JPH10512449A - 融合細胞のスクリーニング効率を改良する方法 - Google Patents

融合細胞のスクリーニング効率を改良する方法

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JPH10512449A JP8522458A JP52245896A JPH10512449A JP H10512449 A JPH10512449 A JP H10512449A JP 8522458 A JP8522458 A JP 8522458A JP 52245896 A JP52245896 A JP 52245896A JP H10512449 A JPH10512449 A JP H10512449A
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ジャコボヴィッツ,アヤ
シー. ハーディー,マーガレット
グリーン,ラリー
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Abstract

(57)【要約】 所望の遺伝子の存在に関して融合細胞をスクリーニングする効率を改良する方法を開示する。この方法は、不死化細胞融合相手のある種の培地条件に対する感受性を克服するマーカーを有する所望の遺伝子を提供することを含む。この方法は、B細胞中に存在するイムノグロブリン遺伝子上にマーカーが含まれることで例示される。

Description

【発明の詳細な説明】 融合細胞のスクリーニング効率を改良する方法 本出願は、1990年1月12日に出願された米国特許出願第07/466,008号の一部継 続出願である1990年11月8日に出願された米国特許出願第07/610,515号の一部継 続出願である1992年7月24日に出願された米国特許出願第07/919,297号の一部継 続出願である1993年3月15日に出願された米国特許出願第08/031,801号の一部継 続出願である1993年8月27日に出願された米国特許出願第08/112,848号の一部継 続出願である1994年4月28日に出願された米国特許出願第08/234,145号の一部継 続出願である。これら出願の内容はここで引用したことにより本明細書に含まれ ているものとする。技術分野 本発明は、所望のゲノムの特徴を含有する融合細胞コロニーの割合を増加させ る方法に関する。特に本発明は、所望のゲノムの特徴の近接マーカーであって、 不死化細胞が、他の場合には感受性であるはずの条件下で生育できるようにする マーカーの提供に関する。背景技術 パイオニアとしてのKohlerとMilsteinの研究以来、形質転換されてないB細胞 を、たとえばポリエチレングリコールの存在下で、不死化細胞系に融合すること によって不死化させることができることは公知である。この不死化細胞系は、典 型的な場合、「形質転換された」細胞系または腫瘍細胞系である。融合した細胞 において、形質転換された細胞に不死性を授けたものが何であってもそれは融合 産物中で保持される。 この融合手順は、一般に、融合した細胞のみが培地中で生存することができ、 そのためうまく融合した産物のコロニーのみを自動的に選択することができるよ うにして行なわれる。典型的な場合、このためには、一定の培地条件に対して感 受性となる表現型特性を有する腫瘍細胞系の細胞を不死化細胞として使用する。 融合していない非形質転換細胞は不死性でないので生育することができない。 しかし、融合していない形質転換細胞のコロニーの生育を妨げることに関連する 条件に対する形質転換細胞系の感受性を利用して培地を選択しなければならない 。極めて一般的に使われている感受性は、ヒポキサンチン−アミノプテリン‐チ ミジン(HAT )培地、すなわち、細胞が生育するにはヒポキサンチンホスホリボ シルトランスフェラーゼ(HPRT)という酵素の存在を必要とする培地上で生育で きないという性質である。不死化細胞系はそれ自身の遺伝特性のために、この酵 素を生産することができない。ついで、融合混合物をHAT 培地上で培養すると、 不死化細胞はHPRTを欠くため生育できない。融合細胞は、不死であり、非形質転 換細胞の能力に基づいてHPRTを産生もするので生育することができる。 KohlerとMilsteinの融合技術を細胞融合手順に適合させると、所望の特性を有 するモノクローナル抗体を分泌することができる不死化B細胞が得られる。この 技術では、抗体が望まれる抗原で動物を免疫する工程と、脾臓または抹消血リン パ球(PBL )からB細胞を収集する工程と、そのB細胞を不死化細胞系と融合さ せる工程と、融合細胞を選抜する工程と、そして融合細胞の個々のコロニーを所 望の抗体の分泌に関してスクリーニングする工程とが採用される。 この古典的な手順では、以下のふたつの理由により、所望の特徴をもつ抗体を 実際に分泌する融合細胞の割合は小さいものに過ぎない。すなわち、第一に、す べてのB細胞が所望の抗体を第一の場所で分泌できるわけではなく、第二に、た とえそうであったとしても、抗体をコードしている遺伝子はもとの融合細胞の子 孫に伝達されるほど安定な様式で融合細胞のゲノム中に入らないことが多いため である。もちろん、細胞が生存するためには、関連するイムノグロブリン遺伝子 座が子孫に伝達される必要はないであろう。というのは、HPRTはB細胞の全てに おいてX染色体バックグラウンド上にコードされているからである。 本発明は、所望の抗体のための遺伝子またはその他の遺伝子成分を含有しては いないが、成功したコロニーを多数得るために上記第二の理由を最小にする方法 を提供するものである。発明の開示 本発明は、所望の遺伝子成分を含有する融合の成功割合を高くする、Kohler/M ilsteinの融合技術を改変した技術を提供する。これは、特に、遺伝子成分がイ ムノグロブリンを産生するのに必要とされる遺伝子座のセットである場合に有用 である。所望のゲノム成分が存在するDNA自身を改変して、融合相手として使 用しようとする不死化細胞の感受性を克服することができるマーカーを含ませる 。このようにすると、不死化細胞系が感受性である培地条件で成育できるように するのに、所望のゲノム成分を含有している非形質転換細胞が生来有するHPRTの ような「バックグラウンド」マーカーは必要とされない。理想的な場合、このマ ーカーは、非形質転換細胞のバックグラウンドゲノム相補体中に存在しなくても よい。 すなわち、本発明は、ひとつの局面において、所望のゲノム成分を含有する融 合細胞のコロニーの割合を高めるための方法であって、この融合細胞は非形質転 換動物(特に哺乳類または鳥類)細胞と所定の培地条件に対して感受性の形質転 換細胞系の細胞とを融合させて得られるられ、以下の工程を有する。すなわち、 形質転換細胞系の細胞の培地条件に対する感受性を克服するマーカーを有する上 記所望のゲノム成分を提供する工程と、上記非形質転換動物細胞と上記形質転換 細胞系の細胞とを融合を促進する条件下で混合して融合混合物を得る工程と、こ の融合混合物を上記所定の培地条件下で培養することによって融合細胞コロニー を選択する工程と、上記所望のゲノム成分に関して成功したコロニーをスクリー ニングする工程とを有する。 他の局面において本発明は、本発明の方法によって作製される不死化細胞系お よびこれらの細胞を培養することによって所望の産物を産生する方法である。図面の簡単な説明 図1A〜Eは、実施例2に記載したESクローンに組込まれたyHPRTおよび酵 母ゲノムDNAを特徴付けるためのサザンブロット分析の結果を示す写真である 。Aはヒト反復Alu 配列である。BとCとはそれぞれ右側および左側のYAC アー ム のpBR 特異的配列である。Dは酵母のTy反復配列である。Eは酵母の単一コピ ー遺伝子LYS2である。 図2A〜Dは、実施例2に記載したES細胞染色体中のyHPRTおよび酵母ゲノ ム配列の組込みを検出するためのin situハイブリダイゼーションの結果を示す 光学顕微鏡写真である。AとBとはビオチン化ヒトゲノム配列にハイブリダイズ したESY8-7細胞からの中期展開(metaphase spread)である。CとDとはビオチン 化酵母反復DNA配列にハイブリダイズしたESY8-6細胞からの中期展開または間 期核を示す。 