに対してμeoが非常に小さい場合には、式(2)は明らかに以下のように単 純化される。 Mi=EμiaCi (3) 次に、キャピラリー先端部における電場の形状および薄膜抵抗について考察す る。単純化された代表的な例として、試料が半径rout厚さhの薄い円形ディス クで構成され、キャピラリー始端部がディスクの中心に置かれた場合のことを考 察してみる。routに対してhが小さいかぎり、垂直方向の拡散輸送は律速過程 ではないと仮定できる。 ディスクの周囲面積2πrouthが一方の電極を構成する。薄膜/ディスクが ループを構成するワイヤの直径より厚い場合でも電極面積は薄いディスクの全周 囲面積に正確に接近するであろうことに注目されたい。キャピラリー断面πrc 2 は、実際上の2番目の電極を表す。ほとんどの場合、rcは、routに比べて非常 に小さい。従って、平面形状の代わりにキャピラリー断面と等しい面積の半径 re円筒形状を中心電極が持つように近似してもよい。これより、 re=rc 2/2h (4) 従って、結果的に、最初は環形を満たす均一な抵抗ρの媒質を持つ環状電極シ ステムとなる。ここで、 ρ=1/(Σλjj) (5) であり、λjは、(S cm2eq-1中の)イオンj の当量導電率であり、また、Cj は、1cm3当たりのその濃度である。これは、Ωcm中に抵抗ρを与える。イオンj には、対象の検体陰イオン(イオンi 、例えば塩化物)だけでなく、電気的中性 を維持するために媒質中に存在する等しい濃度の対イオン(例えばナトリウムイ オン)も含まれる。 この分析において、出願人は分析対象の律速過程をキャピラリー中へのイオン i の移動であると仮定した。このような場合、(対イオンが薄膜中の検体イオン 濃度に対して非常に大きな濃度で存在する)キャピラリーから出る対イオンの逆 移動は律速段階ではない。EIを行うと負電位に維持されるループ電極にOH-とい う電解生成物が発生することにも留意しなければならない。ループ薄膜中の抵抗 ρが増加するNaOHの影響を受けるだけでなく、EI時間に相関して試料イオンの量 が増加するにつれOH-もまたそれゆえに導入されてゆく。 次に、ループの電気抵抗の与える影響について考察する。内部電極が半径r お よび厚さh を持ち、かつ第2電極が無限小の距離drの位置にあるならば、内部電 極抵抗dRは次式で与えられる。 dR=ρdr/2πrh (6) これより R=(ρ/2πh)logr (7) 従って、半径routおよび内径rcループを持つ分析対象の実施例に上記の式を あてはめると、ループの抵抗Rloopは次式で与えられる。 Rloop=(ρ/2πh)log(rout/re) (8) 次に、キャピラリー中への質量転移について説明する。式(3)において、電場E をつぎのように表現することもできる。 E=dV/dr (9) システム内を流れる電流Iは、全印加電圧V と、キャピラリーの電気抵抗(Rcap )ループの抵抗(Rloop)との和との関数である。従って、電流の関係式は以下のよ うになる。 I=V/(Rloop+Rcap) (10) EIを行っている間、総印加電圧は一定のままであり、また実際のほとんどの印 加において、キャピラリーの電気抵抗(Rcap)は 本質的に不変であり、Rloopよ りはるかに大きい。従って、電流I は本質的に一定のままである。これより、式 (9)は以下のようになる。 E=I dR/dr (11) キャピラリー始端部において、式(3)から導かれ、質量転移が生じる面積a は 、内部円筒形電極の表面積であり、また、キャピラリーの断面積に等しい。面積 a は次のように書くことができよう。 A=2πreh (12) キャピラリー先端でr=rcおけば、式(6)から次式が産み出される。 dR/dr=ρ/2πreh (13) 式3、11、12、および13を組み合わせることにより、次の単純な結果が得られ る。すなわち Mi=IρμiCi (14) 本発明の試料薄膜は空間的に十分に混合され均質である。薄膜全体はいつでも 十分に混合されていると仮定する。水酸化物以外のすべての陰イオンについて、 −dCi/dt =Mi/Vf =IρμiCi/Vf (15) ただしVf、πrout 2h与えられるループ薄膜の体積である。 OH-もI/F eq/sの速度で薄膜中に生成される。ただし、F はファラデー定数で ある。この結果以下の式が導かれる。 −dCOH/dt=I(ρμOHCOH−1/F)/Vf (16) 式(5)を展開すると次式となる。 ρ=ΣCiλi+COHλOH+λNa(COH+ΣCi) (17) 式15、16および17は、連立二階微分方程式の組からなり、その一般解は存在し ない。 しかしながら、この連立方程式は、数値解法により容易に解くことができる。 