JPH10506822A - 注射による治療への慣れのための装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、注射による投与処置の間中、目に見えないように針を完全に隠すために、本質的に円筒形の折りたたみ可能な針カバーによって完全に取り囲まれた針を備える注射装置に取り付け可能な、カニューレを対象とする。折りたたみ可能な針カバーは、発泡ポリマーでできた円筒形あるいはやや円錐形の弾力性のあるスリーブを備え、軸に沿って延びる針を通す穴を備え、あるいはこの針カバーは、蛇腹状構造を持つこともできる。また、投与処置の間中、目に見えないように隠した針を使用して注射により薬剤を投与する方法も開示される。

Description

【発明の詳細な説明】 注射による治療への慣れのための装置 発明の分野 本発明は、針のほぼ全長を注射の針入に使用することを可能にしながら、目に 見えないように針を隠すための折りたたみ可能な針カバーを備えるカニューレ（ cannula）、および従来の注射装置に取り付けられた前記のカニューレを使用す る注射の方法を対象とする。本発明は、注射によって薬物を投与する長期間の生 活規制に患者を慣れさせる際に特に有用である。 発明の背景 しばしば患者が家庭での自己投与により、長期間に渡って注射によって投与し なければならない薬物を用いる医療治療においては、便利な投与形式を得ること が非常に望ましい。このような薬物の例には、現在までのところ注射による投与 でしか治療効果を得ることができないインシュリンやヒト成長ホルモンなどの不 安定なヒト蛋白質（human protein）がある。しかし、このような長期間の生活 規制を強いられる多くの患者は、定期的に針を使用することを非常に不快に思い 、針を目にすること、およびそれから予想される苦痛の感覚に対して強い嫌悪感 をし ばしば感じる。特に、定期的な成長ホルモン注射を必要とする多くの小児患者の 場合には、治療の不便を克服するために、投与処置の間中、目に見えないように 針を隠す装置が必要となる。とりわけ成長ホルモン注射は、例えば糖尿病に対す るインシュリン治療とは対照的に、直接的な症状の緩和に結びつくわけではない ため、成長ホルモンの患者は、注射を使用する最初は不快な治療に対する慣れ期 間を提供することができる装置があれば、相当な恩恵を受けるはずである。 国際特許出願ＷＯ９３／０５８３５号に、伸びた状態で注射針を完全に取り囲 む取り外し可能な管状のスリーブ（sleeve）を備える、針保護装置が開示されて いる。しかし、この装置は構造が複雑なために費用がかかり、使用者が注射の際 にばね装置の力を克服する必要もあるため、子供に使用するのは困難であろう。 この装置はまた、針あるいはカニューレの交換後のたびに、ペン型注射器の本体 から外し、再び取り付けなければならない。針あるいはカニューレの交換は、面 倒になることがあり、最悪の場合にはうまく機能しなくなることもある。 例えば管状蛇腹型など弾力性のある針保護装置が、ドイツ特許出願ＤＥ４２ ０１ ２２８号に開示されている。この装置 には、針を通す穴を備えた可動停止表面が取り付けられている。この装置では、 注射を行うために針を準備する際に追加の動きが必要となる。また、停止表面が 取り付けられているため、針の一定部分が注射に使用されないことになる。国際 特許出願ＷＯ９３／２４１６２号は、カニューレを覆って滑り可能に取り付けら れた保護用被鞘部材（protective sheath member）を開示している。この構造も また、被鞘をカニューレの末端部から遠ざけて、注射のため針を露出させる際に 、これを手で移動させる必要がある。この被鞘部材は、誤って針を刺すことから 一般の使用者を保護するであろうが、注射作業の間中、目に見えないように針を 隠すことはなく、針の全長が注射に使用されることもないであろう。国際特許出 願ＷＯ９１／１６９３５号が開示する針シールドは、軸方向に引き込み可能な弾 力性のある材料でできており、注射の前後の両方で針の先端が誤って露出しない ように、軸方向に位置が外れた透明の先端部分を有する。この装置は、注射のた めに針を露出させるためには所定の方法で傾けなくてはならず、使用者から針を 隠すことは意図されていない。 