図3A〜Cは、実施例2に記載したin vitroのES細胞の分化の間およびマウ ス生殖細胞系を介した伝達の間のyHPRTの安定な保持を証明する。 図4AおよびBは、実施例2に記載した種々のマウスの組織におけるヒトHPRT 遺伝子の発現を示す電気泳動ゲルの写真である。 図5は、実施例3に記載したマウスの交配を示すダイヤグラムである。発明の実施の形態 本発明の方法は、一般的に、ゲノム成分を別にして、抗体を分泌することがで きる不死化した細胞を得るために一般に使われている方法と類似している。たと えば、抗体のH鎖とL鎖とをコードしている遺伝子座は、DNA配列上でHPRT遺 伝子やネオマイシン遺伝子のようなマーカーをコードしている遺伝子に近接して いる。この明らかに無害な改変により、選択したゲノム成分の産物を生産する不 死化融合細胞のコロニーの割合が非常に高くなる。 本明細書で使用する「非形質転換」細胞とは、培養において無限に増殖するこ とができない、すなわち不死でない細胞を意味している。これらの細胞は「細胞 系」ではない。すなわち、これらは繰り返し継代することができない。非形質転 換細胞の例には、すでに分化しており悪性でないほとんどの動物細胞、好ましく は哺乳類または鳥類の細胞が包含される。最も一般的に使われるものはB細胞で あるが、所望のタンパク質を産生し得る限りにおいて、他の非形質転換細胞も使 用することができる。すなわち、適切な非形質転換細胞には、T−リンパ球、筋 肉細胞、下垂体細胞、膵臓細胞なども包含されよう。 本明細書で使用する「形質転換」細胞とは、無限に継代する能力を獲得してお り、したがって細胞系として樹立することができる細胞を意味している。当業界 では、HeLa細胞、CHO 細胞、COS 細胞および多数のマウス骨髄腫細胞系を始めと して、多数の細胞系が知られている。本発明の方法において有用であるためには 、この形質転換細胞は、特定の増殖条件に対する感受性を付与する特性をも有し ていなければならない。この感受性は非形質転換融合相手から得ることができる ひとつ以上の遺伝子産物の生産によって覆すことができるものである。 「融合細胞系」とは、成功した融合、すなわち、不死化または形質転換された 細胞が、所望のゲノム化合物を含有する非形質転換細胞とのうまく融合したとい う融合の産物を意味している。細胞融合を起こすのに最も一般的に使われている 技術は、ポリエチレングリコールによる処理である。しかし、当業界では、たと えばエレクトロポレーションや融合誘導(fusogenic)ウィルス処理を始めとする 他の技術もまた、利用可能である。 「所望のゲノム成分」とは、非形質転換細胞のゲノム相補体のDNAのうち、 融合細胞系の子孫に伝達させたい部分を意味している。このゲノム成分は、たと えば、成長因子または成長ホルモンをコードしている遺伝子のような単一の遺伝 子に対する発現系であってもよい。本発明のひとつの重要な態様では、この「ゲ ノム成分」が1つ以上の遺伝子に対する1以上の発現系を含んでいる。本発明の 技術の特に重要な応用の場合、関連するゲノム成分はイムノグロブリンのH鎖に 対する発現系とイムノグロブリンのL鎖(またはそれらの適当な一部分)に対す る発現系とで構成される。この結果得られる抗体は、特定の標的抗原に対して免 疫反応性である。「発現系」が、必ずしも異種プロモーターに機能を発揮するよ うに結合されるべく操作されたクローニングされたタンパク質をコードしている DNAを指すものではない(そのような構築物も包含されるが)ことは明らかで あろう。また、「発現系」の範囲内には、たとえば、発現制御配列とタンパク質 コード配列の両方を含むゲノムDNAの断片もある。特に、本発明で考えられる イムノグロブリンに対する発現系は、特定のイムノグロブリンに対する再配列さ れたコード配列と再配列されていないゲノム遺伝子座の両方を含む。 本発明の方法の利点を評価するためには、非形質転換細胞と形質転換細胞との 融合がうまくいった結果得られるコロニーが必ずしも相手の完全なゲノム内容物 を有している必要はないということを理解することが重要である。すなわち、た とえば、B細胞と不死化細胞とをうまく融合させて、イムノグロブリン遺伝子座 の一方または両方を有してはいない、うまく融合した融合を得ることも完全に可 能である。 本願の親出願には、抗原の投与に応答してヒト抗体を生成することができるト ランスジェニックマウスを得る方法が記載されている。このマウスを得るには、 ヒトの再配列されてないH鎖およびL鎖イムノグロブリンの遺伝子座を、ベクタ ーや酵母のスフェロプラストを用いてマウスの胚幹細胞(embryo stem cell,E S細胞)に挿入した。ここで、ヒトの遺伝子座は酵母の人工染色体(YAC )に含 有されており、選択マーカーで標識した。ネオマイシン耐性遺伝子(「neo 」遺 伝子)とHPRT遺伝子の両方がマーカーとして記載されている。得られたES細胞 を使用したマーカーによって適当なYAC の取込みについて選択する。キメラマウ スを得るためにYAC 含有ES細胞を使用し、次いで交配育種することによって、 再配列されてないヒトH鎖とL鎖遺の伝子座をゲノム相補体中に含有するマウス が得られた。これらのマウスでは、マーカーがイムノグロブリン遺伝子座に近接 して含有されている。このトランスジェニックマウスを所望の抗原で免疫した後 、B細胞を収集し、不死化細胞と融合させると所望の抗体を産生するコロニーが 得られる。このプロセスの場合、所望のゲノム成分(すなわち、イムノグロブリ ンの重鎖と軽鎖の遺伝子座)はすでに同じDNA配列上で関連する成分に近接し てマーカーを含有している。 以上の融合を行なうとき、選択培地としてHAT を用いる標準的な方法を使用す る場合は、HPRTをマーカーとして使用しているか、またはHPRTがイムノグロブリ ン遺伝子と関連する他のものであると、所望のゲノム成分を含有するうまく融合 したコロニーを得る効率が向上する。その理由は以下の通りである。すなわち、 得られるコロニーの全数のうちには、所望のゲノム成分のみを含有するが「バッ クグラウンド」のHPRT遺伝子を有するB細胞のX染色体は含有しない子孫が含ま れている。一方、ES細胞の形質転換のための選択に別のマーカー(たとえばne o )が使用されているが、B細胞と形質転換細胞との融合体のための選択には標 準的なHAT 培地を用いると、成功したコロニーにはその子孫のX染色体上にバッ クグラウンドのHPRTを含有する融合体のみが含まれる。したがって、一方または 両方のイムノグロブリンの遺伝子座を含有していないがバックグラウンドHPRT遺 伝子のみを含有する融合体はプールから除かれない。そして、そのプールはX連 鎖性HPRTを有するがIg遺伝子座をまったくもたないかまたはそれらのうちの1 つだけを有する融合物を含むことになる。 また、形質転換細胞もまたネオマイシン抗生物質(またはG418含有培地)に対 して感受性であるので、ES細胞改変のための挿入遺伝子上にマーカーその他と してneo 遺伝子が用いられたのであれば、B細胞/骨髄腫融合体の選択培地とし てG418を含有する培地を使用することができるはずである。 イムノグロブリン遺伝子座に近接したマーカーの提供では、成功した形質転換 体の選択においてES細胞を形質転換におけるマーカーの使用に付随する結果を 必要としないことは明らかであろう。このマーカーは、たとえば、ES細胞の形 質転換に関して他のマーカーに加えて所望の遺伝子座に隣接させるか、またはマ イクロインジェクションによって遺伝子座を受精卵に挿入するときに単に含ませ ることができる。この手順においては選択は必要ない。子孫を試験するには単に 、所望の特性がゲノム中にうまく含まれているかどうかを適宜みればよい。それ でも、標準的な組換え技術を用いて、所望の特性を示す遺伝子座に所望のマーカ ーを容易に具備させることができる。 この方法は、多数の遺伝子が融合細胞の子孫に伝達されるべき所望のゲノム成 分を含む場合に、多数のマーカーを使用することによってさらに改良することが できる。たとえば、イムノグロブリン遺伝子の伝達に関して、L鎖にneo マーカ ーを具備させ、H鎖にHPRTマーカーを具備させてもよいであろう。融合において は、G418含有HAT 培地が選択に使用されるはずであるし、生存子孫は少なくとも イムノグロブリンのL鎖、およびイムノグロブリンのH鎖またはX染色体をベー スとするHPRTマーカーのいずれかを含有していなければならない。 