JPH10509431A - 表面活性物質の分泌不足に関連する肺疾患の治療法 - Google Patents

表面活性物質の分泌不足に関連する肺疾患の治療法

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JPH10509431A JP8513975A JP51397596A JPH10509431A JP H10509431 A JPH10509431 A JP H10509431A JP 8513975 A JP8513975 A JP 8513975A JP 51397596 A JP51397596 A JP 51397596A JP H10509431 A JPH10509431 A JP H10509431A
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Abstract

(57)【要約】 II型肺胞細胞による界面活性剤分泌阻害に関連した肺の症状を呈する患者の症状の治療法および該治療用の組成物を開示する。この治療法では、II型肺胞細胞導管表面の微細環境中の液状流体のpHを上昇させる効果のある、一定量のpH−上昇緩衝剤を患者に吸入させて、II型肺胞細胞による界面活性剤分泌率を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】 表面活性物質の分泌不足に関連する肺疾患の治療法 本発明は、表面活性物質の分泌不足に関連する肺疾患症状の治療法である。 発明の背景 哺乳動物の肺による効果的なガス交換は、肺の上皮を包む液状流体の量及び粘 度など、いくつかの要因に依存している。そして、液状流体のこのような物理的 特性は、肺胞上皮細胞、特にII型肺胞細胞の適切な機能に依存する。II型細 胞は、表面活性物質(燐脂質、主にレシチンとスフィンゴミエリンの混合物)の 分泌を司る細胞である。この表面活性物質が、肺胞を包む液状流体の表面張力を 弱め、肺組織の弾性特性を高める。 嚢胞性線維症は、肺胞の換気及び酸素と二酸化炭素の交換を損なわせる濃厚な 粘液性分泌物の蓄積に関連する肺疾患の一例である。嚢胞性線維症とは、膵臓、 小腸、汗腺及び気管の上皮における不完全な流体分泌を特徴とする常染色体劣性 遺伝子障害である。嚢胞性線維症の原因とされている遺伝子は、トランスメンブ レン伝達調節因子(transmembrane conductance regulator)として特定された タンパク質をコードする。(Riordan et al.,Science 245:1066-1072,1989; K erem et al.,Science 245:1073-1080,1989)。このタンパク質は、気道上皮細 胞のアニオンチャネルの機能に貢献しているようである(Liedtke,FASED 6:307 6-3084,1992)。このアニオンチャネルは、一般にCl-チャネルと識別され、 他のイオンを分泌するチャネルとしても機能する(Smith and Welsh,J.Clin.In vest.89:1148-1153,1992; Kunzelmann et al.Pflugers Arch.417:616-621, 1991)。 肺内の濃厚な粘液蓄積に関連する嚢胞性線維症及び他の疾患に伴う肺の症状は 、通常、呼吸治療法(モダリティー)によって治療される。呼吸治療法は、分泌 液を流動化させるためのもので、規則的な振動(regular percussion)及び体位 排 液(postural draining)を含む。粘液すなわち酸素性消化タンパク質、核酸、 またはその他の粘液組成物を融解する様々な治療エアゾールが、当該技術分野に おいて周知である(米国特許第2,905,589号、第5,279,823号 、 WO 93/03709, Lourenco and Cotroman es, Arch. INtern. Med. 142:2299−2308 ,1982参照のこと)。 発明の概要 本発明は、特定の疾患状態を特徴とする肺機能不全が、一般にII型肺胞細胞 によって生成される表面活性物質及び他の分泌分子の分泌阻害に起因するという 発見にもとづく。このような分泌阻害は、肺胞の微環境中の先端表面(apical s urface)におけるpHが異常に低いために起こるエンドサイトーシスとエキソサ イトーシスとの不連係が原因であるとされている。II型肺胞細胞の先端表面を 包む液状流体のpHが異常に低いと、II型細胞内のメンブレン交換率が通常に 比べて全体的に減少することが知られている。具体的には、II型の肺胞細胞付 近でpHが異常に低いと、プラズマメンブレンの先端における細胞外膜メンブレ ン(exocytic membranes)の細胞内循環、すなわち細胞内の先端エンドサイトー シス(apical endocytosis)の際に通常発生するプロセスに欠陥が生じる。エン ドサイトーシスに障害があると、分泌のプロセスも全体として損なわれ、その結 果、エキソサイトーシスに用いられるメンブレンレベルが著しく減少する。エキ ソサイトーシスに欠陥が生じると、II型肺胞細胞による分泌、特に表面活性物 質及び肺機能に重要な他の分子の分泌が阻害される。表面活性物質の分泌がこの ように減少すると、肺胞空間の管腔面を包む液状被膜の表面張力が高まり、肺組 織の弾性特性が弱まり、これに伴って肺胞内のガス交換率が減少し、肺機能が全 体的に低下する。さらに、肺胞管腔付近においてpHが異常に低いことにより、 分泌物の可溶性が弱まる。この結果、患者は呼吸障害及び効率の悪いガス交換な どの肺疾患の症状を患うことになる。 一般に、本発明は、表面活性物質の分泌不足に関連する肺疾患を有する患者の 症状を治療する方法を特徴とする。より特定的には、肺のII型肺胞細胞の管腔 表面を浸す液状流体のpHが異常に低いことに起因するエンドサイトーシスの異 常な抑制(及び、これに伴うエキソサイトーシス及び表面活性物質分泌の抑制) に起因する肺の症状を、請求の範囲に記載された方法により治療する。本発明に よる治療は、次のように行う。