別段の記述がない限り、以下のシステム特性が仮定されている。すなわち、ルー プ半径1mm、試料容量1μL 、試料組成Cl(200μg/L)、NO3 -(400μg/L)、HCOO-(4 00μg/L)、CH3COO-(400μg/L)、EI電圧−3kV 、キャピラリー内径75μm 、BGE5m M Na2CrO4。60cmのキャピラリー長に対して、計算されたRcapは、1.008GΩで、 これは実験によって得られた電流値−3μAと高い近似的一致を示している。 133MHzで作動するペンティアムプロセッサPC上でターボベイシック(Borland I nternational 製)で書いたコードを用いて計算を行った。反復ステップの時間幅 を短くとることにより溶液の収斂をチェックした。一般に、反復ステップが100 μs 以下では、有意の変化は得られなかった。本明細書に記載されたデータのす べては、このような時間的な反復ステップに基づいたものである。 上記の十分に混合した薄膜を試料として用いる場合には、その演算時間は特に 要求されるものではないことに留意されたい。しかし、(本明細書に記載する) EIを行う間、薄膜組成が同心円状に変化するようなより現実的な条件の場合には 、50μs の反復ステップで30秒のEIのシミュレーションを行うために、14時間以 上の演算時間を必要とする。この14時間という演算時間がPCを利用した演算の許 容可能な上限の時間を表していることはおそらく理解できよう。 出願人の分析は以下のアルゴリズムに従って行った。 1. 初期試料組成から、ρの初期値(式 17)、Rloop(式8)、および I(式 10)を計算する。 2. 選択した反復時間間隔(式14)内に注入された検体イオンとOH- の質量(累積質量)を計算する。 3. 試料薄膜の組成の変化(検体イオンとNaOHについての変化(式 15と16)、および新しい組成に対する変化の両方の変化)を計算する。 4. この新しい組成を用いて、上記ステップ1と同じ計算を行う。 5. 所望の全EI時間シミュレーションが完了するまで、ステップ2 、3、および4を循環して行う。 成分を十分に混合した薄膜についてのこのようなEI数値シミュレーションを行 った結果を図4に示す。EI時間の増加に伴い、注入されてゆく各検体の総量は、 ほぼ指数関数的にそれぞれの限界値に達する。しかしながら、注入されたOH-の 量(*で示す)の方はEI時間の増大につれて直線的に増加する。このような条件 下では、定量的に注入される検体はないが、EIの最後の頃には、移動速度の速い 塩化物と硝酸塩はほとんど完全に(それぞれ96% および95%)注入される。しかし ながら、4つの検体中もっとも移動速度が遅い酢酸塩は約81% 程度までしか注入 されない。塩化物対酢酸塩の相対バイアスは、1.183 である。これは言い換えれ ば、実際に注入された塩化物の酢酸塩に対する注入量の比率が試料中に元々入っ ていたそれぞれのイオンの比率よりも大きいことを意味する。 これと対照的に、試料バイアル瓶から行った従来のEIの同じ相対バイアスを式 (1)から計算すると、得られる値は2つの移動度の比の1.866 となる。実際に、 出願人もデータとして示してはいないが実験的にこれを観察した。従って、本発 明に従ってもしEIを一定の限られた量の試料で行えば非常に著しいバイアスの減 少を期待できる。 空間的濃度勾配はEIを行っている間に生じる。上記の概略的方法論は教育的な ものではあるが、いくぶん単純化しすぎている。現実にはループサイズは有限で ある。さらに、各イオンはキャピラリー入口へそれぞれ異なる速度で比較的速く 移動するが、このことによって、薄膜の組成が時間的にだけでなく空間的にもEI 処理の間一定にならないことが確かめられる傾向にある。 EIを行う間は、キャピラリーの入口近傍でイオンが枯渇するために補充しなけ ればならない。一方単純なモデルでは、OH-が実際に薄膜の外周縁近辺で相当量 生じている間は、OH-は薄膜中で即座に混合されるため、このことが計算上の薄 膜抵抗を低下させると考えられる。その結果、ループ全体の電場およびEIの速度 もこの効果がないときの期待値に比べて低下する。いくつかのレベルの洗練され た手法をモデルに含んでこれらの現象を説明することはできるものの、基本モデ ルに関係する式を分析的に解くことができない限り数値的解決法に頼らざるを得 ない。 出願人が採った基本的近似は、薄膜が個々に均一な組成からなるいくつかの薄 いセグメントに同心円状に分割されていると仮定することである。最内側のゾー ンはRINZONE の半径を持つ。ループの残りは、routに到達するまで、厚さΔr のセグメントに外向きに分割される。