あるいは、これに加えて、ハイグロマイシン耐性のための遺伝子を本発明の方 法においてマーカーとして使用することができる。 本発明の方法のより直接的な具体例として、うまくいった相同組換えについて 選択することができるように、十分な生存特性を有する非形質転換細胞を使用す ることができる。B細胞は、培養におけるその生存時間が許容できない程短いと 思われるので、この具体例で使用するには好ましくない。しかし、有用な特性を 示すかまたは有用な産物を産生し、かつ不死でないある種のT細胞クローンその 他の細胞は、継代培養において充分に生存することができるので、マーカーを挿 入する相同組換えの有用な候補である。非形質転換初代細胞を、DNAを取込ま せる条件下で、たとえば、所望のゲノム成分のすぐ上流または下流にある配列と 相同の配列によってブラケットをつけた(bracket)neo 耐性遺伝子を含有する ベクターで処理する。相同組換えによって、ゲノム成分を含むDNA配列中にne o 遺伝子を組込んでいる成功した形質転換体を、次に、G418含有培地で増殖させ ることによって選択することができる。この場合、得られる非形質転換初代細胞 は、所望のゲノム成分を含有する領域に近接してコードされているG418耐性を有 する。 標準的な融合プロトコルにおいて、G418に感受性の不死化細胞系がG418含有培 地で生存するためには、成功した融合が必要である。G418を含有する培地で生存 することができる、うまく融合した細胞は、この能力を非形質転換細胞から獲得 しているはずである。neo 耐性遺伝子は、所望のゲノム成分と共に移行するので 、この成分が子孫に伝えられることが確保される。 融合産物のためにより伝統的な選択培地が有用である、より典型的な例におい ては、所望のゲノム成分に近接させてHPRTを導入する。この場合、多くの初代細 胞では相同組換え後の直接選択を便利に使用することができない。なぜなら、こ のような細胞は、一般的に、すでにX染色体上にHPRT遺伝子を含有しているため である。しかし、上述のように、トランスジェニック動物は受精卵またはES細 胞中にイムノグロブリン遺伝子を挿入することによって作製されている。このよ うな方式で、HPRTは所望の遺伝子と共に直接導入することができる。この実施態 様ではH鎖とL鎖をコードする両方の遺伝子がHPRTコード領域に近接しているこ とを確実なものとすることができる。 以下の実施例は本発明を例示するためのものであって本発明を限定するもので はない。 実施例1 酵母の人工染色体を使用するヒト重鎖(H鎖)遺伝子座のクローニング A.ヒトH鎖を有する酵母人工染色体(YAC )の作製 ヒトH鎖のVH6−D−J−Cμ−Cδ領域[Bermanら(1988年)EMBO J .7: 727-738、図4参照]にまたがるSpeI断片を、Bermanら[(1988年)EMBO J .7:7 27-738]に記載されているDNAプローブを用いて、ヒトYAC ライブラリー[Bu rkeら、Science236:806-812]から単離した。約100kbと概算されるひとつのク ローンが得られた。単離されたYAC クローンを、ヒトH鎖に対する放射標識プロ ーブ[Bermanら、上掲]を用い、パルスフィールドゲル電気泳動[Burkeら、上 掲、Brownsteinら、Science,244:1348-1351]によって特徴付けした。 B.YAC クローンの胚またはES細胞中への導入 アガロースプラグ中で、目的とするYAC (すなわち、IgH 遺伝子座に由来する 上述のSpeI断片を含むYAC )を含有する酵母細胞から、高分子量のDNAを調製 した。CHEFゲル装置上でDNAをサイズ分画し、YAC バンドを低融点アガロ ースゲルから切り出した。このゲル断片をポリアミンで平衡化した後融解させ、 アガラーゼ(agarase)で処理してアガロースを消化した。次に、このポリアミン でコートしたDNAを受精したマウス胚の雄性前核に注入した後、上述のように 偽妊娠雌の子宮に外科的に導入した。新生仔のトランスジェニックの性質を尾か ら単離したDNAのスロットブロットによって分析し、少量の血清を得てウサギ 抗ヒト抗体でIg鎖の存在に関して試験することによってヒトH鎖の産生を分析 した。 マイクロインジェクションに代わるものとして、ES細胞:酵母プロトプラス ト融合[Traverら(1989年)Proc .Natl.Acad.Sci.,USA,86:5898-5902、Pac hnisら(1990年)同87:5109-5113]によってYAC のDNAをマウスES細胞に移 した。まず、pMC1Neo由来のネオマイシン耐性遺伝子またはHPRTその他の 哺乳類の選択可能なマーカーと酵母の選択可能なマーカーとを、プラスミド中の 非必須YAC ベクター配列中に挿入した。この構築物を使用してIgHYACを含有する 酵母株を形質転換し、pMC1Neo (または他の選択可能なマーカー)を相同組換え によってIgH YAC のベクター配列中に組込んだ。次に、こうして改変したYAC を プロトプラスト融合[Traverら(1989年)、Pachnisら(1990年)]によってE S細胞に移し、得られた完全なヒトIgH 配列を含むG418耐性ES細胞(または他 の選択可能な表現型を示すもの)を用いてキメラマウスを作製した。あるいは、 精製したYAC を、たとえばリポフェクションまたはリン酸カルシウム媒介DNA 移行によってES細胞に移した。 実施例2 ヒトIg遺伝子のマウス中への導入 A.酵母におけるヒトIg遺伝子のクローニング 1.VH配列、D配列、JH配列、mu配列およびデルタ配列を含むヒトIgH Y ACクローンの同定と特徴付け ヒトVH6遺伝子のためのPCRプライマー(V6A=5' GCA GAG CCT GCT G AA TTC TGG CTG 3'およびV6B=5' GTA ATA CAC AGC CGT GTC CTG G 3')を用 いてワシントン大学ヒトYAC ライブラリー[Washington University,St.Louis ,MO]から得たDNAプールをスクリーニングした。次いで陽性のプールをコロ ニーハイブリダイゼーションによってスクリーニングし、陽性のマイクロタイタ ープレートウェルをひとつ(A287-C10)同定した。サイズの異なるふたつのVH 6含有YAC (205kbおよび215kb)をマイクロタイターウェルから単離した。これ らふたつのIgH YACすなわちA287-C10の小さい方(205kb)は、VH6に加えて 、デルタ、mu、JH、D、VH1、VH2およびVH4の配列のためのプロー ブとハイブリダイズした。またふたつのIgH YACすなわちA287-C10の大きい方( 215kb)は、デルタ、JH、D、VH1、VH2およびVH4のプローブとハイ ブリダイズしたがmuとはハイブリダイズしなかった。これらYAC は、ふたつの VH1遺伝子、ひとつのVH2、ひとつのVH4およびひとつのVH6遺伝子 を含む少なくとも5個のVH遺伝子由来の配列を含有していた。制限消化物の分 析によって、205kbのYAC がD遺伝子クラスターの全部ではないがかなりの部分 が除去された欠失(約20kbサイズ)を有しており、YAC の残りは完全であって生 殖系の配置にあることが示された。この205kbのYAC のPCRと詳細な制限消化 分析によっていくつかの異なるD遺伝子ファミリーのメンバーの存在が証明され た。215kbのYAC は完全な主要D遺伝子クラスターを含有しているように思われ たが、mu遺伝子を除去した欠失(約10kb)を有していた。この欠失はJHクラ スターまたはJH遺伝子とmu遺伝子との間に位置するエンハンサーに影響を与 えないようにみえる。 上記関連するふたつのIgH YACの推定される先祖、VH2遺伝子とデルタ遺伝 子の間の全ゲノム領域を有する約225〜230kbのYAC [Shinら、1991年、上掲]( 図4参照)はA287-C10マイクロタイターウェル中では同定されなかった。そこで 、先祖のYAC がライブラリーの継代中に失われたとの仮定の下に先祖YAC を探索 するために、A287-C10マイクロタイタープレートウェルの初期のアリコートを検 査した。