すなわち、II型肺胞細胞の管腔微環境における 液状流体のpHを高めるのに効果的な量のpH−上昇緩衝剤(pH-raising buffe r)を患者に吸引させ、小胞のメンブレン交換のレベルを高めるとともにII型 肺胞細胞による表面活性物質の分泌率を高める。この結果、肺疾患の症状は緩和 され、肺の機能不全が軽減する。 好ましくは、患者の吸引するpH−上昇緩衝剤の有効量は、液状被膜のpHを 例えば少なくとも0.1pH単位、すなわち、約pH6.1からpH8.5単位 の間、例えば約pH7.0単位まで上昇させるのに十分な量である。目標pH値 は、約6.2以上、好ましくは約6.4以上、より好ましくは少なくとも6.6 であり、より好ましくは少なくとも6.8であり、さらに好ましくは少なくとも 約7.0以上、最も好ましいのは7.1から8.5(例えば約7.2から8.0 の間)である。一般的な目標pH値は、pH7.0,7.5,または8.0であ る。pH−上昇緩衝剤は、水溶液のエアゾールまたは吸引可能な乾燥粉末として 吸引させることができる。好ましくは、このpH−上昇化合物は、炭酸水素塩で あるが、他のアルカリ性緩衝剤を使用してもよい。 本発明は、さらに、患者のII型肺胞細胞による表面活性物質の分泌不足に関 連する肺疾患症状を治療するための吸入可能な乾燥粉末組成物を特徴とする。こ の乾燥粉末組成物は、II型肺胞細胞の管腔表面を包む液状流体のpHを少なく とも0.1pH単位上昇させるのに十分な量のpH−上昇緩衝化合物からなる。 この組成物の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%が、直径10μm 以下(例えば0.1から6μm)の主要粒子)で構成される。この乾燥粉末の重 量の少なくとも5%(好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも 20%、さらに好ましくは少なくとも50%で最も好ましくは少なくとも80% )から100%を、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、または他の アルカリ金属炭酸水素塩である緩衝化合物で構成することができる。pH−上昇 緩 衝化合物を肺胞内またはその入り口で最大限沈着するように、乾燥粉末の粒子は 、患者の気道に入る地点で直径が10μm以下でなければならない。なお、この 乾燥粉末を複数の主要粒子からなる塊に形成し、適当な吸入器から患者に吸入さ れた際に標準的な手段によりこの塊が分解するようにしてもよい。 本発明のさらなる態様は、管腔のpHの乱れ及びこれに伴うII型肺胞細胞に おけるメンブレン交換の阻害に起因する表面活性物質の分泌不足に関連する肺疾 患症状を治療するためのエアゾール組成物に向けられる。エアゾール組成物は、 少なくとも2.5%(重量比)(より好ましくは3%から10%の間で、最も好 ましくは少なくとも重量の約5%)のpH−上昇緩衝合成物で構成される、吸入 に適した水溶液からなる。喉や上部気道でなく肺胞での沈着が最大限になるよう に、エアゾール水滴の直径は、10μm以下でなければならない。好ましくは、 緩衝化合物は、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、または他のアル カリ金属炭酸水素塩などの形で炭酸水素イオンを含む。 本発明は、さらに、本発明による吸入可能な組成物(または薬剤)を投与する ための吸入装置を特徴とする。発明の一態様においては、吸引装置は乾燥粉末を 保有するチャンバを形成するハウジングを含む。乾燥粉末は所定量のpH−上昇 緩衝化合物からなる。この乾燥粉末の量は、投与時に、換気された患者の肺胞の 内部表面を包む液状被膜のpHを少なくとも0.1pH単位上昇させるのに有効 な量である。乾燥粉末の重量の少なくとも5%(好ましくは少なくとも10%、 より好ましくは少なくとも20%で、さらに好ましくは少なくとも50%、から 100%まで)は、pH−上昇緩衝化合物である。乾燥粉末の少なくとも50% (好ましくは少なくとも70%で、より好ましくは少なくとも90%)は、10 μm以下の直径を有する主要粒子で構成される。この主要粒子をより大きい粒子 または塊にまとめて、吸入器からの吸入時に直ちにもとの主要粒子に分解される ようにしてもよい。チャンバは、患者の吸引動作によって薬剤を吸い込むことの できる開口を有する。 本発明の別の態様においては、吸引装置は、吸入可能な薬剤を、加圧または液 化された推進ガスに分散させた水溶液として収容する容器を有する。この水溶液 の重量の少なくとも2.5%(好ましくは少なくとも3%、より好ましくは少な くとも4%、さらに好ましくは少なくとも5%で最も好ましくは6%から10% )は、pH−上昇緩衝化合物である。吸入器はさらに、前記容器を取り付けるポ ートを決定するハウジング、このポートに通じた導管、及び前記容器から導管へ 推進物を制御可能に放出する機構を有し、分散した薬剤を容器から導管へと送る 。この導管は、推進物内に分散した薬剤を患者の呼吸器系に導くように構成され ている。吸入器によって運ばれるpH−上昇薬剤のエアゾール滴の少なくとも5 0%は、好ましくは10μm以下の直径を有する。 「肺疾患」とは肺機能に影響を及ぼす疾患を意味する。このような疾患は、肺 機能に関連する遺伝子の欠陥(例えば、嚢胞性線維症)、喘息、アレルギー、免 疫性または自己免疫性障害、微生物感染症(例えば、細菌性、ウィルス性、菌性 、または寄生虫性の感染症)または肺への機械的な損傷によって起こる。特に問 題とされるのは、II型細胞付近においてpHが異常に低いことに起因するII 型肺胞細胞による表面活性物質の分泌不足に関連する肺疾患である。このような 肺疾患は、換気された肺胞の領域への炭酸水素塩またはその他の基本イオンの正 常な移送を損なわせることもある。あるいは、上記の肺疾患は、例えば、アレル ギー性及び炎症性の反応における免疫細胞の脱顆粒中に、酸性成分が肺に放出さ れることにも起因する。本発明によって想定される肺疾患の例としては以下のも のがある。すなわち、嚢胞性線維症、喘息性気管支炎、結核、気管支炎、気管支 拡張、咽頭気管支炎、細気管支炎、気腫、気管支肺炎、アレルギー性気管支肺炎 、ウィルス性肺炎、百日咳、ジフテリア、痙攣性年少小児咽頭気管気管支炎、肺 性ろう、遅延性分泌を伴う脳炎、及び肺浮腫である。