明記されていない場合、本明細書でのシミ ュレーションでは、RINZONE を50μm と仮定しており、キャピラリーの内径37.5 μm よりわずかに大きい。ΔR 値=10μm を本明細書全体を通じて用いる。rout =0.1cm に対して、n=96の分離ゾーンが生じる。これらのn 個のゾーンを、そ の半径(cm)という観点からr1、r2、・・・ r95、r96、と名付ける。ただし、r1=RI NZONE、r2=r1+0.001 、rk=r1+(k −1)・0.001、r96=rout r0=0とする。こ のような命名法を採用すると、各ゾーンすなわちシェルの体積Vkは、次式で与え られる。 Vk=π(rk 2−rk-1 2)h (18) 各シェルの電気抵抗Rkは式(7)に類似の方法で与えられる。すなわち Rk=(ρ/2πh)log(rk/rk-1) (19) ただし、この場合、r0は0 ではなく、仮定の円筒状中心電極の半径rcとする。 それにより、Rloopを次式(20)から計算する。 次に、式(10)を用いて電流を計算する。最初のステップの間、ゾーンAi,kとAO H.k の各々における、検体とOH-のそれぞれの量を以下のように計算することがで きる。 Ai,k=Ci,kVk (21a) AOH,K=COH,kVk (21b) 0H-および検体を表す式は一般に同じであり、差がない限りコピーする必要は ない。従って、検体を表すすべての式(この式に対して、OH-を表す対応式が存 在する)を参照番号の後ろにつけた‘a’によって示し、本明細書では明示され ていない水酸化物に適用される同一の対応式‘b’を表すものとする。次に以下 の手順ステップを行う。 6. 反復時間Δt の間にゾーンk からゾーンk −1 まで転移された 検体量i 、ΔAi,kを式(14)によって計算する。 ΔAi,k=IρkμiCi,kΔt (22a) 7. 各ゾーンの新しい量を次に計算する。 Ai,k(new)=Ai,k(old)−ΔAi,k+ΔAi,k (23a) すべての検体に対して、最外側のゾーンnにおいて、ΔAi,k+1をゼロにする。 しかしながら、水酸化物がこのゾーンで発生するので、 ΔAOH,n+1=IΔt/F (24) となる。 8. キャピラリー内に導入された検体量ΔAi,1、検体量の累積総量 を保持する。 9. 各ゾーンkについて、ρkの値を式17に従って計算し、電流I を 式19、20、および 10を用いて計算する。 10. 手順ステップ6、7、8、および 9を所望のEI時間に達するまで 繰り返す。 図5は、上記の方法を用いて、EIシミュレーションを描いたものであり、ある モデルによって、5秒間での塩化物の注入量を予測し、また10秒以内の酢酸塩の 注入量さえも予測した。図6は、EIタイマーの関数としての同心円中の検体の分 布を描いたものである。 図6において、EI時間の経過に伴う検体の半径方向の分布に注目していただき たい。塩化物と酢酸塩の双方が外側ゾーンからまず枯渇し、その後ループの中心 (すなわち、一方の有限マイクロリザーバ電極)に接近するにつれて実際のプラ トーに到達する。塩化物は、低速移動する酢酸塩よりずっと速く姿を消す。外側 電極にOH-が発生し、このOH-は外側ゾーンに接近するにつれてほぼ指数関数的に 増加する濃度分布を各時点で示す。この増加は、EIを行う時間の増加とともに増 し、検体イオンとは本質的に逆の挙動である。最外側のゾーンの検体の残留濃度 は本明細書に記載されているように人為的に高い。 出願人のモデルは、拡散を説明しようと企図するものである。最初一見すると 、液相拡散は小さく思われ、電場支配によるイオンの輸送に対して無視できるよ うに思われるかもしれない。EIの最初の段階ではこれは事実である。しかし一方 で、ほとんど悉皆的な検体導入を行う場合には拡散輸送には2つの重要な効果が ある。まず第一に、拡散混合は一方向の電気移動に支配される輸送とは対立する もので あり、従って、任意の検体を半定量的に導入するのに必要な時間を長引かせる。 第2に、最外側のゾーンでEIが行われる後半時間中にNaOH濃度が十分に高くなる のでゾーンが非常に導電性を持つようになり、局所的電位が低くなる。この場合 、拡散は最外側のゾーンから中心部への(特にOH-の)輸送を大いに助長する。 セグメントkからセグメントk-1 まで拡散によって輸送したイオン種iの量ΔADi, kが次式で与えられ、これによって2つの隣接セグメント間のフィックの拡散輸 送を仮定できる。 ΔADi,k=Di(Ci,k−Ci,k-1)a/Δr (25a) ただし、Diは拡散係数(μiRT/Fにも等しい)、a は2πk-1hで与えられる輸 送界面面積、そして、Δr は拡散距離、すなわち、(rk−rk-2)/2で与えられる2 つの隣接セグメント間の平均半径距離である。