A287-C10マイクロタイターウェルをストリークした[Washington Unive rsity,St.Louis,MO]。分析した10個のクローンのうち2個が明らかに関連の ない他のYAC と共に230kbのIgH YACを含有していた。クローン1はさらにIgH YAC(約220kbのYAC )を含有しており、クローン3はさらに約400kbのYAC を含 有していた。IgH YACはmu、完全なDプロファイル[BamHI消化物に基づく。 下記参照]およびJHを含有していた。クローン1からのIgH YACをA287-C10/A B1380とYPH857[遺伝子型=MATα ade2 lys2 ura3 trp1 HIS5 CAN1 his3 leu2 c yh2 ]との間の交配における減数分裂分離によって関連してないYAC から物理的 に分離してA287-C10(230kb)/MP313[宿主遺伝子型=MATα ade2 leu2 lys2 his3 ura3 trp1 can1 cyh2]を得た。 2.哺乳類の選択可能なマーカーであるHPRTによるA287-C10kb YACのターゲティ ング 6.1kbのBamHI断片上に含有されるヒトHPRTのミニ遺伝子[Reidら、Proc .Natl .Acad.Sci. ,USA 87:4299-4303 (1990)]をpLUS[Hermansonら、Nucleic Ac ids Research19 :4943-4938 (1991)]のポリリンカーのBamHI部位にサブクローニ ングすることによって、pLUTOとよばれるYAC 右アームターゲティングベクター (15.6kb)を作成した。230kbのIgH YACと関連のないYAC との両方を含有するA 287-C10/AB1380の培養物を直線化したpLUTO で形質転換し、Lys +形質転換体を 選抜した。このLys+クローンをコロニーハイブリダイゼーションによってmuの 存在についてスクリーニングした。mu、HPRTおよびLYS2に対するプローブとハ イブリダイズした約245kbの単一のYAC を含有するひとつのクローンを同定した 。 クローニングしたヒトIgH 配列の完全な、未再配列の状態を証明するために、 各種プローブを用いて、pLUTO でターゲティングされた230kbのA287-C10 YAC のサザン分析を実施した。ほとんどの場合、BamHI消化、HindIII消化およびEcoR I消化の結果物を、WI38(ヒト胎児肺由来細胞系)、A287-C10の205kbおよび215k bの欠失誘導体に対する制限データ、ならびに公表されている値と比較した。D (diversity、多様性)領域プローブ(0.45NcoI/PstI断片。Bermanら、1988年) とのハイブリダイゼーションによって決定された多様性(D)遺伝子プロフィー ルによって、期待された4つのD遺伝子セグメントD1〜D4[Siebenlistら、 1981年、Nature294:631-635]が証明された。たとえば、BamHIの場合、3.8kb、4 .5kb、6.9kbおよび7.8kbの4つの制限断片がA287-C10およびWI38で観察された。 WI38はさらに、染色体16D5領域[Matsudaら、1988年、EMBO7:1047-1051]に由来 すると推定されるより大きいバンドもひとつ有していた。Dファミリー特異的プ ライマーおよびプローブを用いたPCRとサザン分析によって、215kb の欠失誘 導体YAC (これは230kb のYAC と同じ制限パターンをもつ完全なD領域をもって いると思われた)には、DM、DN、DK、DA、DXPおよびDLRの各D遺 伝子ファミリーの2〜4個のメンバーが存在することが証明された。J−muイ ントロンエンハンサーは、A287-C10の230kb YAC に由来するクローン化されたP CR産物(プライマーEnA=5' TTC CGG CCC CGA TGC GGG ACT GC 3'、EnG1=5' CCT CTC CCT AAG ACT 3' )から配列決定され完全であることが決定されたが、 これもまた、480bpのPCR産物をプローブとするとBamHI 、EcoRI およびHindI IIでほぼ予想されたサイズを有する単一の制限断片を生成した。このJH領域を 、DHG52と全JH領域にまたがる約6KBのBamHI /HindIII 断片プローブ[Ra vetchら、1981年、Cell27:583-591]を用いて評価した。A287-C10はほぼ期待さ れたサイズの制限断片を生成した。また、同じサイズの制限断片がエンハンサー およびJHプローブで検出された[Ravetchら、上掲、Shinら、1991年、上掲] 。A287-C10およびWI38で検出された約18kbのBamHI JH断片は、0.9kbのmuプロ ーブ配列ともハイブリダイズした[Ravetchら、上掲]。0.9kbのEcoRI 断片mu プローブ[Ravetchら、上掲]とのハイブリダイゼーションでは、ほぼ期待され たサイズの制限断片が示された[Ravetchら、上掲、Shinら、上掲]。すなわち 、BamHI で>12kb(約17kbが期待された)、EcoRI で0.9kb(0.9kbが期待された )、そしてHindIII で約12kb(約11kbが期待された)である。WI38もA287-C10と 同じサイズのBamHI 断片を生成した。JH領域とDHQ52 領域を欠失誘導体YAC の 両方から配列決定したところ、両方とも生殖系の配置にあった。エキソン1のP CR産物(プライマーDIB=5' CAA AGG ATA ACA GCC CTG 3'とD1D=5' AG C TGG CTG CTT GTC ATG 3'との間の約160bpの領域を含む)を用いてデルタを分 析した。A287-C10に対する制限断片は文献[Shinら、上掲]から期待されるもの およびWI38に対して決定されたものに近かった。YAC の3'側のクローニング部位 はデルタの3'側の第一のEcoRI 部位[Shinら、上掲]またはさらに3'側の別のEc oRI 部位であり得る。VH1、VH4およびVH6に対するVH遺伝子プローブ [Bermanら、上掲]ならびにVH2に対するVH遺伝子プローブ[Takahashiら 、1984年、Proc .Natl.Acad.Sci.,USA81:5194-5198]を用いてYAC の可変遺 伝子含量を評価した。A287-C10はほぼ予想されたサイズを有するふたつのVH1 遺伝子を含有しており[Shinら、上掲、Matsudaら、1993年、上掲]、3つの酵 素による制限分析では期待された断片サイズに近く、たとえばEcoRI で観察され たバンドは3.4kbおよび7.8kbである(予想されるのは3.4kbおよび7.2kb)。VH 4(実測値5.3kb、予想値5.1kb)およびVH6(実測値0.8kb、予想値0.9kb)に 対して予想されたサイズのEcoRI 断片[Shinら、上掲、Matsudaら、1993年、上 掲]がA287-C10に存在していた。予想されたサイズのEcoRI 断片がVH2に対し てみられた(実測値5.5kb、予想値5.4kb)が、BamHI 断片とHindIII 断片は予想 されたものと異なっていた。BamHI 断片とHindIII 断片とpBR322プローブとの同 時ハイブリダイゼーションによって、VH2遺伝子の5'端にあるEcoRI 部位[Sh inら、 上掲]は5'側のクローニング部位であり、したがって天然の5'側のHindIII 部位 とBamHI 部位が除去されていることが示唆された。YAC 挿入物の全体サイズ(約 220kbと推定される)は、最も3'側のVH2遺伝子の5'端から始まってデルタ遺 伝子座の3'側のEcoRI 部位まで伸びる完全な未再配列セグメントに対して予想さ れたサイズとよく一致している。 3.CK配列およびVK配列を含有するIgK YAC の同定および特徴付け ワシントン大学[St.Louis,MO]ヒトYAC ライブラリーから得たパルス場ゲ ル(PFG )プールの、ヒトκ定常領域(CK)遺伝子[2.5kb EcoRI 断片、ATCC第 59173号、Parklawn Dr.,Rockville,MD]由来のプローブを用いたスクリーニン グでふたつのYAC を同定した。