負傷または手術(例えば気 管切開後)に伴う肺疾患、及び未成熟な幼児の肺における表面活性物質の分泌不 足に関連する肺疾患など、上記以外の肺疾患も本発明の対象である。さらに、本 発明による治療法の対象となる肺疾患は、微粒子物質の吸入に関わる活動(例え ば、喫煙、建設現場やその他の埃の多い地域での活動、微粒子の吸入を伴う職業 上の危険、環境的微粒子(例えば、スモッグ、花粉、アスベスト)の吸入、薬品 (例えば気管支拡張薬)の肺への吸入、またはコカインの吸入)の結果生じるこ ともある。 「肺疾患の症状」とは、上記いずれかの肺疾患に関連した症状を意味する。か かる肺疾患に関する典型的な症状には、咳、運動時の(exertional)呼吸困難、 ぜん息、胸部の痛み、及び化膿痰などがある。肺疾患の結果起こりうる他の症状 には、低酸素症、二酸化炭素性ナルコーシス、過換気、呼気量の減少、及び肺容 量の減少などがある。 「II型肺胞細胞」とは、表面活性物質の分泌をつかさどる肺胞の立方細胞( cuboidal cell)を意味する。 「表面活性物質」とは、燐脂質の混合物(主にレシチンとスフィンゴミエリン )、及びII型肺胞細胞によって分泌されるタンパク質及び未だ定義されない化 合物を意味する。表面活性物質は、肺流体(例えば肺胞を包む液状流体)の表面 張力を弱め、肺組織の弾性特性を高める。表面活性物質などのII型肺胞細胞の 分泌物は適切な肺機能には不可欠である。 「表面活性物質の不十分な分泌」とは、表面活性物質の分泌レベルが通常レベ ル以下であることを意味する。表面活性物質の分泌レベルが異常に低いと、肺胞 の管腔を包む液状被膜の表面張力が高まり、肺組織の弾性特性が弱まり、ガス交 換率が低減し、肺機能全体が低下する。 「液状流体」または「液状被膜」とは、肺上皮、特に肺胞上皮の先端表面を包 む肺流体を意味する。 「異常に低いpH」とは、肺を包む液状流体の通常のpH以下のpH値を意味 し、これによりII型肺胞細胞の先端表面におけるエンドサイトーシス率は低下 する。この結果、当該細胞内のメンブレン再循環率が低下し、さらにはこの細胞 のエキソサイトーシス率も低下する。このカスケード現象の二次的影響として、 表面活性物質の分泌が減少する。気管切開後の一般的被検者でテストしたヒトの 気管流体のpH値は、pH6.71から7.09であり、様々な肺疾患状態にあ る患者の場合には、6.10から7.9の間であることが知られている(ここに 参考として添付する、Guerrin et al.1971 Prog.Respir.Res.6:372-383参照 のこと)。 「II型肺胞細胞付近のpH」とは、II型肺胞細胞の管腔表面の微環境(す なわち、プラスマメンブレンの先端)、または管腔表面を直接包囲しこれに接触 する領域中のpHを意味する。II型肺胞細胞微環境とは、顕微鏡または細胞レ ベルの環境である。II型肺胞細胞付近のpHは、II型肺胞細胞の管腔表面を 包む液状流体のpHの測定により決定できる。あるいは、本発明によるpH−上 昇緩衝剤の投与による治療を行った前後の肺機能を観察することによって、II 型肺胞細胞付近における通常pHと異常に低いpHの割合を機能的に決定するこ ともできる。「pH−上昇緩衝剤」、「pH−上昇化合物」、「pH−上昇組成 物」、「pH−上昇薬剤」、または「薬剤」とは、溶液(例えば、肺胞の内部を 包む水溶液)と接触すると、このpH−上昇緩衝剤を投与する前の溶液のpH値 に比べて実質的にそのpHを上昇させる組成物を意味する。本発明によるpH− 上昇緩衝剤は、液状被膜のpHを少なくとも0.1pH単位上昇させるのに効果 的である。 「吸入装置」とは、本発明による吸入剤の投与に有用ないかなる装置をも意味 する。吸入装置の例としては、噴霧器、測量投与型吸入器(metered dose inhal er)、乾燥粉末吸入器、間欠式正圧力呼吸装置(intermittent positive pressu re breathing apparatuses)加湿器、気泡環境(bubble environments)、酸素 チャンバ、酸素マスク及び人工呼吸装置が含まれる。 図面の簡単な説明 図1は、ヒトの肺胞の概略図である。(例えば、嚢胞性線維症経膜コンダクタ ンスレギュレータを介した)通常の塩化物移送、(例えば、電気的中性アニオン 交換器を介した)塩化物と炭酸水素の交換、(表面活性物質を分泌する)II型 肺胞細胞の分泌顆粒のエキソサイトーシス、及びタイプI肺胞細胞メンブレンで の二酸化炭素と酸素の交換が示されている。 図2は、II型肺胞細胞の概略図である。pH依存メンブレン交換(エンドサ イトーシス及びエキソサイトーシス)の通常の処理サイクルが示されている。 図3は、エアゾール化された溶液に調製された本発明によるpH−上昇緩衝剤 組成物の投与に適した吸入装置の一例を示す図である。 図4は、吸入可能な乾燥粉末に調製された本発明によるpH−上昇緩衝剤組成 物の投与に適した吸入装置の一例を示す図である。 好適な実施形態の説明 本発明による方法及び組成物は、肺胞の微環境における異常に低い(酸性の) pHに関連する表面活性物質の分泌阻害に起因する肺疾患の治療に用いることが できる。本発明は、特にII型肺胞細胞付近における、換気された肺胞の管腔表 面を包む液状流体のpHを上昇させることにより、上記状態を治療する。かかる 治療は、pH−上昇緩衝化合物を含む組成物を患者に吸引させることにより行わ れる。pH−上昇緩衝化合物 pH−上昇緩衝化合物は、II型肺胞細胞の管腔表面付近の液状流体のpHを 上昇させるのに効果的な、生理学的に融和性のある緩衝化合物または化合物の混 合物のいずれでもよい。pH−上昇緩衝剤の例として、炭酸水素のアルカリ金属 塩、BIS−TRIS、プロパン、BES、MOPS、TES、HEPES、D IPSO、TAPSO、TRIZMA、HEPPSO、POPSO、EPPS、 TEA、Tricine、Bicine,CAPS、TAPS、二塩化リン酸ナ トリウム、二塩化リン酸カリウム、及びトリエタノールアミン(これらすべては 、ミズーリ州、セントルイスのシグマケミカルカンパニーから入手可能である) が含まれる。