前述したどの構造でも、針を露出させるためには所与の方法 で針カバーを調節しなければならないので、注射の準備をするためにはかなりの 技量が必要となる。また、故意でなく針カバーに針入して針の無菌性が失われ、 かつカバーの材料から剥がれた裂片が注射によって人体に取り込まれる危険がか なりある。 さらに、米国特許第４７７５３６９号は、針を露出させるために注射位置に接 して圧縮される、弾力性のある発泡材料でできた針シールドを開示している。し かしこの前端装置は、圧縮不可能な管状案内部分を備えるため、針の相当部分が 針入に使用されないまま残される。また、この案内部分により、不慣れな患者が しばしばするような、注射装置および針を故意でなくわずかに傾けることは不可 能になる。また米国特許第４７７５３６９号による針シールドでは、針シールド がない場合よりも若干浅い一定の針入深度に患者が慣れてしまうことになる。何 らかの理由で、普段使用しているこの針シールドを備えない注射装置を使用する 場合、全く同じ注射状態にはならないことになる。注射状態が異なると、注射深 度が変化するために、患者が普段より痛みを感じ、また最悪の場合には、患者が 得る薬物効果が変わる可能性がある。注射深度が再現可能であることは、筋肉注 射でなく皮下注射が好ましい応用分野では、特に望まし い。 従来技術に属する針カバーの前述の全ての欠点は、自己注射のために小児が注 射装置を使用する場合、特に初期の慣れ期間中に、より明白になるであろう。 本発明の目的は、注射器や注射ペンなど従来の注射装置と共に使用する、単純 かつ安価な、針を隠す構造を提供することである。 本発明の別の目的は、針を隠す構造が使用されているか否かに関わらず同一の 注射状態を与えながら、投与処置の間中、使用者から効果的に針を隠すことであ る。 本発明の他の目的は、規格化された針およびカニューレを使用することによっ て、手動で簡単に再現可能な便利な注射を提供し、注射中に苦痛な高流体抵抗を もたらす可能性のある、過度に長い針の使用を避けることである。 本発明の他の目的は、注射を行うための全ての不必要な手動操作をなくするこ とである。 上記の目的は、請求の範囲第１項に記載のカニューレ、および請求の範囲第７ 項に記載の薬剤投与方法によって達成される。 発明の説明 本発明は、注射による投与処置の間中、針全体を目に見えないように隠すため に、本質的に円筒形の折りたたみ可能な針カバーで完全に取り囲まれた針を備え る注射装置に取り付け可能な、カニューレを対象とする。前記の針カバーは、注 射位置まで押し出される針が通るための針の開口を提供し、針のほぼ全長が注射 に使用される程度まで、注射位置に接して圧縮することができる。この針カバー は、その後、注射が完了して針が戻る間に、直ちに再膨張する。針および針カバ ーの針開口は、常に同軸土に配置され、注射装置を投与可能な状態にするための 不必要な操作が避けられるようになっている。 本発明の好ましい一実施の形態によれば、折りたたみ可能な針カバーは、発泡 ポリマーでできた、円筒形あるいはやや円錐形の弾力性のあるスリーブを備え、 針を通す開口を形成する軸に沿った通し穴を備える。スリーブは、その周囲表面 を取り巻く可撓性ポリエチレンフィルムを備えることができ、通し穴は、軸に沿 った案内表面を備えることができる。別の実施の形態では、折りたたみ可能な針 カバーは、注射中に直ちに針によって針入されて開口を形成する、蛇腹状構造を 持つ。 本発明はまた、前述の特徴を有する針および折りたたみ可能な針カバーを含み 、投与処置の間中、目に見えないように針を隠した注射によって、薬剤を投与す る方法をも対象とする。 発明の詳細な説明 第１図は、弾力性のある蛇腹型針カバーが取り付けられた、本発明による注射器 の投与直前の概略図である。 第２図は、投与中に針カバーの一部が圧縮された、第１図による注射器を示す図 である。 第３図は、発泡ポリマーでできた弾力性のあるスリーブ型の、本発明による針カ バーを示す図である。 第４図は、その周囲表面上に可撓性ポリエチレンフィルムを備えた、第３図によ る装置を示す図である。 第５図は、針案内表面を備えた、第３図または第４図による装置を示す図である 。 