A80-C7(170kb)およびA276-F2(320kb)と指称され るこれらYAC はκ欠失性要素kde、CK、JKおよびC−Jイントロン性エン ハンサーを含有しており、かつkdeを越えて3'に伸びている。JKから5'に伸 びるYAC はまた、ハイブリダイゼーションおよび/またはPCRによって決定さ れるB1、B2およびB3VK遺伝子、そして恐らくはその他のVK配列も含有 している。A80.C7/AB1380株は、IgK YACに加えて、関連のない同様なサイズのY AC を収容していた。したがって、減数分裂分離を使用してこれらのYAC を分離 した。A80.C7をYPH857と交配し、IgK YAC(MP8-2、宿主遺伝子型=α ade2 leu 2 his3 his5 lys2 ura3 trpl canl cyh2)のみを含有する減数分裂産物を得た。 A80-C7およびA276-F2のYAC をpLUTO でターゲティングしてヒトHPRTミニ遺伝子 をYAC の右ベクターアームに組み込んだ。 多数の酵素を用いたIgK YAC のA80-C7とA276-F2の制限分析は、両方のYAC が再配列されてない(すなわち、生殖系の配置にある)という結論を支持して いる。たとえば、BamHI 消化の後にCKプローブとハイブリダイゼーションさせ たところ、期待された13kbの制限断片[Klobeckら、Biol .Chem.Hoppe-Seyler3 70 :1007-1012(1989)]が証明された。同じサイズのバンドは、ゲノム地図[Klob eckら、上掲]から予想されるように、JKプローブ[JK1-5領域を増幅するため にプライマーセットを使用する1.2kbのPCR産物]にハイブリダイズする。B 3クラスIV遺伝子[プローブはB3遺伝子由来の123bpのPCR産物であ る]は、発表された値4.6kbおよび2.3kbに近いそれぞれ4.9kbのBamHI断片および 2.2kbのBgIII断片を生成する[Lorenzら、Molec.Immunol.25:479-484 (1988) ]。IgK YAC およびヒトゲノムDNAの両方をKde(120bp)、CK(304bp) 、C−Jイントロン性エンハンサー(455bp)、JK1-5(1204bp)、B3VK(123bp)およ びBIVK偽遺伝子(214bp)のκ遺伝子座配列についてPCR分析したところ予 想されたバンドサイズを示した。CK、JKおよびC−Jエンハンサー領域に対 するPCRを設計するのに使用する配列はWhitehurstら、Nucl.Acids Res.20: 4929-4930(1992)から、KdeはKlobeckとZachau,Nucl.Acids Res.14:4591-4603 (1986)から、B3はKlobeckら、Nucl.Acids.Res.13:6515-6529(1985)から、 B1はLorenzら、上掲からのものである。 B.680kb のyHPRT YAC のES細胞への導入 1.yHPRT 酵母株の培養と酵母スフェロプラストの調製 680kbのyHPRTは、Huxleyら(1991年)Genomics2:742-750に記載されているよ うに、YAC ライブラリーからクローニングしたヒトヒポキサンチンホスホリボシ ルトランスフェラーゼ(HPRT)遺伝子の機能性コピーを含有するYAC である。こ のyHPRTを含有する酵母株を、Huxleyら(1991年、上掲)に記載されているよう に、ウラシルとトリプトファンを含まない液体培地で増殖させた。 酵母のスフェロプラストを調製するために、yHPRTを含有する酵母の培養物40 0mL を遠沈し、酵母のペレットを水で一回、1Mソルビトールで一回洗浄した。 この酵母ペレットをSPEM(1Mソルビトール、10mMリン酸ナトリウム(pH7.5)、1 0mM EDTA(pH8.0)、30mM β−メルカプトエタノール)に酵母細胞5×108個/mL の濃度で再懸濁させた。酵母細胞1mL当たり150μgの濃度でザイモラーゼ(zymo lase)20Tを加え、培養物を細胞の90%がスフェロプラストになるまで(通常15 〜20分)30℃でインキュベートした。細胞を STC(1Mソルビトール、10mM Tri s(pH7.5)、10mM CaCl2)で二回洗浄し、2.5×108/mlの濃度でSTCに再懸濁さ せた。 2.E14TG2a ES細胞の培養 HPRTに陰性のES細胞系E14TG2aを、Kollerら、PNAS(1989)86:8932-8935に 記載されているようにして、マイトマイシンCで処理した胚繊維芽細胞フィーダ ー層上で培養した。 3.ES細胞と酵母スフェロプラストの融合 ゼラチンをコートしたシャーレ上で生育している対数増殖期のE14TG2a ES細 胞をトリプシン処理し、無血清DMEMで三回洗浄した。2.8×108個のスフェロ プラストのペレットを、この酵母ペレット上に遠沈させた5×106個のES細胞で 注意深く重層した。この組み合わせたペレットを、10mMのCaCl2を含有する50% ポリエチレングリコール(PEG)1500または50%のPEG4000(Boeringer Manheim)の いずれか0.5mLに再懸濁させた。室温または37℃で1.5分間インキュベーションし た後、無血清DMEM5mLをゆっくり加え、30分間細胞を室温に放置した。次いで、 細胞をペレット化し、(すでに記載した)ES細胞完全培地10mLに再懸濁させ、 フィーダー細胞でコートした100mmのプレート上で平板培養した。24時間後培 地を新しい培地と交換した。融合後48時間で、HAT (1×10-4Mヒポキサンチン 、4×10-7Mアミノプテリン、1.6×10-5チミジンを含有するES培地)選抜を 行なった。融合から7〜10日後、使用した異なる融合条件のもの両方でHAT 耐性 のESコロニーが観察された。yHPRT-ES(「ESY 」)融合コロニーを取り、フィ ーダーをコートしたウェル上で平板培養し、さらに分析するために増殖させた。 4.yHPRT-ES 融合コロニーに組込まれたYAC DNAの分析 23個のyHPRT-ES融合コロニーから抽出したDNAをHindIII で消化し、プロ ーブとしてヒト反復Alu 配列(A)、右(B)と左(C)のYAC ベクターアーム に対するpBR322特異的配列、酵母Ty反復配列(D)、酵母単一コピー遺伝子LY S2(E)を用いてサザンブロット分析にかけた(図1)。ヒトHPRTプローブ、す なわち1.6kbの完全長cDNA [Jolly ら、Proc .Natl.Acad.Sci.USA80:477-481 (1983)]を用いてESYクローン中のヒトHPRTの存在を確認した。Alu プローブ はpBP63A中のBLUR8 Alu要素に由来する300bpのBamHI断片である[Pavanら、Pro c .Natl.Acad.Sci. USA 78:1300-1304(1990)]。右と左のベクターアーム プローブは、pYAC 4中のベクター配列に対応するpBR322由来BamHI-PvuIIの1.7 kbおよび2.7kbのそれぞれの断片である(スキームa、b)[Burkeら、Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology,Methods in Enzymology,GuthrieとF ink編、Adademic Press,194:251-270(1991)]。この右アームプローブで検出さ れた4.5kbの断片は、テロメア5'端にあるHindIII 部位とヒト挿入物内の最初のH indIII 部位との間の領域を含んでいる(スキームa)。左端プローブによって 検出された3kbと4.1kbの断片は、それぞれ、テロメア端にあるHindIII 部位と 酵母配列の5'側にあるHindIII 部位との間の領域、および動原体の3側にあるHin dIII 部位からヒト挿入物内にわたる領域に相当する(スキームb)。これらふ たつのバンドのハイブリダイゼーション強度の違いはこれらの断片とプローブと の間の相同性の程度の違いに関連している。