また、適当なpH値を有し、生物学的に融和性があり、アルカリ調 整された適当な緩衝剤を用いることもできる。好ましくは、pH−上昇緩衝剤は 炭酸水素イオンを含む。炭酸水素イオンは、アルカリ金属塩として、好ましくは 炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムとして、または炭酸水素ナトリウム と炭酸水素カリウムの混合物として、組成物中に存在する。治療対象の患者が、 複数の系の疾患、高血圧、または心臓病に罹っている場合、あるいはナトリウム イオンの供給が禁忌とされるその他の症状を有する場合には、炭酸水素カリウム のみ、あるいは炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムの混合物の使用が好まし い。調製 本発明のpH−上昇緩衝組成物は、吸入可能な乾燥粉末又は水溶液のエアゾー ルのいずれかの剤形として準備することができる。 pH−上昇組成物が乾燥粉末の場合、この粉末の重量の少なくとも5%(好ま しくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは 少なくとも50%、から100%まで)がpH−上昇緩衝化合物で構成される。 乾燥粉末は、適当な大きさ(好ましくは直径10μm以下)の主要粒子を生成す る微粉化処理など、標準的な方法によって準備される。乾燥粉末は、全体を緩衝 化合物で構成してもよいし、緩衝化合物と吸入に適した希釈剤との混合物で構成 してもよい。吸入に適した希釈剤は、例えば、ラクトース、マルトース、または 当該技術分野において吸入用の燥粉末希釈剤と同様に有用であると認められる生 理学的に許容可能な化合物などである。 pH−上昇組成物が水溶液のエアゾールである場合、該溶液の重量の2%以上 、通常は少なくとも2.5%、好ましくは約3%から10%、より好ましくは重 量の5%がpH−上昇緩衝化合物で構成される。pH−上昇緩衝化合物が炭酸水 素イオンを含んでいる場合、水溶液中の炭酸水素イオンの濃度は好ましくは0. 25Mから1.0Mである。 投与される組成物は、選択されたpH−上昇化合物を当該技術分野で周知の方 法によって、適当な希釈剤(例えば乾燥粉末希釈剤または液状希釈剤)中に混合 することにより準備できる。例えば、水溶液は、pH−上昇化合物を、適量の水 、生理食塩水、2分の1の濃度の生理食塩水、またはその他の適当な生理学的に 許容可能な賦形剤中に溶解させることにより準備される。この溶液を濾過し、密 閉された容器に入れ、(例えば121℃で15分間滅菌することによって)殺菌 する。 前記組成物を乾燥粉末として投与する場合には、好ましくは直径が10μm以 下の粒子から構成されるように、pH−上昇緩衝化合物を微粉化する。次に、こ のように微粉化されたpH−上昇緩衝化合物をラクトースなどの乾燥粉末希釈剤 と混合して適当な濃度のpH−上昇緩衝化合物が供給される。周知の方法により 、この混合物をカプセルに包むこともできる。このようなカプセルは、ROTO HALER(登録商標)乾燥粉末吸入装置で用いられるカプセルと同様、pH− 上 昇化合物の一回分の吸入量を投与するための便利な手段である。 当業者には理解されるように、ここで説明したpH−上昇調製剤は、pH−上 昇緩衝化合物と任意の希釈剤以外の要素を含むこともできる。例えば、上記組成 物は、浸透及び表面湿潤剤(例えば、オキシエチレン化された(oxyethylated) アルキルフェノールホルムアルデヒドポリマーを含むアルキルアリルポリエーテ ルアルコール)、水滴安定剤(例えば、グリセロール、プロピレングリコールま たは同様のポリヒドロキシアルコール)、泡止め剤(例えばシリコン)、分散剤 (例えば、オレイン酸、ソルビタントリレエート(sorbitan trioleate)、大豆 レシチン)、推進薬(トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタ ン、ジクロロテトラフルオロメタン)、着香剤及び/または吸入可能な乾燥粉末 またはエアゾール薬剤の準備に一般的に使用されるその他の薬剤を、含んでもよ い。本発明によるpH−上昇組成物は、周知の呼吸治療剤(例えば、人工表面活 性物質、抗菌剤、抗炎症化合物、またはヌクレアーゼ)を含むこともできる。あ るいは、本発明による治療方法を、周知の呼吸療法と組み合わせて実施してもよ い。 好適な推進剤、吸入装置の設計、及び担体におけるpH−上昇緩衝化合物の調 製は、一般的な吸入療法を考案する当業者の能力の範囲内で決定される。携帯用 吸入装置は、好ましくは、クロロフルオロカーボンなどの推進剤中にあるいはp H−上昇緩衝化合物のエアゾールを供給する別の任意の手段中に分散させたpH −上昇緩衝化合物のエアゾール組成物を保持するキャニスタを有してもよい。あ るいは、またはこれに加え、吸入装置は以下のいずれかの形でpH−上昇緩衝化 合物を含むことができる。すなわち、pH−上昇緩衝化合物は、乾燥させた状態 で推進剤と混合することもできるし、推進剤とは別にチャンバに保持することも できる、あるいは、適当な大きさの水滴を形成できる液状担体と混合されるかま たは吸引装置の技術において周知の他の構成に形成することもできる。現在まで に開発された複数タイプの吸入装置デザインが、例えば、米国特許第4,667 ,668号、4,592,348号、4,534,343号、及び4,852, 561号に開示されている。これらの特許はここに参考として添付する。他の吸 入装置のデザインが、Physicians' Desk Reference,47th Edition,Edward R. Ba rnhart,Publisher(1993)に開示されている。上記各吸入装置及び他のエアゾー ルタイプ吸入装置を、pH−上昇緩衝化合物の供給に適応させることができる。 また、ROTOHALER(登録商標)、SPINHALER(登録商標)、T URBUHALER(登録商標)、MONOHALER(登録商標)などのノン エアゾールタイプ吸入装置は、乾燥粉末状に調製されたpH−上昇緩衝化合物の 供給に有用である。吸入装置 図3は本発明の吸入療法を行うための吸入装置の一例である吸入装置10の断 面図である。