Rは、気体定数で、Tは絶対温度を 示す。拡散輸送を考慮に入れて式(22)を修正した形は、次式のようになる。 ΔAi,k=μΔt(IρkiCi,k+4πRTrk-1h(Ci,k−Ci,k-1)/(F(rk−rk-2))) (26A ) 本明細書に以上記載したものと同じ方法に従って反復計算を行う。図7および 図8は、図5と図6に対応する出力を描いたものであるが、拡散を考慮に入れて いる。拡散混合を考慮に入れることにより、EIによる検体導入の速度を減速する ことに著しい効果が現れている点に注目されたい。水酸化物が最外側のゾーンか らより多く混入する点も顕著に認められる。同じ理由により、最外側のゾーンの 人為的残留検体濃度はもはや確認されない。 図7と図8およびそれに対応する図4と図5との間の違いは、単に拡散効果か ら生じるもののように思われる。検体の電気的移動度は拡散係数に対し直線性を 示す。しかし一方、電気移動が電場に依存する過程であるのに対して、拡散は異 なる。従って拡散の相対的な重要性は、より低いEI電圧が印加されたとき増大す る。この2組の結果の違いは、印加EI電圧の違いがどのようにこの過程に影響す るかという観点から説明できる。印加電圧を変更した場合の効果を数値モデルで 考察する。式(1)と対照的に、定電圧条件下における単位時間当たりの生成物量 では、EIをより高い印加電圧で行う方がより効率的である。例えば、酢酸塩につ いては、94.59%(−6kVで5秒間)対91.33%(−3kVで10秒間)の試料を導入し 、 また、99.87%(18kV で5秒間)対99.62%(9kVで10秒間)の試料を導入する。 出願人はまた、非拡散混合と電気浸透流という観点から効果を説明することを 企図した。 確かに、薄膜全体が十分に混合したポット(pot)であるという仮定は過度に単 純化されている。しかしながら、単なる混合プロセスを拡散として仮定すること も不正確な過程となり得る。 出願人の反復演算手順では、すべての10μm 厚のセグメントの内容は100 μ秒 毎に均質化されると仮定しており、この仮定は、拡散混合のみを考えた場合より も実質的に効果的な過程を表している。しかしながら、各反復ステップでは、計 算結果は100 μ秒以下で収斂するので、このように仮定しても支障は生じない。 現実の系では、より効果的な混合手段が、特に円盤の最内側部および最外側部に 存在すると信じるにたる理由がある。 第一(最内側部)の場合、キャピラリー始端部の存在が非拡散混合を引き起す可 能性があり、第二(最外側部)の場合、電解ガスの発生が結果的に有意な混合と なる可能性がある。 最内側および最外側のゾーンを画定する半径距離を選択することによりこれら の現象を説明することができる。なぜなら、このような選択によって反復ステッ プで均質化される体積が効果的に変わるからである。出願人のモデルでは、RINZ ONE を50μm と150 μm の間で変化させても、(最外側のゾーン幅とループの半 径がそれぞれ10μm と1000μm で一定に保たれている限り)結果にほとんど影響 はなかった。例えば、10秒間に注入した塩化物のフラクションは、RINZONE をこ の範囲内で増加させても99.4790%から99.4786%まで減少し、酢酸塩に対する変化 も非常に僅か(91.1068% 〜91.1009%)である。 最外側のゾーン幅を変更した場合の効果はもっと顕著に表れる。この場合、注 入された全イオンのフラクションは、ゾーン幅が増すにつれて減少する。最外側 のゾーン幅を、10、50、100 、200 および350 μm として、RINZONE とループ半 径をそれぞれ50μm と1000μm に保った。10秒間に注入した塩化物のフラクショ ンは、それぞれ 99.48% 、99,40%、99.04%、97.56%、および94.40%で、酢酸塩の フラクションは、91.11%、90.82%、89.72%、86.01%、および79.52%であった。最 外側のゾーン幅を変更したときに生じる大きな効果はより理解しやすい。NaOHが このゾーンに生成されて有効電磁場の大きな変化を来し、もしこの変化がより大 きな体積全体に生じれば、それによって、より大きな体積に影響を与える可能性 がある。 本システムでEIが行われる間の電気浸透流Qeoは、極めて小さく、0.500nL/s である。電気浸透流を説明するために、所定の反復時間内にEOF によって導入さ れた検体量は最内側のゾーンの成分と同一の成分に対応するという仮定に立って いる。従って、(式(24)の直後の)ステップ8を修正した形は次のように定式化 される。 