酵母のTy反復プローブ[Philipps enら、Gene Expression in Yeast,Proceedings of the Alko Yeast Symposium ,Helsinki,KorholaとVaisanen編、Foundation for Biotechnical and Industr ial Fermentation Research,1:189-200(1983)]は、ふたつの要素間の相同性に よりTy2の3のHindIII 断片も検出できるTy1を含有するpJEF742から単離さ れた5.6kbのXhoI断片である。LYS2遺伝子プローブはpLUSに由来する1.7のBa mHI断片である[Hermansonら、Nuc .Acids.Res.19:4943±4948(1991)]。 ヒトHPRTプローブ(完全長1.6kbのcDNAプローブ)とのハイブリダイゼーショ ンによって、分析した全てのクローンが、ヒトHPRT遺伝子の、yHPRT YACと同じ 15kb、7kbおよび5kbのエキソン含有断片を含有していることが証明された。同 じブロットをヒト反復Alu 配列の300bpプローブを用いて再度プローブ検査した ところ、分析したクローンの全てが、yHPRT中に存在するAlu 含有断片の全部で はないとしてもほとんどを含有していることが示された(図1A)。これらのデ ータにより、分析したクローンのほとんどで、680kbのヒト挿入物はES細胞ゲ ノムに組込まれる際に検出できる程には再配列されていないかまたは削除されて いるということが示された。ベクターアームに特異的なプローブを用いてYAC ベ クター配列の組込みを試験した。4.5kbのHindIII 断片を検出する右YAC ベクタ ーアームに対するプローブを用いて同じブロットを再度ハイブリダイゼーション にかけたところ、分析した23個のクローンのうち10個で、テロメアまでの右YAC ア ームは依然として完全であって再配列されておらずヒト挿入物に結合しているこ とが示され(図1B)、これらのクローンでYAC が組込まれていることがさらに 証明された。左アームプローブでは、分析した20個のクローンのうち18個で3kb と4.1kbのHindIII yHPRT断片が検出され(図1C)、左アーム保持の頻度が高 いことが示された。 パルス場ゲル制限分析を用いて、ESYクローンにおけるyHPRTの構造的組込 みをふたつのクローン(ESY5-2および8-7 )についてさらに評価した。yHPRTを 担持する酵母において、315kb(Alu 、左アーム)、145kb(Alu 、HPRT)、95kb (Alu 、右アーム)、70kbおよび50kb(Alu のみ)の概そのサイズを有する5個 のSfi断片が異なるプローブによって規定されていた。ESクローンの両方で、 内部のHPRTおよびAlu 特異的断片はyHPRT断片にサイズが似ていた。両方のクロ ーンで検出された末端断片は、マウス染色体内に組込まれたYAC に対して期待さ れた通り、yHPRT中のものより大きかった(両方のクローンに対して、右端断片 でそれぞれ185kbと200kb、左端断片で800kb以上)。これらのデータは、Alu プロ フィールと共に、これらのクローンにおけるYAC の構造的組込みの保持に関する 追加の証拠を提供する。これらの研究は、ESY8-7(図2A、B)およびESY 8-6 中期染色体の展開に対して行なった螢光in situハイブリダイゼーション(ヒト 配列に対して単一の組込み部位が検出された)によって補足された。代表的な中 期展開の顕微鏡写真(図2A、B、C)または間期核の顕微鏡写真(図2D)は 、ビオチン化したヒトゲノム配列とハイブリダイズしたESY8−7細胞(図2 A、B)と、ビオチニル化した酵母反復DNA配列とハイブリダイズしたESY 8- 6細胞(図2C、D)である。ヒトプローブはヒトゲノム胎盤DNA(Clontech ,Palo Alto,CA)から作成した。酵母プローブは、酵母の反復要素、delta[pd elta6の1.08kb Sau3A断片(Gafnerら、EMBO J .2:583-591(1983))]およびT y[p29の1.35kb EcoRI-SaII断片(Hermansonら、Nuc .Acids.Res.19:494 3-4948(1991))]、rDNA[4.6kbのBgIIIk-A L90と4.4kbのBgIII-B L92断 片(KeilとRoeder、Cell 39:377-386(1984))]ならびにYテロメア要素[p19 8の2.0kbと1.5kbのBgIII-HindIII断片(ChanとTye、Cell 33:563-573(1983)) ]をコードしているDNA断片の混合物から生成した。染色体中期展開上の配 列とビオチン化したプローブとのハイブリダイゼーションおよびアビジン−FITC による検出とその後のビオチン‐抗アビジンおよびアビジン−FITC増幅は、Zeis s axiophot顕微鏡を用いて、TraskとPinkel、Methods Cell Biol .30:383-400(1 990)に記載されているようにして行なった。染色体はヨウ化プロピジウムで対比 染色した。示した顕微鏡写真は、ヒトまたは酵母のプローブを用いて実施した3 つの別個の実験で走査した95%の中期展開または間期核の代表例である。ヒト配 列に対して単一の組込み部位が検出された。 ESY クローン中の酵母ゲノムDNA配列の存在を検出するために、同じブロッ トを酵母のTy反復要素配列でもプローブ検査した(図1D)。いくつかのクロ ーンは親の酵母株に存在するTy含有断片のほとんどを含有していることが見出 されたが、いくつかのクローンはTy含有断片を全く含まないわけではないが、 非常に小さい断片のみを有することが見出された。これらの結果は、いくつかの ESクローンでYAC のDNAはそのまま組込まれるが、酵母のゲノムDNAがほ とんど組込まれなかったか、またはまったく組込まれなかったことを示している 。この酵母染色体DNAがES細胞ゲノム内の単一部位または複数部位に組込ま れたか否かを決定するために、完全なTyプロファイルを有するESY クローン8- 6について螢光in situハイブリダイゼーションを実施した。組合わせた酵母反復 プローブを用いて単一の組込み部位が検出された(図2C、D)が、これは分解 能の限界内で全ての酵母DNA断片がひとつのブロックに組込まれることを示し ている。 ES細胞のin vitroで整然と分化する能力を利用して、YAC の安定性と組込ま れたDNAがES細胞の多分化能に及ぼす影響を検討した。異なる量の酵母DN Aを含有する4つのESクローン(ESY5-2、3-6、8-6および8-7)は、融合して ないES細胞の分化パターンと区別できない分化パターン、すなわち各種分化細 胞タイプを生成する組織胚様体の形成を示した(図3A)。分化したESY5-2、3- 6、8-5および8-6から抽出したDNA(20μg)およびAB1380中のyHPRT(40n g)に対して、(a)ヒトAlu プローブ、(b)酵母Ty配列を用いてサザンブ ロット分析を行なった。ESクローンをMartinとEvans、Cell 6:467-474(1975) に記載されているようにして10〜14日間懸濁液中の凝集体として培養する ことによって誘導して組織胚様体を形成させた。ESY に由来する組織胚様体は、 組織培養基層に再付着した後、分化した細胞タイプを生成した。YAC と酵母DN A配列は非選択培地における40日間の培養中分化したESクローンによって安 定に保持されていた。このことは、安定に組込まれた外来DNAがES細胞の多 分化能を損なわないということを立証している(図3B)。HAT 選択培地に移し たときの正常な増殖と分化によって示されるようにこの分化した培養物は機能性 のヒトHPRT遺伝子を維持していた。 5.yHPRT−ES細胞系からのキメラマウスの作成 マウスの胚盤胞中にES細胞をマイクロインジェクションしキメラマウスを作 製することによって、生殖系を含めてESY 細胞のマウスを再増殖する能力を立証 した。ESY 細胞をC57BL/6Jマウス胚盤胞中にマイクロインジェクションによって 微量注入し、すでに記載されているようにしてキメラマウスを作成した。雄のキ メラをC57BL/6J雌と交尾させ、アグーチ(agouti、縞模様)の子の存在によって 生殖系列伝達を確認した。このキメラマウスの尾から調製したゲノムDNAを、 マウスゲノム中のyHPRT DNAの存在に関してPCR分析によって分析した。 