吸入装置10は以下を含む。すなわち、ポート30を介して導管1 6と連通するチャンバ20を規定するハウジング14と、液化推進剤または圧縮 イナートガスに溶解したpH−上昇緩衝化合物を重量比で最低2.5%含む加圧 ガス、または固体もしくは液体pH−上昇緩衝化合物の懸濁液の少なくともどち らかを含み、チャンバ20にスライド可能に取り付けられる容器12と、容器1 2がその上に載置され、かつ導管16と連通するポート30と、容器12中の加 圧された内容物を導管16に制御可能に放出する加圧駆動型バルブ機構18と、 空気28はそこを通過してチャンバ内に入ることができるがチャンバの内容物は 出られないワンウェイバルブ24を備えた再通気チャンバ22とを含む。この装 置を使用するには、ハウジング14から突き出た容器12の上端部26を患者が 押して容器12をチャンバ20の中へ押し下げ、バルブ機構18を押圧する。こ うして容器12中の加圧された内容物を導管16を通って再通気チャンバ22へ 放出させる。患者は再通気チャンバ22の内容物の一部を吸入し、その吸入した 内容物の分量だけワンウェイバルブ24を通って空気28を再通気チャンバ22 へ取り入れる。容器12から再通気チャンバ22へ出される治療用薬剤の一回分 の用量を患者が十分に吸入するには呼吸動作を数回行わなければならないことも ある。この装置の総重量は200g未満なので簡単に持ち運びできる。 図4に示す他の吸入装置100は、吸入可能な乾燥粉末状に調製された本発明 のpH−上昇緩衝化合物の投与に使用される呼吸駆動型乾燥粉末吸入装置である 。ハウジング102は、吸入可能な乾燥粉末106として調製されたpH−上昇 緩 衝化合物の一回分の用量を含むチャンバ104を規定し、かつ、このチャンバ1 04と連通するマウスピース開端部108を含む。ハウジング102のマウスピ ース開端部108と反対の端部には、空気透過材110からなる部分が設けられ 、ハウジング102の開口112を覆う。空気114は開口112を覆う空気透 過材110を通って容易にチャンバ104へ取り入れられるが、粉末106はこ の開口112を通って装置から出ることはできない。患者はマウスピース開端部 108に口をつけて吸入し、これにより開口112を覆う空気透過材110を通 して空気114をチャンバ104へ取り入れる。チャンバ104内の空気114 の運動によって粉末106は移動中の空気114に分散され、吸気114と一緒 に粉末106は吸入される。患者の特定 II型肺胞細胞の導管表面周辺のpHが異常に低いことに起因する界面活性剤 の不十分な分泌に関連した肺の症状を呈する患者は、すべて本発明の方法によっ て治療可能である。液状流体のpHの低さは、遺伝障害(イオン輸送担当の蛋白 質の欠損など)、免疫反応(喘息など)、細菌感染、または肺の物理的外傷(手 術痕など)に起因する。 本発明の方法によって治療可能な特定の肺疾患には、嚢胞性線維症、喘息性気 管支炎、結核、気管支炎、気管支拡張、咽頭気管気管支炎、細気管支炎、気腫、 気管支肺炎、アレルギー性気管支肺炎、ウイルス性肺炎、百日咳、ジフテリア、 痙攣性年少小児咽頭気管気管支炎、肺性ろう、遅延性分泌を伴う脳炎、および肺 浮腫などがある。物理的外傷(手術痕など)のうちで、本発明に従って治療可能 な肺症状を生じる可能性のあるものは気管支切開による傷などである。また、未 成熟な幼児の肺における表面活性物質の不十分な分泌に関連した肺の症状も本発 明の方法によって治療可能である。これ以外にも、喫煙や特定の物質、例えば埃 りやアスベスト粒子などの長期間にわたる人工的(つまり機械的)吸入によって 引き起こされる肺の症状も、本発明の方法によって治療可能である。さらに、粒 子状物質(スモッグ、花粉、埃りなど)が多く含まれる環境で呼吸することによ って引き起こされる肺の症状も、本発明の方法によって治療可能である。好まし くは、治療すべき疾患は嚢胞性線維症である。 肺の症状が正確に診断されていない場合、または診断された肺の症状がII型 肺胞細胞の導管表面周辺の液状流体のpHが異常に低いことに関連する症状かど うかわからない場合は、当該技術分野で周知の方法によって肺の粘膜分泌物のp Hを検査する。例えば、患者の痰のpHを調べることによってII型肺胞細胞の 導管表面周辺の液状流体のpHを推定することができる。これには痰を適当な容 積の水に懸濁し、そのpHをpH計またはpH検査片で調べる。また気管支鏡検 査や肺洗浄(気管支肺胞洗浄、気管支ブラッシング、および粘膜生検など)によ って入手した流体試料のpHを調べてもよい。pH検査用の試料は経皮せん刺生 検および吸引によっても入手できる。 また、本発明の方法は肺の症状が特定されていない患者を治療できるという利 点を有する。本発明の方法によって肺機能が改善したかどうかを判断するには、 肺機能の変化を治療後および治療中に時間の経過に従って観察する。肺機能の観 察は肺活量の検査などの当該技術分野で周知の各方法で行う。本発明に従う治療 によって患者の肺機能が改善されれば、その患者の治療前の肺の症状はII型肺 胞細胞周辺のpHが低いことに起因していたいう強力な証明となる。投与タイミング pH−上昇組成物の投与は患者の肺疾患のどの段階で行ってもよい。本発明の 治療法の恩恵をもっとも受けると考えられるのは、疾患の初期段階、つまりpH −上昇組成物が肺胞に到達できないほどには気道が塞がれていない段階の患者で ある。治療は肺疾患の兆候のできる限り初期の段階で開始し、濃厚な粘膜分泌物 の蓄積に関連して二次的合併症(細菌またはウイルス感染など)を併発しないよ うにするのが好ましい。 pH−上昇組成物の投与は治療が必要な任意の期間にわたって行うことができ 、かつ各患者の肺の症状に応じて調整できる。例えば、喘息にかかっている患者 の場合、該組成物の投与は急性の発作を緩和する目的で必要に応じて行ってもよ い。また、数週間から数ケ月、場合によっては数年にわたる長期間、毎日(一日 一回または複数回)投与してもよい。治療は、肺胞を包む液状流体のpHを維持 して 患者の生命を守るため、または患者が肺疾患に罹る可能性がなくなるまで継続す ることができる。