mi,inj(new)=mi,inj(old)+ΔAi,k+QeoΔtCt,1 (27) ただし、mi,injは、キャピラリー中へ注入される検体iの量であり、ΔAi,kは 式(26)によって与えられる。EOF による薄膜の体積変化は、薄膜厚さh の相当す る変化によって説明できる。しかしながら、垂直方向への輸送を限定要因として 考えていないので、これはいくぶん外面的なステップである。 より重要な点として、薄膜中の検体量の変化および濃度変化を説明する必要が ある。現実の系を描写する正確な代替手段がないので、各ゾーンの検体濃度に比 例するように、薄膜全体の検体濃度の変化がキャピラリー中に注入される検体を 反映していると仮定すると Ci,k(new)=Ci,k(old)・(mi,rem−QeoΔtCi,1/mi,rem・(h/(h−Δh)) (28) ただしmi,remは、薄膜中の検体i の量で、Δh は次式で与えられる。 Δh=QeoΔt/(πrout 2) (30) ただし、h は薄膜の現在の厚さである。式(28)の右辺において、初項は量的変 化を、第2項は薄膜の厚さを変えることによって生じる体積の変化を説明してい る点に留意されたい。 出願人の実験システムではEOF が非常に遅かったので、Qeoは、3kV 、30秒間 のEI時間という条件での薄膜体積のわずか1.5%を説明するにすぎない。このため 、出願人のモデルのこの改善は注目に値する変化にはほとんどつながらない(例 えば酢酸塩を添加した10秒のEI時間に対して、導入フラクションが91.11%から91 .33%まで増加するというような)。しかしながら、より高いEOF ではより大きな 変 化が観察される。例えば、EOF が10倍大きいとき、上記と同じ標品を用いて導入 されたフラクションは93.42%であった。 上述したように、一定の小さな(好適には体積が約1μL 以下の)マイクロリ ザーバを保持することが望ましい。出願人のワイヤループは、図3Aと3Bに描かれ ているように、そのようなマイクロリザーバを好適に提供するものである。さら に、そのようなマイクロリザーバは、高電圧電極としてマイクロリザーバ用金属 製ループを用いることにより、内部の試料全体を均一の電場にかける機能も有す る。図3Cに関連して記載した導電半球体状の他のマイクロリザーバの構成につい て出願人は検証した。 ワイヤーループあるいは半球状のマイクロリザーバの半径の大きさの影響を考 察する。 半径が変化すると試料体積が効果的にに変化することは理解できよう。所定の 印加電圧に対して“悉皆的な”EIを行うには相当の長時間を要する。図9は、注 入した塩化物と酢酸塩のフラクションに対する数値シミュレーションの結果をマ イクロリザーバのループ半径とEI時間との関数として描いたものである。 参考のため、出願人は、本明細書に記載したものと同じシステムとループ電極 とを用いてバイアル瓶から従来の流体力学的注入および従来のEI注入を行いこれ を検証してみた。 流体力学的注入は時間に対して直線性を示した。例えば、N,N −ジメチルホル ムアミドを試料として用いた場合、10秒から90秒の実施でその高さの差は4.7cm であった。 任意の単位でのピーク面積は式(27)によって以下のように与えられる。 peak area(arb.units)=12.39 ±0.37t(sec)−(19.66±3.78); r2=0.9867 (27) Cl-、NO3 -、HCOO-、CH3COO-の微量標準混合液を用いてバイアル瓶から従来のE Iを行った。−3kV の高電圧で、EI時間を1秒から30秒としたところ、EI時間に 対して直線的に比例した速度で個々のイオンのすべてが導入された。個々のr2値 は、0.9976(Cl-)、0.9980(NO3 -)、0.9968(HCOO-)、および0.9904(CH3COO- )であった。試料中の個々の検体の濃度およびその反応因子はいずれ も同じではなかった。従って、等容量試料導入速度という観点からこの結果を表 現するのが都合がよい。この速度は、試料イオンの移動度とともに変動し、0.48 9 ±0.008 μL/s(Cl-)、0.443±0.007 μL/s(NO3 -)、0.338 ±0.007 μL/s(H COO-)、および0.2373 ±0.008 μL/s(CH3COO-)μL/s である。 イオン移動度μiに対する注入速度dvinjdtの関係は式(28)によって次のように 与えられる。 (dVinj/di)=(6.69 ±0.24)・102 μi−(4.51 ±l.54) ・10-2, r2=0.9975 (28) 上記の結果は、式(1)が予測するものと高い近似的一致を示している。しかし ながらこれらの結果は、このような系から期待できる最良の結果であるかもしれ ず、より高い電圧を印加したとき式(1)から予測される挙動から特徴的な変動が 観察できる。 