YAC 左アームの存在は2つのプライマーオリゴヌクレオチド および を用いて分析した。これらのプライマーはそれぞれpBR322配列およびYAC 左ベク ターアーム内のSUP4遺伝子から誘導されたものである。yHPRTを含有する酵 母とESY 細胞系の分析によって259bp のPCR産物を得た。ESY 細胞系ESY3-1、 ESY3-6およびESY5-2から発生した18匹のキメラマウスから調製した尾のDNAの PCR分析では期待されたPCR産物が生じた。すなわち、キメラマウスのゲノ ム内にYAC 左ベクターアームが存在していることが示された。 6.yHPRTの生殖系伝達 生殖系の伝達の評価のため、すなわち遺伝子改変が生殖細胞(精子または卵母 細胞)を介して動物の子孫に伝えられるか否かを決定するために、ESY 細胞系ES Y3-1およびESY5-2から誘導した30〜60%の混合表皮色(coat color chimerism)を 有する雄のキメラを交尾用にセットアップした。ESY3-1に由来する雄のキメラの うちの3匹394/95-1、394/95-2および411-1 がそれぞれ20%、30%および30%の 頻度でES細胞ゲノムをその子に伝達した。アグーチ(縞模様)の子から得た尾 DNAのサザンブロット分析によって、394/395-2 キメラに由来する3匹のマウ ス4-2 、4-3 および5-1 のゲノムにyHPRTが存在することが示された。このよう な分析で得られたAlu プロファイルは親のES3−1細胞系と区別できなかった (図3C)。これは680kb のヒト挿入物がマウスの生殖系を介して正確に伝達さ れたことを示している。 yHPRTを含有する子に由来するmRNAから誘導されたcDNAに対するヒト HPRT特異的PCRアッセイを用いて試験した全ての組織でヒトHPRT遺伝子の発現 が検出された(図4AおよびB)。すなわち伝達されたYAC が忠実にその機能を 保持していることが立証された。この実験では、ES細胞、ESY3-1細胞およびHu t78 (ヒト)細胞において、対照マウス(C)からの脾臓および肝臓、または4- 3 アグーチの子(394/395-2 キメラに由来)において、および鋳型DNAを含有 しないサンプルにおいて、逆転写(RT)−PCRによってヒトHPRT mRNAが検 出された(図4Aで「−」として示されている)。ポリ(A+)RNAの逆転写 と特異的cDNA配列のPCR増幅はcDNAサイクルキット(Invitrogen)を 用いて実施した。ヒトHPRT cDNAに由来する626bp 断片のマウスHPRTcDN Aの存在下における特異的増幅はHuxleyら、上掲に概略が記載されているように して実施した。すべてのRNAサンプルの組込みはマウスγ−インターフェロン レセプターに対するcDNAのPCR増幅によって立証された。359bp 断片を増 幅するのに使用したプライマーは5'GTATGTGGAGCATAACCGGAGおよび5'CAGGTTTTGTC TCTAACGTGGである。このヒトHPRTおよびγ−インターフェロンレセプタープライ マーはゲノムDNAの混入によるPCR産物が得られる確率がなくなるように設 計した。PCR産物を電気泳動によって分析し、臭化エチジウムで可視化した。 サイズマーカーは1kbのラダー(ladder)(BRL)である。上記したRT−PCRに よるマウスγ−インターフェロンレセプターmRNAの検出の結果を図4Bに示 す。この特異的ヒトHPRT mRNAは4-3 マウスから誘導された試験した他の組織( 脳、腎臓および心臓)でも検出された。yHPRTを含有する子孫の肝臓で同等な定 常状態レベルのマウスおよびヒトHPRT mRNAが検出された。これらの結果は 、13メガ塩基もの酵母ゲノムDNAの取込みが、適正な発生、生殖系の伝達また は遺伝子発現に対して害にならないということを示している。 以上の結果は、酵母スフェロプラストが単一コピーの高分子量DNA断片をE S細胞に送達するのに有効なベヒクルであること、およびそのような分子がマウ ス生殖系を介して安定かつ機能的に伝達されることを証明している。いくつかの ESクローンに関してPFGE分析およびin situハイブリダイゼーションによ って補足されたAlu プロファイルは、大部分のクローンがヒト挿入物のほとんど 全てを未再配列形態で(すなわち「生殖系の配置」で)含有しており、しかも高 い頻度(40%)のクローンがYAC アームを両方とも保持していることを強く示唆 している。酵母ゲノムDNAを実質的に取込むことは、in vitroおよびin vivo においてES細胞の適正な分化に有害ではなく、生殖系の伝達または遺伝子の発 現を妨げなかった。これらの方法を用いてゲノムDNAの大きい断片を挿入物と してヒトでない動物のゲノムに伝達することが可能である。この場合、その挿入 物は生殖系の伝達によって完全なまま伝達することができる。したがって、各種 の異種DNAを、新規な表現型または新規な遺伝子型を付与し得る哺乳類などの ヒトでない宿主、特に小さい実験動物に導入することができる。たとえば、小さ い実験動物にヒトなどの哺乳類の遺伝子を導入して病気の原因、広範な各種薬剤 に対するヒト遺伝子の応答を研究することができる。あるいは、大きい遺伝子座 を哺乳類宿主に導入して他の種(たとえばヒト)の産物を産生させ、イムノグロ ブリン、T細胞レセプター、主要組織適合遺伝子複合体抗原などを提供すること ができる。重鎖YAC A287-C10およびκ鎖YAC A80-C のES細胞および胚への導入 前述のようにして、pLUTO (yA287-C10)でターゲティングしたヒト重鎖YAC A287-C10 を含有する酵母をスフェロプラストにし、HPRTを欠くES細胞系E14. 1TG3B1 と融合させた。HAT 耐性ES(ESY )クローンを10個(2B、2C、2D、3A 、 3B、5C、1125A、1125E、100/1500および100/4000)取り、DNA分析のため増殖 させた。 前述したE、JH、μおよびVH2領域に対するヒト重鎖プローブを用いて、 前記のクローンからHindIII 消化したDNAのサザンブロット分析を実施するこ とによって、組込まれたYAC を評価した。全てのESY クローンが期待された>10 kbのJH断片とμ断片を含有していることが見出された。2Dと5Cクローンを 除く全てのESY クローンが、4.8kb のVHの2kb断片を含有していることが見出 された。2Dと3Bを除く全てのESY クローンが期待された10kbと7.6kb のD遺 伝子断片を含有していることが見出された。2B、2D、100/1500および5Cを除く全 てのESYクローンで酵母反復Ty要素に対するハイブリダイゼーションによって 酵母ゲノム配列が検出された。ESY クローン2B、3Aおよび5Cを前述のようにして C57BL/6 胚盤胞に微量注入し、キメラマウス(2Bクローンから10匹、3Aクローン から1匹、そして5Cクローンから1匹)を作製した。これらのキメラ動物の10匹 から得た尾のDNAのサザンブロット分析により、酵母中のyA287-C10において 10個のAlu 断片の全部ではないがほとんどで存在することがはっきりと検出され 、VH2 およびD遺伝子断片の存在が示された。生成したキメラマウスを生殖系 列伝達の評価のためにC57BL16Jマウスと交尾させた。2Bクローンから誘導され た雄のキメラ78K-3は100 %の頻度でES細胞ゲノムをその子に伝達した。アグ ーチのマウスの子6匹のうちの4匹から得た尾DNAのサザンブロット分析によ りヒト重鎖配列の存在が示された。 pLUTO (yA80-C7)でターゲティングしたヒトκ鎖YAC A80-C7を含有する酵母 とE14.1TG3B1 ES細胞との融合実験によって、2つのHAT 耐性ESY クローンM 4.4.1 およびM5.2.1 が生成した。これらのクローンからHindIII 消化したDN Aのサザンブロット分析により、酵母中のyA80-C7において、検出される明白に 10個のAlu 断片の全てが存在していることが示された。どちらのクローンにも酵 母のゲノム配列が組込まれていた。ESY クローンをC57BL/6J胚盤胞に微量注入し キメラマウスを作成した。 実施例3 トランスジェニックマウスの交配育種 A.