pH−上昇組成物の投与は必要に応じて他の治療用化合物(気 管支拡張剤や抗菌剤など)と併用してもよい。 また本発明の治療法は、肺疾患に罹る可能性のある者に対する予防策として用 いることもできる。例えば、嚢胞性線維症と診断されたがまだ深刻な慢性的肺症 状は呈していない患者の場合、本発明のpH−組成物を用いて予防的に治療でき る。このような予防的治療法によって、タバコ喫煙者、コカイン使用者、アレル ギー性喘息(花粉吸引による喘息など)や石綿症に罹る可能性のある者、および 埃りや粒子の多い環境(職業上の危険など)に晒されている労働者なども恩恵を 受けられる。一般に、肺に粒子状物質が沈着して肺機能を弱める可能性のある活 動に従事しているものは、本発明の方法による予防的治療の恩恵を受けられる。 肺に粒子状物質が沈着すると上皮気道への正常なイオン分泌が阻害され、II 型細胞の微細環境中のpHが異常に低くなり、これに伴ってII型細胞のエンド サイトーシスが低下して界面活性剤の分泌が少なくなり、最終的には正常な肺機 能が失われる。また、粒子状物質の肺への沈着は気道の炎症を引き起こすことも ある。肺の炎症に伴って、免疫細胞の脱顆粒中に酸性成分が放出される。酸性成 分は肺を包む液状流体のpHを下げ、最後にはやはり上記と同じく正常な肺機能 を失わせる。投与方法 pH−上昇組成物は患者の肺へ直接投与され、好適には患者に組成物を吸入さ せて行う。該組成物を肺胞へ到達させるには、先に説明したような吸入可能な乾 燥粉末組成物またはエアゾール組成物を患者に吸入させる。これには患者を(酸 素テントや保育器の中へ)隔離し、その隔離した環境を加湿し、本発明の薬剤流 体をネブライザに一滴ずつ落とすなどして加湿環境へ導入する。この代わりに、 携帯用(例えば手持ち式)ネブライザ、用量計量吸入装置(MDI)、乾燥粉末 吸入装置、または当該技術分野で公知のこれら以外の吸入装置を用いてもよい。 一般的なネブライザは、液体薬剤の細かな霧を発生かつ供給する機械的または電 子的手段を備えた装置である。MDIは通常、計量バルブが取り付けられた加圧 キャニスタを含む。キャニスタには圧縮または液化推進ガス中に溶解または分散 させた薬剤を含むエアゾール製剤が充填される。本発明では米国特許第4,81 4,161号等に記載がある当該技術分野で周知の推進剤を用いることができる 。また、本発明のpH−上昇化合物の投与に有用なネブライザ、MDI、および 乾燥粉末吸入装置も当該技術分野で周知のものを使用できる。 pH−上昇組成物が吸引可能な乾燥粉末状の場合、組成物の投与には次のよう な吸入装置を用いるのが好ましい。すなわち、吸入可能なpH−上昇薬剤を含む チャンバを規定するかまたはその中へ薬剤を簡単に導入できるハウジングと、患 者の吸入によって薬剤が導入される開口とを含む吸入装置である。吸入装置は乾 燥粉末の最低50%が直径10μm未満の主要粒子形状となるように乾燥粉末を 供給できる。これら主要粒子は任意でより大きな塊りにして、吸入する際に簡単 に希望サイズの主要粒子に分解されるようにしてもよい。pH−上昇薬剤の吸入 可能な乾燥粉末製剤の供給に使用できる乾燥粉末吸入装置には、市場で入手可能 なSPINHALER(商標)、ROTOHALER(商標)、TURBUHA LER(商標)などがある。吸入装置はpH−上昇化合物の一回分の用量約10 μg〜100mg、好適には50μg〜10mg、より好適には100μg〜5 mgを供給するように設計可能である。 pH−上昇組成物がエアゾール状として適用する場合、該組成物の投与はエア ゾール供給に適した吸入装置(MDIやネブライザ等)を用いるのが好ましい。 かかる装置は圧縮または液化推進ガス中に懸濁したpH−上昇組成物を収容する 容器を含む。吸入装置のハウジングは、その上に容器が載置されるポートと、ポ ートに連結する導管と、推進剤を容器から導管へ制御可能に放出して、懸濁した pH−上昇組成物を容器から導管へ放出させる機構とを規定する。導管はpH− 上昇組成物を患者の呼吸器系へ導入する構成をしている。好適には、吸入装置は エアゾールを直径10μm未満の小滴として供給できる。また吸入装置はpH− 上昇化合物の一回分または複数回分の用量を供給できるように設計することがで きる。一回分の用量は重量で約10μg〜100mg、好適には50μg〜10 mg、より好適には100μg〜5mgである。 一般に、吸入装置を用いてpH−上昇薬剤を投与する場合、患者はまず息を吐 いて肺からできるだけ完全に空気を出しておく。吸入時には、吸入装置は手動ま たは電動で駆動してpH−上昇薬剤の細かな霧を発生する。こうしてpH−上昇 薬剤は吸気とともに肺へ運ばれ、肺胞に投与される。 pH−上昇緩衝化合物を肺胞で最大に沈着させるため、使用する吸入装置はp H−上昇薬剤の細かな霧を発生できるものが好ましい。薬剤の一部は、当然、肺 胞に到達する前に気道の他の部分で沈着するが、直径10μm未満の粒子または 小滴の使用によりこの損失を最小限に抑えられる。pH−上昇組成物が乾燥粉末 状の場合、粉末が気道に入る地点では該粉末の少なくとも50%(重量比)は直 径10μm未満粒子であるのが好ましい。pH−上昇組成物がpH−上昇緩衝化 合物の水溶液のエアゾールである場合は、エアゾール小滴の少なくとも50%( 重量比)は直径10μm以下である。pH−上昇薬剤の粒子または小滴の好適な 寸法は直径約0.1〜6μmである。本発明のpH−上昇組成物の投与には直径 10μmより大きな粒子または小滴を用いてもよいが、この場合、喉や気管支の 裏側といった気道の非肺胞領域に粒子または小滴が沈着するため、肺胞へのpH −上昇緩衝化合物の供給効率は悪くなる。 患者が吸入するpH−上昇緩衝化合物の効果的な一回分の用量とは、患者の換 気後の肺胞中のII型肺胞細胞による界面活性剤分泌率向上に効果があるような 量である。吸入するpH−上昇緩衝化合物の好適な量は、換気後の肺胞の導管表 面を包む液状被膜のpHを好適には最低0.1pH単位、より好適には最低0. 2pH単位、さらに好適には最低0.5pH単位から、約1.0pH単位以上上 昇させ、またより好適には液状被膜のpH値をpH6.1を上回るレベル、例え ばpH7.0まで上昇させるような量である。