出願人は、上記記載の−3kV での測定値に加えて、印加EI電圧−6kV で15秒ま で、また、−9kV で10秒まで実験を行った。それぞれの印加電圧において、Cl- とNO3(r2>0.9970)に関しては、導入された試料の量とEI時間との間の関係は直線 性を示した。しかしながらHCOO-については、r2値は、−9kV で0.9829であり、 また、CH3COOについては、線形r2値は、−6kV で0.96まで、また、−9kV で0.25 まで低下した。 もっと重要な点は、式(1)に基づき、試料導入速度が印加電圧に直線的に比例 することが予期されることである。Cl-とNO3 -に関しては、導入速度比は予期し た結果1:2:3とは異なり、−3 kV、−6 kV、および−9 kVでそれぞれ1:1.59:1.72 および1:1.45:1.50であった。実際、硝酸塩の導入速度は、−6kV と−9 kVとの 間で、ほとんど変動しなかった。蟻酸塩については印加電圧の関数として観察さ れた比は1:1.25:0.98 であった。そして実際に導入速度は−9kV で減少した。酢 酸塩についてはこの効果はより顕著で、1:0.83:0.05 の比が観察された。印加電 圧が最大値のとき、酢酸塩はほとんど導入されず、その量はEI時間(すなわち上 記引用の低いr2)にほとんど依存しなかった。 酢酸塩の電気化学的還元が上記の挙動を説明する適切な機構であるとは考えら れない。 そうではなく、この還元はキャピラリー始端部近傍で生じる低速移動イオンの 枯渇が原因であると出願人は推定する。もしそうであれば、検体濃度の減少によ り状況の悪化がもたらされる(特により反応性の高いイオンにとっては)。 図10A と10B は、出願人の微量分析標準混合液(図10A −(a))と図10A −(a)の 溶液、および4倍希釈液(図10A −(b))の重畳エレクトロフェログラムを用いた 結果を描いたものである。両溶液とも−3kV で30秒間EIを行った。蟻酸塩および 酢酸塩は図10A −(b)のフェログラムにおいて識別さえできないことに注目され たい。 一般にこのような挙動は少なくとも定性的には理解できるものである。キャピ ラリーと高電圧電極を試料バイアル瓶中に浸しEIを試みる場合、電場は主として キャピラリー先端と電極との間に存在する。従って、試料体積のごく小部分に効 果的に電場がかかる。 EIの進行につれて、導電率を増大させるために酸あるいは塩基の電解生成物が さらにこの同じ領域に電場を集中させる。 一つのルーブでは、仮想的な連続する同心円状ゾーンが相互に電気的に実際上 直列状態となる。しかし、従来のEIでは、キャピラリー始端部と電極との間の様 々な経路は実際上並列であって直列ではない。この大きな電場で検体イオンが補 充される大きな機構は拡散である。小さな拡散係数をもつイオンについてはほと んど移動が生じない。その結果、バルク溶液内に濃度勾配が発生せずこれがさら に拡散輸送を妨げ、運動が自然停止するという影響を与える。最初検体濃度を低 くするかあるいは印加電場を高くすればバイアスが増加することは明らかである 。 次に、出願人のループのような対称のマイクロリザーバ電極からの電気移動注 入(EI)、および移動度に基づくバイアスの役割について考察する。ループによる EIの特に重要な側面は、図10A −(a)と図10A −(b)に描かれたバイアスの型が理 論的に予期されるものでもなければ、実験的に観察されるものでもないという点 である。図10B −(c)は、図10A −(b)と同じ状況を描いたものであるが、今回は EIが、(同電圧、同時間で)1μL 体積のループから行われるという点が異なる。 4つのすべての予期されたピークが観察されるだけでなく、炭酸塩に起因する一 つのピークも観察される。 微量分析を改善するために従来のEIではナトリウムペンタンスルフォネートの ような終末電解液がしばしば添加されるが、図10B −(d)のデータについてこれ を行った。ループから行うEIではこのような電解液を添加しても何も得られない ことは図10B から明らかである。従来のEIで見られるこのようなバイアスは電場 の形状に関連すると理論的には言われている。従って出願人は、高電圧電極とし ても機能する金属製のブロック(図3C参照)に入れた体積約10μL の半球形の窪 みに試料を含む実験を行った。キャピラリー始端部はこの窪みの中心に置かれた 。この結果はループで得られたものときわめて類似した、すなわち試料に与えら れた電場の形状の重要性を強調するものとなった。 図11A と図11B はループから行うEIのダイナミックレンジのさらに顕著な例を 描いたものである。