ヒトモノクローナル抗体を産生するマウスの作成 ヒトイムノグロブリン遺伝子座を含有するマウスを、不活化されたマウスイム ノグロブリン遺伝子をもつマウスと交配してヒト抗体のみを産生するマウスを作 製した。不活性なマウスのκ鎖およびH鎖イムノグロブリンに対しては同形接合 体であってヒトのH鎖およびκ鎖イムノグロブリン遺伝子座に対しては異形接合 体であるマウスを作製するには、4つの異形株から出発して3世代の育種が必要 である。交配のスキームを図5に示す。 実施例4 ヒトモノクローナル抗体の産生 A.マウスの免疫 イムノグロブリン遺伝子座に由来するヒトDNAが組込まれた生殖系キメラマ ウスを、アジュバント中の抗原を注射することによって免疫する。一次免疫の1 4日後マウスを抗原で追加免疫し、35日後と56日後に追加免疫を繰り返した。免 疫した動物から採血して、免疫抗原に対する血清抗体の力価を試験した。最も高 い力価をもつマウスを屠殺し脾臓を取出した。 B.脾臓細胞の融合 脾臓細胞の融合相手として使用する骨髄腫細胞は融合の6日前に解凍し、組織 培養で増殖させる。融合の1日前5×105個/mL の濃度で10%牛胎児血清を含有 する新鮮な培地中で細胞を分離する。融合の朝、細胞を20%牛胎児血清と2×O PI(3mg/mL オキサロ酢酸、0.1mg/mLピルビン酸ナトリウムおよび0.4 IU/mL インシュリン)溶液を添加した等容量の培地で希釈する。 マウスを屠殺した後脾臓を無菌抽出し、培地の入ったシャーレに入れた。脾臓 が細かい破片に分かれ、ほとんどの細胞が除かれるまで細胞を細かく裂いた。細 胞を新鮮な無菌培地で洗浄し、塊を沈殿させた。 脾臓細胞を無血清培地中で遠心分離することによってさらに二回洗浄した。二 回目の洗浄の間に、別のチューブで骨髄腫細胞も洗浄した。最終洗浄後2つの細 胞ペレットを合わせ、一緒に一回遠心分離した。 50%ポリエチレングリコール(PEG )の溶液を、合計で2分かけて細胞ペレッ トにゆっくり加えつつ細胞を再懸濁させる。ゆっくり掻き混ぜながら3分かけて 細胞溶液にあらかじめ暖めた培地を10mL加えた。細胞を遠心分離し、上清を除い た。20%の牛胎児血清、1×OPI溶液および1×AH溶液(58μMアザセリン 、0.1 mMヒポキサンチン)を添加した培地10mLに細胞を再懸濁させた。融合した 細胞を96ウェルのプレートに分け取り、37°で1週間培養した。 各ウェルから上清を無菌的に採取し、プールした。これらのプールを免疫抗原 に対する反応性に関して試験する。陽性のプールを個々のウェルに対してさらに 試験する。陽性のウェルを同定したら、細胞を96ウェルプレートから、20%牛胎 児血清、1×OPIおよび1×AHを添加した培地0.5mL を入れた24ウェルプレ ート中に移した。培養物が密になったら細胞を5mLに拡散させ、次いで10mLに拡 散させた。この段階で、単一の抗体産生細胞が培養されるように、細胞をサブク ローニングした。 上記手順に従って免疫して、免疫原に対して特異的なヒト抗体または類似体を 産生することができるキメラ非ヒト宿主、特にマウス宿主を作製することができ る。このようにして、ヒトモノクローナル抗体を得る際に伴なう問題が回避され る。すなわち、トランスジェニック宿主は、ヒト宿主では使用できなかった免疫 原で免疫することができるからである。さらに、ヒト宿主では許容できなかった ブースター注射およびアジュバントも許容されるはずである。得られたB細胞は その後、所望の抗体を連続的に生産するように不死化するのに使用してもよい。 不死化した細胞は、イムノグロブリンまたは類似体をコードする遺伝子の単離に 使用することができ、抗体の性質を改良するためのin vitro突然変異誘発その他 の技術のような方法によってさらに分子改変することができる。これらの改変し た遺伝子は、次いで、トランスフェクションによって不死化細胞に戻して所望の 抗体の連続哺乳細胞源を提供することができる。本発明は、ヒト宿主中で抗体が 産生されるのと類似の機構で産生されるヒト抗体の便利なソースを提供する。こ の動物宿主細胞は便利なことに、ヒト抗体産生用に宿主細胞におけるヒトDNA の活性化と再配列とを提供する。 本発明によると、ヒト免疫原で宿主哺乳類を免疫することによって、ヒト免疫 原、たとえばタンパク質に対するヒト抗体を生産することができる。得られる抗 血清はヒト免疫原に対して特異的であり、宿主の血清から採集することができる 。免疫された宿主B細胞は不死化、たとえば骨髄腫細胞融合、トランスフェクシ ョンなどに使用して不死細胞、たとえばハイブリドーマを製造してモノクローナ ル抗体を生産することができる。抗体、抗血清およびモノクローナル抗体はその 抗体を産生する細胞の種に応じてグリコシル化される。Ig遺伝子座の変化の少 ない領域は抗体を産生するのに再び補充して、変化の少ない可変領域を有する抗 体を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 グリーン,ラリー アメリカ合衆国 94131 カリフォルニア 州 サンフランシスコ,クレストライン ドライブ #12 70

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 所望のゲノム成分を含有する非形質転換動物細胞を所定の培地条件に対 して感受性の形質転換細胞系の細胞と融合させて得られる所望のゲノム成分を含 有する融合細胞のコロニーの割合を増加させる方法であって、 形質転換細胞系の細胞の培地条件に対する感受性を克服するマーカーを有する 前記所望のゲノム成分を提供する工程と 融合を促進する条件下で前記非形質転換動物細胞を前記形質転換細胞系の細胞 と混合して融合混合物を得る工程と、 この融合混合物を前記所定の培地条件下で培養することによって融合細胞コロ ニーを選択する工程と、 前記所望のゲノム成分の存在に関してうまく融合したコロニーをスクリーニン グする工程とを有する方法。 2. 前記マーカーがHPRTであり、前記培地条件がHAT 培地からなる、請求項 1記載の方法。 3. 前記マーカーがネオマイシン耐性遺伝子であり、前記培地条件がG418の 存在を含むことからなる、請求項1記載の方法。 4. 前記所望のゲノム成分が、一方が重鎖で他方が軽鎖である一対のイムノ グロブリン遺伝子座であり、非形質転換細胞がB細胞である、請求項1記載の方 法。 5. 前記一対のイムノグロブリン遺伝子座を発現させて標的抗原と免疫反応 性である抗体を産生する、請求項4記載の方法。 6. 前記形質転換細胞系が骨髄腫細胞系である、請求項1記載の方法。 7. 前記融合を促進する条件がポリエチレングリコールの存在からなる、請 求項1記載の方法。 8. 所望のゲノム成分を含有する非形質転換動物細胞を所定の培地条件に対 して感受性の形質転換細胞系の細胞と融合させて得られる所望のゲノム成分を含 有する融合細胞のコロニーを得る改良された方法であって、前記方法は 融合を促進する条件下で前記非形質転換動物細胞を前記形質転換細胞系の細胞 と混合して融合混合物を得る工程と、 この融合混合物を前記所定の培地条件下で培養することによって融合細胞コロ ニーを選択する工程と、 前記所望のゲノム成分の存在に関して上首尾なコロニーをスクリーニングする 工程とからなり、 前記改良された方法が、形質転換細胞系の細胞の培地条件に対する感受性を克 服するマーカーを有する前記所望のゲノム成分を提供する工程からなる改良され た方法。 9. 前記マーカーがHPRTであり、前記培地条件がHAT 培地からなる、請求項 8記載の改良された方法。 10. 前記マーカーがネオマイシン耐性遺伝子であり、前記培地条件がG418 の存在を含むことからなる、請求項8記載の改良された方法。 11. 前記所望のゲノム成分が、一方が重鎖で他方が軽鎖である一対のイム ノグロブリン遺伝子座であり、非形質転換細胞がB細胞である、請求項8記載の 改良された方法。 12. 一対のイムノグロブリン遺伝子座を発現させて標的抗原と免疫反応性 である抗体を産生する、請求項11記載の改良された方法。 13. 形質転換細胞系が骨髄腫細胞系である、請求項8記載の改良された方 法。 14. 前記融合を促進する条件がポリエチレングリコールの存在からなる、 請求項8記載の改良された方法。
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