もし本発明の治療目的を達成する のにpH7.0では十分でない場合は、追加のpH−上昇緩衝剤を投与してpH をpH7.5、pH8.0、pH8.5、さらにはpH9.0に上昇させること ができる。 最適な肺機能に関連するpH、およびそのpHを達成するのに必要な用量は患 者ごとに異なる。また、これらの要因は病理生理学上の条件によって異なる。こ のためある一人の患者に対する最適な用量は様々な用量レベルをテストして経験 的に決定しなければならない。これは本発明の方法によって容易に実現できる。 例えば、pH−上昇緩衝化合物の適当な用量を決定するには、患者の肺の概表面 積、肺上皮を包む液状流体の容積、およびこの容積の液状流体を所望のpH単位 だけ上昇させるのに効果的なpH−上昇緩衝化合物の量を計算することにより行 う。 本発明の治療を受ける者は、肺疾患の診断を受けた患者であっても、肺疾患に 罹る可能性のある者(つまり予防的療法を受ける候補者)であっても、個別の一 回分の用量を最低一日一回、例えば一日に1〜12回、好ましくは一日に2回〜 8回投与される吸入療法を受けることができる。また、治療をある時間の間、例 えば1分間〜10分間続け、それを必要に応じて毎時間または数時間おきに繰り 返してもよい。治療期間は患者の容態によって決められ、本発明の方法による治 療には頻度または治療継続期間についての制約は一切ない。一晩中または24時 間連続して薬剤投与を行うには、本発明の治療用薬剤を含む霧状物質または粉末 を、酸素マスク、呼吸装置、または加湿器から供給される空気、あるいは閉環境 (酸素テントや保育器等の隔離チャンバ)で供給される空気中へ組み入れる。2 4時間にわたって与えられるpH−上昇緩衝化合物の総量はマイクログラム単位 やミリグラム単位からグラム単位まで(約5gから50gなど)にわたる。適当 な用量は治療中の個人ごとに(患者の体格、肺活量、疾患の進行度などによって )異なる。 pH−上昇緩衝組成物の用量は各患者のニーズに従って調整可能である。例え ば、上述のpH検査で調べたり肺機能不全が続くことで示されるように、ある一 定用量を投与しても粘膜分泌物のpHが十分に高くならない場合、pH−上昇緩 衝組成物の用量を増加させた方がよいかもしれない。肺分泌物のpH検査(痰試 料、または気管支鏡検査や気管支洗浄によって得た試料のpH検査など)の方法 はすでに述べており、当該技術分野で周知である。また、本発明の治療を受ける 患者を当該技術分野で周知の肺機能検査(肺活量検査、pO2およびpCO2検査 、ならびに動脈血検査など)によってモニタしてもよい。動脈のCO2分圧(Pa co2 )の正常値は35〜45mmHgであり、O2分圧(Pao2)の正常値は75 〜100mmHgである。Paco2の正常値は年齢によって変化し、Pao2=10 4−[0.27x年齢]に従って求められる。正常な肺換気は一分間に約14呼 吸、 一回換気量は一呼吸あたり400ml、換気速度は一分間に5.6リットルであ る。 肺活量の検査は、肺活量計などの当該技術分野で周知の一般的手段を用いて行 うことができる。呼気の最初の一秒の強制呼気量(FEV1)の強制肺活量(F VC)に対する正常な比率は、FEV1/FVCが2リットル以下もしくは同等 (男性)である。肺機能を測定する他の方法には肺の粘度測定があり、これは肺 の容積に対する静的肺動脈圧(static pulmonary pressure)の測定値を調べるも のである。静的コンプライアンスの範囲は0.1〜0.4 1/cm H2Oで ある。また肺機能を調べるにはX線ラジオグラフやベンチレーションスキャン( 放射性ガスを使用)などのエクササイズ検査やさまざまな撮像技術を用いること もできる。肺活量検査に有用な装置の他の例には、米国特許第4,326,41 6号(本願に援用)に記載されている音響パルス応答測定装置がある。 このように、治療期間中および期間後を通じて患者の観察を行って、薬剤用量 増加の必要性、治療再開の必要性、または各患者ごとの治療の有効性の少なくと もいずれかを判断する。pH−上昇緩衝剤の投与は病院環境で医師によって行っ てもよいし(人工呼吸が必要な場合など)、患者が自分で行ってもよい。 上記以外の実施形態は以下の請求の範囲に含むものとする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 33/00 ACD A61K 33/42 33/42 A61M 15/00 Z A61M 15/00 A61K 9/14 U

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.II型肺胞細胞から表面活性物質が十分に分泌されず、前記肺胞細胞の周辺 の環境が異常に低いpHとなることにより生じる肺疾患に関わる症状を治療する 方法であって、 前記肺疾患を有した患者に、前記症状を緩和するために効果的な量のpH−上 昇緩衝剤を吸入させることを特徴とする方法。 2.前記pH−上昇緩衝剤の量が、患者の換気が行われる肺胞を包む液状被膜に おけるpH値を少なくとも0.1pH単位上昇させるのに十分な量であることを 特徴とする請求の範囲1に記載の方法。 3.前記pH−上昇緩衝剤の量が、前記患者の吸入後の肺胞におけるII型肺胞か らの細胞表面活性物質の分泌率を上昇させるのに有効な量であることを特徴とす る請求の範囲2に記載の方法。 4.前記緩衝剤を水溶液のエアゾールとして吸入させることを特徴とする請求の 範囲1に記載の方法。 5.前記緩衝剤を乾燥粉末として吸入させることを特徴とする請求の範囲1に記 載の方法。 6.前記患者の気道に前記粉末が投与される際に前記粉末の重量比として少なく とも50%が直径10μm以下の粒子であることを特徴とする請求の範囲5に記 載の方法。 7.前記緩衝剤が、炭酸水素イオンを含むことを特徴とする請求の範囲1に記載 の方法。 8.前記緩衝剤が、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムを含むことを特 徴とする請求の範囲7に記載の方法。 9.前記緩衝剤は、アルキルアリルポリエーテルアルコールを含有しない組成と して吸入されることを特徴とする請求の範囲1に記載の方法。 10.