図11A では硝酸塩を300ppbで一定に保つ一方、酢酸塩を30pp bから30ppm の間で変動させた。図11B のデータについては酢酸塩を200ppbで一 定に保ち硝酸塩を同じように変動させた。移動時間シフトについて補正したピー ク面積は、出願人が本明細書で開示した手法が従来のEIで可能なものより実質的 により大きなダイナミックレンジを有利に提供することを証明している。 3kV 〜18kVの範囲で印加電圧を3kV 毎に変動させ、9kV ・s〜108kV ・sの範 囲でのVt積についてループから行うEIによる試料導入の結果を検証した。ループ −EIの結果は、当明細書で以上記載したようにバイアル瓶−EIで得られた結果と は極めて異なる。 理論的に予測できるように一定のVt積については、より高い電圧を印加したと き導入はより完全なものとなる。 図12は、1μL ループに対して異なる電圧を印加した場合のEI時間の関数とし て塩化物/酢酸塩ピーク面積比の変化を描いたものである。このプロットについ ては、最大電圧(18kV)が最少時間(0.5秒)印加されたときの面積比を単位値とし て任意に割り当てた。この条件下では、バイアスが最大になる一方で、より高い Vt生成物での限界値0.535(酢酸塩/ 塩化物移動度比)にバイアスが接近すること が予想され、実際にそれが観察される。 注入とバイアス量の完全さを検証した。図13A と13B は、半径約1mm の、およ そ1μL 体積の傾斜ループ(図3B参照)から得たデータを描いたものである。正 確な体積を測定することは困難であったので、図13では、注入された等容量(例 えば、その体積内に含まれる検体の)を縦座標として用いている。その結果は、 図5に示したものと関連して記載したモデル計算と定性的に類似している。しか しながら、前述のモデルで10秒を要したものを成し遂げるのに約50秒という時間 を要したという点で効率は低かった。これは現モデルが垂直方向の輸送限界値を 考慮に入れていないという事実の結果であると出願人は考える。例えば320 μm 厚の薄膜は極微的には少しも薄いものではない。しかしながら広義の一般的なパ ターンはここで用いたモデルのパターンと同一である。図13B は、完全に除去さ れてはいないが、悉皆的電気移動でバイアスが大きく減少していることを描いた ものである。 理論的に予期できるように、より大きなループの利用は同電圧で同時間EIを行 った場合、完全でない注入とより大きなバイアスを生じる結果になることを出願 人は観察した。一方、垂直平面ループでは、入る液量が少ないので、同一のルー プ半径に対して同じEI条件ならば、これらのループからの注入はより完全になり バイアスは減少する。 EIを行った結果として水酸化物が生成し系中へ注入される。BGE は有限の緩衝 容量を有し、OH-ピークはこの容量を超過した後でのみピークとして現れる。図1 4に一例を示す。この図で、15秒間のEI時間に対する水酸化物ピークは見られな いが、25秒間のEI時間でははるかに大きいピークが見られる。25秒〜60秒の範囲 のEI時間に対する積分した水酸化物ピーク面積は、r2値0.9996でEI時間と直線性 を示す相関関係がある。OH-導入と時間との直線的相関関係が図4に見られた。 水酸化物に起因する明確なピークがEIを開始して20秒後に最初に現れることも予 測できる。 以上を要約すると、試料全体を少量の限定容積から注入しそれを好適には対称 に電場に曝せば、その結果CEにおけるEIが実質的に改善されることを出願人は証 明した。事実、本明細書に記載したマイクロリザーバ電極を用いることにより、 先行技術で現在実施されているものに比べてより便利でより有効なCEによる注入 法を構成することが可能である。ミクロタイター金属製プレートに半球形のウェ ルを形成する発明に加えて、ワイヤループ上に形成した薄膜を用いる出願人の発 明の結果を他の形状にも適用できることは理解できる。また、様々のマイクロリ ザーバ電極を用いたオートサンプラーの構成を利用することもできる。 本発明は、CEおよび他の分離システムにおけるサンプリングと注入を改善でき るのみならず、同時に従来の検出器で現在利用できる範囲以上に検出限界値を改 善するものになることを出願人は予想する。もしH+やOH-のような導入が重要な 要因となることがあれば、薄膜構成を用いることによりH+やOH-イオンの導入を 阻止することが可能となるであろう。 以下の請求の範囲によって定義される本発明の発明主題および精神から逸脱す ることなくこの開示実施例に対して改変や変形を行うことができる。主として、 キャピラリー電気泳動分離システムを用いて行われる分析に関して説明してきた が、例えば、キャピラリー通電クロマトグラフィー分離システムにおいても本発 明は実施可能である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.