第６図および第７図は、圧縮可能な蛇腹状構造を備えた、折りたたみ可能な針カ バーを示す図である。 本発明による折りたたみ可能な針カバーを備えたカニューレは、第１図および 第２図に概略的に示すように、多くの異なる注射装置と共に使用することができ る。注射装置は、その最も 単純な形態では、プランジャで操作される従来の注射器でよく、胴部あるいはそ の中のアンプルが液状薬物であらかじめ満たされている。しかし、本発明のカニ ューレは、例えば欧州特許ＥＰ０２９８０６７号に開示されているような、再構 成二室アンプルからの調節可能な複量投与を目的とするさらに複雑なペン型注射 装置とともに使用する場合にも同様に有用である。 このカニューレはさらに、ねじ、または従来型のルアロック（luer lock）装 置、または従来型のスナップロック（snap-lock）装置の形にすることが可能な 、注射装置の胴部あるいはハウジングに接続するための接続装置を備える。さら にこのカニューレは、通常は例えば長さ８または１２ｍｍの規格針である、針の 位置を定めるための従来型の針保持部分を備え、従来の方法で薬物と流体連絡で きるように配置される。本発明の重要な特徴は、皮膚に針入して薬物を投与する 際に針カバーの前部を皮膚表面の注射位置に押し付けると、この折りたたみ可能 な針カバーが最大限に圧縮され、その結果、針のほぼ全長が注射に使用されるこ とである。そうでなければ、注射中に不都台な流体抵抗を引き起こす、不必要に 長い針を使用しなければならなくなる。 好ましい実施の形態では、第３図から第５図に例示するように、カニューレは 、圧縮性に富み、しかも注射が終了して針が患者の体内の注射点から戻る間に直 ちに再膨張することができるように、エラストマ特性を持ち非常に低密度な、発 泡低密度ポリエチレンなどの発泡ポリマーでできた、本質的に円筒形か、やや円 錐形の弾力性のあるスリーブ型の針カバーを備える。これらの弾力性のあるスリ ーブは全て、中央に位置し軸に沿って延びる通し穴を備え、この通し穴は、パッ ドが圧縮されるときに針が通るすき間を精密に作り出す。通し穴の前端は、弾力 性のある針カバーが圧縮されたときに針を注射位置に誘導する、針開口を提供す る。スリーブが圧縮され続いて膨張する間、針とスリーブの間の摩擦係合が最小 になることが、便利な注射作業のために重要である。したがって、針の通し穴の 中、あるいは針の周囲表面上に、摩擦低減剤を導入することが適切となる可能性 がある。発泡ポリマーが特定の低い内部摩擦を持つことは当然であるが、本発明 の針カバ一内では、この内部摩擦を低く保つことが好ましい。発泡高分子材料が 、多孔性材料構造であるにも関わらず、適当に滅菌できることも重要である。こ の多孔性高分子材料には、注射の改良あるいは容易化に役立つ滅 菌剤などの薬品をしみ込ませるあるいは満たすこともできる。 第４図を見ると分かるが、特別な実施の形態では、パッドは、滑らかで非多孔 性の皮膚接触表面を得るために、その外側の周囲表面を取り囲み快い外観を持つ 、可撓性のポリエチレンフィルムを備えることができる。別の実施の形態では、 第５図を見ると分かるが、注射の精度を向上させるために、通し穴の前端に軸に 沿った案内表面を備えることができる。この装置は、投与中に不注意で横断力が 注射装置に加えられた場合に、正確な針の位置を確保するのに好都合である。案 内表面は、弾力性のあるスリーブの他の部分と同じ材料で作るのが適切であり、 発泡ポリマーが使用されている場合には、従来の表面融解によって案内表面を作 ることができる。 適当ならば、装置の完全性を維持するために、弾力性のあるスリーブの前表面 に、この装置が圧縮されたときに針によって貫通される膜を備えることもできる 。 第６図および第７図に示す代替の実施の形態によれば、カニューレは、本質的 に円筒形で折りたたみ可能な、蛇腹状の針カバーを備える。この針カバーはまた 、注射中にこの装置が注射位置に押し付けられたときに、前記の弾力性のあるス リーブと 同様の方法で圧縮することができ、続いて、注射が終了して針を注射位置から戻 す間に直ちに再膨張する。蛇腹状構造に使用される材料は、通常は、滅菌可能な シリコンラテックス（siliconlatex）など、高い成形能力を持つ弾性熱可塑性材 料でよい。