前記緩衝剤が、炭酸水素イオンを含むことを特徴とする請求の範囲9に記 載の方法。 11.前記緩衝剤が、表面湿潤因子を含まない組成として吸入されることを特徴 とする請求の範囲1に記載の方法。 12.前記緩衝剤が、炭酸水素イオンを含むことを特徴とする請求の範囲11に 記載の方法。 13.前記緩衝剤が炭酸水素のアルカリ金属塩、BIS−TRIS、プロパン、 BES、MOPS、TES、HEPES、DIPSO、TAPSO、TRIZM A、HEPPSO、POPSO、EPPS、TEA、Tricine、Bici ne、CAPS、TAPS、二塩化リン酸ナトリウム、二塩化リン酸カリウム、 及びトリエタノールアミンのいずれかを含むことを特徴とする請求の範囲1に記 載の方法。 14.前記緩衝液が0.25から1.0M炭酸水素塩を含有するエアゾール化さ れた水溶液として吸入されることを特徴とする請求の範囲7に記載の方法。 15.前記粉末が(a)炭酸水素イオンのアルカリ金属塩と、(b)吸入に適し た希釈剤との混合物であることを特徴とする請求の範囲6に記載の方法。 16.前記肺疾患が嚢胞性線維症であることを特徴とする請求の範囲1に記載 の方法。 17.前記肺疾患が、喘息性気管支炎、結核、気管支炎、気管支拡張、咽頭気管 気管支炎、細気管支炎、気腫、気管支肺炎、アレルギー性気管支肺炎、ウイルス 性肺炎、気管切開、百日咳、ジフテリア、痙攣性年少小児咽頭気管気管支炎、肺 性ろう又は遅延性分泌を伴なう脳炎のいずれかであることを特徴とする請求の範 囲1に記載の方法。 18.前記肺疾患が、肺性の喘息であることを特徴とする請求の範囲1に記載の 方法。 19.前記患者が未成熟の幼児であることを特徴とする請求の範囲1に記載の方 法。 20.II型肺胞細胞から表面活性物質が十分に分泌されず、前記肺胞細胞の環 境が異常に低いpHとなることにより生じる肺疾患に罹患する可能性のある個人 を予防的に処置する方法であって、 前記肺疾患に罹患する可能性のある個人に、吸入後の肺胞のII型肺胞細胞か ら表面活性物質の分泌量を上昇させる効果的な量のpH−上昇緩衝剤を吸入させ ることを特徴とする方法。 21.前記肺疾患が嚢胞性線維症であることを特徴とする請求の範囲20に記載 の方法。 22.前記個人が粒状体を吸入するような活動に携わっていることを特徴とする 請求の範囲20に記載の方法。 23.前記個人が喫煙者であることを特徴とする請求の範囲20に記載の方法。 24.前記個人が末成熟の幼児であることを特徴とする請求の範囲20に記載の 方法。 25.前記個人が呼吸装置による人工呼吸を受けていることを特徴とする請求の 範囲20に記載の方法。 26.前記個人が肺に対して機械的な切開を受けていることを特徴とする請求の 範囲20に記載の方法。 27.II型肺胞細胞から表面活性物質が十分に分泌されず、前記肺胞細胞のプ ラスマメンブレンの先端を包む液体状の被膜が異常に低いpHとなることにより 生じる患者の肺疾患に関する症状を治療するための吸入可能な乾燥粉末組成物で あって、 患者の吸入が行われる肺胞を包む液状の被膜のpHが少なくとも0.1ユニッ ト上昇させる効果的な量のpH−上昇緩衝化合物を含み、 前記化合物の少なくとも50%が直径10μm以下の主要粒子であることを特 徴とする請求の範囲27に記載の吸入可能な乾燥粉末組成物。 28.炭酸水素イオンからなることを特徴とする請求の範囲27に記載の吸入可 能な乾燥粉末組成物。 29.前記粉末組成物には、重量比として少なくとも5%の前記化合物が含まれ ていることを特徴とする請求の範囲27に記載の吸入可能な乾燥粉末組成物。 30.II型肺胞細胞から表面活性物質が十分に分泌されず、その結果、前記肺 胞細胞を包む肺胞液が異常に低いpHとなることにより生じる患者の肺に関する 症状を治療するためのエアゾール組成物であって、 吸入に適した水溶液の水滴であり、前記水滴の少なくとも50%が直径10μ m以下であり、 また、前記水溶液には、重量として少なくとも2.5%のpH−上昇緩衝剤が 含まれていることを特徴とするエアゾール状組成物。 31.炭酸水素イオンからなることを特徴とする請求の範囲30に記載のエアゾ ール状組成物。 32.前記溶液には、重量として少なくとも3〜10%の前記緩衝剤が含まれて いることを特徴とする請求の範囲30に記載のエアゾール状組成物。 33.前記溶液には、重量として少なくとも5%の前記緩衝剤が含まれているこ とを特徴とする請求の範囲30に記載のエアゾール状組成物。 34.吸入剤を収容するチャンバが形成されたハウジングを含む吸入装置であっ て、 前記チャンバには、患者の吸入動作により吸入剤を排出するための開口部が備 えられ、 前記吸入剤が患者の肺胞の内部表面を覆う液状被膜のpHを0.1ユニット上 昇させる効果的な量のpH−上昇緩衝物質を含む乾燥粉末であって、前記乾燥粉 末の少なくとも50%が直径10μm以下であることを特徴とする吸入装置。 35.呼吸装置、加湿器又は酸素マスクであることを特徴とする請求の範囲34 に記載の吸入装置。 36.分離チャンバを結合させて使用することを特徴とする請求の範囲34に記 載の吸入装置。 37.加圧されたまたは液化推進ガスに分散された吸入剤を収容するた容器と、 (a)前記容器に載置されたポート及び(b)前記ポートに連通する導管を形 成するハウジングと、 前記容器に収容された吸入剤を前記導管に推進させ、前記容器から導管への推 進物を制御可能に放出させる機構とを備え、 前記導管が前記放出される推進物中に分散されている被投与者の呼吸器系に送 り込むように構成され、 前記吸入剤が、重量比として少なくとも2.5%のpH−上昇緩衝化合物を含 む液状溶液であることを特徴とする吸入装置。 38.人工呼吸装置、加湿器又は酸素マスクであることを特徴とする請求の範囲 37に記載の吸入装置。 39.分離チャンバを結合させて使用することを特徴とする請求の範囲37に記 載の吸入装置。
JP8513975A 1994-10-20 1995-10-16 表面活性物質の分泌不足に関連する肺疾患の治療法 Withdrawn JPH10509431A (ja)

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