試料中の選択された極性をもつ検体イオンを、高電圧印加によって分離 キャピラリーを通して移動させるキャピラリー分離システムにおいて、注入が、 前記検体イオンの個々のイオンのイオン移動度に実質的に依存せず、かつ、試料 導電率に実質的に依存しないように、悉皆的に前記検体イオンを電気移動によっ て前記キャピラリー中へ導入する方法であって、 (a) 前記試料の再現可能な体積を保持する、実質的に一定の有限の収容体 積を画定する電気導電マイクロリザーバを提供し、 (b) 前記マイクロリザーバ中の前記試料の部分と接触する、前記分離キャ ピラリーの入口端を配置し、 (c) 前記高電圧の一方の導線を前記マイクロリザーバに接続し、一定時間 前記高電圧を増力し、前記選択された極性の前記試料中のイオンを前記分離キャ ピラリーの前記始端部中へ実質的に悉皆的に導入させる段階を有する方法。 2.前記システムが電気泳動分離システムである請求の範囲1の方法。 3.前記システムがキャピラリー通電クロマトグラフィー分離システムであ る請求の範囲1の方法。 4.段階(a)が、 (i) 所望のループ面積を画定するように、円形ループに形成された導電 ワイヤにより製造されたマイクロリザーバと、 (ii) 所望の体積を有する対称の半球体空洞が画定されている基底部を 含むマイクロリザーバ からなるグループから選択されるマイクロリザーバを提供することを含む請求の 範囲1の方法。 5.段階(a)が、所望のループ面積を画定する円形ループであって、 (a) 前記分離キャピラリーの縦軸に対して平行な平面と、 (b) 約45°〜約90°の範囲の角度で前記分離キャピラリーの縦軸から位 置がずれている平面と からなるグループから選択される平面に配向されたループ平面を画定する円形ル ープに形成された導電ワイヤにより製造されたマイクロリザーバを提供すること を含む請求の範囲1の方法。 6.前記マイクロリザーバが、対称に形成された収容体積を画定する請求の 範囲1の方法。 7.段階(b)が、前記マイクロリザーバの対称の中心部分に、前記試料部分 と接触して前記分離キャピラリーの前記入口端を配置することを含む請求の範囲 1の方法。 8.段階(a)で、前記収容体積が、(a)約2 μL より小さい体積と、(b)約1 μL より小さい体積と、(c)約0.5 μL より小さい体積からなるグループから選 択される体積である請求の範囲1の方法。 9.試料中の選択された極性をもつ検体イオンを、高電圧の印加により分離 キャピラリーを通して移動させ、前記検体イオンの個々のイオンのイオン移動度 に実質的に依存せず、かつ、実質的に試料導電率に依存せずに、前記キャピラリ ー中に悉皆的に注入する、キャピラリー電気泳動システムにおいて、 前記試料の再現可能な体積を収容するサイズを持つ電気的導電マイクロリ ザーバであって、実質的に一定の有限な収容体積を画定するマイクロリザーバと 、 前記マイクロリザーバに接続する第1導線と前記システムの下流領域に接 続する第2導線とを持つ高電圧電位の電源とを有しており、 前記分離キャピラリーが、前記マイクロリザーバ中の前記試料部と接触し て配置可能な入口端を有し、 前記高電圧の一定時間の印加によって、前記選択された極性の前記試料中 のイオンが前記分離キャピラリーの前記先端中へ実質的に悉皆的に導入されるこ とを特徴とする前記システム。 10 前記システムが電気泳動分離システムである請求の範囲9のシステム 。 11. キャピラリー通電クロマトグラフィー分離システムである請求の範囲 9のシステム。 12. 所望のループ面積を画定するために、前記マイクロリザーバが円形ル ープに形成されている導電ワイヤを含む請求の範囲9のシステム。 13. 前記ループが、 (a) 前記分離キャピラリーの縦軸に対して平行な平面と、 (b) 約45°〜約90°の範囲の角度で前記分離キャピラリーの縦軸から位 置がずれている平面とからなるグループから選択される平面に配向されたループ 平面を画定する請求の範囲12のシステム。 14. 前記マイクロリザーバが、所望の体積を持つ対称の半球体の空洞を画 定する基底部を含む請求の範囲9のシステム。 15. 前記マイクロリザーバが対称に形作られた収容体積を画定する請求の 範囲9 のシステム。 16. 前記収容体積が、(a)約2 μL より小さい体積と、(b)約1 μL より小 さい体積と、(c)約0.5 μL より小さい体積からなるグループから選択される体 積である請求の範囲9 のシステム。
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