針は、注射前には蛇腹状構造中に閉じこめられ、カニューレが圧縮さ れて針が外被に針入し、その結果、針を通す開口を注射位置に形成する瞬間まで 完全な無菌状態を維持する。 本発明のカニューレを備える注射装置には、保護キャップを備えることができ 、これは投与前にカニューレから除去する。注射が完了すると、カニューレを除 去して廃棄するか、あるいは注射装置が多回投与型である場合には、任意選択で 新しいカニューレを取り付けて保管しておく。 本発明のカニューレと一体となった注射装置は、保護キャップに入れて「オー ルインワン（all-in-one）」キットとして製造業者から配達することができるた め、患者が取り扱う段階は最小限にとどめられる。 本発明によれば、保護キャップを除去するときに、小児使用者を心理的に勇気 づけて注射を続行するために、折りたたみ可能な針カバーを膨張させて所定の楽 しい形状を作り出すことも 可能である。 本発明は、上記に説明したように、薬剤を注射する投与処置の間中、針を使用 する注射に対して強い嫌悪感を感じる人から注射針を隠すという問題に対する、 驚くほど便利で簡単で安価な解決法を提供する。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，Ｍ Ｃ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＢＢ，Ｂ Ｇ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＥ，ＨＵ，ＩＳ，ＪＰ， ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＴ，Ｌ Ｕ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ， ＳＫ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，Ｖ Ｎ

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．投与処置の間中、目に見えないように針を隠しながら、前記針を注射位置に 誘導する針開口を提供する本質的に円筒形で折りたたみ可能な針カバーによって 、完全に囲まれた前記針を備える、注射によって投与可能な薬剤を入れた注射装 置に取り付け可能なカニューレであって、前記針と前記針カバーの前記針開口が 同軸上に配置されること、および前記の針カバーが前記注射位置に接して圧縮さ れたときに、前記針が直ちにその中に誘導されて前記針のほぼ全長が注射に使用 され、その後注射が終了して前記針が戻る間に直ちに再膨張するように前記針カ バーが折りたたみ可能にできていることを特徴とするカニューレ。 ２．折りたたみ可能な針カバーが、針を通す開口を形成しながら軸に沿って延び る通し穴を持つ、発泡ポリマーでできた弾力性のあるスリーブの形である、請求 の範囲第１項に記載のカニューレ。 ３．弾力性のあるスリーブが、該スリーブ周囲表面を取り巻く可撓性ポリエチレ ンフィルムを備える、請求の範囲第２項に記 載のカニューレ。 ４．通し穴の前端が、軸に沿って変位した案内表面を備える、請求の範囲第２項 、または第３項に記載のカニューレ。 ５．除去されると、弾力性のある針カバーを既定の形に膨張させることができる 保護キャップを備えることを特徴とする請求の範囲第２項から第４項のいずれか 一項に記載のカニューレ。 ６．折りたたみ可能な針カバーか、注射中に直ちに針によって針入されて開口を 形成する蛇腹状構造を有する、請求の範囲第１項に記載のカニューレ。 ７．請求の範囲第１項から第５項のいずれか一項に記載のカニューレを備え、折 りたたみ可能な針カバーによって完全に取り囲まれた針を有し、薬剤を充填した 注射装置が、前記針のほぼ全長が注射に使用されるようになる程度まで投与位置 に接して圧縮され、それにより、前記の折りたたみ可能な針カバーが、注射が終 了して前記針が戻る間に直ちに再膨張する、投与処置の間中、目に見えないよう に隠した前記針を使用して注射により前記薬剤を投与する方法。 ８．注射処置の間中、目に見えないように隠した針を使用して注射により薬剤を 投与する際における、請求の範囲第１項から 第６項のいずれか一項に記載のカニューレの使用。